JP6155654B2 - 中空繊維の製造方法および中空繊維の製造装置 - Google Patents

中空繊維の製造方法および中空繊維の製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、溶融紡糸によって中空繊維を製造する中空繊維の製造方法および中空繊維の製造装置に関する。
近年、環境汚染に対する関心が高まっており、また、規制が強化されていることもあり、分離の完全性、コンパクト性等に優れたろ過膜を用いた水処理(例えば、産業排水、下廃水、浄水等の処理)が注目を集めている。水処理用のろ過膜としては、中空繊維からなる中空糸膜が広く使用されている。
中空糸膜を製造する方法の一つとして、溶融樹脂を紡糸ノズルから紡出して中空糸状溶融樹脂を形成する紡糸工程と、中空糸状溶融樹脂を冷却して中空繊維を得る冷却工程と、中空繊維を延伸させて多孔化する工程とを有する方法が知られている(特許文献1)。
上記方法において、中空糸膜の周方向の膜構造の均一性は、中空繊維の結晶構造の周方向の均一性に影響を受ける。そのため、冷却工程においては、中空繊維の結晶構造の周方向の均一性が高くなるような冷却方法が求められる。特に、複数本の中空糸状溶融樹脂を冷却する場合には結晶構造が不均一になりやすいため、中空繊維の結晶構造の周方向の均一性を高くする冷却方法が要求されていた。
その要求に対し、特許文献2では、周方向に均一に吹き出し口が設けられた内筒と、内筒を収容する外筒とを備える冷却装置を用いて、複数本の中空糸状溶融樹脂を一括して冷却する方法が提案されている。この冷却装置を用いた冷却方法では、内筒の内側に中空糸状溶融樹脂を走行させると共に、外筒と内筒との間に冷却用気体を供給し、内筒の吹き出し口から内筒の内側に冷却用気体を吹き出して、中空糸状溶融樹脂を冷却する。
特開平2−112404号公報 特開2001−200422号公報
しかしながら、特許文献2に記載の冷却方法によって中空糸状溶融樹脂を冷却しても、中空繊維の結晶構造が周方向で不均一になることがあった。そのため、特許文献2に記載の方法で得た中空繊維を延伸した際には、中空糸膜の周方向の膜構造が不均一になることがあった。
そこで、本発明は、複数本の中空糸状溶融樹脂を冷却するにもかかわらず、結晶構造の周方向の均一性に優れた中空繊維を容易に製造できる中空繊維の製造方法および中空繊維の製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]溶融樹脂を紡糸ノズルに設けられた樹脂吐出口から紡出して複数本の中空糸状溶融樹脂を形成する紡糸工程と、前記中空糸状溶融樹脂を冷却する冷却工程とを有し、前記紡糸ノズルの樹脂吐出口を有する面には、前記樹脂吐出口の出口側付近を囲って保護する筒状の保護部が設けられ、前記冷却工程では、長手方向の少なくとも一部に、冷却用気体を内側に均一に吹き出す吹き出し部を有している筒状の冷却筒を、中空糸状溶融樹脂毎に1本ずつ用い、各冷却筒に中空糸状溶融樹脂を走行させながら、前記吹き出し部から中空糸状溶融樹脂の外周面に冷却用気体を吹き付けて中空糸状溶融樹脂を冷却する、中空繊維の製造方法。
[2]前記吹き出し部にて冷却用気体に圧力損失を与える、[1]に記載の中空繊維の製造方法。
[3]前記紡糸工程では、複数個の樹脂吐出口を用い、各樹脂吐出口で中空糸状溶融樹脂を1本ずつ形成すると共に、各樹脂吐出口に供給する溶融樹脂の供給量を調整する、[1]または[2]に記載の中空繊維の製造方法。
[4]溶融樹脂を紡出して複数本の中空糸状溶融樹脂を形成する樹脂吐出口と、前記中空糸状溶融樹脂を冷却する冷却手段と、前記樹脂吐出口の出口側付近を囲って保護する筒状の保護部とを備え、各冷却手段は、筒状の冷却筒を、中空糸状溶融樹脂毎に1本ずつ備え、各冷却筒は、その内側に中空糸状溶融樹脂が走行するようになっており、該冷却筒の長手方向の少なくとも一部には、冷却用気体を冷却筒の内側に均一に吹き出す環状の吹き出し部を有している、中空繊維の製造装置。
[5]互いに隣接する冷却筒が、該冷却筒の中心同士の間隔が樹脂吐出口の口径の150〜1000%になるように配置されている、[4]に記載の中空繊維の製造装置。
[6]各冷却筒の内径が、樹脂吐出口の口径の110〜900%である、[4]または[5]に記載の中空繊維の製造装置。
[7]冷却筒が千鳥状に配置されている、[4]〜[6]のいずれかに記載の中空繊維の製造装置。
[8]前記吹き出し部が、中空糸状溶融樹脂に吹き付ける冷却用気体に圧力損失を与える部材で構成されている、[4]〜[7]のいずれかに記載の中空繊維の製造装置。
[9]前記樹脂吐出口を複数個備え、各樹脂吐出口で中空糸状溶融樹脂を1本ずつ形成すると共に、各樹脂吐出口の上流側に、溶融樹脂の供給量を調整する溶融樹脂計量供給手段を備える、[4]〜[8]のいずれかに記載の中空繊維の製造装置。
本発明の中空繊維の製造方法および中空繊維の製造装置によれば、複数本の中空糸状溶融樹脂を冷却するにもかかわらず、結晶構造の周方向の均一性に優れた中空繊維を容易に製造できる。
本発明の一実施形態に係る中空繊維の製造装置を示す模式図である。 図1の中空繊維の製造装置を構成する紡糸ノズルと冷却手段を示す断面図である。 冷却筒の配置の一例を示す模式図である。 冷却筒の配置の他の例を示す模式図である。 冷却筒の配置の他の例を示す模式図である。 本発明の他の実施形態に係る中空繊維の製造装置を構成する冷却手段を示す断面図である。 本発明の他の実施形態に係る中空繊維の製造装置を構成する冷却手段を示す断面図である。
<中空繊維の製造装置>
本発明の中空繊維の製造装置(以下、「製造装置」と略す。)の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の製造装置を示す。本実施形態の製造装置1は、紡糸ノズル10と冷却手段20と引き取り手段30と溶融樹脂計量供給手段40とを備える。
(紡糸ノズル)
紡糸ノズル10は、溶融樹脂を紡出して中空糸状溶融樹脂Aを形成するものである。本実施形態における紡糸ノズル10は、樹脂吐出口11aを有し、各溶融樹脂吐出口11aで中空糸状溶融樹脂Aを1本ずつ形成するようになっている。本実施形態では、紡糸ノズル10を4個備えるため、合計4本の中空糸状溶融樹脂Aを形成するようになっている。
本実施形態における紡糸ノズル10は、図2に示すように、その内部に、樹脂流路11が1本形成されている。この樹脂流路11は溶融樹脂計量供給手段40に接続されて、溶融樹脂が供給されるようになっている。
樹脂流路11の樹脂吐出口11aは環状に開口しており、通常、樹脂吐出口11aの内径は1〜30mmの範囲内、外径は2〜50mmの範囲内とされる。また、樹脂吐出口11aの内側には、空気を吐出する空気吐出口11bが形成されている。
また、紡糸ノズル10は、樹脂流路11を通過する樹脂を加熱するためのヒータ(図示せず)を備えている。そのヒータは紡糸ノズル10に内蔵されてもよいし、紡糸ノズルの周囲を囲むように設けられてもよい。
この紡糸ノズル10では、樹脂流路11を通過した溶融樹脂を樹脂流路11の樹脂吐出口11aから紡出すると共に空気吐出口11bから空気を吐出することによって、中空糸状溶融樹脂Aを形成するようになっている。
この紡糸ノズル10の樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bを有する面には、樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bの出口側付近を囲って保護する保護部12が設けられている。吐出した中空糸状溶融樹脂Aが周囲雰囲気の温度や気流等の影響を受けると、寸法や温度が不安定となるが、保護部12が設けられていれば、周囲雰囲気の温度や気流等の変化による外乱を排除でき、寸法や温度を安定化できる。
本実施形態における保護部12は、筒状であり、樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bを有する面から、例えば、1000mm以下の範囲で設けられる。
(冷却手段)
冷却手段20は、中空糸状溶融樹脂Aを冷却するものであり、紡糸ノズル10よりも下流側に設けられた冷却筒21と、冷却筒21に冷却用気体を供給する冷却用気体供給手段(図示せず)とを備える。冷却筒21は、中空糸状溶融樹脂A毎に1個ずつ設けられており、各冷却筒21は互いに平行に配置されている。
冷却筒21は、円筒状であり、図2に示すように、長手方向の略中央に、冷却用気体を内側に均一に吹き出す環状の吹き出し部21aを有している。吹き出し部21aは、その内周面に冷却用気体の吹き出し口が均一に設けられていることで、冷却用気体を均一に吹き出すようになっている。吹き出し部21aの内径は、中空糸状溶融樹脂Aに冷却用気体を均一に吹き付けることが容易になることから、5〜500mmであることが好ましい。
本実施形態における冷却筒21は、長手方向の略中央の外径および内径が非吹き出し部21bよりも大きくされて、冷却用気体供給手段から冷却用気体が供給される気体導入室21cが設けられている。
また、本実施形態における冷却筒21は、紡糸ノズル10との間に間隙が形成されると共に、冷却筒21の中心が樹脂吐出口11aの中心に一致するように配置されている。冷却筒21と紡糸ノズル10との間に間隙が形成されることで、冷却筒21の両方の開口部から冷却用気体を排気できるようになっている。また、冷却筒21の中心が樹脂吐出口11aの中心に一致することで、冷却筒21の略中心に中空糸状溶融樹脂Aが走行するようになっている。ここで、「略中心」とは、冷却筒21の中心軸から、該中心軸と冷却筒21の内面との最短距離の20%以下の範囲内、好ましくは5%以下の範囲内のことである。
互いに隣接する冷却筒21,21は、冷却筒21,21の中心同士の間隔Lが樹脂吐出口11aの口径の、好ましくは150〜1000%、より好ましくは150〜600%になるように配置される。冷却筒21,21の中心同士の間隔Lが前記下限値以上であれば、互いに隣接する溶融樹脂又は中空繊維の間に充分なクリアランスを確保でき、前記上限値以下であれば、製造装置1を容易に省スペース化できる。
各冷却筒21の内径Dは、樹脂吐出口11aの口径の110〜900%であることが好ましく、150〜500%であることが好ましい。冷却筒21の内径Dが前記下限値以上であれば、互いに隣接する溶融樹脂又は中空繊維の間に充分なクリアランスを確保でき、前記上限値以下であれば、製造装置1を容易に省スペース化できる。
複数本の冷却筒21は、図3に示すように、千鳥状(ジグザグ状)に配置されていることが好ましい。千鳥状(ジグザグ状)に冷却筒21を配置すると、密集させやすく、製造装置1を容易に省スペース化できる。
複数本の冷却筒21は、図4に示すように、円形状に配置されてもよい。複数本の冷却筒21の配置が円形状であると、円の中心に、樹脂を紡糸ノズル10に供給するための配管51を配置することで、配管51から紡糸ノズルまでの流路52の長さを全て同一にできる。そのため、樹脂吐出口から溶融樹脂を均一な量で吐出させやすくなる。
複数本の冷却筒21は、図5に示すように、互いに平行な2列で且つ各冷却筒の中心が矩形の頂点に位置するように配置されてもよい。この場合、冷却筒21の本数を偶数本とし、各列に沿う方向の中央且つ各列の配列に対し垂直な方向の中央に、樹脂を紡糸ノズル10に供給するための配管51を配置することで、配管51から紡糸ノズルまでの流路52の長さを全て同一にできる。そのため、樹脂吐出口から溶融樹脂を均一な量で吐出させやすくなる。
本実施形態においては、吹き出し部21aが、中空糸状溶融樹脂Aに吹き付ける冷却用気体に圧力損失を付与する部材で構成されている。ここで、圧力損失は、0〜100kPaの範囲とするが、圧力損失の付与は吹き出し部21aから冷却筒21へ導入する冷却用気体の整流が目的であるため、必要最小限に留めることが好ましい。
圧力損失を付与する部材としては、連続発泡の発泡体、繊維を原料とした不織布、粉末冶金等の焼結体、紙リボンの環状積層体、10メッシュよりも目開きの小さい網状体などが挙げられる。
上記冷却手段20では、冷却用気体供給手段を用いて冷却用気体を気体導入室21cに供給し、吹き出し部21aから、冷却筒21の略中心を走行する中空糸状溶融樹脂Aに冷却用気体を吹き付けて、中空糸状溶融樹脂Aを冷却するようになっている。なお、本発明では、中空糸状溶融樹脂Aを冷却したものを中空繊維Bという。
(引き取り手段)
引き取り手段30は、中空繊維Bを引き取るものであり、冷却筒21よりも下流側に、中空繊維B毎に1個ずつ設けられている。また、引き取り手段30は、引き取り速度を調整可能になっていることが好ましい。
引き取り手段の具体例としては、ネルソンロールやゴデットロール等が挙げられる。
(溶融樹脂計量供給手段)
溶融樹脂計量供給手段40は、各紡糸ノズル10の上流側に1個ずつ設けられており、紡糸ノズル10に供給する溶融樹脂の供給量を調整するものである。なお、通常、溶融樹脂計量供給手段40には、押出機を用いて溶融樹脂を供給する。
溶融樹脂計量供給手段40としては、ギヤポンプ、ダイヤフラムポンプ、偏心1軸ねじポンプ、プランジャポンプ、スクリューポンプ等が挙げられる。これらの中でも、低脈動性に優れ、小型軽量でシール機構も簡素であることから、ギヤポンプが好ましい。
また、溶融樹脂計量供給手段40の駆動源としては、回転を精密に制御できることから、ACサーボモータやステッピングモータが好ましい。
<中空繊維の製造方法>
上記製造装置1を用いた中空繊維の製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態の中空繊維の製造方法は、溶融樹脂供給工程と紡糸工程と冷却工程と引き取り工程とを有する。
(溶融樹脂供給工程)
溶融樹脂供給工程では、まず、押出機を用いることによって樹脂を溶融し、溶融した樹脂(溶融樹脂)を各溶融樹脂計量供給手段40に送り出す。ここで、樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等の結晶性樹脂が使用される。
次いで、溶融樹脂計量供給手段40によって、溶融樹脂の供給量を調整すると共に、溶融樹脂を各紡糸ノズル10に供給する。通常は、全ての樹脂吐出口11aが同じ吐出量になるように溶融樹脂の供給量を調整する。
(紡糸工程)
紡糸工程では、溶融樹脂を樹脂吐出口11aから紡出することによって、中空糸状溶融樹脂Aを形成する。具体的には、溶融樹脂計量供給手段40から供給された溶融樹脂を、ヒータにより加熱した樹脂流路11を通過させた後、環状に開口した樹脂吐出口11aから紡出させると共に、空気吐出口11bから空気を吐出することによって、中空糸状溶融樹脂Aを形成し、冷却筒21の略中心に送り出す。
紡糸速度には特に制限はないが、通常は、1〜1000m/分の範囲とされる。
(冷却工程)
冷却工程では、冷却手段20を用いて、冷却筒21の略中心を走行する中空糸状溶融樹脂Aを冷却する。具体的には、冷却用気体供給手段を用いて冷却用気体を気体導入室21cに供給する。次いで、吹き出し部21aから、冷却筒21の略中心を走行する中空糸状溶融樹脂Aの外周面に冷却用気体を吹き付け、中空糸状溶融樹脂Aを冷却して中空繊維Bにする。
なお、冷却工程では、中空糸状溶融樹脂Aが細径化するが、この細径化は、引き取り工程によって中空繊維Bを引き取ることによって生じる。
本実施形態では、吹き出し部21aが冷却筒21の長手方向の略中央に配置されているため、吹き出し部21aから冷却筒21の内部に吹き出した冷却用気体は、冷却筒21の両側の開口部から排気される。したがって、吹き出し部21aよりも上流側の中空糸状溶融樹脂Aと冷却用気体とは向流になり、吹き出し部21aよりも下流側の中空糸状溶融樹脂Aと冷却用気体とは並流になる。
(引き取り工程)
引き取り工程では、引き取り手段30を用いて中空繊維Bを引き取る。その際の引き取り速度は、紡糸ノズル10によって形成した中空糸状溶融樹脂Aを、冷却手段20を通過している最中に細径化して、中空繊維の直径が所定値になるように調整する。通常、中空繊維の直径は10〜3000μmの間で適宜選択される。
(作用効果)
上記実施形態では、吹き出し部21aを用いることで、冷却用気体を冷却筒21の内側に均一に吹き出すことができる。また、吹き出し部21aは冷却用気体に圧力損失を与える材料により構成されており、気体導入室21c内に一時的に冷却用気体を堰き止めることができる。これにより、気体導入室21cの内部の圧力分布を小さくできるため、吹き出し部21aから吹き出す冷却用気体の風量を周方向で均一化することができる。したがって、冷却用気体によって各中空糸状溶融樹脂Aを均一に冷却できるため、中空糸状溶融樹脂Aが複数本であるにもかかわらず、得られる中空繊維Bの結晶構造を周方向で均一にできる。よって、得られた中空繊維Bを延伸して得た中空糸膜は、周方向の膜構造の均一性が高くなる。
また、本実施形態では、紡糸ノズル10に設けられた各樹脂吐出口11aで中空糸状溶融樹脂Aを1本ずつ形成すると共に、溶融樹脂計量供給手段40によって、各樹脂吐出口11aに供給する溶融樹脂の供給量を調整する。樹脂吐出口11aから吐出する溶融樹脂が中空である場合、樹脂吐出口11aからの吐出量が変化すると、直径及び厚みが変化する。そのため、4個の樹脂吐出口11aにおいて吐出量が異なっていると、中空糸状溶融樹脂Aの冷却挙動が異なるようになり、得られる中空繊維Bの非晶部と結晶部の配置が一定でなくなることがある。しかし、本実施形態では、各溶融樹脂計量供給手段40によって各樹脂吐出口11aに供給する溶融樹脂の供給量を調整することで、4個の樹脂吐出口11aの吐出量を一定化でき、4本の中空糸状溶融樹脂の直径及び厚みを一定化できる。したがって、複数本の中空繊維Bを同時に製造するにもかかわらず、得られる中空繊維Bの非晶部と結晶部の配置を一定化でき、中空繊維B同士の結晶構造の差を小さくできるため、中空糸膜の品質のバラツキを小さくできる。
「他の実施形態」
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。
例えば、本発明において、製造する中空繊維の本数は2本以上であり、上記実施形態における4本に限定されない。
また、本発明では、冷却筒は円筒状に限定されず、例えば、断面が多角形(三角形、四角形等)の筒状でもよいが、円筒状が好ましい。
また、本発明では、吹き出し部は環状に限定されないが、冷却気体を均一に吹き出す点では、環状であることが好ましい。
また、冷却筒として、図6に示すような、冷却筒21の出口側に吹き出し部21aが配置され、引き取り手段30側の開口部が狭くされて、中空糸状溶融樹脂Aと冷却用気体とが向流になるもの、図7に示すような、冷却筒21の紡糸ノズル10側に吹き出し部21aが配置され且つ冷却筒21が紡糸ノズル10に隙間なく取り付けられて、中空糸状溶融樹脂Aと冷却用気体とが並流になるものを用いることができる。
また、吹き出し部は、図2,6,7の形態のように冷却筒の長手方向の一部であってもよいが、全部であってもよい。少ない冷却用気体量で効率よく中空糸状溶融樹脂を冷却できる点では、吹き出し部は冷却筒の長手方向の一部であることが好ましい。
また、本発明では、吹き出し部が、冷却用気体に圧力損失を与えないものであっても構わない。
保護部は筒状でなくてもよく、図6に示すように、紡糸ノズル10の下面に凹部が形成され、その凹部の底に樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bが形成されることで保護部としてもよい。
また、保護部は、図7に示すように、冷却筒21の上端を樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bを有する面に接触させて、樹脂吐出口11aおよび空気吐出口11bの出口側付近を冷却筒21の壁で囲む構成であってもよい。すなわち、冷却筒21の上端側が保護部を兼ねてもよい。
また、本発明では、溶融樹脂計量供給手段を備えず、樹脂吐出口への溶融樹脂の供給量を調整しなくてもよい。
上記実施形態では、複数の紡糸ノズルを備え、1個の紡糸ノズルに1つの樹脂吐出口を有して、複数本の中空糸状溶融樹脂を形成したが、本発明では、紡糸ノズルをマニホールド状とし、1個の紡糸ノズルで複数本の中空糸状溶融樹脂を形成しても構わない。
引き取り手段は、複数本の中空繊維束を一括して引き取るものでもよい。
1 製造装置
10 紡糸ノズル
11 樹脂流路
11a 樹脂吐出口
11b 空気吐出口
12 保護部
20 冷却手段
21 冷却筒
21a 吹き出し部
21b 非吹き出し部
21c 気体導入室
30 引き取り手段
40 溶融樹脂計量供給手段
A 中空糸状溶融樹脂
B 中空繊維

Claims (9)

  1. 溶融樹脂を紡糸ノズルに設けられた樹脂吐出口から紡出して複数本の中空糸状溶融樹脂を形成する紡糸工程と、前記中空糸状溶融樹脂を冷却する冷却工程とを有し、
    前記紡糸ノズルの樹脂吐出口を有する面には、前記樹脂吐出口の出口側付近を囲って保護する筒状の保護部が設けられ、
    前記冷却工程では、長手方向の少なくとも一部に、冷却用気体を内側に均一に吹き出す吹き出し部を有している筒状の冷却筒を、中空糸状溶融樹脂毎に1本ずつ用い、各冷却筒に中空糸状溶融樹脂を走行させながら、前記吹き出し部から中空糸状溶融樹脂の外周面に冷却用気体を吹き付けて中空糸状溶融樹脂を冷却する、中空繊維の製造方法。
  2. 前記吹き出し部にて冷却用気体に圧力損失を与える、請求項1に記載の中空繊維の製造方法。
  3. 前記紡糸工程では、複数個の樹脂吐出口を用い、各樹脂吐出口で中空糸状溶融樹脂を1本ずつ形成すると共に、各樹脂吐出口に供給する溶融樹脂の供給量を調整する、請求項1または2に記載の中空繊維の製造方法。
  4. 溶融樹脂を紡出して複数本の中空糸状溶融樹脂を形成する樹脂吐出口と、前記中空糸状溶融樹脂を冷却する冷却手段と、前記樹脂吐出口の出口側付近を囲って保護する筒状の保護部とを備え、
    各冷却手段は、筒状の冷却筒を、中空糸状溶融樹脂毎に1本ずつ備え、各冷却筒は、その内側に中空糸状溶融樹脂が走行するようになっており、該冷却筒の長手方向の少なくとも一部には、冷却用気体を冷却筒の内側に均一に吹き出す環状の吹き出し部を有している、中空繊維の製造装置。
  5. 互いに隣接する冷却筒が、該冷却筒の中心同士の間隔が樹脂吐出口の口径の150〜1000%になるように配置されている、請求項4に記載の中空繊維の製造装置。
  6. 各冷却筒の内径が、樹脂吐出口の口径の110〜900%である、請求項4または5に記載の中空繊維の製造装置。
  7. 冷却筒が千鳥状に配置されている、請求項4〜6のいずれか一項に記載の中空繊維の製造装置。
  8. 前記吹き出し部が、中空糸状溶融樹脂に吹き付ける冷却用気体に圧力損失を与える部材で構成されている、請求項4〜7のいずれか一項に記載の中空繊維の製造装置。
  9. 前記樹脂吐出口を複数個備え、各樹脂吐出口で中空糸状溶融樹脂を1本ずつ形成すると共に、各樹脂吐出口の上流側に、溶融樹脂の供給量を調整する溶融樹脂計量供給手段を備える、請求項4〜8のいずれか一項に記載の中空繊維の製造装置。
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