以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態であるフラッシュバルブ(流路開閉装置)について図1に示す。図1は、本発明の実施形態であるフラッシュバルブを大便器への給水管に取り付けた状態を示す外観図である。図1に示されるように、フラッシュバルブSV(流路開閉装置)は、大便器SBへの給水管TBの途中に取り付けられている。フラッシュバルブSVは、給水を開始する指示を受けることで、給水管TBを経由する流路を開いて大便器SBに給水を開始する。その後、フラッシュバルブSVは、所定の条件(詳細は後述する)を満たすことで自律的に流路を閉じて給水を停止する。
続いて、本発明の第一実施形態であるフラッシュバルブSVの内部構造について、図2を参照しながら説明する。図2は、フラッシュバルブSVの内部構造を模式的に示す概略構成図である。
図2に示されるように、フラッシュバルブSVは、本体部10を備えている。本体部10の内部には、一次側内部流路20と、二次側内部流路30と、第一背圧室16(背圧室)と、第二背圧室14(背圧室)と、副背圧室12とが形成されている。一次側内部流路20は、給水元である一次側流路(図1に示す給水管TBのフラッシュバルブSVよりも上流側の流路)から流入水Waを受け入れて、二次側内部流路30に向けて流出させるものである。一次側内部流路20の上流端には流入口21が設けられている。流入口21は、流入水Waを受け入れて一次側内部流路20に送り出す開口部である。
二次側内部流路30は、一次側内部流路20から流入する水を給水先である二次側流路(図1に示す給水管TBのフラッシュバルブSVよりも下流側の流路)に流出水Wbとして流出させるものである。二次側内部流路30の下流端には流出口31が設けられている。流出口31は、二次側内部流路30から二次側流路へ流出水Wbを送り出す開口部である。
一次側内部流路20と二次側内部流路30との間には、一次側内部流路20と二次側内部流路30との間の流路開閉を行う主弁体42を有する弁部材40が配置されている。弁部材40は、下流側の一端が二次側内部流路30に挿入されており、その反対側の他端が第二背圧室14に臨むように配置されている。弁部材40は、二次側内部流路30の延びる方向に沿って進退自在に配置されている。
主弁体42の下流側の面は、主弁体面421である。弁部材40が最も下流側に押し込まれると、主弁体面421が一次側内部流路20の二次側内部流路30に対する境界面に当接し、一次側内部流路20と二次側内部流路30との間の水の流通を遮断するように構成されている。従って、主弁体面421が当接する境界面は、主弁座面201(主弁座)として機能している。
弁部材40の、主弁体42よりも下流側の部分には、定流量弁体44(定流量手段)が設けられている。定流量弁体44は、傾斜面441(外形面)と、弁側突起442(ガイド部、安定化手段)とを有している。弁側突起442は、二次側内部流路30の側壁に当接するように設けられている。弁側突起442は、断面略円形の二次側内部流路30の内側壁に異なる位置で当接するように、流路断面を囲むように複数設けられている。従って、弁部材40は、弁側突起442が二次側内部流路30の内側壁に当接しながら進退自在に摺動するので、傾かずに安定した摺動が可能となる。
定流量弁体44の傾斜面441は、二次側内部流路30の内側壁との間の距離を可変にすることで、二次側内部流路30の内側壁を定流量弁座とする定流量弁を構成している。
傾斜面441は、主弁体42から流出口31に向かって、二次側内部流路30の内側壁から離隔するように傾斜させて形成されている。
従って、弁部材40が、一次側内部流路20と二次側内部流路30との間に水を通すように上昇(第一背圧室16へ入り込む方向)すると、定流量弁体44の傾斜面441と二次側内部流路30の内側壁との間の最短距離が広がり、流量を増やすように作用する。弁部材40が、一次側内部流路20と二次側内部流路30との間に水を通すように上昇(第一背圧室16へ入り込む方向)し、その後下降(流出口31へ向かう方向)すると、定流量弁体44の傾斜面441と二次側内部流路30の内側壁との間の最短距離が縮まり、流量を絞るように作用する。
弁部材40の、主弁体42を挟んで定流量弁体44と反対側には収容凹部46が設けられている。収容凹部46は、第一背圧室16側から後退するように凹状に形成されている。収容凹部46の第一背圧室16側の端には、Cリング48が設けられている。Cリング48は、第一背圧室16よりも二次側内部流路30側の本体部10の内側壁に当接するように設けられている。
従って、弁部材40は、一端側では弁側突起442が二次側内部流路30の内側壁に当接し、他端側ではCリング48が本体部10の内側壁に当接している。このように、弁部材40は、一端側と他端側とで傾かないように保持されながら摺動するように構成されている。
Cリング48と主弁体42との間に対して、本体部10の内側壁から絞部161が突出するように設けられている。絞部161と収容凹部46との間には隙間が開くように形成されており、その隙間が絞流路162となっている。従って、収容凹部46と本体部10の内側壁との間の中間室18には、一次側内部流路20から絞流路162を通って速度が低減された状態で水が流れるように構成されている。
収容凹部46には、中間室18と第一背圧室16とを繋ぐための孔462が形成されている。従って、一次側内部流路20から中間室18に入った水は、孔462を通って、第一背圧室16に流れる。
第一背圧室16と第二背圧室14とは、仕切壁19によって仕切られて分離されている。仕切壁19には凹部191が設けられている。凹部191は、第二背圧室14から第一背圧室16に向けてその外壁が突出する凹部として形成されている。凹部191の第二背圧室14側には、線形特性を有するバネ70(定流量手段)が配置されている。バネ70は、一端が凹部191内に収容され、他端は副背圧室12と第二背圧室14とを仕切る壁部材60に当接するように配置されている。
凹部191の底面(最も第一背圧室16側に突出した面)は、棒状の位置制御部材50が貫通するように形成されており、凹部191の底面と位置制御部材50との間には隙間が形成され、絞部192となっている。従って、一次側内部流路20から中間室18に入った水は、孔462を通って、第一背圧室16に流れ、絞部192を通って第二背圧室14に流れる。
位置制御部材50は、バネ70の巻き線の中心を貫通するように配置されている。位置制御部材50の一端は、弁部材40における収容凹部46の底面と当接したり離隔したりするように配置され、位置制御部材50の他端は壁部材60に固定されている。
収容凹部46は、弁部材40が仕切壁19に近づくと、仕切壁19の凹部191がその内部に収容されるように構成されている。収容凹部46と凹部191との間には、空間464が形成されていて、この空間464に水が満たされることで、収容凹部46の凹部191に対する挙動が緩和され、弁部材40の挙動が安定する。
壁部材60は、下壁部材602と、Cリング604と、上壁部材606とを有している。下壁部材602は、第二背圧室14に臨む壁である。上壁部材606は、副背圧室12に臨む壁である。Cリング604は、下壁部材602と上壁部材606との間に保持されている。Cリング604は、副背圧室12と第二背圧室14との間の本体部10の内側壁に密接するように配置されている。Cリング604は、一端と他端とが固定されていないC字状の部材であって、樹脂等によって形成されているので、圧力の条件等によってはその一端と他端との間から空気などが往来可能なものである。
壁部材60は、副背圧室12と第二背圧室14との圧力差によって、副背圧室12を広げる(第二背圧室14を狭める)ように摺動したり、副背圧室12を狭める(第二背圧室14を広げる)ように摺動したりするように構成されている。この壁部材60の下壁部材602には位置制御部材50が固定されているので、壁部材60の摺動によって、位置制御部材50も移動するように構成されている。
副背圧室12には一次側内部流路20にかかる一次圧と同じ圧力がかかるように構成されている。具体的には、一次側内部流路20と副背圧室12とが副一次流路22によってつながれており、一次圧が副背圧室12に伝達されている。副一次流路22の途中には、副一次流路22の流路断面積を減少させるための絞部222(脈動抑制手段、減衰機構)が設けられている。副一次流路22は、副背圧室12の側壁に形成された孔122によって副背圧室12と繋がっている。従って、壁部材60の副背圧室12側の面は一次圧を受ける受圧面607として機能している。
第二背圧室14と二次側内部流路30とは、バイパス流路80によって繋がっている。バイパス流路80には副バルブ82が設けられている。副バルブ82が閉じられて、第一背圧室16から第二背圧室14までが水で満たされていれば、第一背圧室16及び第二背圧室14の内部には一次圧がかかっている。一方、副バルブ82が開けられると、第一背圧室16及び第二背圧室14の水がバイパス流路80から二次側内部流路30に流出し、第一背圧室16及び第二背圧室14の内部圧力が低下する。
続いて、フラッシュバルブSVの動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、図2に示すフラッシュバルブSVの吐水動作を示す図である。図3の(a)は吐水前の状態を示し、図3の(b)は副バルブ82が開いた状態を示し、図3の(c)は流量調整をしながら吐水している状態を示している。
図3の(a)に示されるように、副バルブ82が閉じられていると、第一背圧室16、第二背圧室14、及び副背圧室12には、一次側内部流路20と同じ一次圧がかかっている。弁部材40の主弁体42も一次圧によって流出口31側に押し込まれており、主弁体42が一次側内部流路20と二次側内部流路30の境界面に密着して止水されている。
続いて、図3の(b)に示されるように、副バルブ82が開かれると、まず第二背圧室14内の水が流出する。これは、第二背圧室16と第一背圧室14との間の水の流通が、絞部192を介して行われるためである。絞部192は狭い隙間であるので、バイパス流路80を水が流れる流速の方が速く、第一背圧室16内の水が送れて第二背圧室14へと流れるためである。
第二背圧室14内の水が流出すると、第二背圧室14内の圧力が低下する。第二背圧室14と副背圧室12との圧力差が生じるため、壁部材60が押し下げられる。壁部材60と位置制御部材50とは固定されているため、位置制御部材50も押し下げられる。バネ70は、壁部材60と仕切壁19との間に配置されているため、壁部材60が押し下げられるとバネ70は縮んで反力を発生させる。壁部材60及び位置制御部材50が弁部材40に近づく量は、壁部材60が一次圧によって押される力とバネ70がそれに対抗しようとする力とのバランスによって定められる。
このように壁部材60及び位置制御部材50が弁部材40側に押し下げられると、図3の(c)に示されるように、第一背圧室16内の水も流出し、弁部材40が第一背圧室16及び第二背圧室14側に押し上げられる。弁部材40の主弁体42(主弁体面421)が主弁座面201から離脱するので、一次側内部流路20から二次側内部流路30に水が流れる。この一次側内部流路20から二次側内部流路30に流れる水の流量は、定流量弁体44と二次側内部流路30との間の隙間の広さによって調整される。
この後、副バルブ82が閉じられると、絞流路162(図2参照)、孔462(図2参照)、絞部192(図2参照)を通って、第一背圧室16及び第二背圧室14内に水が溜まっていき、やがて第一背圧室16及び第二背圧室14の内部が水で満たされて一次圧がかかることで弁部材40が押し下げられて、主弁体42(主弁体面421)が主弁座面201に当接して止水される。
ところで、本実施形態のフラッシュバルブSVでは、定流量弁体44の形態を工夫することで、容易に定流量制御を行っている。定流量弁体44の形態の工夫点について、図4〜図11を参照しながら説明する。図4は、従来の流量調整弁体において、一定流量を流す際のリフト量と水圧との関係を示す図である。図5は、バネに対して水圧が掛かった場合の、リフト量(伸縮量)と水圧との関係を示す図である。図6は、図4に示す特性の流量調整弁体が開こうとする力を図5に示す特性のバネで支えた場合の、力の釣り合うポイントを説明する図である。図7は、図4に示す特性の流量調整弁体が開こうとする力を図5に示す特性のバネで支えた場合の、給水圧と流水量との関係を示す図である。図8は、本実施形態の定流量弁体において、一定流量を流す際のリフト量と水圧との関係を示す図である。図9は、図8に示す特性の定流量弁体が開こうとする力を図5に示す特性のバネで支えた場合の、力の釣り合うポイントを説明する図である。図10は、図8に示す特性の定流量弁体が開こうとする力を図5に示す特性のバネで支えた場合の、給水圧と流水量との関係を示す図である。図11は、図8に示すような特性を有する定流量弁体の一例を示す斜視図である。
比較例として用いる従来の流量調整弁体としては、止水機能を有する弁(本実施形態における主弁体42及び主弁座面201に対応する形態の弁)によって流量調整も行うものを採用している。このような止水機能を有する弁は、平板状のシート面に対して平板状の弁体を進退させるものであって、シート面と弁体とが互いに平行な状態を保ったままでその間を流れる流量を調整するものである。このような流量調整弁体を用いると、その流れる流量を40L/min,60L/min,80L/minに維持するための、リフト量と水圧との関係は図4に示すように、非線形の特性を有するものとなる。これに対して、通常の線形特性のバネを用いると、バネに水圧がかかったと仮定した場合のリフト量(伸縮量)との関係は図5に示すように、線形の特性を有するものである。
図4に示すような特性を示す従来の流量調整弁と、図5に示すような特性を示すバネとを用いて、流量調整弁が開こうとする力に対抗させてバネの力が発生するように配置すると、両者が均衡を保つポイントは、図4に示す特性と図5に示す特性とを重ね合わせて交差する点となるから、図6に示すようなものとなる。従って、給水圧が変動すると、流量が変動してしまうことになり、図7に示すように、定流量制御を行うことができない。
一方、本実施形態の定流量弁体44は、図5に示すような特性を示すバネと均衡を保つポイントが多く発生するように、図8に示すような特性を示すものとしている。図8の(a)に示すのは、定流量弁体44を用いた場合の、流れる流量を40L/min,60L/min,80L/minに維持するための、リフト量と水圧との関係を示したものである。図8の(a)に示されるように、リフト量と水圧との関係は、各流量において線形の特性を有するものである。この特性をリフト量と瞬間流量との関係に変換すると、図8の(b)に示されるように、リフト量が増えると瞬間流量が二次曲線的に増加する非線形の関係となる。
図8に示すような定流量弁体44と、図5に示すような特性を示すバネとを用いて、図2及び図3を参照しながら説明したように、定流量弁体44が開こうとする力に対抗させてバネの力が発生するように配置すると、例えば、流量が60L/minの場合に、両者がほぼ重なるような特性となる。このように流したい流量の特性にあった線形特性を有するバネを用いると、図10に示すように、給水圧が変動しても流量が変動しない定流量制御が可能となる。
具体的に、定流量弁体44としてどのような形態をとり得るかの一例を図11に示す。図11に示されるように、定流量弁体44の傾斜面441(外形面)が、下流側(図中下方)に行くに従ってその周囲に配置される定流量弁座としての二次側内部流路30の内壁からの離隔量が大きくなるような形状としている。このような形状とすれば、定流量弁体44のリフト量(図中上下方向の移動量)に対して、開口する面積は非線形に変化し、リフト量とその隙間を流れる瞬間流量との関係は、図8の(b)に例示したようなものとすることができる。従って、換言すれば図8の(a)に示すような特性を有するものとすることができる。
本実施形態に掛かるフラッシュバルブSVでは、バイパス流路80を第二背圧室14と二次側内部流路30とを繋ぐものとしている。このように第二背圧室14と二次側内部流路30とを繋ぐことで、上述したように先に第二背圧室14内の水が排出され、位置制御部材50が一次圧に応じた位置まで降下し、弁部材40の急激な挙動を抑制している。このように構成することで、図12に示されるように、吐水開始時刻t1から時刻t1aまで吐水流量が増加し、時刻t2まで定流量の吐水がなされた後、時刻t2から吐水終了時刻t2aまで徐々に吐水流量が減って止水される。
これに対して、比較のためバイパス流路80を第一背圧室16と二次側内部流路30とを繋げた例を図13に示す。このように繋げてしまうと、上述したように背圧室を第一背圧室16と第二背圧室14とに区切って、緩衝効果を奏するようにした工夫の効果がなくなる。図13に示されるように、吐水開始時刻t1から時刻t1bまで吐水流量が急激に増加してオーバーシュートした後に減少し、時刻t2まで定流量の吐水がなされた後、時刻t2から吐水終了時刻t2bまで徐々に吐水流量が減って止水される。
上述した本実施形態のフラッシュバルブSVは、給水元である一次側流路から流入水Waを受け入れて一次側内部流路20に送り出す流入口21と、二次側内部流路30から給水先である二次側流路へ流出水Wbを送り出す流出口31とが形成された本体部10を備えている。本体部10の内部には、一次側内部流路20と二次側内部流路30との間の流路開閉を行う主弁体42(主弁体面421)及び主弁座面201(主弁座)と、バネ70(定流量手段)と、位置制御部材50とが配置され、それらによって主バルブが構成されている。更にフラッシュバルブSVは、主バルブとして機能する領域を介さずに一次側内部流路20と二次側内部流路30とを連通するバイパス流路80と、バイパス流路80の流路開閉を行う副バルブ82とを備えている。
更にフラッシュバルブSVは、副バルブ82が開かれることで主弁体42の背圧が低下し主バルブが開かれ、一次側内部流路20から二次側内部流路30へと水が流れた後に副バルブ82が閉じられると、主弁体42の背圧が一次側内部流路20内の一次圧と均衡するように上昇するまで主バルブを開放状態に維持し、主バルブが閉じられることを遅延させるように構成されている。このように主バルブが閉じられることを遅延させるための遅延手段として、絞部161、絞流路162、孔462、絞部192が設けられている。
主バルブとしては、一次側内部流路20から二次側内部流路30へ流れる主流量を一定に保つように作動する定流量手段を組み込んでいる。その定流量手段として機能するのは、定流量弁体44及び定流量弁座としての二次側内部流路30の内側壁であって、定流量弁体44と定流量弁座としての二次側内部流路30の内側壁との距離を調整するように作動するバネ70や位置制御部材50や壁部材60も含まれる。そして、主弁体42と定流量弁体44とが一体化された弁部材40として形成されている。
本実施形態に係るフラッシュバルブSVによれば、主バルブとして機能する部分に定流量弁体44及び定流量弁座として機能する二次側内部流路30の内側壁を組み込んでおり、定流量弁体44と定流量弁座との距離を調整することで、一次側内部流路20から二次側内部流路30へ流れる主流量を一定に保つように構成している。主弁体42と定流量弁体44とが一体化された弁部材40として形成されているので、上述したように弁部材40を駆動すると主弁体42及び定流量弁体44が一体的に移動する。このように、主弁体42を駆動することで同時に流量調整を行うことができるので、一次圧と二次圧との差圧を大きく取ることができ、主弁体42の開閉動作を機敏に行うことができる。従って、給水を開始及び停止するための主バルブの開閉を機敏に行うことができ、小型化も図ることができる。
本実施形態のフラッシュバルブSVにおいては、主弁体42は定流量弁体44よりも流入口21側に配置され、定流量弁体44が流量を減じる方向に弁部材40が駆動されると、主弁体42も流量を絞る方向に動くように構成されている。
このフラッシュバルブSVは、大便器のように瞬間流量が比較的大きい水の供給が求められるものに給水するように構成されている。そのような大流量の水が一次側内部流路20から二次側内部流路30へ流れる状況では、定流量弁体44と定流量弁座として機能する二次側内部流路30の内側壁との距離を微妙に調整することが極めて困難なものとなる。そこで、主弁体42を定流量弁体44よりも流入口21側に配置することで、主弁体42及び主弁座面201を通った水が定流量弁体44に供給されるように構成することで、定流量弁体44への水圧変動の影響を抑制することができる。更に、定流量弁体44が流量を減じる方向に弁部材40が駆動されると、主弁体42も流量を絞る方向に動くように構成されているので、一次側内部流路20から定流量弁体44に至る流路を一段絞ることができ、定流量弁体44への水圧変動の影響を容易且つ効果的に低減させることができる。
本実施形態のフラッシュバルブSVにおいては、主弁体42に一次側内部流路20内の一次圧によって加わる力と均衡する力が加わるようにバネ70が配置されている。具体的には、主弁体42を含む弁部材40に位置制御部材50が当接するので、位置制御部材50と固定されている壁部材60の受圧面607に加わる力と均衡する力を加えるように、バネ70が配置されている。このバネ70の作用によって主弁体42の主弁座面201に対する開度が、一次圧に応じて調整されるものである。
バネ70は、加わる荷重と変位との関係を示す特性が線形特性(図5参照)となるものとして構成される一方で、定流量弁体44は、弁部材40の位置の変位と主流量との関係を示す特性が非線形特性(図8の(b)参照)となるようにその外形が形成されている(図11参照)。
一般に、弁座と弁体とが平面で接触する弁で流量調整を行うと、弁座と弁体との距離と水圧との関係は、距離が増えるほど水圧の減少度合いが大きい非線形の関係を示す(図4参照)。一方で、この好ましい態様のように、加わる荷重と変位とが線形特性を示すバネを用いると、構成は簡単であるものの、弁の特性が非線形特性であるため、力が均衡するポイントが少なく、主流量が変動する(図6及び図7参照)。そこでこの好ましい態様では、定流量弁体44の外形を工夫し、弁部材40の位置の変位と主流量との関係を示す特性が非線形特性となり、結果として定流量弁体44と定流量弁座との距離と水圧との関係が線形特性(図8の(a)参照)となるようにすることで、線形特性のバネを用いても、主流量が変動しないように構成している。
本実施形態においては弁部材40が樹脂材料を金型によって成型することで構成され、少なくとも定流量弁体44が、樹脂材料を金型によって成型することで形成されることが好ましいものである。樹脂成型によって構成することで、上述した特性を満たす外形を構成するように、容易に定流量弁体44を形成することができる。
本実施形態のフラッシュバルブSVにおいては、バネ70は、位置制御部材50が弁部材40の可動量を狭める方向に移動すると反発力が強まるように構成されており、主弁体42と主弁座面201とが当接して一次側内部流路20と二次側内部流路30との間の流路を閉じる際に、弁部材40と位置制御部材50とが離隔するように配置されている。
主バルブの一部として、弁部材40の可動量を調整するように弁部材40の摺動方向に沿って移動する位置制御部材50と、この位置制御部材50と一次圧とを均衡させて位置制御部材50の位置を調整するバネ70と、を有しているので、バネ70を用いた簡単な構成で位置制御部材50の位置を調整し弁部材40の可動量を調整して定流量化を図ることができる。本実施形態では、バネ70が、位置制御部材50が弁部材40の可動量を狭める方向に移動すると反発力が強まるように構成されているので、一次圧が低い場合にも確実に止水するため、弁部材40と位置制御部材50とが止水時に離隔するように配置している。このように、主弁体42と主弁座面201とが当接して一次側内部流路20と二次側内部流路30との間の流路を閉じて止水する際に、弁部材40と位置制御部材50とが離隔するように配置することで、バネ70と位置制御部材50とによる簡単な構成での定流量化と止水時の確実な動作を両立させることができる。
本実施形態のフラッシュバルブSVは、遅延手段としては、副バルブ82が閉じられている間は一次側内部流路20から二次側内部流路30へ流れる水が通過せず、一次側内部流路20から流入する水が溜められて一次圧が主弁体42を主弁座面201側に押す方向に作用するように形成された背圧室としての第一背圧室16及び第二背圧室14を有するものである。バイパス流路80は、第二背圧室14と二次側内部流路30とを連通するものである。背圧室としては、一次側内部流路側20であって弁部材40に背圧をかける第一背圧室16と、バイパス流路80側の第二背圧室14とに仕切壁19によって分離されている。副バルブ82が開かれると、第二背圧室14内に溜められた水が優先的にバイパス流路80に流出するように構成されている。
背圧室としての第一背圧室16及び第二背圧室14を挟んで弁部材40とは反対側に、一次側内部流路20と連通された副背圧室12が設けられ、副背圧室12と第二背圧室14とを仕切る壁部材60が弁部材40の摺動方向に沿って摺動可能であって、壁部材60と位置制御部材50が繋がれて一体的に摺動するように構成されている。
このように、バイパス流路80が、第二背圧室14と二次側内部流路30とを連通するものであるから、副バルブ82が開かれると、第二背圧室14内の水が抜かれて第一背圧室16及び第二背圧室14内の内圧が低下し、主弁体42が主弁座面201から離れて二次側内部流路30へ水が流れる。副バルブ82が閉じられると、一次側内部流路20から流入する水が溜められて一次圧が主弁体42を主弁座面201側に押す方向に作用するので、確実に止水することができる。
更に本実施形態では、一次圧が掛かる副背圧室12を設け、その一次圧によって副背圧室12と第二背圧室14とを仕切る壁部材60及び位置制御部材50を弁部材40側に押し込むように構成している。従って、副バルブ82が開かれて第二背圧室14内の圧力が低下すると、壁部材60は弁部材40側に押し込まれて弁部材40の急激な挙動を規制し、より安定した流量制御が可能なものとなっている。
更に、副バルブ82が開かれて背圧室内の圧力が低下する際に、バイパス流路80側の第二背圧室14から優先的に水が流れ出して圧力が低下し、弁部材40に背圧をかける側である第一背圧室16の圧力低下が遅延するように構成している。従って、壁部材60及び位置制御部材50が弁部材40側に先に押し込まれ、その後、主弁体42が主弁座面201から離脱するように弁部材40が位置制御部材50側に押し込まれる。このような動きとすることで、オーバーシュートを起こすような弁部材40の急激な挙動を確実に規制することができ、より安定した流量制御が可能なものとなっている。
本実施形態では、第一背圧室16と第二背圧室14との間に、第一背圧室16から第二背圧室14への水の流れを規制するように流路が絞られた絞部192が設けられている。
このように、第一背圧室16から第二背圧室14への水の流れを規制するように流路が絞られた絞部192を設けているので、簡単な構成で第一背圧室16から第二背圧室14への水の流れを緩慢にすることができ、確実に第二背圧室14から優先的に水を流出させることができる。
本実施形態では、バネ70は、仕切壁19と壁部材60との間の第二背圧室14内に配置され、壁部材60及び位置制御部材50が弁部材40側に押し込まれると反発力が強まるように構成されている。このように、バネ70を第二背圧室14に配置すると共に、仕切壁19と壁部材60との間に配置しているので、壁部材60及び位置制御部材50が弁部材40側に押し込まれるとそれを押し返す力を作用させるように構成している。更に、バネ70を副背圧室12ではなく第二背圧室14に配置することで、水が淀まず空気溜が定常的に発生することのない領域にバネ70を配置することができるので、バネ70の腐食といった劣化を確実に抑制することができる。
本実施形態では、壁部材60と副背圧室12の内壁面との間に、壁部材60と内壁面とが接する領域を封止しつつ一部において空気が通過可能なように構成された封止部材としてのCリングを配置している。
副背圧室12は、一次側内部流路20と連通され一次圧が常にかかっているように構成されているので、その内部の水が入れ替わり難く、空気が入り込むと外部に排出されずに空気溜ができる。この空気溜を放置すると、壁部材60及び位置制御部材50を押し込んでバネ70の反力を均衡させる特性が変化したり、副背圧室12の内壁面や封止部材が劣化したりすることで、位置制御部材50の挙動に変化が生じてしまい、結果として定流量制御の精度が低下するおそれがある。そこで、壁部材60と副背圧室12の内壁面とが接する領域を封止しつつ一部において空気が通過可能なように構成されたCリングを配置することで、副背圧室12内の一次圧を確保しつつ空気を逃がすことができ、空気溜の発生を抑制することができる。
本実施形態では、仕切壁19にはバネ70を収容する凹部191が弁部材40側に突出するように形成され、弁部材40にはその突出する凹部191が入り込むことができる収容凹部46が形成されている。このように構成することで、バネ70の長さを十分に確保しても、弁部材40が仕切壁19と干渉せずに摺動することができる。バネ70の長さを十分に確保することで、流路内に圧力変動が生じてもそれに過敏に反応することがなく、定流量制御の精度を高めることができる。
本実施形態では、凹部191が弁部材40側に突出した部分と弁部材40との間に、一次側内部流路20から水が流入する空間464が形成されている。このように、凹部191が弁部材40側に突出した部分と弁部材40との間に、一次側内部流路20から水が流入する空間を形成しているので、弁部材40の振動を低減させ、弁部材40の挙動を安定化させることができる。
本実施形態では、一次圧の脈動による弁部材40の脈動を抑制する脈動抑制手段として、絞部222やCリングが設けられている。このように、一次圧の脈動による弁部材40の脈動(ハンチング)を抑制する脈動抑制手段が設けられていることで、比較的大流量の水を流す場合であっても弁部材40が安定して所定の位置に存在し続けることができるので、定流量弁体44と定流量弁座との距離もそのような一次圧の脈動の影響を受けることがなく、流量の脈動を抑制することができる。
本実施形態では、弁部材40は、位置制御部材50を介して実質的に一次圧を受ける受圧面607を有し、この受圧面607が受ける圧力に応じて進退自在に構成されており、脈動抑制手段として、一次側内部流路20から受圧面607に至る間に、一次圧の脈動を減衰するように流路断面積が絞られた減衰機構としての絞部222が設けられている。
このように、弁部材40が一次側内部流路20内の一次圧を受ける受圧面607を実質的に有するに等しい構成とすると共に、その受圧面607が受ける圧力に応じて進退自在に構成されているので、この受圧面607が受ける圧力を制御することで、弁部材40を所定の位置に確実に存在させ続けることができる。一次側内部流路20から受圧面607に至る間に、一次圧の脈動を減衰するように流路断面積が絞られた減衰機構としての絞部222が設けられているので、流路を絞るという簡単な構成で受圧面607が受ける圧力変動の影響を最小限のものに抑制することができる。
本実施形態では、一次側内部流路20から弁部材40に流入する水は、弁部材40の進退方向と直交するように導入されると共に、受圧面607はその進退方向に正対するように形成されている。このように、一次側内部流路20から弁部材40に流入する水を、弁部材40の進退方向と直交するように導入し、受圧面607はその進退方向に正対するように形成されているので、一次圧の変動の影響を受圧面607で受けにくくすることができる。
本実施形態では、弁部材40は、一次圧を受ける受圧面607を実質的に有するのと同等の構成となし、この受圧面607が受ける圧力に応じて進退自在に構成されており、脈動抑制手段として、弁部材40の動きが一次圧の脈動から受ける影響を低減するものであって、弁部材40の動きを緩慢にするように本体部内壁との間に介在する緩慢部材としての、Cリングが設けられている。
このように、脈動抑制手段として、弁部材40の動きが一次圧の脈動から受ける影響を低減するものであって、弁部材40の動きを緩慢にするように本体部内壁との間に介在する緩慢部材としてCリングが設けられている。従って、Cリングやゴムリングといった摩擦を増加させるような緩慢部材を配置するという簡単な構成で、弁部材40が受ける圧力変動の影響を最小限のものに抑制することができる。
本実施形態において弁部材40は、主弁座面201に主弁体42(主弁体面421)を当接させたり引き離したりするように摺動するものであって、その摺動の際に周囲を囲む本体部10の内壁に擦れてしまうことで円滑な摺動が阻害されないように、弁部材40の傾きを抑制する安定化手段として、弁側突起442やCリング48が設けられている。
このように、弁部材40の傾きを抑制する安定化手段が設けられていることで、比較的大流量の水を流す場合であっても弁部材40が安定して摺動することができる。従って、摺動の際に周囲を囲む本体部10の内壁に擦れてしまうことで弁部材40の円滑な摺動が阻害されことがなく、安定した定流量制御を行うことができる。
本実施形態では安定化手段として、弁部材40の一部である弁側突起442やCリング48がガイド部として本体部10の一部と接触し、この接触によって弁部材40が傾かずに摺動できるものとしている。このように、弁部材40の一部をガイド部として構成するという簡単な構成で、弁部材40が傾かずに安定して摺動することができ、安定した定流量制御を行うことができる。
本実施形態では安定化手段として、弁部材40の一部である弁側突起442がガイド部として一次側内部流路20及び二次側内部流路30の一部である二次側内部流路30と接触し、この接触によって弁部材40が傾かずに摺動できるものとしている。
一次側内部流路20及び二次側内部流路30を流れる水は、大流量になると弁部材40を傾けるように作用する。そこで、その傾けようとする力を最も受ける流路内部においてガイド部を形成することで、確実に弁部材40を傾かせずに摺動させることができるものとしている。
本実施形態ではガイド部として、弁部材40の最も下流側に相当する一端部に弁側突起442を設けている。一次側内部流路20及び二次側内部流路30を流れる水は、大流量になると弁部材40を傾けるように作用し、その作用する力は下流側ほど大きくなる。そこで、弁部材40の最も下流側に相当する一端部にガイド部として弁側突起442を設けることで、弁側突起442を短く形成しても十分なガイド効果を発揮するようにしている。
本実施形態では、弁部材40の一端部とは反対側の他端部にも、Cリング48を設けることでガイド部を形成している。このように弁部材40の一端側と他端側とにそれぞれガイド部を設けるので、弁部材40の傾きを一端側と他端側とで抑制することができ、より確実に弁部材40の傾きを抑制することができる。
本実施形態では、弁部材40と一体的に形成される弁側突起442を形成することで、別体として構成される場合よりも部材同士の寸法誤差や組立誤差に起因する弁部材40の傾きを、簡単な構成で抑制することができる。
上述した本実施形態では、主弁体42に隣接させて定流量弁体44を構成し、弁部材40とすることで、主弁体42と定流量弁体44とが一体的に動くように構成している。従って、定流量弁体44は主弁体42から十分な距離をおいた下流に配置されているものではなく、実質的には同じ位置から上流側にかけて配置されているものと同様の効果を奏するものといえる。そこで、図14に示すような変形例も好ましい態様として取り得るものと考えられる。図14は、図2に示すフラッシュバルブSVの第一変形例であるフラッシュバルブSVaを示した図である。フラッシュバルブSVaは、定流量弁44aを別体として上流側に取り付けたものである。
本体となる流路開閉機構部分は、本体部10aの内部に、一次側内部流路20aと二次側内部流路30aとが形成されている。一次側内部流路20aと二次側内部流路30aとの間の流路を開閉するように、主弁体42aを有する弁部材40aが配置されている。弁部材40aを挟んで、一次側内部流路20a及び二次側内部流路30aとは反対側に背圧室14aが形成されている。背圧室14aと二次側内部流路30aとは、バイパス流路80aによって繋がっている。バイパス流路80aには、副バルブ82aが設けられている。
副バルブ82aを開くと、背圧室14aの水が流れ出て内圧が下がり、弁部材40aが持ち上げられ、一次側内部流路20aから二次側内部流路30aへと水が流れる。一次側内部流路20aに供給される水は、定流量弁44aによって定流量のものが供給されるので、図15に示すような定流量制御が可能となる。図15は、図14に示すフラッシュバルブSVaの吐水特性を示す図である。
図15に示されるように、吐水開始時刻t1から時刻t1cまで吐水流量が増加し、時刻t2まで定流量の吐水がなされた後、時刻t2から吐水終了時刻t2cまで徐々に吐水流量が減って止水される。図12に示した図と比較すると、フラッシュバルブSVよりもフラッシュバルブSVaの方が、定流量に至るまでの時間が長くかかっていることがわかる。
フラッシュバルブSVaは、主バルブとして機能する本体部10aに対して上流側に定流量弁44aと配置し、下流側に配置するデメリットを解消しているものである。比較のため、下流側に定流量弁44aと配置した場合の吐水特性を図16に示す。
図16に示されるように、吐水開始時刻t1から時刻t1dまで吐水流量が急激に増加したり急激に減少したりして安定せず、安定した後は時刻t2まで定流量の吐水がなされた後、時刻t2から吐水終了時刻t2dまで徐々に吐水流量が減って止水される。このように定流量弁44aを下流側に配置すると、吐水初期に空気を巻き込んで吐水が安定せず大きな音もするものである。
従ってこの変形例によれば、定流量手段としての定流量弁44aを、主弁体42a及び主弁座が配置された位置から上流側にかけて配置しているので、主弁体42aを主弁座に当接させて止水しても、その部分から定流量弁44aに至る間に空気が溜まることがない。従って、給水を開始する場合であっても、空気を巻き込んだ大きな音が発生することを防止することができる。更に、空気を巻き込まずに給水の開始と定流量調整の開始とを行うことができるので、円滑に狙いの流量の水を確実に給水することができる。
続いて、図2に示すフラッシュバルブSVを実際に構成する際の一例としてのフラッシュバルブSVbについて、図17を参照しながら説明する。図17は、図2に示すフラッシュバルブSVを実際に構成する際の一例であるフラッシュバルブSVbを示す構成図である。
図17に示されるように、フラッシュバルブSVbは、本体部10bを備えている。本体部10bの内部には、一次側内部流路20bと、二次側内部流路30bと、第一背圧室16b(背圧室)と、第二背圧室14b(背圧室)と、副背圧室12bとが形成されている。一次側内部流路20bは、給水元である一次側流路から流入水Waを受け入れて、二次側内部流路30bに向けて流出させるものである。一次側内部流路20bの上流端には流入口21bが設けられている。流入口21bは、流入水Waを受け入れて一次側内部流路20bに送り出す開口部である。
二次側内部流路30bは、一次側内部流路20bから流入する水を給水先である二次側流路に流出水Wbとして流出させるものである。二次側内部流路30bの下流端には流出口31bが設けられている。流出口31bは、二次側内部流路30bから二次側流路へ流出水Wbを送り出す開口部である。
一次側内部流路20bと二次側内部流路30bとの間には、一次側内部流路20bと二次側内部流路30bとの間の流路開閉を行う主弁体42bを有する弁部材40bが配置されている。弁部材40bは、下流側の一端が二次側内部流路30bに挿入されており、その反対側の他端が第二背圧室14bに臨むように配置されている。弁部材40bは、二次側内部流路30bの延びる方向に沿って進退自在に配置されている。弁部材40bの、主弁体42bよりも下流側の部分には、定流量弁体44b(定流量手段)が設けられている。
弁部材40bの、主弁体42bを挟んで定流量弁体44bと反対側には収容凹部46bが設けられている。収容凹部46bは、第一背圧室16b側から後退するように凹状に形成されている。収容凹部46bの第一背圧室16b側の端には、Uパッキン48bが設けられている。Uパッキン48bは、第一背圧室16bよりも二次側内部流路30b側の本体部10bの内側壁に当接するように設けられている。
Uパッキン48bと主弁体42bとの間に対して、水が入るように隙間が形成され、その隙間が絞流路162bとなっている。従って、収容凹部46bと本体部10bの内側壁との間には、一次側内部流路20bから絞流路162bを通って速度が低減された状態で水が流れるように構成されている。
収容凹部46bには、一次側内部流路20bと第一背圧室16bとを繋ぐための孔462bが形成されている。従って、一次側内部流路20bから孔462bを通って、第一背圧室16bに流れる。
第一背圧室16bと第二背圧室14bとは、仕切壁19bによって仕切られて分離されている。仕切壁19bには凹部191bが設けられている。凹部191bは、第二背圧室14bから第一背圧室16bに向けてその外壁が突出する凹部として形成されている。凹部191bの第二背圧室14b側には、線形特性を有するバネ70b(定流量手段)が配置されている。バネ70bは、一端が凹部191b内に収容され、他端は副背圧室12bと第二背圧室14bとを仕切る壁部材60bに当接するように配置されている。
凹部191bの底面は、棒状の位置制御部材50bが貫通するように形成されており、凹部191bの底面と位置制御部材50bとの間には隙間が形成され、絞部192bとなっている。従って、一次側内部流路20bから入った水は、孔462bを通って、第一背圧室16bに流れ、絞部192bを通って第二背圧室14bに流れる。
位置制御部材50bは、バネ70bの巻き線の中心を貫通するように配置されている。位置制御部材50bの一端は、弁部材40bにおける収容凹部46bの底面と当接したり離隔したりするように配置され、位置制御部材50bの他端は壁部材60bに固定されている。
収容凹部46bは、弁部材40bが仕切壁19bに近づくと、仕切壁19bの凹部191bがその内部に収容されるように構成されている。収容凹部46bと凹部191bとの間には、空間464bが形成されていて、この空間464bに水が満たされることで、収容凹部46bの凹部191bに対する挙動が緩和され、弁部材40bの挙動が安定する。
壁部材60bは、下壁部材602bと、Uパッキン604bと、上壁部材606bとを有している。下壁部材602bは、第二背圧室14bに臨む壁である。上壁部材606bは、副背圧室12bに臨む壁である。Uパッキン604bは、下壁部材602bと上壁部材606bとの間に保持されている。Uパッキン604bは、副背圧室12bと第二背圧室14bとの間の本体部10bの内側壁に密接するように配置されている。
壁部材60bは、副背圧室12bと第二背圧室14bとの圧力差によって、副背圧室12bを広げる(第二背圧室14bを狭める)ように摺動したり、副背圧室12bを狭める(第二背圧室14bを広げる)ように摺動したりするように構成されている。この壁部材60bの下壁部材602bには位置制御部材50bが固定されているので、壁部材60bの摺動によって、位置制御部材50bも移動するように構成されている。
副背圧室12bには一次側内部流路20bにかかる一次圧と同じ圧力がかかるように構成されている。具体的には、一次側内部流路20bと副背圧室12bとが副一次流路22bによってつながれており、一次圧が副背圧室12bに伝達されている。副一次流路22bの副背圧室12b側には、副背圧室12bを取り囲むように形成された円環流路224bが形成されている。円環流路224bと副背圧室12bとは、複数の連通孔122bによって繋がれている。複数の連通孔122bは、弁部材40bの摺動方向を囲む副背圧室12bの外周回りに均等に形成されている。このように、副背圧室12bに一次圧を掛けるための副一次流路22bから水が流れ込む連通孔122bを、弁部材40bの摺動方向を囲む外周周りに均等に複数形成しているので、弁部材40bの動きを規制するための壁部材60bの挙動も安定したものとすることができ、弁部材40bの摺動がより安定したものとなる。
第二背圧室14bと二次側内部流路30bとは、バイパス流路80bによって繋がっている。バイパス流路80bの第二背圧室14b側には、第二背圧室を取り囲むように形成された拡径部802bが形成されている。拡径部802bと第二背圧室14bとは、複数の連通孔142bによって繋がれている。この状態を説明するため、図18にA−A断面を示す。図18に示されるように、4つの連通孔142bは、弁部材40bの摺動方向を囲む第二背圧室14bの外周回りに均等に形成されている。
このようにフラッシュバルブSVbでは、バイパス流路80bの第二背圧室14b側に、バイパス流路80b上の副バルブが開かれた場合のバイパス流路80bからの水の流出速度を低減させるために流路断面積を広げた拡径部802bが設けられている。
バイパス流路80bは、第二背圧室14bと二次側内部流路30bとを連通するものであるから、バイパス流路80b上の副バルブが開かれると、第二背圧室14b及び第一背圧室16b内の水が抜かれて第二背圧室14b及び第一背圧室16b内の内圧が低下し、主弁体42bが主弁座から離れて二次側内部流路30bへ水が流れる。この場合において、バイパス流路80b上の副バルブが開かれてバイパス流路80bからの水の流出速度が高く、第二背圧室14b及び第一背圧室16b内の水が一気に抜かれてしまうと、主弁体42bの挙動が不安定なものとなってしまう。そこで、バイパス流路80bからの水の流出速度を低減させるために流路断面積を広げた拡径部802bを設けることで、主弁体42bの挙動を安定させると共に主弁体42bと一体的に形成された定流量弁体44bの挙動も安定させることができる。
フラッシュバルブSVbでは、拡径部802bと第二背圧室14bとは、拡径部802bの流路断面積よりも狭い開口面積の連通孔142bによって連通されており、連通孔142bは、弁部材40bの摺動方向を囲む外周周りに均等に複数形成されている。
このように構成することで、第二背圧室14bからバイパス流路80bへと流れ出る水が弁部材40bの摺動方向を囲んで均等になるように構成されている。したがって、第二背圧室14bからバイパス流路80bへと流れ出る水による弁部材40bへの影響が偏ることがなく、弁部材40bの摺動がより安定したものとなる。
フラッシュバルブSVbでは、連通孔142bは、第二背圧室14bの弁部材40bの摺動方向に直交する壁面である凹部19bの平坦面193bに近接させて形成されている。
このように、拡径部802bと第二背圧室14bとを繋ぐ孔を、第二背圧室14bにおける弁部材40bの摺動方向に直交する壁面である凹部19bの平坦面193bに近接させて形成しているので、連通孔142bから水が流出する際の水の流れがその平坦面193bに沿ったものとなる。従って、平坦面193bの整流作用によって、弁部材40bの摺動に与える影響を低減することができ、弁部材40bの摺動がより安定したものとなる。
続いて、本発明の第二実施形態であるフラッシュバルブSVcについて図19を参照しながら説明する。図19は、本発明の第二実施形態であるフラッシュバルブSVcの内部構造を模式的に示す概略構成図である。
図19に示されるように、フラッシュバルブSVcは、本体部10cを備えている。本体部10cの内部には、一次側内部流路20cと、二次側内部流路30cと、背圧室14cとが形成されている。一次側内部流路20cは、給水元である一次側流路から流入水Waを受け入れて、二次側内部流路30cに向けて流出させるものである。一次側内部流路20cの上流端には流入口21cが設けられている。流入口21cは、流入水Waを受け入れて一次側内部流路20cに送り出す開口部である。
二次側内部流路30cは、一次側内部流路20cから流入する水を給水先である二次側流路に流出水Wbとして流出させるものである。二次側内部流路30cの下流端には流出口31cが設けられている。流出口31cは、二次側内部流路30cから二次側流路へ流出水Wbを送り出す開口部である。
一次側内部流路20cと二次側内部流路30cとの間には、一次側内部流路20cと二次側内部流路30cとの間の流路開閉を行う主弁体42cを有する弁部材40cが配置されている。弁部材40cは、下流側の一端が二次側内部流路30cに挿入されており、その反対側の他端が背圧室14cに臨むように配置されている。弁部材40cは、二次側内部流路30cの延びる方向に沿って進退自在に配置されている。
主弁体42cの下流側の面は、主弁体面421cである。弁部材40cが最も下流側に押し込まれると、主弁体面421cが一次側内部流路20cの二次側内部流路30cに対する境界面に当接し、一次側内部流路20cと二次側内部流路30cとの間の水の流通を遮断するように構成されている。従って、主弁体面421cが当接する境界面は、主弁座面201c(主弁座)として機能している。
弁部材40cの、主弁体42cよりも下流側の部分には、定流量弁体44c(定流量手段)が設けられている。定流量弁体44cは、傾斜面441c(外形面)と、当接部442c(ガイド部、安定化手段)とを有している。当接部442cは、二次側内部流路30cの側壁に形成された流路側突起302c(ガイド部、安定化手段)に当接するように設けられている。流路側突起302cは、当接部442cに異なる位置で当接するように、流路断面を囲むように複数設けられている。従って、弁部材40cは、当接部442cが流路側突起302cに当接しながら進退自在に摺動するので、傾かずに安定した摺動が可能となる。
定流量弁体44cの傾斜面441cは、二次側内部流路30cの内側壁との間の距離を可変にすることで、二次側内部流路30cの内側壁を定流量弁座とする定流量弁を構成している。傾斜面441cは、主弁体42cから流出口31cに向かって、二次側内部流路30cの内側壁に近接するように傾斜させて形成されている。
従って、弁部材40cが、一次側内部流路20cと二次側内部流路30cとの間に水を通すように上昇(背圧室14cへ入り込む方向)すると、定流量弁体44cの傾斜面441cと二次側内部流路30cの内側壁との間の最短距離が縮まり、流量を減らすように作用する。弁部材40cが、一次側内部流路20cと二次側内部流路30cとの間に水を通すように上昇(背圧室14cへ入り込む方向)し、その後下降(流出口31cへ向かう方向)すると、定流量弁体44cの傾斜面441cと二次側内部流路30cの内側壁との間の最短距離が広がり、流量を増やすように作用する。
弁部材40cの、主弁体42cを挟んで定流量弁体44cと反対側には収容凹部46cが設けられている。収容凹部46cは、背圧室14c側から後退するように凹状に形成されている。収容凹部46cの背圧室14c側の端には、Uパッキン48cが設けられている。Uパッキン48cは、背圧室14cよりも二次側内部流路30c側の本体部10cの内側壁に当接するように設けられている。
従って、弁部材40cは、一端側では当接部442cが流路側突起302cに当接し、他端側ではUパッキン48cが本体部10cの内側壁に当接している。このように、弁部材40cは、一端側と他端側とで傾かないように保持されながら摺動するように構成されている。
Uパッキン48cと主弁体42cとの間に対して、本体部10cの内側壁から絞部161cが突出するように設けられている。絞部161cと収容凹部46cとの間には隙間が開くように形成されており、その隙間が絞流路162cとなっている。従って、収容凹部46cと本体部10cの内側壁との間の中間室18cには、一次側内部流路20cから絞流路162cを通って速度が低減された状態で水が流れるように構成されている。
収容凹部46cには、中間室18cと背圧室14cとを繋ぐための孔462cが形成されている。従って、一次側内部流路20cから中間室18cに入った水は、孔462cを通って、背圧室14cに流れる。
背圧室14cの上壁面と収容凹部46cとの間に、線形特性を有するバネ70c(定流量手段)が配置されている。バネ70cは、一端が収容凹部46c内に収容され、他端は背圧室14cの上壁面に当接するように配置されている。
本実施形態の場合、主弁体面421cに一次圧がかかり、それに対抗するようにバネ70cが配置されているので、主弁体面421cは受圧面としても機能している。
背圧室14cと二次側内部流路30cとは、バイパス流路80cによって繋がっている。バイパス流路80cには副バルブ82cが設けられている。副バルブ82cが閉じられて、背圧室14cが水で満たされていれば、背圧室14cの内部には一次圧がかかっている。一方、副バルブ82cが開けられると、背圧室14cの水がバイパス流路80cから二次側内部流路30cに流出し、背圧室14cの内部圧力が低下する。
続いて、フラッシュバルブSVcの動作について、図20を参照しながら説明する。図20は、図19に示すフラッシュバルブSVcの吐水動作を示す図である。図20の(a)は吐水前の状態を示し、図20の(b)は副バルブ82cが開いた状態を示し、図20の(c)は流量調整をしながら吐水している状態を示している。
図20の(a)に示されるように、副バルブ82cが閉じられていると、背圧室14cには、一次側内部流路20cと同じ一次圧がかかっている。弁部材40cの主弁体42cも一次圧によって流出口31c側に押し込まれており、主弁体42cが一次側内部流路20cと二次側内部流路30cの境界面に密着して止水されている。図20の(a)の状態では、バネ70cと弁部材40cの主弁体42cに相当する部分とは、接触せずに離隔した状態となっている。
続いて、図20の(b)に示されるように、副バルブ82cが開かれると、背圧室14c内の水が流出する。背圧室14c内の水が流出すると、背圧室14c内の圧力が低下する。背圧室14c内の圧力が低下すると、弁部材40cは上昇し、バネ70cと当接する。バネ70cは、弁部材40cと背圧室14cとの間に配置されているため、弁部材40cが上昇するとバネ70cは縮んで反力を発生させる。
このように弁部材40cが水圧によって押し上げられ、バネ70cが縮んでバランスを取ろうとすると、図20の(c)に示されるように、弁部材40cの主弁体42c(主弁体面421c)が主弁座面201cから離脱して所定の位置でバランスを維持する。そして、一次側内部流路20cから二次側内部流路30cに定流量の水が流れる。この一次側内部流路20cから二次側内部流路30cに流れる水の流量は、定流量弁体44cと二次側内部流路30cとの間の隙間の広さによって調整される。
この後、副バルブ82cが閉じられると、絞流路162c(図19参照)、孔462cを通って、背圧室14c内に水が溜まっていき、やがて背圧室14cの内部が水で満たされて一次圧がかかることで弁部材40cが押し下げられて、主弁体42c(主弁体面421c)が主弁座面201c(図19参照)に当接して止水される。
続いて、図19に示すフラッシュバルブSVcを実際に構成する際の一例としてのフラッシュバルブSVdについて、図21及び図22を参照しながら説明する。図21は、図19に示すフラッシュバルブSVcを実際に構成する際の一例であるフラッシュバルブSVdを示す構成図である。図22は、フラッシュバルブSVdを示す構成図であって、斜め下方から見た状態を示している。
図21及び図22に示されるように、フラッシュバルブSVdは、本体部10dを備えている。本体部10dの内部には、一次側内部流路20dと、二次側内部流路30dと、背圧室14dとが形成されている。一次側内部流路20dは、給水元である一次側流路から流入水Waを受け入れて、二次側内部流路30dに向けて流出させるものである。一次側内部流路20dの上流端には流入口21dが設けられている。流入口21dは、流入水Waを受け入れて一次側内部流路20dに送り出す開口部である。
二次側内部流路30dは、一次側内部流路20dから流入する水を給水先である二次側流路に流出水Wbとして流出させるものである。二次側内部流路30dの下流端には流出口31dが設けられている。流出口31dは、二次側内部流路30dから二次側流路へ流出水Wbを送り出す開口部である。
一次側内部流路20dと二次側内部流路30dとの間には、一次側内部流路20dと二次側内部流路30dとの間の流路開閉を行う主弁体42dを有する弁部材40dが配置されている。弁部材40dは、下流側の一端が二次側内部流路30dに挿入されており、その反対側の他端が背圧室14dに臨むように配置されている。弁部材40dは、二次側内部流路30dの延びる方向に沿って進退自在に配置されている。
主弁体42dの下流側の面は、主弁体面421dである。弁部材40dが最も下流側に押し込まれると、主弁体面421dが一次側内部流路20dの二次側内部流路30dに対する境界面に当接し、一次側内部流路20dと二次側内部流路30dとの間の水の流通を遮断するように構成されている。従って、主弁体面421dが当接する境界面は、主弁座面201d(主弁座)として機能している。
弁部材40dの、主弁体42dよりも下流側の部分には、定流量弁体44d(定流量手段)が設けられている。定流量弁体44dは、傾斜面441d(外形面)と、当接部442d(ガイド部、安定化手段)とを有している。当接部442dは、二次側内部流路30dの側壁に形成された流路側突起302d(ガイド部、安定化手段)に当接するように設けられている。流路側突起302dは、当接部442dに異なる位置で当接するように、流路断面を囲むように複数設けられている。従って、弁部材40dは、当接部442dが流路側突起302dに当接しながら進退自在に摺動するので、傾かずに安定した摺動が可能となる。
定流量弁体44dの傾斜面441dは、二次側内部流路30dの内側壁との間の距離を可変にすることで、二次側内部流路30dの内側壁を定流量弁座とする定流量弁を構成している。傾斜面441dは、主弁体42dから流出口31dに向かって、二次側内部流路30dの内側壁に近接するように傾斜させて形成されている。
従って、弁部材40dが、一次側内部流路20dと二次側内部流路30dとの間に水を通すように上昇(背圧室14dへ入り込む方向)すると、定流量弁体44dの傾斜面441dと二次側内部流路30dの内側壁との間の最短距離が縮まり、流量を減らすように作用する。弁部材40dが、一次側内部流路20dと二次側内部流路30dとの間に水を通すように上昇(背圧室14dへ入り込む方向)し、その後下降(流出口31dへ向かう方向)すると、定流量弁体44dの傾斜面441dと二次側内部流路30dの内側壁との間の最短距離が広がり、流量を増やすように作用する。
弁部材40dの、主弁体42dを挟んで定流量弁体44dと反対側には収容凹部46dが設けられている。収容凹部46dは、背圧室14d側から後退するように凹状に形成されている。収容凹部46dの背圧室14d側の端には、Uパッキン48dが設けられている。Uパッキン48dは、背圧室14dよりも二次側内部流路30d側の本体部10dの内側壁に当接するように設けられている。
従って、弁部材40dは、一端側では当接部442dが流路側突起302dに当接し、他端側ではUパッキン48dが本体部10dの内側壁に当接している。このように、弁部材40dは、一端側と他端側とで傾かないように保持されながら摺動するように構成されている。
Uパッキン48dと主弁体42dとの間に隙間が開くように形成されており、その隙間が絞流路162dとなっている。従って、収容凹部46dと本体部10dの内側壁との間には、一次側内部流路20dから絞流路162dを通って速度が低減された状態で水が流れるように構成されている。
収容凹部46dには、中間室18dと背圧室14dとを繋ぐための孔462dが形成されている。従って、一次側内部流路20dから入った水は、孔462dを通って、背圧室14dに流れる。
背圧室14dの上壁面と収容凹部46dとの間に、線形特性を有するバネ70d(定流量手段)が配置されている。バネ70dは、一端が収容凹部46d内に収容され、他端は背圧室14dの上壁面に当接するように配置されている。
本実施形態の場合、主弁体面421dに一次圧がかかり、それに対抗するようにバネ70dが配置されているので、主弁体面421dは受圧面としても機能している。
背圧室14dと二次側内部流路30dとは、バイパス流路80dによって繋がっている。バイパス流路80dには副バルブが設けられている。副バルブが閉じられて、背圧室14dが水で満たされていれば、背圧室14dの内部には一次圧がかかっている。一方、副バルブが開けられると、背圧室14dの水がバイパス流路80dから二次側内部流路30dに流出し、背圧室14dの内部圧力が低下する。
本実施形態では、定流量弁体44dは流出口31dに向かって、定流量弁座として二次側内部流路30dの側壁面に近づくように傾斜した傾斜面441d(外形面)を有している。
このように、弁部材の位置の変位と主流量との関係を示す特性が非線形特性となるように、定流量弁体44dは流出口に向って定流量弁座に近づくように傾斜した傾斜面441dを有するものとしている。このように構成することで、線形特性のバネ70dを用いても主流量が変動しないことに加えて、主弁体42dが主弁座201dに近づくように弁部材40dが駆動されると、定流量弁体44dが定流量弁座と離れるように構成することができ、応答性の低下が抑制される。更に、主弁体42d側から流れる水は定流量弁体44dによって流出口31d側に方向付けられるので、特に流速を抑制するとその領域にゴミが留まる傾向になるが、この領域では定流量弁体44dが定流量弁座から離れるように構成されているので、ゴミ噛みが低減されると共に、噛み込んでしまったとしても開弁時には流れる水によって排除することができる。
本実施形態では、主弁体42dに一次側内部流路20d内の一次圧によって加わる力と均衡する力が加わるようにバネ70dが配置され、バネ70dの一端側を収容する凹部46dが形成された支持部材としての弁部材40dを備えており、凹部46dは主弁体42dが主弁座201dに近づく方向に凹むように形成されている。
バネ70dは、変動する一次圧によって加わる力と均衡させるためのものであるから、全長をなるべく長くなるように確保し、変位に対する感度を低下させると共に荷重変位のバラツキも抑制することが好ましい。そこで、主弁体42dが主弁座201dに近づく方向に凹む凹部を形成した支持部材としての弁部材40dを配置し、その支持部材としての弁部材40dによってバネ70dの一端側を支持しているので、簡単な構成で主バルブの全長増大を抑制しつつバネ70dの全長をより長く確保することができる。
本実施形態では、凹部46dを形成する部分と本体部10dとの間に、一次側内部流路20dから水が流入する空間が形成されている。従って、弁部材40dの振動を低減させ、弁部材40dの挙動を安定化させることができる。
本実施形態では、凹部46d側方に孔463dが形成され、この孔463dを水が通ることで主弁体42dの背圧を一次側内部流路20d内の一次圧と均衡するように上昇させるものであって、この孔463dを通過した水はバネ70dの伸縮方向に直交するように凹部46d内に流入する。
このように、主弁体42dの背圧を一次圧と均衡するように上昇させるために水を通す孔463dを、一次側内部流路20dから直接の圧力変動を受けにくい凹部46d側方に設けることで、弁部材40dの挙動を安定化させることができる。更に、孔463dを通過した水はバネ70dの伸縮方向に直交するように凹部46d内に流入するので、バネ70dの伸縮に影響を与えず、安定した定流量制御ができる。