様々な性質とサイズの抗原を提示して、頑強な体液性および細胞性応答を誘導できる、用途の広いプラットフォーム技術に対する必要性がある。
特に断りのない限り、本明細書中の各実施形態は、変更すべきところは変更して、他の全ての実施形態に適用される。
冠詞「a」および「an」は、冠詞の1つまたは2つ以上(すなわち少なくとも1つ)の文法的目的に言及するために、本明細書で使用される。一例として、「a cell(細胞)」は、1つの細胞または2つ以上の細胞を意味する。「an antigen(抗原)」は、1種の抗原または2種以上の抗原を意味する。
本明細書の全体を通じて、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、「comprise(含んでなる)」「comprises(含んでなる)」および「comprising(含んでなる)」と言う語は、述べられたステップまたは要素、またはステップまたは要素群の包含を暗示すると理解されるが、いかなるその他のステップまたは要素、またはステップまたは要素群も排除しない。したがって「comprising(含んでなる)」などの用語の使用は、列挙される要素が必要または必須であるが、その他の要素は任意であり、存在してもしなくてもよいことを示す。「consisting of(からなる)」は、語句「からなる」に続くものをどれも含み、そしてそれに限定されることが意図される。したがって、「からなる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であって、他のいかなる要素も存在できないことを示す。「consisting essentially of(から本質的になる)」は、語句の後に列挙されるあらゆる要素を含み、列挙される要素について開示中で明記される働きまたは作用を妨げず、またはそれに寄与する、その他の要素に限定されることを意味する。したがって、「から本質的になる」という語句は、列挙された要素が必要または必須であるが、その他の要素は任意であり、それらが列挙される要素の働きまたは作用に影響を及ぼすかどうか次第で、存在してもしなくてもよいことを示す。
本発明は、ヒトまたは非ヒト哺乳類対象を冒す病原体、疾患または病状と関連付けられている抗原を提示して、免疫応答を誘導するための多面体と称される昆虫ウイルス結晶の要素の使用に広く関する。結晶は生物から迅速にクリアされ、または毒性であり、または抗原提示細胞が処理できず、または体液性または細胞性応答のどちらかのみを引き起こし得ると推測されたので、多面体(本明細書ではMicroCubeとも称される)形の抗原ポリへドリン複合体が免疫応答を引き起こす能力は驚くべきである。
いくつかの実施形態では、多面体ポリへドリンおよび抗原を含んでなるポリペプチドは、抗原の構造を少なくとも部分的に束縛し、および/または抗原を分解から保護する、安定複合体を形成する。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は関心のある抗原を免疫系に提示するためのビヒクルを提供する。自然界では、ウイルス多面体は、生存および感染機序として機能する、結晶格子内に包埋(封入)された複数のウイルス粒子を含有する。カプセル化ウイルス粒子は、長年にわたって土壌中で感染性のままであり得て、昆虫が結晶を摂取すると生活環が継続し、結晶はアルカリ性の中腸内で分解して感染ウイルス粒子が放出される。当該技術分野で公知のように、ポリへドリン標的化ペプチド(tag)を使用して融合タンパク質を引き寄せて、それらをポリへドリンを含んでなる結晶構造に含め得る。
「複合体」という用語は、修飾CPVポリへドリンならびに「修飾多面体」を形成する「抗原ポリへドリンサブユニット」を指す。いくつかの好ましい実施形態では、「複合体」という用語は、ヒトまたは非ヒト哺乳類対象を冒す病原体または疾患または病状の抗原を含んでなる、修飾多面体(「MicroCube」、「多面体結晶」、「修飾多面体結晶」、「多面体」、「ポリへドリン」または「マイクロ分子構造」などの用語が同義的に使用される)を指す。
いくつかの実施形態では、本発明は、先に開発されたプロトコルを用いて、ポリペプチドを昆虫多面体中で融合タンパク質として発現させる。この技術は、当該技術分野で公知であり、例えばその内容全体を本明細書に援用するIkeda et al.,J.Virol.75:988−995,2001;Ikeda et al.,Proteomics,6:54−66,2006;Mori et al.,J.Biol.Chem.282(23):17289−17296,2007;Ijiri et al.Biomaterials30:4297−4308,2009でレビューされる。生成法は変動してもよいので、本発明は特定の生成法に限定されない。
本発明は、ヒトまたは非ヒト動物対象中でそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンまたはポリへドリン様タンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、免疫原性またはワクチン組成物を提供する。
「ポリへドリン」および「ポリへドリン様」は、あらゆる細胞質多角体病ウイルス(cypo)(CPV)からのあらゆる天然形態のポリへドリン、ならびに本明細書で定義されるような、それらの生物学的活性部分、およびこれらの変種、アナログ、相同体または誘導体を網羅する。異なるポリへドリンポリペプチドおよびペプチドの配列が、当該技術分野で入手できる(NCBI Entrez Search参照)。ポリへドリンは、技術分野から選択されて、本明細書に記載される方法で慣例的に試験されてもよい。CPVによって生成されるポリへドリン分子は、バキュロウイルスによって生成されるものと異なる。それらは構造が異なり、ウイルスは無関係である。それらの分子構造間の差異は、Coulibaly et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106(52):22205−22210,2009に記載され、バキュロウイルス多面体は、抗原への完全なアクセスを妨げることもある外被を有し、CPVは細胞質内で、バキュロウイルスは核内で自己複製するので、それらの細胞局在性は異なっている。
いくつかの実施形態では、MicroCubeは、単離された、均質な、完全または部分的精製形態である。単離および/または精製は、塩分別、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過、サイズ排除クロマトグラフィー、サイズ分画、そして親和性および免疫親和性クロマトグラフィーをはじめとする、当該技術分野で公知の方法により実施され得る。FACS分離もまた、用い得る。
「単離」または「精製」という用語は、常態ではその天然状態に付随する構成要素を実質的にまたは本質的に含まない、材料を意味する。例えば、「単離複合体」は、本明細書の用法では、その生成で使用される、細胞、無細胞、または分子混合物から単離された複合体を指す。いくつかの実施形態では、精製複合体は、純度が少なくとも95〜99%である。
言及されたように、好ましい一実施形態では、ポリへドリンは細胞質多角体病(cypo)ウイルス(CPV)に由来する。別の実施形態では、ポリへドリンはバキュロウイルスに由来しない。
例示的な実施形態では、実質的に微粒子多面体形での複合体の対象への送達が、それに対する免疫応答を誘導する。本発明に従って、多面体は抗原の分解を低下させる。いくつかの実施形態では、それはまた免疫応答を活性化し、したがって潜在的に抗原特異免疫応答を高める。
説明に役立つ実例では、それに対する免疫応答が求められる抗原は、腫瘍などの病状と関連付けられている抗原、すなわち腫瘍抗原である。したがって、いくつかの実施形態では、本発明は、例えば動物モデルにおいて効果的な免疫応答を生じさせることから、ワクチン接種目的のための抗原の候補として当該技術分野で記載される1つまたは複数の抗原を用いて、マイクロ分子多面体を形成するポリへドリンとの複合体として抗原を再パッケージし、抗原は構造的および物理的に束縛される。いかなる特定の理論または作用様式によっても制限されることなく、微粒子多面体形の抗原送達は、改善された細胞および/または免疫応答、好ましくはその双方を誘導することが提案される。代案としては、またはこれに加えて、複数投与に対する必要性を低下させ、および/またはより高い力価/強度の細胞または抗体応答を生じさせるために、マイクロ分子構造からの抗原の緩慢なまたは持続性の放出が提案される。
一実施形態では本発明は、ヒトまたは非ヒト動物対象中でそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、細胞質多角体病ウイルス(CPV)に由来するポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、安定した免疫原性またはワクチン組成物を提供し、実質的に微粒子多面体形での複合体の対象への送達が、それに対する免疫応答を誘導する。
「安定」への言及は、多面体中の複合体抗原の構成要素が、生理学的または環境条件下で実質的に分解抵抗性であり、または複合体またはそれを含んでなる多面体の不在下の抗原などの対照と比較して、分解低下を呈示することを含む。
いくつかの実施形態では、多面体中の抗原は熱安定性である。例えば、実施例に記載されるように、MicroCube抗原は約4℃〜約21℃で、また約37℃においてさえ安定している。別の実施形態では、多面体中の抗原は分解低下を呈示する。
いくつかの実施形態では、「分解低下」への言及は、ポリへドリンとの複合体中または多面体中にない同じ抗原が、50%、60%、70%を超える抗原分解を呈示する条件下における保存期間において、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、10%未満、1%未満の抗原の分解を呈する組成物を指す。いくつかの実施形態では、多面体中の抗原は、トリプシン分解などの酵素的耐性である。
例示的な非限定的実施形態では、ポリへドリンはカイコガ(Bombyx mori)CPVに由来する。いくつかの実施形態では、酵素はトリプシンである。
「に由来する」とは天然形態および天然形態の機能的変種を意味し、したがって直接または間接的に、生物に由来する配列を含む。例えば、ポリへドリンなどのウイルス性ポリペプチドは、それが、(i)ウイルスのポリヌクレオチドの読み取り枠によってコードされ(ウイルス性ポリヌクレオチド)、または(ii)本明細書に記載されるそのウイルスのポリペプチドに対して配列および/または構造機能的類似性を示す場合に、ウイルスの特定のポリペプチド(ウイルス性ポリペプチド)に「由来する」。機能的変種については本明細書に記載され、ポリへドリンポリペプチドの断片であってもよい誘導体を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、CPVのポリへドリンのN末端H1α螺旋またはVP3ポリへドリン認識シグナルに由来する、またはその機能的変種である、標的化ペプチドなどのポリへドリン標的化ペプチドに融合している。いくつかの実施形態では、標的化ペプチドは、カイコガ(Bombyx mori)CPVのポリへドリンのN末端H1α螺旋またはVP3ポリへドリン認識シグナルに由来し、またはその機能的変種である。
不確かさを回避するために、いくつかの実施形態では、抗原−ポリへドリン標的化融合タンパク質はキメラポリペプチドであり、それは組み合わせが自然界で発生せず、タンパク質が1種の生物からの抗原からなり、ポリへドリン標的化ペプチドが、異なる種などの第2の生物に由来することを意味する。
例示的な実施形態では、本発明のキメラ抗原−ポリへドリン標的化タンパク質が生成され、その中では同じ発現産物の一部として発現されることで、または合成によって、異なる種に由来する少なくとも2つのポリペプチドまたはペプチドが、共有結合によって結合される。どちらの場合も、得られるポリペプチドは、融合タンパク質と称されてもよい。抗原の多面体への共有結合架橋による直接付着、またはコーティングも検討される。
「ポリペプチド」、「タンパク質」、「ペプチド」、および「糖タンパク質」という用語は同義的に使用され、いかなる特定の長さにも限定されないアミノ酸のポリマーを意味する。本用語は、ミリスチン化、グリコシル化、リン酸化、および付加および/またはシグナル配列欠失などの改変を排除しない。
サイポウイルスのポリへドリンH1α螺旋(tag)などのポリペプチドの「部分」または「一部分」または「領域」または「ドメイン」は、少なくとも約10個のアミノ酸または約20〜30個のアミノ酸、15〜100個のアミノ酸または約5〜80個のアミノ酸または約15〜120個のアミノ酸の最小限のサイズを有すると定義される。
本明細書の用法では、「免疫応答」は、組成物に対して抗体を形成して免疫を生じることをはじめとする、発明の組成物の存在に対する全身の反応を指す。免疫は、免疫応答の先天性および適応性アームの双方の活性化の結果として生じてもよい。したがって、本明細書に記載される、ヒトまたは非ヒト動物の病原体抗原、またはヒトの病状(がんなど)または疾患と関連付けられている抗原に対する免疫応答は、対象における、関心のある抗原に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生もまた含む。先天性免疫応答の刺激によって、このようなあらゆる応答を改善または活性化を含めて改変し得る。「体液性免疫応答」は、形質細胞により産生される抗体によって媒介される。「細胞性免疫応答」は、Tリンパ球および/またはその他の白血球細胞によって媒介される。抗原に対する「免疫学的応答」または「免疫応答」としては、対象中における、抗原に対する体液性(B細胞)および/または細胞性(T細胞)免疫応答の発生が挙げられる。対象複合体の多面体構成要素は、本明細書で定義されるところの抗原ではないが、本明細書で判定されているように、それは、サイトカイン分泌および/またはインフラマソームの活性化をはじめとする免疫応答を引き起こし、求められている抗原特異的免疫応答を潜在的に高める。形質細胞およびB細胞による抗体産生やサプレッサーT細胞および/またはγδT細胞の活性化をはじめとする、細胞媒介性または体液性の免疫学的応答を刺激する特定の抗原の能力は、リンパ球増殖性(リンパ球活性化)アッセイ、CTL細胞毒性細胞アッセイなどのいくつかのアッセイにより、または感作対象中において抗原に対して特異的なTリンパ球をアッセイすることにより、求めてもよい。このようなアッセイは、当該技術分野で周知である。細胞媒介性免疫応答を測定する方法としては、T細胞集団による細胞内サイトカインまたはサイトカイン分泌の測定、またはエピトープ特異的T細胞の測定が挙げられる。免疫応答はまた、感染性を中和し、伝播または負荷を軽減し、および/または抗体補完、または抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する役割を果たして、免疫化宿主に保護を提供してもよい。免疫応答は、当該技術分野で公知のように、標準免疫測定法と中和アッセイを使用して測定し得る。
「免疫原性組成物」は抗原性分子を含んでなる組成物であり、組成物の対象への投与は、対象中において、関心のある抗原性分子に対する体液性および/または細胞性免疫応答の発生をもたらす。本発明に従って、ポリへドリンタンパク質またはペプチドはまた、免疫原性でもあり、それに対する免疫応答が求められる抗原に対する免疫応答を高めるのに適した、免疫応答を刺激する。
免疫応答を評価するアッセイは実施例に記載され、抗体応答および遅延型過敏反応を測定するためのアッセイなどの生体内アッセイを含んでなってもよい。一実施形態では、抗体応答を測定するアッセイは、主にB細胞機能ならびにB細胞/T細胞相互作用を測定してもよい。抗体応答アッセイでは、抗原投与に続いて血液中の抗体力価を比較してもよい。本明細書の用法では、「抗体力価」は、各対象において、免疫前サンプルを超える値をもたらす、免疫後血清の最大希釈と定義し得る。
これらのレベルは、例えば、IgG、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgAまたはIgDなどの抗体型に従って、定量化し得る。また免疫系の発生は、抗原刺激なしで、血液中の抗体およびリンパ球レベルを判定することにより評価してもよい。
生体外アッセイは、細胞が分割する、または他の細胞が分割するのを助ける、またはリンフォカインやその他の因子を放出する、活性化マーカーを発現する、そして標的細胞を溶解する能力を判定するステップを含んでなってもよい。マウスおよびヒトリンパ球は、生体外アッセイで比較し得る。一実施形態では、末梢血細胞、脾細胞、またはリンパ節細胞などの類似起源からのリンパ球が比較される。しかし非限定的例として、ヒト末梢血細胞とマウス脾細胞などの異なる起源からのリンパ球を比較することも可能である。生体外アッセイでは、細胞は精製されてもよく(例えばB細胞、T細胞、およびマクロファージ)、またはその天然状態のままでもよい(例えば脾細胞またはリンパ節細胞)。精製は、所望の結果を与えるあらゆる方法で行ってもよい。細胞は、生体外で、マイトジェンまたは特異的抗原を使用して、それらの増殖能力について試験できる。特異的抗原存在下で分割する細胞の能力は、混合リンパ球反応(MLR)アッセイを使用して判定し得る。培養細胞からの上清を試験して、細胞が特定のリンフォカインを分泌する能力を定量化し得る。細胞を培養物から取り出して、活性化抗原を発現するそれらの能力について試験し得る。これは適切なあらゆる方法によって行い得て、非限定的例として、活性化抗原に結合する抗体またはリガンドと、活性化抗原をコードするRNAに結合するプローブとを使用する方法が挙げられる。
いくつかの実施形態では、表現型細胞アッセイを実施して、特定の細胞型の発生頻度を判定し得る。末梢血血球数算定を実施して、血中のリンパ球またはマクロファージ数を判定してもよい。CD4細胞数およびCD4/CD8比率を判定する非限定的例のように、抗体を使用して末梢血リンパ球をスクリーニングして、特定抗原を発現する細胞のパーセントを判定し得る。
したがって本発明は、本明細書に記載される複合体を含んでなる組成物を提供し、複合体に対する免疫応答は、細胞性および体液性応答を含む。
いくつかの実施形態では、複合体のポリへドリンまたはポリへドリンペプチド部分に対する免疫応答は、細胞性または体液性応答を含んでなる。
いくつかの実施形態では、複合体のポリへドリンまたはポリへドリンペプチド部分に対する免疫応答は、インフラマソーム活性化を含んでなる。
いくつかのさらなる実施形態では、組成物は、薬学的または生理学的に許容可能なキャリアおよび/または希釈剤を含んでなる。
「ワクチン」という用語は、本明細書の用法では、対象において免疫学的応答を誘導する免疫学的活性構成要素と、可能であるが必須でない前記活性構成要素の免疫学的活性を高める1つまたは複数の追加的な構成要素(例えばアジュバント)とを含んでなる医薬組成物を指す。ワクチンは、医薬組成物に典型的なさらなる構成要素をさらに含んでなってもよい。本発明に従って、ワクチンの免疫学的活性構成要素は、ヒトまたは非ヒト動物対象中でそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる。「ワクチン」および「ワクチン組成物」という用語は、本発明で同義的に使用される。本明細書で定義されるように、ポリへドリン部分は免疫応答もまた誘導する。
本発明で検討される「対象」としては、好都合には、霊長類、魚類や甲殻類や鳥類をはじめとする、家畜動物、臨床検査動物、コンパニオンアニマル、または飼育下の野生動物をはじめとする、あらゆる商業的または人道主義的関心のある動物が挙げられる。いくつかの実施形態では、対象は哺乳類動物である。特定の実施形態では、対象はヒト対象である。いくつかの実施形態では、「対象」は、ヒト、または研究室または技術分野で受け入れられている、実験用または荷役用動物をはじめとする動物である。「患者」としては、治療または予防法を必要とするヒト対象が挙げられる。
別の実施形態では、本発明は、それに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、CPV多面体とを含んでなる免疫原性組成物を提供し、組成物の送達は抗原に対する免疫応答を誘導し、CPV多面体は抗原に対する免疫応答を高める。
いくつかの実施形態では、本発明は、抗原に対する免疫応答を刺激するために抗原と併せて使用されるCPV多面体を含んでなる、免疫原性組成物を提供する。いくつかの実施形態では、CPV多面体はカイコガ(Bombyx mori)に由来する。
別の実施形態では、本発明は、抗原と関連付けられている、感染症、疾患または病状を治療または予防するためのワクチンの製造で使用される、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物を提供する。
別の実施形態では、抗原と関連付けられている、感染症、疾患または病状を治療または予防するための薬剤の製造における、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物の使用が提供される。
別の広義の実施形態では、免疫応答を引き起こす条件下において、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物の有効量を対象または患者に投与するステップを含んでなる、対象または患者において免疫応答を引き起こす方法が提供される。
さらに、本発明は、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物を対象に投与するステップを含んでなる、抗原と関連付けられている、感染症または疾患または病状に対して、対象を免疫化する方法を含む。
さらに、本発明は、感染症またはがん/疾患または病状を治療または予防するのに十分な時間と条件で、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物を対象に投与するステップを含んでなる、病原体による感染症または疾患(がん)またはその他の病状を治療または予防する方法を提供する。
一実施形態では、本発明は、(a)それに対する免疫応答が求められる病状と関連付けられている病原体抗原またはその他の抗原と;(b)ポリへドリンとを含んでなる複合体の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象において免疫応答を誘導する方法を提供し、投与は抗原が免疫応答を誘導するのに十分な時間と条件で行われる。
別の実施形態では、本発明は、(a)ポリへドリン標的化ペプチドと、それに対する免疫応答が求められる病状と関連付けられている病原体抗原またはその他の抗原とを含んでなるキメラ融合ポリペプチド;および(b)ポリへドリンを含んでなる複合体の有効量を対象に投与するステップを含んでなる、対象において免疫応答を誘導する方法を提供し、投与は抗原が免疫応答を誘導するのに十分な時間と条件で行われる。
類似実施形態では、本発明は、ウイルス感染症を治療または予防するのに十分な時間および条件で、本発明に従ったウイルス抗原を含んでなる複合体および/または同複合体を含んでなる融合タンパク質を投与するステップを含んでなる、対象においてウイルス感染症を治療または予防する方法を提供する。
類似実施形態では、本発明は、病原体または腫瘍/がん感染症/病状を治療または予防するのに十分な時間および条件で、本発明に従った病原体抗原または腫瘍/がん抗原を含んでなる複合体および/または同複合体を含んでなる融合タンパク質を投与するステップを含んでなる、対象において感染症を治療または予防する方法を提供する。
その他の類似実施形態では、本発明は、ウイルス感染症または病原体または腫瘍/がん感染症/病状の治療および/または予防で使用するための対象複合体と融合タンパク質とを提供する。さらなる類似実施形態では、ウイルス性病原体またはその他の病原性の感染症または腫瘍を治療および/または予防するための薬剤の製造で使用される、複合体および/または融合タンパク質が提案される。
いくつかの実施形態では、本発明は、対象融合ポリペプチドをコードする単離核酸分子を含んでなる、免疫原性または推定上のワクチン組成物をはじめとする、医薬組成物を提供する。
いくつかの実施形態では、免疫原性または推定上のワクチン組成物をはじめとする医薬組成物は、薬学的に許容できるキャリアおよび/または希釈剤と配合される。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される対象複合体または融合ポリペプチドを含んでなる、医薬組成物を提供する。
推定上のワクチン組成物は、例えば、一般に受け入れられている動物または細胞モデルにおいて、効果的な免疫応答を誘導する見込みがあるものである。
他の実施形態では、本発明は、ヒトまたは非ヒト動物対象または患者においてそれに対する免疫応答が求められる、病原体抗原またはその他の抗原と特異的に結合する、単離されたまたは精製された抗体または免疫細胞を生成する方法を提供する。方法は、ヒトまたは非ヒト動物対象においてそれに対する免疫応答が求められる、病原体抗原またはその他の抗原と、ポリへドリンタンパク質とを含んでなる複合体を含んでなる、本明細書に記載される免疫原性組成物の有効量を対象に投与するステップと、抗体または免疫細胞を単離または精製するステップを含んでなる。
いくつかの実施形態では、複合体または同複合体を含んでなる多面体は、単離された均質な完全または部分的精製形態である。
好ましい実施形態では、ポリへドリンはCPVに由来する。
さらなる実施形態では、実質的に多面体形での複合体の対象への送達は、複合体に対する免疫応答を誘導する。
いくつかの実施形態では、抗原はポリへドリン標的化ペプチドに融合する。
いくつかの実施形態では、複合体に対する免疫応答は、複合体のポリへドリン部分に対する免疫応答を含み、細胞性または体液性免疫応答を含んでなり、および/またはインフラマソーム活性化を含んでなる。活性化は、IL−1β分泌についてアッセイするなどの様々なアッセイによって検出してもよい。
いくつかの実施形態では、ポリへドリンは昆虫細胞核を標的とせず、多面体外被を形成しない。
いくつかの実施形態では、免疫応答は、体液性および細胞性免疫応答である。
上の方法は、非ヒト対象における抗体および/または免疫細胞の生成を網羅する。この実施形態では、抗体は、例えば、治療的または予防的抗体の製造で使用するのに適する。別の実施形態では、このような抗体は、診断、スクリーニング、および研究に有用である。さらに別の実施形態では、方法は、病原体または病状の影響を受けやすい、または治療または予防を必要とする対象における、抗原に対する体液性および/または免疫応答の誘導を包含する。予防的または治療的投与の場合、ヒトをはじめとする哺乳類対象が特に検討される。
別の実施形態では、本発明は、(a)ウイルス性ポリへドリン標的化ペプチドと、(b)それに対する免疫応答が求められる病原体抗原またはその他の分子とを含んでなる、融合ポリペプチドを提供する。いくつかの実施形態では、融合ポリペプチドは、対象への投与に適して、対象において免疫応答を誘導する組成物中に提供される。例示的な組成物は、当該技術分野で公知の動物またはヒト用途に適するアジュバントを含んでなる。その他の例示的な組成物は、鼻、口、腸などの粘膜に送達するために調合される。
例示的な実施形態では、三量体ポリへドリンポリペプチドがN末端螺旋のスキャフォールドの周囲に配置される。多面体は、マイクロ分子複合体である。三量体は、分子間ジスルフィド結合によって4つの三量体が架橋された、四面体クラスターに配置される(Coulibaly et al.,Nature,446:97−101,2007;Coulibaly et al.,2009(前出))。特定の実施形態では、対象多面体はバキュロウイルスまたはサイポウイルスのウイルス性またはウイルス性様粒子を含まない。
別の実施形態では、本発明は、(a)ポリへドリン標的化ペプチドと、それに対する免疫応答が求められる病状と関連付けられている病原体抗原またはその他の抗原とを含んでなる融合ポリペプチド;および(b)ポリへドリンを含んでなる、複合体を提供する。いくつかの実施形態では、複合体は免疫原性でありおよび/または対象中で徐放を提供する。別の実施形態では、複合体は、ポリへドリンとの複合体の形態でない、またはポリへドリン標的化ペプチドとの融合タンパク質の形態でない、抗原によって生じる免疫応答と比較して、改善された免疫応答を引き起こすのに適する。
いくつかの実施形態では、複合体は、抗原性部分とポリへドリン標的化部分とを含んでなる、複数の融合ポリペプチドを含んでなる、組換えまたは修飾多面体の形態である。いくつかの実施形態では、抗原部分は、単一の病原性生物または病状に由来する、1つまたは複数のエピトープを含んでなる。別の実施形態では、抗原部分は、2種以上の病原性生物または病状からの1つまたは複数のエピトープを含んでなる。いくつかの実施形態では、組換えまたは修飾多面体は、用いられる昆虫ポリへドリン分子次第で、0.1μm〜50μm、特に0.1μm〜10μmのサイズ範囲である。粒度は、免疫付与のための投与様式に合わせて調節されてもよい。
例示的な実施形態において、病原体はHIVである。さらなる例示的な実施形態では、抗原はHIV Gagポリペプチドまたはその抗原性ペプチドである。当該技術分野で公知のように、Gagは、ミリスチン化タンパク質(p55)を含んでなる前駆体として生成され、それは典型的にプロテアーゼによって様々な程度に処理されて、マトリックスタンパク質(MA−p17)、コア抗原カプシドタンパク質(CA−p24)、核カプシドタンパク質(NC−p7)、p6、p2、およびp1を形成する。HIV Gag p39は、p24、p9およびp6を含んでなる。
別の実施形態では、本発明は、(a)ポリへドリン標的化ペプチドと、それに対する免疫応答が求められる病状と関連付けられている病原体抗原またはその他の抗原とを含んでなる融合ポリペプチド;および(b)ポリへドリンを含んでなる、複合体を生成する方法を提供し、方法は、ポリへドリン標的化ペプチドとの融合ポリペプチドとして、抗原をコードする核酸分子を発現するステップと、昆虫またはその他の適切な宿主細胞中で、ポリへドリンまたはポリへドリン様ポリペプチドをコードする核酸分子を発現させるステップと、融合タンパク質が、抗原およびポリへドリンを含んでなる複合体を形成するのに十分な時間と条件で、ポリへドリンと融合ポリペプチドを接触させるステップを含んでなる。いくつかの実施形態では、2つのタンパク質は、昆虫またはその他の同等の宿主細胞内で同時生成される。複合体は、典型的に、融合タンパク質の複数のコピーを含んでなる。特定の実施形態では、方法は、その他の細胞または培養材料から、複合体を単離しまたは精製するステップをさらに含んでなる。
別の実施形態では、宿主細胞中で、またはポリへドリン抗原複合体の形成および折り畳み、および多面体または多面体様粒子の生成ができる無細胞条件下で、融合ポリペプチドを直接合成してポリへドリンと組み合わせてもよい。
いくつかの実施形態では、方法は、上の方法に従って調製された抗原、または同抗原を含んでなる組成物の半減期または貯蔵寿命(安定性)を増大させる。いくつかの実施形態では、方法は、酵素分解または特定の生理学的または環境条件下の分解に対する、抗原調製品の抵抗性を増大させる。
いくつかの実施形態では、単離または精製複合体または融合タンパク質および/または抗体を含んでなる、免疫診断または免疫スクリーニングキットなどのキットが検討される。
いくつかの実施形態では、(a)ポリへドリン標的化ペプチドと、それに対して抗体が求められる病状と関連付けられている病原体抗原またはその他の抗原とを含んでなる融合ポリペプチド;および(b)ポリへドリンを含んでなる複合体の有効量を非ヒト対象に投与するステップを含んでなる方法に従って、抗体が生成され、投与は、抗原が抗体応答を誘導するのに十分な時間と条件で行われる。別の実施形態では、融合ポリペプチドが投与される。
いくつかの実施形態では、抗体は、当該技術分野で公知のキメラ、脱免疫化、ヒト化またはヒト抗体の製造において使用される。
別の実施形態では、本発明は、本明細書に記載されるポリへドリンまたは融合ポリペプチドを含んでなる複合体の形態の対象抗原に結合するものについて、推定上の相互作用(結合)物質をスクリーニングする方法を検討する。いくつかの実施形態では、方法は、本発明の精製複合体または融合タンパク質に、推定上の相互作用物質を接触させるステップと、対照と比較して結合を判定するステップを含んでなる。いくつかの実施形態では、それから抗原が誘導された、病原体またはがん性細胞のレベルまたは活性を低下させる能力について、結合因子がさらに試験される。
さらなる実施形態は、本明細書に記載される融合ポリペプチドをコードする核酸分子、対象複合体または融合ポリペプチドを含んでなる宿主細胞、および精製組換えまたは修飾多面体を含んでなる組成物を対象とする。組成物は、生体内で複合体の不安定化(pH調節剤など)または安定化(架橋など)を促進する作用物質を含んでもよい。
対象ポリへドリン−抗原複合体、またはポリへドリン標的化ペプチド−抗原融合ポリペプチド、またはそれによって定まる特異的に抗原を認識する抗体を含んでなる、医薬組成物が提供される。
上の概要は、本発明の全実施形態の網羅的列挙ではなく、そのように見なされるべきではない。
いくつかの図は、色彩表現または実体を含む。カラー版の図は、請求あり次第、特許権所有者から、または適切な特許庁から入手できる。特許庁から得られる場合、手数料がかかることもある。
特定のスクリーニング手順、特定の配合物、および様々な医療技法は変動してもよいので、本発明はこれらに限定されない。
特に断りのない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似し、またはそれと同等のあらゆる材料と方法を使用して、本発明を実施し得てまたは試験し得る。実務家は、特に、Ream et al.,eds.,Molecular Biology Techniques:An Intensive Laboratory Course,Academic Press,1998;Newton and Graham eds.,PCR,Introduction to Biotechniques Series,2nd ed.,Springer Verlag,1997;Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.,1989;Coligan et al.,Current Protocols in Protein Science,John Wiley & Sons,Inc.1995−1997の特に第1、5、および6章;およびAusubel et al.,Cell Immunol.,193(1):99−107,1999;Colowick and Kaplan,eds.,Methods In Enzymology,Academic Press,Inc.;Weir and Blackwell,eds.,Handbook of Experimental Immunology, Vols.I−IV,Blackwell Scientific Publications,1986;Joklik ed.,Virology,3rd Edition,1988;Fields and Knipe,eds,Fundamental Virology,2nd Edition,1991;Fields et al.,eds,Virology,3rd Edition,Lippincott−Raven,Philadelphia,Pa,1996;Mori et al.,J.Gen.Virol.74(1):99−102,1993;Ikeda et al.,2006(前出);米国特許出願公開第2006/0155114号明細書;国際公開第2008/1105672号パンフレットを参照されたい。
本明細書中でのウイルスまたはウイルス抗原への言及は、制限なしに、あらゆるウイルス科のウイルスまたはそれからの抗原を含む。ウイルス科の非限定的例としては、アデノウイルス科(Adenoviridae)、アフリカ豚コレラ様ウイルス、アレナウイルス科(Arenaviridae)、アルテリウイルス属(Arterivirus)、アストロウイルス科(Astroviridae)、バキュロウイルス科(Baculoviridae)、ビルナウイルス科(Birnaviridae)、ブニヤウイルス科(Bunyaviridae)、カリシウイルス科(Caliciviridae)、サーコウイルス科(Circoviridae)、コロナウイルス科(Coronaviridae)、デルタウイルス(Deltavirus)、フィロウイルス科(Filoviridae)、フラビウイルス科(Flaviviridae)、ヘパドナウイルス科(Hepadnaviridae)、ヘペウイルス科(Hepeviridae)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、ピコルナウイルス科(Picornaviridae)、ポックスウイルス科(Poxviridae)、レオウイルス科(Reoviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、およびラブドウイルス科(Rhabdoviridae)が挙げられる。特に、パラミクソウイルス科(Paramyxoviridae)、レトロウイルス科(Retroviridae)、およびフィロウイルス科(Filoviridae)からのウイルスである。
いくつかの実施形態では、ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、クラミジア、アデノウイルス科、マストアデノウイルス、トリアデノウイルス、ヘルペスウイルス科、単純ヘルペスウイルス1、単純ヘルペスウイルス2、単純ヘルペスウイルス5、単純ヘルペスウイルス6、レビウイルス科、レビウイルス、腸内細菌ファージMS2、アロレビウイルス、ポックスウイルス科、脊椎動物ポックスウイルス亜科、パラポックスウイルス、アビポックスウイルス、カプリポックスウイルス、レポリポックスウイルス、スイポックスウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、昆虫ポックスウイルス亜科、パポバウイルス科、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、パラミクソウイルス科、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス1、モルビリウイルス、麻疹ウイルス、ルブラウイルス、おたふく風邪ウイルス、ニューモノウイルス亜科、肺炎ウイルス、メタニューモウイルス、トリニューモウイルス、ヒトメタニューモウイルス、ピコルナウイルス科、腸内ウイルス、ライノウイルス、ヘパトウイルス、ヒトA型肝炎ウイルス、カルジオウイルス、口蹄疫ウイルス、レオウイルス科、オルトレオウイルス、オルビウイルス、ロタウイルス、サイポウイルス、フィジウイルス、フィトレオウイルス、オリザウイルス、レトロウイルス科、哺乳類B型レトロウイルス、哺乳類C型レトロウイルス、トリC型レトロウイルス、D型レトロウイルス群、BLV−HTLVレトロウイルス、レンチウイルス、ヒト免疫不全ウイルス1、ヒト免疫不全ウイルス2、スプマウイルス、フラビウイルス科、C型肝炎ウイルス、ヘパドナウイルス科、B型肝炎ウイルス、トガウイルス科、アルファウイルス、シンドビスウイルス、ルビウイルス、風疹ウイルス、ラブドウイルス科、ベシクロウイルス、リッサウイルス、エフェメロウイルス、レタス壊死性黄変病ウイルス、ヌクレオラブドウイルス、アレナウイルス科、アレナウイルス、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス、Ippy(イッピイ)ウイルス、ラッサウイルス、コロナウイルス科、コロナウイルス、およびトロウイルスから選択されるウイルスが挙げられる。
例示的な病原性ウイルスとしては、HIV、HSV、クラミジア、SARS、RSV、デングウイルス、およびインフルエンザが挙げられる。別の例示的な病原体は、プラスモジウム(Plasmodium)種などのアピコンプレックス門の寄生生物である。本発明の様々な態様に従って、抗原または病原体または病状をポリへドリン標的化ポリペプチドと組み合わせてもよい。
特定の実施形態では、抗原は、少なくともある種の対象において、効果的な免疫応答を発生させ、または生成を促進することが提案される、ポリペプチドまたはペプチドである。いかなる特定の理論または作用様式によっても制限されることなく、検討中の複合体は、抗原の三次元構造を安定化およびまたは保護して、抗体に、効果的な免疫応答生成のための、実施形態によっては中和抗体生成、免疫応答および抗体スクリーニングをするための改善されたビヒクルを提供することが提案される。診断またはスクリーニングのための抗体の調製において、効果的な免疫応答は、一般に、ELISA、RIA、RAPIDなどの抗体を用いた標準プロトコルにおいて有用な試薬であるための十分な親和性がある抗体を生成するものである。いくつかの実施形態では、抗原は、当該技術分野で、防御または中和免疫応答生成のために、有用でありまたは潜在的に有用であると見なされる。一連の例示的な公知の標的抗原が、本明細書に記載される。別の実施形態では、本発明は、例えば、感染対象からの抗体を中和することで、認識された新しい有用な抗原および立体構造エピトープを特性評価できるようにする。
本明細書に記載されまたは参照される方法を使用して、病原体またはがんのあらゆるウイルス抗原または非ウイルス抗原を改変してもよい。
「抗原」または「免疫原」または「抗原性」または「免疫原性」は、免疫系を刺激して、体液性および/または細胞性抗原特異反応を生じる(直鎖、立体構造のいずれかまたは双方の)1つまたは複数のエピトープを含有する分子を指す。一般に、B細胞エピトープは少なくとも約5個のアミノ酸を含むが、3〜4個のアミノ酸程度に小さくてもよい。細胞溶解性T細胞(CTL)エピトープなどのT細胞エピトープは、少なくとも約7〜9個のアミノ酸を含み、およびヘルパーT細胞エピトープは、少なくとも約12〜20個のアミノ酸を含む。常態では、エピトープは、9、10、12または15個のアミノ酸など、約7〜15個のアミノ酸を含む。「抗原」という用語は、サブユニット抗原(すなわち抗原が自然界で関連する生物全体から切り離された分離した抗原)、ならびに死滅、弱毒化または不活性化細菌、ウイルス、真菌、寄生生物またはその他の微生物の双方を意味する。抗イディオタイプ抗体などの抗体、またはその断片、および抗原または抗原性決定因子を模倣し得る合成ペプチドミモトープもまた、本明細書の用法で抗原の定義下に捕らえられる。「抗原」は、1つまたは複数の種、亜種、型、分岐群、変種、分離株などおよび/または1つまたは複数の病原体および/または1つまたは複数のがん抗原の1つまたは複数のエピトープを含んでなってもよい。いくつかの実施形態では、「抗原」への言及は、腫瘍抗原を除く、ヒトにおいて発現される核酸分子によってコードされるヒトまたは哺乳類抗原を含まない。いくつかの実施形態では「抗原」は、ヒトにおいて発現される常在性核酸分子によってコードされる抗原を含まない。
例示的な抗原としては、インフルエンザウイルス赤血球凝集素、ヒト呼吸器合胞体ウイルスG糖タンパク質、コアタンパク質、デングウイルスのマトリックスタンパク質またはその他のタンパク質、はしかウイルス赤血球凝集素、単純ヘルペスウイルス2型糖タンパク質gB、ポリオウイルスI VP1、HIV−IまたはHIV−IIの外被またはカプシド糖タンパク質、B型肝炎表面抗原、ジフテリア毒素、連鎖球菌24Mエピトープ、淋菌ピリン、仮性狂犬病ウイルスg50(gpD)、仮性狂犬病ウイルスII(gpB)、仮性狂犬病ウイルスgIII(gpC)、仮性狂犬病ウイルス糖タンパク質H、仮性狂犬病ウイルス糖タンパク質E、伝染性胃腸炎糖タンパク質195、伝染性胃腸炎マトリックスタンパク質、ブタロタウイルス糖タンパク質38、ブタパルボウイルスカプシドタンパク質、セルプリナ・ヒオディセンテリア(Serpulina hyodysenteriae)防御抗原、ウシウイルス性下痢糖タンパク質55、ニューカッスル病ウイルス赤血球凝集素−ノイラミニダーゼ、豚インフルエンザ赤血球凝集素、豚インフルエンザノイラミニダーゼ、口蹄疫ウイルス、豚コレラウイルス、豚インフルエンザウイルス、アフリカ豚コレラウイルス、マイコプラズマ・ヒオニューモニエ(Mycoplasma hyopneumoniae)、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス、ウシ伝染性鼻気管炎ウイルス糖タンパク質E、糖タンパク質G、伝染性喉頭気管炎ウイルス、伝染性喉頭気管炎ウイルス糖タンパク質Gまたは糖タンパク質I、ラクロスウイルスの糖タンパク質、新生子ウシの下痢ウイルス、ベネズエラウマ脳脊髄炎ウイルス、プンタトロウイルス、マウス白血病ウイルス、マウス乳腺腫瘍ウイルス、B型肝炎ウイルスコアタンパク質およびB型肝炎ウイルス表面抗原またはその断片または誘導体、ウマインフルエンザウイルスA/Alaska 91型ノイラミニダーゼとウマインフルエンザウイルスA/Miami 63型ノイラミニダーゼとウマインフルエンザウイルスA/Kentucky 81型ノイラミニダーゼウマヘルペスウイルス1型糖タンパク質Bとウマヘルペスウイルス1型糖タンパク質Dをはじめとするウマインフルエンザウイルスまたはウマヘルペスウイルスの抗原、ウシ呼吸器合胞体ウイルスまたはウシパラインフルエンザウイルスの抗原、ウシ呼吸器合胞体ウイルス付着タンパク質(BRSV G)、ウシ呼吸器合胞体ウイルス融合タンパク質(BRSV F)、ウシ呼吸器合胞体ウイルスヌクレオカプシドタンパク質(BRSVN)、ウシパラインフルエンザウイルス3型融合タンパク質、ウシパラインフルエンザウイルス3型赤血球凝集素ノイラミニダーゼ、ウシウイルス性下痢ウイルス糖タンパク質48および糖タンパク質53.から選択されるものが挙げられる。
例示的ながん抗原としては、KS1/4汎がん抗原;卵巣がん抗原(CA125);前立腺酸性ホスファターゼ;前立腺特異的抗原;メラノーマ関連抗原p97;メラノーマ抗原gp75;高分子量メラノーマ抗原(HMW−MAA);前立腺特異的膜抗原;がん胎児性抗原(CEA);多形性上皮性ムチン抗原、ヒト乳脂肪球抗原;CEA、TAG−72、LEAなどの結腸直腸腫瘍関連抗原;バーキットリンパ腫抗原−38.13、CD19;ヒトBリンパ腫抗原−CD20、CD33;ガングリオシドGD2、ガングリオシドGD3、ガングリオシドGM2、ガングリオシドGM3などのメラノーマ特異的抗原;腫瘍特異的移植型細胞表面抗原(TSTA);T抗原DNA腫瘍ウイルスなどのウイルス誘導性腫瘍抗原;RNA腫瘍ウイルスのエンベロープ抗原;がん胎児性抗原−α−フェトプロテイン;大腸のCEA;膀胱腫瘍がん胎児性抗原;分化抗原;ヒト肺がん抗原L6、L20;線維肉腫の抗原;ヒト白血病T細胞抗原−Gp37;ネオ糖タンパク質;スフィンゴ脂質;乳がん抗原;EGFR(表皮成長因子受容体);HER2抗原;多形性上皮性ムチン;悪性ヒトリンパ球抗原−APO−1;胎児赤血球に見られるI抗原、一次内胚葉、成人赤血球に見られるI抗原、着床前胚、胃腺がんに見られるI(Ma)、乳房上皮に見られるM18とM39、骨髄性細胞に見られるSSEA−1、結腸直腸がんに見られるVEP8とVEP9とMylとVIM−D5とDu56−22、TRA−1−85(血液型H)、結腸腺がんに見られるC14、肺腺がんに見られるF3、胃がんに見られるH6、Yハプテン、胎生期がん細胞に見られるLeY、TL5(血液型A)、A431細胞に見られるGF受容体、膵臓がんに見られるElseries(血液型B)、胎生期がん細胞に見られるFC10.2、胃腺がん抗原、腺がんに見られるCO−514(血液型Lea)、腺がんに見られるNS−10、CO−43(血液型Leb)、A431細胞のEGF受容体に見られるG49、結腸腺がんに見られるMH2(血液型ALeb/Ley)、大腸がんに見られる19.9、胃がんムチン、骨髄性細胞に見られるTsA7、メラノーマに見られるR24、胎生期がん細胞に見られる4.2、GD3、D1.1、OFA−1、GM2、OFA−2、GD2、およびM1:22:25:8、そして4〜8細胞期の胚に見られるSSEA−3とSSEA−4をはじめとする分化抗原が挙げられる。
非ウイルス性病原体および抗原としては、病原性または非病原性真菌、アピコンプレクサ、または単細胞寄生生物、線形動物、吸虫、条虫、および植物病原体または寄生性細菌をはじめとする寄生生物からのものがさらに挙げられる。
例示的な一実施形態では、病原体の1つの重要な群は、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、およびパラコクシジオイデス・ブラジリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis)などのヒトの原発性全身性病原真菌である。免疫不全宿主に依存する傾向がある重要な日和見病原性真菌としては、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、ニューモシスチス・イロベチ(Pneumocystis jiroveci)、カンジダ(Candida)種、アスペルギルス(Aspergillus)種、ペニシリウム・マルネッフェイ(Penicillium marneffei)、および接合菌(Zygomycetes)、バイゲル毛芽胞菌(Trichosporon beigelii)、およびフザリウム(Fusarium)種が挙げられる。一連の病原性真菌は、特にAIDS患者、化学療法誘導性好中球減少がある患者、または造血性幹細胞移植を受ける患者をはじめとする、免疫不全対象と関連付けられている。
いくつかの実施形態では、病原体は、細菌、真菌、ウイルス、藻類、(外部または内部寄生生物をはじめとする)寄生生物、プリオン、卵菌綱、粘菌、線形動物、マイコプラズマなどをはじめとする微生物である。非限定的例として、微生物は、以下の目、属または種の1つまたは複数から選択される。アシネトバクター(Acinetobacter)、アクチノバチルス(Actinobacillus)、放線菌(Actinomycetes)、アクチノミセス(Actinomyces)、アエロモナス(Aeromonas)、バチルス(Bacillus)、バクテロイデス(Bacteroides)、ボルデテラ(Bordetella)、ボレリア(Borrelia)、ブルセラ(Brucella)、ブルコルデリア(Burkholderia)、カンピロバクター(Campylobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、クロストリジウム(Clostridium)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、エンテロバクター(Enterobacter)、腸球菌(Enterococcus)、エリシペロスリクス(Erysipelothrix)、エシェリキア(Escherichia)、フランシセラ(Francisella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、ヘリコバクター(Helicobacter)、クレブシエラ(Klebsiella)、レジオネラ(Legionella)、レプトスピラ(Leptospira)、リステリア(Listeria)、ミクロコッカス(Micrococcus)、モラクセラ(Moraxella)、モルガネラ(Morganella)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)(結核)、ノカルジア(Nocardia)、ナイセリア(Neisseria)、パスツレラ(Pasteurella)、プレジオモナス(Plesiomonas)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、プロテウス(Proteus)、プロビデンシア(Providencia)、シュードモナス(Pseudomonas)、ロドコッカス(Rhodococcus)、サルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)、赤痢菌(Shigella)、ブドウ球菌(Staphylococcus)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、連鎖球菌(Streptococcus)、トレポネーマ(Treponema)、ビブリオ(Vibrio)(コレラ)およびエルシニア(Yersinia)(腺ペスト)、アデノウイルス科(Adenoviridae)、アフリカ豚コレラ様ウイルス、アレナウイルス科(ウイルス性出血熱、ラッサ熱など)、アストロウイルス科(Astroviridae)(アストロウイルス)、ブニヤウイルス属(Bunyaviridae)(ラクロス)、カリシウイルス科(Calicivirid)(ノロウイルス)、コロナウイルス科(Coronaviridae)(コロナウイルス)、フィロウイルス科(Filoviridae)(エボラウイルス、マールブルグウイルスなど)、パルボウイルス科(Parvoviridae)(B19ウイルス)、フラビウイルス科(C型肝炎ウイルス、デングウイルスなど)、ヘパドナウイルス科(B型肝炎ウイルス、デルタウイルスなど)、ヘルペスウイルス科(Herpesviridae)(単純ヘルペスウイルス、水痘帯状疱疹ウイルス)、オルソミクソウイルス科(Orthomyxoviridae)(インフルエンザウイルス)、パポバウイルス科(Papovaviridae)(乳頭腫ウイルス)、パラミクソウイルス科(ヒトパラインフルエンザウイルス、おたふく風邪ウイルス、はしかウイルス、ヒト呼吸器合胞体ウイルスなど)、ピコルナウイルス科(感冒ウイルス)、ポックスウイルス科(Poxviridae)(天然痘ウイルス、オルフウイルス、サル痘ウイルス)レオウイルス科(Reoviridae)(ロタウイルス)、レトロウイルス科(ヒト免疫不全ウイルス)、パルボウイルス科(Pavoviruses)(パルボウィルス)、パピローマウイルス科(Papillomaviridae)(パピローマウイルス)アルファウイルスおよびラブドウイルス科(Rhabdoviridae)(狂犬病ウイルス)、トリパノソーマ(Trypanosoma)、リーシュマニア(Leishmania)、ジアルジア(Giardia)、トリコモナス(Trichomonas)、エントアメーバ(Entamoeba)、ネグレリア(Naegleria)、アカントアメーバ(Acanthamoeba)、プラスモジウム(Plasmodium)、トキソプラスマ(Toxoplasma)、クリプトスポリジウム(Cryptosporidium)、イソスポラ(Isospora)、バランチジウム(Balantidium)、シストソーマ(Schistosoma)、エキノストーマ(Echinostoma)、ファシオロプシス(Fasciolopsis)、クロノルキス(Clonorchis)、ファスキオラ(Fasciola)、オピストルキス(Opisthorchis)およびパラゴニムス(Paragonimus)、擬葉目(Pseudophyllidea)(例えば、ジフィロボスリウム(Diphyllobothrium))、および円葉目(Cyclophyllidea)(例えば、テニア(Taenia))。病原性の線形動物としては、以下の目からの種が挙げられる。桿線虫目(Rhabditida)(例えば、糞線虫類(Strongyloides))、円虫目(Strongylida)(例えば、アンシロストーマ属(Ancylostoma))、回虫類(Ascarida)(例えば、アスカリス属(Ascaris)、トキソカラ属(Toxocara))、旋尾線虫目(Spirurida) (例えば、ドラクンクルス属(Dracunculus)、ブルギア属(Brugia)、オンコセルカ属(Onchocerca)、ウケレリア属(Wuchereria))、および双器綱Adenophorea (例えば、鞭虫属(Trichuris)および旋毛虫属(Trichinella))、プロトセカ属(Prototheca)およびフィエステリア属(Pfiesteria)、アブシディア属(Absidia)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ブラストミセス属(Blastomyces)、カンジダ属(Candida)(酵母)、クラドフィアロフォラ属(Cladophialophera)、コクシジオイデス(Coccidioides)、クリプトコッカス属(Cryptococcus)、クニンガメラ属(Cunninghamella)、フザリウム属(Fusarium)、ヒストプラスマ属(Histoplasma)、マズレラ属(Madurella)、マラセジア属(Malassezia)、小胞子菌属(Microsporum)、ケカビ属(Mucor)、ペシロミセス属(Paecilomyces)、パラコクシジオイデス属(Paracoccidioides)、ペニシリウム属(Penicillium)、ニューモシスチス属(Pneumocystis)、シュードアレシェリア属(Pseudallescheria)、クモノスカビ属(Rhizopus)、ロドトルラ属(Rhodotorula)属、セドスポリウム属(Scedosporium)、スポロトリクス属(Sporothrix)、トリコフィトン属(Trichophyton)、およびトリコスポロン属(Trichosporon)。不確かさを回避するために病原体は、新興または再興病原体または、これまで特定の対象の病原体として同定されたことがない生物を含むこともできる。
本明細書における「結合」への言及は、共有結合および非共有結合を含む。例証実施形態では、結合は、融合タンパク質の直鎖構成要素の間などの共有結合である。別の共有結合は、ジスルフィド塩基である。「融合」は、共有結合を指す。
「合成」配列は、本明細書の用法では、通常、発現を最適化するために、その発現が、例えばコドン置換、阻害配列の欠失、置換および/または不活性化によって、本明細書に記載されるように最適化されているポリヌクレオチドを含む。「野生型」または「未変性」または「天然」配列は、本明細書の用法では、本質的に天然に見られるそのままのポリペプチドをコードする配列を指す。
組換えポリペプチドおよび抗原は、好都合には、例えばSambrook, et al.,1989(前出)の特に16および17節;Ausubel et al.,1994(前出)の特に第10および16章;およびColigan et al.,CurrentProtocols in Protein Science,JohnWiley & Sons,Inc.1995−1997の特に第1、5、および6章に記載されるようにして、標準プロトコルを使用して調製し得る。ポリへドリン標的化ペプチドおよびポリへドリンをコードする発現ベクターを含んでなる、AcCP−Hなどの融合タンパク質については、Ikeda et al.,2006(前出);米国特許出願公開第2006/0155114号明細書;Mori et al.,1993(前出);国際公開第2008/1105672号パンフレットに記載される。ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、例えば、Atherton and Shephardの第9章(前出)およびRoberge et al.,Science,269(5221):202−204,1995に記載されるように、例えば溶液合成または固相合成を使用した化学合成によって合成されてもよい。
医薬組成物は、好都合には従来の医薬品調剤技術に従って調製される。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.,Mack Publishing,Company,Easton,PA,U.S.A.,1990を参照されたい。組成物は、活性薬剤または活性薬剤の薬学的に許容可能な塩を含有してもよい。これらの組成物は、活性物質の1つに加えて、薬学的に許容可能な賦形剤、キャリア、緩衝液、安定剤または当該技術分野で周知のその他の材料を含んでなってもよい。このような材料は無毒であるべきで、活性成分の有効性に干渉してならない。キャリアは、例えば静脈内、経口または非経口などの投与のために所望される調製品の形態に応じて、多種多様な形態を取ってもよい。
「薬学的に許容できるキャリア」および/または希釈剤は、不都合でない、すなわち単独でまたは活性薬剤と一緒になって実質的な有害反応を引き起こす可能性が低い材料からなる、薬学的ビヒクルである。キャリアとしては、全ての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性および抗真菌作用物質、浸透圧を調節し、吸収またはクリアランス速度を増大または低下させる作用物質、pHを維持するための緩衝液、キレート剤、膜または障壁横断作用物質が挙げられる。薬学的に許容可能な塩は、不都合でない塩である。作用物質、または作用物質を含んでなる組成物は、酸付加塩または金属錯体などの薬学的に許容可能な無毒の塩の形態で投与されてもよい。
経口投与のためには、化合物は、カプセル、丸薬、錠剤、ロゼンジ、粉末、懸濁液またはエマルションなどの固体または液体調製品に配合し得る。組成物の経口剤形への調製では、例えば、経口液体調製品(例えば、懸濁液、エリキシル剤、および溶液など)の場合は、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存料、着色剤、懸濁剤;または経口固体調製品(例えば、粉末、カプセル、および錠剤など)の場合は、デンプン類、糖類、希釈剤、顆粒化作用物質、潤滑剤、バインダー、崩壊剤などのキャリアなどのあらゆる通常の製薬媒体を用いてもよい。それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセルは、最も有利な経口投与単位形態に相当し、その場合、言うまでもなく固体薬学的キャリアが用いられる。錠剤は、トラガカント、コーンスターチまたはゼラチンなどのバインダー;アルギン酸などの崩壊剤;およびステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を含有してもよい。所望ならば、錠剤は、標準的な技術によって糖衣掛けし、または腸溶コーティングを施してもよい。活性薬剤は、それが胃腸管を安定して通過するようにカプセル化し得る。例えば国際公開第96/11698号パンフレットを参照されたい。
非経口投与のためには、組成物をキャリアに溶解して、溶液または懸濁液として投与してもよい。作用物質をクモ膜下腔内に投与する場合は、それらを脳脊髄液に溶解してもよい。経粘膜または経皮(パッチをはじめとする)送達では、対象複合体を送達するために、当該技術分野で公知の適切な浸透剤が使用される。吸入では、送達は、乾燥粉末煙霧剤、液体送達系、空気ジェットネブライザー、噴霧剤システムなどのあらゆる都合良いシステムを使用する。例えば、製剤は煙霧剤またはミストの形態で投与し得る。作用物質はまた、持続送達または徐放形式で送達されてもよい。例えば、持続送達できる生分解性微小球またはカプセルまたはその他の高分子配列を製剤に含め得る。処方を修正して、薬物動態および生体内分布を変更し得る。薬物動態学的の一般考察については、例えばRemington’sを参照されたい。いくつかの実施形態では、製剤は、リポソームまたはミセルなどの脂質単層または二重層に組み込まれてもよい。当該技術分野で公知の標的化治療法を使用して、制限を意図しない例として、抗原提示細胞などの特定の種類の細胞または組織に、より特異的に作用物質を送達してもよい。
投与される活性薬剤の実際の量および投与の速度と経時変化は、疾患または病状の性質と重篤性に左右される。例えば投与量やタイミング決定などの治療の処方は、一般開業医または専門家の任務の範囲内であり、典型的に、個々の患者の病状、送達部位、投与方法、およびその他の医師に既知の要素が考慮される。技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(前出)にある。
調製されてもよい持効性製剤は、免疫応答を誘導するのに特に便利である。持効性製剤の例としては、拮抗薬を含有する固体疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、例えばフィルムまたはマイクロカプセルなどの造形品の形態である。持効性マトリックスの例としては、ポリエステル、ハイドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリルアミド)、またはポリ(ビニルアルコール)、ポリラクチド、L−グルタミン酸とエチル−L−グルタメートの共重合体、非分解性エチレン−酢酸ビニル、分解性乳酸−グリコール酸共重合体、およびポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸が挙げられる。エチレン−酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーが分子を100日間にわたって放出できる一方、特定のハイドロゲルはタンパク質を短時間で放出する。小型(約200〜800Å)単層タイプのリポソームを使用してもよく、その中では脂質含量が約30%コレステロールを超え、選択される比率は最適治療法のために調節される。
スルフヒドリル残基を修飾し、酸性溶液から凍結乾燥し、水分含量を制御し、適切な添加剤を使用し、独自のポリマーマトリックス組成物を開発することで、タンパク質の安定化を達成してもよい。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)基などのその他の要素の付着をはじめとする、当該技術分野で公知の技術を使用して、タンパク質の生体内半減期を延長してもよい。
当該技術分野で開示されるプライムブースト免疫付与ストラテジーが、明らかに検討される。例えば国際公開第2003/047617号パンフレットを参照されたい。したがって組成物は、ワクチン、初回刺激または追加免疫作用物質の形態であってもよい。
タンパク質複合体を直接投与する代わりに、例えばウイルスベクター内または細胞ベースの送達系内で、それらを宿主細胞または導入細胞内で生成し得る。ベクターは、免疫系の要素を標的にし得る。所望標的部位で患者の身体に埋め込むために細胞ベースの送達系がデザインされ、対象融合ポリペプチド、複合体、および多面体のためのコード配列が含有される。代案としては、作用物質は、治療される細胞内で生成されまたは治療される細胞を標的とする活性化剤によって、活性形態に転換される前駆体形態で投与し得る。
免疫応答を誘発する上での対象組成物の様々な用途についてさらに述べると、組成物は、一般に、有効量で、免疫応答を引き起こすのに十分な時間と条件で投与される。本発明の組成物は、単回投与で投与されてもよい。代案としては、組成物は反復投与または適用を伴ってもよい。
「治療的有効量」および「予防的有効量」をはじめとする「有効量」という用語は、本明細書の用法では、本明細書で定義される複合体、または本明細書に記載される細胞または抗体を含んでなる組成物が、所望の治療的または生理学的効果を提供するのに十分な量であり、十分な体液性または細胞性免疫を誘導するなどの生物学的効果を達成するのに十分な量を意味する。所望の生物学的効果としては、症状の軽減または解消、寛解、病原体力価低下、脈管または脳の損傷軽減、鼻汁、発熱の低下が挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば副作用などの望ましくない効果が、所望の治療効果と共に、時に発現することもある。したがって医師は、適切な「有効量」を判定する上で、潜在的利点と潜在的リスクの均衡を図る。必要な作用物質の正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、投与様式などに応じて、対象毎に変動する。したがって正確な「有効量」の規定が可能でないこともある。しかしあらゆる個々の症例の適切な「有効量」は、通例の実験法を使用して当業者によって判定されてもよい。当業者は、以前の作用物質の投与、対象のサイズ、対象の症状の重篤性、病原体負荷、および選択された特定の組成物または投与経路などの要素に基づいて、必要な量を決定し得る。
「治療」または「予防法」または「治療法」という用語は、その最も広義の文脈で同義的に使用され、少なくともいくらかの対象における、治療される1つまたは複数の病状の症状における、または特定の病状を発症するリスクにおける、あらゆる測定可能なまたは統計的に有意な改善を含む。予防法は、病状の重篤性または発症、または病状の徴候の低下と見なされてもよい。治療はまた、既存の病状の重篤性を低下させてもよい。ワクチン組成物の投与は、一般に予防的な目的のためである。
いくつかの実施形態では、ワクチンまたは本発明の組成物は、その存在が、少なくとも1株の病原体またはウイルスに対する一次または二次体液性または細胞性応答の少なくとも1つを増強し、または増強を示す、検出可能な変化を受容患者の生理機能にもたらすならば、生理学的に有効である。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物が投与されて病原体の感染を防ぐ。「防御」は絶対的でなくてもよく、すなわち対照患者集団またはセットと比較して、統計的に有意な改善があるならば、感染症は完全に予防または根絶されなくてもよい。防御は、ウイルス性またはその他の病原体感染症状の発症、または本明細書に記載されるがんまたはその他の病状の発症の重篤性または迅速性の低下に限定されてもよい。
一実施形態では、本発明のワクチン組成物が、感染症発症前に(予期される感染症を予防または軽減するように)または感染症発症後に、対象に提供され、それによってウイルス感染症から防御する。いくつかの実施形態では、本発明のワクチン組成物が、感染症発症の前後に対象に提供されて、対象間のウイルス伝播を減少させる。
本発明の組成物を唯一の活性医薬品として投与し、または1つまたは複数の作用物質と組み合わせて使用し、病原体感染性またはこのような感染症と関連付けられている症状を治療または予防し得ることもさらに理解されるであろう。
医薬組成物は、具体的事例に左右される量で投与すると、治療活性を呈示することが検討される。変動は例えば、ヒトまたは動物および作用物質の選択に左右される。広範な用量が、適用可能なこともある。対象を考察して、例えば毎日または隔日または毎週または毎月体重1キログラムあたり、約0.1μg〜1μg(すなわち0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、および0.9μgをはじめとする)0.5μg〜50μg、1μg〜10μg、2μg〜200μg、0.1mg〜1.0mg(すなわち0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、および0.9mgをはじめとする)、約15mg〜35mg、約1mg〜30mgまたは5〜50mg、または10mg〜100mgの作用物質を投与してもよい。予防的な組成物をはじめとする治療薬は約0.1〜20mg/kgの投与量で投与してもよいが、この量を超えるまたはそれ未満の投与量が、上に列挙した範囲内で検討される。投薬計画を調節して、最適治療反応を提供してもよい。例えば、いくつかの分割用量を日毎、週毎、月毎、またはその他の適切な時間間隔で投与してもよく、または状況の要件によって示唆されるように、用量を比例的に低減してもよい。組成物を徐放性製剤中で投与することもまた可能である。医薬品は、好都合には錠剤、カプセル、粉末などの単位用量形態で提供される。
組成物、複合体、抗体、および細胞は、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、皮内、くも膜下腔内または坐薬手段または(例えば徐放分子を使用した)埋め込みなどによって、都合良い様式で投与してもよい。投与は、全身性または局所性であってもよい。全身性への言及は、静脈内、腹腔内、皮下注射、輸液、ならびに経口、直腸、膣、および鼻孔を介した、または吸入による投与を含む。その他の検討される投与手段は、パッチ、細胞転移、埋め込み、舌下、眼内、局所または経皮による。
いくつかの実施形態では、経口または経鼻投与が検討される。毛細血管はおよそ5μmの直径を有して、直径が約1μmよりも小さい複合体の投与を可能にする。5μmを超える多面体は、皮下または筋肉内に、または当該技術分野で公知のその他の都合良い手段によって投与されてもよい。多面体は、慣例的にサイズに基づいて分けられる。
機能的変種および誘導体は、「生物学的に活性な一部」または「生物学的に活性な部分」または「機能的一部または部分」を含み、それは完全長標的化ポリペプチドの部分を意味し、少なくとも抗原がポリへドリンを標的とする構造的および機能的能力を保ちさえすれば、その部分は完全長分子の活性を保つ。本明細書の用法では、「生物学的に活性な一部」という用語は、活性を保つ、例えば20、21、22、23、24、25、30、40、50、60、70、80、90、100、120、150、300、350個の隣接するアミノ酸(そしてその間の各整数)などの少なくとも約20〜200個のアミノ酸を含む、欠失変異体およびペプチドを含む。このタイプの部分は、標準組換え核酸技術の適用を通じて得てもよく、または従来法または最先端技術の液相または固相合成技術を使用して合成してもよい。例えば、と題された第9章に記載される、溶液合成または固相合成を参照してもよい。「誘導体」は、例えば当該技術分野で理解されているように、その他の化学的部分との接合または錯化による、または翻訳後修飾技術による、修飾によって基礎配列から誘導されるポリペプチドを意味する。「誘導体」という用語はまた、機能的に同等の分子を提供する、付加、または欠失をはじめとする、標的化ポリペプチドに加えられた改変もその範囲内に含む。
ポリヌクレオチドまたはポリペプチドの「部分」または「一部」は、少なくとも約20個のヌクレオチドまたはアミノ酸の最小限のサイズを有すると定義され、少なくとも約100個のヌクレオチドまたはアミノ酸の最小限のサイズを有してもよい。この定義は、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34または35個のヌクレオチドまたはアミノ酸をはじめとする、10〜35個のヌクレオチドまたはアミノ酸の範囲内の全てのサイズ、ならびに300、500、600個のヌクレオチドまたはアミノ酸をはじめとする、100個を超えるヌクレオチドまたはアミノ酸、またはこれらの値内のあらゆる数のヌクレオチドまたはアミノ酸を有する分子を含む。
本明細書における標的化ポリペプチドまたはペプチドまたはポリへドリンポリペプチドの「機能的変種」への言及は、本明細書に記載されるポリへドリンとの複合体を形成する、本明細書で同定される配列の機能的および構造的能力を保つのに十分な程度の配列類似性または1つまたは複数の生物学的活性部分または活性部の脱落を有する、天然または非天然機能的変種、生物学的活性部分または活性部、前駆体、誘導体、アナログおよび組換えまたは合成形態を含む。機能的変種は、詳細な説明でさらに説明される。
「配列同一性」という用語は、本明細書の用法では、比較ウインドウ全体にわたって、ヌクレオチド単位で、またはアミノ酸単位で、配列が同一である程度を指す。したがって「配列同一性百分率」は、比較ウインドウ全体にわたって最適に整列させた2つの配列を比較して、同一核酸塩基(例えば、A、T、C、G、I)または同一アミノ酸残基(例えば、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、およびMet)が、双方の配列内に存在する位置の数を求めて一致位置数とし、一致位置数を比較ウインドウ内の総位置数(すなわちウインドウサイズ)で除して、結果に100を乗じて配列同一性百分率を得ることで計算される。本発明の目的で、「配列同一性」は、適切な方法で計算された「一致百分率」である計算を意味すると理解される。例えば、配列同一性分析は、ソフトウェアに付属する参照マニュアルで使用される標準初期設定を使用して、DNASISコンピュータプログラム(Windows(登録商標)版Version 2.5;Hitachi Software engineering Co.,Ltd.,South San Francisco,California,USAより入手可能)を使用して実施してもよい。
2つ以上のポリヌクレオチドまたはポリペプチド間の配列の関係性を記述するために使用される用語には、「参照配列」、「比較ウインドウ」、「配列同一性」、「配列同一性の百分率」、および「実質同一性」が含まれる。「参照配列」は、長さが少なくとも12、頻繁に15〜18であり、少なくとも25のモノマー単位であることが多い、ヌクレオチドおよびアミノ酸残基である。2つのポリヌクレオチドは、それぞれ(1)2つのポリヌクレオチド間で同様の配列(すなわち相補的ポリヌクレオチド配列の一部)、および(2)2つのポリヌクレオチド間で相違する配列を含んでなってもよいため、2つ(以上)のポリヌクレオチド間の配列比較は、典型的に、配列類似性の局在性領域を同定し比較する「比較ウインドウ」全体にわたって、2つのポリヌクレオチド配列を比較することで実施される。「比較ウインドウ」は、少なくとも6個、一般的には約50〜約100個、より一般的には約100〜約150個の隣接位置の概念的セグメントを指し、その中では配列が、2つの配列を最適に整列させた後に、同数の隣接位置の参照配列と比較される。比較ウインドウは、2つの配列の最適アラインメントのための(付加または欠失を含まない)と参照配列比較して、約20%以下の付加または欠失(すなわちギャップ)を含んでなってもよい。比較ウインドウを配列比較するための最適な配列アラインメントは、アルゴリズムのコンピュータ化された実装によって行ってもよく(Genetics Computer Group,575 Science Drive Madison,WI,USAからのWisconsin Genetics Software Package Release 7.0中のGAP、BESTFIT、FASTA、およびTFASTA)、または検査と、選択された様々な方法のいずれかによって作成される最良整列化(すなわち比較ウインドウ全体にわたる最高の百分率相同性がもたらされる)とによって行ってもよい。例えばAltschul et al.,Nucl.Acids Res.,25:3389−3402,1997によって開示される、プログラムのBLASTファミリーを参照してもよい。配列分析の詳細な考察は、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & SonsInc,第15章,1994−1998の第19.3部にある。
「組換え」という用語は、本明細書核酸分子について記述するのに使用されてもよく、その起源または操作が(1)それが自然界で付随するポリヌクレオチドの全部または一部に付随しておらず;および/または(2)それが自然界で結合している以外のポリヌクレオチドに結合しているという理由から、ゲノム起源、cDNA起源、半合成起源、または合成起源であるポリヌクレオチドを意味する。タンパク質またはポリペプチドに関して使用される「組換え」という用語は、組換えポリヌクレオチドの発現によって生成されるポリペプチドを意味する。
「組換え宿主細胞」、「宿主細胞」、「細胞」、「細胞系」、「細胞培養」、およびその他のこのような用語は、単細胞実体として培養された原核微生物または真核細胞系統を指し、同義的に使用されて、組換えベクターまたはその他のトランスファーDNAの受容体として使用され得る、または使用されている細胞を指し、形質移入された最初の細胞の子孫を含む。
「ハイブリダイゼーション」または「ハイブリダイズ」は、DNA−DNAハイブリッドまたはDNA−RNAハイブリッドを生じる、相補的ヌクレオチド配列の対合形成を意味するために本明細書で使用される。ハイブリダイゼーションは、当業者に知られている変動する状況下で生じ得る。「と特異的にハイブリダイズする」などの語句は、当該技術分野で公知のストリンジェントな条件下において、分子が特定のヌクレオチド配列のみと結合、二重化、またはハイブリダイズすることを指す。
「抗体」および「抗体群」という用語は、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体、そして完全長抗体(例えば無処理Fc領域を有する)と、例えばFv、Fab、Fab’、およびF(ab’) 2断片をはじめとする抗原結合性断片とをはじめとするが、これに限定されるものではない、モノクローナル抗体に由来する全ての様々な形態;および一本鎖抗体などの組換え手法を使用して生成された抗体由来ポリペプチドを含む。「抗体」および「抗体群」という用語はまた、本明細書の用法では、例えば遺伝子導入動物中で、またはファージディスプレイを通じて、生成されたヒト抗体、ならびに対象抗体、s抗体、霊長類化抗体または脱免疫化抗体も指す。それは、例えば軟骨海産動物またはラクダ科動物に由来する単一ドメイン抗体、またはこのような抗体に基づくライブラリーに由来するものなど、治療的に許容可能であってもよいその他の形態の抗体、およびその抗原結合性断片もまた含む。抗体の断片または修飾形態の選択には、断片または修飾形態がそれらの半減期に及ぼすあらゆる影響もまた関与してもよい。
「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指すために本明細書で使用される。すなわち集団を構成する個々の抗体は、わずかに存在することもある自然発生的突然変異を除いては、同一である。「モノクローナル」という用語は、本明細書の用法では、抗体の特徴が実質的に均質な抗体集団から得られたことを示し、抗体が特定の方法によって生成されたことを示すためには使用されない。例えば本発明に従ったモノクローナル抗体は、Kohler and Milstein,Nature 256:495−499,1975によって記載されるハイブリドーマ法によって生成されてもよく、または(米国特許第4,816,567号明細書に記載されるような)組換えDNA法によって生成されてもよい。モノクローナル抗体はまた、Clackson et al.,Nature 352:624−628,1991またはMarks et al.,J.Mol.Biol.222:581−597,1991に記載される技術を使用して、ファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
宿主細胞系統中でのクローニングおよび発現のために利用できるベクターは当該技術分野で周知であり、哺乳類細胞系中でのクローニングおよび発現のためのベクター、細菌細胞系中でのクローニングおよび発現のためのベクター、ファージ中でのクローニングおよび発現のためのベクター、および昆虫細胞系中でのクローニングおよび発現のためのベクターが挙げられるが、これに限定されるものではない。抗体は、標準タンパク質精製法を使用して回収し得る。
適切な場合は、抗原またはポリへドリン分子の化学アナログを慣例的に用いてもよい。本明細書で検討されるアナログとしては、側鎖の修飾;ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質合成中の非天然アミノ酸および/またはそれらの誘導体の組み込み;およびタンパク様分子またはそれらのアナログに立体構造的束縛を課す、架橋剤およびその他の方法の使用が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明は、非ヒト動物を免疫化し、または本明細書に記載される融合または複合体タンパク質または多面体で、またはそれらをコードする核酸で、ヒト免疫グロブリン遺伝子のライブラリーの発現産物をスクリーニングして、対象抗原、または同抗体を含んでなる病原体または組織全部または一部に特異的に結合する抗体を単離するステップを含んでなる、抗体を生成する方法を提供する。
別の実施形態では、本発明は、対象タンパク質または複合体を使用して、本明細書に記載される方法によって生成される抗体、またはその対象ヒトまたはヒト化形態を提供する。抗体は、ポリクローナルでなくモノクローナルであることが好ましく、好ましくは対象ヒト化脱免疫化抗体であり、またはヒト抗体である。
機能的変種への言及は、少なくとも1つのアミノ酸残基の付加、欠失および/または置換によって、天然形態または本明細書に提示する形態と区別されるものを含む。したがって変種は、天然タンパク質のN末端および/またはC末端における、1つまたは複数のアミノ酸の欠失(いわゆるトランケーション)または付加;天然タンパク質の1つまたは複数の部位における、1つまたは複数のアミノ酸の欠失または付加;または天然タンパク質の1つまたは複数の部位における1つまたは複数のアミノ酸の置換によって天然タンパク質から誘導されるタンパク質を含む。本発明に包含される変種タンパク質は生物学的に活性であり、すなわちそれらは、親タンパク質の所望の生物学的活性(例えば免疫原性、またはポリへドリンと複合体を形成しまたは関心のある抗原を少なくとも部分的にカプセル化する能力)を保持し続ける。変種は、例えば遺伝的多形性または人間による操作から得られてもよい。ウイルス性ポリペプチドの生物学的に活性な変種は、デフォルトパラメータを使用した本明細書の他の箇所に記載される配列アラインメントプログラムによる測定で、本明細書に記載される公開されたタンパク質のアミノ酸配列と、典型的に少なくとも40%、50%、60%、70%、一般に少なくとも75%、80%、85%、好ましくは約90%〜95%以上、およびより好ましくは約98%以上の配列類似性または同一性を有する。いくつかの実施形態では、同定された百分率は、完全長ポリペプチドに、またはそれに変種が由来する親分子に言及する。対象ポリペプチドの生物学的に活性な変種は、一般に100、50または20個程度のアミノ酸残基、または適切にはわずか1〜15個のアミノ酸残基、6〜10個などわずか1〜10個、わずか5個、わずか4、3、2個、またはたった1個でさえあるアミノ酸残基が、対象ポリペプチドと異なっていてもよい。
変種ポリペプチドは、アミノ酸置換、欠失、トランケーション、および挿入をはじめとする様々なやり方で改変されてもよい。このような操作方法は、一般に当該技術分野で公知である。例えば対象ポリペプチドのアミノ酸配列変種をDNA中の変異によって調製し得る。変異誘発およびヌクレオチド配列変更方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Kunkel,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:488−492,1985;Kunkel et al.,Methods in Enzymol.,154:367−382,1987;U.S.Pat.No.4,873,192;Watson et al.,Molecular Biology of the Gene,Fourth Edition,Benjamin/Cummings,MenloPark,Calif.,1987)およびその中で引用される参考文献を参照されたい。関心のあるタンパク質の生物学的活性に影響を及ぼさない適切なアミノ酸置換に関するガイダンスは、Dayhoff et al.,Atlas of Protein Sequence and Structure,Natl.Biomed.Res.Found.,Washington,D.C.,1978のモデルに見られる。点突然変異またはトランケーションによって作製されたコンビナトリアルライブラリーの遺伝子産物をスクリーニングする方法、および選択された特性を有する遺伝子産物についてcDNAライブラリーをスクリーニングする方法は、当該技術分野で公知である。このような方法は、対象ポリペプチドのコンビナトリアル変異誘発によって作成された遺伝子ライブラリーの迅速なスクリーニングのために適合できる。スクリーニングアッセイと組み合わせて、ライブラリー中の機能的変異体の発生頻度を高める技術である再帰アンサンブル変異誘発(REM)を使用して、対象ポリペプチド変種を同定し得る(Arkin and Yourvan,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:7811−7815,1992;Delgrave et al.,Protein Engineering,6:327−331,1993)。下でより詳細に考察するように、1つのアミノ酸を別の同様な特性を有するもので置換するような保存的置換が望ましい。
変種対象ポリペプチドは、参照アミノ酸配列と比較して、それらの配列の様々な位置に保存的アミノ酸置換を含有してもよい。「保存的アミノ酸置換」は、その中でアミノ酸残基が、同様の側鎖を有するアミノ酸残基で置換されているものである。同様の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野で定義されており、それは一般に以下のように下位分類される。
酸性:残基は生理学的pHにおけるHイオンの損失に起因する負電荷を有し、ペプチドが生理学的pHの水性媒体中にある場合、残基はそれがその中に含有されるペプチド立体構造中で表面位置を求めるように、水溶液に引きつけられる。酸性側鎖を有するアミノ酸としては、グルタミン酸およびアスパラギン酸が挙げられる。
塩基性:残基は、生理学的pHまたはその1または2pH単位内におけるHイオンとの結びつきに起因する正電荷を有し(例えばヒスチジン)、ペプチドが生理学的pHの水性媒体中にある場合、残基はそれがその中に含有されるペプチド立体構造中で表面位置を求めるように、水溶液に引きつけられる。塩基性側鎖を有するアミノ酸としては、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが挙げられる。
荷電:残基は生理学的pHにおいて荷電し、したがって、酸性または塩基性側鎖を有するアミノ酸を含む(すなわちグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、およびヒスチジン)。
疎水性:残基は生理学的pHにおいて荷電せず、ペプチドが水性媒体中にある場合、残基はそれがその中に含有されるペプチド立体構造中で内部位置を求めるように、水溶液を忌避する。疎水性側鎖を有するアミノ酸としては、チロシン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、およびトリプトファンが挙げられる。
中性/極性:残基は生理学的pHにおいて荷電せず、ペプチドが水性媒体中にある場合、残基はそれがその中に含有されるペプチド立体構造中で内部位置を求めるのに十分であるようには、水溶液を忌避しない。中性/極性側鎖を有するアミノ酸としては、アスパラギン、グルタミン、システイン、ヒスチジン、セリン、およびスレオニンが挙げられる。
この記述はまた、たとえ極性基を欠いていても、疎水性もたらすには側鎖が十分に大型でないため、特定のアミノ酸を「小型」と特徴付ける。プロリンを除いて、「小型」アミノ酸は、少なくとも1つの極性基が側鎖上にある場合は4つ以下の炭素、そうでない場合は3つ以下の炭素を含む。小型側鎖を有するアミノ酸としては、グリシン、セリン、アラニン、およびスレオニンが挙げられる。遺伝子がコードする二次アミノ酸プロリンは、ペプチド鎖二次立体構造に対するその公知の影響のために、特別な例である。プロリンの構造は、全てのその他の天然アミノ酸と異なり、その側鎖はα−アミノ基の窒素ならびにα−炭素に結合する。しかしいくつかのアミノ酸類似性マトリックス(例えばDayhoff et al.1978,(前出),A model of evolutionary change in proteins.Matrices for determining distance relationships In M.O.Dayhoff,(ed.),Atlas of protein sequence and structure,Vol.5,pp.345−358,National Biomedical Research Foundation,WashingtonDCによって;およびGonnet et al.,Science,256(5062):1443−1445,1992によって開示されるPAM120マトリックスおよびPAM250マトリックス)は、プロリンをグリシン、セリン、アラニン、およびスレオニンと同じグループ内に含む。したがって本発明の目的で、プロリンは「小型」アミノ酸に分類される。
極性または非極性の分類のために必要な引力または反発の程度は任意であり、したがって本発明によって具体的に検討されるアミノ酸は、そのどちらか一方に分類されている。具体的に指名されないアミノ酸のほとんどは、既知の挙動に基づいて分類され得る。
アミノ酸残基は、環式または非環式、および芳香族または非芳香族、残基の側鎖置換基に関する自明の分類、および小型または大型にさらに下位分類され得る。残基は、追加的な極性置換基が存在するという条件で、それがカルボキシル炭素を含めて合計4つ以下の炭素原子を含有し、存在しない条件では3つ以下の炭素原子を含有する場合、小型と見なされる。もちろん小型残基は、常に非芳香族である。それらの構造特性次第で、アミノ酸残基は2つ以上のクラスに含まれてもよい。天然タンパク質アミノ酸について、このスキームに従った下位分類を表1に提示する。
保存的アミノ酸置換は、側鎖に基づく分類もまた含む。例えば脂肪族側鎖を有するアミノ酸群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、およびイソロイシンであり;脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸群は、セリンおよびスレオニンであり;アミド含有側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギンおよびグルタミンであり;芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンであり;塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リジン、アルギニン、およびヒスチジンであり;イオウ含有側鎖を有するアミノ酸群は、システインおよびメチオニンである。例えば、ロイシンのイソロイシンまたはバリンによる、アスパルテームのグルタメートによる、スレオニンのセリンによる置換、またはアミノ酸の構造的関連アミノ酸による同様の置換が、得られる変種ポリペプチドの特性に、大きな影響を及ぼさないと予想することは理にかなっている。アミノ酸変化が機能的対象ポリペプチドをもたらすかどうかは、その活性をアッセイすることにより容易に求め得る。保存的置換は、表2(下)の例示的な置換の見出しの下に示される。より望ましい置換は、好ましい置換の見出しの下に示される。本発明の範囲内に入るアミノ酸置換は、一般に以下の維持に対する、それらの影響が顕著に異ならない置換を選択することで達成される。(a)置換領域におけるペプチド主鎖の構造、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の大半。置換を導入した後、変種を生物学的活性についてスクリーニングする。
代案としては、側鎖の同一性に基づいて、保存的置換を行うための類似アミノ酸を3つのカテゴリーにグループ分けし得る。Zubay,G.,Biochemistry,third edition,Wm.C.Brown Publishers(1993)に記載されるように、第1のグループは全て荷電側鎖を有するグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、リジン、ヒスチジンを含み;第2のグループはグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、グルタミン、アスパラギンを含み;第3のグループはロイシン、イソロイシン、バリン、アラニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニンを含む。
したがって、対象ポリペプチド中の予測された非必須アミノ酸残基は、典型的に、同じ側鎖ファミリーからの別のアミノ酸残基で置換されている。代案としては、変異は、飽和変異誘発などによって、対象ポリヌクレオチドコード配列の全部または一部に沿って無作為に導入し得て、得られた変異体を親ポリペプチドの活性についてスクリーニングして、活性を保つ変異体を同定し得る。コード配列の変異誘発に続いて、コードされたペプチドを組換え的に発現し得て、ペプチドの活性を求め得る。
したがって本発明は、本明細書で提供される対象ポリペプチドの変種、またはそれらの生物学的に活性な断片もまた検討し、その中で変種は、1つまたは複数のアミノ酸残基の付加、欠失、または置換により、提供配列と区別される。一般に変種は、参照対象ポリペプチド配列と、少なくとも約30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の類似性を示す。望ましくは変種は、対象親ポリペプチド配列と、少なくとも30、40、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99%の配列同一性を有する。さらに1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100個以上のアミノ酸の付加、欠失、または置換により、開示配列と異なるが、対象親ポリペプチドの生物学的活性を保つ配列が検討される。変種対象ポリペプチドは、本明細書で定義されるストリンジェントな条件、特に高ストリンジェンシー条件下で、開示ポリヌクレオチド配列、またはその非コード鎖にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドもまた含む。
いくつかの実施形態では、変種ポリペプチドは、少なくとも1個であるが、50、40、30、20、15、10、8、6、5、4、3または2個未満のアミノ酸残基が、先行技術または野生型配列と異なる。別の実施態様では、変種ポリペプチドは、少なくとも1%であるが、20%、15%、10%または5%未満の残基が、列挙された配列と異なる(この比較がアラインメントを要する場合、配列は最大類似性のために整列されるべきである。欠失または挿入、またはミスマッチから「ループ」アウトした配列は、相違と見なされる)。相違は、適切には、非必須残基または保存的置換における相違または変化である。
「非必須」アミノ酸残基は、その機能の1つまたは複数を無効化したりまたは実質的に改変することなく、実施形態ポリペプチドの野生型配列から変更され得る残基である。適切には、変更はこれらの機能を実質的に改変せず、例えば活性は、野生型の少なくとも20%、40%、60%、70%または80%である。「必須」アミノ酸残基は、変更されると、親活性の20%未満が存在するなど、親分子の活性の無効化をもたらす残基である。
以下の非限定的例によって、本発明をさらに説明する。
実施例1
材料と方法
Gag多面体の生成
1)SF9細胞を150〜300mlのSF−900SFM(Invitrogen)中で、1×106細胞/mlの濃度に分割する。
2)P3ウイルス株CPVを1:500で、Gagクローン15P3(H1−WT−Gag−His)を1:125でSF9細胞に添加する。
3)細胞を振盪機内で27℃で48時間培養する。
多面体の精製
1)SF9細胞懸濁液を50mlのFalconチューブに入れる。
2)2000rpmで5分間遠心分離する。
3)上清を除去する。
4)1mlの無菌PBS(pH7.4)を再懸濁細胞に添加して、エッペンドルフ管に移す。
5)懸濁液を氷上において10mAmpで30秒間超音波処理する。
6)4000rpmで1分間遠心分離する。
7)上清を除去して1mlのPBSに再懸濁する。
8)ステップ5〜7をさらに2回繰り返す。
9)結晶を最終容積300μlのPBSに再懸濁する。
10)光学顕微鏡を使用して多面体の純度を調べる。
スクロース勾配を使用した精製
1)以下のようにして、無菌mQH20中で以下の濃度のスクロースを作製する:
2)Beckman ultra clear 14×89mm遠心管を使用して、2mlの65%スクロース、それに続いて2mlの60%スクロース、2mlの55%スクロース、2mlの50%スクロース、そして2mlの45%スクロースを注意深く重ねる。
3)mQH20中で多面体の全容積を1.5mlにして、これを勾配の上部に添加する。
4)TH−641回転子を使用して、バランス管を超遠心機に入れて、24000rpmで3時間4℃で遠心分離する。
5)管を取り出し、次に1mlピペットによってスクロース上層を注意深く除去する。
6)およそ1.5ml中の多面体層(in60%スクロース)を取り出して、エッペンドルフ管に入れる。
スクロースからの多面体の取り出し
1)Slide−A−Lyzer透析カセット(Thermo Scientific)を使用して、カセットをPBS中で1分間吸水させる。
2)製造会社の使用説明書に従って、18Gの針を使用して、カセットに3mlの多面体/スクロースを注意深く挿入する。
3)シリンジを引き戻して、メンブランから全ての空気を除去する。
4)500mlの無菌PBS中で、一晩透析する。
5)18G針内の少量の空気でメンブランを満たし、次にカセットからサンプルを回収する。
6)体積が増えたサンプルを約10本のエッペンドルフ管に入れる。
7)エッペンドルフ管を10000rpmで5分間遠心分離する。
8)PBSを除去して、ペレットを残留PBS中で再懸濁する。全容積は、2つのスクロース勾配から約400μlである。
Gagウエスタンブロット
−SDS−Pageゲルを常法通り15%ゲル上で実施する。
−次に転写バッファー(3.03gトリス塩基、14.4gグリシン、および20%エタノール)を使用して、タンパク質をニトロセルロースメンブランに移す。
−TBS−Tween中の5%脱脂粉乳(blotto)中でメンブランを一晩ブロックする。
−p24 Gagに対して特異的なmAb 183を5%blotto−TBS−T中でRTで1時間、1:1000に希釈する。
−メンブランをTBS−Tで3×5分間で洗浄する。
−抗マウスIg−HRPコンジュゲート抗体(Chemicon)を添加して、5%のblotto−TBS−TでRTで1時間、1:10,000に希釈する。
−メンブランをTBS−Tで3×5分間で洗浄する。
−ECL−Plus試薬(GE Healthcare)およびX線フィルム曝露を使用した化学発光検出。
マウスELISPOTプロトコル
手順:IFN−γ抗体ペアを使用した実施例、全ての抗体ペアで同じ抗体濃度が使用される。
IFN−γ検出のためのELISpotアッセイ
プレートの調製
1.96ウェル(Millipore,multiscreen−IP 0.45μm PVDF ELISPOTプレート)のそれぞれを5μg/mLの抗マウスIFN−γmAbAN18を含有する無菌PBSによって、ウェルあたり100μlでコーティングする。
2.4℃で一晩インキュベートする。
3.プレートを弾いてmAb溶液を除去する。
4.プレートを無菌PBSで5回洗浄する。
5.プレートを無菌紙タオル(加圧滅菌可能)で吸い取る。
6.ウェルあたり200μlの無菌RPMI+10%FCSでプレートをブロックする。
7.室温で1時間インキュベートする(必要ならばより長時間でもよい)。
脾細胞、ペプチド抗原、およびペプチドプールの添加
8.プレートを弾いてブロック緩衝液を除去し、プレートを無菌PBSで1回洗浄するが、ブロックが残留したりまたは泡立つ場合は、2回の洗浄を要することもある。
9.プレートを無菌紙タオル(加圧滅菌可能)で吸い取る。
10.あらかじめ作製した、RPMI+10%FCS中の抗原(2μg/mL、8μg/mLのCONAを除く、最終ウェル濃縮1μg/mL)を使用する。
11.ウェルあたり50μlの抗原、およびウェルあたり50μlの脾細胞細胞懸濁液を入れる。
12.37℃で18〜20時間インキュベートする。
プレート発色
13.プレートを弾いて細胞を除去する。
14.無菌PBSで5回洗浄する。
15.無菌PBSで希釈したビオチン化mAb(1μg/mL、RA−6A2)をウェルあたり100μl添加する。室温で2時間インキュベートする。
16.PBSで5回洗浄する。
17.無菌PBS中で1μg/mLに希釈したストレプトアビジン−アルカリホスファターゼをウェルあたり100μl添加する。室温で1時間インキュベートする。
18.無菌PBSで5回洗浄する。
19.BCIP/NBT液体基質(使用直前シリンジ濾過)をウェルあたり100μl添加する。スポットの発生で決めて、20〜30分間にわたり室温でインキュベートする。
20.プレートを弾いて無菌DDH2Oで1回洗浄して発色を停止し、水道水を流しながらプレートを洗浄する。
21.プレートを紙タオルで吸い取り、一晩放置して乾燥させる。
注意
−各洗浄ステップに続いて、そして細胞添加前に、プレートを紙タオル(加圧滅菌可能)で吸い取って、試薬を希釈するあらゆる可能性を低下させることが一番良い。
−全てのステップは、クリーンベンチ内で実行する。
−全ての洗浄は、マルチチャンネルで実施する。
実施例2
N末端H1配列のあるバキュロウイルスHIV−1 Gag
組換えバキュロウイルストランスファーベクターを構築して、Bm−CPVポリへドリンのH1螺旋のヌクレオチド配列とインフレームの様々な形態のHIV−1 Gagをでコードした(Ijiri et al.,2009(前出))。
実施例3
HIV−1Gag抗原を含んでなる多面体の生成
ポリへドリンを産生し、立方多面体をさらに産生するBm−CPV(AcCP−H)の組換え形態をこの研究で使用した(Mori et al.,1993(前出))。
H1タンパク質はポリへドリン認識シグナルとして機能し、Gag−H1タンパク質はポリへドリンと一緒に多面体Gag MicroCubeに組み込まれる。
実施例4
多面体中へのGagの固定化
HIV−1ポリへドリンを産生するAcCP−H、およびH1螺旋ポリペプチド配列との融合タンパク質としてGag抗原を発現する組換えバキュロウイルスで、(任意にEGFPなどの検出可能なマーカーと一緒に)同時感染させたスポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)細胞系から、多面体(Gag MicroCube)を回収して精製し、超音波処理、連続洗浄ステップ、そしてスクロース勾配精製した。
ウエスタンブロット分析は、Gagが多面体に成功裏に組み込まれたことを示した。完全長Gag(p55)、Gaglackingp6、およびp39に対応する、3つのバンドが検出できた。二量体形成が阻害されているGagの突然変異型を野生型Gagと比較して同様のレベルで、多面体結晶に組み込んだ。ELISAおよびウエスタンブロット法の双方を使用して、ポリへドリンタンパク質(図1)あたり推定量10.9μgのGagタンパク質を組み込んだ。
実施例5
安定MicroCubeが生成される
Gag MicroCubeは、トリプシン存在下(図2)、および生理学的に妥当な条件下(図3)で、高度に安定である。
MicroCubeに組み込まれたGagタンパク質は、トリプシン分解に対して可溶性Gagよりも安定しており、生体内に注射した際に、安定した複合体および抗原の持続放出を提供することが示唆される。
実施例6
HIV Gag MicroCubeの免疫原性のアセスメント
マウス免疫原性
目的
投与量決定試験において、可溶性HIVgagタンパク質と比較して、生体内でHIV−1 Gag MicroCubeの免疫原性を調査する。
研究デザイン
1群あたり6匹のBALB/cマウスを100μlのPBS中の免疫原で0、4、および8週目に皮下免疫化する。
A群;高用量HIV gag MicroCube(およそ450μg、5μgのHIVgag含有)
B群;中用量HIV gag MicroCube(およそ90μg、1.0μgのHIVgag含有)
C群;低用量HIV gag MicroCube(およそ18μg、0.2μgのHIVgag含有)
D群;高用量HIV gag可溶性タンパク質5μg
E群;中用量HIV gag可溶性タンパク質1.0μg
F群;低用量HIV gag可溶性タンパク質0.2μg
0(採血前)、4、および8週目に、動物から静脈血を採取する。動物を10週目に殺処分して、免疫原に対するT細胞応答のアセスメントのために脾臓を摘出し、抗体アセスメント用血清のために終末心臓放血を実施する。
方法
IFN−γおよびIL−2 ELISPOTアッセイ中で、T細胞応答を評価する。簡単に述べると、マウスIFN−γまたはマウスIL−2のどちらかに対するモノクローナル抗体で被覆されたウェルに、5×105の脾臓細胞を入れた。これらの細胞を以下の抗原で刺激した;陰性対照としての培地単独、陽性対照としてのCon A、HIV Gag可溶性タンパク質(10、1.0、0.1μg/ml)、HIV Gag MicroCube(100、10、1.0μgの総タンパク質量)、対照タンパク質(多面体結晶単独)、HIV Gag重複ペプチドプールIおよびII(図8参照)(NIH提供;各ペプチドの最終濃度1μg/ml)。
一晩の培養後、細胞を取り出してELISPOTを発色させた。AID ELISPOT造影システムを使用して、スポット形成細胞/106供試脾細胞を計算した。
抗原として組換えHIV Gag可溶性タンパク質を使用したELISAを使用して、HIV gagへの抗体応答を評価した(Keoshkerian et al.,J.Med.Virol.71(4):483−491,2003;Dale et al.,Vaccine,23(2):188−197,2004;Thomson et al.,Vaccine,23(38):4647−4657,2005;Kelleher et al.,AIDS,20(2):294−297,2006)。
可溶性GagおよびGag MicroCube免疫化マウスの双方で、Gagに対する強力な抗体応答が検出された。5.0μg群では1:25600の最大抗体力価が、より低い用量ではより弱い応答が観察された(図6および7を参照されたい)。HIV Gag MicroCube免疫化マウスは、CPVポリへドリンタンパク質に対する強力な抗体応答もまた実証した。
IFN−γおよびIL−2 ELISPOTアッセイを使用して、T細胞応答を評価した。MicroCubeは、Gag 55に対する非常に強力なIFN−γおよびIL−2応答を引き起こした(>500SFC/106個の細胞)。より小さな断片Gag p39またはp24に対しては、わずかに低下した応答が観察された。ピークIFN−γ応答は1.0μg群で見られ、5.0μgでは応答がわずかに低下した。重要なことには、1.0μgのgag(平均150SFC/106個の細胞)よりも、1.0μgのGag MicroCube(平均210SFC/106個の細胞)でより高いIFN−γ応答が見られた。CPVポリへドリンタンパク質に対する強力なIFN−γ応答もまた見られたが、これはIL−2アッセイでは観察されなかった。HIV−1 Gagタンパク質のNおよびC末端領域に対応する重複ペプチドの2つのプールに対する応答のアッセイは、IFN−γおよびIL−2の応答の大部分が、タンパク質の後半を対象とすることを示した。
Gag MicroCubeの注射後に観察される、Gagタンパク質およびGagペプチドに対する頑強なIFN−γおよびIL−2応答は、このワクチンが、アジュバントの必要なしに、CD4およびCD8応答の双方を引き起こすことを暗示する。
実施例7
考察
本発明は、一般的昆虫ウイルスによって産生される、超安定性の結晶またはMicroCube(多面体)をベースとした、感染症に対するワクチンのプラットフォームを提供する。MicroCubeは、それらを既存のワクチンストラテジーから際立たせる2つの特徴を提示する:擬似結晶性配列としての抗原の新規提示、およびユニークな徐放送達機序。いくつかの実施形態では、これらの性質は免疫原性および安定性を提供する。いくつかの実施形態では、MicroCubeは、HIVまたはマラリアなどの積極的な細胞性免疫応答を要する各疾患に関して使用される。別の実施形態では、単回注射免疫を提供し、ワクチン供給における低温流通体系に対する必要性を低下させることで、発展途上世界のためのワクチン接種のためのMicroCubeが提案される。
本発明の一態様は、多数の昆虫ウイルス粒子を環境の侵襲から保護するウイルス性多面体、すなわちポリへドリンタンパク質のウイルス含有結晶の天然機能を用いることである。多面体の著しい物理化学的安定性は、土壌中で多年にわたり環境温度で、ウイルスの感染性が保存され得ることを意味する。最近、サイポウイルス多面体の大変待ち望まれていた構造によって、これらの結晶を改変して、結晶の全体にそして表面に、ウイルス粒子の代わりに、ヒト病原体に由来するタンパク質を効率的に組み込む、先例のない機会が提供された。本明細書では、これらの結晶は、それらの形とサイズの(0.5〜10μm)のために「MicroCube」と称される。
サブユニットワクチンは、いくつかの主要な病原体(例えばHIV)を防ぐのに必要である、強力な細胞性免疫応答を引き起こすことができない。弱毒化ウイルスは安全性に劣り、多数の疾患(例えばマラリア)のために改変することは不可能でないにしても困難である。対照的に、MicroCubeは、改善された抗原提示とそれらの微粒子特性のために、一連の抗原に対する体液性および細胞性応答の双方を誘導することが提案される。これに加えて、抗原の高度に多価の提示、および徐放送達機序は、単回注射免疫であってさえも、いかなる利用できるサブユニットワクチンよりも免疫応答がはるかにより強力で、より持続性であることを意味する。
今まで、抗原の対称的提示の利点は、遺伝的ワクチンプラットフォームの可能性を欠く特定例でのみ探索されてきた。例えば、ウイルス様粒子ベースのワクチンは、現在のパピローマウイルスワクチン(例えば「Gardasil」)およびB型肝炎ワクチン(例えば「Engerix−B」)において非常に成功しているが、特に大型または複数の抗原が必要な場合、一般に適用可能でない。対照的に、いくつかの実施形態では、ウイルス粒子全体程の大きな積荷に耐えて、一度に複数の異なる抗原にさえ耐性であるMicroCubeが提案される。
本明細書で示されるように、Gag MicroCubeは、マウスに注射した際に、特異的抗体生成と頑強な細胞応答の双方をはじめとする、強力な免疫応答を誘導する。これは、結晶が生物から迅速に除去され、または抗原提示細胞によって処理されることができず、または体液性または細胞性応答のどちらかのみを誘導できるという、基礎的な情報からは予期できなかった。
実施例8
例示的な抗原MicroCube(多面体)の遺伝子操作
MicroCubeは改変されHIV−1 Gagタンパク質に効率的に組み込まれ得る
特定用途向けプラスミドpDEST−H1に、Bm−CPVH1−tagとのN末端融合として、Gagタンパク質の6つのコンストラクトをクローンした。これらのコンストラクトは、HIV−1NL4.3の完全長p55Gagタンパク質、GagΔp6、およびGag−WM(W316M317/AA;Gag二量体化低下変異体)であった。これらの各コンストラクトのC末端His6−tag融合物もまた、改変された。組換えバキュロウイルスは、改変pDEST−H1ベクターおよび直線化バキュロウイルスゲノム(BaculoGold,Novagen)のセルフェクチン媒介同時形質移入によって得られた。MicroCubeは、得られた高力価バキュロウイルス株と、Bm−CPVのポリへドリンタンパク質をコードするバキュロウイルスによる、Sf9細胞の同時感染によって生成された。MicroCubeは、Ijiri et al.,Biomaterials 30:4297−4308,2009に記載されるようにして、感染細胞から超音波処理および分画遠心法によって精製される。MicroCubeのウエスタンブロット分析は、全てのコンストラクト中へのGagタンパク質の同様レベルの組み込みを実証した。引き続く実験は全て、完全長−His6コンストラクト(図9A〜B)を使用して実施した。
経時変化は、Gagが、感染後早くも24時間でMicroCubeに組み込まれることを明らかにした。組み込みレベルは、感染の48時間後に増大し、72時間後に劇的に低下した(データ示さず)。ワクチン接種の目的で、MicroCubeを45〜65%(w/w)のスクロースステップ勾配で、さらに精製した。調製品次第で、結晶に対応する1本または2本の明白なバンドが観察された。得られた結晶は精製して均質にされ、質量分析法による確認で、極めて過負荷のゲル上でさえも、GagおよびBm−CPVポリへドリンタンパク質のみが検出された(図9A)。55kDa前後の上方バンドは、ペプチドマスフィンガープリンティング分光測定によって、おそらくはSDS耐性三量体を形成する、HIV−1GagとBm−CPVポリへドリンの混合物であることが確認された。MicroCube内の積荷タンパク質のレベルを増大させるために、2つのバキュロウイルス株の比率を一定の総感染効率で変動させた。4倍過剰のGagバキュロウイルス株が、最大組み込みレベルをもたらした。比率は、半定量的ウエスタンブロットと市販のp24 ELISA(NCI−Frederick)によって推定された。最適条件では、ポリへドリンタンパク質対Gagの比率は90:1(w/w)または170:1(モル:モル)であった。電子顕微鏡法(図9C〜D)は、以前の分析(Coulibaly et al.,Nature,446:97−101,2007)から予期されたように、積荷分子組みの込みによって、MicroCubeの結晶組織中にいかなる甚だしい欠陥も導入されなかったことを実証した。実際、シンクロトロンX線の高解像度回析は、これらの結晶から2.4Åまで観察され、結晶性マトリックスの完全性が実証された(データ示さず)。
MicroCubeは、2つの抗原を同時に組み込み得る
二重標識MicroCubeを生成する、H1−EGFPとの同時発現。蛍光性の結晶が得られ(図10A〜B)、我々は新しいFACS分析を開発し、それを実施して双方の積荷の組み込みの程度を定量化した。MicroCubeの42%が二重標識された一方で(図10C)、13%は有意なEGFP蛍光を呈示しながらアクセスできるGagを有さなかった。Gagの大部分は高密度の結晶性マトリックス内に包埋しており、無処理MicroCube上における抗Gag抗体とのインキュベーションによって検出できないので、これらの結晶はなおも二重発現していた可能性がある。合計で38%の結晶が、積荷を有さなかった。結論として、1)二重MicroCubeは、一般的H1−tagを使用した場合でさえも容易に生成し得て、2)FACSは、MicroCubeを特性解析し分類するための強力なツールとして出現した。
実施例9
マウスモデルにおける抗原MicroCubeの免疫原性研究
抗原MicroCubeはマウスにおいて安全であり高度に免疫原性である
高度に精製された結晶は、無菌であり(NATO公認無菌試験;Silliker Australia)有意なLPS汚染がない(注射あたり<0.02EU;Limulus Amebocyte Lysate assay;Cambrex)ことが示された。抗原MicroCubeの免疫原性を調査するために、8匹のBALB/cマウス群を高用量(5μgのGagに相当する)、中用量(1μg)または低用量(0.2μg)のPBS中の免疫原で0、4、および7週目に皮下免疫した。3つの対照群には、大腸菌(E.coli)から精製された同一用量の組換えGagを投与した。0(採血前)、4、および8週目に、動物から静脈血を採取した。動物を10週目に殺処分して、免疫原に対するT細胞応答のアセスメントのために脾臓を摘出した。
組換えGagに対するELISAによる評価で、可溶性GagおよびGag MicroCubeでは、強力なGag特異的用量漸増体液性応答が観察された。2.6×104 (可溶性Gag)およびd1.3×104 (Gag MicroCube)の最大抗体力価は、5.0μg群で測定された(図11A)。Gag MicroCube免疫化マウスはまた、結晶性マトリックスを形成するポリへドリンタンパク質に対する強力な抗体応答も実証した。
Gag MicroCubeはまた、Gag p55に対するIFN−γおよびIL−2 ELISPOT応答による測定で、非常に強力なT細胞応答(>200SFC/106細胞)、そしてGagのp39またはp24ドメインに対するわずかにより弱い応答も引き起こした。ピークIFN−γ応答は1.0μg群で見られ、5.0μgではわずかにより低い応答であった。1.0μgの可溶性Gag(平均160SFC/106個の細胞)よりも、1.0μgのGag MicroCube(平均205SFC/106個の細胞)で、より高いIFN−γ応答が見られた(図11B)。CPVポリへドリンタンパク質に対する応答はまた、特にIFN−γアッセイでも非常に強力であった。Gagタンパク質のNおよびC末端領域に対応する、重複ペプチドの2つのプールの応答のアッセイは、IFN−γおよびIL−2の応答の大部分が、タンパク質の後半を対象とすることを示した。
最初の仮説に反して、可溶性Gagに対するT細胞応答もまた強力であり、MicroCubeのものと実際に匹敵した。この仮説は、非アジュバント化組換えタンパク質が有意な細胞応答を誘導しないことを想定した。しかしここで見られた頑強な細胞性および体液性応答は、注射条件で凝集体およびVLPを形成することが知られている、この組換えGag調製品の微粒子特性によって説明され得る。これに加えて、大腸菌(E.coli)でなく昆虫細胞中で生成された可溶性Gag中では、わずかにより高いLPSレベル(MicroCubeの<0.02EU/注射に対して0.04)が一貫して観察された。汚染LPSもまた穏和なアジュバントとして機能した可能性もあり、それによって組換えGagにより誘発される応答が高まる。
結論として、Gag MicroCubeによる免疫化後に観察された頑強なGag特異的IFN−γおよびIL−2応答、および高力価抗体応答は、このワクチンが、アジュバントを必要とせずに、強力な細胞性および体液性免疫を引き起こすことを実証する。この概念実証は、確立されたワクチンストラテジーと比べて、これらの応答の規模を調査するしっかりした基礎を提供する。
実施例10
MicroCubeの際立った特徴:頑強性および自己アジュバント化特性
MicroCubeは、抗原をタンパク質分解および熱変性から保護する。
多面体の天然頑強性と、ウイルスサイクルにおけるそれらの保護機能のために、MicroCube内の積荷は分解から保護されるという仮説が立られた。この見解を試験するために、MicroCubeを様々な温度でインキュベートしてウエスタンブロットにより分析し、Gagタンパク質のレベルと完全性をモニターした。−20℃での凍結と凍結乾燥を最初に調査した。微量の損失が観察され、これらの保存条件は後続の実験では回避された。これは、プラスチック管への付着力増大の結果であると考えられ、それは凍結乾燥後に特に明白であり、MicroCubeの白色フィルムが管の側面に明らかに沈着した(データ示さず)。
対照的に、Gag MicroCubeは、4℃〜21℃で、そして37℃であってさえも高度に安定していることが分かった。可溶性Gagとの比較を図12Aに提示する。可溶性Gagの分解は3週目に明白であり、11週目に実質的に完了する。全く対照的に、MicroCube内のGagは、少なくとも11週間にわたり完全に保護される(図12A)。
この実験セットの最高温度である37℃では、中間の状態が観察された。Gagは最初に完全に保護されるように見えたが、4日目から分解し始め、最終的に14日目には検出不能になった(データ示さず)。さらなる実験を実施して、MicroCube内のGag分解の原因の同定を試みて、その防止を試みた。
最初に、タンパク質分解に対するGagの感受性を調査した。予期されたように、可溶性Gagは、トリプシン分解に対して極めて感受性であることが分かり、37℃におけるトリプシン(10μg/mL)との10μgの可溶性Gagのインキュベーションは、10分未満でGagの完全損失をもたらした(図12C)。しかしGag MicroCubeを同じ実験条件でインキュベートして、ウエスタンブロットにより分析した場合は、より小さなGag断片のみが分解の影響を受けやすいようであり、完全長Gagに対応するバンド強度は、37℃で24時間のインキュベーションの後でさえも一定のままであった(図12D)。したがってGagタンパク質の一部はMicroCubeの表面に存在して、トリプシンによって迅速に分解される一方、結晶性マトリックス内に包埋されるGagは隔絶されて、タンパク質分解から完璧に保護されるようである。この実験はまた、タンパク質分解が、37℃で観察されたMicroCubeからのGag損失の理由でないことも暗示する。実際、広域スペクトルプロテアーゼ阻害剤(Roche Complete錠剤)が添加された場合でさえも、37℃で同様のGagの損失が観察された。アジ化ナトリウムによってさらなる安定化は達成されなかったが、血清添加は安定性の改善をもたらした。ヒト血清中では、Gag MicroCubeは、その他の添加剤の不在下において、37℃で少なくとも14日間安定していることが分かった(図12B)。
結論として、MicroCube内に包埋されている場合、Gagタンパク質はタンパク質分解から保護され、実験の持続期間(11週間)にわたり4℃〜21℃で安定している。Gagはまた、血清が添加されれば、37℃でインキュベートした際に安定しており、Gag MicroCubeの全体的安定性は、発展途上世界の事情に合わせたワクチンのために非常に有望に見える。安定化添加剤、異なる結晶配合物、および現地条件に近いインキュベーション条件を使用して、MicroCube保護能力の精微特性解析を調査する。
抗原MicroCubeは、21℃での長期保存およびトリプシン処理の後に、それらの免疫原性を保つ
あらかじめ4℃、21℃または37℃で1週間インキュベートされ、またはトリプシンで1時間処理されたGag MicroCubeによって、3回の皮下免疫化(0、4、および6週目;1μg当量のGag)を受けたBALB/cマウスで免疫原性研究を実施した(図13A)。強力な抗体応答が全群で、わずかにより高い力価が4℃群で観察された(データ示さず)。4℃および21℃群の双方で比較できるT細胞応答が生じた一方で(図13B)、37℃群は同様のIL−2応答を示したが、全ての抗原に対してIFN−μ応答が低下した。対照群(noTT)と比較して、トリプシン処理された(TT)MicroCubeで免疫化された群は、IL−2 ELISPOT応答に見ることができるGag特異的T細胞応答のわずかな低下のみを示した。したがってGag MicroCubeのトリプシン処理は、表面抗原タンパク質が、体液性および細胞性応答に必須でないことを実証した。これは、古典的ウイルス様粒子に見られる表面提示と比較して、基本的に異なる、MicroCubeの三次元結晶性マトリックス内へのGagのパッケージングを強調する。さらに、投与されたMicroCubeに対して物理的に内部にある抗原が免疫系に提示されることは、表面抗原はもちろん存在してもよいが、必要でないことを示す。強力な体液性および細胞性応答が、4℃および21℃免疫化群の双方で観察され、それはMicroCubeが、周囲条件で1週間後に、頑強な免疫応答を生じるそれらの能力を保つことを示す。
実施例11
ヒトT細胞に対する抗原提示
IFN−γおよびIL−2 ELISPOTアッセイを使用して、HIV陽性対象からの自然誘導されたHIV特異的T細胞が、MicroCube内で発現されるGagを認識する能力を生体外で評価した。我々はHIV陽性対象からの末梢血単核細胞を使用して、対照およびGag MicroCube、組換えGagタンパク質および重複ペプチドの認識についてそれらを試験した。GagT細胞応答を有した6人の内4人の対象において、Gagタンパク質またはペプチドに対する陽性応答による判定により、Gag MicroCubeに対する強力な陽性応答が観察された(データ示さず)。2人のHIV陽性ドナー(A、B)、および1人のHIV陰性ドナー(C)の結果を図14に提示する。HIV Gagペプチド、可溶性Gagタンパク質(p55)またはMicroCube(Gag−CPVまたはCPV)によって、細胞を生体外で再刺激した。ペプチドプールおよびGag MicroCubeに対する強力なIFN−γ応答は、HIV陽性サンプルにおいてのみ検出された(図14)。これは、Gag MicroCubeが取り込まれ、抗原提示細胞によって処理されて、HIV陽性ドナーから単離されたT細胞に、HIVエピトープが正しく提示され得ることを実証する。
実施例12
MicroCubeはヒトPBMC中で成熟IL−1βの放出を誘導する
NALP3インフラマソームは、滑液中に危険信号として出現する結晶物質を認識する。シリカおよびミョウバン結晶は、NALP3インフラマソームの活性化を介して、それらの炎症性および免疫原性の特性を発揮することが最近実証されている(Hornung et al.,Nat.Immunol.9(8):847−856,2008)。MicroCubeは、IL1βを誘導するインフラマソームの結晶性活性化を介して、そのアジュバント特性の少なくとも一部を発揮するという仮説が立てられた。
数人のドナーからのヒトPBMCを精製MicroCubeと共にインキュベートした。Pro−IL−1βは構成的に発現されず、例えばTLR刺激に応えた転写誘導を必要とする。MicroCubeは、それ自体はヒトPBMC中でIL−1βの切断および放出を誘導しなかったが、LPSで初回刺激されたPBMCは、MicroCubeの添加に対して用量依存的様式で強力に応答した(図15A)。ヒトPBMCのMicroCube媒介活性化は、ミョウバン、シリカ結晶、またはニゲリシンなど、NALP3インフラマソームのその他の既知の活性化因子程度に強力であった(図15B)。特異的ペプチド阻害剤z−YVADによるカスパーゼ−1の阻害は、MicroCube処理に応えたIL−1β応答をほぼ完全に無効にした(図15C)。これらのデータは、ヒト免疫細胞中で、MicroCubeがIL−1βをカスパーゼ−1依存的様式で活性化することを示唆する。
MicroCube−誘導性IL−β分泌に関与する上流機構を解読するために、結晶性インフラマソーム活性化因子の取り込みが、細胞活性化に影響を及ぼすか否かを試験した。フィラメントアセンブリー作用を損なう食作用阻害剤ラトランクリンAでヒトPBMCを前処理し、引き続いてMicroCubeで、ならびに非結晶性NALP3活性化因子ニゲリシンで刺激した。ラトランクリンAは、MicroCubeに続くIL−1β放出を強力に阻害した一方、ニゲリシンへの応答は影響を受けなかった(図15D)。
実施例13
MicroCubeはNALP3インフラマソームを活性化する
MicroCubeがNALP3インフラマソームを活性化し得るかどうかを調査するために、NALP3またはASCを欠いているマウスからの不死化マウスマクロファージ中で実験を実施した(Hornung et al.、前出)。野生型マウスからのマクロファージは、低下していく量のMicroCube曝露による処理に続いて、大量のIL−1βを産生した(図16A)。対照的に、NALP3または下流アダプター分子ASCを欠くマクロファージは、MicroCubeに応えて比較できる切断IL−1βを放出できず(図16B)、MicroCube曝露時のIL−1βプロセッシングに対するNALP3およびASCの要求が示唆される。まとめると、これらの結果は、シリカ結晶がNALP3/ASC複合体を活性化して、カスパーゼ−1の活性化と、引き続く成熟分泌型IL−1βへのプロIL−1βの切断をもたらすことを明らかに示唆する。
全体的に、これらの結果は、MicroCubeが、成熟IL1βを産生するASC/NALP3インフラマソームを食作用依存的様式で活性化することを明らかに実証する。インフラマソーム活性化は、生体内で、強力な炎症促進性効果を有することもあり、それが、マウス実験で観察されたMicroCube刺激の自己アジュバント効果の少なくとも一部を説明し得る。
本発明の範囲を逸脱することなく多数の修正ができることは、当業者には明らかである。
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