JP6152518B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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本発明は、主には失禁パッド、使い捨ておむつ等に使用される吸収性物品に係り、肌側に長手方向に沿って凹溝が形成された吸収性物品に関する。
従来より、前記吸収性物品として、ポリエチレンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラスチックシートなどの透液性表面シートとの間に吸収体を介在するとともに、前記吸収体の両側部に吸収体の存在しないサイドフラップ部を形成し、かつこのサイドフラップ部に長手方向に沿って弾性伸縮部材を配置することによりギャザーを形成したものが知られている。
このような吸収性物品として、例えば下記特許文献1では、裏面シート層と、前記裏面シート層の上に重ねられた流体透過性上面シート層と、前記裏面シート層と前記上面シート層との間に挟まれた吸収性組立体と、前記吸収性組立体の横方向外側に配置され、各々が、吸収性パッドがほぼ平坦な状態では、少なくとも部分的に前記吸収性組立体の平面の外側にある弾性部材を含む複数のサイドフラップとを備え、所定の剛性より大きい剛性で形成された吸収性パッドが開示されている。
この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ねられ、特に失禁パッドなどのように一度にドッと出る尿を小さな面積で受け止め、素早く拡散させるための、一時貯留及び尿拡散手段の一つとして、肌側に長手方向に沿って凹溝を形成したものが種々提案されている(例えば下記特許文献2、3)。
下記特許文献2では、面積が異なる上部吸収層と下部吸収層とが積層され、該吸収層には、段差が形成されており、表面シート及び吸収層に一体的に、吸収性物品の長手方向に延びる凹部が形成され、該凹部は、吸収性物品の短手方向の中央部に、前記段差の高部及び低部に亘って形成されており、該凹部は、該吸収層の段差部において途切れることなく連続的に形成されている吸収性物品が開示されている。
また、下記特許文献3では、肌当接面側の上層吸収体と非肌当接面側の下層吸収体とを有し、該上層吸収体と該下層吸収体とがなす中高部は、肌当接面側に形成された長手方向に延びるくぼみを有し、前記くぼみは、前記上層吸収体を貫通した開口部であり、該開口部の底面をなすよう上層吸収体の下面に前記下層吸収体が位置する吸収性物品が開示されている。
特表2003−506150号公報 特開2008−173247号公報 特開2009−112590号公報
上記特許文献1記載の吸収性パッドでは、大きな剛性で形成されているため、吸収性パッドを幅方向折り線にて長手方向に3つ折りして個装した個装状態において、前記折り線に強い折り癖が付くようになる。このため、吸収性物品は、個装から取り出した状態で、折り癖によって、前記折り線より前側及び後側が肌側に起立して全体としてU字状又はコの字状に形成されるようになる。また、吸収性物品の両側部に弾性伸縮部材を配設することによってギャザーを形成した場合、前記弾性伸縮部材の収縮力によって前記折り線より前側及び後側が肌側に起立する場合もある。
このようにして折り線より前側及び後側が肌側に起立した吸収性物品に対し、上記特許文献2、3に記載されるような肌側に長手方向に沿って凹溝を設けるに当たって、凹溝の前端及び後端が前記折り線より中央側に設けた場合、すなわち前後の折り線の中間に前記凹溝を設けた場合、凹溝に一時貯留された尿が凹溝の前端又は後端に達すると、前端又は後端に溜まって溢流しやすく、溢流した尿が折り癖に沿って幅方向に拡散し横漏れを生じやすかった。しかも、このような場合には、凹溝の前端及び後端は折り線近傍に位置することが多く、吸収性物品の折り畳みによって吸収体が圧縮され、凹溝の深さが浅くなっていることがあるため、このことが前端又は後端から尿が溢流しやすい要因ともなっていた。
一方、上記特許文献1記載の吸収性パッドでは、特に切迫性失禁などのように一度にドッと出る尿にも対応できるように、パルプ量やポリマー量を多くすると、吸収体の厚みが増し、吸収体の剛性が高くなって変形しにくくなるため、サイドフラップに設けたギャザーが肌に十分密着せず、横漏れを生じることがあった。また、吸収体の厚みが厚いと、吸収性物品を個装状態に折り畳んだ際の折り癖が付きやすく、折り線より前側及び後側が肌側に起立しやすくなる。
また、上記特許文献2、3記載の吸収性物品のように、吸収体の中央部に中高部を有するものは、吸収性物品を長手方向に3つ折りして個包装したとき、前記中高部によって中央部が胴膨れし、パッケージの形態性、安定性が非常に悪かった。
更に、長手方向に沿って凹溝を形成した吸収性物品では、この凹溝部分の剛性が極端に低下しているので、装着時に幅方向両側からの脚圧をうけたときなどに凹溝が潰れ易くなっている。このとき、装着時に下着とのズレ止めを図るため不透液性裏面シートの外面側に設けられたズレ止め粘着剤層を、前記凹溝と厚み方向に重なる領域に配置すると、ズレ止め粘着剤層同士が接着して凹溝が潰れた状態が保持されやすいという問題があった。
そこで本発明の第1の課題は、凹溝に一時貯留された尿が凹溝の端部から溢流して横漏れするのを防止することにある。また第2の課題は、サイドフラップ部にギャザーが形成された吸収性物品の前記ギャザーを肌面に十分密着させるようにするとともに、個装時のパッケージの安定性を良好にした吸収性物品を提供することにある。更に第3の課題は、凹溝が潰れたときでもズレ止め粘着剤層同士が接着しにくい吸収性物品を提供することにある。
上記第1の課題を解決するために請求項1に係る本発明として、透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、且つ肌側の前記透液性表面シートの表面に長手方向に沿って体液を一時貯留するとともに前後方向への体液の拡散を誘導する体液流入用の凹溝が形成されるとともに、個装状態で前側及び後側の折り線にて長手方向に3つ折りされた吸収性物品において、
前記吸収性物品は、個装から取り出した状態で、前記折り線より前側及び後側が肌側に起立し、
前記凹溝は、前端が前側の折り線より前側に延在するか、後端が後側の折り線より後側に延在するか、前端が前側の折り線より前側に延在し且つ後端が後側の折り線より後側に延在するとともに、全体として、吸収性物品の長手方向に沿って直線的に延び、底面の溝幅が5〜30mmであり、前記折り線からの延在長さが10〜30mmであることを特徴とする吸収性物品が提供される。
上記請求項1記載の発明では、吸収性物品を3つ折りに折り畳んだ個装から前記吸収性物品を取り出した状態で、前記折り線より前側及び後側が肌側に起立し、吸収性物品全体としてU字状又はコの字状に形成されたものを対象としている。このように前記折り線より前側及び後側が肌側に起立する要因としては、吸収体のパルプを高目付としたことによる折り癖や、吸収性物品の両側部にギャザーを形成した際の弾性伸縮部材の収縮力などがある。
かかる吸収性物品において、前記凹溝の形成範囲を、吸収性物品を個装する際の折り線より前側若しくは後側又はこれら両方に延在するようにしている。これによって、凹溝内に一時貯留された尿が凹溝の端部側に流れたとき、折り線より前側及び後側が肌側に起立した部分が壁となって端部側に流れた尿を波返しするように作用して、尿が凹溝から溢れ出ることなく、凹溝内に滞留し次第に吸収体に吸収保持されるようになる。このため、凹溝に一時貯留された尿が凹溝から溢流して横漏れするのが防止できる。
請求項2に係る本発明として、前記吸収体は、前記凹溝以外の部分のパルプの目付が400g/m以上であり、且つ全体のパルプ重量とポリマー重量を合計した吸収体重量に対する前記パルプ重量の比率が55%以上である請求項1記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項2記載の発明では、前記凹溝以外の部分のパルプの目付が400g/m以上であり、且つ吸収体重量に対するパルプ重量の比率が55%以上と、比較的高目付で且つ高パルプ量の吸収体を用いている。この場合、幅方向折り線にて長手方向に折り畳むと、折り癖によって折り線より前側及び後側が肌側に起立しやすくなるが、本発明に係る吸収性物品では、上述の構成により凹溝端部からの尿の溢流が防止できるとともに、装着時に凹溝を可撓軸として吸収体が折れ曲がりやすくなっているので、両側のサイドフラップ部に形成されたギャザーが肌面に密着しやすくなる。
上記第2の課題を解決するために請求項3に係る本発明として、前記吸収性物品は、前記吸収体の両側部に吸収体の存在しないサイドフラップ部が形成され、且つこのサイドフラップ部に長手方向に沿って弾性伸縮部材を配設することによりギャザーが形成され、
前記凹溝以外の部分の前記吸収体の厚みが一定である請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項3記載の発明では、前記凹溝を可撓軸として吸収性物品の幅方向両側が肌側に持ち上がるように折れ曲がりやすくなっているので、両側のサイドフラップ部に形成されたギャザーが肌側に持ち上がり、肌面に密着しやすくなる。
また、前記凹溝以外の部分で吸収体の厚みを一定としてあるため、個装時に、吸収性物品を長手方向に3つ折りなどの複数折りで折り畳んだ状態で、凹溝の両側部の一定の厚みで形成された吸収体同士が重なり合うので、パッケージングによる胴膨れがなく、良好な安定性が得られるようになる。
更に、前記ギャザーを形成することによって、このギャザーに配設された弾性伸縮部材の収縮力により、折り線より前側及び後側が肌側に起立しやすくなるが、本発明に係る吸収性物品では、上述の構成により凹溝端部からの尿の溢流が防止できる。
請求項4に係る本発明として、前記凹溝の底部に、周辺より窪むノッチ部が溝長手方向に沿って形成されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項4記載の発明では、前記凹溝の底部に、周辺より窪むノッチ部を溝長手方向に沿って形成してあるため、このノッチ部を基点として、凹溝を可撓軸とした幅方向の折れ曲がりを生じやすくしている。
請求項5に係る本発明として、前記凹溝の深さは、前記凹溝以外の前記吸収体が介在する部分の前記透液性表面シートから裏面シートにかけての厚さの30%以上100%以内である請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項5記載の発明では、凹溝の深さを所定の深さで形成することにより、前記凹溝を可撓軸とした幅方向の折れ曲がりを生じやすくしている。
上記第3の課題を解決するために請求項6に係る本発明として、前記裏面シートの外面側にズレ止め粘着剤層が形成され、前記ズレ止め粘着剤層は、前記凹溝と厚み方向に重なる範囲に設けられていない請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項6記載の発明では、ズレ止め粘着剤層を前記凹溝と厚み方向に重なる範囲に設けていないため、装着時に凹溝が幅方向に潰れた場合でも、スペースができてズレ止め粘着剤層同士がくっつくのが防止できるようになる。
請求項7に係る本発明として、前記吸収体は、前記透液性表面シート側の面に、吸収性物品の長手方向に沿うとともに尿排出部位を含む長手方向範囲に亘って、凹溝状又はスリット状の吸収体凹部を備え、
記透液性表面シートの表面側から前記吸収体凹部の底面に対し前記吸収体凹部に沿ってエンボス形成されている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項7記載の発明では、前記吸収体は、前記透液性表面シート側の面に、吸収性物品の長手方向に沿うとともに尿排出部位を含む長手方向範囲に亘って、圧搾によることなく凹溝状又はスリット状の吸収体凹部を備え、前記凹溝は、前記吸収体に前記透液性表面シートを積層した状態で、前記透液性表面シートの表面側から前記吸収体凹部の底面に対し前記吸収体凹部に沿って前記エンボスを施すことにより形成されている。前記吸収体の透液性表面シート側の面であって、前記凹溝の形成予定位置に、圧搾によることなく凹溝状又はスリット状の吸収体凹部を備え、前記吸収体凹部の底面に対し吸収体凹部に沿って前記エンボスを施すことにより凹溝を形成しているため、吸収体と一体的に圧搾することによって凹溝を形成した場合に比べ、凹溝の周囲の吸収体の密度が極端に高くなるのが防止でき、凹溝に一時貯留された尿が吸収体に移行しやすくなる。
請求項8に係る発明として、前記凹溝は、前記折り線より外方側に延在する端部に、溝幅を拡大させた拡幅部及び溝深さを増大させた増深部の内のいずれか一方又は両方が形成されるとともに、前記拡幅部又は増深部が前記折り線より中央側位置から端部にかけて形成されている請求項1〜7いずれかに記載の吸収性物品が提供される。
上記請求項8記載の発明では、凹溝の端部が折り線より外方側に延在する本吸収性物品の場合、凹溝に沿って流れた尿が肌側に起立した壁状の部分に勢いよくぶつかると、凹溝の両側を乗り越えて、あふれ出し、折り線に沿って両側に拡散し横漏れが生じやすくなるという問題を解決するため、凹溝に沿って流れる尿を壁状部分にぶつかる前に凹溝の断面積を増大させることにより流水速度を低下させる手段を備えるようにしている。具体的には、凹溝の折り線より外方側に延在する端部に、拡幅部及び増深部の内のいずれか一方又は両方を備えるようにしている。これにより、肌側に起立した壁状部分にぶつかる前に凹溝の断面積が増加することにより流速が弱まり、凹溝を乗り越えることがなくなる。また、前記拡幅部及び増深部で凹溝の周囲の面積が増大するため、尿の吸収面積が増加し、吸収性能が向上する。
以上詳説のとおり本発明によれば、凹溝に一時貯留された尿が凹溝の端部から溢流して横漏れするのが防止できる。また、サイドフラップ部にギャザーが形成された吸収性物品の前記ギャザーを肌に十分密着させることができるとともに、個装時のパッケージの安定性が良好になる。更に、凹溝が潰れたときでもズレ止め粘着剤層同士が接着しにくい吸収性物品が提供できるようになる。
本発明に係る失禁パッド1の一部破断展開図である。 図1のII−II線矢視図である。 図1のIII−III線矢視図である。 吸収体4の断面図である。 個装から取り出した状態を示す、失禁パッド1の縦断面図である。 装着時に変形した状態を示す、失禁パッド1の横断面図である。 凹溝22の他の形態例を示す、(A)は変形前、(B)は変形後を示す横断面図である。 凹溝22の他の形態例を示す、(A)は変形前、(B)は変形後を示す横断面図である。 失禁パッド1の個装状態を示す斜視図である。 図9のX−X線矢視図である。 失禁パッド1の個装状態を示す縦断面図である。 失禁パッド1の裏面図である。 (A)は失禁パッド1の平面図、(B)は(A)のB−B線矢視図である。 (A)、(B)は凹溝22の他の実施例を示す失禁パッド1の展開図である。 (A)〜(C)は凹溝22の他の実施例を示す失禁パッド1の展開図である。 (A)〜(F)は凹溝22の他の実施例を示す失禁パッド1の展開図である。 吸収体凹部20の他の実施例を示す失禁パッド1の要部拡大断面図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳述する。
〔失禁パッド1の基本構成〕
本発明に係る失禁パッド1は、図1〜図3に示されるように、ポリエチレンシートなどからなる不透液性裏面シート2と、尿などを速やかに透過させる透液性表面シート3と、これら両シート2、3間に介装された綿状パルプまたは合成パルプなどからなる吸収体4と、前記吸収体4の形状保持および拡散性向上のために、前記吸収体を囲繞するクレープ紙や不織布等からなる被包シート5と、前記吸収体4の略側縁部を起立基端とし、かつ少なくとも尿排出部位Hを含むように長手方向に所定の区間内において肌側に突出して設けられた左右一対の立体ギャザーBS、BSを形成するサイド不織布7、7とから主に構成され、かつ前記吸収体4の周囲においては、その長手方向端縁部では前記不透液性裏面シート2と透液性表面シート3との外縁部がホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合され、またその両側縁部では吸収体4よりも側方に延出している前記不透液性裏面シート2と前記サイド不織布7とがホットメルトなどの接着剤やヒートシール等の接着手段によって接合されている。なお、必要に応じて、前記透液性表面シート3と吸収体4との間に、親水性のセカンドシートを配置することができる。
以下、さらに前記失禁パッド1の構造について詳述すると、
前記不透液性裏面シート2は、ポリエチレン、ポリプロピレン等の少なくとも遮水性を有するシート材が用いられるが、この他に防水フィルムを介在して実質的に不透液性を確保した上で不織布シート(この場合には、防水フィルムと不織布とで不透液性裏面シートを構成する。)などを用いることができる。近年はムレ防止の観点から透湿性を有するものが好適に用いられる傾向にある。この遮水・透湿性シート材としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を溶融混練してシートを成形した後、一軸または二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートが好適に用いられる。
前記透液性表面シート3は、所定形状の開孔を有する不織布が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、たとえばポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。これらの加工法の内、スパンレース法は柔軟性、ドレープ性に富む点で優れ、サーマルボンド法は嵩高で圧縮復元性が高い点で優れている。
前記吸収体4は、たとえば綿状パルプ等の吸収性繊維と高吸水性ポリマー8とにより構成され、図示例では平面形状がパッド長手方向に長い縦長の略小判形とされている。前記高吸水性ポリマー8は例えば粒状粉とされ、吸収体4を構成するパルプ中に分散混入されている。
前記パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維や、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられ、広葉樹パルプよりは繊維長の長い針葉樹パルプの方が機能および価格の面で好適に使用される。本失禁パッド1では、吸収体4を被包シート5で囲繞するため、結果的に透液性表面シート3と吸収体4との間に被包シート5が介在することになり、吸収性に優れる前記被包シート5によって尿を速やかに拡散させるとともに、これら尿等の逆戻りを防止するようになる。
前記高吸水性ポリマー8としては、たとえばポリアクリル酸塩架橋物、自己架橋したポリアクリル酸塩、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体架橋物のケン化物、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体架橋物、ポリスルホン酸塩架橋物や、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミドなどの水膨潤性ポリマーを部分架橋したもの等が挙げられる。これらの内、吸水量、吸水速度に優れるアクリル酸またはアクリル酸塩系のものが好適である。前記吸水性能を有する高吸水性ポリマーは製造プロセスにおいて、架橋密度および架橋密度勾配を調整することにより吸収倍率(吸水力)と吸収速度の調整が可能である。
また、前記吸収体4には合成繊維を混合しても良い。前記合成繊維は、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系、及びこれらの共重合体などを使用することができるし、これら2種を混合したものであってもよい。また、融点の高い繊維を芯とし融点の低い繊維を鞘とした芯鞘型繊維やサイドバイサイド型繊維、分割型繊維などの複合繊維も用いることができる。前記合成繊維は、尿に対する親和性を有するように、疎水性繊維の場合には親水化剤によって表面処理したものを用いるのが望ましい。
前記吸収体4は、後段で詳述する凹溝22以外の部分のパルプの目付が400g/m以上、好ましくは500〜1000g/mと、通常のパンティライナータイプのものに比べると、比較的高目付に形成するのが好ましい。また、吸収体4全体のパルプ重量とポリマー重量とを合計した吸収体重量に対する前記パルプ重量の比率が55%以上、好ましくは60%〜80%と、パルプ重量の比率が比較的高いものを用いるのが好ましい。このときの吸収体の厚さは、約4mm〜10mmとなる。なお、凹溝22以外の部分のポリマーの目付は、250g/m〜460g/mとするのがよい。
前記目付けの測定は、試料から20mm×40mm(±2mm)の寸法をロールカッターで切り取って重量を測定し、1mあたりの重さに換算し、目付けとする。また、パルプ重量及びポリマー重量の測定は、吸収体4からパルプ繊維又はポリマーのみを取り出し、その重量を計量器によって測定する。また、厚みは株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)を用い、試料と厚み測定器を水平にして測定する。
前記被包シート5は、ティシュー等の紙材あるいは不織布等の透液性のシートを用いることができる。特に、資材の破壊(破れ)が生じにくい不織布を用いるのが好ましい。このような不織布としては、薄さと強度のバランスに優れたスパンボンド法やSMS法により加工された不織布、熱可塑性エラストマー樹脂などからなる弾性繊維をスパンボンド法、メルトブロー法など紡糸工程に直結してウェブを形成する方法により加工された不織布、ラテックス、ウレタン、オレフィン系の繊維など伸縮性を有する素材を主成分とする不織布が好適である。なお、被包シート5は、少なくとも吸収体4の肌当接面側(表面側)の面が撥水性でなければシートの親水度は特に問わない。
本失禁パッド1の表面側両側部にはそれぞれ長手方向に沿って、かつ失禁パッド1の全長に亘ってサイド不織布7,7が設けられ、このサイド不織布7,7の外側部分が側方に延在されるとともに、前記不透液性裏面シート2が側方に延在され、これら側方に延在されたサイド不織布7部分と不透液性裏面シート2部分とをホットメルト接着剤等により接合して、前記吸収体4の両側部にそれぞれ吸収体4の存在しないサイドフラップ部SFが形成されている。
前記サイド不織布7としては、重要視する機能の点から撥水処理不織布または親水処理不織布を使用することができる。たとえば、尿等が浸透するのを防止する、あるいは肌触り感を高めるなどの機能を重視するならば、シリコン系、パラフィン系、アルキルクロミッククロリド系撥水剤などをコーティングしたSSMSやSMS、SMMSなどの撥水処理不織布を用いるのが望ましく、尿の吸収性を重視するならば、合成繊維の製造過程で親水基を持つ化合物、例えばポリエチレングリコールの酸化生成物などを共存させて重合させる方法や、塩化第2スズのような金属塩で処理し、表面を部分溶解し多孔性とし金属の水酸化物を沈着させる方法等により合成繊維を膨潤または多孔性とし、毛細管現象を応用して親水性を与えた親水処理不織布を用いるのが望ましい。かかるサイド不織布7としては、天然繊維、合成繊維または再生繊維などを素材として、適宜の加工法によって形成されたものを使用することができる。
前記サイド不織布7、7は、適宜に折り畳まれて、前記吸収体4の略側縁近傍位置を起立基端として肌側に起立する左右一対の内側立体ギャザー10、10と、相対的に前記内側立体ギャザー10より外側に位置するとともに、前記吸収体4よりも側方に延出する前記サイドフラップ部SFであって、不透液性裏面シート2及びサイド不織布7によって形成された肌側に起立する左右一対の外側立体ギャザー11、11とからなる2重ギャザー構造の立体ギャザーBSを構成している。なお、前記立体ギャザーBSは、少なくとも前記サイドフラップ部SFに形成される外側立体ギャザー11を含んでいればよい。
前記内側立体ギャザー10および外側立体ギャザー11の構造についてさらに詳しく説明すると、前記サイド不織布7は、図2に示されるように、幅方向両側端をそれぞれパッド裏面側に折り返して幅方向内側及び幅方向外側にそれぞれ二重シート部分7a、7bを形成するとともに、前記幅方向内側の二重シート部分7a内部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1本または複数本の、図示例では1本の糸状弾性伸縮部材12が配設されるとともに、前記幅方向外側の二重シート部分7b内部に両端または長手方向の適宜の位置が固定された1本または複数本の、図示例では2本の糸状弾性伸縮部材13、13が配設され、前記幅方向内側の二重シート部分7aの基端部が吸収体4の側部に配設される透液性表面シート3の上面にホットメルト接着剤等により接着されるとともに、幅方向外側の二重シート部分7bの基端部が前記吸収体4よりも側方に延出する不透液性裏面シート2の側端部にホットメルト接着剤等により接着されることにより、前記幅方向内側の二重シート部分7aによって肌側に起立する内側立体ギャザー10が形成されるとともに、前記幅方向外側の二重シート部分7bによって肌側に起立する外側立体ギャザー11が形成されている。なお、前記サイド不織布7は、パッド長手方向の両端部では、図3に示されるように、前記糸状弾性伸縮部材12、13が配設されないとともに、前記幅方向内側の二重シート部分7aがホットメルト接着剤等によって吸収体4側に接合されている。
前記失禁パッド1は、個装シート24上に配置した状態で、長手方向に適宜に折り畳まれて個装状態とされている(図9参照)。具体的には、個装シート24上に失禁パッド1を配置した状態で、図1に示されるように、後側の折り線L1位置にてパッド後端部側を個装シート24とともに透液性表面シート3側に折り畳んだ後、前側の折り線L2位置にてパッド前端部側を個装シート24とともに透液性表面シート3側に折り畳み、図9に示されるように、個装シート24の開口した側縁部24aをエンボス圧着、加熱融着、接着剤等、適宜の封鎖手段の単独または組み合わせによって封鎖することによって個装状態としている。また、個装シート24の前後方向端縁24bは、接着剤により接合した後、好ましくはタブテープ27により封止する。
前記失禁パッド1は、個装から取り出した状態で、図5に示されるように、折り線L1より後側及び折り線L2より前側がそれぞれ肌側に起立した状態となる。「個装から取り出した状態」とは、前述の個装状態を開封後、前記個装シート24を取り除いた(不透液性裏面シート2の外面側に設けられるズレ止め粘着剤層を覆う剥離紙が設けられる場合には、その剥離紙も取り除いた)自然状態のことである。失禁パッド1の前側及び後側が肌側に起立するとは、失禁パッド1の前端及び後端がそれぞれ、前記折り線L1、L2を基点として肌側(透液性表面シート3側)に向けて起立した状態のことである。このときの起立角度は、同図5に示されるように、折り位置とパッド前端又は後端とを結ぶ線と水平線との成す角度βが45°〜180°となるようにするのが好ましい。
前記折り線L1より後側及び折り線L2より前側がそれぞれ肌側に起立する要因としては、個装時に失禁パッド1を前記折り線L1、L2で折り畳んだ折り癖による場合と、失禁パッド1の両側部に設けられる立体ギャザーBSを構成する弾性伸縮部材12、13の収縮力による場合と、これら両方による場合とがある。
〔凹溝22及び吸収体4について〕
本失禁パッド1では、肌側に長手方向に沿って尿流入用の凹溝22が形成されている。前記凹溝22は、透液性表面シート3の表面に排出された尿を受け止めて、尿を一時貯留するとともに、前後方向への尿の拡散を誘導し、且つ吸収体4への尿の吸収速度を速め、横漏れを防止するためのものである。
前記凹溝22は、透液性表面シート3の表面側から透液性表面シート3から吸収体4にかけての構成部材を一体的に圧搾することにより形成したものでもよいが、予め前記吸収体4に吸収体凹部20を形成しておき、この吸収体凹部20に沿って透液性表面シート3の表面側(肌面側)から吸収体4より上層の構成部材を圧搾するエンボス部21を設けることにより形成したものの方が、脚圧による凹溝22の変形が防止できるなどの理由から望ましい。
前記吸収体4には、前記エンボス部21の形成予定部分に、予め、圧搾によることなく凹溝状又はスリット状に、図示例では凹溝状に形成された吸収体凹部20が形成されている。この吸収体凹部20は、圧搾によることなく、例えば図4に示されるように、(A)積繊、又は(B)吸収体凹部20の底部の厚みで形成された下層吸収体4aと、前記吸収体凹部20に対応する部分が開口した上層吸収体4bとの積層構造などによって形成されている。
前記吸収体凹部20は、図1に示されるように、吸収体4に対して、尿排出部位Hに対応するパッド幅方向の中央部であって長手方向の中間部に、1条のみ形成するのが好ましいが、失禁パッド1の幅方向に離間して複数条で形成したり、パッド長手方向に離間する不連続線状に形成するなど、種々の形態で形成することができる(図14〜図16参照)。なお、複数の吸収体凹部20を設ける場合は、それぞれの吸収体凹部20に対してエンボス部21を設けるのが好ましい。
前記吸収体凹部20の平面寸法は、パッド長手方向の長さが100〜180mm、溝幅(底面の溝幅)が5〜30mmとするのがよい。前記吸収体凹部20の深さは、吸収体4の厚みの30%以上、具体的には5〜8mm程度とするのがよい。
前記吸収体凹部20の底部(不透液性裏面シート2側の部分、非肌側の部分)に介在する吸収体4部分は、パルプの目付が0g/m〜210g/m、好ましくは70g/m〜190g/mとするのがよい。この吸収体部分にも吸水性ポリマー8が所定の目付で分散混入されている。
前記凹溝22の底面には、適宜のパターンで周辺の凹溝22の底面より更に深く圧搾した高圧搾部26を設けることができる。前記高圧搾部26を設けることにより、凹溝22の剛性が高まり、両側から脚圧を受けた場合などに凹溝22が潰れやすくなるのが防止できる。
前記高圧搾部26は、具体的には、図1に示されるように、平面視で、全体として前記凹溝22に沿うとともに、前記凹溝22の両側縁を往復するように幅方向両側に凹凸を繰り返すパターンで形成された波状の第1エンボス26aと、前記波状の第1エンボス26aが幅方向外側に突出する凸部26b、26bと対向する反対側の前記凹溝22の側縁部に、前記凹溝22に沿って形成された第2エンボス26cとから構成されている。
前記凹溝22は、図1に示されるように、長手方向の前端22aが前側の折り線L2より失禁パッド1の前側に延在するとともに、長手方向の後端22bが後側の折り線L1より失禁パッド1の後側に延在するように設けられている。つまり、尿排出部Hを含む前後の折り線L1、L2間から、この折り線L1、L2を越えた後側及び前側の各領域まで連続的に設けられている。換言すると、失禁パッド1を個装する際の折り線L1、L2が、凹溝22を横断する位置に設けられている。前記凹溝22は折り線L1,L2からの延在寸法(突出長さ)Sは、10〜30mm程度とするのが望ましい。
凹溝22内に流れ込んだ尿は、凹溝22の端部側に向けて凹溝内を溝長手方向に沿って流れていくが、仮に、凹溝22の前後端部が折り線L1、L2を越えることなく折り線L1と折り線L2との間に形成されているとすると、凹溝22の端部から溢れた尿が折り線L1,L2位置で、肌側に起立した部分が高い壁となっているため、ここで急に堰き止められ、この尿は、折り線L1,L2位置で幅方向に流れ、横漏れが生じるようになる。しかも、この場合には、凹溝22の端部が折れ線L1、L2近傍に形成されることが多く、失禁パッドの折り畳みによって折れ線L1、L2近傍の吸収体が圧縮されている場合が少なくないので、凹溝の端部は溝深さが浅くなっていることがあり、凹溝から尿が溢流しやすい状態にある。
これに対して、本失禁パッド1では、前述の通り折り線L1、L2より後側及び前側が肌側に起立するとともに、凹溝22の前端及び後端が折り線L1、L2より端部側に延在して設けられているため、図5に示されるように、凹溝22内を端部に向けて流れた尿は、肌側に起立した部分が高い壁となって波返し(壁となった起立部分に衝突した反動で反対方向に液流れすること。)するように作用し、尿が凹溝22から溢れ出ることなく、凹溝22内に滞留し次第に吸収体に吸収保持されるようになる。このため、凹溝22内の尿が凹溝22から溢流して折り線Ll,L2位置から横漏れするのが防止できるようになる。
なお、前記凹溝22は、前端22aのみが前側の折り線L2より前側に延在していてもよいし、後端22bのみが後側の折り線L1より後側に延在していてもよい。前者の場合には、凹溝22の前端22aから尿が溢れ出るのが防止でき、後者の場合には、凹溝22の後端22bから尿が溢れ出るのが防止できる。
一方、本失禁パッド1では、肌側の中央部に長手方向に沿って前記凹溝22が設けられているため、図6に示されるように、装着時に、この凹溝22を可撓軸として失禁パッド1が幅方向に折れ曲がりやすくなるという効果も有している。このため、両側のサイドフラップ部SFに形成された外側立体ギャザー11及びその内側に形成された内側立体ギャザー10がそれぞれ、肌面に密着しやすくなる。したがって、前記立体ギャザーBSによって尿が確実に堰き止められ、尿の横漏れが防止できるようになる。
ここで、図2に示されるように、前記凹溝22の両側面を吸収体4の上面(平面)に対し垂直又はこれと10°程度までの角度差で形成した場合には、図6に示されるように、凹溝22を可撓時として失禁パッド1が幅方向に折れ曲がったとき、凹溝22の両側面の肌側端部同士の間隔が狭まって、肌側への開口が狭くなる問題が生じる。そこで、図7(A)に示されるように、凹溝22の両側面を予め、肌側に向けて外側に傾斜する傾斜状に形成することにより、同図7(B)に示されるように、失禁パッド1の折れ曲がり時でも凹溝22の開口が狭くならないようにすることができる。前記凹溝22の両側面の傾斜角αは、15°〜30°程度が好ましい。
また、図8に示されるように、前記凹溝22を可撓軸とした失禁パッド1の折れ曲がりをより一層生じやすくするため、凹溝22の底部に、周辺より窪むノッチ部28を溝長手方向に沿って設けることができる。このノッチ部28は、吸収体4の可撓性を向上させるように、少なくとも吸収体4に設けてあればよい。これによって、前記ノッチ部28を基点として、凹溝22がより一層可撓性を有するようになる。前記ノッチ部28は、溝長手方向に沿って、連続線、不連続線、多数のドット状など種々の形態で配置することができる。また、断面形状は、図示例では三角形状であるが、半円形状、四角形などで形成してもよい。
ところで、前記吸収体4は、図2及び図3に示されるように、前記凹溝22以外の部分の厚みが、吸収体全体に亘って一定に形成するのが好ましい。つまり、前記吸収体4は、尿排出部位に対応する部分に肌側に高い中高部が設けられることがなく、平坦な平板状に形成するのが好ましい。前記厚みが一定に形成されるとは、上述の厚み測定によって得られた厚みが平均値から±10%以内、好ましくは±5%以内、より好ましくは±3%以内であることである。
前記吸収体4の厚みが一定に形成されることにより、前記パルプ及びポリマーが前記凹溝22以外の部分に均等に分散混合されているので、パルプ及びポリマーの目付も、凹溝22以外の部分において一定に形成されている。
なお、図1に示されるように、前記凹溝22以外にも、表面を伝う尿の拡散を防止するため、透液性表面シート3の表面側から適宜の形状でエンボス溝23が設けられ、このエンボス溝23において厚みが小さくなる場合があるが、このエンボス溝23部分の厚みは除外するものとする。
前記凹溝22以外の吸収体4の厚みを一定に形成することにより、図9〜図11に示されるように、本失禁パッド1を折り線L1、L2にて折り畳んで個装状態としたとき、凹溝22の両側部の一定の厚みで形成された吸収体部分同士が重なり合うようになり、中高部を形成したときのようなパッケージングによる胴膨れが生じることが無くなるとともに、前記折り線L1、L2を越えて凹溝22が形成されていることにより、折り部のコシが柔らかくなり、3つ折り状態で収まり易くなるため、パッケージの安定性が良好になる。
また、個装状態では、図10及び図11に示されるように、折返し部分の幅方向中央部に凹溝22によって吸収体4の厚みが薄くなった部分が重なるので、この部分が個装シート24の外側から窪みとなり、その窪み部分を指で摘むことで、パッケージを開封しやすくなる。
図2に示されるように、前記凹溝22の深さT1は、前記凹溝22以外の吸収体4が介在する部分の透液性表面シート3から不透液性裏面シート2にかけての厚さTの30%以上100%以下(0.3T≦T1≦T)、好ましくは50%以上100%以下(0.5T≦T1≦T)であるのが好ましい。この深さで凹溝22を形成することにより、図6に示す凹溝22を可撓軸とした吸収体4の幅方向の変形が生じやすくなる。
ところで、図12に示されるように、本失禁パッド1の不透液性裏面シート2の外面側には、装着時に下着とのズレ止めを図るためのズレ止め粘着剤層25が形成されているが、このズレ止め粘着剤層25は、凹溝22と厚み方向に重なる範囲には設けないことが好ましい。これにより、装着時に幅方向両側からの脚圧によって凹溝22が幅方向に潰れた場合でも、スペースができてズレ止め粘着剤層25同士がくっつくのが防止でき、脚圧が解除されたときに凹溝22が元の形状に容易に復元できるようになる。
前記ズレ止め粘着剤層25は、図12に示される例では、凹溝22より幅方向外側に離間した両側部にそれぞれ、パッド長手方向に沿って吸収体4が介在する部分のほぼ全長に亘る帯状のズレ止め粘着剤層25a、25aと、凹溝22の端部より外側に離間した前後端部にそれぞれ、パッド長手方向に沿って吸収体4の端部まで延びる帯状のズレ止め粘着剤層25b、25bとから構成されている。なお、少なくとも凹溝22の両側のズレ止め粘着剤層25a、25aが設けてあれば、凹溝22の前後端部のズレ止め粘着剤層25b、25bは設けなくてもよい。
本失禁パッド1では、凹溝22の端部が折り線L1、L2より外方側に延在しているため、凹溝22に沿って流れた尿が肌側に起立した壁状部分に勢いよくぶつかると、凹溝22の両側を乗り越えて、あふれ出し、折り線に沿って両側に拡散し横漏れが生じやすくなるおそれがある。この問題を解決するため、前記凹溝22は、図13に示されるように、前記折り線L1、L2より外方側に延在する端部に、溝幅を拡大させた拡幅部29及び溝深さを増大させた増深部30を備えるようにするとともに、前記拡幅部29及び増深部30が前記折り線L1、L2よりパッド長手方向の中央側位置から端部にかけて形成されるようにするのが好ましい。前記拡幅部29及び増深部30を設けることにより、凹溝22に沿って流れた尿が肌側に起立した壁状部分にぶつかる直前で、断面積の増大により流水速度が低下するため、起立した壁状部分にぶつかる勢いが弱まり、凹溝22を乗り越えることがなく、波返しによる尿の溢流防止効果が確実に発揮されるようになる。また、前記拡幅部29及び増深部30では、凹溝22の周囲の面積が増大するため、尿の吸収面積が増加し、尿の吸収性能が向上するようになる。なお、図示例では、凹溝22の端部に拡幅部29及び増深部30の両方が同時に施されているが、拡幅部29又は増深部30のいずれか一方のみを施すようにしてもよい。
前記凹溝22は、種々の形態で配置することができる。前記凹溝22は、図1に示されるように、尿排出部位Hに対応するパッド幅方向の中央部であって長手方向の中間部に、1条のみ形成するのが好ましいが、図14(A)、(B)に示されるように、パッド幅方向に離間して複数条形成してもよい。複数条形成した場合には、多くの尿が一気にドッと出たときでも尿の拡散効果をより確実に高めることができるようになる。パッド幅方向に離間して複数条形成する場合、同図14(A)に示す偶数条でもよいし、同図14(B)に示す奇数条でもよい。
また、前記凹溝22の平面形状は、図1に示されるように、パッド長手方向に沿って等幅で形成してもよいし、図15に示されるように、異なる溝幅で形成してもよい。図15(A)では、凹溝22のパッド長手方向の前側端部に、溝幅を拡大した拡幅部22aを設けている。前記拡幅部22aを設けることにより、尿の一時貯留空間が拡大でき、特に切迫性失禁などのように大量の尿が一度にドッと出た場合でも確実に凹溝22で尿を受け止めることが可能となる。前記拡幅部22aは、同図15(B)に示すようにパッド後側の端部に設けてもよいし、同図15(C)に示すように前後端部にそれぞれ設けてもよい。
前記凹溝22は、図16に示されるように、1又は複数の枝分かれ部22b、22cを設けてもよい。前記枝分かれ部22b、22cを設けることにより、凹溝22に一時貯留された尿が凹溝22に沿って吸収体4の広い範囲に拡散するようになり、吸収体4のより広い範囲で尿を吸収できるようになる。図16(A)〜(C)に示される例では、前記枝分かれ部22bとして、パッド長手方向の前側、後側又は前側及び後側のそれぞれに、凹溝22の両側縁から外側に延びるとともに、パッド長手方向の端部側に傾斜する複数、図示例では左右それぞれ3本ずつ設けられている。また、図16(D)〜(F)に示される例では、前記枝分かれ部22cとして、パッド長手方向の前端、後端又は前端及び後端のそれぞれに、凹溝22が放射状に複数に、図示例では5本に枝分かれしたものが設けられている。
なお、予め吸収体4の凹溝22の形成予定部分に前記吸収体凹部20を設ける場合、上記凹溝22の形状に沿って吸収体凹部20を設けるようにする。
上記形態例では、前記吸収体凹部20は、図2に示されるように、有底の凹溝状に形成していたが、図17に示されるように、表面側から裏面側にかけて貫通したスリット状に形成してもよい。前記吸収体凹部20をスリット状とした場合、前記エンボス部21は、図17に示されるように、吸収体凹部20の底面に配置される吸収体凹部20を貫通した不透液性裏面シート2に対して施すようにする。前記吸収体凹部20をスリット状に形成し凹溝22の底部に吸収体4が介在しない場合であっても、凹溝22の底面に介在する透液性表面シート3を通じても尿が吸収体4に吸収保持されるとともに、この凹溝底面の透液性表面シート3に吸収された尿が凹溝22に沿って拡散するため、吸収性能の低下は極僅かに抑えられる。
1…失禁パッド、2…不透液性裏面シート、3…透液性表面シート、4…吸収体、5…被包シート、7…サイド不織布、8…高吸水性ポリマー、10…内側立体ギャザー、11…外側立体ギャザー、12・13…糸状弾性伸縮部材、20…吸収体凹部、21…エンボス部、22…凹溝、23…エンボス溝、24…個装シート、25…ズレ止め粘着剤層、28…ノッチ部、29…拡幅部、30…増深部

Claims (8)

  1. 透液性表面シートと裏面シートとの間に吸収体が介在され、且つ肌側の前記透液性表面シートの表面に長手方向に沿って体液を一時貯留するとともに前後方向への体液の拡散を誘導する体液流入用の凹溝が形成されるとともに、個装状態で前側及び後側の折り線にて長手方向に3つ折りされた吸収性物品において、
    前記吸収性物品は、個装から取り出した状態で、前記折り線より前側及び後側が肌側に起立し、
    前記凹溝は、前端が前側の折り線より前側に延在するか、後端が後側の折り線より後側に延在するか、前端が前側の折り線より前側に延在し且つ後端が後側の折り線より後側に延在するとともに、全体として、吸収性物品の長手方向に沿って直線的に延び、底面の溝幅が5〜30mmであり、前記折り線からの延在長さが10〜30mmであることを特徴とする吸収性物品。
  2. 前記吸収体は、前記凹溝以外の部分のパルプの目付が400g/m以上であり、且つ全体のパルプ重量とポリマー重量を合計した吸収体重量に対する前記パルプ重量の比率が55%以上である請求項1記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性物品は、前記吸収体の両側部に吸収体の存在しないサイドフラップ部が形成され、且つこのサイドフラップ部に長手方向に沿って弾性伸縮部材を配設することによりギャザーが形成され、
    前記凹溝以外の部分の前記吸収体の厚みが一定である請求項1、2いずれかに記載の吸収性物品。
  4. 前記凹溝の底部に、周辺より窪むノッチ部が溝長手方向に沿って形成されている請求項1〜3いずれかに記載の吸収性物品。
  5. 前記凹溝の深さは、前記凹溝以外の前記吸収体が介在する部分の前記透液性表面シートから裏面シートにかけての厚さの30%以上100%以内である請求項1〜4いずれかに記載の吸収性物品。
  6. 前記裏面シートの外面側にズレ止め粘着剤層が形成され、前記ズレ止め粘着剤層は、前記凹溝と厚み方向に重なる範囲に設けられていない請求項1〜5いずれかに記載の吸収性物品。
  7. 前記吸収体は、前記透液性表面シート側の面に、吸収性物品の長手方向に沿うとともに尿排出部位を含む長手方向範囲に亘って、凹溝状又はスリット状の吸収体凹部を備え、
    前記透液性表面シートの表面側から前記吸収体凹部の底面に対し前記吸収体凹部に沿ってエンボスが形成されている請求項1〜6いずれかに記載の吸収性物品。
  8. 前記凹溝は、前記折り線より外方側に延在する端部に、溝幅を拡大させた拡幅部及び溝深さを増大させた増深部の内のいずれか一方又は両方が形成されるとともに、前記拡幅部又は増深部が前記折り線より中央側位置から端部にかけて形成されている請求項1〜7いずれかに記載の吸収性物品。
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