JP6152494B1 - 自動変速機の制御装置及び自動変速機の制御方法 - Google Patents

自動変速機の制御装置及び自動変速機の制御方法 Download PDF

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Abstract

コントローラは、車両に設けられ有段変速機構(30)を有する変速機の制御装置であって、インターロック検知条件が成立すると、有段変速機構(30)のインターロック検知判定を行う。また、コントローラは、インターロック検知判定が行われると、有段変速機構(30)のニュートラル指示を行う。また、コントローラは、ニュートラル指示が行われたにも関わらず、有段変速機構(30)が動力伝達状態であると、有段変速機構(30)のインターロック異常判定を行う。

Description

本発明は、自動変速機の制御装置及び自動変速機の制御方法に関する。
JP2008−232355Aには、車両減速度、指令変速段及び実変速比に基づき自動変速機のインターロック異常判定を行う技術が開示されている。
自動変速機の有段変速機構では、車両走行中に動力伝達状態からニュートラル状態に状態が遷移する走行中N遷移が発生することがある。走行中N遷移の原因としては例えば、走行レンジからニュートラルレンジへのシフトチェンジのほか、ニュートラル異常や一時的なニュートラル状態が考えられる。
ニュートラル異常は、有段変速機構で摩擦締結要素を締結しようとしても締結することができずに、有段変速機構がニュートラル状態になる異常である。ニュートラル異常は例えば、有段変速機構の摩擦締結要素や摩擦締結要素への供給油圧を制御するソレノイドの故障などによって発生し得る。
一時的なニュートラル状態は、上記ニュートラル異常によるニュートラル状態とは異なり、有段変速機構が一時的にニュートラル状態になることである。一時的なニュートラル状態は例えば、有段変速機構の摩擦締結要素を締結するためにソレノイドに指示電流を与えてから、指示電流に応じた油圧が摩擦締結要素に実際に供給されるまでのタイムラグ、すなわち油圧制御の応答遅れなどによって発生し得る。
走行中N遷移の原因がシフトチェンジである場合、レンジの選択状態を示すレンジ信号に基づき、走行中N遷移の原因がシフトチェンジであることを判別することができる。このため、このような場合をインターロック異常と誤判定することはない。
ところが、走行中N遷移では、ニュートラル状態になった有段変速機構の入力回転速度が走行用駆動源からの動力によって増加する結果、実変速比がインターロック異常判定の判定領域に含まれる事態が発生し得る。さらに、走行中N遷移では、有段変速機構が動力伝達状態からニュートラル状態になるので、駆動輪に伝達されるトルクが突然減少する結果、減速度が高まったかのように検知されることがある。このため、ニュートラル異常や一時的なニュートラル状態をインターロック異常と誤判定する可能性がある。
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたもので、有段変速機構のインターロック異常判定を改善可能な自動変速機の制御装置及び自動変速機の制御方法を提供することを目的とする。
本発明のある態様の自動変速機の制御装置は、車両に設けられ有段変速機構を有する自動変速機の制御装置であって、前記有段変速機構の実変速比が正常検出範囲外であること、及び前記有段変速機構の出力軸回転の減速度の絶対値が設定値よりも大きいこと、を含む前記有段変速機構のインターロック検知条件が成立すると、前記有段変速機構のインターロックを検知したとの判定であるインターロック検知判定を行う第1判定部と、前記インターロック検知判定が行われると、前記有段変速機構のニュートラル指示を行うニュートラル指示部と、前記ニュートラル指示が行われたにも関わらず、前記有段変速機構が動力伝達状態であると、前記有段変速機構インターロック異常を確定する第2判定部と、を有する。
本発明の別の態様によれば、車両に設けられ有段変速機構を有する自動変速機の制御方法であって、前記有段変速機構の実変速比が正常検出範囲外であること、及び前記有段変速機構の出力軸回転の減速度の絶対値が設定値よりも大きいこと、を含む前記有段変速機構のインターロック検知条件が成立すると、前記有段変速機構のインターロックを検知したとの判定であるインターロック検知判定を行うことと、前記インターロック検知判定が行われると、前記有段変速機構のニュートラル指示を行うことと、前記ニュートラル指示が行われたにも関わらず、前記有段変速機構が動力伝達状態であると、前記有段変速機構インターロック異常を確定するインターロック異常判定を行うことと、を含む自動変速機の制御方法が提供される。
これらの態様によれば、インターロック検知判定後、さらにニュートラル指示を行っても有段変速機構が動力伝達状態であることを以て、初めてインターロック異常判定を行うので、ニュートラル異常や一時的なニュートラル状態をインターロック異常と誤判定することを防止できる。したがってこれらの態様によれば、有段変速機構のインターロック異常判定を改善することができる。
図1は、変速機を含む車両の要部を示す図である。 図2は、実施形態の制御の一例をフローチャートで示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、変速機100を含む車両の要部を示す図である。車両は、エンジン1と、トルクコンバータ2と、バリエータ20と、副変速機構30と、車軸部4と、駆動輪5と、を備える。
エンジン1は、車両の駆動源を構成する。トルクコンバータ2は、流体を介して動力を伝達する。バリエータ20と副変速機構30とは、入力された回転速度を変速比に応じた回転速度で出力する。車軸部4は、減速ギヤや差動装置や駆動車軸を有して構成される。エンジン1の動力は、トルクコンバータ2、バリエータ20、副変速機構30及び車軸部4を介して駆動輪5に伝達される。
バリエータ20は無段変速機構であり、プライマリプーリ21と、セカンダリプーリ22と、ベルト23と、を備える。以下では、プライマリをPRIと称し、セカンダリをSECと称す。
PRIプーリ21は、固定プーリ21aと、可動プーリ21bと、PRI室21cと、を有する。PRIプーリ21では、PRI室21cにPRI圧が供給される。
SECプーリ22は、固定プーリ22aと、可動プーリ22bと、SEC室22cと、を有する。SECプーリ22では、SEC室22cにSEC圧が供給される。
ベルト23は、PRIプーリ21の固定プーリ21aと可動プーリ21bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面と、SECプーリ22の固定プーリ22aと可動プーリ22bとにより形成されるV字形状をなすシーブ面に巻き掛けられる。
バリエータ20は、PRIプーリ21とSECプーリ22との溝幅をそれぞれ変更することでベルト23の巻掛け径を変更して変速を行うベルト式無段変速機構を構成している。
このようなバリエータ20では、PRI圧を制御することにより、可動プーリ21bが作動し、PRIプーリ21の溝幅が変更される。また、SEC圧を制御することにより、可動プーリ22bが作動し、SECプーリ22の溝幅が変更される。
PRI圧及びSEC圧は、ライン圧PLを元圧として油圧制御回路11で生成される。PRI圧及びSEC圧のうち一方には、ライン圧PLが適用されてもよい。この場合、バリエータ20を片調圧方式のバリエータとして構成することができる。
副変速機構30は有段変速機構であり、前進2段、後進1段の変速段を有する。副変速機構30は、前進用変速段として、1速と、1速よりも変速比が小さい2速を有する。副変速機構30は、エンジン1から駆動輪5に至るまでの動力伝達経路において、バリエータ20の出力側に直列に設けられる。副変速機構30は、バリエータ20に直接接続されてもよく、ギヤ列など他の構成を介してバリエータ20に間接的に接続されてもよい。
副変速機構30は、遊星歯車機構31と、Lowブレーキ32、Highクラッチ33及びRevブレーキ34を含む複数の摩擦締結要素と、を備える。副変速機構30の変速段は、複数の摩擦締結要素への供給油圧を調整し、複数の摩擦締結要素の締結・解放状態を変更することで変更される。
例えば、Lowブレーキ32を締結し、Highクラッチ33とRevブレーキ34を解放すると、変速段は1速となる。また、Highクラッチ33を締結し、Lowブレーキ32とRevブレーキ34を解放すると、変速段は2速となる。また、Revブレーキ34を締結し、Lowブレーキ32とHighクラッチ33を解放すると、変速段は後進となる。
車両では、バリエータ20及び副変速機構30それぞれにおいて、変速比が変更される。このため、車両では、バリエータ20及び副変速機構30全体の変速比であるスルー変速比に応じた変速が行われる。変速比は、入力回転速度を出力回転速度で除算した値であり、スルー変速比は、バリエータ20の変速比に副変速機構30の変速比を掛けて得られる変速比である。
バリエータ20は副変速機構30とともに、自動変速機構3を構成する。バリエータ20と副変速機構30とは構造上、個別の変速機構として構成されてもよい。
車両は、オイルポンプ10と、油圧制御回路11と、コントローラ12と、をさらに備える。
オイルポンプ10は、オイルを圧送する。オイルポンプ10には、エンジン1の動力で駆動する機械式のオイルポンプを用いることができる。
油圧制御回路11は、オイルポンプ10から圧送されたオイルの圧力すなわち油圧を調整してバリエータ20や副変速機構30の各部位に伝達する。油圧制御回路11では例えば、ライン圧PLやPRI圧やSEC圧の調整が行われる。
コントローラ12は、電子制御装置であり、油圧制御回路11を制御する。コントローラ12には、回転センサ41や、回転センサ42や、回転センサ43の出力信号が入力される。
回転センサ41は、バリエータ20の入力側の回転速度を検出するためのバリエータ入力側回転センサである。回転センサ42は、バリエータ20の出力側の回転速度を検出するためのバリエータ出力側回転センサである。回転センサ42は具体的には、バリエータ20の出力側且つ副変速機構30の入力側の回転速度を検出する。回転センサ43は、副変速機構30の出力側の回転速度を検出するための副変速機構出力側回転センサである。
バリエータ20の入力側の回転速度は具体的には、バリエータ20の入力軸の回転速度である。バリエータ20の入力側の回転速度は、前述の動力伝達経路において、例えばギヤ列をバリエータ20との間に挟んだ位置の回転速度であってもよい。バリエータ20の出力側の回転速度や、副変速機構30の出力側の回転速度についても同様である。
コントローラ12には、さらにこのほかアクセル開度センサ44や、インヒビタスイッチ45や、エンジン回転センサ46などの出力信号が入力される。
アクセル開度センサ44は、アクセルペダルの操作量を表すアクセル開度APOを検出する。インヒビタスイッチ45は、セレクトレバーの位置を検出する。エンジン回転センサ46は、エンジン1の回転速度Neを検出する。コントローラ12は、回転センサ43の出力信号に基づき車速Vspを検出することができる。
コントローラ12は、これらの信号に基づき変速制御信号を生成し、生成した変速制御信号を油圧制御回路11に出力する。油圧制御回路11は、コントローラ12からの変速制御信号に基づき、ライン圧やPRI圧やSEC圧を制御したり、油圧経路の切り換えを行ったりする。
これにより、油圧制御回路11からバリエータ20や副変速機構30の各部位に変速制御信号に応じた油圧の伝達が行われる。結果、バリエータ20や副変速機構30の変速比が、変速制御信号に応じた変速比すなわち目標変速比に変更される。変速制御信号は、副変速機構30をニュートラル状態にするための指示である副変速機構30のニュートラル指示を含む。
変速機100は自動変速機であり、バリエータ20及び副変速機構30のほか、このようにして変速比を制御する油圧制御回路11及びコントローラ12や、回転センサ41、回転センサ42及び回転センサ43を有して構成されている。変速機100は例えば、副変速機構30の複数の摩擦締結要素への供給油圧を検出する圧力センサ等をさらに有して構成されてよい。
次に、コントローラ12が行う制御の一例を図2に示すフローチャートを用いて説明する。コントローラ12は、本フローチャートに示す処理を微小時間毎に繰り返し実行することができる。コントローラ12は、本フローチャートに示す処理を車両走行中にDレンジが選択されている間に行うことができる。
ステップS1で、コントローラ12は、副変速機構30のニュートラル検知条件が成立したか否かを判定する。ニュートラル検知条件は、副変速機構30のニュートラル状態を検知するための条件である。ニュートラル検知条件は、副変速機構30の実変速比が正常検出範囲外であること、すなわち副変速機構30の実変速比が指令変速段に応じた変速比範囲に含まれないこと、を含む条件とすることができる。
副変速機構30の実変速比は、回転センサ42及び回転センサ43の出力に基づき検出することができる。指令変速段に応じた変速比範囲は、指令変速段に応じた変速比を含む変速比範囲であり、誤差等に対する余裕を考慮して、実験等によって予め設定することができる。
ニュートラル検知条件は具体的には、ニュートラル状態としてニュートラル異常や一時的なニュートラル状態を検知するための条件となっている。
ニュートラル異常は、副変速機構30で摩擦締結要素を締結しようとしても締結することができずに、副変速機構30がニュートラル状態になる異常である。したがって、換言すれば、ニュートラル異常は、副変速機構30が指示に反してニュートラル状態のままになる異常と言える。ニュートラル異常は例えば、副変速機構30の摩擦締結要素や摩擦締結要素への供給油圧を制御するソレノイドの故障などによって発生し得る。
一時的なニュートラル状態は、上記ニュートラル異常によるニュートラル状態とは異なり、副変速機構30が一時的にニュートラル状態になることである。一時的なニュートラル状態は例えば、副変速機構30の摩擦締結要素を締結するためにソレノイドに指示電流を与えてから、指示電流に応じた油圧が摩擦締結要素に実際に供給されるまでのタイムラグ、すなわち油圧制御の応答遅れなどによって発生し得る。
したがって、ニュートラル検知条件は具体的には、ニュートラル指示をしていないにも関わらず、副変速機構30がニュートラル状態になっている状態を検知するニュートラル検知の成立条件として設定される。ニュートラル検知条件はさらに例えば、選択レンジがDレンジ等の前進走行レンジであることを含む条件とすることができる。
ニュートラル検知条件は例えば、副変速機構30の変速比が指示変速段に応じた変速比よりも所定以上大きいこと、を含む条件とされてもよい。これは、車両走行中に副変速機構30がニュートラル状態になると、エンジン1からの動力によって、副変速機構30の入力回転速度が増加し、副変速機構30の変速比が増加するためである。
ステップS1で否定判定であれば、本フローチャートを一旦終了する。ステップS1で肯定判定であれば、ステップS1で肯定判定したことを以て、副変速機構30のニュートラル検知判定、すなわち副変速機構30のニュートラル状態を検知したとの判定が行われる。
ニュートラル検知判定は具体的には、ニュートラル指示をしていないにも関わらず、副変速機構30がニュートラル状態になっている状態を検知したとの判定である。ニュートラル検知判定は例えば、フラグをONにすることによって行われてもよい。ステップS1で肯定判定であれば、処理はステップS2に進む。
ステップS2で、コントローラ12は、副変速機構30のニュートラル状態からの復帰制御を行う。
ここで、ニュートラル状態は、Lowブレーキ32やHighクラッチ33の動作不良、すなわち副変速機構30の摩擦締結要素の動作不良によって一時的に発生する場合がある。また、ニュートラル状態は例えば、副変速機構30の摩擦締結要素への供給油圧を制御するソレノイドの動作不良によって一時的に発生する場合がある。ソレノイドの動作不良は例えば、パーティクルによって引き起こされる。
このため、復帰制御としては例えば、指令変速段に応じた副変速機構30の摩擦締結要素への供給油圧の油圧指示値を高める制御を行うことができる。また、復帰制御としては例えば、副変速機構30の摩擦締結要素への供給油圧を制御するソレノイドのON、OFFを繰り返す制御を行うことができる。
復帰制御では、トルクダウン制御を併せて行うことができる。トルクダウン制御では、エンジン1のトルクを制限することで、ニュートラル状態からの復帰の際に、バリエータ20におけるベルト23の滑り発生を防止することができる。
ステップS3で、コントローラ12は、副変速機構30がニュートラル状態から復帰したか否かを判定する。副変速機構30がニュートラル状態から復帰したか否かは例えば、副変速機構30の実変速比が指令変速段に応じた変速比範囲に含まれているか否かで判定することができる。ステップS3で否定判定であれば、処理はステップS4に進む。
ステップS4で、コントローラ12は、インターロックの検知タイミングであるか否かを判定する。すなわち、本実施形態ではインターロックの検知タイミングが、所定の時間間隔毎に設定される。所定の時間間隔は、実験等により予め設定することができる。ステップS4で肯定判定であれば、処理はステップS5に進む。
ステップS5で、コントローラ12は、副変速機構30のインターロック検知条件が成立したか否かを判定する。インターロック検知条件は、副変速機構30のインターロック状態を検知するインターロック検知の成立条件として設定される。インターロック検知条件は、副変速機構30の実変速比が正常検出範囲外であること、及び副変速機構30の出力軸回転の減速度の絶対値が設定値よりも大きいこと、を含む。これは次の理由による。
すなわち、車両走行中に副変速機構30でインターロックが発生している場合には、副変速機構30の複数の摩擦締結要素のうちいずれかが滑り、且ついずれかが完全に締結される結果、副変速機構30の実変速比が正常検出範囲外になるとともに、減速度が発生するためである。
具体的には、副変速機構30のインターロック状態は、遊星歯車機構31の回転がゼロに近づくような組み合わせで副変速機構30の複数の摩擦締結要素が締結しようとする状態であり、車両走行中においては、複数の摩擦締結要素が締結しようとしているが、出力側回転速度がゼロにならない状態になる。
このため、車両走行中にインターロックが発生した場合、副変速機構30の変速比は、完全締結している摩擦締結要素に対応する変速段の変速比に近づこうとするが、このときに正常検出範囲外になる。つまり、当該正常検出範囲外とは、このようなインターロック状態で成立する副変速機構30の変速比である。インターロック検知条件はさらに例えば、選択レンジがDレンジ等の前進走行レンジであることを含む条件とすることができる。
ステップS5で肯定判定であれば、副変速機構30のインターロック検知判定、すなわち副変速機構30のインターロックを検知したとの判定が行われる。本実施形態では、インターロック検知判定は、インターロック検知条件が成立すると、インターロック検知条件が成立したと判定したことを以て行われる。インターロック検知判定は例えば、フラグをONにすることによって行われてもよい。
インターロック検知判定では、上述したインターロック検知条件に基づきインターロックを検知するが、警告灯などによる警告制御やフェールセーフ制御は行わない。ステップS5で肯定判定であれば、処理はステップS6に進む。
ステップS6で、コントローラ12は、副変速機構30のニュートラル指示を実行する。ニュートラル指示は具体的には、所定時間実行される。所定時間は実験等に基づき予め設定することができる。
ステップS7で、コントローラ12は、ニュートラル指示を開始してから所定時間が経過したにも関わらず、副変速機構30が動力伝達状態であるか否かを判定する。
副変速機構30がニュートラル状態であれば、変速比が成立しない状態、すなわち入力側回転速度と出力側回転速度とが無関係に変化する状態になる。副変速機構30が動力伝達状態であれば、変速比が成立した状態になる。
このため、副変速機構30が動力伝達状態であるか否かは例えば、副変速機構30で変速比が成立したか否かで判定することができる。また、変速比が成立したか否かは例えば、変速比が所定範囲内であるか否かで判定したり、変速比が所定値よりも小さいか否かで判定したりすることができる。所定範囲や所定値は、実験等により予め設定することができる。ステップS7で肯定判定であれば、処理はステップS8に進む。
ステップS8で、コントローラ12は、副変速機構30のインターロック異常判定、すなわち副変速機構30でインターロック異常が発生しているとの判定を行い、インターロック異常を確定する。インターロック異常判定では、インターロック異常の確定に併せ、警告灯などによる警告制御を行い、フェールセーフ制御を実行する。この場合のフェールセーフ制御としては例えば、副変速機構30の変速を固定する制御を行うことができる。
ステップS7で否定判定であれば、処理はステップS11に進む。ステップS11で、コントローラ12は、ニュートラル異常条件が成立したか否かを判定する。ニュートラル異常条件は、ニュートラル異常を確定させるための条件であり、本実施形態ではニュートラル検知条件と同様の条件、したがって副変速機構30の実変速比が正常検出範囲外であることを含む条件とされる。
このように、本実施形態ではステップS7で否定判定であった場合に、ステップS1で行った判定と同様の判定をステップS11で再び行い、条件が再び成立するとニュートラル異常を確定させることとしている。
ニュートラル異常条件には、その他の条件が適用されてもよい。例えば、ステップS7の否定判定に続いてさらに処理を行う場合には、当該処理の処理結果がニュートラル異常条件として含まれてもよい。ステップS11で肯定判定であれば、処理はステップS12に進む。
ステップS12で、コントローラ12は、副変速機構30のニュートラル異常判定、すなわち副変速機構30でニュートラル異常が発生しているとの判定を行い、ニュートラル異常を確定する。ニュートラル異常判定では、ニュートラル異常の確定に併せて、警告灯などによる警告制御を行い、フェールセーフ制御を実行する。この場合のフェールセーフ制御としては例えば、副変速機構30の変速段を走行可能な変速段に変更する変速制御を行うことができる。
ステップS12の後に本フローチャートの処理を終了した場合、点検修理等によって異常が解消されるまでの間、本フローチャートの処理の実行を中止してよい。ステップS8についても同様である。
ステップS5で否定判定であれば、インターロック異常は発生していないと判断することができる。この場合、処理はステップS9に進み、コントローラ12は復帰制御を再び実行する。ステップS4で否定判定であった場合も同様である。
ステップS10で、コントローラ12は、副変速機構30がニュートラル状態から復帰したか否かを判定する。ステップS10で否定判定であれば、処理はステップS11に進む。したがってこの場合も、ニュートラル異常を確定するにあたり、ニュートラル異常条件が成立したか否かが判定されることになる。
ステップS10で肯定判定であれば、副変速機構30がニュートラル状態から正常状態に復帰したことになる。このためこの場合には、ステップS10で肯定判定したことを以て、一時的なニュートラル状態であったことを判別することができる。ステップS10の後には、本フローチャートの処理を一旦終了する。ステップS3で肯定判定であった場合や、ステップS11で否定判定であった場合も同様である。
コントローラ12は、ステップS7で否定判定であった場合に、処理をステップS9に進めてもよい。この場合も、ニュートラル異常を確定するにあたり、ステップS11でニュートラル異常条件が成立したか否かが判定されることになる。
本実施形態において、コントローラ12は、変速機100の制御装置すなわち自動変速機の制御装置を構成する。コントローラ12は、ステップS5の処理を行うとともにステップS5で肯定判定を行うことで第1判定部として機能する。コントローラ12は、ステップS5の肯定判定に続きステップS6の処理を行うことで、ニュートラル指示部として機能する。コントローラ12は、ステップS7の肯定判定に続きステップS8の処理を行うことで、第2判定部として機能する。
コントローラ12はさらに、ステップS7の否定判定に続きステップS11の処理を行うことで、第3判定部として機能する。コントローラ12は、ステップS5よりも前にステップS1の処理を行うとともにステップS1で肯定判定を行うことで第4判定部として機能する。コントローラ12は、ステップS1の肯定判定に続きステップS2の処理を行うことで、復帰制御部として機能する。
コントローラ12は、これらの各機能部として機能することで、これらの各機能部を有する。本実施形態において、変速機100の制御装置は、油圧制御回路11及びコントローラ12で実現されていると把握されてもよい。
次に、コントローラ12の主な作用効果について説明する。コントローラ12は、車両に設けられ副変速機構30を有する変速機100の制御装置であって、インターロック検知条件が成立すると、副変速機構30のインターロック検知判定を行う。また、コントローラ12は、インターロック検知判定が行われると、副変速機構30にニュートラル指示を行う。コントローラ12は、ニュートラル指示が行われたにも関わらず、副変速機構30が動力伝達状態であると、副変速機構30のインターロック異常判定を行う。
このように構成されたコントローラ12によれば、インターロック検知判定後、さらにニュートラル指示を行っても副変速機構30が動力伝達状態であることを以て、初めてインターロック異常判定を行うので、ニュートラル異常や一時的なニュートラル状態をインターロック異常と誤判定することを防止できる。したがって、副変速機構30のインターロック異常判定を改善することができる。
コントローラ12はさらに、ニュートラル指示が行われ、副変速機構30がニュートラル状態であると、副変速機構30のニュートラル異常条件の成立の有無を判定する。
このように構成されたコントローラ12によれば、インターロック異常でないことを確定させてから、ニュートラル異常であるか否かを判定するのでさらに、インターロック異常をニュートラル異常と誤判定することを防止できる。
コントローラ12はさらに、インターロック検知条件の成立有無の判定よりも前に、ニュートラル検知条件が成立すると副変速機構30のニュートラル検知判定を行う。また、コントローラ12は、ニュートラル検知判定が行われると、インターロック検知条件の成立有無の判定よりも前に、ニュートラル状態からの復帰制御を行う。
このように構成されたコントローラ12によればさらに、異常状態からの自己復帰を可能にすることができるので、一時的なニュートラル状態をニュートラル異常と誤判定することを改善できる。また、インターロック検知条件の成立有無の判定よりも前に復帰制御を行うので、一時的なニュートラル状態をインターロック異常と誤判定することも改善できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
上述した実施形態では、副変速機構30が有段変速機構である場合について説明した。しかしながら、有段変速機構は例えば、有段の自動変速機構である所謂オートマチックトランスミッションであってもよい。
上述した実施形態では、コントローラ12が各機能部として構成される場合について説明したが、各機能部は例えば、複数のコントローラで構成されてもよい。
本願は2015年8月4日に日本国特許庁に出願された特願2015−154056に基づく優先権を主張し、この出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (4)

  1. 車両に設けられ有段変速機構を有する自動変速機の制御装置であって、
    前記有段変速機構の実変速比が正常検出範囲外であること、及び前記有段変速機構の出力軸回転の減速度の絶対値が設定値よりも大きいこと、を含む前記有段変速機構のインターロック検知条件が成立すると、前記有段変速機構のインターロックを検知したとの判定であるインターロック検知判定を行う第1判定部と、
    前記インターロック検知判定が行われると、前記有段変速機構のニュートラル指示を行うニュートラル指示部と、
    前記ニュートラル指示が行われたにも関わらず、前記有段変速機構が動力伝達状態であると、前記有段変速機構インターロック異常を確定する第2判定部と、
    を有する自動変速機の制御装置。
  2. 請求項1に記載の自動変速機の制御装置であって、
    前記ニュートラル指示が行われ、前記有段変速機構がニュートラル状態であると、前記有段変速機構のニュートラル異常条件の成立の有無を判定する第3判定部、
    をさらに有する自動変速機の制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の自動変速機の制御装置であって、
    前記第1判定部の判定よりも前に、前記有段変速機構のニュートラル検知条件が成立すると前記有段変速機構のニュートラル状態を検知したとの判定であるニュートラル検知判定を行う第4判定部と、
    前記ニュートラル検知判定が行われると、前記第1判定部の判定よりも前に、前記有段変速機構のニュートラル状態からの復帰制御を行う復帰制御部と、
    をさらに有する自動変速機の制御装置。
  4. 車両に設けられ有段変速機構を有する自動変速機の制御方法であって、
    前記有段変速機構の実変速比が正常検出範囲外であること、及び前記有段変速機構の出力軸回転の減速度の絶対値が設定値よりも大きいこと、を含むインターロック検知条件が成立すると、前記有段変速機構のインターロックを検知したとの判定であるインターロック検知判定を行うことと、
    前記インターロック検知判定が行われると、前記有段変速機構のニュートラル指示を行うことと、
    前記ニュートラル指示が行われたにも関わらず、前記有段変速機構が動力伝達状態であると、前記有段変速機構インターロック異常を確定するインターロック異常判定を行うことと、
    を含む自動変速機の制御方法。
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