以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る計量装置としての重量選別機の概略構成および計測タイミング等を示す図であり、図2は、図1の重量選別機のブロック図である。
この実施形態の重量選別機1は、図1(a)に示すように、搬入コンベヤ2と、計量コンベヤ3と、搬出コンベヤ4と、計量コンベヤ3を支持する、荷重センサとしてのロードセル(LC)5と、計量コンベヤ3に搬入される直前の物品6を検出する物品センサ7とを備えている。
各コンベヤ2,3,4は、矢符Aで示される搬送方向の前後に配置されたローラに巻回された無端状のベルトで物品6をそれぞれ搬送するベルトコンベヤであり、図示しない駆動手段によってローラが同期して駆動される。なお、各コンベヤ2,3,4は、ベルトコンベヤに限らず、チェーンコンベヤ、ローラコンベヤ等であってもよい。
搬入コンベヤ2は、搬送方向の上流側から供給される被計量物である物品6を計量コンベヤ3に搬入し、計量コンベヤ3は、搬入コンベヤ2から順次搬入される物品6を搬送して搬出コンベヤ4に搬出する。この計量コンベヤ3によって物品6を搬送している期間におけるロードセル5の荷重信号から物品6の動的計量値を取得する。また、搬出コンベヤ4の下流側には、図示しない振分け装置が装備されており、物品6の計量結果に応じて、正常重量の良品と重量に過不足がある不良品との搬送先が振分け選別されるように構成されている。
図2に示すように、重量選別機1は、荷重センサとしてのロードセル5からのアナログの荷重信号を増幅する増幅器8と、増幅器8からの荷重信号をデジタル信号に変換するA/D変換器9と、入出力(I/O)回路10と、入出力回路10からの荷重信号に含まれる振動ノイズ等を減衰させるためのフィルタ処理、後述のようにして過大な荷重信号の判定処理や指標値の抽出、集積処理を行なうと共に、各部を制御するCPU11と、制御プログラムが記憶されていると共に、過大な荷重信号から抽出された指標値等のデータが記憶されるメモリ12と、年月日時分秒のリアルタイムクロックデータを出力するリアルタイムクロック素子15と、リアルタイムクロックデータが入力されると共に、CPU11にシリアル伝送ラインを介して接続されたシリアルコントローラ(SC)16と、各種設定のために操作される操作キーを備える入力部13と、計量値や過大な荷重信号の指標値等を表示する液晶ディスプレイ等からなる表示部14とを備えている。入力部13及び表示部14は、それらを一体化したタッチパネルで構成してもよい。メモリ12は、後述の過大な荷重信号の判定や指標値の抽出のための演算時にレジスタとしての機能を有する。
この重量選別機1では、稼動運転時には、選別すべき物品6が搬入コンベヤ2に供給され、搬入コンベヤ2は、物品6を計量コンベヤ3へ搬送する。搬入コンベヤ2からの物品6は、計量コンベヤ3の直前の位置で、フォトセンサなどからなる物品センサ7で検出され、この検出出力が、入出力回路10を介してCPU11に入力される。そして、物品6が計量コンベヤ3上に搬入されると、物品6の荷重が、図1(b)の負荷直線L1に示されるようにロードセル5に負荷され、ロードセル5は、図1(c)の過渡応答曲線L2に示す荷重信号を出力する。この荷重信号は、CPU11でフィルタ処理されて図1(d)に示すフィルタ応答曲線L3となる。物品センサ7による物品6の検出から一定時間が経過して荷重信号が安定したタイミングである、例えばP点で荷重信号から動的計量値を取得する。この動的計量値を、予め求めた補正値で補正し、この補正後の動的計量値と、上限値および下限値とを比較して、正常重量範囲内の良品と重量に過不足がある不良品とに物品6を選別する。
重量選別機1では、計量コンベヤ3によって物品6を搬送しながら計量するので、得られる動的計量値が、物品6の真の重量値である静的計量値(静止重量値)と異なってしまう。このため、静的計量値が既知の物品を、複数回計量コンベヤ3によって搬送しながら計量し、得られる動的計量値に基づいて、静的計量値に略等しくなるように動的計量値を補正する補正値を予め求めておき、稼動運転時には、動的計量値を、予め求めた前記補正値によって、静的計量値に略等しくなるように補正し、この補正した補正重量値に基づいて物品6を選別するようにしている。
以上のように物品6が正常な状態で計量コンベヤ3上に搬送されていれば問題はないが、物品の性状によっては計量コンベヤ3に付着物を堆積させる性質のものがある。この場合、度々稼動運転中に計量コンベヤ3上の付着物を拭き取る作業が必要になり、作業時の力の加え方によってはロードセル5に過大な荷重を稼動運転中に繰り返し印加することになる。
また稼動運転中に計量コンベヤ3周辺の清掃作業中に計量コンベヤ3に誤って強く当ったりする場合もある。
また重量選別機のように物品6が、搬入コンベヤ2から計量コンベヤ3へ供給される構成でなく、例えばロードセルに計量ホッパが取付けられ、計量ホッパの上方から物品が計量ホッパへ供給される構成の計量装置、例えば半自動式組合せ秤の場合は、作業者が計量ホッパへ物品を供給するが、稼動運転中に物品の供給の仕方によってはロードセルに過負荷が繰り返し加わることがある。
ロードセル5は、上記のように、繰り返し過大な荷重が印加されることによって薄肉の起歪部に微細な亀裂が生じ、徐々に亀裂の成長や亀裂箇所の増加によって零点やスパンが変動して最終的には故障に至る。
この実施形態では、ロードセル5の劣化を進行させる過大な荷重の印加の履歴を把握できるようにして、過大な荷重がロードセル5に印加されないように、あるいは、印加される過大な荷重を軽減するように、重量選別機の使用方法を改善したり、更に、ロードセル5が劣化して故障した場合に、過大な荷重の印加の履歴に基づいて、故障の原因を究明できるようにしている。
ロードセル5に印加される過大な荷重信号の印加の履歴を把握するためには、過大な荷重信号を、通常の計量時の荷重信号や電気ノイズ信号と区別する必要がある。
また、ロードセル5に印加される過大な荷重をきるだけ数多く記憶しておく必要があるが、過大な荷重は、いつロードセル5に印加されるかわからないので、運転中の荷重信号を連続的に、あるいは、運転停止中の荷重信号を連続的に記憶しようとすると、膨大なメモリを必要とする。また、単に荷重信号を大量に記憶するのでは、徐々に生じるロードセル5の劣化要因を追跡調査するのが容易でない。
更に、短い期間の過大な荷重信号であっても、時間経過に伴う荷重信号として連続して記憶するには、多くのメモリを必要とする。
このように、ロードセル5に対する過大な荷重信号の印加の履歴を把握するためには、過大な荷重信号を記憶する必要があるが、その際、次のような点を考慮する必要がある。
すなわち、ロードセル5を劣化させる過大な荷重の印加時に現れる荷重信号を、通常の計量時の荷重信号と区別して、或いは電気ノイズ信号と区別してどのように適格に判定するか、また、限られた容量の記憶素子にできるだけ多くの過大な荷重信号を記憶させるためには、どのように記憶させればよいか、更に、記憶した荷重信号を、どのように出力、すなわち、表示出力や印字出力すれば、過大な過重信号の印加の履歴を辿り易く、原因究明に利用し易いかを考慮する必要がある。
この実施形態では、ロードセル5を装備した計量部の負荷荷重に対する応答特性を考慮し、すなわち負荷荷重、力が加えられた計量部は、計量部の持つ質量、ばね定数に応じた過渡応答特性に応じた荷重信号を出力するので、判定手段としてのCPU11は、ロードセル5からの荷重信号の内、その信号レベルの絶対値が、所定値以上であって、かつ、前記所定値以上の信号レベルの絶対値を継続する継続時間が、所定時間以上である荷重信号を、過大な荷重信号と判定するようにしている。ロードセル5から過大な荷重信号が出力されている状態は、ロードセル5に過大な過重が印加されている状態であると判定する。
CPU11は、過大な荷重信号であると判定したときには、過大な荷重信号に基づいて、ロードセル5に対する過大な荷重の印加状態を示す指標値、例えば、過大な荷重信号の信号レベルの絶対値の最大値、前記所定値以上の信号レベルの絶対値を継続する継続時間、過大な荷重信号が現れた回数等を抽出し、記憶手段としてのメモリ12に記憶させる。
すなわち、過大な荷重信号であると判定されると、過大な荷重信号をそのままメモリ12に記憶するのではなく、過大な荷重信号から、印加状態を示す指標値を抽出して、ロードセル5に対する過大な荷重の印加の履歴としてメモリ12に記憶させる。
この実施形態では、過大な荷重信号であると判定するための所定値は、ロードセル5の定格荷重値以上の大きさであって、許容過負荷(許容最大荷重)より小さい値としている。
ロードセルの許容過負荷とは、これ以下の負荷荷重であれば何回繰り返し荷重を印加してもロードセルが劣化しない最大の荷重であり、一般に定格荷重の150%の大きさの値とされる。
基本的にロードセルは、許容過負荷以上の大きい荷重の繰り返し印加で劣化するので、許容過負荷以上の荷重の印加があったことを検出する必要があるが、一般に高周波数で生じる電気ノイズ信号と区別する必要がある。
仮に、過大な荷重信号であると判定するための所定値を、許容過負荷にして所定値以上であるか否かの判定を行うとすれば、一瞬だけ荷重信号が所定値以上となっても過大な荷重の印加があったとしなければならず、電気ノイズ信号と区別することができない。
この実施形態のように、過大な荷重信号と判定するための所定値を、使用しているロードセル5の定格荷重より大きく、許容過負荷より小さい値に設定すれば、計量部のロードセル5に許容過負荷と同じかそれ以上の負荷荷重が印加されたときには、計量部の過渡応答に応じて、ロードセル5から出力される荷重信号が、設定した所定値を超えている時間は、電気ノイズ信号のように瞬時ではなく、或る一定時間以上継続することになる。
なお、重量選別機1の使用方法として、定格荷重より十分小さい重量の物品を測定するのであれば、定格荷重より小さい値を、所定値として設定してもよい。
この場合、ロードセル5に許容過負荷が加わると、荷重信号は、設定される所定値が小さいほど、長い時間継続して所定値を上回ることになるので、過大な荷重信号と判定するための継続時間についての所定時間を、より長い時間に設定することができる。
上記所定値及び上記所定時間は、入力部13を操作して後述のように設定することができる。
所定値以上の大きさの荷重信号が、所定時間以上継続して印加されることをもって、ロードセル5に過大な荷重が印加されていると判定するのであるが、所定値以上の大きさの荷重信号を、所定時間以上に亘って連続的に記憶してもよいが、連続的に荷重信号を記憶すると、必要とするメモリ12の容量も大きくなり、また、ロードセル5の劣化の要因を究明するのが容易でない。
そこで、この実施形態では、抽出手段としてのCPU11では、上記のように過大な荷重信号に基づいて、過大な荷重の印加の状態を示す指標値を抽出し、その指標値を記憶手段としてのメモリ12に記憶し、必要に応じて、その指標値を読み出して出力手段としての表示部14に表示できるようにしている。
次に、この指標値について説明する。指標値は、過大な荷重の印加状態を表わすと共に、記憶に必要な容量を少なくできるように次のように規定する。
すなわち、指標値の大小は、ロードセル5の劣化進行への影響度合いの大小を表し、指標値が大きい値である程、ロードセル5の劣化の進行へ与える影響度合いが大きい。
具体的には、指標値の一つは、所定値以上である荷重信号の大きさ、すなわち、荷重信号の信号レベル(正方向また負方向の振幅)の絶対値の大きさを示す代表値であり、荷重信号の信号レベルの絶対値が大きいほど劣化進行への影響度合いは大きい。代表値としては、荷重信号の信号レベル(正方向また負方向の振幅)の絶対値の最大値が好ましいが、絶対値の平均値としてもよい。
指標値の一つは、所定時間以上に亘って、上記所定値以上の大きさの過大な荷重の印加が継続する継続時間であり、印加される荷重が大きい程、荷重信号が所定値以上の信号レベルの絶対値を継続する継続時間は長くなり、大きい荷重が長い時間に亘って継続して印加される程、ロードセル5の劣化進行への影響度合いは大きい。
指標値の一つは、過大な荷重信号の生じた回数の積算値であり、過大な荷重が印加される回数が多い程、ロードセル5の劣化進行への影響度合いは大きい。
上記複数の指標値の全てを、過大な荷重信号から抽出して記憶するのが好ましいが、複数の指標値の少なくともいずれか一つの指標値を抽出して記憶するようにしてもよい。
ロードセル5の劣化は、繰り返し印加される過大な荷重によって進行し、ロードセル5の起歪部の小さな傷の程度、個数が増大するので、長期間の過大な荷重信号の印加履歴の情報が必要である。この実施形態では、過大な荷重信号から抽出した指標値をメモリ12に記憶させるので、必要な記憶容量を少なく済ませることができ、多くの指標値を記憶させても重量選別機1に大量の記憶容量を持つ素子は必要としない。
更に、メモリ12の記憶容量は有限であるので、記憶容量を制限するために、この実施形態では、各指標値について、記憶する最大個数Pを設定することができる。この最大個数Pの設定は、入力部13を操作して行うことができる。
この最大個数Pが設定されたときには、新に発生した過大な荷重信号から抽出された最新の指標値と、前記メモリ12に現在記憶されているP個の指標値とを比較し、新しい過大な荷重信号から抽出された指標値が、ロードセル5の劣化進行への影響度合いの観点で、現在記憶されているP個の指標値のいずれか一つより上回れば(大きければ)、P個の指標値の中で最小の指標値を捨てて、新しい指標値に置き換える。
このようにして、逐次発生する過大な荷重信号から抽出される指標値を大きい順にP個記憶させ、指標値についての最新情報とする。
図2のCPU11は、メモリ12に記憶させる指標値に、その指標値に対応する過大な荷重信号が現れた時点の日時情報として、過大な荷重がロードセル5に印加された年月日時分秒のデータである日付時刻データを、リアルタイムクロック素子15から取得して付属させる。なお、日時情報は、年月日時分秒のデータであるのが好ましいが、必ずしも、年月日時分秒のデータの限らず、例えば、月日時分秒、年月日時分等のデータとしてもよい。
ロードセル5への過大な荷重は、計量中であるか否かに関わらず印加される可能性があるので、常に重量選別機1が、荷重を測定可能な期間の荷重信号について過大な荷重信号であるか否かを判定する。具体的には、重量選別機1の電源が投入されている期間は、計量中であるか否か、あるいは、清掃作業中であるか否か等に関わらず、過大な荷重信号であるか否かを判定する。
メモリ12に記憶した指標値は、作業者が任意のタイミングで入力部13を操作することによって、読み出して出力手段としての表示部14に表示することができる。この表示は、過大な荷重信号の発生時刻順、過大な荷重信号の印加方向である正負方向を区別して、荷重信号の信号レベルの絶対値の代表値、例えば、最大値の大きさの順、継続時間の長さの順に表示し、作業者が過大な荷重信号の印加形態を理解しやすいようにしている。
重力が作用する方向と同じ正方向の過大な荷重の印加の履歴は、例えば、計量停止中に過大な重量物を計量コンベヤ3上に置いたり、誤って大きい力で計量コンベヤ3を押さえたりしたこと、逆方向である負方向の過大な荷重の印加の履歴は、洗浄、清掃のためコンベヤベルトを取り外す際に過剰な力を上方向に与えたことなどが想定されるので、正負方向別に、過大な荷重の印加の履歴を集積、表示することは計量作業上の、そして計量作業外であっても管理上の観点で過大な荷重の印加の原因究明に有用になる。
以上のようにして指標値を記憶することによって、メモリ12の記憶容量を少なくできる一方、ロードセル5の劣化を進行させ、故障に至らしめる過去の過大な荷重信号が繰り返し印加される履歴を、正常な計量時または計量停止時に発生する荷重信号と区別してできるだけ数多く記憶させることができる。そして、作業者が望む任意のタイミングにて、入力部13を操作して、メモリ12に記憶された指標値を読み出して表示部14に表示することによって、ロードセル5に対する過大な荷重の印加の履歴、すなわち、不適切な荷重の印加の履歴をモニタリングすることができる。
これによって、例えば、ロードセル5が故障に至る前に、過大な荷重が印加されているときには、過大な荷重が印加されないように、あるいは、過大な荷重を軽減するように、計量装置の使用方法を改善することが可能となる。
また、ロードセル5が故障に至ってしまった場合でも、過去にどのような過大な荷重の印加の履歴が存在していたか容易に把握できるので、指標値に付属される日付時刻データに基づいて、過去の作業内容等と結びつけて、過大な荷重が印加された原因を究明することができる。今後、過大な荷重がロードセル5に印加されないように、作業内容等の改善につなげることができる。
次に、この実施形態の具体的な構成について更に詳細に説明する。
先ず、記憶させる過大な荷重信号の判定条件について説明する。
上記図2に示すように、ロードセル5から出力されるアナログ荷重信号を、A/D変換器9によって、短い時間間隔△tで連続的にサンプリングし、A/D変換する。
このA/D変換器9のサンプリング時間間隔Δtは、ロードセル5を備える計量部の持つ固有振動数の周期に比べて十分小さい値、例えば、計量部の固有振動数が30Hz、周期が約33.3msecである場合には、サンプリング時間間隔△tは、例えば、0.5〜2msec程度に選択することによって、計量部に発生する振動的な負荷荷重信号の位相に対応して変化する振幅経過を観測、記憶可能とする。すなわち、信号レベル(振幅)の絶対値が所定値以上の大きさであって、所定時間以上に亘って継続する過大な荷重信号を観測、判定できるようにする。
ロードセル5では、許容過負荷未満の大きさの荷重(或いは力)がいくら多くの回数掛けられてもロードセル5の起歪部は劣化、損傷しない。
しかし、許容過負荷以上の荷重(力)が繰り返し印加されると、荷重(力)と回数の大きさに応じて進む金属疲労によって起歪部が劣化損傷する。
ロードセル5の出力は、図2に示すように、増幅器8で増幅され、A/D変換器9でA/D変換される。ロードセル5へ印加される負荷荷重(力)の大きさを、A/D変換器9の出力点で観測する場合、厳密に言えば、A/D変換出力値において、ロードセル5の起歪部に貼付された歪みゲージ25のアンバランス量、及び、増幅器8、A/D変換器9のオフセット電圧、すなわち電気信号によるオフセット信号を除いた成分で表される。
ロードセル5を、荷重信号を測定する増幅回路8等の荷重信号測定回路に接続した時点で、ロードセル5に如何なる負荷荷重も加えない状態でA/D変換器9の出力であるA/D変換値を読み取り、電気的オフセット値wieとして記憶させる。
図3は、A/D変換値のレベルと過大な荷重信号の判定レベルとの関係を説明するための図である。
この図3では、A/D変換値の零点に対して、重量が作用する方向である正方向の電気的オフセット値wieの例を示している。電気的オフセット値wieは、正(+極性)又は負(−極性)の値をとる。
なお、通常の計量時に使用する荷重信号でA/D変換器9のダイナミックレンジの多くを使用し、過大な荷重信号のA/D変換値を出力できないような場合、つまり設定したい所定値より先にA/D変換器9の出力が飽和するような場合は、図4に示すように、増幅器8からの荷重信号を分圧抵抗R1,R2で分圧し、増幅器17で増幅し、過大な荷重信号を検出するための専用のA/D変換器18でA/D変換したA/D変換値をCPU11に取り込むようにしてもよい。
上記のように電気的オフセット値wieを記憶させた後、ロードセル5には、計量コンベヤなどの機械的オフセット値に相当する初期荷重分を装着する。そのときのA/D変換値をwim´とすると、機械的オフセット値wimは、
wim=wim´− wie
である。図3に示すように、電気的オフセット値wieが、正の値であれば、A/D変換値wim´から正の電気的オフセット値wieを減算した値が、機械的オフセット値wimとなる。なお、電気的オフセット値wieが、負の値であれば、A/D変換値wim´から負の電気的オフセット値wieを減算した値、すなわち、A/D変換値wim´に負の電気的オフセット値wieの絶対値を加算した値が、機械的オフセット値wimとなる。
更に、計量コンベヤ3の上にロードセル5の定格荷重WM(kg)に相当する荷重を載置したときA/D変換器9の出力値がwim´からwim´´へ、
wm=wim´´−wim´
だけ変化したとする。
仮にロードセル5の定格荷重の150%をもってロードセル5へ印加する許容過負荷と定め、そのときのA/D変換器9の出力値を、許容A/D変換値Eadとすると、
Ead=1.5・wm + wie
で表される。図3に示すように、計量コンベヤ3上の負荷荷重による変化分に、機械的オフセット量wimを加えたものが、定格荷重の150%(1.5WM)の荷重となり、更に、正の電気的オフセット値wieを加えた荷重が、許容変換値Eadとなる。なお、電気的オフセット値wieが、負の値であれば、負の電気的オフセット値wieを加えた荷重、すなわち、負の電気的オフセット値wieの絶対値を減算した値が、許容変換値Eadとなる。
重量の作用方向と反対方向である負方向の負荷荷重に対する許容A/D変換値は、図3に示すように、
Ead’=−1.5wm + wie
と表せる。
このように、荷重信号のA/D変換値が、許容A/D変換値Ead以上、又は、許容A/D変換値Ead’以下であること、すなわち、荷重信号の信号レベルに対応するA/D変換値の絶対値が、許容A/D変換値Ead以上、又は、許容A/D変換値Ead’の絶対値以上であることを、過大な荷重信号の判定条件とすると、A/D変換値が、電気信号によるノイズに起因して極めて短い時間変化しても過大な荷重信号と判定してしまうことになる。
機械的要因によって過大な荷重信号が加えられていることを評価し、大きさを判定するために、荷重信号のA/D変換値に下記の如く判定条件を設定する。
計量部に、何らかの大きさの過大なステップ状の負荷荷重が正負何れかの方向に加わり、そのとき発生する計量部の力学的特性に応じて発生する固有振動による荷重信号の過渡応答が、図5(a)に示すように、ピーク荷重値としてA/D変換値が、許容過負荷に対応する1.5wmの大きさで、周期がT1であるとする。
定格荷重をWMとし、過大な荷重信号と判定するための荷重信号Wsのレベル、すなわち、所定値を、例えば、定格荷重WMの1.3倍(Ws=1.3WM)とすると、過大な荷重信号と判定するための荷重信号Wsの定格荷重WMに対する比率値Qは、Q=Ws/WM=1.3WM/WM=1.3となる。
許容過負荷は、定格荷重WMの1.5倍としているので,過大な荷重信号のレベルは、1.3/1.5=0.867となる。振動の基本波である正弦波では、sin60° が0.8660であるから、1.3・wmのA/D変換値以上の荷重信号が、図5(a)に示すように、(1/6)・T1の所定時間以上継続することを、過大な荷重信号と判定する条件とする。
つまり、A/D変換値が、所定値であるEad=1.3・wm+wie以上を継続する継続時間が、所定時間Teである(1/6)・T1(msec)以上続いた場合に、ロードセルの劣化要因となる過大な荷重信号と判定し、記憶条件を満足した信号とみなす。
なお、前記所定時間Te=(1/6)・T1は、前記比率値Q(=Ws/WM)を用いて、次のようにして算出することができる。過大な荷重信号と判定するための荷重信号Wsの許容過負荷(1.5WM)に対する比率をRとすると、
R=Ws/1.5WM
=Q・WM/1.5WM
=Q/1.5
三角関数表より、図5(b)に示すθ(rad)=sin−1Rを求め、更にθa={(π/2)−θ}×2を算出し、
下記式によって所定時間Teを、算出することができる。
所定時間Te=(θa/2π)・T1
同様に負方向の場合は、Ead’=1.3・wm−wie以下の小さいA/D変換値が、所定時間Te=(1/6)・T1(msec)以上継続した場合に、ロードセル5の劣化要因となる過大な荷重信号としての記憶条件を満足した信号とみなす。
すなわち、負方向の荷重信号の場合は、信号レベルの絶対値であるA/D変換値の絶対値が、所定値であるEad’の絶対値以上である継続時間が、Te=(1/6)・T1(msec)以上であるときに、過大な荷重信号であると判定する。
上記は一例であって、過大な荷重信号であると判定する荷重信号の信号レベルの大きさについての所定値、及び、所定値以上の大きさの荷重信号が継続する継続時間についての所定時間は、任意に選択することができ、任意の大きさに設定することができるようにする。
但し、過大な荷重信号の信号レベルの絶対値についての所定値は、定格荷重に対する上記比率値Qによって設定するとし、比率値Qの設定可能な範囲はQ≧1であるとする。所定値Ead、Ead’は、比率値Qを用いて、
Ead=Q・wm+wie
Ead’=Q・wm−wie
と表される。
上記のような所定値及び所定時間を設定するための操作、すなわち、電気的オフセット値wie、機械的オフセット値wim、定格荷重WM(kg)に相当するA/D変換器値wm、及び、比率値Q等の記憶や設定は、図2の入力部13を操作して調整モードを設定して行われる。これらの設定は、基本的に重量選別機1の製造メーカにおいて行われるが、ユーザにおいて行ってもよい。
なお、電気的オフセット値wieは、定格荷重WM(kg)に相当するA/D変換器値wmに比べて小さいので、所定時間Teの算出の際には、無視してもよい。
次に、以上のようにして過大な荷重信号として判定された荷重信号から指標値を抽出してメモリ12へ記憶させる記憶方法について説明する。
この実施形態では、過大な荷重信号の印加の状況を作業者が容易に把握できるように、次の4種類の記憶方法によって、メモリ12へ記憶するようにしている。この記憶は、重量選別機1の運転中、運転停止中の如何に関わらず行う。
第1の記憶方法は、所定値以上の大きさの荷重信号が、所定値以上の信号レベルの絶対値を継続する継続時間の長さの順番を、容易に把握できるように記憶するものである。
荷重信号の信号レベルに対応するA/D変換値の絶対値が、上記の所定値Ead、Ead’以上の状態を継続する時間が、所定時間Te以上である過大な荷重信号の継続時間の長さと、正負方向それぞれの継続時間中における過大な荷重信号のA/D変換値の絶対値の最大値とからなる指標値を測定し、継続時間の開始時点及び終了時点の時刻データを付属させた組を、メモリ12に記憶させる。
メモリ12に記憶される指標値の更新の条件は、所定値以上の状態が継続する継続時間の長い順に時間順値を付けて、継続時間の長い順に最大P個を記憶させる。メモリ12に記憶された指標値は、図2の入力部13の操作に応じた表示指令によって、正負別に所定値以上の状態を継続する継続時間の長い順に最大P個を、表示部14に表示させる。
図6(a)は、この第1の記憶方法によって、指標値が記憶されるメモリ12の第1集積用レジスタ31を示す図である。上記のように、継続時間の長さの順位である継続時間順位が、アドレス(N+1,a)〜(N+P,a)に記憶され、所定値以上であるA/D変換値の絶対値の最大値が、アドレス(N+1,b)〜(N+P,b)に記憶され、継続時間が、アドレス(N+1,c)〜(N+P,c)に記憶され、発生時刻が、アドレス(N+1,d)〜(N+P,d)に記憶される。この第1集積用レジスタ31には、正負方向別にそれぞれ記憶される。
第2の記憶方法は、信号レベルの絶対値が所定値以上である過大な荷重信号の信号レベル(荷重レベル)の大きさの順番が容易に分るように記憶するものである。
所定値以上のA/D変換値の絶対値が、所定時間Te以上継続するA/D変換値の絶対値の中で、正負方向それぞれ絶対値の最大値と、継続時間の値とからなる指標値を測定し、継続時間の開始時点または終了時点の時刻を付属させた組を、指標値として、正負方向それぞれA/D変換値の絶対値の大きい順に番号を付けて最大P個記憶する。
メモリ12に記憶された指標値は、図2の入力部13の操作に応じた表示指令によって、正負別に所定値以上の信号レベルの絶対値の大きい順に最大P個を、表示部14に表示させる。
図6(b)は、この第2の記憶方法によって、データが記憶されるメモリ12の第2集積用レジスタ32を示す図である。上記のように、荷重信号の信号レベル(荷重レベル)に対応するA/D変換値の絶対値の最大値の大きさの順位である荷重レベル順位が、アドレス(M+1,a)〜(M+P,a)に記憶され、A/D変換値の絶対値の最大値が、アドレス(M+1,b)〜(M+P,b)に記憶され、継続時間が、アドレス(M+1,c)〜(M+P,c)に記憶され、発生時刻が、アドレス(M+1,d)〜(M+P,d)に記憶される。この第2集積用レジスタ32には、正負方向別にそれぞれ記憶される。
第3の記憶方法は、過大な荷重信号の発生時刻順に記憶するものである。
所定値以上のA/D変換値の絶対値が、所定時間Te以上継続するA/D変換値の絶対値の中で、正負方向共それぞれA/D変換値の絶対値の最大値と、継続時間とからなる指標値を測定し、継続時間の開始時点または終了時点の時刻を付属した組を、発生順に最新のP個を記憶させる。
メモリ12に記憶された指標値は、図2の入力部13の操作に応じた表示指令によって、正負方向別に発生時刻順に最大P個を表示部14に表示させる。
図6(c)は、この第3の記憶方法によって、データが記憶されるメモリ12の第3集積用レジスタ33を示す図であり、上記のように、所定値以上であるA/D変換値の絶対値の最大値が、アドレス(L+1,a)〜(L+P,a)に、継続時間が、アドレス(L+1,b)〜(L+P,b)に、発生時刻が、アドレス(L+1,c)〜(L+P,c)にそれぞれ記憶される。この第3集積用レジスタ33には、正負方向別に記憶される。
一般に計量装置では、ロードセルに計量台を取付け、計量台上に物品を載置しない状態で先ず、ロードセルの出力荷重信号を、測定回路を介してA/D変換器の出力値Wadとして読込み、そのときのWadの値を初期荷重Wiとしてメモリに記憶させる。次にスパン係数Kを用いて計量台上に載置される物品の重量値Wnを、
Wn=K・(Wad−Wi)
と表し、スパン調整作業として既知の重量値Waを持つ物品を計量台に載置し、計量装置にWaを設定し、スパン調整指令を与えるとWnが、設定したWaに等しくなるようにスパン係数Kの値が決定される。
このようにスパン係数Kが決められるので、A/D変換値Wadは、荷重値K・Wadとして変換することができる。
したがって、図6において、A/D変換値Wadの代わりに荷重値K・Wadを用いてもよい。
第4の記憶方法は、過大な荷重信号が現れた回数を、カウンタで積算カウントするものである。
このようにして過大な荷重信号から抽出された指標値は、上記の記憶方法別に、かつ、正負信号別に、図6に示す第1〜第3集積用レジスタ31〜33にそれぞれ記憶される。
次に、この実施形態の動作を図7〜図11のフローチャートに基づいて説明する。
図7は、過大な荷重信号を判定して指標値を抽出し、指標値を集積する処理のフローチャートである。この処理は、1msec毎に他のプログラム処理に優先して処理される。
先ず、ステップn1では、重量測定値WxのA/D変換値Wadを読み込み、リアルタイムクロックに基づく時刻データDxを読み込み(ステップn2)、正負の方向に関わらず、A/D変換値の絶対値が、所定値以上であるか否かを判断する(ステップn3)。
ステップn3で、重量測定値WxのA/D変換値Wadの絶対値が、所定値以上であるときには、所定値以上の状態を継続する継続時間を計測するカウンタCxにて、+1(1msec)の時間をカウントし(ステップn4)、A/D変換値Wadの絶対値と、絶対値の最大値をストアしているレジスタWmaxの値とを比較する(ステップn5)。絶対値の最大値をストアしているレジスタWmaxは、正方向の場合のレジスタWmax1と、負方向の場合のレジスタWmax2とを備えている。前記ステップn5では、A/D変換値Wadが、正方向の場合はレジスタWmax1の値以上(Wad≧Wmax1)であるか否かを、負方向の場合はレジスタWmax2の値以上(Wad≧Wmax2)であるか否かを判断する。
次に、ステップn5で、A/D変換値Wadの絶対値が、レジスタWmax1又はレジスタWmax2の値以上であると判断されたときには、A/D変換値Wadが、正方向であるか否かを判断し(ステップn61)、A/D変換値Wadが正方向の場合は、レジスタWmax1の最大値をA/D変換値Wadの絶対値に置き換え(ステップn62)、A/D変換値Wadが負方向の場合は、レジスタWmax2の最大値を、A/D変換値Wadの絶対値に置き換えて終了する(ステップn63)。
このステップn4〜n6の処理は、上記のように正方向及び負方向の重量測定値WxのA/D変換値Wadについて、それぞれ行われる。
ステップn3で、重量測定値WxのA/D変換値Wadの絶対値が、所定値以上でないときには、重量測定値WxのA/D変換値Wadが、正方向であるか否かを判断し(ステップn7)、正方向であるときには、正方向について所定値以上の信号レベルの絶対値の継続時間を計測する上記カウンタCxが、所定時間Te以上であるか否かを判断する(ステップn8)。
ステップn8で、カウンタCxが所定時間Te以上でないときには、過大な荷重信号ではなかったとして、その絶対値の最大値をストアしているレジスタWmaxの値をクリアし(ステップn9)、所定値以上の状態の継続時間を計測するカウンタCxをクリアし(ステップn10)、時刻データDxをクリアして終了する(ステップn11)。
ステップn8で、カウンタCxが所定時間Te以上であるときには、正方向の過大な荷重信号であったと判定し、その過大な荷重信号の継続期間中のA/D変換値Wadの絶対値の最大値をストアする上記レジスタWmax1の値と、カウンタCxで計測された継続時間とからなる指標値に、継続時間の開始及び終了の時刻データDxを付属させて入力データとして揃える(ステップn12)。
次に、上記図6(a)の第1の記憶方法によって入力データを、第1集積用レジスタ31に蓄積し(ステップn13)、図6(b)の第2の記憶方法によって入力データを、第2集積用レジスタ32に蓄積し(ステップn14)、図6(c)の第3の記憶方法によって入力データを、第3集積用レジスタ33に蓄積し(ステップn15)、更に、第4の記憶方法によって、正方向の過大な荷重信号の発生回数を計数するカウンタCyをインクリメントしてステップn9に移る。
また、上記ステップn7で、重量測定値WxのA/D変換値Wadの絶対値が、正方向でないときには、負方向であるとして、ステップn17に移り、正方向の場合と同様の処理を負方向について行う(ステップn18〜n25)
図8は、図7のステップn13の第1の記憶方法による入力データの集積処理を示すフローチャートである。なお、負方向の場合は、図7のステップn22の処理に対応するものである。
先ず、所定値以上の状態の継続時間を計測するカウンタCxによる継続時間と、上記図6(a)の第1集積用レジスタ31のアドレス(N+1,a)〜(N+P,a)にストアされている時間順位値にそれぞれ対応する各継続時間とを、継続時間が最も長い順位値「1」の継続時間T1から順位値「P」に向けて順番に読み出して比較する(ステップn13−1)。
具体的には、カウンタCxによる継続時間と、アドレス(N+k,c)にストアされた時間順位値kの継続時間Tkとを比較し、カウンタCxによる継続時間が、継続時間Tk以上であるか否かを判断し(ステップn13−2)、継続時間Tk以上でないときは、第1集積用レジスタ31に既にストアされている継続時間の方が長いので、そのままステップn14へ移る。
ステップn13−2で、カウンタCxによる継続時間が、継続時間Tk以上であるときには、入力データの継続時間の順位値をkと決定する(ステップn13−3)。これによって、入力データには、順位値kが加えられて、(k,Wmax,Cx,Dx)となる。
次に、アドレス(N+1,c)〜(N+P,c)において、ステップn13−3で順位値kが決定される以前のk以上の順位値のものに対して順位値を1加算し(ステップn13−4)、加算の結果、順位値がP+1(>P)となったアドレスのデータの組を新しい入力データに置き換える、すなわち、順位値がP+1(>P)となったアドレスのデータの組を廃棄し、新しい入力データを順位値kとしてストアし(ステップn13−5)、ステップn14に移る。
図9は、図7のステップn14の第2の記憶方法による入力データの集積処理を示すフローチャートである。なお、負方向の場合は、図7のステップn23の処理に対応するものである。
先ず、重量測定値WxのA/D変換値Wadの絶対値の最大値をストアしている上記レジスタWmax1の値と、上記図6(b)の第2集積用レジスタ32のアドレス(M+1,a)〜(M+P,a)にストアされているレベル順位値にそれぞれ対応して記憶されている各A/D変換値の絶対値の最大値とを、最も大きい順位値「1」の最大値W1から順位値「P」に向けて順番に読み出して比較する (ステップn14−1)。
具体的には、レジスタWmax1の値と、アドレス(M+k,b)にストアされたレベル順位値kのA/D変換値の絶対値の最大値Wkとを比較し、レジスタWmax1の値が、A/D変換値の絶対値の最大値Wk以上であるか否かを判断し(ステップn14−2)、最大値Wk以上でないときは、第2集積用レジスタ32に既にストアされているA/D変換値の絶対値の最大値の方が大きいので、そのままステップn15へ移る。
ステップn14−2で、レジスタWmax1の値が、A/D変換値の絶対値の最大値Wk以上であるときには、入力データのA/D変換値の絶対値の最大値の順位値をkと決定する(ステップn14−3)。これによって、入力データには、順位値kが加えられて、(k,Wmax1,Cx,Dx)となる。
次に、アドレス(M+1,b)〜(M+P,b)において、ステップn14−3で順位値kが決定される以前のk以上の順位値のものに対して順位値を1加算し(ステップn14−4)、加算の結果、順位値がP+1(>P)となったアドレスのデータの組を新しい入力データに置き換える、すなわち、順位値がP+1(>P)となったアドレスのデータの組を廃棄し、新しい入力データを順位値kとしてストアし(ステップn14−5)、ステップn15に移る。
図10は、図7のステップn15の第3の記憶方法による入力データの集積処理を示すフローチャートである。なお、負方向の場合は、図7のステップn24の処理に対応するものである。
所定値以上の信号レベルの絶対値が所定時間以上継続する過大な荷重信号を、その発生順に、時刻データを付属させ、設定された最大個数P個のデータの組を第3集積用レジスタ33に集積するものである。
上記図6(c)の第3集積用レジスタ33のアドレス(L+1,a〜c)〜(L+P,a〜c)にストアされているデータの組を、図6(c)の右方向へシフトさせて入力データの組を、(L+1,a〜c)へ入れると共に、最も古い(L+P,a〜c)のデータの組を廃棄するものである。
図11は、表示処理の一例を示すものであり、第1の記憶方法によって記憶された図6(a)の第1集積用レジスタ31の内容を表示するための指令に対する応答処理を示している。
第1の記憶方法による集積データの表示指令があったか否かを判断し(ステップn101)、表示指令があったときには、所定値以上の継続時間の順位値1からPまでのデータの組を、第1集積用レジスタ31から読み出して表示用レジスタに送り(ステップn102)、この表示用レジスタの内容に基づいて、レベル値、継続時間値、発生時刻を組にしたテーブルにして表示部14に表示する。
なお、第2,第3集積用レジスタ32,33に記憶された指標値を表示する処理も第1集積用レジスタ31の場合と同様である。
この実施形態によれば、次のような作用効果を奏する。
計量部の特性を考慮することによって過大な荷重を判定する条件を規定し、ロードセル5の劣化、故障要因をなす過大な荷重信号を、通常の負荷荷重信号や電気的ノイズ信号から区別するので、正しくロードセル5の劣化進行状況を評価することができる。
ロードセル5に対する過大な荷重の印加の状態を、少ない記憶容量で足りる指標値で表すと共に、指標値の中で、劣化進行への影響度のより高い指標値を所定の最大個数P個だけ優先的に記憶させるようにしているので、重量選別機1に大容量の記憶素子を使用することなく、多くの代表的な指標値を記憶させることができる。
記憶した指標値を、任意のタイミング、例えば、重量選別機1の使用開始前に定期的に読み出して表示部14に表示し、ロードセル5に対する過大な荷重の印加の大きさ、継続時間、発生時間間隔、発生タイミングなどの履歴を確認し、過大な荷重の印加があったときには、時刻データと、そのときの作業内容や物品の供給状況とを照合して原因を究明して、作業方法や物品の供給方法を改善するといったことが可能となる。
また、ロードセル5に故障が生じてしまった場合でも、記憶した指標値を読み出して表示部14に表示し、それまでの過大な荷重信号の印加の履歴に基づいて、過大な荷重の印加の原因、例えば、計量停止中に過大な重量物を計量コンベヤ3上に置いたり、誤って大きい力で計量コンベヤ3を押さえたり、あるいは、洗浄、清掃のためコンベヤベルトを取り外す際に過剰な力を加えたりしたこと、あるいは、物品供給に異常のあったことを特定し、ロードセル5の故障の原因を把握することができる。
上記実施形態では、指標値として、過大な荷重信号の信号レベルの絶対値の代表値として、その最大値を用いたが、継続時間中の荷重信号を積算し、連続時間値Cxで割り算することによって求まる平均値を代表値としてもよい。
上記実施形態では、重量選別機に適用した説明したが、本発明は、ロードセルを備える各種の計量装置、例えば、組合せ秤、台秤、計量タンク等に適用できるものである。