JP6150094B1 - フッ素系樹脂フィルムの表面処理装置及び方法 - Google Patents

フッ素系樹脂フィルムの表面処理装置及び方法 Download PDF

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Abstract

フッ素系樹脂フィルムのインク焼結膜との密着性及び塗布印刷性を改善する。電極11,21間の大気圧近傍の処理空間1a内にフッ素系樹脂フィルム9を通す。処理空間1aに不活性ガスからなるプロセスガスを供給し、電極間に電圧を印加して、処理空間1a内に放電を生成する。被処理面9aを連続使用温度より100℃低い温度以上かつ連続使用温度以下に加熱する。処理空間1aの酸素の体積濃度を1000ppm以下とする。

Description

本発明は、フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムを表面処理する装置及び方法に関し、特にフッ素系樹脂フィルムの表面を改質して、密着性などを改善するのに好適な表面処理装置及び方法に関する。
フッ素系樹脂は、耐候性、耐薬品性等に優れている一方で、表面自由エネルギーが小さいために、例えば銀インク等のインクを焼結して得られた薄膜又は金属配線パターンとの密着性や導電パターン等の塗布印刷性が悪い。
密着性等の向上のために、種々の表面処理方法が提案されている。
特許文献1では、フッ素系樹脂を火炎処理したり金属ナトリウム処理したりしている。
特許文献2では、フッ素系樹脂の表面を例えばH/N混合ガス雰囲気の真空プラズマにてエッチングし、更に前記表面にエキシマレーザーを照射している。
特許文献3では、フッ素系樹脂の表面をスパッタエッチングした後、アセチレン等の不飽和炭化水素を含有する雰囲気下で大気圧プラズマ処理している。
特公昭63−10176号公報 特開平06−220228号公報 特開2000−129015号公報
特許文献1の火炎処理や金属ナトリウム処理では、環境問題が大きくなるだけでなく、改質された部分が紫外線や熱に弱くなる。
特許文献2の真空プラズマエッチング及びエキシマレーザー処理では、装置が大掛かりになるため設備コストが高くなる。
特許文献3のスパッタエッチング及び不飽和炭化水素による大気圧プラズマ処理は、主に物理的なアンカー効果を得るものであり、フッ素系樹脂の表面自体の化学的な改質効果は小さい。また、不飽和炭化水素が粉化しやすく、生産性が悪い。
本発明は、前記事情に鑑み、フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムの表面を改質して、例えばインクを焼結して得られた薄膜又は金属配線パターンとの密着性や塗布印刷性などを改善することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明装置は、フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムの被処理面を表面処理する装置であって、
互いの間に大気圧近傍の処理空間を画成するとともに、電圧印加によって前記処理空間内に放電を生成する一対の電極と、
前記フッ素系樹脂フィルムを前記処理空間に通す搬送機構と、
前記処理空間に不活性ガスを含むプロセスガスを供給するプロセスガスノズルと、
前記被処理フィルムの前記被処理面を加熱する加熱手段と、
前記処理空間への酸素流入を阻止して、前記処理空間の酸素濃度を前記処理空間の外部の酸素濃度より低くする酸素流入阻止手段と、
を備え、前記被処理面の温度が、前記フッ素系樹脂フィルムの連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上かつ前記連続使用温度以下であり、
前記処理空間の酸素の体積濃度が、1000ppm好ましくは100ppm以下であることを特徴とする。
本発明方法は、フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムの被処理面を表面処理する方法であって、
一対の電極どうし間に形成された大気圧近傍の処理空間に前記フッ素系樹脂フィルムを通す搬送工程と、
不活性ガスを含むプロセスガスを前記処理空間に供給して、前記処理空間内の前記被処理面に接触させるプロセスガス供給工程と、
前記一対の電極どうし間に電圧を印加して、前記処理空間内に放電を生成する放電生成工程と、
前記フッ素系樹脂フィルムの前記被処理面を加熱する加熱工程と、
前記処理空間への酸素流入を阻止して、前記処理空間の酸素濃度を前記処理空間の外部の酸素濃度より低くする酸素流入阻止工程と、
を備え、前記被処理面の温度が、前記フッ素系樹脂フィルムの連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上かつ前記連続使用温度以下であり、
前記処理空間の酸素の体積濃度が、1000ppm好ましくは100ppm以下であることを特徴とする。
本発明のプラズマ表面処理によれば、フッ素系樹脂フィルムの被処理面側のフッ素系樹脂組成物のC−F結合をプラズマ照射によって切断し、かつ熱によってC−C結合(架橋ネットワーク)を形成して、架橋させることができる。この表面改質の結果、例えば銀インク等のインクを焼結して得られた薄膜又は金属配線パターンとの密着性を改善したり、導電パターンの塗布印刷性を改善したりすることができる。しかも、改善効果を長期間にわたって維持することができる。
被処理面の処理時温度を連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上とすることによって、C−C結合(架橋ネットワーク)が熱不足で形成されなくなるのを防止でき、被処理面に副生成物が形成されるのを防止でき、ひいては密着性低下を招くのを防止できる。
被処理面の処理時温度を連続使用温度以下とすることによって、フッ素系樹脂フィルムの熱損傷を回避できる。
ここで、連続使用温度とは、対象物をその温度環境に長時間(4万時間)置いても強度が初期値の50%以上を保持する上限温度を言う。
処理空間の酸素の体積濃度を1000ppm好ましくは100ppm以下とすることによって、フッ素系樹脂組成物の架橋が阻害されるのを防止できる。
前記加熱手段が、前記被処理面と対向するように配置されていることが好ましい。
これによって、フッ素系樹脂フィルムの被処理面側を確実に加熱して所定温度(連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上かつ連続使用温度以下)にすることができる。一方、フッ素系樹脂フィルムの裏側(被処理面とは反対側)の部分については必要以上に高温加熱されるのを避けることができる。
前記加熱手段が、前記搬送機構の搬送方向に沿って前記処理空間の上流側に配置されていることが好ましい。これによって、フッ素系樹脂フィルムを加熱したうえで処理空間に導入してプラズマ処理できる。
フッ素系樹脂フィルムを処理空間内においてプラズマ照射と同時に加熱してもよい。
前記酸素流入阻止手段が、前記処理空間の側部に不活性ガスによるガスカーテンを形成するガスカーテンノズルを含むことが好ましい。
前記処理空間の側部に不活性ガスによるガスカーテンを形成することが好ましい。
これによって、処理空間への酸素流入を確実に阻止して、所望の酸素濃度(1000ppm以下、好ましくは100ppm以下)を確実に得ることができる。
ガスカーテンは、フッ素系樹脂フィルムの搬送方向に沿って処理空間の上流側の側部(入口側)に形成することが好ましい。
前記ガスカーテン用の不活性ガス成分は、前記プロセスガス用の不活性ガス成分と同種でもよく異種でもよい。
前記酸素流入阻止手段が、処理空間の側部に設けられた遮蔽壁を含んでいてもよい。
前記酸素流入阻止手段が、前記プロセスガス供給手段及び/又は前記搬送機構を含んでいてもよい。プロセスガスの供給流量及び/又は搬送速度を調整することによって処理空間への酸素流入を阻止してもよい。
本発明の表面処理は、大気圧近傍下で行なうことが好ましい。ここで、大気圧近傍とは、1.013×10〜50.663×10Paの範囲を言い、圧力調整の容易化や装置構成の簡便化を考慮すると、1.333×10〜10.664×10Paが好ましく、9.331×10〜10.397×10Paがより好ましい。
フッ素系樹脂組成物を構成するフッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等が挙げられる。
本発明によれば、フッ素系樹脂フィルムを表面改質することができ、例えばインクを焼結して得られた薄膜又は金属配線パターンとの密着性や塗布印刷性等を改善することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面処理装置の概略構成を示す解説側面図である。 図2は、本発明の第2実施形態に係る表面処理装置の概略構成を示す解説側面図である。
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る表面処理装置1を示したものである。処理対象は、フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルム9である。本実施形態では、フッ素系樹脂フィルム9は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)にて構成されている。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の連続使用温度は、260℃である。
このフッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aを表面処理装置1にて表面改質したうえで、被処理面9aに銀インク等のインクを塗布したり、導電ペーストの回路パターンをインクジェット法で塗布したりする。回路パターンの塗布方法は、インクジェット法に限られず、スクリーン印刷、グラビアオフセット印刷、フレキソ印刷等でもよく、インクの配合組成や粘度により適宜選択される。
表面処理装置1は、ロール電極11と、プラズマヘッド20と、加熱手段50を備えている。ロール電極11は、円筒形状になっており、その軸線は、図1の紙面に対して直交している。ロール電極11の少なくとも外周部は金属にて構成され、かつ外周面には固体誘電体層(図示省略)が被覆されている。ロール電極11の前記金属部分が電気的に接地されることで、ロール電極11が接地電極(アース電極)を構成している。
フッ素系樹脂フィルム9が、ロール電極11の外周の約半周部分に掛け回されている。フッ素系樹脂フィルム9における被処理面9aが表側へ向けられ、裏面9bがロール電極11と接している。フッ素系樹脂フィルム9の幅方向は、ロール電極11の軸線と平行に図1の紙面と直交する方向へ向けられている。以下、図1の紙面と直交する方向を「処理幅方向」と称す。
ロール電極11にモータ等の回転駆動部12が接続されている。回転駆動部12によって、ロール電極11が図1の例えば時計まわりに回転される。このロール電極11の回転に伴って、フッ素系樹脂フィルム9が図1の矢印aにて示す向きに搬送される。ロール電極11及び回転駆動部12は、フッ素系樹脂フィルム9の搬送機構13を構成している。
更に、ロール電極11には温調手段16が設けられている。温調手段16は、ロール電極11内の温調媒体流路16aを含む。温調媒体が温調(加熱)されたうえで温調媒体流路16aに通される。これによって、ロール電極11が設定温度に温調される。温調媒体としては、水、オイル、ガス等の加熱流体を用いることができる。ロール電極11の設定温度は、好ましくは80℃以上かつフッ素系樹脂フィルム9の連続使用温度以下である。温調手段16として、温調媒体の流通に代えて、電熱ヒータ、IRヒータ等を用いてもよい。
ロール電極11におけるフィルム9が掛け回された部分の側方(図1において右側)にプラズマヘッド20が設けられている。プラズマヘッド20は、平板電極21と、誘電部材22を含む。平板電極21は、四角形の断面を有して、図1の紙面と直交する処理幅方向へ延びる金属板によって構成されている。この平板電極21が、高周波電源2に接続されることで電圧印加電極(ホット電極)になっている。
ロール電極11と平板電極21とが、互いに処理幅方向と直交する対向方向(図1の左右方向)に対向することによって、一対の電極を構成している。
プラズマヘッド20ひいては平板電極21における、ロール電極11との対向面には、誘電部材22が設けられている。誘電部材22は、例えばセラミック(誘電体)にて構成されている。
誘電部材22とロール電極11との間の最狭部及びその周辺部に処理空間1aが画成されている。処理空間1aは、処理幅方向(図1の紙面直交方向)へ延びるとともに、縦方向(図1の上下)の両端が、外部雰囲気に連通している。処理空間1aの圧力は、ほぼ大気圧である。処理空間1aの最狭部の前記対向方向に沿う厚みt1a(mm)は、好ましくはフィルム9の厚みt(mm)より0.1mm以上大きく、かつ2.0mm程度以下であり(t+0.1≦t1a≦2)、より好ましくはt1a=1mm程度である。t1a<t+0.1であると、最大厚み(一般に0.5mm程度)のフッ素系樹脂フィルム9を処理空間1aに通しにくい。t1a>2.0であると、放電が安定しない。
なお、図面においては、処理空間1aの厚みt1aは誇張されている。
高周波電源2からの電力供給によって電極21,11間に電界が印加される。これによって、処理空間1a内に放電が生成され、処理空間1aが放電空間となる。
供給電力は、プロセスガスの流量やフィルム搬送速度に合わせて適宜設定される。平板電極21の放電面(処理空間1aを向く面)の単位面積当たりの供給電力量の範囲は、好ましくは0.5〜100W/cm・secであり、より好ましくは、5〜50W/cm・secである。上記範囲未満では、供給電力量不足で、表面処理効果が不十分である。上記範囲を超えると、フッ素系樹脂フィルム9が電界ダメージもしくは熱ダメージを受けるおそれがある。
フッ素系樹脂フィルム9におけるロール電極11に掛け回された部分が、処理空間1a内に配置されている。かつ、ロール電極11が時計回りに回転されることで、フッ素系樹脂フィルム9が処理空間1a内を上から下へ搬送される。
平板電極21には温調手段26が設けられている。温調手段26は、平板電極21内の温調媒体流路26aを含む。温調媒体が、温調(加熱)されたうえで温調媒体流路26aに通される。これによって、平板電極21が設定温度に温調される。温調媒体としては、水、オイル、ガス等の加熱流体を用いることができる。平板電極21の設定温度は、好ましくは80℃以上かつフッ素系樹脂フィルム9の連続使用温度以下である。温調手段26として、温調媒体の流通に代えて、電熱ヒータ、IRヒータ等を用いてもよい。
プラズマヘッド20におけるフィルム搬送方向の上流側(処理空間1aの入口側、図1において上側)の側部には、ノズルユニット23が設けられている。ノズルユニット23は、図1の紙面と直交する処理幅方向にプラズマヘッド20と同程度の長さだけ延びている。
ノズルユニット23には、プロセスガスノズル32と、カーテンガスノズル42が設けられている。プロセスガスノズル32は、処理空間1aへ向かって斜めに開口されている。プロセスガス源3からのプロセスガス路31が、ノズルユニット23へ延びてプロセスガスノズル32に接続されている。プロセスガスノズル32は、ガス路31からのプロセスガスを図1の紙面と直交する処理幅方向に分散させて、処理空間1aへ向けて均一に吹き出す。プロセスガスは、安定的なプラズマ放電を生成するための放電生成ガスであり、不活性ガスが用いられている。不活性ガスとしては、アルゴン(Ar)やヘリウム(He)等の希ガスの他、窒素(N)を用いることができる。
プロセスガス源3、プロセスガス路31及びプロセスガスノズル32によって、プロセス供給手段30が構成されている。
ノズルユニット23における、プロセスガスノズル32よりもフィルム搬送方向の上流側(図1において上側)に、カーテンガスノズル42が配置されている。カーテンガスノズル42は、ロール電極11ひいてはフッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aに向かって開口されている。カーテンガス源4からのカーテンガス路41が、ノズルユニット23へ延びてカーテンガスノズル42に接続されている。カーテンガスノズル42は、ガス路41からのカーテンガスを図1の紙面と直交する処理幅方向に分散させて均一に吹き出す。これによって、カーテンガスノズル42とロール電極11との間に、ガスカーテン44が形成される。カーテンガスとしては、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、窒素(N)等の不活性ガスが用いられている。
カーテンガス源4、カーテンガス路41及びカーテンガスノズル42によって、ガスカーテン形成手段40が構成されている。
プロセスガスとカーテンガスは、互いに同種の不活性ガスで構成されていてもよい。その場合、プロセスガス源3とカーテンガス源4とが互いに共通の不活性ガス源によって構成されていてもよい。共通の不活性ガス源からガス路31,41が分岐して、ノズル32,42にそれぞれ接続されていてもよい(図2参照)。
或いは、プロセスガスとカーテンガスが互いに異なる不活性ガスで構成されていてもよい。例えば、プロセスガスがAr又はHeであり、カーテンガスがNであってもよい。
プラズマヘッド20におけるフィルム搬送方向の下流側部(処理空間1aの出口側、図1において下側)には、遮蔽壁24が設けられている。遮蔽壁24は、誘電部材22よりもロール電極11側へ突出されている。遮蔽壁24の先端とロール電極11との間には、フッ素系樹脂フィルム9の厚み以上の隙間が形成されている。
遮蔽壁24及びガスカーテン形成手段40によって、「酸素流入阻止手段」が構成されている。
プラズマヘッド20ひいては処理空間1aよりもフィルム搬送方向の上流側(図1において上側)には、加熱手段50が設けられている。加熱手段50は、ロール電極11と対向し、ひいてはフッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aと対向するように配置されている。加熱手段50によって、フッ素系樹脂フィルム9の特に被処理面9aが加熱される。
加熱手段50としては、熱転写ロール、IR加熱器、ガス加熱器等が挙げられるが、被処理面9aを設定温度に加熱できれば特に限定はない。
加熱手段50による被処理面9aの加熱設定温度は、フッ素系樹脂フィルム9の連続使用温度より100℃低い温度以上かつ連続使用温度以下であり、好ましくは連続使用温度より50℃低い温度以上かつ連続使用温度以下である。ポリテトラフルオロエチレン(連続使用温度260℃)からなるフッ素系樹脂フィルム9においては、160℃〜260℃であり、好ましくは210℃〜260℃である。
前記の表面処理装置1によってフッ素系樹脂フィルム9を表面処理する方法を説明する。
<搬送工程>
処理すべきフッ素系樹脂フィルム9をロール電極11に掛け回す。そして、ロール電極11を図1において時計まわりに回転させ、フッ素系樹脂フィルム9を矢印a方向に所定速度で搬送する。
<加熱工程>
搬送方向に沿ってプラズマヘッド20の上流側ひいては処理空間1aの上流側において、加熱手段50によって、フッ素系樹脂フィルム9を前記設定温度(160℃〜260℃、好ましくは210℃〜260℃)まで加熱する。加熱手段50がフッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aと対向することによって、フッ素系樹脂フィルム9のうち特に被処理面9aを含む表層部分を前記設定温度まで確実に加熱することができる。
<温調工程>
かつ、温調手段16によってロール電極11を80℃以上、260℃(連続使用温度)以下に温調する。
また、温調手段26によって平板電極21を80℃以上、260℃(連続使用温度)以下に温調する。
これによって、加熱手段50にて加熱後のフッ素系樹脂フィルム9が冷めるのを防止でき、フッ素系樹脂フィルム9の温度を前記設定温度に維持できる。
ロール電極11の回転によって、フッ素系樹脂フィルム9における前記設定温度に加熱された部分が、プラズマヘッド20とロール電極11との間に導入され、更には処理空間1a内に通される。
<プロセスガス供給工程>
併行して、プロセスガスをノズル32から吹き出して処理空間1aへ供給する。
<ガスカーテン形成工程(酸素流入阻止工程)>
また、カーテンガスをノズル42から吹き出すことで、処理空間1aの入口部にガスカーテン44を形成する。このガスカーテン44によって、外部の雰囲気ガス(空気)が処理空間1aへ入り込むのを阻止できる。ひいては、雰囲気中の酸素が処理空間1aへ流入するのを阻止できる。また、遮蔽壁24によって、処理空間1aの出口側からの酸素流入を防止できる。これによって、処理空間1aの酸素濃度を処理空間1aの外部の酸素濃度よりも低くできる。好ましくは、処理空間1aの酸素濃度(体積濃度)を1000ppm以下とすることができ、より好ましくは100ppm以下とすることができる。
<放電生成工程>
併行して、高周波電源2から電極21,11間に高周波電圧を印加する。これによって、処理空間1a内に放電が生成され、プロセスガスがプラズマ化される。このプラズマが処理空間1a内のフッ素系樹脂フィルム9における被処理面9aに照射される。
このプラズマ照射によって、フッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aを含む表面層のC−F結合を切断できる。かつ、処理温度をフッ素系樹脂フィルム9の連続使用温度近く(160℃〜260℃、好ましくは210℃〜260℃)に設定しておくことによって、フッ素系樹脂フィルム9の表面層において、新たなC−C結合が形成され、架橋ネットワークを形成できるものと考えられる。これによって、フッ素系樹脂フィルム9の表面層を架橋フッ素系樹脂とすることができる。処理空間1aの酸素濃度を1000ppm以下、好ましくは100ppm以下とすることによって、新たなC−C結合形成が阻害されるのを防止でき、フッ素系樹脂を確実に架橋させることができる。
また、C−F結合の切断及び新たなC−C結合形成の結果、F原子が飛ばされ、被処理面9aにおけるF原子の存在密度を処理前よりも小さくできるものと考えられる。
このようにして、被処理面9aを、表面自由エネルギーが大きくなるように表面改質することができる。
前記表面改質した被処理面9aに例えば銀(Ag)インク等のインクを塗布する。この銀インクを焼結することで、薄膜又は配線パターン等の焼結膜を得る。或いは、インクジェットやスクリーン印刷等によって導電パターンを塗布印刷する。
被処理面9aの表面自由エネルギーが大きくなっているから、銀インクの焼結膜との密着性や塗布印刷性を良好にできる。しかも、処理効果を長期間にわたって維持することができる。つまり、前記表面処理後、1〜数ヶ月経っても、良好な密着性や塗布印刷性を確保することができる。
勿論、Agインクの焼結膜だけでなく、CuインクやCuペースト等を焼結して得られた薄膜又は配線パターン等の焼結膜との密着性をも向上できる。Ag、Cu等の無機導電性材料だけでなく、有機導電性材料との密着性をも向上できる。また、エポキシ接着剤等の汎用の接着剤を介して、汎用樹脂組成物(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド(PI)、ナイロン等)との密着性をも向上できる。要するに、難密着性のフッ素樹脂組成物からなるフィルム9と導電性材料(無機、有機問わず)との密着性や塗布印刷性を改善することができる。
更には、エポキシ接着剤等の汎用の接着剤を介して、合成ゴム(例えば、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン・ブタジエンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム等々)との密着性をも向上できる。
フッ素系樹脂フィルム9の加熱温度を連続使用温度以下とすることによって、フッ素系樹脂フィルム9の熱損傷を回避できる。
表面処理装置1は、大気圧下で処理を行うものであるから、大掛かりな真空設備等が不要であり、しかも開放型の装置構成にできる。例えば、装置全体を囲むチャンバー内の全域を不活性ガスに置換しなくてもよい。したがって、設備コストを安価にできる。かつ、連続安定生産性が高く、フッ素系樹脂フィルム9の品質を安定させることができる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態において既述の形態と重複する構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る表面処理装置1Bを示したものである。表面処理装置1Bにおいては、プロセスガス供給手段30及びガスカーテン形成手段40が加熱手段の一部として提供されている。詳しくは、表面処理装置1Bは、プロセスガスとカーテンガスとに共通の不活性ガス源3Bと、加熱手段本体であるガス加熱器50Bとを備えている。不活性ガス源3Bにガス加熱器50Bが接続されている。ガス加熱器50Bからプロセスガス路31とカーテンガス路41とが分岐されて、ノズルユニット23のプロセスガスノズル32とカーテンガスノズル42にそれぞれ接続されている。
ガス源3Bからの不活性ガスが、ガス加熱器50Bにおいて加熱され、フッ素系樹脂フィルム9の連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上かつ連続使用温度以下になる。加熱後の不活性ガスの一部が、プロセスガスとして、プロセスガス路31を経てプロセスガスノズル32から吹き出され、フッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aに接触されるとともに、処理空間1aに導入されてプラズマ化される。加熱後の不活性ガスの他の一部が、カーテンガスとして、カーテンガス路41を経てカーテンガスノズル42から吹き出され、ガスカーテン44を形成するとともに、フッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aに接触される。
フッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aは、これら不活性ガス(プロセスガス及びカーテンガス)との接触によって、連続使用温度より100℃好ましくは50℃低い温度以上かつ連続使用温度以下に加熱される。その後、フッ素系樹脂フィルム9が処理空間1aへ導入されてプラズマ表面処理される。
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、フッ素系樹脂フィルム9の組成は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に限られず、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリビニルフルオライド(PVF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)等であってもよく、単一組成に限られず複数種のフッ素系樹脂を含んでいてもよい。
一対の電極構造は、ロール電極11と平板電極21との対に限られず、一対のロール電極にて構成されていてもよく、一対の平板電極にて構成されていてもよい。
処理空間1aの出口側(図1、図2において下側)や処理幅方向(図1、図2において紙面直交方向)の両端部にもガスカーテンを形成してもよい。
処理空間1aの入口側(図1、図2において上側)や処理幅方向(図1、図2において紙面直交方向)の両端部にも、遮蔽壁24を設けてもよい。
第2実施形態(図2)において、ガス加熱器50Bが、プロセスガスとカーテンガスのうち、プロセスガスだけを加熱するようになっていてもよく、或いはカーテンガスだけを加熱するようになっていてもよい。
実施例を説明する。なお、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1では、図2に示す表面処理装置1Bと実質同一の装置を用い、フッ素系樹脂フィルム9の表面処理を行った。すなわち、フッ素系樹脂フィルム9をロール電極11に巻き付けて搬送しながら(搬送工程)、加熱したプロセスガスを処理空間1aに供給するとともに(プロセスガス供給工程、加熱工程)、電極21,11間に電界を印加して大気圧プラズマ放電を生成し(放電生成工程)、かつ加熱したカーテンガスでガスカーテン44を形成した(酸素流入阻止工程、加熱工程)。
<フッ素系樹脂フィルム9>
被処理物であるフッ素系樹脂フィルム9の材質は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)であった。したがって、連続使用温度は、260℃であった。
フッ素系樹脂フィルム9の厚みは、0.2mmであった。
<装置構成>
電極21,11ひいては処理空間1aの処理幅方向(図2の紙面直交方向)の長さは、640mmであった。
平板電極21の幅(図2の上下方向の寸法)は、30mmであった。
処理空間1aの最狭部の厚みは、1mmであった。
<印加電圧>
高周波電源2において商用交流電力を直流変換し、この直流電力を高周波変換して平板電極21に供給した。
供給直流電圧は150V、供給直流電流は0.6A、供給電力は90Wであった。
電極21,11間の印加電圧(ピーク・トゥ・ピーク電圧Vpp)は、Vpp=4.2kVであった。
<処理速度>
処理速度(フッ素系樹脂フィルム9の搬送速度)は、0.3m/minであった。
<プロセスガス>
プロセスガスとして、Arを用いた。
プロセスガスの流量は、50L/minであった。
<カーテンガス>
カーテンガスとして、Arを用いた。
カーテンガスの流量は、25L/minであった。
この結果、処理空間1aの酸素濃度(体積濃度)は、950ppmであった。
酸素濃度の測定には、東レエンジニアリング株式会社製吸引式酸素濃度計Oxygen Analyzer LC-850KSを用いた。この酸素濃度計の細い吸引管を処理空間1aに侵入させ、処理空間1a内のガスの一部を吸引して測定した。吸引量は、100mL/minであった。
<温度設定>
ガス加熱器50Bによって、プロセスガス及びカーテンガスを加熱した。これらガスをフッ素系樹脂フィルム9に吹き付けることで、フッ素系樹脂フィルム9を加熱した。ガス加熱温度ひいては被処理面9aの処理時温度は、250℃とした。
ロール電極11及び平板電極21の温度は、共に80℃であった。チラーで水を加熱して熱湯にし、それを各電極11,21の温調路16a,26aに流した。
表面処理後のフッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aは、処理前と比べて硬くなっていた。表面処理後の裏面9bと比べても硬くなっていた。このことから、被処理面9aを含む表面層のフッ素系樹脂分子が架橋されたものと推察される。
<評価>
(1)Agインクの焼結膜との密着性
前記のようにして表面処理したフッ素系樹脂フィルム9に対し、Agインクの焼結膜との密着性を次のようにして測定した。
前記表面処理後のフッ素系樹脂フィルム9からサンプルを切り出した。サンプルの大きさは、長さ30mm×幅10mmであった。
このサンプルの被処理面9aにAgインクを塗布した。
Agインクとしては、日油株式会社製 型番AG-SI-112を用いた。
塗布手段としてスピンコータを用いた。スピンコータの回転数は、2000rpmであった。塗布時間は、10秒であった。塗布後、120℃で20分間加熱してAgインクを焼結させることで、Agインク焼結膜を得た。その後、自然放冷却させた。
別途、サンプルの幅のちょうど2分の1の幅(5mm)の帯状のステンレス板を2枚用意した。これら2枚の帯状のステンレス板を幅方向に並べ、接着剤を塗布し、前記サンプルのAgインク焼結膜側をステンレス板上の接着剤と接触させ貼り付けた。
接着剤として、2液硬化型エポキシ接着剤を用いた。詳しくは、二液性エポキシ系接着剤 AV138とHV998(共にナガセケムテックス株式会社製) を質量比5:2の割合で混合したものを用いた。
続いて、ヒーターで加熱し、エポキシ接着剤を硬化させることで、前記サンプルのAgインク焼結膜と2枚の帯状のステンレス板とを接着させた。加熱温度は80℃、加熱時間は30分であった。
そして、JIS K6584−1に基づき、90°剥離試験を行った。試験には、デジタルフォースゲージZP-200(株式会社イマダ製)、及び電動スタンドMX-500N(株式会社イマダ製)を使用した。サンプルを上へ向け、かつ帯状のステンレス板を下へ向けて、電動スタンドのステージに水平に設置するとともに、サンプルの一端部を上方へ90°折り曲げてデジタルフォースゲージに固定したうえで、ステージを走査させた。走査速度は、30 mm/minであった。そして、サンプルとAgインク焼結膜とが剥離する際のデジタルフォースゲージの読みから、サンプルの1mm幅あたりのAgインク焼結膜との密着強度を算出した。
結果は、1.0N/mmであり、十分な密着強度が得られた。
(2)塗布印刷性
前記表面処理したフッ素系樹脂フィルム9に、インクジェット法でパターン塗布を行った。
塗布のパターンとして、Line/Space=50/50μmを描写した。
インクジェット用インクとして、日油株式会社製 型番AG-SI-112を用いた。
印刷結果を目視で観察したところ、インクのにじみは無く、良好な印刷状態であった(表1において「○」)。
実施例2では、プロセスガス及びカーテンガスとしてHeを用いた。それ以外の処理条件及び処理手順については、実施例1と同じであった。処理後の評価方法についても実施例1と同じとした。
その結果、インク焼結膜との密着強度は、1.1N/mmであった。
また、塗布印刷性については、インクのにじみが無く、良好な印刷状態であった。
[比較例1]
比較例1として、表面処理時のフッ素系樹脂フィルム9の温度を80℃に設定した。それ以外の処理条件及び処理手順については、実施例1と同じであった。処理後の評価方法についても実施例1と同じとした。
その結果、インク焼結膜との密着強度は、0.2N/mmであり、密着性が悪かった。
また、インクジェット印刷では、インクをはじいて印刷できず、塗布印刷性も悪かった(表1において「×」)。
[比較例2]
比較例2として、表面処理時のフッ素系樹脂フィルム9の温度を150℃に設定した。それ以外の処理条件及び処理手順については、実施例1と同じであった。処理後の評価方法についても実施例1と同じとした。
その結果、インク焼結膜との密着強度は、0.3N/mmであり、密着性が悪かった。
また、インクジェット印刷では、インクをはじいて印刷できず、塗布印刷性も悪かった。
[比較例3]
比較例3として、処理空間1aに意図的に酸素を導入することで、処理空間1aの酸素濃度(体積濃度)を3000ppmとした。それ以外の処理条件及び処理手順については、実施例1と同じであった。処理後の評価方法についても実施例1と同じとした。
その結果、インク焼結膜との密着強度は、0.2N/mmであり、密着性が悪かった。
また、インクジェット印刷では、インクをはじいて印刷できず、塗布印刷性も悪かった。
表1は、実施例1〜2、及び比較例1〜3の処理条件及び評価結果をまとめたものである。
Figure 0006150094
以上の実施例及び比較例の結果から、フッ素系樹脂フィルム9の被処理面9aの温度を連続使用温度近くとし、かつ、処理空間1aの酸素濃度を十分に小さくすることで、フッ素系樹脂フィルム9のインク焼結膜との密着性及び塗布印刷性を改善できることが確認された。
本発明は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素系樹脂組成物からなるフィルムのインク焼結膜との密着性及び塗布印刷性を改善するのに適用できる。
1 表面処理装置
1a 処理空間
2 電源
9 フッ素系樹脂フィルム
9a 被処理面
11 ロール電極(接地電極)
13 搬送機構
16 温調手段
21 平板電極(電圧印加電極)
24 遮蔽壁(酸素流入阻止手段)
26 温調手段
30 プロセスガス供給手段
32 プロセスガスノズル
40 ガスカーテン形成手段(酸素流入阻止手段)
42 カーテンガスノズル
44 ガスカーテン
50 加熱手段

Claims (6)

  1. フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムの被処理面を表面処理する装置であって、
    互いの間に大気圧近傍の処理空間を画成するとともに、電圧印加によって前記処理空間内に放電を生成する一対の電極と、
    前記フッ素系樹脂フィルムを前記処理空間に通す搬送機構と、
    前記処理空間に不活性ガスを含むプロセスガスを供給するプロセスガスノズルと、
    前記被処理フィルムの前記被処理面を加熱する加熱手段と、
    前記処理空間への酸素流入を阻止して、前記処理空間の酸素濃度を前記処理空間の外部の酸素濃度より低くする酸素流入阻止手段と、
    を備え、前記被処理面の温度が、前記フッ素系樹脂フィルムの連続使用温度より100℃低い温度以上かつ前記連続使用温度以下であり、
    前記処理空間の酸素の体積濃度が、1000ppm以下であることを特徴とする表面処理装置。
  2. 前記加熱手段が、前記被処理面と対向するように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の表面処理装置。
  3. 前記加熱手段が、前記搬送機構の搬送方向に沿って前記処理空間の上流側に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面処理装置。
  4. 前記酸素流入阻止手段が、前記処理空間の側部に不活性ガスによるガスカーテンを形成するガスカーテンノズルを含むことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の表面処理装置。
  5. フッ素系樹脂組成物からなるフッ素系樹脂フィルムの被処理面を表面処理する方法であって、
    一対の電極どうし間に形成された大気圧近傍の処理空間に前記フッ素系樹脂フィルムを通す搬送工程と、
    不活性ガスを含むプロセスガスを前記処理空間に供給して、前記処理空間内の前記被処理面に接触させるプロセスガス供給工程と、
    前記一対の電極どうし間に電圧を印加して、前記処理空間内に放電を生成する放電生成工程と、
    前記フッ素系樹脂フィルムの前記被処理面を加熱する加熱工程と、
    前記処理空間への酸素流入を阻止して、前記処理空間の酸素濃度を前記処理空間の外部の酸素濃度より低くする酸素流入阻止工程と、
    を備え、前記被処理面の温度が、前記フッ素系樹脂フィルムの連続使用温度より100℃低い温度以上かつ前記連続使用温度以下であり、
    前記処理空間の酸素の体積濃度が、1000ppm以下であることを特徴とする表面処理方法。
  6. 前記処理空間の側部に不活性ガスによるガスカーテンを形成することを特徴とする請求項5に記載の表面処理方法。
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