JP6145871B2 - 視作業用照明装置及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、視作業用照明装置及び表示装置に関する。
快適な照明環境を実現する照明方法としては、下記の特許文献1が知られている。
この特許文献1には、照明ランプを時間周波数で制御することにより、光度、光の色、光度と光の色を変化させる時間について、変化させる時間が長い時間と短い時間を交互で繰り返すことが記載されている。
特開2000−357591号公報
上述した特許文献1に記載された技術は、照明光の光度等を繰り返し変化させることにより、呼吸リズムの制御を手助けできるという観点から、快適な照明環境が実現できるとしている。しかし、特許文献1の技術では、実際に作業をしている作業者の視作業の負担を軽減できるものではなかった。
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、視作業をしている作業者の負担を軽減できる視作業用照明装置及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る視作業用照明装置は、作業者が視作業を行う時に見る視作業面の照度を200ルクス乃至10000ルクスの範囲内とする照明光を発生させる照明光発生部と、前記照明光発生部により発生させる照明光を制御する照明光制御部と、前記照明光制御部を動作させるための制御信号を発生させる制御信号発生部とを備え、前記制御信号発生部は、1Hz以下の周波数成分を有する制御信号を発生させ、前記照明光制御部は、前記制御信号発生部により発生された制御信号に従って、前記照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させ、かつ、前記照明光を照射する領域を複数に分割し、分割された領域ごとに照明光の変化が異なるように制御することを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る視作業用照明装置は、上記第1の態様の視作業用照明装置であって、前記制御信号発生部は、周波数が1Hz以下となる周期の単一の関数に従って制御信号を発生させることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る視作業用照明装置は、上記第1の態様の視作業用照明装置であって、前記制御信号発生部は、周波数が1Hz以下となる周期の関数を複数組み合わせた制御信号を発生させることを特徴とする。
本発明の第の態様に係る視作業用照明装置は、上記第1乃至第の何れかの態様の視作業用照明装置であって、作業者の状態を検出する作業者状態検出部を備え、前記制御信号発生部は、前記作業者状態検出部により検出された作業者の状態に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする。
本発明の第の態様に係る視作業用照明装置は、上記第1乃至第の何れかの態様の視作業用照明装置であって、前記作業者の視野の少なくとも一部における照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを照明光の状態として検出する光検出部を備え、前記制御信号発生部は、前記光検出部により検出された照明光の状態に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする。
本発明の第の態様に係る視作業用照明装置は、上記第1乃至第の何れかの態様の視作業用照明装置であって、前記照明光発生部による照明光の点灯時間を計測する時間計測部を備え、前記制御信号発生部は、前記時間計測部により計測された照明光の点灯時間に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする。
本発明の第の態様に係る表示装置は、上記第1乃至第の何れかに記載の視作業用照明装置をバックライトとして備える。
本発明によれば、照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させることにより、視作業をしている作業者の負担を軽減できる。
本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の構成を示す概略図である。 制御信号の時間的な変化を示す図である。 本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の他の構成を示す概略図である。 他の制御信号の時間的な変化を示す図である。 本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の他の構成を示す概略図である。 他の制御信号の時間的な変化を示す図である。 人間の視野について説明する図である。 本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の他の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の他の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態として示す視作業用照明装置の他の構成を示す概略図である。 本発明の実施形態として示す表示装置の構成を示す概略図である。 (a)は制御信号の一例によって変化させた瞳孔径の計算値を示し、(b)は(a)に対応する瞳孔径の周波数スペクトルを示す。 (a)は制御信号の一例によって変化させた瞳孔径の計算値を示し、(b)は(a)に対応する瞳孔径の周波数スペクトルを示す。 (a)は実測した瞳孔径の変化の一例を示し、(b)は(a)に対応する瞳孔径の周波数スペクトルを示す。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明を適用した視作業用照明装置1は、例えば図1に示すように構成されている。
視作業用照明装置1は、例えばデスクスタンドに設けられたデスク用照明器具に適用される。視作業用照明装置1は、照明部10、照明光発生部11、アーム部12、制御部13、及び、支持部14を有している。
照明部10は、照明光発生部11を収容する筐体によって構成される。照明部10は、光源としての照明光発生部11を収容している。照明部10は、例えば複数のLEDが円環状に配置された照明光発生部11を収容している。
照明光発生部11は、任意の光源であって、照明光Lを発生させる。照明光発生部11は、作業者Pがテーブル100上の視対象物100aを見る視作業のために照明光Lを照明する。なお、視対象物100aとしては、書物など、任意のものであるが、周囲の空間などであってもよい。
この照明光Lは、作業者Pが視作業を行う時に見る視作業面の照度を200ルクス乃至10000ルクスの範囲内とするよう輝度が調整される。この照度は、作業者Pが視作業を行うことに適した大きさである。200ルクスは、粗い視作業を行うことができる照度である。この200ルクスは、視力を検査するときの照度でもある。また、10000ルクスは、晴れた日中の窓際の照度であり、これ以上の照度は多くの人がまぶしいと感じるが、ものをみることができる明るさである。作業者が極めて細かい視作業を行うためには3000ルクス以上の照度が必要である。なお、高齢者は通常の2〜4倍の照度が必要であるといわれている。
照明光発生部11は、照明光Lの輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つが調整可能に構成される。照明光発生部11は、制御部13からの調光信号を入力して、輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを変更する。これにより、照明光発生部11は、調光信号に従って、照明光Lの輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させる。この照明光Lの揺らぎは、作業者Pの瞳孔Eの変化(揺らぎ)に1Hz以上の成分が含まれないようにするよう調整される。また、照明光Lの揺らぎは、短時間で大きく振幅が変化することなく滑らかに変化される。
瞳孔径は、視対象物100a上の視作業面が暗い環境では約8mm〜9mm程度である。視作業面の照度が200ルクス乃至10000ルクスの範囲となると、瞳孔径は5mm〜6mm以下となる。視作業用照明装置1は、照明光Lの輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させることによって、瞳孔径の変化を誘発する。
制御部13は、照明光制御部13a及び制御信号発生部13bを含む。照明光制御部13aは、照明光発生部11により発生させる照明光Lを制御する。このため、制御部13は、照明光発生部11に対して調光信号を供給する。
照明光制御部13aは、照明光発生部11の発光量を直接的に変化させる電源により構成可能である。照明光制御部13aを電源として構成した場合、制御信号発生部13bから制御信号を受けて電流値(調光信号)を変化させる。また、他の形態としては、照明光制御部13aは、一定の発光量で発光する照明光発生部11の前に置かれた液晶パネルやフィルター、シャッター、ミラー、拡散板などの光学系を有していてもよい。照明光制御部13aは、照明光発生部11が複数のLEDから成る場合、各LEDに対して調光信号を出力する。
照明光制御部13aは、作業者が視作業を行う時に見る視作業面の照度を200ルクス乃至10000ルクスの範囲内とするよう照明光Lの輝度を調整する。また、照明光制御部13aは、視作業面の照度を200ルクス乃至10000ルクスの範囲内に維持した上で、照明光発生部11における照明光Lの輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを調整する。このとき、照明光制御部13aは、制御信号発生部13bにより発生された制御信号に従って、照明光Lの輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させる。
照明光制御部13aによって変化させる照明光Lの要素は、作業者Pの瞳孔径に作用するものであればよい。本実施形態では、照明光Lの要素としての輝度を調整することによって、視対象物100aの照度を変化させている。また、本実施形態では、照明光Lの要素としての配光(輝度分布)を調整することによって、照明光Lの照射領域を変化させている。さらに、本実施形態では、照明光Lの要素としての波長成分を調整することによって、照明光Lの色味を変化させている。さらに、照明光制御部13aは、照明光Lの輝度、配光、波長成分の2つ又はすべてを揺らぐように変化させてもよい。
制御信号発生部13bは、照明光制御部13aを動作させるための制御信号を発生させる。制御信号発生部13bは、照明光Lを制御するための1Hz以下の周波数成分を有する制御信号を発生する発振器によって構成可能である。この制御信号は、例えば、図2に示すように、1周期(t1〜t2)が1秒以下となるよう調整されたものである。これにより、制御信号は、1Hz以下の周波数成分を有するものとなる。制御信号発生部13bは、この制御信号を照明光制御部13aに供給して、照明光Lの揺らぎの周波数を1Hz以下とし、作業者Pの瞳孔径に1Hz以下の周波数の揺らぎを生じさせる。
この制御信号の振幅は、作業者Pが意識できる程度の明るさを変化させることが望ましい。実際に照明光Lの明るさのみを変化させて瞳孔径の変化を計測すると、明るさが一定の場合でも常に生じている瞳孔径の微小な揺らぎと区別できる程度に瞳孔径を変化させるためには、作業者Pが意識できる程度の明るさの変化が必要がある。一方、作業者Pに明るさの変化が意識され、瞳孔径も同期して変化する程度に明るさを変化させても、周波数が1Hz以下(例えば0.2Hz)の周期で緩やかに変化させた場合には、視作業に支障を感じない。
以上のように、この視作業用照明装置1によれば、1Hz以下の周波数成分を含む制御信号によって照明光Lに揺らぎを与えて、視対象物100aを照射する。これにより視対象物100aから作業者Pの瞳孔Eに入る光が1Hz以下の周波数成分によって揺らぐことになる。すると、作業者Pの瞳孔Eは、入射する光の揺らぎに同期して瞳孔径が揺らぐ。このとき、視対象物100aから作業者Pの目に入る光の要素(同上)が揺らぐことにより、目の生理的作用によって瞳孔Eの筋肉が反応し、その結果、瞳孔径も同期して揺らぐ。
3Hz以上の周波数の点滅光が光過敏性に影響することは一般に知られている。また、ウィンカーの点滅周期(毎分60〜120回)で分かるとおり、1Hz〜2Hzの周波数の明るさ変化でも、注意を惹く効果がある。このような観点より、照明光Lの輝度や波長の時間的変化を制御して、瞳孔径に周波数が1Hz以下の揺らぎを誘発するように光刺激を与える。これにより、作業者Pの視作業を損なうことなく、不快感、負担感、疲労感などを感じにくくし、快適にすることができる。
さらに、良好な視覚を保つには、眼に適度な運動が起こり、眼筋肉を調整することが必要である。また、長時間、一箇所に視線を固定した緊張状態にしないことが求められる。瞳孔は、目に入る光に反応して筋肉が緊張及び弛緩することにより、収縮及び拡張する。さらに、快適や不快といった感覚が自律神経を通じて、瞳孔径の動きに現れることが知られている。そこで、視作業用照明装置1は、作業者Pの瞳孔Eに適度な運動を与えることで、視作業を快適に行えるようにすることが期待できる。
上述した視作業用照明装置1において、制御信号発生部13bは、1Hz以下の周期の単一の関数に従って制御信号を発生させてもよい。
この視作業用照明装置1は、例えば図3に示すように、照明光発生部として、窓のように外部からの光を取り入れて視対象物100aに照明光Lを照射する構成を有している。この視作業用照明装置1は、光透過部21、ルーバー部22、光入射部23、太陽電池パネル24、及び、支持部25によって構成されている。
光透過部21は、例えば住宅の窓であり、光入射部23によって集光された外光を透過して視対象物100aに照明光Lを導く。この光透過部21の光透過側にはルーバー部22が配置されている。ルーバー部22は、その傾斜角度が調整可能な複数の開閉機構によって実現される。ルーバー部22は、制御信号発生部13bから制御信号が供給される。この制御信号は、光透過部21を透過した照明光Lが1Hz以下の周波数の単一周期で揺らぐように調整するものであり、図2に示したような正弦波である。
この視作業用照明装置1は、太陽電池パネル24により発電した電力を、制御部13及び図示しないルーバー部22の回動機構に供給する。これにより、視作業用照明装置1は、外光が差し込む状況において、外光によって太陽電池パネル24が発電し、外光を取り込んで視対象物100aを照射する。なお、太陽電池パネル24は、支持部24aに支持されて、所定の傾きとなるよう設置されている。
このような視作業用照明装置1は、光入射部23及び光透過部21を介して照明光Lを取り込み、ルーバー部22における開閉角度を制御する。これにより、視作業用照明装置1は、視対象物100aの照度を200ルクス乃至10000ルクスとなるよう調整する。さらに、視作業用照明装置1は、制御信号発生部13bにより発生させた制御信号によってルーバー部22の動作を制御して、照明光Lの光量を滑らかに調整する。
このような視作業用照明装置1によれば、上述した視作業用照明装置1と同様に、視作業をしている作業者の負担を軽減できる。また、この視作業用照明装置1によれば、周波数が1Hz以下の周期の単一の関数に従って制御信号を発生させるので、制御信号発生部13bによって単純な信号を発生させればよい。これにより、視作業用照明装置1は、制御信号発生部13bのコストやサイズ、消費電力などを低減しつつ、瞳孔径を1Hz以下の周波数で揺らがせることができ、適用範囲が広がる。
さらに、上述した図1の視作業用照明装置1は、周波数が1Hz以下の周期の関数を複数組み合わせた制御信号を発生させてもよい。このような視作業用照明装置1の制御信号発生部13bは、図4に示すように、極大値間の時間を10秒程度にした正弦波に、1Hzよりも低い周波数成分を含む正弦波を重ね合わせている。また、制御信号発生部13bは、例えば自然の風や揺らめく炎などに特徴的な1/f揺らぎを模擬した制御信号を発生してもよい。これにより、視作業用照明装置1は、視作業時の照明光Lを1Hz以下の複数周期の周波数成分で揺らがせる。これにより、作業者Pの瞳孔径に1Hz以下の周波数の揺らぎを生じさせる。
なお、制御信号発生部13bは、位相をずらした複数の波形を重ねて制御信号を発生させてもよい。その場合、結果的に複数周期の周波数成分が含まれることになる。また、制御信号発生部13bは、周期或いは位相の異なる複数の関数を組み合わせて制御信号を発生させてもよい。
この視作業用照明装置1によれば、1Hz以下の周期の関数を複数組み合わせた制御信号を発生させるので、作業者Pの瞳孔径に自然な揺らぎを誘発でき、作業時の快適性を向上させることができる。
さらに、この視作業用照明装置1によれば、より自然に瞳孔径に揺らぎを誘発するため、様々な自然現象をサンプリングし、1Hz以上の周波数成分を減衰させたものを用いて制御信号を発生させることもできる。また、自然に溢れた公園などの遠隔地にセンサを設置し、自然現象をリアルタイムに計測した信号をネットワーク経由で取り込み、1Hz以上の周波数成分を減衰させるフィルターを通して、制御信号の生成に利用してもよい。これにより、例えば○○公園の安らぎの光というイメージと共に、快適性をさらに向上させることが期待できる。
さらに、上述した視作業用照明装置1において、照明光制御部13aは、照明光Lを照射する領域を複数に分割し、分割された領域ごとに照明光Lの変化を異なるように制御してもよい。
照明光制御部13aは、例えば、照明光Lの領域として、照明光Lの中心部(中心光L1)と周辺部(周辺光L2)とに分割する。そして、照明光制御部13aは、中心光L1の揺らぎと、周辺光L2の揺らぎとが異なるように制御する。各領域の揺らぎを制御することにより、例えば中心部の揺らぎの幅を小さくし、周辺の揺らぎの幅を大きくでき、視作業時の効率を向上させるようにする。
具体的には、視作業用照明装置1は、図5に示すように、照明光発生部11を、照明光Lのうちの中心光L1を発生する中心光発生部11Aと、照明光Lのうちの周辺光L2を発生する周辺光発生部11Bとして構成する。
制御信号発生部13bは、中心光発生部11Aを動作させるための中心光用制御信号と、周辺光発生部11Bを動作させるための周辺光用制御信号とを発生させる。中心光用制御信号と周辺光用制御信号とは、中心光L1の揺らぎ成分と、周辺光L2の揺らぎ成分とが異なるように発生される。制御信号発生部13bは、異なる領域について、照明光Lに与える揺らぎの周波数や振幅、位相、基準値などを調節する。
照明光制御部13aは、制御信号発生部13bから中心光用制御信号及び周辺光用制御信号が供給される。照明光制御部13aは、中心光用制御信号に従って中心光発生部11Aを制御し、周辺光用制御信号に従って周辺光発生部11Bを制御する。これにより、照明光制御部13aは、それぞれ別個に、中心光発生部11A及び周辺光発生部11Bの発光量を滑らかに変化させる。
具体的には、視作業用照明装置1は、中心光L1には小さな揺らぎを与え、周辺光L2には大きな揺らぎを与える。すなわち、図6に示すように、中心光用制御信号aの振幅を、周辺光用制御信号bの振幅よりも小さくする。これにより、作業者Pが注視する視対象物100aの中央部では概ね一様な照明光Lとなり、視対象物100aの視認性を向上させることができる。一方、視対象物100aの周辺部では、周辺光L2の揺らぎによって、瞳孔径の揺らぎを誘発することができる。
作業者P(人間)の周辺視野は図7に示すような視野特性を有している。作業者Pの視野は、概ね5つに分類される。図中の(a)は網膜上の中心窩に視細胞(特に錐体細胞)が多く分布し視力や色の弁別などの視機能が最も優れた弁別視野である。この弁別視野は数度以内の範囲である。(b)は、眼球運動だけで対象を捉えられノイズの中から目的とする対象を受容できる有効視野である。この有効視野は、左右に約15度、上に約8度、下に約12度以内の範囲である。(c)は、頭部の運動が伴うことで無理なく対象を注視できる注視安定視野である。この注視安定視野は、左右に30〜45度、上に20〜30度、下に25〜40度以内の範囲である。(d)は、提示された対象の存在のみ判定でき人間の空間座標感覚に影響を与える誘導視野である。この誘導視野は、水平に30〜100度、垂直に20〜85度の範囲である。(e)は、提示された対象への知覚は極度に低下し強い刺激などに注視動作を誘発させる程度の働きをする補助視野である。この補助視野は、水平に100〜200度、垂直に85〜135度の範囲である。このことから、視作業用照明装置1は、例えば、(a)〜(b)の視野に中心光L1を照射し、(d)の視野に周辺光L2を照射してもよい。
この視作業用照明装置1は、視対象物100aの中心部及び周辺部に1Hz以下の周波数成分を有する中心光L1及び周辺光L2を照射させるので、作業者Pの瞳孔径に自然な揺らぎを誘発でき、作業時の快適性を向上させることができる。これに加え、この視作業用照明装置1によれば、視対象物100aにおける視認性を確保しつつ、瞳孔Eの運動による快適性を適切な状態に調節することができる。
作業者Pの瞳孔反応には、明るい時の視認性や色覚を支配する中心視野のみならず、周辺視野や、視覚そのものではなく明るさ知覚に関する視細胞なども関与する。このため、視野領域によって揺らぎの内容を変えることで、視認性と瞳孔への刺激をある程度区別することができる。この視作業用照明装置1は、中心光L1と周辺光L2とで発光量、すなわち明るさを揺らがせているが、これ以外に揺らぎを与えてもよい。例えば、瞳孔反応と視認性については波長による影響の違いも大きいため、中心光L1と周辺光L2とで異なるよう波長分布を揺らぐようにしてもよい。例えば青色光は瞳孔への影響が大きいので、周辺光L2を青色の波長成分を大きくしてもよい。
さらに、上述した視作業用照明装置1は、作業者の状態を検出する作業者状態検出部を備えていてもよい。この作業者状態検出部は、例えば制御部13に収容されたカメラ部13c及び画像処理部13dにより構成される。カメラ部13cは、視対象物100a周囲であって作業者Pの瞳孔Eを撮像可能な撮像範囲とする。カメラ部13cは、撮像した画像を画像処理部13dに供給する。画像処理部13dは、画像のうち瞳孔Eを抽出する。画像処理部13dは、作業者Pの状態として作業者Pの瞳孔径を検出する。
制御信号発生部13bは、作業者状態検出部(13c、13d)により検出された作業者の状態に基づいて、発生させる制御信号を変更する。制御信号発生部13bは、画像処理部13dにより抽出された瞳孔径の変化に基づいて、照明光Lに与える揺らぎの程度を調節する。照明光Lに与える揺らぎの周波数や振幅、位相、基準値などを調節する。
制御信号発生部13bは、作業者Pの瞳孔Eが入射する光の揺らぎに同期して、1Hz以下の周波数成分を含んで揺らいでいるかを判定する。制御信号発生部13bは、1Hz以下の周波数成分を含んで揺らぐように照明光Lを調整する。
照明光Lの変化量と瞳孔径の変化量の関係には個人差があると想定される。このことから、作業者Pの状態としての瞳孔径を検出することで、瞳孔径の変化に個人差があっても制御信号を補正できる。これにより、視作業用照明装置1は、作業者Pが作業をするときの利便性および快適性を向上させることができる。
また、照明光Lの照明条件が変わらないのに瞳孔径の平均値が小さくなることがある。この原因としては疲労や眠気が考えられる。これに対し、制御信号発生部13bは、瞳孔径の検出値の変化をもとに、照明光Lの揺らぎの振幅を大きくするよう制御信号を変更する。これにより、視作業用照明装置1は、瞳孔Eの筋肉への刺激を大きくして、リフレッシュを促すといった使い方ができ、快適性をより向上させることができる。
なお、本例においては、作業者の状態として瞳孔径を検出する作業者状態検出部としてカメラ部13cと画像処理部13dとを備えている。視作業用照明装置1は、作業者の状態としては、瞬き、表情、姿勢なども用いることができる。また、作業者の状態として、脈拍や体温、呼吸数、脳波なども用いることができる。そして、作業者状態検出部は、各々の計測に適切な構成を採用することができる。視作業用照明装置1は、瞳孔径と同様に、疲労や眠気、対象物への興味や集中の度合いなどを判断して、照明光Lの揺らぎの振幅を大きくして刺激を与え、リフレッシュを促すことができる。
さらに、上述した視作業用照明装置1は、作業者Pの視野の少なくとも一部における照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを検出する光検出部(31、32)を備えていてもよい。この光検出部は、例えば照明部10に収容されたカメラ部31及び画像処理部32により構成される。カメラ部31は、視対象物100a又は視対象物100aの周囲を撮像可能な撮像範囲とする。カメラ部31は、撮像した画像を画像処理部32に供給する。画像処理部32は、撮像された画像から、視対象物100a周囲における領域の状態としての輝度、配光、波長分布、視対象物の特性などを検出する。
なお、画像処理部32は、撮像された画像から、視対象物100aの特性として色(分光反射率)、形状、文字、テクスチャ等を検出してもよい。画像処理部32は、視対象物100aの特性に応じて制御信号の周波数や振幅、位相、基準値などの制御を行ってもよい。
制御信号発生部13bは、光検出部(31、32)により検出された照明光Lの状態に基づいて、発生させる制御信号を変更する。制御信号発生部13bは、画像処理部32により抽出された照明光Lの輝度、配光、波長分布、視対象物の特性の変化に基づいて、照明光Lに与える揺らぎの程度を調節する。照明光Lに与える揺らぎの周波数や振幅、位相、基準値などを調節する。ここで、視対象物100aの周囲光の影響や、視対象物の特性によって、視作業用照明装置1から照射された照明光Lによる効果が違う。これに対し、視作業用照明装置1は、作業者Pの視野内の状態を検出することで、視作業用照明装置1を使用している環境に応じて照明光Lを補正する。これにより、視作業用照明装置1は、利便性及び快適性を向上させることができる。
なお、本例においては、照明部10にカメラ部31及び画像処理部32を収容しているが、より作業者Pの視野に近い情報を得るために、作業者Pの眼鏡に装着したり、天井に設置してもよい。この場合、検出した視対象物100a周囲の情報をワイヤレス通信によって、制御信号発生部13bに送信することができる。
さらに、上述した視作業用照明装置1は、図10に示すように、照明光制御部13aによる照明光Lの点灯時間を計測する時間計測部13eを備えていてもよい。また、時間計測部13eは、視作業用照明装置1の使用時間を計測してもよい。時間計測部13eは、例えば照明光制御部13aが電源で構成されている場合には、電源の動作時間を計測する。時間計測部13eが計測する時間は、例えば作業者Pが継続して視対象物100aを視認している時間である。
制御信号発生部13bは、時間計測部13eにより計測された照明光Lの点灯時間に基づいて、発生させる制御信号を変更する。制御信号発生部13bは、時間計測部13eにより計測された時間に応じて照明光Lの点灯時間や視作業用照明装置1の使用時間を判定する。制御信号発生部13bは、計測された時間が長いと判定した場合、当該タイミングで照明光Lの揺らぎを大きくする。これにより、例えば連続して2時間以上に亘って作業者Pが視作業をしている場合に、瞳孔径に揺らぎを与えてリフレッシュを促すなどして、快適性の向上を図ることができる。
なお、時間計測部13eは、作業者Pが視対象物100aから離れたことを検出して、より正確な点灯時間を計測したり、計測した時間をリセットしてもよい。このため、時間計測部13eは、例えば近接センサを使用して、作業者Pが席を立ったかどうかを判定してもよい。また、時間計測部13eは、時刻(朝、昼、夕など)の情報を用いて、体内時計のリズムとの対応をもとに制御信号の発生内容を変化させることで、快適性の向上が期待できる。
さらに、上述した視作業用照明装置1は、表示装置のバックライトとして使用してもよい。この表示装置は、例えば図11に示すように、液晶パネル41の背面にバックライトとしてのLED光源部42を配置している。このLED光源部42は、照明光制御部13aの制御に従って動作し、1Hz以下の周波数成分を有するように照明光Lに揺らぎを与える。これにより、液晶パネル41の表示面は、1Hz以下の周波数成分を有するように明るさが変化される。また、照明光制御部13aは、LED光源部42の輝度のみならず、配光、波長成分に揺らぎを与えてもよい。
また、照明光制御部13aは、表示装置の(モノクロ、カラー、読書用など)に応じて、表示面に表示された画像を明確に表示するという機能を損なわないように、揺らがせる照明光Lの要素や揺らぎの大きさを適切に設定する必要がある。
このような表示装置によれば、上述した視作業用照明装置1を備えているので、表示面を見て視作業をしている作業者の負担を軽減できる。
なお、視作業用照明装置1を表示装置のバックライトとして表現しているが、液晶パネル41とバックライトを組み合わせた構成に限られることはない。例えば、有機ELやプラズマパネルなどの自発光ディスプレイについても、視作業用照明装置1と同様に明るさ調整をしてもよい。また、視作業用照明装置1は、プロジェクタの光源として機能し、プロジェクタから出射する光の要素に揺らぎを与えてもよい。
なお、上述の実施の形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
上述した実施形態において、制御信号及び瞳孔径の揺らぎの実施例は以下のようになる。
図12(a)は、周期を5秒(0.2Hz)の正弦波とした制御信号によって照明光Lに揺らぎを与えた時の瞳孔径(シミュレーション計算値)の例を示す。図12(b)は、図12(a)の瞳孔径の揺らぎの周波数スペクトルである。
図13(a)は、周期10秒、周期5秒、周期3秒、周期2秒、周期1.25秒の正弦波を1/fの大きさで混合した制御信号によって照明光Lに揺らぎを与えた時の瞳孔径(シミュレーション計算値)の例を示す。図13(b)は、図13(a)の瞳孔径の揺らぎの周波数スペクトルである。
図14(a)は、周期が5秒(0.2Hz)の正弦波で照明光を変調させた場合における左右の眼ごとにおける瞳孔径の横幅の実測例を示し、図14(b)は、実測した瞳孔径の周波数スペクトルを示す。図14(b)の周波数スペクトルで分かるとおり、照明光を制御することにより、実際に瞳孔径の変化に1Hz以下(0.2Hz)の周波数成分を含ませることができている。
1 視作業用照明装置
10 照明部
11 照明光発生部
13a 照明光制御部
13b 制御信号発生部
13c カメラ部(作業者状態検出部)
13d 画像処理部(作業者状態検出部)
13e 時間計測部
31 カメラ部(光検出部)
32 画像処理部(光検出部)
41 液晶パネル

Claims (7)

  1. 作業者が視作業を行う時に見る視作業面の照度を200ルクス乃至10000ルクスの範囲内とする照明光を発生させる照明光発生部と、
    前記照明光発生部により発生させる照明光を制御する照明光制御部と、
    前記照明光制御部を動作させるための制御信号を発生させる制御信号発生部とを備え、
    前記制御信号発生部は、1Hz以下の周波数成分を有する制御信号を発生させ、
    前記照明光制御部は、前記制御信号発生部により発生された制御信号に従って、前記照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを揺らぐように変化させ、かつ、前記照明光を照射する領域を複数に分割し、分割された領域ごとに照明光の変化が異なるように制御すること
    を特徴とする視作業用照明装置。
  2. 前記制御信号発生部は、周波数が1Hz以下となる周期の単一の関数に従って制御信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の視作業用照明装置。
  3. 前記制御信号発生部は、周波数が1Hz以下となる周期の関数を複数組み合わせた制御信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の視作業用照明装置。
  4. 作業者の状態を検出する作業者状態検出部を備え、
    前記制御信号発生部は、前記作業者状態検出部により検出された作業者の状態に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の視作業用照明装置。
  5. 前記作業者の視野の少なくとも一部における照明光の輝度、輝度分布、波長分布の少なくとも一つを照明光の状態として検出する光検出部を備え、
    前記制御信号発生部は、前記光検出部により検出された照明光の状態に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の視作業用照明装置。
  6. 前記照明光発生部による照明光の点灯時間を計測する時間計測部を備え、
    前記制御信号発生部は、前記時間計測部により計測された照明光の点灯時間に基づいて、発生させる制御信号を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の視作業用照明装置。
  7. 前記請求項1乃至請求項の何れか一項に記載の視作業用照明装置をバックライトとして備える表示装置。
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