JP6144415B2 - 音響天井タイル用ウェットレイド基礎マット - Google Patents

Description

本発明は、音響天井タイル用ウェットレイド基礎マットに係り、より詳しくは、吊天井への使用に適した音響天井タイルとしてグラスファイバーで改良した音響天井タイル用ウェットレイド基礎マットに関する。

鉱物繊維ベースの天井タイルは長く利用されてきた。そのようなタイルやパネルは従来から、鉱物ウールの希釈水性分散体を水縮充加工することにより作られる。このプロセスにおいては、鉱物ウール、結合剤、及び要望又は必要に応じ、少量の他の成分の水性スラリーを脱水のためにフォードリニアやオリバー等のマット成形機械の小孔のある移動式支持ワイヤの上に流す。スラリーはまず重力で、次に真空吸引によって脱水され、基礎マットを形成する。湿った基礎マットは次にローラーで、または頭上移動式ワイヤと支持ワイヤの間で所定の厚さにプレスされ余分な水を除かれる。プレスした基礎マットは、次に熱した乾燥オーブンで乾燥させ、この乾燥した素材を所定の寸法に裁断し、場合により、研磨及び／又は上塗りし、又はグラスファイバーのスクリムを接着し、最終的には塗装を施して音響天井タイル又はパネルの完成品とする。

水縮充した鉱物ウールをベースにした音響天井タイルは、原材料が安価なため比較的安く生産できるものの、ＮＲＣ（騒音減少係数）が０．５５と比較的低くなっている。ＮＲＣ（騒音減少係数）の改善を伴う鉱物繊維ベースの音響天井タイルの生産が久しく望まれていた。

本発明は、ＮＲＣを改善でき、既存設備において従来の加工法で生産可能な、鉱物ウールベースの水縮充による音響天井タイル用ウェットレイド基礎マットを提供する。

本発明は、典型的な製品配合において、普通のウェットユースチョップドストランド（ＷＵＣＳ）、好ましくはある種の特徴を有している、グラスファイバーで、ごく少量、鉱物繊維を置き換えられるという発見に基づく。置き換えた結果、基礎マットの弾性に驚くほどの増加が見られた。この弾性は、密度の有意の減少、これに対応する多孔性の増加、その結果としての吸音効果を表すものである。

本発明により、０．５５より実質的に大きく、最大０．９５以上のＮＲＣ（騒音減少係数）を得られるような比較的低密度で比較的厚い音響天井パネルの製造が可能となる。この性能は音響天井タイルの中でも高級品に位置づけられる。

本発明によるパネル素材は空洞の存在によって特徴付けられる。この空洞は複合繊維間の平均的な隙間よりも大きく、パネル素材全体にランダムに分布している。この空洞は、完全には理解されていない何らかの仕組みにより、グラスファイバーの存在により生み出される。この空洞の数は基礎マットの成分配合中のグラスファイバーの量に比例するようである。さらに繊維長と繊維直径も空洞がうまくできるための要因となっているようである。

標準的な配合による音響パネルの断面の顕微鏡写真である。 チョップドストランドグラスファイバー繊維を５％含有する、配合に変更を加えた音響天井タイルの断面の顕微鏡写真である。 チョップドストランドグラスファイバー繊維を１０％含有する、配合に変更を加えた音響天井タイルの断面の顕微鏡写真である。 チョップドストランドグラスファイバー繊維を２０％含有する、配合に変更を加えた音響天井タイルの断面の顕微鏡写真である。

本発明による音響天井タイル又は音響天井パネルの基礎マットは、構成成分を希釈水性スラリーに完全に混ぜ合わせることにより生産される。一般に従来から用いられている工程においては、このスラリーを移動式のスクリーン又は支持ワイヤ上に流して基礎マット層を形成する。基礎マット層は、スクリーンを通して、また真空吸引により脱水される。マットは次に、ローラー又は移動式スクリーンと運搬スクリーンとの間で軽くプレスされる。その後、プレスされた基礎マットはオーブンで乾燥され矩形の完成寸法に裁断される。基礎マット表面は、研磨、ラミネート、及び／又は塗装等の従来技術で仕上げてもよい。

本発明は、伝統的な鉱物繊維ベースの基礎マットの成分配合から、鉱物ウール繊維の標準量のごく少量をチョップドストランドグラスファイバーに置き換えることから出発している。チョップドストランドグラスファイバーは、例えば、商業的に入手可能なウェットユースチョップドストランド（ＷＵＣＳ）素材を用いることができる。

図１は一般的な従来技術による鉱物繊維ベースの配合による音響天井タイルの一部の断面を示す。下記の表はこの従来技術の構成成分を示す。

図２から図４は配合を変更した音響天井タイル基礎マットの断面の一部を示す。図２は５重量％のチョップドストランドグラスファイバーを含有する配合の場合を示し、図３は１０重量％のチョップドストランドグラスファイバー組成の基礎マットを示し、図４は２０重量％のチョップドストランドグラスファイバー組成の基礎マットの断面を示す。図２から図４に示す組成において、チョップドストランドグラスファイバーは、呼び寸法で長さ６．４ｍｍ（１／４インチ）、直径１６．５ミクロンである。

下記は本発明の実施形態を示す音響天井タイル用の鉱物繊維ベース基礎マットの配合である。

表１、表２における百分比は重量％である。

図１と、図２から図４を比較すると、基礎マット素地に空洞が生じており、空洞の数はチョップドストランドグラスファイバーの含有率に従って増えている。グラスファイバー繊維の直径は鉱物繊維の直径よりも実質的に大きい。ｋｇ／ｍ^３（ポンド毎立方フィート）で表す基礎マットのかさ密度は、一定の体積中の空洞数が増えるのに比例して減少する。予想されるとおり、かさ密度が減少するに従い、基礎マットの多孔性が増加し、吸音力、即ちＮＲＣ値（騒音減少係数）が向上する。

チョップドストランドファイバーが鉱物繊維ベースの基礎マット素地全体に空洞を生み出す、又は少なくとも空洞の形成に関連している理由は完全には理解されていない。少なくともいくつかの例において、個々のグラスファイバーは、例えて言えば傘の骨のように、周囲の鉱物繊維が空洞の空間に入らないようにしているように見える。いかにしてチョップドストランドグラスファイバーが空洞を生み出し、かつ／又は維持するにせよ、チョップドストランドグラスファイバーはその質量に比例してかさ密度を減少させ、ＮＲＣ（騒音減少係数）を向上させる。

チョップドストランドグラスファイバーを含有する基礎マットの形成の間、乾燥オーブンに運び込む前の、トップスクリーンベルト又はローラーで軽くプレスする前後で、湿った基礎マットの弾性の増加が経験された。好ましくは、チョップドストランドファイバーは長さが呼び寸法で６．４ｍｍと１２．７ｍｍ（１／４インチと１／２インチ）の間であり、好ましくは直径が約１３．５から１６．５ミクロンである。本発明による完成品のパネルは密度が１２０から１６８ｋｇ／ｍ^３（７と１／２ポンド毎立方フィートから１０と１／２ポンド毎立方フィート）で、マット厚さは例えば２５．４から３８．１ｍｍ（１イ
ンチから１と１／２インチ）である。

典型的には、基礎マットは、その表面、即ち部屋に向く側に、塗装やコーティングをした後も通気性の保たれる、周知技術による不織グラスファイバー・スクリムを接着して覆う。

本開示は例示であり、本開示に含まれた教示の公正な範囲を逸脱することなく、詳細を加え、修正し、又は削除することによって、様々な変更が可能であることは自明である。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲が必然的に制限される程度を除いては、本開示の特定の詳細に限られるものではない。

Claims (4)

1. 音響天井タイル用ウェットレイド基礎マットであって、乾燥重量ベースで、ショットを含め５０％以上の鉱物ウール繊維と、９％未満の結合剤と、５％から２０％のチョップドストランドグラスファイバーと、を備え、
   前記チョップドストランドグラスファイバーが前記鉱物ウール繊維をベースとする前記基礎マット素地全体にランダムに空洞を形成し、かつ／又は空洞を維持し、
   乾燥状態で基礎マットが１２０ｋｇ／ｍ^３から１６８ｋｇ／ｍ^３（７と１／２ポンド毎立方フィートから１０と１／２ポンド毎立方フィート）までの間の密度を有し、
   ＮＲＣ（騒音減少係数）が０．５５より大きく最大０．９５とすることを特徴とする音響天井タイル用ウェットレイド基礎マット。
2. 前記チョップドストランドグラスファイバーの長さが、呼び寸法で６．４ｍｍから１２．７ｍｍ（１／４インチから１／２インチ）までの間であることを特徴とする請求項１に記載の音響天井タイル用ウェットレイド基礎マット。
3. 前記チョップドストランドグラスファイバーの直径が、呼び寸法で１３．５マイクロメートルから１６．５マイクロメートルまでの間であることを特徴とする請求項２に記載の音響天井タイル用ウェットレイド基礎マット。
4. 前記音響天井タイルのＮＲＣ（騒音減少係数）が０．９５であることを特徴とする請求項１に記載の音響天井タイル用ウェットレイド基礎マット。