JP6143595B2 - 乗物用ラッチ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、乗物用シート等を固定するのに使用する乗物用ラッチ装置に関する。
一般に、車体に対し回動可能に設けられたシートは、その脚などに乗物用ラッチ装置が設けられており、この乗物用ラッチ装置が車体に固定されたストライカに係合することで車体に固定されている。この乗物用ラッチ装置として、従来、シートのフレームに固定されるベースプレートと、ベースプレートに回動可能に支持され、ストライカに係合するラッチとを備えるものが知られている(特許文献1参照)。
特開2011−068262号公報
ところで、前述したベースプレートは、一般的に、車両の衝突時において変形しないような大きな板厚で構成されている。しかしながら、乗物用ラッチ装置の軽量化を図るべく、ベースプレートの板厚を小さくした場合には、車両の衝突時において、ベースプレートが変形し、このベースプレートの変形によりラッチの向きが変わることで、ラッチとストライカの係合状態が変化するおそれがある。
そこで、本発明は、衝突時においてベースプレートが変形した場合であっても、ラッチとストライカ(棒状部)の係合状態が変化するのを抑えることを目的とする。
また、本発明は、部品点数の増加を抑えることや、乗物用ラッチ装置の小型化を図ることを目的とする。
前記した課題を解決する本発明は、棒状部に係合または離脱する乗物用ラッチ装置であって、前記棒状部に係合可能なラッチと、前記ラッチを回動可能に支持し、衝突時に応力が集中して変形するように構成される応力集中部を有するベースプレートと、前記応力集中部の近傍に設けられ、衝突時に前記応力集中部の変形を規制する規制部材と、を備える。
ここで、「応力集中部の近傍」とは、衝突時に応力集中部の変形を規制部材で規制できる程度に近いことを意味する。
この構成によれば、衝突時に応力集中部が変形しても、その変形が規制部材で規制されるので、ベースプレートの変形によりラッチと棒状部の係合状態が変化するのを抑えることができる。
また、前記した構成において、前記規制部材は、前記ベースプレートを他の部材に締結するための第1締結部材であってもよい。
これによれば、例えば規制部材と締結部材とを別々に設ける構造に比べ、部品点数を削減することができるので、乗物用ラッチ装置の小型化を図ることができる。
また、前記した構成では、前記ベースプレートにおいて、前記ラッチの回動軸が、前記応力集中部を挟んで前記規制部材とは反対側に配置されていてもよい。
これによれば、衝突時に応力集中部が変形することにより、ラッチの回動軸が規制部材に向けて移動しようとしても、応力集中部の変形が規制部材で規制されたときに、ラッチの回動軸の移動も規制されるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、前記した構成において、前記ラッチは、前記応力集中部の近傍に設けられ、衝突時に前記応力集中部に当接して移動が規制されるように構成されていてもよい。
ここで、「応力集中部の近傍」とは、衝突時にラッチが応力集中部に当接できる程度に近いことを意味する。
これによれば、衝突時にラッチの移動が応力集中部で規制されるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、前記した構成において、前記ラッチは、金属製のラッチ本体と、当該ラッチ本体の一部を覆う樹脂製のカバーとを備え、前記ラッチ本体が、衝突時に前記応力集中部に当接するように配置されていてもよい。
これによれば、衝突時にラッチ本体が応力集中部に当接した際に、ラッチ本体が金属製であることから変形しにくいため、例えば樹脂製のカバーが応力集中部に当接する構造に比べ、ラッチの移動をより抑えることができ、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、前記した構成において、前記ベースプレートは、前記規制部材が設けられる第1壁と、前記第1壁よりも前記他の部材から遠い位置に配置される第2壁と、を有し、前記応力集中部は、前記第1壁と前記第2壁を連結するように形成され、前記規制部材の前記第1壁からの高さが、前記応力集中部の前記第1壁からの高さ以上であるように構成されていてもよい。
これによれば、応力集中部よりも高い規制部材によって、応力集中部の変形をより抑えることができるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、前記した構成において、前記ラッチの少なくとも一部は、当該ラッチの回動軸方向において前記第1壁よりも前記第2壁側に配置されていてもよい。
これによれば、例えばラッチの回動軸方向においてラッチを第1壁よりも第2壁とは反対側に配置する構造に比べ、乗物用ラッチ装置を回動軸方向に小型化することができる。
また、前記した構成において、前記第1締結部材とは別に、前記ベースプレートを前記他の部材に締結するための第2締結部材をさらに備え、前記ラッチの回動軸から前記第1締結部材までの距離が、前記ラッチの回動軸から前記第2締結部材までの距離よりも小さくなるように構成してもよい。
これによれば、衝突時においてラッチの回動軸からベースプレートを介して第1締結部材付近に加わる力が、第2締結部材付近に加わる力よりも大きくなるので、大きな力により応力集中部を他の部位よりも優先的に変形させやすい。その結果、応力集中部の変形を規制部材で規制する効果をより確実に発揮させることができ、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより確実に抑えることができる。
また、前記した構成において、前記ベースプレートには、前記第1締結部材を挿通させるための円孔と、前記第2締結部材を挿通させるための長孔とが形成されていてもよい。
これによれば、複数の締結部材を挿通させるための複数の孔のうち1つの孔を長孔とすることで、製造誤差を吸収することができる。また、規制部材としての第1締結部材が円孔に通されていることにより、例えば第1締結部材を長孔に通すような構造に比べ、応力集中部が変形したときに円孔の縁が第1締結部材に即座に当接するので、応力集中部の変形をより抑えることができ、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
本発明によれば、衝突時においてベースプレートが変形した場合であっても、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのを抑えることができる。
また、本発明によれば、規制部材を第1締結部材とすることで、部品点数の増加を抑えることができるので、乗物用ラッチ装置の小型化を図ることができる。
また、本発明によれば、ラッチの回動軸を応力集中部を挟んで規制部材とは反対側に配置することで、衝突時に、応力集中部の変形が規制部材で規制されたときに、ラッチの回動軸の移動も規制されるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、本発明によれば、ラッチを応力集中部の近傍に設けることで、衝突時にラッチの移動を応力集中部で規制することができるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、本発明によれば、衝突時においてラッチを構成する金属製のラッチ本体を応力集中部に当接させるように構成することで、例えば樹脂製のカバーを応力集中部に当接させる構造に比べ、ラッチの移動をより抑えることができ、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、本発明によれば、規制部材の高さを応力集中部の高さ以上にすることで、応力集中部の変形を高い規制部材によって好適に抑えることができるので、ラッチと棒状部の係合状態が変化するのをより抑えることができる。
また、本発明によれば、ラッチの少なくとも一部を回動軸方向において第1壁よりも第2壁側に配置することで、例えば回動軸方向においてラッチを第1壁よりも第2壁とは反対側に配置する構造に比べ、乗物用ラッチ装置を回動軸方向に小型化することができる。
また、本発明によれば、ラッチの回動軸から第1締結部材までの距離を、ラッチの回動軸から第2締結部材までの距離よりも小さくすることで、衝突時においてラッチの回動軸からベースプレートを介して第1締結部材付近に加わる力が、第2締結部材付近に加わる力よりも大きくなるので、大きな力により応力集中部を他の部位よりも優先的に変形させて規制部材に当接させることができる。
また、本発明によれば、ベースプレートに、第1締結部材を挿通させるための円孔と、第2締結部材を挿通させるための長孔とを形成することで、長孔で製造誤差を吸収することができるとともに、円孔によって位置決めされた第1締結部材が規制部材として機能するので、衝突時における応力集中部の変形をより抑えることができる。
乗物用ラッチ装置が設けられた乗物用シートの側面図である。 乗物用ラッチ装置を内側から見た側面図である。 乗物用ラッチ装置を分解して示す分解斜視図(a)と、図3(a)のスリットを示すA矢視図(b)である。 ラッチがロック姿勢である状態を示す側面図(a)と、途中姿勢である状態を示す側面図(b)と、最大引張姿勢である状態を示す側面図(c)である。 図2のI−I断面図であり、衝突前の状態を示す断面図(a)と、衝突後の状態を示す断面図(b)である。 衝突後のラッチ装置を示す側面図である。
以下、添付の図面を参照しながら本発明に係る乗物用ラッチ装置の一実施形態について説明する。一実施形態の乗物用ラッチ装置は、例えば図1に示すように、自動車などの乗物用シートSの脚S1などに設けられる。乗物用ラッチ装置1は、乗物のフロアFに固定されたストライカ90に係合することで乗物用シートSをフロアFに固定し、ストライカ90から離脱することで乗物用シートSをフロアFから解放するようになっている。なお、本実施形態において、前後、左右、上下は、乗物用シートSに座る乗員を基準とする。
図2に示すように、乗物用ラッチ装置1は、ベースプレート10と、ストライカ90の棒状部91に係合可能なラッチ20と、ラッチ側係合部材30と、ワイヤ40とを備えている。
図3(a)に示すように、ベースプレート10は、板金をプレス成形して形成された長尺の板状の部材であり、左右方向に直交した第2壁の一例としての底壁部11と、底壁部11の前端から右側に延びる前壁部12と、底壁部11の上端から右側に延びる上壁部13と、底壁部11の後端の下部から右側に延びる後壁部14と、前壁部12の右端から前側に延びる第1壁の一例としての第1フランジ部15と、後壁部14の右端から後側に延びる第2フランジ部16とを備えている。
底壁部11の下端には、下方に開口する溝11aが形成されている。この溝11aは、ストライカ90の棒状部91(図2参照)を底壁部11の内側(図2に示すラッチ20の回動軸20A付近)まで入り込ませるための溝であり、前壁部12に隣接するように配置されている。
底壁部11のうち溝11aの上側には、底壁部11から右側に膨出する有底円筒状の膨出部11bが形成されている。膨出部11bの中心には、ラッチ20を回動可能に支持する支持軸51および固定ピン52を取り付けるための取付孔11cが形成されている。つまり、ベースプレート10は、支持軸51を介してラッチ20を回動可能に支持している。
図2に示すように、底壁部11の前端は、下端から上方に延びた後前斜め上方に延び、その後上方に延びるような形状に形成されている。そして、図3(a)に示すように、前壁部12は、底壁部11の前端に倣った形状に形成され、その上部には、左側に向けて凹む切欠部12aが形成されている。
前壁部12と、前壁部12と底壁部11とを連結する屈曲部12bと、前壁部12と第1フランジ部15とを連結する屈曲部12cとを含む部位は、乗物の衝突時に応力が集中して他の部位よりも優先的に変形する応力集中部SCとなっている。ここで、乗物の衝突により乗物用シートSが前側に倒れそうになった場合には、図6に示すように、ラッチ20のストライカ90との係合部分に下方に向かう大きな力が加わる。この力はラッチ20を支持する支持軸51および固定ピン52を介してベースプレート10に伝わる。このような方向に作用する力によって、応力集中部SCが他の部位よりも優先的に変形するように、実験やシミュレーション等によって、応力集中部SCの形状や位置が設定されている。
図5(a)に示すように、第1フランジ部15は、底壁部11よりも脚S1に近い位置に配置されており、その適所には、規制部材の一例としての第1ボルトB1を挿通させる円孔15aが形成されている。ここで、第1ボルトB1は、第1フランジ部15を他の部材の一例としての脚S1に締結するためのボルトであり、当該第1ボルトB1が応力集中部SCの近傍に配置されるように、円孔15aの位置が設定されている。なお、応力集中部SCの近傍とは、乗物の衝突時において第1ボルトB1によって応力集中部SCの変形を規制できる程度に近い位置をいい、この位置は、実験やシミュレーション等で設定される。
このように応力集中部SCの近傍に第1ボルトB1を設けることで、図5(a),(b)に示すように、乗物の衝突時に応力集中部SCが第1ボルトB1に向けて変形しても、その変形が第1ボルトB1で規制されるので、ベースプレート10の変形によりラッチ20の向きが変わって、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのを抑えることが可能となっている。また、第1ボルトB1が円孔15aに通されていることにより、例えば第1ボルトを長孔に通すような構造に比べ、応力集中部SCが変形したときに円孔15aの縁が第1ボルトB1に即座に当接するので、応力集中部SCの変形をより抑えることができる。
また、第1ボルトB1の第1フランジ部15からの高さは、応力集中部SCの第1フランジ部15からの高さ以上になっている。これにより、第1ボルトB1によって、応力集中部SCの変形をより抑えることができるので、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのをより抑えることが可能となっている。
図3(a)に戻って、第2フランジ部16には、第2締結部材の一例としての第2ボルトB2(図2参照)を挿通させる長孔16aが形成されている。ここで、第2ボルトB2は、第2フランジ部16を脚S1に締結するためのボルトである。長孔16aは、前後方向に長くなるように形成されている。このように複数のボルトB1,B2を挿通させるための複数の孔のうち1つの孔を長孔16aとすることで、製造誤差を吸収することが可能となっている。
図2に示すように、ラッチ20の回動軸20Aから第1ボルトB1までの距離は、ラッチ20の回動軸20Aから第2ボルトB2までの距離よりも小さくなるように構成されている。これにより、乗物の衝突時においてラッチ20からベースプレート10を介して第1ボルトB1付近に加わる力が、第2ボルトB2付近に加わる力よりも大きくなるので、大きな力により応力集中部SCを他の部位よりも優先的に変形させることが可能となっている。その結果、応力集中部SCの変形を第1ボルトB1で規制する効果をより確実に発揮させることができ、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのをより確実に抑えることが可能となっている。
図2および図3(a)に示すように、ラッチ20は、棒状部91に係合または離脱する係合溝20Bを有する鉤状の部材であり、ベースプレート10の膨出部11bに固定ピン52によって固定される支持軸51に回動可能に支持されている。ラッチ20は、棒状部91に係合した第1姿勢(図2の姿勢、以下、ロック姿勢ともいう。)と、棒状部91から外れ、かつ、ワイヤ40を最大に引いたときの第2姿勢(図4(c)の姿勢、以下、最大引張姿勢ともいう。)との間で回動可能となっている。
ラッチ20と支持軸51のフランジ51aとの間には、ラッチ20を常時ロック姿勢に向けて付勢するためのトーションバネ61が設けられている。トーションバネ61の一端61aは、ベースプレート10の切欠部12aに係合し、他端61bはラッチ20またはラッチ側係合部材30に係合している。
ラッチ20は、金属製のラッチ本体21と、当該ラッチ本体21の一部を覆う樹脂製のカバー22とを備えている。カバー22は、主にラッチ本体21の係合溝20Bに相当する溝を覆うように形成されている。
ラッチ20の係合溝20Bは、ロック姿勢において、前側(第1ボルトB1側)に向けて開口している。これにより、乗物の衝突時に応力集中部SCが変形して、ラッチ20が前斜め下方に移動した場合には、棒状部91が係合溝20Bに深く入り込むので、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのをより抑えることが可能となっている。
ラッチ20の回動軸20Aは、応力集中部SCを挟んで第1ボルトB1とは反対側に配置されている。これにより、衝突時に応力集中部SCが変形することにより、ラッチ20の回動軸20Aが第1ボルトB1に向けて移動しようとしても、応力集中部SCの変形が第1ボルトB1で規制されたときに、ラッチ20の回動軸20Aの移動も規制されるので、ラッチ20の回動軸20Aが移動しすぎてラッチ20の向きが変わることによってラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのを抑えることが可能となっている。
ラッチ20、詳しくは金属製のラッチ本体21は、応力集中部SCの近傍に設けられ、衝突時に応力集中部SCに当接して移動が規制されるように構成されている。ここで、応力集中部SCの近傍とは、衝突時にラッチ本体21が応力集中部SCに当接できる程度に近いことを意味する。
これによれば、乗物の衝突時におけるラッチ20の移動が、ラッチ本体21と応力集中部SCとの当接により規制されるので、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのをより抑えることが可能となっている。特に、本実施形態では、衝突時に応力集中部SCに当接するラッチ本体21が金属製であるので、ラッチ本体21が変形しにくい。そのため、例えば樹脂製のカバーが応力集中部に当接する構造に比べ、ラッチ20の移動をより抑えることができるので、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのをより抑えることが可能となっている。
また、図5(a)に示すように、ラッチ20の一部は、当該ラッチ20の回動軸方向において第1フランジ部15よりも底壁部11側に配置されている。これにより、例えばラッチの回動軸方向においてラッチを第1フランジ部よりも底壁部とは反対側に配置する構造に比べ、乗物用ラッチ装置1を回動軸方向に小型化することが可能となっている。
また、第1フランジ部15の第1ボルトB1とラッチ20の間の部位は、第1ボルトB1の径方向に延びるように形成され、径方向から見て第1ボルトB1とラッチ20とに重なっている。これにより、乗物の衝突時において第1ボルトB1側に向けて移動してくる応力集中部SCに対して第1フランジ部15の一部(特に、第1ボルトB1と脚S1で挟持されている部位)が突っ張るように作用するので、第1フランジ部15の一部でも応力集中部SCの変形を規制することができる。
図2および図3(a)に示すように、ラッチ側係合部材30は、ワイヤ40の先端に設けられる係止ボール41が係合する部材であり、ラッチ20とは別部材に構成され、リベットRVによってラッチ20に固定されている。詳しくは、ラッチ側係合部材30は、左右方向に直交した板状の第1板状部31と、第1板状部31の後端から右側に突出する第2板状部32と、第2板状部32の右端から後側に突出するリブ部33とを有している。
第1板状部31は、上下方向に長い略矩形に形成されており、その上部には、第1板状部31をラッチ本体21に固定するためのリベットRVが嵌合される孔31aが形成されている。第1板状部31の孔31aの前上側には、前斜め上方に向けて延びる係合片31bが形成されている。
係合片31bは、リベットRVを中心とした円周方向においてラッチ本体21の側面21aに係合している。これにより、ラッチ側係合部材30をワイヤ40で後方に引っ張った場合には、係合片31bがラッチ20の側面21aに引っ掛かることで、ラッチ側係合部材30とラッチ20とが一体に回動するようになっている。
第2板状部32は、係止ボール41が係合する部位であり、ロック姿勢において、略後方に向けて凹む保持凹部32aと、保持凹部32aから下斜め前側に延びるスライド係合部32bと、スライド係合部32bの下端から前側に延びる係止壁32cと、保持凹部32aからリベットRV側に延びる延設壁32dとを備えている。
保持凹部32aは、ラッチ20がロック姿勢から当該ロック姿勢と最大引張姿勢の間の第3姿勢(図4(b)の姿勢、以下、途中姿勢ともいう。)に回動するまでの間、係止ボール41を保持するように構成されている。ここで、保持凹部32aは、ロック姿勢において、係止ボール41と接している部分をいう。
これにより、ラッチ20がロック姿勢から途中姿勢になるまでの間は、係止ボール41がラッチ20の回動軸20Aを中心に回動するので、ワイヤ40からの力がラッチ20に良好に伝達され、ラッチ20を大きく回動させることが可能となっている。
特に、本実施形態では、ラッチ20がロック姿勢から途中姿勢になるまでの間、つまり係止ボール41が保持凹部32aに保持されている間に、ラッチ20が棒状部91から外れるように構成されている。より詳しくは、ラッチ20がロック姿勢から途中姿勢になるまでの間にラッチ20が棒状部91から外れるように、保持凹部32aの形状や配置、または、後述するワイヤ40を支持するシース42の端部の固定位置などが適宜設定されている。このように係止ボール41が保持凹部32aに保持されている間、つまりワイヤ40からの力がラッチ20に良好に伝わってラッチ20が大きく回動する間に、ラッチ20が棒状部91から外れるように構成することで、ラッチ20を良好に動作させることが可能となっている。
保持凹部32aの係止ボール41と係合する面は、スライド係合部32bの係止ボール41と係合する面に段差なく繋がっている。これにより、係止ボール41が保持凹部32aからスライド係合部32bへスムーズに移動するので、ラッチ20の回動をスムーズに行うことが可能となっている。
スライド係合部32bは、保持凹部32aに隣接して設けられ、ラッチ20の回動軸20Aから離れる方向に向けて延びるように形成されている。詳しくは、スライド係合部32bは、ラッチ20が途中姿勢から最大引張姿勢に回動するまでの間、係止ボール41に係合し、当該係止ボール41をスライド係合部32bに沿って回動軸20Aから離れる方向に移動させるように構成されている。これにより、ワイヤ40からラッチ20に伝わる力を逃がすことができるので、乗物用ラッチ装置1に大きな負荷がかかるのを抑えることが可能となっている。
係止壁32cは、係止ボール41がスライド係合部32bから下側(保持凹部32aから離れる方向)に移動するのを規制する機能を有している。なお、本実施形態では、ラッチ20が最大引張姿勢であるときに、係止ボール41が係止壁32cに届かないように設定されているが、ワイヤ40の伸びなどの外乱により係止ボール41がスライド係合部32bよりも下側に移動しそうになった場合には、係止壁32cにより係止ボール41がスライド係合部32bから外れるのを抑えることが可能となっている。
リベットRVは、保持凹部32aのスライド係合部32bとは反対側、詳しくはラッチ20がロック姿勢であるときに延設壁32dの上斜め前側に隣接して設けられ、係止ボール41の回動軸20A側への移動を規制している。これにより、ロック姿勢となるラッチ20をワイヤ40で引っ張る際において、係止ボール41が誤って回動軸20A側へ移動しようとしても、その移動をリベットRVによって抑えることができるので、ラッチ20を良好に動作させることが可能となっている。
延設壁32dは、ラッチ20がロック姿勢であるときに、リベットRVから保持凹部32aに向かうにつれてワイヤ40の引張方向下流側に向けて傾斜している。これにより、ロック姿勢において係止ボール41が保持凹部32aからずれて延設壁32dと係合した状態となっている場合であっても、ワイヤ40を引っ張ったときに係止ボール41を傾斜した延設壁32dに沿って保持凹部32aに移動させることができるので、ラッチ20を良好に動作させることが可能となっている。
また、延設壁32dの係止ボール41と係合する面は、保持凹部32aの係止ボール41と係合する面と段差なく繋がっている。これにより、係止ボール41が延設壁32dから保持凹部32aへスムーズに移動するので、ワイヤ40をスムーズに引っ張ることが可能となっている。
図3(a),(b)に示すように、第2板状部32には、ワイヤ40を通すためのスリット32eが形成されている。詳しくは、スリット32eは、前述した延設壁32d、保持凹部32a、スライド係合部32bおよび係止壁32cを通るように形成され、係止壁32cの途中から右側に屈曲して、右側に開口しており、当該開口からワイヤ40が挿入されるようになっている。
リブ部33は、スリット32eの開口端から第2板状部32の右端に沿って立設されている。これにより、スリット32eが形成された第2板状部32の剛性を、リブ部33によって高くすることができるので、第2板状部32の変形を抑えて、ラッチ20を良好に動作させることが可能となっている。
また、リブ部33は、第2板状部32から後側、すなわち第2板状部32の係止ボール41が配置される側とは反対側に向けて立設されている。これにより、リブ部33によって係止ボール41の移動が邪魔されないので、係止ボール41をスムーズに移動させることができ、ラッチ20を良好に動作させることが可能となっている。
ワイヤ40は、ラッチ側係合部材30を介してラッチ20を引っ張ることで、当該ラッチ20を回動させるための部材であり、その一端に係止ボール41が設けられ、その他端が図示せぬ操作レバーに連結されている。ワイヤ40は、円筒状のシース42に摺動可能に支持されており、シース42の係止ボール41側の端部は、乗物用シートSに設けられる図示せぬブラケット等に支持されている。
係止ボール41は、ワイヤ40がスリット32eによって移動可能に支持されていることで、ラッチ20の回動軸20Aに直交した平面に沿って移動可能に構成されている。これにより、例えば係止ボールが回動軸方向に移動してしまうような構造に比べ、乗物用ラッチ装置1を回動軸方向に小型化することが可能となっている。
次に、各部材の動作について説明する。
図4(a),(b)に示すように、ラッチ20がロック姿勢から途中姿勢まで回動する場合には、係止ボール41が保持凹部32aに保持されたまま、ラッチ20の回動軸20Aを中心に回動することで、ラッチ20が大きく回動して棒状部91から外れる。
図4(b),(c)に示すように、ラッチ20が途中姿勢から最大引張姿勢まで回動する場合には、係止ボール41がスライド係合部32b上を滑って回動軸20Aから離れる方向に逃げていくことで、ラッチ20の回動量を小さく抑えつつ、ワイヤ40の引張量を稼ぐことができる。そのため、ラッチ20がベースプレート10に干渉するのを抑えつつ、ワイヤ40の引ききりによってワイヤ40や乗物用ラッチ装置1に大きな負荷がかかるのを抑えることができる。
最後に、乗物の衝突時における第1ボルトB1の作用効果について説明する。
図5(a),(b)および図6に示すように、乗物の衝突時には、応力集中部SCが他の部位よりも優先的に変形し、その変形は、第1ボルトB1によって規制される。また、応力集中部SCの変形に伴って移動するラッチ20は、応力集中部SCに当接することで、その移動が止められる。
そのため、乗物の衝突時におけるベースプレート10の変形により、ラッチ20と棒状部91の係合状態が変化するのを抑えることができる。
以上、本実施形態によれば、前述した効果に加え、次の各効果を奏することができる。
応力集中部SCの変形を規制する規制部材として第1ボルトB1を用いることで、例えば規制部材と第1ボルトとを別々に設ける構造に比べ、部品点数の増加を抑えることができるので、乗物用ラッチ装置1の小型化を図ることができる。
ラッチ20とワイヤ40との間に設ける部品がラッチ側係合部材30の1つで済むので、乗物用ラッチ装置1の簡易化を図ることができる。
ラッチ側係合部材30がラッチ20とは別部材であるので、乗物の種類に応じて、異なる形状のラッチ側係合部材30をラッチ20に取り付けるだけで、様々な種類の乗物において、乗物用ラッチ装置1のラッチ側係合部材30以外の構造を変更することなく、ワイヤ40の係止ボール41の移動量を自由に調節して、ワイヤ40の引ききりによる乗物用ラッチ装置1への負荷を抑えることができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、乗物用ラッチ装置1を、車両などの乗物用シートSの脚S1に適用したが、乗物用ラッチ装置は、乗物用シートSの着座部や背もたれに設けられていてもよく、車両のトランクなどの開閉部分をロックする装置として使用することもできる。この場合、ベースプレートを締結する相手の部材は、例えば着座部を構成するフレームなどであってもよい。乗物用シートSも、車両以外の船舶や飛行機のシートであってもよい。
前記実施形態では、ラッチ20の一部を当該ラッチ20の回動軸方向において第1フランジ部15よりも底壁部11側に配置したが、ラッチの全部を第1フランジ部よりも底壁部側に配置してもよい。
前記実施形態では、規制部材の一例として第1ボルトB1を例示したが、規制部材は、例えばベースプレートに固定された規制専用の部材などであってもよい。
1 乗物用ラッチ装置
10 ベースプレート
12 前壁部
12b 屈曲部
12c 屈曲部
20 ラッチ
90 ストライカ
91 棒状部
B1 第1ボルト
SC 応力集中部

Claims (7)

  1. 棒状部に係合または離脱する乗物用ラッチ装置であって、
    前記棒状部に係合可能なラッチと、
    前記ラッチを回動可能に支持し、衝突時に応力が集中して変形するように構成される応力集中部を有するベースプレートと、
    前記応力集中部の近傍に設けられ、衝突時に前記応力集中部の変形を規制する規制部材と、を備え
    前記規制部材は、前記ベースプレートを他の部材に締結するための第1締結部材であり、
    前記ベースプレートは、前記規制部材が設けられる第1壁と、前記第1壁よりも前記他の部材から遠い位置に配置される第2壁と、を有し、
    前記応力集中部は、前記第1壁と前記第2壁を連結するように形成され、
    前記規制部材の前記第1壁からの高さが、前記応力集中部の前記第1壁からの高さ以上であることを特徴とする乗物用ラッチ装置。
  2. 前記ラッチの少なくとも一部は、当該ラッチの回動軸方向において前記第1壁よりも前記第2壁側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の乗物用ラッチ装置。
  3. 棒状部に係合または離脱する乗物用ラッチ装置であって、
    前記棒状部に係合可能なラッチと、
    前記ラッチを回動可能に支持し、衝突時に応力が集中して変形するように構成される応力集中部を有するベースプレートと、
    前記応力集中部の近傍に設けられ、衝突時に前記応力集中部の変形を規制する規制部材と、を備え
    前記規制部材は、前記ベースプレートを他の部材に締結するための第1締結部材であり、
    前記第1締結部材とは別に、前記ベースプレートを前記他の部材に締結するための第2締結部材をさらに備え、
    前記ラッチの回動軸から前記第1締結部材までの距離が、前記ラッチの回動軸から前記第2締結部材までの距離よりも小さいことを特徴とする乗物用ラッチ装置。
  4. 前記ベースプレートには、前記第1締結部材を挿通させるための円孔と、前記第2締結部材を挿通させるための長孔とが形成されていることを特徴とする請求項に記載の乗物用ラッチ装置。
  5. 前記ベースプレートにおいて、前記ラッチの回動軸は、前記応力集中部を挟んで前記規制部材とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の乗物用ラッチ装置。
  6. 前記ラッチは、前記応力集中部の近傍に設けられ、衝突時に前記応力集中部に当接して移動が規制されるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の乗物用ラッチ装置。
  7. 前記ラッチは、金属製のラッチ本体と、当該ラッチ本体の一部を覆う樹脂製のカバーとを備え、
    前記ラッチ本体が、衝突時に前記応力集中部に当接するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の乗物用ラッチ装置。
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