JP6143047B2 - 波長変換デバイス及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高性能で信頼性に優れた、紫外線を赤色光に変換する波長変換デバイス及びその製造方法に関する。
太陽電池は、太陽光を光電変換して電気エネルギーを取り出すことにより発電している。現在、太陽電池は、光を起電力に変換する層に、単結晶シリコン、多結晶シリコン、球状シリコン、アモルファスシリコン、CdTe、Cu(In,Ga)Se2を用いたものが主流である。これらの発電装置では、分光感度が可視光領域に限られているものが多く、太陽光のうち紫外領域を効率よく電気エネルギーに変換することができない。また、結晶シリコン太陽電池には、波長400nm以下の紫外線の吸収による温度上昇に伴って、光電変換効率が低下するという問題がある。
波長400nm以下の紫外線を利用する方法として、紫外光をカットせずに太陽電池セルに達するようにする方法が提案されているが、紫外領域での太陽電池セルの分光感度が低いために効果が少ない(特許文献1参照)。
太陽電池の受光面側に、紫外光を可視光に波長変換する波長変換層を設けることにより太陽電池の発電効率を向上させることが提案されている。例えば、酸化亜鉛等の酸化物粒子を塗布することにより波長変換層を形成することが知られ、化学的安定性に優れて長期間の耐久性が向上している(特許文献2参照)。
ところで、本発明者が研究開発を進めているところの、希土類イオンをドープしたペロブスカイト型酸化物は、熱的及び化学的安定性を有する蛍光体材料として期待されている。例えば、Pry(CaxSr1-x)1-yTiO3、但し0.1≦x≦1.0、0.0005≦y≦0.05の領域の組成の酸化物蛍光体エピタキシャル薄膜を用いて、赤色に発光する無機EL素子を開発した(特許文献3参照)。
また、本発明者は、ペロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を作製する方法を開発してきた。例えば、化学量論比に調整したSr(NO3)3、Ca(NO3)2、TiO2及びPr(NO3)3混合塩水溶液を出発原料とし、流通式反応装置で、合成温度200〜400℃、反応圧力30MPa、反応時間5−12秒で反応させて、ナノ粒子を製造できることを示した(非特許文献1、2参照)。
特開2008−235610号公報 特開2011−213744号公報 特開2008−19317号公報
「マイクロミキサを用いたペロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子の連続水熱合成」、化学工学会第76年会研究発表講演要旨集(化学工学会発行)、p164、(2011.2.22) 伯田、高島、陶他、「超臨界水熱法によるペロブスカイト型酸化物ナノ粒子の合成とPL特性」、日本セラミック協会2011年第24回秋季シンポジウム予稿集(日本セラミック協会発行)
従来、太陽電池等の光起電力装置の波長変換構造部材として、特許文献1のような酸化物粒子を波長変換材料に用いることが知られているが、十分な透明性が得られないまた十分な耐久性が得られないという問題があった。
また、紫外線領域の波長200nm以上、特に300nm以上400nm以下の紫外線を波長600nm以上の光に波長変換して光起電力装置の効率を向上させる波長変換デバイスが望まれている。
しかしながら、紫外線励起により赤色光を発光するペロブスカイト型酸化物の蛍光体の粒子を、塗布することにより、波長変換層を作製することを試みると、塗布された膜が蛍光機能を示さないという問題があった。塗布前に結晶性粒子であっても塗布後の波長変換層中の粒子が、すべてアモルファス化してしまうために蛍光を発光しないからであった。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、本発明は、波長200nm以上特に300nm以上400nm以下の紫外線を波長600nm以上の光に波長変換することが可能な波長変換デバイスを提供することを目的とする。また、本発明は、ペロブスカイト型酸化物蛍光体を用いた、耐久性の優れた波長変換デバイスを提供することを目的とする。また、波長200nm以上特に波長300nm以上400nm以下の紫外線を波長600nm以上の光に変換する波長変換デバイスを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
本発明の波長変換デバイスの製造方法は、亜臨界ないし超臨界状態の水中で水熱反応により、少なくともPr、Ca、Sr及びTiを含有するぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を作製し、該ナノ粒子を含む膜を基板上に作製することにより、紫外線光を赤色光に変換する波長変換層を形成することを特徴とする。前記ナノ粒子を含む膜を基板上に作製する方法が、塗布であることが好ましい。また、本発明の波長変換デバイスは、前記波長変換デバイスの製造方法により製造されたことを特徴とする。
本発明の波長変換デバイスは、紫外線を透過する基板と該基板上の波長変換層とを備え、該波長変換層は、少なくともPr、Ca、Sr及びTiを含有するぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を含む塗布層であることを特徴とする。また、本発明の波長変換デバイスは、基板側から入射されて基板を透過した少なくとも300nm以上400nm以下の紫外線が、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子に照射されることにより赤色蛍光を発光することを特徴とする。本発明のナノ粒子を含む波長変換層は、透過率が90%以上であることを特徴とする。また、本発明の波長変換デバイスの波長変換層中のナノ粒子は結晶性の粒子であることを特徴とする。
本発明によれば、波長200nm以上特に波長300nm以上400nm以下の紫外線を波長600nm以上の光に変換する波長変換デバイスを得ることができる。また、本発明によれば、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体粒子を用いるので、熱的・化学的に安定で耐久性の優れた波長変換デバイスを実現できる。その結果、高性能で高信頼に優れた波長変換デバイスを低コストで提供できる。
本発明によれば、波長変換材料膜は波長300nm以上で90%以上の透過率を有するため、紫外線を透過し波長変換効率が向上する。
本発明の波長変換デバイスの構造を示す図。 第1の実施の形態の波長変換デバイスのX線回折結果を示す図。 第1の実施の形態の波長変換デバイス及び基板の透過率を示す図。 第1の実施の形態の波長変換デバイスの実体顕微鏡写真。 第1の実施の形態の紫外線励起による蛍光特性を示す図。 第1の実施の形態の蛍光体ナノ粒子の透過型顕微鏡写真。 図6の一部を拡大した透過型顕微鏡写真。
本発明は、少なくともPr、Ca、Sr及びTiを含有するぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を含有する波長変換層を備える波長変換デバイスに関する。波長変換層は、波長200nm以上400nm以下の紫外線を波長600nm以上の光に波長変換する機能を有する。波長変換層中のナノ粒子は、(Ca,Sr)TiO3:Pr3+で表される。ここで、(Ca,Sr)の一部をPrで置換している意味である。なお、(Ca,Sr)は、(CaxSr1-x)(但し0.1≦x≦1.0)であることが好ましい。xが0.1より小であると、顕著な発光が得られない。Prの置換量は、(Ca,Sr)に対して0.0005以上0.05以下が好ましい。0.0005より小さいと顕著な発光がなくなり、0.05より大であると顕著な発光がなくなる。
本発明のぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子は、超臨界水熱法(hydrothermal synthesis in supercritical water)、即ち、亜臨界ないし超臨界状態の水中にて水熱反応させる方法により作製されたものを使用する。具体的には、化学量論比に調整したPr、Ca、Sr及びTiの混合塩水溶液、例えば、Pr(NO3)3、Ca(NO3)3、Sr(NO3)3、TiO2を出発原料として、亜臨界ないし超臨界状態の水中にて水熱反応させることにより、ナノ粒子を作製する。本発明者は、超臨界水熱法によるぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子の作製方法について、既に出願している(特願2011−125318号)。以下に詳しく述べる。
蛍光体ナノ粒子の製造方法は、Ca、Sr、Tiのイオン、酸化物、又は水酸化物から選択される原料と、Prのイオン、酸化物又は水酸化物からなる原料とを、亜臨界ないし超臨界状態の水中にて水熱反応させてナノ粒子を合成する。
水熱反応の反応媒体としては、原料を含む原料溶液と、アルカリ溶液と、水とが好ましく、原料を含む原料溶液とアルカリ溶液と亜臨界ないし超臨界状態の水とを混合することで、瞬時に原料の反応条件に達し、余剰の粒子成長等を生じさせることなく、微細で非凝集性、単結晶性かつ高結晶性の蛍光体ナノ粒子が得られる。
亜臨界ないし超臨界状態の水とは、高温高圧状態にある水をいう。本発明のナノ粒子の作製における水熱反応の温度条件としては、200℃〜550℃が好ましく、200〜400℃がより好ましい。200℃未満であると、生成物中に未反応の原料が残存することがあり、550℃を超えると、装置の強度が急激に低下するため合成が困難となる。また、本発明のナノ粒子の作製における水熱反応の圧力条件としては、5MPa〜100MPaが好ましく、20MPa〜40MPaがより好ましい。5MPa未満であると、生成物中に未反応の原料が残存することがあり、100MPaを超えると、粒子成長により粒径が増大したり、目的物が単一相で得られなかったりすることがある。水熱反応の処理時間としては、反応状態に応じて適宜選択できるが、0.001秒〜60秒が好ましい。0.001秒未満であると、生成物中に未反応の原料が残存することがあり、60秒を超えると、凝集が進行したり、装置からの溶出成分が含有されてしまったりすることがある。
水熱反応により生成された蛍光体ナノ粒子の回収方法としては、例えば、反応終了液とともに冷却した後、適当なフィルターによりろ別し、粉体として回収する方法が挙げられる。
得られるナノ粒子は、ペロブスカイト型構造を有し、1次粒径が大きくとも100nm以下で、顕著な凝集がなく、個々が単結晶である。
なお、蛍光体ナノ粒子の組成としては、エネルギー分散型X線分析装置により測定することができる。また、その結晶構造としては、粉末X線回折装置(XRD)により測定することができる。更に、その凝集性や1次粒径としては、透過型電子顕微鏡(TEM)等の電子顕微鏡により観察することができる。なお、前記1次粒径とは、水熱反応により得られた蛍光体ナノ粒子の粒子径を示し、粉砕処理及び分級処理等の二次的処理を行わない状態における粒子径を示す。また、1次粒径の平均としては、電子顕微鏡の観察野に存在する前記蛍光体微粒子の粒子径を平均化して求めることができる。本発明では、水熱反応により得られた粒子を粉砕処理することなく使用する。粉砕してもよいが、粉砕しても結晶性が向上しない。
本発明の波長変換層に用いるナノ粒子の粒子サイズは、紫外線以上の領域で透明であることが望ましいため、その波長以下のサイズである300nm以下が好ましい。また、粒子サイズは、5nm以上が好ましい。
波長変換層は、スピンコート、ディップ法等の塗布法、スパッタリングにより形成することが好ましい。波長変換層は、スピンコートにより複数回コーティングにより作製される複数層でもよい。
波長変換層中のナノ粒子は、アモルファスではなく、優れた結晶性を有し個々が単結晶である。
波長変換層の厚さは、300nm以上で1000nm以下が好ましい。300nmより薄いと、粒子の分布が見られ均一に分散しないので、波長変換の機能を十分発揮できない。また、1000nmより厚いと、膜に色が付くことによって、透明性が落ち波長変換層としての機能が低下する。
波長変換層は、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を主成分として含む層であり、波長変換材料層とも呼ぶ。波長変換層は、前記ナノ粒子のみからなる層、又は前記ナノ粒子とバインダーからなる層である。バインダーは、例えばセルロースが好ましい。
波長変換層を形成する基板は、透明で200nm以上の波長の紫外線を透過する固体基板であることが好ましいが、少なくとも300nm以上の波長の紫外線を透過する基板であればよい。基板の材料は、ガラス基板、合成石英基板が好ましい。また、本発明の製造方法は熱処理が不要であるので塩化ビニール系の材料も可能である。
(第1の実施の形態)
本発明の実施の形態における波長変換デバイスについて、図1乃至7を参照して以下説明する。図1に、本実施の形態の波長変換デバイスの構造を示す。波長変換デバイス1は、透明で200nm以上の紫外線を透過する基板2と、ペロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を含有する波長変換層3とを備える。基板2は、合成石英基板を用いた。波長変換層3は、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子が分散・塗布された構造である。基板2の、波長変換層3側とは反対側から、波長400nm以下、例えば波長300nm以上400nm以下の紫外線Aを基板2に照射し、その紫外線が基板2を透過し、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子に照射される。この紫外線が照射されたぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子は600nm以上の赤色蛍光Bを示すことによって、波長変換デバイスは波長変換を行う。
(ぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子の作製工程)
まず、本実施の形態の波長変換層3に用いるナノ粒子について説明する。本実施の形態ぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子は(Ca0.6Sr0.4)0.997Pr0.002TiO3の組成を有している。蛍光体ナノ粒子の製造にあたり、超臨界水熱法を用いた。
なお、(Ca0.6Sr0.4)0.997Pr0.002TiO3において、(Ca0.6Sr0.4)が0.997に対してPrが0.002である理由について以下説明する。(Ca、Sr)の元素の価数は+2価、Prの価数は3価、ぺロブスカイト型酸化物の化学式はABO3で酸素の数を丁度3.0にして電気的中性条件を満たすために、Pr0.002として、酸素量が3.0としている。(Ca、Sr)内総置換価数:2価×0.003=0.006、Prの総置換価数3価×0.002=0.006となり、これにより、置換前後の価数変化がなく、電気的中性条件が満たされる。
まず、化学量論比に調整したSr(NO3)3、Ca(NO3)2、TiO2およびPr(NO3)3混合塩水溶液を出発原料とし、流通式反応装置を用いて合成温度を200〜400℃、反応圧力30MPa、反応時間5−12秒で反応させた。詳しく述べると、温度200℃、300℃、400℃および反応時間5、8、10、12秒で行ったところ、ほぼ同じ結果であった。粒子径で100nm以下のサイズのぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子が合成できる。下限の平均粒子径は5nmであった。
(ぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子溶液の作製工程)
溶液塗布法によって、低コストで大面積に一様に固体基板上にナノ粒子を分散させるために、その準備として、ナノ粒子の溶液を作製した。まず、上記ナノ粒子の作製工程で得られたナノ粒子は平均粒子径10nmであった。0.02gを2mLのエタノールと混合し、その溶液を超音波中で15分間以上保持して溶液中に分散させた。この後、沈殿がないことを目視で確認した。次に遠心分離器でナノ粒子をエタノールから分離する。次に再びナノ粒子とエタノールを混合し、超音波中で分散させる。これによって沈殿がないことを目視で確認した。なお、分散、分離を複数回繰り返すことにより長い時間にわたって沈殿しない溶液ができる。この溶液はエタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、メタノール、ブタノール、酢酸を用いても同様の作製プロセスで溶液中に分散することができる。
(スピンコートによる基板上への塗布工程)
短冊形の合成石英基板(37mm×10mm×0.5mm(厚み))上にスピンコート法で塗布を行った。合成石英基板は、透明で200nm以上の紫外線を透過する。上記ナノ粒子溶液の作製工程により作製したナノ粒子エタノール溶液0.002mLを、マイクロピペットで短冊形の合成石英基板上に滴下する。その後、スピンコートを行った。スピンコートの条件は、まず、500rpmで5秒、次に2000rpmで10秒、引き続き4000rpmで5秒の3段階の連続で行った。波長変換層の膜厚は、1000nmであった。
以上の工程によって、透明で200nm以上の紫外線を透過する合成石英基板上にぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子を塗布・形成し、図1に示す構造の波長変換デバイスを作製した。
(波長変換層のX線回折)
図2に、作製した波長変換デバイスのX線回折結果を示す。図2において、横軸が30度から40度までの2θであり、縦軸がX線の回折強度である。33度近傍にピークが出現しているのが分かる。このピークはナノ粒子材料である(Ca0.6Sr0.4)0.997Pr0.002TiO3の(113)の回折ピークである。この結果から、スピンコート後のナノ粒子が結晶性を有していることが分かる。次に、本実施の形態と比較例とを対比して説明する。
(比較例)
一般的に酸化物は溶液中に分散された際、溶液中では、溶液からダメージを受け非結晶になると考えられている。例えば固相反応法で作製した(Ca0.6Sr0.4)0.997Pr0.002TiO3粉末を溶液中に分散させ、本実施の形態と同じ方法によってスピンコートするとX線回折の結果は非晶質性を示す。
(本実施の形態における蛍光体ナノ粒子について)
比較例に対して、本実施の形態で作製したナノ粒子を塗布・形成した場合は、結晶性を示すことが分かった。これは、超臨界水熱法で作製されたナノ粒子が極めて優れた結晶性を有しているため、エタノールなどの溶液中でダメージは受けるものの100%のダメージではなく、完全に非晶質になるわけではないことが分かる。
(波長変換デバイスの透過率)
図1の構造の波長変換デバイスにおいて、波長300nm以上800nmの光が基板2および波長変換層3である薄膜を透過するかどうかについて調査するため、大気の透過率を100%としたときの透過率測定を行った。
図3に、測定結果を示す。横軸が波長、縦軸が得られた透過率である。実線(図中の上側の線)は、合成石英基板のみの場合であり、破線(図中の下側の線)は、蛍光体ナノ粒子が片側に塗布された合成石英基板の場合であり、本実施の形態の波長変換デバイスの場合である。合成石英基板の透過率は、波長300nm、500nm、700nmの場合、それぞれ84%、85%、85%である。また、蛍光体ナノ粒子が片側に塗布された合成石英基板の透過率は、波長300nm、500nm、700nmの場合、それぞれ82%、83%、83%である。この結果から、スピンコートで塗布された蛍光体ナノ粒子による透過率の減衰は、各波長で2%であり、蛍光体ナノ粒子が塗布された波長変換層の透過率は、波長300nm以上800nm以下の範囲で約98%であることが分かり、光の透過に優れていることが分かった。このことから、ナノ粒子を含む波長変換層は、透過率が90%以上であることが好ましい。
(波長変換デバイスの顕微鏡写真)
図4に、本実施の形態の、蛍光体ナノ粒子が片側に塗布された合成石英基板の実体顕微鏡写真を示す。図中の指標は200μmである。図4の写真では個々のナノ粒子は確認できないが、基板上に一様に分散されていることが分かる。
本実施の形態では、スピンコートによって固体基板上にナノ粒子を分散させたが、溶液を用いた塗布法や、スパッタリング法などの気相成長でも同様の結果が得られる。本実施の形態ではバインダーを使用していないが、セルロース等のバインダーを使用してもよい。
(波長変換デバイスの蛍光特性)
波長変換デバイスの紫外線励起による蛍光特性を調べた。図5に、その測定結果を示す。図中、PLEは612nmの赤色蛍光特性を得るにはどの紫外線領域の波長で励起するのが好適であるかを示し、PLはそのときの赤色蛍光特性を示す。デバイス作製後のナノ粒子において、波長610nm近傍にピークが確認された。これは、Pr3+イオンの1234であり、色純度の高い赤色であることが分かる。波長200nmから400nmのPLEのスペクトルから波長220nm以上370nmの範囲で励起スペクトルを有していることが分かり、この範囲の紫外線によって、612nmの赤色スペクトルを発光させることができることが分かる。
(本実施の形態の蛍光体ナノ粒子のサイズ及び結晶性について)
超臨界水熱法によってどのような形状やサイズの蛍光体ナノ粒子が成長しているのかを調べるために、透過型電子顕微鏡(TEM)によって観察を行った。図6と図7に、観察結果のTEM像を示す。図6では、個々の蛍光体ナノ粒子が全て独立しているのではなく、蛍光体ナノ粒子がある程度の個数で凝集しているのが分かる。図7に、図6中の矢印で示している典型的な単一の蛍光体ナノ粒子を拡大した顕微鏡写真を示す。図7によれば、蛍光体ナノ粒子の大きさは約10nmであり、立方体である。結晶が連続的に規則正しく整列しているのが分かる。この結果、蛍光体ナノ粒子は単結晶であることが分かる。このため高結晶性を有し、エタノールなどの溶液中でも100%ダメージを受けないため非結晶にならずに、結晶性を保持していた結果である。
本実施の形態では、波長変換デバイスの波長変換層を構成するぺロブスカイト型酸化物蛍光体ナノ粒子は、アモルファス状態ではなく、結晶性を示すものである。層中の粒子は結晶性であれば蛍光特性を示すが、さらに単結晶であれば優れた結晶性を有しているため好ましい。
本実施の形態では、基板側から入射されて前記基板を透過した少なくとも300nm以上400nm以下の紫外線が、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子に照射されることにより赤色蛍光を発光する構造の波長変換デバイスについて説明した。しかしながら、波長変換層側から入射された紫外線が、ぺロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子に照射されることにより赤色蛍光を発光する構造としてもよい。その場合、基板は可視光に透明な基板であればよい。また、本発明は、波長変換層自体に特徴を有するので、他の従来知られている波長変換層の構造形態をとってもよい。
なお、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
本発明の波長変換デバイスは、紫外線領域の光を波長変換して可視光領域の光とすることにより、太陽電池等の光起電力装置の発電効率を向上させることができ、産業上有用である。
1. 波長変換デバイス
2. 基板
3. 波長変換層

Claims (2)

  1. 亜臨界ないし超臨界状態の水中で水熱反応により、(CaxSr1-X)(但し0.1≦x≦1.0)に対してPrの置換量が0.0005以上0.05以下である(Ca,Sr)TiO3:Pr3+で表されるペロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子を作製し、
    単結晶の該ナノ粒子を含む、厚さが300nm以上1000nm以下で透過率が90%以上の膜を、少なくとも300nm以上の波長の紫外線を透過する基板上に、塗布することにより、紫外線光を赤色光に変換する波長変換層を形成することを特徴とする波長変換デバイスの製造方法。
  2. 紫外線を透過する基板と該基板上の波長変換層とを備え、
    該波長変換層は、(CaxSr1-X)(但し0.1≦x≦1.0)に対してPrの置換量が0.0005以上0.05以下である(Ca,Sr)TiO3:Pr3+で表されるペロブスカイト型酸化物蛍光体の単結晶のナノ粒子を含む塗布層で、厚さが300nm以上1000nm以下で透過率が90%以上の層であり、
    前記基板側から入射されて前記基板を透過した少なくとも300nm以上400nm以下の紫外線が、前記ペロブスカイト型酸化物蛍光体のナノ粒子に照射されることにより赤色蛍光を発光することを特徴とする波長変換デバイス。
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