JP6142725B2 - 電子楽器の鍵盤装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子オルガン、電子ピアノなどの電子楽器の鍵盤装置に関する。
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているように、アコースティックピアノの鍵タッチ感(押離鍵操作に対する反力)を模擬するために、割り当てられた音高が高い鍵ほど、鍵の前端の鍵タッチ感を軽くした電子楽器の鍵盤装置は知られている。この鍵盤装置においては、鍵にそれぞれ係合して揺動し、それぞれの鍵の押離鍵操作に対する反力を付与する複数のハンマーを備えている。この複数のハンマーは、共通部品である。そして、低音部の鍵から高音部の鍵に向かうに従って、後端部に設けられた鍵の回動支点から鍵の前端までの長さを徐々に長くしている。また、低音部から高音部へ向かうに従って、ハンマーの回動支点の位置を徐々に後方へずらして、鍵の回動支点から、ハンマーと鍵との係合位置までの距離を全ての鍵について同一にしている。
特許3074794号公報
上記従来の鍵盤装置においては、鍵の上方への変位を規制する上限ストッパが鍵の前端(演奏者側の端部)より後方に設けられている。そして、離鍵状態では、鍵の下面から下方へ延設された係合部が上限ストッパに当接して、鍵の位置が規定される。また、離鍵状態では、鍵は前端側よりも後端側が低くなるように傾斜している。したがって、前記係合部の上下方向の長さが複数の鍵について共通であれば、離鍵状態では、前記複数の鍵の上面のうち、上限ストッパの当接点の直上付近に位置する部分の高さが同一となる。そして、短い鍵ほど離鍵状態における鍵の傾斜角が大きいので、前記複数の鍵のうちの短い鍵ほど、その前端の位置が高い。このように離鍵状態で鍵の前端の位置が短い鍵ほど高くなる現象は、隣合う2つの鍵の上面前端の高さにずれが生じることを意味し、外環上好ましくない。特に、2つの白鍵においては、それらの上面前端の互いに対向する端部位置は極めて近接しているので、上面前端の高さのずれは外観上好ましくない。
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数の鍵の長さを異ならせた電子楽器の鍵盤装置において、長さの異なる離鍵時の鍵の上面前端の高さを同じにする、又は同じ高さに近づけるような鍵構造を提供することにある。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
前記目的を達成するため、本発明の特徴は、フレームに揺動可能に支持されて押離鍵操作に応じて所定の揺動範囲内で揺動する複数の鍵であって、前後方向の長さが異なるとともに揺動中心から前端までの距離が異なる少なくとも2種類の鍵を含む複数の鍵(11w,11b)と、複数の鍵に対してそれぞれ設けられ、複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第1質量体(16w3,16b3,31w,31b)と、複数の鍵に直接的又は間接的に係合して荷重に応じて変形量を異ならせる弾性部材(21b,11w2,11b2,18w2,18b2,33b)とを備え、離鍵時に複数の第1質量体の質量に応じて弾性部材を変形させて、離鍵時における2種類の鍵の上面前端の高さが一致するように、弾性部材の変形量と複数の第1質量体の質量又は重心位置とを調整したことにある。この場合、2種類の鍵の上面前端の高さが一致するようにするとは、2種類の鍵の上面の高さが完全に一致する場合に限らず、2種類の鍵の上面の高さの差が許容される小さな範囲内になる場合も含まれるものとする。
この場合、例えば、複数の鍵を、低音側の鍵の前後方向の長さが高音側の鍵の前後方向の長さよりも長くなるように構成する。また、複数の鍵を、白鍵で構成する。
また、具体的な例としては、さらに、複数の鍵にそれぞれ連動して所定の揺動範囲内で揺動する複数の揺動部材(16w,16b)を備え、複数の第1質量体(16w3,16b3)を複数の揺動部材にそれぞれ設け、弾性部材を揺動部材の揺動を離鍵時に停止させるストッパ部材(21b)で構成する。この場合、さらに、複数の鍵にそれぞれ組み付けられ、複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第2質量体(31w、31b)を設けるとよい。
また、他の具体的な例としては、さらに、複数の鍵にそれぞれ連動して所定の揺動範囲内で揺動する複数の揺動部材(16w,16b)を備え、複数の第1質量体(31w、31b)を複数の鍵にそれぞれ設け、弾性部材を、前記複数の鍵と前記複数の揺動部材との係合部に設けられて荷重に応じて弾性変形する係合部材(11w2,11b2)、又は複数の揺動部材を揺動可能に支持する部位に設けられて荷重に応じて弾性変形する支持部材(18w2,18b2)で構成する。この場合、さらに、複数の揺動部材にそれぞれ組み付けられ、複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第2質量体(16w3,16b3)を設けるとよい。
また、他の具体的な例としては、複数の第1質量体(31w)を複数の鍵にそれぞれ設け、弾性部材を前記複数の鍵を離鍵時に直接的に停止させるストッパ部材(33b)で構成する。
上記のように構成した鍵盤装置によれば、複数の鍵の前後方向の長さを音高に応じて異ならせて、揺動中心から前端までの長さを音高に応じて異ならせても、第1質量体と弾性部材との関係により、離鍵時における複数の鍵の上面前端の高さを極力一致させることができる。その結果、離鍵時における隣合う鍵の上面前端の高さがほぼ等しくなり、鍵盤装置の外観が良好となる。揺動部材を備えて、揺動部材及び鍵の両方に質量体を設けた場合には、前記外観上の点に加えて、鍵の押離鍵操作時における静的荷重及び動的荷重を改善することもでき、鍵に対する押離鍵操作感覚すなわち鍵タッチも良好にできる。
本発明の第1乃至第5実施形態に係る鍵盤装置の平面図である。 本発明の第1実施形態に係る白鍵の右側面図である。 本発明の第1実施形態に係る黒鍵の右側面図である。 音高と質量体の質量との関係を示す特性曲線図である。 音高と鍵タッチとの関係を示す特性曲線図である。 離鍵時における2つの白鍵の上面前端の高さが相違する理由を説明するための説明図である。 本発明の第1実施形態に係り、離鍵時における2つの白鍵の上面前端の高さが一致することを説明するための白鍵の右側面図である。 離鍵時における2つの黒鍵の上面前端の高さが相違する理由を説明するための説明図である。 本発明の第2実施形態に係る白鍵の右側面図である。 本発明の第3実施形態に係る白鍵の右側面図である。 本発明の第4実施形態に係る白鍵の右側面図である。 本発明の第5実施形態に係る黒鍵の右側面図である。 本発明の第5実施形態に係る黒鍵の他の例を示す右側面図である。 本発明の第5実施形態に係る黒鍵のさらに他の例を示す右側面図である。 本発明の第6実施形態に係る白鍵の右側面図である。
a.第1実施形態
以下、本発明の第1実施形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、演奏者に近い側を「前側」とし、演奏者から遠い側を「後側」とする。また、高音部側を「右側」とし、低音部側を「左側」とする。
この鍵盤装置は、図1乃至図3に示すように、複数の白鍵11w及び複数の黒鍵11bを有している。複数の白鍵11w及び複数の黒鍵11bには、互いに異なる音高がそれぞれ割り当てられている。本実施形態においては、白鍵11wには、「C3」、「D3」・・・「C6」のうちのいずれか1つの音高がそれぞれ割り当てられており、黒鍵11bには、「C♯3」、「D♯3」・・・「A♯5」のうちのいずれか1つの音高がそれぞれ割り当てられている。白鍵11w及び黒鍵11bは、それぞれ合成樹脂によって長尺状に一体成型されている。低音部の白鍵11wから高音部の白鍵11wに向かうに従って、白鍵11wの長さを徐々に短くし、低音部の黒鍵11bから高音部の黒鍵11bに向かうに従って、黒鍵11bの長さを徐々に短くしている。このように、白鍵11w及び黒鍵11bの長さを音高に応じて異ならせる理由は、鍵の長さの関係を高級なグランドピアノと同様にして押離鍵操作の感覚を前記グランドピアノに近いものとするためである。なお、黒鍵11bの後端の位置は、隣り合う白鍵11wの後端よりも後方に位置している。
割り当てられた音高が異なる白鍵11wは、前後方向の長さが異なっているが、他の構成は同様である。また、割り当てられた音高が異なる黒鍵11bは、前後方向の長さが異なっているが、他の構成は同様である。白鍵11wは、黒鍵11bに比べて、上下方向の高さが小さく、左右方向の幅が大きい。白鍵11w及び黒鍵11bは、前後方向に延設された薄肉の上壁及び上壁の左右端からそれぞれ下方へ延設された薄肉の側壁を有し、下方に開放した中空状に形成されている。
また、白鍵11w及び黒鍵11bの側壁の後部には、それぞれ対向する貫通孔Kw及び貫通孔Kbが設けられている。貫通孔Kw及び貫通孔Kbから、それぞれの鍵の後端までの距離は、全ての鍵について同一である。そして、白鍵11w及び黒鍵11bは、貫通孔Kw及び貫通孔Kbにて、後述する鍵フレーム12の鍵支持部13w及び鍵支持部13bによって支持されている。なお、白鍵11wの後端部は、この鍵盤装置が電子楽器に組み付けられたとき、電子楽器の筐体の内側に入り込んでいる。この筐体の内側に入り込む部分よりも前方の部分を白鍵11wの見え掛り部と言う。また、白鍵11wの側面と上面とが交差する部分には稜線が形成されている。また、黒鍵11bが押鍵されておらず、かつ隣り合う白鍵11wが押鍵されていない状態において、黒鍵11bは、白鍵11wの上面よりも上方に突出した部分を有する。この突出した部分を黒鍵11bの見え掛り部という。また、黒鍵11bの見え掛り部よりも下方の部分を本体部という。演奏者は、白鍵11w及び黒鍵11bの見え掛り部を押離鍵操作する。黒鍵11bの見え掛り部は、上端部ほど左右方向の幅が狭くなっており、本体部の左右方向の幅は上下方向のどの位置でも共通である。黒鍵11bの見え掛り部の下端と、前記見え掛り部の下端よりも下方の部分との境界部には、稜線が形成されている。
鍵フレーム12は、前後方向及び左右方向に延設された上板部12aを有する。上板部12aの低音部側の前端と高音部側の前端の位置は同一であるが、低音部側の後端は、高音部側の後端よりも後方に位置している。また、鍵フレーム12は、上板部12aの前端から下方へ垂直に延設された前板部12b、前板部12bの下端から前方へ水平に延設された底板部12c、底板部12cの前端から上方へ垂直に延設された前板部12dを有する。また、鍵フレーム12は、上板部12aの後端から下方へ垂直に延設された後板部12e及び後板部12eの下端から後方へ水平に延設された底板部12fを有する。底板部12cの下面の高さと底板部12fの下面の高さは同じであり、底板部12cの下面と底板部12fの下面を電子楽器のフレームFRに当接させて固定することにより、この鍵盤装置が、電子楽器のフレームFRに支持される。
前記の鍵支持部13w及び鍵支持部13bは、上板部12aの上面から上方へ突出するように形成されている。鍵支持部13bは、隣り合う鍵支持部13wよりも後方に位置している。鍵支持部13w及び鍵支持部13bは、それぞれ対向する2枚の板状に形成されていて、内側に対向する突出部13w1及び突出部13b1をそれぞれ備えている。突出部13w1及び突出部13b1は、貫通孔Kw及び貫通孔Kbに嵌合している。これにより、白鍵11w及び黒鍵11bは、突出部13w1及び突出部13b1回りに回転可能にそれぞれ支持され、貫通孔Kw及び貫通孔Kb並びに突出部13w1及び突出部13b1の中心軸を揺動中心として、前端部が上下方向にそれぞれ揺動可能となっている。白鍵11wの見え掛り部の上面(すなわち、白鍵11wの左右の稜線を含む平面)からその揺動中心までの上下方向の距離は、全ての白鍵11wについて共通である。また、黒鍵11bの操作部の上面(すなわち、黒鍵11bの左右の稜線を含む平面)からその揺動中心までの上下方向の距離は、すべての黒鍵11bについて共通である。
また、白鍵11wの見え掛り部の中間部から下方へ向かって駆動部11w1が延設されている。駆動部11w1は、上下に延設された薄肉の前壁及び前壁の左右端からそれぞれ後方へ延設された薄肉の側壁を有し、後方に開放した中空状に形成されている。駆動部11w1の下端は下端壁により閉じている。駆動部11w1の上下方向の長さは、全ての白鍵11wについて共通である。一方、黒鍵11bも白鍵11wと同様の駆動部11b1を有する。ただし、駆動部11b1は、黒鍵11bの見え掛り部の前端から下方へ延設された後、僅かに前方へ湾曲させられた連結部と、この連結部の先端から下方へ延設された垂直部からなる。垂直部の構成は、駆動部11w1と同様である。駆動部11b1の上下方向の長さも、すべての黒鍵11bについて共通である。
白鍵11wの前端から駆動部11w1までの前後方向の距離Lw1は、最高音の白鍵11w(すなわち、複数の白鍵11wのうちで最も短い鍵)の前端から貫通孔Kwまでの距離Lw2の30%以内である。距離Lw1は、全ての白鍵11wについて共通である。また、黒鍵11bの見え掛り部の前端から駆動部11b1までの前後方向の距離Lb1は、最高音の黒鍵11b(すなわち、複数の黒鍵11bのうちで最も短い鍵)の見え掛り部の前端から貫通孔Kbまでの距離Lb2の30%以内である。距離Lb1は、全ての黒鍵11bについて共通である。これらの30%なる数値は、当業者にとって一般的に考え得る許容範囲を示す値である。
前板部12bと前板部12dとの間に設けられた上方に開口した開口部内にて、駆動部11w1及び駆動部11b1の下端部が、ハンマー16w及びハンマー16bの前端部にそれぞれ係合している。すなわち、駆動部11w1及び駆動部11b1の下端が、ハンマー16w及びハンマー16bの前端部に当接している。このハンマー16w及びハンマー16bの前端部を当接部Pw1及び当接部Pb1とする。
ハンマー16wは、合成樹脂製の基部16w1と、金属製の連結棒16w2及び質量体16w3とからなる。ハンマー16bは、ハンマー16wと同様に、基部16b1、連結棒16b2及び質量体16b3からなる。基部16w1及び基部16b1は、全てのハンマー16w,16bについて共通な板状の部材であって、右側面から左側面に貫通する貫通孔Hw及び貫通孔Hbをそれぞれ有する。上板部12aの下面には、下方に突出するようにして、全ての鍵11w,11bについて共通なハンマー支持部18w及びハンマー支持部18bが形成されている。ハンマー支持部18w及びハンマー支持部18bは、それぞれ対向する2枚の板状に形成されていて、それぞれ内側に対向する突出部18w1及び突出部18b1を備えている。前記突出部18w1及び突出部18b1は、貫通孔Hw及び貫通孔Hbにそれぞれ嵌合している。これにより、基部16w1及び基部16b1は、突出部18w1及び突出部18b1回りに回転可能に支持されている。すなわち、ハンマー16w及びハンマー16bは、前端部及び後端部が上下方向に揺動可能に支持されている。ハンマー支持部18wとハンマー支持部18bの前後方向及び上下方向の位置は全てのハンマーについて同一である。すなわち、複数のハンマー支持部18w及びハンマー支持部18bが、左右方向に並設されていて、ハンマー16w及びハンマー16bの揺動中心の前後方向及び上下方向の位置は、全てのハンマー16w及びハンマー16bについて同一である。言い換えれば、ハンマー16w及びハンマー16bの揺動中心は、左右方向に延びる同一直線上に位置している。
また、基部16w1は、前端部に上下一対の脚部Fw1及び脚部Fw2を備え、上側に位置する脚部Fw1は下側に位置する脚部Fw2より短く形成されている。基部16b1も、基部16w1と同様に、前端部に上下一対の脚部Fb1及び脚部Fb2を備えている。前板部12bには、ハンマー16w及びハンマー16bごとに、上下方向に長いスリット状の開口部12b1が設けられている。各ハンマー16w及びハンマー16bの前端部は、開口部12b1を通って、前板部12bよりも前方に突出している。脚部Fw1と脚部Fw2の間には、駆動部11w1の下端壁が侵入しており、脚部Fb1と脚部Fb2の間には、駆動部11b1の下端壁が侵入している。脚部Fw1及び脚部Fb1は、それぞれ、駆動部11w1及び駆動部11b1の下端壁と、駆動部11w1及び駆動部11b1内であって、それぞれの下端壁との間に隙間を形成する中間壁との間に侵入している。駆動部11w1及び駆動部11b1の下端壁には、ゴム、ウレタン、フエルトなどの緩衝材11w2,11b2が嵌め込まれて固着されている。緩衝材11w2,11b2は、駆動部11w1の下端と脚部Fw2の上面との衝突、駆動部11b1の下端と脚部Fb2の上面との衝突、駆動部11w1の下端と脚部Fw1の下面との衝突、及び駆動部11b1の下端と脚部Fb1の下面との衝突による衝撃をそれぞれ緩和する。なお、緩衝材11w2,11b2も、全ての鍵11w,11bについて共通である。
基部16w1及び基部16b1の後端部に、連結棒16w2及び連結棒16b2の前端部がそれぞれ組み付けられている。連結棒16w2及び連結棒16b2は、全てのハンマー16w,16bについて共通であり、それぞれ後方へ延設されている。連結棒16w2と連結棒16b2の後端の前後方向の位置は同一である。そして、連結棒16w2及び連結棒16b2の後端には、次に説明する質量体16w3及び質量体16b3が組み付けられている。
前記のように、割り当てられた音高によって、鍵の支点の位置が異なる。したがって、白鍵11wの揺動中心から脚部Fw2における駆動部11w1との当接部Pw1までの距離Lw2−Lw1は、割り当てられた音高によって異なる。また、黒鍵11bの揺動中心から脚部Fb2における駆動部11b1との当接部Pb1までの距離Lb2+Lb1も、割り当てられた音高によって異なる。さらに、白鍵11wにおいては、押離鍵操作される可能性のある位置の前端である押離鍵操作位置W0が当接部Pw1よりも前方に位置するのに対して、黒鍵11bにおいては、押離鍵操作される可能性のある位置の前端である押離鍵操作位置B0が当接部Pb1の後方に位置している。したがって、全てのハンマーについて質量体の質量が同一であれば、てこの原理によって、押離鍵操作位置W0,B0においては、低音部よりも中音部の鍵タッチ感が重く、中音部よりも高音部の鍵タッチ感がさらに重い。
また、この場合、各音域における白鍵11wと黒鍵11bの鍵タッチ感が統一されない。すなわち、黒鍵11bの鍵タッチ感は隣り合う2つの白鍵11wの鍵タッチ感に比べて重い。そこで、図4に示すように、質量体16w3及び質量体16b3の質量を鍵ごとに調整している。すなわち、音高順に質量体16w3及び質量体16b3の質量を表した特性曲線図において、質量体16w3の特性曲線と質量体16b3の特性曲線が右下がりのほぼ平行な曲線であって、質量体16b3の特性曲線が質量体16w3の特性曲線の下側に位置するように、質量体16w3及び質量体16b3の質量を調整している。これにより、図5に一点鎖線で示すように、押離鍵操作位置W0,B0における鍵タッチ感を、低音から高音へ向かうに従って徐々に軽くしている。したがって、図5に破線で示すように、押離鍵操作位置W0,B0からそれぞれ距離dだけ後方に位置する押離鍵操作位置W1,B1における鍵タッチ感も、低音から高音へ向かうに従って徐々に軽くなっている。ただし、割り当てられた音高が高い鍵ほど鍵の長さが短いので、押離鍵操作位置W0,B0における鍵タッチ感と、押離鍵操作位置W1,B1における鍵タッチ感との差は、低音から高音に向かうに従って大きくなる。すなわち、押離鍵操作位置の前後方向の違いによる鍵タッチ感の違いは、低音部において小さく、中音部において中程度であり、高音部において大きい。ただし、質量体16w3,16b3の質量調整においては、図2及び図3に破線で示すように、質量体16w3,16b3の前方又は後方の長さを調整したり、質量体16w3,16b3に空洞を設けるようにしたりして、後述する下限ストッパ20及び上限ストッパ21に当接する質量体16w3,16b3の中央部の形状は全ての質量体16w3,16b3について共通とする。
白鍵11w及び黒鍵11bの離鍵時には、ハンマー16w及びハンマーの16bの自重により、ハンマー16w及びハンマー16bの前端部がそれぞれ上方へ変位する。このとき、脚部Fw2及び脚部Fb2により緩衝材11w2及び緩衝材11b2を介して駆動部11w1及び駆動部11b1がそれぞれ上方へ付勢され、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部はそれぞれ上方へ変位する。一方、白鍵11w及び黒鍵11bの押鍵時には、駆動部11w1及び駆動部11b1が緩衝材11w2及び緩衝材11b2を介して脚部Fw2及び脚部Fb2の上面をそれぞれ押圧し、ハンマー16w及びハンマー16bの前端部がそれぞれ下方へ変位する。
鍵フレーム12には、押鍵時にハンマー16w及びハンマー16bの質量体16w3及び質量体16b3の上面に当接して、ハンマー16w及びハンマー16bの後端部の上方への変位を規制することにより、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部の下方への変位を規制する下限ストッパ20が設けられている。下限ストッパ20は、ストッパレール20a及び緩衝材20bからなる。ストッパレール20aは、上板部12aの中間部の下面から下方へ突出していて、左右方向に延設されていて、ハンマー16w及びハンマー16bの質量体16w3及び質量体16b3の上方に位置している。また、ストッパレール20aの各ハンマー16w,16bとの当接部における上板部12aの下面からの突出量は左右方向に一定である。そして、ストッパレール20aの下端面には緩衝材20bが固着されている。緩衝材20bは、ゴム、フエルトなどの弾性変形する緩衝材によって構成した長尺状の部材である。緩衝材20bは、一端から他端に至るまで断面形状が同一である。
また、フレームFRの中間部には、離鍵時に、ハンマー16w及びハンマー16bの質量体16w3及び質量体16b3の下面に当接して、ハンマー16w及びハンマー16bの後端部の下方への変位を規制することにより、白鍵11w及び黒鍵11bの前端部の上方への変位を規制する上限ストッパ21が設けられている。上限ストッパ21は、下限ストッパ20と同様に、ストッパレール21a及び緩衝材21bからなる。すなわち、ストッパレール21aも左右方向に延設されていて、フレームFRからの突出量は、左右方向に一定である。そして、ストッパレール21aの上面には緩衝材21bが固着されている。緩衝材21bも、ゴム、フエルトなどの弾性変形する緩衝材によって構成した長尺状の部材であって、一端から他端に至るまで断面形状が同一である。ただし、この緩衝材21bは、詳しくは後述するように、ハンマー16w及びハンマー16bの質量体16w3及び質量体16b3の質量により、弾性変形し易く構成されている。例えば、下限ストッパ20の緩衝材20bに比べて、緩衝材21bを、荷重の増加により変形量が大きな材料を用いて構成したり、荷重の増加により変形量が大きくなるように厚さを厚くしたりする。
なお、ストッパレール20a及びストッパレール21aは、左右方向に連続的に延設されていてもよいし、断続的に延設されていてもよい。また、ストッパレール20a及びストッパレール21aは、それぞれ上板部12a及びフレームFRと一体的に設けられていてもよいし、別部品として構成されていて、それぞれ上板部12a及びフレームFRに組み付けられるようにしてもよい。
また、白鍵11w及び黒鍵11bの中間部の下面には、スイッチ駆動部AC1が設けられている。スイッチ駆動部AC1は、白鍵11w及び黒鍵11bの内部にて上下方向に延設された板状の部分であり、スイッチ駆動部AC1の下端面が、スイッチSW1の上面に当接している。スイッチSW1は、鍵ごとに設けられ、鍵によって押圧されて、各鍵の押離鍵状態を検出する。すなわち、スイッチSW1は、鍵によって押圧されると、ゴム製の本体部が変形して、オン・オフする。そして、このオフからオンへの変化により各鍵の押鍵が検出され、また前記オン・オフが鍵の操作速度(強度)の検出に利用されることもある。回路基板23は、左右方向に延設されている。回路基板23には、上面から下面に貫通した貫通孔が設けられている。この貫通孔は、上板部12aの上面に一体的に形成されたボス24に対応している。この貫通孔にねじを通してボス24にねじ込むことにより、回路基板23が、鍵フレーム12に固定される。各鍵にそれぞれ対応した複数のスイッチSW1の前記本体部が、回路基板23の上面に左右方向に並設されている。白鍵11w用のスイッチSW1と黒鍵11b用のスイッチSW1の前後方向の位置が同一である。白鍵11wの前端からスイッチSW1までの前後方向の距離Lw3が、最高音の白鍵11wの前端から貫通孔Kwまでの距離Lw2の30%以内であり、かつ黒鍵11bの見え掛り部の前端からスイッチSW1までの前後方向の距離Lb3が、最高音の黒鍵11bの見え掛り部の前端から貫通孔Kbまでの距離Lb2の30%以内である。なお、白鍵11w用のスイッチSW1と黒鍵11b用のスイッチSW1をそれぞれ左右方向に並設しておき、両者の前後方向の位置をずらしてもよい。これらの30%なる数値も、当業者にとって一般的に考え得る許容範囲を示す値である。
また、前板部12dの上端面から上方に突出するようにして、白鍵11wの揺動をガイドするための鍵ガイド25wが形成されている。鍵ガイド25wは、白鍵11wに下方から侵入しており、押離鍵時に鍵ガイド25wの側面と白鍵11wの側壁の内側の面が摺接するようになっている。これにより、押離鍵時の白鍵11wの左右方向の微少な変位を抑制している。また、上板部12aの前端部の上面から上方に突出するようにして、黒鍵11bの揺動をガイドするための鍵ガイド25bが形成されている。鍵ガイド25bは、黒鍵11bに下方から侵入しており、押離鍵時に鍵ガイド25bの側面と黒鍵11bの側壁の内側の面が摺接するようになっている。これにより、押離鍵時の黒鍵11bの左右方向の微少な変位を抑制している。
次に、本発明の特徴である、離鍵時において複数の白鍵11wの見え掛り部の上面前端の高さを一致させる構造及び調整について説明する。以下、この見え掛り部の上面前端の高さを、白鍵11wの上面前端の高さという。前記のように構成した鍵構造においては、白鍵11wが通常の押鍵力により押鍵されて、ハンマー16wの質量体16w3の上面が下限ストッパ20の緩衝材20bに当接して、白鍵11wの揺動が規制されたときには、複数の白鍵11wは、それらの上面がそれぞれ水平になるように、各白鍵11wにおける、揺動中心と見え掛り部の前端とを含む平面と、上面との位置関係がそれぞれ設定されている。言い換えれば、各白鍵11wにおける、揺動中心と見え掛り部の前端とを含む平面に対する上面の角度がそれぞれ設定されている。そして、複数の白鍵11wの上面が水平である状態において、複数の白鍵11wの見え掛り部の前端の上下方向及び前後方向の位置が共通である。なお、白鍵11wに対する押鍵力をさらに増した場合には、緩衝材20bの変形により、白鍵11wの上面前端は水平に対してさらに沈む。
一方、前述のように、全てのハンマー16wに関して、基部16w1、連結棒16w2、及び押離鍵時に下限ストッパ20及び上限ストッパ21に当接する質量体16w3の中央部分の形状は同一であり、ハンマー支持部18wの前後方向及び上下方向の位置も同一であり、かつ全ての白鍵11wの駆動部11w1の上下方向の長さも同一であるので、全ての白鍵11wの離鍵時における上限ストッパ21の緩衝材21bの変形量(沈み量)が同じであれば、白鍵11wの離鍵状態においては、図6に示すように、全ての白鍵11wにおける上面中間位置(駆動部11w1に対応する上面位置)の上下方向及び前後方向の位置は同一となる。しかし、この白鍵11wの離鍵状態においては、白鍵11wは前端よりも後端が低くなるように傾斜しており、かつ揺動支点から駆動部11w1に対応する上面位置までの距離Lw2−Lw1は長い白鍵11w(すなわち低音側の白鍵11w)ほど長いので、図6の太い実線及び破線で示すように、長い白鍵11wの傾斜は短い白鍵11wの傾斜に比べてゆるくなる。一方、駆動部11w1に対応する上面位置から前端までの距離Lw1は全ての白鍵11wにおいて同じであるので、前記緩衝材21bの変形量が全ての白鍵11wに対して同じであることを条件に、長い白鍵11wの上面前端の高さは短い白鍵11wの上面前端よりも若干低くなってしまう。なお、図6においては、鍵の形状を簡略化しているとともに、離鍵状態における長い白鍵11wと短い白鍵11wの傾斜を強調して示している。
しかし、前述のように、この第1実施形態においては、質量体16w3の質量が大きくなるに従って緩衝材21bの変形量が大きくなるように構成した。したがって、質量体16w3の質量が大きな長い白鍵11w(低音側の白鍵11w)ほど、前述した全ての白鍵11wの離鍵時における上限ストッパ21の緩衝材21bの変形量(沈み量)が同じである場合(図7の破線参照)に比べて、緩衝材21bの変形量が大きくなり、図7に実線で示すように質量体16w3は下方に変位する。これにより、ハンマー16wは揺動中心軸周りに図示時計方向に若干回転し、基部16w1の前端部は上方に変位し、脚部Fw2は駆動部11w1を緩衝材11w2を介して上方へ押し上げる。したがって、白鍵11wは揺動中心軸周りに時計方向に僅かに回転し、白鍵11wの上面前端は上方へ若干変位する。この白鍵11wの上面前端の上方への変位は、質量体16w3の質量が大きくなるに従って、すなわち長い白鍵11w(低音側の白鍵11w)ほど大きくなる。これにより、緩衝材21bの質量体16w3の質量差による変形度合いと、前記緩衝材21bの変形量が常に一定である場合における白鍵11wの長さの違いによる上面前端の高さのずれ量との関係から、全ての白鍵11wの上面前端の高さが一致するように、緩衝材21bの弾性及び質量体16b3の質量を白鍵11wの長さに応じて調整するようにする。これによれば、離鍵時における全ての白鍵11wと上面前端の高さをほぼ統一することができる。
次に、黒鍵11bの見え掛り部の前端の高さについて説明する。この見え掛り部の前端の高さとは、黒鍵11bの稜線の前端の高さ(すなわち見え掛り部の前端部の傾斜面の下端の高さ)であるが、見え掛り部の前端部の傾斜面の上端の高さも鍵の高さを一致させるという点では同じであるので、以下の説明では、白鍵11wの場合のように、これらの両者を含めて黒鍵11bの上面前端の高さという。黒鍵11bに関しても、黒鍵11bが通常の押鍵力により押鍵されて、ハンマー16bの質量体16b3上面が緩衝材20bに当接して、黒鍵11bの揺動が規制されたときには、複数の黒鍵11bは、それらの上面がそれぞれ水平になるように、各黒鍵11bにおける、揺動中心と見え掛り部の前端とを含む平面と、上面との位置関係がそれぞれ設定されている。言い換えれば、各黒鍵11bにおいても、揺動中心と見え掛り部の前端とを含む平面に対する上面の角度がそれぞれ設定されている。そして、複数の黒鍵11bの上面が水平である状態において、複数の黒鍵11bの見え掛り部の前端の上下方向及び前後方向の位置が共通である。なお、黒鍵11bに対する押鍵力をさらに増した場合には、緩衝材20bの変形により、黒鍵11bの上面前端は水平に対してさらに沈む。
一方、前述のように、黒鍵11bの場合も、全てのハンマー16bに関して、基部16b1、連結棒16b2、及び押離鍵時に下限ストッパ20及び上限ストッパ21に当接する質量体16b3の中央部分の形状は同一であり、ハンマー支持部18bの前後方向及び上下方向の位置も同一であり、かつ全ての黒鍵11bの駆動部11b1の上下方向の長さも同一であるので、全ての黒鍵11bの離鍵時における上限ストッパ21の緩衝材21bの変形量(沈み量)が同じであれば、黒鍵11bの離鍵状態においては、全ての黒鍵11bにおける駆動部11b1上方の上面延長位置P0の上下方向及び前後方向の位置は同一となる。また、この黒鍵11bの離鍵状態においても、黒鍵11bは前端よりも後端が低くなるように傾斜しており、かつ揺動支点から駆動部11b1上方の上面延長位置P0までの距離Lb2+Lb1は長い黒鍵11b(すなわち低音側の黒鍵11b)ほど長いので、図8の太い実線及び破線で示すように、長い黒鍵11bの傾斜は短い黒鍵11bの傾斜に比べてゆるくなる。一方、駆動部11b1の上方の上面延長位置P0から見え掛り部の前端までの距離Lb1は全ての黒鍵11bにおいて同じであり、駆動部11b1が黒鍵11bの見え掛り部の前端よりも前方にあるので、長い黒鍵11bの見え掛り部の前端(黒鍵11bの上面前端)は、白鍵11wの場合とは逆に、短い黒鍵11bの見え掛り部の前端(黒鍵11bの上面前端)よりも若干高くなってしまう。なお、図8においても、鍵の形状を簡略化しているとともに、離鍵状態における長い黒鍵11bと短い黒鍵11bの傾斜を強調して示している。
また、前述のように、黒鍵11bの場合も、白鍵11wの場合と同様に、質量体16b3の質量が大きくなるに従って緩衝材21bの変形量が大きくなるように構成した。したがって、質量体16b3の質量が大きな長い黒鍵11b(低音側の黒鍵11b)においても、前述した全ての黒鍵11bの離鍵時における上限ストッパ21の緩衝材21bの変形量(沈み量)が同じである場合に比べて、緩衝材21bの変形量が大きくなり、質量体16b3は下方に変位する。これにより、黒鍵11bの場合も、白鍵11wの場合と同様に、黒鍵11bの上面前端の高さは、長い黒鍵11b(低音側の黒鍵11b)ほど高くなる。しかし、黒鍵11bの場合には、駆動部11b1上方の上面延長位置P0から見え掛り部の前端までの距離Lb1は極めて短いので、黒鍵11bの長さが変わっても、前記緩衝材21bの変形量(沈み量)が同じである場合の黒鍵11bの長さによる上面前端の高さの差、及び前記質量体16b3による緩衝材21bの変形量による上面前端の高さの差は小さい。したがって、前記両高さの差が加算されても、黒鍵11bの上面前端の高さの差は、黒鍵11bの長さが変わってもそれ程大きくならない、すなわち低音側と高音側とであまり大きくならない。
上記のように構成した鍵盤装置によれば、ハンマー16wを駆動するための白鍵11wの駆動部11w1の前後方向の位置及び上下方向の長さを全ての白鍵11wについて共通にしたうえで、白鍵11wの前後方向の長さを音高に応じて異ならせ、かつ揺動中心から前端までの長さを音高に応じて異ならせても、ハンマー16wの質量体16w3の質量を音高に応じて異ならせることにより、離鍵時における全ての白鍵11wの上面前端の高さを極力一致させるようにした。これにより、離鍵時における隣合う白鍵11wの上面前端の高さがほぼ等しくなり、鍵盤装置の外観が良好となる。なお、黒鍵11bにおいては、ハンマー16bを駆動するための黒鍵11bの駆動部11b1の前後方向の位置及び上下方向の長さを全ての黒鍵11bについて共通にしたうえで、前後方向の長さを音高に応じて異ならせて、揺動中心から前端までの長さを音高に応じて異ならせた結果、上面前端の高さは音高に応じて異なるようになる。しかし、黒鍵11bにおいては、駆動部11b1上方の上面延長位置P0から見え掛り部の前端(上面前端)までの距離Lb1は極めて短いので、音高に応じた上面前端の高さの差は小さく、また隣合う黒鍵11bは白鍵11wほど近接していないので、複数の黒鍵11b間における上面前端の高さの差は外観上あまり大きな問題ではない。
また、この場合、白鍵11w及び黒鍵11bに関して、前後方向の長さを低音鍵ほど長くしたうえで、ハンマー16w,16bの質量体16w3,16b3の質量を重くして、低音から高音に向かうに従って徐々に軽くなるようにした。これにより、高級なグランドピアノの似た鍵タッチ感を実現できる。
さらに、上記第1実施形態においては、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動中心の高さを共通にして、白鍵11w及び黒鍵11bを揺動可能に支持する鍵支持部13w、13bを全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通の形状にした。また、ハンマー16w,16bに関して、質量体16w3,16b3以外には、基部16w1,16b1及び連結棒16w2,16b2を全てのハンマー16w,16bについて共通にするとともに、ハンマー支持部18w,18bの前後方向及び上下方向の位置も全ての全てのハンマー16w,16bについて共通にした。さらに、下限ストッパ20及び上限ストッパ21についても、全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通にした。これにより、各部品の構成及び組付けが簡素化され、鍵盤装置の製造が簡単になるとともに、製造コストを低減できる。
b.第2実施形態
次に、本発明の第2実施形態について説明する。この第2実施形態においては、上記第1実施形態に加えて、白鍵11w及び黒鍵11b内に質量体31w,31bを組付けるようにしている。図9は、この第2実施形態に係り、上記第1実施形態の説明に用いた図7の白鍵11wに関する鍵構造を変形して示している。質量体31wは、白鍵11wの内側であって、各白鍵11wの前端近くに組み付けられている。また、質量体31wの質量は、白鍵11wの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って大きくなっている。それ以外の構成は上記第1実施形態と同様であるので、上記図2及び図7と同一符号を付して説明を省略する。なお、詳しい説明は省略するが、黒鍵11bの場合も、質量体31bは、黒鍵11bの内側であって、各黒鍵11bの前端近くに組み付けられている。また、黒鍵11bに組み付けられた質量体31bの質量も、黒鍵11bの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って大きくなっている。また、黒鍵11bに関しては、図示も省略している。
ここで、白鍵11wに関して、質量体16w3の質量Wh及び質量体31wの質量Wkについて、上限ストッパ21の緩衝材21bを変形させるストッパ荷重Fwと、白鍵11wの押離鍵操作時に演奏者が認識する静的荷重Fs及び動的荷重Faとを考慮しながら説明する。この場合、図9に矢印で示すように、質量体16w3はハンマー16wを時計方向に回転させるように作用し、質量体31wはハンマー16wを反時計方向に回転させるように作用する。質量体16w3の質量Wh及び質量体31wの質量Wkがストッパ荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faに与える影響は、鍵支持部13wから質量体31wまでの距離、鍵支持部13wから駆動部11w1までの距離、ハンマー支持部18wから当接部Pw1までの距離、ハンマー支持部18wから質量体16w3までの距離などにも関係するが、以下の説明では、これらの距離などを考慮した状態での質量を、質量体16w3,31wの質量Wh,Wkとして説明する。
前後方向の長さの異なる2つの白鍵11wを想定して、長い側(低音側)の白鍵11wに関する質量体16w3の質量WhをWh−Lとするとともに質量体31wの質量WkをWk−Lとし、短い側(高音側)の白鍵11wに関する質量体16w3の質量WhをWh−Sとするとともに質量体31wの質量WkをWk−Sとする。また、長い側(低音側)の白鍵11wに関するストッパ荷重Fw,静的荷重Fs及び動的荷重FaをそれぞれFw−L,Fs−L,Fa−Lとするとともに、短い側(高音側)の白鍵11wに関するストッパ荷重Fw,静的荷重Fs及び動的荷重FaをそれぞれFw−S,Fs−S,Fa−Sとする。
そして、この第2実施形態において、例えば、質量Wh−Lを6・Mとし、質量Wh−Sを4・Mとし、質量Wk−Lを3・Mとし、かつ質量Wk−Sを2・Mとする。なお、値Mは適当な固定値である。この場合、ストッパ荷重Fw及び静的荷重Fsは質量体16w3の質量Whと質量体31wの質量Wkとの差に等しく、動的荷重Faは質量体16w3の質量Whと質量体31wの質量Wkとの合計に等しいので、ストッパ荷重Fw−L,Fw−S、静的荷重Fs−L,Fs−S及び動的荷重Fa−L,Fa−Sは下記表1のようになる。
Figure 0006142725
これによれば、長い側(低音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−L(=3・M)は短い側(高音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−S(=2・M)よりも大きいので、長い側(低音側)の白鍵11wの緩衝材21bの変形量は短い側(高音側)の白鍵11wの緩衝材21bの変形量よりも大きくなり、緩衝材21bの弾性変形により、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを、上記第1実施形態の場合のように同じにすることができる。また、長い側(低音側)の白鍵11wの静的荷重Fs−L(=3・M)は短い側(高音側)の白鍵11wの静的荷重Fs−S(=2・M)よりも大きくなる。静的荷重Fsに関しては、白鍵11wの長さによらずほぼ一定であることが押離鍵時の操作感覚上望ましいので、前記数値はあまり好ましくない。さらに、長い側(低音側)の白鍵11wの動的荷重Fa−L(=9・M)は短い側(高音側)の白鍵11wの動的荷重Fa−S(=6・M)よりも大きくなり、動的荷重Faは長い白鍵11wほど大きいことが押離鍵時の操作感覚上望ましいので、前記数値は好ましいものである。したがって、この第2実施形態によれば、押離鍵時の静的荷重Fsに関する操作感覚を重視なければ、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させるという鍵盤装置の外観を良好にできるとともに、押離鍵時の動的荷重Faに関する操作感覚を良好にできる。
ここで、上記第1実施形態の場合における前述のような質量体16w3,31wの質量Wh,Wk、ストッパ荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faの数値関係について説明しておく。この場合、白鍵11w内に質量体31wは組み付けられていないので、下記表2に示すように、質量体31wの質量Wkは「0」である。また、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3の質量Wh−Lを6・Mとし、短い側(高音側)の白鍵11wの質量体16w3の質量Wh−Sを4・Mとすれば、長い側(低音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはいずれも6・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはいずれも4・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にするとともに、動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚を良好にするものであるが、静的荷重Fsに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、上記第1実施形態に係る鍵盤装置は、前述した第2実施形態と同等である。
Figure 0006142725
ここで、ふたたび前記第2実施形態のように質量体31wを白鍵11wに組付けた場合の説明に戻ると、前述した例では、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ6・M,3・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−sをそれぞれ4・M,2・Mとした。しかし、これに代えて、質量Wh−Lを質量Wh−Sよりも大きく保ち、かつ質量Wk−Lを質量Wk−Sよりも大きく保ったまま、質量Wh−L若しくは質量Wk−Sを小さくするか、又は質量Wk−L若しくは質量Wh−Sを大きくすれば、ストッパ荷重Fw−L,Fw−S間の差及び静的荷重Fs−L,Fs−S間の差を小さくできる。これによれば、複数の白鍵11w間における静的荷重Fsの差を小さくできて、押離鍵時の操作感覚を良好にできる。一方、複数の白鍵11wの上面前端の高さ調整においては、荷重に対しての弾性変形量を大きくした、上記第1及び第2実施形態の場合よりもさらに弾性変形し易い緩衝材21bを用いるようにすればよい。
b1.第1変形例
次に、前記第2実施形態において白鍵11wに組付けた質量体31wを複数の白鍵11wに対して共通とした上記第2実施形態の第1変形例について説明する。この場合、質量体16w3の質量Whを長い側(低音側)の白鍵11wほど大きくする。これにより、離鍵時において、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させることができる。
この第1変形例に関しても、前述の場合と同様に、数値例を挙げておく。例えば、下記表3に示すように、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ6・M,2・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ4・M,2・Mとする。この場合、長い側(低音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ4・M,4・M,8・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ2・M,2・M,6・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にするとともに、動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚を良好にするものであるが、静的荷重Fsに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、この第1変形例によっても、押離鍵時の静的荷重Fsに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできるとともに、押離鍵時の動的荷重Faに関する操作感覚を良好にできる。
Figure 0006142725
しかし、この第1変形例の場合も、質量Wh−Lを質量Wh−Sよりも大きく保ち、かつ質量Wk−Lと質量Wk−Sとを等しく保ったまま、質量Wh−Lを小さくするか、又は質量Wh−Sを大きくすれば、ストッパ荷重Fw−L,Fw−S間の差及び静的荷重Fs−L,Fs−S間の差を小さくできる。したがって、これによっても、複数の白鍵11w間における静的荷重Fsの差を小さくできて、押離鍵時の操作感覚を良好にできる。一方、複数の白鍵11wの上面前端の高さ調整においても、前述のように、荷重に対しての弾性変形量をより大きくした弾性変形し易い緩衝材21bを用いるようにすればよい。
b2.第2変形例
次に、前記第2実施形態においてハンマー16wの質量体16w3を複数の白鍵11wに対して共通とした上記第2実施形態の第2変形例について説明する。この場合、質量体31wの質量Wkを長い側(低音側)の白鍵11wほど小さくする。これにより、離鍵時において、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させることができる。
この第2変形例に関しても、前述の場合と同様に、数値例を挙げておく。例えば、下記表4に示すように、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,2・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ4・M,3・Mとする。この場合、長い側(低音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ2・M,2・M,6・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ1・M,1・M,7・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができる。しかし、静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、この第2変形例によれば、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできる。
Figure 0006142725
b3.第3変形例
次に、ハンマー16wの質量体16w3の質量Whを長い側(低音側)の白鍵11wほど小さくした上記第2実施形態の第3変形例について説明する。この場合、質量体31wの質量Wkを、前記第2変形例の場合よりも、長い側(低音側)の白鍵11wほどさらに小さくする。これにより、離鍵時において、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させることができる。
この第3変形例に関しても、前述の場合と同様に、数値例を挙げておく。例えば、下記表5に示すように、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,1・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ6・M,4・Mとする。この場合、長い側(低音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ3・M,3・M,5・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wのストッパ荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ2・M,2・M,10・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができる。しかし、静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。特に、動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚に関しては前記第2変形例の場合よりも好ましくない。したがって、この第3変形例によっても、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできる。
Figure 0006142725
c.第3実施形態
次に、本発明の第3実施形態について説明する。上記第2実施形態では上限ストッパ21の緩衝材21bを荷重Fwに応じて弾性変形するように構成したが、この第3実施形態においては、駆動部11w1に設けた緩衝材11w2が荷重Fwに応じて弾性変形するように構成している。すなわち、この第3実施形態においては、緩衝材21bは多少弾性変形するが荷重Fwに応じてほとんど弾性変形しないように構成されており、駆動部11w1の緩衝材11w2が荷重Fwに応じて弾性変形し易く構成されている。例えば、緩衝材11w2を、荷重の増加により変形量が大きな材料を用いて構成したり、荷重の増加により変形量が大きくなるように厚さを厚くしたりする。また、白鍵11wに組み付けられた質量体31wの質量Wkは、白鍵11wの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って小さくなるように構成されている。ハンマー16wは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通に構成されており、ハンマー16w,16bの質量体16w3の質量Whは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通である。この第3実施形態に係る白鍵11wを図10に示すが、前記以外の部分は上記第1及び第2実施形態の場合と同様に構成されており、上記図2、図7及び図9と同一符号を付して説明を省略する。
また、黒鍵11bの場合も、白鍵11wと同様に構成されており、質量体31wは、黒鍵11bの内側であって、各黒鍵11bの前端からほぼ同一距離の位置に組み付けられている。この黒鍵11bに組み付けられた質量体31bの質量も、黒鍵11bの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って小さくなっている。なお、本発明は離鍵時における白鍵11wの上面前端の高さを統一することを重要視しているので、黒鍵11b部分の鍵盤については図示省略するとともに、下記の動作説明も省略する。
このように構成した第3実施形態においても、白鍵11wが押離鍵操作されれば、ハンマー16wの質量体16w3は下限ストッパ20と上限ストッパ21との間で揺動する。この場合、上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重による弾性変形量は小さいので、離鍵時におけるハンマー16wの質量体16w3の上下方向の位置の変化は無視されて一定である。一方、駆動部11w1の緩衝材11w2の荷重Fwに対する弾性変形量は大きいので、質量体31wの質量Wkにより緩衝材11w2が弾性変形して、緩衝材11w2が弾性変形しない場合に比べて、離鍵時における駆動部11w1は下方へ変位することになる。したがって、白鍵11wの前端部は、緩衝材11w2が弾性変形しない状態の白鍵11w(図10の破線参照)に比べて、緩衝材11w2の変形により、図10の実線に示すように下方に変位する。この白鍵11w(駆動部11w1)の前端部の下方への変位量は、質量体31wの質量Wkが大きいほど大きい。
この第3実施形態においては、低音側すなわち長い白鍵11wほど質量体31wの質量Wkを小さくしたので、緩衝材11w2の弾性変形による低音側すなわち長い白鍵11wの前端の下方への変位量は、高音側すなわち短い白鍵11wに比べて小さくなる。上記第1実施形態で説明したように、白鍵11wの上面前端の高さは、緩衝材11w2の弾性変形を考慮しなければ、高音側すなわち短い白鍵11wほど高くなる。したがって、前記のように、低音側すなわち長い白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkを、高音側すなわち短い白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkよりも小さくことにより、低音側すなわち長い白鍵11wと高音側すなわち短い白鍵11wとの上面前端の高さのずれを修正できる。言い換えれば、白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkと、緩衝材11w2の荷重に対する弾性変形量を調整することにより、離鍵時における白鍵11wの上面前端の高さを一致させることができる。
この第3実施形態に関しても、上述の場合と同様に、数値例を挙げておく。例えば、下記表6に示すように、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,2・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ4・M,3・Mとする。この場合、長い側(低音側)の白鍵11wの駆動部11w1の緩衝材11w2に与える荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ2・M,2・M,6・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wの駆動部11w1の緩衝材11w2に与える荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ3・M,1・M,7・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にするものであるが、静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、この第3実施形態によっても、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできる。
Figure 0006142725
c1.第1変形例
次に、前記第3実施形態においてハンマー16wの質量体16w3を白鍵11wの音高に応じて異ならせるようにした上記第3実施形態の第1変形例について説明する。この場合、ハンマー16wの質量体16w3の質量Whを長い側(低音側)の白鍵11wほど大きくして、異なる音高の白鍵11wに対して、押離鍵操作時における静的荷重Fsを同じにするとともに、押離鍵操作時における動的荷重Faを長い側(低音側)の白鍵11wほど大きくする。他の構成については、上記第3実施形態の場合と同じである。
この第1変形例における具体的な数値例を挙げておく。例えば、下記表7に示すように、長い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,2・Mとし、短い側(低音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ1・M,3・Mとする。この場合も、上限ストッパ21の緩衝材21bの弾性変形量はごくわずかであって無視され、長い側(低音側)の白鍵11wの駆動部11w1の緩衝材11w2に与える荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ2・M,2・M,6・Mとなり、短い側(高音側)の白鍵11wの駆動部11w1の緩衝材11w2に与える荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ3・M,2・M,4・Mとなる。これによれば、上記第3実施形態の場合と同様に、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができる。また、静的荷重Fsは長い側(低音側)の白鍵11wと短い側(高音側)の白鍵11wとで同じになり、動的荷重Faは長い側(低音側)の白鍵11wで短い側(高音側)の白鍵11wよりも大きくなるので、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を共に良好にできる。
Figure 0006142725
d.第4実施形態
次に、本発明の第4実施形態について説明する。上記第1及び第2実施形態では上限ストッパ21の緩衝材21bを荷重Fwに応じて弾性変形するように構成し、上記第3実施形態では駆動部11w1の緩衝材11w2が荷重Fwに応じて弾性変形するように構成した。この第4実施形態においては、図11に示すように、ハンマー16wの基部16w1に設けた貫通孔Hwの直径を上記第1乃至第3実施形態の場合よりも大きくし、貫通孔Hwとハンマー支持部18wの突出部18w1との間に、荷重Fwに応じて弾性変形し易い円筒状の弾性支持部材18w2を介在させるようにしている。すなわち、ハンマー支持部18wの突出部18w1は、弾性支持部材18w2内に、その外周面を弾性支持部材18w2の内周面に当接するように挿入されている。前記緩衝材21b,11w2は多少弾性変形するが荷重Fwに応じてほとんど弾性変形しないように構成されており、それ以外の構成は、上記第3実施形態の場合と同様であり、上記図10と同一符号を付して説明を省略する。すなわち、この第4実施形態においても、白鍵11wに組み付けられた質量体31wの質量Wkは、白鍵11wの前後方向の長さが長くなるに従って(高音から低音に向かうに従って)小さくなるように構成されているとともに、ハンマー16wは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通に構成されていて、ハンマー16wの質量体16w3の質量Whは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通である。
また、黒鍵11bの場合も、白鍵11wと同様に構成されており、質量体31wは、黒鍵11bの内側であって、各黒鍵11bの前端からほぼ同一距離の位置に組み付けられている。この黒鍵11bに組み付けられた質量体31bの質量も、黒鍵11bの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って小さくなっている。なお、本発明は離鍵時おける白鍵11wの上面前端の高さを統一することを重要視しているので、この第4実施形態においても、黒鍵11b部分の鍵盤については図示省略するとともに、下記の動作説明も省略する。
このように構成した第4実施形態においても、白鍵11wが押離鍵操作されれば、ハンマー16wの質量体16w3は下限ストッパ20と上限ストッパ21との間で揺動する。この場合、上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重による弾性変形量は小さいので、離鍵時におけるハンマー16wの質量体16w3の上下方向の位置の変化は無視されて一定である。また、駆動部11w1の緩衝材11w2の荷重Fwに対する弾性変形量も小さいので、離鍵時における緩衝材11w2の弾性変形による駆動部11w1の下方への変位も無視される。一方、ハンマー16wの基部11w1は弾性変形し易い弾性支持部材18w2を介してハンマー支持部18wに支持されているので、質量体31wの質量Wkにより弾性支持部材18w2が弾性変形して、ハンマー16wの揺動支点が質量体31wの質量Wkに応じて下方に変位する。これにより、離鍵時における白鍵11wの駆動部11w1は、ハンマー16wの揺動支点が下方に変位しない場合に比べて、ある程度大きく下方へ変位することになる。すなわち、白鍵11wの前端部は、弾性支持部材18w2を設けない場合(図11の破線参照)に比べて、弾性支持部材18w2の変形により、図11の実線に示すように下方に変位する。この白鍵11w(駆動部11w1)の前端部の下方への変位量は、質量体31wの質量Wkが大きいほど大きい。
この第4実施形態においては、低音側すなわち長い白鍵11wほど質量体31wの質量Wkを小さくしたので、弾性支持部材18w2による低音側すなわち長い白鍵11wの下方への変位量は、高音側すなわち短い白鍵11wに比べて小さくなる。したがって、上記第3実施形態の場合と同様に、低音側すなわち長い白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkを、高音側すなわち短い白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkよりも小さくすることにより、低音側すなわち長い白鍵11wと高音側すなわち短い白鍵11wとの上面前端の高さのずれを修正できる。言い換えれば、白鍵11w内に組付けた質量体31wの質量Wkと、弾性支持部材18w2の荷重に対する弾性変形量を調整することにより、離鍵時における白鍵11wの上面前端の高さを一致させることができる。
この第4実施形態における白鍵11wの上面前端の高さと質量体31wの質量Wkとの関係に関しては、上記第3実施形態と同じであるので、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−L,Wh−S,Wk−Sの数値例としては、例えば、上述した第3実施形態の場合と同様な表6に示すようにする。ただし、上記表6においては、駆動部11w1の荷重Fwではなく、ハンマー16wの支持部である弾性支持部材18w2に対する荷重Fw(表6中の括弧内参照)を用いる。したがって、この第4実施形態においても、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の白鍵11wに関する荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faは上記第3実施形態の場合と同じになる。その結果、この第4実施形態においても、上記第3実施形態と同様に、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にできる。ただし、この場合も、静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。よって、この第4実施形態によっても、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできる。
d1.第1変形例
次に、前記第4実施形態において、ハンマー16wの質量体16w3を白鍵11wの音高に応じて異ならせるようにした上記第4実施形態の第1変形例について説明する。この場合、上記第3実施形態の第1変形例と同様に、ハンマー16wの質量体16w3の質量Whを長い側(低音側)の白鍵11wほど大きくして、異なる音高の白鍵11wに対して、押離鍵操作時における静的荷重Fsを同じにするとともに、押離鍵操作時における動的荷重Faを長い側(低音側)の白鍵11wほど大きくする。他の構成については、上記第4実施形態の場合と同じである。
この第1変形例における長い側(低音側)及び短い側(高音側)の白鍵11wの質量体16w3,31wの質量Wh−L,Wk−L,Wh−S,Wk−Sの数値例としては、例えば、上述した第3実施形態の第1変形例の場合と同様な表7に示すようにする。ただし、この場合も、上記表7においては、駆動部11w1の荷重Fwではなく、ハンマー16wの支持部である弾性支持部材18w2に対する荷重Fw(表7中の括弧内参照)を用いる。したがって、この第1変形例においても、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の白鍵11wに関する荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faは、上記第3実施形態の第1変形例の場合と同じになる。その結果、この第1変形例においても、上記第3実施形態の第1変形例と同様に、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができとともに、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を共に良好にできる。
e.第5実施形態
上記第1乃至第4実施形態及びそれらの各種に変形例においては、複数の白鍵11wの上面前端の高さを同じにし、複数の黒鍵11bに関しては、隣合う黒鍵11bは近接していないために、それらの上面前端の高さを同じにすることを問題視しなかった。しかし、上限ストッパ21の緩衝材21b、駆動部11b1の緩衝材11b2及びハンマー16bを揺動可能に支持ずる弾性支持部材18b2の荷重Fwによる弾性変形量を大きくすることにより、複数の黒鍵11bの上面前端の高さを同じにすることも可能である。
e1.第1具体例
まず、上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重Fwによる弾性変形量を大きくした第1具体例について、図12を用いて説明する。この第1具体例においては、上記第1実施形態の場合と同様に、荷重Fwによる弾性変形量が大きくなるように上限ストッパ21の緩衝材21bを構成しておく。また、この第1具体例においては、図12に破線で示すように、長い側(低音側)の黒鍵11bのためのハンマー16bの質量体16b3の質量Wh−Lを、上記第1実施形態の場合とは逆に、短い側(高音側)の黒鍵11bのための質量Wh−Sに比べて小さくしておく。それ以外の構成は上記第1実施形態において図3を用いて説明した黒鍵11bの構成と同じであるので、図3と同一符号を付して説明を省略する。
この第1具体例においても、上記第1実施形態の場合と同様に、ハンマー16bの質量体16b3の質量Whにより、黒鍵11bの離鍵時における上限ストッパ21の緩衝材21bが弾性変形して、緩衝材21bの変形量がごく僅かである場合(図示破線参照)に比べて、実線で示すように質量体16b3は下方に変位する。これにより、ハンマー16bは揺動中心軸周りに図示時計方向に若干回転し、基部16b1は上方に変位し、脚部Fb2は駆動部11b1を上方へ押し上げる。したがって、黒鍵11bは揺動中心軸周りに反時計方向に僅かに回転し、黒鍵11bの上面前端は上方へ若干変位する。
一方、黒鍵11bにあっては、上記第1実施形態において図8を用いて説明したように、緩衝材21bの弾性変形量がごく僅かであれば、黒鍵11bの上面前端は駆動部11b1よりも後方に位置するので、白鍵11wの場合とは逆に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端が短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端よりも高くなる。しかし、前述のように、長い側(低音側)の黒鍵11bのためのハンマー16bの質量体16b3の質量Wh−Lは、上記第1実施形態の場合とは逆に、短い側(高音側)の黒鍵11bのための質量Wh−Sに比べて小さいので、黒鍵11bの上面前端の上方への変位は、長い黒鍵11b(低音側の黒鍵11b)ほど小さくなる。
したがって、この第1具体例においても、複数の黒鍵11のためのハンマー16bの質量体16b3の質量Whと、上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重Fwに対する弾性変形量とを調整することにより、離鍵時における複数の黒鍵11bの上面前端の高さを同じにすることができ、鍵盤の外観を良好にできる。しかしながら、上記第1実施形態において図4を用いて説明した黒鍵11bのための質量体16w3の質量Whの変化曲線とは逆になり、黒鍵11bの押離鍵操作感覚があまり好ましいものではなくなる。
ただし、この場合も、図12に破線で示すように、黒鍵11b内に質量体31bを組付けておき、質量体31bの質量Wkを黒鍵11bの長さに応じて、すなわち音高に応じて異ならせることにより、静的荷重Fs及び動的荷重Faを黒鍵11bの長さ(音高)に応じて調整することも可能である。
e2.第2具体例
次に、黒鍵11bの駆動部11b1の緩衝材11b2の荷重Fwによる弾性変形量を大きくした第2具体例について、図13を用いて説明する。この第2具体例においても、第3実施形態の場合と同様に、黒鍵11bの駆動部11b1の荷重Fwによる弾性変形量が大きくなるように緩衝材11b2を構成する。なお、上限ストッパ21の緩衝材21bは荷重Fwに応じてほとんど弾性変形しないように構成されているとともに、ハンマー16bの揺動支点も変位しないように構成されている。また、この場合も、黒鍵11b内には質量体31bが組付けられている。この場合の質量体31bの質量Wkは、黒鍵11bの前後方向の長さが長くなるに従って、すなわち高音から低音に向かうに従って大きくなるように構成されている。ハンマー16w,16bは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通に構成されており、ハンマー16w,16bの質量体16w3の質量Whは全ての白鍵11w及び黒鍵11bについて共通である。それ以外の構成は上記第1実施形態において図3を用いて説明した黒鍵11bの構成と同じであるので、図3と同一符号を付して説明を省略する。
この第2具体例の場合、上記第3実施形態の場合と同様に、黒鍵11b内の質量体31bの質量Wkにより、黒鍵11bの離鍵時における駆動部11b1の緩衝材11b2が弾性変形して、緩衝材11b2の変形量がごく僅かである場合(図示破線参照)に比べて、実線で示すように、黒鍵11bの駆動部11b1及び前端部は下方に変位する。
一方、この場合も、前述のように、黒鍵11bにあっては、緩衝材11b2の弾性変形量がごく僅かであれば、白鍵11wの場合とは逆に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端が短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端よりも高くなる。しかし、この第2具体例においては、長い側(低音側)の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wk−Lは、上記第3実施形態の場合とは逆に、短い側(高音側)の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wk−Sに比べて大きいので、黒鍵11bの上面前端の下方への変位は、長い黒鍵11b(低音側の黒鍵11b)ほど大きくなる。したがって、複数の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wkと、駆動部11b1の緩衝材11b2の荷重Fwに対する弾性変形量とを調整することにより、離鍵時における複数の黒鍵11bの上面前端の高さを同じにすることができ、鍵盤の外観を良好にできる。
この場合も、上記第1乃至第4実施形態の場合と同様に、数値例を挙げておく。例えば、下記表8に示すように、長い側(低音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,3・Mとし、短い側(低音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ4・M,2・Mとする。この場合、長い側(低音側)の黒鍵11bの駆動部11b1の緩衝材11b2に与える荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ3・M,1・M,7・Mとなり、短い側(高音側)の黒鍵11bの駆動部11b1の緩衝材11b2に与える荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ2・M,2・M,6・Mとなる。これらの数値は、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端の高さと短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にするとともに、動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚を良好にするものであるが、静的荷重Fsに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、この第2具体例においても、押離鍵時の静的荷重Fsに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできるとともに、押離鍵時の動的荷重Faに関する操作感覚を良好にできる。
Figure 0006142725
e3.第2具体例の変形例
次に、ハンマー16bの質量体16b3を黒鍵11bの音高に応じて異ならせるようにした上記第2具体例の変形例について説明する。この場合、ハンマー16bの質量体16b3の質量Whを長い側(低音側)の黒鍵11bほど大きくして、異なる音高の黒鍵11bに対して、押離鍵操作時における静的荷重Fsを同じにするとともに、押離鍵操作時における動的荷重Faを長い側(低音側)の黒鍵11bほど大きくする。他の構成については、上記第2具体例の場合と同じである。
この変形例における具体的な数値例を挙げておく。例えば、下記表9に示すように、長い側(低音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−L,Wk−Lをそれぞれ4・M,3・Mとし、短い側(低音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−S,Wk−Sをそれぞれ3・M,2・Mとする。この場合も、上限ストッパ21の緩衝材21bの弾性変形量はごくわずかであって無視されるので、長い側(低音側)の黒鍵11bの駆動部11b1の緩衝材11b2に与える荷重Fw−L、静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lはそれぞれ3・M,1.M,7・Mとなり、短い側(高音側)の黒鍵11bの駆動部11b1の緩衝材11b2に与える荷重Fw−S、静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sはそれぞれ2・M,1.M,5・Mとなる。これによれば、上記第2具体例の場合と同様に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端の高さと短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができる。また、静的荷重Fsは長い側(低音側)の黒鍵11bと短い側(高音側)の黒鍵11bとで同じになり、動的荷重Faは長い側(低音側)の黒鍵11bで短い側(高音側)の黒鍵11bよりも大きくなるので、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を共に良好にできる。
Figure 0006142725
e4.第3具体例
次に、駆動部11b1の緩衝材11b2及びハンマー16bを揺動可能に支持ずる弾性支持部材18b2の荷重Fwによる弾性変形量を大きくした第3具体例について、図14を用いて説明する。この第4具体例においても、第4実施形態の場合と同様に、ハンマー16bの基部16b1に設けた貫通孔Hbの直径を大きくし、貫通孔Hbとハンマー支持部18bの突出部18b1との間に、荷重Fwに応じて弾性変形し易い円筒状の弾性支持部材18b2を介在させるようにしている。すなわち、ハンマー支持部18bの突出部18b1は、弾性支持部材18b2内に、その外周面を弾性支持部材18b2の内周面に当接するように挿入されている。前記緩衝材21b,11b2は多少弾性変形するが荷重Fwに応じてほとんど弾性変形しないように構成されており、それ以外の構成は、上記第2具体例と同じである。
この第3具体例の場合、上記第3実施形態の場合と同様に、黒鍵11b内の質量体31bの質量Wkにより、黒鍵11bの離鍵時における駆動部11b1の緩衝材11b2が弾性変形して、緩衝材11b2の変形量がごく僅かである場合(図示破線参照)に比べて、実線で示すように、黒鍵11bの駆動部11b1及び前端部は下方に変位する。
一方、この場合も、前述のように、黒鍵11bにあっては、弾性支持部材18b2の弾性変形量がごく僅かであれば、白鍵11wの場合とは逆に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端が短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端よりも高くなる。しかし、この第3具体例においても、前記第2具体例と同様に、長い側(低音側)の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wk−Lは、上記第4実施形態の場合とは逆に、短い側(高音側)の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wk−Sに比べて大きいので、黒鍵11bの上面前端の下方への変位は、長い黒鍵11b(低音側の黒鍵11b)ほど大きくなる。したがって、複数の黒鍵11b内の質量体31bの質量Wkと、駆動部11b1の弾性支持部材18b2の荷重Fwに対する弾性変形量とを調整することにより、離鍵時における複数の黒鍵11bの上面前端の高さを同じにすることができ、鍵盤の外観を良好にできる。
この第3具体例における黒鍵11bの上面前端の高さと質量体31bの質量Wkとの関係に関しては、上記第2具体例と同じであるので、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−L,Wk−L,Wh−S,Wk−Sの数値例としては、例えば、上述した第2具体例の場合と同様な表8に示すようにする。ただし、上記表8においては、駆動部11b1の荷重Fwではなく、ハンマー16bの支持部である弾性支持部材18b2に対する荷重Fw(表6中の括弧内参照)を用いる。したがって、この第3具体例においても、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の黒鍵11bに関する荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faは上記第2具体例の場合と同じになる。その結果、この第3具体例においても、上記第2具体例と同様に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端の高さと短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にできるとともに、動的荷重Faに関する押離鍵時の操作感覚も良好になる。ただし、この場合も、静的荷重Fsに関する押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。よって、この第3具体例によっても、押離鍵時の静的荷重Fsに関する操作感覚を重視しなければ、鍵盤装置の外観を良好にできるとともに、押離鍵時の動的荷重Faに関する操作感覚を良好にできる。
e5.第3具体例の変形例
次に、ハンマー16bの質量体16b3を黒鍵11bの音高に応じて異ならせるようにした上記第3具体例の変形例について説明する。この場合、上記第2具体例の変形例と同様に、ハンマー16bの質量体16b3の質量Whを長い側(低音側)の黒鍵11bほど大きくして、異なる音高の黒鍵11bに対して、押離鍵操作時における静的荷重Fsを同じにするとともに、押離鍵操作時における動的荷重Faを長い側(低音側)の黒鍵11bほど大きくする。他の構成については、上記第3具体例の場合と同じである。
この変形例における長い側(低音側)及び短い側(高音側)の黒鍵11bの質量体16b3,31bの質量Wh−L,Wk−L,Wh−S,Wk−Sの数値例としては、例えば、上述した第2具体例の変形例の場合と同様な表9に示すようにする。ただし、この場合も、上記表9においては、駆動部11b1の荷重Fwではなく、ハンマー16bの支持部である弾性支持部材18b2に対する荷重Fw(表9の括弧内参照)を用いる。したがって、この変形例においても、長い側(低音側)及び短い側(高音側)の黒鍵11bに関する荷重Fw、静的荷重Fs及び動的荷重Faは上記第2具体例の変形例の場合と同じになる。その結果、この変形例においても、上記第2具体例の変形例と同様に、長い側(低音側)の黒鍵11bの上面前端の高さと短い側(高音側)の黒鍵11bの上面前端の高さとを一致させて鍵盤装置の外観を良好にすることができるとともに、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を共に良好にできる。
f.第6実施形態
次に、ハンマー16wを用いない電子楽器の鍵盤装置に本発明を適用した第6実施形態について説明する。この第6実施形態においても、白鍵11wは、図15に示すように、その後端部にて、上記第1実施形態の場合と同様に、鍵フレーム12の鍵支持部13wに前端が上下方向に変位するように揺動可能に支持されているとともに、白鍵11wの下方であって鍵フレーム12の上板部12a上にスイッチSW1が設けられている。このスイッチSW1は、全ての白鍵11wについて、前後方向の同一位置に配置されて左右方向に延設されている。また、このSW1は、白鍵11wを押鍵操作したときに、白鍵11wの下方への変位を規制する下限ストッパの機能も兼用している。
さらに、この場合も、白鍵11wにおいては、前後方向の全長は低音側ほど長く、鍵支持部13wから白鍵11wの上面前端までの距離Lw2も低音側ほど長く設定されている。鍵支持部13wの突出部13w1及び白鍵11wに設けた貫通孔Kwも、全ての白鍵11wにおいて同一高さに設定されている。鍵フレーム12は、上板部12aの前端から下方に垂直に延設された前板部12g及び前板部12gの下端から前方へ水平に延設された底板部12hを有する。底板部12hの下面の高さと底板部12fの下面の高さは同じであり、底板部12hの下面も電子楽器のフレームFRに当接させて固定されている。
白鍵11wの前部下面には、下方に垂直に一体的に延設された垂直部11w3と、垂直部11w3の下端から後方に水平に一体的に延設された水平部11w4とが設けられている。白鍵11wの前端から垂直部11w3までの水平距離は全ての白鍵11wについて共通であり、垂直部11w3の上下方向の長さも、水平部11w4の水平方向の長さも、全ての白鍵11wについて共通である。垂直部11w3は鍵フレーム12の上板部12aに設けた開口部12a1を貫通して下方に延設されており、水平部11w4の上面は鍵フレーム12の上板部12aの下面に対向している。白鍵11wの下面と鍵フレーム12の上板部12aとの間には、白鍵11wを上方に付勢するスプリング32が設けられている。スプリング32の前後方向の位置及びスプリング32の弾性力(すなわち荷重に対する変形量)は、全ての白鍵11wについて共通である。なお、スプリング32に関しては、白鍵11の前端部を上方に付勢する弾性体であればよく、例えばスプリング32に代えてゴムを薄肉に湾曲させた付勢部材を用いることもできる。
上板部12aの下面には、白鍵11wの前端部の上方への変位を規制する上限ストッパ33が設けられている。上限ストッパ33は、ストッパレール33a及び緩衝材33bからなる。ストッパレール33aは、上板部12aの中間部の下面から下方へ突出していて、左右方向に延設されていて、白鍵11wの水平部11w4の上方に位置している。また、ストッパレール33aにおいては、上板部12aの下面からの突出量は左右方向に一定である。そして、ストッパレール33aの下端面には緩衝材33bが固着されている。緩衝材33bは、ゴム、フエルトなどの弾性変形する緩衝材によって構成した長尺状の部材である。緩衝材33bは、一端から他端に至るまで断面形状が同一である。ただし、この場合には、緩衝材33bは、上方への付勢力の大きさによって弾性変形量が異なるように構成されている。例えば、上記第1実施形態の上限ストッパ21の緩衝材21bの場合と同様に、緩衝材33bを、荷重の増加により変形量が大きな材料を用いて構成したり、荷重の増加により変形量が大きくなるように厚く形成したりする。
複数の白鍵11w内には、質量体34wがそれぞれ組み付けられている。質量体34wの質量Wkは、低音すなわち長い白鍵11wほど軽くなるように、音高に応じて異ならせてある。また、黒鍵11bに関しても、白鍵11wと同様に、鍵フレーム12の鍵支持部13bに前端が上下方向に変位するように揺動可能に支持されている。そして、黒鍵11bにおいても、前後方向の全長は低音側ほど長く、鍵支持部13bから白鍵11wの上面前端までの距離Lw2も低音側ほど長く設定され、白鍵11wの場合と同様に構成されている。しかし、黒鍵11bも鍵の形状が白鍵11wとは異なるだけで、他の構造は白鍵11wと同じであるので、黒鍵11bに図示省略する。
このように構成した第6実施形態においては、白鍵11wが押鍵されれば、白鍵11wの前端部はスプリング32の付勢力に抗して下方に変位する。そして、白鍵11wが離鍵されれば、白鍵11wの前端部はスプリング32の付勢力により上方へ変位し、白鍵11wの水平部11w4が上限ストッパ33に当接して白鍵11wの前端部の上方への変位が規制される。この場合も、緩衝材33bがほとんど弾性変形せず、複数の白鍵11wに対して共通であれば、揺動支点から垂直部11w3までの距離は白鍵11wの長さ(音高)に応じて異なり、離鍵時における白鍵11wの揺動支点を中心とした回転角度は白鍵11wが長いほど小さくなるので、上記第1実施形態で図6を用いて説明したように、白鍵11wの上面前端の高さは長い側(低音側)の白鍵11wほど低くなる。しかし、この第6実施形態では、低音側の白鍵11wの質量体34wの質量Wkが軽いので、上限ストッパ33の緩衝材33bの弾性変形量は低音側ほど大きくなって、白鍵11wの水平部11w4は低音側ほど上方へ変位した位置で停止するようになる。その結果、この第6実施形態においても、スプリング32の弾性力と、複数の白鍵11wの質量体34wの質量Wkとを調整することにより、複数の白鍵11wの上面前端の高さを一致させることができる。なお、黒鍵11bについても同様である。
しかし、この場合、長い白鍵11wの静的荷重Fs−L及び動的荷重Fa−Lは、短い白鍵11wの静的荷重Fs−S及び動的荷重Fa−Sよりも共に大きくなり、押離鍵時の操作感覚に関しては必ずしも好ましくない。したがって、この第6実施形態によっても、押離鍵時の静的荷重Fs及び動的荷重Faに関する操作感覚を重視しなければ、長い側(低音側)の白鍵11wの上面前端の高さと、短い側(高音側)の白鍵11wの上面前端の高さとを一致させるという鍵盤装置の外観を良好にできる。この点は、黒鍵11bについても同様である。
g.その他の変形例
さらに、本発明の実施にあたっては、上記各種実施形態及びそれらの各種変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
上記第2実施形形態、その第2及び第3変形例、第3実施形態及びその第1変形例、第4実施形態及びその第1変形例、並びに第6実施形態においては、音高に応じて異なる質量の質量体31wを白鍵11wに設けるように説明した。また、上記第5実施形態の第2及び第3具体例においては、音高に応じて異なる質量の質量体31bを黒鍵11bに設けるように説明した。すなわち、長さが異なる鍵11a,11bに対して異なる質量の質量体31w,31bを組付けて、質量体31w、31bに起因した緩衝材21b,11w2,11b2,33b又は弾性支持部材18w2,18b2の弾性変形量を鍵11a,11bの長さに応じて異ならせるように説明した。しかし、これに代えて、長さが異なる鍵11w、11bに対して、同じ質量の質量体31w,31bを用いても、質量体31w,31bの鍵11w,11bに対する取付け位置を異ならせれば(質量体31w,31bの重心位置を異ならせれば)、前記場合と同様な機能を達成できる。すなわち、緩衝材21b,11w2,11b2,33b又は弾性支持部材18w2,18b2の弾性変形量に対する影響は、鍵11w,11bの揺動支点から質量体31w,31bの重心位置までの距離と、質量体31w,31bの質量の積に関係するので、前記質量体31w,31bの質量を鍵11w,11bの長さに応じて異ならせてなくても、質量体31w,31bの鍵11w,11bに対する取付け位置すなわち重心位置を異ならせれば、質量体31w、31bに起因した緩衝材21b,11w2,11b2,33b又は弾性支持部材18w2,18b2の弾性変形量を鍵11w、11bの長さに応じて変更することができる。すなわち、上記説明において質量の大きな質量体31w,31bを必要とする場合には、鍵11w,11bの揺動支点である鍵支持部13w,13bから遠い位置に質量体31w,31bを組付けて、質量体31w,31bの重心位置を調整するようにすればよい。また、質量体31w,31bの質量を鍵11w,11bの長さに応じて異ならせることと、質量体31w、31bの取付け位置(重心位置)を鍵11w,11bの長さに応じて異ならせることとを組み合わせるようにしてもよい。
さらに、上記各種実施形態、各種変形例及び各種具体例においては、ハンマー16w、16bの質量体16w3,16b3の質量を音高に応じて異ならせるようにした例について説明した。しかし、この場合も、質量体16w3,16b3の質量を異ならせる代わりに、質量体16w3,16b3の形状を異ならせることにより、質量体16w3,16b3の重心位置を音高に応じて異ならせるようにしてもよい。すなわち、この場合も、質量の大きな質量体16w3,16b3を必要とする場合には、ハンマー16w,16bの揺動支点であるハンマー支持部18w,18bから遠い位置に、重心位置がある質量体16w3,16b3を用いればよい。また、この場合も、質量体16w3,16b3の質量を異ならせることと、質量体16w3,16b3の重心位置を異ならせることとを組み合わせるようにしてもよい。
上記第1及び第2実施形態及びそれらの変形例では上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重に対する弾性変形量を大きくして複数の白鍵11wの上面前端の高さの一致を図り、上記第3実施形態及びその変形例では駆動部11w1の緩衝材11w2の荷重に対する弾性変形量を大きくして複数の白鍵11wの上面前端の高さの一致を図り、上記第4実施形態及びその変形例では荷重に対する弾性変形量を大きくした弾性支持部材18w2をハンマー支持部18wに設けて複数の白鍵11wの上面前端の高さの一致を図った。しかし、これらの3つ方法のうちの異なる2つの方法又は3つの方法を組み合わせて、複数の白鍵11wの上面前端の高さの一致を図ってもよい。特に、前記第3及び第4実施形態に係る方法は、質量体31wの質量Wkを長い側(低音側)の白鍵11wほど小さくする点で一致し、かつ質量体31wの質量Wkの変化は緩衝材11w2及び弾性支持部材18w2の両者に影響するので、これらの方法を組み合わせることは有効である。
また、黒鍵11bに関しては、上記第5実施形態の第1具体例では上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重に対する弾性変形量を大きくして複数の黒鍵11bの上面前端の高さの一致を図り、上記第5実施形態の第2具体例では駆動部11b1の緩衝材11b2の荷重に対する弾性変形量を大きくして複数の黒鍵11bの上面前端の高さの一致を図り、上記第5実施形態の第3具体例では荷重に対する弾性変形量を大きくした弾性支持部材18b2をハンマー支持部18bに設けて複数の白鍵11wの上面前端の高さの一致を図った。この場合も、これらの3つ方法のうちの異なる2つの方法又は3つの方法を組み合わせて、複数の黒鍵11bの上面前端の高さの一致を図ってもよい。また、この場合も、前記第2及び第3具体例に係る方法は、質量体31bの質量Wkを長い側(低音側)の黒鍵11bほど大きくする点で一致し、かつ質量体31bの質量Wkの変化は緩衝材11b2及び弾性支持部材18b2の両者に影響するので、これらの方法を組み合わせることは有効である。
また、上記第1乃至第6実施形態及びそれらの変形例においては、白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の長さを低音から高音に向かうに従って徐々に短くするようにした。しかし、これに代えて、複数の鍵域ごとに、例えば低音域、中音域及び高音域ごとに、白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の長さを異ならせた鍵盤装置にも、本発明は適用できる。例えば、白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の長さを低音域から高音域に向かうに従って徐々に短くした鍵盤装置にも本発明は適用される。また、頻繁に押離鍵操作される中音域の白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の長さを長くし、頻繁に押離鍵操作されない低音域及び高音域の白鍵11w及び黒鍵11bの前後方向の長さを短くした鍵盤装置にも本発明は適用できる。これらの場合も、鍵構造は上記第1乃至第6実施形態の場合と同じであり、ハンマー16w,16bの質量体16w3,16b3の質量Whと、白鍵11w及び黒鍵11bに組み付けられる質量体31w,31bの質量Wkに関しても、上記第1乃至第6実施形態の場合の鍵の長さに応じて異ならせるようにして、離鍵時における白鍵11w又は黒鍵11bの上面前端を一致させるようにする。
また、上記第1乃至第5実施形態及びそれらの変形例においては、白鍵11w及び黒鍵11bの駆動部11w1,11b1の前後方向の位置を共に同じにするとともに、白鍵11w及び黒鍵11b用のハンマー16w,16bの揺動中心の前後方向の位置を同じにした。これにより、離鍵時から最大押鍵時までの全てのハンマー16w,16bの揺動角は同じであって、離鍵時から最大押鍵時までの全ての駆動部11w1,11b1の変化範囲も同じであり、かつ白鍵11wの上面前端部(操作部)は駆動部11w1の前方に位置するとともに、黒鍵11bの見え掛り部の上面前端部(操作部)は駆動部11b1の後方に位置して、白鍵11wの上面前端部(操作部)と黒鍵11bの見え掛り部の上面前端部(操作部)との間には比較的大きな距離が存在する。したがって、上記第1乃至第5実施形態では、黒鍵11bの見え掛り部の上面前端部の変化範囲は、白鍵11wの上面前端部(操作部)の変化範囲はよりも小さくなる。
そこで、上記第1乃至第5実施形態及びそれらの変形例に代えて、黒鍵11b用のハンマー16bの基部16b1を前方に延長した構成として、黒鍵11bの駆動部11b1の前後方向の位置を白鍵11wの駆動部11w1の前後方向の位置よりも前方にするとよい。その他の構成に関しては、上記第1乃至第5実施形態の場合と同じである。これによれば、離鍵時から最大押鍵時までの駆動部11b1の変化範囲を、離鍵時から最大押鍵時までの駆動部11w1の変化範囲よりも大きくすることができる。したがって、この場合には、黒鍵11bの見え掛り部の上面前端部の変化範囲を大きくすることができて、白鍵11wの上面前端部(操作部)の変化範囲と同じ又は近づけることができる。その結果、白鍵11wと黒鍵11bの押鍵における深さ感覚を同じ又は近似させることができて、押鍵操作感覚をより良好にできる。
また、黒鍵11b用のハンマー支持部18bを白鍵11w用のハンマー支持部18wよりも後方に位置させて、黒鍵11b用のハンマー16bの揺動中心の前後方向の位置を白鍵11w用のハンマー16wの揺動中心の前後方向の位置よりも後方にしてもよい。その他の構成に関しては、上記第1乃至第5実施形態の場合と同じである。これによれば、離鍵時から最大押鍵時までのハンマー16bの揺動角が離鍵時から最大押鍵時までのハンマー16wの揺動角よりも大きくなり、離鍵時から最大押鍵時までの黒鍵11bの駆動部11b1の変化範囲を離鍵時から最大押鍵時までの白鍵11wの駆動部11w1の変化範囲よりも大きくすることができる。したがって、この場合も、黒鍵11bの見え掛り部の上面前端部の変化範囲を大きくすることができて、白鍵11wの上面前端部(操作部)の変化範囲と同じ又は近づけることができる。その結果、白鍵11wと黒鍵11bの押鍵における深さ感覚を同じ又は近似させることができて、押鍵操作感覚をより良好にできる。
また、上記第1乃至第5実施形態及びそれらの変形例においては、黒鍵11bの駆動部11b1は、見え掛り部の前端よりも前方に設けられているが、駆動部11b1が、見え掛り部の前端の直下に設けられていてもよいし、白鍵11wと同様に、駆動部11b1を見え掛り部の前端よりも後方に設けてもよい。これらの場合も、黒鍵11bの長さに応じて、上限ストッパ21の緩衝材21bの荷重に対する弾性変形量、駆動部11w1の緩衝材11w2の荷重に対する弾性変形量、又はハンマー支持部18wに設けた弾性支持部材18w2の荷重に対する弾性変形量を調整するとともに、ハンマー16bの質量体16b3の質量Wh又は黒鍵11b内の質量体31bの質量Wkを調整して、複数の黒鍵11bの上面前端の高さを一致させるようにする。
また、上記第1乃至第6実施形態及びそれらの変形例においては、スイッチSW1を、駆動部11w1,11b1の後方に設けたが、駆動部11w1,11b1の前方に設けてもよい。この場合、例えば、前板部12dの上端部から前方又は後方へ延設された水平部を設け、この水平部に、回路基板23を組み付ければよい。そして、スイッチ駆動部AC1を、駆動部11w1,11b1の前方かつスイッチSW1の上方に設ければよい。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、スイッチSW1に代えて、又は加えて、光センサ、磁気センサ、静電容量センサ、感圧センサなどを用いて、鍵の押離鍵状態を検出してもよい。
また、上記第1乃至第5実施形態及びそれらの変形例においては、質量体16w3及び質量体16b3を連結棒16w2及び連結棒16b2の後端に組み付けているが、質量体16w3及び質量体16b3を組み付けるのではなく、連結棒16w2及び連結棒16b2の先端を前側に折り返すことにより、ハンマー16w及びハンマー16bの後端に質量を集中させるようにしてもよい。そして、折り返す部分の長さを調整することにより、ハンマー16w及びハンマー16bの後端部の質量を調整すればよい。さらに、白鍵11w及び黒鍵11bの揺動支点については、上記第1乃至第5実施形態及びそれらの変形例において説明したように、回転軸を中心として揺動するものに限らず、白鍵11w及び黒鍵11bの後端に板状の薄肉部を設け、薄肉部の後端を支持部材に支持させることにより、薄肉部の弾性変形により白鍵11w及び黒鍵11bを揺動させるようにしたヒンジ型の揺動支点を利用するものでもよい。
11w…白鍵、11b…黒鍵、11w1,11b1…駆動部、11w2,11b2…緩衝材、12…鍵フレーム、13w,13b…鍵支持部、16w,16b…ハンマー、16w1,16b1…基部、16w2,16b2…連結棒、16w3,16b3…質量体、18w,18b…ハンマー支持部、18w2,18b2…弾性支持部材、20…下限ストッパ、21,33…上限ストッパ、20b,21b,33b…緩衝材、FR…フレーム

Claims (8)

  1. フレームに揺動可能に支持されて押離鍵操作に応じて所定の揺動範囲内で揺動する複数の鍵であって、前後方向の長さが異なるとともに揺動中心から前端までの長さが異なる少なくとも2種類の鍵を含む複数の鍵と、
    前記複数の鍵に対してそれぞれ設けられ、前記複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第1質量体と、
    前記複数の鍵に直接的又は間接的に係合して荷重に応じて変形量を異ならせる弾性部材とを備え、
    離鍵時に前記複数の第1質量体の質量に応じて前記弾性部材を変形させて、離鍵時における前記2種類の鍵の上面前端の高さが一致するように、前記弾性部材の変形量と前記複数の第1質量体の質量又は重心位置とを調整したことを特徴とする電子楽器の鍵盤装置。
  2. 請求項1に記載した電子楽器の鍵盤装置において、さらに、
    前記複数の鍵にそれぞれ連動して所定の揺動範囲内で揺動する複数の揺動部材を備え、
    前記複数の第1質量体を前記複数の揺動部材にそれぞれ設け、
    前記弾性部材を前記揺動部材の揺動を離鍵時に停止させるストッパ部材で構成した電子楽器の鍵盤装置。
  3. 請求項2に記載した電子楽器の鍵盤装置において、さらに、
    前記複数の鍵にそれぞれ組み付けられ、前記複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第2質量体を設けた電子楽器の鍵盤装置。
  4. 請求項1に記載した電子楽器の鍵盤装置において、さらに、
    前記複数の鍵にそれぞれ連動して所定の揺動範囲内で揺動する複数の揺動部材を備え、
    前記複数の第1質量体を前記複数の鍵にそれぞれ設け、
    前記弾性部材を、前記複数の鍵と前記複数の揺動部材との係合部に設けられて荷重に応じて弾性変形する係合部材、又は前記複数の揺動部材を揺動可能に支持する部位に設けられて荷重に応じて弾性変形する支持部材で構成した電子楽器の鍵盤装置。
  5. 請求項4に記載した電子楽器の鍵盤装置において、さらに、
    前記複数の揺動部材にそれぞれ組み付けられ、前記複数の鍵の押離鍵操作に対して負荷をそれぞれ付与する複数の第2質量体を設けた電子楽器の鍵盤装置。
  6. 請求項1に記載した電子楽器の鍵盤装置において、
    前記複数の第1質量体を前記複数の鍵にそれぞれ設け、
    前記弾性部材を前記複数の鍵を離鍵時に直接的に停止させるストッパ部材で構成した電子楽器の鍵盤装置。
  7. 請求項1乃至6のうちのいずれ一つに記載した電子楽器の鍵盤装置において、
    前記複数の鍵を、低音側の鍵の前後方向の長さが高音側の鍵の前後方向の長さよりも長くなるように構成した電子楽器の鍵盤装置。
  8. 請求項1乃至7のうちのいずれ一つに記載した電子楽器の鍵盤装置において、
    前記複数の鍵は白鍵である電子楽器の鍵盤装置。
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