JP6142454B2 - 無線通信装置、収容予測装置、境界情報取得装置、収容予測方法、境界情報取得方法、及びプログラム - Google Patents

無線通信装置、収容予測装置、境界情報取得装置、収容予測方法、境界情報取得方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、無線通信の収容可否に関する予測を行う無線通信装置等に関する。
近年、無線LANやBluetooth(登録商標)等のISM帯を用いた無線通信システムの普及に伴い、これを利用したアプリケーションが様々な分野において急激に発展してきている。このようなアプリケーションを収容する無線システムにおいては、各アプリケーションが要求する運用品質の充足、無線ノード数のスケーラビリティ等が求められる。
無線ノード数やノード間距離等が時々刻々変化する自律分散無線通信システムが複数存在する環境下において、より多くのアプリケーション要求の充足を実現するための動的無線通信システムの検討が行われている(例えば、非特許文献1参照)。このチャネルアクセス方式としては、他の無線システムとの共存の容易性、及び収容ノード数のスケーラビリティ確保等の観点から、IEEE802.11をベースにしたCSMA/CA方式が想定されている。
矢野一人、宇野雅博、宮坂朋宏、大島浩嗣、田中義三、村上憲一、山本剛史、山本裕嗣、岡田洋侍、小林聖、「QoE充足度を制御指標にした医療・災害向けM2M動的無線通信ネットワーク構築技術の研究開発」、2013年信学総大,BT−3−2,2013年3月
従来の802.11システムにおいては、個々の無線基地局(AP:アクセスポイント)や無線端末装置(STA:ステーション)が各々リソースを確保しようとする。そのため、自システムの利用可能な無線リソースが十分得られない状態であっても、無線リソースの限界以上のアプリケーショントラフィックを流そうとする状況が生じ得るが、そのような状況に陥った場合はシステム全体の品質が連鎖的に悪化するという問題がある。したがって、開始しようとする無線通信の収容可能性に関する予測を行いたいという要望があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その一の目的は、無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可能性に関する予測を行うことができる無線通信装置等を提供することである。また、他の目的は、そのような予測で用いる境界情報を取得する装置等を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明による収容予測装置は、無線通信装置が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する自セル利用状況取得部と、自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する他セル利用状況取得部と、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況を用いて、自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する関係式特定部と、自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況と、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況との境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報と、関係式特定部が特定した関係式と、自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う予測部と、を備えたものである。
このような構成により、自セル現在利用状況や他セル現在利用状況等を用いることにより、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可能性に関する予測を行うことができる。その結果、例えば、新たな無線通信を開始する際に、所望のスループットで無線通信を行うことができるのかどうかを知ることができるようになる。
また、本発明による収容予測装置では、予測部は、自セルにおける無線通信のオファードロードを変動させた後の自セル利用状況を用いて、オファードロードの変動に応じた無線通信の収容可否について判断してもよい。
このような構成により、オファードロードの変動に応じて無線通信を収容できるかどうかを判断することができるようになる。例えば、無線リソースの収容限界を超えた追加のオファードロードに対しては収容不可であると判断でき、システム全体の通信品質を悪化させることを回避することもできる。
また、本発明による収容予測装置では、自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する情報である追加可能情報を取得してもよい。
このような構成により、予測結果を用いて、例えば、あとどれぐらいのオファードロードを追加してもよいかを知ることができるようになる。
また、本発明による収容予測装置では、自セル利用状況取得部は、自セルにおける無線通信のオファードロードに応じて、自セル現在利用状況を算出してもよい。
このような構成により、自セル現在利用状況を、実測ではなく計算により算出することができるようになる。
また、本発明による収容予測装置では、自セルの通信状況を取得する通信状況取得部をさらに備え、予測部は、通信状況取得部が取得した通信状況に応じた境界情報を用いて予測を行ってもよい。
例えば、自セルの無線端末装置の数や伝送レート等の通信状況に応じて境界情報が変わりうるため、このような構成により、自セルの通信状況に応じた境界情報を用いて予測を行うことによって、より通信状況に適合した予測結果を得ることができる。
また、本発明による収容予測装置では、自セルの通信状況を取得する通信状況取得部をさらに備え、関係式特定部は、通信状況取得部が取得した通信状況に応じた関係式を特定してもよい。
例えば、自セルの無線端末装置の数や伝送レート等の通信状況に応じて関係式が変わりうるため、このような構成により、自セルの通信状況に応じた関係式を用いて予測を行うことによって、より通信状況に適合した予測結果を得ることができる。
また、本発明による無線通信装置では、収容予測装置と、無線通信を行う通信部と、予測部による予測結果に応じて、通信部が行う無線通信に関する無線リソースの割り当てを制御する制御部と、を備えてもよい。
このような構成により、予測結果に応じた無線リソースの割り当て制御を行うことができ、無線リソースの収容限界以上に無線リソースの割り当てを行うことを回避することができる。
また、本発明による境界情報取得装置は、無線通信装置が無線通信を行う自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、自セルと干渉しうる他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況とのペアである利用状況ペアと、利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する利用状況取得部と、利用状況取得部が取得した、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する境界情報取得部と、境界情報取得部が取得した境界情報を出力する出力部と、を備えたものである。
このような構成により、例えば、上述の収容予測装置等で用いる境界情報を生成することができる。
本発明による無線通信装置等によれば、例えば、無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可能性に関する予測を行うことができる。
本発明の実施の形態1による無線通信装置の構成を示すブロック図 同実施の形態による収容予測装置の動作を示すフローチャート 同実施の形態におけるシミュレーションのノード配置例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの総オファードロードと他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 802.11gのデータフレームフォーマットを示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの実効スループットとの関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの実効スループットとの関係の一例を示す図 同実施の形態における関係式の傾きと関係式の切片との関係の一例を示す図 同実施の形態における検証結果を示す図 同実施の形態におけるシミュレーション結果である自セルの無線リソース利用率と他セルの無線リソース利用率との関係の一例を示す図 同実施の形態による無線通信装置の構成の他の一例を示すブロック図 本発明の実施の形態2による境界情報取得装置の構成を示すブロック図 同実施の形態による境界情報取得装置の動作を示すフローチャート 上記各実施の形態におけるコンピュータシステムの外観一例を示す模式図 上記各実施の形態におけるコンピュータシステムの構成の一例を示す図
以下、本発明による無線通信装置、及び境界情報取得装置について、実施の形態を用いて説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素及びステップは同一または相当するものであり、再度の説明を省略することがある。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による無線通信装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による無線通信装置は、自セルにおいて無線通信の利用状況が増加する場合において、収容可能性に関する予測を行うものである。
図1は、本実施の形態による無線通信装置1の構成を示すブロック図である。本実施の形態による無線通信装置1は、収容予測装置2と、通信部11と、制御部12と、処理部13とを備える。また、図1において、収容予測装置2は、自セル利用状況取得部21と、他セル利用状況取得部22と、関係式特定部23と、予測部24とを備える。なお、無線通信装置1は、例えば、アクセスポイント(AP)のような無線基地局であってもよく、ステーション(STA)のような無線端末装置であってもよい。無線端末装置1は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等であってもよい。また、本実施の形態では、無線通信装置1が、自律分散無線通信システムにおいて無線通信を行う場合について主に説明する。また、本実施の形態では、その無線通信が無線LANの通信である場合について主に説明するが、それに限定されるものではない。
自セル利用状況取得部21は、無線通信装置1が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する。この自セル現在利用状況は、自セルにおける最新の自セル利用状況であってもよく、最新の自セル利用状況と同一視することができる程度新しい自セル利用状況であってもよい。なお、自セル利用状況とは、自セルの無線リソース利用状況である。自セルとは、無線通信装置1が属するセルのことである。無線通信装置1が無線基地局である場合には、無線基地局である無線通信装置1と無線通信を行う無線端末装置の範囲が自セルとなる。また、無線通信装置1が無線端末装置である場合には、無線通信装置1が無線通信を行う無線基地局と無線通信を行う無線端末装置の範囲が自セルとなる。その範囲に、無線通信装置1も含まれていることは当然である。無線リソース利用状況とは、無線リソースの時間方向の利用状況のことであり、無線リソースの時間方向の利用率であってもよく、単位時間あたりの無線リソースの利用時間であってもよく、無線リソースの時間方向の利用状況を示すその他の情報であってもよい。この利用状況は、例えば、利用状況の代表値であってもよい。代表値は、例えば、平均値であってもよく、中間値であってもよい。自セルの無線リソースの利用率は、自セルに属する装置が無線通信を行った時間を、その無線通信の観測時間で割った値である。自セルの無線リソースの利用時間は、単位時間である観測期間中に自セルに属する装置が無線通信を行った時間である。なお、無線通信の行われている時間に、無線信号に含まれる無線信号の予定使用期間(NAV期間:Network Allocation Vector期間)を含めてもよく、または、含めなくてもよい。また、無線リソース利用状況は、通常、周波数帯域ごとの情報であり、具体的には、チャネルごとの情報であってもよい。以下、本実施の形態では、一つのチャネルの無線リソース利用状況について主に説明を行うものとする。これらのことは、後述する他セルの無線リソース利用状況についても同様である。
自セル利用状況取得部21は、キャリアセンスに応じて自セル現在利用状況を取得してもよく、自セルにおける無線通信のオファードロード(offered load)に応じて、自セル現在利用状況を算出してもよく、または、他の装置から自セル現在利用状況を受け取ってもよい。キャリアセンスに応じて自セル現在利用状況を取得する場合には、センシング結果において、自セルの無線信号と他セルの無線信号とを区別する必要がある。通常、自セルの無線信号については、無線通信装置1で復調できるため、復調を行うことによって、自セルの無線信号と他セルの無線信号とを区別してもよい。なお、無線通信装置1において必須レートである伝送レートの無線信号しか復調できない場合には、オプションレートである伝送レートの無線信号を復調することができないが、その場合には、例えば、必須レートで送信される制御信号(例えば、RTSやCTS、ACK等)を用いて、自セルの無線信号かどうかを判断するようにしてもよい。オファードロードとは、無線通信を行う装置が実際に伝送しようとするトラフィック量のことである。その装置は、無線通信装置1であってもよく、または自セルに属する他の装置であってもよい。オファードロードは、アプリケーション層の要求データレートであると考えてもよい。例えば、あるアプリケーションが10Mb/sの無線通信を要求する場合には、オファードロードは、「10Mb/s」である。自セル利用状況取得部21は、例えば、自セルのオファードロードを、他の装置から受け取ってもよく、または、予測してもよい。前者の場合としては、例えば、無線基地局である無線通信装置1が、自セル内の各無線端末装置からオファードロードを受信する場合や、無線端末装置である無線通信装置1が、自セルの無線基地局から自セルのオファードロードを受信する場合などがある。また、予測する場合には、例えば、自セルのトラフィックパターンに基づいて、アプリケーショントラフィックを推定する場合(例えば、ある無線通信について、U(Kb/s)のVoIPであると推定する場合等)や、自セルの各トラフィックのスループットを推定し、そのスループットを自セルのオファードロードとする場合などがある。なお、オファードロードを用いて自セル現在利用状況を算出する場合には、そのオファードロードに応じたトラフィックの伝送レートやパケットサイズ等の情報も必要となる。その伝送レート等については、例えば、無線端末装置である無線通信装置1は、自セルの無線基地局から受信してもよい。また、無線基地局である無線通信装置1は、当然、各無線端末装置との無線通信の伝送レート等を知っていることになる。また、無線通信装置1は、自セルの無線通信を観測することにより、伝送レートやパケットサイズを取得することもできる。オファードロードや伝送レート等を用いて自セル現在利用状況を算出する方法については後述する。他の装置から自セル現在利用状況を受け取る場合には、例えば、無線端末装置である無線通信装置1が、無線基地局から自セル現在利用状況を受信してもよい。取得された自セル現在利用状況は、図示しない記録媒体で一時的に記憶されてもよい。
他セル利用状況取得部22は、自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する。この他セル現在利用状況は、他セルにおける、最新の他セル利用状況であってもよく、最新の他セル利用状況と同一視することができる程度新しい他セル利用状況であってもよい。なお、他セル利用状況とは、他セルの無線リソース利用状況である。他セルは、1個のセルであってもよく、2個以上のセルであってもよい。他セルは、自セルに対する干渉セルであり、例えば、自セルと隣接する他のセルである。他セル利用状況取得部22は、キャリアセンスに応じて他セル現在利用状況を取得してもよく、または、他の装置から他セル現在利用状況を受け取ってもよい。キャリアセンスに応じて他セル現在利用状況を取得する場合には、他セル利用状況取得部22は、例えば、センシング結果から得られた無線リソースの利用期間から、自セルの通信期間を除いた期間を用いて、現在の無線リソース利用率や現在の無線リソース利用時間を算出してもよい。センシング結果において自他セルの通信を区別する方法は、上述の通りである。また、センシング結果を用いて他セル現在利用状況を取得する場合には、他セル利用状況取得部22は、自セルと他セルとの両方に対応する無線リソース利用状況(すなわち、すべての無線リソース利用状況)から、自セル利用状況取得部21が取得した自セル現在利用状況を減算した無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得してもよい。また、他の装置から他セル現在利用状況を受け取る場合には、例えば、無線端末装置である無線通信装置1が、無線基地局から他セル現在利用状況を受信してもよい。
関係式特定部23は、自セル利用状況取得部21が取得した自セル現在利用状況、及び他セル利用状況取得部22が取得した他セル現在利用状況を用いて、自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する。自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況を通る、自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す関係式は、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況に応じて変化するものである。具体的には、線形な関数である関係式の傾きや切片が、出発点である自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況に応じて変化する。したがって、関係式特定部23は、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況を用いて、両者を通過する自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す関係式を特定することになる。この関係式は、例えば、図7Bにおいて、左下から右上方向に延びる直線を示す式である。後述するように、この関係式は、
y=a(x+c) (1)
と記載できる。なお、xは自セル利用状況であり、yは他セル利用状況であり、cは、あらかじめ決められた定数であり、aは、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況によって決まる係数である。ここで、係数aは、通常、正の値である。自セル利用状況の増加に応じて無線信号の衝突が増え、それに応じて他セル利用状況も増加すると考えられるためである。上記(1)式から、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況がそれぞれ、xcur、ycurである場合には、関係式特定部23は、
a=ycur/(xcur+c) (2)
のように係数aの値を決定することができ、その結果、関係式である(1)式を特定できる。なお、関係式を特定するとは、結果として、関係式が特定されればよいという意味である。したがって、関係式特定部23は、関係式を特定するため、例えば、(1)式における係数aを特定してもよく、(1)式そのものを特定してもよい。係数や式を特定するとは、係数等を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよい。
予測部24は、図示しない記録媒体で記憶されている境界情報と、関係式特定部23が特定した関係式と、自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う。その予測は、例えば、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可否に関する予測であってもよく、自セルの無線リソース利用状況が減少する場合における無線通信の収容可否に関する予測であってもよく、他セルの無線リソース利用状況が増加または減少する場合における無線通信の収容可否に関する予測であってもよい。本実施の形態では、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可否に関する予測について主に説明し、それ以外の予測については後述する。なお、収容可否とは、伝送しようとするすべてのトラフィックが所望の伝送品質を満たすことができるかどうかを意味している。すなわち、収容可能である場合には、無線通信の各トラフィックにおいて、所望の伝送品質が満たされることになる。一方、収容不可能である場合には、無線通信の少なくともいずれかのトラフィックにおいて、所望の伝送品質が満たされないことになる。次に、境界情報について説明する。図7Aでは、後述するように、自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況(自セルの仮想無線リソース利用率)及び他セル利用状況(干渉セルの無線リソース利用率)を○でプロットしており、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況を×でプロットしている。例えば、スループットがオファードロードに応じた閾値より大きい場合に、収容可能であるとし、そうでない場合に収容不可能であるとしてもよい。オファードロードに応じた閾値は、例えば、オファードロードそのものであってもよく、オファードロードに、1に近い値をかけたものであってもよい。境界線Bは、○と×との境界を示す線である。その境界線Bを決定するアルゴリズムは問わない。SVM(Support Vector Machine)のように、マージンを最大化する線形分類器を用いて境界線Bを設定してもよく、その他の方法を用いて、境界線Bを設定してもよい。その境界線Bに応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す情報が境界情報である。したがって、上述のように、xを自セル利用状況とし、yを他セル利用状況とした場合には、境界線Bに対応する式である
y=F(x) (3)
を境界情報としてもよい。その関数Fは、図7Aで示されるように線形な関数であってもよい。例えば、p、qが任意の実数である場合に、F(x)=px+qとなってもよい。そのような場合に、境界情報は、p、qを示す情報であってもよい。本実施の形態では、境界情報が、線形な関数である場合について主に説明する。なお、境界線Bに対して、○の側のことを収容可能側や内側と呼び、×の側のことを収容不可能側や外側と呼ぶことがある。
なお、予測部24は、境界情報や関係式を直接的に用いて予測を行ってもよく、または、間接的に用いて予測を行ってもよい。直接的に用いるとは、予測部24が、境界情報そのものや、関係式そのものを予測に直接用いることである。間接的に用いるとは、予測部24が、境界情報に応じた式や、関係式に応じた式を用いることである。
予測部24による無線通信の収容可否に関する予測は、無線通信を追加して収容できるかどうかの予測や、無線通信をどこまで収容できるかの予測等である。具体的には、予測部24が行う予測は、(A)追加のオファードロードに応じた無線通信の収容可否に関する予測であってもよく、(B)自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する予測であってもよく、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合の無線通信の収容可否に関するその他の予測であってもよい。以下、その(A)、(B)の予測について、説明する。
(A)追加のオファードロードに応じた無線通信の収容可否に関する予測
予測部24は、自セルにおける無線通信の追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況を用いて、追加のオファードロードに応じた無線通信の収容可否について判断してもよい。追加のオファードロードは、今後、追加したいオファードロードのことである。追加のオファードロードは、例えば、現在は無線通信を行っていないが、新たに無線通信を開始したいアプリケーションのオファードロードであってもよく、現在の無線通信よりもトラフィックを増やしたいアプリケーションの増加分のオファードロードであってもよい。その追加のオファードロードが無線通信装置1のオファードロードである場合には、予測部24は、例えば、処理部13等から、追加のオファードロードを受け取ってもよい。予測部24は、処理部13等から、その追加のオファードロードと共に、伝送レートやパケットサイズも受け取ってもよい。また、その追加のオファードロードが自セルに属する他の装置のオファードロードである場合には、予測部24は、例えば、通信部11を介して、他の装置から追加のオファードロードを受け取ってもよい。予測部24は、他の装置から、その追加のオファードロードと共に、伝送レートやパケットサイズも受け取ってもよい。なお、伝送レートやパケットサイズは、後述するように、オファードロードから無線リソース利用状況を算出するために必要となる情報である。また、追加のオファードロードが2以上ある場合には、それぞれについて予測の処理を行ってもよく、または、それらをあわせたものについて予測の処理を行ってもよい。
予測部24は、追加のオファードロードを受け取ると、その追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況を算出する。例えば、自セルにおける無線通信の現在のオファードロードが分かっている場合には、予測部24は、その現在のオファードロードと、追加のオファードロードとに対応する自セル利用状況を、後述する方法によって算出してもよい。また、予測部24は、例えば、自セル現在利用状況と、追加のオファードロードに対応する無線リソース利用状況とをあわせることによって、追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況を予測してもよい。この自セル利用状況は、過負荷でないと仮定した場合の利用状況である。なお、予測した自セル利用状況は、自セル現在利用状況と、追加のオファードロードに対応する無線リソース利用状況とを単に加算した結果であってもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、追加のオファードロードに応じた無線通信を行うことによって増加する干渉を考慮してもよい。その場合には、追加のオファードロードを追加した後の予測した自セル利用状況は、通常、両者を単に加算した結果よりも大きい値となる。
予測部24は、追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況が求まると、その自セル利用状況に対応する他セル利用状況を、関係式特定部23が特定した関係式を用いて計算する。具体的には、追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況がx1であれば、上記(1)、(2)式を用いることによって、次式のように、追加のオファードロードに応じた他セル利用状況y1を算出できる。
y1=a(x1+c) (4)
=ycur(x1+c)/(xcur+c)
したがって、予測部24は、追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況x1と他セル利用状況y1とが、境界情報で示される境界の収容可能側に存在するのか、または収容不可能側に存在するのかによって、収容の可否を判断することができる。すなわち、x1,y1が収容可能側に存在する場合には、追加のオファードロードに応じた無線通信を収容できることになり、x1,y1が収容不可能側に存在する場合には、追加のオファードロードに応じた無線通信を収容できないことになる。この場合には、関係式を直接的に用いていることになる。また、例えば、予測部24は、
a(x1+c)−F(x1) (5)
=ycur(x1+c)/(xcur+c)−F(x1)
を計算し、その結果が負の値である場合には、収容可能であると判断し、その結果が正の値である場合には、収容不可能であると判断してもよい。この場合には、予測部24は、境界情報や関係式を間接的に用いることになりうる。なお、その結果が0である場合には、収容可能であると判断してもよく、または、収容不可能であると判断してもよい。その判断結果は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
(B)自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する予測
予測部24は、自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に対応する無線リソース利用状況を取得してもよい。そして、予測部24は、その取得した無線リソース利用状況を用いて、自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する情報である追加可能情報を取得してもよい。その追加可能情報は、追加して収容可能な無線通信に対応する無線リソース利用状況そのものであってもよく、その無線リソース利用状況をオファードロードや、その他の情報(例えば、自セルに追加して収容可能な無線端末装置の数など)に変換したものであってもよい。後述するように、伝送レートやパケットサイズが分かっていれば、無線リソース利用状況をオファードロードに変換できるため、予測部24は、無線リソース利用状況や伝送レート等を用いることによって、オファードロードである追加可能情報を取得してもよい。境界情報の示す境界が、収容限界を示すため、(2)式と、(3)式との交点を求めることによって、現在の無線リソース利用状況に対して追加して収容可能な無線リソース利用状況を取得することができる。具体的には、予測部24は、関係式特定部23が特定した関係式と、境界情報の示す境界との交点の自セル利用状況を取得する。そして、その自セル利用状況から、自セル利用状況取得部21が取得した自セル現在利用状況を減算した値が、自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に対応する無線リソース利用状況となる。なお、自セル内での無線リソース利用状況の増加に応じた干渉の増加を考慮して、関係式と境界との交点に応じた自セル利用状況から自セル現在利用状況を減算した結果よりも少ない値を、追加して収容可能な無線通信に対応する無線リソース利用状況としてもよい。また、前述のように、予測部24は、その無線リソース利用状況をオファードロード等に変換してもよく、そうでなくてもよい。無線リソース利用状況をオファードロードに変換する場合には、例えば、後述する(7)式を用いて行ってもよい。その変換で必要な伝送レートやパケットサイズは、平均的なものを用いて、目安としてのオファードロードを算出してもよい。また、予測部24が予測した追加可能情報は、図示しない記録媒体に蓄積されてもよい。
なお、予測部24による予測結果は、無線通信装置1において用いられてもよく、または、他の装置において用いられてもよい。後者の場合には、例えば、予測結果が通信部11を介して、他の装置に送信されてもよい。その送信先の装置は、自セル内の無線基地局や無線端末装置であってもよい。例えば、無線通信装置1が無線基地局である場合には、予測部24が予測した追加可能情報が、無線基地局である無線端末装置1が送信するビーコン等に含められて送信されてもよく、その他の方法によって送信されてもよい。
通信部11は、アンテナを介して無線通信を行う。通信部11が行う無線通信は、どのようなものであってもよい。その無線通信は、例えば、無線LANによる通信であってもよく、他の移動体通信であってもよく、その他の無線通信であってもよい。通信部11の行う無線通信は、通常、自律分散無線通信システムにおける無線通信である。本実施の形態では、前述のように、無線通信が無線LANによる通信である場合について主に説明する。通信部11は、通信先の無線基地局や無線端末装置からオファードロード等を受信した場合には、その受信した情報を図示しない記録媒体で記憶してもよい。なお、通信部11は、無線通信を行うための無線の通信デバイス(例えば、ネットワークカードなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、通信部11は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは通信デバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。
制御部12は、通信部11を用いたキャリアセンスの結果に応じて、通信部11による送信を制御する。具体的には、制御部12は、キャリアセンスの結果に応じて、伝送路において無線通信が行われているかどうか判断し、無線通信が行われていない場合に、送信を行うように通信部11を制御してもよい。また、制御部12は、キャリアセンスの結果に応じて空いている周波数を特定し、その特定した周波数で送信するように通信部11を制御してもよい。制御部12による制御は、例えば、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access/Collision Avoidance)の制御であってもよく、CSMA/CD(Carrier Sense Multiple Access/Collision Detection)の制御であってもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。なお、キャリアセンスの結果に応じて通信を制御することはすでに公知であり、その詳細な説明を省略する。
また、制御部12は、予測部24による予測結果に応じて、通信部11が行う無線通信に関する無線リソースの割り当てを制御してもよい。その制御は、例えば、あるアプリケーションが無線通信を開始したい場合に、予測部24による予測結果に応じて、その無線通信を開始できるように制御したり、その無線通信を開始できないように制御したりすることであってもよい。例えば、あるアプリケーションが所望のオファードロードで無線通信を行いたい場合であって、予測部24による予測結果により、そのオファードロードを収容できないことが予測された場合には、制御部12は、そのアプリケーションによる無線通信を実行させないように制御してもよい。一方、あるアプリケーションが所望のオファードロードで無線通信を行いたい場合であって、予測部24による予測結果により、そのオファードロードを収容できることが予測された場合には、制御部12は、そのアプリケーションによる無線通信を行うことができるように制御してもよい。また、制御部12による制御は、例えば、あるアプリケーションが無線通信を開始したい場合に、そのアプリケーションに対して、予測結果に応じて、無線通信の収容の可否を渡すことであってもよい。
また、制御部12は、予測部24による予測結果に応じて、無線ネットワークトポロジーの変更の制御を行ってもよい。その無線ネットワークトポロジーの変更は、通信部11が行う無線通信の通信先の変更、他の装置が行う無線通信の通信先の変更から選ばれる1以上のものであってもよい。例えば、予測結果により、オファードロードに応じた無線通信を収容できないことが示される場合であって、無線通信装置1が無線端末装置である場合には、制御部12は、通信部11が行う無線通信の通信先である無線基地局を変更してもよい。その変更は、例えば、より混雑していない無線基地局に変更することであってもよい。混雑の程度は、例えば、無線基地局の送信するビーコンに、その無線基地局を介して通信を行っている無線端末装置の数に応じた情報が含まれている場合には、その情報を用いて判断してもよく、センシングを行うことによって判断してもよい。また、例えば、予測結果により、オファードロードに応じた無線通信を収容できないことが示される場合であって、無線通信装置1が無線基地局である場合には、制御部12は、通信先の無線端末装置が行う無線通信の通信先である無線基地局を、無線通信装置1から、他の無線基地局に変更するように、通信先の無線端末装置に指示を送信してもよい。その指示に応じて、通信部11の通信先の無線端末装置は、無線通信の通信先である無線基地局を、無線通信装置1から他の無線基地局に変更してもよい。
処理部13は、受信された情報、送信される情報に関する処理を行う。処理部13は、その処理をアプリケーションごとに行ってもよい。例えば、ボイス通信が行われている場合には、処理部13は、アプリケーションから受け取った音声信号に応じたパケットを図示しない送信キューに蓄積したり、通信部11が受信したボイス通信に応じたパケットを受け取り、アプリケーションに渡したりするなどの処理を行ってもよい。なお、送信キューでキューイングされたパケットは、通信部11によって送信されるものとする。また、送信キューにおいて、アプリケーションごとにキューイングを行うことができる場合には、処理部13は、アプリケーションごとにパケットを送信キューに蓄積してもよい。
なお、自セル現在利用状況や、他セル現在利用状況等を取得するために用いられる情報、例えば、最新のセンシング結果等が図示しない記録媒体で記憶されていてもよい。その場合には、例えば、自他セルを見分けるため、無線通信期間ごとに、自他セルを特定してもよい。
次に、収容予測装置2の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS101)予測部24は、収容可能性に関する予測を行うかどうか判断する。そして、予測を行う場合には、ステップS102に進み、そうでない場合には、予測を行うと判断するまでステップS101の処理を繰り返す。予測部24は、他の装置や、制御部12、処理部13等からの予測の指示に応じて予測を行うと判断してもよく、予測を行うと定期的に判断してもよく、その他のタイミングで予測を行うと判断してもよい。
(ステップS102)自セル利用状況取得部21は、その時点の自セル現在利用状況を取得する。
(ステップS103)他セル利用状況取得部22は、その時点の他セル現在利用状況を取得する。
(ステップS104)関係式特定部23は、ステップS102で取得された自セル現在利用状況と、ステップS103で取得された他セル現在利用状況とを用いて、それらに対応する関係式を特定する。
(ステップS105)予測部24は、ステップS102で取得された自セル現在利用状況と、ステップS104で特定された関係式と、境界情報の示す境界を用いて、自セルの無線リソース利用状況が増加した場合における無線通信の収容可能性に関する予測を行う。そして、ステップS101に戻る。
なお、図2のフローチャートでは、無線通信装置1における収容予測装置2以外の構成要素に関する動作を省略しているが、例えば、通信部11や制御部12、処理部13によって、適宜、無線通信が行われるものとする。また、その無線通信における無線リソースの割り当てや、無線ネットワークのトポロジーの変更等のために、予測結果が用いられてもよい。また、図2のフローチャートにおいて、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況の取得は定期的に行い、予測は、処理部13や他の装置等からの要求に応じて行うようにしてもよい。また、図2のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
次に、自セル利用状況と他セル利用状況との関係や、関係式の特定等について説明する。以下の説明は、シミュレーション結果を用いているため、まず、そのシミュレーションについて説明する。そのシミュレーションは、IEEE802.11の無線LANに関するシミュレーションである。ここで、自セル及び他セル(干渉セル)は、同一チャネルを使用するものとしている。なお、エリア内の装置は、互いに通信可能な位置に配置しているため、電波を送信している装置が一つでもあれば、無線リソースを「利用している」とみなした。また、このシミュレーションでは、自セル利用状況、及び他セル利用状況は、両方共に無線リソース利用率であるとした。また、自セルと他セルの送信が重なった期間は、受信信号が復調できないものとして、他セルの無線リソース利用率に含めた。
まず、他セル利用状況と、自セルの収容可能オファードロードとの関係について評価した。その際のシミュレーション諸元は、次の表に示される通りである。
Figure 0006142454
また、本シミュレーションでは、図3に示すように、50m×50mのエリアに実効スループット計測対象の無線LANの自セルのAP及び干渉源となる無線LANの他セルのAPを配置し、それぞれ所属STAを10台ずつ配置した。なお、AP−AP間、AP−STA間、及びSTA−STA間の距離に制限を設けたランダム配置とした。20台のSTAにはそれぞれ、セル内APへ向けた高/中/低のUDPトラフィックのいずれかをランダムに発生させるようにした。ただし、エリア内の総オファードロードが極端に高い場合または低い場合は、オファードロード収容可否が明らかであるため、評価から除外した。ここで、オファードロード収容可否の具体的な判定方法としては、自セル内の高トラフィックアプリケーションの実効スループットがオファードロードの98%に達した場合に収容成功とみなし、達しなかった場合に収容失敗とみなした。なお、厳密には定常的にスループットが維持できている場合に収容成功になると考えられるが、今回の評価においては、シミュレーション時間全体の統計値のスループットがオファードロードに達している場合は、より短い時間での計測値である実効スループット値がオファードロードの98%に達しているという関係が得られたため、この98%という閾値を採用した。また、その実効スループット値とは、受信側アプリケーション層にて5秒ごとに5秒間の平均スループットを観測した値とした。
図4Aは、自セルの総オファードロードと、他セル利用状況との関係を取得し、その際の自セルオファードロードの収容可否をプロットしたグラフである。そのグラフにおける干渉セルは他セルの意味である。他のグラフにおいても同様である。図4Aの他セルの無線リソース利用率は、自セルのオファードロードを追加した後に計測した値である。図4Aでは、複数のアプリケーションが混在しているにも関わらず、他セルの無線リソース利用率と自セル内に収容可能な最大総オファードロードとの間にはほぼ線形の関係が見られる。そこで、SVMにより求めた収容可否境界線(以下、「収容可否境界線A」とする)を図中に示している。
ただし、この図4Aにおける他セルの無線リソース利用率は、あくまで自セルのオファードロードを追加した後に達成された値である。実際にはオファードロードを追加する前の状況で得られる情報を基に、追加オファードロードの収容可否を判断する必要がある。つまり、オファードロードを追加したことによる他セルの無線リソース利用率の変化も考慮する必要がある。
そこで、他セルの無線リソース利用率が、自セルのオファードロード追加によってどのように変動するのかについて評価した。他セルの条件として、セル内の総オファードロードが異なる4パターンについて確認した。図4Bは、その結果を示す図である。自セルの総オファードロードが上がるにつれ、他セルの無線リソース利用率も上がっていくことが分かる。また、その後、過負荷になると、ある時点から逆に利用率が下がる。前者は、エリア全体で衝突が増え、再送数が増えたためと考えられる。後者は、さらに衝突が増えたことによるバックオフ時間の増加によるものと思われる。
この結果から、上記シミュレーション諸元の条件下では、自セルと他セルが混在している状況における他セルの無線リソース利用率と自セルの総オファードロードから、他セルの無線リソース利用率の変動を予測でき、その結果、追加収容可能な自セルの総オファードロードをある程度、予測可能であると考えられる。
ここまでは、トラフィックモデル、STA数、伝送レートが固定の条件下で、自セル及び他セルによる通信が行われている場合の他セル利用状況と自セルの収容可能オファードロードとの関係や、他セルの設定を固定した上で自セルのオファードロードを追加した場合の他セル利用状況の変動について評価した。しかしながら、実際の運用環境において、センシングにより得られた他セル利用状況が同じであっても、他セルのアプリケーション構成やSTA数、また伝送レートなどが上記シミュレーション諸元と異なる場合には、追加収容可能なオファードロードの量に変化が生じる可能性がある。そこで次に、他セルのトラフィックモデル、STA数、伝送レートがそれぞれ自セルの収容可能オファードロードに与える影響について評価した。
図5Aは、他セルのUDP高トラフィックのパケットサイズを500、1k、5k、10kbyteとした際の、自セルオファードロードを追加していった場合におけるオファードロード収容可否結果を示す図である。なお、他セルのみの状態における無線リソース利用率がどのパケットサイズでもほぼ等しくなるように、アプリケーションパケット発生間隔を調整した。収容可否境界線Aから離れている原点側の領域においては、パケットサイズが50kbyteの際の結果(図4B)と同じように無線リソース利用率が変動しており、他セルのアプリケーションパケットサイズによらず自セルの収容可能なオファードロードを予測可能であることが分かる。
次に、他セルのSTA数が収容可能オファードロードに与える影響を評価した。他セルのUDP高トラフィックの総オファードロードを12Mb/sに固定し、これを中/低トラフィックを割り当てていない各STAに割り当てた。なお、STA数としては、種々のものを用いた。また、アプリケーションパケットサイズは50kbyteに固定した。図5Bは、異なる他セルSTA数における、自セルの総オファードロードに対する他セル利用状況を示す図である。また、それらのうち、STA数が2台の場合の結果と、36台の場合の結果とをそれぞれ図5C、図5Dに示している。少し見にくいが、図5Bにおいて、自セルの各総オファードロードに対応する干渉セルの無線リソース利用率は、一般的にSTA数が少ないほど低くなり、STA数が多いほど高くなる傾向となっている。
それぞれの図中には、図4Aで導出した収容可否境界線Aを表示している。収容可否境界線Aの外側における他セル利用状況の変動についてはSTA数の違いが大きく表れているが、収容可否境界線Aの内側の変動及びオファードロード収容可否境界自体は、STA数によらず収容可否境界線Aとほぼ一致していることが分かる。また、他セルのUDP高トラフィックSTA数が2台の場合には、収容可否境界線Aを越えてオファードロードを追加してもそのスループットが達成できている場合がある。これは同じ総オファードロードであってもSTA数により衝突の頻度が変わることによるものと考えられる。したがって、センシングにより他セルを含めたSTA数の情報が得られた場合には、より精密な予測が可能になると考えられる。
次に、他セルのUDP高トラフィックを3台のSTAに割り当てたシミュレーションを基準とし、その3台のSTAの伝送レートが自セルの収容可能オファードロードに与える影響について評価した。自セルの全STA及び他セルの中/低トラフィックを割り当てたSTAの伝送レートは54Mb/sとした。伝送レートごとの送信電力は、次の通りである。
伝送レート 送信電力
6Mb/s 20dBm
18Mb/s 19dBm
54Mb/s 16dBm
UDP高トラフィックの設定において、アプリケーションパケットサイズは上述のシミュレーション諸元と同じ50kbyteとし、他セルのみの場合の無線リソース利用率がほぼ同じになるように伝送レートごとにパケット発生間隔を調整した。したがって、1パケットあたりの送信所要時間もレートによって異なっている。図5E、図5Fは、そのシミュレーションの結果を示す図である。各図には、全STAの伝送レートが54Mb/sの場合の収容可否境界線Aを示している。今回のシミュレーションでは、他セルの伝送レートが6Mb/sの場合には、境界線より内側においても自セルのオファードロードが全ては収容できていない場合がある。6Mb/sの伝送レートの干渉STAはエラーレートが低く、また、送信電力も54Mb/sの場合より高く設定していることから、他セルのUDP高トラフィックの送信機会が相対的に増えている結果と考えられる。
上述のシミュレーション結果から、自セル利用状況と他セル利用状況との関係式や境界情報は概ね、他セルのパケットサイズ、STA数、伝送レートに依存しないことが分かる。一方、関係式や境界情報は、他セルのパケットサイズ等に応じて微妙に異なっている点もあるため、パケットサイズやSTA数、伝送レートを考慮した関係式や境界情報を用いることによって、より精度の高い予測を行うことができると考えられる。また、上述のシミュレーション結果から、他セル利用状況から自セルの収容可能なオファードロードが予測可能であることが分かる。上述のシミュレーションでは自セルの伝送レートを54Mb/sに固定していた。そこで、次に自セルのSTAの伝送レートを考慮した収容可能オファードロードの予測について考える。自セルの各STAの伝送レートを考慮した収容可能オファードロード予測を行うためには、オファードロードそのものではなく、伝送レート情報を考慮した指標を用意する必要がある。そこで、自セルのオファードロードと伝送レートから、自セルの無線リソース利用率の近似値(以下、「仮想無線リソース利用率」と呼ぶことがある)を求め、これを自セル利用状況とした。
再送が起きないと仮定した場合には、データと、それに対するACKとの送信時間が無線リソースの利用時間となるため、アプリケーションnの無線リソース利用率ρs,nは、次式のようになる。
ρs,n=Σ{(アプリケーションnのデータフレームの送信時間+アプリケーションnのデータフレームのACKにかかる時間)/MT}
MTは、無線リソース利用率を算出するための計測期間である。また、上記式のΣは、MTの期間に送信されたアプリケーションnのデータフレームについての和である。したがって、上記式は、次式のようになる。
ρs,n=NDATA,n×(DDATA,n+DACK,n) (6)
ここで、NDATA,nは、アプリケーションnが単位時間に送信するデータフレーム数であり、DDATA,nは、アプリケーションnのデータフレームの送信にかかる平均時間であり、DACK,nは、アプリケーションnのデータフレームのACKにかかる時間である。DACK,nは、ACKの伝送レートのみによって一意に決定される時間である。(6)式のNDATA,n、DDATA,nは、それぞれ次式のようになる。なお、Oは、アプリケーションnのオファードロード(b/s)であり、Lavg,nは、アプリケーションnの平均パケットサイズ(byte)である。なお、本シミュレーションでは、MTUサイズを超えるアプリケーションパケットの場合は、平均IPパケットサイズをMTUサイズであると仮定した。また、Dfixedは、伝送レートに依存しない物理層オーバヘッド(preamble長)であり、Lfixedは、伝送レートに依存する物理層以外のオーバヘッドであり、Rは、アプリケーションnの伝送レート(b/s)である。
DATA,n=O/(Lavg,n×8)
DATA,n=Dfixed+(Lavg,n×8+Lfixed)/R
したがって、(6)式の無線リソース利用率は、次式のようになる。
ρs,n=coef×O/R
ただし、coefは次の通りである。
coef=1+{(Dfixed+DACK,n)×R+Lfixed}/(Lavg,n×8)
したがって、自セルの無線リソース利用率ρは、次のようになる。なお、Sは、自セルにおいて無線通信を行う全アプリケーションの集合である。
ρ=Σn∈S{coef×O/R} (7)
このように、各アプリケーションのオファードロード、伝送レート、及び平均パケットサイズから、無線リソース利用率である自セル利用状況を算出することができる。なお、802.11gデータフレームフォーマットは、図6で示される通りであり、その場合には、Dfixedは、16+4=20(μs)となり、Lfixedは、{(2+24+8+20+8+4)×8+6}=534(bit)となる。なお、ここでは、説明の簡略化のため、padding領域は考慮していない。
図7Aは、(7)式を利用して、伝送レートが54Mb/sの場合の収容可否境界線(以下、収容可否境界線B)を、自セル利用状況と他セル利用状況との関係に変換したグラフを示す図である。図7Aのように、自セルのオファードロードを無線リソース利用率によって示すことによって、自セルの伝送レートやパケットサイズを考慮したグラフとなる。なお、シミュレーション諸元は上述したものと同様である。次に、自セルの伝送レートを54Mb/sとしたシミュレーションの結果を基にSVMで求めた収容可否境界線が、他の伝送レートにおいても妥当かどうかを確認する。自セルの伝送レートを変えた上で、自セルオファードロードを追加していった場合のオファードロード収容可否結果を図8A、図8Cに示す。また、それぞれのシミュレーションにおける他セルの実効スループットを図8B、図8Dに示す。自セルの伝送レートが低い場合には、伝送レートが54Mb/sの場合の収容可否境界線Bを超えてオファードロードを追加しても、収容できていることが分かる。しかし、同時に他セルの実効スループットが劣化している。したがって、自セルのみの体験通信品質(QoE:Qualify of Experience)を考慮する場合には、伝送レートによって収容可否境界線を変えてもよい。また、他セルへの影響も考慮した場合は、実際の伝送レートによらず54Mb/sの際の収容可否境界線で判断してもよい。
図7Aから、SVMにより求めた境界線の式は、次式のようになる。次式において、x、yは、前述のように、それぞれ自セル利用状況、他セル利用状況である。
y=−1.1×x+73.137 (8)
この(8)式は、上述の(3)式に対応している。したがって、この場合には、F(x)=−1.1×x+73.137となる。
また、図7Bは、図4Bの横軸を総オファードロードから、自セル利用状況x(自セルの仮想無線リソース利用率)に変換した結果を示す図である。他セルの設定は、無線リソース利用率の初期値(自セルのオファードロードがない場合の利用率)が16、25、35、45%の場合の4パターンとしている。また、各干渉パターンにおける自セル利用状況と、他セル利用状況の最大値との関係を、最小二乗法により求めた一次式を図中に示している。その一次式は、上述の関係式に対応している。ここで各干渉パターンをkとしたときの一次式を、
y=a(k)×x+b(k) (9)
とした場合、切片b(k)を傾きa(k)で表すことができれば、自セル利用状況と、他セル利用状況との関係式を、任意の点において表すことが可能となる。そこで、a(k)とb(k)との関係を求めたところ、図9に示すように一次関数で十分近似可能であることが分かった。原点を通るという制約条件で、最小二乗法により傾きaと切片bの関係を求めたところ、次のようになった。
b=80.45×a (10)
(9)、(10)式から、図7Bの収容可否判定境界Bより内側の任意の点(x,y)において、自セル利用状況と他セル利用状況との関係は次式のようになる。ここで、xcur,ycurは、それぞれ現状の自セル利用状況及び他セル利用状況である。すなわち、自セル利用状況取得部21によって取得された最新の自セル現在利用状況がxcurであり、他セル利用状況取得部22によって取得された最新の他セル現在利用状況がycurである。
y=ycur×(x+80.45)/(xcur+80.45) (11)
この(11)式は、上述の(4)式に対応している。
以上より、自セルのトラフィックと他セルのトラフィックとが混在している状況で観測した他セル現在利用状況ycurと、自セルのオファードロードや、伝送レート、平均パケットサイズから算出した自セル現在利用状況xcurとを用いて、追加のオファードロードが収容可能かどうかを次のようにして判断できる。まず、自セル現在利用状況xcurと、追加のオファードロードとをあわせた結果がx1であるとすると、その自セル利用状況x1に対応する他セル利用状況y1を、上記(11)式を用いて算出する。そして、(x1,y1)が、(8)式の境界線よりも収容可能側に存在する場合に収容可能と判断され、そうでない場合に収容可能でないと判断されることは、上記(A)で説明した通りである。また、その判断は、次式の値の正負によって判断してもよい。
cur×(x1+80.45)/(xcur+80.45)
+1.1×x1−73.137 (12)
また、(8)式、及び(11)式が決まれば、上記(B)で説明したように、現在の自セル利用状況に対して、どの程度の追加のトラフィックを収容できるかを予測することも可能となる。
次に、判定式である上記(12)式を用いた収容可能性の判断に関する検証を行った。その検証では、伝送レートを54Mb/s固定とした。また、パラメータは、上述のシミュレーション諸元を基準とし、ノード配置及びSTAのトラフィック割り振りをランダムで行った。ただし、追加トラフィックを含めた自セルと他セルの総オファードロードが明らかに高い、あるいは低い場合は結果が明らかであるため、除外した。他セルと自セルがそれぞれ通信を開始している状態を初期状態とし、複数のアプリケーションに対応する追加オファードロードがあった場合に、UDP高トラフィックの実効スループットが変わらずにオファードロードの98%を満たせているか否かを予測すると共に、実際にオファードロードを追加し、その結果と予測結果とを比較した。
[検証1]
検証に利用するトラフィックモデルとして、IEEE802.11 TGahのEvaluation Methodology(IEEE802.11−11/0905r5、「TGah Functional Requirements and Evaluation Methodology Rev.5」、2012年1月)を参考に、次表の検証用トラフィックモデル1の設定でシミュレーションを行った。これは、予測式導出に利用したトラフィックモデルと比較的近いモデルである。この検証では、30回試行中、27回の予測に成功した。したがって、収容可否判定式を用いることによって、90%という高い確率で収容の可否を判定できていることが分かる。
Figure 0006142454
[検証2]
検証に利用するトラフィックモデルとして、次表の検証用トラフィックモデル2の設定でシミュレーションを行った。収容可否判定式導出に利用したトラフィックモデルと比較すると、中/低トラフィックのパケットサイズが小さく、また、低トラフィックのパケット発生間隔が短いモデルとなっている。30回試行中、23回の予測に成功し、7回失敗した。検証1よりは確率が低下しているが、75%以上の高い確率で収容の可否を判定することができている。なお、図10Aは、予測した他セルの無線リソース利用率と自セルの仮想無線リソース利用率の関係を示す図である。予測判定に失敗した内訳をみると、収容可否境界線Bに近い点ではあるが、全て境界線の内側である。つまり、オファードロードが全て収容できると予測したにもかかわらず、実際には収容できなかった例のみであることが分かる。
Figure 0006142454
そこで、実際にオファードロードを追加した後の他セルの無線リソース利用率を計測し、自セルの仮想無線リソース利用率とオファードロード収容可否の関係について求めた。図10Bは、その結果を示す図である。収容可否境界線Bに近い内側の領域ではオファードロードが収容できていないことが分かり、仮に他セルの無線リソース利用率の変動がより正しく予測できたとしても、収容可否境界線自体が原点側にずれていることが分かる。したがって、境界情報によって示される境界線を安全側(原点寄り)にずらすことにより、より高い精度で予測が可能になると考えられる。また、エリア内のトラフィックモデルが推測できる場合は、そのモデルに応じた境界情報を用いることによって、より高い精度で予測が可能になると考えられる。
次に、本実施の形態による無線通信装置1の動作について、具体例を用いて説明する。この具体例では、無線通信装置1は無線基地局であり、無線端末装置からの要求に応じて、オファードロードの収容可否について予測を行うものとする。無線基地局である無線通信装置1は、自セルの各無線端末装置の各アプリケーションから、無線通信中のアプリケーションに関する最新のオファードロードを受信し、記憶しているものとする。
無線通信装置1のセル内に存在する無線端末装置が、VoIPの無線通信を開始するため、そのVoIPの無線通信に関するオファードロードU(Mb/s)と、そのVoIPの無線通信で用いる伝送レートR(Mb/s)及び平均パケットサイズL(byte)と、そのオファードロードの収容可能性を判断する旨の要求とを無線通信装置1に送信したとする。すると、それらの情報は、通信部11で受信され、処理部13に渡される。そして、処理部13は、そのオファードロード等を予測部24に渡す。
オファードロード等を受け取ると、予測部24は、予測を行うタイミングであると判断し、自セル利用状況取得部21に、自セル現在利用状況を取得する旨の指示を渡し、他セル利用状況取得部22に、他セル現在利用状況を取得する旨の指示を渡す(ステップS101)。自セル現在利用状況を取得する旨の指示を受け取ると、自セル利用状況取得部21は、無線通信装置1で記憶されている、無線通信中の最新のオファードロードと、その無線通信の伝送レート及びパケットサイズとを用いて、(7)式により、自セル現在利用状況を算出し、関係式特定部23と予測部24とに渡す(ステップS102)。また、他セル利用状況取得部22は、最新のセンシング結果を用いて、他セルの最新の無線リソース利用率である他セル現在利用状況を取得し、関係式特定部23に渡す(ステップS103)。
自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況を受け取ると、関係式特定部23は、それらを(2)式に代入し、係数aを算出して予測部24に渡す(ステップS104)。自セル現在利用状況と、係数aとを受け取ると、予測部24は、追加のオファードロードU(Mb/s)と、その無線通信で用いる伝送レートR(Mb/s)及び平均パケットサイズL(byte)とを用いて、追加のオファードロードに対応する自セルの無線リソース利用状況を算出し、その結果と自セル現在利用状況とを加算することによって、オファードロードの追加後の自セル利用状況を取得する。そして、それらを代入することによって、(5)式の値を算出する。この具体例では、その(5)式の値が負の値であったとする。すると、予測部24は、収容可能であると判断し、その予測結果を処理部13に渡す(ステップS105)。予測結果を受け取ると、処理部13は、その予測結果を、オファードロード等の送信元である無線端末装置に送信する。その無線端末装置は、その予測結果を受信することによって、オファードロードに応じた無線通信が収容可能である旨を知ることができ、VoIPの無線通信を開始することができる。このように、予測結果に応じて無線通信を行うことにより、自律分散無線通信システムであったとしても、所望のオファードロードで通信できない状況で無線通信を開始することを回避することができる。
なお、この具体例では、無線通信装置1が無線基地局である場合について説明したが、無線通信装置1が無線端末装置である場合にも、同様にして、無線通信の収容可能性に関する予測を行うことができる。なお、無線通信装置1が無線端末装置である場合には、前述のように、自セルにおいて無線通信中のアプリケーションに関する最新のオファードロード等を無線基地局から受信することによって取得してもよい。
以上のように、本実施の形態による無線通信装置1によれば、自律分散制御を行う複数の無線システムが混在する環境において、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合に、その増加分の収容可能性について判断したり、さらにどれぐらいのトラフィックを収容可能であるのかを予測したりすることができる。その結果、所望のスループットが得られないにも関わらず、無線通信を開始し、その結果として、所望の通信品質での無線通信ができないばかりか、他の無線通信の通信品質をも低下させるような事態を回避することができる。また、アプリケーション運用品質要求を満たす自セルのアプリケーション数を最大化することも可能となる。
なお、本実施の形態において、自セルの無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可否に関する予測を行う前に、予測部24は、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況が、境界線より収容可能側であるかどうかを判断してもよい。そして、自セル現在利用状況等が収容可能側である場合に、その予測を行うようにしてもよい。
また、本実施の形態では、自セルの状況に依存しない境界情報や関係式を用いる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、図11で示されるように、収容予測装置2は、自セルの通信状況を取得する通信状況取得部31をさらに備えてもよい。そして、その通信状況取得部31が取得した通信状況に応じた境界情報や関係式が用いられてもよい。その自セルの通信状況は、例えば、自セルの無線端末装置の数であってもよく、自セル内の無線通信で用いられている伝送レートであってもよく、自セル内の無線通信で用いられているパケットサイズであってもよく、自セルの無線通信に関するその他の情報であってもよく、または、それらの任意の2以上の情報の組み合わせであってもよい。その通信状況は、例えば、通信設定や、トラフィックモデルであると考えてもよい。前述の検証2の結果等から、通信状況に応じて境界情報を変更することは、予測精度の向上のために有効であると考えられる。
無線通信装置1が無線基地局である場合には、通信状況取得部31は、例えば、通信先の無線端末装置の数を取得することによって、自セルの無線端末装置の数を取得することができる。また、無線通信装置1が無線端末装置である場合には、通信状況取得部31は、例えば、通信されている無線信号を復調し、その無線信号に含まれているMACアドレス等の無線端末装置の識別子のユニーク数(その識別子に対してユニーク処理をした後の個数)を取得することによって、自セルの無線端末装置の数を取得することができる。また、無線通信装置1が無線基地局である場合には、通信状況取得部31は、例えば、通信している無線信号の伝送レートやパケットサイズを取得することによって、自セルの無線通信で用いられている伝送レートやパケットサイズを取得することができる。また、無線通信装置1が無線端末装置である場合には、通信状況取得部31は、例えば、自セルで通信されている無線信号を観測することによって、その自セルの無線信号の伝送レートやパケットサイズを取得することができる。なお、無線信号が自セルのものであるかどうかは、前述したように、その無線信号を復調することなどによって知ることができる。
また、この場合には、予測部24は、通信状況取得部31が取得した通信状況に応じた境界情報を用いて予測を行ってもよい。具体的には、図示しない記録媒体において、通信状況と、境界情報とを対応付ける情報が記憶されており、予測部24は、その情報を用いて、通信状況取得部31が取得した通信状況に対応する境界情報を用いた予測を行ってもよい。また、関係式特定部23は、通信状況取得部31が取得した通信状況に応じた関係式を特定してもよい。具体的には、図示しない記録媒体において、通信状況と、(1)式等の定数cの値とを対応付ける情報が記憶されており、関係式特定部23は、その情報を用いて、通信状況取得部31が取得した通信状況に対応する定数cを用いた関係式の特定を行ってもよい。なお、通信状況と境界情報とを対応付ける情報や、通信状況と定数cの値とを対応付ける情報は、例えば、テーブル等の情報であってもよく、関数であってもよく、その他の情報であってもよい。なお、ここでは、通信状況に応じた境界情報及び関係式を用いて予測が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、通信状況に応じた境界情報を用いた予測が行われてもよく、通信状況に応じた関係式を用いた予測が行われてもよい。なお、ここでは、通信状況取得部31が自セルの通信状況を取得する場合について説明したが、通信状況取得部31は、自セルと他セルの両方の通信状況を取得してもよい。なお、その他セルは、自セルと干渉するセルのことである。その通信状況も、前述のように、無線通信装置の数や、伝送レート、パケットサイズ等であってもよい。また、通信状況取得部31が自セルと他セルの両方の通信状況を取得する場合にも、その通信状況に応じた境界情報を用いた予測が行われてもよく、その通信状況に応じた関係式の特定が行われてもよい。ここで、他セルの通信状況を取得する方法について簡単に説明する。他セルの無線信号についても復調できる場合には、通信状況取得部31は、復調後の信号を用いて他セルの通信状況を取得してもよい。一方、復調できない場合には、通信状況取得部31は、センシングによって各無線信号の時間的な長さを計測することにより、1フレームの送信所要時間(パケットサイズ)を取得してもよい。また、通信状況取得部31は、センシングによって各無線信号の無線端末装置ごとの特徴(例えば、信号強度やスペクトラムの形状等)を抽出することによって、他セルの無線端末装置の数を推定してもよい。
次に、自セルの無線リソース利用状況が減少する場合における無線通信の収容可否に関する予測について説明する。この予測を行う前にまず、予測部24は、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況が、境界線より収容不可能側であるかどうかを判断し、自セル現在利用状況等が収容不可能側である場合にのみ、その予測を行う。自セル現在利用状況等が収容不可能側でなければ、自セルの無線リソース利用状況が減少する場合における無線通信の収容可否に関する予測を行う必要がないからである。この予測においても、前述の(A)、(B)と同様に、(C)オファードロードの削減に応じた無線通信の収容可否に関する予測を行ってもよく、(D)自セルにおいて収容可能となるために削減すべき無線通信に関する予測を行ってもよい。これらの予測を行う場合には、自セル現在利用状況及び他セル現在利用状況が、境界線より収容不可能側にある。また、その収容不可能側における自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す式が、収容可能側の関係式と異なりうることは上述の通りである。したがって、(C)、(D)の予測を行う場合に、予測部24は、収容可能側の関係式とは異なる収容不可能側の関係式を用いて予測を行ってもよく、または収容可能側の関係式を用いて近似の予測を行ってもよい。前者の場合には、関係式特定部23は、(4)式と同様にして、収容不可能側の関係式を特定してもよい。後者の場合には、関係式特定部23は、上述の説明のように、収容可能側の関係式を特定する。以下、その(C)、(D)の予測について説明する。
(C)オファードロードの削減に応じた無線通信の収容可否に関する予測
予測部24は、自セルにおける無線通信のオファードロードを削減した後の自セル利用状況を用いて、オファードロードの削減に応じた無線通信の収容可否について判断してもよい。オファードロードの削減は、今後、行われるオファードロードの削減のことである。例えば、現在無線通信を行っているアプリケーションを今後、終了させる場合には、そのアプリケーションの現在のオファードロードが、削減するオファードロードとなる。予測部24は、例えば、処理部13等から、削減するオファードロードを受け取ってもよい。そして、予測部24は、その削減するオファードロードを削減した後の自セル利用状況を算出する。また、予測部24は、関係式特定部23が特定した関係式を用いて、オファードロードの削減後の自セル利用状況に対応する他セル利用状況を取得し、その自セル利用状況等が境界情報の示す境界の収容可能側に存在するかどうか判断する。そして、予測部24は、その自セル利用状況等が境界線の収容可能側に存在する場合に、収容可能であると判断してもよい。この予測は、例えば、現在無線通信中のアプリケーションのうち、今後、どのアプリケーションを終了させると収容可能になるのかを判断するために用いられてもよい。
(D)自セルにおいて収容可能となるために削減すべき無線通信に関する予測
予測部24は、自セルが収容可能となるために削減すべき無線通信に対応する無線リソース利用状況を取得してもよい。そして、予測部24は、その取得した無線リソース利用状況を用いて、自セルを収容可能にするために削減すべき無線通信に関する情報である削減情報を取得してもよい。その削減情報は、削減すべき無線リソース利用状況そのものであってもよく、その無線リソース利用状況をオファードロードや、その他の情報に変換したものであってもよい。予測部24は、関係式特定部23が特定した関係式と、境界情報によって示される境界との交点の自セル利用状況を取得し、自セル現在利用状況から、その自セル利用状況を減算する。その減算結果の値が、自セルにおいて削減すべき無線リソース利用状況となる。なお、その無線リソース利用状況をオファードロード等に変換することによって削減情報を取得してもよいことは上述の通りである。
なお、予測部24が(A)及び/または(C)の予測を行う場合には、予測部24は、自セルにおける無線通信のオファードロードを変動させた後の自セル利用状況を用いて、そのオファードロードの変動に応じた無線通信の収容可否について判断することになる。
そのオファードロードを変動させた後の自セル利用状況は、例えば、追加のオファードロードを追加した後の自セル利用状況や、オファードロードを削減した後の自セル利用状況であり、そのオファードロードの変動は、例えば、オファードロードの追加や削減である。
また、他セルの無線リソース利用状況が増加または減少する場合における無線通信の収容可否に関する予測について簡単に説明する。ここまででは、自セル利用状況が増加したり、減少したりする場合の無線通信の収容可否に関する予測について説明したが、同様の予測を、他セル利用状況が増加したり、減少したりする場合に行ってもよい。その予測は、例えば、他セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する予測や、収容可能となるために他セルにおいて削減すべき無線通信に関する予測などである。また、無線通信装置1が他セルから追加のオファードロードや削減するオファードロードを受信可能である場合には、予測部24は、他セルにおける追加のオファードロードに応じた無線通信の収容可否に関する予測を行ってもよく、他セルにおけるオファードロードの削減に応じた無線信号の収容可否に関する予測を行ってもよい。それらの予測は、自セルと他セルが替わった以外は、上述の説明と同様であり、その詳細な説明を省略する。また、その予測結果は、例えば、他セルの無線基地局等に送信されてもよく、自セルの無線基地局がビーコン等に含めて送信してもよい。
また、本実施の形態では、無線通信装置1が収容予測装置2を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。収容予測装置2は、無線基地局や無線端末装置から自セル利用状況や他セル利用状況等を受け付け、それらを用いて予測を行い、その予測結果を、無線基地局や無線端末装置に渡す装置であってもよい。その場合に、収容予測装置2と、無線基地局や無線端末装置との間の情報のやりとりは、例えば、有線や無線の通信によって行われてもよく、ケーブルやその他のインターフェース等を介して行われてもよい。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2による境界情報取得装置について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による境界情報取得装置は、実施の形態1で説明した境界情報を取得する装置である。
図12は、本実施の形態による境界情報取得装置5の構成を示すブロック図である。本実施の形態による境界情報取得装置5は、利用状況取得部51と、境界情報取得部52と、出力部53とを備える。
利用状況取得部51は、無線通信装置が無線通信を行う自セルにおける自セル利用状況と、他セル利用状況とのペアである利用状況ペア、及び、その利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否を取得する。実施の形態1で説明したように、例えば、スループットがオファードロードに応じた閾値より大きい場合に、収容可能であるとし、そうでない場合に収容不可能であるとしてもよい。オファードロードに応じた閾値は、例えば、オファードロードそのものであってもよく、オファードロードに1に近い値をかけたものであってもよい。なお、利用状況取得部51が取得する利用状況ペアと収容可否との数は、後段の境界情報の取得を適切な精度で行うことができる程度のものであることが好適である。一般には、それらの数は多い方が好適である。自セル利用状況や他セル利用状況については、実施の形態1で説明した通りである。利用状況取得部51は、実施の形態1で説明したように、シミュレーションを行うことによって利用状況ペア等を取得してもよく、実際の無線通信を観測することによって利用状況ペア等を取得してもよく、他の装置において取得された利用状況ペア等を、通信や記録媒体、インターフェースを介して受け付けてもよい。その取得された利用状況ペア等は、図示しない記録媒体で記憶されてもよい。
境界情報取得部52は、利用状況取得部51が取得した利用状況ペア等を用いて、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する。この境界情報は、(3)式の情報であってもよい。また、その(3)式のF(x)は、線形な関数であってもよい。その境界情報を取得する方法は、例えば、線形分類器を用いる方法であってもよく、その他の分類器を用いる方法であってもよく、または、その境界を特定可能なその他の方法であってもよい。
出力部53は、境界情報取得部52が取得した境界情報を出力する。ここで、この出力は、例えば、所定の機器への通信回線を介した送信でもよく、記録媒体への蓄積でもよく、他の構成要素への引き渡しでもよい。なお、出力部53は、出力を行うデバイス(例えば、通信デバイスなど)を含んでもよく、あるいは含まなくてもよい。また、出力部53は、ハードウェアによって実現されてもよく、あるいは、それらのデバイスを駆動するドライバ等のソフトウェアによって実現されてもよい。出力部53は、例えば、収容予測装置2に境界情報を渡してもよい。
次に、境界情報取得装置5の動作について図13のフローチャートを用いて説明する。
(ステップS201)利用状況取得部51は、利用状況ペアと、その利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する。
(ステップS202)境界情報取得部52は、ステップS201で利用状況取得部51が取得した利用状況ペア等を用いて、境界情報を取得する。
(ステップS203)出力部53は、ステップS202で境界情報取得部52が取得した境界情報を出力する。そして、境界情報を取得する一連の処理は終了となる。
なお、実施の形態1で説明したように、収容の可能性に関する予測において、通信状況に応じた境界情報が用いられる場合には、図13のフローチャートにおいて、通信状況ごとに、利用状況ペア等の取得や、境界情報の取得、境界情報の出力が行われてもよい。
以上のように、本実施の形態による境界情報取得装置5によれば、境界情報を取得することができる。そして、その境界情報を、実施の形態1の無線通信装置1等において用いることができる。
また、本実施の形態では、境界情報を取得する装置について説明したが、関係式に応じた定数cを取得する装置も同様にして構成することができる。具体的には、セル内の総オファードロードが異なる複数のパターンにおいて、自セル利用状況と他セル利用状況との関係を取得し、パターンごとに、両者の変化を示す直線の傾き及び切片を取得する。そして、その傾き及び切片の複数の組(パターンごとの組)を用いて、その傾きと切片との関係を取得することによって、定数cを取得することができる。
また、上記各実施の形態において、各処理または各機能は、単一の装置または単一のシステムによって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置または複数のシステムによって分散処理されることによって実現されてもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、あるいは、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、あるいは長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、あるいは、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、あるいは、図示しない読み出し部が行ってもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、あるいは、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
また、上記各実施の形態において、無線通信装置1に含まれる2以上の構成要素が通信デバイスや入力デバイス等を有する場合に、2以上の構成要素が物理的に単一のデバイスを有してもよく、あるいは、別々のデバイスを有してもよい。
また、上記各実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、あるいは、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現され得る。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、上記実施の形態1における収容予測装置2を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、無線通信装置が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する自セル利用状況取得部、前記自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する他セル利用状況取得部、前記自セル現在利用状況及び前記他セル現在利用状況を用いて、前記自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する関係式特定部、自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況と、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況との境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報と、前記関係式特定部が特定した関係式と、前記自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う予測部として機能させるためのプログラムである。
また、上記実施の形態2における境界情報取得装置5を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、無線通信装置が無線通信を行う自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、自セルと干渉しうる他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況とのペアである利用状況ペアと、利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する利用状況取得部、利用状況取得部が取得した、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する境界情報取得部、境界情報取得部が取得した境界情報を出力する出力部として機能させるためのプログラムである。
なお、上記プログラムにおいて、上記プログラムが実現する機能には、ハードウェアでしか実現できない機能は含まれない。例えば、情報を取得する取得部や、情報を出力する出力部などにおけるモデムやインターフェースカードなどのハードウェアでしか実現できない機能は、上記プログラムが実現する機能には少なくとも含まれない。
また、このプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、CD−ROMなどの光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。
また、このプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
図14は、上記プログラムを実行して、上記各実施の形態による収容予測装置2や境界情報取得装置5を実現するコンピュータの外観の一例を示す模式図である。上記各実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現されうる。
図14において、コンピュータシステム900は、CD−ROMドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、モニタ904とを備える。
図15は、コンピュータシステム900の内部構成を示す図である。図15において、コンピュータ901は、CD−ROMドライブ905に加えて、MPU(Micro Processing Unit)911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、及びデータを記憶するハードディスク914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915とを備える。なお、コンピュータ901は、LANやWAN等への接続を提供する図示しないネットワークカードを含んでいてもよい。
コンピュータシステム900に、上記各実施の形態による収容予測装置2や境界情報取得装置5の機能を実行させるプログラムは、CD−ROM921に記憶されて、CD−ROMドライブ905に挿入され、ハードディスク914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、図示しないネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ハードディスク914に記憶されてもよい。プログラムは実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、CD−ROM921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、CD−ROM921に代えて他の記録媒体(例えば、DVD等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータ901に、上記各実施の形態による収容予測装置2や境界情報取得装置5の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
また、本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
以上より、本発明による無線通信装置等によれば、例えば、無線リソース利用状況が増加する場合における無線通信の収容可能性に関する予測を行うことができるという効果が得られ、無線リソースの割り当て制御を行う無線通信装置等として有用である。
1 無線通信装置
2 収容予測装置
5 境界情報取得装置
11 通信部
12 制御部
13 処理部
21 自セル利用状況取得部
22 他セル利用状況取得部
23 関係式特定部
24 予測部
31 通信状況取得部
51 利用状況取得部
52 境界情報取得部
53 出力部

Claims (12)

  1. 無線通信装置が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する自セル利用状況取得部と、
    前記自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する他セル利用状況取得部と、
    前記自セル現在利用状況及び前記他セル現在利用状況を用いて、前記自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する関係式特定部と、
    自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況と、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況との境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報と、前記関係式特定部が特定した関係式と、前記自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う予測部と、を備えた収容予測装置。
  2. 前記予測部は、前記自セルにおける無線通信のオファードロードを変動させた後の自セル利用状況を用いて、当該オファードロードの変動に応じた無線通信の収容可否について判断する、請求項1記載の収容予測装置。
  3. 前記予測部は、前記自セルにおいて追加して収容可能な無線通信に関する情報である追加可能情報を取得する、請求項1記載の収容予測装置。
  4. 前記自セル利用状況取得部は、前記自セルにおける無線通信のオファードロードに応じて、前記自セル現在利用状況を算出する、請求項1から請求項3のいずれか記載の収容予測装置。
  5. 前記自セルの通信状況を取得する通信状況取得部をさらに備え、
    前記予測部は、前記通信状況取得部が取得した通信状況に応じた境界情報を用いて前記予測を行う、請求項1から請求項4のいずれか記載の収容予測装置。
  6. 前記自セルの通信状況を取得する通信状況取得部をさらに備え、
    前記関係式特定部は、前記通信状況取得部が取得した通信状況に応じた関係式を特定する、請求項1から請求項4のいずれか記載の収容予測装置。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか記載の収容予測装置と、
    無線通信を行う通信部と、
    前記予測部による予測結果に応じて、前記通信部が行う無線通信に関する無線リソースの割り当てを制御する制御部と、を備えた無線通信装置。
  8. 無線通信装置が無線通信を行う自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記自セルと干渉しうる他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況とのペアである利用状況ペアと、当該利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する利用状況取得部と、
    前記利用状況取得部が取得した、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する境界情報取得部と、
    前記境界情報取得部が取得した境界情報を出力する出力部と、を備えた境界情報取得装置。
  9. 自セル利用状況取得部と、他セル利用状況取得部と、関係式特定部と、予測部とを用いて処理を行う収容予測方法であって、
    前記自セル利用状況取得部が、無線通信装置が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する自セル利用状況取得ステップと、
    前記他セル利用状況取得部が、前記自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する他セル利用状況取得ステップと、
    前記関係特定部が、前記自セル現在利用状況及び前記他セル現在利用状況を用いて、前記自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する関係式特定ステップと、
    前記予測部が、自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況と、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況との境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報と、前記関係式特定ステップで特定した関係式と、前記自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う予測ステップと、を備えた収容予測方法。
  10. 利用状況取得部と、境界情報取得部と、出力部とを用いて処理を行う境界情報取得方法であって、
    前記利用状況取得部が、無線通信装置が無線通信を行う自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記自セルと干渉しうる他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況とのペアである利用状況ペアと、当該利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する利用状況取得ステップと、
    前記境界情報取得部が、前記利用状況取得ステップで取得した、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する境界情報取得ステップと、
    前記出力部が、前記境界情報取得ステップで取得した境界情報を出力する出力ステップと、を備えた境界情報取得方法。
  11. コンピュータを、
    無線通信装置が無線通信を行う自セルの現在の無線リソース利用状況である自セル現在利用状況を取得する自セル利用状況取得部、
    前記自セルと干渉しうる他セルの現在の無線リソース利用状況である他セル現在利用状況を取得する他セル利用状況取得部、
    前記自セル現在利用状況及び前記他セル現在利用状況を用いて、前記自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況との関係を示す関係式を特定する関係式特定部、
    自セルで無線通信を収容可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況と、自セルで無線通信を収容不可能であるときの自セル利用状況及び他セル利用状況との境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報と、前記関係式特定部が特定した関係式と、前記自セル現在利用状況とを用いて、無線通信の収容可否に関する予測を行う予測部として機能させるためのプログラム。
  12. コンピュータを、
    無線通信装置が無線通信を行う自セルの無線リソース利用状況である自セル利用状況と、前記自セルと干渉しうる他セルの無線リソース利用状況である他セル利用状況とのペアである利用状況ペアと、当該利用状況ペアに対する自セルでの無線通信の収容可否とを取得する利用状況取得部、
    前記利用状況取得部が取得した、自セルで無線通信を収容可能であるときの利用状況ペアと、自セルで無線通信を収容不可能であるときの利用状況ペアとの境界に応じた自セル利用状況と他セル利用状況との関係を示す境界情報を取得する境界情報取得部、
    前記境界情報取得部が取得した境界情報を出力する出力部として機能させるためのプログラム。
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