JP6142325B2 - クリンカをコントロールする方法 - Google Patents

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Description

本開示は、クリンカをコントロールする方法に関する。
火力発電ボイラの熱交換部(蒸発管、スーパーヒータ(過熱器)、エコマイザ、空気予熱器など)には、燃焼した燃料の灰の成分に由来すると考えられるクリンカが付着する。クリンカはボイラ内で時間と共に成長し、熱交換の妨げや、巨大クリンカの落下によるボイラの損傷という問題が生じる。
特許文献1及び2は、廃棄物焼却プラントにおいてクリンカ防止剤及び抑制剤を噴射することを含むクリンカ防止及び抑制方法を開示する。特許文献3は、火力発電ボイラ等に使用する、金属化合物粒子を含有するクリンカ防止剤を開示する。特許文献4は、ボイラ等に使用する、4種類の硝酸塩を含む洗浄剤組成物を開示する。
特開2006−029701号公報 特開2008−241078号公報 特開2012−189295号公報 韓国特許第10−0686361号
火力発電のような巨大なボイラの場合、熱交換部に発生し成長するクリンカは数百キログラムから数トンにまでなることがある。そのため、ボイラを停止して行うクリンカ除去清掃作業に数日以上を要することもあり、運転効率の低下が問題となっている。また、巨大なクリンカが例えば過熱器管から自重のため剥離して落下すると、ボイラ内部が損傷するという問題もある。これらの問題に対して、クリンカの成長を抑制したり、クリンカが大きく成長する前に落下させたりするクリンカ改質薬剤が開発されている(特許文献1〜4)。しかしながら、これらの薬剤を火力発電のような巨大なボイラの熱交換部にどのように適用するかが問題になる。手間及びコストの点、並びに、クリンカの抑制の点から、効率的で効果的な薬剤の適用方法が望まれている。
本開示は、一又は複数の実施形態において、火力発電ボイラにおけるクリンカをコントロールする方法を提供する。
本開示は、一又は複数の実施形態において、火力発電ボイラの熱交換部のクリンカをコントロールする方法であって、前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及び前記供給口近傍に開口部を備えるものであり、前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、前記噴霧管からクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入することを含む、方法に関する。
本開示に係るクリンカのコントロール方法によれば、一又は複数の実施形態において、火力発電ボイラにおけるクリンカの成長を抑制できる。
図1は、火力発電のボイラの一実施形態を説明する概略図である。 図2は、対向式と呼ばれる供給口(バーナ)3及びその開口部(点検口)の配置を説明する、火炉2の概略上面図である。 図3は、コーナー式と呼ばれる供給口(バーナ)3及びその開口部(点検口)の配置を説明する、火炉2の概略上面図である。 図4は、炉内観察窓の配置の一実施形態を説明する概略図である。 図5は、薬剤注入方法の一実施形態を説明する概略図である。
本開示は、火力発電ボイラのような大型ボイラの熱交換部にクリンカに対する薬剤を到達させる場合、ボイラの運転中にボイラ内へ燃料を供給する供給口(バーナ)の近傍の開口部から噴霧注入すれば、ボイラを運転しながら、効果的に熱交換部に薬剤を到達させることができるという知見に基づく。前記開口部とは、一又は複数の実施形態において前記供給口の点検口であって、ボイラの運転中にボイラ内へ燃料を供給する供給口の点検口でもよいし、熱電対温度計を設置する開口部、軽油等を供給する開口部でもよいし、加工により新たな開口部を設けてもよい。すなわち、本開示は、一態様において、火力発電ボイラの熱交換部のクリンカをコントロールする方法であって、前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及び前記供給口近傍に開口部を備えるものであり、前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、前記噴霧管からクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入することを含む方法(以下、「本開示に係る方法」ともいう)に関する。
本開示に係る方法によれば、一又は複数の実施形態において、通常、供給口から離れて配置される過熱器管にも効率良く薬剤を到達させることができる。
本開示に係る方法について、限定されない一実施形態を説明する。本開示の方法は、図1の概略図に示すような火力発電のボイラ1で行われうる。ボイラ1は、火炉2の側壁に多段のバーナ3を備える。各段において、バーナ3は、後述するように、図2又は図3の概略上面図に示すような位置に配置されうる。火炉2の上部には、過熱器(スーパーヒータ)4、再熱器5が配置される。さらに、ボイラ1は、横型過熱器6、節炭器(エコノマイザ)7、脱硝装置8、空気予熱器9、電気集塵器10を備える。ボイラ1において、節炭器7を通った水は、火炉2の水冷壁を通って蒸気となり、汽水分離器(図示せず)から出た蒸気は過熱器4の過熱器管へ送られた後、高圧蒸気タービンに送られ発電に供される。高圧蒸気タービンで使用された蒸気はその後、再熱器5で再加熱された後、中圧蒸気タービンに使用されることもある。火炉2内の加熱は、バーナ(燃料供給口)3から行われ、燃焼ガス11が排出される。ボイラ1は、バーナ3を点検するため開口部(点検口)を備えている。この開口部(点検口)に噴霧管が挿入され、ボイラ1の運転中に薬剤が火炉2内に噴霧注入される。注入された薬剤は、バーナ3が発生させる気流にのって火炉2内の熱交換部(過熱器4、再熱器5、蒸発管など)に到達する。
なお、本開示において、「ボイラ内へ燃料を供給する供給口」は、一又は複数の実施形態において、バーナである。また、前記供給口の「前記供給口近傍の開口部」とは、一又は複数の実施形態において、バーナの火力等を点検するための点検窓であってボイラの運転中でも開閉可能なものや、熱電対温度計等の計測機器を設置するための開口部、軽油等を供給するための開口部であってもよいし加工により供給口近傍に設けられた開口部などが挙げられる。本開示において熱交換部は、一又複数の実施形態において、熱交換器の管であり、蒸発管、過熱器管、再熱器管などが挙げられる。
本開示において、「クリンカ改質薬剤」は、一又複数の実施形態において、「クリンカ防止剤」及び「クリンカ抑制剤」など、クリンカの発生及び/又は成長を防止又は抑制するものを含む。本開示において、単に「薬剤」というときは、「クリンカ改質薬剤」を指す。本開示において、「クリンカをコントロールする」とは、一又は複数の実施形態において、クリンカの発生及び/又は成長を防止又は抑制することをいう。クリンカの成長の防止又は抑制は、クリンカが大きくなる前に自重で全部又は一部が熱交換器管からはがれて落下することを含む。本開示において、「クリンカをコントロールする」とは、一又は複数の実施形態において、クリンカを改質することを含む。クリンカの改質は、クリンカが大きくなる前にクリンカの全部又は一部が熱交換器管からはがれて落下しやすくすること、及び/又は、ボイラを止めて行う清掃時に剥がし易くすることを含む。
火力発電ボイラは、一般的に、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその開口部(点検口)をそれぞれ複数備える。該供給口及び開口部の配置の限定されない一又は複数の実施形態を図2及び3に示す。図2及び3は、該供給口及び開口部3の配置を示すための火炉2の概略上面図である。図2に示すボイラの火炉2は、向かい合う面にそれぞれ4つずつ該供給口及び開口部3を備える。また、図3に示すボイラ火炉2は、4つのコーナーに該供給口及びその開口部3を備える。本開示に係る方法は、一又は複数の実施形態において、複数の開口部から薬剤を注入することを含む。
本開示は、一又は複数の実施形態において、火力発電ボイラにおけるクリンカの発生及び成長が、ボイラによって発生場所や成長スピードが異なるという知見に基づく。すなわち、本開示に係る方法は、一又は複数の実施形態において、ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各開口部からの薬剤の注入量を調節することを含む。これにより、薬剤の無駄を削減でき、かつ/或いは、より効率的なクリンカのコントロールが可能となる。本実施形態は、一又は複数の実施形態において、各開口部から噴霧注入された薬剤がボイラ内のどの部分に到達するかの情報に基づいて行うと、クリンカコントロールの効率がより向上されうる。
本開示に係る方法の一又は複数の実施形態において、薬剤の噴霧注入は、1つのポンプから複数分岐した噴霧管を前記開口部に挿入して行ってもよい。例えば、図5に示すように、2つに分岐した噴霧管20をバーナ3の開口部F3及びF4に挿入し、同時に薬剤を噴霧注入することが挙げられる。なお、噴霧管の分岐数は、2に限定されず、3、4、5、6、7、又は8であってもよい。これにより薬剤注入が簡便となり作業時間が低減されうる。本実施形態は、一又は複数の実施形態において、上述のとおり、ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各噴霧管からの前記薬剤の注入量を調節することを含んでもよい。注入量の調節方法は、限定されない一又は複数の実施形態として、前記噴霧管の径による調節、前記噴霧管に取り付けられたバルブによる調節が挙げられる。また、本実施形態は、一又は複数の実施形態において、上述のとおり、各開口部から噴霧注入された薬剤がボイラ内のどの部分に到達するかの情報に基づいて行うと、クリンカコントロールの効率がより向上されうる。
本開示に係る方法における薬剤の噴霧注入の方法としては、限定されない一又は複数の実施形態において、液体形態の薬剤をポンプ等で加圧し、噴霧管の先端に装着したスプレーノズルから噴霧する方法が挙げられる。
[クリンカ改質剤]
本開示に係る方法に使用するクリンカ改質剤は、クリンカをコントロールできる従来又は今後開発されるクリンカ改質剤を使用してよい。本開示に係る方法の一又は複数の実施形態において、クリンカの発生及び/又は成長を防止又は抑制する観点から、クリンカ改質剤としては、硝酸塩を含むものが好ましく、特許文献4で挙げられる組成物が挙げられる。
本開示において、薬剤は、一又は複数の実施形態において、クリンカの発生及び/又は成長を防止又は抑制する観点から、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、及び水を含有する薬剤である。本実施形態の一又は複数の実施形態として、硝酸アンモニウム1.0〜65.0重量部、硝酸カリウム1.0〜25.0重量部、硝酸マグネシウム0.1〜55.0重量部、硝酸銅0.1〜60.0重量部、及び水2〜700重量部を含有する薬剤があげられ、その他の一又は複数の実施形態として、硝酸アンモニウム1.0〜20.0重量部、硝酸カリウム1.0〜25.0重量部、硝酸マグネシウム0.1〜30.0重量部、硝酸銅0.2〜30.0重量部、及び水3〜500重量部を含有する薬剤があげられ、さらにその他の一又は複数の実施形態として、硝酸アンモニウム1.0〜15.0重量部、硝酸カリウム1.0〜20.0重量部、硝酸マグネシウム0.5〜10.0重量部、硝酸銅0.2〜5.0重量部、及び水5〜300重量部を含有する薬剤があげられる。
クリンカ改質剤が硝酸塩を含む上述した実施形態である場合、本開示に係る方法における薬剤の流入量としては、一又は複数の実施形態において、対象伝熱面積(1000m2)あたりの薬剤噴霧量が2〜10L、噴霧速度は5〜15L/分、噴霧頻度は1〜14回/週である。本開示に係る方法は、一又は複数の実施形態において、ボイラの運転時に上記頻度で行うことが挙げられ、或いは、上記頻度の実施を1〜3カ月、又は、1.5〜2カ月の期間で行うことが挙げられる。または、ボイラの運転時に期間を定めずに添加しても良い。
本開示は、その他の態様において、クリンカ改質薬剤の注入方法であって、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部を備える火力発電ボイラに対し、前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、前記噴霧管からクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入することを含む方法に関する。本態様の注入方法によれば、一又は複数の実施形態において、ボイラを運転しながら、効果的に熱交換部に薬剤を到達させることができる。また、本態様の注入方法によれば、一又は複数の実施形態において、通常、供給口から離れて配置される過熱器管にも効率良く薬剤を到達させることができる。本態様の実施形態(例えば、注入方法及び薬剤の実施形態)については、上述のクリンカコントロール方法を参照できる。
本開示は、以下の一又は複数の実施形態に関しうる;
[1] 火力発電ボイラの熱交換部のクリンカをコントロールする方法であって、
前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部を備えるものであり、
前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、
前記噴霧管からクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入することを含む、方法。
[2] 前記薬剤を前記開口部から過熱器管に到達させることを含む、[1]記載の方法。
[3] 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各開口部からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、薬剤の噴霧注入が、1つのポンプに挿入して行われる、[1]から[3]のいずれかに記載の方法。
[5] ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各噴霧管からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、[4]に記載の方法。
[6] 薬剤の注入量の調節が、前記噴霧管の径、又は、前記噴霧管に取り付けられたバルブで調節される、[4]又は[5]に記載の方法。
[7] 薬剤の注入量の調節は、各開口部から噴霧注入された薬剤がボイラ内のどの部分に到達するかの情報に基づく、[3]から[6]のいずれかに記載の方法。
[8] 前記クリンカ改質薬剤が、硝酸塩を含む薬剤である、[1]から[7]のいずれかに記載の方法。
[9] 前記クリンカ改質薬剤が、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、及び水を含有する薬剤である、[1]から[8]のいずれかに記載の方法。
[10] クリンカ改質薬剤の注入方法であって、
ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部を備える火力発電ボイラに対し、
前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、
前記噴霧管からクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入することを含む、方法。
[11] 前記薬剤を前記開口部から過熱器管に到達させることを含む、[10]記載の方法。
[12] 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各開口部からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、[10]又は[11]に記載の方法。
[13] 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及びその供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、薬剤の噴霧注入が、1つのポンプから複数分岐した噴霧管を前記複数の開口部に挿入して行われる、[10]から[12]のいずれかに記載の方法。
[14] ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各噴霧管からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、[13]に記載の方法。
[15] 薬剤の注入量の調節が、前記噴霧管の径、又は、前記噴霧管に取り付けられたバルブで調節される、[13]又は[14]に記載の方法。
[16] 薬剤の注入量を調節は、各開口部から噴霧注入された薬剤がボイラ内のどの部分に到達するかの情報に基づく、[12]から[15]のいずれかに記載の方法。
[17] 前記クリンカ改質薬剤が、硝酸塩を含む薬剤である、[10]から[16]のいずれかに記載の方法。
[18] 前記クリンカ改質薬剤が、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、及び水を含有する薬剤である、[10]から[17]のいずれかに記載の方法。
以下の実施例及び比較例に基づいて本開示を説明するが、本開示はこれに限定されるものではない。
石炭火力発電所のボイラにて試験を実施した。
[クリンカ改質薬剤噴霧前におけるクリンカ付着状況の確認]
ボイラ内の2つの過熱器(2SH:二次過熱器、3SH:三次過熱器)について、クリンカ改質薬剤噴霧前におけるクリンカ付着状況を缶前方向にある8つの小型の炉内観察窓(図4の概略図参照)から目視で確認した。二次過熱器は「缶前」側の天井にある過熱器であり、三次過熱器は、二次過熱器の奥側の過熱器である。クリンカ付着状況の評価は下記基準とした。その結果を表1に示す。表1において、実施例1と実施例2とでは、観察したボイラは同じであるが、観察した時期が異なる例である。
<クリンカ付着評価基準>
1:クリンカ付着ほぼなし
2:クリンカ付着少量
3:クリンカ付着多量
Figure 0006142325
表1に示すとおり、缶内の外側(缶前右8,7,2,1)より内側(缶前右6,5,4,3)が汚れやすいことが確認された。
[クリンカ改質薬剤の噴霧]
クリンカ改質薬剤を以下の条件で噴霧注入した。実施例1では8つの開口部(点検口)(F1〜F8,図5)から均一に噴霧注入し、実施例2では、表1の結果に基づき、噴霧注入量を調製した。噴霧注入量の調製はノズル径を変えることで行った。その後、缶前方向にある16カ所の大型の炉内観察窓(缶前右1〜16)から目視でクリンカ付着状況を評価し、薬剤噴霧前後で比べた。その結果を表2に示す。なお、表2の缶前右1及び2は表1における缶前右1から観察されるのとほぼ同じ箇所の過熱器管を観察している。以降、表2の缶前右3及び4は表1における缶前右2に対応するように、順次対応している。
<クリンカ改質薬剤(実施例1及び2共通)>
硝酸アンモニウム:8.00重量%
硝酸カリウム:14.00重量%
硝酸マグネシウム:2.31重量%
硝酸銅:1.24重量%
水:74.45重量%
<薬剤注入場所>
多段あるバーナの一番上段のバーナ付近の開口部(点検口)から噴霧注入した。該バーナの配置の概略図を図5に示す。F1〜F8の8つの開口部(点検口)を使用した。
<薬剤注入量>
実施例1:400kg/日×20日=8,000kg
実施例2:300kg/日×21日=6,300kg
<注入頻度>
1回/2箇所/日
<注入割合(重量割合)>
実施例1(均一噴霧)
F1:F2:F7:F8=1:1:1:1
F4:F3:F6:F5=1:1:1:1
実施例2(ノズル径調製)
F1:F2:F7:F8=1:2.4:1.4:1.4
F4:F3:F6:F5=1:2.4:1.4:1.4
<注入方法>
1日目、F1&F2を同時噴霧して予定量を薬注し終わったら、同様にF7&F8を同時噴霧。
2日目、F4&F3を同時噴霧して予定量を薬注し終わったら、同様にF6&F5を同時噴霧。
以下、その繰り返し。
<注入装置>
薬剤注入装置吐出圧力が10MPa、吐出量15L/分のポンプ、薬注タンク(容量1000L)及び、薬剤を噴霧するノズルを備える装置を使用した。
Figure 0006142325
表2に示すとおり、実施例1及び2において、薬剤の噴霧後にクリンカ付着の改善がみられ、改善効果は実施例1よりも実施例2が大きかった。
[クリンカ除去作業]
クリンカ改質薬剤の噴霧注入後、火炉内のクリンカ除去作業を行った。クリンカを除去するまでに要した時間を下記表3に示す。また、薬剤を使用していなかった従来のクリンカ除去作業期間も併せて示す。
Figure 0006142325
表3に示す通り、薬剤を用いることで、薬剤を使わない場合に比べて、実施例1及び2において大幅にクリンカ除去作業時間を短縮できた。また、薬剤量は、実施例1では8,000kgであり、実施例2では6,300kgに減っているにも関わらずクリンカ除去に要した作業期間は、表3に示す通り、実施例1よりも実施例2において大幅に短縮されている。クリンカが改質されて物理的に弱くなったためと考えられる。すなわち、実施例2においてノズル径を変えて注入量を調節することにより、少ない薬剤量でコスト面及び環境に優しいだけでなく、クリンカ除去作業時間も大幅に短縮できることが示された。
1 ボイラ
2 火炉
3 バーナ
4 過熱器
5 再熱器
6 横型過熱器
7 節炭器
8 脱硝装置
9 空気予熱器
10 電気集塵器
11 燃焼ガス
20 噴霧管

Claims (8)

  1. 石炭火力発電所における火力発電ボイラの熱交換部のクリンカをコントロールする方法であって、
    前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及び前記供給口近傍に開口部を備えるものであり、
    前記ボイラの運転中に、前記開口部に噴霧管を挿入すること、及び、前記噴霧管から、硝酸塩を有効成分とするクリンカ改質薬剤を炉内に噴霧注入すること、及び
    前記噴霧したクリンカ改質薬剤を、前記供給口のバーナが発生する気流により前記熱交換部に到達させることを含む、方法。
  2. 前記薬剤を前記開口部から過熱器管に到達させることを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及び前記供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、
    ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各開口部からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ボイラが、ボイラ内へ燃料を供給する供給口及び前記供給口近傍に開口部をそれぞれ複数備えるものであり、
    薬剤の噴霧注入が、1つのポンプから複数分岐した噴霧管を前記複数の開口部に挿入して行われる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. ボイラ内のクリンカ発生パターンに応じて各噴霧管からの前記薬剤の注入量を調節することを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 薬剤の注入量の調節が、前記噴霧管の径、又は、前記噴霧管に取り付けられたバルブで調節される、請求項4又は5に記載の方法。
  7. 薬剤の注入量の調節は、各開口部から噴霧注入された薬剤がボイラ内のどの部分に到達するかの情報に基づく、請求項3から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記クリンカ改質薬剤が、硝酸アンモニウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、及び水を含有する薬剤である、請求項1からのいずれかに記載の方法。
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