JP6141674B2 - 内燃機関、および自動車 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１のプリアンブルに従った、２本のシャフト、すなわち、それぞれカムに強固に結合され、さらに、互いに相対的に回転可能な内外シャフトを有する少なくとも１つのカムシャフトを備えた内燃機関に関するものである。本発明は、さらに、そのような内燃機関を備えた自動車に関するものである。

特許文献１から、アジャスタブルカムシャフトを備えた一般的な内燃機関が知られている。このカムシャフトは、２本のシャフト、すなわち、それぞれカムに強固に結合され、互いに相対的に回転可能な内外シャフトを有する。相対的な動きを生じさせるために、ハイドロリック調整装置がカムシャフトの一端に設けられる。ハイドロリック調整装置を動作させるために必要なハイドロリック流体を供給するための組み込みスペースを可能な限り小さくできるようにするため、ハイドロリック流体は適切に形成されたカウンタベアリングを介してハイドロリック調整装置に供給される。

アジャスタブルカムシャフトを備えた一般的な内燃機関は広く知られ、従来技術から知られる上記段落の内燃機関では、ハイドロリック調整メカニズムへのハイドロリック流体の供給は、看過できない組み込みスペースを必要とする。

独国特許出願公開第１０２００５０４０９３４号明細書

本発明は、そこで、一般的な種類の内燃機関に、特に、少なくとも２つのカムシャフトのフェーズアジャスタに供給する組み込みスペースの最適化を可能にする改良された実施例を提案するという課題に関する。

上記課題は、独立請求項の主題による発明に従って解決される。有利な実施例は、従属請求項の主題である。

本発明は、スライドベアリングとして設計されたカウンタベアリングを通した、アジャスタブルカムシャフトの２つのフェーズアジャスタへのオイル供給、およびスライドベアリングに、今までなされていたような４つではなく、ただ３つのオイルチャネルを設けるという概略的なアイデアに基づく。この目的のため、本発明の内燃機関は、２本のシャフト、すなわち、それぞれカムに強固に結合され、互いに相対的に回転可能な内外シャフトを有する。そのようなカムシャフトは、通常、カム−イン−カム・カムシャフトと呼ばれる。２つのシャフトの間、および外シャフトとクランクシャフトの間の相対回転を生じさせるために、カムシャフトに沿って、その端部側に配置された２つのフェーズアジャスタが設けられている。フェーズアジャスタに近接して、外シャフトが、スライドベアリングとして設計された固定的なカウンタベアリングに取り付けられている。本発明では、フェーズアジャスタへのオイル供給は、スライドベアリングから外シャフトを通して内シャフトに通じ、内シャフト内で軸方向の孔を介して、対応するオイルフローによって内シャフトのフェーズアジャスタに作用するバルブへの第１オイルチャネルを有するカウンタベアリングを介して行われる。スライドベアリングから外シャフトを通して、さらに外シャフトと内シャフトとの間を外シャフトのフェーズアジャスタに通じる第２オイルチャネルを介して、上記フェーズアジャスタは、第１の方向、例えば反時計回りの外シャフトの回転を可能にする第１オイルフローによって作用される。スライドベアリングから外シャフトを通して、さらに外シャフトと内シャフトとの間、オイル案内スリーブ内を外シャフトのフェーズアジャスタに通じる第３オイルチャネルを介して、上記フェーズアジャスタは、外シャフトの反対回転、したがって、例えば時計回りの回転に影響する第２オイルフローによって作用される。ただ一つのオイルチャネル、すなわちバルブの下流が２つの反対に作用する方向に分割される第１オイルチャネルを介して内シャフトを調整するフェーズアジャスタを設けることによって、以前は必要とされた第４のオイルチャネルが省略され得、その結果、カウンタベアリングが、特に軸方向に、大幅にコンパクトに作られ得る。同時に、カムシャフトを介した２つのフェーズアジャスタへのオイル供給が、比較的簡素で安価に構成され得、カムシャフトの軸方向前側に配置される、内シャフトのフェーズアジャスタが、内シャフト内の孔を通してオイルを供給される。さらに、この領域では、バルブを収容する十分なスペースが存在する。本発明の、この改良されたオイル供給によって、本発明によって構成されたスライドベアリング内に既に存在するオイルが、潤滑のためだけでなく、さらにまた２つのフェーズアジャスタをコントロールするためにも用いられる。

本発明による解決の有利な改良では、外シャフトと内シャフトとの間の第１オイルチャネルは、シールリングにより第２オイルチャネルに対してシールされる。そのようなシールリングは、内シャフトと外シャフトとの間の相対回転を可能にし、しかし、第１オイルチャネルを第２オイルチャネルから完全にシールする。上記シールリングは、プラスチックから成る通常のシールリングとして構成され得る。

好適には、内シャフトのためのフェーズアジャスタを切り替えるためのバルブは、電磁バルブとして設計される。そのような電磁バルブは、一方で、非常に正確な切り替えをし、よって、非常に正確なエンジンコントロールを可能にし、他方で、それらは比較的安価で、本発明の内燃機関のコストエフェクティブで経済的な製造に有利である。

好適には、２つの軸方向ショルダーが外シャフト上でスライドベアリングに近接して配置さる。ここで、２つの軸方向ショルダーは、外シャフトに回転的に固定されて結合され、外シャフト上に軸方向にスライドベアリングに近接して固定されたリング状に形成される。２つの軸方向ショルダーは、このように、スライドベアリングにおけるカムシャフトの軸方向の取付を可能にし、組み込みが複雑で製造が高価な例えばスラストワッシャなどの、分離した軸方向ベアリングを省略し得る。

本発明による解決の有利な改良では、シールリングが、外シャフトとのスライドベアリングとの間に設けられ、上記シールリングは個々のオイルチャネルを互いに対してシールする。そのようなシールリングは、外内シャフトの間のシールリングと同様に設計され得、個々のオイルフローまたはオイルチャネルを画するために働く。そのようなシールリングは、例えば、やはりプラスチック、また金属から成り得、特に２つの軸方向ショルダーと共に、それらはスライドベアリングからシリンダヘッド内への過度のオイル放出を防ぐラビリンスシールを可能にする。

さらに有利な実施例では、スライドベアリングは、各オイルチャネルに対して環状に延びるリング溝を有している。これは、以下の点で非常に有利である。すなわち、スライドベアリングから広がるオイルフローは、リング溝の全体を通して広がり、それゆえ、カムシャフトまたは外シャフトの各回転位置で外シャフトのスルーオープニングを介して後続のオイルチャネルに流体的に接続されているので、純粋に理論的に、リング溝またはオイルチャネルあたりただ１つのスルーオープニングが設けられる必要があるだけである。もちろん、２つの、特に２つの反対側のスルーオープニングがカムシャフト、すなわちカムシャフトの外シャフトに設けられることも可能であり、それによって、特に連続的なオイルの供給が可能にされる。

本発明のさらに重要な特徴、および利点は、従属請求項から、図面から、および図面に基づく図解の対応する記述から生じる。

上記の特徴、および以下でさらに説明される特徴は、それぞれの述べられた組み合わせだけでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組み合わせ、または単独でも用いられ得る。

発明の好ましい例示的実施例は、図示され、以下の記述でより詳細に説明され、同一の参照符号は同一もしくは類似した、または機能的に等価な構成要素を表す。

図１は、本発明に従った内燃機関を通じた、カムシャフトの長手方向の端部領域の断面図を示す。 図２は、図１と同様だがスライドベアリングを省き、２つのフェーズアジャスタに供給するオイルの流れを表した図を示す。

図１、および図２によれば、本発明の内燃機関１は、いわゆるシフタブルなカムシャフト２として設計された少なくとも１つのカムシャフト２、および２本のシャフト３，４、すなわち、それぞれ図示しないカムに強固に結合され、互いに相対的に回転可能な内シャフト３と外シャフト４とを備えている。また、一方で内シャフト３と外シャフト４との間の相対的な回転をもたらし、他方で内燃機関１の図示しないクランクシャフトに対するカムシャフト２の位相を調整する２つのフェーズアジャスタ６，７を有する調整装置５が設けられている。カムシャフト２は、スライドベアリング８として設計されたカウンタベアリングを介して取り付けられ、上記カウンタベアリングは、シリンダヘッド９における調整装置５の近傍に固定的に配置されている。本発明では、フェーズアジャスタ６，７へのオイルの供給は、スライドベアリング８を介して、すなわち、スライドベアリング８から外シャフト４を通して内シャフト３内へ、および内シャフト３内を、対応するオイルフロー１４，１４’によって内シャフト３のフェーズアジャスタ６に作用するバルブ１１に通じる第１オイルチャネル１０によって行われ、バルブポジションに応じて外シャフト４に対する内シャフト３の相対的回転を生じさせ得る。スライドベアリング８から外シャフト４を通して、さらに外シャフト４と内シャフト３との間を外シャフト４のフェーズアジャスタ７に通じる第２オイルチャネル１２を介して、上記フェーズアジャスタ７は第１オイルフロー１３（図２参照）によって作用される。第１オイルフロー１３と反対方向の第２オイルフロー１５は、スライドベアリング８から外シャフト４を通して、さらに外シャフト４と内シャフト３との間、オイル案内スリーブ１７内を外シャフト４のフェーズアジャスタ７に通じる第３オイルチャネル１６（図１参照）を介して供給される。「反対のオイル流れ方向」の呼称は、第１オイルフロー１３が、第２オイルフロー１５によって影響される方向と反対方向にクランクシャフトに相対的な外シャフト４の回転に影響を与えるという事実に言及しているに過ぎない。スライドベアリング８内、および特にカムシャフト２内の本発明のオイルフローパスによって、以前は必要とされた４つのオイルチャネルが、今やスライドベアリング８内の３つのオイルチャネル１０，１２，１６に低減され、それによって、上記スライドベアリング８は、よりコンパクトなデザインを有し、技術的に簡素な構造であり得る。

外シャフト４と内シャフト３との間で、第１オイルチャネル１０は、図１に示されるように、シールリング１８により第２オイルチャネル１２に対してシールされる。同様に、シールリング１９も、また、外シャフト４とスライドベアリング８との間に設けられ、上記シールリング１９は、それぞれのオイルチャネル１０，１２，１６を互いにシールする。シールリング１８および／または１９は、公知のプラスチックシールとして形成され得るが、しかし、また、金属の類い（metallic nature）でも形成され得る。

図１および図２を参照すれば、バルブ１１は、内シャフト３のためのフェーズアジャスタ６の前側に設けられ、バルブ１１のためのアクチュエータ２０は、例えば、シリンダヘッド９上に設けられ、対応するタペット２１を介してバルブ１１の調整に影響し得ることが明らかである。そして、バルブ１１は、例えば電磁バルブとして設計され得る。

スライドベアリング８に近接して、２つの軸方向ショルダー２２，２２’が外シャフト４に設けられ、上記ショルダーは、カムシャフト２をスライドベアリング８上で軸方向に支持する。個々のオイルチャネル１０，１２，１６は、図１に示されるように、スライドベアリング８内で実質的に平行に通っているが、しかし、他のオイルチャネル１０，１２，１６のパスも、また、考えられる。フェーズアジャスタ６，７への連続的なオイル供給のためには、スライドベアリング８は、フェーズアジャスタ６，７へのオイル供給がカムシャフト２の回転角度位置に依存しないように、各オイルチャネル１０，１２，１６に対して環状に延びるリング溝２３を有している。外シャフト４には、リング溝２３あたり少なくとも１つのスルーオープニング２４が設けられ、それはもちろんまた、図１および図２に示されるように、２つの反対側のスルーオープニング２４が設けられることも可能である。リング溝２３を通して、到達するオイルフロー１３，１５は、例えば、外シャフト４の周囲全体を通じてシールリング１９の間に広がり、それによって、スルーオープニング２４を通したオイルの連続的な流れが確実にされる。

オイル案内スリーブ１７は、単純なシートメタル部品で形成され得、よって、安価であり得る。

本発明のカムシャフト２によって、特にそれが設けられた内燃機関１によって、２つのフェーズアジャスタ６，７を有するカム−イン−カム・カムシャフト２は、組み込みスペースが最適化された形で（installation-space-optimized manner）オイルが供給され得、それゆえ、カムシャフト２および／またはスライドベアリング８内のオイルフローパスが、比較的簡潔で安価に実現され得る。

図２は、外シャフト４のフェーズアジャスタ７のための第１オイルフロー１３と第２オイルフロー１５とを切り替える、さらなるバルブ１１’を示している。上記バルブ１１’は例えばシリンダヘッド９に設けられ得る。

１ 内燃機関
２ カムシャフト
３ 内シャフト
４ 外シャフト
５ 調整装置
６ フェーズアジャスタ
７ フェーズアジャスタ
８ スライドベアリング
９ シリンダヘッド
１０ 第１オイルチャネル
１１ バルブ
１１’ バルブ
１２ 第２オイルチャネル
１３ 第１オイルフロー
１４，１４’ オイルフロー
１５ 第２オイルフロー
１６ 第３オイルチャネル
１７ オイル案内スリーブ
１８ シールリング
１９ シールリング
２０ アクチュエータ
２１ タペット
２２，２２’ 軸方向ショルダー
２３ リング溝
２４ スルーオープニング

Claims (10)

1. 少なくとも１本のカムシャフト（２）を有する内燃機関（１）であって、
   シャフト（３，４）、すなわち、それぞれカムに強固に結合され、互いに相対的に回転可能な内シャフト（３）および外シャフト（４）と、
   ２つのフェーズアジャスタ（６，７）を有する調整装置（５）と、
   を備え、
   上記外シャフト（４）は、調整装置（５）に近接する固定的なカウンタベアリングに取り付けられ、
   カウンタベアリングは、スライドベアリング（８）として設計され、
   フェーズアジャスタ（６，７）へのオイル供給はスライドベアリング（８）を介して行われるとともに、
   スライドベアリング（８）から外シャフト（４）を通して内シャフト（３）内へ、および内シャフト（３）内を、対応するオイルフロー（１４，１４’）によって内シャフト（３）のフェーズアジャスタ（６）に作用するバルブ（１１）に通じる第１オイルチャネル（１０）と、
   スライドベアリング（８）から外シャフト（４）を通して、さらに外シャフト（４）と内シャフト（３）との間を外シャフト（４）のフェーズアジャスタ（７）に通じ、第１オイルフロー（１３）によって上記フェーズアジャスタ（７）に作用する第２オイルチャネル（１２）と、
   スライドベアリング（８）から外シャフト（４）を通して、さらに外シャフト（４）と内シャフト（３）との間、オイル案内スリーブ（１７）内を外シャフト（４）のフェーズアジャスタ（７）に通じ、第２オイルフロー（１５）によって上記フェーズアジャスタ（７）に作用する第３オイルチャネル（１６）と、
   を備えたことを特徴とする内燃機関（１）。
2. 請求項１の内燃機関（１）であって、
   外シャフト（４）と内シャフト（３）との間の第１オイルチャネル（１０）は、シールリング（１８）によって、第２オイルチャネル（１２）とシールされていることを特徴とする内燃機関（１）。
3. 請求項１または請求項２の内燃機関（１）であって、
   バルブ（１１）が、内シャフト（３）のためのフェーズアジャスタ（６）の前側に設けられ、および／または
   バルブ（１１）のためのアクチュエータ（２０）が、シリンダヘッド９に設けられていることを特徴とする内燃機関（１）。
4. 請求項１から請求項３のうち何れか１項の内燃機関（１）であって、
   バルブ（１１）は、電磁バルブとして設計されていることを特徴とする内燃機関（１）。
5. 請求項１から請求項４のうち何れか１項の内燃機関（１）であって、
   スライドベアリング（８）に近接して、２つの軸方向ショルダー（２２，２２’）が外シャフト（４）に設けられ、スライドベアリング（８）の軸方向にカムシャフト（２）を支持することを特徴とする内燃機関（１）。
6. 請求項１から請求項５のうち何れか１項の内燃機関（１）であって、
   スライドベアリング（８）内の少なくとも２つのオイルチャネル（１０，１２，１６）は、互いに平行に通っていることを特徴とする内燃機関（１）。
7. 請求項１から請求項６のうち何れか１項の内燃機関（１）であって、
   外シャフト（４）とスライドベアリング（８）との間に、個々のオイルチャネル（１０，１２，１６）を互いにシールするシールリング（１９）が設けられていることを特徴とする内燃機関（１）。
8. 請求項１から請求項７のうち何れか１項の内燃機関（１）であって、
   スライドベアリング（８）が、各オイルチャネル（１０，１２，１６）に対して環状に延びるリング溝（２３）を有していることを特徴とする内燃機関（１）。
9. 請求項８の内燃機関（１）であって、
   外シャフト（４）が、リング溝（２３）あたり少なくとも１つのスルーオープニング（２４）を有していることを特徴とする内燃機関（１）。
10. 請求項１から請求項９のうち何れか１項の内燃機関（１）を有する自動車。

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