JP6140803B2 - 太陽光発電プラントの制御技術 - Google Patents

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Description

本明細書に記載する対象の実施形態は、広くは太陽電池に関する。より具体的には、対象の実施形態は、太陽光発電プラントの動作及び制御に関する。
太陽光発電プラントは、太陽放射を電気エネルギーに変換するために、太陽電池を使用する。太陽光発電プラントはまた、光起電インバータ(「インバータ」)を含み、インバータは太陽電池により生成される直流(DC)を、変圧器及び伝送線の回路網を介して電力系統との相互接続点(POI)への供給に好適な交流(AC)に変換する。
大型の太陽光発電プラントとの関係で送電設備網集積化の要求を支援する上でインバータの役割は、未だに進歩している。電力系統のインバータは、それらのトポロジー及び可制御性のために、制御された無効電力供給、周波数−電力ドループ制御、及びフォルトライドスルーなどの拡大機能群を提供するが、大型の太陽光発電プラント内で並列して動作している複数のインバータの協調制御に関連する実際の課題は、完全には解明又は理解されていない。インバータは、高度に適応性があり、かつ制御可能な装置であるが、これらはその端子で存在する条件に応答できるに過ぎない。加えて、大型の太陽光発電プラントは、典型的には同一でない回路インピーダンス及び動特性を有する複数の分散したインバータステーションを収容する。大型の太陽光発電プラントで使用されるインバータは、複数の販売業者から入手される場合があるために、有効及び無効電力定格、電圧許容範囲を超える出力、及び制御応答率などの重要なパラメータのいくつかは、インバータステーション間で多種多様であり得る。電力系統とのPOIまでのインバータの距離及びPOIで信号を感知する上での制限は、通信インフラストラクチャ及び達成可能な制御応答率に付加的な制約を課す。
一実施形態では、太陽光発電プラントの動作の制御方法は、複数の太陽電池を提供する段階を含む。複数のインバータは、太陽電池によって生成される直流を交流に変換し、複数のインバータのそれぞれは、入力無効電力設定値に従って無効電力を生成する。グリッドコントローラは、大域的な無効電力設定値を生成する。複数のインタプリタは、大域的な無効電力設定値を受信する。複数のインタプリタのそれぞれは、大域的な無効電力設定値を、複数のインバータのうちの特定のインバータグループについての無効電力設定値に変換し、無効電力設定値を特定のインバータグループに提供する。
別の実施形態において、太陽光発電プラントの動作を制御する方法は、太陽光発電プラントの複数のインバータのインピーダンスを表す等価インピーダンスを決定する段階を含む。等価インピーダンスを有するバーチャルインバータによって生成される無効電力が決定される。複数のインバータにおける個々のインバータの無効電力寄与が、バーチャルインバータにより生成される無効電力に基づいて決定される。複数のインバータにおける個々のインバータについて、決定されるインバータの無効電力寄与を使用してインバータの無効電力設定値が設定される。複数のインバータにおける個々のインバータは、その無効電力設定値に基づいて無効電力を生成する。
別の実施形態において、太陽光発電プラントの動作を制御する方法は、太陽光発電プラントのインピーダンス回路網を、複数の第1のレベルのインバータクラスタに分割する段階を含み、第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれは、太陽光発電プラントの複数のインバータを表す。第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれで表されたインバータのインピーダンスを表す、第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれの等価インピーダンスが決定される。第1のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスは、第2のレベルのインバータクラスタにグループ化される。スーパーインバータクラスタの等価インピーダンスが、少なくとも第1のレベルのインバータクラスタ及び第2のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスに基づいて決定され、このスーパーインバータクラスタの等価インピーダンスは、第1のレベルのインバータクラスタで表されたインバータのインピーダンスを表す。スーパーインバータクラスタの等価インピーダンスを有するバーチャルインバータによって生成される無効電力が決定される。第1のレベルのインバータクラスタで表されたインバータのそれぞれの無効電力寄与が、バーチャルインバータによって生成される無効電力に基づいて決定される。第1レベルのインバータクラスタ内で表されるインバータは、このインバータについて決定された無効電力寄与に従って無効電力を生成する。
本発明のこれら及びその他の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲を含む本開示の全体を読むことにより、当業者には容易に理解されよう。
より完全な本主題の理解は、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲を、以下の図面と併せて考察し、参照することによって導き出すことができ、同様の参照番号は、図面全体を通して同様の要素を指す。
本発明の一実施形態による太陽光発電プラントの概略図である。 本発明の一実施形態による図1の太陽光発電プラントの更なる詳細を示す概略図である。 本発明の別の実施形態による太陽光発電プラントの概略図である。 本発明の一実施形態による、複数のインバータのインピーダンスを表すインピーダンスを有する単一バーチャルインバータを生成するために、複数のインバータをクラスタリングする方法を図示している太陽光発電プラントのインピーダンスマップである。 本発明の一実施形態による、太陽光発電プラントの複数のインバータのそれぞれに最適化された無効電力を生成する方法を図示するために、再ラベル付けされた図4のインピーダンスマップである。 本発明の一実施形態による、図4のインバータクラスタリング処理を更に説明する概略図である。 本発明の一実施形態による、結合して単一スーパーインバータクラスタにされるインバータを有する太陽光発電プラントの等価回路の概略図である。 本発明の一実施形態による、複数のインバータをクラスタリングし、複数のインバータのインピーダンスを表すインピーダンスを有する単一バーチャルインバータを形成する方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態による、太陽光発電プラントの複数のインバータについて最適化された無効電力設定値を生成する方法のフローチャートである。 本発明の一実施形態による、複数のインバータのそれぞれの最適な無効電力寄与を決定する方法のフローチャートである。 種々の無効電力制御技術を比較するモデリング及び計算から得たプロットを示す。
本開示では、本発明の実施形態を十分に理解するために、装置、構成部品及び方法の例など、多数の具体的な詳細を提供している。しかしながら、当業者であれば、本発明はこれらの具体的な詳細のうちの1または複数を欠いても実施できることは理解されよう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるため、周知の詳細については図示又は説明をしていない。
広くは、大型の太陽光発電プラントについての一般的な最適の無効電力計画問題が、以下のように説明され得る。インバータの全てのクラスタが連結されている適切に選択された中間点ノードについて、中間点ノード変数ν(κ)及びq(κ)、並びにインバータ変数p(κ)、i=1,2...,Nのセットを前提とすると、
Figure 0006140803

の拘束条件で、選択された目的関数J(κ)を最小化するQ(κ)、i=1,2...,Nを計算する。 式中、qimax(κ)はインバータiの無効電力限度値であり、インバータの性能、典型的には、VA電力容量Simax、及び動作電力p(κ)に大きく依存する。例えば、動作力率に対する限度値により制限される無効電力を提供することができるインバータについては、qimax(κ)は、
Figure 0006140803

によって与えられ、式中、pfimaxは、最大定格VA電力におけるインバータの最大力率である。
あるいは、動作力率のみにより制限される無効電力を提供することができるインバータについては、
Figure 0006140803

である。
例示の目的関数は、
Figure 0006140803

によって与えられ、これについての最適化処理が、全てのインバータについての所望の無効電力の計算をもたらし、これは、インバータ端子電圧が中間点電圧に可能な限り近いことを総じて確実にする。インバータ無効電力の最適値は、個々の動作点kについて計算され、実用化については、動作点の数が多い可能性があるために、この結果は、種々の動作点に対して得られた所望の無効電力の分布を考慮に入れて、インバータクラスタリング処理を通してなど、簡潔な解決策を得るために、組み合わされ統合される必要があることに留意すべきである。
上述の最適化処理のための一般的な解経路は、特に、多数のインバータ又はインバータクラスタを有する大型の太陽光発電プラントでは複雑な場合がある。以下に記載されるものは、バイナリツリーインバータクラスタリングモデルを使用する扱いやすい解経路であり、ここでは、初めに太陽光発電プラント全体の単一のインバータ(又は最下位レベルのインバータクラスタ)がグループにまとめられて、得られたインバータクラスタが次々にグループにまとめられ、単一インバータクラスタが得られるまで、この処理が続けられる。最適化処理は、例えばトリナリツリー、クォータナリツリー等のその他のインバータクラスタリングモデルにも拡大され得る点に留意されたい。
図1を参照すると、本発明の一実施形態による太陽光発電プラント100の概略図が示されている。図1の例において、太陽光発電プラント100は、コンピュータ109、グリッドコントローラ110、感知モジュール112、電圧及び電流センサ124、光起電インバータステーション130(すなわち、130−1、130−2、...、130−n)、及びローカルインタプリタ132(すなわち、132−1、132−2、...、132−n)を備える。
図2で示すように、インバータステーション130は、1または複数の光起電インバータ131、複数の光起電モジュール114(すなわち、114−1、114−2、...、114−n)、及び変圧器133を含むことができる。典型的には、インバータステーション130内に1または複数のインバータ131が存在するが、図示を明瞭にするために、図2では1つだけが示されている。ローカルインタプリタ132は、無効電力(Q)設定値、力率(PF)設定値、及び/又は有効電力限度値(P−限度値)の形態の制御信号を、インバータステーション130の1または複数のインバータ131に送信する。
光起電モジュール114は、複数の太陽電池115を含むことができる。図示を明瞭にするために、図2では太陽電池115の一部だけが表示されていることに留意すべきである。太陽電池115は、太陽放射を電気エネルギーに変換する。インバータ131は、太陽電池115によって生成される直流(DC)を交流(AC)に変換し、変圧器133は、インバータ131のAC出力電圧を、相互接続点(POI)101への供給に好適なレベルまで向上させる。図1で示すように、インバータ131の向上されたAC出力電圧は、第2のレベルの変圧器134、インバータステーション変圧器133を第2のレベルの変圧器134に接続するケーブル又は伝送線135、及び第2のレベルの変圧器134をPOI 101に接続する伝送線136を備える回路網を経て電力系統108に連結され得る。
図1を参照すると、電圧及び電流センサ124は、POI 101で電圧及び電流を測定する計測器を備えてもよい。感知モジュール112は、電圧及び電流センサ124から電圧及び電流測定値を受信する。感知モジュール112は、電圧及び電流測定値を調節するために、前処理モジュール(例えば、フィルタ)を含んでもよい。感知モジュール112は、前処理された電圧及び電流測定値を処理し、POI 101において力率、無効電力、電圧、及び有効電力(「実電力」とも呼ばれる)を決定するために、計算モジュールを更に含んでもよい。インバータステーション130内のインバータ131がそれらの端子で状態を測定するのに対比して、感知モジュール112は、POI 101における力率、無効電力、電圧、及び有効電力を検出する。これは、POIにおける状態のより正確な検出を可能にし、送電損失に起因する感知問題を排除する。
コンピュータ109は、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ワークステーション、又はその他の計算装置を備えることができる。一実施形態において、コンピュータ109は、プロセッサによる実行のためにメモリ(例えば、RAM)内にあり得る、モデリング及び解析ソフトウェアを含む。モデリング及び解析ソフトウェアは、MATLAB(商標)、PSSE(商標)、MATCHCAD(商標)、及び/又はPSLF(商標)ソフトウェアツールなどの数学ソフトウェア・パッケージを含んでもよい。コンピュータ109は、インバータステーション130内のインバータ131についての最適な無効電力設定値を決定するために計算を実行するよう構成され得る。最適化された無効電力設定値は、例えばコンピュータネットワークにより又は取り外し可能なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体(例えば、USBスティック、CD、DVD)により、コンピュータ109からグリッドコントローラ110及び/又はローカルインタプリタ132に提供されてもよい。グリッドコントローラ110のコンピューティング資源に応じて、コンピュータ109の機能性はまた、グリッドコントローラ110で実現されてもよい。
グリッドコントローラ110は、POI 101で特定の無効電力を維持するよう、及び/又はPOI 101で大域的な有効電力発生に限度値をセットするよう構成され得る。一実施形態において、グリッドコントローラ110は、感知モジュール112からPOI 101における力率、無効電力、電圧及び有効電力値を受信し、これらの値と参照値116との比較を行い、インバータステーション130内のインバータ131が、電圧及び電流を出力し、POI 101において特定の無効電力及び有効電力レベルを達成するように、制御論理モジュール117を介して、インバータステーション130に送られた大域的な無効電力設定値(Q)、又は大域的な力率(PF)設定値、および大域的な有効電力限度値(P−限度値)を調整する。前述の設定値及び限度値は、太陽光発電プラント100内のインバータ131の全てに向けられている点で大域的である。
無効電力設定値は、この無効電力設定値によって指示される無効電力を達成する出力電流を生成するために、インバータ131向けられるコマンドである。すなわち、インバータ131は、このインバータ131に提供された無効電力設定値に従って、無効電力を生成する。同様に、力率設定値は、この力率設定値によって指示される力率を達成する出力電流を生成するために、インバータ131に向けられるコマンドである。概して、インバータ131から供給される有効電力は、太陽電池115の出力に基づいている。しかしながら、グリッドコントローラ110は、全有効電力生成に対する限度値を、太陽電池115からの利用可能な全実電力より小さく調整することができる。更に、一般的に言うと、力率設定値及び無効電力設定値は、互いに依存し、これらの一方のみが動作の選択されたモードに依存して選択される一方、他方が前者によって支配される。グリッドコントローラ110は、太陽電池115からの有効電力出力に基づいて、大域的な無効電力設定値、又は力率設定値を生成するか、又は場合によっては、POI無効電力要求量を満たすことが必要とされ得る追加の大域的な無効電力に適合するように大域的な有効電力限度値を調整する。
図1の実施形態において、グリッドコントローラは、インバータステーション130内の全てのインバータ131に対して、単一の大域的な無効電力設定値(Q)又は力率設定値(PF)、及び有効電力限度値(PF−限度値)を生成する。以下でより明確になるように、最適化された無効電力設定値は、個々のインバータ131又は類似のインバータ131の個々のグループについて決定され得る。この最適化を実現するために、ローカルインタプリタ132は、大域的な無効電力設定値又は大域的な力率設定値、及び大域的な有効電力限界値をグリッドコントローラ110から受信し、特定のインバータステーション130内の全てのインバータ131による使用のために、これら大域的な値を局所的な値に変換することができる。例えば、ローカルインタプリタ132は、対応するインバータステーション130についての最適化された無効電力設定値と同一の又は類似のレベルまで、大域的な無効電力設定値をスケーリングするか、又はこれにバイアス値を付加することが可能である。個々のローカルインタプリタ132は、特定のインバータステーション130のインバータ131についてのスケーリング及びバイアス因子又は最適化された無効電力設定値を、グリッドコントローラ110から又はコンピュータ109から、コンピュータネットワークを通して、手動構成により、取り外し可能なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等により受信することができる。スケーリングされた無効電力設定値又は力率設定値、および有効電力限度値は、ローカルインタプリタ132によって、対応するインバータステーション130内のインバータ131に提供される。ローカルインタプリタ132は、電気回路、プログラムされた論理、又はいくつかのその他のデバイスとして実現されてもよい。
ローカルインタプリタ132の使用は、単にローカルインタプリタ132をグリッドコントローラと個々のインバータステーションとの間に挿入することにより、本発明の実施形態が既存の太陽光発電プラントで展開されることを好都合に可能にする。しかしながら、ローカルインタプリタ132の機能性もまた、グリッドコントローラ110の内部に組み込まれ得ることに留意すべきである。例えば、グリッドコントローラ110はまた、全てのインバータステーション130についての単一の大域的な値を送信するよりはむしろ、個々のインバータステーション130について、別々の最適化された無効電力設定値、力率設定値、及び有効電力限度値を出力することができる。この実施形態は、太陽光発電プラント100Bを示す図3に概略的に示されている。太陽光発電プラント100Bは、グリッドコントローラ110が、個々のインバータステーション130について、別々の最適化された無効電力設定値(Q1、Q2、...、Qn)、力率設定値(PF1、PF2、...、PFn)及び有効電力限度値(P1−lim、P2−lim、...、Pn−lim)を生成することを除けば、太陽光発電プラント100と同様である。それ以外の点では、太陽光発電プラント100Bの構成要素及び動作は、太陽光発電プラント100のものと同様である。
図4及び5は、縦軸がリアクタンス(X)を表し、横軸が抵抗(R)を表している、太陽光発電プラント100のインピーダンスマップを示す。図4のインピーダンスマップは、本発明の一実施形態により、複数のインバータ131をクラスタリングし、複数のインバータ131のインピーダンスを表すインピーダンスを有する単一バーチャルインバータを生成する方法を図示するためにラベル付けされている。図4の例において、インバータ131のインピーダンスは、インバータ131の伝送路インピーダンスを指し、これは、インバータ131の出力インピーダンス、インバータ131に接続された第1のレベルの変圧器133のインピーダンス、及び複数のインバータステーション130が接続されている次の接合ノードに至るケーブル及び伝送線135のインピーダンスを含む。他の大型の太陽光発電プラントのように、太陽光発電プラント100のインバータ131は、異なる販売業者から入手する場合があり、異なるインピーダンスを有し得る。更に、第1のレベルの変圧器133並びにケーブル及び伝送線135は、著しく異なるインピーダンスを有する場合がある。インバータ131の出力のこれらインピーダンスは、なおいっそうの精度のためにクラスタリング処理で考慮に入れられる。
図4の例では、相互接続点(POI)から全てのインバータ131が単一の伝送路インピーダンスを有する単一の「バーチャル」集合体インバータにより表されるポイントに至るまでで見られるように、太陽光発電プラント100の電気回路網全体を表す等価インピーダンスを生み出すために、インバータクラスタリングアプローチが使用される。最下位のインバータクラスタにおいて、クラスタ内に表されるインバータは、実際のインバータ131である。次の高位レベルのインバータクラスタ及び後続の高位レベルのインバータクラスタにおいて、クラスタ内のインバータは、これらがモデリング及び解析の目的のためだけに代表的なインバータを提供するという点で、(物理的なインバータとは対照的に)「バーチャル」インバータである。
図4の例では、太陽光発電プラント100のインピーダンス回路網は、複数の第1のレベルのインバータクラスタ200(すなわち、200−1、200−2、200−3、200−4、200−5)に分割される。第1のレベルのインバータクラスタ200は、この例では最下位レベルのインバータクラスタである。結果的に、個々の第1のレベルのインバータクラスタ200は、類似の伝送路インピーダンスレベルを有するインバータ131のグループ化を含む(バーチャルインバータとは反対に)。例えば、個々の第1のレベルのインバータクラスタ200は、単一の給電線回路網内のインバータステーション130のインバータ131のグループ化であるか、又は異なる給電線回路網ではあるが、類似の伝送路インピーダンスレベルを有するインバータステーション130のインバータ131のグループ化であり得る。図4の例では、第1のレベルのインバータクラスタ200内の個々の中空のドットは、Rijk+jXijkによって数学的に説明される伝送路インピーダンスを有する単一インバータ131を表し、式中、Rijkは、伝送路インピーダンスの抵抗成分であり、Xijkは、インバータ131の伝送路インピーダンスのリアクタンス成分である。図4の例では、添え字κは第1のレベルのインバータクラスタを表し、添え字jは第2のレベルのインバータクラスタを表し、添え字iは、第3のレベルのインバータクラスタを表すことに留意すべきである。太陽光発電プラントは、インバータのいくつかのレベルを有し得るが、図示を明瞭にするために、3つのレベルのみが記載されていることに留意すべきである。第1のレベルのインバータクラスタ200は、複数のインバータ131のグループ化を包含する場合があるが、図示を明瞭にするために、図4に示すように、数個のインバータ131だけが個々の第1のレベルのインバータクラスタ200内に表示されている。
図4の例では、第1のレベルのインバータクラスタ200内のインバータ131の伝送路インピーダンスの全てを表す等価インピーダンスが、ソリッドドットによって表され、Rij+jXijにより数学的に説明される。一実施形態において、第1のレベルのインバータクラスタ200内のインバータ131の伝送路インピーダンスを表す等価インピーダンスは、関連する変圧器、ケーブル等を含む単一インバータ131の電力定格を考慮に入れる、加重平均技術を使用して計算され得る。図4の例では、矢印231は、第1のレベルのインバータクラスタ200−1内で表される個々の単一インバータ131のインピーダンスRijk+jXijkからの第1のレベルのインバータクラスタ200−1の等価インピーダンスRij+jXijの計算を示している。等価インピーダンスは、全ての第1のレベルのインバータクラスタ200について計算される。第1のレベルのインバータクラスタ200のそれぞれは、第1のレベルのインバータクラスタ200に属するインバータ131の伝送路インピーダンスの全てを表す、等価インピーダンスを有する単一バーチャルインバータによって表されるように処理され得る。
上述したインバータクラスタリング及びインピーダンス計算処理は、太陽光発電プラント100の全インピーダンス回路網が、単一の等価インピーダンスを有する単一バーチャルインバータを表す単一のスーパークラスタに簡略化されるまで繰り返される。図4の例では、第1のレベルのインバータクラスタ200は、第2のレベルのインバータクラスタ210(すなわち、210−1、210−2、210−3)に更にグループ化される。個々の第2のレベルのインバータクラスタ210は、類似の等価インピーダンスを有する第1のレベルのインバータクラスタ200を包含することができる。次いで、第2のレベルのインバータクラスタ210内の第1のレベルのインバータクラスタ200の等価インピーダンスの全てを表す等価インピーダンスが計算される。第2のレベルのインバータクラスタ210の等価インピーダンスは、第1のレベルのインバータクラスタ200の等価インピーダンスの計算と同様の方法で計算され得る。図4の例では、第2のレベルのインバータクラスタ210のバーチャルインバータは、ソリッドドットで表され、R+jXによって数学的に説明される等価インピーダンスを有する。第2のレベルのインバータクラスタ210の等価インピーダンスは、第2のレベルのインバータクラスタ210内のバーチャルインバータのインピーダンスの全てを表す。矢印232は、グループにまとめられて第2のレベルのインバータクラスタ210−1を形成する、第1のレベルのインバータクラスタ200−1及び第1のレベルのインバータクラスタ200−2の等価インピーダンスRij+jXijからの第2のレベルのインバータクラスタ210−1の等価インピーダンスR+jXの計算を示している。等価インピーダンスは、全ての第2のレベルのインバータクラスタ210について計算される。
上述の処理は、単一インバータクラスタのみが残るまで、第2のレベルのインバータクラスタ210の等価インピーダンスを、次に高位のレベルのインバータクラスタにグループ化することにより更に繰り返される。図4の例では、次の高位のレベルのインバータクラスタは、スーパーインバータクラスタ220であり、この例では、スーパーインバータクラスタは、唯一残っているインバータクラスタである。太陽光発電プラントは、インバータクラスタのいくつかのレベルを有し得るが、図示を明瞭にするために、ここでは3つのレベルのみが記載されていることに留意すべきである。スーパーインバータクラスタ220は、スーパーインバータクラスタ220内のバーチャルインバータのインピーダンスの全てを表す等価インピーダンスを有するバーチャルインバータを表す。図4の例では、スーパーインバータクラスタ220によって表されるバーチャルインバータは、ソリッドドットとして示され、インピーダンスR+jXにより数学的に説明される等価インピーダンスを有する。スーパーインバータクラスタ220の等価インピーダンスは、下位レベルのインバータクラスタの等価インピーダンスの計算と同一の方法で計算され得る。図4の例では、矢印233は、第2のレベルのインバータクラスタ210−1及び第2のレベルのインバータクラスタ210−2のインピーダンスR+jXからのスーパーインバータクラスタ220の等価インピーダンスR+jXの計算を示している。この例では、スーパーインバータクラスタ220の等価インピーダンスは、全てのインバータ131の伝送路インピーダンス及び太陽光発電プラント100の電気回路網全体を表している。インバータクラスタリング処理で計算されたインピーダンスの全ては、保持される。
図5は、図4と同様な太陽光発電プラント100のインピーダンスマップを示す。第1のレベルのインバータクラスタ200、第2のレベルのインバータクラスタ210、及びスーパーインバータクラスタ220は、図4を参照して説明されている。
図5は、本発明の一実施形態により、スーパーインバータクラスタ220のバーチャルインバータに基づいて、インバータ131のそれぞれについて最適化された無効電力設定値を生成する方法を図示するようラベル付けされている。
理解されるように、スーパーインバータクラスタ220の等価インピーダンスは、太陽光発電プラント100内のインバータ131の全て及び電気回路網全体を表す単一バーチャルインバータのインピーダンスとして処理され得る。図5の例では、スーパーインバータクラスタ220の等価インピーダンス、すなわち、スーパーインバータクラスタ220により表されるバーチャルインバータのインピーダンスは、POI 101における個々の動作点について無効電力要求量、対応する有効電力、及び動作電圧を計算するために使用される。スーパーインバータクラスタ220のバーチャルインバータによる出力としてPOI 101で得られた無効電力(Q)及び有効電力(P)は、P+jQにより数学的に説明される。スーパーインバータクラスタ220のバーチャルインバータにより生成されることが必要とされる無効電力は、次いで、スーパーインバータクラスタ220内で表される単一バーチャルインバータ間に配分される。すなわち、スーパーインバータクラスタ220内で表される個々の単一バーチャルインバータは、POI 101で対応する動作点について、スーパーインバータクラスタ220で表されるバーチャルインバータによって生成されることが必要とされる無効電力に総じて適合する無効電力を与える。個々の無効電力寄与に対応する有効電力も計算される。図5の例では、スーパーインバータクラスタ220内で表される個々の単一のバーチャルインバータは、P+jQ電力を与える。図5の例では、矢印241は、スーパーインバータクラスタ220内で表される単一バーチャルインバータの無効電力寄与、及び対応する有効電力の計算を示している。
下位レベルのインバータクラスタの単一バーチャルインバータ間の無効電力発電の配分は、個々のインバータ131の無効電力寄与が決定されるまで続けられる。図5の例では、個々の第2のレベルのインバータクラスタ210は、P+jQによって数学的に説明される無効電力及び有効電力、すなわち、スーパーインバータクラスタ220内で表される単一バーチャルインバータの寄与を生成することが期待されるバーチャルインバータ全体を有するものとみなすことができる。第2のレベルのインバータクラスタ210のバーチャルインバータ全体により生成される必要がある無効電力は、次いで、第2のレベルのインバータクラスタ210内で表される単一バーチャルインバータ間に配分される。すなわち、第2のレベルのインバータクラスタ210内で表される個々の単一バーチャルインバータは、第2のレベルのインバータクラスタ210のバーチャルインバータ全体から必要とされる無効電力に適合するように無効電力を与える。無効電力寄与に対応する有効電力もまた計算される。図5の例では、第2のレベルのインバータクラスタ210内で表される個々の単一バーチャルインバータは、Pij+jQij電力を与える。図5の例では、矢印242は、第2のレベルのインバータクラスタ210−1内で表される単一バーチャルインバータの無効電力寄与、及び対応する有効電力の計算を示している。その他の第2のレベルのインバータクラスタ210内の個々の単一バーチャルインバータの無効電力寄与及び対応する有効電力もまた計算される。
最終的に、個々の第1のレベルのインバータクラスタ200で表されるインバータステーション130の個々のインバータ131の無効電力寄与が、第1のレベルのインバータクラスタ200のバーチャルインバータから計算される。図5の例では、個々の第1のレベルのインバータクラスタ200は、Pij+jQijにより数学的に説明される無効電力及び有効電力、すなわち、第2のレベルのインバータクラスタ210で表される単一バーチャルインバータの寄与を生成すると期待されるバーチャルインバータを有するものとして処理され得る。第1のレベルのインバータクラスタ200のバーチャルインバータ全体により生成されることが必要とされる無効電力は、次いで、第1のレベルのインバータクラスタ200で表されるインバータ131の間に配分される。すなわち、第1のレベルのインバータクラスタ200内で表される個々の単一インバータ131は、第1のレベルのインバータクラスタ200のバーチャルインバータ全体から必要とされる無効電力に適合するように、無効電力を与える。単一インバータ131の無効電力寄与は最適化され、このインバータ131についての無効電力設定値として使用され得る。無効電力寄与に対応する有効電力限度値もまた、個々のインバータ131について計算される。図5の例では、第1のレベルのインバータクラスタ210内で表されるインバータステーション130の個々のインバータ131は、Pijk+jQijk電力を与える。図5の例では、矢印243は、第1のレベルのインバータクラスタ200−1内に含まれる個々のインバータ131の無効電力寄与、及び対応する有効電力の計算を示している。その他の第1のレベルのインバータクラスタ200内の個々のインバータ131の無効電力寄与及び対応する有効電力も計算される。インバータ131について計算された無効電力寄与は、このインバータ131の無効電力設定値として使用され得る。
図6は、本発明の一実施形態による、図4のインバータクラスタリング処理を更に説明する概略図である。図6は、簡単なバイナリツリーインバータクラスタ系を含み、ここでは2つのインバータクラスタ250(すなわち、250−1、250−2)が、バイナリツリーインバータクラスタリング処理を通して得られる。この例では、インバータクラスタ250のそれぞれは、第1のレベルのインバータクラスタである。中間点ノード251から見たインバータクラスタ250の等価インピーダンスは、互いに著しく異なり、2つのインバータクラスタ250により表示されるインバータの電力定格は必ずしも同一ではないことが想定される。
図6の例では、νはPOI 101における電圧変数を表し、qはPOI 101における無効電力変数を表し、νは、インバータクラスタ250が接続されている中間点ノード251におけるノード電圧変数を表し、νi1及びνi2は、インバータクラスタ250内で表されるインバータ131の端子電圧変数を表し、ii1及びii2は、インバータクラスタ250内で表されるインバータ131からの電流変数であり、iは、インバータクラスタ250から電力系統108に流れる電流を表している変数であり、iは、Xにより表されるスイッチドキャパシタを流れる電流を表している変数であり、Zは、POI 101と中間点ノード251との間のインピーダンスであり、Zi1及びZi2は、中間点ノード251とインバータ131との間のインピーダンスである。更に、pi1及びpi2は、インバータ131により生成される有効電力を表している変数である。更に、インピーダンスZi1、Zi2及びZi1並びにZは、典型的にはZ=R+jXの形態であり、式中、Rは抵抗性成分であり、Xは、インピーダンスZの誘導性無効成分である点に留意されたい。
図6から、
Figure 0006140803

である。
図7は、本発明の一実施形態により、インバータクラスタ250が単一スーパーインバータクラスタ270に統合された状態の太陽光発電プラント100の等価回路を示す。図7の例では、i=ii1+ii2は、インバータクラスタ250のインバータ131からの全電流を表し、かつ
Figure 0006140803

は、中間点ノード251から見られるような、インバータクラスタ250の等価テブナンインピーダンスである。インバータクラスタ250における電力損失を、無視できるものと仮定すれば、
Figure 0006140803

であることに留意すべきである。
動作要件|ν(κ)|=V(κ)、及びPOI 101におけるq(κ)=Q(κ)、並びにスーパーインバータクラスタ270におけるp(κ)=p(κ)のセットを前提とし、式中、κが動作点を表す場合に、電力潮流計算は以下の等式を使用して実行され、対応する動作変数ν(κ)、i(κ)、i(κ)及びν(κ)を決定することができる。
Figure 0006140803

式中、
Figure 0006140803

は、それぞれi(κ)及びi(κ)の共役複素数を表す。電力潮流計算は、ニュートン・ラフソン法、若しくは、例えばMATLAB(商標)、PSSE(商標)又はPSLF(商標)ソフトウェアツールなどのソフトウェアツールから利用可能な等価な方法などの適当な非線形等式解法を使用して実行され得る。
ここで、スーパーインバータクラスタ270のバーチャルインバータ全体により生成される無効電力は、
Figure 0006140803

として計算され、
図7の単一インバータクラスタ270に相当するν(κ)及びq(κ)を付与することで、無効電力寄与の単一インバータクラスタ250間の最適な分配が、最適化法を通して決定される。最初に、インバータクラスタ250で利用可能な無効電力に対する限度値及びインバータクラスタ250間の許容不均衡は、以下のように確立される:
Figure 0006140803

式中、qi1(κ)及びqi2(κ)は、決定されるべき2つの単一インバータクラスタ250の無効電力であり、Qi1max(κ)及びQi2max(κ)は、インバータクラスタ250で利用可能な無効電力の限度値である。Δq(κ)をインバータクラスタ250間で決定されるべき無効電力差として表す場合、我々は、
Figure 0006140803

ここで、
Figure 0006140803

であり、式中、ΔQimax(κ)は無効電力差Δq(κ)に対する許容限界である。
次に、太陽光発電プラント100のインバータクラスタ250及び太陽電池115の優勢な発電機能(prevailing power production capability)を使用して、インバータクラスタ250から抽出され得る有効電力pi1(κ)及びpi2(κ)が確立され、かつ確定される。
Figure 0006140803

であることに留意すべきである。
インバータクラスタ250の有効電力は、
Figure 0006140803

によって示されるそれらの電圧及び電流変数に関連している。
次の工程は、次の目的関数を使用して、スーパーインバータクラスタ270と単一サブインバータクラスタ250との間の電圧の大きさの誤差を最小限に抑える、インバータクラスタ250と対応するインバータ電流ii1(κ)及びii2(κ)との間の無効電力差Δq(κ)の最適値を計算するためのものであり、
Figure 0006140803

これと同時に、上記の等式EQ.15〜EQ.22が満たされる。上記の問題は、例えばMATLAB(商標)ソフトウェアツールなどのソフトウェアツールを介して利用可能な標準非線形最適化技術を通して解決され得る。
次に、上記で得られた無効電力差を使用して、単一インバータクラスタ250についての最適の無効電力寄与が、等式EQ.17及びEQ.18を使用して得られ、対応する電圧及び電流変数{νi1(κ),νi2(κ),ii1(κ),ii2(κ)}が、更に等式EQ.6、EQ.7、EQ.21、及びEQ.22を使用して計算される。この処理は、単一インバータ(又は、最下位のインバータクラスタ内のインバータ)の最適の無効電力寄与が決定されるまで、下位レベルのインバータクラスタについて繰り返される。最適化の結果は、全回路網で実行される逆負荷フロー試験にて検証され得る。必要な場合、更なる最適化の改良は、単一インバータの最適の無効電力寄与の計算、それに続く逆負荷フロー試験を含む反復処理を通して実行され得、反復工程の結果は、次の反復工程のために変数を更新するために使用され、この処理は、結果の範囲が許容帯域内に集まるまで続けられる。
図8は、本発明の一実施形態により、複数のインバータ131をクラスタリングし、複数のインバータ131のインピーダンスを表すインピーダンスを有する単一バーチャルインバータを生成する方法のフローチャートを示している。図8の方法は、図9及び10の方法と共に、例えば、太陽光発電プラント100の光起電インバータ131の最適化された制御を可能にする。図8〜10の方法は、例示の目的のためだけに、図1の太陽光発電プラント100を参照して説明される。
図8の例では、太陽光発電プラント100のインバータ131は、第1のレベルのインバータクラスタにグループ化される(工程301)。図8の例では、類似のインピーダンスを有するインバータ131は、一つにまとまってグループ化され、第1のレベルのインバータクラスタを形成することができる。インバータ131は、それらの位置に基づいて一つにまとめられてグループ化されてもよい。例えば、インバータステーション130−1内の全てのインバータ131が一つにまとめられ、第1のレベルのインバータクラスタを形成することができ、インバータステーション130−2内の全てのインバータ131が一つにまとめられ、別の第1のレベルのインバータクラスタを形成することができるといった具合である。
等価インピーダンスが、個々の第1のレベルのインバータクラスタについて決定される(工程302)。第1のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスは、第1のレベルのインバータクラスタ内の全てのインバータ131のインピーダンス、並びに関連する変圧器及び伝送線などのその他の伝送路インピーダンスを表す。
第1のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスは、第2のレベルのインバータクラスタにグループ化される(工程303)。第2のレベルのインバータクラスタは、第2のレベルのインバータクラスタ内に含まれる第1のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスを包含する。
等価インピーダンスが、個々の第2のレベルのインバータクラスタについて決定される(工程304)。第2のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンスは、第2のレベルのインバータクラスタ内の第1のレベルのインバータクラスタの等価インピーダンス全てを表す。
工程301〜304のような、インバータクラスタの高位レベルのインバータクラスタへのグループ化及び高位レベルのインバータクラスタの等価インピーダンスの決定が、単一インバータクラスタ、すなわち、単一等価インピーダンスを有する単一バーチャルインバータを表すスーパーインバータクラスタが残るまで続けられる(工程305)。スーパーインバータクラスタの単一等価インピーダンスは、太陽光発電プラント100の全てのインバータ131及び関連する伝送路インピーダンスを表す。インバータクラスタマップ及び決定されたインピーダンスが、以下のデクラスタリング処理で使用するために保持される(工程306)。
図9は、本発明の一実施形態により、太陽光発電プラント100内の個々のインバータ131について最適化された無効電力設定値を生成する方法のフローチャートである。
太陽光発電プラント100は、POI 101における異なる有効電力レベルに対して無効電力の異なるレベルをもたらすことが期待できる。無効電力及び有効電力レベルのそれぞれは、POI 101における動作点である。POI 101における個々の動作点について、スーパーインバータクラスタにより表されるバーチャルインバータにおける無効電力要求量及び動作電圧が決定される(工程321)。前に説明したように、上記記載のインバータクラスタリング法は、単一等価インピーダンスを有するバーチャルインバータを表すスーパーインバータクラスタを結果としてもたらす。スーパーインバータクラスタの等価インピーダンスは、スーパーインバータクラスタのバーチャルインバータにおける対応する無効電力及び動作電圧を計算するために使用され得る(例えば、等式EQ.9〜EQ.14についての説明を参照)。
次の下位のレベルのインバータクラスタについては、単一インバータクラスタの無効電力寄与が決定される(工程322)。例えば、スーパーインバータクラスタのすぐ下の次のレベルのインバータクラスタの無効電力寄与は、スーパーインバータクラスタにより生成されるべき無効電力を次のレベルのインバータクラスタ間に配分することにより決定され得る(例えば、等式EQ.15〜EQ.22についての説明を参照)。インバータクラスタにより生成されるべき無効電力を付与することで、インバータクラスタでの、対応する動作電圧が計算され得る。
無効電力の下位レベルのインバータクラスタ間への配分の決定は、下位レベルのインバータクラスタ内のインバータ131の無効電力寄与が決定されるまで続く(工程323)。例えば、第1のレベルのインバータクラスタにより表されるバーチャルインバータによって生成されるべき無効電力が一旦決定されると、この無効電力の発電は、インバータ131間に配分される。すなわち、第1のレベルのインバータクラスタ内の個々のインバータ131は、第1のレベルのインバータクラスタ内のインバータ131により生成される全無効電力が、第1のレベルのインバータクラスタにより生成されるべき無効電力に適合するように、無効電力を生成することが期待される。インバータ131の決定された無効電力寄与が、次いでこのインバータ131についての無効電力設定値として使用される(工程324)。インバータ131は、それらの無効電力設定値に従って、無効電力を出力する(工程325)。
図10は、本発明の一実施形態による、複数のインバータのそれぞれの最適な無効電力寄与を決定する方法のフローチャートである。図10の方法は、図9の方法の工程322を実行するために使用され得る。
図10の例では、インバータクラスタから得られる無効電力に対する限度値及びインバータクラスタ間の許容不均衡が決定される(工程331)。無効電力に対する限度値は、インバータクラスタ内のインバータの電力定格、及びインバータクラスタからの優勢な有効電力発生に基づくことができる。インバータクラスタについての無効電力限度値が一旦決定されると、次いで、インバータクラスタ間の許容最大差動、すなわち、maxΔの無効電圧が決定される(例えば、等式EQ.15〜EQ.19についての説明を参照)。
インバータクラスタからの有効電力抽出の条件が決定される(工程332)。この条件は、インバータクラスタ及び関連する太陽電池の優勢な有効発電機能に基づくことができる(例えば、等式EQ.20〜EQ.22についての説明を参照)。
インバータクラスタ間の無効電力差が決定される(工程333)。インバータクラスタ間の無効電力差が、無効電力に対して決定された限度値、インバータクラスタ間の最大無効電力差、及び工程331及び332で決定された個々のインバータクラスタからの有効電力抽出のための条件に基づいて決定され得る。次いで、個々のインバータクラスタの単一無効電力寄与が、工程333で得られた無効電力差を使用して決定される(工程334)。次いで、インバータクラスタの無効電力寄与に対応する有効電力及び動作電圧が決定される(工程335)。最下位レベルでは、「インバータクラスタ」は、インバータステーション130のインバータ131であることに留意すべきである。すなわち、処理が第1のレベルのインバータクラスタに一旦到達すると、インバータ131等の間の無効電力差が決定される。
図8〜10の方法は、POI 101における個々の動作点について、個々の最下位レベルのインバータクラスタ(又は単一インバータ131)から要求される最適の無効電力寄与(図5中のQijk)のセットを結果としてもたらす。典型的には、個々の最下位レベルのインバータクラスタからの無効電力寄与の部分は、POI 101における動作点に依存する値を有する変数である。しかしながら、全動作範囲を包含している比例定数及びバイアス定数の単一セット、又は比例定数及びバイアス定数の複数のセットは、部分的線形化又は、上記で提案されるものと類似する独自のインバータクラスタリング技術を使用して、個々の最下位レベルのインバータクラスタごとに得ることができる。例えば、全ての値の加重平均は、対応する動作点の相対的重要度に基づいて、平均化するための重量が選択されて、複数の動作点について得ることができる。(POI 101における動作点に依存する変数の使用ではなく)個々の最下位レベルのインバータクラスタの比例定数及びバイアス定数の所定のセットの使用は、結果として生じる全体的な解決策を次善策にするが、制御系デザインを十分に簡素化し、動作中の体系的な利得計画を容易にし、系全体の安定した動作を確実にするのを補助する。
図8〜10の方法から得られる結果は、繰り返し処理により更に改善され得、ここでは、初めに個々の最下位レベルのインバータクラスタから確立された単一有効電力及び無効電力寄与が負荷潮流試験で使用され、POI 101における全体的な無効電力性能、及びインバータ端子を含む種々のノードにおいて得られる電圧条件を評価する。この評価の結果が、最適化のための条件を再確立又は改良し、処理を繰り返すために使用され得る。
単一の最下位レベルのインバータクラスタ又はインバータ131についての無効電力寄与の所望の比率が上記記載のようにオフラインで確立される一方、分散制御系内でのその実現が、ローカルインタプリタ132により達成され得る。系全体(図1でQ又はPFより表される)についての統合された無効電力フィードバック信号がグリッドコントローラ110により生成される一方、個々のインバータステーション130について、ローカルインタプリタ132は、所定のスケーリングアルゴリズムに従って、この無効電力フィードバック信号をスケーリングし、これにバイアスを加え、図1でQn又はPFnで表された、スケーリングされかつバイアスが加えられたフィードバック信号を生成する。

非対称実用規模大型システムの典型的な例を使用して、本明細書に記載されている最適な無効電力制御を有する場合と有さない場合の詳細なグリッドモデリング及びシステムの動的シミュレーションが、本発明者により行われた。図11は、種々の無効電力制御技術を比較する、モデリング及び計算から得られたプロット(例えば、MathCAD(商標)ソフトウェアツールを使用)を示している。このプロットは、理想的な対称回路網と比較した非対称回路網における非最適無効電力制御の制約を示している。対称回路網は、単一インバータクラスタの全てが、ほぼ同一の等価インピーダンスを有する太陽光発電プラント回路網である。対照的に、非対称回路網は、単一の及び/又はサブインバータクラスタが著しく異なる等価インピーダンスを有する太陽光発電プラント回路網である。本明細書に記載されている最適な無効電力制御は、非対称回路網を有するPOIにおいて力率適用範囲を大幅に改善する。したがって、改善された適用範囲は、スイッチ式コンデンサバンク又は静止形VAR補償装置などの付属の無効電力装置の容量を、別の方法で必要とされる場合の約30%まで低減することが可能である。
本明細書に記載されている最適化された無効電力制御は、以下の利点をもたらしながら、太陽光発電プラントの多くのインバータ間で無効電力発生負荷を分配するための効率的解決手段を提供する:(a)太陽電池の有用性の増大及び改善されたシステム全体の性能;(b)グリッド全体のモデリング及びインバータ機能を最大まで利用することによるPOIでの改善された電圧制御又はサポート;(c)追加的な外部コンデンサバンク又は静止形VAR補償装置の必要性を最小限に抑え、伝送路損失を最小限に抑えることによる、改善された力率又は無効電力制御;並びに(d)上記サービスをもたらす太陽電池システムで得る潜在的追加収益。
最適の無効電力制御が、システムがPOIで期待される制御範囲を効果的に実現することを確実にする。POIで所望の応答を提供するために、分散インバータの制御運動が、成功裏に協調され得、追加的な保護システム又は処理の必要性を最小限に抑え得ることも確実にする。要約すると、提案されたグリッド制御デザインは、従来の発電プラントと同様に、太陽電池システムを単一の直接制御可能な資産として公益事業に提示し、ハードウェア及び相互接続コストの削減をもたらす。
本発明の具体的な実施形態を提供したが、これらの実施形態は説明を目的としたものであり、限定ではないことは理解されよう。多くの追加的実施形態が、本開示を読む当業者にとっては明らかとなろう。
[項目1]
太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
複数の太陽電池を提供する段階と、
複数のインバータのそれぞれが、入力無効電力設定値に従って、無効電力を生成し、前記複数のインバータが、前記複数の太陽電池により生成される直流を交流に変換する段階と、
グリッドコントローラが、大域的無効電力設定値を生成する段階と、
複数のインタプリタが、前記大域的無効電力設定値を受信する段階と、
前記複数のインタプリタのそれぞれが、前記大域的無効電力設定値を、前記複数のインバータのうちの特定のインバータグループに対する無効電力設定値に変換し、前記無効電力設定値を前記特定のインバータグループに提供する段階と、を含む方法。
[項目2]
前記複数のインタプリタのそれぞれが、前記特定のインバータグループにおける複数のインバータについて決定される寄与に基づいて、前記大域的無効電力設定値を拡大縮小する段階を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記特定のインバータグループが、同一のインバータステーション内のインバータを複数備える、項目1に記載の方法。
[項目4]
電圧及び電流センサが、電力系統との相互接続点(POI)において、電圧及び電流を測定する段階を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目5]
感知モジュールが、前記POIにおいて測定される電圧及び電流に基づいて、前記POIにおける力率及び無効電力を計算する段階を更に含む、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記グリッドコントローラが、前記感知モジュールから前記POIにおける前記無効電力の値を受信し、前記POIにおける前記無効電力の前記値に基づいて、前記大域的無効電力設定値を生成する段階を更に含む、項目5に記載の方法。
[項目7]
前記グリッドコントローラが、前記POIにおける前記無効電力の前記値と、参照値との比較を行い、前記比較の結果に基づいて、前記大域的無効電力設定値を生成する段階を更に含む、項目6に記載の方法。
[項目8]
前記複数のインタプリタが、前記グリッドコントローラと前記複数のインバータとの間の位置で、前記グリッドコントローラから前記大域的無効電力設定値を受信する段階を更に含む、項目1に記載の方法。
[項目9]
前記複数のインタプリタが、前記グリッドコントローラの一部である、項目1に記載の方法。
[項目10]
太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
前記太陽光発電プラントの複数のインバータの複数のインピーダンスを表す等価インピーダンスを決定する段階と、
前記等価インピーダンスを有するバーチャルインバータにより生成される無効電力を決定する段階と、
前記バーチャルインバータにより生成される前記無効電力に基づいて、前記複数のインバータにおける個々のインバータの無効電力寄与を決定する段階と、
前記複数のインバータ内の個々のインバータについて、前記インバータの前記決定される無効電力寄与を使用して、前記インバータの無効電力設定値を設定する段階と、
前記複数のインバータ内の個々のインバータが、その無効電力設定値に基づいて、無効電力を生成する段階と、を含む方法。
[項目11]
前記複数のインバータの複数のインピーダンスを表す前記等価インピーダンスを決定する段階が、
前記複数のインバータを、複数のインバータグループにグループ化する段階と、
前記複数のインバータグループにおける個々のインバータグループについて別の等価インピーダンスを決定する段階であって、他の等価インピーダンスが前記複数のインバータグループで表される全てのインバータの複数のインピーダンスを表す段階を更に含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
個々のインバータグループの前記他の等価インピーダンスから、
前記等価インピーダンスを決定する段階を更に含む、項目11に記載の方法。
[項目13]
前記等価インピーダンスにより表される前記太陽光発電プラントの前記複数のインバータの前記複数のインピーダンスが、前記複数のインバータの複数の伝送線インピーダンスを含む、項目10に記載の方法。
[項目14]
前記複数のインバータの前記複数の伝送線インピーダンスが、前記複数のインバータの複数の出力インピーダンスを含む、項目13に記載の方法。
[項目15]
前記複数のインバータの前記複数の伝送線インピーダンスが、前記複数のインバータを、複数のインバータステーションが接続されている接合部に結合する複数のケーブルの複数のインピーダンスを含む、項目14に記載の方法。
[項目16]
太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
前記太陽光発電プラントの複数のインバータを、複数の第1のレベルのインバータクラスタにグループ化する段階と、
前記複数の第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれの等価インピーダンスを決定する段階であって、前記複数の第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれの前記等価インピーダンスが前記複数の第1のレベルのインバータクラスタのそれぞれで表される複数のインバータの複数のインピーダンスを表す段階と、
前記複数の第1のレベルのインバータクラスタの複数の等価インピーダンスを、複数の第2のレベルのインバータクラスタにグループ化する段階と、
少なくとも前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ及び前記複数の第2のレベルのインバータクラスタの複数の前記等価インピーダンスに基づいて、スーパーインバータクラスタの等価インピーダンスを決定する段階であって、前記スーパーインバータクラスタの前記等価インピーダンスが前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ内で表される複数のインバータの複数のインピーダンスを表す段階と、
前記スーパーインバータクラスタの前記等価インピーダンスを有するバーチャルインバータにより生成される無効電力を決定する段階と、
前記バーチャルインバータにより生成される前記無効電力に基づいて、前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ内で表される前記複数のインバータのそれぞれの無効電力寄与を決定する段階と、
前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ内で表されるインバータが、前記インバータについて決定される無効電力寄与に従って、無効電力を生成する段階と、を含む方法。
[項目17]
前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ内で表される前記インバータが、
前記インバータについて決定される前記無効電力寄与に従って、無効電力設定値を受信する段階を更に含む、項目16に記載の方法。
[項目18]
前記複数の第1のレベルのインバータクラスタ内で表される前記インバータが、
ローカルインタプリタから前記無効電力設定値を受信する段階を更に含む、項目17に記載の方法。
[項目19]
前記ローカルインタプリタが、グリッドコントローラから受信される大域的無効電力設定値から前記無効電力設定値を生成する段階を更に含む、項目18に記載の方法。
[項目20]
前記ローカルインタプリタが、
前記大域的無効電力設定値を拡大縮小し、前記無効電力設定値を生成する段階を更に含む、項目19に記載の方法。

Claims (9)

  1. 太陽光発電プラントの動作を制御する方法であって、
    複数のインバータのそれぞれが、入力無効電力設定値に従って、無効電力を生成し、前記複数のインバータが、複数の太陽電池により生成される直流を交流に変換する段階と、
    グリッドコントローラが、大域的無効電力設定値を生成する段階と、
    複数のインタプリタが、前記大域的無効電力設定値を受信する段階と、
    前記複数のインタプリタのそれぞれが、前記大域的無効電力設定値を、前記複数のインバータのうちの特定のインバータグループに対する無効電力設定値に変換し、前記無効電力設定値を前記特定のインバータグループに提供する段階と、を含む方法。
  2. 前記複数のインタプリタのそれぞれが、前記特定のインバータグループにおける複数のインバータについて決定される寄与に基づいて、前記大域的無効電力設定値に対しスケーリングおよびバイアス付加の少なくとも一方を行う段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記特定のインバータグループが、同一のインバータステーション内のインバータを複数備える、請求項1または2に記載の方法。
  4. 電圧及び電流センサが、電力系統との相互接続点(POI)において、電圧及び電流を測定する段階を更に含む、請求項1から3の何れか一項に記載の方法。
  5. 感知モジュールが、前記POIにおいて測定される電圧及び電流に基づいて、前記POIにおける力率及び無効電力を計算する段階を更に含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記グリッドコントローラが、前記感知モジュールから前記POIにおける前記無効電力の値を受信し、前記POIにおける前記無効電力の前記値に基づいて、前記大域的無効電力設定値を生成する段階を更に含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記グリッドコントローラが、前記POIにおける前記無効電力の前記値と、参照値との比較を行い、前記比較の結果に基づいて、前記大域的無効電力設定値を生成する段階を更に含む、請求項6に記載の方法。
  8. 前記複数のインタプリタが、前記グリッドコントローラと前記複数のインバータとの間の位置で、前記グリッドコントローラから前記大域的無効電力設定値を受信する段階を更に含む、請求項1から7の何れか一項に記載の方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の方法により動作する太陽光発電プラント。
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