以下、本発明の実施形態による表示装置を説明する。本明細書において、「表示装置」の語は、表示パネルを備える種々の電子機器を含むものとして用いられている。本明細書における「表示装置」は、テレビジョンなどの表示専用の機器だけでなく、表示パネルを備える限りにおいて、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯型ゲーム機などの種々の電子機器であってよい。
また、本発明の実施形態による表示装置は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電気泳動型表示装置、エレクトロウェッティング型表示装置など、種々の方式で動作する表示装置であって良い。なお、以下には、液晶表示装置を例として説明する。
まず、実施形態の表示装置を説明する前に、特許文献1に記載の液晶表示装置(比較例)において観察される表示画像について説明する。
図12(a)は、比較例の液晶表示装置900によって実現される表示画像を示す平面図である。また図12(b)は、液晶表示装置900の構成を示す断面図である。図12(b)に示すように、液晶表示装置900では、一対の基板91、92間に液晶層93が保持されている液晶パネル90の観察者側面に、透光性カバー94が設けられている。透光性カバー94の端部にはレンズ部94Bが設けられており、バックライトユニット98から発せられた光を液晶パネル90において変調し、この液晶パネル90からの出射光をレンズ部94Bによって額縁領域Rfの上にまで拡大して表示することができる。
なお、図12(c)には、透光性カバー94が設けられていないときの液晶パネル90の平面図を示している。図12(b)に示すように、額縁領域Rfにはシール部96やブラックマトリクス層BMが設けられているので、額縁領域Rfが表示に寄与することはない。
液晶表示装置900において、透光性カバー94に設けられたレンズ部94Bは、額縁領域Rfだけでなく、表示画素領域Rd内に設けられた画素の一部(周辺画素)を覆うように配置されている。この場合、図12(a)に示すように、レンズ部94Bを通して表示される画像は、特にパネルの端で歪んで表示される場合があった。
このように従来の方式では、額縁領域Rfの近傍において、コンテンツ制作者の意図しない本来表示すべき画像とは異なる画像が表示されることがあった。より具体的には、表示画素領域Rdの端でアイコンや写真が歪んで表示されたり、文字が読みづらくなるという現象が生じ得た。したがって、レンズ付きの透光性カバーを用いると、額物領域Rfは目立ちにくくなるものの、使用者が正常な画像を認識できず、利便性が低下するおそれがあった。
そこで、本発明の実施形態による表示装置では、少なくとも表示画素領域Rdでは画像を正確に表示させるために、表示画素領域Rdを覆うことなく額縁領域Rfの少なくとも一部のみを覆うようにして、透光性カバーの端部に厚さ減少部(傾斜部)を設けている。厚さ減少部は、表示画素領域Rdの全体を覆う透光性カバーの平板部(厚さが一定の部分)の端に設けられている部分であり、全体的な厚さがパネル外側に向かって減少する部分である。厚さ減少部は、典型的には、パネル端辺に沿って延在する額縁領域Rfに対応して、パネル端辺に沿って延びるように設けられる。なお、厚さ減少部が額縁領域Rfに沿って延びる方向と、厚さ減少部においてカバーの厚さが減少する方向とは、略直交する。
また、厚さ減少部の表面形状は、例えば、凸曲面からなるレンズ面(例えば、レンチキュラレンズの一部)であっても良いし、プリズムのように平面であっても良い。厚さ減少部は、表示パネルからの光を屈折させて、額縁領域Rf上でパネル法線方向に光をより多く向かわせることができる構造を有していることが好ましい。
なお、上記のように厚さ減少部が設けられた透光性カバーは、液晶パネル側と空気層を介さずに密着して配置されていることが好ましい。空気層が存在すると、光学素子の背面で全反射が生じて周囲の光が映り込んでしまい、表示品位を著しく害するおそれがあるためである。このように密着させるためには、汎用の樹脂や両面テープを用いた貼り合わせが行い易いように、透光性カバーの液晶パネル側の面が平坦面であることが好ましい。
本発明の実施形態による表示装置において、厚さ減少部は、表示パネルの中央部から端部に向かう方向において全体として厚さが減少するように形成されていればよく、必ずしも厚さが連続的に減少するように形成されていなくてもよい。すなわち、一部において厚さが変わらない微小部分や、厚さが僅かに増大する微小部分が含まれていても良い。また、厚さ減少部の表面には、微細な凸部や溝などの種々の凹凸構造が形成されていてもよい。また、表面処理によって光拡散性が付与されていても良い。
このように、額縁領域Rfの一部または全部を覆い、かつ、表示画素領域Rdを覆わない厚さ減少部を表示パネルの前面に設けることによって、パネル正面から見たときに少なくとも表示画素領域Rdにおいて歪んだ画像が表示されることは防止される。これにより、図12(a)に示したような、コンテンツが間延びして歪んだ状態で表示されることは抑止され、コンテンツ制作者の意図通りの表示を行うことが可能になる。また、厚さ減少部を設けることによって、表示パネルの周辺画素からの光を屈折させて額縁領域Rfの正面方向に出射させることができるので、額縁領域を目立ちにくくすることができる。
なお、特許文献3には、表示パネルの側面を覆う筺体の一部(横筺体部)が、透光性カバーと一体的に形成された表示装置が開示されている。本発明の実施形態による表示装置は、厚さ減少部が上記のように形成されている限りにおいて、特許文献3に記載の表示装置と同様に、筺体と透光性カバーとが一体的に形成された態様を有していてもよい。
以下、本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。
(実施形態1)
図1(a)および(b)は、本発明の実施形態1による液晶表示装置100の構成を示す平面図および断面図である。なお、図1(a)には表示画像として、多数のアルファベット(「A」、「B」、「C」)が縦横に並んでいる例が示されている。
液晶表示装置100は、直視型の液晶表示装置であり、液晶パネル10と、液晶パネル10の観察者側に配置された透光性カバー20とを備えている。透光性カバー20は、例えば、介在する接着層(図示せず)によって液晶パネル10に対して固定されている。
液晶表示装置100はまた、液晶パネル10の背面側にバックライトユニット30、回路基板・バッテリ35、および、液晶パネル10、バックライトユニット30、回路基板・バッテリ35などを収容する筺体40を有している。
バックライトユニット30は、LED(発光ダイオード)などの光源と、導光素子や拡散板などの光学部材とを含んでいてよい。バックライトユニット30は任意の公知の構成を有していて良い。同様に、回路基板・バッテリ35も任意の公知の構成を有していて良い。また、筺体40は、樹脂や金属など種々の材料から形成されていてよい。
筺体40の収容空間に収容された液晶パネル10は、嵌合式の凹凸部(爪)や接着テープ、ネジ止めなどの方法によって、その側面が筺体40に固定されている。液晶パネル10やバックライトユニット30などを筐体40に収容することによって、装置内部への埃の進入を防いだり、外部からの衝撃に耐性を持たせることができる。
なお、液晶表示装置100は、スマートフォン等のモバイル機器や、タブレット端末等であって良く、この場合、例えば液晶パネル10と透光性カバー20との間に、図示しないタッチパネル(アウトセル型またはオンセル型)が設けられていてもよい。また、タッチパネルはインセル型であってもよく、この場合には、液晶パネル10の内部においてタッチパネルを構成するセンサ電極などが設けられる。
液晶パネル10は、バックライトユニット30が発した光を画素ごとに変調することによって表示を行うことができる。具体的な構成を説明すると、液晶パネル10は、TFT基板11と、TFT基板11に対向する対向基板12とを備え、TFT基板11と対向基板12との間に液晶層13が保持された構成を有する(以下では、TFT基板11および対向基板12をまとめて一対の基板11、12と呼ぶことがある)。液晶層13の周囲には、枠状のシール部14が設けられており、シール部14によって液晶層13が一対の基板11、12の間に封止されている。シール部14は、一対の基板11、12を貼り合わせる機能も有している。また、シール部14が形成される領域において、光漏れ防止用のブラックマトリクス層BMが形成されている。
さらに、液晶パネル10の外側表面には、偏光板などの光学フィルム層15(例えば、液晶層を挟むようにしてクロスニコルに配置された一対の偏光板)が設けられていても良い。ただし、液晶パネルとしてPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モードのように偏光板を不要とするモードの液晶パネルを用いる場合、光学フィルム層15は設けられていなくてもよい。また、光学フィルム層15は、TFT基板11および対向基板12の内側(液晶層13側)にそれぞれ設けられていても良い。
以上のように構成された液晶パネル10において、複数の画素がマトリクス状に配置された表示画素領域Rdと、表示画素領域Rdの外側の額物領域Rfとが設けられている。
表示画素領域Rdにおいて、TFT基板11には、スイッチング素子としてのTFT(Thin Film Transistor)と、TFTのドレインに接続された画素電極とが画素ごとに設けられている。画素電極は、例えば、ITO(インジウム錫酸化物)やIZO(インジウム亜鉛酸化物)などの透明導電性材料から形成されていて良い。またTFT基板11には、所望のタイミングで画素電極に画素電圧を印加するためのソースバスラインやゲートバスラインなどが設けられている。TFTを介して、表示信号に応じた画素電圧を画素電極に印加することによって液晶分子の配向状態を制御し、所望の表示を行うことができる。
また、表示画素領域Rdにおいて、対向基板12には、例えば、カラー表示用のマイクロカラーフィルタ層や、画素間を遮光するブラックマトリクス層が設けられている。MVA方式などの縦電界モードの液晶パネル10の場合、対向基板12においてITOなどからなる共通電極がTFT基板11に設けられた画素電極と対面するように設けられる。
なお、TFT基板11および対向基板12は、一般的には透光性のガラス基板を用いて作製される。ただし、これに限られず、透明樹脂基板を用いても良い。また、液晶パネル10は、縦電界モードだけでなく、IPSやFFSなどの横電界モードで動作しても良い。横電界モードの液晶パネル10の場合、通常、対向基板12ではなくTFT基板11に共通電極が設けられる。各動作モードに応じて、液晶パネル10は任意の公知の構成を有していてよい。
一方で、額縁領域Rfには、シール部14や、ブラックマトリクス層BM、配線端子(図示せず)などが設けられている。図1に示す形態では、シール部14とブラックマトリクス層BMとが重なるように設けられており、このような構成によれば、額縁領域Rfの幅を比較的狭くすることができる。ただし、これに限られず、シール部14とブラックマトリクス層BMとは、互いに重ならないように、または、部分的に重なるように配置されていても良い。
なお、額縁領域Rfの幅は、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界線に対してパネル面内で直交する方向において規定され、典型的には、額縁領域Rfに設けられたブラックマトリクス層BMの液晶層側エッジからパネル端面までの距離に対応する。
次に、液晶パネル10の前面に設けられた透光性カバー20について説明する。透光性カバー20は、液晶パネル10の平面形状に適合する外形を有しており、透明樹脂(アクリルやポリカーボネートなど)やガラスなど透光性の材料から形成されている。透光性カバー20の屈折率は、例えば、1.5である。その他、屈折率が低い汎用材料としては、フッ素樹脂などを用いることができ、この場合の透光性カバー20の屈折率は1.3程度である。また、屈折率が高い汎用材料としては、エピスルフィド樹脂やサファイアガラスなどを用いることができ、この場合の透光性カバー20の屈折率は1.75程度である。
本実施形態において、透光性カバー20は、表示画素領域Rdを覆うように設けられた平板部20Aと、額縁領域Rfを覆うように設けられた厚さ減少部(傾斜部)20Bとを有している。平板部20Aと厚さ減少部20Bとは、典型的には、同じ材料から一体的(モノリシック)に形成されている。
ここで、透光性カバー20における平板部20Aと厚さ減少部20Bとの境界は、基板法線方向から見たときに、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界(すなわち額縁領域Rfの内側エッジ)と一致するように、または、表示画素領域Rdと額縁領域Rfの境界のわずかに外側に設けられている。本実施形態では、平板部20Aと厚さ減少部20Bとの境界が、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界に略一致している。
平板部20Aは、厚さが実質的に一定な部分であり、表示画素領域Rdを完全に覆うように、すなわち、少なくとも表示画素領域Rdを覆うように設けられている。また、厚さ減少部20Bは、パネル端に向かって厚さが減少する部分であり、表示画素領域Rdを覆わず、かつ、額縁領域Rfを覆うように設けられている。この構成において、表示画素領域Rdにおいてパネル法線方向に向かう光は、平板部20Aを通過して、そのまま使用者の目に届く。
このように、表示画素領域Rd上には厚さ減少部20Bを形成することなく、額縁領域Rf上にのみ厚さ減少部20Bを形成しているので、表示画素領域Rdにて表示される画像は、歪みなど不具合が発生することがなく、コンテンツの正確な表示が維持される。
一方、厚さ減少部20Bが設けられた領域では、表示画素領域Rdの周辺画素からの光が屈折して使用者側(正面方向)に出射される。このとき、使用者には、表示画素領域Rdの端部における表示画像が、額縁領域Rf上においても複製された画像として観察される。
本実施形態において、厚さ減少部20Bの表面は、パネル面に対して所定の角度で傾斜する平面から構成されている。表面が平面である厚さ減少部20Bは、透光性カバー20を加工する工程、たとえば金型成形などにおいて比較的容易に形成することができる。
ただし、厚さ減少部20Bは、少なくとも端面に向かって薄くなる形状を概ね有していればよい。この場合、その表面形状に関わらず、光学的には何らかの画像を額縁領域Rf上に表示させ得る。このため、後述する実施形態2などで説明するように、厚さ減少部20Bは、例えば、レンズ面として機能する曲面の表面を有していても良い。
このように、厚さ減少部20Bを設けることによって額縁領域Rf上にも画像を表示させることが可能になるが、この画像は、不連続・歪み・反転などを含むことがあり、これによって、画面端部での画像に使用者が違和感を覚えることも考えられる。このため、額縁領域Rfおよび厚さ減少部20Bの幅はなるべく小さい方が良い(ただし、0.3mm以上)。具体的には、厚さ減少部20Bの幅が1.5mm以下、さらに好ましくは1mm以下である場合には、画像の詳細が認識しづらくなることで使用者の違和感が解消され、額縁領域がほとんどないように感じられることが本発明者によって確認された。
また、本実施形態の構成において、透光性カバー20と液晶パネル10とは密着して配置される積層体構造をなしている。また、透光性カバー20の屈折率と、液晶パネル10(具体的には対向基板20)および光学フィルム層15の屈折率との差は大きくない。このため、液晶表示装置100では、特許文献2に記載の液晶表示装置とは異なり、透光性カバー20の裏面側で全反射が生じることによって周囲光が映りこむことは防止される。
ここで、図2(a)に示すように、額縁領域Rfを目立ちにくくするためには、額縁領域Rfの外側エッジまで液晶パネル10からの出射光が届くことが好ましい。図2(c)に示すように、額縁領域Rfの全域の正面側に画像を表示させることができれば、使用者が額縁領域Rfの存在を意識しにくくなる。
液晶パネル10からの出射光が額縁領域Rfの外側エッジまで届く条件を規定する式は、下記のように、額縁領域Rfの幅Lを用いて表すことができる。
L≦(d−x・tanθ)・tan(θ−sin-1(sinθ/n))
ただし、θ=tan-1(y/x)
ここで、上記式におけるd、θ、x、y、L、nは、図2(b)に示すように、以下のように規定される。
d:カバー最表面から液晶層(またはブラックマトリクス層BM)までの距離(本実施形態では、カバー厚さ+光学フィルム層の厚さ+対向基板の厚さに相当)
θ:厚さ減少部表面の平均傾斜角(表面がパネル面に対して形成する角度)
x:厚さ減少部の幅
y:カバー中央部での厚さとカバー端面での厚さとの差
L:額縁領域の幅(ただし、x≦L)
n:透光性カバーの屈折率
この条件式は、図2(b)に示すように、傾斜角θを有する厚さ減少部20Bの傾斜面の法線nlと、表示画素領域Rdの端部から出射した光が厚さ減少部20Bの傾斜面の外側エッジに到達するときの光の経路とが形成する角度θ’を用いると、スネルの法則によりsinθ’=sinθ/nが成り立ち、また、上記経路を含む図中右下の三角形において、tan(θ−θ’)=L/(d−y)が成り立つことから求められるものである。
なお、上記の条件式は、厚さ減少部20Bの表面が平面に形成された理想的な場合であって、多少角が丸くなったり、ブラックマトリクス層BMの一部が見えるように調整する場合(後述する別の実施形態)には条件式に多少の変動があるが、基本的には上記の式に従う。また、カバー上の表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界に相当する角が切り立っていると、画素パターンとの干渉縞が確認される場合があるので、多少丸めたほうが良いときもあるが、この場合にも上記の条件式を適用することができる。
本実施形態の場合、厚さ減少部20Bにおいて、表示画素領域Rdの端部に表示される画像が繰り返し表示されるが、例えば、上記の式を満足する、L=0.8、x=0.8、y=1.0、d=3.18、n=1.51の設定下で、カバー端面まで光が出射することが確認できた。この態様において、厚さ減少部20Bの傾斜角θ(=tan-1(y/x))は、約51°であった。
なお、傾斜角θの好適な範囲は、20°〜70°程度である。上記の範囲より小さいθの場合には、表示画素領域Rdの端部から出射した光の屈折が小さいので、額縁領域Lを隠すことができなくなる。また、上記の範囲より大きいθの場合には、厚さ減少部の幅xを大きくするためにカバーの厚さdを大きくする必要があり、その結果、表示装置全体の厚さが増加して、使いづらくなる場合がある。
なお、上記には、液晶パネル10の左右の2辺に対応するよう、厚さ減少部20Bが透光性カバー20の2辺に設けられた形態を説明したが、これに限られない。液晶パネル10および透光性カバー20の上辺および下辺に対応する位置に厚さ減少部20Bが設けられていても良い。本発明の実施形態では、少なくとも一辺のパネル辺に対して厚さ減少部が設けられていれば良く、例えば、パネルの4辺のうちの狭額縁が求められる3辺に対して厚さ減少部20が設けられる形態であってもよいし、すべての辺に厚さ減少部20が設けられていてもよい。
以上に説明したように、液晶表示装置100において、平板部20Aが表示画素領域Rdを完全に覆っているので、表示画素領域Rdでは画像の歪みが生じず、適切なコンテンツ表示ができる。また、厚さ減少部20Bによって、額縁領域Rf上にも画像を表示させることができるので、額縁領域Rfを目立たなくすることもできる。
(実施形態2)
図3(a)および(b)は、本発明の実施形態2による液晶表示装置200の構成を示す平面図および断面図である。なお、図3(a)には表示画像として、多数のアルファベット(「A」、「B」、「C」)が縦横に並んでいる例が示されている。
液晶表示装置200は、実施形態1の液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10と、液晶パネル10の観察者側に配置された透光性カバー22とを備える。また、液晶表示装置200は、液晶パネル10および液晶パネル10の背面側に配置されたバックライトユニット30や回路基板・バッテリ35が筺体40内に収容された構成を有している。なお、液晶表示装置100と同様の構成要素については同じ参照符号を付すとともに説明を省略する。
本実施形態の液晶表示装置200が備える透光性カバー22もまた、液晶パネル10の表示画素領域Rdを完全に覆う平板部22Aと、平板部22Aの周縁に設けられた厚さ減少部22Bとを有している。平板部22Aと厚さ減少部22Bとは、典型的には同じ材料から一体的に形成されている。
また、実施形態1と同様に、平板部22Aと厚さ減少部22Bとの境界が、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界に略一致している。このため、表示画素領域Rdにおいてパネル法線方向に向かう光は、平板部22Aを通過して、そのまま使用者の目に届くことになる。
ただし、本実施形態における厚さ減少部22Bは、実施形態1とは異なり、凸曲面(例えば円柱側面)の表面を有している。この凸曲面は、レンズ面として機能し得る。なお、液晶パネル10の角部に対応する位置では、厚さ減少部22Bの表面が例えば球面状に形成されていても良い。
厚さ減少部22Bが表面に有する凸曲面は、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとが並ぶ方向に平行なパネル断面(言い換えると、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界線に垂直なパネル断面)において曲線を形成する。この曲線は、例えば、円を表す関数や、任意の非球面関数によって表すことができる。本実施形態の厚さ減少部22Bの表面(レンズ面)は、円柱側面のような形状であってもよいし、上記の非球面関数で表される曲面であってもよい。また、自由曲面であっても良い。
レンズ面を規定する非球面関数は、曲率c(または曲率半径R1)と非球面係数(コーニック定数)kとを用いて例えば下記の式によって表わされる。
非球面式:f(X)=Y−cX2/(1+(1−(1+k)c2X2)1/2)
ただし、c=1/R1、Xはレンズ頂上(平板部22Aと厚さ減少部22Bとの境界)からの水平方向距離、Yはレンズ頂上における高さ(平板部22Bの厚さ)である。曲率半径R1およびコーニック定数kは、額縁領域Rfの幅Lや透光性カバー22の厚さなどに応じて適宜設定されてよい。
なお、透光性カバー22の端部に形成されるレンズ面の形状については、例えば、国際公開第2010/070871号に詳細に記載されている。本実施形態の液晶表示装置200においても、上記文献に記載のレンズ面形状を適用することができる。
このようにレンズ面を有する厚さ減少部22Bを設ける場合、実施形態1の液晶表示装置100とは異なり、厚さ減少部22Bが設けられた領域において図4(a)および図4(c)に示すように周辺画素からの表示光が反転されて表示される場合がある。また、レンズ面の形状によっては、特定の倍率で画像が拡大または縮小する場合がある。ただし、このような画像であっても額縁領域Rfを目立ちにくくすることはでき、また、表示画素領域Rdでは、正常な画像が表示されるので使用者の利便性を損ねることもない。特に、厚さ減少部22Bの幅が1.5mm以下、さらに好ましくは1mm以下である場合には、画像の詳細が認識しづらくなることで使用者の違和感が解消され、額縁領域Rfがほとんど存在しないように感じられる。
本実施形態においても、額縁領域Rfを目立ちにくくするためには、図4(a)に示すように、透光性カバー22の外側エッジまで液晶パネル10からの光が届くことが好ましい。図4(c)に示すように、額縁領域Rfの全域の正面側に画像を表示させることができれば、使用者が額縁領域Rfの存在を意識しにくくなる。厳密ではないが、下記条件を満足していると、液晶表示装置200においても、ほぼカバー端面まで光が出射することが確認された。
L≦(d−x・tanθ)・tan(θ−sin-1(sinθ/n))
ただし、θ=tan-1(y/x)
ここで、上記式におけるd、θ、x、y、L、nは、図4(b)に示すように、以下の通りに規定される。
d:カバー最表面から液晶層までの距離(本実施形態では、カバー厚さ+光学フィルム層の厚さ+対向基板の厚さに相当)
θ:レンズ曲面の始点と終点とを結ぶ直線の平均傾斜角(パネル面に対する角度)
x:厚さ減少部の幅
y:カバー中央部での厚さとカバー端面での厚さとの差
L:額縁領域の幅(ただし、x≦L)
n:透光性カバーの屈折率
この態様において、厚さ減少部22Bの傾斜角θ(=tan-1(y/x))は、例えば、20°〜70°に設計されていてよい。また、曲面を規定する曲率半径は例えば0.7L〜1.5L(Lは額縁領域の幅)であってよい。
以上に説明したように、液晶表示装置200において、平板部22Aが表示画素領域Rdを完全に覆っているので、表示画素領域Rdでは画像の歪みが生じず、適切なコンテンツ表示ができる。また、レンズ状の厚さ減少部22Bを用いた場合にも、額縁領域Rf上に画像を表示させることができるので、額縁領域Rfを目立たなくすることができる。
(実施形態3)
図5(a)および(b)は、本発明の実施形態3による液晶表示装置300の構成を示す平面図および断面図である。なお、図5(a)には表示画像として、多数のアルファベット(「A」、「B」、「C」)が縦横に並んでいる例が示されている。
液晶表示装置300は、実施形態1の液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10と、液晶パネル10の観察者側に配置された透光性カバー23とを備える。また、液晶表示装置300は、液晶パネル10および液晶パネル10の背面側に配置されたバックライトユニット30および回路基板・バッテリ35が筺体40内に収容された構成を有している。なお、液晶表示装置100と同様の構成要素については同じ参照符号を付すとともに説明を省略する。
本実施形態の液晶表示装置300の透光性カバー23もまた、液晶パネル10の表示画素領域Rdを完全に覆う平板部23Aと、平板部23Aの周縁に設けられた厚さ減少部23Bとを有している。平板部23Aと厚さ減少部23Bとは、典型的には同じ材料から一体的に形成されている。また、厚さ減少部23Bの表面は、実施形態1と同様に、パネル面に対して傾斜した平面をなしている。
ここで、液晶表示装置300において、厚さ減少部23Bは、額縁領域Rfの内側エッジ近傍を残してこれを部分的に覆うように設けられている。一方、平板部23Aは、表示画素領域Rdだけでなく額縁領域Rdの内側エッジ近傍の一部をも覆うように設けられている。すなわち、平板部23Aと厚さ減少部23Bとの境界B2(図6(a)参照)は、基板法線方向から見たときに、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界B1(図6(a)参照)に対して外側にずれた位置(例えば0.02mm〜0.3mmだけ外側)に形成される。本実施形態の液晶表示装置300は、実施形態1の液晶表示装置100における厚さ減少部20Bの幅を変更したものと考えることもできる。
この構成において、表示画素領域Rdにおいてパネル法線方向に出射した光は、平板部23Aを通過するため、そのまま観察者の目に届くことになる。したがって、表示画素領域Rdにおいて表示される画像は、歪みなどの不具合を含まず、コンテンツが正しく表示される。
また、本構成では、額縁領域Rdの内側エッジ近傍の一部領域もそのまま観察者の目に届く。ここで、表示画素領域Rdの外側において額縁領域Rfにはブラックマトリクス層BMが設けられている。このため、ブラックマトリクス層BMの一部が平板部23Aを介して黒線BLとして認識される。この黒線BLの幅は、平板部23Aと額縁領域Rf(あるいはブラックマトリクス層BM)との重なり幅、すなわち、上記の境界のずれ幅(例えば、0.02mm〜0.3mm)と等しい。
さらに、厚さ減少部23Bで覆われた領域では、実施形態1と同様に、表示画素領域Rdに配置された周辺画素からの光の一部が屈折して使用者側に出射される。このとき、使用者には、表示画素領域Rdの端部における表示画像が、額縁領域Rf上においても複製された画像として観察される。
図6(a)および(b)に示すように、本実施形態において、使用者には、表示画素領域Rd上に表示される画像と、額縁領域Rf上に表示される画像との間に細い黒線BLが観察される。このように細い黒線BLなどの領域を区切る線があると、使用者の感じる違和感がより解消されることが本発明者によって確認された。
これは、黒線BLが存在していることにより、表示画素領域Rdにおける歪みなどの無い画像の表示範囲が明確になるので、コンテンツが見やすくなるからであると考えられる。また、黒線BLによって、表示画素領域Rd上の画像と額縁領域Rf上の画像とがつながって認識されることが無くなり、これによって、使用者が図形や文字を誤認識することが防止されるからであると考えられる。
黒線BLは画像を表示するものではないため、太すぎると額縁と同等になってしまうので、使用者が線として認識できる範囲で細い方が好ましい。具体的には0.02〜0.3mmくらいが適度な範囲である。
本実施形態においても、額縁領域Rfを目立ちにくくするためには、図6(a)に示すように、透光性カバー23の外側エッジまで液晶パネル10からの光が届くことが好ましい。図6(b)に示すように、額縁領域Rfの全域の正面側に画像を表示させることができれば、使用者が額縁領域Rfの存在を意識しにくくなる。
液晶パネル10からの出射光が額縁領域Rfの外側エッジまで届く条件を規定する式は、実施形態1の液晶表示装置100の場合と同様にして求めることができ、下記のように、額縁領域Rfの幅Lおよび黒線BLの幅LBMを用いて表すことができる。
L≦(d−x・tanθ)・tan(θ−sin-1(sinθ/n))+LBM
ただし、θ=tan-1(y/x)
ここで、上記式におけるd、θ、x、y、L、nは、図2(b)に示すように、以下の通りに規定される。
d:カバー最表面から液晶層までの距離(本実施形態では、カバー厚さ+光学フィルム層の厚さ+対向基板の厚さに相当)
θ:厚さ減少部表面の平均傾斜角(パネル面に対する角度)
x:厚さ減少部の幅
y:カバー中央部での厚さとカバー端面での厚さとの差
L:額縁領域の幅(ただし、x≦L)
n:透光性カバーの屈折率
LBM:黒線の幅
なお、上記には、ブラックマトリクス層BMが黒色であることを前提に、黒線BLが表示画素領域Rdの境界を示す線として観察される形態を説明した。ただし、ブラックマトリクス層BMが黒色ではない他の色を有していても良く、この場合には、他の色の線として観察される。たとえば筐体と同じ色の線にすることで、使用者が、表示画像ではないことを認識しやすくなる。このため、落ち着いて画像を見ることができるという利点が得られる。また、デザインとしての統一性も得られるため好適である。
以上に説明したように、液晶表示装置300において、平板部23Aが表示画素領域Rdを完全に覆っているので、表示画素領域Rdでは画像の歪みが生じず、適切なコンテンツ表示が行える。また、平板部23Aが額縁領域Rfの一部をも覆うことで、表示画素領域Rdの境界を示す境界線をブラックマトリクス層BMを利用して見せることができ、コンテンツを見やすくできる。また、厚さ減少部23Bによって、額縁領域Rf上にも画像を表示させることができるので、額縁領域Rfを目立たなくすることもできる。
(実施形態4)
図7(a)および(b)は、本発明の実施形態4による液晶表示装置400の構成を示す平面図および断面図である。なお、図7(a)には表示画像として、多数のアルファベット(「A」、「B」、「C」)が縦横に並んでいる例が示されている。
液晶表示装置400は、実施形態2の液晶表示装置200と同様に、液晶パネル10と、液晶パネル10の観察者側に配置された透光性カバー24とを備える。また、液晶表示装置400は、液晶パネル10および液晶パネル10の背面側に配置されたバックライトユニット30および回路基板・バッテリ35が筺体40内に収容された構成を有している。また、透光性カバー24の端部に設けられた厚さ減少部24Bは、レンズ面として機能する凸曲面の表面を有している。なお、液晶表示装置200と同様の構成要素については同じ参照符号を付すとともに説明を省略する。
厚さ減少部24Bが表面に有する凸曲面の形状も、実施形態2と同様に、円柱側面や、任意の非球面関数で表される曲面、あるいは、自由曲面であってよい。このように厚さ減少部24Bが曲面からなるレンズ面を有している場合、図8(a)および(b)に示すように、周辺画素からの表示光が反転されて表示される場合がある。また、レンズ面の形状によっては、特定の倍率で画像が拡大または縮小する場合がある。ただし、このような画像であっても額縁領域Rfを目立ちにくくすることはできる。また、表示画素領域Rdでは、正常な画像が表示されるので使用者の利便性を損ねることもない。
さらに、液晶表示装置400は、実施形態3の液晶表示装置300と同様に、平板部24Aと厚さ減少部24Bとの境界B2(図8(a)参照)が、基板法線方向から見たときに、表示画素領域Rdと額縁領域Rfとの境界B1(図8(a)参照)に対して外側にずれて位置するように構成されている。
このように、本実施形態4においても、実施形態3と同様に、厚さ減少部24Bが、額縁領域Rfの内側エッジ近傍を残してこれを部分的に覆い、一方で、平板部24Aが、表示画素領域Rdだけでなく額縁領域Rfの内側エッジ近傍の一部をも覆うように設けられている。
この構成において、表示画素領域Rdにおいてパネル法線方向に出射した光は、平板部24Aを通過するため、そのまま観察者の目に届くことになる。また、額縁領域Rfの内側エッジ近傍の一部領域もそのまま観察者の目に届くので、実施形態3と同様に、ブラックマトリクス層BMの一部が平板部24Aを介して黒線BLとして認識される。この黒線BLの幅は、平板部24Aと額縁領域Rfとの重なり幅、すなわち、上記の境界のずれ幅(例えば、0.02mm〜0.3mm)と等しい。
液晶表示装置400においても、実施形態3と同様に、黒線BLによって表示画素領域Rdにおける歪みの無い画像の表示範囲が明確になるので、コンテンツが見やすくなる。また、黒線BLによって、表示画素領域Rd上の画像と額縁領域Rf上の画像とがつながって認識されることが無くなり、これによって、使用者が図形や文字を誤認識することが防止される。
本実施形態においても、額縁領域Rfを目立ちにくくするためには、図8(a)に示すように、透光性カバー24の外側エッジまで液晶パネル10からの光が届くことが好ましい。図8(b)に示すように、額縁領域Rfの全域の正面側に画像を表示させることができれば、使用者が額縁領域Rfの存在を意識しにくくなる。厳密ではないが、下記条件を満足していると、液晶表示装置400においても、ほぼカバー端面まで光が出射することが確認された。
L≦(d−x・tanθ)・tan(θ−sin-1(sinθ/n))+LBM
ただし、θ=tan-1(y/x)
ここで、上記式におけるd、θ、x、y、L、nなどは、図4(b)に示すように、以下の通りに規定される。
d:カバー最表面から液晶層までの距離(本実施形態では、カバー厚さ+光学フィルム層の厚さ+対向基板の厚さに相当)
θ:レンズ曲面の始点と終点とを結ぶ直線の平均傾斜角(パネル面に対する角度)
x:厚さ減少部の幅
y:カバー中央部での厚さとカバー端面での厚さとの差
L:額縁領域の幅(ただし、x≦L)
n:透光性カバーの屈折率
LBM:黒線の幅
以上に説明したように、液晶表示装置400において、平板部24Aが表示画素領域Rdを完全に覆っているので、表示画素領域Rdでは画像の歪みなどが生じず、適切なコンテンツ表示が行える。また、平板部24Aが額縁領域Rfの一部をも覆うことで、表示画素領域Rdの境界を示す境界線をブラックマトリクス層BMを利用して敢えて見せることができ、コンテンツが見やすくできる。また、厚さ減少部24Bによって、額縁領域Rfを目立たなくすることもできる。
図9は、上記の実施形態4(または実施形態3)の構成を有する液晶表示装置において、表示画素領域Rdの外側境界を示す黒線BLが表示画面上に形成されている様子を示す。黒線BLが存在していることで、表示画素領域Rd内の画像を識別しやすいことがわかる。また、黒線BLの外側においても周辺画素からの光が出射するので、額縁領域が存在しないように感じられることがわかる。また、黒線BLは、表示画像に適合するデザインの一種として比較的違和感なく使用者に受け入れられるものと思われる。
(実施形態5)
図10(a)および(b)は、本発明の実施形態5による液晶表示装置500の構成を示す平面図および断面図である。なお、図10(a)には表示画像として、多数のアルファベット(「A」、「B」、「C」)が縦横に並んでいる例が示されている。
液晶表示装置500は、実施形態1の液晶表示装置100と同様に、液晶パネル10と、液晶パネル10の観察者側に配置された透光性カバー25とを備える。また、液晶表示装置500は、液晶パネル10および液晶パネル10の背面側に配置されたバックライトユニット30および回路基板・バッテリ35が筺体40内に収容された構成を有している。また、透光性カバー25の端部に設けられた厚さ減少部25Bは、略平面の表面を有している。なお、液晶表示装置100と同様の構成要素については同じ参照符号を付すとともに説明を省略する。
図11(c)に示すように、本実施形態において、厚さ減少部25Bの傾斜面25BSには、光散乱処理が施されている。これによって、図10(a)に示すように、額縁領域Rf上の画像がぼやけて見えるので、表示画素領域Rdでの表示が際立ち、コンテンツの誤認識が防止されやすい。また、額縁領域Rf上において正面方向を中心に散乱光が発せられるので、使用者には額縁領域Rfが存在しないように感じられる。
光散乱面に入射した光は、散乱して画像が多少ぼけて見える。つまり、額縁領域Rf上では画像がぼけて見える。しかしながら、表示画素領域Rdにおいて表示する画像に近い輝度・色度で額縁領域Rfがぼんやりと光ることになるので、額縁として認識されなくなる。また、額縁領域Rfに表示される画像がぼけることで、不連続・歪み・反転などを含む、使用者に違和感を覚えさせる画像が表示されることも防止される。
光散乱面のヘイズ値は、10%〜80%程度が好ましい。10%以下の場合は、画像がぼけにくく、目的とする効果が得られない。80%以上の場合は、出射する光強度が小さくなりすぎるため、レンズ領域が暗くなり、額縁が見えなくなる効果が得られない。なお、光散乱面を設ける構成は、実施形態2のような、厚さ減少部の表面が曲面形状である場合についても適用できる。また、実施形態3および4のような表示画素領域Rdの境界線(黒線BL)を視認させる形態と組み合わせても効果を奏する。
光散乱面は、厚さ減少部25Bの傾斜面25BSにおいて、種々の散乱処理を行うことや、微細な凹凸または溝を設ける表面加工などを行うことによって実現できる。
図11(a)〜(h)は、光散乱面の種々の態様を示している。図11(a)に示すように、光散乱面を得るために、微小粒子を含むインクの塗布を行って散乱面25Baを形成しても良いし、図11(b)および(c)に示すように、ヘアライン加工を施して散乱面25Bb、25Bcを形成しても良いし、図11(d)に示すように、梨地面を設ける加工を施して散乱面25Bdを形成しても良い。
また、図11(e)〜(h)に示すように、傾斜面の長手方向または短手方向に沿って形成された複数のマイクロプリズムアレイまたはマイクロレンズアレイを設けることによって散乱面25Be、25Bf、25Bg、25Bhを形成しても良い。ここで、図11(c)、(f)および(h)に示した態様のように、傾斜面の短手方向に沿って延びる微細な溝構造や土手状構造を設けると、特に画像の詳細が認識しづらくなって使用者の違和感が解消されることが確認された。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の実施形態による表示装置は、種々の態様を含む。例えば、表示装置のTFT基板に設けられたTFTは、酸化物半導体を活性層として利用するTFTであってもよい。また、以上には液晶パネルを用いた例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限られず、液晶パネル以外の任意の表示パネルを備える表示装置に適用することができる。