JP6132597B2 - マイクロチップ用遠心力印加装置 - Google Patents

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Description

本発明は、マイクロチップ用遠心分析装置に関し、より詳しくは、これに載置した検査・分析用のマイクロチップに対して遠心力を印加するための遠心力印加装置に関する。
近年、DNA、タンパク質、細胞、免疫若しくは血液等の生化学検査、化学合成又は環境分析等を、マイクロチップを用いて行う手法が注目されている。
マイクロチップを用いた検査・分析は、実験室で従来行っている一連の検査・分析操作を小さなチップ内で行えることから、検体及び液体試薬が微量で済み、コストが低く、反応速度が速く、ハイスループットな検査・分析が可能であり、検体を採取した現場で直ちに検査・分析結果を得ることができるなど多くの利点を有している。
マイクロチップとしては、流体回路(又はマイクロ流体回路)と呼ばれる、該回路内に存在する検体や液体試薬等の液体に対して特定の処理を行うための複数種類の部位(室)とこれらの部位を適切に接続する微細な流路とから構成される流路網をその内部に備えたものが従来公知である(例えば特許文献1)。このような流体回路を内部に備えるマイクロチップを用いた検体の検査・分析においては、その流体回路を利用して、流体回路内に導入された検体(又は検体中の特定成分)やこれと混合される液体試薬の計量(すなわち、計量を行うための部位である計量部への移動)、検体(又は検体中の特定成分)と液体試薬との混合(すなわち、これらを混合するための部位である混合部への移動)、ある部位から他の部位への移動等の種々の処理が行われる。
なお、マイクロチップ内でなされる、各種液体(検体、検体中の特定成分、液体試薬、又は、これらのうちの2種以上の混合物等)に対してなされる処理を、以下では「流体処理」ともいう。これら種々の流体処理は、マイクロチップに対して適切な方向の遠心力を印加することにより行うことができる。
マイクロチップへの遠心力の印加は、遠心力印加装置にマイクロチップを載置して行うことができる。特許文献2には、回転自在な主軸に固定された測定ステージと、測定ステージに固定された遊星主軸に回転自在に固定された遊星ギアと、遊星ギア上に配置されるチップホルダとを備える遠心力印加装置(マイクロチップ検査装置)が開示されている。
特許文献2に記載されるような遠心力印加装置によれば、主軸を中心として測定ステージを回転させることにより、その回転速度に応じた強さの遠心力を、チップホルダ内に載置したマイクロチップに印加することができる。マイクロチップに対する遠心力の印加方向は、遊星主軸を中心として遊星ギアを回転させることにより調整することができる。複数のマイクロチップについて同時に検査・分析を行うことができるよう、測定ステージ上には複数の遊星ギア(従って複数のチップホルダ)を設けることができる。例えば特許文献2には、チップホルダを2個備える遠心力印加装置が図示されている。
特開2007−285792号公報 特開2008−064590号公報
上記特許文献2のように、主軸を中心とする測定ステージの回転によって遠心力を発生させる遠心力印加装置においては、偏心による装置動作不良を防止するために、マイクロチップをチップホルダに載置したときの測定ステージの重心が主軸上に位置するようにする必要があり、このために、例えばチップホルダを2個備える遠心力印加装置に対していずれか一方のチップホルダにのみマイクロチップを載置して検査・分析を行う場合には、従来、他方のチップホルダに上記マイクロチップと同じ重量を有するダミーチップ(バランスウェイト)を入れる必要があった。しかしながら、チップホルダに載置するマイクロチップの数やどのチップホルダにマイクロチップを載置するかに応じて、測定者が手動でダミーチップを出し入れする必要があり、操作の簡便化が望まれていた。
本発明は、マイクロチップをチップホルダに載置後、測定ステージの回転時における測定ステージの重心が主軸上に位置するように簡便に調整することができ、もって、チップホルダに載置するマイクロチップの数やどのチップホルダにマイクロチップを載置するかにかかわらず、測定ステージの回転時における偏心を効果的に防止することができる遠心力印加装置の提供を目的とする。
本発明は、以下のものを含む。
[1] 回転駆動装置と、
前記回転駆動装置の回転により回転可能な第1主軸と、
前記第1主軸に固定され、前記第1主軸を中心に回転自在な第1回転体と、
前記第1回転体上に配置され、マイクロチップを載置するための載置部を有する回転体であって、前記第1回転体に固定された第2主軸を中心に回転自在な第2回転体を2以上と、
可動式重りを含み、前記可動式重りの位置調整により、前記第1回転体の回転時における前記第1回転体の重心が前記第1主軸上に位置するように調整するためのバランス調整部と、
を含む遠心力印加装置。
[2] 前記バランス調整部は、前記第2回転体の載置部のうち、いずれの1又は2以上の載置部にマイクロチップが載置されるかに応じて、前記可動式重りの位置調整を行う[1]に記載の遠心力印加装置。
[3] 前記バランス調整部は、前記第2回転体の載置部に載置されるマイクロチップの重量に応じて、前記可動式重りの位置調整を行う[1]に記載の遠心力印加装置。
[4] 前記第2回転体の載置部のそれぞれについて、マイクロチップが載置されているか否かを検知するための検知部をさらに備える[2]又は[3]に記載の遠心力印加装置。
[5] 前記バランス調整部による前記可動式重りの位置調整を制御するための制御部をさらに備える[1]〜[4]のいずれかに記載の遠心力印加装置。
[6] 前記検知部の検知結果に応じて、前記バランス調整部による前記可動式重りの位置調整を制御するための制御部をさらに備える[4]に記載の遠心力印加装置。
[7] 前記可動式重りの位置調整が前記可動式重りの位置移動を伴う場合において、
前記可動式重りの位置移動は、前記第1回転体の回転により前記可動式重りに印加される遠心力によってなされる[1]〜[6]のいずれかに記載の遠心力印加装置。
本発明の遠心力印加装置によれば、可動式重りの位置調整という簡便な操作により、第1回転体の回転時における偏心を効果的に防止することができ、ダミーチップを出し入れするという従来必須であった煩雑な操作を省くことができる。
第1の実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。 遠心力方向切替部の構造及びその動作を説明するための概略断面図である。 第1の実施形態に係る遠心力印加装置におけるバランス調整後の状態の一例を示す概略上面図である。 第2の実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。 第3の実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。 図5に示される第3の実施形態に係る遠心力印加装置において、重心調整のために可動式重りを移動させた後の状態を示す概略上面図である。 第4の実施形態に係る遠心力印加装置を模式的に示す上面図である。 第5の実施形態に係る遠心力印加装置を模式的に示す上面図である。 第6の実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。
以下、実施の形態を示して本発明を詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。図1に示される遠心力印加装置1は、マイクロチップに印加される遠心力の方向を自動で切り替えることができるよう、第1回転体10の中央部に遠心力方向切替部40(図2参照)を備えた遠心力印加装置であり、その基本構成は上記特許文献2における図11及び図12に記載の構成と同様であるが、第1回転体10の回転時(マイクロチップへの遠心力印加時)における偏心を防止するために、第1回転体10の重心を適切な位置に調整するためのバランス調整部30を備えていることを1つの特徴としている。
より具体的に説明すると、遠心力印加装置1は、第1回転体10の中央部下方に配置される図示しない回転駆動装置(モータ等);回転駆動装置から延びる軸であって、回転駆動装置の回転により回転可能な第1主軸44;例えばネジ止めにより第1主軸44に固定され、第1主軸44を中心に回転自在な第1回転体10;第1回転体10上に配置され、第1回転体10に固定された第2主軸21に例えばネジ止めにより固定されており、第2主軸21を中心に回転自在な2つの第2回転体20a,20b;可動式重り31と、可動式重り31を支持する支持体32と、支持体32をスライドさせるためのレール33とからなるバランス調整部30;第1主軸44に結合された遠心力方向切替部40(図1において図示せず。図2参照。);第1主軸44の周囲に設けられ、第2回転体20a及び20bのギア部と係合している主軸ギア45を備えている。この主軸ギア45と第1主軸44とは別々に回転可能である。
なお、後述する図2に示すように、第1主軸44には遠心力方向切替部40が設けられているが、図1においては図示を省略している。
第2回転体20a及び20b上には、マイクロチップを載置するための載置部が設けられているが、図1においてはこれを割愛している。載置部は、これに載置したマイクロチップが遠心力印加時(第1回転体10の回転時)においてもその位置が振れないように、マイクロチップを固定した状態で収容できるものであれば特に限定されず、例えば特許文献2に記載のチップホルダ等であってよい。2つの第2回転体20a及び20bは、第1主軸44を対称軸として対称に配置されている(第1主軸44と第2主軸21とは一直線上に並んでいる)。
遠心力印加装置1は、第1回転体10上であって、第2回転体20a,20bの側方に配置された2つのバランス調整部30を備えており、これらのバランス調整部30は、第1主軸44との距離が同じである。
バランス調整部30において可動式重り31を支持する支持体32は、レール33に沿ってスライド可能にレール33と結合されている。従って、支持体32をレール33に沿ってスライドさせることにより可動式重り31の位置を第1回転体10上の適宜の位置へ移動させることができる。かかる可動式重り31の位置調整により、バランス調整部30は、第1回転体10の回転時(マイクロチップへの遠心力印加時)における第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整する。
(遠心力方向切替部)
図2は、遠心力方向切替部の構造及びその動作を説明するための概略断面図である。本実施形態の遠心力印加装置1においては、遠心力方向切替部40を具備することにより、第2回転体20a及び/又は20bの載置部に載置されたマイクロチップに印加される遠心力の方向を切り替えることができる。
図2(a)を参照して、遠心力方向切替部40は、偏心カム43;すべり軸受け41;第1主軸44の上部に接続され、回転規制溝52を有する上下動軸42;バネ49;上下動軸42に設けられた上係合ピン46及び下係合ピン47;主軸連結ピン48;及び、偏心カム43に接続される図示しない方向切替モータから構成されている。すべり軸受け41には、上係合ピン46を挿入する上係合ピン溝50が設けられ、主軸ギア45には、下係合ピン47を挿入する下係合ピン溝51が設けられている。下係合ピン47はバネ49を介して下係合ピン溝51に挿入されるため、上下動軸42は常に上方向に力が働いている。ただし、上下動軸42の上面は、偏心カム43と当接しているので、上下動軸42が上昇しないように押圧力が働いている。
図2(a)は、上下動軸42が下方にある「遠心力印加モード」の状態を示しており、図2(b)は上下動軸42が上方にある「遠心力方向切替モード」の状態を示している。図2(a)に示されるように、上下動軸42が下方にある場合には、第1主軸44から突出する主軸連結ピン48と、上下動軸42の回転規制溝52が係合するため、上下動軸42は第1主軸44と一体となって回転する。主軸ギア45もまた、下係合ピン47により動きを規制されるため、第1主軸44と一体となって回転する。よって、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させると、主軸ギア45が第1回転体10と同一回転速度で回転するため、第1回転体10に固定される第2回転体20a,20bには相対運動が生じず、その結果、第2回転体20a,20bは自転することなく第1主軸44を中心として公転する。すなわち、上下動軸42が下方にあるときは、載置部に載置されたマイクロチップは、第1主軸44を中心として回転し、遠心力が作用するので「遠心力印加モード」となる。
図2(a)に示される状態から、遠心力印加装置1を制御する制御部により方向切替モータを駆動し、偏心カム43を180度回転させると、図2(b)に示されるように、上下動軸42は、バネ49による上方向の力により上昇し、上下動軸42の回転規制溝52が主軸連結ピン48から外れ、上係合ピン46がすべり軸受け41の上係合ピン溝50に挿入される。従って、上下動軸42は、固定されたすべり軸受け41により動きを規制されるので、固定されて回転できない。また、主軸ギア45も、下係合ピン47により動きを規制されるため、固定されて回転できない。
図2(b)に示されるように上下動軸42が上にあるとき、主軸ギア45は固定されて回転しないが、第2回転体20a,20bは第1回転体10に回転自在に固定されているので、第1回転体10とともに回転する。第2回転体20a及び20bは主軸ギア45に係合しているので、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させると、第2回転体20a及び20bは主軸ギア45に係合しながら回転する。すなわち、第2回転体20a及び20bは、第2主軸21を中心として自転しながら第1主軸44を中心として公転する。
例えば第1回転体10を360度回転させた場合、第2回転体20a,20bは、第1回転体10の回転に伴い第1主軸44を中心として360度公転する。この際、第2回転体20a,20bは主軸ギア45に係合して自転するため、載置部に載置されたマイクロチップもα度回転する。αは第2回転体20a,20bの周縁にあるギア部の歯数と主軸ギア45の歯数の関係から決まる数であり、例えば、第2回転体20a,20bの歯数が主軸ギア45の歯数の4倍である場合、αは90度となる。
このように、上下動軸42が上方にあるときは、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させると、第2回転体20a,20b上の載置部に載置されたマイクロチップを第2主軸21を中心として自転させることができるので、マイクロチップに対する遠心力方向を所望の方向に切り替える「遠心力方向切替モード」となる。制御部により再び方向切替モータを駆動し、偏心カム43を180度回転させると、上下動軸42は偏心カム43に押圧されて下降し、「遠心力印加モード」となる。
(バランス調整部)
バランス調整部30は、可動式重り31と、可動式重り31を支持する支持体32と、支持体32をスライドさせるためのレール33とからなる。バランス調整部30の可動式重り31の位置調整によって、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整することにより偏心を防止することができる。
すなわち、本実施形態の遠心力印加装置1において支持体32はその一方の側面にギア部を有しており、いくつかのギア(図1における上側のバランス調整部30についてはギア61,62,63,64,65及び66、下側のバランス調整部30についてはギア67,68,69,70及び71)を介して主軸ギア45に係合しているので、上下動軸42が上方にある「遠心力方向切替モード」において、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させることにより、主軸ギア45に係合するギア61及び67を自転させ、これに連動して可動式重り31を有する支持体32のそれぞれをレール33に沿ってスライドさせることができる。その後、同じく「遠心力方向切替モード」において、必要に応じて、第2回転体20a,20bを自転させ、遠心力方向を切り替える。
図1の例において、第1回転体10上の中央部にある可動式重り31がスライドする方向は、当該図面における右方向である(図3参照)。好ましくは、バランス調整部30による可動式重り31の位置調整は、遠心力印加装置1の制御部(上述した回転駆動装置及び方向切替モータ等を制御する制御部)によって制御され、自動で行われる。
バランス調整部30による第1回転体10の重心調整について、図1及び図3を参照してより具体的に説明する。例えば2つの可動式重り31が図1に示されるように、第1回転体10上の中央部に位置している(2つの可動式重り31の重心が第1主軸44上にある)状態において、第2回転体20a及び20b上の載置部の双方に同じマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部30は、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心位置を第1主軸44上に維持するために可動式重り31の位置移動を行わず、そのままの位置を保持する。
一方、例えば2つの可動式重り31が第1回転体10上の中央部に位置している状態において、第2回転体20a上の載置部のみにマイクロチップを載置した場合には、図3に示されるようにバランス調整部30は、可動式重り31をおよそ右端(ここでいう右とは図1及び図3における右であり、第2回転体20aとは反対方向を意味している。)までスライドさせ、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように重心調整を行う。
本実施形態の遠心力印加装置1において可動式重り31の重量は、第2回転体20a上の載置部にのみマイクロチップが載置され、2つの可動式重り31がおよそ右端(図3に示される位置)まで移動したときに、第1回転体10の重心が釣り合う(重心が第1主軸44上に位置する)ような重量としている。可動式重り31の重量は、このような重心の釣り合いが達成されるよう、適用されるマイクロチップの重量に応じて適宜設定される。マイクロチップの重量は通常、数g〜数十gである。
可動式重り31、支持体32及びレール33の材質は特に限定されず、例えば金属製であることができる。
以上のように、バランス調整部30を備える本実施形態の遠心力印加装置1によれば、第2回転体20a,20bの載置部のうち、どの載置部にマイクロチップを載置するか(合計何個のマイクロチップをどの載置部に載置するか)に応じて可動式重り31の位置調整を行うことで、簡便に、好ましくは自動で、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心調整を行うことができ、第1回転体10の偏心を防止することができる。
なお、「遠心力方向切替モード」において、第1回転体10の重心調整のために第1主軸44を回転させて、可動式重り31を所定の位置まで移動させると、これと同時に第2回転体20a,20bも自転する。図1に示される本実施形態の遠心力印加装置1においては、可動式重り31をおよそ右端(図3に示される位置)まで移動させるためには、第1主軸44を45回転させる必要があり、一方、第2回転体20a,20bを、例えば±180度自転させるためには、第1主軸44を±2回転させる必要がある。
従って、「遠心力方向切替モード」において、まず、第1回転体10の重心調整のために第1主軸44を45回転させて、可動式重り31を図3に示される位置まで移動させた後、遠心力方向を±180度変更するために第1主軸44を±2回転させると、この±2回転の分、可動式重り31の位置ずれが生じ得る。この位置ずれにより、例えば載置するマイクロチップの重量が12gであり、第1回転体10が3000rpmで回転する場合、約2.4Nの偏心が第1主軸44に生じるが、この偏心は、装置仕様(装置稼働を問題なく行うために許容できる最大の偏心)に比べて小さいため、あまり問題とならない。
上記位置ずれによる偏心は、可動式重り31を図1の状態から図3の状態まで移動させるための第1主軸44の回転数を、ギア比の調整により増やすことによってより小さくすることができる。例えば、可動式重り31を図1の状態から図3の状態まで移動させるのに必要な第1主軸44の回転数を45回転から90回転に増やすと、可動式重り31の位置ずれは半減するため、上記偏心は約1.2Nとなる。
(検知部)
本実施形態の遠心力印加装置1(後述する他の実施形態についても同様)は、第2回転体20a及び20bの載置部のそれぞれにマイクロチップが載置されているか否かを検知するための検知部をさらに備えることができ、好ましくは、バランス調整部30による可動式重り31の位置調整は、検知部の検知結果に応じて、遠心力印加装置1の制御部(上述した回転駆動装置及び方向切替モータ等を制御する制御部)によって制御される。これにより、どの載置部にマイクロチップが載置されているかに応じた可動式重り31の位置調整を自動で行うことが可能になり、測定者は必要なマイクロチップを置くだけでよい。
検知部は、例えば載置部に光を照射する手段と、該光の光軸上に配置された、載置部を通過した光を検出する手段とから構成することができる。このような検知部を用いる場合においては、光を検出する手段が載置部を通過した光を検出すると、その載置部にはマイクロチップが載置されていないと判断される。
<第2の実施形態>
図4は、本実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。図4に示される遠心力印加装置2は、バランス調整部90が可動式重り91(例えば金属製)と、その一端が第1回転体10に固定されたバネである、可動式重り91を支持する支持体92と、可動式重り91の位置移動を制限するストッパー93と、可動式重り91の移動方向を規制するガイド94とから構成されること以外は上記第1の実施形態と同様である。図4に示される状態において可動式重り91は、ストッパー93により、第1回転体10上の中央部で固定されている。可動式重り91は、U字状のガイド94内を、ガイド94に沿って移動可能である。
なお、第1主軸44には遠心力方向切替部40が設けられているが、図1と同様、図4においては図示を省略している。また、第2回転体20a及び20b上には、マイクロチップを載置するための載置部が設けられているが、図1と同様、図4においてはこれを割愛している。
遠心力印加装置2は、第1回転体10上であって、第2回転体20a,20bの側方に配置された2つのバランス調整部90を備えており、これらのバランス調整部90は、第1主軸44との距離が同じである。本実施形態の遠心力印加装置2においても、バランス調整部90の可動式重り91の位置調整によって、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整することにより偏心が防止される。
本実施形態の遠心力印加装置2においてストッパー93はその一端にギア部を有しており、いくつかのギア(図4における上側のバランス調整部90についてはギア72及び73、下側のバランス調整部90についてはギア74,75及び76)を介して主軸ギア45に係合しているので、上下動軸42が上方にある「遠心力方向切替モード」において、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させることにより、主軸ギア45に係合するギア72及び74を自転させ、これに連動してストッパー93を図4の矢印のように回転させることができる。これにより、ストッパー93による可動式重り91の位置移動の制限は開放されることとなる。点線で示される図4のAの可動式重りは、第1回転体10が回転していない状態において、ストッパー93がはずされたときの可動式重り91の位置を示している。
好ましくは、バランス調整部90による可動式重り91の位置調整、すなわち、ストッパー93による可動式重り91の固定/ストッパー93の開放の切り替え操作は、遠心力印加装置2の制御部によって制御され、自動で行われる。
バランス調整部90による第1回転体10の重心調整について、図4を参照してより具体的に説明する。例えば2つの可動式重り91が図4に示されるように、ストッパー93により第1回転体10上の中央部に位置している(2つの可動式重り91の重心が第1主軸44上にある)状態において、第2回転体20a及び20b上の載置部の双方に同じマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部90は、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心位置を第1主軸44上に維持するために、ストッパー93の切り替え操作を行わず、可動式重り91の位置を保持する。
一方、例えば2つの可動式重り91が第1回転体10上の中央部に位置している状態において、第2回転体20a上の載置部のみにマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部90は、ストッパー93を図4の矢印のように回転させ、可動式重り91の位置移動の制限を開放状態とする。これにより可動式重り91の位置は、図4のAで示される位置となる。そして、続く「遠心力印加モード」において第1主軸44の回転に伴って第1回転体10が回転すると、その遠心力により可動式重り91は、ガイド94内を、点線で示される図4のBの位置まで移動し、かかる可動式重り91の位置移動により、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように重心調整がなされる。
図4に示されるBの位置は、「遠心力印加モード」において所定の強さの遠心力が可動式重り91に印加されたときの、可動式重り91の移動位置である。本実施形態の遠心力印加装置2において可動式重り91の重量は、第2回転体20a上の載置部にのみマイクロチップが載置され、2つの可動式重り91が位置Bまで移動したときに、第1回転体10の重心が釣り合う(重心が第1主軸44上に位置する)ような重量としている。可動式重り91の重量は、このような重心の釣り合いが達成されるよう、適用されるマイクロチップの重量に応じて適宜設定される。
以上のように、バランス調整部90を備える本実施形態の遠心力印加装置2は、「遠心力印加モード」での遠心力を利用して可動式重り91の位置移動を行うものである。本実施形態の遠心力印加装置2によっても、第2回転体20a,20bの載置部のうち、どの載置部にマイクロチップを載置するか(合計何個のマイクロチップをどの載置部に載置するか)に応じて可動式重り91の位置調整を行うことで、簡便に、好ましくは自動で、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心調整を行うことができ、第1回転体10の偏心を防止することができる。
<第3の実施形態>
図5は、本実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。図5に示される遠心力印加装置3は、バランス調整部100が4つの固定ピン103と、これらの固定ピン103に巻き掛けられたベルト102(例えばゴムベルトや樹脂製キャタピラー)と、ベルト102の一部を構成する可動式重り101(例えば金属製)からなること以外は上記第1の実施形態と同様である。
なお、第1主軸44には遠心力方向切替部40が設けられているが、図1と同様、図5においては図示を省略している。また、第2回転体20a及び20b上には、マイクロチップを載置するための載置部が設けられているが、図1と同様、図5においてはこれを割愛している。
遠心力印加装置3は、第1回転体10上であって、第2回転体20a,20bの側方に配置された2つのバランス調整部100を備えており、これらのバランス調整部100は、第1主軸44との距離が同じである。2つのバランス調整部100のベルト102は、それぞれ、ギア81、ギア85と係合しており、ギア81、ギア85の回転に伴って4つの固定ピン103の周囲を移動できるように構成されている。ベルト102の回転により、可動式重り101の位置を第1回転体10上の適宜の位置へ移動させることができる。
本実施形態の遠心力印加装置3においても、バランス調整部100の可動式重り101の位置調整によって、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整することにより偏心が防止される。
すなわち、本実施形態の遠心力印加装置3において2つのベルト102はギア81又はギア85と係合しており、これらのギアはいくつかのギア(ギア81についてはギア77,78,79及び80、ギア85についてはギア82,83及び84)を介して主軸ギア45に係合しているので、上下動軸42が上方にある「遠心力方向切替モード」において、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させることにより、主軸ギア45に係合するギア77及び82を自転させ、これに連動してベルト102を固定ピン103の周囲で移動させることができる。これにより、可動式重り101の位置移動が可能となる。
好ましくは、バランス調整部100による可動式重り101の位置調整は、遠心力印加装置3の制御部によって制御され、自動で行われる。
バランス調整部100による第1回転体10の重心調整について、図5及び図6を参照してより具体的に説明する。例えば第2回転体20a及び20b上の載置部の双方に同じマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部100は、可動式重り101を図6に示される位置に移動させる。これにより、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように重心調整がなされる。
一方、例えば可動式重り101が図5に示される位置にある状態において、第2回転体20a上の載置部のみにマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部100は、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心位置を第1主軸44上に維持するために、ベルト102の回転を行わず、可動式重り101の位置を保持する。
本実施形態の遠心力印加装置3において可動式重り101の重量は、第2回転体20a上の載置部にのみマイクロチップが載置され、可動式重り101が図5に示される位置にあるときに、第1回転体10の重心が釣り合う(重心が第1主軸44上に位置する)ような重量としている。可動式重り101の重量は、このような重心の釣り合いが達成されるよう、適用されるマイクロチップの重量に応じて適宜設定される。
上記第1の実施形態と同様、遠心力方向を変更するために第1主軸44を回転させると、可動式重り101の位置ずれが生じる。しかしながら本実施形態においては、可動式重り101が図6に示される矢印のように移動しても、2つの可動式重り101の合成重心は移動しないので、遠心力方向を変更するための第1主軸44の回転に伴うわずかな偏心を防止することができる。
以上のように、バランス調整部100を備える本実施形態の遠心力印加装置3によっても、第2回転体20a,20bの載置部のうち、どの載置部にマイクロチップを載置するか(合計何個のマイクロチップをどの載置部に載置するか)に応じて可動式重り101の位置調整を行うことで、簡便に、好ましくは自動で、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心調整を行うことができ、第1回転体10の偏心を防止することができる。
<第4の実施形態>
図7は、本実施形態に係る遠心力印加装置を模式的に示す上面図であり、バランス調整部の他の一例を示した図である。図7に示されるバランス調整部は、支持体201の端部に固定された可動式重り200(例えば金属製)と、その一端が支持体201に固定されたバネ202と、可動式重り200の位置移動を制限するストッパー203とから構成される。支持体201における可動式重り200を有する側とは反対側の端部は、2つの第2回転体の一方の載置部IIの近傍において第1回転体10に回転可能に固定されている。バネ202の他端も第1回転体10に固定されている。ストッパー203は、例えば上下に移動可能なピンである。
本実施形態の遠心力印加装置においても、バランス調整部の可動式重り200の位置調整によって、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整することにより偏心が防止される。
すなわち、例えば可動式重り200が図7に示されるCの位置にある状態において、2つの第2回転体上の載置部I及びIIの双方に同じマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部は、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心位置を第1主軸44上に維持するために、ストッパー203による可動式重り200の固定を維持し、可動式重り200の位置をCの位置に保持する。
一方、例えば可動式重り200が図7に示されるCの位置にある状態において、載置部Iのみにマイクロチップを載置した場合には、バランス調整部はストッパー203を下げ、可動式重り200を図7に示されるDの位置に移動させ、マイクロチップ載置後の第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように重心調整を行う。
本実施形態の遠心力印加装置において可動式重り200の重量は、載置部Iにのみマイクロチップが載置され、可動式重り200が図7に示されるDの位置まで移動したときに、第1回転体10の重心が釣り合う(重心が第1主軸44上に位置する)ような重量としている。
<第5の実施形態>
図8は、本実施形態に係る遠心力印加装置を模式的に示す上面図である。上記の実施形態では、遠心力印加装置が2つの第2回転体を有し、従って2つの載置部を有する例を説明したが、本発明はこれに限定されず、本実施形態のように4つの載置部を有していてもよい。この場合、4つの載置部は図示されるように対称に配置される。
このような4つの載置部を有する遠心力印加装置においては、図8(e)に模式的に示すようなバランス調整部を用いることができる。このバランス調整部は、一端が第1回転体に回転可能に固定された支持体301と、支持体301の他端に固定された可動式重り300から構成されており、可動式重り300を図8(e)に示されるEの位置からFの位置へ(若しくはその逆)及びEの位置からGの位置へ(若しくはその逆)、好ましくは制御部による制御により自動で、移動させることができる。
図8(e)に示されるようなバランス調整部を備えた本実施形態の遠心力印加装置においては、4つの載置部のうち、どの載置部にマイクロチップを載置するか(合計何個のマイクロチップをどの載置部に載置するか)に応じて可動式重り200の位置調整を行うことで、簡便に、好ましくは自動で、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心調整を行うことができ、第1回転体10の偏心を防止することができる。
すなわち、例えば載置部Iにのみマイクロチップが載置される場合には、可動式重り300をFの位置に移動させる(図8(a))。載置部I及びIIにのみマイクロチップが載置される場合には、可動式重り300をEの位置に移動させる(図8(b))。載置部I、II及びIIIにのみマイクロチップが載置される場合には、可動式重り300をGの位置に移動させる(図8(c))。載置部I〜IVのすべてにマイクロチップが載置される場合には、可動式重り300をEの位置に移動させる(図8(d))。
<第6の実施形態>
図9は、本実施形態に係る遠心力印加装置を示す概略上面図である。図9に示される遠心力印加装置4は、2つのバランス調整部30の代わりに2つのバランス調整部150を備えること、及び、第2回転体20a及び20b上にあるマイクロチップを載置するための載置部(図示せず)にそれぞれ異なるタイプ、従って異なる重量のマイクロチップを載置できること以外は上記第1の実施形態と同様である。バランス調整部150は、第2第1回転体10に固定された第3主軸に例えばネジ止めにより固定された回転体であって、第3主軸を中心に回転可能な第3回転体151;及び、第3回転体151上であってその外周部に配置される可動式重り152からなる。2つのバランス調整部150は、第1主軸44との距離が同じである。第3回転体151は、その周縁にギア部を有しており、いくつかのギアを介して主軸ギア45に係合している。
なお、第1主軸44には遠心力方向切替部40が設けられているが、図1と同様、図9においては図示を省略している。
バランス調整部150の第3回転体151は、いくつかのギアを介して主軸ギア45に係合しているので、上下動軸42が上方にある「遠心力方向切替モード」において、制御部により回転駆動装置を作動させ、第1主軸44を回転させることにより、これに連動して第3回転体151を自転させることができる。
従って、本実施形態の遠心力印加装置4によれば、例えば次のような場合に、第2回転体20a,20bの載置部に載置されるマイクロチップの重量に応じて可動式重り152の位置調整を行うことで、簡便に、好ましくは自動で、第1回転体10の回転時(遠心力印加モード)における第1回転体10の重心調整を行うことができ、第1回転体10の偏心を防止することができる。
(a)第2回転体20aの載置部にマイクロチップAを載置し、第2回転体20bの載置部にマイクロチップAとは異なるタイプの(従って重さの異なる)マイクロチップBを載置して、マイクロチップA及びBの双方に対して流体処理を施して検査又は分析を行う場合。このような場合には、図9に示すように可動式重り152の位置を、第1主軸44と第3回転体151の第3主軸とを通る線上からずらすことによって(例えばマイクロチップAの方が重い場合には第2回転体20b側へずらす)、第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整した後に流体処理を行う。
(b)第2回転体20aの載置部にマイクロチップAを載置し、第2回転体20bの載置部にはマイクロチップを載置せずにマイクロチップAに対して流体処理を施して検査又は分析を行った後、第2回転体20aの載置部にはマイクロチップを載置せず第2回転体20bの載置部にマイクロチップAとは異なるタイプの(従って重さの異なる)マイクロチップBを載置してマイクロチップBに対して流体処理を施して検査又は分析を行う場合。この場合、図9に示すように可動式重り152の位置を、第1主軸44と第3回転体151の第3主軸とを通る線上から第2回転体20b側へずらすことによって、第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整した後にマイクロチップAに対して流体処理を施し、次いで、可動式重り152の位置を、上記線上から第2回転体20a側へずらすことによって、第1回転体10の重心が第1主軸44上に位置するように調整した後にマイクロチップBに対して流体処理を施す。
(マイクロチップ)
載置部に載置されるマイクロチップは従来公知のマイクロチップであることができ、例えば、各種化学合成、検査又は分析等を、それが内部に有する流体回路(内部に形成された空間)を用いて行うマイクロチップであることができる。かかるマイクロチップにおいては、流体回路内の液体(検体、検体中の特定成分、液体試薬等の試薬、及び、これらのうちの2種以上の混合物など)を所定方向の遠心力の印加により流体回路内の所定の位置(部位)に移動させることにより、該液体に対して適切な流体処理を行う。このために流体回路は、適切な位置に配置された種々の部位(室)を備えており、これらの部位は微細な流路を介して適切に接続されている。
流体回路が有する上記部位(室)としては、検査又は分析などの対象となる検体と混合(又は反応)させるための液体試薬を収容する試薬保持部;流体回路内に導入された検体から特定成分を取り出すための分離部;検体(検体中の特定成分である場合を含む。以下同じ。)を計量するための検体計量部;液体試薬を計量するための試薬計量部;検体と液体試薬とを混合するための混合部;得られた混合液についての検査又は分析(例えば、混合液中の特定成分の検出又は定量)を行うための検出部;廃液(例えば、計量時に検体計量部や試薬計量部からオーバーフローした検体や液体試薬)を収容する廃液溜め部;その他、特定の液体を一時的に収容しておくための収容部などを挙げることができる。
マイクロチップは通常、その一方の表面に、試薬保持部内に液体試薬を注入するための、試薬保持部まで貫通する貫通口である試薬注入口を有する。試薬注入口は、液体試薬が注入された後、例えば封止用ラベル(シール)などの封止層をマイクロチップ表面に貼着することにより封止される。また、マイクロチップは、その表面に、検査又は分析などの対象となる検体を注入するための、流体回路まで貫通する(流体回路に接続される)貫通口である検体注入口を有する。
検出部に導入された混合液を検査又は分析するための方法は特に制限されず、例えば、混合液を収容する検出部に光を照射して透過する光の強度(透過率)を検出する方法、検出部に保持された混合液についての吸収スペクトルを測定する方法等の光学測定を挙げることができる。本発明の遠心力印加装置は、このような光学測定を行うための光照射手段及び検出部を透過した光の検出等を行うための光検出手段を含むことができる。
マイクロチップは、上述の例示された部位(室)のすべてを有していてもよく、いずれか1以上を有していなくてもよい。また、これら例示された部位以外の部位を有していてもよい。各部位の数についても特に制限はなく、1又は2以上であることができる。
検体からの特定成分の抽出(不要成分の分離)、検体及び液体試薬の計量、検体と液体試薬との混合、得られた混合液の検出部への導入などのような流体回路内における種々の流体処理は、マイクロチップを遠心力印加装置の載置部に載置し、マイクロチップに対して適切な方向の遠心力を順次印加して、対象の液体を所定位置に配置された所定の部位に順次移動させることにより行うことができる。例えば、計量部による検体及び液体試薬の計量はそれぞれ、所定の容量(計量すべき量と同じ量)を有する検体計量部又は試薬計量部へ、遠心力の印加により計量されるべき検体又は液体試薬を導入し、過剰分の検体又は液体試薬を検体計量部又は試薬計量部からオーバーフローさせることにより実施することができる。オーバーフローした検体又は液体試薬は、流路を介して検体計量部又は試薬計量部に接続された廃液溜め部に収容させることができる。
マイクロチップは、第1の基板と、該第1の基板上に積層、貼合された第2の基板とから構成することができ、より具体的には、第1の基板上に、表面に溝を備える第2の基板を、当該第2の基板の溝形成側表面が第1の基板に対向するように貼り合わせて構成することができる。かかる2枚の基板からなるマイクロチップは、第2の基板表面に設けられた溝と第1の基板における第2の基板に対向する側の表面とから構成される内部空間からなる流体回路を備える。
またマイクロチップは、第1の基板と、基板の両表面に設けられた溝を備える第2の基板と、第3の基板とをこの順で積層、貼合したものであってもよい。かかる3枚の基板からなるマイクロチップは、第1の基板における第2の基板に対向する側の表面及び第2の基板における第1の基板に対向する側の表面に設けられた溝から構成される内部空間からなる第1の流体回路と、第3の基板における第2の基板に対向する側の表面及び第2の基板における第3の基板に対向する側の表面に設けられた溝から構成される内部空間からなる第2の流体回路と、の2層の流体回路を備える。「2層」とは、マイクロチップの厚み方向に関して異なる2つの位置に流体回路が設けられていることを意味する。かかる2層の流体回路は、第2の基板を厚み方向に貫通する1又は2以上の貫通穴によって接続することができる。
基板同士を貼り合わせる方法は特に限定されず、例えば、貼り合わせる基板のうち、少なくとも一方の基板の貼合面を融解させて溶着する方法(溶着法)、接着剤を用いて接着する方法などを挙げることができる。溶着法としては、基板を加熱して溶着する方法;レーザー等の光を照射して、光吸収時に発生する熱により溶着する方法(レーザー溶着);超音波を用いて溶着する方法などを挙げることができる。なかでもレーザー溶着法が好ましく用いられる。
マイクロチップの大きさは特に限定されず、例えば縦横数cm程度、厚さ数mm〜1cm程度とすることができる。
マイクロチップを構成する上記各基板の材質は特に制限されず、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアリレート樹脂(PAR)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、塩化ビニル樹脂(PVC)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリブタジエン樹脂(PBD)、生分解性ポリマー(BP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの熱可塑性樹脂を用いることができる。
マイクロチップが第1の基板と、基板表面に溝を備える第2の基板とから構成される場合、検出光を利用する光学測定のための検出部を構築するために、第2の基板は透明基板とすることが好ましい。第1の基板は、透明基板であっても不透明基板であってもよいが、レーザー溶着を行う場合には、光吸収率を増大できることから、不透明基板とすることが好ましく、基板を上記熱可塑性樹脂から構成し、該熱可塑性樹脂中にカーボンブラック等の黒色顔料を添加することにより黒色基板とすることがより好ましい。
マイクロチップが第1の基板と、基板の両表面に溝を備える第2の基板と、第3の基板とから構成される場合、レーザー溶着の効率性の観点から、第2の基板を不透明基板とすることが好ましく、黒色基板とすることがより好ましい。一方、第1及び第3の基板は、検出光を利用する光学測定のための検出部を構築するために、透明基板とすることが好ましい。第1及び第3の基板を透明基板とすると、第2の基板に設けられた貫通穴と、透明な第1及び第3の基板とから光学測定のための検出部を形成でき、マイクロチップ表面と略垂直な方向から検出部に検出光を照射して、透過する光の強度(透過率)を検出するなどの光学測定を行うことが可能となる。
第2の基板表面に、流体回路を構成する溝(パターン溝)を形成する方法としては、特に制限されず、転写構造を有する金型を用いた射出成形法、インプリント法、切削加工法などを挙げることができる。第2の基板表面に形成される溝の形状及びパターンは、内部空間の構造が、所望される適切な流体回路構造となるように決定される。なお、第2の基板以外の基板(第1及び/又は第3の基板)にも、流体回路を構成する溝、外側表面に形成される溝や凹部、又は貫通穴などを適宜設けることができる。
1,2,3,4 遠心力印加装置、10 第1回転体、20a,20b 第2回転体、21 第2主軸、30,90,100,150 バランス調整部、31,91,101,152,200,300 可動式重り、32,92,201,301 支持体、33 レール、40 遠心力方向切替部、41 すべり軸受け、42 上下動軸、43 偏心カム、44 第1主軸、45 主軸ギア、46 上係合ピン、47 下係合ピン、48 主軸連結ピン、49,202 バネ、50 上係合ピン溝、51 下係合ピン溝、52 回転規制溝、61,62,63,64,65,66,67,68,69,70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81,82,83,84,85 ギア、93,203 ストッパー、94 ガイド、102 ベルト、103 固定ピン、151 第3回転体。

Claims (3)

  1. 回転駆動装置と、
    前記回転駆動装置の回転により回転可能な第1主軸と、
    前記第1主軸に固定され、前記第1主軸を中心に回転自在な第1回転体と、
    前記第1回転体上に配置され、マイクロチップを載置するための載置部を有する回転体であって、前記第1回転体に固定された第2主軸を中心に回転自在な第2回転体を2以上と、
    可動式重りを含み、前記可動式重りの位置調整により、前記第1回転体の回転時における前記第1回転体の重心が前記第1主軸上に位置するように調整するためのバランス調整部と、
    を含み、
    前記バランス調整部は、前記第2回転体の載置部のうち、いずれの1又は2以上の載置部にマイクロチップが載置されるかに応じて、前記可動式重りの位置調整を行い、
    前記第2回転体の載置部のそれぞれについて、マイクロチップが載置されているか否かを検知するための検知部と、
    前記検知部の検知結果に応じて、前記バランス調整部による前記可動式重りの位置調整を制御するための制御部と、
    をさらに含む遠心力印加装置。
  2. 回転駆動装置と、
    前記回転駆動装置の回転により回転可能な第1主軸と、
    前記第1主軸に固定され、前記第1主軸を中心に回転自在な第1回転体と、
    前記第1回転体上に配置され、マイクロチップを載置するための載置部を有する回転体であって、前記第1回転体に固定された第2主軸を中心に回転自在な第2回転体を2以上と、
    可動式重りを含み、前記可動式重りの位置調整により、前記第1回転体の回転時における前記第1回転体の重心が前記第1主軸上に位置するように調整するためのバランス調整部と、
    を含み、
    前記バランス調整部は、前記第2回転体の載置部に載置されるマイクロチップの重量に応じて、前記可動式重りの位置調整を行い、
    前記第2回転体の載置部のそれぞれについて、マイクロチップが載置されているか否かを検知するための検知部と、
    前記検知部の検知結果に応じて、前記バランス調整部による前記可動式重りの位置調整を制御するための制御部と、
    をさらに含む遠心力印加装置。
  3. 前記可動式重りの位置調整が前記可動式重りの位置移動を伴う場合において、
    前記可動式重りの位置移動は、前記第1回転体の回転により前記可動式重りに印加される遠心力によってなされる請求項1または2に記載の遠心力印加装置。
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