JP6131030B2 - 単位変換器、電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法 - Google Patents
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Description
各単位変換器に流れる電流をエネルギ源として用いる方法も考えられる。しかし、電力変換装置は、交流出力部と直流出力部との間で電力変換を行うように各単位変換器を駆動する際に、通常的動作から外れた場合(例えば、軽負荷状態など)に於いては、この流れる電流が充分でないため、この電流に係る電気要素のいずれかをエネルギ源とする電力が充分に供給できず、よって、各単位変換器は自身を駆動できない虞がある。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
第1の実施形態の直流送電システム100は、電力変換装置102aと電力変換装置102bとを備えている。第1の実施形態の直流送電システム100は、交流系統101aと交流系統101bの間に、電力変換装置102aと電力変換装置102bとが接続されて構成されている。電力変換装置102aは、正の直流端子Pa(出力端子)と負の直流端子Na(出力端子)とを備えている。電力変換装置102bは、正の直流端子Pbと負の直流端子Nbとを備えている。電力変換装置102aと電力変換装置102bとの間は、正の直流端子Paと正の直流端子Pbとが接続され、更に負の直流端子Naと負の直流端子Nbとが接続されている。これら正の直流端子Pa,Pbの接続と、負の直流端子Na,Nbとの接続とは、直流系統(直流送電線路)を構成している。ここで、直流端子Pa,Pbの電圧は、直流端子Na,Nbの電圧よりも高いものとする。直流端子Paと直流端子Naとの間には、直流電圧VDCが印加されている。直流系統には、電力変換装置102aの直流端子Paから電力変換装置102bの直流端子Pbの方向に、直流電流Idcが流れている。正の直流端子Paと負の直流端子Naとは、電力変換装置102aの直流出力部を構成している。
電力変換装置102aは、入力端子である一次側端子R,S,Tを備えている。電力変換装置102aは、これら一次側端子R,S,Tによって交流系統101aの各相に接続されている。一次側端子R,S,Tは、電力変換装置102aの交流出力部を構成している。
電力変換装置102bは、入力端子である直流端子Pb,Nbと、出力端子である一次側端子R,S,T(不図示)とを備えている。電力変換装置102bは、これら一次側端子R,S,T(不図示)によって交流系統101bの各相に接続されている。
第1の実施形態の直流送電システム100は、例えば、交流系統101aの電力を交流系統101bに供給するものである。直流送電システム100は、電力変換装置102aに於いて、一次側端子R,S,Tと直流端子Pa,Naとの間で交流を直流に変換し、直流系統を介して電力変換装置102bに於いて、入力端子である直流端子Pb,Nbと、出力端子である一次側端子R,S,T(不図示)との間で直流を交流に電力変換する。
制御部112は、交流出力部の一次側端子R,S,T、または、直流出力部の正の直流端子Paと負の直流端子Naに所定の出力を得られるように、直流出力部と交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成するものである。
同様に、アーム105RP,105RN,105SP,105SN,105TP,105TNを特に区別しないときには、単にアーム105と記載する。単位変換器群106RP,106RN,106SP,106SN,106TP,106TNを特に区別しないときには、単に単位変換器群106と記載する。リアクトル107RP,107RN,107SP,107SN,107TP,107TNを特に区別しないときには、単にリアクトル107と記載する。
初充電装置120は、双方向チョッパ型単位変換器108が備える直流部のコンデンサ203(図4参照)を、初期状態に於いて充電するための装置である。初充電装置120は、例えば、抵抗器と遮断器の直列回路で構成されている。初充電装置120は、図示しない制御線によって制御部112に接続され、制御部112によって制御される。
遮断器121は、変圧器103の二次側と、端子Ra,Sa,Taとの間を接続するか否かを切り替えるものである。すなわち、遮断器121は、交流系統101aから流れる系統電流IR,IS,ITを遮断するか否かを切り替える。遮断器121は、図示しない制御線によって制御部112に接続され、制御部112によって制御される。初充電装置120と遮断器121との動作は、後記する図13で詳細に説明する。
端子Saは、S相レグ104Sの上側のアーム105SPと下側のアーム105SNとが接続されているノード(接続ノード)に接続されている。アーム105SPの一端は、直流端子Paに接続されている。アーム105SPの他端は、アーム105SNの一端と端子Saとに接続されている。アーム105SNの一端は、直流端子Naに接続されている。交流系統101aから端子Saに流れる電流は、系統電流ISである。
端子Taは、T相レグ104Tの上側のアーム105TPと下側のアーム105TNとが接続されているノード(接続ノード)に接続されている。アーム105TPの一端は、直流端子Paに接続されている。アーム105TPの他端は、アーム105TNの一端と端子Taとに接続されている。アーム105TNの一端は、直流端子Naに接続されている。交流系統101aから端子Taに流れる電流は、系統電流ITである。
図の縦軸は、電流値を示している。図の横軸は、時間を示している。この図は、電力変換装置102aが、交流系統101aの系統電流IR,IS,ITから得られる有効電力を、1200(A)の直流電流Idcに変換していることを示している。
図3(a)の縦軸は、交流系統101aの電流値(瞬時値)を示している。図3(a)の横軸は、図3(b)と共通する時間を示している。
図3(a)のグラフは、交流系統101aの系統電流IR,IS,ITのピーク値が1775(A)であることを示している。
図3(b)の縦軸は、交流系統101aの電圧値(瞬時値)を示している。図3(b)の横軸は、図3(a)と共通する時間を示している。
図3(b)のグラフは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTのピーク値が113[kV]であることを示している。
ここでは、アーム105RPの中の双方向チョッパ型単位変換器108について説明する。なお、アーム105SP、アーム105TP、アーム105RN、アーム105SN、アーム105TNが備える双方向チョッパ型単位変換器108についても、アーム105RPの中の双方向チョッパ型単位変換器108と同様に構成されている。
双方向チョッパ型単位変換器108は、ハイサイドスイッチング素子201Hとハイサイド環流ダイオード202Hの並列回路と、ローサイドスイッチング素子201Lとローサイド環流ダイオード202Lの並列回路と、エネルギ蓄積手段であるコンデンサ203と、駆動部であるゲートドライバ205と、内部電源である自給電源206と、コンデンサ203の両端電圧を計測する電圧センサ204とを備えている。双方向チョッパ型単位変換器108は、ゲート信号線113と、コンデンサ電圧検出線114とを介して制御部112(図1参照)に接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208(第1の端子)は、他の双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209(第2の端子)、または、直流端子Paに接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209(第2の端子)は、他の双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208、または、アーム電流センサ111の一端に接続されている。
ハイサイドスイッチング素子201Hのコレクタは、コンデンサ203の一端と、電圧センサ204の一端と、自給電源206の入力端子301とに接続されている。コンデンサ203の他端と、電圧センサ204の他端とは、自給電源206の入力端子302に接続されている。すなわち、コンデンサ203の一端と他端との間には、電圧センサ204が並列に接続されている。コンデンサ203の両端に印加されている電圧は、コンデンサ電圧VCjkである。電圧センサ204の出力側は、コンデンサ電圧検出線114を介して制御部112(図1参照)に接続されている。
ローサイドスイッチング素子201Lのコレクタは、ハイサイドスイッチング素子201Hのエミッタと、ローサイド環流ダイオード202Lのカソードとに接続されている。ローサイドスイッチング素子201Lのエミッタは、ローサイド環流ダイオード202Lのアノードと、自給電源206の入力端子303とに接続されている。
双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209は、ローサイドスイッチング素子201Lのエミッタに接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208は、ローサイドスイッチング素子201Lのコレクタとハイサイドスイッチング素子201Hのエミッタとの接続ノードに接続されている。
ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとは、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)との間に、コンデンサ203に蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするものである。すなわち、ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとは、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)との間に、コンデンサ203の両端電圧を出力可能とする。
ゲートドライバ205は、この双方向チョッパ型単位変換器108の駆動部であり、制御部112(図1参照)の指令によって制御され、ハイサイドスイッチング素子201Hと、ローサイドスイッチング素子201Lのオンとオフとを切り替えることによって、正側の端子208と負側の端子209との間に、コンデンサ203の電圧を出力可能とし、出力電圧Vjkを制御するものである。ここで制御部112(図1参照)は、変流器207から得られた電力が所定値以上となるように指令を生成して、ゲートドライバ205を制御する。
第1の実施形態では、コンデンサ203の電圧が高い方に接続されている素子は、ハイサイドと記載し、記号Hを付与する。コンデンサ203の電圧が低い方に接続されている素子を、ローサイドと記載し、記号Lを付与する。
第1の実施形態の自給電源206は、端子208と端子209とを介して流れる電流をエネルギ源とすると共に、この電流によってコンデンサ203に蓄積された電荷をエネルギ源として、自身(ゲートドライバ205など)を動作させる電力を得るものである。双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203に流れる電流に係る電気要素をエネルギ源として、自身を駆動する電力を供給している。ここで、端子208と端子209を介して流れる電流に係る電気要素とは、この電流のエネルギと、この電流によってコンデンサ203に蓄積された電荷からなる蓄積エネルギとを含む概念である。
しかし、これに限られず、自給電源206は、電力変換装置102aのいずれかに流れる電流を用いて、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。自給電源206は、例えば、端子208と端子209との間、または、この双方向チョッパ型単位変換器108と他の双方向チョッパ型単位変換器108との間に変流器の一次側を接続し、変流器の一次側に流れる電流に基づき、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。また、双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203の代わりにコイルを用いて、このコイルに流れる電流に係る電気要素をエネルギ源として、自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。これらの変形例によっても、本発明の課題のいずれかを解決することができる。
自給電源206は、電力取得手段である変流器207と、この変流器207の二次側電流を整流する第1の整流回路211と、給電コンデンサC1と、ツェナーダイオードZ1と、コンデンサ203の両端に印加された電圧を整流する第2の整流回路212と、給電コンデンサC2と、ツェナーダイオードZ2と、ダイオードD3と、直流電圧のレベルを変換する電圧調整回路305とを備えている。
抵抗R1の他端は、第1の整流回路211の入力側の一端を構成して変流器207の二次側巻線の他端に接続されている。抵抗R1の他端は更に、第1の整流回路211の出力側の負側端子を構成して、給電コンデンサC1の他端に接続されている。
ここで、給電コンデンサC1の両端に印加されている電圧は、電圧V1とする。第1の整流回路211は、遮断器121の投入後、かつ、双方向チョッパ型単位変換器108自身が動作を開始したのちに、変流器207の二次側巻線に流れる電流を整流し、出力側に並列接続された給電コンデンサC1に電荷を蓄えるものである。第1の整流回路211は、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)とを介して流れる電流を、変流器207(電力取得手段)によって取得して整流するものである。
抵抗R3の他端は、入力端子303に接続されていると共に、第2の整流回路212の出力側の負側端子を構成して、給電コンデンサC2の他端に接続されている。すなわち、第2の整流回路212の出力側の正側端子と負側端子との間には、給電コンデンサC2が並列接続されている。ここで、給電コンデンサC2の両端に印加されている電圧は、電圧V2とする。
最初に、各コンデンサ203が充電されていない初期状態から説明する。
初期状態に於いて、遮断器121が開放されており、電力変換装置102aは、交流系統101aに接続されていない。この状態に於いて、制御部112は、初充電装置120を電力変換装置102aに接続する。
初充電装置120は、初期状態に於いて、電力変換装置102aを構成する双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203を充電するための装置である。初充電装置120の接続により、自給電源206(図5参照)の入力端子301と入力端子303との間には、数百Vから数千Vの直流電圧、または、パルス状の電圧が印加される。これにより、自給電源206の給電コンデンサC2が充電される。ダイオードD2は、給電コンデンサC1に充電された電荷が、抵抗R2と入力端子301とを介して放電されるのを防いでいる。
システム起動時の初期状態に於いて、双方向チョッパ型単位変換器108は、初充電装置120によって給電コンデンサC2を充電して、ゲートドライバ205に電力を供給している。システム起動時に於いて、双方向チョッパ型単位変換器108は、外部からの電力の供給を受けることなく、電力変換装置102aに流れる電流を制御することができる。
コンデンサ203にアーム電流IRPが流れはじめると、変流器207を介してダイオードD1にも電流が流れる。これにより、給電コンデンサC1が充電される。給電コンデンサC1の電圧V1が、電圧Vlim1を超えると、電圧制限手段であるツェナーダイオードZ1が動作し、電圧V1を制限する。
アーム105RNは、自身を流れるアーム電流IRNを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105SNは、自身を流れるアーム電流ISNを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105TNは、自身を流れるアーム電流ITNを検出するアーム電流センサ111を備えている。これら各アーム電流センサ111は、各検出結果を制御部112に出力(伝送)する。
第1の実施形態に於いて、各アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)は、直流端子Naから直流端子Paに向かって流れる方向を正方向と定義する。
制御部112は、電力変換装置102aに与えるアーム電圧指令値を生成するアーム電圧指令値生成部311と、アーム電圧指令値を各双方向チョッパ型単位変換器108に分配する指令値分配部313とを備えている。
アーム電圧指令値生成部311は、位相検出器306と、ゲイン314と、アーム電流調整器330と、交流側電力演算器340と、有効電力調整器APRと、無効電力調整器AQRとを備えている。アーム電圧指令値生成部311は、アーム電流IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITNと系統電圧VGR,VGS,VGTを入力として、アーム電圧指令値VRP*,VSP*,VTP*,VRN*,VSN*,VTN*を生成するものである。
位相検出器306は、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから、系統電圧VGRの位相角θを検出するものである。
ゲイン314は、入力された値である直流電圧指令値VDC*に、1/2のゲインを乗算して出力するものである。
アーム電流調整器330は、d−q変換回路400と、循環電流指令値演算部500と、アーム電流調整回路600と、d−q変換回路700と、アーム電圧指令値算出部800とを備えている。アーム電圧指令値算出部800は、この図に於いて6個の加減算器823を備えている。
加減算器823は、出力電圧指令値VRP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VRP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VRN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VRN*を生成する。
加減算器823は、出力電圧指令値VSP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VSP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VSN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VSN*を生成する。
加減算器823は、出力電圧指令値VTP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VTP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VTN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VTN*を生成する。
アーム電流調整器330は、後記する図8で詳細に説明する。
有効電力調整器APRは、加減算器361と、比例積分調整器362とを備えている。
無効電力調整器AQRは、加減算器363と、比例積分調整器364とを備えている。
ゲートパルス生成部312は、例えばアーム電圧指令値VRP*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式:Pulse Width Modulation)で変調し、ゲート信号GHRPk,GLRPkを生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信する。
ゲートパルス生成部312は、例えばアーム電圧指令値VRN*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)で変調し、ゲート信号GHRNk,GLRNkを生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信する。
すなわち、各ゲートパルス生成部312は、アーム電圧指令値Vj*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)で変調し、ゲート信号GHjk,GLjk(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信(分配して指令)するものである。
交流側電力演算器340(図6右上参照)は、有効電力Pと無効電力Qを求める機能を備えている。第1の実施形態の交流側電力演算器340は、各レグ104の上下アーム105ごとに設置したアーム電流センサ111が検出した各アーム電流から、各相の系統電流IR,IS,ITを求めている。しかし、これに限られず、電力変換装置102a,102bは、各相の系統電流IR,IS,ITを直接に検出する交流電流センサを設けてもよい。
交流側電力演算器340は、R相レグ104Rについて、アーム105RPを流れるアーム電流IRPから、アーム105RNを流れるアーム電流IRNを減算して、交流系統101に流れる系統電流IRを算出する。
交流側電力演算器340は、同様に、S相レグ104Sについて、アーム105SPを流れるアーム電流ISPから、アーム105SNを流れるアーム電流ISNを減算して、交流系統101に流れる系統電流ISを算出する。
交流側電力演算器340は、同様に、T相レグ104Tについて、アーム105TPを流れるアーム電流ITPから、アーム105TNを流れるアーム電流ITNを減算して、交流系統101に流れる系統電流ITを演算する。
有効電力調整器APR(図6左上参照)は、加減算器361によって、有効電力Pと有効電力指令値P*との差(P*−P)を演算し、比例積分調整器362によってd軸電流指令値Id*を得る。有効電力調整器APRは、有効電力Pが有効電力指令値P*に収束するように、フィードバック制御するものである。
次に、各アーム105jに流すアーム電流Ijを制御する電流制御機能について説明する。電流制御機能は、アーム電流調整器330にて実行される。アーム電流調整器330の処理では、交流電圧センサ110で求めた系統電圧VGR,VGS,VGT、アーム電流センサ111で求めたアーム電流Ij、有効電力調整器APRで求めた交流側のd軸電流指令値Id*と、無効電力調整器AQRで求めたq軸電流指令値Iq*(無効分電流指令)とを入力とし、アーム電圧指令値Vj*を生成する。
第1の実施形態に於いて、d軸電流指令値Id*は、有効電力調整器APRによって生成されている。しかし、これに限られず、d軸電流指令値Id*は、有効電力調整器APRに代えて、直流電圧調整器AVRで生成されていてもよい。
この変形例に於いて、直流電圧調整器AVRは、平均値演算器381と、加減算器382と、制御ゲイン383とを備え、ゲイン384を介して直流電圧指令値VDC*が入力されている。
ゲイン384は、直流電圧指令値VDC*を、各アーム105が備えているセル数M(双方向チョッパ型単位変換器108の数)で除算して、コンデンサ電圧指令値VC*を算出する。
直流電圧調整器AVRは、平均値演算器381によって、電圧センサ204とコンデンサ電圧検出線114を介して検出した、全ての双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkの平均値VC0を算出する。
直流電圧調整器AVRは、加減算器382によって、コンデンサ電圧VCjkの平均値VC0とコンデンサ電圧指令値VC0*との差を求めて、制御ゲイン383を乗算して、d軸電流指令値Id*を得る。これにより、直流電圧調整器AVRは、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkの平均値VC0が、コンデンサ電圧指令値VC0*に収束するようにフィードバック制御できる。
アーム電流調整器330は、d−q変換回路400と、循環電流指令値演算部500と、アーム電流調整回路600と、d−q変換回路700と、アーム電圧指令値算出部800とを備えている。
d−q変換回路400は、アーム電流Ijを、d−q変換するものである。循環電流指令値演算部500は、各アーム105jを循環する循環電流の指令値を演算するものである。アーム電流調整回路600は、d−q変換したアーム電流が指令値に収束するようにフィードバック制御するものである。d−q変換回路700は、系統電圧VGR,VGS,VGTをd−q変換するものである。アーム電圧指令値算出部800は、フィードバック制御したアーム電圧指令値Vj*(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を出力するものである。
d−q変換回路400(図8下側)は、各相の加減算器401と、α−β変換部402と、d−q変換部403と、ゲイン420とを備え、アーム電流Ij(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を、d軸電流IdFB、q軸電流IqFBに変換する。ゲイン420は、位相角θに2倍のゲインを掛ける。
d−q変換回路400(図8下側)は更に、各相の加減算器411と、ゲイン412と、α−β変換部413と、d−q変換部414とを備え、アーム電流Ijを、d軸循環電流IdbFB、q軸循環電流IqbFBに変換する。これらの変数への変換方法について、以下説明する。
アーム電流調整回路600は、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備えている。加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とは、第1の電流制御手段を構成する。
アーム電流調整回路600は、(12)式と(13)式とに基づいて、d軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に一致し、かつ、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に一致するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*(第1の偏差信号)を出力する。
d−q変換回路700は、α−β変換部701によって、前記した(2)式と同様な演算に基づき、系統電圧VGR,VGS,VGTを、α軸電圧VGaとβ軸電圧VGbとに変換する。
d−q変換回路700は更に、d−q変換部702によって、(16)式に基づいて、α軸電圧VGaとβ軸電圧VGbとを、d軸電圧成分Vdとq軸電圧成分Vqとに変換する。
第1の実施形態の位相角θは、系統電圧VGRに同期するように算出されるため、(16)式中のq軸電圧成分Vqは、ほぼ零となり、d軸電圧成分Vdは、系統電圧VGR,VGS,VGTの振幅に、(3/2)の平方根を掛けた値に、ほぼ等しくなる。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802と、逆d−q変換部811と、逆α−β変換部812と、加減算器821と、加減算器822と、加減算器823(図6参照)とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801によって、(17)式に基づいて、dq軸交流電圧指令値Vd*,Vq*を、αβ軸交流電圧指令値Va*,Vb*に変換する。
なお、図8の図示の都合上、アーム電流調整器330のアーム電圧指令値算出部800は、全ての構成が示されいない。図8に示すアーム電圧指令値算出部800は、加減算器821が出力電圧指令値VRP0*,VSP0*,VTP0*を算出し、加減算器822が出力電圧指令値VRN0*,VSN0*,VTN0*を算出することが示されている。
図6には、アーム電圧指令値算出部800の後段の加減算器823の構成が記載されている。加減算器823は、出力電圧指令値VRP0*,VSP0*,VTP0*からアーム電圧指令値VRP*,VSP*,VTP*をそれぞれ算出し、出力電圧指令値VRN0*,VSN0*,VTN0*からアーム電圧指令値VRN*,VSN*,VTN*をそれぞれ算出する。
図6のアーム電流調整器330の最終出力として、(21)〜(26)式の演算結果が得られる。
指令値算出手段であるアーム電圧指令値算出部800は、第1の偏差信号である交流電圧指令値Vd*,Vq*と、第2の偏差信号である循環電圧指令値Vdb*,Vqb*とから、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*を生成する。
指令値分配部313(図6参照)のゲートパルス生成部312の動作を説明する。但し、ここでは単位変換器群106RPを構成する複数の双方向チョッパ型単位変換器108を点弧する例について説明する。
単位変換器群106SNに対するゲートパルス生成部312は、(24)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHSNk,GLSNkを生成する。
単位変換器群106TPに対するゲートパルス生成部312は、(25)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHTPk,GLTPkを生成する。
単位変換器群106TNに対するゲートパルス生成部312は、(26)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHTNk,GLTNkを生成する。
以下に於いて、本実施形態の電力変換装置102aが備えている双方向チョッパ型単位変換器108は、軽負荷の状態であっても、コンデンサ203を通過して流れる電流の交流成分から、自身を駆動する充分な電力を得られることについて説明する。
(33)式、(34)式を使った、第1の実施形態に於ける循環電流指令値演算器510による循環電流指令値Iq2b*の作成方法を、以下に説明する。
図10(a)は、系統電流が流れていない場合のコンデンサ203に流れる電流の波形を示す図である。図の縦軸は、電流[A]を示している。図の横軸は、時間[s]を示している。
太実線は、アーム105RPのコンデンサ電流IcRPb*を示している。細実線は、アーム105RNのコンデンサ電流IcRNb*を示している。
これらの電流波形は、(27)〜(32)式から求められたものである。系統電流が流れていない場合であっても、循環電流が流れているので、コンデンサ203には、所定の振幅を有する電流(交流成分)が流れる。
太実線は、アーム105RPのコンデンサ電流IcRP*を示している。細実線は、アーム105RNのコンデンサ電流IcRN*を示している。
系統電流が流れている場合は、振幅があまり変わらない。例えば、Id*=2.32[kA]、Idc=1.28[kA]の場合、循環電流の有無によらず、各アーム105のコンデンサ203に流れる電流の一次成分が281[A]、二次成分が213[A]となる。
この図は、Iq2b*=100[A]に於ける、コンデンサ一次電流I_c1の特性を示している。太実線は、循環電流を重畳する前のコンデンサ一次電流I_c1を示している。細実線は、循環電流を重畳した後のコンデンサ一次電流I_c1を示している。破線は、コンデンサ一次電流I_c1の循環電流による増加分を示している。
循環電流を流してない場合には、横軸の系統電流Idに対して、比例的にコンデンサ一次電流I_c1が生じる。それに対し、第1の実施形態では、循環電流指令値演算器510(図8参照)が循環電流を与えることにより、系統電流が流れない場合でも、20(A)程度のコンデンサ一次電流が生じている。
この場合には、循環電流指令値演算器510から循環電流を与えることにより、系統電流が流れないときでも、40(A)程度のコンデンサ二次電流I_c2が生じている。
時間t1aに於いて、給電コンデンサC1,C2の電圧V1,V2が、電圧調整回路305の動作可能電圧まで上昇すると、自給電源206は、出力電圧Voutをゲートドライバ205に印加し、自身への電力の供給を開始する。こうして、電力変換装置102aは、運転準備を完了する。
そのため、時間t4に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*をゼロにしている。
時間t5に於いて、電力変換装置102aは、自身を停止させるために発電電力を低下させる。これにより、コンデンサ203に流れる電流Icが減少するため、時間t5以降に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*を次第に上昇させて、自給電源206の給電コンデンサC1を充電する。
時間t6に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*を所定値に上昇させて、自給電源206の給電コンデンサC1を充電する。
時間t7に於いて、電力変換装置102aは、運転を停止する。制御部112は、運転停止後の適宜のタイミングで、循環電流指令値Iq2b*をゼロに復帰させる。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していないことがわかる。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流により、コンデンサ電流Icの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、系統電流により、コンデンサ電流Icの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。
以上説明した第1の実施形態では、次の(A)〜(E)のような効果がある。
第2の実施形態の直流送電システム100は、第1の実施形態の直流送電システム100(図1参照)と同様に構成されている。
第2の実施形態の制御部112aは、第1の実施形態の制御部112(図6参照)とは異なるアーム電圧指令値生成部311aを備えている。第2の実施形態のアーム電圧指令値生成部311aは、第1の実施形態のアーム電流調整器330(図6参照)とは異なるアーム電流調整器330aを備え、更に、二次振幅検出器316と、最小値演算器317と、加減算器318と、制御ゲイン319とを備えている。
第2の実施形態のアーム電流調整器330aは、第1の実施形態の循環電流指令値演算部500を備えておらず、かつ、第1の実施形態のアーム電流調整回路600とは異なるアーム電流調整回路600aを備えている。
第2の実施形態の制御部112aは、循環電流指令値Iq2b*の与え方が第1の実施形態の制御部112とは異なる。第1の実施形態の制御部112は、循環電流指令値演算部500(図8参照)によって、最適な循環電流を演算し、コンデンサ電流Icを確保していた。
第2の実施形態の制御部112aは、二次振幅検出器316によってコンデンサ電圧VCjkの二次振幅を検出し、最小値演算器317によって、検出した二次振幅の最小値Vc2mを検出し、この最小値Vc2mが所定値(コンデンサ電圧変動指令値Vc2*)に収束するようにフィードバック制御している。
第2の実施形態のアーム電流調整器330aは、第1の実施形態のアーム電流調整器330とは異なり、循環電流指令値演算部500を備えておらず、アーム電流調整器330aの外から循環電流指令値Iq2b*が、q軸の加減算器611に与えられている。
第2の実施形態のアーム電流調整回路600aは、第1の実施形態のアーム電流調整回路600に加えて更に、定数器620を備えている。定数器620は、d軸の加減算器611に、循環電流指令値Id2b*として0を出力するものである。
二次振幅検出器316は、各コンデンサ電圧検出線114を介して、各コンデンサ電圧Vcjk(図4参照)を双方向チョッパ型単位変換器108ごとに取得し、各コンデンサ電圧Vcjkの二次成分の電圧振幅を、最小値演算器317に出力する。
最小値演算器317は、各コンデンサ電圧Vcjkの二次成分に於ける電圧振幅の最小値Vc2mを演算し、加減算器318に出力する。
加減算器318は、コンデンサ電圧変動指令値Vc2*と最小値Vc2mとの差(Vc2*−Vc2m)を演算し、制御ゲイン319に出力する。
制御ゲイン319は、加減算器318の出力信号に対して比例積分制御を行い、q軸の循環電流指令値Iq2b*を得る。
この構成により、制御部112aは、コンデンサ電圧VCの変動の二次成分が小さくなると、循環電流指令値Iq2b*の値を大きくすることができる。これにより、各双方向チョッパ型単位変換器108は、自給電源206の変流器207に流れる電流から、自身に電源を供給することができる。
図18は、第2の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ一次電圧の特性を示す図である。
この図は、循環電流指令値Iq2b*が100[A]の時の、系統電流とコンデンサ電圧VCの一次電圧変動V_c1との関係を示している。図の縦軸は、コンデンサ電圧VCの一次電圧変動V_c1[V]を示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
太実線は、循環電流を重畳する前の一次電圧変動V_c1を示している。細実線は、循環電流を重畳した後の一次電圧変動V_c1を示している。破線は、一次電圧変動V_c1の循環電流の重畳による増加分を示している。
循環電流指令値Iq2b*により、循環電流を重畳して流すことで、コンデンサ203の一次電圧変動V_c1が増加することがわかる。第2の実施形態では、コンデンサ203の一次電圧変動V_c1が所定値以上となるように制御することで、第1の実施形態と同等の効果を得ている。
この図は、コンデンサ電圧VCの変動に現れる。循環電流指令値Iq2b*が100[A]の時の、系統電流とコンデンサ電圧VCの二次電圧変動V_c2との関係を示している。図の縦軸は、コンデンサ電圧VCの二次電圧変動V_c2[V]を示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
太実線は、循環電流を重畳する前の二次電圧変動V_c2を示している。細実線は、循環電流を重畳した後の二次電圧変動V_c2を示している。破線は、二次電圧変動V_c2の循環電流の重畳による増加分を示している。
循環電流指令値Iq2b*により、循環電流を重畳して流すことで、コンデンサ203の二次電圧変動V_c2が増加することがわかる。第2の実施形態では、コンデンサ203の二次電圧変動V_c2が所定値以上となるように制御することで、第1の実施形態と同等の効果を得ている。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していることが分かる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していないことがわかる。
図21(a)は、図13の時間t2〜t4前後に於けるコンデンサ電圧VCの二次成分振幅を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流により、コンデンサ電圧VCの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、系統電流により、コンデンサ電圧VCの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。
しかし、これに限られず、電力変換装置102aは、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分のかわりに、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の一次成分、またはd軸の二次成分を調整してもよい。
以上説明した第2の実施形態では、次の(F),(G)のような効果がある。
第3の実施形態の直流送電システム100bは、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、電圧型の電力変換装置102c,102dを用いて構成されている。しかし、第3の実施形態の電力変換装置102c,102dは、回路構成が第1の実施形態および第2の実施形態の電力変換装置102a,102bとは異なる。
第3の実施形態の直流送電システム100bは、例えば、第1の交流系統である交流系統101aの電力を、第2の交流系統である交流系統101bに供給するものである。直流送電システム100bは、第1の電力変換装置である電力変換装置102cに於いて交流を直流に変換し、直流系統を介して第2の電力変換装置である電力変換装置102dに於いて直流を交流に電力変換する。これら電力変換装置102c,102dは、各種信号線を介して制御装置150に接続されている。
S相のアーム105Sは、単位変換器群106Sと、アーム電流センサ111とを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106Sは、M個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
T相のアーム105Tは、単位変換器群106Tと、アーム電流センサ111とを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106Sは、M個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
変圧器130は、鉄心131R,131S,131Tと、巻線132RA,132RB,132RCと、巻線132SA,132SB,132SCと、巻線132TA,132TB,132TCとを備え、更に、一次側端子R,S,Tと、二次側正端子Rb,Sb,Tbと、二次側負端子Nxと、内部端子Nyとを備えている。二次側負端子Nxは、第2の直流端子である負側の直流端子Ncに接続されている。
鉄心131Sには、第1の二次巻線である巻線132SBと、第2の二次巻線である巻線132RCとが、それぞれ同じ巻数だけ巻かれている。鉄心131Sには更に、一次巻線である巻線132SAが、巻線132RCと同方向に巻かれている。
鉄心131Tには、第1の二次巻線である巻線132TBと、第2の二次巻線である巻線132SCとが、それぞれ同じ巻数だけ巻かれている。鉄心131Tには更に、一次巻線である巻線132TAが、巻線132SCと同方向に巻かれている。
変圧器130は、これら複数の鉄心131R,131S,131Tを備えている。
以下、鉄心131R,131S,131Tを特に区別しないときには、単に鉄心131と記載する。各巻線132RA〜132TCを特に区別しないときには、単に巻線132と記載する。これらの巻線132は、各鉄心131R,131S,131Tに対して同じ方向に巻かれている。
巻線132RA,132SA,132TAの正側端子は、それぞれ一次側端子R,S,Tに接続されている。巻線132RA,132SA,132TAの負側端子は、互いに接続され、スター結線(Y結線)されている。すなわち、一次巻線である巻線132RA,132SA,132TAは、交流系統101aにY接続されている。
第1の二次巻線である巻線132RB,132SB,132TBの正側端子は、それぞれ異なる相の鉄心131に巻かれた第2の二次巻線である巻線132RC,132SC,132TCの正側端子に接続されている。
各相のアーム105R,105S,105Tの一端は、正側の直流端子Pcに接続されている。
第1の二次巻線132RB,132SB,132TBの負側端子は、それぞれ二次側正端子Rb,Sb,Tbに接続され、各相のアーム105R,105S,105Tの他端に接続されている。
第2の二次巻線である巻線132RC,132SC,132TCの負側端子は、全て二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)に接続されている。
ここで、二次側正端子Rb,Sb,Tbから二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)に向かって、同一の直流電流を流したときを考える。鉄心131Rに於いて、巻線132RBに発生する磁束と、巻線132TCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。鉄心131Sに於いて、巻線132SBに発生する磁束と、巻線132RCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。鉄心131Tに於いて、巻線132TBに発生する磁束と、巻線132SCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。
これにより、電力変換装置102c,102dは、交流系統101a,101bの系統電流とは独立に、直流系統の電流Idcを流すことができる。
S相のアーム105Sの一端は、変圧器130の二次側正端子Sbに接続されている。S相のアーム105Sの他端は、直流端子Pc(第1の直流端子)に接続されている。アーム105Sに於いて、単位変換器群106Sが出力する電圧は、出力電圧VSaとする。アーム105Rには、二次側正端子Sbから直流端子Pcの方向に、アーム電流ISaが流れる。出力電圧VSaとアーム電流ISaは、二次側正端子Sbから直流端子Pcの方向が正である。
T相のアーム105Tの一端は、変圧器130の二次側正端子Tbに接続されている。T相のアーム105Tの他端は、直流端子Pc(第1の直流端子)に接続されている。アーム105Tに於いて、単位変換器群106Tが出力する電圧は、出力電圧VRaとする。アーム105Tには、二次側正端子Tbから直流端子Pcの方向に、アーム電流ITaが流れる。出力電圧VTaとアーム電流ISaは、二次側正端子Tbから直流端子Pcの方向が正である。
第3の実施形態では、各アーム105の他端が第1の直流端子である直流端子Pcに接続され、変圧器130の二次側負端子Nxが第2の直流端子である負側の直流端子Ncに接続されている。しかし、これに限られず、各アーム105の他端が負側の直流端子Ncに接続され、変圧器130の二次側負端子Nxが正側の直流端子Pcに接続されていてもよい。
制御装置150は、コンデンサ電圧検出線114を介して、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkl(j=R,S,T、k=1,2,…,M、l=c,d)を取り込んでいる。
第1の実施形態で説明したように、ゲート信号GHxkは、双方向チョッパ型単位変換器108のハイサイドスイッチング素子201Hを駆動する信号である。ゲート信号GLxkは、双方向チョッパ型単位変換器108のローサイドスイッチング素子201Lを駆動する信号である。
制御部112cは、電力変換装置102cに与えるアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成するアーム電圧指令値生成部311bと、アーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を各双方向チョッパ型単位変換器108に分配する指令値分配部313bを備えている。
アーム電圧指令値生成部311bは、電力変換装置102cと交流系統101aの間に流れる系統電流の有無、および、電力変換装置102dと交流系統101bの間に流れる系統電流の有無によらず、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に電流を流すのに必要なアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成する。
指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VRa*が入力されたとき、ゲート信号GHRk,GLRkを、アーム105Rの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VSa*が入力されたとき、ゲート信号GHSk,GLSkを、アーム105Sの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VTa*が入力されたとき、ゲート信号GHTk,GLTkを、アーム105Tの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。
d−q変換回路400bは、アーム電流IRa,ISa,ITaを、d軸電流IdFBと、q軸電流IqFBとに変換する。
d−q変換回路400bは、第1の実施形態と同様に、d−q変換部403によって、(9)式に基づき、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとを、d軸電流IdFBとq軸電流IqFBとに変換する。
ここで、d−q変換部403に用いる位相角θは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから位相検出器306(図23参照)で検出した位相角θであり、系統電圧VGRの位相に同期している。
アーム電流調整回路600bは、第1の実施形態と同様に、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備え、更に行列演算器604を備えている。行列演算器604は、入力された2個の入力信号に行列演算を行い、2個の出力信号を出力するものである。
アーム電流調整回路600bは、(39)式に基づいて、d−q変換回路400bの出力であるd軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に収束し、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に収束するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
第1の電流制御手段であるアーム電流調整回路600bは、交流出力dq軸電流を構成するd軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に収束し、かつ、交流出力dq軸電流を構成するq軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に収束するように、加減算器601とゲイン602とにより、フィードバック制御する。行列演算器604により、フィードバック制御の結果を行列演算する。加減算器603により、d軸電圧成分VGdとq軸電圧成分VGqとから、行列演算の結果を減算する。乗算器605により、3の平方根の1/2のゲインを掛けて、第1の偏差信号である交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
アーム電圧指令値算出部800bは、第1の実施形態と同様に、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802とを備え、更に加減算器825と、ゲイン824とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800bは、第1の実施形態と同様に、逆d−q変換部801によって、前記した(17)式に基づき、dq軸交流電圧指令値Vd*,Vq*から、αβ軸の交流電圧指令値Va*,Vb*を演算する。
指令値分配部313b(図23参照)の動作について、ゲートパルス生成部312から、順次その動作を説明する。但し、ここでは単位変換器群106Rを構成する複数の双方向チョッパ型単位変換器108を点弧する例について説明する。
単位変換器群106Tに対するゲートパルス生成部312は、出力電圧VSaを制御するゲート信号GHTk,GLTkを生成する。
直流電流調整部152は、コンデンサ電圧検出線114を介して、各双方向チョッパ型単位変換器108からコンデンサ電圧VCjklを取得し、直流電流検出部151から電流Idcを取得し、零相アーム電圧指令値V0a*,V0b*を算出するものである。
直流電流調整部152は、コンデンサ電圧VCの変動が小さい時に、直流系統に周波数fdc[Hz]の交流成分を有する電流Idcを流すことにより、双方向チョッパ型単位変換器108が自給電源206の変流器207によって自身に電力を供給可能なように、直流電流Idcを調整するものである。ここで、周波数fdc[Hz]は、交流系統101aの周波数である系統周波数faとは異なり、かつ、交流系統101bの周波数である系統周波数fbとも異なる値となるように調整する。
ここで、直流系統に流れる電流Idcに含まれる周波数fdc[Hz]の交流成分のことを、交流成分IdcACと記載する。交流成分IdcACは、零相成分の電流である。
振幅検出器901は、コンデンサ電圧検出線114を介して、電力変換装置102cおよび電力変換装置102dの各コンデンサ203の電圧であるコンデンサ電圧VCjklが入力されたとき、その両端電圧の最大値と最小値の差を、コンデンサ電圧VCjklの振幅として最小値演算器902に出力する。振幅検出器901が最大値と最小値とを測定する時間は、電流の交流成分の一周期以上が含まれる時間であり、かつ、周波数fdc成分の電流の一周期以上が含まれる時間とする。
加減算器933によって、乗算器931の出力から乗算器922の出力が減算され、(45)式に基づき、零相アーム電圧指令値V0b*が算出される。零相アーム電圧指令値V0b*は、制御部112dに出力される。
第3の実施形態の構成並びに制御を採用した場合に、双方向チョッパ型単位変換器108は、変流器207から給電コンデンサC1を充分に充電可能であり、よって、自身を駆動する電力を供給可能なことを説明する。この説明により更に、直流送電システム100bが軽負荷の状態であっても、双方向チョッパ型単位変換器108は、自身を駆動するために充分な電力が得られることを明らかにする。
以下、直流送電システム100bの動作条件を、fa=60[Hz]、fdc=10[Hz]、VGd=31.2[kV]、Vdc=51.1[kV]、Vc=2.95[kV]、M=20[個]、コンデンサ1個あたりの容量c=0.0041[F]とする。ここでθd[rad]は、直流電流の位相角で、初期位相θ0[rad]を用いて(46)式で表されるものとする。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電圧VRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電圧VScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電圧VTcの波形を示している。
これから、系統電流が電力変換装置102cに流れていないときでも、コンデンサ電圧VRc,VSc,VTcには、所定の交流成分の振幅を有していることが分かる。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電流IRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電流IScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電流ITcの波形を示している。
これから、系統電流が電力変換装置102cに流れていないときでも、コンデンサ電流IRc,ISc,ITcには、所定の交流成分が含まれていることが分かる。よって、双方向チョッパ型単位変換器108が、自身を駆動するのに充分な電流の交流成分がコンデンサ203に流れることを示している。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電流IRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電流IScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電流ITcの波形を示している。
このコンデンサ電流IRc,ISc,ITcの波形は、双方向チョッパ型単位変換器108が、自身を駆動するのに充分な電流の交流成分がコンデンサ203に流れていることを示している。
以上説明した第3の実施形態では、次の(H)のような効果がある。
第4の実施形態の直流送電システム100cは、第3の実施形態の制御装置150(図22参照)とは異なる制御装置150cを備えている。第4の実施形態の制御装置150cは、第3の実施形態の直流電流調整部152(図22参照)とは異なる直流電流調整部152cを備えている。
第4の実施形態の直流電流調整部152cは、第3の実施形態の直流電流調整部152とは異なり、直流電流Idcの交流成分指令値IdcAC*を、(66)式にて生成している。
直流電流調整部152cには、直流電流Idcに加えて、交流電流指令値Ida*および交流電流指令値Idb*が入力されている。交流電流指令値Ida*[A]は、電力変換装置102cの交流電流指令値である。交流電流指令値Idb*[A]は、電力変換装置102dの交流電流指令値である。
交流電流指令値Ida*は、電力変換装置102cが備えている制御部112cから出力される。交流電流指令値Idb*は、電力変換装置102dが備えている制御部112dから出力される。
なお、制御部112cは、図30に示す通り、交流電流指令値Ida*を出力している点が第3の実施形態の制御部112cと異なっている。制御部112dは、交流電流指令値Idb*を出力している点が第3の実施形態の制御部112dと異なっている。
直流電流調整部152cは、後記する図31で詳細に説明する。
第4の実施形態の制御部112cは、第3の実施形態の制御部112c(図23参照)に加えて、交流電流指令値Ida*を直流電流調整部152cに出力している、それ以外は、同様に構成されている。
絶対値演算器940は、交流電流指令値Ida*の絶対値を演算して、乗算器941に出力する。乗算器941は、2の平方根の2倍を乗算して、加減算器943に出力する。加減算器943は、変数器942が出力した(3・Ipa*)から乗算器941の出力を減算して、演算器944に出力する。演算器944は、加減算器943の出力に、1/cos(π・fa/fdc)を乗算して、最大値演算器970に出力する。
絶対値演算器950は、交流電流指令値Idb*の絶対値を演算して、乗算器951に出力する。乗算器951は、2の平方根の2倍を乗算して、加減算器953に出力する。加減算器953は、変数器952が出力した(3・Ipb*)から乗算器951の出力を減算して、演算器954に出力する。演算器954は、加減算器953の出力に、1/cos(π・fb/fdc)を乗算して、最大値演算器970に出力する。
最大値演算器970は、演算器944の出力と、演算器954の出力と、定数960の出力である「0」とを比較し、それらの最大値を算出し、交流成分指令値IdcAC*として加減算器905に出力する。以降の演算は、第3の実施形態の直流電流調整部152(図25参照)の演算と同様である。
次に、第4の実施形態に於ける直流送電システム100cの構成並びに制御を採用したときに充分なコンデンサ203の電流Icを得ることについて説明する。この説明により、軽負荷の状態であっても、充分な電力が得られることを明らかにする。
系統電流が大きく、Ipa*が、Ida*に2の平方根に(2/3)を乗算したものより大きい条件を満たし、かつ、Ipb*が、Idb*に2の平方根に(2/3)を乗算したものより大きい条件を満たすならば、(66)式より、交流成分指令値IdcAC*は0[A]となる。しかし、交流成分指令値IdcAC*が0[A]でも、系統電流が充分大きいため、IpaがIpa*以上の条件と、IpbがIpb*以上の条件とを満たす。
以上説明した第4の実施形態では、第3の実施形態の効果に加えて更に、次の(I)のような効果がある。
第5の実施形態の直流送電システム100は、第1の実施形態の直流送電システム100(図1参照)と同様に構成されている。第5の実施形態の電力変換装置102a,102bは、第1の実施形態の電力変換装置102a,102b(図1参照)と同様に構成されている。
以下、第1の実施形態と共通の構成である図1、図4、図5については説明を省略し、図6、図8、図9に代えて用いる図32、図33、図34について説明する。
第5の実施形態の制御部112gは、第1の実施形態の制御部112(図6参照)とは異なるアーム電圧指令値生成部311dを備えている。第5の実施形態のアーム電圧指令値生成部311d(図6参照)は、第1の実施形態のアーム電流調整器330とは異なるアーム電流調整器330dを備えている他は、第1の実施形態の制御部112と同様に構成されている。
第5の実施形態のアーム電流調整器330dは、第1の実施形態のd−q変換回路400(図8参照)とは異なるd−q変換回路400dと、第1の実施形態の循環電流指令値演算部500(図8参照)とは異なる循環電流指令値演算部500dとを備えている。
アーム電流調整器330dは、アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)を、d軸電流IdFB、q軸電流IqFB、d軸循環電流IdbFB、q軸循環電流IqbFBの4変数に変換し、それぞれ個別に制御するものである。
d−q変換回路400dは、加減算器401と加減算器411とによって、(73)〜(75)式に基づき、アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)を、系統電流IR,IS,IT、および、循環電流IRb,ISb,ITbの6個の変数に変換する。
第5の実施形態の循環電流指令値演算部500dは、第1の実施形態の循環電流指令値演算器510(図8参照)とは異なる循環電流指令値演算器510dを備えている。循環電流指令値演算部500dは、循環電流指令値演算器510dにd軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*を入力し、循環電流指令値Id2b*,Iq2b*を算出して、アーム電流調整回路600に出力するものである。
循環電流指令値演算器510dは、乗算器530,531と、加減算器532,533と、乗算器534と、ルート演算器535と、ゲイン536,537と、除算器538と、乗算器540,541と、除算器542と、ゲイン543と、除算器544とを備えている。
d軸電流指令値Id*は、乗算器530によって自乗値が算出される。q軸電流指令値Iq*は、乗算器531によって自乗値が算出される。加減算器532によって、乗算器530の算出結果から、乗算器531の算出結果が減算される。乗算器534によって、加減算器532の算出結果と、後記する除算器542の算出結果とが乗算される。ゲイン536によって、乗算器534の算出結果にゲインK1が乗算される。除算器538によって、ゲイン536の算出結果は、後記するゲイン537の算出結果によって除算されて、循環電流指令値Id2b*が算出される。
加減算器533によって、乗算器530の算出結果に、乗算器531の算出結果が加算される。ルート演算器535によって、加減算器533の算出結果の平方根が算出される。ゲイン537によって、ルート演算器535の算出結果にゲインK2が乗算される。
乗算器540によって、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*とが乗算される。除算器542によって、d軸電流指令値Id*は、ルート演算器535の算出結果によって除算されて、cosφが算出される。乗算器541によって、乗算器540の算出結果と除算器542とが乗算される。ゲイン543によって、乗算器541の算出結果にゲインK3が乗算される。除算器544によって、ゲイン543の算出結果は、ゲイン537の算出結果によって除算されて、循環電流指令値Iq2b*が算出される。
系統電流のd軸電流指令値Id*は、第1の実施形態で示した有効電力調整器APRの算出結果である。系統電流のq軸電流指令値Iq*は、無効電力調整器AQRの算出結果である。以下、循環電流指令値Id2b*,Iq2b*の算出方法について説明する。
循環電流指令値演算器510dは、このcosφのかわりに、規格化した電力指令(P*の絶対値をP定格で除算した値)や、規格化した電流指令(Id*の絶対値を電流定格で除算した値)のように、有効電力Pに比例する量を用いてもよい。
アーム電流調整回路600は、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備えている。アーム電流調整回路600は、(86)式と(87)式とに基づいて、d軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に一致し、かつ、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に一致するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
また、d軸電圧成分Vdとq軸電圧成分Vqとは、(2)式および(16)式に基づいて、d−q変換回路700によって、系統電圧VGR,VGS,VGTから算出されたものである。d−q変換回路700は、α−β変換部701とd−q変換部702とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802と、逆d−q変換部811と、逆α−β変換部812と、加減算器821と、加減算器822とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801によって、(90)式に基づいて、交流電圧指令値Vd*,Vq*を、交流電圧指令値Va*,Vb*に変換する。
なお、図33の図示の都合上、アーム電流調整器330のアーム電圧指令値算出部800は、全ての構成が示されていない。図32には、図33のアーム電圧指令値算出部800の後段の加減算器823の構成が記載されている。よって、図32のアーム電流調整器330の最終出力として、(94)〜(99)式の演算結果が得られる。
このようにして得られたアーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*は、指令値分配部313(図32参照)に伝送される。以下、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*のことを、アーム電圧指令値Vj*と記載している場合がある。
以上で、電力変換装置102cの構成と制御方法を説明した。
ここで、第5の実施形態で得られる効果とそのメカニズムについて説明する。
従来は、上側のアーム105と下側のアーム105とに、対称性のあるアーム電圧指令値Vj*を与えていた。そのため、IR*,IS*,IT*のピーク値、即ち、Max(|IR*|,|IS*|,|IT*|)を系統電流振幅指令値Iac*とすると、アーム105に流れる電流のピーク値は|Idcref|÷3+Iac*÷2として算出することができる。
ここで、Idcref=1200[A]、Iac*=1755[A]で、IR*,IS*,IT*が平衡な三相交流である場合を例に、その効果を説明する。
図の縦軸は、電流[A]を示している。図の横軸は、時間[s]を示している。細実線は、アーム電流補正指令値IRPb*の波形を示している。太実線は、アーム電流補正指令値IRNb*の波形を示している。
アーム電流補正指令値IRPb*,IRNb*が、ピーク値付近で−となり、それ以外の部分、即ち他アームのアーム電流基本指令値がピーク値付近となる部分で+となっていることが分かる。なお、S相レグ104Sの波形と、T相レグ104Tの波形については図示を省略したが、図35に示すR相レグ104Rの波形を、それぞれ120°、240°遅らせた波形となる。
細実線は、アーム105RPのアーム電流指令値IRP*の波形を示している。太実線は、アーム105RNのアーム電流指令値IRN*の波形を示している。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、時間[s]を示している。
上側ピーク値は(1200÷3+1775×3÷8)=1066[A]、下側ピーク値は(1200÷3−1775×5÷8)=−709[A]となる。従来制御に比べて、上側ピーク値と下側ピーク値とを約17%低減することができる。なお、S相レグ104Sの波形と、T相レグ104Tの波形については図示を省略したが、図36の波形をそれぞれ120°、240°遅らせた波形となる。S相レグ104Sの波形のピーク値と、T相レグ104Tの波形のピーク値とは、R相レグ104Rの波形のピーク値と同一である。
基準電流を、相電圧1775[A]の時のd軸電流値、即ち1775[A]に、(3/2)の平方根を乗算した値である2174[A]とした場合に於いて、時間tが0.01未満の時にはId*=0[pu]かつIq*=0[pu]となり、時間tが0.01以上の時にはId*=1[pu]かつIq*=0[pu]となるようなステップ波形を入力した。
この場合には、上アーム電流指令値はピークの絶対値が1000[A]程度であり、アームに流れる電流ピークを下げる効果があることが分かる。なお、図示は省略したが、下アーム電流指令値も同様にピークの絶対値が1000[A]程度となる。
時間tが0.01未満の時にはId*=0.7[pu]かつIq*=0.2[pu]となり、時間tが0.01以上の時にはId*=0.7[pu]かつIq*=0.7[pu]となるような波形を入力した。
この時、図38(d)に示すように、上アーム電流指令値はピークの絶対値が概ね1000[A]程度であり、アームに流れる電流ピークを下げる効果があることが分かる。なお、図示は省略したが、下アーム電流指令値も同様にピークの絶対値が1000[A]程度となる。
そして、当該電圧型電力変換器の電流制御装置において、前記第二の周波数が、系統電圧の周波数の2倍であることを特徴とするものである。
または、当該電圧型電力変換器の電流制御装置において、前記第二の所定値が、前記第一の所定値の演算結果であることを特徴とするものである。
以上説明した第5の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて更に、次の(J)のような効果がある。
101 交流系統
101a 交流系統 (第1の交流系統)
101b 交流系統 (第2の交流系統)
102a,102b 電力変換装置
102c 電力変換装置 (第1の電力変換装置)
102d 電力変換装置 (第2の電力変換装置)
103 変圧器
104 レグ
105RP,105SP,105TP アーム (第1のアーム)
105RN,105SN,105TN アーム (第2のアーム)
105R,105S,105T アーム
106 単位変換器群
107 リアクトル
108 双方向チョッパ型単位変換器 (単位変換器)
110 交流電圧センサ
111 アーム電流センサ
112,112a,112c,112d 制御部
113 ゲート信号線
114 コンデンサ電圧検出線
115 直流電圧センサ
120 初充電装置
121 遮断器
130 変圧器
131 鉄心
132RA,132SA,132TA 巻線 (一次巻線)
132RB,132SB,132TB 巻線 (第1の二次巻線)
132RC,132SC,132TC 巻線 (第2の二次巻線)
140 交流電流センサ
150,150c 制御装置
151 直流電流検出部
152,152c 直流電流調整部
201H,201L スイッチング素子
202H,202L 環流ダイオード
203 コンデンサ (エネルギ蓄積手段)
204 電圧センサ
205 ゲートドライバ (制御部)
206 自給電源 (内部電源)
207 変流器 (電力取得手段)
208 端子 (第1の端子)
209 端子 (第2の端子)
211 第1の整流回路
212 第2の整流回路
305 電圧調整回路
306 位相検出器
311,311b アーム電圧指令値生成部
312 ゲートパルス生成部
313,313b 指令値分配部
316 二次振幅検出器
317 最小値演算器
330,330a,330b アーム電流調整器
340 交流側電力演算器
400,400b d−q変換回路
500 循環電流指令値演算部
510 循環電流指令値演算器
600,600a,600b アーム電流調整回路
700 d−q変換回路
800,800b アーム電圧指令値算出部 (指令値算出手段)
APR 有効電力調整器
AQR 無効電力調整器
AVR 直流電圧調整器
C1 給電コンデンサ (第1のコンデンサ)
C2 給電コンデンサ (第2のコンデンサ)
Pa,Pb,Pc,Pd 正側の直流端子 (第1の直流端子:直流出力部)
Na,Nb,Nc,Nd 負側の直流端子 (第2の直流端子:直流出力部)
R,S,T 一次側端子 (交流出力部)
VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN* アーム電圧指令値
Vd d軸電圧成分 (第1の偏差信号)
Vq q軸電圧成分 (第1の偏差信号)
Vdb* 循環電圧指令値 (第2の偏差信号)
Vqb* 循環電圧指令値 (第2の偏差信号)
IdFB d軸電流 (交流出力dq軸電流)
IqFB q軸電流 (交流出力dq軸電流)
IRb,ISb、ITb 循環電流
Id2b* 循環電流指令値
Iq2b* 循環電流指令値
V0a* 零相アーム電圧指令値 (第1の零相アーム電圧指令値)
V0b* 零相アーム電圧指令値 (第2の零相アーム電圧指令値)
Idc 直流電流 (直流出力電流)
Claims (27)
- 交流である系統電流を直流に、または、直流を交流に電力変換する電力変換装置に組み込まれて直列の単位変換器群を構成する際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
エネルギ蓄積手段と、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記エネルギ蓄積手段が蓄積した蓄積エネルギ源を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
前記電力変換装置のいずれかに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
を備え,
前記内部電源は、
前記第1の端子と前記第2の端子とを介して流れる電流を、電力取得手段によって取得して整流する第1の整流回路と、
前記第1の整流回路に並列接続された第1のコンデンサと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を取得して整流する第2の整流回路と、
前記第2の整流回路に並列接続された第2のコンデンサと、
を備え、
前記電力変換装置には、交流を遮断する遮断器と、初充電装置とが設置されており、
前記遮断器の投入前には、前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を前記第2の整流回路が整流して前記第2のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第2のコンデンサに蓄えた電荷によって自身に電力を供給し、
前記遮断器の投入後、かつ、自身が動作を開始したのちには、前記電力取得手段によって取得した交流電流を前記第1の整流回路が整流して前記第1のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第1のコンデンサに蓄えてた電荷によって自身に電力を供給する、
ことを特徴とする単位変換器。 - 前記内部電源は更に、
前記蓄積エネルギ源を用いて自身に電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。 - 前記エネルギ蓄積手段は、コンデンサであり、
前記複数のスイッチング素子は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とし、
前記内部電源は、前記第1の端子と前記第2の端子とを介して流れる電流を用いて自身に電力を供給する、
ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。 - 前記電力変換装置は、入力端子と出力端子とを備え、更に前記単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を複数備えて、前記入力端子と前記出力端子の間で、直流を交流に、または、交流を直流に変換するものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。 - 単位変換器が複数直列に接続された単位変換器群を複数と、
各前記単位変換器をそれぞれ制御する制御部と、
を備え、
前記単位変換器は、
前記単位変換器群に組み込まれる際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
コンデンサと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
自身の起動の際には前記コンデンサに蓄えられた電荷を用いて自身に電力を供給し、自身が起動した後は、前記コンデンサに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
を備え、
前記制御部は、
交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、各前記単位変換器の前記コンデンサに所定値以上の電流を流すように、前記複数のスイッチング素子を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。 - 単位変換器を複数直列に接続して単位変換器群とし、前記単位変換器群を並列に接続し、その一部を直流出力部とし、他の一部を交流出力部とし、
前記交流出力部または前記直流出力部に所定の出力を得られるように、前記直流出力部と前記交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成する制御部を有しており、
前記単位変換器は、
第1の端子および第2の端子と、
コンデンサと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするスイッチング素子と、
前記指令に基づいて前記スイッチング素子を動作させる駆動部と、
自身の起動の際には、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流に係る電荷が前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源に基づいて前記駆動部に電力を供給し、自身が起動した後は、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流を電力取得手段によって取得し、取得した電流をエネルギ源として前記駆動部に電力を供給する電力供給手段と、
を有し、
前記制御部は、前記エネルギ源から得られた電力が所定値以上となるように前記指令を生成する、
ことを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を複数列備え、入力端子と出力端子の間で、直流を交流に、または、交流を直流に変換する変換回路と、
各前記単位変換器を運転動作する信号を生成する制御部と、
を備えることを特徴とする電力変換装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を含んでなる複数のアームと、
前記複数のアームのうちの第1のアームと第2のアームとを直列に接続した複数のレグと、
前記単位変換器を制御する制御部と、を有し、
前記複数のレグを構成する前記第1のアームの一端と前記第2のアームの一端との接続ノードは、交流系統のいずれかの相に接続され、
前記第1のアームの他端は、正側の直流端子に接続され、
前記第2のアームの他端は、負側の直流端子に接続されている、
ことを特徴とする電力変換装置。 - 前記制御部は、
前記電力変換装置と前記交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、前記単位変換器の前記エネルギ蓄積手段に電流を流すようにアーム電圧指令値を生成するアーム電圧指令値生成部と、
前記アーム電圧指令値を、各前記単位変換器に分配して指令する指令値分配部と、
を備えることを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。 - 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
交流出力dq軸電流が指令値になるようにフィードバック制御して第1の偏差信号を出力する第1の電流制御手段と、
前記第1のアームおよび前記第2のアームを循環する循環電流のdq軸電流が循環電流指令値に収束するようにフィードバック制御して第2の偏差信号を出力する第2の電流制御手段と、
前記第1の偏差信号と前記第2の偏差信号から前記アーム電圧指令値を生成する指令値算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。 - 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
前記交流系統との間に流れる系統電流と前記循環電流との和が所定値以上になるように、前記循環電流指令値を求める、
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。 - 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
直流電流指令値から前記循環電流指令値を求める、
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。 - 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
前記エネルギ蓄積手段の両端電圧の振幅が所定値以上になるように前記循環電流指令値を求める、
ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列接続された前記単位変換器群を含んでなる複数のアームと、
一次巻線、第1の二次巻線、および、第2の二次巻線が巻かれた複数の鉄心を備えた変圧器と、
前記複数のアームが備える前記単位変換器を制御する制御部と、
を有し、
前記一次巻線は、交流系統に接続され、
前記複数のアームの一端は、第1の直流端子に接続され、
前記複数のアームの他端は、それぞれ前記第1の二次巻線の一端に接続され、
前記第1の二次巻線の他端は、それぞれ異なる相の鉄心に巻かれた前記第2の二次巻線の一端に接続され、
前記第2の二次巻線の他端は、第2の直流端子に接続されている、
ことを特徴とする電力変換装置。 - 請求項14に記載の前記電力変換装置であり、かつ、第1の交流系統が接続されている第1の電力変換装置と、
前記電力変換装置であり、前記第1の電力変換装置の前記第1の直流端子および前記第2の直流端子が接続され、かつ、第2の交流系統が接続されている第2の電力変換装置と、
前記第1の電力変換装置と前記第2の電力変換装置との間を流れる直流出力電流に基づき、前記第1の電力変換装置の前記制御部に第1の零相アーム電圧指令値を出力し、前記第2の電力変換装置の前記制御部に第2の零相アーム電圧指令値を出力する直流電流調整部と、
を備えることを特徴とする直流送電システム。 - 前記制御部のアーム電圧指令値生成部は、
交流出力dq軸電流が指令値に収束するようにフィードバック制御して第1の偏差信号を出力する第1の電流制御手段と、
前記第1の偏差信号と、前記第1の零相アーム電圧指令値とから、零相アーム電圧指令値を生成する指令値算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項15に記載の直流送電システム。 - 前記アーム電圧指令値生成部は、
前記第1の電力変換装置と前記第1の交流系統の間に流れる系統電流の有無、および、前記第2の電力変換装置と前記第2の交流系統の間に流れる系統電流の有無によらず、前記単位変換器の前記エネルギ蓄積手段に電流を流すのに必要な前記零相アーム電圧指令値を生成する、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
前記第1の電力変換装置の前記複数のアームに流れる電流の総和に基づいて、前記第1の零相アーム電圧指令値および前記第2の零相アーム電圧指令値を生成する、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
前記第1の電力変換装置と前記第2の電力変換装置との間で、所定周波数の零相成分の電流を循環させるように、前記第1の電力変換装置の前記制御部、および、前記第2の電力変換装置の前記制御部を制御する、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
前記第1の電力変換装置の前記交流出力dq軸電流の指令値と、前記第2の電力変換装置の前記交流出力dq軸電流の指令値とから、前記直流出力電流の指令値の交流成分を求める、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
前記直流出力電流の指令値から、前記直流出力電流の指令値の交流成分を求める、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
各前記単位変換器を駆動するために必要な交流電流の振幅に3を掛けたものから、前記交流出力dq軸電流の指令値のd軸成分の絶対値に2の平方根の2倍を掛けたものを減算して所定定数を掛けたものと0との大きい方を、前記直流出力電流の指令値の交流成分の振幅とする、
ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
交流電流の半周期に前記直流出力電流の指令値が進む位相角の余弦値の逆数を、前記所定定数とする、
ことを特徴とする請求項22に記載の直流送電システム。 - 前記直流電流調整部は、
各前記電力変換装置の前記直流出力電流の指令値から計算した交流成分の振幅のうち最大のものによって制御する、
ことを特徴とする請求項23に記載の直流送電システム。 - 単位変換器が複数直列に接続された単位変換器群を複数と、
各前記単位変換器をそれぞれ制御する制御部と、
を備え、
前記単位変換器は、
前記単位変換器群に組み込まれる際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
コンデンサと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
自身の起動の際には前記コンデンサに蓄えられた電荷を用いて自身に電力を供給し、自身が起動した後は、前記コンデンサに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
を備え、
前記制御部は、
交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、各前記単位変換器の前記コンデンサに所定値以上の電流を流すように、前記複数のスイッチング素子を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列接続されて構成され、一端が交流系統に接続され、他端が正側の直流端子に接続された第1のアームと、
前記単位変換器が複数直列接続されて構成され、一端が前記交流系統に接続され、他端が負側の直流端子に接続された第2のアームと、
前記単位変換器を制御する制御部と、
を備え、
前記単位変換器内の前記内部電源は、
前記電力変換装置の初充電状態では、前記エネルギ蓄積手段の両端電圧から電力を得て、
前記電力変換装置の運転状態では、前記エネルギ蓄積手段に直列接続された電力取得手段に流れる電流から電力を得て、
前記制御部は、前記電力取得手段に流れる電流の二次成分が前記電力変換装置の軽負荷時にも供給電力を得るに十分な大きさになるように、各前記単位変換器を制御する、
ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。 - 電力変換装置は、単位変換器を複数直列に接続して単位変換器群とし、前記単位変換器群を並列に接続し、その一部を直流出力部とし、他の一部を交流出力部とし、
前記交流出力部または前記直流出力部に所定の出力を得られるように、前記直流出力部と前記交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成する制御部を有しており、
前記単位変換器は、
第1の端子および第2の端子と、
コンデンサと、
前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするスイッチング素子と、
前記指令に基づいて前記スイッチング素子を動作させる駆動部と、
を有し、
前記単位変換器は、自身の起動の際には、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流に係る電荷が前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源に基づいて前記駆動部に電力を供給し、自身が起動した後は、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流を電力取得手段によって取得し、取得した電流をエネルギ源として前記駆動部に電力を供給し、
前記制御部は、前記エネルギ源から得られた電力が所定値以上となるように前記指令を生成する、
ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
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