JP6131030B2 - 単位変換器、電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法 - Google Patents

単位変換器、電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法 Download PDF

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本発明は、半導体スイッチング素子とコンデンサと内部電源回路とを備えた単位変換器、これら単位変換器が複数直列接続されて構成される電圧型の電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法に関する。
近年、交流を直流に、または、直流を交流に電力変換する電力変換装置が多く用いられている。このような電力変換装置は、高電圧の分野にも応用されており、例えば、半導体スイッチング素子を含んだ単位変換器を複数直列に接続して構成されているものがある。
高電圧の分野に応用される電力変換装置は、例えば、単位変換器を直列に接続してアームを構成し、更に当該アームを複数直列に接続してレグとして構成する。電力変換装置は、レグに於けるアームの接続点を交流端子の各相に接続し、これらレグの両端を直流端子に接続する。この電力変換装置は、各単位変換器の動作を制御することにより、各アームに流れる電流を制御して、交流端子と直流端子との間で電力変換を行うことができる。
電圧型電力変換装置を構成する各単位変換器は、高電圧によるサージなどの悪影響を抑止するため、電気的な配線は少ないほどよく、内部電源(自給電源)によって独立に動作する構成が望ましい。単位変換器には、半導体スイッチング素子とコンデンサと、半導体スイッチング素子のドライバ回路と、制御回路に加えて、単位変換器自身に電力供給するための内部電源回路を含んでいるものがある。
特許文献1の課題には、「半導体スイッチング素子を用いたセルを複数カスケード状に接続して構成される電力変換装置を制御する場合、複数のセルと中央制御装置間で通信を行う必要があるがセル数の増大により通信の情報量および情報処理の負荷が増大する。本発明の課題は、各セルと中央制御装置との間で通信する情報量を低減することである。」と記載され、解決手段には、「本発明の電力変換装置は、複数のセルをカスケード状に接続して構成されるアームを複数備え、前記セルを構成する中央制御装置と通信を行うセル制御装置への電力供給を主回路から供給する機能を備えるものである。」と記載され、効果には、「本発明の電力変換装置では、各セルのセル制御装置の電力を主回路から供給することにより、各セルの主要部品が故障した時に該当セルのセル制御装置と通信ができなくなることにより、該当セルが故障したことを中央制御装置が認識できる。」と記載されている。
特開2011−193615号公報
特許文献1の技術によれば、各セル(単位変換器)を駆動する電力は、コンデンサ端子電圧(蓄積エネルギ源)を利用しており、適宜な低電圧に降圧している。しかし、特許文献1の技術によれば、高電圧であるコンデンサ電圧を抵抗で分圧して低電圧を作成しているため、抵抗での損失が大きくなる問題がある。
各単位変換器に流れる電流をエネルギ源として用いる方法も考えられる。しかし、電力変換装置は、交流出力部と直流出力部との間で電力変換を行うように各単位変換器を駆動する際に、通常的動作から外れた場合(例えば、軽負荷状態など)に於いては、この流れる電流が充分でないため、この電流に係る電気要素のいずれかをエネルギ源とする電力が充分に供給できず、よって、各単位変換器は自身を駆動できない虞がある。
そこで、本発明は、電力変換装置に流れる電流を利用して低電圧を作成し、自身を駆動する電力を供給する単位変換器、電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明では、交流である系統電流を直流に、または、直流を交流に電力変換する電力変換装置に組み込まれて直列の単位変換器群を構成する際に用いられる第1の端子および第2の端子と、エネルギ蓄積手段と、前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記エネルギ蓄積手段が蓄積した蓄積エネルギ源を出力可能とする複数のスイッチング素子と、前記電力変換装置のいずれかに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、を備える単位変換器である。前記内部電源は、前記第1の端子と前記第2の端子とを介して流れる電流を、電力取得手段によって取得して整流する第1の整流回路と、前記第1の整流回路に並列接続された第1のコンデンサと、前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を取得して整流する第2の整流回路と、前記第2の整流回路に並列接続された第2のコンデンサとを備える。前記第2の整流回路は、前記第2のコンデンサの両端電圧を取得して整流する。前記電力変換装置には、交流を遮断する遮断器と、初充電装置とが設置されており、前記遮断器の投入前には、前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を前記第2の整流回路が整流して前記第2のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第2のコンデンサに蓄えた電荷によって自身に電力を供給し、前記遮断器の投入後、かつ、自身が動作を開始したのちには、前記電力取得手段によって取得した交流電流を前記第1の整流回路が整流して前記第1のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第1のコンデンサに蓄えてた電荷によって自身に電力を供給する。
その他の手段については、発明を実施するための形態のなかで説明する。
本発明によれば、電力変換装置に流れる電流を利用して低電圧を作成し、自身を駆動する電力を供給する単位変換器、電力変換装置、直流送電システム、および、電力変換装置の制御方法を提供することが可能となる。
第1の実施形態に於ける直流送電システムを示す概略の構成図である。 第1の実施形態に於ける電力変換装置の直流電流を示す波形図である。 第1の実施形態に於ける交流系統の電流/電圧を示す波形図である。 第1の実施形態に於ける双方向チョッパ型単位変換器の回路構成を示す図である。 第1の実施形態に於ける自給電源の回路構成を示す図である。 第1の実施形態に於ける制御部の論理構成を示す図である。 変形例に於ける直流電圧調整器を示す概略の構成図である。 第1の実施形態に於けるアーム電流調整器の論理構成を示す図である。 第1の実施形態に於ける循環電流指令値演算器の論理構成を示す図である。 第1の実施形態に於けるコンデンサ電流波形を示す図である。 第1の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ一次電流の特性を示す図である。 第1の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ二次電流の特性を示す図である。 第1の実施形態に於ける電力変換装置の運転状態を示す図である。 第1の実施形態に於ける循環電流と系統電流とを示す波形図である。 第1の実施形態に於けるコンデンサ電圧/電流を示す波形図である。 第2の実施形態に於ける制御部の論理構成を示す図である。 第2の実施形態に於けるアーム電流調整器の論理構成を示す図である。 第2の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ一次電圧の特性を示す図である。 第2の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ二次電圧の特性を示す図である。 第2の実施形態に於ける循環電流と系統電流とを示す波形図である。 第2の実施形態に於けるコンデンサ電圧/電流を示す波形図である。 第3の実施形態に於ける直流送電システムの概略の構成を示す図である。 第3の実施形態に於ける制御部の論理構成を示す図である。 第3の実施形態に於けるアーム電流調整器の論理構成を示す図である。 第3の実施形態に於ける直流電流調整部の論理構成を示す図である。 第3の実施形態に於ける系統電流無し時のコンデンサ電圧波形を示す図である。 第3の実施形態に於ける系統電流無し時のコンデンサ電流波形を示す図である。 第3の実施形態に於ける系統電流有り時のコンデンサ電流波形を示す図である。 第4の実施形態に於ける直流送電システムの概略の構成を示す図である。 第4の実施形態に於ける制御部の論理構成を示す図である。 第4の実施形態に於ける直流電流調整部の論理構成を示す図である。 第5の実施形態に於ける制御部の論理構成を示す図である。 第5の実施形態に於けるアーム電流調整器の論理構成を示す図である。 第5の実施形態に於ける循環電流指令値演算器の論理構成を示す図である。 第5の実施形態に於けるR相アーム電流補正指令値の波形図である。 第5の実施形態に於けるR相アーム電流指令値の波形図である。 第5の実施形態に於けるd軸電流指令値のステップ波形を示す図である。 第5の実施形態に於けるq軸電流指令値のステップ波形を示す図である。
以降、本発明を実施するための形態を、各図を参照して詳細に説明する。
(第1の実施形態の構成)
図1は、第1の実施形態に於ける直流送電システム100を示す概略の構成図である。
第1の実施形態の直流送電システム100は、電力変換装置102aと電力変換装置102bとを備えている。第1の実施形態の直流送電システム100は、交流系統101aと交流系統101bの間に、電力変換装置102aと電力変換装置102bとが接続されて構成されている。電力変換装置102aは、正の直流端子Pa(出力端子)と負の直流端子Na(出力端子)とを備えている。電力変換装置102bは、正の直流端子Pbと負の直流端子Nbとを備えている。電力変換装置102aと電力変換装置102bとの間は、正の直流端子Paと正の直流端子Pbとが接続され、更に負の直流端子Naと負の直流端子Nbとが接続されている。これら正の直流端子Pa,Pbの接続と、負の直流端子Na,Nbとの接続とは、直流系統(直流送電線路)を構成している。ここで、直流端子Pa,Pbの電圧は、直流端子Na,Nbの電圧よりも高いものとする。直流端子Paと直流端子Naとの間には、直流電圧VDCが印加されている。直流系統には、電力変換装置102aの直流端子Paから電力変換装置102bの直流端子Pbの方向に、直流電流Idcが流れている。正の直流端子Paと負の直流端子Naとは、電力変換装置102aの直流出力部を構成している。
電力変換装置102aは、入力端子である一次側端子R,S,Tを備えている。電力変換装置102aは、これら一次側端子R,S,Tによって交流系統101aの各相に接続されている。一次側端子R,S,Tは、電力変換装置102aの交流出力部を構成している。
電力変換装置102bは、入力端子である直流端子Pb,Nbと、出力端子である一次側端子R,S,T(不図示)とを備えている。電力変換装置102bは、これら一次側端子R,S,T(不図示)によって交流系統101bの各相に接続されている。
第1の実施形態の直流送電システム100は、例えば、交流系統101aの電力を交流系統101bに供給するものである。直流送電システム100は、電力変換装置102aに於いて、一次側端子R,S,Tと直流端子Pa,Naとの間で交流を直流に変換し、直流系統を介して電力変換装置102bに於いて、入力端子である直流端子Pb,Nbと、出力端子である一次側端子R,S,T(不図示)との間で直流を交流に電力変換する。
制御部112は、交流出力部の一次側端子R,S,T、または、直流出力部の正の直流端子Paと負の直流端子Naに所定の出力を得られるように、直流出力部と交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成するものである。
次に電力変換装置102a,102bの構成について説明するが、これらは、ほぼ同一構成なので、ここでは電力変換装置102aを中心に説明する。
電力変換装置102aは、変圧器103と、交流電圧センサ110と、初充電装置120と、遮断器121と、R相レグ104Rと、S相レグ104Sと、T相レグ104Tと、制御部112と、ゲート信号線113と、コンデンサ電圧検出線114と、直流電圧センサ115とを備えている。電力変換装置102aは、双方向チョッパ型単位変換器108が複数直列に接続された単位変換器群106RP,106SP,106TPを並列に接続し、各双方向チョッパ型単位変換器108をそれぞれ制御する制御部112とを備えている。
R相レグ104Rは、第1のアームである正側のアーム105RPと、第2のアームである負側のアーム105RNとを備え、これらが直列接続されている。R相の正側のアーム105RPは、単位変換器群106RPと、アーム電流センサ111と、リアクトル107RPとを備え、これらが直列接続されている。R相の負側のアーム105RNは、単位変換器群106RNと、アーム電流センサ111と、リアクトル107RNとを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106RPと単位変換器群106RNとは、それぞれM個(Mは2以上の自然数である。)の双方向チョッパ型単位変換器108(単位変換器)が直列接続されている。各双方向チョッパ型単位変換器108は、制御部112が生成した信号によって動作する。
S相レグ104Sは、第1のアームである正側のアーム105SPと、第2のアームである負側のアーム105SNとを備え、これらが直列接続されている。S相の正側のアーム105SPは、単位変換器群106SPと、アーム電流センサ111と、リアクトル107SPとを備え、これらが直列接続されている。S相の負側のアーム105SNは、単位変換器群106SNと、アーム電流センサ111と、リアクトル107SNとを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106SPと単位変換器群106SNとは、それぞれM個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
T相レグ104Tは、第1のアームである正側のアーム105TPと、第2のアームである負側のアーム105TNとを備え、これらが直列接続されている。T相の正側のアーム105TPは、単位変換器群106TPと、アーム電流センサ111と、リアクトル107TPとを備え、これらが直列接続されている。T相の負側のアーム105TNは、単位変換器群106TNと、アーム電流センサ111と、リアクトル107TNとを備えている。単位変換器群106TPと単位変換器群106TNとは、それぞれM個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
なお、R相レグ104R、S相レグ104S、T相レグ104Tを特に区別しないときには、単にレグ104と記載する。レグ104は、交流の相ごとに設置されている。これらは基本的に同一構成である。各レグ104の後ろに付した記号R,S,Tは、交流の各相を意味している。各レグ104は、入力端子と出力端子との間で、交流を直流に、または、直流を交流に電力変換する変換回路である。
同様に、アーム105RP,105RN,105SP,105SN,105TP,105TNを特に区別しないときには、単にアーム105と記載する。単位変換器群106RP,106RN,106SP,106SN,106TP,106TNを特に区別しないときには、単に単位変換器群106と記載する。リアクトル107RP,107RN,107SP,107SN,107TP,107TNを特に区別しないときには、単にリアクトル107と記載する。
第1の実施形態に於いて、各アーム105の単位変換器群106は、双方向チョッパ型の単位変換器が採用されている。しかし、これに限られず、各アーム105の単位変換器群106は、フルブリッジ型の単位変換器など他の型の単位変換器を採用してもよい。
アーム電流センサ111の出力側は、制御部112に接続されている。アーム電流センサ111は、各アーム105に流れる電流を検知して、制御部112に出力するものである。アーム電流センサ111は、アーム105RP,105SP,105TPに於いて、直流端子Paの方向に流れる電流を検知する。アーム電流センサ111は、アーム105RN,105SN,105TNに於いて、直流端子Naの方向から流れる電流を検知する。
ゲート信号線113は、双方向チョッパ型単位変換器108と制御部112とを接続するものである。制御部112は、ゲート信号線113によって、双方向チョッパ型単位変換器108の動作を制御する。
コンデンサ電圧検出線114は、双方向チョッパ型単位変換器108と制御部112とを接続されている。制御部112は、コンデンサ電圧検出線114によって、双方向チョッパ型単位変換器108の状態を検知する。
交流電圧センサ110は、交流系統101aに接続されている。交流電圧センサ110の出力側は、制御部112に接続されている。交流電圧センサ110は、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTを検知して、制御部112に出力するものである。
変圧器103は、一次側に印加された三相交流電圧を変圧して、二次側に出力するものである。変圧器103の一次側は、交流系統101aに接続されている。第1の実施形態では、変圧器103の一次側であり、交流系統101aに接続されているノードを、一次側端子R,S,Tと記載する。
変圧器103の2次側には、遮断器121の一方と初充電装置120の一方とが接続されている。遮断器121の他方と初充電装置120の他方とは、それぞれR相レグ104Rと、S相レグ104Sと、T相レグ104Tとに接続されている。第1の実施形態では、これらの接続点を、端子Ra,Sa,Taと記載する。
初充電装置120は、双方向チョッパ型単位変換器108が備える直流部のコンデンサ203(図4参照)を、初期状態に於いて充電するための装置である。初充電装置120は、例えば、抵抗器と遮断器の直列回路で構成されている。初充電装置120は、図示しない制御線によって制御部112に接続され、制御部112によって制御される。
遮断器121は、変圧器103の二次側と、端子Ra,Sa,Taとの間を接続するか否かを切り替えるものである。すなわち、遮断器121は、交流系統101aから流れる系統電流IR,IS,ITを遮断するか否かを切り替える。遮断器121は、図示しない制御線によって制御部112に接続され、制御部112によって制御される。初充電装置120と遮断器121との動作は、後記する図13で詳細に説明する。
端子Raは、R相レグ104Rの上側のアーム105RPと下側のアーム105RNとが接続されているノード(接続ノード)に接続されている。アーム105RPの一端は、直流端子Paに接続されている。アーム105RPの他端は、アーム105RNの一端と端子Raとに接続されている。アーム105RNの他端は、直流端子Naに接続されている。交流系統101aから端子Raに流れる電流は、系統電流IRである。
端子Saは、S相レグ104Sの上側のアーム105SPと下側のアーム105SNとが接続されているノード(接続ノード)に接続されている。アーム105SPの一端は、直流端子Paに接続されている。アーム105SPの他端は、アーム105SNの一端と端子Saとに接続されている。アーム105SNの一端は、直流端子Naに接続されている。交流系統101aから端子Saに流れる電流は、系統電流ISである。
端子Taは、T相レグ104Tの上側のアーム105TPと下側のアーム105TNとが接続されているノード(接続ノード)に接続されている。アーム105TPの一端は、直流端子Paに接続されている。アーム105TPの他端は、アーム105TNの一端と端子Taとに接続されている。アーム105TNの一端は、直流端子Naに接続されている。交流系統101aから端子Taに流れる電流は、系統電流ITである。
アーム105RPに於いて、単位変換器群106RPが出力する電圧は、出力電圧VRPとする。単位変換器群106RPに流れる電流は、アーム電流IRPとする。アーム電流IRPは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VRPとアーム電流IRPは、端子Raから直流端子Paの方向が正である。
アーム105RNに於いて、単位変換器群106RNが出力する電圧は、出力電圧VRNとする。単位変換器群106RNに流れる電流は、アーム電流IRNとする。アーム電流IRNは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VRNとアーム電流IRNは、直流端子Naから端子Raの方向が正である。
アーム105SPに於いて、単位変換器群106SPが出力する電圧を出力電圧VSPとする。単位変換器群106SPに流れる電流は、アーム電流ISPとする。アーム電流ISPは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VSPとアーム電流ISPは、端子Saから直流端子Paの方向が正である。
アーム105SNに於いて単位変換器群106SNが出力する電圧を出力電圧VSNとする。単位変換器群106SNに流れる電流は、アーム電流ISNとする。アーム電流ISNは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VSNとアーム電流ISNは、直流端子Naから端子Saの方向が正である。
アーム105TPに於いて、単位変換器群106TPが出力する電圧を出力電圧VTPとする。単位変換器群106TPに流れる電流は、アーム電流ITPとする。アーム電流ITPは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VTPとアーム電流ITPは、端子Taから直流端子Paの方向が正である。
アーム105TNに於いて、単位変換器群106TNが出力する電圧を出力電圧VTNとする。単位変換器群106TNに流れる電流は、アーム電流ITNとする。アーム電流ITNは、アーム電流センサ111によって検知される。出力電圧VTNとアーム電流ITNは、直流端子Naから端子Taの方向が正である。
図2は、第1の実施形態に於ける電力変換装置102aの直流電流を示す波形図である。
図の縦軸は、電流値を示している。図の横軸は、時間を示している。この図は、電力変換装置102aが、交流系統101aの系統電流IR,IS,ITから得られる有効電力を、1200(A)の直流電流Idcに変換していることを示している。
図3(a),(b)は、第1の実施形態に於ける交流系統101aの電流/電圧を示す波形図である。
図3(a)は、第1の実施形態に於ける交流系統101aの電流の波形を示すグラフである。
図3(a)の縦軸は、交流系統101aの電流値(瞬時値)を示している。図3(a)の横軸は、図3(b)と共通する時間を示している。
図3(a)のグラフは、交流系統101aの系統電流IR,IS,ITのピーク値が1775(A)であることを示している。
図3(b)は、第1の実施形態に於ける交流系統101aの電圧の波形を示すグラフである。
図3(b)の縦軸は、交流系統101aの電圧値(瞬時値)を示している。図3(b)の横軸は、図3(a)と共通する時間を示している。
図3(b)のグラフは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTのピーク値が113[kV]であることを示している。
図4は、第1の実施形態に於ける双方向チョッパ型単位変換器108の回路構成を示す図である。
ここでは、アーム105RPの中の双方向チョッパ型単位変換器108について説明する。なお、アーム105SP、アーム105TP、アーム105RN、アーム105SN、アーム105TNが備える双方向チョッパ型単位変換器108についても、アーム105RPの中の双方向チョッパ型単位変換器108と同様に構成されている。
アーム105RPは、単位変換器群106RPと、自身に流れるアーム電流IRPを検出するアーム電流センサ111と、リアクトル107RPとが直列接続されて構成されている。アーム105RPの一端は、端子Raに接続されている。アーム105RPの他端は、直流端子Paに接続されている。単位変換器群106RPは、複数の双方向チョッパ型単位変換器108を備え、これらが直列接続されて構成されている。
双方向チョッパ型単位変換器108は、ハイサイドスイッチング素子201Hとハイサイド環流ダイオード202Hの並列回路と、ローサイドスイッチング素子201Lとローサイド環流ダイオード202Lの並列回路と、エネルギ蓄積手段であるコンデンサ203と、駆動部であるゲートドライバ205と、内部電源である自給電源206と、コンデンサ203の両端電圧を計測する電圧センサ204とを備えている。双方向チョッパ型単位変換器108は、ゲート信号線113と、コンデンサ電圧検出線114とを介して制御部112(図1参照)に接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208(第1の端子)は、他の双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209(第2の端子)、または、直流端子Paに接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209(第2の端子)は、他の双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208、または、アーム電流センサ111の一端に接続されている。
ハイサイドスイッチング素子201Hとハイサイド環流ダイオード202Hの並列回路と、ローサイドスイッチング素子201Lとローサイド環流ダイオード202Lの並列回路とが直列に接続されて、直列スイッチング回路を構成している。
ハイサイドスイッチング素子201Hのコレクタは、コンデンサ203の一端と、電圧センサ204の一端と、自給電源206の入力端子301とに接続されている。コンデンサ203の他端と、電圧センサ204の他端とは、自給電源206の入力端子302に接続されている。すなわち、コンデンサ203の一端と他端との間には、電圧センサ204が並列に接続されている。コンデンサ203の両端に印加されている電圧は、コンデンサ電圧VCjkである。電圧センサ204の出力側は、コンデンサ電圧検出線114を介して制御部112(図1参照)に接続されている。
ハイサイドスイッチング素子201Hのコレクタは更に、ハイサイド環流ダイオード202Hのカソードに接続されている。ハイサイドスイッチング素子201Hのエミッタは、ハイサイド環流ダイオード202Hのアノードに接続され、更にローサイドスイッチング素子201Lのコレクタにも接続されている。
ローサイドスイッチング素子201Lのコレクタは、ハイサイドスイッチング素子201Hのエミッタと、ローサイド環流ダイオード202Lのカソードとに接続されている。ローサイドスイッチング素子201Lのエミッタは、ローサイド環流ダイオード202Lのアノードと、自給電源206の入力端子303とに接続されている。
双方向チョッパ型単位変換器108の負側の端子209は、ローサイドスイッチング素子201Lのエミッタに接続されている。双方向チョッパ型単位変換器108の正側の端子208は、ローサイドスイッチング素子201Lのコレクタとハイサイドスイッチング素子201Hのエミッタとの接続ノードに接続されている。
ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとは、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)との間に、コンデンサ203に蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするものである。すなわち、ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとは、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)との間に、コンデンサ203の両端電圧を出力可能とする。
ゲートドライバ205(駆動部)は、自給電源206の一対の出力端子304に接続され、この出力端子304を介して電力が供給されている。ゲートドライバ205は、ゲート信号線113を介して制御部112(図1参照)に接続されている。ゲートドライバ205の出力側は、ハイサイドスイッチング素子201Hのゲートとエミッタにそれぞれ接続され、更にローサイドスイッチング素子201Lのゲートとエミッタにそれぞれ接続されている。
ゲートドライバ205は、この双方向チョッパ型単位変換器108の駆動部であり、制御部112(図1参照)の指令によって制御され、ハイサイドスイッチング素子201Hと、ローサイドスイッチング素子201Lのオンとオフとを切り替えることによって、正側の端子208と負側の端子209との間に、コンデンサ203の電圧を出力可能とし、出力電圧Vjkを制御するものである。ここで制御部112(図1参照)は、変流器207から得られた電力が所定値以上となるように指令を生成して、ゲートドライバ205を制御する。
ハイサイド環流ダイオード202Hと、ローサイド環流ダイオード202Lは、コンデンサ電圧VCjkに対して電流を流さない方向に直列に接続されている。ハイサイド環流ダイオード202Hに並列に接続されたハイサイドスイッチング素子201Hと、ローサイド環流ダイオード202Lに並列に接続されたローサイドスイッチング素子201Lとは、スイッチング状態がオンの時にコンデンサ電圧VCjkを放電する方向に取り付けられている。
第1の実施形態では、コンデンサ電圧VCなどに付した記号jkのうち、jはアーム105の種別(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を示し、kはそのアーム105に於ける順番1,2,…,Mを示している。
第1の実施形態では、コンデンサ203の電圧が高い方に接続されている素子は、ハイサイドと記載し、記号Hを付与する。コンデンサ203の電圧が低い方に接続されている素子を、ローサイドと記載し、記号Lを付与する。
ローサイドスイッチング素子201Lのコレクタとエミッタとの間には、双方向チョッパ型単位変換器108から出力される出力電圧Vjkが印加されている。
第1の実施形態に於いて、ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lには、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)が採用されている。しかし、これに限られず、ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lには、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、GCT(Gate Commutated Turn-off thyristor)、GTO(Gate Turn Off thyristor)、その他のオン・オフ制御が可能な素子を採用してもよい。
双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ電圧VCjk(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN、k=1,2,…,M)を検出する電圧センサ204を備えている。電圧センサ204の出力側は、コンデンサ電圧検出線114を介して制御部112(図1参照)に接続されている。
双方向チョッパ型単位変換器108のゲートドライバ205は、制御部112(図1参照)からゲート信号線113を介して伝送されたゲート信号GHjkに基づき、ハイサイドスイッチング素子201Hのゲート・エミッタ間にゲート電圧を印加し、ゲート信号GLjkに基づいて、ローサイドスイッチング素子201Lのゲート・エミッタ間にゲート電圧を印加する。
以下、双方向チョッパ型単位変換器108の出力電圧Vjkと、ハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとのオン・オフ状態との関係を説明する。
ハイサイドスイッチング素子201Hがオン状態であり、ローサイドスイッチング素子201Lがオフ状態である場合、双方向チョッパ型単位変換器108のアーム電流Ij(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)に関わらず、出力電圧Vjkは、概ねコンデンサ電圧VCjkと等しくなる。
ハイサイドスイッチング素子201Hがオフ状態であり、ローサイドスイッチング素子201Lがオン状態である場合、アーム電流Ijに関わらず、出力電圧Vjkは、概ね零と等しくなる。
自給電源206(電力供給手段)は、入力端子301,302,303および出力端子304を備えている。自給電源206は、双方向チョッパ型単位変換器108の内部電源であり、コンデンサ203に流れる電流に基づき、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給するものである。
第1の実施形態の自給電源206は、端子208と端子209とを介して流れる電流をエネルギ源とすると共に、この電流によってコンデンサ203に蓄積された電荷をエネルギ源として、自身(ゲートドライバ205など)を動作させる電力を得るものである。双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203に流れる電流に係る電気要素をエネルギ源として、自身を駆動する電力を供給している。ここで、端子208と端子209を介して流れる電流に係る電気要素とは、この電流のエネルギと、この電流によってコンデンサ203に蓄積された電荷からなる蓄積エネルギとを含む概念である。
しかし、これに限られず、自給電源206は、電力変換装置102aのいずれかに流れる電流を用いて、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。自給電源206は、例えば、端子208と端子209との間、または、この双方向チョッパ型単位変換器108と他の双方向チョッパ型単位変換器108との間に変流器の一次側を接続し、変流器の一次側に流れる電流に基づき、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。また、双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203の代わりにコイルを用いて、このコイルに流れる電流に係る電気要素をエネルギ源として、自身を駆動する電力を供給するように構成してもよい。これらの変形例によっても、本発明の課題のいずれかを解決することができる。
図5は、第1の実施形態に於ける自給電源206の回路構成を示す図である。
自給電源206は、電力取得手段である変流器207と、この変流器207の二次側電流を整流する第1の整流回路211と、給電コンデンサC1と、ツェナーダイオードZ1と、コンデンサ203の両端に印加された電圧を整流する第2の整流回路212と、給電コンデンサC2と、ツェナーダイオードZ2と、ダイオードD3と、直流電圧のレベルを変換する電圧調整回路305とを備えている。
変流器207の一次側巻線の一端は、入力端子302を介してコンデンサ203の他端に接続されている。変流器207の一次側巻線の他端は、入力端子303に接続されている。すなわち、コンデンサ203と変流器207の一次側巻線とは、直列に接続されている。変流器207の二次側巻線には、第1の整流回路211の入力側が並列に接続されている。変流器207は、大電流を小電流に変換して、電力を取得するものであり、一次側巻線に流れる大電流を、二次側巻線に流れる小電流に変換して取り出している。しかし、これに限られず、電力取得手段は、例えば、ホール効果を用いた素子や、コンデンサによって接続された回路などであってもよい。
第1の整流回路211の出力側の正側端子と負側端子との間には、給電コンデンサC1が並列接続され、ツェナーダイオードZ1が逆方向に並列接続され、更に電圧調整回路305の入力側が並列接続されている。第1の整流回路211の出力側の負側端子は、変流器207の一次側巻線の他端と入力端子303とに接続されている。第1の整流回路211の入力側の負側端子と出力側の負側端子とは導通しているので、変流器207の二次側巻線の他端は、入力端子303に接続されている。
第1の整流回路211は、抵抗R1と、ダイオードD1とを備えている。抵抗R1の一端は、第1の整流回路211の入力側の一端を構成して変流器207の二次側巻線の一端に接続され、更にダイオードD1のアノードに接続されている。ダイオードD1のカソードは、第1の整流回路211の出力側の正側端子を構成し、給電コンデンサC1の一端に接続されている。
抵抗R1の他端は、第1の整流回路211の入力側の一端を構成して変流器207の二次側巻線の他端に接続されている。抵抗R1の他端は更に、第1の整流回路211の出力側の負側端子を構成して、給電コンデンサC1の他端に接続されている。
ここで、給電コンデンサC1の両端に印加されている電圧は、電圧V1とする。第1の整流回路211は、遮断器121の投入後、かつ、双方向チョッパ型単位変換器108自身が動作を開始したのちに、変流器207の二次側巻線に流れる電流を整流し、出力側に並列接続された給電コンデンサC1に電荷を蓄えるものである。第1の整流回路211は、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)とを介して流れる電流を、変流器207(電力取得手段)によって取得して整流するものである。
給電コンデンサC1の両端に発生している電圧V1は、電圧調整回路305の入力側の正側端子と負側端子との間に印加される。給電コンデンサC1の両端には更に、ツェナーダイオードZ1が逆方向に並列接続されている。ツェナーダイオードZ1は、電圧V1が電圧Vlim1を超えたときに電流を流すことにより、この電圧V1の最大値を制限している。
第2の整流回路212は、抵抗R2,R3と、ダイオードD2とを備えている。抵抗R2の一端は、第2の整流回路212の入力側の一端を構成し、入力端子301を介してコンデンサ203の一端に接続されている。抵抗R2の他端は、ダイオードD2のアノードに接続されている。ダイオードD2のカソードは、抵抗R3の一端に接続されて、第2の整流回路212の出力側の正側端子を構成して、給電コンデンサC2の一端に接続されている。第2の整流回路212は、遮断器121の投入前に、コンデンサ203に印加された電圧を整流して給電コンデンサC2に電荷を蓄えて、双方向チョッパ型単位変換器108を駆動する電力を供給するものである。第2の整流回路212は、コンデンサ203が蓄積した蓄積エネルギ源を用いて電力を供給する。すなわち第2の整流回路212は、端子208(第1の端子)と端子209(第2の端子)との間に印加された電圧のうち一部を、取得して整流するものである。
抵抗R3の他端は、入力端子303に接続されていると共に、第2の整流回路212の出力側の負側端子を構成して、給電コンデンサC2の他端に接続されている。すなわち、第2の整流回路212の出力側の正側端子と負側端子との間には、給電コンデンサC2が並列接続されている。ここで、給電コンデンサC2の両端に印加されている電圧は、電圧V2とする。
給電コンデンサC2の一端と他端との間には、逆方向接続されたツェナーダイオードZ2が並列に接続されている。給電コンデンサC2の一端は、順方向接続されたダイオードD3を介して、電圧調整回路305の入力側の正側端子に接続されている。給電コンデンサC2の他端は、電圧調整回路305の入力側の負側端子に接続されている。
第2の整流回路212は、コンデンサ203の両端電圧を整流し、出力側に並列接続された給電コンデンサC2に電荷を蓄えるものである。給電コンデンサC2の両端に発生している電圧V2は、ダイオードD3を介して、電圧調整回路305の入力側の正側端子と負側端子との間に印加される。給電コンデンサC2の両端には更に、ツェナーダイオードZ2が逆方向に並列接続されている。ツェナーダイオードZ2は、電圧V2が電圧Vlim2を超えたときに電流を流すことにより、この電圧V2の最大値を制限している。
電圧調整回路305の入力側の正側端子と負側端子との間には、電圧V1と、電圧V2がダイオードD3で降下した電圧とのうち、いずれか高い方の電圧が印加される。電圧調整回路305の出力側の正側端子と負側端子との間には、出力電圧Voutが発生する。この出力電圧Voutは、ゲートドライバ205(図4参照)に印加され、電力が供給される。
第1の実施形態の自給電源206の第1の整流回路211は、ダイオードD1による半波整流の回路である。しかし、これに限られず、第1の整流回路211は、全波整流の回路であってもよい。第1の実施形態の自給電源206の第1の整流回路211は、ツェナーダイオードZ1によって最大電圧を制限し、電圧V1を安定化している。しかし、これに限られず、第1の整流回路211は、ツェナーダイオードZ1の代わりに、電圧安定化レギュレータを用いて最大電圧を制限し、電圧V1を安定化してもよい。
第1の実施形態の自給電源206は、電力取得手段として変流器207を備えている。自給電源206は、変流器207によって、コンデンサ203に流れる電流を用いて給電コンデンサC1を充電し、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動する電力を供給している。しかし、これに限られず、自給電源206は、コンデンサ203に流れる電流を用いることができる任意の電力取得手段を備えていてもよい。
次に自給電源206の動作を説明する。
最初に、各コンデンサ203が充電されていない初期状態から説明する。
初期状態に於いて、遮断器121が開放されており、電力変換装置102aは、交流系統101aに接続されていない。この状態に於いて、制御部112は、初充電装置120を電力変換装置102aに接続する。
初充電装置120は、初期状態に於いて、電力変換装置102aを構成する双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203を充電するための装置である。初充電装置120の接続により、自給電源206(図5参照)の入力端子301と入力端子303との間には、数百Vから数千Vの直流電圧、または、パルス状の電圧が印加される。これにより、自給電源206の給電コンデンサC2が充電される。ダイオードD2は、給電コンデンサC1に充電された電荷が、抵抗R2と入力端子301とを介して放電されるのを防いでいる。
このようにして、初充電装置120は、各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203を充電し、よって、給電コンデンサC2を充電する。
給電コンデンサC2の電圧V2は、抵抗R2と抵抗R3との抵抗値の比で決定される。電圧V2を所定値に制限して給電コンデンサC2を保護するため、電圧制限手段であるツェナーダイオードZ2が、給電コンデンサC2に並列接続されている。給電コンデンサC2の電圧V2が電圧Vlim2を超えると、ツェナーダイオードZ2が動作して、この電圧V2を制限する。
電圧V2が所定値以上になると、電圧調整回路305が動作する。電圧調整回路305は、給電コンデンサC2の電圧V2を負荷であるゲートドライバ205の動作に必要な出力電圧Voutに変換し、出力端子304を介してゲートドライバ205に電力を供給する。
ゲートドライバ205が動作することで、制御部112の指令がハイサイドスイッチング素子201Hとローサイドスイッチング素子201Lとに伝達されるようになる。
システム起動時の初期状態に於いて、双方向チョッパ型単位変換器108は、初充電装置120によって給電コンデンサC2を充電して、ゲートドライバ205に電力を供給している。システム起動時に於いて、双方向チョッパ型単位変換器108は、外部からの電力の供給を受けることなく、電力変換装置102aに流れる電流を制御することができる。
その後、適宜なタイミングで、制御部112は、遮断器121を投入して、電力変換装置102aと交流系統101aとを接続する。
コンデンサ203にアーム電流IRPが流れはじめると、変流器207を介してダイオードD1にも電流が流れる。これにより、給電コンデンサC1が充電される。給電コンデンサC1の電圧V1が、電圧Vlim1を超えると、電圧制限手段であるツェナーダイオードZ1が動作し、電圧V1を制限する。
なお、電圧Vlim1を電圧Vlim2よりも高く設定することにより、給電コンデンサC1の電圧V1を給電コンデンサC2の電圧V2よりも高く設定することができる。給電コンデンサC1が電圧Vlim1に達した後は、第2の整流回路212のダイオードD2には電流が流れなくなり、変流器207の二次側巻線を流れる電流が、第1の整流回路211によって給電コンデンサC1を充電する。給電コンデンサC1が蓄えた電荷は、電圧調整回路305によって電圧レベルが変換され、自身のゲートドライバ205に電力として供給される。すなわち、コンデンサ203に流れる電流を用いて、ゲートドライバ205への電力の供給が行われることになる。このとき、抵抗R2を介して給電コンデンサC2を充電していないので、抵抗R2による電力損失が無くなる。
第1の実施形態の自給電源206は、図5の電圧調整回路305から得られる自給電源206の電力を負荷にかかわらず確保するものであり、この対応は、制御部112により実行される。制御部112に於ける給電コンデンサC1の電圧V1を充電するためのアーム電流の制御方法について、以下で説明する。第1の実施形態では、交流出力電力が小さい時に、給電コンデンサC1を充電する目的で、アーム電流Ijを流すことを特徴としている。
制御部112の内部で実行されている制御方法を説明する前に、この制御のために使用する入力信号を整理して説明する。なお、本実施形態では、変圧器103の巻数比が1:1である場合を想定して説明する。
制御部112には、図1に示すように、交流電圧センサ110から系統電圧VGR,VGS,VGTを示す信号が入力され、直流電圧センサ115から直流端子Paと直流端子Naとの間に印加されている電圧を示す信号が入力され、各アーム電流センサ111から各アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)を示す信号が入力されている。制御部112には、図4に示すように、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkを示す信号が入力されている。
交流電圧センサ110は、変圧器103の一次側端子R,S,Tに接続されており、変圧器103の巻線と同じ巻線構造とすることで、一次側端子R,S,Tの位相と同じ位相の各系統電圧VGR,VGS,VGTを検出する。交流電圧センサ110は、系統電圧VGR,VGS,VGTを検出し、検出結果を制御部112に出力(伝送)する。
アーム105RPは、自身を流れるアーム電流IRPを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105SPは、自身を流れるアーム電流ISPを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105TPは、自身を流れるアーム電流ITPを検出するアーム電流センサ111を備えている。
アーム105RNは、自身を流れるアーム電流IRNを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105SNは、自身を流れるアーム電流ISNを検出するアーム電流センサ111を備えている。アーム105TNは、自身を流れるアーム電流ITNを検出するアーム電流センサ111を備えている。これら各アーム電流センサ111は、各検出結果を制御部112に出力(伝送)する。
第1の実施形態に於いて、各アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)は、直流端子Naから直流端子Paに向かって流れる方向を正方向と定義する。
制御部112は、これらの入力信号から各ゲート信号GHjk,GLjk(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN、k=1,2,…,M)を生成し、ゲート信号線113を介して各双方向チョッパ型単位変換器108に出力(伝送)する。ゲート信号GHjkは、ハイサイドスイッチング素子201H(図4参照)を駆動する信号であり、ゲート信号GLjkは、ローサイドスイッチング素子201L(図4参照)を駆動する信号である。
図6は、第1の実施形態に於ける制御部112の論理構成を示す図である。
制御部112は、電力変換装置102aに与えるアーム電圧指令値を生成するアーム電圧指令値生成部311と、アーム電圧指令値を各双方向チョッパ型単位変換器108に分配する指令値分配部313とを備えている。
アーム電圧指令値生成部311は、交流系統101aから電力変換装置102aに流入する電力を所定値に制御するための電力制御機能と、各アーム105に流すアーム電流IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITNを制御する電流制御機能と、これら2つの制御機能を実現するため、アーム電圧指令値VRP*,VSP*,VTP*,VRN*,VSN*,VTN*を生成する機能を備えている。アーム電圧指令値生成部311は、電力変換装置102aと交流系統101aとの間に流れる系統電流の有無によらず、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に電流を流すようにアーム電圧指令値を生成する。
アーム電圧指令値生成部311は、位相検出器306と、ゲイン314と、アーム電流調整器330と、交流側電力演算器340と、有効電力調整器APRと、無効電力調整器AQRとを備えている。アーム電圧指令値生成部311は、アーム電流IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITNと系統電圧VGR,VGS,VGTを入力として、アーム電圧指令値VRP*,VSP*,VTP*,VRN*,VSN*,VTN*を生成するものである。
位相検出器306は、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから、系統電圧VGRの位相角θを検出するものである。
ゲイン314は、入力された値である直流電圧指令値VDC*に、1/2のゲインを乗算して出力するものである。
アーム電流調整器330は、d−q変換回路400と、循環電流指令値演算部500と、アーム電流調整回路600と、d−q変換回路700と、アーム電圧指令値算出部800とを備えている。アーム電圧指令値算出部800は、この図に於いて6個の加減算器823を備えている。
加減算器823は、出力電圧指令値VRP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VRP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VRN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VRN*を生成する。
加減算器823は、出力電圧指令値VSP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VSP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VSN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VSN*を生成する。
加減算器823は、出力電圧指令値VTP0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VTP*を生成する。加減算器823は、出力電圧指令値VTN0*と、直流電圧指令値VDC*の1/2とを加算して、アーム電圧指令値VTN*を生成する。
アーム電流調整器330は、後記する図8で詳細に説明する。
有効電力調整器APRは、加減算器361と、比例積分調整器362とを備えている。
無効電力調整器AQRは、加減算器363と、比例積分調整器364とを備えている。
指令値分配部313は、各単位変換器群106に対するゲートパルス生成部312を備えている。
ゲートパルス生成部312は、例えばアーム電圧指令値VRP*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式:Pulse Width Modulation)で変調し、ゲート信号GHRPk,GLRPkを生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信する。
ゲートパルス生成部312は、例えばアーム電圧指令値VRN*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)で変調し、ゲート信号GHRNk,GLRNkを生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信する。
すなわち、各ゲートパルス生成部312は、アーム電圧指令値Vj*を入力として、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)で変調し、ゲート信号GHjk,GLjk(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を生成して、双方向チョッパ型単位変換器108に送信(分配して指令)するものである。
アーム電圧指令値生成部311の電力制御機能は、交流側電力演算器340と、有効電力調整器APRと、無効電力調整器AQRとによって実現される。
交流側電力演算器340(図6右上参照)は、有効電力Pと無効電力Qを求める機能を備えている。第1の実施形態の交流側電力演算器340は、各レグ104の上下アーム105ごとに設置したアーム電流センサ111が検出した各アーム電流から、各相の系統電流IR,IS,ITを求めている。しかし、これに限られず、電力変換装置102a,102bは、各相の系統電流IR,IS,ITを直接に検出する交流電流センサを設けてもよい。
(交流側電力演算器340の動作)
交流側電力演算器340は、R相レグ104Rについて、アーム105RPを流れるアーム電流IRPから、アーム105RNを流れるアーム電流IRNを減算して、交流系統101に流れる系統電流IRを算出する。
交流側電力演算器340は、同様に、S相レグ104Sについて、アーム105SPを流れるアーム電流ISPから、アーム105SNを流れるアーム電流ISNを減算して、交流系統101に流れる系統電流ISを算出する。
交流側電力演算器340は、同様に、T相レグ104Tについて、アーム105TPを流れるアーム電流ITPから、アーム105TNを流れるアーム電流ITNを減算して、交流系統101に流れる系統電流ITを演算する。
交流側電力演算器340は、系統電流IR,IS,ITにα−β変換を施し、α軸電流Ia、β軸電流Ibを算出する。交流側電力演算器340は、(1)式に基づき、α−β変換を実施する。
交流側電力演算器340は、系統電圧VGR,VGS,VGTにα−β変換を施し、α軸電圧VGaとβ軸電圧VGbとを算出する。交流側電力演算器340は、(2)式により、α−β変換を実施する。
交流側電力演算器340は、交流系統101aから電力変換装置102aに流入する有効電力Pを、(3)式によって算出する。
交流側電力演算器340は、交流系統101aから電力変換装置102aに流入する無効電力Qを、(4)式によって算出する。
交流側電力演算器340は、(3)式、(4)式で計算した有効電力Pを有効電力調整器APRへ伝送し、無効電力Qを無効電力調整器AQRに伝送する。
(有効電力調整器APRと無効電力調整器AQRの動作)
有効電力調整器APR(図6左上参照)は、加減算器361によって、有効電力Pと有効電力指令値P*との差(P*−P)を演算し、比例積分調整器362によってd軸電流指令値Id*を得る。有効電力調整器APRは、有効電力Pが有効電力指令値P*に収束するように、フィードバック制御するものである。
無効電力調整器AQR(図6左上参照)は、加減算器363によって、無効電力Qと無効電力指令値Q*との差(Q*−Q)を演算し、比例積分調整器364によってq軸電流指令値Iq*を得る。無効電力調整器AQRは、無効電力Qが無効電力指令値Q*に収束するように、フィードバック制御するものである。
第1の実施形態では、d軸電流が正の場合に、交流系統101aから電力変換装置102aに有効電力Pが流入し、d軸電流が負の場合に、電力変換装置102aから交流系統101aに有効電力Pが流出するようにd軸とq軸とを定めている。
有効電力調整器APRは、有効電力Pが有効電力指令値P*より減少すれば、d軸電流指令値Id*を+側に増加させる。これにより、有効電力Pが増加する。有効電力調整器APRは、有効電力Pが有効電力指令値P*より増加すれば、d軸電流指令値Id*を−側に減少させる。これにより、有効電力Pが減少する。このように、有効電力調整器APRは、有効電力Pと有効電力指令値P*とが一致するようにフィードバック制御して、d軸電流指令値Id*を生成する。
無効電力調整器AQRも有効電力調整器APRと同様に、無効電力指令値Q*と無効電力Qが一致するようにフィードバック制御して、q軸電流指令値Iq*(無効分電流指令)を生成する。
次に、各アーム105jに流すアーム電流Ijを制御する電流制御機能について説明する。電流制御機能は、アーム電流調整器330にて実行される。アーム電流調整器330の処理では、交流電圧センサ110で求めた系統電圧VGR,VGS,VGT、アーム電流センサ111で求めたアーム電流Ij、有効電力調整器APRで求めた交流側のd軸電流指令値Id*と、無効電力調整器AQRで求めたq軸電流指令値Iq*(無効分電流指令)とを入力とし、アーム電圧指令値Vj*を生成する。
図7は、変形例に於ける直流電圧調整器を示す概略の構成図である。
第1の実施形態に於いて、d軸電流指令値Id*は、有効電力調整器APRによって生成されている。しかし、これに限られず、d軸電流指令値Id*は、有効電力調整器APRに代えて、直流電圧調整器AVRで生成されていてもよい。
この変形例に於いて、直流電圧調整器AVRは、平均値演算器381と、加減算器382と、制御ゲイン383とを備え、ゲイン384を介して直流電圧指令値VDC*が入力されている。
ゲイン384は、直流電圧指令値VDC*を、各アーム105が備えているセル数M(双方向チョッパ型単位変換器108の数)で除算して、コンデンサ電圧指令値VC*を算出する。
直流電圧調整器AVRは、平均値演算器381によって、電圧センサ204とコンデンサ電圧検出線114を介して検出した、全ての双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkの平均値VC0を算出する。
直流電圧調整器AVRは、加減算器382によって、コンデンサ電圧VCjkの平均値VC0とコンデンサ電圧指令値VC0*との差を求めて、制御ゲイン383を乗算して、d軸電流指令値Id*を得る。これにより、直流電圧調整器AVRは、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkの平均値VC0が、コンデンサ電圧指令値VC0*に収束するようにフィードバック制御できる。
図8は、第1の実施形態に於けるアーム電流調整器330の論理構成を示す図である。
アーム電流調整器330は、d−q変換回路400と、循環電流指令値演算部500と、アーム電流調整回路600と、d−q変換回路700と、アーム電圧指令値算出部800とを備えている。
d−q変換回路400は、アーム電流Ijを、d−q変換するものである。循環電流指令値演算部500は、各アーム105jを循環する循環電流の指令値を演算するものである。アーム電流調整回路600は、d−q変換したアーム電流が指令値に収束するようにフィードバック制御するものである。d−q変換回路700は、系統電圧VGR,VGS,VGTをd−q変換するものである。アーム電圧指令値算出部800は、フィードバック制御したアーム電圧指令値Vj*(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を出力するものである。
(d−q変換回路400の構成と動作)
d−q変換回路400(図8下側)は、各相の加減算器401と、α−β変換部402と、d−q変換部403と、ゲイン420とを備え、アーム電流Ij(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を、d軸電流IdFB、q軸電流IqFBに変換する。ゲイン420は、位相角θに2倍のゲインを掛ける。
d−q変換回路400(図8下側)は更に、各相の加減算器411と、ゲイン412と、α−β変換部413と、d−q変換部414とを備え、アーム電流Ijを、d軸循環電流IdbFB、q軸循環電流IqbFBに変換する。これらの変数への変換方法について、以下説明する。
d−q変換回路400は、加減算器401と加減算器411とゲイン412とによって、(5)〜(7)式に基づき、アーム電流Ij(j=RP,SP,TP,RN,SN,TN)を、系統電流IR,IS,IT、および、循環電流IRb,ISb,ITbの6個の変数に変換する。
d−q変換回路400は、α−β変換部402によって、(8)式に基づき、系統電流IR,IS,ITを、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとに変換する。
d−q変換回路400は、d−q変換部403によって、(9)式に基づき、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとを、d軸電流IdFBとq軸電流IqFBとに変換する。ここで、d−q変換部403に用いる位相角θは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから位相検出器306で検出したものであり、系統電圧VGRの位相に同期している。
d−q変換回路400は、α−β変換部413によって、(10)式に基づき、循環電流IRb,ISb,ITbを、α軸電流Iabとβ軸電流Ibbとに変換する。
d−q変換回路400は、d−q変換部414によって、(11)式に基づき、α軸電流Iabとβ軸電流Ibbとを、d軸循環電流IdbFBとq軸循環電流IqbFBとに変換する。ここで、d−q変換部414に用いる位相角2θは、位相検出器306で検出したθを、ゲイン420によって2倍の位相角2θとしたものである。循環電流の周波数は、系統電流の周波数の2倍となる。しかし、これに限られず、循環電流の周波数は、系統電流の周波数とは異なる値で、かつ、系統電流の周波数の実数倍であればよい。
次に、d−q変換回路400で求めた系統電流IR,IS,IT、および、循環電流IRb,ISb,ITb(補正電流)のdq軸成分に対応するアーム電流指令値について説明する。ここでは、有効電力調整器APRと、無効電力調整器AQRの結果として得られた系統電流IR,IS,ITのd軸電流指令値Id*と、q軸電流指令値Iq*を用いる。ここでは更に、d軸循環電流IdbFBの循環電流指令値Id2b*と、q軸循環電流IqbFBの循環電流指令値Iq2b*を用いる。なお、ここでは、循環電流指令値Id2b*として0[A]、循環電流指令値Iq2b*として所定値を与えているものとする。
(アーム電流調整回路600の構成と動作)
アーム電流調整回路600は、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備えている。加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とは、第1の電流制御手段を構成する。
アーム電流調整回路600は、(12)式と(13)式とに基づいて、d軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に一致し、かつ、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に一致するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*(第1の偏差信号)を出力する。
アーム電流調整回路600は更に、第2の電流制御手段である加減算器611とゲイン612とを備え、(14)式と(15)式とに基づいて、d軸循環電流IdbFBが循環電流指令値Id2b*に一致し、q軸循環電流IqbFBが循環電流指令値Iq2b*に一致するようにフィードバック制御して、循環電圧指令値Vdb*,Vqb*(第2の偏差信号)を出力する。
(12)〜(15)式が示すアーム電流調整回路600に於いて、ゲイン602とゲイン612とは、例えば、比例積分調整器などで構成されている。ここで、ゲイン602の増幅率と、ゲイン612の増幅率とは、同じでなくてもよい。
(d−q変換回路700の構成と動作)
d−q変換回路700は、α−β変換部701によって、前記した(2)式と同様な演算に基づき、系統電圧VGR,VGS,VGTを、α軸電圧VGaとβ軸電圧VGbとに変換する。
d−q変換回路700は更に、d−q変換部702によって、(16)式に基づいて、α軸電圧VGaとβ軸電圧VGbとを、d軸電圧成分Vdとq軸電圧成分Vqとに変換する。
第1の実施形態の位相角θは、系統電圧VGRに同期するように算出されるため、(16)式中のq軸電圧成分Vqは、ほぼ零となり、d軸電圧成分Vdは、系統電圧VGR,VGS,VGTの振幅に、(3/2)の平方根を掛けた値に、ほぼ等しくなる。
(アーム電圧指令値算出部800の構成と動作)
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802と、逆d−q変換部811と、逆α−β変換部812と、加減算器821と、加減算器822と、加減算器823(図6参照)とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801によって、(17)式に基づいて、dq軸交流電圧指令値Vd*,Vq*を、αβ軸交流電圧指令値Va*,Vb*に変換する。
アーム電圧指令値算出部800は、逆α−β変換部812によって、(18)式に基づいて、αβ軸交流電圧指令値Va*,Vb*を、相毎の交流電圧指令値VR*,VS*,VT*に変換する。
アーム電圧指令値算出部800は更に、逆d−q変換部811によって、(19)式に基づいて、循環電圧指令値Vdb*,Vqb*を、循環電圧指令値Vab*,Vbb*に変換する。ここで、位相角2θは、位相検出器306で検出した位相角θの2倍である。
アーム電圧指令値算出部800は更に、逆α−β変換部812によって、(20)式に基づいて、循環電圧指令値Vab*,Vbb*を、循環電圧指令値VRb*,VSb*,VTb*に変換する。
最終的にアーム電圧指令値算出部800は、各相の加減算器821と加減算器822と加減算器823(図6参照)によって、(21)〜(26)式に基づいて、交流電圧指令値VR*,VS*,VT*と循環電圧指令値VRb*,VSb*,VTb*とを、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*に変換する。
なお、図8の図示の都合上、アーム電流調整器330のアーム電圧指令値算出部800は、全ての構成が示されいない。図8に示すアーム電圧指令値算出部800は、加減算器821が出力電圧指令値VRP0*,VSP0*,VTP0*を算出し、加減算器822が出力電圧指令値VRN0*,VSN0*,VTN0*を算出することが示されている。
図6には、アーム電圧指令値算出部800の後段の加減算器823の構成が記載されている。加減算器823は、出力電圧指令値VRP0*,VSP0*,VTP0*からアーム電圧指令値VRP*,VSP*,VTP*をそれぞれ算出し、出力電圧指令値VRN0*,VSN0*,VTN0*からアーム電圧指令値VRN*,VSN*,VTN*をそれぞれ算出する。
図6のアーム電流調整器330の最終出力として、(21)〜(26)式の演算結果が得られる。
ここで、交流電圧指令値Vd*,Vq*は、第1の偏差信号である。循環電圧指令値Vdb*,Vqb*は、第2の偏差信号である。
指令値算出手段であるアーム電圧指令値算出部800は、第1の偏差信号である交流電圧指令値Vd*,Vq*と、第2の偏差信号である循環電圧指令値Vdb*,Vqb*とから、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*を生成する。
また(21)〜(26)式に於いて、直流電圧指令値VDC*は、システム定格、または、システム運用上の目標値で定まる値である。このようにして得られたアーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*は、図6の指令値分配部313に伝送される。以下、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*のことを、アーム電圧指令値Vj*と記載している場合がある。
(指令値分配部313の動作)
指令値分配部313(図6参照)のゲートパルス生成部312の動作を説明する。但し、ここでは単位変換器群106RPを構成する複数の双方向チョッパ型単位変換器108を点弧する例について説明する。
単位変換器群106RPに対するゲートパルス生成部312は、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)を用い、(21)式で得られた各アーム電圧指令値VRP*と、単位変換器群106RPの出力電圧VRPとが極力一致するように、ゲート信号GHRPk,GLRPkを生成する。このゲートパルス生成部312は、ゲート信号GHRPk,GLRPkによって、単位変換器群106RPに含まれるM個の双方向チョッパ型単位変換器108の出力電圧VRPを制御する。
同様に、単位変換器群106RNに対するゲートパルス生成部312は、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)を用い、(22)式で得られた各アーム電圧指令値VRN*と、単位変換器群106RNの出力電圧VRNとが極力一致するように、ゲート信号GHRNk,GLRNkを生成する。このゲートパルス生成部312は、ゲート信号GHRNk,GLRNkによって、単位変換器群106RNに含まれるM個の双方向チョッパ型単位変換器108の出力電圧VRNを制御する。
以下同様に、単位変換器群106SPに対するゲートパルス生成部312は、(23)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHSPk,GLSPkを生成する。
単位変換器群106SNに対するゲートパルス生成部312は、(24)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHSNk,GLSNkを生成する。
単位変換器群106TPに対するゲートパルス生成部312は、(25)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHTPk,GLTPkを生成する。
単位変換器群106TNに対するゲートパルス生成部312は、(26)式に基づいて出力電圧VSPを制御するゲート信号GHTNk,GLTNkを生成する。
(第1の実施形態の動作)
以下に於いて、本実施形態の電力変換装置102aが備えている双方向チョッパ型単位変換器108は、軽負荷の状態であっても、コンデンサ203を通過して流れる電流の交流成分から、自身を駆動する充分な電力を得られることについて説明する。
アーム105RPが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcRPは、循環電流IRb,ISb,ITbの一次成分を0、二次のd軸成分を0とし、3次以上の高調波を無視し、双方向チョッパ型単位変換器108の出力電圧を、理想的な電圧源として扱うと、(27)式で表すことができる。
アーム105SPが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcSPは、同様に、(28)式で表すことができる。

アーム105TPが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcTPは、同様に、(29)式で表すことができる。
アーム105RNが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcRNは、同様に、(30)式で表すことができる。
アーム105SNが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcSNは、同様に、(31)式で表すことができる。

アーム105TNが備える各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に流れる電流IcTNは、同様に、(32)式で表すことができる。
ここで二次成分(2θの項)に着目すると、アーム電流のピーク値は、循環電流指令値Iq2b*で決まる電流二次成分の振幅以上となる。そのため、アーム電流ピーク値Ip*は(33)式で評価できる。ここでは、(33)式中の循環電流指令値Iq2b*を、(34)式によって導かれる値以上にすると、双方向チョッパ型単位変換器108の駆動に必要なコンデンサ203の電流Icが得られる。ただし、(34)式に於いて、ルート部分の中が負となる時は、循環電流指令値Iq2b*を0とする。
(34)式中の直流電流指令値Idc*は、電力変換装置102cが交流系統101aから受け取る有効電力Pと、直流系統に渡す電力とが一致するように、例えば(35)式に基づいて作成する。
図9は、第1の実施形態に於ける循環電流指令値演算器510の論理構成を示す図である。
(33)式、(34)式を使った、第1の実施形態に於ける循環電流指令値演算器510による循環電流指令値Iq2b*の作成方法を、以下に説明する。
循環電流指令値演算器510は、まず(35)式の演算を実行する。この演算は、循環電流指令値演算器510の乗算器511によって、(Vd×d軸電流指令値Id*)が計算され、これを除算器512によって、直流電圧指令値VDC*で除算され、直流電流指令値Idc*が計算される。
循環電流指令値演算器510に於いて、直流電流指令値Idc*によって、循環電流指令値Iq2b*が算出される。直流電流指令値Idc*は、ゲイン513によって1/6が掛けられる。ゲイン513の出力は、乗算器514によって自乗値が計算される。これにより、(34)式の平方根内の右項が計算される。
また、(34)式の平方根内の第1項に含まれる変流器207の一次電流目標値であるアーム電流ピーク値Ip*は、乗算器515によって自乗値が計算される。乗算器515の出力から、加減算器516によって乗算器514の出力が減算される。加減算器516の出力は、下限リミッタ517によってゼロ以下の値が出力されないように調整される。下限リミッタ517の出力は、ルート演算器518によって平方根が計算される。このようにして、(34)式の右辺のルートの中が計算される。
下限リミッタ517の出力信号は、ルート演算器518にてルート演算され、乗算器519にて除算器526の結果と定数器527とが乗算され、(34)式の結果が得られる。ここで定数器527は、(3/2)の平方根の2倍を出力するものである。
電力変換装置102aが変換する電力が大きくなった場合、コンデンサ203に流れる電流Icは大きくなるので、(34)式の値はゼロでよい。但し、電力変換装置102aが変換する電力が大きい場合に、循環電流指令値Iq2b*の電流を出力すると、アーム電流が大きくなるので、(34)式に、交流出力電流(系統電流)が大きい時に出力が小さくなるように係数を乗じる。これを(36)式に示す。
循環電流指令値演算器510では、乗算器520,521にて、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*の自乗を計算する。循環電流指令値演算器510では、加減算器522およびルート演算器523にて、電流振幅((36)式右辺のルート演算結果)を計算する。この電流振幅は、リミッタ524にて、上限が定格電流値に制限され、加減算器525にて、定格電流値と電流振幅の差((36)式の中括弧内の計算)が計算され、除算器526にて、定格電流値で除算することで、(34)式に乗じる係数が計算される。
この得られた係数は、乗算器519にて、(34)式の計算結果に乗算される。交流電流振幅が0のとき、(34)式に乗じる係数が1、交流電流振幅が定格値以上で、(34)式に乗じる係数が0となる。このようにして、循環電流指令値演算器510の乗算器519から循環電流指令値Iq2b*が出力される。
循環電流指令値演算器510の構成によれば、系統電流が流れていない場合でも、循環電流を流すことができる。例えば、Vd=138[kV]、Vdc=250[kV]、循環電流指令値Iq2b*=100[A]の場合、各アーム105のコンデンサ203に流れる電流の一次成分は(27)〜(32)式の右辺第二項より18[A]、二次成分は(27)〜(32)式右辺第四項より41[A]となる。
図10(a),(b)は、第1の実施形態に於けるコンデンサ電流波形を示す図である。
図10(a)は、系統電流が流れていない場合のコンデンサ203に流れる電流の波形を示す図である。図の縦軸は、電流[A]を示している。図の横軸は、時間[s]を示している。
太実線は、アーム105RPのコンデンサ電流IcRPb*を示している。細実線は、アーム105RNのコンデンサ電流IcRNb*を示している。
これらの電流波形は、(27)〜(32)式から求められたものである。系統電流が流れていない場合であっても、循環電流が流れているので、コンデンサ203には、所定の振幅を有する電流(交流成分)が流れる。
図10(b)は、系統電流が流れている場合のコンデンサに流れる電流の波形を示す図である。図の縦軸は、電流[A]を示している。図の横軸は、時間[s]を示している。
太実線は、アーム105RPのコンデンサ電流IcRP*を示している。細実線は、アーム105RNのコンデンサ電流IcRN*を示している。
系統電流が流れている場合は、振幅があまり変わらない。例えば、Id*=2.32[kA]、Idc=1.28[kA]の場合、循環電流の有無によらず、各アーム105のコンデンサ203に流れる電流の一次成分が281[A]、二次成分が213[A]となる。
これら図10(a),(b)によれば、系統電流の有無にかかわらず、すなわち、負荷電流の有無にかかわらず、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203には電流(交流成分)が流れることを意味している。
図11は、第1の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ一次電流の特性を示す図である。図の縦軸は、コンデンサ203に流れる電流の一次成分(以下、コンデンサ一次電流I_c1と記載する。)の振幅をアンペア単位で示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
この図は、Iq2b*=100[A]に於ける、コンデンサ一次電流I_c1の特性を示している。太実線は、循環電流を重畳する前のコンデンサ一次電流I_c1を示している。細実線は、循環電流を重畳した後のコンデンサ一次電流I_c1を示している。破線は、コンデンサ一次電流I_c1の循環電流による増加分を示している。
循環電流を流してない場合には、横軸の系統電流Idに対して、比例的にコンデンサ一次電流I_c1が生じる。それに対し、第1の実施形態では、循環電流指令値演算器510(図8参照)が循環電流を与えることにより、系統電流が流れない場合でも、20(A)程度のコンデンサ一次電流が生じている。
図12は、第1の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ二次電流の特性を示す図である。図の縦軸は、コンデンサ203に流れる電流の二次成分(以下、コンデンサ二次電流I_c2と記載する。)の振幅をアンペア単位で示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
この場合には、循環電流指令値演算器510から循環電流を与えることにより、系統電流が流れないときでも、40(A)程度のコンデンサ二次電流I_c2が生じている。
第1の実施形態では、系統電流が流れない場合であっても、コンデンサ電流Icの一次成分または二次成分を利用して、自給電源206(図5参照)に電力を供給し、双方向チョッパ型単位変換器108自身を駆動させている。このことから、逆に言えば自給電源206の変流器207に必要なアーム電流ピーク値Ip*から循環電流指令値Iq2b*は、例えば前記した(34)式のように決定される。
例えば、自給電源206(図5参照)について、変流器207の変圧比が1000A対5Aであり、負荷の抵抗が20Ω相当であり、電圧調整回路305が動作するために必要な直流電圧が10Vである場合を考える。電力変換装置102aが変換している電力がゼロ(Idc=0)でも、変流器207に基づく電力によってゲートドライバ205を動作させるためには、コンデンサ電流Icのピーク値を100A以上にする必要があり、この場合、循環電流指令値Iq2b*を(37)式のようにして、245(A)とすればよいことになる。
本実施形態では、循環電流指令値Iq2b*は、循環電流の二次成分((27)〜(32)式の右辺第四項の振幅)によって決定している。しかし、これに限られず、循環電流二次成分ではなく、循環電流の一次成分の((27)〜(32)式の右辺第二項の振幅)によって、循環電流指令値Iq2b*を決定しても、類似の効果が得られる。
本実施形態では、(27)式の二次成分の実効値から循環電流指令値Iq2b*を決定する方法((33)式、(34)式)で説明した。しかし、これに限られず(27)〜(32)式の一次成分、二次成分両方の実効値から、(38)式のようにして、循環電流指令値Iq2b*を決めてもよい。
第1の実施形態ではアーム電流ピーク値Ip*として100Aの例で説明した。しかし、これに限られず、アーム電流ピーク値Ip*は、100A以外でもよく、例えばIp*=Idc0/6(Idc0:定格電流値)としてもよい。このとき、負荷が小さいときも、大きいときも、ほぼ所定値のコンデンサ電流Icを流すことができる。これにより、変流器207の二次側巻線に流れる電流を、常に所定値とすることができ、抵抗R1や、ツェナーダイオードZ1の選定が容易になる。
図13(a)〜(g)は、第1の実施形態に於ける電力変換装置102aの運転状態を示す図である。図13(a)〜(g)に於いて横軸は、共通する運転状態を示している。
図13(a)は、電力変換装置102aの運転状態を示している。
図13(b)は、交流電力の状態遷移を模式的に示している。
図13(c)は、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧Vcjkの遷移を模式的に示している。
図13(d)は、自給電源206が有する給電コンデンサC2の電圧V2の遷移を模式的に示している。
図13(e)は、自給電源206が有する給電コンデンサC1の電圧V1の遷移を模式的に示している。
図13(f)は、循環電流指令値Iq2b*の遷移を模式的に示している。
図13(g)は、自給電源206の出力電圧Voutの遷移を模式的に示している。
時間t0から時間t1に於いて、電力変換装置102aは、停止状態である。このとき、交流電力と循環電流指令値Iq2b*とは、0(p.u)である。コンデンサ電圧VCjkと、給電コンデンサC2の電圧V2と、給電コンデンサC1の電圧V1と、自給電源206の出力電圧Voutは、全て0[V]である。初充電装置120と、遮断器121とは、いずれも投入されていない。
時間t1に於いて、制御部112は、初充電装置120を投入する。これにより、各双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkが上昇する。なお、コンデンサ203の充電完了は、運転準備の完了である。
双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkが上昇すると、各双方向チョッパ型単位変換器108が備える自給電源206の給電コンデンサC2が充電され、さらに給電コンデンサC2に充電された電荷によって給電コンデンサC1も充電される。
時間t1aに於いて、給電コンデンサC1,C2の電圧V1,V2が、電圧調整回路305の動作可能電圧まで上昇すると、自給電源206は、出力電圧Voutをゲートドライバ205に印加し、自身への電力の供給を開始する。こうして、電力変換装置102aは、運転準備を完了する。
時間t2に於いて、制御部112が遮断器121を投入すると、電力変換装置102aは、運転状態に移行する。自給電源206の給電コンデンサC1を充電するため、制御部112の循環電流指令値演算器510は、循環電流指令値Iq2b*を出力し、循環電流IRb,ISb,ITbを所定値とする。制御部112は、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkを定格値に制御する。
時間t3に於いて、電力変換装置102aの発電電力が増加すると、先に説明したように、コンデンサ203に流れる電流Icが増加する。これにより、循環電流IRb,ISb,ITbがゼロであっても、自給電源206の給電コンデンサC1は充電されるようになる。
そのため、時間t4に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*をゼロにしている。
運転状態から停止するときには、以下のように処理される。
時間t5に於いて、電力変換装置102aは、自身を停止させるために発電電力を低下させる。これにより、コンデンサ203に流れる電流Icが減少するため、時間t5以降に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*を次第に上昇させて、自給電源206の給電コンデンサC1を充電する。
時間t6に於いて、制御部112は、循環電流指令値Iq2b*を所定値に上昇させて、自給電源206の給電コンデンサC1を充電する。
時間t7に於いて、電力変換装置102aは、運転を停止する。制御部112は、運転停止後の適宜のタイミングで、循環電流指令値Iq2b*をゼロに復帰させる。
このように、二次成分を追加することにより、系統電流IR,IS,ITが小さいか、または、流れていない場合でも、自給電源206の給電コンデンサC1を充電できるだけの電流Icを、コンデンサ203に流すことができる。
図14(a),(b)は、第1の実施形態に於ける循環電流と系統電流とを示す波形図である。
図14(a)は、時間t2〜t4前後に於ける循環電流IRb,ISb,ITbの波形を示す図である。縦軸は、循環電流[A]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
図14(b)は、時間t2〜t4前後に於ける系統電流IR,IS,ITの波形を示す図である。縦軸は、系統電流Idref[A]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していないことがわかる。
図15(a)〜(d)は、第1の実施形態に於けるコンデンサ電圧/電流を示す波形図である。
図15(a)は、コンデンサ電圧VCjkの二次成分振幅を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
図15(b)は、コンデンサ電圧VCjkの一次成分振幅を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
図15(c)は、コンデンサ電流Icの二次成分振幅を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
図15(d)は、コンデンサ電流Icの一次成分振幅を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図14と図15で共通する時間[s]を示している。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流により、コンデンサ電流Icの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、系統電流により、コンデンサ電流Icの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。
このように、双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203に印加される電圧から、自身を駆動するための電力を供給する回路(図5の給電コンデンサC2を含む回路)と、コンデンサ203に流れる電流Icから、変流器207によって、自身を駆動するための電力を供給する回路(図5の給電コンデンサC1を含む回路)を備えている。双方向チョッパ型単位変換器108は、電力変換装置102aが運転開始した後、制御部112によって、コンデンサ203に流れる電流Icの一次成分の振幅、または、電流Icの二次成分の振幅が所定値以上となるように制御され、変流器207により、自身を駆動するための電力を供給する構成としている。
(第1の実施形態の効果)
以上説明した第1の実施形態では、次の(A)〜(E)のような効果がある。
(A) 双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に印加される電圧から給電する回路は、数千Vの直流電圧を、抵抗R2,R3で分圧して低電圧を作成する。そのため、抵抗R2により、電力の損失が発生する。特に数Wの電力を供給しようとする場合は、抵抗R2による電力の損失は顕著となる。第1の実施形態によれば、双方向チョッパ型単位変換器108は、電力変換装置102aの運転中に、変流器207を介してゲートドライバ205に電源を供給できる。そのため、抵抗R2による電力の損失を少なくすることが可能になる。
(B) 双方向チョッパ型単位変換器108は、コンデンサ203に、電力取得手段である変流器207を直列接続し、変流器207の二次側に流れる電流を整流して、給電コンデンサC1に蓄えている。これにより、コンデンサ203に流れる電流の交流成分から、直流の電力を供給することができる。
(C) 制御部112は、電力変換装置102aの交流出力電力が小さい時に、アーム105に2次成分の循環電流IRb,ISb,ITbを流している。これにより、電力変換装置102aの交流出力電力が小さいときであっても、自給電源206の変流器207を介して、自身のゲートドライバ205に電源を供給できる。
(D) 双方向チョッパ型単位変換器108の自給電源206は、コンデンサ203に印加された両端電圧を整流して、給電コンデンサC2に蓄えている。これにより、コンデンサ203に流れる電流の振幅が小さい初期状態に於いて、コンデンサ203に印加された直流電圧によって、電力を供給することができる。
(E) 双方向チョッパ型単位変換器108の自給電源206は、給電コンデンサC1と電圧調整回路305の入力端子とは直結されており、給電コンデンサC2と電圧調整回路305の入力端子との間に、順方向接続されたダイオードD3によって接続されている。これにより、給電コンデンサC1による電力の供給が行われるようになったときには、給電コンデンサC2への充電と放電とは殆ど行われなくなり、よって抵抗R2による電力の損失を少なくすることができる。
(第2の実施形態の構成)
第2の実施形態の直流送電システム100は、第1の実施形態の直流送電システム100(図1参照)と同様に構成されている。
図16は、第2の実施形態に於ける制御部112の論理構成を示す図である。第1の実施形態の制御部112(図6参照)と同一の要素には同一の符号を付与している。
第2の実施形態の制御部112aは、第1の実施形態の制御部112(図6参照)とは異なるアーム電圧指令値生成部311aを備えている。第2の実施形態のアーム電圧指令値生成部311aは、第1の実施形態のアーム電流調整器330(図6参照)とは異なるアーム電流調整器330aを備え、更に、二次振幅検出器316と、最小値演算器317と、加減算器318と、制御ゲイン319とを備えている。
第2の実施形態のアーム電流調整器330aは、第1の実施形態の循環電流指令値演算部500を備えておらず、かつ、第1の実施形態のアーム電流調整回路600とは異なるアーム電流調整回路600aを備えている。
第2の実施形態の制御部112aは、循環電流指令値Iq2b*の与え方が第1の実施形態の制御部112とは異なる。第1の実施形態の制御部112は、循環電流指令値演算部500(図8参照)によって、最適な循環電流を演算し、コンデンサ電流Icを確保していた。
第2の実施形態の制御部112aは、二次振幅検出器316によってコンデンサ電圧VCjkの二次振幅を検出し、最小値演算器317によって、検出した二次振幅の最小値Vc2mを検出し、この最小値Vc2mが所定値(コンデンサ電圧変動指令値Vc2*)に収束するようにフィードバック制御している。
図17は、第2の実施形態に於けるアーム電流調整器330aの論理構成を示す図である。第1の実施形態のアーム電流調整器330(図8参照)と同一の要素には同一の符号を付与している。
第2の実施形態のアーム電流調整器330aは、第1の実施形態のアーム電流調整器330とは異なり、循環電流指令値演算部500を備えておらず、アーム電流調整器330aの外から循環電流指令値Iq2b*が、q軸の加減算器611に与えられている。
第2の実施形態のアーム電流調整回路600aは、第1の実施形態のアーム電流調整回路600に加えて更に、定数器620を備えている。定数器620は、d軸の加減算器611に、循環電流指令値Id2b*として0を出力するものである。
(第2の実施形態の動作)
図17に示す循環電流指令値Iq2b*の作成方法を、図16を参照して説明する。
二次振幅検出器316は、各コンデンサ電圧検出線114を介して、各コンデンサ電圧Vcjk(図4参照)を双方向チョッパ型単位変換器108ごとに取得し、各コンデンサ電圧Vcjkの二次成分の電圧振幅を、最小値演算器317に出力する。
最小値演算器317は、各コンデンサ電圧Vcjkの二次成分に於ける電圧振幅の最小値Vc2mを演算し、加減算器318に出力する。
加減算器318は、コンデンサ電圧変動指令値Vc2*と最小値Vc2mとの差(Vc2*−Vc2m)を演算し、制御ゲイン319に出力する。
制御ゲイン319は、加減算器318の出力信号に対して比例積分制御を行い、q軸の循環電流指令値Iq2b*を得る。
この構成により、制御部112aは、コンデンサ電圧VCの変動の二次成分が小さくなると、循環電流指令値Iq2b*の値を大きくすることができる。これにより、各双方向チョッパ型単位変換器108は、自給電源206の変流器207に流れる電流から、自身に電源を供給することができる。
第2の実施形態では、電力変換装置102aの出力電力が大きくなると、その成分でコンデンサ203の電圧変動が大きくなる。コンデンサ203の電圧変動が大きくなると、循環電流指令値Iq2b*は小さくなる。よって、第2の実施形態の電力変換装置102aにより、第1の実施形態の電力変換装置102aと同等の効果を得ることができる。
図18は、第2の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ一次電圧の特性を示す図である。
この図は、循環電流指令値Iq2b*が100[A]の時の、系統電流とコンデンサ電圧VCの一次電圧変動V_c1との関係を示している。図の縦軸は、コンデンサ電圧VCの一次電圧変動V_c1[V]を示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
太実線は、循環電流を重畳する前の一次電圧変動V_c1を示している。細実線は、循環電流を重畳した後の一次電圧変動V_c1を示している。破線は、一次電圧変動V_c1の循環電流の重畳による増加分を示している。
循環電流指令値Iq2b*により、循環電流を重畳して流すことで、コンデンサ203の一次電圧変動V_c1が増加することがわかる。第2の実施形態では、コンデンサ203の一次電圧変動V_c1が所定値以上となるように制御することで、第1の実施形態と同等の効果を得ている。
図19は、第2の実施形態に於ける系統電流に対するコンデンサ二次電圧の特性を示す図である。
この図は、コンデンサ電圧VCの変動に現れる。循環電流指令値Iq2b*が100[A]の時の、系統電流とコンデンサ電圧VCの二次電圧変動V_c2との関係を示している。図の縦軸は、コンデンサ電圧VCの二次電圧変動V_c2[V]を示している。図の横軸は、系統電流Id[A]を示している。
太実線は、循環電流を重畳する前の二次電圧変動V_c2を示している。細実線は、循環電流を重畳した後の二次電圧変動V_c2を示している。破線は、二次電圧変動V_c2の循環電流の重畳による増加分を示している。
循環電流指令値Iq2b*により、循環電流を重畳して流すことで、コンデンサ203の二次電圧変動V_c2が増加することがわかる。第2の実施形態では、コンデンサ203の二次電圧変動V_c2が所定値以上となるように制御することで、第1の実施形態と同等の効果を得ている。
図20(a),(b)は、第2の実施形態に於ける循環電流と系統電流とを示す波形図である。
図20(a)は、図13の時間t2〜t4前後に於ける循環電流の波形を示す図である。縦軸は、循環電流[A]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
図20(b)は、図13の時間t2〜t4前後に於ける系統電流の波形を示す図である。縦軸は、系統電流Idref[A]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していることが分かる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流を流していないことがわかる。
図21(a)〜(d)は、第2の実施形態に於けるコンデンサ電圧/電流を示す図である。
図21(a)は、図13の時間t2〜t4前後に於けるコンデンサ電圧VCの二次成分振幅を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
図21(b)は、図13の時間t2〜t4前後に於けるコンデンサ電圧VCの一次成分振幅を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
図21(c)は、図13の時間t2〜t4前後に於けるコンデンサ電流Icの二次成分振幅を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
図21(d)は、図13の時間t2〜t4前後に於けるコンデンサ電流Icの一次成分振幅を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図20と図21で共通する時間[s]を示している。
これらの図より、系統電流Idrefが流れていない0.2〜0.4秒に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、循環電流により、コンデンサ電圧VCの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。更に、系統電流Idrefが流れている0.5秒以降に於いて、本実施形態の電力変換装置102aは、系統電流により、コンデンサ電圧VCの一次成分の振幅と二次成分の振幅とを得ていることがわかる。
第1の実施形態と第2の実施形態の電力変換装置102aは、系統電流が小さい時にも、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分の振幅が所定値以上になるように調整している。これにより、各双方向チョッパ型単位変換器108は、自給電源206の変流器207に流れる電流によって、自身に電源を供給することができる。循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分は、系統電流IR,IS,ITとは周波数が異なるために、制御しやすい。更に、系統電流IR,IS,ITが大きい場合には、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分によるコンデンサ電流Icの振幅増加が小さくなる。よって、第1の実施形態と第2の実施形態の電力変換装置102aは、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分を調整している。
しかし、これに限られず、電力変換装置102aは、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分のかわりに、循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の一次成分、またはd軸の二次成分を調整してもよい。
(第2の実施形態の効果)
以上説明した第2の実施形態では、次の(F),(G)のような効果がある。
(F) 循環電流IRb,ISb,ITbのq軸の二次成分は、系統電流IR,IS,ITとは周波数が異なる。そのため、このq軸の二次成分は制御しやすく、循環電流IRb,ISb,ITbを所望の大きさにすることができる。これにより、双方向チョッパ型単位変換器108は、自給電源206の変流器207に流れる電流から、安定して自身に電源を供給することができる。
(G) 第2の実施形態の制御部112aは、二次振幅検出器316によってコンデンサ電圧VCの二次振幅を検出し、最小値演算器317によって、検出した二次振幅の最小値を検出し、この最小値が所定値に収束するようにフィードバック制御している。これにより、直接的にコンデンサに流れる電流を検出して、その電流の最小値が所定値以上となるように制御することができ、双方向チョッパ型単位変換器108自身を更に安定に駆動するように電力を供給できる。
(第3の実施形態の構成)
図22は、第3の実施形態に於ける直流送電システムの概略の構成を示す図である。
第3の実施形態の直流送電システム100bは、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、電圧型の電力変換装置102c,102dを用いて構成されている。しかし、第3の実施形態の電力変換装置102c,102dは、回路構成が第1の実施形態および第2の実施形態の電力変換装置102a,102bとは異なる。
第3の実施形態の直流送電システム100bは、電力変換装置102cと電力変換装置102dとを備えている。第3の実施形態の直流送電システム100bは、交流系統101aと交流系統101bの間に、電力変換装置102cと電力変換装置102dとが接続されている。電力変換装置102cは、正の直流端子Pcと負の直流端子Ncとを備えている。電力変換装置102dは、正の直流端子Pdと負の直流端子Ndとを備えている。電力変換装置102cと電力変換装置102dとの間は、正の直流端子Pcと正の直流端子Pdとが接続され、更に負の直流端子Ncと負の直流端子Ndとが接続されている。これら正の直流端子Pc,Pdの接続と、負の直流端子Nc,Ndの接続とは、直流系統(直流送電線路)を構成している。ここで、直流端子Pc,Pdの電圧は、直流端子Nc,Ndの電圧よりも高いものとする。
第3の実施形態の直流送電システム100bは、例えば、第1の交流系統である交流系統101aの電力を、第2の交流系統である交流系統101bに供給するものである。直流送電システム100bは、第1の電力変換装置である電力変換装置102cに於いて交流を直流に変換し、直流系統を介して第2の電力変換装置である電力変換装置102dに於いて直流を交流に電力変換する。これら電力変換装置102c,102dは、各種信号線を介して制御装置150に接続されている。
次に電力変換装置102c,102dの構成について説明するが、これらは、ほぼ同一構成なので、ここでは電力変換装置102cを中心に説明する。
電力変換装置102cは、交流電圧センサ110と、初充電装置120と、遮断器121と、変圧器130と、各相のアーム105(R相のアーム105R、S相のアーム105S、T相のアーム105T)と、交流電流センサ140と、制御装置150と、ゲート信号線113と、コンデンサ電圧検出線114と、直流電圧センサ115とを備えている。
電力変換装置102cは、遮断器121を介して交流系統101aに接続している。第3の実施形態では、変圧器130の交流系統101a側を1次側とし、各線を一次側端子R,S,Tとする。また、第3の実施形態では、変圧器130の各相の二次側の正側を、二次側正端子Rb,Sb,Tbとし、変圧器130の各相の二次側の負側は、二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)に接続されている。
R相のアーム105Rは、単位変換器群106Rと、アーム電流センサ111とを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106Rは、M個(Mは2以上の自然数)の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
S相のアーム105Sは、単位変換器群106Sと、アーム電流センサ111とを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106Sは、M個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
T相のアーム105Tは、単位変換器群106Tと、アーム電流センサ111とを備え、これらが直列接続されている。単位変換器群106Sは、M個の双方向チョッパ型単位変換器108が直列接続されている。
次に、変圧器130の内部の構成について説明する。
変圧器130は、鉄心131R,131S,131Tと、巻線132RA,132RB,132RCと、巻線132SA,132SB,132SCと、巻線132TA,132TB,132TCとを備え、更に、一次側端子R,S,Tと、二次側正端子Rb,Sb,Tbと、二次側負端子Nxと、内部端子Nyとを備えている。二次側負端子Nxは、第2の直流端子である負側の直流端子Ncに接続されている。
鉄心131Rには、第1の二次巻線である巻線132RBと、第2の二次巻線である巻線132TCとが、それぞれ同じ巻数だけ巻かれている。鉄心131Rには更に、一次巻線である巻線132RAが、巻線132TCと同方向に巻かれている。
鉄心131Sには、第1の二次巻線である巻線132SBと、第2の二次巻線である巻線132RCとが、それぞれ同じ巻数だけ巻かれている。鉄心131Sには更に、一次巻線である巻線132SAが、巻線132RCと同方向に巻かれている。
鉄心131Tには、第1の二次巻線である巻線132TBと、第2の二次巻線である巻線132SCとが、それぞれ同じ巻数だけ巻かれている。鉄心131Tには更に、一次巻線である巻線132TAが、巻線132SCと同方向に巻かれている。
変圧器130は、これら複数の鉄心131R,131S,131Tを備えている。
以下、鉄心131R,131S,131Tを特に区別しないときには、単に鉄心131と記載する。各巻線132RA〜132TCを特に区別しないときには、単に巻線132と記載する。これらの巻線132は、各鉄心131R,131S,131Tに対して同じ方向に巻かれている。
各鉄心131に於いて、図中の二次側正端子Rb,Sb,Tbの方向にある端子を、正側端子と呼ぶ。図中の二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)の方向にある端子を、負側端子と呼ぶ。
巻線132RA,132SA,132TAの正側端子は、それぞれ一次側端子R,S,Tに接続されている。巻線132RA,132SA,132TAの負側端子は、互いに接続され、スター結線(Y結線)されている。すなわち、一次巻線である巻線132RA,132SA,132TAは、交流系統101aにY接続されている。
第1の二次巻線である巻線132RB,132SB,132TBの正側端子は、それぞれ異なる相の鉄心131に巻かれた第2の二次巻線である巻線132RC,132SC,132TCの正側端子に接続されている。
各相のアーム105R,105S,105Tの一端は、正側の直流端子Pcに接続されている。
第1の二次巻線132RB,132SB,132TBの負側端子は、それぞれ二次側正端子Rb,Sb,Tbに接続され、各相のアーム105R,105S,105Tの他端に接続されている。
第2の二次巻線である巻線132RC,132SC,132TCの負側端子は、全て二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)に接続されている。
ここで、二次側正端子Rb,Sb,Tbから二次側負端子Nx(負側の直流端子Nc)に向かって、同一の直流電流を流したときを考える。鉄心131Rに於いて、巻線132RBに発生する磁束と、巻線132TCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。鉄心131Sに於いて、巻線132SBに発生する磁束と、巻線132RCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。鉄心131Tに於いて、巻線132TBに発生する磁束と、巻線132SCに発生する磁束は、逆方向かつ同一の強さであるため、互いに打ち消し合う。
これにより、電力変換装置102c,102dは、交流系統101a,101bの系統電流とは独立に、直流系統の電流Idcを流すことができる。
第3の実施形態に於いて、巻線132RA,132SA,132TAは、内部端子Nyにそれぞれ接続され、スター結線(Y結線)されている。しかし、これに限られず、巻線132RA,132SA,132TAは、デルタ結線(Δ結線)としても構成してもよい。
遮断器121の両端子間には、初充電装置120を並列に接続している。初充電装置120は、電力変換装置102cを構成する双方向チョッパ型単位変換器108が持つ直流部のコンデンサ203を初期充電するための装置である。初充電装置120は、例えば、抵抗器と遮断器の直列回路で構成し、遮断器121が投入される前に動作して、双方向チョッパ型単位変換器108が持つ直流部のコンデンサ203を初期充電する。
R相のアーム105Rの一端は、変圧器130の二次側正端子Rbに接続されている。R相のアーム105Rの他端は、直流端子Pc(第1の直流端子)に接続されている。アーム105Rに於いて、単位変換器群106Rが出力する電圧は、出力電圧VRaとする。アーム105Rには、二次側正端子Rbから直流端子Pcの方向に、アーム電流IRaが流れる。出力電圧VRaとアーム電流IRaは、二次側正端子Rbから直流端子Pcの方向が正である。
S相のアーム105Sの一端は、変圧器130の二次側正端子Sbに接続されている。S相のアーム105Sの他端は、直流端子Pc(第1の直流端子)に接続されている。アーム105Sに於いて、単位変換器群106Sが出力する電圧は、出力電圧VSaとする。アーム105Rには、二次側正端子Sbから直流端子Pcの方向に、アーム電流ISaが流れる。出力電圧VSaとアーム電流ISaは、二次側正端子Sbから直流端子Pcの方向が正である。
T相のアーム105Tの一端は、変圧器130の二次側正端子Tbに接続されている。T相のアーム105Tの他端は、直流端子Pc(第1の直流端子)に接続されている。アーム105Tに於いて、単位変換器群106Tが出力する電圧は、出力電圧VRaとする。アーム105Tには、二次側正端子Tbから直流端子Pcの方向に、アーム電流ITaが流れる。出力電圧VTaとアーム電流ISaは、二次側正端子Tbから直流端子Pcの方向が正である。
第3の実施形態では、各アーム105の他端が第1の直流端子である直流端子Pcに接続され、変圧器130の二次側負端子Nxが第2の直流端子である負側の直流端子Ncに接続されている。しかし、これに限られず、各アーム105の他端が負側の直流端子Ncに接続され、変圧器130の二次側負端子Nxが正側の直流端子Pcに接続されていてもよい。
次に、制御装置150の動作について簡単に説明する。なお、本実施形態では、変圧器130の巻数比(巻線132RA,132RB,132TC)、(巻線132SA,132SB,132RC)、(巻線132TA,132TB,132SC)が、それぞれ2:1:1である場合を想定して説明する。しかし、これに限られず、巻数比は、(X:1:1)であってもよい。これにより、電力変換装置102c,102dは、系統電流IR,IS,ITを流すことなく、アーム105R,105S,105Tに零相成分の電流を流すことができる。
制御装置150には、電力変換装置102c,102dの双方が備える交流電圧センサ110と、直流電圧センサ115と、各アーム電流センサ111と、交流電流センサ140から信号が取り込まれている。
制御装置150は、コンデンサ電圧検出線114を介して、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ電圧VCjkl(j=R,S,T、k=1,2,…,M、l=c,d)を取り込んでいる。
制御装置150は、電力変換装置102cを制御する制御部112cと、電力変換装置102dを制御する制御部112dと、直流電流検出部151と、直流電流調整部152とを備えている。
直流電流検出部151は、電力変換装置102cのアーム電流IRa,ISa,ITaの総和を計算し、直流電流Idcを計算するものである。しかし、これに限られず、直流電流検出部151は、電力変換装置102cの循環電流IRb,ISb,ITbから、直流電流Idcを計算する構成としてもよい。更に、制御装置150は、直流電流検出部151を設けず、直流電流Idcを直接に検出する電流センサを設けてもよい。
直流電流調整部152は、直流電流Idcおよび電力変換装置102c,102dのコンデンサ電圧VCjkl(j=R,S,T、k=1,2,…,M、l=c,d)に基づき、零相アーム電圧指令値V0a*,V0b*を生成する。直流電流調整部152は、電力変換装置102cの制御部112cに第1の零相アーム電圧指令値V0a*を出力し、電力変換装置102dの制御部112dに第2の零相アーム電圧指令値V0b*を出力するものである。直流電流調整部152の動作は、後記する図25で詳細に説明する。
電力変換装置102cの制御部112cは、電力変換装置102cの各センサ検出値および零相アーム電圧指令値V0a*に基づき、ゲート信号GHxk,GLxk(x=R,S,T、k=1,2,…,M)を生成し、ゲート信号線113を介して、電力変換装置102cの各双方向チョッパ型単位変換器108に転送する。
第1の実施形態で説明したように、ゲート信号GHxkは、双方向チョッパ型単位変換器108のハイサイドスイッチング素子201Hを駆動する信号である。ゲート信号GLxkは、双方向チョッパ型単位変換器108のローサイドスイッチング素子201Lを駆動する信号である。
電力変換装置102dの制御部112dは、電力変換装置102dの各センサ検出値および零相アーム電圧指令値V0b*に基づき、ゲート信号GHxk,GLxk(x=R,S,T、k=1,2,…,M)を生成し、ゲート信号線113を介して、電力変換装置102dの各双方向チョッパ型単位変換器108に転送する。制御部112dの機能構成は、制御部112cと同一なので、以降の説明を省略する。
図23は、第3の実施形態に於ける制御部112cの論理構成を示す図である。
制御部112cは、電力変換装置102cに与えるアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成するアーム電圧指令値生成部311bと、アーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を各双方向チョッパ型単位変換器108に分配する指令値分配部313bを備えている。
アーム電圧指令値生成部311bは、交流系統101aから電力変換装置102cに流入する電力を所定値に制御する電力制御機能と、アーム105R,105S,105Tに流すアーム電流IRa,ISa,ITaおよび系統電流IR,IS,ITを制御する電流制御機能と、前記2つの制御機能を実現するためのアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成する機能を備えている。交流側電力演算器340bは、第1の実施形態の交流側電力演算器340とは異なり、系統電流IR,IS,ITと系統電圧VGR,VGS,VGTによって有効電力Pと無効電力Qとを算出するように構成されている。有効電力調整器APRと、無効電力調整器AQRとは、第1の実施形態と同一の機能であり、説明を省略する。
アーム電圧指令値生成部311bは、電力変換装置102cと交流系統101aの間に流れる系統電流の有無、および、電力変換装置102dと交流系統101bの間に流れる系統電流の有無によらず、双方向チョッパ型単位変換器108のコンデンサ203に電流を流すのに必要なアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成する。
制御部112cの電流制御機能は、アーム電流調整器330bによって実行される。アーム電流調整器330bは、交流電圧センサ110で求めた交流各相の系統電圧VGR,VGS,VGTと、アーム電流センサ111で求めたアーム電流IRa,ISa,ITaと、交流電流センサ140で求めた系統電流IR,IS,ITと、直流電流調整部152で演算された零相アーム電圧指令値V0a*と、有効電力調整器APRで求めた交流側のd軸電流指令値Id*と、無効電力調整器AQRで求めたq軸電流指令値Iq*(無効分電流指令)とを用いて、アーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を生成する。
指令値分配部313bは、第1の実施形態の指令値分配部313とは異なり、3種のゲートパルス生成部312を有し、ゲート信号線113によって、アーム105Rの各双方向チョッパ型単位変換器108と、アーム105Sの各双方向チョッパ型単位変換器108と、アーム105Tの各双方向チョッパ型単位変換器108とに、それぞれ接続されている。
指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VRa*が入力されたとき、ゲート信号GHRk,GLRkを、アーム105Rの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VSa*が入力されたとき、ゲート信号GHSk,GLSkを、アーム105Sの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。指令値分配部313bは、アーム電圧指令値VTa*が入力されたとき、ゲート信号GHTk,GLTkを、アーム105Tの各双方向チョッパ型単位変換器108に出力する。
図24は、第3の実施形態に於けるアーム電流調整器330bの論理構成を示す図である。第1の実施形態のアーム電流調整器330(図8参照)と同一の要素には同一の符号を付与している。
第3の実施形態のアーム電流調整器330bは、第1の実施形態のd−q変換回路400(図8参照)とは異なるd−q変換回路400bと、第1の実施形態のアーム電流調整回路600(図8参照)とは異なるアーム電流調整回路600bと、第1の実施形態のアーム電圧指令値算出部800(図8参照)とは異なるアーム電圧指令値算出部800bとを備えている。
(d−q変換回路400bの構成と動作)
d−q変換回路400bは、アーム電流IRa,ISa,ITaを、d軸電流IdFBと、q軸電流IqFBとに変換する。
d−q変換回路400bは、第1の実施形態と同様に、α−β変換部402によって、(8)式に基づき、アーム電流IRa,ISa,ITaを、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとに変換する。ここで、(8)式の系統電流IR,IS,ITは、それぞれ交流系統101aに流れる電流IRa,ISa,ITaと読み替えるものとする。
d−q変換回路400bは、第1の実施形態と同様に、d−q変換部403によって、(9)式に基づき、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとを、d軸電流IdFBとq軸電流IqFBとに変換する。
ここで、d−q変換部403に用いる位相角θは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから位相検出器306(図23参照)で検出した位相角θであり、系統電圧VGRの位相に同期している。
(アーム電流調整回路600bの構成と動作)
アーム電流調整回路600bは、第1の実施形態と同様に、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備え、更に行列演算器604を備えている。行列演算器604は、入力された2個の入力信号に行列演算を行い、2個の出力信号を出力するものである。
アーム電流調整回路600bは、(39)式に基づいて、d−q変換回路400bの出力であるd軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に収束し、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に収束するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
(39)式の右辺第1項のd軸電圧成分VGdおよびq軸電圧成分VGqは、d−q変換回路700に於いて、α−β変換部701およびd−q変換部702によって、前記した(2)式と、前記した(16)式に基づき、系統電圧VGR,VGS,VGTを演算したものに、3の平方根の1/2を掛けてアーム電圧指令としたものである。なお、前記した(16)式の左辺のd軸電圧成分Vdを、d軸電圧成分VGdと読み替え、前記した(16)式の左辺のq軸電圧成分Vqを、q軸電圧成分VGqと読み替える。
また(39)式が示すアーム電流調整回路600bに於いて、ゲイン602は、例えば比例積分調整器などで構成されていてもよい。
第1の電流制御手段であるアーム電流調整回路600bは、交流出力dq軸電流を構成するd軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に収束し、かつ、交流出力dq軸電流を構成するq軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に収束するように、加減算器601とゲイン602とにより、フィードバック制御する。行列演算器604により、フィードバック制御の結果を行列演算する。加減算器603により、d軸電圧成分VGdとq軸電圧成分VGqとから、行列演算の結果を減算する。乗算器605により、3の平方根の1/2のゲインを掛けて、第1の偏差信号である交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
(アーム電圧指令値算出部800bの構成と動作)
アーム電圧指令値算出部800bは、第1の実施形態と同様に、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802とを備え、更に加減算器825と、ゲイン824とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800bは、第1の実施形態と同様に、逆d−q変換部801によって、前記した(17)式に基づき、dq軸交流電圧指令値Vd*,Vq*から、αβ軸の交流電圧指令値Va*,Vb*を演算する。
最終的にアーム電圧指令値算出部800bは、逆α−β変換部802と、ゲイン824と、加減算器825とによって、(40)式に基づき、αβ軸の交流電圧指令値Va*,Vb*、および、直流電流調整部152から出力された零相アーム電圧指令値V0a*から、アーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*を演算する。
このようにして得られたアーム電圧指令値VRa*,VSa*,VTa*は、図23の指令値分配部313bに出力(伝送)される。
(指令値分配部313bの動作)
指令値分配部313b(図23参照)の動作について、ゲートパルス生成部312から、順次その動作を説明する。但し、ここでは単位変換器群106Rを構成する複数の双方向チョッパ型単位変換器108を点弧する例について説明する。
単位変換器群106Rに対するゲートパルス生成部312は、例えばパルス幅変調方式(PWM方式)を用い、(40)式で得られた各アーム電圧指令値VRa*と、単位変換器群106Rの出力電圧VRaとが極力一致するように、ゲート信号GHRk,GLRkを生成する。このゲートパルス生成部312は、ゲート信号GHRk,GLRkによって、単位変換器群106Rに含まれるM個の双方向チョッパ型単位変換器108の出力電圧VRaを制御する。
以下同様に、単位変換器群106Sに対するゲートパルス生成部312は、出力電圧VSaを制御するゲート信号GHSk,GLSkを生成する。
単位変換器群106Tに対するゲートパルス生成部312は、出力電圧VSaを制御するゲート信号GHTk,GLTkを生成する。
図25は、第3の実施形態に於ける直流電流調整部152の論理構成を示す図である。
直流電流調整部152は、コンデンサ電圧検出線114を介して、各双方向チョッパ型単位変換器108からコンデンサ電圧VCjklを取得し、直流電流検出部151から電流Idcを取得し、零相アーム電圧指令値V0a*,V0b*を算出するものである。
直流電流調整部152は、コンデンサ電圧VCの変動が小さい時に、直流系統に周波数fdc[Hz]の交流成分を有する電流Idcを流すことにより、双方向チョッパ型単位変換器108が自給電源206の変流器207によって自身に電力を供給可能なように、直流電流Idcを調整するものである。ここで、周波数fdc[Hz]は、交流系統101aの周波数である系統周波数faとは異なり、かつ、交流系統101bの周波数である系統周波数fbとも異なる値となるように調整する。
ここで、直流系統に流れる電流Idcに含まれる周波数fdc[Hz]の交流成分のことを、交流成分IdcACと記載する。交流成分IdcACは、零相成分の電流である。
まず、周波数fdcの交流成分IdcACの指令値の演算について説明する。
振幅検出器901は、コンデンサ電圧検出線114を介して、電力変換装置102cおよび電力変換装置102dの各コンデンサ203の電圧であるコンデンサ電圧VCjklが入力されたとき、その両端電圧の最大値と最小値の差を、コンデンサ電圧VCjklの振幅として最小値演算器902に出力する。振幅検出器901が最大値と最小値とを測定する時間は、電流の交流成分の一周期以上が含まれる時間であり、かつ、周波数fdc成分の電流の一周期以上が含まれる時間とする。
最小値演算器902は、コンデンサ電圧VCjklの振幅が入力されたとき、振幅最小値Vcampを算出して、加減算器903に出力する。加減算器903は、(41)式に基づいて、振幅最小値Vcampが、振幅指令値Vcamp*以上となるように、周波数fdcに係る交流成分指令値IdcAC*を演算し、ゲイン904に出力する。ゲイン904は、加減算器903の出力結果に所定のゲインを掛けて、交流成分指令値IdcAC*を出力する。
ここで、ゲイン904は、例えば比例積分調整器などである。ゲイン904は、交流成分指令値IdcAC*が、0を下回らないように制御するものである。
次に、直流電流Idcの調整について説明する。
発振器911は、振幅1で周波数fdcの正弦波cos(θd)を発振し、乗算器912と乗算器922とに出力する。
乗算器912と移動平均演算器913と乗算器914とは、(42)式に基づいて、直流電流Idcから交流成分IdcACを計算する。移動平均演算器913の移動平均時間は、1/fdc[s]とする。
加減算器905と、ゲイン921と、乗算器922とは、(43)式に基づいて、直流電流Idcの交流成分IdcACが、交流成分指令値IdcAC*と一致するように、零相アーム電圧指令値V0a*,V0b*を演算する。
直流電圧指令値VDC*は、乗算器931によって(1/3)の平方根が乗算される。加減算器932によって、乗算器922の出力と、乗算器931の出力とが加算され、(44)式に基づき、零相アーム電圧指令値V0a*が算出される。零相アーム電圧指令値V0a*は、制御部112cに出力される。
加減算器933によって、乗算器931の出力から乗算器922の出力が減算され、(45)式に基づき、零相アーム電圧指令値V0b*が算出される。零相アーム電圧指令値V0b*は、制御部112dに出力される。
なお、本実施形態は、直流電流調整部152(図25参照)の制御により、各双方向チョッパ型単位変換器108の自給電源206を駆動するのに充分な電流(交流成分)を、各アーム105に流していることに特徴がある。
(第3の実施形態の効果の説明)
第3の実施形態の構成並びに制御を採用した場合に、双方向チョッパ型単位変換器108は、変流器207から給電コンデンサC1を充分に充電可能であり、よって、自身を駆動する電力を供給可能なことを説明する。この説明により更に、直流送電システム100bが軽負荷の状態であっても、双方向チョッパ型単位変換器108は、自身を駆動するために充分な電力が得られることを明らかにする。
以下、直流送電システム100bの動作条件を、fa=60[Hz]、fdc=10[Hz]、VGd=31.2[kV]、Vdc=51.1[kV]、Vc=2.95[kV]、M=20[個]、コンデンサ1個あたりの容量c=0.0041[F]とする。ここでθd[rad]は、直流電流の位相角で、初期位相θ0[rad]を用いて(46)式で表されるものとする。
前提条件として、系統電流IR,IS,ITが(47)〜(49)式で表され、系統電圧VGR,VGS,VGTが(50)〜(52)式で表される場合を考える。なお、Iacは系統電流IR,IS,ITの振幅を表す。φは力率角を表す。また、VGq≒0[V]とするため、(50)〜(52)式ではVGqの項を省略している。
直流電流指令値Idc*を、交流系統101aから受け取る有効電力Pと、直流系統に渡す電力とを一致させ、さらに、本実施形態の特徴である直流系統に流れる電流Idcの交流成分IdcACの項を加えると、(53)式のように表せる。
このとき、アーム電流IRa,ISa,ITaは、(54)〜(56)式で表される。
更に、出力電圧VRa,VSa,VTaは、(57)〜(59)式で表される。
まず、R相のコンデンサ203に流れるコンデンサ電流IRcは、アーム電流IRaと通流率との積で表される。R相のコンデンサ203に印加されたコンデンサ電圧VRcは、コンデンサ203に流れる電流IRcの積分に比例して変化する。このため、R相のコンデンサ203に流れるコンデンサ電流IRcは(60)式で表される。R相のコンデンサ203に印加されたコンデンサ電圧VRcは、(61)式で表される。なお、S相やT相も、同様にして表すことができる。(60)式と(61)式に於いて、Mはアームあたりのセルの個数を示している。
振幅検出器901の出力がΔVRc[V]であり、最小値と最大値とを計測する時間が1/fdc=0.1[s]であり、コンデンサ203の容量をcとすると、コンデンサ203に流れるコンデンサ電流IRcの最大値は、(62)式以上となる。
そのため、例えば、振幅10[A]以上の電流を、コンデンサ203に流したい場合は、振幅指令値Vcamp*=10÷0.041=244[V]とすればよい。
次に、振幅指令値Vcamp*を与えた時の動作について説明する。
まず、系統電流の値が小さい場合の動作について、系統電流振幅Iac=0[A]、振幅指令値Vcamp*=244[V]の場合を例に説明する。この場合、コンデンサ電圧VRcの最大値と最小値の差、即ち(61)式の最大値と最小値との差は、(63)式以上となる。
もし、IdcAC=0[A]であれば、アーム105に電流が流れないので、振幅最小値Vcampが、振幅指令値Vcamp*より小さくなり、直流電流調整部152は、交流成分指令値IdcAC*を増加させて、アーム105に交流電流を流す様に制御を行う。
図26は、第3の実施形態に於ける系統電流無し時のコンデンサ電圧波形を示す図である。縦軸は、電圧[V]を示している。横軸は、時間[s]を示している。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電圧VRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電圧VScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電圧VTcの波形を示している。
これから、系統電流が電力変換装置102cに流れていないときでも、コンデンサ電圧VRc,VSc,VTcには、所定の交流成分の振幅を有していることが分かる。
図27は、第3の実施形態に於ける系統電流無し時のコンデンサ電流波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、時間[s]を示している。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電流IRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電流IScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電流ITcの波形を示している。
これから、系統電流が電力変換装置102cに流れていないときでも、コンデンサ電流IRc,ISc,ITcには、所定の交流成分が含まれていることが分かる。よって、双方向チョッパ型単位変換器108が、自身を駆動するのに充分な電流の交流成分がコンデンサ203に流れることを示している。
逆に、交流成分IdcACが216[A]以上であれば、(63)式より、振幅指令値Vcamp*は、(1.13×IdcAC)[V]によって近似計算できるので、振幅最小値Vcampは244[V]以上となる。そのため、直流電流調整部152は、交流成分指令値IdcAC*が減少するように制御を行う。その結果、振幅最小値Vcampが244[V]に近づき、コンデンサ203に、振幅10[A]以上の電流が流れる様になる。
この場合、直流系統に電流が流れることになるが、流れる電流は交流成分のみである。そのため、電力変換装置102cから電力変換装置102dに流れる電力は平均0[W]である。直流回路は、電力変換装置102cと電力変換装置102dのみを接続しているため、直流送電システム100bの外部に影響を与えることは無い。
また、電力変換装置102cに与える直流電流指令値と、電力変換装置102dに与える直流電流指令値とは、符号反転の関係である必要がある。これは、直流電流指令値を生成する直流電流調整部152(図22参照)を、直流送電システム100cに於いて共通にすることによって実現している。
直流系統を流れる電流Idcの周波数fdcは、交流系統101aの系統周波数faとも交流系統101bの系統周波数fbとも異なる。そのため、アーム105間に流れる電力は、平均0[W]である。
次に、系統電流IR,IS,ITが大きい場合を考える。直流系統を流れる電流Idcには、交流成分IdcACが含まれておらず、かつ、系統電流IR,IS,ITの力率が1(φ=0)としたとき、コンデンサ電圧は(64)式で表される。
(64)式に於いて、2π・fa・t+(1/6)π=±(1/2)πの場合に着目することにより、コンデンサ電圧の最大値と最小値の差が(65)式以上であることが分かる。
系統電流IR,IS,ITの振幅が600[A]であれば、コンデンサ電圧VCの最大値と最小値の差である振幅最小値Vcampは1938[V]となり、振幅指令値Vcamp*より大きい。そのため、直流電流調整部152は、直流系統に流れる電流Idcの交流成分IdcACが減少するように制御を行い、電流Idcの交流成分IdcACは0[A]となる。なお、この場合は、直流系統に流れる電流Idcの交流成分IdcACがなくても、双方向チョッパ型単位変換器108が自身を駆動するのに充分な電流の交流成分が、アーム105に流れている。
図28は、第3の実施形態に於ける系統電流有り時のコンデンサ電流波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、時間[s]を示している。
実線は、R相のアーム105Rに於けるコンデンサ電流IRcの波形を示している。破線は、S相のアーム105Sに於けるコンデンサ電流IScの波形を示している。一点鎖線は、T相のアーム105Tに於けるコンデンサ電流ITcの波形を示している。
このコンデンサ電流IRc,ISc,ITcの波形は、双方向チョッパ型単位変換器108が、自身を駆動するのに充分な電流の交流成分がコンデンサ203に流れていることを示している。
第3の実施形態に於ける運転状態は、第1の実施形態の運転状態(図13参照)と同様である。
(第3の実施形態の効果)
以上説明した第3の実施形態では、次の(H)のような効果がある。
(H) 直流送電システム100bの電力変換装置102c,102dは、リアクトルが不要となるので、第1、第2実施形態の電力変換装置102a,102bと同様の効果に加えて、体積と重量とを小さくできる。
(第4の実施形態の構成)
図29は、第4の実施形態に於ける直流送電システム100cの概略の構成を示す図である。図22に示す第3の実施形態の直流送電システム100bと同一の要素には同一の符号を付与している。
第4の実施形態の直流送電システム100cは、第3の実施形態の制御装置150(図22参照)とは異なる制御装置150cを備えている。第4の実施形態の制御装置150cは、第3の実施形態の直流電流調整部152(図22参照)とは異なる直流電流調整部152cを備えている。
第4の実施形態の直流電流調整部152cは、第3の実施形態の直流電流調整部152とは異なり、直流電流Idcの交流成分指令値IdcAC*を、(66)式にて生成している。
(66)式に於いて、Ipa*は、電力変換装置102cのアーム電流の振幅指令値である。Ipb*は、電力変換装置102dのアーム電流の振幅指令値である。
直流電流調整部152cには、直流電流Idcに加えて、交流電流指令値Ida*および交流電流指令値Idb*が入力されている。交流電流指令値Ida*[A]は、電力変換装置102cの交流電流指令値である。交流電流指令値Idb*[A]は、電力変換装置102dの交流電流指令値である。
交流電流指令値Ida*は、電力変換装置102cが備えている制御部112cから出力される。交流電流指令値Idb*は、電力変換装置102dが備えている制御部112dから出力される。
なお、制御部112cは、図30に示す通り、交流電流指令値Ida*を出力している点が第3の実施形態の制御部112cと異なっている。制御部112dは、交流電流指令値Idb*を出力している点が第3の実施形態の制御部112dと異なっている。
直流電流調整部152cは、後記する図31で詳細に説明する。
図30は、第4の実施形態に於ける制御部112cの論理構成を示す図である。
第4の実施形態の制御部112cは、第3の実施形態の制御部112c(図23参照)に加えて、交流電流指令値Ida*を直流電流調整部152cに出力している、それ以外は、同様に構成されている。
図31は、第4の実施形態に於ける直流電流調整部152cの論理構成を示す図である。
絶対値演算器940は、交流電流指令値Ida*の絶対値を演算して、乗算器941に出力する。乗算器941は、2の平方根の2倍を乗算して、加減算器943に出力する。加減算器943は、変数器942が出力した(3・Ipa*)から乗算器941の出力を減算して、演算器944に出力する。演算器944は、加減算器943の出力に、1/cos(π・fa/fdc)を乗算して、最大値演算器970に出力する。
絶対値演算器950は、交流電流指令値Idb*の絶対値を演算して、乗算器951に出力する。乗算器951は、2の平方根の2倍を乗算して、加減算器953に出力する。加減算器953は、変数器952が出力した(3・Ipb*)から乗算器951の出力を減算して、演算器954に出力する。演算器954は、加減算器953の出力に、1/cos(π・fb/fdc)を乗算して、最大値演算器970に出力する。
最大値演算器970は、演算器944の出力と、演算器954の出力と、定数960の出力である「0」とを比較し、それらの最大値を算出し、交流成分指令値IdcAC*として加減算器905に出力する。以降の演算は、第3の実施形態の直流電流調整部152(図25参照)の演算と同様である。
(第4の実施形態の動作)
次に、第4の実施形態に於ける直流送電システム100cの構成並びに制御を採用したときに充分なコンデンサ203の電流Icを得ることについて説明する。この説明により、軽負荷の状態であっても、充分な電力が得られることを明らかにする。
アーム105のコンデンサ203に流れる電流Ic(IcR,IcS,IcT)は、ゲートオン時に、それぞれアーム電流IRa,ISa,ITaと一致し、ゲートオフ時に0となる。そのため、電流Icの最大値は、アーム電流IRa,ISa,ITaの最大値と同じである。電流Icの最小値は、アーム電流IRa,ISa,ITaの最小値と同じである。
アーム電流IRaの交流成分IRACaは、(67)式で表すことができる。
アーム電流ISaの交流成分ISACaは、(68)式で表すことができる。
アーム電流ITaの交流成分ISACaは、(69)式で表すことができる。
直流系統の電流Idcに含まれる交流成分IdcACの周波数fdcが、系統周波数faより小さいと仮定すると、電力変換装置102cのアーム電流の振幅Ipaは、(70)式で表すことができる。
同様に、直流系統の電流Idcに含まれる交流成分IdcACの周波数fdcが、系統周波数faより小さいと仮定すると、電力変換装置102dのアーム電流の振幅Ipbは、(71)式で表すことができる。
系統電流が小さく、アーム電流の振幅指令値Ipa*が、交流電流指令値Ida*に(2/3)の平方根の2倍を掛けたものより大きい条件を満たし、かつ、アーム電流の振幅指令値Ipb*が、交流電流指令値Idb*に(2/3)の平方根の2倍を掛けたものより大きい条件を満たすならば、(66)式より、交流成分指令値IdcAC*は、(72)式で表される。
(72)式を、(70)式と(71)式とに代入すると、アーム電流の振幅Ipaは、アーム電流の振幅指令値Ipa*以上であり、かつ、アーム電流の振幅Ipbは、アーム電流の振幅指令値Ipb*以上であることが分かる。
系統電流が大きく、Ipa*が、Ida*に2の平方根に(2/3)を乗算したものより大きい条件を満たし、かつ、Ipb*が、Idb*に2の平方根に(2/3)を乗算したものより大きい条件を満たすならば、(66)式より、交流成分指令値IdcAC*は0[A]となる。しかし、交流成分指令値IdcAC*が0[A]でも、系統電流が充分大きいため、IpaがIpa*以上の条件と、IpbがIpb*以上の条件とを満たす。
以上より、系統電流の大きさによらず、コンデンサ203に流れるコンデンサ電流Icの振幅を大きくすることが可能であることを説明した。
第4の実施形態の直流電流調整部152cは、交流電流指令値Ida*,Idb*から、直流系統に流れる電流Idcの交流成分指令値IdcAC*を生成している。しかし、これに限られず、直流電流調整部152cは、(35)式を組み合わせることにより、直流電流指令値Idc*から、直流系統に流れる電流Idcの交流成分指令値IdcAC*を生成してもよい。
なお、直流系統に流れる電流Idcの交流成分IdcACの周波数fdcが、系統周波数faよりも大きく、かつ、系統周波数fbよりも大きい場合でも、同様の効果が得られる。
(第4の実施形態の効果)
以上説明した第4の実施形態では、第3の実施形態の効果に加えて更に、次の(I)のような効果がある。
(I) 直流電流調整部152cは、交流電流指令値Ida*および交流電流指令値Idb*に基づいて、交流成分指令値IdcAC*を算出している。よって、各コンデンサ電圧VCjkl全ての振幅を求めている第3実施形態と比較して、直流電流Idcの交流成分IdcACを、少ない計算量で短時間に算出することができる。
(第5の実施形態の構成)
第5の実施形態の直流送電システム100は、第1の実施形態の直流送電システム100(図1参照)と同様に構成されている。第5の実施形態の電力変換装置102a,102bは、第1の実施形態の電力変換装置102a,102b(図1参照)と同様に構成されている。
以下、第1の実施形態と共通の構成である図1、図4、図5については説明を省略し、図6、図8、図9に代えて用いる図32、図33、図34について説明する。
図32は、第5の実施形態に於ける制御部112gの論理構成を示す図である。第1の実施形態の制御部112(図6参照)と同一の要素には同一の符号を付与している。
第5の実施形態の制御部112gは、第1の実施形態の制御部112(図6参照)とは異なるアーム電圧指令値生成部311dを備えている。第5の実施形態のアーム電圧指令値生成部311d(図6参照)は、第1の実施形態のアーム電流調整器330とは異なるアーム電流調整器330dを備えている他は、第1の実施形態の制御部112と同様に構成されている。
図33は、第5の実施形態に於けるアーム電流調整器330dの論理構成を示す図である。第1の実施形態のアーム電流調整器330と同一の構成には同一の符号を付与している。
第5の実施形態のアーム電流調整器330dは、第1の実施形態のd−q変換回路400(図8参照)とは異なるd−q変換回路400dと、第1の実施形態の循環電流指令値演算部500(図8参照)とは異なる循環電流指令値演算部500dとを備えている。
アーム電流調整器330dは、アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)を、d軸電流IdFB、q軸電流IqFB、d軸循環電流IdbFB、q軸循環電流IqbFBの4変数に変換し、それぞれ個別に制御するものである。
(d−q変換回路400dの構成と動作)
d−q変換回路400dは、加減算器401と加減算器411とによって、(73)〜(75)式に基づき、アーム電流(IRP,ISP,ITP,IRN,ISN,ITN)を、系統電流IR,IS,IT、および、循環電流IRb,ISb,ITbの6個の変数に変換する。
d−q変換回路400dは、α−β変換部402によって、(76)式に基づき、系統電流IR,IS,ITを、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとに変換する。
d−q変換回路400dは、d−q変換部403によって、(77)式に基づき、α軸電流Iaとβ軸電流Ibとを、d軸電流IdFBとq軸電流IqFBとに変換する。ここで、d−q変換部403に用いる位相角θは、交流系統101aの系統電圧VGR,VGS,VGTから位相検出器306で検出したものであり、系統電圧VGRの位相に同期している。
d−q変換回路400dは、α−β変換部413によって、(78)式に基づき、循環電流IRb,ISb,ITbを、α軸電流Iabとβ軸電流Ibbとに変換する。
d−q変換回路400dは、d−q変換部414によって、(79)式に基づき、α軸電流Iabとβ軸電流Ibbとを、d軸循環電流IdbFBとq軸循環電流IqbFBとに変換する。ここで、d−q変換部414に用いる位相角2θは、位相検出器306で検出したθの2倍の位相角である。循環電流の周波数は、系統周波数の2倍となる。
(循環電流指令値演算部500dの構成)
第5の実施形態の循環電流指令値演算部500dは、第1の実施形態の循環電流指令値演算器510(図8参照)とは異なる循環電流指令値演算器510dを備えている。循環電流指令値演算部500dは、循環電流指令値演算器510dにd軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*を入力し、循環電流指令値Id2b*,Iq2b*を算出して、アーム電流調整回路600に出力するものである。
図34は、第5の実施形態に於ける循環電流指令値演算器510dの論理構成を示す図である。
循環電流指令値演算器510dは、乗算器530,531と、加減算器532,533と、乗算器534と、ルート演算器535と、ゲイン536,537と、除算器538と、乗算器540,541と、除算器542と、ゲイン543と、除算器544とを備えている。
循環電流指令値演算器510dは、以下のように動作する。
d軸電流指令値Id*は、乗算器530によって自乗値が算出される。q軸電流指令値Iq*は、乗算器531によって自乗値が算出される。加減算器532によって、乗算器530の算出結果から、乗算器531の算出結果が減算される。乗算器534によって、加減算器532の算出結果と、後記する除算器542の算出結果とが乗算される。ゲイン536によって、乗算器534の算出結果にゲインK1が乗算される。除算器538によって、ゲイン536の算出結果は、後記するゲイン537の算出結果によって除算されて、循環電流指令値Id2b*が算出される。
加減算器533によって、乗算器530の算出結果に、乗算器531の算出結果が加算される。ルート演算器535によって、加減算器533の算出結果の平方根が算出される。ゲイン537によって、ルート演算器535の算出結果にゲインK2が乗算される。
乗算器540によって、d軸電流指令値Id*とq軸電流指令値Iq*とが乗算される。除算器542によって、d軸電流指令値Id*は、ルート演算器535の算出結果によって除算されて、cosφが算出される。乗算器541によって、乗算器540の算出結果と除算器542とが乗算される。ゲイン543によって、乗算器541の算出結果にゲインK3が乗算される。除算器544によって、ゲイン543の算出結果は、ゲイン537の算出結果によって除算されて、循環電流指令値Iq2b*が算出される。
次に、アーム電流指令値の算出方法について説明する。
系統電流のd軸電流指令値Id*は、第1の実施形態で示した有効電力調整器APRの算出結果である。系統電流のq軸電流指令値Iq*は、無効電力調整器AQRの算出結果である。以下、循環電流指令値Id2b*,Iq2b*の算出方法について説明する。
循環電流指令値演算器510dは、(80)式に基づき、有効電力Pに相当するd軸電流指令値Id*、および、無効電力Qに相当するq軸電流指令値Iq*から、系統電流と系統電圧との位相差の余弦cosφを算出する。
循環電流指令値演算器510dは、(81)式に基づき、(80)式で求めたcosφ、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を用いて、循環電流指令値Id2b*を算出する。
循環電流指令値演算器510dは、(82)式に基づき、(80)式で求めたcosφ、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を用いて、循環電流指令値Iq2b*を算出する。
循環電流指令値演算器510dは、(83)式に基づき、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を用いて、系統電流振幅指令値Iac*を算出する。
ここで、前記したK1は、6の平方根の2倍の逆数に、(−1)を乗算したものとする。K3は、6の平方根の2倍の逆数に、2を乗算したものとする。K2は、(2/3)の平方根とする。前記したcosφは、(80)式から求めてもよい。
(80)〜(82)式中の位相差の余弦cosφは、有効電力Pが小さいときに、循環電流指令値Id2b*,Iq2b*を小さくする効果を持つ。有効電力Pが小さいときは、直流系統の電流Idcの交流成分IdcACは小さくなるので、アーム電流のピーク値に於ける正負のアンバランスは小さい。このため、ここではcosφを乗じている。
循環電流指令値演算器510dは、このcosφのかわりに、規格化した電力指令(P*の絶対値をP定格で除算した値)や、規格化した電流指令(Id*の絶対値を電流定格で除算した値)のように、有効電力Pに比例する量を用いてもよい。
3=−2K1のとき、(84)式の関係を有する。
循環電流指令値IRb*,ISb*,ITb*の振幅は、それぞれ系統電流指令値IR*,IS*,IT*の(K1/K2)・cosφ倍となる。
ここで、R相の上側アーム105RPに対するアーム電流指令値IRP*は、(85)式で示される。R相の上側のアーム電流IRPは、系統電流振幅指令値Iac*の基本波と、振幅(K1/K2)・cosφの第2調波の和となる。
第5の実施形態では、K1/K2=−1/4、φ=0であるので、第2調波がアーム電流Ijの基本波に対して振幅が1/4倍となり、位相がπ/2遅れた波形となる。なお、他のアーム105についても、位相が異なる同様の波形となる。
(アーム電流調整回路600の構成と動作)
アーム電流調整回路600は、加減算器601と、ゲイン602と、加減算器603とを備えている。アーム電流調整回路600は、(86)式と(87)式とに基づいて、d軸電流IdFBがd軸電流指令値Id*に一致し、かつ、q軸電流IqFBがq軸電流指令値Iq*に一致するようにフィードバック制御して、交流電圧指令値Vd*,Vq*を出力する。
アーム電流調整回路600は更に、加減算器611と、ゲイン612とを備え、(88)式と(89)式とに基づいて、d軸循環電流IdbFBが循環電流指令値Id2b*に一致し、q軸循環電流IqbFBが循環電流指令値Iq2b*に一致するようにフィードバック制御して、循環電圧指令値Vdb*,Vqb*を出力する。
(86)〜(89)式において、ゲイン602とゲイン612とは、例えば、比例積分調整器などで構成されている。ここで、ゲイン602の増幅率と、ゲイン612の増幅率とは、同じでなくてもよい。
また、d軸電圧成分Vdとq軸電圧成分Vqとは、(2)式および(16)式に基づいて、d−q変換回路700によって、系統電圧VGR,VGS,VGTから算出されたものである。d−q変換回路700は、α−β変換部701とd−q変換部702とを備えている。
(アーム電圧指令値算出部800の構成と動作)
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801と、逆α−β変換部802と、逆d−q変換部811と、逆α−β変換部812と、加減算器821と、加減算器822とを備えている。
アーム電圧指令値算出部800は、逆d−q変換部801によって、(90)式に基づいて、交流電圧指令値Vd*,Vq*を、交流電圧指令値Va*,Vb*に変換する。
アーム電圧指令値算出部800は、逆α−β変換部812によって、(91)式に基づいて、交流電圧指令値Va*,Vb*を、相毎の交流電圧指令値VR*,VS*,VT*に変換する。
アーム電圧指令値算出部800は更に、逆d−q変換部811によって、(92)式に基づいて、循環電圧指令値Vdb*,Vqb*を、循環電圧指令値Vab*,Vbb*に変換する。ここで、位相角2θは、位相検出器306で検出した位相角θの2倍である。
アーム電圧指令値算出部800は更に、逆α−β変換部812によって、(93)式に基づいて、循環電圧指令値Vab*,Vbb*を、循環電圧指令値VRb*,VSb*,VTb*に変換する。
最終的にアーム電圧指令値算出部800は、各相の加減算器821と加減算器822とによって、(94)〜(99)式に基づいて、交流電圧指令値VR*,VS*,VT*と循環電圧指令値VRb*,VSb*,VTb*とを、出力電圧指令値VRP0*,VRN0*,VSP0*,VSN0*,VTP0*,VTN0*(図33参照)を介して、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*(図32参照)に変換する。
なお、図33の図示の都合上、アーム電流調整器330のアーム電圧指令値算出部800は、全ての構成が示されていない。図32には、図33のアーム電圧指令値算出部800の後段の加減算器823の構成が記載されている。よって、図32のアーム電流調整器330の最終出力として、(94)〜(99)式の演算結果が得られる。
(94)〜(99)式において、直流電圧指令値VDC*はシステム定格、または、システム運用上の目標値で定まる値である。
このようにして得られたアーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*は、指令値分配部313(図32参照)に伝送される。以下、アーム電圧指令値VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN*のことを、アーム電圧指令値Vj*と記載している場合がある。
第5の実施形態の指令値分配部313の動作は、第1の実施形態の指令値分配部313の動作と同様である。
以上で、電力変換装置102cの構成と制御方法を説明した。
(第5の実施形態の効果の説明)
ここで、第5の実施形態で得られる効果とそのメカニズムについて説明する。
従来は、上側のアーム105と下側のアーム105とに、対称性のあるアーム電圧指令値Vj*を与えていた。そのため、IR*,IS*,IT*のピーク値、即ち、Max(|IR*|,|IS*|,|IT*|)を系統電流振幅指令値Iac*とすると、アーム105に流れる電流のピーク値は|Idcref|÷3+Iac*÷2として算出することができる。
第5の実施形態では、例えばR相の場合、上側のアーム105RPに流れるアーム電流IRPが、(100)式になるように制御している。
更に、下側のアーム105RNに流れるアーム電流IRNが(101)式になるように制御している。
(100)式に(102)式と(103)式とを代入して整理すると、(104)式のようになり、前記した通り第2調波がアーム電流の基本波に対して、振幅が1/4倍となる。
(101)式に(102)式と(103)式とを代入して整理すると、(105)式のようになり、前記した通り第2調波がアーム電流の基本波に対して、振幅が1/4倍となる。
この時、例えばR相の上側のアーム105RPに於いて、力率1(φ=0)の場合の電流の上ピークは、(Iac×3÷8+|Idcref|÷3)となる。電流の下ピークは、(−Iac×5÷8+|Idcref|÷3)となる。
以下、第5の実施形態において、実際の交流・直流の電流波形を与えた時に得られるアーム電流波形を示し、得られる効果について説明する。
直流電流Idcは、図2に示すような所定の電流を与え、Idcref=1200[A]とする。系統電流IR,IS,ITは、図3に示すような周波数50Hz、力率1の三相交流を与え、交流の相ピーク値である系統電流振幅指令値Iac*=1775[A]とする。
ここで、Idcref=1200[A]、Iac*=1755[A]で、IR*,IS*,IT*が平衡な三相交流である場合を例に、その効果を説明する。
図35は、第5の実施形態に於けるR相アーム電流補正指令値の波形図である。
図の縦軸は、電流[A]を示している。図の横軸は、時間[s]を示している。細実線は、アーム電流補正指令値IRPb*の波形を示している。太実線は、アーム電流補正指令値IRNb*の波形を示している。
アーム電流補正指令値IRPb*,IRNb*が、ピーク値付近で−となり、それ以外の部分、即ち他アームのアーム電流基本指令値がピーク値付近となる部分で+となっていることが分かる。なお、S相レグ104Sの波形と、T相レグ104Tの波形については図示を省略したが、図35に示すR相レグ104Rの波形を、それぞれ120°、240°遅らせた波形となる。
図36は、第5の実施形態に於けるR相アーム電流指令値の波形図である。
細実線は、アーム105RPのアーム電流指令値IRP*の波形を示している。太実線は、アーム105RNのアーム電流指令値IRN*の波形を示している。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、時間[s]を示している。
上側ピーク値は(1200÷3+1775×3÷8)=1066[A]、下側ピーク値は(1200÷3−1775×5÷8)=−709[A]となる。従来制御に比べて、上側ピーク値と下側ピーク値とを約17%低減することができる。なお、S相レグ104Sの波形と、T相レグ104Tの波形については図示を省略したが、図36の波形をそれぞれ120°、240°遅らせた波形となる。S相レグ104Sの波形のピーク値と、T相レグ104Tの波形のピーク値とは、R相レグ104Rの波形のピーク値と同一である。
図37(a)〜(d)は、第5の実施形態に於けるd軸電流指令値のステップ波形を示す図である。ここでは、d軸電流指令値Id*のステップ入力を行った時の波形が示されている。
図37(a)は、交流電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図37に共通する時間[s]を示している。
図37(b)は、直流電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図37に共通する時間[s]を示している。
図37(c)は、アーム電流補正値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図37に共通する時間[s]を示している。
図37(d)は、上アーム電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図37に共通する時間[s]を示している。
基準電流を、相電圧1775[A]の時のd軸電流値、即ち1775[A]に、(3/2)の平方根を乗算した値である2174[A]とした場合に於いて、時間tが0.01未満の時にはId*=0[pu]かつIq*=0[pu]となり、時間tが0.01以上の時にはId*=1[pu]かつIq*=0[pu]となるようなステップ波形を入力した。
この場合には、上アーム電流指令値はピークの絶対値が1000[A]程度であり、アームに流れる電流ピークを下げる効果があることが分かる。なお、図示は省略したが、下アーム電流指令値も同様にピークの絶対値が1000[A]程度となる。
図38(a)〜(d)は、第5の実施形態に於けるq軸電流指令値のステップ波形を示す図である。ここでは、q軸電流指令値Iq*のステップ入力を行った時の波形が示されている。
図38(a)は、交流電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図38に共通する時間[s]を示している。
図38(b)は、直流電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図38に共通する時間[s]を示している。
図38(c)は、アーム電流補正値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図38に共通する時間[s]を示している。
図38(d)は、上アーム電流指令値の波形を示す図である。縦軸は、電流[A]を示している。横軸は、図38に共通する時間[s]を示している。
時間tが0.01未満の時にはId*=0.7[pu]かつIq*=0.2[pu]となり、時間tが0.01以上の時にはId*=0.7[pu]かつIq*=0.7[pu]となるような波形を入力した。
この時、図38(d)に示すように、上アーム電流指令値はピークの絶対値が概ね1000[A]程度であり、アームに流れる電流ピークを下げる効果があることが分かる。なお、図示は省略したが、下アーム電流指令値も同様にピークの絶対値が1000[A]程度となる。
本実施形態の電圧型電力変換器の電流制御装置は、例えば、電圧型電力変換装置からなる第1のアームと第2のアームを直列に接続し、前記第1のアームと前記第2のアームは直列接続されてレグを構成するものであり、前記第1のアームと前記第2のアームの接続部分に交流端子を構成するものであって、前記第1のアームの他端を第1の直流端子とし、前記第2のアームの他端を第2の直流端子とし、前記第1の端子を正側、前記第2の端子を負側とした前記レグを複数設け、前記第1のアームと第2のアームを貫いて流れる循環電流を抑制するための誘導性素子を前記レグの一部に設けた電圧型電力変換器の電流制御装置であって、前記アームに、電力変換器が接続される交流系統の周波数に対して、2倍の周波数成分の電流を流し、前記複数のアームのうち所定のアームの電流のピークを低減するように制御すると共に、前記所望の電力変換がなされるように、その抑制分を前記複数のレグのうち他のレグに振り分けて、前記直流端子と前記交流端子との間で所望の電力変換を制御するものである。
本実施形態の電圧型電力変換器の電流制御装置は、例えば、電圧型電力変換装置からなる第1のアームと第2のアームを直列に接続し、前記第1のアームと前記第2のアームは直列接続されてレグを構成するものであり、前記第1のアームと前記第2のアームの接続部分に交流端子を構成するものであって、前記第1のアームの他端を第1の直流端子とし、前記第2のアームの他端を第2の直流端子とし、前記第1の端子を正側、前記第2の端子を負側とした前記レグを複数設け、前記第1のアームと第2のアームを貫いて流れる循環電流を抑制するための誘導性素子を前記レグの一部に設けた電圧型電力変換器の電流制御装置において、前記交流端子に流れる交流電流を系統電圧の位相で座標変換して第一の所定値となるようにフィードバック制御し、前記循環電流を前記系統電圧の位相とは異なる第二の周波数の位相で座標変換して第二の所定値となるようにフィードバック制御して、前記交流系統と直流系統との間で所望の電力変換がなされるように、電力変換装置の電流を制御することを特徴とするものである。
そして、当該電圧型電力変換器の電流制御装置において、前記第二の周波数が、系統電圧の周波数の2倍であることを特徴とするものである。
または、当該電圧型電力変換器の電流制御装置において、前記第二の所定値が、前記第一の所定値の演算結果であることを特徴とするものである。
本実施形態の電圧型電力変換器の電流制御方法は、例えば、電圧型電力変換装置からなる第1のアームと第2のアームを直列に接続し、前記第1のアームと前記第2のアームは直列接続されてレグを構成するものであり、前記第1のアームと前記第2のアームの接続部分に交流端子を構成するものであって、前記第1のアームの他端を第1の直流端子とし、前記第2のアームの他端を第2の直流端子とし、前記第1の端子を正側、前記第2の端子を負側とした前記レグを複数設け、前記第1のアームと第2のアームを貫いて流れる循環電流を抑制するための誘導性素子を前記レグの一部に設けた電圧型電力変換器の電流制御方法において、前記交流端子に流れる交流電流を系統電圧の位相で座標変換して第一の所定値となるようにフィードバック制御し、前記循環電流を前記系統電圧の位相とは異なる第二の周波数の位相で座標変換して第二の所定値となるようにフィードバック制御して、前記交流系統と直流系統との間で所望の電力変換がなされるように、電力変換装置の電流を制御するものである。
(第5の実施形態の効果)
以上説明した第5の実施形態では、第1の実施形態の効果に加えて更に、次の(J)のような効果がある。
(J) アーム105に流れる電流のピーク値を低減でき、ハイサイドスイッチング素子201H、ローサイドスイッチング素子201L、ハイサイド環流ダイオード202H、ローサイド環流ダイオード202Lとして、電流定格の低い半導体素子を使用できるという効果が得られる。
(第5の実施形態の変形例)
(5a) 第5の実施形態では、図1に示すように、リアクトル107RP,107SP,107TP,107RN,107SN,107TNが変圧器103の2次巻線に接続されている、すなわち端子Ra,Sa,Taに接続している回路を例示している。しかし、これに限られず、リアクトル107RP,107SP,107TPを直流端子Paとの間に接続している回路、または、リアクトル107RN,107SN,107TNを直流端子Naとの間に接続している回路でも同様の効果が得られる。
100,100b,100c 直流送電システム
101 交流系統
101a 交流系統 (第1の交流系統)
101b 交流系統 (第2の交流系統)
102a,102b 電力変換装置
102c 電力変換装置 (第1の電力変換装置)
102d 電力変換装置 (第2の電力変換装置)
103 変圧器
104 レグ
105RP,105SP,105TP アーム (第1のアーム)
105RN,105SN,105TN アーム (第2のアーム)
105R,105S,105T アーム
106 単位変換器群
107 リアクトル
108 双方向チョッパ型単位変換器 (単位変換器)
110 交流電圧センサ
111 アーム電流センサ
112,112a,112c,112d 制御部
113 ゲート信号線
114 コンデンサ電圧検出線
115 直流電圧センサ
120 初充電装置
121 遮断器
130 変圧器
131 鉄心
132RA,132SA,132TA 巻線 (一次巻線)
132RB,132SB,132TB 巻線 (第1の二次巻線)
132RC,132SC,132TC 巻線 (第2の二次巻線)
140 交流電流センサ
150,150c 制御装置
151 直流電流検出部
152,152c 直流電流調整部
201H,201L スイッチング素子
202H,202L 環流ダイオード
203 コンデンサ (エネルギ蓄積手段)
204 電圧センサ
205 ゲートドライバ (制御部)
206 自給電源 (内部電源)
207 変流器 (電力取得手段)
208 端子 (第1の端子)
209 端子 (第2の端子)
211 第1の整流回路
212 第2の整流回路
305 電圧調整回路
306 位相検出器
311,311b アーム電圧指令値生成部
312 ゲートパルス生成部
313,313b 指令値分配部
316 二次振幅検出器
317 最小値演算器
330,330a,330b アーム電流調整器
340 交流側電力演算器
400,400b d−q変換回路
500 循環電流指令値演算部
510 循環電流指令値演算器
600,600a,600b アーム電流調整回路
700 d−q変換回路
800,800b アーム電圧指令値算出部 (指令値算出手段)
APR 有効電力調整器
AQR 無効電力調整器
AVR 直流電圧調整器
C1 給電コンデンサ (第1のコンデンサ)
C2 給電コンデンサ (第2のコンデンサ)
Pa,Pb,Pc,Pd 正側の直流端子 (第1の直流端子:直流出力部)
Na,Nb,Nc,Nd 負側の直流端子 (第2の直流端子:直流出力部)
R,S,T 一次側端子 (交流出力部)
VRP*,VRN*,VSP*,VSN*,VTP*,VTN* アーム電圧指令値
Vd d軸電圧成分 (第1の偏差信号)
Vq q軸電圧成分 (第1の偏差信号)
Vdb* 循環電圧指令値 (第2の偏差信号)
Vqb* 循環電圧指令値 (第2の偏差信号)
IdFB d軸電流 (交流出力dq軸電流)
IqFB q軸電流 (交流出力dq軸電流)
IRb,ISb、ITb 循環電流
Id2b* 循環電流指令値
Iq2b* 循環電流指令値
V0a* 零相アーム電圧指令値 (第1の零相アーム電圧指令値)
V0b* 零相アーム電圧指令値 (第2の零相アーム電圧指令値)
Idc 直流電流 (直流出力電流)

Claims (27)

  1. 交流である系統電流を直流に、または、直流を交流に電力変換する電力変換装置に組み込まれて直列の単位変換器群を構成する際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
    エネルギ蓄積手段と、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記エネルギ蓄積手段が蓄積した蓄積エネルギ源を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
    前記電力変換装置のいずれかに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
    を備え,
    前記内部電源は、
    前記第1の端子と前記第2の端子とを介して流れる電流を、電力取得手段によって取得して整流する第1の整流回路と、
    前記第1の整流回路に並列接続された第1のコンデンサと、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を取得して整流する第2の整流回路と、
    前記第2の整流回路に並列接続された第2のコンデンサと
    を備え、
    前記電力変換装置には、交流を遮断する遮断器と、初充電装置とが設置されており、
    前記遮断器の投入前には、前記第1の端子と前記第2の端子との間に印加された電圧を前記第2の整流回路が整流して前記第2のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第2のコンデンサに蓄えた電荷によって自身に電力を供給し、
    前記遮断器の投入後、かつ、自身が動作を開始したのちには、前記電力取得手段によって取得した交流電流を前記第1の整流回路が整流して前記第1のコンデンサに電荷を蓄えて、前記第1のコンデンサに蓄えてた電荷によって自身に電力を供給する、
    ことを特徴とする単位変換器。
  2. 前記内部電源は更に、
    前記蓄積エネルギ源を用いて自身に電力を供給する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。
  3. 前記エネルギ蓄積手段は、コンデンサであり、
    前記複数のスイッチング素子は、前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とし、
    前記内部電源は、前記第1の端子と前記第2の端子とを介して流れる電流を用いて自身に電力を供給する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。
  4. 前記電力変換装置は、入力端子と出力端子とを備え、更に前記単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を複数備えて、前記入力端子と前記出力端子の間で、直流を交流に、または、交流を直流に変換するものである、
    ことを特徴とする請求項1に記載の単位変換器。
  5. 単位変換器が複数直列に接続された単位変換器群を複数と、
    各前記単位変換器をそれぞれ制御する制御部と、
    を備え、
    前記単位変換器は、
    前記単位変換器群に組み込まれる際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
    コンデンサと、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
    自身の起動の際には前記コンデンサに蓄えられた電荷を用いて自身に電力を供給し、自身が起動した後は、前記コンデンサに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
    を備え、
    前記制御部は、
    交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、各前記単位変換器の前記コンデンサに所定値以上の電流を流すように、前記複数のスイッチング素子を制御する、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  6. 単位変換器を複数直列に接続して単位変換器群とし、前記単位変換器群を並列に接続し、その一部を直流出力部とし、他の一部を交流出力部とし、
    前記交流出力部または前記直流出力部に所定の出力を得られるように、前記直流出力部と前記交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成する制御部を有しており、
    前記単位変換器は、
    第1の端子および第2の端子と、
    コンデンサと、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするスイッチング素子と、
    前記指令に基づいて前記スイッチング素子を動作させる駆動部と、
    自身の起動の際には、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流に係る電荷が前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源に基づいて前記駆動部に電力を供給し、自身が起動した後は、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流を電力取得手段によって取得し、取得した電流をエネルギ源として前記駆動部に電力を供給する電力供給手段と、
    を有し、
    前記制御部は、前記エネルギ源から得られた電力が所定値以上となるように前記指令を生成する、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  7. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を複数列備え、入力端子と出力端子の間で、直流を交流に、または、交流を直流に変換する変換回路と、
    各前記単位変換器を運転動作する信号を生成する制御部と、
    を備えることを特徴とする電力変換装置。
  8. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列に接続された前記単位変換器群を含んでなる複数のアームと、
    前記複数のアームのうちの第1のアームと第2のアームとを直列に接続した複数のレグと、
    前記単位変換器を制御する制御部と、を有し、
    前記複数のレグを構成する前記第1のアームの一端と前記第2のアームの一端との接続ノードは、交流系統のいずれかの相に接続され、
    前記第1のアームの他端は、正側の直流端子に接続され、
    前記第2のアームの他端は、負側の直流端子に接続されている、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  9. 前記制御部は、
    前記電力変換装置と前記交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、前記単位変換器の前記エネルギ蓄積手段に電流を流すようにアーム電圧指令値を生成するアーム電圧指令値生成部と、
    前記アーム電圧指令値を、各前記単位変換器に分配して指令する指令値分配部と、
    を備えることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  10. 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
    交流出力dq軸電流が指令値になるようにフィードバック制御して第1の偏差信号を出力する第1の電流制御手段と、
    前記第1のアームおよび前記第2のアームを循環する循環電流のdq軸電流が循環電流指令値に収束するようにフィードバック制御して第2の偏差信号を出力する第2の電流制御手段と、
    前記第1の偏差信号と前記第2の偏差信号から前記アーム電圧指令値を生成する指令値算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
  11. 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
    前記交流系統との間に流れる系統電流と前記循環電流との和が所定値以上になるように、前記循環電流指令値を求める、
    ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
  12. 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
    直流電流指令値から前記循環電流指令値を求める、
    ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
  13. 前記制御部の前記アーム電圧指令値生成部は、
    前記エネルギ蓄積手段の両端電圧の振幅が所定値以上になるように前記循環電流指令値を求める、
    ことを特徴とする請求項10に記載の電力変換装置。
  14. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列接続された前記単位変換器群を含んでなる複数のアームと、
    一次巻線、第1の二次巻線、および、第2の二次巻線が巻かれた複数の鉄心を備えた変圧器と、
    前記複数のアームが備える前記単位変換器を制御する制御部と、
    を有し、
    前記一次巻線は、交流系統に接続され、
    前記複数のアームの一端は、第1の直流端子に接続され、
    前記複数のアームの他端は、それぞれ前記第1の二次巻線の一端に接続され、
    前記第1の二次巻線の他端は、それぞれ異なる相の鉄心に巻かれた前記第2の二次巻線の一端に接続され、
    前記第2の二次巻線の他端は、第2の直流端子に接続されている、
    ことを特徴とする電力変換装置。
  15. 請求項14に記載の前記電力変換装置であり、かつ、第1の交流系統が接続されている第1の電力変換装置と、
    前記電力変換装置であり、前記第1の電力変換装置の前記第1の直流端子および前記第2の直流端子が接続され、かつ、第2の交流系統が接続されている第2の電力変換装置と、
    前記第1の電力変換装置と前記第2の電力変換装置との間を流れる直流出力電流に基づき、前記第1の電力変換装置の前記制御部に第1の零相アーム電圧指令値を出力し、前記第2の電力変換装置の前記制御部に第2の零相アーム電圧指令値を出力する直流電流調整部と、
    を備えることを特徴とする直流送電システム。
  16. 前記制御部のアーム電圧指令値生成部は、
    交流出力dq軸電流が指令値に収束するようにフィードバック制御して第1の偏差信号を出力する第1の電流制御手段と、
    前記第1の偏差信号と、前記第1の零相アーム電圧指令値とから、零相アーム電圧指令値を生成する指令値算出手段と、
    を備えることを特徴とする請求項15に記載の直流送電システム。
  17. 前記アーム電圧指令値生成部は、
    前記第1の電力変換装置と前記第1の交流系統の間に流れる系統電流の有無、および、前記第2の電力変換装置と前記第2の交流系統の間に流れる系統電流の有無によらず、前記単位変換器の前記エネルギ蓄積手段に電流を流すのに必要な前記零相アーム電圧指令値を生成する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  18. 前記直流電流調整部は、
    前記第1の電力変換装置の前記複数のアームに流れる電流の総和に基づいて、前記第1の零相アーム電圧指令値および前記第2の零相アーム電圧指令値を生成する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  19. 前記直流電流調整部は、
    前記第1の電力変換装置と前記第2の電力変換装置との間で、所定周波数の零相成分の電流を循環させるように、前記第1の電力変換装置の前記制御部、および、前記第2の電力変換装置の前記制御部を制御する、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  20. 前記直流電流調整部は、
    前記第1の電力変換装置の前記交流出力dq軸電流の指令値と、前記第2の電力変換装置の前記交流出力dq軸電流の指令値とから、前記直流出力電流の指令値の交流成分を求める、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  21. 前記直流電流調整部は、
    前記直流出力電流の指令値から、前記直流出力電流の指令値の交流成分を求める、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  22. 前記直流電流調整部は、
    各前記単位変換器を駆動するために必要な交流電流の振幅に3を掛けたものから、前記交流出力dq軸電流の指令値のd軸成分の絶対値に2の平方根の2倍を掛けたものを減算して所定定数を掛けたものと0との大きい方を、前記直流出力電流の指令値の交流成分の振幅とする、
    ことを特徴とする請求項16に記載の直流送電システム。
  23. 前記直流電流調整部は、
    交流電流の半周期に前記直流出力電流の指令値が進む位相角の余弦値の逆数を、前記所定定数とする、
    ことを特徴とする請求項22に記載の直流送電システム。
  24. 前記直流電流調整部は、
    各前記電力変換装置の前記直流出力電流の指令値から計算した交流成分の振幅のうち最大のものによって制御する、
    ことを特徴とする請求項23に記載の直流送電システム。
  25. 単位変換器が複数直列に接続された単位変換器群を複数と、
    各前記単位変換器をそれぞれ制御する制御部と、
    を備え、
    前記単位変換器は、
    前記単位変換器群に組み込まれる際に用いられる第1の端子および第2の端子と、
    コンデンサと、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサの電圧を出力可能とする複数のスイッチング素子と、
    自身の起動の際には前記コンデンサに蓄えられた電荷を用いて自身に電力を供給し、自身が起動した後は、前記コンデンサに流れる電流を用いて自身に電力を供給する内部電源と、
    を備え、
    前記制御部は、
    交流系統との間に流れる系統電流の有無によらず、各前記単位変換器の前記コンデンサに所定値以上の電流を流すように、前記複数のスイッチング素子を制御する、
    ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
  26. 請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の単位変換器が複数直列接続されて構成され、一端が交流系統に接続され、他端が正側の直流端子に接続された第1のアームと、
    前記単位変換器が複数直列接続されて構成され、一端が前記交流系統に接続され、他端が負側の直流端子に接続された第2のアームと、
    前記単位変換器を制御する制御部と、
    を備え、
    前記単位変換器内の前記内部電源は、
    前記電力変換装置の初充電状態では、前記エネルギ蓄積手段の両端電圧から電力を得て、
    前記電力変換装置の運転状態では、前記エネルギ蓄積手段に直列接続された電力取得手段に流れる電流から電力を得て、
    前記制御部は、前記電力取得手段に流れる電流の二次成分が前記電力変換装置の軽負荷時にも供給電力を得るに十分な大きさになるように、各前記単位変換器を制御する、
    ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
  27. 電力変換装置は、単位変換器を複数直列に接続して単位変換器群とし、前記単位変換器群を並列に接続し、その一部を直流出力部とし、他の一部を交流出力部とし、
    前記交流出力部または前記直流出力部に所定の出力を得られるように、前記直流出力部と前記交流出力部との間で電力変換を行う指令を生成する制御部を有しており、
    前記単位変換器は、
    第1の端子および第2の端子と、
    コンデンサと、
    前記第1の端子と前記第2の端子との間に前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源を出力可能とするスイッチング素子と、
    前記指令に基づいて前記スイッチング素子を動作させる駆動部と、
    を有し、
    前記単位変換器は、自身の起動の際には、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流に係る電荷が前記コンデンサに蓄積された蓄積エネルギ源に基づいて前記駆動部に電力を供給し、自身が起動した後は、前記第1の端子と前記第2の端子を介して流れる電流を電力取得手段によって取得し、取得した電流をエネルギ源として前記駆動部に電力を供給し、
    前記制御部は、前記エネルギ源から得られた電力が所定値以上となるように前記指令を生成する、
    ことを特徴とする電力変換装置の制御方法。
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