JP6129686B2 - 内視鏡システム及びプロセッサ装置並びに作動方法並びにテーブル作成方法 - Google Patents

内視鏡システム及びプロセッサ装置並びに作動方法並びにテーブル作成方法 Download PDF

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Description

本発明は、検体内の撮像により得られる画像信号から血中ヘモグロビンの酸素飽和度に関する生体機能情報を求める内視鏡システム及びプロセッサ装置並びに作動方法並びにテーブル作成方法に関する。
医療分野においては、光源装置、内視鏡、プロセッサ装置を備える内視鏡システムを用いて診断することが一般的になっている。また、近年においては、生体機能情報の中でも血中ヘモグロビンの酸素飽和度を用いた病変部の診断が行われつつある。血中ヘモグロビンの酸素飽和度を取得する方法としては、波長帯域と、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が異なる第1信号光と第2信号光を交互に粘膜内の血管に照射して、第1及び第2信号光の各反射光を内視鏡先端部のセンサで検出する方法が知られている(特許文献1)。
センサで検出した第1信号光の反射光に対応する第1信号光画像信号と、第2信号光の反射光に対応する第2信号光画像信号の比率(以下、信号比という)は、血管内の酸素飽和度に変化がなければ一定値を維持するが、酸素飽和度の変化が生じれば、それにもとなって変化する。したがって、第1信号光画像信号と第2信号光画像信号の信号比に基づいて酸素飽和度を算出することができる。
特開2012−125402号公報
酸素飽和度の算出は、第1及び第2信号光が検体に対して均一に照射されていることを前提としている。このため、第1及び第2信号光が不均一な場合には算出した酸素飽和度の信頼性が低くなってしまうので、酸素飽和度を取得する内視鏡システムでは、検体にほぼ均一に照射されるように第1及び第2信号光の照射範囲や光量の分布等が予め厳密に調節されている。
しかし、通常の白色光による観察をする場合に観察範囲の全範囲で検体を鮮明に観察できるように照明の照射範囲や光量の分布が調節してあったとしても、酸素飽和度を算出すると、検体の性状によるものではない大きな誤差(以下、アーチファクトという)が発生してしまう場合がある。具体的には、非拡大観察から拡大観察(内視鏡先端部を検体に極めて接近させた観察、またはズーミングレンズを作動して検体を拡大する観察)に切り替えると、非拡大観察時には発生していなかった低酸素領域や高酸素領域が発生するようになる。すなわち、拡大観察時には、非拡大観察時には起こりえなかった酸素飽和度のアーチファクトが発生する。これは、酸素飽和度が照明(第1及び第2信号光)の光量分布等に対して極めて敏感であることと、極めて小さな照明の光量分布等の誤差でも拡大観察時には拡大率に応じて酸素飽和度への寄与が大きくなってしまうことが主な原因である。
拡大観察時に酸素飽和度のアーチファクトが発生しないようにするためには、さらに厳密に照明を均一にすれば良いが、当然ながら、文字通り完全に照明を均一化することは不可能である。また、特定の拡大率での拡大観察時に酸素飽和度のアーチファクトが発生しないようにしたとしても、拡大率を上げれば再び同じ問題が発生するので根本的な解決にはならない。
本発明は、拡大観察時に発生する酸素飽和度のアーチファクトを低減し、従来よりも細かな酸素飽和度の分布を正確に算出及び表示する内視鏡システム及びプロセッサ装置並びに作動方法、並びにこれらに用いるテーブルの作成方法を提供することを目的とする。
本発明の内視鏡システムは、光源装置と、センサと、酸素飽和度算出部と、周波数成分情報抽出部と、補正部と、画像生成部とを備える。光源装置は、第1信号光と第2信号光を検体に照射する。センサは、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力する。酸素飽和度算出部は、第1画像信号と第2画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。周波数成分情報抽出部は、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正部は、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを有し、この誤差テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する酸素飽和度の誤差を算出し、算出した誤差を酸素飽和度から除く補正をする。画像生成部は、補正部によって補正された酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
周波数成分情報抽出部が抽出する周波数成分情報とは、例えば、特定の周波数成分の振幅である。この場合、誤差テーブルは、第1画像信号と第2画像信号の特定の周波数成分の振幅の差と、酸素飽和度の誤差とを対応付けたものである
補正部は、第1画像信号及び第2画像信号を複数の領域に分割し、複数の領域毎に酸素飽和度の補正をすることが好ましい。
なお、周波数成分情報は、例えば検体の表層血管に対応する周波数成分に関する情報である。
本発明の別の内視鏡システムは、光源装置と、センサと、周波数成分情報抽出部と、補正部と、酸素飽和度算出部と、画像生成部とを備える。光源装置は、第1信号光と第2信号光を検体に照射する。センサは、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力する。周波数成分情報抽出部は、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正部は、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、第1画像信号または第2画像信号に乗じることで第1画像信号及び第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを有し、この補正係数テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報に対応する補正係数を算出し、かつ、この補正係数を用いて第1画像信号と第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する。酸素飽和度算出部は、第1補正画像信号と第2補正画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。画像生成部は、酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
周波数成分情報抽出部が抽出する周波数成分情報とは、例えば、特定の周波数成分の振幅である。この場合、補正係数テーブルは、第1画像信号と第2画像信号の特定の周波数成分の振幅の差と、第1画像信号または第2画像信号に乗じることで第1画像信号及び第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けたものである
本発明のプロセッサ装置は、第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムのプロセッサ装置であり、酸素飽和度算出部と、周波数成分情報抽出部と、補正部と、画像生成部と、を備える。酸素飽和度算出部は、第1画像信号と第2画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。周波数成分情報抽出部は、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正部は、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを有し、この誤差テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する酸素飽和度の誤差を算出し、算出した誤差を酸素飽和度から除く補正をする。画像生成部は、補正部によって補正された酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
また、本発明の別のプロセッサ装置は、第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムのプロセッサ装置であり、周波数成分情報抽出部と、補正部と、酸素飽和度算出部と、画像生成部と、を備える。周波数成分情報抽出部は、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正部は、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、第1画像信号または第2画像信号に乗じることで第1画像信号及び第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを有し、補正係数テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報に対応する補正係数を算出し、かつ、この補正係数を用いて第1画像信号と第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する。酸素飽和度算出部は、第1補正画像信号と第2補正画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。画像生成部は、酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
本発明の内視鏡システムの作動方法は、第1信号光と第2信号光を発する光源装置と、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を有する内視鏡システムの作動方法であり、酸素飽和度算出ステップと、周波数成分情報抽出ステップと、補正ステップと、画像生成ステップと、を備える。酸素飽和度算出ステップは、第1画像信号と第2画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。周波数成分情報抽出ステップは、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正ステップでは、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報に対応する酸素飽和度の誤差を算出し、算出した誤差を酸素飽和度から除く補正をする。画像生成ステップは、補正ステップで補正された酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
本発明の別の内視鏡システムの作動方法は、第1信号光と第2信号光を発する光源装置と、第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、第2信号光の反射光で検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムの作動方法であり、周波数成分情報抽出ステップと、補正ステップと、酸素飽和度算出ステップと、画像生成ステップと、を備える。周波数成分情報抽出ステップは、第1画像信号と第2画像信号から周波数成分情報を抽出する。補正ステップは、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、第1画像信号または第2画像信号に乗じることで第1画像信号及び第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを参照して第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報に対応する補正係数を算出し、かつ、この補正係数を用いて第1画像信号と第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する。酸素飽和度算出ステップは、第1補正画像信号と第2補正画像信号の信号比に基づいて検体の酸素飽和度を算出する。画像生成ステップは、酸素飽和度に基づいて検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。

本発明のテーブル作成方法は、撮像ステップと、周波数成分情報抽出ステップと、酸素飽和度算出ステップと、誤差算出ステップと、記憶ステップとを備える。撮像ステップは、酸素飽和度が既知の血液を含む血液入り材料が特定の空間周波数で配列されたファントムに第1信号光と第2信号光をそれぞれ照射し、第1信号光と第2信号光の各々の反射光でファントムを撮像して、第1信号光に対応する第1画像信号と、第2信号光に対応する第2画像信号を取得する。周波数成分情報抽出ステップは、第1画像信号と第2画像信号から空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する。酸素飽和度算出ステップは、第1画像信号と第2画像信号の信号比に基づいて血液入り材料の酸素飽和度を算出する。誤差算出ステップは、酸素飽和度算出ステップで算出された酸素飽和度と、血液の酸素飽和度との誤差を算出する。記憶ステップは、第1画像信号と第2画像信号の周波数成分情報と、誤差を対応付けて記憶する。
本発明の別のテーブル作成方法は、第1撮像ステップと、第2撮像ステップと、第1周波数成分情報抽出ステップと、第2周波数成分情報抽出ステップと、補正係数算出ステップと、記憶ステップと、を備える。第1撮像ステップは、酸素飽和度が既知の血液を含む血液入り材料が特定の空間周波数で配列されたファントムに第1信号光と第2信号光を照射し、第1信号光と第2信号光の各々の反射光でファントムを撮像して、第1信号光に対応する第1画像信号と、第2信号光に対応する第2画像信号を取得する。第2撮像ステップは、第1信号光と第2信号光の反射光で第1撮像ステップと比較してファントムを拡大して撮像し、第1信号光に対応する第3画像信号と、第2信号光に対応する第4画像信号を取得する。第1周波数成分情報抽出ステップは、第1画像信号と第2画像信号からファントムの空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する。第2周波数成分情報抽出ステップは、第3画像信号と第4画像信号からファントムの空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する。補正係数算出ステップは、第3画像信号の振幅と第4画像信号の周波数成分情報の比を、第1画像信号の振幅と第2画像信号の周波数成分情報の比に等しくする補正係数を算出する。記憶ステップは、第3画像信号の振幅と第4画像信号の周波数成分情報と、補正係数と対応付けて記憶する。
本発明の内視鏡システム及びプロセッサ装置並びに作動方法によれば、拡大観察時の酸素飽和度のアーチファクトを低減し、従来よりも細かな酸素飽和度の分布を正確に算出し、表示することができる。
内視鏡システムの外観図である。 内視鏡システムのブロック図である。 通常観察モード時に発光する第2白色光のスペクトルを示すグラフである。 特殊観察モード時に発光する第1及び第2白色光のスペクトルを示すグラフである。 RGBカラーフィルタの分光透過率を示すグラフである。 通常観察モード時の撮像制御を示す説明図である。 特殊観察モード時の撮像制御を示す説明図である。 酸素飽和度画像生成部のブロック図である。 信号比B1/G2,R2/G2と酸素飽和度の相関関係を示すグラフである。 酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数を示すグラフである。 酸素飽和度を算出する方法を示す説明図である。 非拡大観察時の画像信号と周波数成分の振幅を示す説明図である。 拡大観察時の画像信号と周波数成分の振幅を示す説明図である。 誤差テーブルの説明図である。 誤差テーブルを作成するためのファントムを示す説明図である。 内視鏡システムの作用を示すフローチャートである。 補正処理の有無の違いを示す説明図である。 第2実施形態における酸素飽和度画像生成部のブロック図である。 補正係数テーブルの説明図である。 補正係数と特定周波数成分の振幅の関係を示す説明図である。 蛍光体が光源装置内に設けられた内視鏡システムのブロック図である。 第3実施形態の内視鏡システムのブロック図である。 LEDの発光帯域とHPFの特性を示すグラフである。 第3実施形態における通常観察モード時の撮像制御を示す説明図である。 第3実施形態における特殊観察モード時の撮像制御を示す説明図である。 第4実施形態の内視鏡システムのブロック図である。 回転フィルタの平面図である。 分割領域を示す説明図である。 分割領域と撮影距離の関係を示す説明図である。 分割領域と撮影距離の関係を示す説明図である。
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態の内視鏡システム10は、内視鏡12と、光源装置14と、プロセッサ装置16、モニタ18と、コンソール20とを有する。内視鏡12は、光源装置14と光学的に接続されるとともに、プロセッサ装置16と電気的に接続される。内視鏡12は、検体内に挿入される挿入部21と、挿入部21の基端部分に設けられた操作部22と、挿入部21の先端側に設けられた湾曲部23及び先端部24を有している。操作部22のアングルノブ22aを操作することにより、湾曲部23は湾曲動作する。この湾曲動作にともなって、先端部24が所望の方向に向けられる。
また、操作部22には、アングルノブ22aの他、モード切替SW(モード切替スイッチ)22bと、ズーム操作部22cが設けられている。モード切替SW22bは、通常観察モードと、特殊観察モードの2種類のモード間の切り替え操作に用いられる。通常観察モードは、検体内をフルカラー画像化した通常光画像をモニタ18に表示するモードである。特殊観察モードは、検体内の血中ヘモグロビンの酸素飽和度を画像化した酸素飽和度画像をモニタ18に表示するモードである。ズーム操作部22cは、内視鏡12内のズーミングレンズ47(図2参照)を駆動させて、検体を拡大させるズーム操作に用いられる。
プロセッサ装置16は、モニタ18及びコンソール20と電気的に接続される。モニタ18は、通常光画像や酸素飽和度画像等の画像、及びこれらの画像に関する情報(以下、画像情報等という)を表示する。コンソール20は、機能設定等の入力操作を受け付けるUI(ユーザインタフェース)として機能する。なお、プロセッサ装置16には、画像情報等を記録する記録部(図示省略)を接続しても良い。
図2に示すように、光源装置14は、中心波長473nmの第1青色レーザ光を発する第1青色レーザ光源(473LD(レーザダイオード))34と、中心波長445nmの第2青色レーザ光を発する第2青色レーザ光源(445LD)36とを発光源として備えている。これらの半導体発光素子からなる各光源34,36の発光は、光源制御部40により個別に制御される。このため、第1青色レーザ光源34の出射光と、第2青色レーザ光源36の出射光の光量比は変更自在になっている。
光源制御部40は、通常観察モードの場合には、第2青色レーザ光源36を点灯させ、第2青色レーザ光を発光させる。これに対して、特殊観察モードの場合には、1フレーム間隔で、第1青色レーザ光源34と第2青色レーザ光源36を交互に点灯させ、第1青色レーザ光と第2青色レーザ光が交互に発光させる。なお、第1,第2青色レーザ光の半値幅は±10nm程度にすることが好ましい。また、第1青色レーザ光源34と第2青色レーザ光源36は、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオードを用いることもできる。また、上記光源として、発光ダイオード等の発光体を用いた構成としても良い。
各光源34,36から出射される第1,第2青色レーザ光は、集光レンズ、光ファイバ、合波器等の光学部材(いずれも図示せず)を介してライトガイド(LG)41に入射する。ライトガイド41は、光源装置14と内視鏡12を接続するユニバーサルコードに内蔵されている。ライトガイド41は、各光源34,36からの第1,第2青色レーザ光を、内視鏡12の先端部24まで伝搬する。なお、ライトガイド41としては、マルチモードファイバを使用することができる。一例として、コア径105μm、クラッド径125μm、外皮となる保護層を含めた径がφ0.3〜0.5mmの細径なファイバケーブルを使用することができる。
内視鏡12の先端部24は、照明光学系24aと撮像光学系24bを有している。照明光学系24aには、蛍光体44と、照明レンズ45が設けられている。蛍光体44には、ライトガイド41から第1,第2青色レーザ光が入射する。蛍光体44は、第1または第2青色レーザ光が照射されることで蛍光を発する。また、一部の第1または第2青色レーザ光は、そのまま蛍光体44を透過する。蛍光体44を出射した光は、照明レンズ45を介して検体内に照射される。
通常観察モードにおいては、第2青色レーザ光が蛍光体44に入射するため、図3に示すスペクトルの白色光(第2白色光)が検体内に照射される。この第2白色光は、第2青色レーザ光と、この第2青色レーザ光により蛍光体44から励起発光する緑色〜赤色の第2蛍光とから構成される。したがって、第2白色光は、波長範囲が可視光全域に及んでいる。
一方、特殊観察モードにおいては、第1青色レーザ光と第2青色レーザ光が蛍光体44に交互に入射することにより、図4に示すスペクトルの第1白色光と第2白色光が交互に検体内に照射される。第1白色光は、第1青色レーザ光と、この第1青色レーザ光により蛍光体44から励起発光する緑色〜赤色の第1蛍光とから構成される。したがって、第1白色光は、波長範囲が可視光全域に及んでいる。第2白色光は、通常観察モード時に照射される第2白色光と同様である。
第1蛍光と第2蛍光は、波形(スペクトルの形状)がほぼ同じであり、第1蛍光の強度(I1(λ))と第2蛍光の強度(I2(λ))の比(以下、フレーム間強度比という)は、何れの波長λにおいても同じである。例えば、I2(λ1)/I1(λ1)=I2(λ2)/I1(λ2)である。このフレーム間強度比I2(λ)/I1(λ)は、酸素飽和度の算出精度に影響を与えるものであるため、光源制御部40により、予め設定された基準フレーム間強度比を維持するように高精度に制御されている。
なお、蛍光体44は、第1及び第2青色レーザ光の一部を吸収して、緑色〜赤色に励起発光する複数種類の蛍光体(例えばYAG系蛍光体、あるいはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光体)を含んで構成されるものを使用することが好ましい。また、本実施形態のように、半導体発光素子を蛍光体44の励起光源として用いれば、高い発光効率で高強度の第1白色光及び第2白色光が得られる。また、各白色光の強度を容易に調整できる上に、色温度、色度の変化を小さく抑えることができる。
内視鏡12の撮像光学系24bは、撮像レンズ46、ズーミングレンズ47、センサ48を有している(図2参照)。検体からの反射光は、撮像レンズ46及びズーミングレンズ47を介してセンサ48に入射する。これにより、センサ48に検体の反射像が結像される。ズーミングレンズ47は、ズーム操作部22cを操作することでテレ端とワイド端との間を移動する。ズーミングレンズ47がワイド端側に移動すると検体の反射像が拡大する。一方、ズーミングレンズ47がテレ端側に移動することで、検体の反射像が縮小する。なお、拡大観察をしない場合(非拡大観察時)には、ズーミングレンズ47はワイド端に配置されている。そして、拡大観察を行う場合には、ズーム操作部22cの操作によってズーミングレンズ47はワイド端からテレ端側に移動される。
センサ48は、カラーの撮像素子であり、検体の反射像を撮像して画像信号を出力する。センサ48は、例えばCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである。また、センサ48は、撮像面にRGBカラーフィルタが設けられたRGB画素を有しており、RGBの各色の画素で光電変換をすることによってR,G,Bの三色の画像信号を出力する。
図5に示すように、Bカラーフィルタは380〜560nmの分光透過率を有しており、Gカラーフィルタは450〜630nmの分光透過率を有しており、Rカラーフィルタ580〜760nmの分光透過率を有している。したがって、通常観察モード時に第2白色光が検体内に照射された場合には、B画素には第2青色レーザ光と第2蛍光の緑色成分の一部が入射し、G画素には第2蛍光の緑色成分の一部が入射し、R画素には第2蛍光の赤色成分が入射する。但し、第2青色レーザ光は第2蛍光よりも発光強度が極めて大きいのでB画素から出力するB画像信号の大部分は第2青色レーザ光の反射光成分で占められている。
一方、特殊観察モード時に第1白色光が検体内に照射された場合には、B画素には第1青色レーザ光と第1蛍光の緑色成分の一部が入射し、G画素には第1蛍光の緑色成分の一部が入射し、R画素には第1蛍光の赤色成分が入射する。但し、第1青色レーザ光は第1蛍光よりも発光強度が極めて大きいので、B画像信号の大部分は第1青色レーザ光の反射光成分で占められている。なお、特殊観察モード時に第2白色光が検体内に照射されたときのRGB各画素での光入射成分は、通常観察モードの場合と同様である。
なお、センサ48としては、撮像面にC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)及びG(グリーン)の補色フィルタを備えた、いわゆる補色イメージセンサを用いても良い。センサ48として補色イメージセンサを用いる場合は、CMYGの四色の画像信号からRGBの三色の画像信号に色変換する色変換部を、内視鏡12、光源装置14またはプロセッサ装置16のいずれかに設けておけば良い。こうすれば補色イメージセンサを用いる場合でも、CMYGの4色の画像信号から色変換によってRGB3色の画像信号を得ることができる。
撮像制御部49はセンサ48の撮像制御を行う。図6に示すように、センサ48の1フレームの期間は、検体からの反射光を光電変換して電荷を蓄積する蓄積期間と、その後に蓄積した電荷を読み出して画像信号を出力する読出期間とからなる。通常観察モード時には、1フレームの期間毎に、第2白色光で照明された検体内をセンサ48で撮像する。これにより、1フレーム毎にセンサ48からRGBの各画像信号が出力される。
撮像制御部49は、特殊観察モード時も、通常観察モード時と同様にしてセンサ48に蓄積期間と読出期間を行わせる。但し、特殊観察モード下ではセンサ48の撮像のフレームに同期して第1白色光と第2白色光が交互に検体内に照射されるので、図7に示すように、センサ48は、1フレーム目に第1白色光で検体内を撮像し、次の2フレーム目では第2白色光で検体内を撮像する。センサ48は、1フレーム目,2フレーム目ともRGBの各色の画像信号を出力するが、依拠する白色光のスペクトルが異なるので、以下では区別のために、1フレーム目に第1白色光で撮像して得られるRGB各色の画像信号をそれぞれR1画像信号,G1画像信号,B1画像信号といい、2フレーム目に第2白色光で撮像して得られるRGB各色の画像信号をR2画像信号,G2画像信号,B2画像信号という。
なお、酸素飽和度の算出には、B1画像信号とG2画像信号の信号比B1/G2と、R2画像信号とG2画像信号の信号比R2/G2が用いられる。これらのうち、酸素飽和度の算出に必須な信号比は、B1画像信号とG2画像信号の信号比B1/G2である。このため、本実施形態では、第1白色光中のB1画像信号になる成分(蛍光体44を透過した第1青色レーザ光)が第1信号光であり、第2白色光中のG2画像信号になる成分(第2蛍光の緑色帯域成分)が第2信号光である。
センサ48から出力される各色の画像信号は、CDS(correlated double sampling)/AGC(automatic gain control)回路50送信される(図2参照)。CDS/AGC回路50は、センサ48から出力されるアナログの画像信号に相関二重サンプリング(CDS)や自動利得制御(AGC)を行う。CDS/AGC回路50を経た画像信号は、A/D変換器52によってデジタル画像信号に変換される。こうしてデジタル化された画像信号はプロセッサ装置16に入力される。
プロセッサ装置16は、受信部54と、画像処理切替部60と、通常観察画像処理部62と、特殊観察用画像処理部64と、画像表示信号生成部66とを備えている。受信部54は、内視鏡12から入力される画像信号を受信する。受信部54はDSP(Digital Signal Processor)56とノイズ除去部58を備えており、DSP56は、受信した画像信号に対して色補正処理等のデジタル信号処理を行う。ノイズ除去部58は、DSP56で色補正処理等が施された画像信号に対して、例えば移動平均法やメディアンフィルタ法等によるノイズ除去処理を施す。ノイズが除去された画像信号は、画像処理切替部60に入力される。
画像処理切替部60は、モード切替SW22bが通常観察モードにセットされている場合には、画像信号を通常観察画像処理部62に入力する。一方、モード切替SW22bが特殊観察モードに設定されている場合、画像処理切替部60は、画像信号を特殊観察用画像処理部64に入力する。
通常観察画像処理部62は、色変換部68と、色彩強調部70と、構造強調部72とを有する。色変換部68は、入力された1フレーム分のRGBの各画像信号を、それぞれR画素、G画素、B画素に割り当てたRGB画像データを生成する。そして、RGB画像データに対して、さらに3×3のマトリックス処理、階調変換処理、3次元LUT処理等の色変換処理を施す。
色彩強調部70は、色変換処理済みのRGB画像データに対して、各種色彩強調処理を施す。構造強調部72は、色彩強調処理済みのRGB画像データに対して、空間周波数強調等の構造強調処理を施す。構造強調部72で構造強調処理が施されたRGB画像データは、通常観察画像として画像表示信号生成部66に入力される。
特殊観察画像処理部64は、酸素飽和度画像生成部76と、構造強調部78とを有する。酸素飽和度画像生成部76は、酸素飽和度を算出するとともに、算出した酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する。
構造強調部78は、酸素飽和度画像生成部76から入力される酸素飽和度画像に対して、空間周波数強調処理等の構造強調処理を施す。構造強調部72で構造強調処理が施された酸素飽和度画像は、画像表示信号生成部66に入力される。
表示用画像信号生成部66は、通常観察画像または酸素飽和度画像を表示用形式の信号(表示用画像信号)に変換し、モニタ18に入力する。これにより、モニタ18には通常観察画像または酸素飽和度画像が表示される。
図8に示すように、酸素飽和度画像生成部76は、信号比算出部81と、相関関係記憶部82と、酸素飽和度算出部83と、周波数成分情報抽出部84、差分算出部85、補正部86、画像生成部87と、を備えている。
信号比算出部81には、酸素飽和度画像生成部76に入力される2フレーム分の画像信号のうち、B1画像信号、G2画像信号、R2画像信号が入力される。信号比算出部81は、B1画像信号とG2画像信号の信号比B1/G2と、G2画像信号とR2画像信号の信号比R2/G2とを、画素毎に算出する。
相関関係記憶部82は、信号比B1/G2及び信号比R2/G2と、酸素飽和度の相関関係を記憶している。この相関関係は、図9に示す二次元空間上に酸素飽和度の等高線を定義した2次元テーブルで記憶されている。信号比B1/G2及び信号比R2/G2に対する等高線の位置及び形状は、光散乱の物理的なシミュレーションによって予め得られ、各等高線の間隔は、血液量(信号比R2/G2)に応じて変化する。なお、信号比B1/G2及び信号比R2/G2と、酸素飽和度との相関関係はlogスケールで記憶されている。
なお、上記相関関係は、図10に示すように、酸化ヘモグロビン(グラフ90)や還元ヘモグロビン(グラフ91)の吸光特性や光散乱特性と密接に関連し合っている。例えば、第1青色レーザ光の中心波長473nmのように、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数の差が大きい波長では、酸素飽和度の情報を取り扱いやすい。しかしながら、473nmの光に対応する信号を含むB1画像信号は、酸素飽和度だけでなく、血液量にも依存度が高い。そこで、B1画像信号に加え、主として血液量に依存して変化する光に対応するR2画像信号と、B1画像信号とR2画像信号のリファレンス信号となるG2画像信号から得られる信号比B1/G2及びR2/G2を用いることで血液量に依存することなく、酸素飽和度を正確に求めることができる。
酸素飽和度算出部83は、相関関係記憶部82に記憶された相関関係を参照し、信号比算出部81で算出された信号比B1/G2及び信号比R2/G2に対応する酸素飽和度を画素毎に算出する。例えば、特定画素における信号比B1/G2及び信号比R2/G2がそれぞれB1/G2及びR2/G2である場合、図11に示すように、相関関係を参照すると、信号比B1/G2及び信号比R2/G2に対応する酸素飽和度は「60%」である。したがって、酸素飽和度算出部83は、この画素の酸素飽和度を「60%」と算出する。
なお、信号比B1/G2及び信号比R2/G2が極めて大きくなったり、極めて小さくなったりすることはほとんどない。すなわち、信号比B1/G2や信号比R2/G2の値が、酸素飽和度0%の下限ライン93を上回ったり、反対に酸素飽和度100%の上限ライン94を下回ったりすることはほとんどない。但し、算出する酸素飽和度が下限ライン93を下回ってしまった場合には酸素飽和度算出部83は酸素飽和度を0%とし、上限ライン94を上回ってしまった場合には酸素飽和度を100%とする。また、信号比B1/G2及び信号比R2/G2に対応する点が下限ライン93と上限ライン94の間から外れた場合には、その画素における酸素飽和度の信頼度が低いことが分かるように表示をしたり、酸素飽和度を算出しないようにしても良い。
周波数成分情報抽出部84は、酸素飽和度の算出に用いられるB1画像信号、G2画像信号、R2画像信号を取得し、周波数成分情報を抽出する。具体的には、取得した各画像信号をフーリエ変換し、その振幅P(B1),P(G2),P(R2)を求め、これらの各振幅P(B1),P(G2),P(R2)から特定周波成分の振幅を抽出する。特定周波成分とは、例えば、拡大観察時に主な観察対象になる表層血管や腺管構造等に対応する周波数成分である。
差分算出部85は、周波数成分情報抽出部84が抽出した振幅P(B1),P(G2),P(R2)の特定周波成分の差を算出する。すなわち、B1画像信号とG2画像信号の特定周波数成分の振幅の差ΔBG(=P(B1)−P(G2))、G2画像信号とR2画像信号の特定周波数成分の振幅の差ΔGR(=P(G2)−P(R2))、R2画像信号とB1画像信号の特定周波数成分の振幅の差ΔRB(=P(R2)−P(B1))をそれぞれ特定周波数成分について算出する。
例えば、図12に示すように、非拡大観察時に得られるB1画像信号(非拡大),G2画像信号(非拡大),R2画像信号(非拡大)は、検体の遠景画像なので表層血管等の細かな像は見られない。このため、表層血管等に対応する特定周波数ωの振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBにはほとんど違いはない。なお、図12では、図示の便宜上、任意方向に沿ったフーリエ変換による振幅を表しているが、周波数成分情報抽出部84が行うフーリエ変換は2次元フーリエ変換である。また周波数成分情報抽出部84は、特定周波数ωの振幅値を抽出する。差分算出部85が算出する各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBは、この特定周波数ωにおける各振幅P(B1),P(G2),P(R2)のピーク値の差である。
一方、図13に示すように、拡大観察時に得られるB1画像信号(拡大)には、表層血管等の細かな像が表れる。但し、拡大観察時に得られるG2画像信号(拡大)に表れる像は、B1画像信号(拡大)よりもぼやけている。また、拡大観察時に得られるR2画像信号(拡大)はG2画像信号(拡大)に表れる像よりもさらにぼやけている。このような各色の画像信号に表れる像のぼけ具合の違いは、波長に応じた検体への深達度や検体による吸収(特にヘモグロビンの吸光)及び散乱等によるものである。このため、各振幅P(B1),P(G2),P(R2)は、拡大観察時の表層血管等に対応する特定周波数Ωにおいて、顕著な差が生じるようになり、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBにも違いが出てくる。このため、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBは、各色間の像のぼけ具合のバランスを表している。
なお、検体を拡大観察すると、表層血管等も太く(大きく)見えるようになるので、表層血管等に対応する特定周波数Ωは、非拡大観察時の周波数ωよりも低周波数側にシフトしている。拡大観察時の各振幅P(B1),P(G2),P(R2)は、非拡大観察時のものに比べて全体的に概ね低周波数側にシフトしたものなので、非拡大観察時の特定周波数ωと拡大観察時の特定周波数Ωと対応関係は、各振幅P(B1),P(G2),P(R2)の全体的な波形から容易に検出することができる。
非拡大観察時や、拡大観察時でもズーム倍率や先端部24と検体との距離が一定であり、第1白色光や第2白色光が検体に均一に照射されているとみなせる場合には、波長に応じた像のぼけ具合もほぼ一定である。このため、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBも、ズーム倍率や先端部24と検体との距離に応じた特定値になる。しかし、第1白色光や第2白色光が検体に均一に照射されているとみなせないほど、ズーム倍率を上げたり、先端部24を検体に極めて近接させたりした拡大観察時には、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBは、上記特定値からずれた値になる。
このように、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが上記特定値からずれている場合、酸素飽和度算出部83が算出した酸素飽和度にはアーチファクトが発生する。酸素飽和度算出部83が信号比B1/G2と信号比R2/G2とに基づいて酸素飽和度を算出することからも分かるように、酸素飽和度の算出は、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号が検体の性状(酸素飽和度と血液量)に応じてのみ変化することを前提としているが、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが第1白色光や第2白色光の不均一性によって上記特定値からずれている場合には、当然、誤った酸素飽和度が算出されてしまう。この第1白色光や第2白色光の不均一性よる酸素飽和度の誤差がアーチファクトである。
補正部86は、誤差テーブル88を有しており、この誤差テーブル88に基づいて、酸素飽和度算出部83が算出した酸素飽和度のデータからアーチファクトによる誤差を除く補正処理をする。図14に示すように、誤差テーブル88は、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと、この各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBのもとで算出される酸素飽和度の誤差とが対応付けられたデータである。
図15に示すように、誤差テーブル88のデータは、内視鏡システム10を用いてファントム(検体を模した模擬体)89を測定することにより予め作成され、補正部86に記憶されている。ファントム89は、例えば、酸素飽和度が特定値に制御された血液が入ったゼラチン(以下、血液入りゼラチンという)89aと、血液が入っていないゼラチン(以下、血液無しゼラチンという)89bとを検体の表層血管とほぼ同じ特定空間周波数で積層して形成される。病変等の異常がない場合、静脈血の酸素飽和度は概ね60〜80%なので、血液入りゼラチン89aの酸素飽和度は、例えば70%に制御される。
誤差テーブル88の作成は以下の手順で行われる。まず、ファントム89をズーム倍率や先端部24との距離を変えながら観察し、酸素飽和度を算出する。また、周波数成分情報抽出部84及び差分算出部85が行うのと同様に、ファントム89を観察して得られるB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号をフーリエ変換して、ファントム89の空間周波数の振幅を抽出し、これらの各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBを求める。
例えば、ズームせず、先端部24を十分にファントム89から離して非拡大観察をした場合には、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBはほぼ一定値であり、かつ、酸素飽和度の誤差もほぼ零(酸素飽和度70%)である。一方、ズームしたり、先端部24をファントム89に近づけたりして拡大観察した場合は、ズーム倍率または先端部24とファントム89の距離、あるいはこれらの組み合わせ方によっては、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが非拡大観察時の一定値よりも大きく(あるいは小さく)なる場合がある。この場合、算出される酸素飽和度の誤差も血液入りゼラチン89aの酸素飽和度70%よりも大きくなってしまったり、逆に小さい値になる場合がある。
誤差テーブル88には、上記ファントム89の観察及び酸素飽和度の算出によって得られる各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと、血液入りゼラチン89aの制御された酸素飽和度(70%)に対する算出した酸素飽和度の誤差とが対応付けられ、誤差テーブル88として記憶される。なお、誤差テーブル88には非拡大観察時の一定値になっている各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと、この場合の酸素飽和度の誤差(±0%)も記憶されている。
補正部86は、まず、誤差テーブル88を参照することにより、差分算出部85から取得する各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBに対応する酸素飽和度の誤差を算出する。そして、酸素飽和度算出部83が算出した酸素飽和度のデータに、誤差(アーチファクト)を除く補正処理を施す。例えば、アーチファクトによって値が+10%になる画素では、対応する酸素飽和度の値から、誤差を減算(−10%)する。なお、誤差テーブル88に記憶された各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと酸素飽和度の誤差との対応関係にばらつきがある場合、さらに最尤法等によって最も尤もらしい酸素飽和度の誤差を推定して酸素飽和度の補正処理を行う。
画像生成部84は、補正部86でアーチファクトによる誤差を補正された酸素飽和度(以下、補正酸素飽和度という)と、B2画像信号、G2画像信号、R2画像信号を用いて、酸素飽和度を画像化した酸素飽和度画像を生成する。具体的には、画像生成部84は、入力される元のB2画像信号,G2画像信号,R2画像信号に対して、補正酸素飽和度に応じたゲインを画素毎に施し、ゲインを施したB2画像信号,G2画像信号,R2画像信号を用いてRGB画像データを生成する。例えば、画像生成部84は、補正酸素飽和度が60%以上の画素ではB2画像信号,G2画像信号,R2画像信号のいずれにも同じゲイン「1」を乗じる。これに対して、補正酸素飽和度が60%未満の画素では、B2画像信号に対して「1」未満のゲインを乗じ、G2画像信号及びR2画像信号に対しては「1」以上のゲインを乗じる。このゲイン処理後のB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号を用いて生成されたRGB画像データが酸素飽和度画像である。
画像生成部84が生成した酸素飽和度画像では、高酸素の領域(酸素飽和度が60〜100%の領域)では、通常観察画像と同様の色で表される。一方、酸素飽和度が特定値を下回る低酸素の領域(酸素飽和度が0〜60%の領域)は、通常観察画像とは異なる色(疑似カラー)で表される。
なお、本実施形態では、画像生成部84は、低酸素の領域のみ疑似カラー化するゲインを乗じているが、高酸素領域でも酸素飽和度に応じたゲインを施し、酸素飽和度画像の全体を疑似カラー化しても良い。また、低酸素領域と高酸素領域を酸素飽和度60%で分けているがこの境界も任意である。
次に、本実施形態の内視鏡システム10による観察の流れを図16のフローチャートに沿って説明する。まず、通常観察モードにおいて、最も遠景の状態からスクリーニングを行う(S10)。通常観察モードでは、通常観察画像がモニタ18に表示される。このスクリーニング時に、ブラウニッシュエリアや発赤等の病変の可能性がある部位(以下、病変可能性部位という)を発見した場合(S11)には、モード切替SW22bを操作して、特殊観察モードに切り替える(S12)。そして、この特殊観察モードにおいて、病変可能性部位が低酸素状態になっているか否かの診断を行う。
特殊観察モードでは、第1及び第2白色光がセンサ48の撮像フレームに同期して交互に検体内に照射されるので、第1白色光が照射されたフレームではセンサ48はR1画像信号,G1画像信号,B1画像信号を出力し、第2白色光が照射されたフレームではR2画像信号,G2画像信号,B2画像信号を出力する。これら2フレーム分の画像信号に基づいて、信号比算出部81によって信号比B1/G2及び信号比R2/G2が画素毎に算出される(S13)。そして、酸素飽和度算出部83によって、これらの信号比B1/G2及び信号比R2/G2に基づいて、画素毎に酸素飽和度が算出される(S14)。
また、周波数成分情報抽出部84においてB1画像信号、G2画像信号、R2画像信号はフーリエ変換され、例えば表層血管に対応する特定周波数成分の振幅(周波数成分情報)がそれぞれ抽出される(S15)。差分算出部85で各画像信号から抽出された特定周波数成分の振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが算出される(S16)。
こうして、酸素飽和度算出部83により酸素飽和度が算出され、差分算出部85で各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが算出されると、補正部86は、誤差テーブル88から上記各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBに対応する酸素飽和度の誤差を求め、酸素飽和度算出部83が算出した酸素飽和度に、求めた誤差を除去する補正処理をし、補正酸素飽和度を算出する(S17)。
補正部86で補正酸素飽和度が算出されると、画像生成部87でB2画像信号、G2画像信号、R2画像信号に補正酸素飽和度に応じたゲインを施した酸素飽和度画像が生成され(S18)、モニタ18に表示される(S19)。ドクターはモニタ18に表示された酸素飽和度画像に基づいて、病変可能性部位が低酸素状態になっているかどうかを確認する。
図17に示すように、非拡大観察時の酸素飽和度画像101で病変可能性部位が低酸素領域102になっていることが確認され、この部分を拡大観察する場合に、補正部86による酸素飽和度の補正処理を行わない場合、酸素飽和度画像103のように算出した酸素飽和度にアーチファクト104が発生するので、検体を拡大したことによって誤った(あるいは不正確な)領域が低酸素状態を示す擬似カラーで表示されてしまう。また、本来の低酸素領域102に高酸素飽和度のアーチファクトが重畳されると、非拡大観察時に観察されていた低酸素領域102すら観察し難くなってしまう場合もある。
一方、内視鏡システム10では、酸素飽和度算出部83が第1白色光や第2白色光が均一であることを前提に算出した酸素飽和度をそのまま酸素飽和度画像の生成に用いるのではなく、酸素飽和度算出部83が算出した酸素飽和度に対して補正部86でアーチファクトを除去する補正処理を行なってから酸素飽和度画像の生成に用いている。このため、例えば酸素飽和度画像105のように、低酸素領域102が拡大表示され、かつ、正確な酸素飽和度の情報が表示される。
なお、こうした酸素飽和度(酸素飽和度画像)の表示は、通常観察モードに切り替えられるまで継続して行わる(S20)。また、診断を終了する場合には、内視鏡12の挿入部21を検体内から抜き出す(S21)。
以上のように、内視鏡システム10は、酸素飽和度を算出及び表示する特殊観察モードにおいて、通常の観察では問題にならない程度の第1白色光や第2白色光の極僅かな不均一性が表れるほど、ズーム倍率を上げたり、先端部24を検体に近づけたりして拡大観察をする場合でも、正確な酸素飽和度を求め、表示することができる。
特に、内視鏡システム10は、酸素飽和度を算出するためのB1,G2,R2画像信号に表れる像のぼけ具合のバランス(特定周波数成分の振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRB)から酸素飽和度の誤差を求め、第1白色光や第2白色光が均一に検体に照射されていることを前提として算出された酸素飽和度から、求めた誤差を除去する。すなわち、アーチファクトによる酸素飽和度の誤差を求め、除去するために、第1白色光や第2白色光の極僅かな不均一性を測定するための光学系等を設ける必要はない。このため、内視鏡12の挿入部21を太径化させることなく、正確な酸素飽和度の算出及び表示をすることができる。また、拡大観察時に第1白色光や第2白色光に不均一性があっても、正確な酸素飽和度の算出及び表示ができるので、内視鏡システム10では、実現可能な光源装置14及び照明光学系24a(例えば従来のものと同じもの)をそのまま使用できる。
なお、上記第1実施形態では、酸素飽和度からアーチファクトを除く補正処理のために、誤差テーブル88に各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと、これらに対応する酸素飽和度の誤差を記憶しているが、必ずしも各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBを全て用いる必要はなく、これらのうちのいずれか一つ以上を用いることで上記第1実施形態と同様の補正処理を行うことができる。例えば振幅の差ΔBG(B1画像信号とG2画像信号のぼけ具合のバランス)と、対応する酸素飽和度の誤差だけを用いても良い。
なお、上記第1実施形態では、非拡大観察時に低酸素領域102を確認した後、その低酸素領域102の拡大観察をしているが、非拡大観察時に低酸素領域102を検出しない場合でも、拡大観察をしてもよい。この場合、拡大観察をしてはじめて低酸素領域が観察されることがあるが、内視鏡システム10は正確な酸素飽和度の算出及び表示をすることができる。
なお、上記第1実施形態では、周波数成分抽出部84は、特定周波成分の振幅を周波数成分情報としてB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号から抽出しているが、例えば、特定周波数の振幅を抽出する代わりに、特定の周波数帯域の振幅を抽出し、その合計値を周波数成分情報として用いても良い。また、振幅だけでなく、位相を加味しても良いし、位相の情報だけを用いても良い。すなわち、周波数成分抽出部84がB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号から抽出する周波数成分情報は、アーチファクトと対応付けることができる特定の周波数成分に関する情報であれば任意である。
また、上記第1実施形態では、周波数成分抽出部84は、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号をフーリエ変換することにより、周波数成分情報(特定の周波数成分の振幅)を抽出しているが、フーリエ変換をする代わりに、特定の周波数成分を抽出する画像フィルタ(2次元フィルタ)を用いてB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号から周波数成分情報を抽出しても良い。もちろん、周波数成分情報を抽出することができれば、フーリエ変換や画像フィルタによる方法以外の任意の方法で周波数成分情報を抽出しても良い。こうした周波数成分抽出部84が抽出する周波数成分情報や、周波数成分情報の抽出方法の任意性は、後述する他の実施形態や変形例についても同様である。
[第2実施形態]
第1実施形態では、まず、信号比B1/G2及び信号比R2/G2に基づいて酸素飽和度を算出し、算出された酸素飽和度のデータに補正処理を施しているが、酸素飽和度の算出に用いる画像信号を補正し、補正した画像信号を用いて酸素飽和度を算出することによって、算出した酸素飽和度にアーチファクトが含まれないようにしても良い。
この場合、第1実施形態の内視鏡システム10の酸素飽和度画像生成部76を、図18に示す酸素飽和度画像生成部201に置き換える。これ以外の構成は第1実施形態の内視鏡システム10と同様である。
酸素飽和度画像生成部201は、補正部211と、信号比算出部213と、酸素飽和度算出部214とを備える。また、酸素飽和度画像生成部201は、第1実施形態のものと同じ周波数成分情報抽出部84,差分算出部85,相関関係記憶部82、画像生成部87を備える。
補正部211は、差分算出部85で算出された特定周波数成分の振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBに基づいて、信号比B1/G2及び信号比R2/G2から酸素飽和度を算出した場合にアーチファクトが発生しないように補正処理をする。但し、補正処理を施す対象が、酸素飽和度のデータではなく、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号である。補正部211はこの画像信号に対する補正処理のために、補正係数テーブル211を備える。
補正係数テーブル211には、フーリエ変換後のB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の各振幅において、特定周波数Ωのピーク値(及び特定周波数Ω近傍の波形)を、アーチファクトが発生しないB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の各振幅のバランスに一致するように変形するための補正係数が記憶されている。例えば、図19に示すように、補正係数テーブル211には、G2画像信号の特定周波数Ω成分の振幅を基準として、B1画像信号の特定周波数Ω成分の振幅を補正するための補正係数αと、R2画像信号の特定周波数Ω成分の振幅を補正するための補正係数βとが、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと対応付けて記憶されている。
なお、アーチファクトが発生しないB1画像信号、G2画像信号、R2画像信号のバランスについては、アーチファクトが発生しない非拡大観察時に得られる画像信号から予めわかっている。本実施形態では、信号比B1/G2及び信号比R2/G2に基づいて酸素飽和度を算出することから、拡大観察時のアーチファクトでアンバランスとなったB1画像信号及びG2画像信号の特定周波数Ωの振幅と、G2画像信号及びR2画像信号の特定周波数Ωの振幅とについて、それら振幅のバランスが整うように補正係数α,βが定められる。
補正係数α,βは以下のようにして定められる。図20に示すように、アーチファクトが発生するB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の特定周波数Ωの振幅をYB1,YG2,YR2、アーチファクトが発生しない一定のバランスのB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の特定周波数Ωの振幅をAB1,AG2,AR2とする。この場合に、補正係数αは、α=(YG2/YB1)×(AB1/AG2)を満たすように定められており、振幅YB1に乗じることによって、B1画像信号の特定周波数Ω成分のピークを持ち上げ(あるいは引き下げ)、B1画像信号とG2画像信号の特定周波数Ω成分のバランスをアーチファクトが発生しないバランス(α×YB1:YG2=AB1:AG2)に整える。同様に、補正係数βは、β=(YG2/YR2)×(AR2/AG2)を満たすように定められており、振幅YR2に乗じることによって、R2画像信号の特定周波数Ω成分のピークを持ち上げ(あるいは引き下げ)、G2画像信号とR2画像信号の特定周波数Ω成分のバランスをアーチファクトが発生しないバランス(YG2:β×YR2=AG2:AR2)に整える。
上記補正係数α,βと、各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBの対応関係は、第1実施形態のファントム89(図14参照)を、ズーム倍率や先端部24とファントム89との距離を変えながら観察をし、酸素飽和度を算出することで求めることができる。例えば、ズームせず、ファントム89から十分に離れた位置から観察する(非拡大観察をする)ことで、アーチファクトが発生しない状態における一定の振幅AB1,AG2,AR2のバランスを求めることができる。次に、ズームにより、あるいは先端部24をファントム89に近づけ、アーチファクトが発生するようにして観察した場合の振幅YB1,YG2,YR2を算出する。そして、これらの測定した振幅に基づいて補正係数α,βを算出する。こうして求められた補正係数α,βは、振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと対応付けられて補正係数テーブル212に記憶される。なお、振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBは、それぞれΔBG=YB1−YG2,ΔGR=YG2−YR2,ΔRB=YR2−YB1で求められる。
補正部211は、補正係数テーブル212を参照し、差分算出部85から入力される差ΔBG,ΔGR,ΔRBに対応する補正係数α,βを求める。また、補正部211は、周波数成分情報抽出部84からB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号のフーリエ変換後のデータを取得し、B1画像信号のフーリエ変換後のデータの特定周波数Ω成分に補正係数αを乗じ、R2画像信号のフーリエ変換後のデータの特定周波数Ω成分には補正係数βを乗じる。そして、逆フーリエ変換により、これらのデータを画像信号に戻す。ここで生成される画像信号を、以下、B1補正画像信号、G2補正画像信号、R2補正画像信号という。
なお、本実施形態では、G2画像信号を基準としているので、G2補正画像信号はG2画像信号と同一である。また、B1補正画像信号は、B1画像信号に含まれる様々な周波数成分のうち、特定周波数Ωの成分が補正係数αにより強調(あるはぼかされた)された画像信号である。R2補正画像信号も同様である。なお、本実施形態では、G2画像信号を基準にB1画像信号とR2画像信号の特定周波数Ω成分のバランスを調整しているが、B1画像信号、G2画像信号、R2画像信号の特定周波数Ω成分のバランスさえ揃っていればアーチファクトは発生しないので、B1画像信号を基準にしても良いし、R1画像信号を基準にしても良い。また、別途、任意の基準を定めておき、B1画像信号、G2画像信号、R2画像信号にそれぞれ補正係数を乗じるようにしても良い。
信号比算出部213は、第1実施形態の信号比算出部81と同様に、信号比B1/G2及び信号比R2/G2を算出する。但し、センサ48が出力するB1画像信号,G2画像信号,R2画像信号を用いるのではなく、補正部211で生成されたB1補正画像信号、G2補正画像信号、R2補正画像信号を用いる。
酸素飽和度算出部214は、第1実施形態の酸素飽和度算出部83と同様に相関関係記憶部82に記憶された相関関係を参照して酸素飽和度を算出する。但し、酸素飽和度算出部214は、B1補正画像信号、G2補正画像信号、R2補正画像信号から生成された信号比B1/G2及び信号比R2/G2を用いる。また、酸素飽和度算出部214は、補正部211によって特定周波数Ωの振幅のバランスが調節されたB1補正画像信号、G2補正画像信号、R2補正画像信号を用いるので、酸素飽和度算出部214が算出する酸素飽和度のデータにアーチファクトは発生しない。
画像生成部87は、酸素飽和度算出部214で算出された酸素飽和度と、B2画像信号,G2画像信号,R2画像信号を用いて酸素飽和度画像を生成する。酸素飽和度算出部214で算出された酸素飽和度にアーチファクトは含まれないので、画像生成部87が生成する酸素飽和度画像にアーチファクトが現れることもない。
なお、第1,第2実施形態では、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の特定周波数Ω成分の振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBと、酸素飽和度の誤差(第1実施形態)や補正係数(第2実施形態)を対応付けたテーブルを用いているが、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号の特定周波数Ω成分の振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBの代わりに、特定周波数Ω成分の振幅の比を用いても良い。また、表層血管の周波数を特定周波数Ωとしているが、どのような組織の周波数を特定周波数とするかは任意である。
なお、第1,第2実施形態の内視鏡システムでは、内視鏡12の先端部24に蛍光体44を設けたが、これに代えて図21に示す内視鏡システム150のように、光源装置14の内部に蛍光体44を設けても良い。この場合には、第1青色レーザ光源(473LD)34及び第2青色レーザ光源(445LD)36と、ライトガイド41との間に蛍光体44を設ける。そして、第1青色レーザ光源34または第2青色レーザ光源36に、第1青色レーザ光または第2青色レーザ光を蛍光体44に向けて照射させる。これにより、第1白色光または第2白色光が発せられる。この第1または第2白色光は、ライトガイド41を介して、検体内に照射される。それ以外については、第1,第2実施形態の内視鏡システムと同様である。
なお、第1,第2実施形態では、第1及び第2青色レーザ光を同一の蛍光体44に入射させているが、第1青色レーザ光と第2青色レーザ光をそれぞれ別々の第1蛍光体、第2蛍光体に入射させても良い。
[第3実施形態]
図22に示すように、内視鏡システム300の光源装置14には、第1及び第2青色レーザ光源34,36と光源制御部40の代わりに、LED(Light Emitting Diode)光源ユニット301と、LED光源制御部304が設けられている。また、内視鏡システム300の照明光学系24aには蛍光体44が設けられていない。それ以外については、第1〜第3実施形態の内視鏡システムと同様である。
LED光源ユニット301は、特定の波長帯域に制限された光を発光する光源として、R−LED301a,G−LED301b,B−LED301cを有する。図23に示すように、R−LED301aは、600〜720nmの赤色領域の赤色帯域光(以下、単に赤色光という)し、G−LED301bは、480〜620nmの緑色領域の緑色帯域光(以下、単に緑色光)を発光する。また、B−LED301cは、400〜500nmの青色領域の青色帯域光(以下、単に青色光という)を発光する。
また、LED光源ユニット301は、B−LED301cが発する青色光の光路上に挿抜されるハイパスフィルタ(HPF)302を有する。ハイパスフィルタ302は、450nm以下の波長帯域の青色光をカットし、450nmより長波長帯域の光を透過する。
ハイパスフィルタ302のカットオフ波長(450nm)は、酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数がほぼ等しい波長であり(図10参照)、この波長を境に酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの吸光係数が逆転する。本実施形態の場合、相関関係記憶部82に記憶された相関関係は、酸化ヘモグロビンの吸光係数が還元ヘモグロビンの吸光係数よりも大きい場合のものなので、カットオフ波長以下の波長帯域に基づくシグナルは、信号比B1/G2が473nmで測定する本来の値よりも低下し、不正確な酸素飽和度が算出される原因になる。このため、ハイパスフィルタ302は、酸素飽和度を算出するためのB1画像信号を取得する時に、カットオフ波長以下の波長帯域の光が検体に照射されないようにする。
したがって、ハイパスフィルタ302は、特殊観察モード時にB−LED301cの前に挿入され、通常観察モード時には退避位置に退避される。ハイパスフィルタ302の挿抜は、LED光源制御部304の制御の下、HPF挿抜部303によって行われる。
LED光源制御部304は、LED光源ユニット301の各LED301a〜301cの点灯/消灯、及びハイパスフィルタ302の挿抜を制御する。具体的には、図24に示すように、通常観察モードの場合、LED光源制御部304は、各LED301a〜301cを全て点灯させ、ハイパスフィルタ302はB−LED301cの光路上から退避させる。
一方、図25に示すように、特殊観察モードの場合、LED光源制御部304は、ハイパスフィルタ302をB−LED301cの光路上に挿入する。そして、1フレーム目は、B−LED301cを点灯させ、R−LED301a及びG−LED301bを消灯させることにより、450nm以下の波長帯域がカットされた青色光を検体内に照射させる。そして、2フレーム目は、R−LED301a、G−LED301b、B−LED301cを全て点灯させ、B−LED301cが発する青色光のうち450nm以下の波長帯域がカットされた青色光と、R−LED301aが発する赤色光と、G−LED301bが発する緑色光からなる白色光を検体内に照射させる。これにより、センサ48は、1フレーム目には、B1画像信号を出力し、2フレーム目にはR2画像信号,G2画像信号,B2画像信号をそれぞれ出力する。したがって、その後の処理は第1,第2実施形態の内視鏡システムと同様に行うことができる。
なお、第3実施形態では、特殊観察モード時の1フレーム目、2フレーム目ともハイパスフィルタ302を挿入したまま検体を撮像しているが、1フレーム目だけハイパスフィルタ302を挿入し、2フレーム目にはハイパスフィルタ302を退避させても良い。また、特殊観察モード時の1フレーム目では、B−LED301cだけを点灯させ、青色光だけを検体に照射しているが、1フレーム目でもR−LED301a及びG−LED301bを点灯させ、R1画像信号及びG1画像信号をセンサ48に出力させても良い。
[第4実施形態]
図26に示すように、内視鏡システム400の光源装置14には、第1及び第2青色レーザ光34,36と光源制御部40の代わりに、広帯域光源401と、回転フィルタ402と、回転フィルタ制御部403が設けられている。また、内視鏡システム400のセンサ405は、カラーフィルタが設けられていないモノクロの撮像素子である。それ以外については、第1〜第3実施形態の内視鏡システムと同じである。
広帯域光源401は、例えばキセノンランプ、白色LED等からなり、波長帯域が青色から赤色に及ぶ白色光を発する。回転フィルタ402は、通常観察モード用フィルタ410と特殊観察モード用フィルタ411とを備えており(図27参照)、広帯域光源401から発せられる白色光がライトガイド41に入射される光路上に、通常観察モード用フィルタ410を配置する通常観察モード用の第1位置と、特殊観察モード用フィルタ411を配置する特殊観察モード用の第2位置との間で径方向に移動可能である。この第1位置と第2位置への回転フィルタ402の相互移動は、選択された観察モードに応じて回転フィルタ制御部403によって制御される。また、回転フィルタ402は、第1位置または第2位置に配置された状態で、センサ405の撮像フレームに応じて回転する。回転フィルタ402の回転速度は、選択された観察モードに応じて回転フィルタ制御部403によって制御される。
図27に示すように、通常観察モード用フィルタ410は、回転フィルタ402の内周部に設けられている。通常観察モード用フィルタ410は、赤色光を透過するRフィルタ410aと、緑色光を透過するGフィルタ410bと、青色光を透過するBフィルタ410cと有する。したがって、回転フィルタ402を通常光観察モード用の第1位置に配置すると、広帯域光源401からの白色光は、回転フィルタ402の回転に応じてRフィルタ410a、Gフィルタ410b、Bフィルタ410cのいずれかに入射する。このため、検体には、透過したフィルタに応じて、赤色光、緑色光、青色光が順次照射され、センサ405は、これらの反射光によりそれぞれ検体を撮像することにより、R画像信号、G画像信号、B画像信号を順次出力する。
また、特殊観察モード用フィルタ411は、回転フィルタ402の外周部に設けられている。特殊観察モード用フィルタ411は、赤色光を透過するRフィルタ411aと、緑色光を透過するGフィルタ411bと、青色光を透過するBフィルタ411cと、473±10nmの狭帯域光を透過する狭帯域フィルタ511dとを有する。したがって、回転フィルタ402を通常光観察モード用の第2位置に配置すると、広帯域光源401からの白色光は、回転フィルタ402の回転に応じてRフィルタ411a、Gフィルタ411b、Bフィルタ411c、狭帯域フィルタ411dのいずれかに入射する。このため、検体には、透過したフィルタに応じて、赤色光、緑色光、青色光,狭帯域光(473nm)が順次照射され、センサ405は、これらの反射光によりそれぞれ検体を撮像することにより、R画像信号、G画像信号、B画像信号、及び狭帯域画像信号を順次出力する。
特殊観察モードで得られるR画像信号とG画像信号は、第1実施形態のR1(またはR2)画像信号とG1(またはG2)画像信号に対応する。また、特殊観察モードで得られるB画像信号は、第1実施形態のB2画像信号に対応し、狭帯域画像信号はB1画像信号に対応する。したがって、その後の処理は第1〜第3実施形態の内視鏡システムと同様に行うことができる。
なお、第1〜第4実施形態(特に第1,第2実施形態)では、酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行なっているが、特定周波数Ω成分を抽出や各振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBの算出、及びこれらを用いた酸素飽和度の誤差や画像信号の補正は、B1画像信号、G2画像信号、R2画像信号をそれぞれ複数の領域に分割し、各分割領域で行うことが好ましい。例えば、図28に示すように、B1画像信号501を縦横に3×3の合計9個の分割領域501a〜501iに分割する。次いで、各分割領域501a〜501iで、特定周波数Ω成分を抽出して、それぞれ振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBの算出を行う。そして、各分割領域501a〜501iで求めた振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBに基づいて、分割領域501a〜501i毎に酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行うことが好ましい。G2画像信号、R2画像信号についても同様である。
このように、B1画像信号,G2画像信号,R2画像信号を複数の分割領域501a〜501iに分け、各分割領域501a〜501iで、酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行うと、補正精度が向上する。例えば、図29に示すように、先端部24で検体505(例えば管腔壁)を正面に捉えて観察をする場合、画像信号510を9個に分割した各分割エリアのうち、中央の分割領域510iに写し出された検体505と、先端部24の距離(撮影距離)をd1とすると、その他の分割領域510a〜510hでは、各分割領域501a〜510hに対応する被写体505の各部分と先端部24との距離はd2であり分割領域510iよりも長い(d2>d1)。
このため、画像信号510の全体を一括でフーリエ変換して特定周波数Ω成分の振幅を抽出し、振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBを求めると、中央の分割領域510iと周辺の分割領域510a〜510hとで振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBが異なる値になる。また、ズーム倍率が高いほど、あるいは先端部24が検体505に近いほど、この違いは顕著になる。したがって、全ての分割領域510a〜501iで同じように酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行うと、中央の分割領域510iまたは周辺の分割領域510a〜510h、あるいはこれらの両方の領域で補正に誤差が生じる。一方、分割領域510a〜510i毎に酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行えば、各領域で最も正確な補正をすることができる。
また、図30に示すように、先端部24が検体505に平行に近い状態で検体505を観察する場合、得られる画像信号520内の各分割領域520a〜520i間での撮影距離の差がさらに大きくなる。例えば、画像信号520の下段の3つの分割領域520e〜520gでは、先端部24と検体505の距離はd3で最も短いが、中段の3つの分割領域520d,520i,520hではd3よりも長いd4となり、さらに上段の3つの分割領域520a〜520cでは、最も長いd5となる(d3<d4<d5)。このように画像信号520内での撮影距離に差が大きいと、画像信号520の全体(全分割領域520a〜520i)に対して一括して振幅の差ΔBG,ΔGR,ΔRBを求めると、酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正は不正確になりやすい。しかし、各分割領域520a〜520iで補正を行えば、画像信号520の全体に対して一括した補正を行う場合よりも正確に酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行うことができる。
なお、図28〜図30では、画像信号を3×3の9個の分割領域に分け、各分割領域で酸素飽和度の誤差の補正や画像信号の補正を行なっているが、領域の分割数は任意である。但し、分割が細かいほど補正精度が向上するが、補正処理に時間を要する。このため、補正処理の速度と補正精度を両立させるためには、上記のように3×3の全9個程度の領域に画像信号を分割することが好ましい。
なお、第1〜第4実施形態では、アーチファクトの有無にかかわらず、酸素飽和度の誤差や画像信号の補正を必ず行なっているが、補正を行うか否かを決定するための閾値を設定しても良い。例えば、誤差テーブル88に記憶された酸素飽和度の誤差が第1閾値(例えば±5%)よりも小さい場合には補正処理を行わず、第1閾値以上の誤差がある場合にだけ補正処理を行うようにしても良い。また、補正係数テーブル212に記憶された補正係数α,βがともに第2閾値よりも1.0に近い場合には、画像信号の補正を行わず、補正係数α,βがともに第2閾値以上の場合にだけ画像信号の補正を行うようにしても良い。もちろん、補正係数αと補正係数βとで異なる閾値を設定しても良い。
また、補正処理を行う上限を定める閾値を設定しても良い。設定した閾値を超えるほど酸素飽和度の誤差や補正係数が著しく大きい場合には、こうした補正処理自体の誤差が大きく、信頼できる酸素飽和度の値を算出できない場合があるからである。
なお、第1〜第4実施形態では、信号比B1/G2と信号比R2/G2に基づいて酸素飽和度を算出しているが、信号比B1/G2のみに基づいて酸素飽和度を算出しても良い。この場合には、相関関係記憶部82には信号比B1/G2と酸素飽和度の相関関係を記憶しておけば良い。
なお、第1〜第4実施形態では、酸素飽和度を画像化した酸素飽和度画像を生成及び表示しているが、これに加えて、血液量を画像化した血液量画像を生成及び表示しても良い。血液量は信号比R2/G2と相関があるので、信号比R2/G2に応じて異なる色を割り当てることで、血液量を画像化した血液量画像を作成することができる。
なお、第1〜第4実施形態では酸素飽和度を算出しているが、これに代えて、あるいはこれに加えて、「血液量(信号比R2/G2)×酸素飽和度(%)」から求まる酸化ヘモグロビンインデックスや、「血液量×(1−酸素飽和度)(%)」から求まる還元ヘモグロビンインデックス等、他の生体機能情報を算出しても良い。
10,150,300,400 内視鏡システム
76,201 酸素飽和度画像生成部
81,213 信号比算出部
82 相関関係記憶部
83,214 酸素飽和度算出部
84 周波数成分情報抽出部
85 差分算出部
86,211 補正部
88 誤差テーブル
87 画像生成部
102 低酸素領域
104 アーチファクト
212 補正係数テーブル

Claims (14)

  1. 第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、
    前記第1信号光の反射光で前記検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを有し、前記誤差テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記酸素飽和度の誤差を算出し、算出した前記誤差を前記酸素飽和度から除く補正をする補正部と、
    前記補正部によって補正された前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する画像生成部と、
    を備える内視鏡システム。
  2. 前記周波数成分情報は、特定の周波数成分の振幅である請求項1に記載の内視鏡システム。
  3. 前記誤差テーブルは、前記第1画像信号と前記第2画像信号の特定の周波数成分の振幅の差と、前記酸素飽和度の誤差とを対応付けたものである請求項2に記載の内視鏡システム。
  4. 前記補正部は、前記第1画像信号及び前記第2画像信号を複数の領域に分割し、複数の前記領域毎に前記酸素飽和度の補正をする請求項1〜のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
  5. 前記周波数成分情報は、前記検体の表層血管に対応する周波数成分に関する情報である請求項1〜4のいずれか1項に記載の内視鏡システム。
  6. 第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、
    前記第1信号光の反射光で前記検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記第1画像信号または前記第2画像信号に乗じることで前記第1画像信号及び前記第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを有し、前記補正係数テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記補正係数を算出し、かつ、前記補正係数を用いて前記第1画像信号と前記第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する補正部と、
    前記第1補正画像信号と前記第2補正画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、
    前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する画像生成部と、
    を備える内視鏡システム。
  7. 前記周波数成分情報は、特定の周波数成分の振幅である請求項に記載の内視鏡システム。
  8. 前記補正係数テーブルは、前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記特定の周波数成分の振幅の差と、前記第1画像信号または前記第2画像信号に乗じることで前記第1画像信号及び前記第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けたものである請求項に記載の内視鏡システム。
  9. 第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、前記第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムのプロセッサ装置において、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを有し、前記誤差テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記酸素飽和度の誤差を算出し、算出した前記誤差を前記酸素飽和度から除く補正をする補正部と、
    前記補正部によって補正された前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する酸素飽和度画像生成部と、
    を備えるプロセッサ装置。
  10. 第1信号光と第2信号光を検体に照射する光源装置と、前記第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムのプロセッサ装置において、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出部と、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記第1画像信号または前記第2画像信号に乗じることで前記第1画像信号及び前記第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを有し、前記補正係数テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記補正係数を算出し、かつ、前記補正係数を用いて前記第1画像信号と前記第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する補正部と、
    前記第1補正画像信号と前記第2補正画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出部と、
    前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する画像生成部と、
    を備えるプロセッサ装置。
  11. 第1信号光と第2信号光を発する光源装置と、前記第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を有する内視鏡システムの作動方法において、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記酸素飽和度の誤差とを対応付けた誤差テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記酸素飽和度の誤差を算出し、算出した前記誤差を前記酸素飽和度から除く補正をする補正ステップと、
    前記補正ステップで補正された前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する画像生成ステップと、
    を備える内視鏡システムの作動方法。
  12. 第1信号光と第2信号光を発する光源装置と、前記第1信号光の反射光で検体を撮像して第1画像信号を出力するとともに、前記第2信号光の反射光で前記検体を撮像して第2画像信号を出力するセンサと、を備える内視鏡システムの作動方法において、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記第1画像信号または前記第2画像信号に乗じることで前記第1画像信号及び前記第2画像信号の特定の周波数成分のバランスを整える補正係数とを対応付けた補正係数テーブルを参照して前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報に対応する前記補正係数を算出し、かつ、前記補正係数を用いて前記第1画像信号と前記第2画像信号を補正し、第1補正画像信号と第2補正画像信号とを生成する補正ステップと、
    前記第1補正画像信号と前記第2補正画像信号の信号比に基づいて前記検体の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出ステップと、
    前記酸素飽和度に基づいて前記検体の酸素飽和度を表す酸素飽和度画像を生成する画像生成ステップと、
    を備える内視鏡システムの作動方法。
  13. 酸素飽和度が既知の血液を含む血液入り材料が特定の空間周波数で配列されたファントムに第1信号光と第2信号光をそれぞれ照射し、前記第1信号光と前記第2信号光の各々の反射光で前記ファントムを撮像して、前記第1信号光に対応する第1画像信号と、前記第2信号光に対応する第2画像信号を取得する撮像ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から前記空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する周波数成分情報抽出ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の信号比に基づいて前記血液入り材料の酸素飽和度を算出する酸素飽和度算出ステップと、
    前記酸素飽和度算出ステップで算出された酸素飽和度と、前記血液の酸素飽和度との誤差を算出する誤差算出ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報と、前記誤差を対応付けて記憶する記憶ステップと、
    を備えるテーブル作成方法。
  14. 酸素飽和度が既知の血液を含む血液入り材料が特定の空間周波数で配列されたファントムに第1信号光と第2信号光を照射し、前記第1信号光と前記第2信号光の各々の反射光で前記ファントムを撮像して、前記第1信号光に対応する第1画像信号と、前記第2信号光に対応する第2画像信号を取得する第1撮像ステップと、
    前記第1信号光と前記第2信号光の反射光で前記第1撮像ステップと比較して前記ファントムを拡大して撮像し、前記第1信号光に対応する第3画像信号と、前記第2信号光に対応する第4画像信号を取得する第2撮像ステップと、
    前記第1画像信号と前記第2画像信号から前記空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する第1周波数成分情報抽出ステップと、
    前記第3画像信号と前記第4画像信号から前記空間周波数に対応する周波数成分情報を抽出する第2周波数成分情報抽出ステップと、
    前記第3画像信号と前記第4画像信号の前記周波数成分情報の比を、前記第1画像信号と前記第2画像信号の前記周波数成分情報の比に等しくする補正係数を算出する補正係数算出ステップと、
    前記第3画像信号と前記第4画像信号の前記周波数成分情報と、前記補正係数と対応付けて記憶する記憶ステップと、
    を備えるテーブル作成方法。
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