JP6129009B2 - 金属材料の融合プレス加工方法 - Google Patents

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本発明は、鉄系および非鉄系の各種金属材料(板材)に超深絞り成形を施すことができる金属材料のプレス加工方法に関し、具体的には、スライドの速度および/またはモーションの制御(以降、単に「加工速度制御」ともいう)と、金属材料の温度および/または温度分布・温度勾配の制御(以降、単に「加工温度制御」ともいう)を同時に行うことを骨子とし、これらに加えてさらに、材料の塑性異方性を考慮した非真円異形ブランクと、加工中のフランジ部の体積と材質変化に応じてしわ押え荷重を動的に変化させるしわ押え荷重の動的制御を融合させた金属材料の融合プレス加工方法に関するものである。なお、本発明の「融合プレス加工方法」は、狭義には上記加工速度と加工温度の同時制御を行うプレス加工方法をいい、広義には上記に加えて、非真円異形ブランクの採用および/またはしわ押え荷重の動的制御を行うプレス加工方法をいう。
金属材料から複雑かつ難加工形状の部品などを製造する方法としては、ロッド素材から機械加工する方法(全機械切削法)や、ロッド素材の押出し/引抜き加工と機械切削加工と熱処理を組み合わせた加工方法(押出し/引抜き加工−機械切削−熱処理法)、あるいは、材料(板素材)への複数回のプレス加工と複数回の熱処理を組み合わせた加工方法(複数プレス加工−熱処理法)などが知られている。
しかしながら、上記従来技術は、加工工程が複雑で、種々の加工工程を経る必要があり、作業性が悪かったり、材料歩留りが低かったり、製造コストが高いなど、種々の問題を抱えている。そこで、プレス加工における加工性を向上し、上記加工工程をできる限りプレス加工のみで済ませることで、加工工程の簡素化、加工効率の向上、材料歩留りの向上、製品不良率の低減、製造コストの低減を図ろうとする動きがある。ここで、上記プレス加工における「加工性」とは、「成形性(耐破断性)」、「形状性(形状凍結性)」および「2次加工性(後加工性)」をも包含する意味である。
ところで、金属材料のプレス加工は、従来、室温において、メカニカルプレス機や油圧プレス機、あるいは液圧・超音波・電磁力などを利用した特殊プレス機を用いて、また、スライドの速度を可変にしたサーボプレス機を用いて行われているのが普通である。また、再結晶温度近傍で熱間プレス加工機を用いて行われることもある。さらに、近年では、工具を温間に加熱する温間加工方法が提案され、実用化されている(例えば、特許文献1〜10、非特許文献1〜3参照)。なお、上記の各種プレス加工方法の中で、汎用のクランクプレス機や油圧プレス機を用いて、室温で行う加工方法が最も一般的であり、これらの加工方法を、以降「慣用室温プレス加工方法」(以降、「慣用室温加工方法」とも称する)と称し、上記した「温間プレス加工方法」(以降、「温間加工方法」とも称する)と区別する。
特開昭54−142462号公報 特開昭54−142168号公報 特開昭54−143763号公報 特開昭62−176617号公報 特開平11−309518号公報 特開平11−309519号公報 特開2003−088922号公報 特開2000−288641号公報 特開2011−222303号公報 特開2010−40423号公報
花木香司、加藤健三:「深絞り加工における速度効果」、ISIJ(1987)、P.761 野原清彦、小野寛:「ステンレス薄鋼板の温間プレス成形方法」、vol.17(1985)No.3、P.315 K.Nohara,Y.Wranabe,and K.Yamahata:「Warm Press Forming of Stainless Steel Sheets」,Proc.1st.Int.Conf. on New Manufacturing Tech.(1990) 野原清彦:「ステンレス鋼とプレス加工」、プレス技術、Vol.41(2003)、No.1、P.18 氏原新、広瀬洋三:「しわ押え制御による車体パネルのプレス成形方法」、塑性と加工、vol.33(1992)No.375、P.373 J.A.Elias et al.:Trans.AIME,224(1962),679)
しかしながら、上記従来技術の「慣用室温加工方法」や「温間加工方法」によるプレス加工は、いずれも、被加工材である金属材料の種類において、深絞りを始めとする加工の種類、加工・変形時の被加工材の全体の巨視的な諸挙動あるいは内部の微視的な諸挙動に基づいた、最適な加工条件でプレス加工を実施していないため、優れた加工性を達成できるものではなかった。
本発明は、従来技術が内包する上記問題点に鑑みてなされたものである。その目的は、金属材料の種類や、加工の種類、被加工材の巨視的あるいは微視的な挙動を考慮し、その加工材料において最適な加工条件で弾塑性加工を施すことにより、金属材料の種類によらず、優れた加工性を実現することを可能とした金属材料のプレス加工方法を提案することにある。
発明者等は、上記の課題を解決するべく、鋭意検討を重ねた。その結果、金属材料の種類と、深絞り加工を主体とする加工の種類と、被加工材である金属材料の巨視的および微視的な挙動、ならびに、塑性加工の基本要素である「外力」・「加工速度」・「加工温度」が、被加工材の変形挙動に及ぼす巨視的および微視的効果を考慮し、加工速度および加工温度を同時に制御することに加えて、金属材料の塑性異方性が問題となる深絞り成形、特に円筒深絞り加工におけるブランク形状・寸法を、金属材料の結晶構造と物性値とから、べき乗仮説式によって導出される非真円異形ブランクを採用すること、ならびに、加工の過程でしわ押え荷重を動的に制御すること、すなわち、上記の各要素を融合させて、被加工材(金属材料)の種類や、変形・加工の種類・方法に応じた最適な条件で、その金属材料に弾塑性加工を施すことが、優れた加工性を実現する上で重要であることを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち本発明は、金属材料を深絞り成形するプレス加工方法において、スライドの一時停止を含むスライドの速度および/またはモーションの制御と、金属材料の温度および/または温度分布・温度勾配の制御を、下記(8)〜(10)式を満たして同時に制御することを特徴とする金属材料の融合プレス加工方法である(第1発明)。

0<V=Q+q・△T≦10mm/s ・・・(8)
ここで、V:スライドの速度、△T:T−T、T:フランジ部の温度、T:ポンチ肩部近傍の温度、Q,q:金属材料および加工条件によって決まる定数であり、
金属材料が、鉄系の場合、
60<T≦200℃ ・・・(9−1)
−60<T≦20℃ ・・・(9−2)
40≦△T≦260℃ ・・・(9−3)
金属材料が、非鉄系の場合、
40<T≦300℃ ・・・(10−1)
−20<T≦20℃ ・・・(10−2)
20≦△T≦320℃ ・・・(10−3)
本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記深絞り成形が円筒深絞り成形である場合、上記金属材料のブランク形状を、下記(12)式から決められる非真円異形ブランクとすることを特徴とする(第2発明)。

金属材料が、体心立方金属である場合;
θ=R・D(r45/rθ ・・・(12−1)
金属材料が、面心立方金属である場合;
θ=S・D[{(r+r90)/2}/rθ ・・・(12−2)
ここで、Dθ:圧延方向から角度θ方向のブランク径
:真円ブランク径
θ,r,r45,r90:圧延方向からの角度がθ°,0°,45°,90°方向の塑性歪比r
J,K:定数(J=1/10〜1/13,K=1/8〜1/15)
R,S:それぞれDθの補正項で、
R=1.0+{(R−1.0)/45}・|θ−45|
(ただし、RはRを決めるパタメータで、ζ≦0.5の場合、R=1.0、従って、R=1.0、ζ>0.5の場合、R>1.0、従ってR>1.0である。
また、ζ≡△r/raveで、
△r={(r+r90)/2}−r45
ave(r +r 90 +2r 45 )/4である。)
S=1.0+{(S−1.0)/45}・|θ−45|
(ただし、SはSを決めるパタメータで、ζ≦0.5の場合、S=1.0、従って、S=1.0、ζ>0.5の場合、S>1.0、従ってS>1.0である。
また、ζ≡△r/raveで、
△r={(r+r90)/2}−r45
ave(r +r 90 +2r 45 )/4である。)
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記深絞り成形において、加工過程における、フランジ体積の変化、加工速度および加工温度の変化によるフランジと金型間の摩擦力の変化、ならびに、金属材料の加工硬化度および変形の余裕度の変化に応じて、しわ押さえ荷重Fを、下記(14)式を満たすよう動的に制御することを特徴とする(第3発明)。

F=F(v/vβ ・・・(14)
ここに、F:加工過程におけるしわ押さえ荷重
:加工初期のしわ押さえ荷重
v:加工過程におけるフランジの体積(面積×板厚)
:加工初期のフランジの体積(面積×板厚)
β:加工過程における金属材料の物性変化によって決まるべき指数であり、
金属材料が、体心立方金属である場合;0<β≦1、
金属材料が、面心立方金属である場合;1≦β<3
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法における上記金属材料は、冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、ステンレス鋼板のうちから選ばれるいずれか1の鉄系材料、あるいは、銅、アルミニウム、チタン、マグネシウムおよびそれらの合金のうちから選ばれるいずれか1の非鉄系材料であることを特徴とする(第4発明)。
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工の潤滑剤として、−60〜+320℃間における動摩擦係数の温度変化が±10%以内の水溶性固形被膜型潤滑剤を用いることを特徴とする(第5発明)。
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工後、リストライク加工および/またはしごき加工を施すことを特徴とする(第6発明)。
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工後、あるいは、その後のリストライク加工および/またはしごき加工後、2次加工を施すことを特徴とする(第7発明)。
また、本発明の金属材料の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工を、スライドの速度および/またはモーションの制御が可能なサーボ機構と、しわ押え荷重を動的に制御可能なサーボ機構を具備するプレス機と、温度制御が可能な金型と、該金型からの熱伝導によって金属材料の温度および/または分布・勾配を制御する温度制御装置を用いて行うことを特徴とする(第8発明)。
本発明によれば、加工の基本要素である外力・速度・温度の制御ならびに金属材料の結晶集合組織由来の塑性異方性を考慮した適正ブランクの形状寸法を融合し、金属材料の種類や加工の種類に応じた最適な条件で優れた弾塑性加工を施すことが可能になるので、従来技術では困難であった厳しい加工を、容易かつ少ない工程で効率よく行うことや、機械切削加工などからの工法転換が可能となる。また、発明の実施に要するハード設備も大掛かりでなく、多額の設備投資を必要としないことから、中堅・中小企業や零細企業においても容易に実施することが可能である。
深絞り成形において、絞り比と加工速度および加工温度を制御・変化させたときのフランジ変形抵抗Pとポンチ肩部近傍破断抵抗pの比η(≡P/P)および限界絞り比の変化を説明する図である。 スライドの一時停止を含む加工速度と温度制御の融合による加工性向上のメカニズムを説明する図である。 スライド停止時間が被加工材のフランジ部およびポンチ肩部を含む円筒側壁部の温度分布/勾配におよぼす影響を定性的に説明する図である。 3次スプライン補間法を説明する図である。 仮説べき乗近似式におけるパタメータ(J値)と、体心立方多結晶材の異方性耳高さの差△Hとの関係を示すグラフである。 体心立方多結晶材における真円ブランクと、圧延45°方向長さが真円ブランクと同一で、仮説べき乗式における補正項を考慮に入れない場合と入れた場合の非真円異形ブランクの形状・寸法を対比して示す図である。 絞り加工の進行に伴うフランジ体積(面積×板厚)変化と被加工材の加工硬化度および変形余裕度の変化を考慮したしわ押え荷重の動的制御を説明する図である。 本発明の融合プレス加工方法に用いるスライドの速度制御としわ押え荷重の動的制御が可能なサーボ機構を具備したプレス機と、加工温度制御装置の外観写真である。 ブランク材の形状・寸法および深絞り加工方法が、平底円筒絞りの成形性に及ぼす影響を示す写真である。 ブランク材の形状・寸法および深絞り加工方法が、凹耳部成形高さに及ぼす影響を示す実測図である。 円筒絞り成形体の板厚、真円度および円筒度の測定位置を示す図である。 融合プレス加工方法で円筒絞り成形した1次加工品に各種の2次加工を施した2次加工品の外観写真である。
前述したように、近年、金属材料に対する加工性の向上、特に、金属材料の典型的な加工方法であるプレス加工における「絞り加工性」の向上が強く求められるようになってきている。その理由は、機械切削加工などからプレス加工への工法転換による工程削減や、加工工程間や加工後における熱処理回避への要請が強く顕在化してきていることの他、生産性の向上、材料歩留りの向上、作業効率の向上、コストダウンおよび作業環境の改善などの効果も期待できるからである。しかし、工法転換は、初期投資はできるだけ少額にしなければならない。
「絞り加工性」の向上に対する具体的改善要求としては、限界絞り比(LDR:Limiting Drawing Ratio)が安定的に2.5以上を実現でき、かつ、その場合でも、ポンチ直径に対して1.5倍以上の凹耳部の成形高さを確保できるということである。というのは、多結晶体である金属材料は、通常、再結晶集合組織を有し、加工に伴う結晶の回転とすべり変形を生ずるために塑性異方性を示し、限界絞り比LDRが大きくなるほど、使用可能な有効成形高さ(凹耳部と底部間の距離(=凹耳部の成形高さH))も増大するが、異方性耳の大きさ△H(=凸耳部成形高さH−凹耳部成形高さH)も増大するからである。
このような要請は、鉄系材料である冷延鋼板や熱延鋼板、高張力鋼板、SUS304に代表されるステンレス鋼板だけでなく、非鉄系材料であるアルミニウム(合金)、銅(合金)、特にチタン(合金)やマグネシウム(合金)などのいわゆる「難加工材」を含む金属材料全般において要求されている。そこで、本発明は、上記要請に応えるべく、鉄系材料の他、非鉄系材料をも含む各種金属材料から、絞り変形様式が主体となる複雑で難加工形状の部品を主としてプレス加工で製造することを可能とするプレス加工方法を提案することを目標としている。
以下、本発明の技術思想・原理や手法について具体的に説明する。
まず、本発明の<第1発明>は、金属材料を深絞り成形するプレス加工方法において、スライドの一時停止を含むスライドの速度および/またはモーションの制御と、金属材料の温度および/または温度分布・温度勾配の制御を、下記(8)〜(10)式を満たして同時に制御するプレス加工方法である。

0<V=Q+q・△T≦10mm/s ・・・(8)
ここで、V:スライドの速度
△T:T−Tであり、
鉄系の場合:40≦△T≦260℃ ・・・(9−3)
非鉄系の場合:20≦△T≦320℃ ・・・(10−3)
:フランジ部の温度であり、金属材料が、
鉄系の場合:60<T≦200℃ ・・・(9−1)
非鉄系の場合:40<T≦300℃ ・・・(10−1)
:ポンチ肩部近傍の温度であり、金属材料が、
鉄系の場合:−60<T≦20℃ ・・・(9−2)
非鉄系の場合:−20<T≦20℃ ・・・(10−2)
Q,q:金属材料および加工条件によって決まる定数
一般に、金属材料の円筒絞り成形における絞り性は、ブランク径をD、ポンチ径をDとすると、下記(1)式;
LDR≡(D/Dmax ・・・(1)
で表される限界絞り比LDRで評価される。
上記限界絞り比LDRは、円筒絞り成形におけるDに対するDの比(D/D)である「絞り比」の最大値で、1回の絞りで破断を起こさない、絞り性の評価指標である。
上記(1)式は、平底円筒絞りの場合、下記(2)式で表される。
LDR=√(1+rave)・{(1+rave)/√(1+2rave)} ・・・(2)
ここで、raveは、金属材料の塑性歪比rの平均値であり、rおよびraveはそれぞれ下記式で定義される。
r≡|ε/ε
(ただし、εは真歪であり、ε=ln(1+λ)(λは慣用歪(公称歪)、wおよびtは単軸引張試験の幅方向と厚み方向を示す)である。)
ave=(r+r90+2r45)/4
(ただし、0,45,90は、圧延方向を0としたときの引張方向の圧延方向からの角度を示す。)
また、nは加工硬化指数で、下記(3)式のべき乗関係式のべき指数である。
σ=Cε ・・・(3)
(ただし、σは真応力であり、σ=(1+λ)s(sは慣用応力(公称応力)、Cは定数)である。)
他方、多結晶金属材料の加工変形時のσは、一般に(3)式に従うと同時に、(4)式および(5)式のように、歪速度(dε/dt)と変形温度Tに依存する。
σ=K(dε/dt) ・・・(4)
lnσ=A+(Q/kT) ・・・(5)
ここに、tは時間、K,Aは定数、Qは活性化エネルギ、kはボルツマン定数、mは歪速度感受性指数である。
発明者らは、本発明が加工対象としている鉄系材料(冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、ステンレス鋼板など)および非鉄系材料(アルミニウム(合金)、銅(合金)、チタン(合金)、マグネシウム(合金)など)の加工変形挙動を調べたところ、(3)〜(5)式が大略成り立つことを確認している。
とすれば、上記金属材料は、外力の付加のもとで、加工速度制御および加工温度制御を同時に行う、即ち、それぞれの要素の付与によって生ずる材料の微視的および巨視的変形挙動を融合させることによって、絞り性の向上を実現できる可能性があることを予見した。
ただし、円筒絞り加工の変形能(成形性)をマクロ塑性加工学的観点から見ると、ブランク形状・寸法などを変数として、フランジ変形抵抗Pに対する種々の変形様式中で最も破断抵抗が小さい平面歪変形状態(主歪ε>0、主歪εに直交する歪ε=0の変形様式)におかれるポンチ肩部近傍の臨界破断抵抗Pの比η(=P/P)が、下記の(6)式;
η≡P/P≧1 ・・・(6)
の条件下におかれると、ブランク素材は破断する。
ここで、重要なことは、第1に「材料側」からいうと、P,Pともに(3)〜(5)式に依存するとともに、Pが下記(7)式に示す臨界破断力σCRに依存する。すなわち、この(7)式は、Pが、(3)〜(5)式中の定数のみならず、材料特性、速度Vおよび温度Tにも依存することを、材料学上含意しているということである。
σCR=(2/√3)1+n・[{(1+rave)/2}/{(√1+2rave)/3}]1+n・σ(t/t) ・・・(7)
ここで、σは引張強さ(真応力)、tは板厚、tは初期の板厚である。
第2に「加工側」からいうと、絞り比DRおよび限界絞り比LDRに影響を及ぼす要因は、加工速度・加工温度条件のバランス、すなわち、融合条件の他、ブランク形状寸法、潤滑条件、金型とプレス機など、多岐に亘るということである。
これらの各要因を包含しつつ、本発明の骨子になる、加工性の関連要因とそれらの結果を結び付ける重要事項と考えられる「加工速度V、加工温度T、DR、LDRおよびηの予想関連図」を作成し、本発明の<第一発明>の「融合プレス加工方法」について説明する。
図1は、本発明の「融合プレス加工方法」の技術思想・原理を、等方性金属材料の場合について説明する定性的な図であり、X軸(左右)はDR、Y軸(前後)は同じくDR、Z軸(上下)はη(≡P/P)を示している。そして、XZ面は、主として温度制御に係わる<温度象限>、YZ面は、主として速度制御に係わる<速度象限>、XY面に描かれた直線(X,Y軸から等角度)は、上記象限におけるDR−η線図から決まるLDR(限界絞り比LDR=DRmax;図1では、各変化直線がη=1.0に達したときのDRの値に相当)を示している。
DRの増加に伴うηの漸増線図は、<温度象限>および<速度象限>において、従来の加工方法の「慣用室温加工」、「温間加工」、「速度制御加工」時に、被加工材の温度(RT(室温),T,T)もしくは加工速度(V,V)を制御して、DR−η線図が、η=1.0と交叉するときのDR、すなわちLDRを示す。これから、温度・速度の両者を同時に変化したとき(「融合プレス加工」時)のLDRが、上記従来の加工方法よりも増大する可能性、すなわち、加工速度制御の効果と加工温度制御の効果を加算した効果を凌駕する相乗効果が得られることが予見される。
図2は、図1の応用例を具体的に表現した定性図であり、速度Vを変化した場合に、X軸に温度、Y軸に加工経過時間t、Z軸にPまたはPをとり、融合加工時、即ち、速度と温度を同時に変化させたときのPおよびPの時間変化を、時間の経過につれて、それぞれの値の幅(バラツキ)が増加することも考慮に入れて、YZ面に記し、これをXZ面に写象して、慣用室温加工方法と融合プレス加工方法のP=P位置の相違、すなわち、後者のLDRの向上可能性を具体的に表現したものである。
また、図3は、本発明の加工温度制御技術の一例として、金型のポンチ肩部近傍の温度をT、被加工材のフランジ部温度をT(ただし、T<T)とした場合に、加工開始後のスライド速度V(V=V>0)を浅絞り段階(深さ10mm)で停止(V=0)したときの、時間経過t(t→t→t→t)における被加工材の温度T(T<T<T)の変化を示したものである。この場合、t=tに達したときの温度分布条件で、V>>Vの条件で融合プレス加工を行うことで、優れた加工性を得ることができる。
次に、本発明の新たな加工方法(融合プレス加工方法)が、基本的に単一の工程であるにも拘わらず、成形性の大幅な向上が可能になり、製造コストの増加をもたらす熱処理を回避することができるメカニズムについて、材料・ミクロの観点と、プレス加工・マクロの観点の双方から説明する。
まず、材料のミクロ変形に関しては、内部組織の変化が、速度と温度を同時に変化させた場合には、次の点で変わる。
(1)加工硬化の局所分布が変化する。すなわち、加工速度の増加によって転位の交叉すべりが生じ易くなる。また、加工温度の制御によって転位の上昇運動を容易に制御できる。
(2)加工量に応じて、変形の余裕度の局所分布が変化する。すなわち、速度制御によって、すべり変形が均一・分散化するので、変形余裕度を向上させることができる。また、温度制御によって、各局部の転位密度を低減し得るので、変形余裕度が増加する。
(3)再結晶集合組織の変化を好ましく変え得る。すなわち、加工速度・加工温度の同時制御により、結晶回転挙動を変化させ、加工硬化と変形余裕度の双方に有利な加工組織が得られる。
一方、加工中のマクロな変形挙動に関しては、加工速度・加工温度の同時制御によって以下の変化が起こる。
(1)加工力(絞り力)を可変にすることができる。すなわち、速度制御によって、加工硬化度が変化するので、可変にできる。また、温度制御によって、しわ押え部分とポンチ肩部近傍の変形抵抗を変えられるので、可変にできる。
(2)フランジ部の潤滑性が向上する。すなわち、速度制御によって、摩擦力が低下するので、潤滑性を向上できる。また、温度制御によって、材料を軟質化できるので、潤滑性を向上できる。
以上の検討の結果、加工速度・加工温度を同時制御する際の、加工速度Vと加工温度Tの間の望ましい関係は、下記(8)式で表されることを知見した。
0<V=Q+q・△T≦10mm/s ・・・(8)
(ここに、△T=T−T、Q,qは定数で、材料の種類・加工条件によって決定される値である。)
上記(8)式は、加工速度Vと加工温度Tを結び付けるもので、発明者らの実験結果から得られた経験式である。
また、温度TとTと△Tは、鉄系材料と非鉄系材料のそれぞれにつき、下記(9)式および(10)式で示され、これらから(8)式を用いて、適正な速度を求め、新規なプレス加工方法(融合プレス加工方法)の加工条件を決定する必要がある。
・金属材料が鉄系の場合、
60<T≦200℃ ・・・(9−1)
−60<T≦20℃ ・・・(9−2)
40≦△T≦260℃ ・・・(9−3)
・金属材料が非鉄系の場合、
40<T≦300℃ ・・・(10−1)
−20<T≦20℃ ・・・(10−2)
20≦△T≦320℃ ・・・(10−3)
次に、本発明の<第2発明>は、上記融合プレス加工方法において、深絞り成形が円筒深絞り成形である場合、上記金属材料の塑性異方性を考慮して結晶構造(体心立方晶および面心立方晶)別に、ブランクの形状・寸法を決定することを特徴とする。
発明者らの調査・研究によれば、被加工材である金属材料の板素材の異方性の改善が成形性の向上にも寄与することが明らかになっている。しかし、本発明は、異方性に関与する板素材の結晶集合組織そのものには関知せず、現状の板素材の物性を前提とし、新たなプレス加工方法を開発することによって、異方性による悪影響を除去し、成形性を改善することを主眼としている。
加工性に影響する多くの物性値の中で、絞り加工性に対する寄与が大きい材料物性値として、塑性歪比r(=|ε/ε|)を挙げることができる。ここに、εおよびεは、それぞれ単軸引張変形における幅方向および厚さ方向の真歪であり、引張方向の圧延方向からの角度θによって変化するので、rもθに依存する。この原因は、多結晶金属のミクロなすべり現象が、結晶集合組織と結晶系により規定されており、すべり系のすべり面とすべり方向の方位が引張方向、すなわちθ方向の力(負荷)に依存するからである。
従って、金属材料の塑性異方性は、引張方向に対して角度θの方向のrをrθで表せば、主としてrθに依存する。実際の加工においては、塑性異方性が存在すると、円筒絞りの場合、円筒の円周方向で成形高さが変化し、口縁部に「耳」と称される凹凸が生じ、使用可能な成形高さHは「凹耳部の成形高さ」で決まるから、凹耳部の成形高さが減少すると、トリミング量が増えて、材料歩留りが低下する。同時に、絞り過程で円周方向の板厚変動を生じるから、r値が小さい増厚部(凹耳部)でのフランジ変形抵抗が増大して、成形性を阻害する。また、製品の形状・寸法精度に対する不具合も生じることとなる。
そこで、与えられた金属材料を使用することを前提に、上記塑性異方性に起因する耳の大きさ(凹凸部の成形高さの差△H(=H−H、H:凸耳部の成形高さ、H:凹耳部の成形高さ))を、塑性異方性を考慮したブランク形状・寸法を採用することにより、低減する方法を検討した。
この際、使用する素材の物性値(r値)の実測値、つまり、rθを求める実証的な手法と、仮説計算式とを使用し、加工に先立って材料の最適なブランク形状寸法を決定することによって△Hを低減するのが望ましい。予めあるブランク形状(原形状)を仮決めし、実際に何回も加工してデータ取りを行い、回帰分析して原形状を改善する方法も提案されているが(例えば、特許文献7参照)、素材の特性を考慮していないため、予測と結果との乖離が生じ、最適化する手間も容易ではない。
異方性を低減する本発明のブランク形状・寸法決定法は、材料物性の実証データに基づくものであり、以下の手順により決定することができる。
まず、被加工材の圧延方向から角度θ方向の塑性歪比r(rθ)を測定する。本発明に至る研究の結果によれば、測定材料の結晶構造の如何に拘らず、rθの測定範囲はθ=0°〜90°の一つの象限でよい。他の三つの象限は、対称性が存在するので、あえて測定する必要はない。測定角度の間隔△θは基本的に15°で、測定点は合計7点でよく、測定したrθのθによる変化が平滑性を欠く場合は、繰り返し、もしくは△θの間隔を狭めて測定する。
その結果、平滑な曲線が得られることを大略現認できたら、3次スプライン補間法によって近似曲線を作成し、全象限に敷衍する。3次スプライン補間法は、3次多項式で小区間を近似する手段で、与えられたデータ点を滑らかな曲線で結ぶ方法である。この方法によれば、図4のごとく、変動要因をX,特性値をSとすると、一般に、次式;
(X)=A+B(X−Xi−1)+C(X−Xi−1+D(X−Xi−1
・・・(11)
に測定データを当て嵌めて定数A,B,C,Dを求め、補間曲線Sを得ることができる。ただし、ここではi=0,1,2,3からなる4元3次連立方程式を解くこととなる。
本発明の場合には、X=θ,S=rθに相当する。この方法を用いることで、△θを無限小にしたときのrθを計算により求めることが可能となる。
上記のようにして、結晶構造の異なる種々の金属材料についてブランク形状・寸法を決定する近似曲線を求めることができる。なお、発明者らの研究結果によれば、BCC(体心立方晶)金属の場合は、θが0°、90°の方向が凸耳であり、FCC(面心立方晶)金属の場合はθが45°の方向が凸耳であることが確認されている。また、このことは、結晶学的解析によっても示唆されている(例えば、非特許文献4、6参照)。
そこで、金属材料を結晶構造によりBCCとFCCとに分けて近似曲線を求めた結果、以下に示す、べき乗仮説近似式を得た。
すなわち、金属材料の結晶構造がBCCの場合;
θ=R・D(r45/rθ ・・・(12−1)
金属材料の結晶構造がFCC金属の場合;
θ=S・D[{(r+r90)/2}/rθ ・・・(12−2)
ここで、Dθ:圧延方向から角度θ方向のブランク径
:真円ブランク径
θ,r,r45,r90:圧延方向からの角度がθ°,0°,45°,90°方向の塑性歪比r
J:定数(J=1/10〜1/13)
K:定数(K=1/8〜1/15)
R,S:それぞれDθの補正項で、
R=1.0+{(R−1.0)/45}・|θ−45| ・・・(13−1)
S=1.0+{(S−1.0)/45}・|θ−45| ・・・(13−2)
この補正項については、
ζ≦ζで、パタメータR=1.0=S
ζ>ζで、パタメータR>1.0、S>1.0であり、
なお、発明者らの実験による知見では、BCC、FCCとも、ζ≒0.5程度である。
ここに、ζ≡△r/raveを表し、△rおよびraveは、それぞれ
△r={(r+r90)/2}−r45
ave=(r+r90+2r45)/4である。)
なお、参考として、図5に、BCC金属(SPC冷間圧延鋼板)における、べき指数Jと異方性耳高さ△Hとの関係を、図6に、BCC(SPC冷間圧延鋼板)において、D=120mmの場合の真円ブランクと、J=1/11.5かつR=1.00および1.04とした場合の非真円異形ブランクの形状・寸法を比較して示す。
なお、被加工材(金属材料)の非真円異形ブランクへの加工は、少量生産の場合は、レーザ加工もしくは放電ワイヤカット加工で行ってもよいが、大量生産する場合には、打抜加工用金型でプレス加工を行うのが効率的である。
ここで、「非真円異形ブランク」を使用することによる効果は、以下のとおりである。
1)耳の低減(等方化)による円筒絞り成形品の使用可能な成形高さ(すなわち、凹耳部の成形高さ)を高めることができる。
2)同じ面積の円ブランクに比べて絞り性を向上することができる。
3)製品に必要な所定の高さ(使用可能な成形高さ)を得るのに必要な素材量を削減できる。したがって、ステンレス鋼板や非鉄系のチタン(合金)、マグネシウム(合金)など、高価な材料の材料コスト費を削減できる(大略10%程度)。
4)変形歪が均一化されると同時に、導入される転位密度を低減できるので、引張応力が集中する円筒絞り成形品の口縁部の凹耳部に発生し易い「遅れ破壊」を防止することができる。
5)深絞り成形後の形状・寸法精度の向上、および、それに続くリストライク加工やしごき加工の他、種々の二次加工性の向上をもたらす。
次に、本発明の<第3発明>について説明する。
絞り加工では、フランジ部のしわ押え荷重Fは、加工(成形)の開始から終了まで一定に保持されるのが一般的である。しかし、成形の進行につれて、フランジの面積や板厚が変化することや、材料の加工硬化が進むことを考えると、しわ押え応力は増加するので、これは成形性の低下要因となり得る。このことについては、これまでにも論じられてきた(例えば、非特許文献4および5参照)。ただし、それらは、加工速度・加工温度制御や材料の結晶構造や変形の余裕度などを考慮した「融合プレス加工」に関連した扱いがなされたものではない。
本発明の「融合プレス加工方法」は、先述したように、狭義には、加工速度と加工温度の同時制御を行うプレス加工方法をいい、広義には、上記に加えて、非真円異形ブランクの採用および/またはしわ押え荷重の動的制御を行うプレス加工方法をいう。
本発明の広義の融合プレス加工方法における典型的な深絞り成形過程は、「非真円異形ブランクの製作→被加工材接触直前まで高速スライド動作→低速極浅絞り→スライドの短時間停止による被加工材の温度・分布勾配制御→高速超深絞り加工→(下死点短時間停止)→スライドの高速戻し過程→ノックアウトによる成形品の離型」である。これらの加工行程中における、特に、温度制御がなされた後の高速深絞りにおけるしわ押え荷重Fの動的制御は、以下のように行うのが好ましい。
図7に、本発明のしわ押え荷重の動的制御の内容を示す。
従来技術においては、しわ押え荷重Fは、真円ブランク径がDから絞り抜けに相当するDとなるまで、通常、一定(F)に制御される。これに対して、本発明では、非真円異形ブランクのフランジの体積変化、すなわち(面積×板厚)の変化を瞬時に計測するとともに、予め実験で求めておいたデータからスライド停止後の速度増加、加温によるフランジ摩擦力の低減ならびに材料の加工硬化度(WH)および変形余裕度(RD;通常加工材の極限変形能)の変化を予測し、これらに基いてしわ押え荷重を動的に制御する。このように、加工中のフランジのしわ押え荷重を、実測に基くフランジの状況変化と予測に基く材料物性の変化を考慮してしわ押え荷重の動的制御を行う例は過去に存在しない。
以上の点を考慮した上で、実際の成形においては、現実的な作業能率に鑑みて、図7の定性図を参照して、以下に説明する定式化と定数の決定を行っておき、これを制御ソフトへ組み込んで、しわ押え荷重の動的制御を行う。ここで、図7に、代表的なしわ押え荷重線図の一例として示した3種類の線図は、次式で表すことができる。
F=F(v/vβ ・・・(14)
ここに、Fはしわ押え荷重、Fはその初期値で、材料の種類、製品仕様および、スライド停止後の高速成形による摩擦力の低減などを考慮して、適切に選択する。また、vはフランジの体積、vはその初期値である。また、βはべき指数で、フランジ部の体積変化、WHおよびRDによって決定される定数である。そして、このβに関しては、直線線図aのごとく、WH=RDと見做される場合はβ=1、上に凸の曲線線図bのごとくWH<RDと見做される場合はβ<1、また、下に凸の曲線線図cのごとくWH>RDと見做される場合はβ>1となる。
すなわち、図7に示したa,b,cの代表的な線図は、定性的には次の状況に対応する。まず、bは、材料の温度制御後の加工速度の高速化の程度が比較的大きく(摩擦低減度が比較的大きい)、加工硬化度が変形余裕度よりも相対的に小さい場合に相当し、おもにBCC金属が該当する。また、cは、材料の温度制御後の加工速度の高速化の程度が比較的小さく(摩擦低減度が比較的小さい)、加工硬化度が変形余裕度よりも相対的に大きい場合に相当し、おもにFCC金属が該当する。aは、上記bとcの中間に位置する場合であり、物性挙動がFCC金属に近いBCC金属、もしくは、BCC金属に近いFCC金属に対処する場合に該当する。
なお、上記βの値は、発明者らの知見では、金属材料がBCCの場合は0<β≦1、FCCの場合は1≦β<3の範囲となる。
本発明は、以上の検討・考察に基づき、実用的な(14)式で表される3種のしわ押え荷重線図を基本にし、材質変化および成形条件の双方を取り込んだしわ押え荷重の動的制御により絞り成形性の向上を図るものである。
次に、本発明の<第4発明>について説明する。
本発明の融合プレス加工方法は、被加工材である金属材料が、冷延鋼板、熱延鋼板、ステンレス鋼板のうちから選ばれるいずれか1の鉄系材料、あるいは、銅、アルミニウム、チタニウム、マグネシウムおよびそれらの合金のうちから選ばれるいずれか1の非鉄系板材料であることが好ましい。
これまでの説明において、本発明のプレス加工方法を適用する金属材料については、「鉄系」と「非鉄系」の違いがあることや、「BCC」や「FCC」の違いがあることについて説明してきたが、本発明のプレス加工方法が対象とする金属材料は、基本的には、冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、ステンレス鋼板、表面処理鋼板、電磁鋼板、琺瑯用鋼板や各種特殊鋼板を含む「鉄系材料」と、銅、アルミニウム、チタン、マグネシウムおよびそれらの合金である「非鉄系材料」を対象とする。
ここで「鉄系」および「非鉄系」のいずれの金属材料においても、既述のごとく結晶構造の違いが重要となる。というのは、金属材料の多くは、室温において、BCC(体心立方晶)かFCC(面心立方晶)のいずれかであるからである。
BCCのすべり系の数は48(主すべり面が{110}、{211}、{321}の3種、すべり方向は、いずれも<111>)で、FCCのすべり系は12(主すべり面は{111}、すべり方向は<110>)である。従って、FCCに属する金属材料は、一般に、加工硬化係数n値が大きく、かつ、絞り性に有利な圧延面に平行に{111}面が生じ難い特性を有しており、BCCに比べて難加工性を示す。従って、本発明の融合プレス加工方法を適用するに当たっては、結晶構造によって、上記のように、加工速度、加工温度、ブランク形状・寸法およびしわ押え荷重の制御条件を適正化することが重要となる。
さらに、被加工材となる金属材料について考慮すべきこととは、材料の種類、温度条件によっては相変態、すなわち結晶構造に変化が生じるということである。本発明の適用においては、このことに留意し、本発明法の効果をできるだけ優位性のあるものとしなければならない。言い換えれば、このような配慮により本発明法の有効性を最大限に引き出すことができる。
次に、本発明の<第5発明>について説明する。
本発明の融合プレス加工方法は、融合プレス加工(深絞り成形)の潤滑剤として、−60〜+320℃間における動摩擦係数の温度変化が±10%以内の水溶性固形被膜型潤滑剤を用いることが好ましい。
すなわち、上述した本発明の融合プレス加工方法においては、潤滑剤としては、−60〜+320℃間における摩擦係数を低値かつ一定の範囲に保持できる、具体的には、上記温度範囲における動摩擦係数の変化が±10%以内の水溶性固形被膜潤滑剤を用いることが好ましい。ここで、上記温度範囲を、−60〜+320℃の範囲とした理由は、本発明の融合プレス加工方法においては、鉄系材料と非鉄系材料の双方を合わせると、被加工材を制御すべき温度の最低値および最高値がそれぞれ−60℃と+320℃であることに加えて、被加工材に生じる相変態挙動を有利に活用することを意図しているからである。
上記水溶性固形被膜潤滑剤としては、例えば、特許文献1に開示の潤滑剤は、室温における動摩擦係数が0.09で、−60〜800℃近傍まで、上記動摩擦係数が殆ど変化しないので、好ましく用いることができる。ただし、この潤滑剤は、溶媒として有機溶剤を使用するものであるので、本発明では、環境問題に配慮し、水溶性にして使用するのが好ましい。なお、テフロン(登録商標)などの有機化合物は、広い温度範囲で良好な潤滑性を示す潤滑物質であるが、作業性と価格面から本発明には不向きである。
表1に、潤滑剤の種類・タイプ別に、摩擦の加工速度・加工温度依存性、加工方法別の絞り加工性能、塗布性と作業性、除去性、環境への負荷(影響)について評価した結果を示した。この表から、融合プレス加工方法には、水溶性タイプの固形被膜生成型潤滑剤が好ましいことがわかる。
なお、本発明の記融合プレス加工方法では、上記潤滑剤の被膜上に、さらに、極圧添加剤を含む油性潤滑剤を塗布してプレス加工を行ってもよい。例えば、深絞り成形後、後述する形状寸法出し加工(リストライク加工)を行う場合、材料の結晶組織が粗大で「表面凝着(焼き付き)」を生じやすいときなどには、上記水溶性固形被膜潤滑剤の被膜上に、さらに、通常の液体潤滑剤を塗布して行うのが好ましい。なお、通常の液体潤滑剤のみでは、被加工材の加温によって動粘度が著しく低下するため、使用が困難である。
次に、本発明の<第6発明>について説明する。
本発明の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工(深絞り成形)後、さらに、リストライク加工および/またはしごき加工を施すことが好ましい。
上述した本発明の融合プレス加工で深絞り成形した円筒絞り成形体を最終製品にするためには、上記成形体が所定の有効使用高さを有することに加えて、形状凍結性に優れること、寸法精度に優れること、具体的には板厚精度、直径精度、真円度、円筒度などが所定の範囲内にあることが必要だからである。
なお、プレス成形後、リストライク加工やしごき加工を施すことは、従来から一般的に行われている。しかし、本発明の融合プレス加工方法では、従来の慣用室温加工方法や温間加工方法に比べて、成形体の変形歪を均一化し、転位密度を低下することができるので、その後の変形余裕度を残存させる、すなわち、融合プレス加工後の極限変形能を高めた状態にすることができる。したがって、本発明の融合プレス加工を施した成形体の形状凍結・寸法精度出し加工は、従来の加工方法で成形した成形体に比べて、形状・寸法精度の向上が期待される。なお、従来法では、熱処理を施さなければ、形状・寸法出し加工は実質上ほとんど不可能である。この点については、後述する実施例で説明する。
また、本発明の融合プレス加工方法は、巨視的・微視的に、加工変形状態を均一化し、被加工材表面の結晶粒の変形量を小さくすることができるので、耐表面凝着(溶着)や焼付き防止に対しても効果がある。発明者らの調査結果では、素材の金属組織が粗大で、結晶粒度番号が4以下(平均結晶粒径が約100μm以上)の場合は、従来の加工方法、融合プレス加工方法のいずれにおいても成形後のリストライク加工やしごき加工において表面凝着が生じやすい。しかし、素材の結晶粒度番号が4超え、すなわち、平均結晶粒径が約100μm以下の素材の場合には、リストライク加工やしごき加工の前の成形を、従来の慣用室温加工方法に替えて融合プレス加工方法を適用すると、凝着を生じ難くなる、言い換えれば、凝着摩耗が生じ難くなることがわかった。この原因は、融合プレス加工を行った場合には、成形体表面は、歪が均一化し、転位密度が低下し、組織も均一となるため、ミクロ的に成形体の表面エネルギが安定状態に保たれ、素材表面の構成原子と工具表面の構成原子との相互作用が少なくなり、マクロ的な凝着現象が抑制されることにあると推察している。
次に、本発明の<第7発明>について説明する。
本発明の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工(深絞り成形)後、あるいは、その後のリストライク加工および/またはしごき加工後、トリミング加工、底面突起出し加工、穴あけ加工、バーリング加工および機械切削加工などの加工を施すことができる。
前述した融合プレス加工後、あるいは、その後のリストライク加工やしごき加工後に、最終製品形状を得るため、補足的な「2次加工」と称される加工を施すことが多い。なお、本発明においては、融合プレス加工、あるいは、その後のリストライク加工やしごき加工までを「1次加工」、その成形品を「1次加工品」と称し、その後の加工を「2次加工」、成形品を「2次加工品」という。
一般的に、2次加工を行うに際しては、素材となる1次加工品は、1次加工により硬質化し、加工難度が高くなっている、即ち、変形余裕度が小さくなっているので、熱処理を付与し、軟化させてから2次加工を施すことが多い。しかし、熱処理工程は、殆どの場合、外注作業となるので工程管理や製造コストの面からは回避したい工程である。
この点、融合プレス加工後、あるいは、その後、リストライク加工/しごき加工後の「1次加工品」は、従来の慣用室温加工方法や、温間加工方法、液圧加工方法、切削加工方法、押出/引抜加工方法などで加工し、かつ、熱処理を施した1次加工品と比較し、2次加工はかなり厳しいことが予想された。しかし、本発明法で加工した1次加工品(平底円筒絞り成形品)に、上記の2次加工を施したところ、中間熱処理などの特別な処理を施すことなく余裕をもって加工することができる。この理由は、平底円筒絞りの場合、本発明の1次加工品における絞り抜け時の被加工材の温度状態を考えると、側壁部分は室温以上の温度で加工がなされ、変形状態が均一なこと、また、底面部分は室温以下の低温で加工されているが、応力・歪が比較的軽度で、かつ、均一変形状態にあることなどから、本発明の1次加工品には、いわば1次加工時における「1次変形余裕度(1次極限変形能)」に相当する「2次変形余裕度(2次極限変形能)」が依然として残されているものと推察している。さらに、異形ブランクの採用や、加工速度制御およびしわ押え荷重の動的制御による摩擦力低減効果も2次加工性に寄与している。
次に、本発明の<第8発明>について説明する。
本発明の融合プレス加工方法は、上記融合プレス加工を、スライドの速度および/またはモーションの制御が可能なサーボ機構と、しわ押え荷重を動的に制御可能なサーボ機構を具備する制御装置を備えるプレス機と、金型からの熱伝導によって金属材料の温度および/または分布・勾配を制御する温度制御装置および金型を用いて行うことが好ましい。
すなわち、上述した本発明の融合プレス加工方法を実施するためには、主として単一工程の絞り成形からなるプレス加工を、スライドの速度および/またはモーションの制御が可能なサーボ機構を備えたプレス機と、金型の温度/分布・勾配制御が可能な温度制御装置(加熱および冷却の2系統)を具備したサーボプレス機を用いて行うことが必要である。また、上記サーボプレス機には、スライドのサーボ機構に加えて、しわ押え荷重の動的制御が可能なサーボダイクッション装置を備えたものであることが好ましい。上記プレス機の一例として、外観写真を図8に示す。
なお、サーボ機構がないプレス機でも、サーボ機構は安価かつ容易に付設することができるので、本発明の実施の障害とはならない。
以上説明したように、本発明の融合プレス加工方法によれば、従来、難加工材を中心として、熱処理を挟んで複数回のプレス加工を行う方法や、温間加工方法、押出/引抜加工方法、液圧加工方法、超音波加工方法、電磁加工方法、逐次加工方法などの他、機械切削法などの方法で製造していた製品を、主として絞り成形からなる単一工程のプレス加工で、熱処理を必要とすることなく製造することが可能となる。
また、上記融合プレス加工(深絞り成形)後に行うリストライク加工やしごき加工、さらには、その後に行うトリミング加工や穴あけ加工、底面突起出し加工、バーリング加工、機械切削加工などの2次加工についても、従来技術のような過度の切削や熱処理などを必要とすることなく行うことができる。このように、本発明の融合プレス加工品が、リストライク加工性やしごき加工性などの1次加工性のみならず、2次加工性にも優れる理由は、融合プレス加工で成形体に導入された変形歪や変形組織が均一で、成形体の加工硬化度が従来の加工法よりも緩和され、変形の余裕度(極限変形能)が相当量残存されているからである。
従って、本発明の加工方法によれば、鉄系あるいは非鉄系の各種素材を出発材料とし、「プレス加工による超深絞り成形」→「形状・寸法精度出しのためのリストライク加工および/またはしごき加工」→「2次加工」の工程により、終始一貫して、絞り加工を主体としたプレス加工で最終製品まで製造することができる。
なお、本発明に関する上記説明では、平底円筒形状の深絞り成形とそれに続くストライク加工性やしごき加工性および2次加工について述べてきたが、本発明は、このような典型例に限定されるものではなく、その他の加工様式や製品形状についても適用することができることは勿論である。
本発明の融合プレス加工方法は、金属材料の種類や、組み合わせる加工方法の種類が多岐に亘る。そこで、本実施例では、鉄系材料の代表例として、1.5mm厚の一般冷延鋼板SPCを素材とし、これに本発明の融合プレス加工方法を適用して平底円筒絞り成形し、リストライク加工して形状・寸法精度出しを行い、その後、各種の2次加工を行った例について実施例1〜4に説明する。また、本発明の融合プレス加工方法の、一般冷延鋼板SPC以外の他の金属材料への適用可能性について、実施例5において説明する。
板厚が1.5mmの一般冷延鋼板SPC(体心立方晶系(BCC))を、D=42mmの平底円筒ポンチを用いて、下記の慣用室温加工方法(1条件)および本発明の融合プレス加工方法(2条件)の3条件で、平底円筒絞り成形する実験を行った。
(条件1)
=76mmの真円ブランク素材を、加工速度V=50mm/s(一定)、加工温度T=RT=23℃(一定)とし、潤滑剤として絞り加工用油性剤を使用して慣用室温加工により深絞り成形を行い、絞り抜いた。
(条件2)
=100mmの真円ブランク素材を、ポンチがブランクに接触するまでの速度を50mm/s、次いで深さ10mmまでの速度を5mm/sで浅絞りを行い、その時点でポンチ(スライド)の動作を5秒間停止し、金型からの熱伝導によって、被加工材の温度とその分布・勾配を適正化した。この際の金型温度はT=110℃、T=−15℃、△T=125℃とした。その後、V=100mm/sに増速して動摩擦係数を低下させ、かつ、しわ押え荷重をそれまでの約1/4に低減して、すなわち、フランジ変形抵抗Pの増加を抑制し、高速化によるポンチ肩部近傍の破断抵抗Pの増大効果を生かして、PとPのバランスを適正化し、本発明の融合プレス加工方法で深絞り成形し、絞り抜いた。なお、この際の潤滑剤には、水溶性固形被膜生成潤滑剤を塗布・乾燥して使用した。
(条件3)
条件2のD=100mmの真円ブランク素材に代えて、D45=115mm、べき指数J=1/11.5、補正項パタメータR=1.04とする非真円異形ブランクを用いたこと以外は、条件2と同様にして本発明の融合プレス加工方法で深絞り成形し、絞り抜いた。
なお、上記条件1〜3で用いたブランク素材の寸法は、いずれも各プレス条件の絞り抜け限界に相当する。
図9は、上記3条件で絞り抜いた平底円筒絞り成形体の外観写真を示したものであり、(a)は条件1(真円ブランク−慣用室温加工)、(b)は条件2(真円ブランク−融合プレス加工)および(c)は条件3(非真円異形ブランク−融合プレス加工)での成形体である。
図9に示した3つの成形体の使用可能な有効成形高さ(凹耳部の成形高さ)について比較してみると、ブランク形状が真円、非真円異形を問わず、プレス加工方法によって大きな差があり、融合プレス加工方法を用いた(b)および(c)の方が、慣用室温加工方法を用いた(a)より格段に優れていることがわかる。これは、融合プレス加工方法では、大きなブランクを使用しても絞り抜けが可能になる効果によるものである。
また、融合プレス加工方法を用いた(b)および(c)の両者を比較すると、非真円異形ブランクを用いた(c)の方が、真円ブランクを用いた(b)よりも、ブランク材の面積が小さいにも拘らず、異方性耳の大きさ△Hが低減し、なおかつ、使用可能な有効成形高さ(凹耳部の成形高さ)が大きくなっていることがわかる。
これらの結果は、適切なブランク形状の採用と、加工速度・加工温度の同時制御およびしわ押え荷重の動的制御のそれぞれの効果が相俟って、体心立方晶のSPCにおいて、D=D45で、ブランク面積が小さいにも拘らず成形性が向上したためであると考えられ、本発明法の効果が如実に表れている。
また、上記(a)〜(c)の成形体について、円筒側壁から小試験片を採取し、単軸引張試験を行った結果によれば、本発明の融合プレス加工方法で加工した(b)および(c)の方が、室温加工した(a)より高い極限変形能(断面収縮率)を示しており、本発明の融合プレス加工方法で成形した成形体の方が、その後の変形余裕度が担保されていることが確認されている。したがって、本発明の融合プレス加工方法で加工した成形体は、その後のリストライク加工性および/またはしごき加工性や、2次加工性に優れている。
実施例1と同じく、体心立方晶である板厚1.5mmのSPC素材に、本発明の融合プレス加工方法の他、慣用室温加工方法、温間加工方法を適用して、平底円筒ポンチ(直径D=42mm)を用いて絞り成形し、円筒絞り成形体を製造した。
図10は、上記3種類のプレス加工方法で得た円筒絞り成形体を、各プレス条件ごとに比較して示したものであり、横軸には、ブランク形状が真円ブランクの場合は直径Dを、また、非真円異形ブランクの場合はSPCがBCCであるため直径D45を、縦軸には、絞り抜け品の凹耳部の成形高さH(=使用可能な有効成形高さ)をとっている。また、図中には、素材が等方体、ブランク形状が真円形で、平均板厚減少率τ=0.1と仮定したときの成形高さHの計算値(理論値)を示した。さらに、図中には、非真円異形ブランクの圧延方向から角度θ方向の直径Dθの「補正項導入仮説べき乗計算式」を示してあるが、ζ>0.5であることが確認されたため、補正項Rの計算式におけるパタメータRの好ましい値として1.04を用いた。
なお、各プレス加工方法におけるプレス条件は、融合プレス加工方法および慣用室温加工方法については、それぞれ実施例1の条件2および条件1と同様とし、温間加工については、T:110℃、T:−15℃、△T=125℃の温度としたこと以外は、実施例1の条件1と同様とした。
図10から、以下のことがわかる。
(1)真円ブランクを慣用室温加工する場合の絞り抜け限界は、D=77mmでH=23mm程度である。
(2)真円ブランクを温間加工する場合の絞り抜け限界は、D=100mmでH=42mm程度である。
(3)D=100mmの真円ブランクに代えて、D45=100mmの非真円異形ブランク(D=100mmの真円よりもブランク面積は約10%小さい)を使用し、融合プレス加工すると、H=48mmまで増加し、温間加工方法の42mmに対して成形高さを約15%高くすることができる。
(4)真円ブランクを融合プレス加工する場合の絞り抜け限界は、D=110mmでH=52mmと、温間加工方法の42mmに対して成形高さが約25%増加する。
しかし、ここで、D45=110mmの非真円異形ブランクを使用すると、H=60mmと真円の52mmに対して成形高さが約15%増加する。そして、異形ブランク使用時の融合プレス加工方法の絞り抜け限界は、D45=120mmで73mm程度と、慣用室温加工方法の3倍以上、温間加工方法の1.7倍以上となり、本発明の融合プレス加工方法(加工速度・加工温度制御+異形ブランク+しわ押え荷重の動的制御)の効果が著しいことがわかる。
(5)また、τ=0.1の等方性素材のHの計算値との比較においても、従来の加工方法ではブランク寸法が大きくなる程、両者の差は大きくなるが、本発明の融合プレス加工方法によれば、温間加工方法の限界であるD=100mmにおいても、また、本発明の融合プレス加工方法に敢えて真円ブランクを適用したときのD=110mmにおいても、明らかにHが従来の加工方法に対して成形高さが15〜25%増加し、計算曲線に近づいており、本発明の効果は明白である。
上記実施例と同様、板厚1.5mmの一般冷延鋼板SPCに、実施例1の条件3と同じ加工条件で深絞り成形し、リストライク加工して、内径が42mmで、有効成形高さ(凹耳部の成形高さ)が73mmの平底円筒形状の成形体とした。
次いで、この成形体について、図11に示したように、円筒側壁高さ方向と、圧延方向を基準(0°)にした円周方向を組み合わせた位置の円筒側壁部の板厚および内径を測定し、板厚精度および内径の真円度および円筒度を評価した。ここで、上記真円度とは、側壁の同一高さ位置の各半径方向における直径差の1/2、また、上記円筒度とは、同一半径方向の各側壁高さ位置における直径差の1/2と定義される。
円筒側壁の板厚の測定結果を表2に、また円筒内径の真円度および円筒度の測定結果を表3に示した。
製品の形状・寸法に対する要求精度は、ケースバイケースであるが、本実施例の成形体の場合の仕様はかなり厳しく、板厚は「1.5+0.1mm、−0.15mm」、内径は「42.0±0.1mm」、真円度は「0.2mm以内」、円筒度は「0.1mm以内」である。
表2に示した合計32点の板厚測定結果をみると、いずれも上記仕様を満たしている。また、表3に示した合計16点の内径測定結果をみると、やはり上記仕様を十分に満たしている。上記のような良好な形状・寸法精度が得られた理由は、本発明の融合プレス加工によって得られた絞り成形体は、加工後の熱処理なしでも、十分な変形余裕度を有しているため、リストライク加工の効果が十分に発揮されたからであると推察される。
なお、表2によれば、板厚のバラツキは、円筒の円周方向よりも側壁高さ方向の方が若干大きい。また、円周方向の板厚変化は、塑性異方性とその異形ブランク化によって、圧延方向から45°の方向は、若干凸耳傾向となり、r45が小さいにも拘らず、軸方向(高さ方向)に延ばされた(材料が逃げやすくなったため)ため、0°および90°方向よりも小さい傾向が認められる。一方、側壁高さ方向の板厚変化は、平底底部から口縁部に向けて、ほぼ一様に増大している傾向がある。このことは、絞り抜け品の変形様式が、口縁部が「圧縮」、側壁部が「圧縮+曲げ+曲げ戻し+引張」、平底ポンチ肩部近傍が「圧縮+曲げ+曲げ戻し+引張+平面歪変形」、平底部が「引張/圧縮」変形を受けていることを考えれば理解できる。というのは、このような変形を受ける場合、円筒高さ位置が同じであれば円周方向についてほぼ同様の変形を受けるからである。
板厚1.5mmの一般冷延鋼板SPCから得た非真円異形ブランクを、実施例1の条件3と同じ条件で、本発明の融合プレス加工方法により平底円筒絞り成形した後、リストライク加工した1次加工品に、さらに熱処理を施すことなく、機械切削加工、突起出し加工、下穴抜き後、バーリング加工(伸びフランジ加工)のいずれかの2次加工を施した。
図12(a)は、円筒側壁に矩形状の長穴を機械切削によって穴あけした例である。通常、SPCの2次加工で側壁に切削で穴あけ加工する場合には、加工硬化が大きいため、熱処理を施さない場合は、高速度鋼(ハイス)や超硬合金などの高級バイトを用いたり、低速で加工したりすることが必要とされるが、この実施例では、比較的容易に行うことができた。上記のように熱処理なしでも切削加工が可能な理由は、本発明の融合プレス加工方法で成形した平底円筒絞り成形体は、2次加工に対する変形余裕度が十分に残存しており、かつ、表面近傍が好ましい残留応力状態にあるためであると推察される。
また、図12(b)は、平底部分に突起出し加工を施した例である。前述したように、平底部分のプレス加工時の応力状態は「圧縮/引張」である。そのため、平底部分は、2次加工には元来向いているとは言い難い。
しかし、本発明の融合プレス加工においては、容易に突起出し加工を行うことができた。これは、ポンチ肩部近傍の平面歪変形の作用による破断を回避するため、ポンチ肩部近傍の温度Tは室温以下の温度に制御されることから、平底部分も熱伝導冷却によって低温下で、転位のタングリング(縺れ)が少ない状態で、絞り成形されること、加工速度的には「高速→低速→停止→高速」なる加工工程中、主たる絞り加工は最後の高速化にあることから、特に、「動的しわ押え」による摩擦接触抵抗の低下の影響が大きいこと、また、材料学的には、斯かる「加工条件の重畳による低摩擦下の加工・ミクロすべりの均一化・転位の増殖抑制効果」によって、変形余裕度の低下が抑制されていることのためであると考えられる。
なお、このような突起出し加工においては、ブランク材の時点での突起の事前形成や、1次加工品に予備成形して肉寄せを行っておくことが、加工難度の低減に有効である。
また、図12(c)は、円筒側壁部に下穴抜き後、バーリング加工(伸びフランジ加工)した例である。この加工も、バーリング加工において塑性異方性を生じることなく、加工することができた。これも、本発明の融合プレス加工方法で成形した円筒深絞り成形体は、側壁部に変形余裕度が十分に温存されていることに加えて、適正な異形ブランクの選択・製作・使用によって、等方性材料に近い変形が進行し、均一な板厚が得られたことによるものであることは言うまでもない。
上記実施例1〜4には、本発明の融合プレス加工方法の基盤となる「絞り成形」を、鉄系材料の代表的な材料である一般冷延鋼板SPCに適用した例を示したが、本発明の技術は、鉄系材料のみならず非鉄系材料にも適用することができる。
表4および表5は、各種鉄系材料および非鉄系材料に、本発明の融合プレス加工方法を適用し、実施例1と同様の平底円筒絞り加工した結果について、その他の加工方法と比較して示したものである。なお、その他の加工方法としては、従来の慣用室温プレス加工方法(真円ブランク)、温間加工方法(真円ブランク)、液圧加工方法、機械切削加工方法、(後方)押出加工方法を適用した。
なお、表4および表5中には、各材料の結晶系と材料物性を示した。結晶系は、原子レベルのすべり系を介して本発明の骨子となる加工速度・加工温度の一体制御による成形性に影響するばかりでなく、ブランクの形状寸法の補正計算式を介して、有効使用高さを規定する異方性耳の出現程度や、加工硬化度および変形余裕度への影響を介して動的しわ押えの制御にも関与し、ひいては、1次加工性および2次加工性にも関与するからである。
また、上記表4および表5には、材料物性の項目中に、上記加工硬化度および変形余裕度を示すとともに、異形ブランク計算式の補正項に関連するζ値、および、材料の塑性歪比rや絞り加工性そのものと正の相関がある板面に平行な{111}結晶面の集積度を示した。
また、加工条件として、本発明の基本要件である加工速度(V=Q+q・△T)、加工温度(T,T,△T)、しわ押え荷重(F=F(v/vβ)および異形ブランクの計算式(Dθ=R(r45/rθ(BCCの場合)、Dθ=S・{(r+r90)/2}(FCCの場合))、さらに、量産性や製造コストへの影響が大きい熱処理および切削の要否を重要項目として加えた。
さらに、上記条件のもとで、種々実験を行った結果を「加工性(成形性、形状・寸法性(以上、1次加工性)、2次加工性)、表面性状(凝着性)」および「生産性、経済性」などを定性的に示した。
表4および表5に示した結果から、本発明の融合プレス加工方法の優位性が明らかである。すなわち、本発明の融合プレス加工方法は、深絞り成形およびリストライク加工/しごき加工性(1次加工性)に優れるだけでなく、その後の2次加工性にも優れている。
なお、本発明によれば、1次加工以降の表面凝着現象は、各種の材料において、結晶粒組織が約100μm以下であれば生じないことが確認されている。ただし、鉄系のTRIP型の高張力鋼板においては、加工温度制御における加温によって強度が低下することがあるので、それを補填するための残留γ相の再生成を意図した熱処理が必要となることがあるが、従来の加工方法では、TRIP型の高張力鋼板の深絞り加工が殆ど不可能であったことを踏まえれば、本発明の融合プレス加工方法の意義は薄れない。
また、非鉄系材料のチタン(合金)やマグネシウム(合金)においては、結晶系がHCP(稠密充填六方晶)の場合があり、この場合、すべり系が極端に少ないため、加工が極めて困難である。しかし、融合プレス加工方法を適切に利用すれば、相変態によってHCPをBCCに変換することができるので、これを解決することが可能となる。
本発明の技術は、上記のように典型的な塑性加工分野である深絞り加工に代表される加工に限定されるものではなく、塑性加工の範疇に入るその他の技術、例えば、押し出し加工や引き抜き加工、鍛造加工などの諸分野にも適用することができる。
なお、絞り加工を主体とする本発明による融合プレス加工方法を実際に適用可能と事業対象としては、具体的には、ハウスウェア・調理器・温水器分野、厨房機器(オフィースビル設備関係)、食品関係・水回り関係(パイプを含む)、建設・土木関係(厚/中板・パイプを含む)、家電関係(筐体・ガンパーツほか)、自動車関連(外板・メンブレン・オイルパン・エンジン回りを含む諸物)、カメラ・複写機・文房具関係、パソコン・電気電子部品・移動体情報機器・制御関係品(電池ケース・センサーケースを含む)、医療機器関連(主としてイクスプラント関係)、レジャー・アウトドア関係、スポーツ用品関係、種々のベンディングマシン(自動販売機)関係、魔法瓶・飲料缶関係、その他ニッチ関連諸分野などを挙げることができる。

Claims (8)

  1. 金属材料を深絞り成形するプレス加工方法において、
    スライドの一時停止を含むスライドの速度および/またはモーションの制御と、
    金属材料の温度および/または温度分布・温度勾配の制御を、
    下記(8)〜(10)式を満たして同時に制御することを特徴とする金属材料の融合プレス加工方法。

    0<V=Q+q・△T≦10mm/s ・・・(8)
    ここで、V:スライドの速度、△T:T−T、T:フランジ部の温度、T:ポンチ肩部近傍の温度、Q,q:金属材料および加工条件によって決まる定数であり、
    金属材料が、鉄系の場合、
    60<T≦200℃ ・・・(9−1)
    −60<T≦20℃ ・・・(9−2)
    40≦△T≦260℃ ・・・(9−3)
    金属材料が、非鉄系の場合、
    40<T≦300℃ ・・・(10−1)
    −20<T≦20℃ ・・・(10−2)
    20≦△T≦320℃ ・・・(10−3)
  2. 上記深絞り成形が円筒深絞り成形である場合、上記金属材料のブランク形状を、下記(12)式から決められる非真円異形ブランクとすることを特徴とする請求項1に記載の金属材料の融合プレス加工方法。

    金属材料が、体心立方金属である場合;
    θ=R・D(r45/rθ ・・・(12−1)
    金属材料が、面心立方金属である場合;
    θ=S・D[{(r+r90)/2}/rθ ・・・(12−2)
    ここで、Dθ:圧延方向から角度θ方向のブランク径
    :真円ブランク径
    θ,r,r45,r90:圧延方向からの角度がθ°,0°,45°,90°方向の塑性歪比r
    J,K:定数(J=1/10〜1/13,K=1/8〜1/15)
    R,S:それぞれDθの補正項で、
    R=1.0+{(R−1.0)/45}・|θ−45|
    (ただし、RはRを決めるパタメータで、ζ≦0.5の場合、R=1.0、従って、R=1.0、ζ>0.5の場合、R>1.0、従ってR>1.0である。
    また、ζ≡△r/raveで、
    △r={(r+r90)/2}−r45
    ave(r +r 90 +2r 45 )/4である。)
    S=1.0+{(S−1.0)/45}・|θ−45|
    (ただし、SはSを決めるパタメータで、ζ≦0.5の場合、S=1.0、従って、S=1.0、ζ>0.5の場合、S>1.0、従ってS>1.0である。
    また、ζ≡△r/raveで、
    △r={(r+r90)/2}−r45
    ave(r +r 90 +2r 45 )/4である。)
  3. 上記深絞り成形において、加工過程における、フランジ体積の変化、加工速度および加工温度の変化によるフランジと金型間の摩擦力の変化、ならびに、金属材料の加工硬化度および変形の余裕度の変化に応じて、しわ押さえ荷重Fを、下記(14)式を満たすよう動的に制御することを特徴とする請求項1または2に記載の金属材料の融合プレス加工方法。

    F=F(v/vβ ・・・(14)
    ここに、F:加工過程におけるしわ押さえ荷重
    :加工初期のしわ押さえ荷重
    v:加工過程におけるフランジの体積(面積×板厚)
    :加工初期のフランジの体積(面積×板厚)
    β:加工過程における金属材料の物性変化によって決まるべき指数であり、
    金属材料が、体心立方金属である場合;0<β≦1、
    金属材料が、面心立方金属である場合;1≦β<3
  4. 上記金属材料は、冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、ステンレス鋼板のうちから選ばれるいずれか1の鉄系材料、あるいは、銅、アルミニウム、チタン、マグネシウムおよびそれらの合金のうちから選ばれるいずれか1の非鉄系材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属材料の融合プレス加工方法。
  5. 上記融合プレス加工の潤滑剤として、−60〜+320℃間における動摩擦係数の温度変化が±10%以内の水溶性固形被膜型潤滑剤を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属材料の融合プレス加工方法。
  6. 上記融合プレス加工後、リストライク加工および/またはしごき加工を施すことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属材料の融合プレス加工方法。
  7. 上記融合プレス加工後、あるいは、その後のリストライク加工および/またはしごき加工後、2次加工を施すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属材料の融合プレス加工方法。
  8. 上記融合プレス加工を、スライドの速度および/またはモーションの制御が可能なサーボ機構と、しわ押え荷重を動的に制御可能なサーボ機構を具備するプレス機と、温度制御が可能な金型と、該金型からの熱伝導によって金属材料の温度および/または分布・勾配を制御する温度制御装置を用いて行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属材料の融合プレス加工方法。
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