JP6128183B2 - アンテナ装置および無線通信装置 - Google Patents

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Description

本発明は複数の周波数帯に適応するアンテナ装置およびそのアンテナ装置を備えた無線通信装置に関するものである。
近年、携帯電話端末等の無線通信装置には、NFC(Near Field Communication)、GPS、Bluetooth(登録商標)等、様々な周波数帯(HF帯、UHF帯等)を用いるシステムが備えられる。このような複数の周波数帯を用いる無線通信装置においては、各周波数帯に対応したアンテナを備える必要があるが、小型化が進んでいる無線通信装置に多くのアンテナを設置するスペースを確保することはますます難しくなってきている。
特許文献1には複数の周波数帯に適応するアンテナ装置が開示されている。特許文献1に記載のアンテナ装置は、スパイラル形状のアンテナ(コイルアンテナ)兼、折り返しダイポール構造を有するアンテナである。このアンテナは、HF帯およびUHF帯の二つの周波数による通信が可能な線路長に設定されていて、HF帯ではコイルアンテナとして作用し、UHF帯ではダイポールアンテナとして作用する。
特許第4529786号公報
しかしながら、特許文献1に記載のアンテナ装置においては、1つのスパイラル状導体パターンをHF帯用とUHF帯用とに兼用するものであるので、HF帯でコイルアンテナとして作用させ、UHF帯でダイポールアンテナとして作用させるには、導体パターンを最適化する必要がある。また、2つの周波数帯の関係によっては、そもそも最適化できない場合もある。すなわち、HF帯に適する導体パターンとUHF帯に適する導体パターンとは本来異なるので、1つの導体パターンをHF帯用の放射素子とUHF帯用の放射素子として兼用させると、通常は何れか一方の特性が犠牲になる。
また、HF帯用の放射効率を高めるためには放射素子のサイズを相対的に大きくする必要があるが、組み込み先のスペースに制限があると、UHF帯用の放射素子を兼ねるHF帯用アンテナとしての利得はますます低下することになる。
そこで、本発明の目的は、第1周波数帯と第2周波数帯の2つの周波数帯に適用でき、大型化することなく、いずれの周波数帯でも高利得なアンテナ装置、およびそれを備えた無線通信装置を提供することにある。
(1)本発明に係るアンテナ装置は、NFC通信の周波数帯である第1周波数帯、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯の2つの周波数帯に兼用されるアンテナ装置であって、
金属部分を有する筐体と、
前記第2周波数帯の給電回路に接続され、前記金属部分を利用したものである放射素子と、
前記第1周波数帯の給電回路に接続され、かつ、電磁界結合を介して前記放射素子に接続されるコイル導体と、を備え
前記第2周波数帯の給電回路は、付加回路を介して接続されていることを特徴とする。
この構成によると、スパイラル状の導体パターンを2つの周波数帯での放射素子として兼用するのではなく、筐体の金属部分を第1周波数帯での放射補助素子として機能させ、第2周波数帯では放射素子として機能させるので、いずれの周波数帯においても、高利得なアンテナ装置として使用できる。また、第1周波数帯でも放射効率が高いので、全体に大型化することがない。
)例えば、前記付加回路は容量素子を含む。
)例えば、前記付加回路はスイッチ素子を含む。
)例えば、前記第2周波数帯はUHF帯である。
例えばHF帯を利用するNFC通信およびUHF帯を利用するW-LAN(Wireless LAN)、GPSまたはBluetooth(登録商標)用のアンテナとして用いることができる。
本発明によれば、筐体の金属部分を第1周波数帯での放射補助素子として機能させ、第2周波数帯では放射素子として機能させるので、いずれの周波数帯においても、高利得なアンテナ装置として使用できる。また、第1周波数帯でも放射効率が高いので、全体に大型化することがない。また、第2周波数帯において異なる周波数で用いる場合、例えばUHF帯のGPSとBluetooth(登録商標)のアンテナを兼用する場合、給電部で調整することで第2周波数帯での通信周波数の変更が可能となるため、筐体の金属部分の形状等を変更することなく、第2周波数帯において異なる周波数での通信が可能となる。
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の分解斜視図である。 図2は、UHF帯用給電回路および付加回路を等価回路で表したアンテナ装置101の回路図である。 図3は給電コイル2のコイル導体21およびグランド導体11に流れる電流の経路の例を示す図である。 図4はグランド導体11がダイポールアンテナの放射素子として作用する様子を示す図である。 図5は第2の実施形態のアンテナ装置における付加回路の第1の例を示す図である。 図6は第2の実施形態のアンテナ装置における付加回路の第2の例を示す図である。 図7は第3の実施形態のアンテナ装置における切り欠き部の第1の形状を示す図である。 図8は第3の実施形態のアンテナ装置における切り欠き部の第2の形状を示す図である。 図8は第3の実施形態のアンテナ装置における切り欠き部の第3の形状を示す図である。 図10は第4の実施形態のアンテナ装置104の回路図であり、UHF帯用給電回路および付加回路を等価回路で表している。 図11は第5の実施形態に係る無線通信装置の断面図である。 図12は第6の実施形態に係る無線通信装置206の断面図である。 図13は無線通信装置206における平面導体に対する給電の様子を示す分解斜視図である。
以下の各実施形態では、本発明に係るアンテナ装置およびそれを備えた携帯電話端末について示す。各実施形態に係るアンテナ装置はHF帯(本発明の第1周波数帯)およびUHF帯(本発明の第2周波数帯)で通信を行う。UHF帯での通信は例えばGPS、Bluetooth(登録商標)、W-LAN等である。HF帯での通信は例えばNFC等である。
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置101の分解斜視図である。図2は、UHF帯用給電回路および付加回路を等価回路で表したアンテナ装置101の回路図である。
図1に示すように、アンテナ装置101は本発明の平面導体に相当するグランド導体11が基材10に形成されてなる基板9を備えている。グランド導体11は導体開口部112およびスリット111で構成される切り欠き部が形成されている。スリット111はグランド導体11の外縁から導体開口部112まで延びている。
基板9上には、スリット111を挟むように、付加回路3が接続されている。この付加回路3は、後に詳述するとおり、HF帯では単なるハイインピーダンスの素子として、装荷容量として、または共振用キャパシタとして作用し、UHF帯ではUHF帯用給電回路との接続経路としてまたはUHF帯用整合回路として作用する。
また、アンテナ装置101は内側にコイル開口部CWを有するようにスパイラル状またはループ状に巻回されたコイル導体21がフレキシブル基材22に形成されてなる給電コイル2を備えている。この給電コイルは平面視でコイル開口部CWが切り欠き部(特に導体開口部112)と少なくとも一部で重なる位置に配置される。この給電コイル2のコイル導体21にHF帯の給電回路を接続するための接続部2Aが設けられている。接続部2Aには、給電回路と接続するためのコネクタなどが設けられていてもよい。
図2に示すように、付加回路3は、スリット111を挟む二点(以下、UHF帯用給電点)でグランド導体11に電気的に接続されている。この例では付加回路3はキャパシタC1である。UHF帯用給電回路4はこのキャパシタC1を介して前記UHF帯用給電点に給電する。
ここで、図1、図2に示したアンテナ装置101のHF帯用アンテナとしての作用について示す。図3は給電コイル2のコイル導体21およびグランド導体11に流れる電流の経路の例を示す図である。図3の破線矢印はコイル導体21に流れる電流の向きを示している。但し、図3ではコイル導体21は図示を簡略化している。
HF帯では、付加回路3であるキャパシタC1のインピーダンスは充分に高く、HF帯においてスリット111は等価的に開放されているものと見なせる。
平面視で、コイル導体21のコイル開口部CWは導体開口部112と重なっているので、コイル導体21はグランド導体11の導体開口部112と電磁界結合する。そのため、グランド導体11の導体開口部112には、給電コイル2のコイル導体21に流れる電流の向き(破線矢印)とは反対方向(実線矢印)に電流が誘起される。導体開口部112の縁に沿って流れる電流は、縁端効果により、スリット111の縁を介し、グランド導体11の外周に沿って流れる。平面視で、グランド導体11の周囲に沿って流れる電流はコイル導体21に流れる電流と同方向である。このため、グランド導体11からはコイル導体21から生じる磁界と同方向の磁界が生じる。グランド導体11はコイル導体21より大面積であって、グランド導体11に流れる電流により、広範囲に拡がる磁界が生じ、通信距離が拡大する。
特に、平面視で、導体開口部112とコイル開口部CWとがほぼ同じ大きさとし、且つ導体開口部112の4辺でコイル導体21と近接させると、平面視でコイル導体21が導体開口部112の周縁と略一致して配置されることになり、グランド導体11の導体開口部112の縁部とコイル導体21との電磁界結合が大きくなる。このため、グランド導体11にはより大きな電流が流れるようになり、グランド導体11は給電コイル2による磁界を効率よく放射させることができる。
なお、付加回路3のキャパシタC1はグランド導体11(放射補助素子)とともに共振回路を構成してもよい。すなわち、放射補助素子としてグランド導体11のインダクタンスとキャパシタC1のキャパシタンスとで、共振周波数がHF帯の使用周波数であるLC共振回路を構成してもよい。この共振動作については後の別の実施形態で示す。
次に、図1、図2に示したアンテナ装置101のUHF帯用アンテナとしての作用について示す。図4はグランド導体11がダイポールアンテナの放射素子として作用する様子を示す図である。図4中に示すグランド導体11の長さLは、図1に示した基板9の一辺の長さ(スリット111を跨ぐ方向の寸法)Lであり、UHF帯の使用周波数をλで表すと、例えばL=λ/2である。UHF帯用給電回路4は給電部41およびバラントランス42を備えている。バラントランス42は、給電部41からの不平衡電流I′を一対の平衡電流I,−Iに変換する。これら平衡電流I,−Iは付加回路3を介してグランド導体11の給電点にそれぞれ給電される。ここで、キャパシタC1はUHF帯では低インピーダンスであるので、バラントランス42が直接接続されている場合と同様に給電される。これにより、等振幅且つ逆位相の平衡電流I,−Iがグランド導体11に流れるため、電流Iがグランド導体11の一端から他端へ流れる状態になり、グランド導体11はダイポールアンテナの放射素子として作用する。
なお、付加回路3のキャパシタC1はバラントランス42とグランド導体11(放射素子)との整合素子として用いてもよい。
以上に示したように、前記平面導体は、HF帯では給電コイル2と電磁界結合してHF帯の放射補助素子(ブースターアンテナ)として作用し、UHF帯ではUHF帯の直接の放射素子として作用する。したがって、アンテナ装置101は給電コイル2による給電でHF帯用のアンテナとして用いることができ、UHF帯用給電回路4による給電でUHF帯用のアンテナとして用いることができる。このため、アンテナ装置101を実装した携帯電話端末等の無線通信装置は、HF帯通信およびUHF帯通信に応じた放射素子をそれぞれ必要とせず、省スペース化およびコストダウン等が実現できる。
《第2の実施形態》
第2の実施形態では付加回路の構成が第1の実施形態とは異なる2つの例を示す。
図5に示すアンテナ装置102Aにおいて、付加回路3AはキャパシタC1に加え、キャパシタC2をさらに備えている。付加回路3AはキャパシタC1を介してグランド導体11の給電点の第1点に接続され、キャパシタC2を介してグランド導体11の給電点の第2点に接続されている。第1の実施形態では、HF帯通信において、グランド導体11の一つの給電点と付加回路3とを実質的に遮断するように構成したが、図5の例では、グランド導体11の二つの給電点について、付加回路3Aから実質的に遮断できる。このため、HF帯用アンテナとして使用する状態での付加回路3AおよびUHF帯用給電回路4による影響をより受け難くなる。
図6に示すアンテナ装置102Bにおいて、付加回路3Bは、キャパシタC3,C4,C5および二つのインダクタL1,L2を備えている。インダクタL1はUHF帯用給電回路4に接続され、インダクタL2はキャパシタC4,C5それぞれに接続されている。そして、インダクタL1,L2はトランスを構成している。キャパシタC4はグランド導体11の給電点の第1点に接続され、キャパシタC5はグランド導体11の給電点の第2点に接続されている。キャパシタC3はキャパシタC4,C5およびインダクタL2に並列接続されている。キャパシタC4,C5は、図5のキャパシタC1,C2と同様に、HF帯ではハイインピーダンスとなり、UHF帯ではローインピーダンスとなる。キャパシタC3はインダクタL2とLC共振回路を形成し、UHF帯での整合回路として作用する。
《第3の実施形態》
第3の実施形態では、グランド導体11の切り欠き部の別の例について示す。
図7に示すアンテナ装置103Aにおいて、グランド導体11Aにはスリット111および導体開口部112以外に、導体開口部112とは反対側のスリット111の端部に矩形状の切り欠き部113が形成されている。これにより、切り欠き部113が形成された部分への回路素子を実装しやすくなる。グランド導体11Aのうち、切り欠き部113を挟む二点がUHF帯用の給電点であり、その給電点に付加回路3およびUHF帯用給電回路4が接続されている。このように、例えば、付加回路3をグランド導体11Aの給電点に接続する場合に、切り欠き部113を形成することで、付加回路3をグランド導体11Aの給電点に接続しやすくしてもよい。また、切り欠き部113の幅によって、ダイポールアンテナの放射素子として作用させるグランド導体11Aの放射素子長が変わるので、切り欠き部113の幅を定めることによってダイポールアンテナの放射素子長を適宜定めるようにしてもよい。
図8に示すアンテナ装置103Bにおいて、グランド導体11Bは、グランド導体11Bが面状に広がるグランド導体形成領域とその他の非グランド領域とを備え、グランド導体形成領域から非グランド領域へ平行なライン状の導体パターン115,116が延出形成されている。そして、このグランド導体11Bと導体パターン115,116に囲まれる非グランド領域を切り欠き部としている。
給電コイル2は、平面視でコイル開口部CWが導体パターン115,116およびグランド導体11Bと切り欠き部との少なくとも一部に重なるように配置されている。また、導体パターン115,116の端部を給電点とし、その給電点には付加回路3およびUHF帯用給電回路4が接続されている。
図9に示すアンテナ装置103Cにおいて、グランド導体11Cは矩形状の一の角部に矩形状の切り欠きを備えている。給電コイル2は平面視でコイル開口部CWがグランド導体11Cの切り欠き部分と一部または全部が重なるように配置されている。また、矩形状の切り欠き部分を対角として挟む二点を給電点とし、その給電点に付加回路3およびUHF帯用給電回路4が接続されている。
これらのように、グランド導体(11A,11B,11C)に形成する切り欠き部は種々の形状を採ることができる。また、グランド導体をダイポールアンテナの放射素子として作用させる場合に、切り欠き部の形状に応じて、ダイポールアンテナの実質的な放射素子長の調整ができる。また、基材10に実装する回路素子の配置に応じて、グランド導体の形状は適宜変更することができる。
《第4の実施形態》
第4の実施形態では、UHF帯の2つの周波数での通信システムおよびHF帯を用いる通信システムに適用するアンテナ装置について示す。
図10は第4の実施形態のアンテナ装置104の回路図であり、UHF帯用給電回路および付加回路を等価回路で表している。
アンテナ装置104は第1の実施形態等と同様に、グランド導体11、給電コイル2、給電コイル2に給電回路を接続するための接続部2AおよびHF帯用給電回路25等を備えている。また、アンテナ装置104は、グランド導体11の給電点に接続される付加回路3CおよびUHF帯用給電回路4A,4Bを備えている。付加回路3CはキャパシタC1と、このキャパシタC1をUHF帯用給電回路4A,4Bの一方に接続するスイッチ素子SWを備えている。
例えば、給電回路4AはGPS信号の受信回路、給電回路4BはBluetooth(登録商標)用の送受信回路である。給電回路4Aと4Bの給電点は異なる。この例では、付加回路3Cのスイッチ素子SWが給電回路4A側に接続されると、グランド導体11の特に切り欠き部に生じるインダクタンスとキャパシタC1のキャパシタンスとで共振し、グランド導体11はGPS用の放射素子として作用する。一方、付加回路3Cのスイッチ素子SWが給電回路4B側に接続されると、グランド導体11の特に切り欠き部に生じるインダクタンスとキャパシタC1のキャパシタンスとで共振し、グランド導体11はBluetooth(登録商標)用の放射素子として作用する。
グランド導体11のHF帯でのブースターアンテナとして作用はこれまでに示した実施形態と同じである。
このように、付加回路3CはUHF帯のうち複数の周波数で整合する回路、例えばλ/4と3λ/4の周波数で共振する回路とすることにより、同じUHF帯であっても異なる周波数の通信が行え、通信の種類が増えても、通信毎にアンテナ装置を設ける必要が無い。なお、給電回路4Aと4Bとスイッチ素子SWとの間の少なくともいずれかに、さらに整合用のキャパシタなどを設けてもよい。
特許文献1に示されているアンテナ装置においては、例えばUHF帯で周波数を変更する場合にはコイルアンテナの形状(サイズ)を変更する必要があり、通信周波数を変えることが難しく、またUHF帯で複数の共振を立てることも難しいという問題もあるが、本発明のこの実施形態のような構成によれば、第2周波数帯(UHF帯)の複数の周波数での通信システムに適用できる。
《第5の実施形態》
図11は第5の実施形態に係る無線通信装置の断面図である。
無線通信装置205の筐体30内には基板9が収納されている。基板9の基材10にはグランド導体11,12やその他の配線パターンが形成されている。また、複数の電子部品10Aが実装されている。
この例では、グランド導体11,12は基材10の両面に形成されていて、グランド導体11の上面には、第1の実施形態で図1に示したような導体開口部112およびスリット111が形成されている。グランド導体12には、グランド導体の導体開口部112およびスリット111と同じパターンの導体開口部122およびスリットが形成されている。このようなグランド導体は基材10の内層に形成されていてもよい。また、グランド導体11,12は基材10の平面の一部に形成されていてもよい。
基板9の上面にはHF帯用の給電コイル2を備えている。給電コイル2の構成は第1の実施形態で図1に示したものと同じである。給電コイル2は例えば両面粘着シート2B(または接着剤等)により、基板9上に貼付されている。給電コイル2は接続部2Aとなるコネクタを介して、例えば基板9に実装されたHF帯用給電回路であるHF帯用RFICに接続されている。HF帯用RFIC回路は給電コイル2へ給電する給電部および給電コイル2に対して並列接続されるキャパシタ(不図示)を備えている。給電コイル2のコイル導体21によって定まるインダクタンスと上記キャパシタのキャパシタンスとによって共振周波数が定められる。例えばNFC通信において中心周波数13.56MHzのHF帯を利用する場合には、共振周波数を13.56MHzに定める。
また、図2等で示したキャパシタC1は周波数帯に応じてハイインピーダンスまたはローインピーダンスとなるように設計されているが、HF帯通信時に、グランド導体11により形成されるインダクタンスと共振する容量値に設計されていてもよい。具体的には、キャパシタC1のキャパシタンスは、HF帯の通信周波数で、グランド導体11の切り欠き部および外周の縁端部に沿って流れる際に、そのグランド導体11によるインダクタンスと共振するように設計する。
ここで、キャパシタC1のキャパシタンスをC、HF帯での(すなわちグランド導体11の縁端部に沿って電流が流れるときの)グランド導体11のインダクタンスをL、HF帯での通信周波数f1で表すと、f1=1/(2π√(LC))を満たすよう設計する。このようにしてキャパシタC1およびグランド導体11が共振することで、給電コイル2およびグランド導体11の電磁結合をより強くすることができ、グランド導体11による磁界の放射効率を高めることができる。この結果、比較的小さなグランド導体を用いてもHF帯通信での通信距離が確保できる。
《第6の実施形態》
図12は第6の実施形態に係る無線通信装置206の断面図である。また、図13は平面導体に対する給電の様子を模式的に示す分解斜視図である。
第1〜第5の実施形態では、基板9のグランド導体11をブースターアンテナおよびダイポールアンテナの放射素子として作用させたが、第6の実施形態では、別途設けた平面導体である金属板13をブースターアンテナおよびダイポールアンテナの放射素子として作用させている。
基板9には第1の実施形態等で示したものと同様の付加回路3およびHF帯用給電回路25を備えている。また複数の電子部品10A、カメラモジュール10B等が実装されている。
金属板13は、携帯電話端末等の無線通信装置の筐体に沿って設けたものであってもよいし、筐体の金属部分を利用したものであってもよい。図12に示す例では、筐体30に沿って配置した金属板13を、HF帯のブースターアンテナおよびUHF帯のダイポールアンテナの放射素子として作用させる。
金属板13は携帯電話端末等の無線通信装置の筐体30の背面(または前面)に沿って配置され、基板9と対向している。金属板13は筐体30に沿って配置するために、図12に示すように一部が曲がっていてもよい。金属板13には、筐体の長手方向の一端部から長手方向に沿ったスリット131およびスリット131を介して外縁と連通する矩形状の開口部132が形成されている。
金属板13には、平面視した場合に開口部132とコイル開口部CWとが重なるように給電コイル2が設けられている。また、本実施形態では、給電コイル2は磁性体シート23をさらに備え、磁性体シート23は基板9側となるようにフレキシブル基材22に積層されている。磁性体シート23は例えばシート状に成形したフェライトである。磁性体シート23は、給電コイル2から生じる磁界が、携帯電話端末装置が備える他の電子部品10A等に達しないようにして、その影響を受けないようにするための磁気シールドとして作用する。
給電コイル2のコイル導体21の接続部は接触ピン141,142により基板9のHF帯用給電回路25に電気的に接続されている。また、金属板13は、スリット131を挟む二点を給電点とし、その給電点が接触ピン151,152により付加回路3およびUHF帯用給電回路4に接続されている。
なお、金属板13等が基板9に実装された素子、例えばカメラモジュール10Bの設置の障害となる場合には、カメラモジュール10B等の素子が金属板13の開口部132およびコイル導体21のコイル開口部CWに挿入される構成であってもよい。
C1〜C5…キャパシタ
CW…コイル開口部
L1,L2…インダクタ
SW…スイッチ素子
2…給電コイル
2A…接続部
2B…両面粘着シート
3,3A,3B,3C…付加回路
4,4A,4B…UHF帯用給電回路
9…基板
10…基材
10A…電子部品
10B…カメラモジュール
11,12…グランド導体
11A,11B,11C…グランド導体
13…金属板
21…コイル導体
22…フレキシブル基材
23…磁性体シート
25…HF帯用給電回路
30…筐体
41…給電部
42…バラントランス
101…アンテナ装置
102A,102B…アンテナ装置
103A,103B,103C…アンテナ装置
104…アンテナ装置
111…スリット
112,122…導体開口部
115,116…導体パターン
131…スリット
132…開口部
141,142…接触ピン
151,152…接触ピン
205,206…無線通信装置

Claims (6)

  1. NFC通信の周波数帯である第1周波数帯、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯の2つの周波数帯に兼用されるアンテナ装置であって、
    金属部分を有する筐体と、
    前記第2周波数帯の給電回路に接続され、前記金属部分を利用したものである放射素子と、
    前記第1周波数帯の給電回路に接続され、かつ、電磁界結合を介して前記放射素子に接続されるコイル導体と、を備え、
    前記第2周波数帯の給電回路は、付加回路を介して接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
  2. 前記付加回路は容量素子を含む、請求項1に記載のアンテナ装置。
  3. 前記付加回路はスイッチ素子を含む、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
  4. 前記第2周波数帯はUHF帯である、請求項1から3のいずれかに記載のアンテナ装置。
  5. NFC通信の周波数帯である第1周波数帯、前記第1周波数帯よりも高い第2周波数帯の2つの周波数帯に兼用されるアンテナ装置を含む無線通信装置であって、
    前記アンテナ装置は、
    金属部分を有する筐体と、
    前記第2周波数帯の給電回路が接続され、前記金属部分を利用したものである放射素子と、
    前記第1周波数帯の給電回路に接続され、かつ、電磁界結合を介して前記放射素子に接続されるコイル導体と、を備え
    前記第2周波数帯の給電回路は、付加回路を介して接続されていることを特徴とする無線通信装置。
  6. 前記第2周波数帯はUHF帯である、請求項5に記載の無線通信装置。
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