本発明は、有機化合物であるプレウロムチリンに関する。
上記化学式で表される化合物であるプレウロムチリンは、天然に生ずる抗生物質であり、例えば、担子菌類であるプレウロタス・ムチラスやP・パセケリアナスによって作られる(例えば、メルク・インデックス(The Merck Index)、第13版、項目7617参照)。
上述のプレウロムチリン以外にも、プレウロムチリンの主要なリング構造を有し、第一級ヒドロキシ基で置換されている数多くのプレウロムチリンが、例えば抗菌薬として開発されてきた。国際公開第2007/014409号からは、プレウロムチリン誘導体、例えば14‐O‐[((モノ‐またはジアルキルアミノ)‐シクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、国際公開第2008/113089号からは、例えば14‐O‐[(アミノ‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、国際公開第2010/025482号からは、例えばN‐アシル化 14‐O‐[(アミノ‐ヒドロキシ‐シクロヘキシルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類が知られている。
我々は、興味深い抗菌活性を持つプレウロムチリンを発見した。
一つの態様では、本発明が提供するのは、N‐非置換、またはN‐アルキル化、またはN‐アシル化 14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロアルキル‐およびビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類からなる群から選ばれる化合物であって、これらのムチリン類は、
14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロブチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、
14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、
14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、
14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロオクチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、または、
14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類である、化合物である。
本明細書において、「アミノ(C0−4)アルキル」という用語は、アミノ基が1ないし4個のC原子を持つアルキルと結合しているか、あるいはC0の場合、(ビ)シクロアルキルリングに直接結合していることを意味する。
ある特定の態様では、本発明が提供するのは、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロブチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類および/または14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類である。
他の特定の態様では、本発明が提供するのは、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類および/または14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロオクチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類である。
さらに特定の態様では、本発明が提供するのは、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類および/または14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、例えば、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類であって、二環式アルキルの1つのリングがシクロペンチルリングであるムチリン類、例えば14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類や14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレニルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類である。
さらに特定の態様では、本発明が提供するのは、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類、例えば、14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロアルキルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類であって、二環式アルキルの1つのリングがシクロペンチルリングであるムチリン類、例えば14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプチルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類および14‐O‐[(アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレニルスルファニル)‐アセチル]‐ムチリン類である。
本明細書に記すアミノ(C0−4)アルキル基では、アルキルは、C0の場合は存在せず、またはC1アルキルであるか、またはC2アルキルであるか、またはC3アルキルであるか、またはC4アルキルである。
他の態様では、本発明が提供するのは、
化学式(I)または化学式(II)で表され、
式中、mは0、1、2、3、または4であり、
nは0、1、3、または4であり、
oは0、1、2、3、または4であり、
pは0、1、2、3、または4であり、
Rは0、1、2、3、または4であり、
Rはエチルまたはビニルであり、
R1は水素または(C1−6)アルキルであり、
R2は水素若しくは(C3−6)シクロアルキル、非置換(C1−6)アルキル若しくは水酸基とメトキシ基とハロゲンと(C3−6)シクロアルキルのうち1つ若しくは複数(水酸基は好ましくは1つ若しくは2つ)で置換された(C1−6)アルキルであり、または、
R1とR2は、それぞれが結合している窒素原子とともに、5員から7員の複素環式リングを形成し、当該リングは少なくとも1つの窒素原子または1つの窒素とそれに追加して1つのヘテロ原子とを含み、当該ヘテロ原子は例えばNまたはOであり、または、
R2は上記化学式で表される基であり、式中、R3は水素、直鎖若しくは分岐(C1−8)アルキルまたは(C3−8)シクロアルキルであるか、R3はD型またはL型の天然アミノ酸のうち、カルボン酸基が分離したときに残る部位であるか、あるいはR3はD型またはL型の非天然アミノ酸のうち、カルボン酸基が分離したときに残る部位である、化合物である。
本発明の好ましい化合物は、化学式(III)または化学式(IV)で表され、式中、m、n、o、p、R1およびR2は上記で定めたとおりである、例えばoが1、pが1または2である、化合物である。
本発明のさらに好ましい化合物は、化学式(V)、化学式(VI)、化学式(VII)、または化学式(VIII)で表され、式中、m、R1およびR2は上記で定めたとおりである、化合物である。
他の態様では、本発明が提供するのは、下記の実施例1ないし17の化合物、例えば化学式IまたはIIで表される化合物であり、例えば、
14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐[(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐メチル]‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐2‐ヒドロキシ‐4‐[(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐メチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐2‐ヒドロキシ3‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐ヒドロキシ‐2‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐2‐(2‐アミノ‐エチル)‐5‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐2‐[2‐(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐エチル]‐5‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2S,5S),(1R,2R,5S),(1S,2S,5R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐ホルミルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(2‐アミノ‐アセチルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー、
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐シクロプロピルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン、およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー、ならびに、
14‐O‐{[4‐アセチルアミノ‐6a‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレン‐1‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン
からなる群から選ばれる、化合物である。
本明細書中において、本発明が提供する化合物を“本発明の化合物”とも称す。本発明の化合物は、例えば遊離の形態、塩の形態、溶媒和物の形態、ならびに、塩および溶媒和物の形態などの任意の形態の化合物を含む。
他の様態によれば、本発明が提供するのは、塩および/または溶媒和物の形態である本発明の化合物である。
本発明の化合物の塩としては、医薬適合性の塩が好ましいが、医薬適合性の無い塩、例えば調製、分離、精製目的の塩も含まれる。
本発明の化合物の塩としては、塩基性塩または酸付加塩が挙げられる。医薬適合性の酸付加塩としては、本発明の化合物の塩に酸、例えば水素フマル酸、フマル酸、水素酒石酸、酒石酸、水素エタン‐1,2‐ジスルホン酸、エタン‐1,2‐ジスルホン酸、水素マレイン酸、マレイン酸、水素ナフタリン‐1,5‐ジスルホン酸、水素ナフタリン‐1,5‐ジスルホン酸、酢酸、水素リンゴ酸、リンゴ酸、乳酸、水素コハク酸、コハク酸、サリチル酸、水素アゼライン酸、アゼライン酸、2‐[(2,6‐ジクロロフェニル)‐アミノ]‐ベンゼン酢酸、水素硫酸、硫酸、ジハイドロゲンリン酸、水素リン酸、リン酸、ジハイドロゲンクエン酸、水素クエン酸、クエン酸、重水素化塩酸、塩酸を、好ましくは塩酸を添加したものが挙げられる。
遊離形態にある本発明の化合物は、対応する塩の形態に転換することができ、その逆も同様である。遊離形態または塩の形態および溶媒和物の形態にある本発明の化合物は、遊離形態にある、または非溶媒化形態にある塩の形態にある対応する化合物に転換することができ、その逆も同様である。
本発明の化合物は、異性体および異性体の混合物、例えば、光学異性体、ジアステレオ異性体、シス/トランス配座異性体の形態で存在してもよい。本発明の化合物は、例えば、不斉炭素原子を含んでもよく、したがってエナンチオマーあるいはジアステレオ異性体およびその混合物(例えばラセミ化合物、ジアステレオマー混合物)の形態で存在してもよい。どの不斉炭素原子も、(R)立体配置、(S)立体配置、または(R、S)立体配置のいずれかで、好ましくは(R)立体配置または(S)立体配置で存在しうる。
例えば、化学式IまたはIIで表される化合物において、S基に結合しているシクロアルキル環の炭素原子、OH基に結合しているシクロアルキル環の炭素原子、(CH2)mN(R1R2)基が結合しているシクロアルキル環の炭素原子は、いずれも不斉炭素原子である。したがって、そのような不斉炭素原子に結合した置換基が、(R)立体配置と(S)立体配置(それらの混合を含む)とで存在しうる。例えば、もし化学式IまたはIIで表される化合物において、R2が置換アルキルであり、その置換基がそのようなアルキルの側鎖の炭素原子に結合している場合、そのような置換基が結合している炭素原子は不斉炭素原子であり、そのような置換基は(R)立体配置と(S)立体配置(それらの混合を含む)とで存在しうる。
ムチリンの三環の不斉炭素原子の配置は、天然プレウロムチリンと同じであることが好ましい。
異性体混合物は、必要に応じて、例えば従来の方法で、例えば従来の方法と同じように分離して、純粋異性体を得ればよい。本発明には、あらゆる異性体形態、および、あらゆる異性体混合物の本発明の化合物が含まれる。本発明には、互変体が存在しうる場合には、本発明の化合物の互変体も含まれる。
本発明に従って提供されるいかなる化合物も、必要に応じて、例えば従来の方法で、あるいは本明細書に記載した方法で、例えば従来の方法と同じように、あるいは本明細書に記載した方法と同じように得ればよい。
例えば、本発明の化合物は、以下のように定義する化合物PLEU‐Tosを適切なアミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロブタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロペンタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロヘプタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロオクタン、またはアミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐ビシクロアルカン(アミン基は、有機溶媒内、例えばアセトニトリルのような極性有機溶媒内で、DBNのような塩基剤および/またはカップリング剤の存在下、例えばBocによって保護され、当該アミン基を、例えばHClのような酸で処理することで脱保護する)と反応させることによって得てもよい。脱保護されたアミン基は、カップリング剤の存在下、アミノ酸のようなカルボン酸と反応させることで、あるいは活性カルボン酸またはカルボン酸誘導体(例えばカルボン酸の無水物またはハロゲン化カルボン酸)と反応させることで、任意にアクリル化してもよい。上記の脱保護されたアミン基は、例えば還元アミノ化またはアルキル化剤により、任意にアルキル化してもよい。
アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロブタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロペンタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロヘプタン、アミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐シクロオクタン、またはアミノ(C0−4)アルキル‐ヒドロキシ‐メルカプト‐ビシクロアルカン(アミン基は保護されている)はそれぞれ、N‐保護アミノ(C0−4)アルキル‐シクロブテン、N‐保護アミノ(C0−4)アルキル‐シクロペンテン、N‐保護アミノ(C0−4)アルキル‐シクロヘプテン、N‐保護アミノ(C0−4)アルキル‐シクロオクテン、N‐保護アミノ(C0−4)アルキル‐ビシクロアルケンから、エポキシ化と硫黄提供剤(sulfur donating agent)(例えばチオ安息香酸、トリチルチオール、チオ酢酸)による、好ましくはチオ安息香酸によるエポキシドの開環と、それに続くチオールの機能の脱保護(例えばヒドラジン水和物を用いる)によって得てもよい。
本発明の化合物は、例えば生体外で、生体内活動で、薬理的な活性を示し、それゆえ医薬として有用である。
例えば、本発明の化合物は、グラム陽性菌、例えばコアグラーゼ陽性ブドウ球菌(例えば黄色ブドウ球菌)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(例えば表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス)、連鎖球菌(例えば化膿連鎖球菌、肺炎連鎖球菌)、腸球菌(例えばエンテロコッカス・フェシウムおよびリステリア菌)や、グラム陰性菌、例えばモラクセラ属(例えばモラクセラ・カタラーリス)、ヘモフィルス属(例えばインフルエンザ菌)、レジオネラ(例えばレジオネラ・ニューモフィラ菌)、ナイゼリア属(例えば淋菌)、マイコプラズマ、クラミジアおよび純嫌気性菌(例えばバクテロイデス・フラジリス)、クロストリジウムディフィシレ、フゾバクテリウム菌種、プロピオン酸菌種に対する抗微生物活性、例えば抗菌活性を示す。
好気性菌に対する生体外活性は、the Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI,旧NCCLS)の文献 M7‐A7 Vol.26, No. 2: "Methods for Dilution Antimicrobial Susceptibility Tests for Bacteria that Grow Aerobically - Approved Standard; Seventh Edition (2006)"に従って、寒天希釈試験または微量希釈試験により測定され、嫌気性菌に対する試験は、the Clinical and Laboratory Standards Institute (CLSI,旧NCCLS)の文献 M11‐A6, Vol. 24, No. 2: “Methods for Antimicrobial Susceptibility Testing of Anaerobic Bacteria ‐ Approved Standard; Sixth Edition (2004)”に従って行われ、生体内活動は、黄色ブドウ球菌に対する敗血症マウスのモデルで試験された。
したがって、本発明の化合物は、微生物、例えば細菌によって媒介される疾患の治療および予防に適している。治療可能な疾患としては他に、ヘリコバクター属(例えばヘリコバクター・ピロリ)によって媒介される疾患や、ヒト結核菌によって媒介される疾患が挙げられる。治療可能な疾患としては他に、細菌が炎症を媒介する炎症性疾患一般(例えばニキビ)が挙げられる。
他の態様では、本発明が提供するのは、医薬として、好ましくは抗生物質のような抗菌薬(例えば抗嫌気性菌薬)として使用する本発明の化合物である。
他の態様では、本発明が提供するのは、ニキビ治療に用いられる本発明の化合物である。
更なる態様では、本発明が提供するのは、細菌のような微生物によって媒介される疾患およびニキビの治療のための薬剤の生成に用いる本発明の化合物である。そのような疾患の例としては、
‐例えばブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌などから選ばれる細菌によって媒介される疾患
‐例えばモラクセラ属、ヘモフィルス属、レジオネラ菌、ナイセリア属などから選ばれる細菌によって媒介される疾患
‐ヘリコバクター属によって媒介される疾患
‐ヒト結核菌によって媒介される疾患
‐例えば、マイコプラズマ、クラミジア属、絶対嫌気性菌などによって媒介される疾患
が挙げられる。
更なる態様では、本発明が提供するのは、微生物によって媒介される疾患を治療する方法であって、当該治療を必要とする対象に、本発明の化合物を(例えば医薬組成物の形態で)効果量投与する工程を含む方法である。
更なる態様では、本発明が提供するのは、ニキビを治療する方法であって、当該治療を必要とする対象に、本発明の化合物を(例えば医薬組成物の形態で)効果量投与する工程を含む方法である。
治療には、治療と予防が含まれる。
抗菌およびニキビ治療のための適切な投薬量は、もちろん、例えば、用いる本発明の化合物の化学的性質と薬物動力学的データ、個々の宿主、投与の方式、治療する状態の性質と重篤度に応じて変わる。しかし、一般に、より大型の哺乳類、例えばヒトにおいて満足のいく結果を得るには、一日分の指示投薬量は、本発明の化合物約0.5mgから3gの範囲であり、例えば1日最大4回に分けて簡易的な方法で投与される。
本発明の化合物は従来のどのような経路を経由して投与してもよく、例えば経腸で(例えば経鼻投与、口腔投与、直腸投与、経口投与)、非経口で(例えば静脈内投与、筋肉投与、皮下投与)、あるいは局所的に(例えば経皮投与、鼻内投与、気管内投与)、例えばコーティングしたあるいはコーティングしていない錠剤若しくはカプセル、または注射可能な溶液若しくは懸濁液の形態で、例えばアンプル剤や水薬瓶の形態で、例えばクリームや軟膏やジェルやペーストや吸入粉末や泡やチンキやリップスティックやドロップやスプレーの形態で、あるいは座薬の形態で、例えばエリスロマイシンのようなマクロライド類(例えばクラリスロマイシンやアジスロマイシン)と同様の方法で投与してもよい。
本発明の化合物は、医薬適合性の塩、例えば酸付加塩や塩基付加塩、例えば金属塩の形態で、あるいは遊離形態で、任意で溶媒和物の形態で、投与してもよい。塩の形態の本発明の化合物は、遊離形態、任意で溶媒和物の形態の当該化合物と同じオーダーの活性を示す。
本発明の化合物は、本発明に従って医薬的治療に単独で用いてもよいし、1つまたは複数の他の医薬活性剤と組み合わせて用いてもよい。そのような他の医薬活性剤としては、例えば、他の抗生物質および抗炎症剤が挙げられ、本発明の化合物がニキビの治療に用いられる場合には、他の医薬活性剤としては、ニキビに対して活性を示すさらに他の活性剤が挙げられる。
組み合わせとしては、固定した組み合わせ(2つ以上の医薬活性剤が同一の製剤に含まれる)、キット(2つ以上の医薬活性剤が別々の製剤に入ったものが、同一のパッケージで、例えば同時投与のための使用説明書を付けて販売される)、自由な組み合わせ(医薬活性剤が別々のパッケージに包装されるが、同時投与または逐次投与のための使用説明書が付いている)が挙げられる。
他の態様では、本発明が提供するのは、本発明の化合物を遊離形態で、あるいは医薬適合性の塩の形態および/またはそのような溶媒和物の形態で、あるいは少なくとも1つの医薬賦形剤、例えば担体または希釈剤(例えば充填剤、結合剤、崩壊剤、流動調節剤、滑剤、糖質および甘味料、芳香剤、保存料、安定剤、湿潤剤および/または乳化剤、可溶化剤、浸透圧を調節する塩、および/または緩衝剤)とともに含んでいる医薬組成物である。
他の態様では、本発明が提供するのは、他の医薬活性剤を更に含む、本発明に係る医薬組成物である。
そのような医薬組成物を、従来技術の方法、例えば混合処理、顆粒化処理、被覆処理、溶解処理または凍結乾燥処理に従って、例えば類似した方法で、製造してもよい。単位投薬量は、例えば約0.5mgから約2000mgの間であり、例えば10mgから約500mgである。
本発明の化合物は更に、家禽や豚や子牛のような動物における微生物による疾患、例えば細菌性の疾患の予防および治療において、獣医用薬剤、例えば獣医用活性組成物として適しており、また、人工授精用の希釈液のための獣医用活性組成物、およびエッグ・ディッピング技術のための獣医用活性組成物に適している。
他の態様では、本発明が提供するのは、獣医用薬剤に用いられる本発明の化合物である。
更に他の態様では、本発明が提供するのは、獣医用薬剤として有用な獣医用組成物の調製に用いられる本発明の化合物である。
更に他の態様では、本発明が提供するのは、微生物、例えば細菌性の疾患の予防および治療の獣医用の方法であって、そのような治療を必要とする対象に、本発明の化合物を効果量、例えば獣医用組成物の形態で、投与する工程を含む方法である。
以下に述べる実施例1ないし17の化合物は、黄色ブドウ球菌ATCC49951および肺炎連鎖球菌ATCC49619に対してMICs≦2μg/mLを示す。
ムチリンという慣用名は、IUPAC系統名(1S,2R,3S,4S,6R,7R,8R,14R)‐3,6‐ジヒドロキシ‐2,4,7,14‐テトラメチル‐4‐ビニル‐トリシクロ[5.4.3.01,8]テトラデカノ‐9‐オンを指す。これらの実施例において、プレウロムチリン誘導体は、H. Berner (Berner, H.; Schulz, G.; Schneider H. Tetrahedron 1980, 36, 1807‐1811.)によって記されたムチリン番号付システムと同様にして番号付けされる。
本明細書では、実施例を含め、以下の略語が用いられる。
℃ 摂氏温度
1H NMR プロトン核磁気共鳴スペクトル法
Boc、boc t‐ブトキシカルボニル
BnBu3NCl ベンジルトリ‐n‐ブチルアンモニウムクロリド
Bu4NCl テトラブチルアンモニウムクロリド水和物
CyH シクロヘキサン
d 日数
DBN 1,5‐ジアゾビシクロ[4.3.0]ノン‐5‐エン
DCM ジクロロメタン
DIPE ジイソプロピルエーテル
DMAP 4‐(ジメチルアミノ)‐ピリジン
DMF N,N‐ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DTT 1,4‐ジチオ‐DL‐トレイトール
EDC N‐(3‐ジメチルアミノプロピル)‐N’‐エチルカルボジイミド塩酸塩
ESI+ 陽性のモードにおけるエレクトロスプレーイオン化
ESI− 陰性のモードにおけるエレクトロスプレーイオン化
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
HCl 塩酸
heptane n‐ヘプタン
HOBT 1‐ヒドロキシベンゾトリアゾール
HV 高真空
LAH 水素化アルミニウムリチウム
M モル濃度
mCPBA メタクロロ過安息香酸
MeOH メタノール
MIC 最小阻止濃度
min 分
MS 質量分析法
MTBE メチル‐t‐ブチルエーテル
m/z 質量電荷比
Ph フェニル
Rf 保持係数、遅延係数
rt 室温
TLC 薄層クロマトグラフィ
TEA、Et3N トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
PLEU‐Tosは、下記化学式で表される化合物である。
PLEUは、下記化学式で表される残基である。
以下の実施例では、温度はすべて摂氏温度(℃)であり、換算されたものではない。
14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
A.syn‐およびanti‐t‐ブチル(6‐オキサ‐ビシクロ[3.1.0]ヘキシ‐3‐イル)‐カルバマート
80mLのDCMに4.7gのN‐Boc‐シクロペント‐3‐エンイルアミンを含む溶液に、6.63gのmCPBA(70%)を0℃にて添加した。得られた溶液を室温にて1.5時間撹拌し、20%チオ硫酸ナトリウムを20mL添加した上で10分間撹拌し、DCMを加えた。得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和溶液で洗浄した。得られた水層をDCMで二度抽出し、得られた混合有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を蒸発させた。得られた5.2gの粗製物を、さらにヘプタンから二度再結晶化することで、白い針状のsyn‐エポキシドを917mg得た。得られた母液をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=9:1‐7:1)に掛けた結果、白い非結晶固体状のanti‐エポキシドを3.51g得た。
syn‐エポキシド:1H‐NMR(400MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.36(s,9H)、6.79(d,1H,J=8Hz)、1.47(dd,1H,J=8Hzおよび14Hz)、2.17(dd,1H,J=8Hzおよび14Hz)、3.44(s,2H)、3.54(m,1H)。MS‐ESI+(m/z):200(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.4。
anti‐エポキシド:1H‐NMR(400MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.35(s,9H)、1.78(d,2H,J=15Hz)、1.98(dd,1H,J=8Hzおよび15Hz)、3.51(s,2H)、3.89(q,1H,J=8および16Hz)、5.70(d,1H,J=8Hz)。MS‐ESI+(m/z):200(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.45。
B.チオ安息香酸S‐((1R,2R,4R)‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル)エステルおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
50mLのトルエンに実施例1の工程Aで得られたanti‐エポキシドを2.81g含む溶液に、チオ安息香酸を9.88mL滴下して加えた。得られた混合物にBu4NClを248mg添加し、結果的に得られた溶液を室温にて16時間撹拌した。得られた混合物に、チオ安息香酸を2mLおよびBu4NClを500mg添加し、更に22時間撹拌し続けた。得られた混合物にNaHCO3飽和溶液を添加し、15分間撹拌した。得られた混合物にEtOAcを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和溶液で4回洗浄し、乾燥させることで溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=98:2‐8:1)に掛けた結果、実施例1の工程Bによる白い固体状の生成物を4.65g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.38(s,9H)、1.48(m,1H)、1.77(m,1H)、2.20(m,2H)、3.68‐4.02(m,3H)、5.27(d,1H,J=6Hz)、6.98(bd,1H,J=8Hz)、7.40‐7.92(m,5H)。MS‐ESI+(m/z):338(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.3。
C.14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
3mLのDCMに実施例1の工程Bで得られた生成物を600mg含む溶液に、180μLのヒドラジン一水和物を2回に分けて添加し、得られた溶液を室温にて20分間撹拌した。得られた混合物に1M HClを4mL添加して5分間撹拌し、DCMで希釈し、得られた層を分離した。得られた有機層を乾燥させることで溶媒を蒸発乾燥させた。さらに、得られた蒸発残留物を10mLのアセトニトリルに溶解した。得られた混合物にDBNを219μLおよびプレウロムチリントシラートを799mg添加し、得られた溶液を室温にて1時間撹拌した。得られた混合物にEtOAcを添加し、形成された層を分離した。得られた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発乾燥させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=3:1‐1:1)に掛けた結果、実施例1の工程Cによる白い泡状の生成物を797mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.62(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.14(s,3H)、1.37(s,12H)、2.42(bs,1H)、3.06(m,1H)、3.36(m,3H)、3.77(m,2H)、4.53(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,3H)、5.54(bd,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、6.82(t,1H,J=4Hz)。MS‐ESI+(m/z):594(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.45。
D.14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐t‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
10mLのDCMに実施例1の工程Cで得た生成物を780mg溶解し、ジエチルエーテル中の1M HClを8mL添加し、得られた混合物を室温にて16時間撹拌した。得られた混合物に、ジエチルエーテル中の1M HClを2mL添加し、得られた混合物を8時間撹拌した。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、得られた固体状の蒸発残留物をジエチルエーテルで粉砕し、得られた混合物を濾過した。その結果、実施例1の工程Dによる生成物を白い固体状で579mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.42(bs,1H)、3.12‐3.60(m,5H)、3.90(m,1H)、4.59(bs,1H)、5.06(m,2H)、5.53(bs,1H)、5.60(bd,1H,J=12Hz)、6.13(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、8.06(bs,3H)。MS‐ESI+(m/z):494(M+H)。TLC:DCM/MeOH=6:1+1%NH4OH,Rf=0.5。
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
A.チオ安息香酸S‐((1R,2R,4S)‐4‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル)エステルおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例1の工程Aで得たsyn‐エポキシド1.04gを、実施例1の工程Bの方法にて処理することで、クロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=98:2‐7:1)後に、実施例2の工程Aによる生成物を白い固体状で1.51g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.37(s,9H)、1.45(m,1H)、1.80(m,2H)、2.55(m,1H)、3.60(m,1H)、4.02(m,2H)、5.19(d,1H,J=4Hz)、6.98(d,1H,J=6Hz)、7.40‐7.90(m,5H)。MS‐ESI+(m/z):675(2M+H)、338(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.25。
B.14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例2の工程Aで得た生成物400mgを、実施例1の工程Cの方法にて処理することで、クロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=2:1‐1:2)後に、実施例2の工程Bによる生成物を白い固体状で510mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.62(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.12(s,3H)、1.36(s,12H)、2.42(bs,1H)、2.89(m,1H)、3.40(m,3H)、3.90(m,1H)、4.54(d,1H,J=6Hz)、4.99(d,1H,J=4Hz)、5.08(m,2H)、5.54(bd,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、6.88(bd,1H,J=8Hz)。MS‐ESI+(m/z):594(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.4。
C.14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐t‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例2の工程Bで得た生成物490mgを、実施例1の工程Dの方法にて処理することで、実施例2の工程Cによる生成物を白い固体状で405mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.42(bs,1H)、2.97(m,1H)、3.43(m,3H)、4.00(m,1H),4.58(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,2H)、5.26(d,1H,J=4Hz)、5.55(bd,1H,J=9Hz)、6.13(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、8.10(bs,3H)。MS‐ESI+(m/z):494(M+H)。TLC:DCM/MeOH=6:1+1%NH4OH,Rf=0.5。
14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
A.シクロペント‐3‐エンイル‐メタノール
100mLのTHFにLAH3.66gを懸濁して得られた懸濁液に、40mLのTHFにシクロペント‐3‐エンカルボン酸を10.49g溶解したものを滴下して添加した。得られた混合物を2時間還流し、室温まで冷却してから、ゆっくりと水および10%硫酸を添加した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を乾燥し、冷水浴を用いて溶媒を慎重に蒸発させた。これにより、実施例3の工程Aによる生成物(まだTHFを含む)を無色の液状で10g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):1.73(s,1H)、2.10(m,2H)、2.50(m,3H)、3.49(d,2H,J=16Hz)、5.66(s,2H)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.35。
B.メタンスルホン酸シクロペント‐3‐エンイルメチルエステル
200mLのTHFに実施例3の工程Aで得られたシクロペント‐3‐エンイル‐メタノールを10.75g溶解して得られた混合物に、N‐メチルモルホリンを21mL添加した。得られた混合物に、25.26gのメタンスルホン無水物を何回かに分けて添加し、室温にて20時間撹拌した。得られた混合物にEtOAcを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和溶液と1M HClで洗浄した。得られた有機層を乾燥し、溶媒を蒸発させた。これにより、実施例3の工程Bによる生成物を僅かに黄色の油状で18.37g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):2.12(m,2H)、2.55(m,2H)、2.70(m,1H)、3.01(s,3H)、4.12(d,2H,J=8Hz)、5.66(s,2H)。MS‐ESI+(m/z):375(2M+Na),199(M+Na)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.5。
C.t‐ブチルシクロペント‐3‐エンイルメチル‐カルバマート
200mLのDMLに実施例3の工程Bにて得られた生成物を18.37g溶解したものにアジ化ナトリウムを27.1g添加し、得られた反応混合物を60℃で20時間撹拌した。得られた混合物にジエチルエーテルを添加し、その得られた混合物を水で洗浄し、乾燥させて、冷水浴を用いて溶媒を慎重に蒸発させた。得られた粗製アジ化生成物はDMFをまだ含んでおり、更なる精製をすることなく次の工程で用いた。この組成アジ化生成物を150mLのTHFおよび5mLの水に18.6g溶解した。得られた混合物にトリフェニルホスフィンを26.17g添加し、得られた反応混合物を80℃で4時間撹拌した。得られた混合物を、氷浴を用いて4℃まで温度を下げ、50mLのTHFに溶解させた18.3gのBoc無水物を添加した。得られた混合物を室温で1.5時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=99:1‐95:5)に掛けた。その結果、実施例3の工程Cによる生成物を無色の油状で13.16g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):1.44(s,9H)、2.03(m,2H)、2.45(m,3H)、3.09(bs,2H)、5.65(s,2H)。MS‐ESI+(m/z):395(2M+H),142(M‐tBu)。TLC:トルエン/EtOAc=9:1、Rf=0.5。
D.syn‐およびanti‐t‐ブチル(6‐オキサ‐ビシクロ[3.1.0]ヘキシ‐3‐イルメチル)カルバマート
130mLのDCMに実施例3の工程Cで得た生成物を14.61g含む溶液に19.17gのmCPBAを0℃で数回に分けて添加した。得られた溶液を室温にて1時間撹拌し、20%チオ硫酸ナトリウムに加え、これを10分間撹拌した。この得られた混合物にDCMを加え、得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和溶液で洗浄した。得られた水層をDCMで抽出し、得られた混合有機層を、MgSO4を用いて乾燥し、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,CyH/EtOAc=95:5‐8:1)に掛け、得られた留分をEtOAc/混合ヘプタンから再結晶し、再度クロマトグラフィに掛けた(シリカ,CyH/EtOAc=9:1‐6:1)。その結果、実施例3の工程Dによる生成物のanti‐エポキシドおよびsyn‐エポキシドを白い固体状でそれぞれ4.21gおよび10.03g得た。
anti‐エポキシド:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.36(s,9H)、1.70(m,4H)、2.05(m,1H)、2.75(dd,2H,J=6Hzおよび8Hz)、3.44(s,2H)、6.83(t,2H,J=6Hz)。MS‐ESI+(m/z):427(2M+H),214(M+H),158(M‐tBu)。TLC:CyH/EtOAc=8:1、Rf=0.55。
syn‐エポキシド:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.28(m,2H)、1.37(s,9H)、1.73(m,1H)、1.94(m,2H)、2.89(t,2H,J=6Hz)、3.41(s,2H)、6.84(t,1H,J=8Hz)。MS‐ESI+(m/z):449(2M+Na),214(M+H),158(M‐tBu)。TLC:CyH/EtOAc=8:1、Rf=0.45。
E.チオ安息香酸S‐[(1R,2R,4R)‐4‐(t‐ブトキシカルボニルアミノ‐メチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
461mgのBu4NClを含む110mLトルエンに実施例3の工程Dで得たanti‐エポキシドを4.18g加えた溶液に、チオ安息香酸を18.2mL滴下して添加した。得られた反応混合物を室温で20時間撹拌した。得られた混合物にNaHCO3飽和溶液を添加し、その10分後にEtOAcを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和溶液で二度洗浄して乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=97:3‐9:1‐7:1)に掛けた結果、実施例3の工程Eによる生成物を無色の油状で5.79g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.26(m,1H)、1.36(s,9H)、1.70(m,1H)、2.05(m,2H)、2.18(m,1H)、2.96(m,2H)、3.70(m,1H)、4.00(m,1H)、5.18(d,1H,J=4Hz)、6.90(t,1H,J=6Hz)、7.45‐7.92(m,5H)。MS‐ESI+(m/z):352(M+H)、296(M‐tBu)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.35。
F.14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐t‐ブトキシカルボニルアミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
80mLのアセトニトリルに実施例3の工程Eで得た生成物を5.53g含む溶液に、ヒドラジン一水和物を1.56mL添加し、得られた溶液を室温にて30分間撹拌した。得られた混合物に1M HClを25mL添加し、これを5分間撹拌し、DCMで希釈して得られた層を分離した。得られた有機層を乾燥し、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物を100mLのアセトニトリルに溶解した。得られた混合物に、DBNおよびプレウロムチリントシラートをそれぞれ2.06mLおよび7.53g添加し、得られた溶液を室温で4時間撹拌した。得られた混合物にEtOAcを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させて溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(DCM/MeOH=100:2を用いたシリカ)に掛けた。その結果、実施例3の工程Fによる生成物を白い泡状で7.16g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.41(bs,1H)、2.87(t,2H,J=6Hz)、2.99(m,1H)、3.45(m,3H)、3.83(m,1H)、4.53(d,1H,J=6Hz)、4.98(d,1H,J=4Hz)、5.08(m,2H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、6.84(t,1H,J=6Hz)。MS‐ESI+(m/z):608(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.35。
G.14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
20mLのDCMに実施例3の工程Fで得た生成物を1g溶解し、そこにジエチルエーテル中の2M HClを5mL添加した。得られた混合物を室温にて16時間放置して溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,DCM/MeOH/NH4OH 100:8:0.8)に掛けた。これにより、実施例3の工程Gによる遊離塩基生成物を白い泡状で155mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.42(bs,1H)、3.04(m,2H)、3.30‐3.45(m,4H)、3.83(m,1H)、4.54(d,1H,J=6Hz)、5.06(m,2H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI+(m/z):508(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH,Rf=0.15。
H.14‐O‐{[(1R,2R,4R)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4S)ジアステレオマー
5mLのDCMに実施例3の工程Gで得た遊離塩基を150mg溶解し、ジエチルエーテル中の1M HClを1mL添加し、10分後に溶媒を蒸発させた。これにより、白い固体状の実施例3の工程Hによる生成物の塩酸塩を定量的収率で得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.42(bs,1H)、2.75(m,1H)、3.10(m,1H)、3.30‐3.45(m,3H)、3.59(d,1H,J=8Hz)、3.92(m,1H)、4.57(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,2H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、7.87(bs,3H)。MS‐ESI+(m/z):508(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH,Rf=0.15。
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
A.チオ安息香酸S‐[(1R,2R,4S)‐4‐(t‐ブトキシカルボニルアミノ‐メチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例3の工程Dで得たsyn‐エポキシド5gを、実施例3の工程Eの方法にて処理することで、クロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=9:1‐7:1)後に、白い非結晶固体状の実施例4の工程Aによる生成物を7.11g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.27(m,1H)、1.37(s,9H)、1.62(m,2H)、2.30(m,2H)、2.89(m,2H)、3.63(m,1H)、4.00(m,1H)、5.11(d,1H,J=4Hz)、6.92(t,1H,J=6Hz)、7.50‐7.95(m,5H)。MS‐ESI+(m/z):752(2M+Na),703(2M+H),352(M+H),296(M‐tBu)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.4。
B.14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐t‐ブトキシカルボニルアミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例4の工程Aで得た生成物7gを、実施例3の工程Fの方法にて処理することで、クロマトグラフィ(シリカ,DCM/MeOH=100:2)後に、実施例4の工程Bによる白い泡状の生成物を9.41g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.42(bs,1H)、2.84(t,2H,J=6Hz)、2.93(m,1H)、3.25‐3.48(m,3H)、3.87(m,1H)、4.53(d,1H,J=6Hz)、4.89(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,2H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、6.86(t,1H,J=4Hz)。MS‐ESI+(m/z):608(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.35。
C.14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例4の工程Bで得た生成物2gを、実施例3の工程Gの方法にて処理することで、クロマトグラフィ(シリカ,DCM/MeOH/NH4OH=100:8:0.8)後に、実施例4の工程Cによる生成物の遊離塩基を906mg得た。
TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.15。
D.14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐アミノメチル‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
5mLのDCMに実施例4の工程Cで得た生成物を200mg溶解し、これにジエチルエーテル中の1M HClを1mL添加した。10分後、得られた混合物から溶媒を蒸発乾燥させた。これにより、実施例4の工程Dによる生成物の塩酸塩を白い非晶質固体状で166mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.42(bs,1H)、2.75(t,2H,J=6Hz)、3.01(m,1H)、3.40(m,3H)、3.95(m,1H)、4.56(d,1H,J=6Hz)、5.06(m,3H)、5.55(d,1H,J=6Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、7.87(bs,3H)。MS‐ESI+(m/z):508(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH,Rf=0.15。
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐4‐[(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐メチル]‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
分子篩を含有する15mLの乾燥DCMに、実施例4の工程Dで得た生成物を300mg溶解した。得られた混合物にピバルアルデヒドを室温で42mg添加し、1時間後、反応混合物にトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを136mg添加し、これを更に23時間撹拌し続けた。得られた混合物にDCMを添加し、これをNaHCO3飽和溶液で洗浄し、乾燥させて溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=95:5‐9:1)に掛けた。その結果、実施例5の遊離塩基生成物を白色の泡状で68g得て、3mLのDCMに溶解させた。得られた混合物に対して、ジエチルエーテル中の2M HClを300μL添加した。得られた混合物を撹拌し、溶媒を蒸発乾燥させた。これにより、塩酸塩状の実施例5の表題化合物を白色の固形物状で52mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.07(s,9H)、1.45(s,3H)、2.42(bs,1H)、2.73(m,2H)、2.90(m,2H)、3.02(m,1H)、3.30‐3.45(m,3H)、3.92(m,1H)、4.58(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,3H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.15(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、8.39(bs,3H)。MS‐ESI−(m/z):622(M+HCOO−)、MS‐ESI−(m/z):578(M+)。TLC:DCM/MeOH=9:1、Rf=0.25。
14‐O‐{[(1R,2R,4S)‐2‐ヒドロキシ‐4‐[(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐メチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,4R)ジアステレオマー
実施例4の工程Bで得た生成物を20mLのDCM中に2g(3.29mmol)溶解させ、2mLのTFAを添加した。得られた混合物を室温で7時間撹拌し、これにNaHCO3飽和溶液を添加し、得られた層を分離し、得られた有機層をDCMで抽出し、乾燥させて溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、CH2Cl2/MeOH=98:2を用いたDCM)に掛けた。その結果、白色の泡状の実施例6の表題化合物を70mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.97(m,1H)、3.13(t,2H,J=6Hz)、3.35(m,2H)、3.42(m,1H)、3.89(m,1H)、4.54(d,1H,J=6Hz)、4.95(d,1H,J=6Hz)、5.08(m,2H)、5.55(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、9.45(t,1H,J=6Hz)。MS‐ESI−(m/z):648(M+HCOO−)。TLC:DCM/MeOH=9:1、Rf=0.65。
14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐2‐ヒドロキシ‐3‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
A.2‐シクロペント‐2‐エニル‐エタノール
100mLのTHF中にLAHを3.1g懸濁させ、得られた混合物に対して、40mLのTHF中に溶解させた9.55gのシクロペント‐2‐エニル‐酢酸を滴下して添加した。得られた混合物を1.5時間還流し続け、室温まで冷却し、水および10%硫酸を徐々に添加した。得られた混合物をジエチルエーテルで抽出し、得られた有機層を乾燥し、冷水浴を利用して溶媒を慎重に蒸発させた。これにより、実施例7の工程Aによる生成物(まだTHFを含んでいる)を無色の液体状で11g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):1.42(m,1H)、1.49(s,1H)、1.62(m,2H)、2.06(m,1H)、2.32(m,1H)、2.76(m,1H)、3.69(t,2H、J=6Hz)、5.70(m,2H)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.4。
B.メタンスルホン酸2‐シクロペント‐2‐エニル‐エチルエステル
実施例7の工程Aに従って得られた粗製シクロペント‐3‐エニル‐エタノールを200mLのTHF中に溶解させ、得られた混合物に対して、N‐メチルモルホリンを14.67mL添加した。得られた混合物に17.77gのメタンスルホン無水物を何回かに分けて添加し、得られた反応混合物を室温で20時間撹拌した。得られた混合物に1.5mLのN‐メチルモルホリンと1.8gのメタンスルホン無水物を添加し、更に6時間後にEtOAcを添加した。得られた混合物をNaHCO3飽和溶液および1M HClで洗浄した。得られた有機層を乾燥させて溶媒を蒸発乾燥させた。実施例7の工程Bによる生成物を僅かに黄ばんだ油状で13.89g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):1.41(m,1H)、1.80(m,2H)、2.10(m,1H)、2.32(m,1H)、2.80(m,1H)、3.01(s,3H)、4.27(t,2H,J=6Hz)、5.63および5.77(2xm,2H)。MS‐ESI+(m/z):403(2M+Na)、213(M+Na)、208(M+NH4)。TLC:トルエン/EtOAc=3:1、Rf=0.65。
C.t‐ブチル(2‐シクロペント‐2‐エニル‐エチル)‐カルバメート
実施例7の工程Bで得られたメタンスルホン酸シクロペント‐3‐エニル‐エチルエステルを150mLのDMF中に13.89g溶解したものに対して、アジ化ナトリウムを18.9g添加し、得られた反応混合物を60℃で20時間撹拌した。得られた混合物にジエチルエーテルを添加し、それにより得られた混合物を水で洗浄し、乾燥させて、冷水浴を用いて溶媒を慎重に蒸発させた。得られた粗製アジ化生成物はDMFをまだ含んでおり、更なる精製をすることなく次の工程で用いた。
上記粗製アジ化生成物を130mLのTHF中に14.14g溶解させ、得られた混合物に5mLの水を添加した。得られた混合物にトリフェニルホスフィンを22.98g添加し、得られた反応混合物を80℃で4時間撹拌した。得られた混合物を、氷浴を用いて4℃まで温度を下げ、50mLのTHFに溶解させた17.5gのBoc無水物を添加した。得られた反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、溶媒を蒸発させ、得られた溶媒残留物をクロマトグラフィ(シリカ、トルエン/EtOAc=99:1‐95:5)に掛けた。その結果、実施例7の工程Cによる無色の油状の生成物を2.05g得た。
1H‐NMR(200MHz、CDCl3、δ、ppm、特性信号):1.25‐1.62(m,3H)、1.37(s,9H)、2.02(m,1H)、2.25(m,1H)、2.62(m,1H)、3.11(t,2H,J=8Hz)、4.50(bs,1H)、5.54‐5.70(m,2H)。MS‐ESI+(m/z):423(2M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=9:1、Rf=0.65。
D.syn‐[2‐(6‐オキサ‐ビシクロ[3.1.0]へキス‐2‐イル)‐エチル]‐カルバミン酸t‐ブチルエステル
30mLのDCMにて実施例7の工程Cで得た生成物を1.95g含む溶液に、2.39gのmCPBA(70%)を0℃で添加した。得られた溶液を室温にて1.5時間撹拌し、20%チオ硫酸ナトリウム水溶液に添加し、得られた混合物を10分間撹拌した。これにDCMを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層をNaHCO3飽和水溶液で洗浄した。得られた水層をDCMで抽出し、得られた混合有機層を、MgSO4を用いて乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=95:5‐9:1)に掛けた。その結果、実施例7の工程Dによる無色の油状生成物を1.8g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.25‐1.70(m,5H)、1.39(s,9H)、1.88(m,2H)、2.98(m,2H)、3.35および3.42(2xm,2H)、6.87(bs,1H)。MS‐ESI+(m/z):477(2M+Na)、228(M+H)、172(M‐tBu)、154(M‐OtBu)。TLC:トルエン/EtoAc=3:1、Rf=0.65。
E.チオ安息香酸S‐[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、ならびに、チオ安息香酸S‐[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
187mgのBu4NClを含む40mLの乾燥トルエンに実施例7の工程Dで得られたsyn‐エポキシドを1.8g含む溶液に対して、チオ安息香酸を9.08mL滴下して添加した。反応混合物を室温で20時間撹拌した。得られた混合物にNaHCO3飽和溶液を添加し、10分後に、反応混合物にEtOAcを添加した。得られた有機層をNaHCO3飽和溶液で4回洗浄し、乾燥させて溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ,トルエン/EtOAc=95:5‐8:1)に掛けた。その結果、チオ安息香酸S‐[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー(後期溶出化合物)を僅かに黄色のオイル状で1.28g得るとともに、チオ安息香酸S‐[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー(初期溶出化合物)を無色の油状で875g得た。
後期溶出生成物:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.30‐1.95(m,7H)、1.38(s,9H)、2.93(m,2H)、3.45(m,1H)、3.99(m,1H)、5.11(d,1H,J=6Hz)、6.97(t,1H,J=6Hz)、7.50‐7.98(m,5H)。MS‐ESI−(m/z):410(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):366(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=4:1、Rf=0.5。
早期溶出生成物:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.20‐1.95(m,6H)、1.37(s,9H)、2.20‐2.40(m,1H)、2.98(m,2H)、3.75(m,1H)、3.90(bs,1H)、5.10(m,1H)、6.77(m,1H)、7.45‐7.95(m,5H)。MS‐ESI−(m/z):410(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):366(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=4:1、Rf=0.55。
F.14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
10mLのアセトニトリルに実施例7の工程Eで得たチオ安息香酸S‐[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマーを780mg含む溶液に対して、ヒドラジン一水和物を210μL添加し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。得られた混合物に1M HClを25mL添加し、これを5分間撹拌し、DCMで希釈し、層を分離した。得られた有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥させて溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物を10mLのアセトニトリルに溶解させた。得られた混合物にDBNを279μLおよびプレウロムチリントシラートを1.13g添加し、得られた溶液を室温で1時間撹拌した。得られた混合物にDCMを添加し、これを塩水で洗浄し、乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた溶媒残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=99:1)に掛けた。その結果、実施例7の工程Fによる白色の泡状の生成物を546mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d、3H、J=6Hz)、0.82(d、3H、J=6Hz)、1.06(s、3H)、1.37(s、12H)、2.42(bs、1H)、2.92(m、2H)、3.02(m、1H)、3.23(m、2H)、3.43(m、1H)、3.79(m、1H)、4.55(d、1H、J=6Hz)、4.76(m、1H)、5.08(m、2H)、5.55(d、1H、J=8Hz)、6.14(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)、6.77(t、1H、J=6Hz)。MS‐ESI+(m/z):622(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.5。
G.14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐2‐ヒドロキシ‐3‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
実施例7の工程Fで得た生成物を5mLのDCM中に530mg(0.85mmol)溶解し、得られた混合物にTFAを260μL添加した。得られた混合物を室温で2時間静置し、これにDCMを添加した。得られた混合物をNaHCO3飽和溶液で抽出した。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、得られた溶媒残留物をクロマトグラフィ(シリカ,DCM/MeOH/NH4OH=9:1:0.1‐4:1:0.1)に掛けた。その結果、出発原料を含む384mgの混合物留分と併せて、実施例7の工程Gによる白色の泡状の生成物を75mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.66(d、3H、J=6Hz)、0.84(d、3H、J=6Hz)、1.08(s、3H)、1.39(s、3H)、2.44(bs、1H)、3.06(m、1H)、3.20(m、2H)、3.30(m、2H)、3.45(m、1H)、3.83(m、1H)、4.57(d、1H、J=6Hz)、4.90(m、1H)、5.09(m、2H)、5.57(d、1H、J=8Hz)、6.16(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)、9.43(t、1H、J=4Hz)。MS‐ESI−(m/z):622(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):635(M+NH4)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.45。
14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
A.14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
実施例7の工程Fで得た生成物を3mLのMeOH中に320mg含む溶液に対して、28%NH4OHを室温で1mL添加し、24時間後に28%NH4OHを更に1mL添加し、得られた混合物を更に24時間撹拌した。上記混合物から溶媒を蒸発させ、得られた溶媒残留物をDCMに溶解させ、得られた混合物をNaHCO3飽和水溶液で抽出した。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させ、得られた溶媒残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=9:1‐DCM/MeOH/NH4OH=7:1:0.1)に掛けた。その結果、実施例8の工程Aによる生成物の遊離塩基を白色の泡状で88mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.66(d、3H、J=6Hz)、0.84(d、3H、J=6Hz)、1.08(s、3H)、1.39(s、3H)、2.44(bs、1H)、3.07(m、1H)、3.28(m、2H)、3.45(m、1H)、3.81(m、1H)、4.58(d、1H、J=6Hz)、5.08(m、2H)、5.57(d、1H、J=8Hz)、6.16(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI−(m/z):566(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):522(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.30。
B.14‐O‐{[(1R,2R,3S)‐3‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシシクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,3R)ジアステレオマー
実施例8の工程Aで得た遊離塩基をDCM中に75mg溶解させ、得られた混合物にジエチルエーテル中のHClを添加した。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、実施例8の表題化合物のヒドロクロリドを定量的収率で得た。
MS‐ESI−(m/z):556(M+Cl−)、MS‐ESI+(m/z):522(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.30。
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐2‐ヒドロキシ‐5‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、ならびに、14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
A.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
実施例7の工程Eで得たチオ安息香酸S‐[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]エステルおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマーを20mLのアセトニトリル中に1.17g含む溶液に対してヒドラジン一水和物を316μL添加し、得られた溶液を室温で30分間撹拌した。得られた混合物に1M HClを25mL添加し、これを撹拌し、DCMで希釈し、得られた層を分離した。得られた有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物を20mLのアセトニトリル中に溶解させた。得られた混合物に420μLのDBNおよび1.53gのプレウロムチリントシラートを添加し、得られた溶液を室温で2時間撹拌した。得られた混合物にDCMを添加し、これを塩水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=98:2‐95:5)に掛けた。その結果、実施例9の工程Aによる白色の泡状の生成物を1.21g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.65(d、3H、J=6Hz)、0.84(d、3H、J=6Hz)、1.08(s、3H)、1.38(s、12H)、2.43(bs、1H)、2.56(m、1H)、2.90(m、2H)、3.34(m、2H)、3.46(m、1H)、3.92(m、1H)、4.56(d、1H、J=6Hz)、4.92(t、1H、J=4Hz)、5.09(m、2H)、5.57(d、1H、J=8Hz)、6.16(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)、6.81(m、1H)。MS‐ESI+(m/z):622(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.45。
B.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐2‐ヒドロキシ‐5‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー、ならびに、14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
実施例9の工程Aで得た上述の生成物を10mLのDCMに1.16g(1.86mmol)含む溶液に対してTFAを285μL添加した。得られた混合物を室温で24時間撹拌し、これに300μLのTFAを添加し、反応混合物を室温で更に24時間撹拌した。これにDCMとNaHCO3飽和溶液とを添加し、得られた層を分離した。得られた有機層を乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=98:2‐DCM/MeOH/NH4OH=9:1:0.1‐DCM/MeOH/NH4OH=4:1:0.1)に掛けた。その結果、14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐2‐ヒドロキシ‐5‐[2‐(2,2,2‐トリフルオロ‐アセチルアミノ)‐エチル]‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマーを白色の泡状で50mg得るとともに、14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマーを白色の泡状で142mg得た。
アセトアミド:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.65(d、3H、J=6Hz)、0.83(d、3H、J=6Hz)、1.07(s、3H)、1.39(s、3H)、2.43(bs、1H)、2.58(m、1H)、3.20(m、2H)、3.48(m、3H)、3.94(m、1H)、4.55(m、1H)、4.94(t、1H、J=4Hz)、5.09(m、2H)、5.57(d、1H、J=8Hz)、6.16(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)、9.45(m、1H)。MS‐ESI−(m/z):662(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):635(M+NH4)。TLC:DCM/MeOH=95:5、Rf=0.4。
遊離塩基:1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.66(d、3H、J=6Hz)、0.84(d、3H、J=6Hz)、1.08(s、3H)、1.40(s、3H)、2.44(bs、1H)、2.65(m、3H)、AB‐システム(υA=3.44、υB=3.29、J=28Hz)、3.48(m、1H)、3.95(m、1H)、4.59(bs、2H、J=6Hz)、5.08(m、2H)、5.57(d、1H、J=8Hz)、6.17(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI−(m/z):566(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):522(M+N)。TLC:DCM/MeOH=95:5+1%NH4OH、Rf=0.35。
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
実施例9の工程Bで得た遊離塩基をDCM中に100mg溶解させ、得られた混合物にジエチルエーテル中の2M HClを添加した。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、実施例10の表題化合物のヒドロクロリドを定量収率的に得た。
MS‐ESI−(m/z):556(M+Cl−)、MS‐ESI+(m/z):522(M+H)。TLC:DCM/MeOH=95:5+1%NH4OH、Rf=0.35。
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐[2‐(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐エチル]‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
A.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐[2‐(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐エチル]‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
実施例9の工程Bで得た14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐(2‐アミノ‐エチル)‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマーを2mLのDCM中に104mg溶解させた。得られた混合物に22μlのピバルアルデヒドを室温で添加し、得られた反応混合物を2時間撹拌した。これにトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを55mg添加し、18時間撹拌した。得られた混合物にDCMを添加し、これを飽和NaHCO3水溶液で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、DCM/MeOH=98:2‐95:5‐9:1)に掛けた。その結果、実施例11の工程Aによる生成物を白色の泡状で58mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.66(d、3H、J=6Hz)、0.84(d、3H、J=6Hz)、0.91(s、9H)、1.09(s、3H)、1.40(s、3H)、2.44(bs、1H)、3.30‐3.50(m、4H)、3.94(m、1H)、4.58(d、1H、J=6Hz)、4.97(m、1H)、5.10(m、2H)、5.58(d、1H、J=8Hz)、6.17(dd、1H、J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI+(m/z):592(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.45。
B.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐[2‐(2,2‐ジメチル‐プロピルアミノ)‐エチル]‐2‐ヒドロキシ‐シクロペンチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S)ジアステレオマー
実施例11の工程Aで得た遊離塩基をDCM中に47mg溶解させ、得られた混合物にジエチルエーテル中の2M HClを添加した。得られた混合物を撹拌し、溶媒を蒸発させた。これにより、実施例11の表題化合物を白色の固体状で48mg得た。
MS‐ESI+(m/z):592(M+H)。TLC:DCM/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.45。
14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S),(1R,2R,5S),(1S,2S,5R)ジアステレオマー
A.t‐ブチルシクロヘプト‐4‐エンイル‐カルバメート
180mLのTHFに3.5gのLAHを含む溶液を熱して還流させ、得られた混合物に対し、20mLのTHFに90.6mmolのシクロヘプト‐4‐エノン(Louie, J. et al, J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 11312‐11313)を含んだ溶液を、45分間かけて添加した。更に4時間還流させた後、得られた混合物を室温まで冷却し、室温にて一晩撹拌し、希HClおよび100mLのEtOAcを添加した。得られた層を分離し、水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を飽和水溶性NaHCO3で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮し、得られた濃縮残留物をクロマトグラフィ(シリカ,CyH/EtOAc=2.5/1)に掛けた。その結果、茶色い油状のシクロヘプト‐4‐エノールを370mg得た。
MS‐ESI+(m/z):130(M+NH4)。TLC:CyH/EtOAc=2:1、Rf=0.4。
10mLのTHFに360mgのシクロヘプト‐4‐エノールを含む溶液に対し、0.88mLのN‐メチルモルホリンおよび1062mgのメタンスルホン無水物を何回かに分けて添加した。反応完了後、得られた混合物をEtOAcと飽和水溶性NaHCO3の間に分散させ、得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を、1N HCl、水、および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。得られた濾過液を濃縮乾燥させて、黄色い油状の、対応するメシラートを定量的収率で得た。
MS‐ESI+(m/z):208(M+NH4)、398(2M+NH4)。TLC:CyH/EtOAc=2:1、Rf=0.5。
3.2mmolの上記メシラートを、10mLのDMFに840mgのアジ化ナトリウムを含む溶液で、一晩かけて60℃まで熱した。得られた反応混合物に水を添加し、ジエチルエーテルで2回抽出した。こうして得られた、粗アジドを含む混合有機層を濃縮し、次の工程で使用した。
MS‐ESI−(m/z):136(M‐H)。TLC:CyH/EtOAc=3:1、Rf=0.9。
10mLのTHFおよび0.5mLの水中の、上記粗アジドに対し、1gのトリフェニルホスフィンを添加した。得られた反応混合物を、80℃にて4時間撹拌し、室温まで冷却してから、3mLのTHF中の0.8mLのBoc無水物を添加した。反応完了後、1M HClを添加し、得られた反応物をEtOAcで2回抽出した。得られた混合有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。得られた濾過液から、溶媒を蒸発乾燥させた。その結果、実施例12の工程Aによる黄色い油状の生成物を得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.35(s,9H)、3.48(m,1H)、5.70(m,2H)、6.88(d,1H,J=8Hz)。TLC:CyH、Rf=0.5。
B.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S),(1R,2R,5S),(1S,2S,5R)ジアステレオマー
20mLのDCM中に実施例12の工程Aによる生成物を3.2mmol含む溶液に対し、980mgのmCPBA(70%)および350mgのNaHCO3を0℃にて添加した。得られた懸濁液を室温にて一晩撹拌してから、20%チオ硫酸ナトリウムを添加し、EtOAcで抽出した。得られた混合有機層を、飽和水溶性NaHCO3、水、および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。得られた濾過液を濃縮してから乾燥させて、黄色い固体状の粗エポキシドを定量的収率で得た。
TLC:CyH/EtOAc=1:1、Rf=0.7。
540mgの上記で得られたエポキシドを、10mLのトルエンに溶解し、0.6mLのチオ安息香酸および60mgのBu4NClを添加し、得られた混合物を50℃で一晩撹拌した。反応完了後、得られた混合物をEtOAcと飽和水溶性NaHCO3との間に分散させ、得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。得られた濾過液を濃縮乾燥させた。その結果、チオ安息香酸S‐((1R,2R,5R)‐5‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチル)エステルのジアステレオマー混合物および(1R,2R,5S),(1S,2S,5S),(1S,2S,5R)ジアステレオマーを茶色い油状で得た。
TLC:CyH/EtOAc=1:1、Rf=0.7。
10mLのDCMに上記得られたチオ安息香酸エステルの混合物を含む溶液に、60mgのDTTおよび0.2mLのヒドラジン一水和物を添加し、得られた混合物を室温にて6時間撹拌した。反応完了後、1Mリン酸を添加し、得られた混合物をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を1%NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、直ちに次の反応に使用した。
上記で得られた粗チオールに、6mLのMTBE中の1.2gのプレウロムチリントシラートと、75mgの塩化ベンジルトリブチルアンモニウムと、2.5mLの1M NaOHとを添加し、得られた二層混合物を室温で週末の間撹拌した。得られた混合物をEtOAcおよび水で抽出し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた濃縮物をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=5/1)に掛けた。その結果、実施例12の工程Bによる生成物の混合物を無色の泡状で610mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.62(d,3H,J=6Hz)、0.82(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.36(s,12H)、2.40(bs,1H)、3.56(m,1H)、4.56(d,1H,J=6Hz)、4.84(d,1H,J=6Hz)、5.05(m,2H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび17Hz)、7.6(m,1H)。MS‐ESI−(m/z):667(M+HCOO−)。
C.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S),(1R,2R,5S),(1S,2S,5R)ジアステレオマー
10mLのDCMに実施例12の工程Bによる生成物を600mg含む溶液を、1mLのTFAで室温にて7時間処理した。得られた混合物に1M NaOHを添加し、こうして得られた混合物をEtOAcで2回抽出した。得られた混合有機層を飽和NaHCO3水溶液、水、および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、得られた濾過液を減圧下で濃縮した。得られた濃縮物をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/MeOH/NH4OH=75/15/1)に掛けた。その結果、実施例12の工程Cによる生成物の混合物を無色の泡状で44mg得た。
1H‐NMR(400MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.62(d,3H,J=6Hz)、0.81(d,3H,J=7Hz)、1.05(s,3H)、1.36(s,3H)、2.40(bs,1H)、2.82(m,1H)、2.99(m,1H)、3.64(m,1H)、4.50(m,1H)、5.05(m,2H)、5.54(d,1H,J=8Hz)、6.13(m,1H)。MS‐ESI+(m/z):522(M+H)、MS‐ESI−(m/z):520(M‐H)。TLC:EtOAc/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.3。
D.14‐O‐{[(1R,2R,5R)‐5‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐シクロヘプチルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2S,5S)、(1R,2R,5S)、(1S,2S,5R)ジアステレオマー
1mLのジオキサンに実施例12の工程Cの生成物を40mg含む溶液に、0.12mLの1M HClを添加した。得られた混合物を室温にて10分間撹拌し、得られた溶液を凍結乾燥した。その結果、実施例12の工程Dの無色の泡状の生成物を定量的収率で得た。
MS‐ESI+(m/z):522(M+)。TLC:EtOAc/MeOH=9:1+1%NH4OH、Rf=0.3。
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
A.(1S,5R,6S)‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐2‐エン‐6‐イル‐(2,4‐ジメトキシ‐ベンジル)‐アミンおよびその(1R,5S,6R)ジアステレオマー
100mLの乾燥DCMに10gのシスビシクロ[3.2.0]ヘプト‐2‐エン‐6‐オンを含む溶液に、185mmolの2,4‐ジメトキシベンジルアミン、8mLの酢酸、および27gのトリアセトキシホウ化水素ナトリウムを室温にて添加し、得られた反応混合物を一晩撹拌した。得られた混合物にEtOAcを添加し、こうして得られた混合物を1N NaOHで洗浄し、得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を水および塩水で洗浄し、乾燥させることで溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/MeOH=5/1)に掛けた。その結果、実施例13の工程Aによる黄色い油状の生成物を21.64g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.70(m,1H)、2.10‐2.70(m,4H)、2.95(m,2H)、3.40(m,2H)、3.73、3.76(2s,6H)、5.77(m,2H)、6.40‐7.20(m,3H)。MS‐ESI+(m/z):260(M+H)。TLC:EtOAc/MeOH=1:1、Rf=0.5。
B.t‐ブチル(1S,5R,6S)‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐2‐エン‐6‐イル‐(2,4‐ジメトキシ‐ベンジル)‐カルバマートおよびその(1R,5S,6R)ジアステレオマー
150mLのDCMに実施例13の工程Aによる生成物を23.54g含む溶液に、22mLのBoc無水物および25.3mLのTEAを添加し、得られた反応混合物を室温にて一晩撹拌した。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残留物にEtOAcを加えた。得られた混合物を1M HClで洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させることで溶媒を蒸発乾燥させた。その結果、実施例13の工程Bによる黄色い固体状の生成物を30.46g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.36(s,9H)、1.58(m,1H)、2.20‐2.45(m,3H)、2.90(m,1H)、3.07(m,1H)、3.72、3.75(2s,6H)、4.10(d,1H,J=17Hz)、4.42(m,1H)、4.53(d,1H,J=17Hz)、5.73(m,1H)、5.83(m,1H)、6.40‐6.84(m,3H)。MS‐ESI+(m/z):360(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=3:1、Rf=0.65。
C.t‐ブチル(R)‐(2,4‐ジメトキシ‐ベンジル)‐(1R,3S,6R,7S)‐3‐オキサ‐トリシクロ[4.2.0*2,4*]オクト‐7‐イル‐カルバマートおよびその(1S,3R,6S,7R)ジアステレオマー
100mlのDCMに実施例13の工程Bによる生成物を15.2g含む溶液に、10.4gのmCPBA(70%)を0℃にて添加した。得られた混合物に5.3gのNaHCO3を添加し、得られた混合物を室温にて2日間撹拌した。得られた混合物に20%チオ硫酸ナトリウムを添加し、撹拌し、EtOAcで抽出した。得られた混合有機層を、飽和NaHCO3溶液、水、および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥することによって溶媒を蒸発させた。得られた粗蒸発残留物を高真空下で乾燥した。その結果、実施例13の工程Cによる茶色い油状の生成物を16.9g得た。
MS‐ESI+(m/z):376(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=2:1、Rf=0.5。
D.チオ安息香酸S‐[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐[t‐ブトキシカルボニル‐(2,4‐ジメトキシ‐ベンジル)‐アミノ]‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イル]エステルおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
1gのBu4NClを含む100mの乾燥トルエンに実施例13の工程Cによるエポキシドを16.9g加えた溶液に、10.5mLのチオ安息香酸を滴下して添加した。得られた反応混合物を室温にて20時間撹拌し、55℃にて20時間撹拌した。得られた混合物に飽和NaHCO3溶液を添加し、20分後に反応混合物にEtOAcを加えた。得られた層を分離し、得られた有機層を飽和NaHCO3水溶液で3回洗浄し、乾燥させることで溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=4:1)に掛けた。その結果、実施例13の工程Dによる油状の生成物を6.49g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):1.37(s,9H)、3.72、3.77(2s,6H)、3.86(m,2H)、4.21(d,1H,J=17Hz)、4.38(d,1H,J=17Hz)、5.17(d,1H,J=5Hz)、6.40‐6.95(m,3H)、7.50‐7.95(m,5H)。MS‐ESI−(m/z):558(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):514(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=2:1、Rf=0.35。
E.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐[t‐ブトキシカルボニル‐(2,4‐ジメトキシ‐ベンジル)‐アミノ]‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
20mLのDCMに上記工程Dによる生成物を6.49g含む溶液に、649mgのDTTおよび0.9mLのヒドラジン一水和物を0℃にて添加し、得られた溶液を室温にて2時間撹拌した。1M H3PO4を添加した後、得られた混合物をDCMで希釈し、得られた層を分離した。得られた有機層を1M H3PO4で3回、1%塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させることで溶媒を蒸発乾燥させた。
MS‐ESI+(m/z):410(M+H)。MS‐ESI−(m/z):408(M‐H)。TLC:CyH/EtOAc=1:1、Rf=0.4。
得られた蒸発残留物を50mLの乾燥アセトニトリルおよび1.7mLのDBNに溶解させ、6.06gのプレウロムチリントシラートを添加した。得られた混合物を室温にて2日間撹拌し、EtOAcを添加し、得られた層を分離し、得られた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させることにより溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=2:1)に掛けた。その結果、実施例13の工程Eによる白い泡状の生成物を4.98g得た。
1H‐NMR(400MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.65(d,3H,J=8Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.41(bs,1H)、2.93(m,1H)、3.05(m,1H)、3.44(t,1H,J=4Hz)、3.70(t,2H,J=5Hz)、3.80(m,1H)、4.15(d,1H,J=12Hz)、4.37(d,1H,J=12Hz)、4.51(d,1H,J=7Hz)、5.07(m,2H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.15(m,1H)、6.45‐6.90(m,3H)。MS‐ESI+(m/z):770(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=1:2、Rf=0.55。
F.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
20mLのDCMに上記実施例13の工程Eによる生成物を4.98g含む溶液に、2.5mLのTFA、0.3mLのチオアニソール、および0.13mLのメタンスルホン酸を0℃にて添加し、得られた溶液を室温にて6時間撹拌した。得られた反応混合物を、撹拌しながら滴下して冷DIPEに添加し、得られた沈殿物を濾過し、乾燥させた。得られた固体をEtOAcに加え、5M NaOHでpHを12に調整し、得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させることによって溶媒を蒸発乾燥させた。その結果、実施例13の工程Fによる無色の泡状の遊離塩基生成物を1.98g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.36(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.77(m,1H)、3.04(m,1H)、3.28(m,1H)、3.41(m,3H)、3.70(m,1H)、4.54(bs,1H)、5.06(m,2H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI+(m/z):520(M+H)。TLC:EtOAc/MeOH=10:1+1%NH4OH、Rf=0.4。
G.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐アミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンヒドロクロリドおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
1mLのジオキサンに実施例13の工程Fによる遊離塩基を300mg含む溶液に、0.9mLの1M HClを添加した。得られた混合物を室温にて15分間撹拌し、得られた溶液を凍結乾燥した。その結果、無色の泡状の実施例13の標題化合物を301mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.92(bm,2H)、3.47(m,3H)、3.74(m,1H)、4.56(bd,1H)、5.10(m,3H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI−(m/z):554(M+Cl−)、564(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):520(M+H)。
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐ホルミルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプト‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
DCMに0.1mLの酢酸ギ酸無水物を含む溶液に、71mgのDMAPと、300mgの実施例13の工程Fで得た遊離塩基とを添加した。得られた混合物を室温にて2日間撹拌し、得られた溶液にEtOAcを添加し、得られた混合物を塩水で洗浄し、乾燥させることで溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=1:10‐EtOAc)に掛けた。その結果、無色の固体状の実施例14の標題化合物を100mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.05(s,3H)、1.37(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.80‐3.10(m,2H)、3.41(m,3H)、3.73(m,1H)、4.20(m,1H)、4.54(d,1H,J=6Hz)、5.07(m,3H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、7.89(s,1H)、8.04(d,1H,J=7Hz)。MS‐ESI−(m/z):592(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):548(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=1:10、Rf=0.2。
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(2‐アミノ‐アセチルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
A.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(2‐t‐ブトキシカルボニルアミノ‐アセチルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
乾燥DCMに102mgのBocグリシンを含む溶液に、78mgのHOBTと、71mgのDMAPと、111mgのEDCを添加した。得られた混合物を室温にて30分間撹拌した。得られた混合物に、実施例13の工程Fで得られた遊離塩基を300mg添加した。得られた混合物を室温にて2日間撹拌し、得られた溶液にEtOAcを添加し、得られた各層を分離し、得られた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、トルエン/EtOAc=1:20‐EtOAc)に掛けた。実施例15の工程Aの生産物を無色の泡状で196mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.63(d,3H,J=5Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.41(bs,1H)、2.99(m,1H)、3.04(m,1H)、3.45(m,5H)、3.74(m,1H)、4.18(m,1H)、4.54(d,1H,J=6Hz)、5.07(m,3H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=10Hzおよび17Hz)、6.92(m,1H)、7.76(d,1H,J=8Hz)。MS‐ESI−(m/z):721(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):677(M+H)。TLC:トルエン/EtOAc=1:10、Rf=0.25。
B.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(2‐アミノ‐アセチルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
3mLのDCMに上記の実施例15の工程Aの生産物196mgを含む溶液に、0.3mLのTFAを添加し、得られた混合物を室温にて6時間撹拌した。得られた混合物に、EtOAcと1M NaOHとを添加し、得られた各層を分離し得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた混合有機層を水と塩水とで洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/MeOH/NH4OH=90:3:1)に掛けた。実施例15の工程Bの生産物の遊離塩基を無色の泡状で68mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.92(m,1H)、3.05(m,3H)、3.40(m,3H)、3.76(m,1H)、4.22(m,1H)、4.54(d,1H,J=5Hz)、5.06(m,3H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.15(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、7.95(d,1H,J=8Hz)。MS‐ESI−(m/z):621(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):577(M+H)。TLC:EtOAc/MeOH=10:1+1%NH4OH、Rf=0.2。
C.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(2‐アミノ‐アセチルアミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン塩酸塩およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
ジオキサンに工程Bの生産物の遊離塩基を68mg含む溶液に、1M HClを0.36mL添加した。得られた混合物を室温にて10分間撹拌し、得られた溶液を凍結乾燥した。実施例15の表題化合物を無色の泡状で64mg得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.64(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.36(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.95(m,2H)、3.75(m,1H)、4.20(m,4H)、5.06(m,2H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)、8.10(m,3H)、8.50(m,1H)。MS‐ESI−(m/z):611(M+Cl−)、621(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):577(M+H)。
14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐シクロプロピルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン塩酸塩およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
A.(1S,5R,6S)‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐2‐エン‐6‐イル‐シクロプロピル‐アミンおよびその(1R,5S,6R)ジアステレオマー
50mLの乾燥DCMに5gのシスビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐2‐エン‐6‐オンを含む溶液に、3.22mLのシクロプロピルアミンと、2.65mLの酢酸と、13.7gのトリアセトキシホウ化水素ナトリウムとを室温にて添加し、18時間後、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質にEtOAcを添加し、得られた混合物を1N NaOHで洗浄し、得られた水溶層をEtOAcで抽出した。得られた結合有機層を水と塩水とで洗浄し、乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/MeOH=5/1)に掛けた。実施例16の工程Aの生産物を無色の油状で4.02g得た。
1H‐NMR(200MHz、DMSO‐d6、δ、ppm、特性信号):0.05‐0.40(m,4H)、1.29(m,1H)、1.91(m,1H)、2.10‐2.70(m,3H)、2.97(m,2H)、3.46(m,1H)、5.76(m,2H)。MS‐ESI+(m/z):150(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=4:1、Rf=0.35。
B.t‐ブチル(1S,5R,6S)‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐2‐エン‐6‐イル‐シクロプロピル‐カルバマートおよびその(1R,5S,6R)ジアステレオマー
100mLのDCMに実施例16の工程Aの生産物4.02mgを含む溶液に、6.2gのBOC無水物と7.5mLのTEAとを添加し、得られた反応混合物を室温にて一晩撹拌した。得られた混合物を蒸発させ、得られた蒸発残留物質にEtOAcを添加し、得られた混合物を1M HClで洗浄した。得られた各層を分離し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させて乾燥させた。実施例16の工程Bの生産物を無色の固体状で7.14g得た。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.30‐0.80(m,4H)、1.37(s,9H)、2.00‐2.60(m,5H)、2.90(m,1H)、3.07(m,1H)、4.14(q,1H,J=9Hz)、5.80(m,2H)。TLC:CyH/EtOAc=4:1、Rf=0.75。
C.t‐ブチル(R)‐シクロプロピル‐(1R,3S,6R,7S)‐3‐オキサ‐トリシクロ[4.2.0*2,4*]オクタ‐7‐イル‐カルバマートおよびその(1S,3R,6S,7R)ジアステレオマー
100mlのDCMに実施例16の工程Bの生産物7.14gを含む溶液に、7.05gのmCPBA(70%)を0℃で添加した。得られた混合物に、3.6gのNaHCO3を添加し、得られた混合物を室温にて3日間撹拌した。得られた混合物に20%のチオ硫酸ナトリウムを添加し、EtOAcで抽出した。得られた結合有機層をNaHCO3飽和水溶液、水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を蒸発させた。得られた粗蒸発残留物質をHV下で乾燥させた。実施例16の工程Cの生産物5.73gが、無色の固体状で得られた。
MS‐ESI+(m/z):266(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=2:1、Rf=0.45。
D.チオ安息香酸S‐[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐(t‐ブトキシカルボニル‐シクロプロピル‐アミノ)‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イル]エステルおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
478mgのBu4NClを含む50mLの乾燥トルエンに実施例16の工程Cで得られたエポキシド5.73gを含む溶液に、20.1mLのチオ安息香酸を滴下で添加した。得られた反応混合物を室温にて3日間撹拌した。得られた混合物に、NaHCO3飽和水溶液を添加し、15分後、得られた混合物にEtOAcを添加し、得られた各層を分離し、有機層をNaHCO3飽和溶液で3回洗浄し、乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=5:1)に掛けた。実施例16の工程Dの生産物を5.20g得た。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.42(m,2H)、0.67(m,2H)、1.36(s,9H)、1.72(m,1H)、2.25‐2.50(m,5H)、3.10(m,1H)、3.80(m,2H)、3.97(m,1H)、5.71(d,1H,J=5Hz)、7.50‐7.95(m,5H)。MS‐ESI−(m/z):448(M+HCOO―)。TLC:CyH/EtOAc=3:1、Rf=0.25。
E.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐[t‐ブトキシカルボニル‐シクロプロピル‐アミノ]‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
50mLのDCMに実施例16の工程Dの生産物5.20gを含む溶液に、520mgのDTTおよび0.94mLのヒドラジン一水和物を0℃にて添加し、得られた溶液を室温にて6時間撹拌した。得られた混合物に1M H3PO4を添加し、得られた混合物をDCMで希釈し、得られた各層を分離した。得られた有機層を、1M H3PO4で3回、1%塩化ナトリウム溶液で1回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。
MS‐ESI+(m/z):300(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=3:1、Rf=0.2。
得られた蒸発残留物質を、50mLの乾燥アセトニトリルおよび1.7mLのDBNに溶解し、6.20gのプレウロムチリントシラートを添加した。得られた混合物を室温にて一晩撹拌し、EtOAcを加え、塩水で洗浄した。得られた水層をEtOAcで抽出し、得られた結合有機層を塩水で2回洗浄し、乾燥させて、蒸発させた。得られた蒸発残留物質を、クロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=1:1)に掛けた。実施例16の工程Eの生産物を白い泡状で4.60g得た。
1H‐NMR(400MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.36(m,1H)、0.46(m,1H)、0.56‐0.72(m,5H)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.37(s,12H)、2.41(bs,1H)、2.97(m,1H)、3.08(m,1H)、3.43(m,1H)、3.70‐3.80(m,2H)、4.50(d,1H,J=6Hz)、4.99(bs,1H)、5.06(m,2H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.14(m,1H)。MS‐ESI−(m/z):704(M+HCOO―)、MS‐ESI+(m/z):660(M+H)。TLC:CyH/EtOAc=1:2、Rf=0.5。
F.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐シクロプロピルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリンおよびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
30mLのDCMに実施例16の工程Eの生産物4.60gを含む溶液に、6.9mLのTFAを0℃にて添加した。得られた混合物を、室温にて6時間撹拌し、EtOAcおよびNaHCO3飽和水溶液を加えた。得られた水層をEtOAcで抽出し、得られた結合有機層を水および塩水で2回洗浄し、乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc/MeOH/NH4OH=100:5:1)に掛けた。実施例16の工程Fの生産物3.00gが、無色の泡状で得られた。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.10‐0.35(m,4H)、0.64(d,3H,J=6Hz)、0.83(d,3H,J=7Hz)、1.06(s,3H)、1.36(s,3H)、2.41(bs,1H)、2.84(m,1H)、3.02(m,1H)、3.20(m,1H)、3.58(m,1H)、4.53(d,1H,J=6Hz)、5.04(m,3H)、5.56(d,1H,J=8Hz)、6.15(m,1H)。MS‐ESI+(m/z):560(M+H)。TLC:EtOAc/MeOH=10:1+1%NH4OH、Rf=0.6。
G.14‐O‐{[(1R,2S,3S,5R,6S)‐6‐シクロプロピルアミノ‐2‐ヒドロキシ‐ビシクロ[3.2.0]ヘプタ‐3‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン塩酸塩およびその(1S,2R,3R,5S,6R)ジアステレオマー
10mLのジオキサンに実施例16の工程Fの生産物の遊離塩基3.01gを含む溶液に、8.06mLの1M HClを添加した。得られた混合物を室温にて10分間撹拌し、得られた溶液を凍結乾燥した。実施例16のタイトルの化合物が、無色の泡状で、定量的収率で得られた。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.64(m,5H)、0.83(m,5H)、1.06(s,3H)、1.37(s,3H)、2.42(bs,1H)、2.94(m,2H)、3.73(m,2H)、4.57(d,1H,J=5Hz)、5.10(m,3H)、5.56(d,1H,J=7Hz)、6.15(dd,1H,J=11Hzおよび18Hz)。MS‐ESI−(m/z):594(M+Cl−)、604(M+HCOO−)、MS‐ESI+(m/z):560(M+H)。
14‐O‐{[4‐アセチルアミノ‐6a‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレン‐1‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン
A.N‐(4‐ヨード‐オクタヒドロペンタレン‐1‐イル)‐アセトアミド
200mLのアセトニトリルに10.33gのヨウ素を含む溶液に、10mLのシス,シス‐1,5‐シクロオクタジエンを0℃にて添加し、得られた溶液を室温にて一晩撹拌した(Uemura, S. et al, J. Org. Chem. 1983, 48, 270‐273)。得られた混合物から溶媒を蒸発させ、得られた蒸発残留物質をEtOAcに加えた。得られた溶液を20%チオ硫酸塩溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAc→EtOAC/MeOH=5:1)に掛け、実施例17の工程Aの生産物2.4gが、黄色い固体状で得られた。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):1.20‐2.20(m,8H)、1.80(s,3H)、3.60‐4.50(m,1H)、7.85(m,1H)。TLC:CyH/EtOAc=1:3、Rf=0.25。
B.N‐((1,2,3,5,6,6a)‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐1‐イル)‐アセトアミドおよびN‐((1,2,3,3a,6,6a)‐ヘキサヒドロ‐ペンタレン‐1‐イル)‐アセトアミド
50mlのTHFに実施例17の工程Aの生産物5.6gを含む溶液に、2.14gのカリウム‐t‐ブトキシドを添加し、得られた混合物を室温にて3日間撹拌した。得られた混合物にEtOAcを加え、塩水および水で洗浄した。得られた各層を分離し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を蒸発乾燥させた。実施例17の工程Bの粗生産物4.3gが、黄色い油状で得られた。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):1.00‐2.30(m,6H)、1.80(s,3H)、2.70(m,1H)、2.96(m,1H)、3.50(m,1H)、5.30(m,2H)、7.50,7.90(2d,1H)。TLC:CyH/EtOAc=1:3、Rf=0.3。
C.チオ安息香酸S‐(アセチルアミノ‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレニル)エステル
50mlのDCMに実施例17の工程Bの生産物2gを含む溶液に、2.98gのmCPBA(70%)を添加し、得られた混合物を室温にて一晩撹拌した。得られた混合物をDCMで希釈し、得られた混合物を20%チオ硫酸ナトリウム溶液、NaHCO3飽和水溶液、および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。蒸発残留物質の中に粗エポキシドが得られた。得られた蒸発残留物質を乾燥トルエンに加え、得られた混合物に2.85mLのチオ安息香酸および107mgのBu4NClを添加した。得られた混合物を室温にて一晩撹拌した。反応完了後、得られた混合物に飽和NaHCO3水溶液を加えて30分間撹拌し、各層を分離し、得られた水層をEtOAcで抽出した。得られた結合有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過した。得られた濾過液を濃縮し、得られた濃縮物をクロマトグラフィ(シリカ、EtOAC/MeOH=20:1)に掛けた。実施例17の工程Cの初期溶離生産物372mgおよび後期溶離生産物400mgが、固体状で得られた。
初期溶離:1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):1.20‐2.00(m,8H)、1.80(s,3H)、4.27(m,1H)、5.29(d,1H、J=4Hz)、7.40‐8.10(m,6H)。TLC:CyH/EtOAc=1:5、Rf=0.3。
後期溶離:1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):1.20‐2.10(m,8H)、1.80(s,3H)、3.50‐4.00(m,2H)、5.06(s,1H)、7.40‐8.05(m,6H)。TLC:TLC:CyH/EtOAc=1:5、Rf=0.2。
D.14‐O‐{[4‐アセチルアミノ‐6a‐ヒドロキシ‐オクタヒドロペンタレン‐1‐イルスルファニル]‐アセチル}‐ムチリン
3mLの乾燥DCMに実施例17の工程Cの後期溶離生産物400mgを含む溶液に、20mgのDTTおよび88μLのヒドラジン一水和物を0℃にて添加し、得られた溶液を室温にて5時間撹拌した。得られた混合物に20mgのDTTおよび88μLのヒドラジン一水和物を更に添加し、得られた混合物を5時間撹拌した。得られた混合物に1M H3PO4を添加し、得られた混合物を30分間撹拌し、DCMで希釈し、得られた各層を分離した。得られた有機層を塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質に、3mLのMTBE、1.5mLの1MのNaOH、15mgのBnBu3NCl、および450mgのプレウロムチリントシラートを添加した。得られた混合物を室温にて一晩撹拌し、得られた混合物をEtOAcで希釈した。有機層を分離し、1M NaOH、0.1M H3PO4、NaHCO3飽和水溶液、および塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させて、溶媒を蒸発させた。得られた蒸発残留物質をクロマトグラフィ(シリカ、CyH/EtOAc=3:1‐EtOAc/MeOH/NH4OH=500:25:1)に掛けた。実施例17の表題化合物35mgが、白い固体状で得られた。
1H‐NMR(200MHz,DMSO‐d6,δ,ppm,特性信号):0.63(d,3H,J=5Hz)、0.83(d,3H,J=6Hz)、1.06(s,3H)、1.36(s,3H)、1.77(s,3H)、2.41(bs,1H)、4.55(d,1H,J=6Hz)、4.85‐5.17(m,3H)、5.55(d,1H,J=7Hz)、6.16(dd,1H,J=12Hzおよび18Hz)、7.65,7.90(bd,1H)。MS‐ESI+(m/z):598(M+Na)。TLC:EtOAc、Rf=0.45。