以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
図1〜図13を参照して、本発明の一実施形態のコンクリート床構造について説明する。図1及び図2に示すように、本発明の実施の形態1のコンクリート床構造100は、梁110と、デッキプレート120と、コンクリート130と、弾性防振材140と、接合部材150とを備えている。
梁110は、鉛直方向に延びる部材を相互に連結補強するために水平方向にかけ渡されている。本実施の形態の梁110はH形鋼であるが、梁の形状は特に限定されない。
この梁110の上に、デッキコンクリート床が位置している。デッキコンクリート床は、デッキプレート120と、このデッキプレート120上に打設されたコンクリート130とを含んでいる。
具体的には、梁110の上に、デッキプレート120が設けられている。本実施の形態では、梁110上に、デッキプレート120の端部が配置されている。梁110の延びる方向と、デッキプレート120の延びる方向とは交差(具体的には直交)している。このデッキプレート120上に、コンクリート130が設けられている。
図3〜図11に示すように、デッキプレート120は、梁110に対向し、平板部を有し、平板部には間隔を隔てて設けられた複数の立上り部(リブ)が形成されている。つまり、デッキコンクリート床は、梁110に対向する底面121を有し、底面121には間隔を隔てて設けられた複数の凹部122が形成されている。凹部122は、上方に向けて凹んだ形状である。凹部122は、側壁123と、この側壁123と連なる上壁124とを有している。
凹部122は、デッキコンクリート床(デッキプレート120)の端縁に形成されている。凹部122は、延在方向の端縁120a(図1参照)に形成されていてもよいが、延在方向と交差する方向(図3における矢印Aの方向)の端縁120b(図1参照)に形成されていることが好ましい。本実施の形態の凹部122は、延在方向と交差する方向における端縁120bにおいて、繰り返し形成されている。
また、凹部122は、デッキコンクリート床の延在方向の一端縁から他端縁に向けて(図1における端縁120bから、この端縁120bと反対側の端縁に向けて)互いに平行に延びている。本実施の形態では、デッキプレート120は、上下方向に延びる立上り部と、平板部とが水平方向に交互に繰り返された波形に成形された鋼板である。
梁110の延びる方向と、凹部122の延びる方向とは、交差(具体的には直交)している。本実施の形態では、複数の凹部122が並ぶ端縁に沿って、梁110が配置されている。つまり、梁110上に、複数の凹部122が形成されたデッキコンクリート床の端縁が位置している。
図3〜図11に示すように、凹部122のそれぞれは、凹部122の上壁124に向けて開口幅が広くなっている。つまり、凹部122の下端から上端に向けて、開口幅が広くなっている。なお、凹部122の形状は特に限定されず、開口幅は一定であってもよく、狭くなっていてもよい。また、複数の凹部122のそれぞれの形状は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
凹部122の下端は同一平面上にあり、凹部122の上壁124は同一平面上にある。また、デッキプレート120の厚みは略一定である。
梁110とデッキコンクリート床(デッキプレート120)との間には、弾性防振材140が設けられている。弾性防振材140は、防振効果と遮音効果とを有している。弾性防振材140は、ゴム、樹脂などの弾性体であれば特に限定されず、ゴムであることが好ましい。
図3〜図11に示すように、防振材140の上端は、デッキコンクリート床の凹部122内に位置し、防振材140の下端は、梁110に接するように設けられている。具体的には、弾性防振材140は、凹部122内に位置する第1の部分141と、凹部122から梁110側に突出して梁110に接する第2の部分142とを有している。第1の部分141と第2の部分142とは、一体であり、連なっている。第1の部分141は、凹部122内の側壁123及び上壁124のいずれかと接していてもよく、接していなくてもよいが、凹部122内に嵌合する形状であることが好ましい。
図3〜図9に示す弾性防振材140においては、第1の部分141は、凹部122の側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する側壁123と連なる凹部122外の底面121と接している。つまり、第1の部分141は、デッキプレート120の立上り部の側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する側壁123と連続する平板部と接している。
さらに図3及び図6に示す弾性防振材140においては、第1の部分141は、凹部122の両側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する両側壁123のそれぞれと連なる凹部122外の底面121のそれぞれと接している。つまり、第1の部分141は、デッキプレート120の立上り部の両側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する両側壁123のそれぞれと連続する平板部と接している。
また、図6〜図8に示す弾性防振材140においては、第1の部分141の上端と凹部122の上壁124との間には隙間が設けられている。つまり、弾性防振材140の上端は、デッキプレート120と接していない。
本実施の形態では、凹部122は、デッキコンクリート床の端縁120b(図1参照)に形成されているので、この端縁から弾性防振材140が挿入されることにより、取り付けが可能である。凹部122に挿入しやすい観点から、凹部122に弾性防振材140が挿入された状態における弾性防振材140の幅は、凹部122の端縁から奥に向けて(図6〜図8において紙面手前から奥に向けて)徐々に狭くなることが好ましい。なお、弾性防振材140の幅とは、少なくとも第1の部分141の幅であり、第1及び第2の部分141、142の幅であってもよい。凹部122に挿入するときに最後に通過する弾性防振材140の平坦面を一端面とし、凹部122に挿入するときに最初に通過する弾性防振材140の平坦面を他端面とすると、弾性防振材140が一端面から他端面に向けて先細りの形状を有している場合、弾性防振材140における幅の狭い側である他端面から凹部122に挿入することで、弾性防振材140における幅の広い側である一端面が端縁に位置するので、弾性防振材の位置ずれ及び脱落を防止できる。
また、弾性防振材140が凹部122に保持される形状である場合には、両面テープ、接着剤等の接着部材は省略されることが好ましい。つまり、接着部材を省略して弾性防振材140のみを梁110とデッキプレート120との間に設けることが好ましい。
また、1つのデッキコンクリート床が梁110上に配置されていてもよく、複数のデッキコンクリート床が配置されていてもよい。後者の場合には、複数のデッキコンクリート床全体としたときの端縁において両端部に位置する凹部に弾性防振材140が設けられている。
ここで、図3〜図11を参照して、弾性防振材140の例示的な構造について説明する。上述したように、弾性防振材140の第1の部分141と第2の部分142とは、別部材ではなく、一体の部材である。
図3に示す弾性防振材140は、1つの凹部122と略同じ形状である第1の部分141と、第1の部分141の下端幅よりも大きな幅を有する第2の部分142とを有している。断面視において、第1の部分141は台形で、第2の部分142は長方形である。
図4に示す弾性防振材140は、隣り合う2つの凹部と略同じ形状である2つの第1の部分141と、2つの第1の部分141における外側の下端縁を結ぶ幅と同じ幅を有する第2の部分142とを有している。図5に示す弾性防振材140は、隣り合う2つの凹部において、対向する側部と略同じ形状である2つの第1の部分141と、2つの第1の部分141における外側の下端縁を結ぶ幅と同じ幅を有する第2の部分142とを有している。図5の第1の部分141は、2つの凹部122において対向する一部分を埋める形状である。図4及び図5に示す第2の部分142は、隣り合う2つの凹部122に挟まれる底面121全体と接している。
図6に示す弾性防振材140は、1つの凹部122の下部(図6では、略下半分)と略同じ形状である第1の部分141と、第1の部分141との下端幅よりも大きな幅を有する第2の部分142とを有している。第1の部分141の上端面は平面であってもよく、曲面であってもよい。
図7に示す弾性防振材140は、隣り合う2つの凹部の下部と略同じ形状である2つの第1の部分141と、2つの第1の部分141における外側の下端縁を結ぶ幅と同じ幅を有する第2の部分142とを有している。図8に示す弾性防振材140は、隣り合う2つの凹部122において、対向する下側部を埋めるような形状である第1の部分141と、2つの第1の部分141における外側の下端縁を結ぶ幅と同じ幅を有する第2の部分142とを有している。なお、図6〜図8に示す第1の部分141のそれぞれは、図3〜図5に示す第1の部分141から上部が省略されている。
図9に示す弾性防振材140は、凹部122の一方の側部と略同じ形状である第1の部分141と、第1の部分141よりも大きな幅を有する第2の部分142とを有している。第2の部分142の一方側面は、第1の部分141において凹部122の側壁123と接していない側から下方に延出し、第2の部分142の他方側面は、凹部122の側壁123と接している側から底面121に沿って延出した位置から下方に延出している。なお、図9に示す弾性防振材は、図3に示す弾性防振材の左半分が省略されている。
図10に示す弾性防振材140は、1つの凹部122と略同じ形状である第1の部分141と、第1の部分141の両側面のそれぞれと同一平面となるように連なる両側面で構成された第2の部分142とを有している。弾性防振材140は、断面視において台形である。
図11に示す弾性防振材140は、1つの凹部122と略同じ形状である第1の部分141と、第1の部分141との境界面に対して略対称の形状である第2の部分142とを有している。第1の部分141は、上端から下端に向けて幅が狭くなり、第2の部分142は、上端から下端に向けて幅が大きくなる。
図9〜図11に示すように、小面積で荷重を受ける場合には、弾性防振材140の遮音性能が高く、図3〜図8に示すように、大面積で荷重を受ける場合には、弾性防振材140の防振性能が高い。
図2に示すように、接合部材150は、梁110とデッキコンクリート床とを接合している。接合部材150は、デッキプレート120の端縁に配置された防振材140の近傍に配置されている。この場合、接合部材150によって梁110とデッキコンクリート床とが近づく方向に力が働くので、弾性防振材140に圧縮力を加えることができるため、弾性防振材140の性能を向上できる。本実施の形態では、梁110上に位置する1つの(同じ)凹部122において、弾性防振材140と接合部材150とが、離隔された状態で取り付けられているとともに、1つの(同じ)梁110に取り付けられている。換言すると、弾性防振材140が接する梁110に接合部材150が取り付けられ、かつその弾性防振材140が位置する凹部122にその弾性防振材140と距離を隔てて接合部材150が設けられている。この場合、弾性防振材140と接合部材150との干渉を回避できる。
接合部材150の一端は、凹部122に取り付けられ、接合部材150の他端は、梁110に取り付けられる。具体的には、図12及び図13に示すように、接合部材150は、凹部122に係合する係合部151と、この係合部151と梁110とを締結する締結部152とを含んでいる。本実施の形態では、図2に示すように、接合部材150は、弾性防振材140が載置されている梁110に取り付けられるとともに、その弾性部防振材140と同じ凹部122に取り付けられている。このため、接合部材150は、弾性防振材140の第1の部分141が位置する凹部122に係合する係合部151と、その弾性防振材140の第2の部分142が接する梁110と係合部151とを締結する締結部152とを含んでいる。
接合部材150は、図12に示すように1つのデッキプレート120(デッキコンクリート床)と梁110とを接合してもよく、図13に示すように、2つのデッキプレート120(デッキコンクリート床)と梁110とを接合してもよい。
ここで、図12及び図13を参照して、接合部材150の具体的な構造について説明する。まず、図12に示す接合部材150について説明する。図12の接合部材150は、係合部151と、締結部152とを含み、締結部152は、ボルト153と、ナット154と、支持部155とを有している。
係合部151は、1つの凹部122内に嵌合可能に形成されている。係合部151は、例えば金属で形成されており、弾性力を有していてもよい。係合部151が弾性力を有する材料で形成されている場合には、係合部151を撓ませた状態で凹部122に挿入し、挿入後に復元させることで、係合部151が凹部122内で保持される。
係合部151には、ボルト153が挿通されている。ボルト153は、係合部151と支持部155との鉛直方向の距離を調整する。このボルト153に螺合するように、係合部151側にナット154が設けられている。なお、ナット154が省略され、ボルト153が係合部151に固定され、係合部151と反対側でボルト153が相対回転するように構成されていてもよい。
ボルト153の梁110側には、梁110に当接する支持部155が設けられている。図2に示すように、本実施の形態では、梁110がH形鋼であるので、H形鋼の上側のフランジを下方から支持部155が支持する。
なお、接合部材150は、係合部151においてデッキコンクリート床(デッキプレート120)と接する部分に弾性材(図示せず)が設けられていてもよい。つまり、係合部151において凹部122と接する外周面に弾性材が設けられていてもよい。
続いて、図12に示す接合部材150を用いて梁110とデッキコンクリート床とを接合する方法について説明する。接合部材150の係合部151を凹部122に挿入し、凹部122に係合させる。梁110の上部フランジの下面に支持部155を配置し、支持部155がフランジに引っ掛かって反力をとるように、ボルト153で鉛直方向に締め付けてナット154で固定する。これにより、接合部材150によって、梁110とデッキコンクリート床とを接合できる。
次に、図13に示す接合部材150について説明する。図13の接合部材150は、係合部151と、締結部152と、弾性材158とを含み、係合部151は、2つの把持部151a、151bと、ボルト156と、ナット157とを有し、締結部152は、ボルト153と、ナット154と、支持部155とを有している。
係合部151は、隣り合う2つの凹部122と係合する。このため、係合部151の把持部151a、151bのそれぞれは、隣り合う凹部122において対向する側壁123と、この側壁123と連なり、隣り合う凹部122間に位置する凹部122外の底面121とを把持する。2つの把持部151a、152は、互いに重なり合う領域を有している。把持部151a、151bには、ボルト156が取り付けられている。ボルト156は、水平方向に延び、隣り合う凹部122の距離に合わせて、把持部151a、151bの互いに重なり合う領域の位置を調整する。つまり、ボルト156は、隣り合う凹部122間の距離に合わせて把持部151a、151bの位置を調整する。このボルト156に螺合するように、ナット157が設けられている。
把持部151a、151bには、鉛直方向に延びるボルト153が挿通されている。このボルト153に螺合するように、係合部151側にナット154が設けられている。ボルト153には、梁110を支持する支持部155が設けられており、ボルト153で支持部155の鉛直方向の位置を調整できる。本実施の形態の支持部155は、H形鋼の上側のフランジを下方から当接する。
係合部151においてデッキコンクリート床(デッキプレート120)と接する部分に弾性材158が設けられている。弾性材158は、ゴム、樹脂などの弾性体であれば特に限定されず、ゴムであることが好ましい。
続いて、図13に示す接合部材150を用いて梁110とデッキコンクリート床とを接合する方法について説明する。接合部材150の係合部151の把持部151a、151bのそれぞれを隣り合う凹部122に挿入し、ボルト156で水平方向に締め付けて、ナット157で固定する。これにより、凹部122に把持部151a、151bを係合できる。
また、梁110の上部フランジの下面に支持部155を配置し、支持部155がフランジに引っ掛かって反力をとるように、ボルト153で鉛直方向に締め付けてナット154で固定する。これにより、接合部材150によって、梁110とデッキコンクリート床とを接合できる。
なお、図13に示す接合部材150は、2つのデッキコンクリート床と、梁110とを接合しているが、1つのデッキコンクリート床における隣り合う凹部122に係合部151を係合させることで、1つのデッキコンクリート床と梁110とを接合することもできる。
また、図12及び図13の接合部材150は、締結部材の支持部155が板状部材であり、この板状部材が梁110に当接して支持する構造を例に挙げて説明したが、この構造に限定されない。例えば、支持部は、係合部151に挿通されたボルト153に取り付けられた支持板と、この支持板に取り付けられたボルトなどの固定具とを有し、固定具が梁110に当接することで梁110を支持する構造であってもよい。
以上説明したように、本実施の形態のコンクリート床構造100は、梁110と、この梁110上に位置するデッキコンクリート床と、梁110とデッキコンクリート床との間に設けられた弾性防振材140とを備え、デッキコンクリート床は、底面121に間隔を隔てて設けられた複数の凹部122を有し、デッキプレート120と、このデッキプレート120上に打設されたコンクリート130とを含み、弾性防振材140は、凹部122内に位置する第1の部分141と、凹部122から梁110側に突出して梁110に接する第2の部分142とを有している。
本実施の形態のコンクリート床構造100によれば、梁110とデッキコンクリート床との間に弾性防振材140が設けられているので、弾性防振材140の弾性力によって、防振効果を有する。また、弾性防振材140の第1の部分141が凹部122内に位置し、弾性防振材140の第2の部分142が凹部122から梁110側に突出して梁110に接している。これにより、弾性防振材140の一部である第1の部分141が凹部122内で保持されるので、弾性防振材140の位置決めができる。したがって、施工時に、防振効果を有する弾性防振材140の位置ずれ及び脱落を防止することができる。
それに加えて、本実施の形態のコンクリート床構造100は、以下の効果も有する。弾性防振材140の第1の部分141がデッキコンクリート床の凹部122で保持されるので、両面テープ、接着剤などの接着部材を用いることなく、弾性防振材140を取り付けることができる。このため、接着部材を用いる場合と異なり、弾性防振材140の取り付け面が濡れていたり、汚れていたりしていても、弾性防振材140を取り付けることができる。また、接着部材を用いる場合と異なり、接着面積の制限を受けにくい。
また、弾性防振材140の第1の部分141がデッキコンクリート床の凹部122で保持されるので、ビスなどの固定部材を用いることなく、弾性防振材140を梁110とデッキコンクリート床との間に取り付けることができる。このため、固定部材を用いる場合と異なり、取り付ける手間を低減して、弾性防振材140を容易に取り付けることができる。
また、弾性防振材140は、凹部122内から梁110まで延びているので、鉛直方向の防振性能を有している。また、凹部122内で第1の部分141が保持されているので、第1の部分141がデッキコンクリート床の動きを規制するため、振動が生じた場合であっても、水平方向の動きが低減される。このように、本実施の形態の弾性防振材140は、鉛直方向及び水平方向の防振性能を有している。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、第1の部分141は、凹部122の側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する側壁123と連なる凹部122外の底面121と接している。
第2の部分142は、側壁123と連なる凹部122外の底面121と梁110とに接しているので、底面121と梁110との間で鉛直方向に保持される。この状態で、第1の部分141が凹部122の側壁123に接しているので、第1の部分141と第2の部分142とが捻じれやすい。このため、弾性防振材140は、水平方向の高い防振性能を有している。また、第2の部分142が側壁123と連なる凹部122外の底面121と接しているので、デッキコンクリート床(コンクリート130及びデッキプレート120)の荷重を受ける面積を増やすことができるため、弾性防振材140の小型化を図れる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、第1の部分141は、凹部122の両側壁123に接し、第2の部分142は、第1の部分141が接する両側壁123のそれぞれと連なる凹部122外の底面121のそれぞれと接している。
これにより、第1の部分141は両側壁123でしっかりと保持されるので、この第1の部分141と連なる第2の部分142は水平方向に変形しやすい。このため、弾性防振材140の水平方向の防振性能をさらに高めることができる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、第1の部分141の上端と凹部122の上壁124との間には隙間が設けられている。
この隙間により、第1の部分141が鉛直方向に変形することができるので、鉛直方向の防振性能をさらに高めることができる。また、凹部122に弾性防振材140を取り付ける際に弾性防振材140の上端と凹部122の上壁124とが擦れることを防止できるので、凹部122に弾性防振材140を取り付ける際の抵抗を低減できる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、凹部122の上壁124に向けて開口幅が広くなる。
これにより、凹部122内に位置する第1の部分141はしっかりと保持されやすくなるので、施工時に、防振効果を有する弾性防振材140の位置ずれ及び脱落をより防止することができる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、凹部122は、デッキコンクリート床の端縁に形成されている。そして、弾性防振材140は、デッキコンクリート床の端縁に設けられている。
デッキコンクリート床の端縁に形成された凹部122には、端縁から弾性防振材140を挿入することで、弾性防振材140を容易に取り付けることができる。このため、弾性防振材140を取り付けやすく、かつ、施工時に、防振効果を有する弾性防振材140の位置ずれ及び脱落を防止することができる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、凹部122のそれぞれは、デッキコンクリート床の一端縁から他端縁に向けて互いに平行に延びている。
これにより、デッキコンクリート床の一端縁及び他端縁の少なくとも一方に梁110を設ける構造などが実現できる。また、凹部122で囲まれた空隙を下方からの湿気を放湿するための通気部として機能させることもできる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、梁110の延びる方向と、凹部122の延びる方向とは、交差している。これにより、デッキコンクリート床と梁110とが交差する構造などが実現できる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、梁110とデッキコンクリート床とを接合する接合部材150をさらに備え、接合部材150は、凹部122に係合する係合部151と、この係合部151と梁110とを締結する締結部152とを含んでいる。
デッキコンクリート床の凹部122に係合部151を係合させることにより、接合部材150とデッキコンクリート床とを接合できる。梁110に締結部152を取り付けることにより、接合部材150と梁110とを接合できる。したがって、接合部材150により、梁110とデッキコンクリート床とを接合することができる。
なお、本発明者は、デッキコンクリート床の凹部122(デッキプレート120の立上り部)の形状を利用することに着目して鋭意研究した結果、上述したように、弾性防振材140を設けることと、接合部材150を用いることとを見出した。このため、弾性防振材140を用いたコンクリート床構造としてもよいが、本実施の形態のように、デッキコンクリート床の凹部122を利用して、梁110とデッキコンクリート床との間に取り付ける弾性防振材140と、梁110とデッキコンクリート床とを接合する接合部材とを組み合わせることが好ましい。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、係合部151は、隣り合う2つの凹部122と係合する。隣り合う2つの凹部122とその間の底面121との形状を利用した接合部材150により、梁110とデッキプレート120とを接合することができる。また、隣り合う2つの凹部122が別のデッキプレート120である場合には、2つのデッキプレートと梁110とを1つの接合部材150で固定することができる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、接合部材150は、係合部151においてデッキコンクリート床と接する部分に設けられた弾性材158をさらに含んでいる。これにより、接合部材150に防振効果を持たせることができる。
本実施の形態のコンクリート床構造100において好ましくは、弾性防振材140が接する梁110に接合部材150が取り付けられ、かつ弾性防振材140が位置する凹部122に弾性防振材140と距離を隔てて接合部材150が設けられている。
接合部材150によって梁110とデッキコンクリート床とが近づく方向に力が働くので、弾性防振材140に圧縮力を加えることができるため、弾性防振材140の性能を向上できる。また、1つの凹部122内に弾性防振材140と接合部材150とが距離を隔てて配置されるので、図2に示すように、弾性防振材140と接合部材150とは、互いに干渉していない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。