JP6124056B2 - 転がり軸受装置 - Google Patents
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Description
特許文献1には、転がり軸受内でゼーベック発電素子による熱発電を行い、発電された電気を用いて、グリースを吐出するための電気モータポンプを駆動するエネルギ源が記載されている。
そこで、本発明の目的は、転がり軸受の回転の当初から、潤滑剤吐出装置を作動させるための電力を良好に発生させることができる転がり軸受装置を提供することである。
この構成によれば、内外輪の回転側の回転に伴って、圧力発電部において動圧発生手段が動圧を発生する。そして、この動圧を受けて圧力発電部が発電する。圧力発電部において発生された電力を用いて潤滑剤吐出装置が作動される。
請求項2に記載の発明は、前記圧力発電部は、動圧を受けて変形するシート状のダイヤフラム(21)と、前記ダイヤフラムに取り付けられた圧電素子(22)とを含む、請求項1に記載の転がり軸受装置である。
請求項3に記載の発明は、前記内外輪の回転側と同伴回転可能な回転部材(14)とを含み、前記回転部材の外周に前記動圧発生手段が形成されており、前記ダイヤフラムは、前記回転部材の外周と対向するように配置されており、前記圧電素子は、前記ダイヤフラムに対し前記回転部材とは反対側に配置されている、請求項2に記載の転がり軸受装置である。
この構成によれば、ダイヤフラムは変形可能に設けられる。そのため、動圧発生手段からの動圧を受けたときに、ダイヤフラムの挙動が阻害されるおそれがない。これにより、ダイヤフラムに与えられる動圧を、圧電素子の変形振動に高効率で変換することができる。ゆえに、圧力発電部による発電効率を高めることができる。
この構成によれば、動圧発生手段が発生する動圧を受けて、シート状の圧電素子が変形して振動する。シート状の圧電素子の振動により、当該圧電素子が電圧を発生する。
図1および図2を参照して、転がり軸受装置1は、転がり軸受3と、転がり軸受3に内蔵された潤滑剤溜り4と、潤滑剤を転がり軸受3内に向けて吐出するための潤滑剤吐出装置5と、潤滑剤溜り4に溜められた潤滑剤を潤滑剤吐出装置5に供給するための供給管9と、潤滑剤吐出装置5を作動するための電力を発生する圧力発電部6と、二次電池(蓄電池)7とを備えている。転がり軸受装置1は、潤滑剤を自動的に転がり軸受3に補給する潤滑剤自動補給型の装置である。
供給管9は、その一端(図1では左端)が潤滑剤溜り4に接続されており、他端がポンプ18に接続されている。供給管9として、熱硬化性樹脂製のチューブや、ナイロンチューブなどを採用することができる。
ポンプ18は、たとえば、ダイヤフラム(振動膜。図示しない)に圧電素子(図示しない)が取り付けられたダイヤフラム弁をポンプ室内に有するダイヤフラム式のマイクロポンプを採用している。ポンプ18の材質として、熱硬化性樹脂、ケイ素、ステンレス、セラミックスなどを採用することができる。また、前記のダイヤフラムの材質として、熱硬化性樹脂、ケイ素、高分子膜、セラミックスなどを採用することができる。さらに、前記の圧電素子の材質として、積層型のピエゾ素子や、積層型の熱硬化性樹脂を採用することができる。なお、潤滑剤吐出装置5を作動させるための電力は小電力で足りる。
二次電池7は、外輪間座17内の潤滑剤溜り4が形成されていない領域に配設されている。すなわち、二次電池7は、潤滑剤溜り4と周方向に並んでいる。二次電池7は圧力発電部6において発生した電力を蓄える。そして、二次電池7に蓄えられた電力は、潤滑剤吐出装置5の作動のための電力として用いられるようになっている。
図3は、圧力発電部6の構成を示す拡大断面図である。
図2および図3を参照して、圧力発電部6は、外輪間座17の内周に取り付けられたダイヤフラム21と、ダイヤフラム21の外表面21aに固定的に取り付けられた圧電素子22とを含む。
外輪間座17の内周面17aには、ダイヤフラム21および圧電素子22を収容するための収容溝24が形成されている。この収容溝24がダイヤフラム21によって全て覆われ、かつダイヤフラム21の周縁部各所が外輪間座17の内周面17aに固定されている。収容溝24の深さはダイヤフラム21の厚みよりも大きく設定されている。取付け後のダイヤフラム21の内表面21bは、外輪間座17の内周面17aと面一である。換言すると、ダイヤフラム21は、内輪間座14の外周面14bに対向している。
圧電素子22の材質として、積層型のピエゾ素子や、積層型の熱硬化性樹脂を採用することができる。ダイヤフラム21の取付け状態において、圧電素子22は収容空間23内に収容されている。圧電素子22は、変形により電圧(電力)を発生する(圧電効果)。
ところで、ダイヤフラム21の外表面21aに圧電素子22を配置したのは、以下の理由による。すなわち、ダイヤフラム21の外表面21aに圧電素子22を配置することにより、内輪間座14からの動圧をダイヤフラム21の内表面21bの全域で受けることができ、これにより、ダイヤフラム21が受けることができる動圧の大きさを増大させたものである。
図3および図4を参照して、動圧発生部31は、内輪間座14の外周面14bと、外周面14bに形成された複数の圧力溝32とを含む。
内輪間座14の外周面14bには、軸方向に延びる複数(図4では8つ)の圧力溝32が、周方向に等間隔に形成されている。各圧力溝32はV溝であり、内輪間座14の軸方向の全域にわたって延びている。各圧力溝32の諸元は共通している。各圧力溝32の底面33の底頂部34は各圧力溝32の周方向の中間位置よりも回転方向側に位置している。
内輪間座14が図4に示す回転方向に向けて回転すると、各圧力溝32に溜められた空気が、圧力溝32の底面33を伝って移動し、当該圧力溝32に隣接する外周面14bと内周面17aとの間の狭空間に流入する。その結果、当該狭空間で動圧が発生する。このとき、各圧力溝32の底面33の底頂部34が各圧力溝32の周方向の中間位置よりも回転方向側に位置しているので、前記の狭空間に流入する空気の量が大きくなり、その結果、発生する動圧が増大する。
図1〜図4を参照して、主軸2の回転に伴って、内輪間座14が外輪間座17に対して相対回転する。内輪間座14および外輪間座17の相対回転に伴って、ダイヤフラム21に動圧が繰り返し間欠的に与えられる。
そして、圧力発電部6において発電された電力は二次電池7に蓄えられ、二次電池7に蓄えられた電力により導電機構(図示しない)を介して潤滑剤吐出装置5に供給され、潤滑剤吐出装置5の作動が行われる。制御装置25は、ポンプ18を作動して、潤滑剤溜り4から潤滑剤を汲み出させる。そして、制御装置25は、汲み出された潤滑剤をノズル19の吐出口20から吐出する。このとき、ノズル19の吐出口20から吐出される潤滑剤の量は、転がり軸受3の回転速度や転がり軸受3周辺の雰囲気温度に基づいて、制御装置25により調節される。
圧力発電部6で発生される電力の大きさは、圧力発電部6に与えられる動圧の大きさ、すなわち内輪10の回転速度に依存している。そのため、内輪10の回転の当初から、所期の大きさの電力を発電することができる。これにより、主軸2の回転の当初から、潤滑剤吐出装置5を作動させるための電力を良好に発生させることができる。
第2実施形態に係る転がり軸受装置101が、図1〜図4に示す転がり軸受装置1と共通する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
相違する第2実施形態に係る転がり軸受装置101が第1実施形態に係る転がり軸受装置1と相違する点は、圧力発電部6(図1等参照)に代えて圧力発電部106を設けた点にある。
主軸2の回転に伴って、内輪間座14が外輪間座17に対して相対回転する。内輪間座14および外輪間座17の相対回転に伴って、圧電素子フィルム121に動圧が繰り返し間欠的に与えられる。
そして、圧力発電部106において発電された電力は、導電機構(図示しない)を介して潤滑剤吐出装置5に供給され、この電力を用いて潤滑剤吐出装置5の作動が行われる。
たとえば、前述した動圧発生部31に限られず、他の態様の動圧発生部を採用することもできる。
図6に示す動圧発生部41(動圧発生手段)では、内輪間座14の外周面14bに形成される各圧力溝42は、平坦面からなる底面43を有している。底面43は、周方向の双方で外周面14bに連続している。圧力溝42が複数(図6では8つ)設けられている点や、圧力溝42が周方向に等間隔に形成されている点、および圧力溝42が内輪間座14の軸方向の全域にわたって形成されている点は、動圧発生部31(図3参照)の場合と同様である。なお、底面43を、軸方向に直角な方向から見た断面形状が径方向内方に凸となる円弧状面とすることもできる。
また、図7に示す動圧発生部(動圧発生手段)31Aの各圧力溝32Aは、内輪間座14の軸方向の途中部にのみ形成されている点で、動圧発生部31の圧力溝32(図4参照)と相違する。すなわち、各圧力溝32Aは、内輪間座14の軸方向の両端部に形成されていない。
また、図8に示すように、ノズル19の吐出口20が径方向に関して内輪10寄りの位置に配置されており、かつ吐出口20を含むノズル19の先端部が(軸方向に関して)転がり軸受3の内部にまで入り込んでいてもよい。この場合、軌道面10a,11aに潤滑剤を良好に供給することができる。
なお、圧力溝32,32A,42の数や形状や圧力発電部6,106の個数は、潤滑剤吐出装置5の作動のために必要な電力量に応じて適宜設定することができる。
また、前述の各実施形態では、発電発生部6,106を外輪間座17に配置したが、発電発生部6,106を外輪11に配置することもできる。この場合、動圧発生部31,31A,41を内輪10の外周に設ける必要がある。
また、二次電池7として全固体リチウムイオン電池、または全固体ナトリウム二次電池を利用する場合には、潤滑剤吐出装置および二次電池を、MEMS技術を用いて一体化させることもできる。
Claims (5)
- 内輪、外輪、およびこれら内外輪間に配置された複数の転動体を有する転がり軸受と、
前記内外輪の固定側または当該固定側に隣接する部材に形成されて、潤滑剤を溜めておくための潤滑剤溜りと、
前記潤滑剤溜りに溜められている潤滑剤を、前記内外輪間に向けて吐出するための潤滑剤吐出装置と、
前記潤滑剤吐出装置の作動に用いられる電力を発生するための電力発生部とを含み、
前記電力発生部は、
前記内外輪の固定側または当該固定側に隣接する部材に配置され、動圧を受けることにより発電する圧力発電部と、
前記内外輪の回転側の回転に伴って前記圧力発電部に動圧を生じさせる動圧発生手段とを有する、転がり軸受装置。 - 前記圧力発電部は、動圧を受けて変形するシート状のダイヤフラムと、前記ダイヤフラムに取り付けられた圧電素子とを含む、請求項1に記載の転がり軸受装置。
- 前記内外輪の回転側と同伴回転可能な回転部材とを含み、
前記回転部材の外周に前記動圧発生手段が形成されており、
前記ダイヤフラムは、前記回転部材の外周と対向するように配置されており、
前記圧電素子は、前記ダイヤフラムに対し前記回転部材とは反対側に配置されている、請求項2に記載の転がり軸受装置。 - 前記内外輪の固定側または当該固定側に隣接する部材には、前記ダイヤフラムを変形可能に収容する空間が形成されている、請求項2または3に記載の転がり軸受装置。
- 前記圧力発電部は、動圧を受けて変形するシート状の圧電素子を含む、請求項1に記載の転がり軸受装置。
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