JP6124052B2 - オイルシールとその製造方法 - Google Patents

オイルシールとその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6124052B2
JP6124052B2 JP2013018410A JP2013018410A JP6124052B2 JP 6124052 B2 JP6124052 B2 JP 6124052B2 JP 2013018410 A JP2013018410 A JP 2013018410A JP 2013018410 A JP2013018410 A JP 2013018410A JP 6124052 B2 JP6124052 B2 JP 6124052B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mold
seal
rubber
lip
shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013018410A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014149039A (ja
Inventor
毅 河林
毅 河林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JTEKT Corp
Original Assignee
JTEKT Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JTEKT Corp filed Critical JTEKT Corp
Priority to JP2013018410A priority Critical patent/JP6124052B2/ja
Publication of JP2014149039A publication Critical patent/JP2014149039A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6124052B2 publication Critical patent/JP6124052B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sealing With Elastic Sealing Lips (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)

Description

本発明は、例えば回転軸等の軸と、前記軸を取り囲む環状の周囲部材との間を封止するためのオイルシール、およびその製造方法に関するものである。
前記オイルシールとしては、環状の芯金を内包し、前記周囲部材に嵌合される環状のシール本体と、前記シール本体の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸の外周面に接触する環状のシールリップとを、NBR等の加硫ゴムによって一体に形成したものが広く用いられている。
かかるオイルシールは、軸との摺動によって、前記シールリップの、前記軸の外周面への接触面が摩耗して締め代が徐々に低下して最終的にオイル漏れに到る。
シールリップの耐摩耗性を向上させて、より長期に亘ってオイル漏れを防止するために、例えばカーボンブラックに代表される補強剤の充填量を増やすことが考えられる。
ところがその場合には、オイルシールの全体で硬度が上昇し、ゴム特有の弾性が低下して、例えば軸の外周面の凹凸や軸のフレ等による、前記軸の外周面の位置ずれに対するシールリップの追随性が低下してしまい、早期にオイル漏れに到る場合がある。
そのためオイルシールのシールリップには、良好な追随性を維持しながら、高い耐摩耗性を有することが求められる。
そこで、例えば特許文献1においては、シールリップの、軸の外周面への接触面を、パーハイドロポリシラザンとポリオルガノシラザンとを含む溶液を塗布したのち熱処理して得られる低摩擦性のコーティング層で被覆することが提案されている。
かかる構成によれば、シールリップそれ自体は柔軟で弾性に優れた状態を維持しながら、前記シールリップの接触面を前記コーティング層によって被覆して低摩擦化して、耐摩耗性を向上することができる。
ところが前記コーティング層は薄い上、シールリップを形成する加硫ゴムとは異質の前記化合物によって、シールリップとは界面を介して不連続に形成されているため、軸の外周面との摩擦によって短期間で剥離したり摩滅したりしやすい。そのため、耐摩耗性を向上する効果を長期間に亘って持続することはできず、前記コーティング層による耐摩耗性の向上効果には限界がある。
特許文献2には、プレス加硫によるゴムの成形加工において、金型に離型剤を塗布し、次いで未加硫ゴムを溶解させたゴム溶液と、加硫剤と、固体潤滑剤からなる混合組成物を塗布し、さらに未加硫ゴムシートを充填したのち、通常通りプレス加硫することで、加硫ゴムの表面に潤滑性を付与することが記載されている。
前記構成をシールリップに適用すれば、当該シールリップそれ自体は柔軟で弾性に優れた状態を維持しながら、前記シールリップの接触面を被覆した、前記混合組成物からなる層によって前記接触面を低摩擦化して、耐摩耗性を向上することができる。
しかし前記層は薄く、かつ柔らかい上、ゴムとは異質の固体潤滑剤の粒子が分散された不連続の構造を有し、しかもシールリップとは界面を介して不連続に形成されているため、たとえ当該層を形成するゴムとして、シールリップを形成するゴムと同系のものを用いて前記界面での密着性を向上したとしても、前記層は、やはり軸の外周面との摩擦によって短期間で摩滅しやすく、依然として耐摩耗性の向上効果には限界がある。
特開2010−169261号公報 特開平6−47760号公報
本発明の目的は、現状よりも長期間に亘ってリップシールの良好な耐摩耗性を維持できる新規なオイルシールと、その製造方法とを提供することにある。
請求項1記載の発明は、軸(2)と、前記軸(2)を取り囲む環状の周囲部材(3)との間を封止するために、全体が加硫ゴムによって一体に形成された、
環状の芯金を(4)内包し、前記周囲部材(3)に嵌合される環状のシール本体(5)、および
前記シール本体(5)の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸(2)の外周面(6)に接触する環状のシールリップ(7)を備えたオイルシール(1)であって
前記オイルシール(1)の立体形状に対応する金型(22)の型面(23)(25)に離型剤を塗布した状態で、前記金型(22)内に前記芯金(4)をセットするとともに未加硫のゴムを充填したのち、前記ゴムをプレス加硫して形成されているとともに、
前記金型(22)の型面(23)(25)のうち、少なくとも前記シールリップ(7)の接触面に対応する領域(23a)(25a)に塗布する離型剤に、選択的に、前記ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させることにより、前記シールリップ(7)は、全体が前記加硫ゴムによる単一相を呈しながら、なおかつ少なくとも前記軸(2)の外周面(6)への接触面を構成する表層部が、前記シールリップ(7)のその他の部分より高硬度とされていることを特徴とするものである。
なお前記カッコ内の英数字は、後述の実施の形態における対応構成要素等を示す。以下この項において同じ。
前記請求項1の構成によれば、シールリップの、少なくとも軸の外周面への接触面を構成する表層部を、当該シールリップのその他の部分より選択的に高硬度とすることにより、前記シールリップの耐摩耗性を向上することができる。また前記のように表層部を、シールリップのその他の部分と、界面を介さず単一相を呈するように、加硫ゴムによって一体に形成するとともに、前記のように選択的に高硬度化することで、前記表層部が短期間で剥離したり摩滅したりするのを防止して、前記表層部による高い耐摩耗性を、従来に比べて長期間に亘って維持することができる。しかもシールリップのその他の部分は、前記表層部より低硬度で柔軟性に優れるため、当該その他の部分により、シールリップの、軸の外周面の位置ずれに対する良好な追随性を維持することもできる。
また請求項記載の発明は、軸(2)と、前記軸(2)を取り囲む環状の周囲部材(3)との間を封止するために、全体が加硫ゴムによって一体に形成された、
環状の芯金を(4)内包し、前記周囲部材(3)に嵌合される環状のシール本体(5)、および
前記シール本体(5)の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸(2)の外周面(6)に接触する環状のシールリップ(7)を備えたオイルシール(1)の製造方法であって、前記オイルシール(1)の立体形状に対応する金型(22)の型面(23)(25)に離型剤を塗布する工程、前記金型(22)内に前記芯金(4)をセットするとともに未加硫のゴムを充填する工程、および前記ゴムをプレス加硫する工程を備え、前記離型剤の塗布工程において、前記金型(22)の型面(23)(25)のうち、少なくとも前記シールリップ(7)の接触面に対応する領域(23a)(25a)に、選択的に、前記ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させた離型剤を塗布することにより、前記シールリップ(7)の全体での、前記加硫ゴムによる単一相を維持しながら、なおかつ少なくとも前記接触面を構成する表層部を、前記シールリップ(7)のその他の部分より高硬度とすることを特徴とするオイルシール(1)の製造方法である。
前記請求項の構成によれば、前記オイルシールの立体形状に対応する金型の型面のうち、少なくともシールリップの接触面に対応する領域に塗布する離型剤に、選択的に、ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させるだけで、他は従来のプレス加硫法と同じ工程によって、前記請求項1記載の発明のオイルシールを、より効率的に生産性良く製造することが可能となる。
本発明によれば、現状よりも長期間に亘ってリップシールの良好な耐摩耗性を維持できる新規なオイルシールと、その製造方法とを提供することができる。
本発明のオイルシールの、実施の形態の一例を示す断面図である。 図1の例のオイルシールを、本発明の製造方法によって製造する際に用いる金型の一例を示す断面図である。 本発明の実施例において作製した、シールリップのモデルとしての試験片の、一方の表面からの深さ方向の、加硫ゴムの硬度の分布を示すグラフである。 前記試験片の、前記一方の表面近傍の断面を拡大して示す実体顕微鏡写真である。
図1は、本発明のオイルシールの、実施の形態の一例を示す断面図である。
図1を参照して、この例のオイルシール1は、軸2と、前記軸2を取り囲む環状の周囲部材3との間を封止するためのものであって、全体が加硫ゴムによって一体に形成された、環状の芯金4を内包し、前記周囲部材3に嵌合される環状のシール本体5、および前記シール本体5の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸2の外周面6に接触する環状のシールリップ7を備えている。
前記のうち芯金4は、全体が金属によって一体に形成された、図の嵌合状態において前記周囲部材3と同心状に配設される筒状部8と、前記筒状部8の、図において左側の端部から径方向内方に延設された有孔円板状の内フランジ部9とを備えている。
またシール本体5は、芯金4の筒状部8の外周面を被覆する外筒部10、前記筒状部8の内周面、および内フランジ部9の、図において右側の側面を被覆する内筒部11、ならびに前記外筒部10の、図において左側の端部から径方向内方に延設されて、前記内フランジ部9の、図において左側の側面を被覆することで、オイルシール1の、前記左側(軸2の軸方向の一方側)の端面を構成する外板部12を備えている。
前記のうち、シール本体5の外径を規定する外筒部10の外径は、周囲部材3の内径と略一致するか、わずかに大きく設定されており、それによってシール本体5は、周囲部材3に嵌合可能とされている。また外筒部10は、全周に亘って厚みが一定に形成されており、それによって芯金4の筒状部8は、シール本体5を周囲部材3に嵌合した際に、周囲部材3と同心状に配設される。
外筒部10と内筒部11は、芯金4の筒状部8の、図において右側の端部を覆うように一体に連成されて、シール本体5の、図において右側(軸2の軸方向の他方側)の端面を構成している。また外板部12と内筒部11は、芯金4の内フランジ部9の径方向内側の端部を覆うように一体に連成されて、シール本体5の内周を構成しており、前記内周から径方向内方へ向けて、軸2の外周面6に接触する環状のシールリップ7が一体に連成されている。
シールリップ7は、前記シール本体5の内周から径方向内方で、かつ図において右方向へ延設された主リップ部13と、前記主リップ部13の、シール本体5側の基部の内周面から径方向内方で、かつ図において左方向へ延設された、略板状の断面形状を有する副リップ部14とを備えている。
このうち主リップ部13の、先端側の内周には、前記主リップ部13の基部側から先端部へ向けて内径が徐々に小さくなるテーパー面15と、逆に前記主リップ部13の先端部から基端側へ向けて内径が徐々に小さくなるテーパー面16とが設けられて、前記両テーパー面15、16の稜線部により、前記軸2の外周面6に接触するリップ17が構成されている。
また主リップ部13の、前記リップ17の背面(径方向の外面)側には、その全周に亘って環状の凹溝18が設けられているとともに、前記凹溝18に、前記主リップ部13の径方向外方への変形を規制するバックアップリング19が嵌め合わされている。
前記シールリップ7は、その全体が界面を介さず、前記加硫ゴムによる単一相を呈しながら、なおかつその内周のうち、図において太線の破線で示した領域、すなわち主リップ部13の、図において右側の先端面20から、前記両テーパー面15、16、およびリップ17を含む主リップ部13の内周面、ならびに副リップ部14の、図において右側の側面を経て、前記副リップ部14の、図において左側の側面21までの領域の各表面を構成する表層部が、前記シールリップ7のその他の部分よりも高硬度とされている。
これにより、前記シールリップ7を構成する主リップ部13のうち特にリップ17や、あるいは副リップ部14の耐摩耗性を向上することができる。また前記のように表層部を、シールリップ7のその他の部分と、界面を介さず単一相を呈するように、加硫ゴムによって一体に形成するとともに、前記のように選択的に高硬度化することで、前記表層部が短期間で剥離したり摩滅したりするのを防止して、前記表層部による高い耐摩耗性を、従来に比べて長期間に亘って維持することができる。しかもシールリップ7のその他の部分は、前記表層部より低硬度で柔軟性に優れるため、当該その他の部分の柔軟性により、シールリップ7を構成する主リップ部13、および副リップ部14の、軸2の外周面6の位置ずれに対する良好な追随性を維持することもできる。
前記表層部、およびその他の部分の硬度は任意に設定できるものの、例えば表層部の硬度は、日本工業規格JIS K6253-3:2006「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方−第3部:デュロメータ硬さ」所載の測定方法によって求められるタイプAデュロメータ硬さ(ショアA硬さ)で表して75を超える範囲、特に80以上であるのが好ましく、また95以下であるのが好ましい。
表層部の硬度が前記範囲未満では、その他の部分に対して表層部を選択的に高硬度として、シールリップ7の耐摩耗性を向上する効果が十分に得られないおそれがある。一方、加硫ゴムによって、前記範囲を超える高硬度の表層部を形成するのは実質的に困難である。
またシールリップ7のその他の部分の硬度は、前記ショアA硬さで表して60以上であるのが好ましく、75以下、特に70以下であるのが好ましい。
前記その他の部分の硬度が前記範囲未満、または前記範囲を超える場合には、このいずれにおいても、シールリップ7を構成する主リップ部13、および副リップ部14の、軸2の外周面6の位置ずれに対する追随性が低下して早期にオイル漏れを生じるおそれがある。
表層部、すなわち他の部分より選択的に高硬度化する領域の、シールリップ7の表面からの厚みは、0.1mm以上であるのが好ましく、1mm以内であるのが好ましい。
厚みが前記範囲未満では表層部が早期に磨滅しやすく、当該表層部による、耐摩耗性の向上効果をできるだけ長期間に亘って維持する効果が十分に得られないおそれがある。また前記範囲を超える場合には、シールリップ7を構成する他の部分による良好な追従性が得られないおそれがある。
表層部の厚みを調整するには、離型剤に分散させる加硫剤、加硫促進剤の量や種類を変更すればよい。
前記オイルシール1の全体を形成するゴムとしては、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やその水素化物等のニトリルゴム、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等のエチレンプロピレンゴム、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、フッ素ゴム(FKM)等の1種または2種以上が挙げられる。
前記ゴムの加硫物(加硫ゴム)によって一体に形成したシールリップ7の、軸2の外周面6への接触面を構成する表層部を、前記シールリップ7のその他の部分と界面を介さず単一相を呈しながら、選択的に高硬度の状態とするために、本発明では、当該表層部の架橋密度を、その他の部分より高くする必要があり、そのため、以下に説明する本発明の製造方法によってオイルシール製造される
図2は、図1の例のオイルシール1を、本発明の製造方法によって製造する際に用いる金型の一例を示す断面図である。
図1、図2を参照して、この例の金型22は、前記オイルシール1の、シール本体5の外筒部10の外周面から外板部12の一方側の側面、およびシールリップ7の内周面を経て、前記内周面のうちテーパー面16までの領域の立体形状(外面形状)に対応する凹入形状の型面23を備えた下型24と、前記オイルシール1の、シール本体5の内筒部11から、シールリップ7の外周面を経て、当該シールリップ7の先端面20までの立体形状(内面形状)に対応する凸出形状の型面25を備えた上型26とで構成されている。
図中に白抜きの矢印で示すように、前記上型26の、凸出形状の型面25を、下型24の凹入形状の型面23内に挿入して、前記下型24と上型26とを合わせると、当該両型24、26間に、図2中に細い破線で示すように、前記図1のオイルシール1の立体形状に対応した型窩27が形成される。
前記下型24は、前記型面23のうち、前記外筒部10の外周面に対応する領域を有する第一下型28、外板部12の一方側の側面に対応する領域を有する第二下型29、およびシールリップ7の内周面に対応する領域を有する第三下型30の3つのパーツによって構成されている。
前記金型22を用いて図1の例のオイルシール1を製造するには、まず前記3つの下型28〜30を組み合わせて下型24を構成し、当該下型24の型面23、および上型26の型面25に、それぞれ離型剤を塗布する。
この際、前記型面23、25のうち、図中に太線の破線で示した、シールリップ7のその他の部分よりも選択的に表層部を高硬度化する領域23a、25aには、通常の離型剤ではなく、当該離型剤に、さらにゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させた離型剤を、選択的に塗布する。
次いで下型24の型面23内の所定の位置に図示しない芯金をセットするとともに、これも図示しない未加硫のゴムを充填する。
前記ゴムは、基材としてのゴムに、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進剤等の加硫系の添加剤や、老化防止剤その他の添加剤等を所定の割合で配合したゴムコンパウンドとして使用する。
そして前記両型24、26を所定の温度に加熱した状態で、図中に白抜きの矢印で示すように上型26の、凸出形状の型面25を、下型24の凹入形状の型面23内に挿入しながら充填したゴムをプレスする。
そうするとゴムは、前記両型24、26の型面23、25に沿うように隙間なく型窩27内に満たされる、すなわちオイルシール1の立体形状に成形されるとともに加硫されて、前記図1に示す断面形状を有し、かつシールリップ7の内周面の、図中に太字の破線で示した領域を構成する表層部が、その他の部分よりも高密度に架橋されて高硬度化されたオイルシール1が製造される。
上記本発明の製造方法によれば、金型22の型面23、25のうち、高硬度化された表層部を形成する領域に塗布する離型剤に、選択的に、ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させるだけで、他は従来のプレス加硫法と同じ工程により、同じ金型22を使用して、図1の例のオイルシール1を、より効率的に生産性良く製造することが可能となる。
離型剤に分散させる加硫剤、および加硫促進剤の種類は、使用するゴムの種類に応じて適宜選択すればよい。ゴムコンパウンドに配合する加硫剤、加硫促進剤も同様である。離型剤とゴムコンパウンドで、同じ加硫剤、加硫促進剤を配合してもよいし、互いに異なる加硫剤、加硫促進剤を配合してもよい。ただし使用材料数の削減による工程の簡略化等を考慮すると、前記離型剤とゴムコンパウンドで同じ加硫剤、加硫促進剤を使用するのが好ましい。
また離型剤としては、ゴムのプレス加硫に使用する種々の離型剤がいずれも使用可能である。特に離型性の点でシリコーン系離型剤、フッ素系離型剤が好ましい。また離型剤は、その性状によってコンパウンド型、オイル型、溶剤型、エマルション型等に分類されるが、塗布した際に液体(溶剤等)が揮発して加硫剤や加硫促進剤が析出するのを防止するために、グリース系のコンパウンド型離型剤が好適に使用される。
離型剤に分散させる加硫剤、加硫促進剤の量は、表層部の硬度、およびゴムコンパウンドに配合する加硫剤、加硫促進剤の量等に応じて適宜設定すればよい。
離型剤の代表的組成の一例を下記表1に示すが、離型剤の組成は、この例には限定されない。
加硫剤、および加硫促進剤としては微粉末状のものを用い、それを離型剤中に均一分散させるのが好ましい。また、表1のように加硫剤、加硫促進剤を併用する場合は、過剰添加を抑えるため、その総量を10質量%以下に設定するのが好ましい。なお表中の加硫促進剤は下記のとおり。
加硫促進剤TT:チウラム系加硫促進剤
加硫促進剤CZ:スルフェンアミド系加硫促進剤
なお本発明の構成は、以上で説明した図1、図2の例に限定されるものではない。
例えば高硬度化する領域は、シールリップ7のうち、実際に軸2の外周面6に接触する主リップ部13のリップ17とその近傍、および略板状の副リップ部14の先端部とその近傍のみでもよい。
この際、前述した離型剤に加硫剤、加硫促進剤を分散させて特定の領域を高硬度化する方法によれば、前記離型剤を塗布する領域を変更するだけで、高硬度化する領域の変更に柔軟に対応できるという利点がある。
またオイルシールの、特にシールリップの形状が異なれば、それに応じて高硬度化する領域が変更されることは言うまでもない。本発明の構成は、図1のもの以外の、種々の形状のオイルシールに適用することが可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を施すことができる。
〈試験片の作製〉
シールリップのモデルとして、圧縮永久ひずみ試験用の円板状の試験片(直径φ29.0mm、)厚み12.5mm)をプレス加硫によって作製することとし、前記円板の、一方の表面と側面に対応する型面を有する下型と、他方の表面に対応する型面を有する上型とを用意した。
次に前記下型の、円板の側面に対応する型面と、上型の、円板の他方の表面に対応する型面には、シリコーン系コンパウンド型離型剤〔東レダウコーニング(株)製のSH−7071〕を塗布した。また円板の一方の表面を高硬度化することとして、前記下型の、前記一方の表面に対応する型面には、前記シリコーン系コンパウンド型離型剤に、加硫剤としての硫黄、チウラム系加硫促進剤〔大内新興化学工業(株)製のノクセラー(登録商標)TT〕、およびスルフェンアミド系加硫促進剤〔大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ〕を分散させたものを塗布した。
次に基材ゴムとしてのNBRに、前記と同じ加硫剤、および加硫促進剤を配合したゴムコンパウンドを用意し、前記ゴムコンパウンドを下型内に充填したのち、所定の温度に加熱しながら上型を挿入し、プレスして、充填したゴムコンパウンドを前記円板状に成形するとともに加硫させて前記試験片を作製した。
そして前記試験片の、前記一方の表面からの深さ方向の、加硫ゴムの硬度の分布を測定した。結果を図3に示す。
また前記試験片の、前記一方の表面近傍の断面の画像を、実体顕微鏡を用いて撮影した。結果を図4に示す。
図3より、下型の、試験片の一方の表面に対応する型面に、加硫剤、および加硫促進剤を分散させた離型剤を選択的に塗布してプレス加硫することにより、製造された試験片の、前記一方の表面に、その他の部分より高硬度化された表層部を形成できることが判った。
また図4より、前記表層部とその他の部分とは界面を介さず、加硫ゴムによる単一相を呈することが確認された。
1:オイルシール、2:軸、3:周囲部材、4:芯金、5:シール本体、6:外周面、7:シールリップ、8:筒状部、9:内フランジ部、10:外筒部、11:内筒部、12:外板部、13:主リップ部、14:副リップ部、15、16:テーパー面、17:リップ、18:凹溝、19:バックアップリング、20:先端面、21:側面、22:金型、23:型面、23a:領域、24:下型、25:型面、25a:領域、26:上型、27:型窩、28:第一下型、29:第二下型、30:第三下型

Claims (2)

  1. 軸と、前記軸を取り囲む環状の周囲部材との間を封止するために、全体が加硫ゴムによって一体に形成された、
    環状の芯金を内包し、前記周囲部材に嵌合される環状のシール本体、および
    前記シール本体の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸の外周面に接触する環状のシールリップを備えたオイルシールであって
    前記オイルシールの立体形状に対応する金型の型面に離型剤を塗布した状態で、前記金型内に前記芯金をセットするとともに未加硫のゴムを充填したのち、前記ゴムをプレス加硫して形成されているとともに、
    前記金型の型面のうち、少なくとも前記シールリップの接触面に対応する領域に塗布する離型剤に、選択的に、前記ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させることにより、前記シールリップは、全体が前記加硫ゴムによる単一相を呈しながら、なおかつ少なくとも前記軸の外周面への接触面を構成する表層部が、前記シールリップのその他の部分より高硬度とされていることを特徴とするオイルシール。
  2. 軸と、前記軸を取り囲む環状の周囲部材との間を封止するために、全体が加硫ゴムによって一体に形成された、
    環状の芯金を内包し、前記周囲部材に嵌合される環状のシール本体、および
    前記シール本体の内周から径方向内方へ延設されて、前記軸の外周面に接触する環状のシールリップを備えたオイルシールの製造方法であって、前記オイルシールの立体形状に対応する金型の型面に離型剤を塗布する工程、前記金型内に前記芯金をセットするとともに未加硫のゴムを充填する工程、および前記ゴムをプレス加硫する工程を備え、前記離型剤の塗布工程において、前記金型の型面のうち、少なくとも前記シールリップの接触面に対応する領域に、選択的に、前記ゴムの加硫剤、および加硫促進剤を分散させた離型剤を塗布することにより、前記シールリップの全体での、前記加硫ゴムによる単一相を維持しながら、なおかつ少なくとも前記接触面を構成する表層部を、前記シールリップのその他の部分より高硬度とすることを特徴とするオイルシールの製造方法。
JP2013018410A 2013-02-01 2013-02-01 オイルシールとその製造方法 Active JP6124052B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013018410A JP6124052B2 (ja) 2013-02-01 2013-02-01 オイルシールとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013018410A JP6124052B2 (ja) 2013-02-01 2013-02-01 オイルシールとその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014149039A JP2014149039A (ja) 2014-08-21
JP6124052B2 true JP6124052B2 (ja) 2017-05-10

Family

ID=51572174

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013018410A Active JP6124052B2 (ja) 2013-02-01 2013-02-01 オイルシールとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6124052B2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000170923A (ja) * 1998-12-07 2000-06-23 Nok Corp 密封装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014149039A (ja) 2014-08-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6196408B1 (ja) 密封装置
EP2687761B1 (en) Sealing device
JP5475866B2 (ja) 自動車用エンジンオイルシール
JP2006292160A (ja) オイルシールおよびその製造方法
JP2008185080A (ja) 密封装置
JP6677967B2 (ja) 水素化ニトリルゴム組成物及びドライブトレイン用オイルシール
JP2013145023A (ja) 転がり軸受
JP2006200616A (ja) 軸受用密封装置および耐寒性密封装置付き転がり軸受
EP3633245A1 (en) Sealing device
JP5475867B2 (ja) 自動車用トランスミッションオイルシール
JP6836152B2 (ja) 転がり軸受用シールの圧縮加硫成形用金型、及び転がり軸受用シールの製造方法
JP6124052B2 (ja) オイルシールとその製造方法
US10377932B2 (en) Sealing rubber composition and seal member
JP2005220931A (ja) オイルシール
JP2012255495A (ja) シールリング
JP2878628B2 (ja) バルブステムシール
JP2016156404A (ja) ゴム組成物、及びオイルシール
JP2004301254A (ja) 転がり軸受の密封装置
JP2018150954A (ja) 回転用シール
JP2011196461A (ja) 転がり軸受用密封装置
JP6519789B2 (ja) シール部材
JP2016044732A (ja) シール部材とその製造方法
JPH0942461A (ja) オイルシールおよびその製造方法
JP2016205564A (ja) 密封形転がり軸受
JP3902084B2 (ja) バルブステムシール

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160915

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161006

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161110

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170309

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6124052

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150