JP6122949B2 - 新規グラフェンナノ分散液及びその調製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、グラフェンを高濃度で分散させることができる新規イオン液体、当該イオン液体を用いたグラフェンナノ分散液及びその分散液の調製方法に関る。
炭素材料であるグラファイトは層状構造を取っており、そのうちの1枚の層がグラフェンと呼ばれる。グラフェンは、六角形の網目状に結合した炭素原子のみからなり、その厚みは炭素原子1個分しかなく、熱伝導度が非常に高く、電気伝導度などの電気特性が際だって優れた二次元ナノシートとして期待されている。
ノーベル賞を受賞したGeim氏らはセロハンテープにグラファイトの薄片を貼り付け、テープの粘着面で薄片を挟むように折り、再びテープを引き剥がすことを繰り返すことにより薄片を剥がしていくことでグラフェンを得た(非特許文献1)。
一方、近年、グラファイトからグラフェンを製造する方法として、次の2つの手法が主に用いられている。一つは、グラファイトを酸化した後、水中で剥離してグラフェンオキサイドを得る方法である(非特許文献2)。もう一つの手法は、溶媒又は界面活性剤溶液中でグラファイトを超音波処理などで剥離(液相剥離)し、液中で分散したグラフェンを得る方法である(非特許文献2〜3)。
グラフェンオキサイドを経由する前者の手法では、まずグラファイト粉末を硫酸、硝酸ナトリウム、過マンガン酸カリウムなどを用いて酸化する必要があり、その後のグラフェンオキサイドの還元を含めると数工程が必要となる。また、強い酸化処理によりグラファイトがダメージを受け易く、短時間の超音波印加(剥離工程)で細分化してしまうという問題も指摘されている(特許文献1)。これに対して、グラファイトの液相剥離はこのような問題がなく、有用な方法であると考えられる。
液相剥離において最大限の収率を得る上で、溶媒は重要な役割を果たす。近年のグラフェン剥離の研究により、グラフェンに有効な溶媒は40mJ/m近傍の表面張力を有することが理論的に説明されている(非特許文献2)。しかしながら、グラフェンを超音波処理により一段階で剥離する方法において、現時点での分散性のレベルは2mg/mL程度であり、幅広い用途に展開するには未だ不十分である。
グラフェンの液相剥離の溶媒として、分散能力が高く、更に多くの物理的特性に優れることから、種々の融解塩が用いられてきた。特に、イミダゾリウム系塩のイオン液体が、カーボンナノチューブの束をときほぐす媒体として好適に使用されてきた。ナノチューブと有機カチオンのπ電子間の相互作用が、ときほぐしとその後のゲル化に重要であると考えられる。このような観点から、様々なイオン液体がグラファイトの液相剥離で検討され、これまで報告されたグラフェン分散液の最大濃度は5.33mg/mLである(非特許文献4)。
特開2011−219318号公報
K.S.Novoselov,A.K.Geim,S.V.Morozov,D.Jiang,Y.Zhang,S.V.Dubonos,I.V.Grigorieva,A.A.Firsov,Science 306 (2004)666 S.Park,R.S.Ruoff,Nature Nanotech.4,217−224(2009) Y.Hernandez,V.Nicolosi,M.Lotya,F.M.Blighe,Z.Sun,S.De,I.T.McGovern,B.Holland,M.Byrne,Y.K.Gun’Ko,J.J.Boland,P.Niraj,G.Duesberg,S.Krishnamurthy,R.Goodhue,J.Hutchison,V.Scardaci,A.C.Ferrari,J.N.Coleman,Nature Nanotech.3,563−568(2008) D.Nuvoli,L.Valentini,V.Alzari,S.Scognamillo,S.B.Bon,M.Piccinini,J.Illescas,A.Mariani,J.Mater.Chem.21,3428−3431(2011)
本発明は、グラフェンを高濃度で分散させることができる新規なイオン液体を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、グラフェンの分散性を高める溶媒を研究する中で、イミダゾリウム系塩のイオン液体部分をアルキレンオキシドのコア部で連結することにより、極めて高い濃度のグラフェン分散液を与える新規イオン液体を提供できることを見出し、特許出願をした(現在係属中の特願2012−111019)。
本発明者らは、グラフェンの分散性をより高めることができる溶媒を更に検討したところ、イミダゾリウム系塩のイオン液体部分をアルキレン又はアリーレンで連結することにより、上記のイオン液体を上回るグラフェン分散性が得られることを見出し、本発明を完成した。
更に、この新規イオン液体を、従来からイオン液体として使用されているブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(BMIPF)、あるいはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(BMITFSI)と混合すると、驚くべきことに、新規イオン液体単独で使用する場合よりも高濃度のグラフェン分液を提供できることを見出した。
即ち、本発明は、
[1]下記一般式(1)で表されるイオン液体。
Figure 0006122949


(式中、
及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は無置換のC1〜C7直鎖又は分岐アルキル基を表し、
は、
(i)炭素数1〜10個のアルキレン基、
(ii)−R6a−Ar−R6b−、又は
(iii)
Figure 0006122949


から選択され、
ここで、Arは、アリーレン基を表し、R6a及びR6bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
7a及びR7bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
8a及びR8bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
m及びm’は、1〜10の整数を表し、
及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のC1〜C4の直鎖又は分岐アルキル基を表し、
は、対イオンを表し、
nは0〜30を表す。)
[2]Rが炭素数1〜10個のアルキレン基である、[1]に記載のイオン液体。
[3]Rが−R6a−Ar−R6b−で表される、[1]に記載のイオン液体。
[4]Rが式(2)で表される、[1]に記載のイオン液体。
[5]R及びRが、各々独立に、C1〜C6の直鎖アルキルである、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のイオン液体。
[6]nが0〜2の整数である、[1]〜[5]のいずれか1項に記載のイオン液体。
[7]Xが、PF 、(CFSO、BF 、Cl又はBrから選択される、[1]〜[6]のいずれか1項に記載のイオン液体。
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載のイオン液体(A)、及びブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(B)あるいはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C)を含む混合イオン液体。
[9]グラフェン、及び[1]〜[7]のいずれか1項に記載のイオン液体又は[8]に記載の混合イオン液体を含む、グラフェン分散液。
[10](1)[1]〜[7]のいずれか1項に記載のイオン液体又は[8]に記載の混合イオン液体にグラファイトを添加する工程、及び
(2)(1)で得られた混合液に、超音波又はマイクロ波を印加する工程
を、含むグラフェン分散液の調製方法。
[11]超音波印加後の混合液を遠心分離する工程を更に含む、[10]に記載の調製方法。
[12]混合液から液層を回収する工程を更に含む、[10]又は[11]に記載の調製方法。
を、提供するものである。
本発明においては、溶媒として式(1)で表されるイオン液体、又は当該イオン液体とBMIPFあるいはBMITFSIとの混合イオン液体を用いることにより、従来技術に比べて極めて高い濃度のグラフェン分散液を得ることができる。本発明のイオン液体により高い分散性が得られるため、幅広い用途、例えば、リチウムイオン二次電池のような多くの電子部品やエネルギー貯蔵電化製品にグラフェンを適用することが可能となる。また、本発明のグラフェン分散液の調製方法は、グラフェンオキサイドを経由することなく、グラファイトの一段階の剥離工程により高濃度のグラフェン分散液を得ることができるため、生産効率がよく工業的にも価値が高い。
グラファイトのグラフェン層数分布 (a)の条件で処理して得られたグラフェン分散液におけるグラフェンの層数分布 (b)の条件で処理して得られたグラフェン分散液におけるグラフェンの層数分布 化合物1、化合物3を用いた混合イオン液体におけるグラフェンの層数分布(超音波処理のみ)
イオン液体
本発明の一つの実施態様は、下記式(1)で表される新規イオン液体に関る。
Figure 0006122949

式(1)において、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は無置換のC1〜C7の直鎖又は分岐アルキル基を表す。本発明においては、R及びRは、各々独立に、好ましくはC1〜C6の直鎖アルキル基、即ちメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル又はn−ヘキシルであり、特に好ましくはn−ブチルである。
式(1)において、Rは、
(i)炭素数1〜10個のアルキレン基、
(ii)−R6a−Ar−R6b−、又は
(iii)
Figure 0006122949


から選択される。
本発明の一つの好ましい態様として、Rは炭素数1〜10個のアルキレン基である。ここで、アルキレン基には、直鎖、分岐及び環状のアルキレンが含まれ、炭素数は、好ましくは4〜10個、より好ましくは6〜8個である。好ましいアルキレンとして、例えば、ヘキセン、オクテンなどが挙げられる。
前記(ii)、(iii)において、Arは、アリーレン基を表す。アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
6a及びR6bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。好ましくは、R6a及びR6bは同一であって、炭素数1〜2のアルキレン基である。
7a及びR7bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。好ましくは、R7a及びR7bは同一であって、炭素数1〜2のアルキレン基である。
8a及びR8bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表す。好ましくは、R8a及びR8bは同一であって、炭素数1〜2のアルキレン基である。
m及びm’は、1〜10の整数を表し、好ましくは1〜2の整数である。
Arがフェニレン基の場合、R6a及びR6b、式(2)における2つの酸素原子は、オルト、メタ、パラのいずれの配置となるようにフェニレン基に結合してもよいが、パラの配置となるように結合するのが好ましい。
理論に拘束されることを意図するものではないが、本発明者らが特願2012−111019で開示したイミダゾリウム系塩のイオン液体部分をアルキレンオキシドのコア部で連結したイオン液体においては、イミダゾリウム系塩がグラフェンと相互作用し、アルキレンオキシドのコア部はグラフェンと相互作用するものではないと考えられるが、これに対して、本発明のイオン液体においては、アルキレン又はアリーレンのコア部もグラフェンとの相互作用に寄与していると考えられる。
式(1)において、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のC1〜C4の直鎖又は分岐アルキル基を表す。本発明においては、R及びRはいずれも水素であることが好ましい。
式(1)において、Xは、対イオンを表し、好ましくは、PF 、(CFSO(本明細書においてTSFIとも略記される)、BF 、Cl又はBrから選択される。
式(1)において、nは0〜30を表す。本発明においては、nが0〜2の整数であること、即ち、イミダゾリウム塩部分がダイマー、トリマー、テトラマーである場合が好ましい。nが大きくなると、粘度が増大するため、超音波処理と液中に残った過剰なグラファイトを取り除く精製の妨げとなる傾向がある。
また、nが大きい場合は、式(1)のイオン液体の合成にあたり、逐次合成法ではなく連続合成法が用いられ、この場合には、式(1)のイオン液体は数種のnからなる化合物の混合物であり、nはこれらの平均値となる。本発明は、式(1)で表されるイオン液体がこのような混合物である場合も包含する。
式(1)で表されるイオン液体の合成方法の例を以下に示す。
Figure 0006122949

スキーム1は、イミダゾリウム塩部分がダイマー(n=0の場合)である化合物1の合成スキームであり、例えば以下のような手順で合成される。
1,8-ジクロロオクタンのアセトニトリル溶液に1−ブチルイミダゾールを添加し、加温して混合する。反応混合物を減圧下で濃縮して乾固し、粘調な残渣に塩化メチレン等を添加し、酢酸エチルなどにより二層分離を行なう。ロータリーエバポレータと真空オーブンによりイオン液体層を乾燥すると、赤褐色の粘調な液体である化合物1aが得られる。次に、化合物1aのアセトニトリル溶液に、LiTFSIの水溶液を添加し、混合物を室温で攪拌すると、反応混合物は水層とイオン液体層に分離する。イオン液体を塩化メチレンなどで洗浄し、乾燥すると、粘調な液体である化合物1が得られる。
混合イオン液体
本発明のもう一つの実施態様は、式(1)で表されるイオン液体(A)とブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(B)、あるいはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C)を含む混合イオン液体に関る。
本発明の混合イオン液体においては、Aとして式(1)で表されるイオン液体の任意のものが使用できるが、特に、式(1)におけるRがオクテン基又はp−キシリレン基(即ち、(ii)において、Arがフェニレン基であり、R6a及びR6bがメチレン基である場合)であり、nが0〜2であるイオン液体であることが好ましい。
本発明の混合イオン液体における、Aの含有量は、Aのイオン液体の種類により変わり得るが、例えば、Aとして、イミダゾリウム塩部分がダイマーである化合物(式(1)においてn=0)からなるイオン液体の場合、Aが35〜55重量%であり得る。
本発明の混合イオン液体は、AとBあるいはCを必須成分として含むが、これら成分以外に、他の溶媒、例えば、メタノールや水などを適宜含有することができる。
グラフェン分散液及びその調製方法
本発明の更なる一つの実施態様は、グラフェン、及び本発明のイオン液体又は混合イオン液体を含む、グラフェン分散液に関る。本発明のグラフェン分散液は、グラフェンが高濃度に分散している。本発明のグラフェン分散液は、分散液1mlあたりグラフェンを好ましくは10mg以上、より好ましくは20mg以上、更に好ましくは40mg以上含有する。一般に、グラフェンは層数分布を有しており、単層のグラフェンとグラフェンの層が複数重なったものとの混合物であることが多い。本明細書において、「グラフェン」には、単層のグラフェンのみならず、グラフェンの層が複数、好ましくは9層以下重なったものも含まれる。
本発明のグラフェン分散液は、例えば、次のような方法で調製されるがこれに限定されるものではない。
本発明におけるグラフェン分散液の調製方法は、式(1)で表されるイオン液体又は当該イオン液体とブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェートあるいはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとの混合イオン液体にグラファイトを添加する工程、及び得られた混合液に超音波又はマイクロ波を印加する工程を含む。
本発明の調製方法に使用できるグラファイト粒子は、平均粒径が100μm以下であり、好ましくは1μm以上100μm以下である。ここで平均粒径とは、累積50%となる粒径d50である。
本発明では、任意の超音波分散機を使用することができるが、ホーンタイプの超音波分散機を使用するのが好ましい。超音波の周波数は、10kHz以上1MHz以下程度である。また、超音波の振幅は、1μm以上100μm以下(ゼロツーピーク値)程度である。超音波の印加時間は、特に制限されないが、通常1分以上であり、好ましくは1分以上6時間以下である。
また、本発明では、任意のマイクロ波オーブンを使用することができるが、例えば、500W、2.4GHzの一般的なマイクロ波オーブンを使用することができる。マイクロ波の印加時間は、特に制限されないが、通常10秒以上であり、好ましくは10秒〜10分である。
本発明のグラフェン分散液の調製方法は、超音波印加後の液体を遠心分離する工程を含んでもよく、更に、遠心分離後の混合液から液層を回収する工程を含んでもよい。この場合、超音波印加後、得られた混合液を例えばその全量又は一部を遠心分離機で遠心分離し、上澄み液を採取することでグラフェン分散液が得られる。遠心分離の条件は、所望のグラフェンの濃度により適宜調整することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
A.イオン液体の合成
[合成例1]
以下の手順により、本発明の化合物1を合成した。
Figure 0006122949

(1)化合物1aの合成
1,8-ジクロロオクタン(28.99g、158mmol)に1-ブチルイミダゾール(58.98g、475mmol)を添加し、混合物を110℃に加熱して48時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して乾固し、粘調な残渣に塩化メチレン(20mL)を添加した。酢酸エチル(50mL)により二層分離を3回行った。イオン液体層をロータリーエバポレータ、及びPを用いて80℃で一晩真空オーブンで乾燥させると、濃い赤褐色の粘調な液体である化合物1a(63.17g、146mmol、収率:92%)が得られた。
HNMR(500MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.50(s,2H),7.87(t,J=1.3Hz、2H),7.85(t,J=1.3Hz、2H),4.18(m,8H),1.80(m,8H),1.28-1.16(m,12H),0.90(t,J=7.3Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)136.1,122.4,48.7,48.5,31.3,29.2,28.1,25.4
(2)化合物1の合成
得られた化合物1a(27.81g、64.5mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスホニル)イミド(42.19g、147mmol)の水溶液を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物は水層とイオン液体層に分離した。上澄みの水層を移し、20mLの塩化メチレンを加え、イオン液体層を蒸留水(50mL)で3回洗浄した。イオン液体層をNaSOで乾燥し、ロータリーエバポレータで濃縮し、Pを用いて100℃で一晩真空オーブン中で乾燥すると、赤褐色の粘調な液体である化合物1が得られた(43.2g、46.89mmol、収率:72%)。
HNMR(270MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.18(s,2H),7.79(s,4H),4.16(m,8H),1.78(m,8H),1.30-1.19(m,12H),0.90(t,J=8.1Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)135.9,123.4,122.4,120.8,118.3,49.0,48.7,31.3,29.3,28.1,25.4,18.8,13.0
[合成例2]
以下の手順により、本発明の化合物2を合成した。
Figure 0006122949

(1)化合物2aの合成
1,8-ジクロロオクタン(28.99g、158mmol)に1-ブチルイミダゾール(58.98g、475mmol)を添加し、混合物を110℃に加熱して48時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して乾固し、粘調な残渣に塩化メチレン(20mL)を添加した。酢酸エチル(50mL)により二層分離を3回行った。イオン液体層をロータリーエバポレータ、及びPを用いて80℃で一晩真空オーブンで乾燥させると、濃い赤褐色の粘調な液体である化合物2a(63.17g、146mmol、収率:92%)が得られた。
HNMR(500MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.50(s,2H),7.87(t,J=1.3Hz、2H),7.85(t,J=1.3Hz、2H),4.18(m,8H),1.80(m,8H),1.28-1.16(m,12H),0.90(t,J=7.3Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)136.1,122.4,48.7,48.5,31.3,29.2,28.1,25.4
(2)化合物2の合成
得られた化合物2a(63.17g、146mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に、カリウムヘキサフルオロホスフェート(61.27g、333mmol)の水溶液を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物は水層とイオン液体層に分離した。上澄みの水層を移し、20mLの塩化メチレンを加え、イオン液体層を蒸留水(50mL)で3回洗浄した。イオン液体層をNaSOで乾燥し、ロータリーエバポレータで濃縮し、Pを用いて100℃で一晩真空オーブン中で乾燥すると、茶色の固体である化合物2が得られた(86.5g、189mmol、収率:81%)。
HNMR(270MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.15(s,2H),7.77(s,4H),4.15(m,8H),1.77(m,8H),1.30-1.17(m,12H),0.89(t,J=8.1Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)135.9,122.4,49.0,48.7,31.3,29.3,28.2,25.4,18.8,13.2
[合成例3]
以下の手順により、本発明の化合物3を合成した。
Figure 0006122949

(1)化合物3aの合成
α,α’-ジクロロ-p-キシレン(14.75g、81.0mmol)に1-ブチルイミダゾール(30g、242mmol)を添加し、混合物を90℃に加熱して48時間撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して乾固し、粘調な残渣に塩化メチレン(20mL)を添加した。酢酸エチル(50mL)により二層分離を3回行った。イオン液体層をロータリーエバポレータ、及びPを用いて60℃で一晩真空オーブンで乾燥させると、黄白色の結晶性の固体である化合物3a(34.3g、146mmol、収率:99%)が得られた。
HNMR(270MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.55(s,2H),7.86(t,J=2.7Hz,2H),7.84(t,J=2.7Hz,2H),7.50(s,4H),4.19(t,J=8.1Hz,4H),1.78(m,4H),1.31-1.19(m,4H),0.90(t,J=6.8Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)136.6,135.7,129.2,123.0,122.7,51.4,48.8,31.4,19.0,13.4
(2)化合物3の合成
得られた化合物3a(16.93g、39.9mmol)のアセトニトリル溶液(50mL)に、リチウムビス(トリフルオロメタンスホニル)イミド(26.17g、91.2mmol)の水溶液を添加し、混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物は水層とイオン液体層に分離した。上澄みの水層を移し、20mLの塩化メチレンを加え、イオン液体層を蒸留水(50mL)で3回洗浄した。イオン液体層をNaSOで乾燥し、ロータリーエバポレータで濃縮し、Pを用いて100℃で一晩真空オーブン中で乾燥すると、白色の固体である化合物3が得られた(30.2g、33.1mmol、収率:82%)。
HNMR(270MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.32(s,2H),7.80(s,4H),7.49(s,4H),5.44(s,4H),4.19(t,J=6.8Hz,4H),1.80(m,4H),1.35-1.21(m,4H),0.92(t,J=6.8Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)136.2,135.4,128.9,123.4,122.9,122.6,120.8,118.3,115.7,51.6,48.8,31.3,18.8,13.1
[合成例4]
以下の手順により、本発明の化合物4を合成した。
Figure 0006122949

(1)化合物4aの合成
Ar条件下で、1,5−ジヒドロキシナフタレン(6.00g、37.5mmol)と炭酸カリウム(31.1g、224.7mmol)とヨウ化カリウム(0.31g、1.87mmol)を乾燥したDMF(50mL)に混合し、2−(2−クロロエトキシ)エタノール(14.00g、112.4mmol)を添加し、混合物を80℃に加熱して42時間撹拌する。反応混合物をセライトで濾過した後、減圧下で濃縮して乾固し、塩化メチレン(40mL)を添加した。飽和塩化ナトリウム水溶液(100mL)により二層分離を3回行った。硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ロータリーエバポレータを用いて溶媒を除去し、シリカカラムクロマトグラフィー(エタノール/塩化メチレン=5:95(v/v))によって生成物を精製し、真空で乾燥させると、褐色の固体である化合物4a(11.5g、34.2mmol、収率:91%)が得られた。
HNMR(500MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)7.73(d,J=8.5Hz,2H),7.40(t,J=8.3Hz,2H),6.99(d,J=7.0Hz,2H),4.66(t,J=7.8Hz,4H),4.26(t,J=4.5Hz,4H),3.89(t,J=4.75Hz,4H),3.59-3.53(m,8H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)153.9,125.9,125.4,113.8,105.9,72.6,690,67.7,60.3
(2)化合物4bの合成
Ar条件下で、得られた化合物4a(3.21g、9.5mmol)と塩化パラトルエンスルホニル(5.46g、28.6mmol)を乾燥した塩化メチレン(60mL)に溶解し、混合物をアイスバスで冷却しながら撹拌し、トリエチルアミン(6.6mL、47.7mmol)を1時間かけて滴下した。滴下が終了したら、混合物を常温まで昇温させ12時間撹拌する。反応混合物を1N塩酸で3回、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で3回、飽和塩化ナトリウム水溶液で2回洗浄する。硫酸ナトリウムを用いて脱水し、ロータリーエバポレータを用いて乾燥させ、シリカカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン→酢酸エチル/塩化メチレン=1:9(v/v))によって生成物を精製し、真空下で乾燥させると、黄白色の固体である化合物4b(5.32g、8.3mmol、収率:84(%)が得られた。
HNMR(270MHz,CDCl,25°C)d(ppm)7.83-7.76(m,6H),7.34(t,J=8.1Hz,2H),7.25(d,J=8.1Hz,4H),6.82(d,J=8.1Hz,2H),4.23-4.18(m,8H),3.91(t,J=5.4Hz,4H),3.82(t,J=4.1Hz,4H),2.35(s,6H);13CNMR(67.80MHz,CDCl,25°C)d(ppm)154.1,144.6,132.9,129.6,127.8,126.7,125.1,114.6,105.7,70.0,69.3,69.0,67.9,21.6
(3)化合物4cの合成
Ar下で、得られた化合物4c(5.10g、7.9mmol)のアセトニトリル溶液(5mL)に、1-ブチルイミダゾール(2.95g、23.7mmol)を添加し、混合物を還流して一晩撹拌する。反応混合物を減圧下で濃縮して乾固し、粘調な残渣に水(15mL)を添加した。酢酸エチル(40mL)により二層分離を3回行った。イオン液体層をロータリーエバポレータ、及びPを用いて90℃で一晩真空オーブンで乾燥させると、白色の固体である化合物4c(6.7g、7.5mmol、収率:95%)が得られた。
HNMR(270MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.19(s,2H),7.79(d,J=8.1Hz,4H),7.62(d,J=8.1Hz,2H),7.46(d,J=8.1Hz,4H),7.39(t,J=8.1Hz,2H),7.11(d,J=8.1Hz,4H),6.97(d,J=5.4Hz,2H),4.40(t,J=4.1Hz,4H),4.22(m,4H),4.05(t,J=8.1Hz,4H),3.93-3.90(m,8H),1.63(m,4H),1.12(m,4H),0.78(t,J=8.1Hz,6H);13CNMR(67.80MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)153.5,145.6,137.4,136.2,136.1,127.8,125.7,125.3,122.6,122.0,113.6,105.7,68.7,68.3,67.4,48.8,48.4,31.2,20.7,18.7,13.2
(4)化合物4の合成
得られた化合物4c(6.70g、7.5mmol)のアセトニトリル溶液(30mL)に、ヘキサフルオロホスフェート(3.04g、16.5mmol)の水溶液(50mL)を添加し、混合物を室温で8時間撹拌した。反応混合物は水層とイオン液体層に分離した。上澄みの水層を移し、20mLの塩化メチレンを加え、イオン液体層を蒸留水(50mL)で3回洗浄した。イオン液体層をNaSOで乾燥し、ロータリーエバポレータで濃縮し、Pを用いて100℃で一晩真空オーブン中で乾燥すると、桃色の固体である化合物4が得られた(5.7g、6.8mmol、収率:91%)。
HNMR(500MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)9.15(s,2H),7.78−7.74(m,4H),7.65(d,J=8.5Hz,2H),7.41(t,J=7.8Hz,2H),6.99(d,J=7.0Hz,2H),4.42(d,J=4.8Hz,4H),4.25(t,J=4.3Hz,4H),4.07(t,J=7.3Hz,4H),3.96-3.92(m,8H),1.66(m,4H),1.16(m,4H),0.81(t,J=6.8Hz,6H);13CNMR(125MHz,DMSO−d6,25°C)d(ppm)153.8,136.3,125.9,125.5,122.8,122.2,113.8,105.9,68.8,68.3,67.5,48.9,48.5,31.3,18.7,13.2
B.本発明の混合イオン液体の分散性の評価
(1)グラフェン分散液の調製
グラファイト(和光純薬工業株式会社製STG0561(純度:98%、平均粒径:約45μm)700mgを混合イオン液体10mLに分散し、ホーンタイプの超音波分散機(Sonics製VCX−500、500W)を用いて175Wで4時間超音波を印加した。得られた分散液を4000rpmで30分間遠心分離にかけ、沈殿物を取り除いて。グラフェン分散液を単離した。
(2)グラフェン濃度の算出
グラフェン分散液0.2mLをAdvantec社PTFE膜(細孔:0.1μm、直径:25mm)で真空濾過することにより分散液中のグラフェン濃度を測定した。使用前に膜の重量を測定し、濾過後に膜をアセトニトリル(50mL)とジクロロメタン(50mL)で十分に洗浄し、真空オーブン中70℃、1時間乾燥して、乾燥した膜の重量を測定することで、分散液中のグラフェン量を算出した。
[実施例1]
化合物2を濃度が0、15重量%、26重量%、35重量%、55重量%となるようにブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(BMIPF)に添加して、混合イオン液体を調製した。これら混合イオン液体の各々に、上記の手順でグラフェンを分散し、グラフェン濃度を算出した。
[参考例1]
特願2012−111019に開示されている以下の化合物5を濃度が0、35重量%、55重量%、70重量%、100重量%となるようにBMIPFに添加して、混合イオン液体を調製した。これら混合イオン液体を分散媒として用いて、実施例1と同様の実験を行なった。

Figure 0006122949

実施例1と参考例1による分散液のグラフェン濃度の測定結果を表1に示す。
表1
Figure 0006122949

表1から、本発明の化合物2(実施例1)を用いた混合イオン液体は化合物5(参考例1)を用いた混合イオン液体以上に高いグラフェン分散性を有していることが分かる。
(3)グラフェンの層数分布の評価
Nat.Mat.2012,11,217に記載されている方法により、グラフェン分散液のラマンスペクトルを測定して、ラマンピークの位置を判定することにより、分散液中のグラフェンの層の分布を調べることができる。
図1は、アセトニトリル中にグラファイトを添加して、超音波処理、遠心分離をせずに、ラマンスペクトルを測定して得られたグラファイトのグラフェン層数分布である。図1から、特別な分散処理をしないグラファイトでは、グラフェンの層数が9より大きいものが60%以上を占めることがわかる。
以下の実施例では、本発明の混合イオン液体を用いてグラフェンの層数分布を調べた。
[実施例2]
化合物2をBMIPFに添加して、当該化合物の濃度が35重量%である混合イオン液体を調製した。この混合イオン液体に、グラファイトを70mg/mLとなるように添加して、以下の条件で超音波処理と遠心分離を行った。
(a)4時間超音波を印加した後、3000rpmで60分及び8000rpmで60分遠心分離を行う
(b)4時間超音波を印加した後、3000rpmで45分及び8000rpmで45分遠心分離を行う
(a)、(b)の条件で処理して得られた分散液についてラマンスペクトルを測定し、グラフェンの層数分布を調べた。結果を図2a及び図2bに示す。
図2a及び図2bから、本発明の混合イオン液体を用いると、グラフェンの層数が9以下であるものの割合が全体の90%程度であることが分かる。
[実施例3]
(4)超音波処理のみによる分散
化合物1をBMITFSIに添加して、濃度が35重量%である混合イオン液体を調製した。この混合イオン液体に、グラファイトを70mg/mLとなるように添加して、超音波を5分、30分、60分印加し、各時点における分散液についてラマンスペクトルを測定し、グラフェンの層数分布を調べた。結果を図3(a)に示す。
[実施例4]
化合物3を用いて実施例3と同様の試験を行った。結果を図3(b)に示す。
図3から、本発明の混合イオン液体を用いることにより、超音波処理のみによっても、グラフェンの層数が9以下であるものの割合が増大することが示される。
上記の通り、本発明の新規イオン液体を用いることにより高濃度のグラフェン分散液を提供することが可能である。
このように、本発明のイオン液体により高い分散性が得られるため、グラフェンをフィルム状にすることが容易となり、リチウムイオン二次電池のような多くの電子部品やエネルギー貯蔵電化製品にグラフェンを適用することが可能となる。また、本発明の製造方法は、グラフェンオキサイドを経由することなく、グラファイトの一段階の剥離工程により高濃度のグラフェン分散液を得ることができるため、生産効率がよく工業的にも価値が高い。更に、本発明のイオン液体を用いることにより、超音波処理のみで、グラフェンの層数が9以下であるグラフェンの含有率が高い分散液を得ることが可能であり、グラフェン分散液の生産効率を高めることが期待できる。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表されるイオン液体。
    Figure 0006122949

    (式中、R及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は無置換のC1〜C7直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、
    Figure 0006122949

    であり、
    ここで、Arは、アリーレン基を表し、
    7a及びR7bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    8a及びR8bは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    m及びm’は、1〜10の整数を表し、
    及びRは、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のC1〜C4の直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、対イオンを表し、
    nは0〜30を表す。)
  2. 及びRが、各々独立に、C1〜C6の直鎖アルキルである、請求項1に記載のイオン液体。
  3. nが0〜2の整数である、請求項1又は2に記載のイオン液体。
  4. が、PF 、(CFSO、BF 、Cl又はBrから選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオン液体。
  5. グラフェン、及び下記一般式(1)で表されるイオン液体(A)、
    又は下記一般式(1)で表されるイオン液体(A)、及びブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(B)若しくはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C)とを含む混合イオン液体を含む、グラフェン分散液。
    Figure 0006122949

    (式中、
    及びR は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は無置換のC1〜C7直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、
    (i)炭素数1〜10個のアルキレン基、
    (ii)−R 6a −Ar−R 6b −、又は
    (iii)
    Figure 0006122949

    から選択され、
    ここで、Arは、アリーレン基を表し、R 6a 及びR 6b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    7a 及びR 7b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    8a 及びR 8b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    m及びm’は、1〜10の整数を表し、
    及びR は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のC1〜C4の直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、対イオンを表し、
    nは0〜30を表す。)
  6. (1)下記一般式(1)で表されるイオン液体(A)、
    又は下記一般式(1)で表されるイオン液体(A)、及びブチルメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート(B)若しくはブチルメチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(C)とを含む混合イオン液体に、グラファイトを添加する工程、及び
    (2)(1)で得られた混合液に、超音波又はマイクロ波を印加する工程
    を、含むグラフェン分散液の調製方法。
    Figure 0006122949

    (式中、
    及びR は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、置換又は無置換のC1〜C7直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、
    (i)炭素数1〜10個のアルキレン基、
    (ii)−R 6a −Ar−R 6b −、又は
    (iii)
    Figure 0006122949

    から選択され、
    ここで、Arは、アリーレン基を表し、R 6a 及びR 6b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    7a 及びR 7b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    8a 及びR 8b は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、
    m及びm’は、1〜10の整数を表し、
    及びR は、同一でも異なっていてもよく、各々独立に、水素原子、置換又は無置換のC1〜C4の直鎖又は分岐アルキル基を表し、
    は、対イオンを表し、
    nは0〜30を表す。)
  7. 超音波印加後の混合液を遠心分離する工程を更に含む、請求項6に記載の調製方法。
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