JP6122696B2 - 蓄電池管理システム、蓄電池管理サーバ、蓄電池管理方法及びプログラム - Google Patents
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Description
現状において、電気自動車やエネルギー管理システムに用いられる蓄電池はシステムと一体化しており、専門技術者しかメンテナンスや管理をすることができない。これから蓄電池がさらに普及していくことを考慮すれば、蓄電池の流通、取り扱い、メンテナンスなどができるだけ容易化されるようにすることが好ましい。
このための方策の1つとしては、蓄電池をカートリッジとして構成し、自動車やエネルギー管理システムにおいてカートリッジを交換して利用できるようにすることが挙げられる。
蓄電池は安全性確保などのために電気的仕様について厳格に定められている。しかし、サードパーティ製品は、例えば純正品よりも安価に提供するために材料、構造などの点でコストダウンが図られているため、形状については仕様に適合させられるとしても、性能や安全性などに関する仕様についてまで適合させることはほぼ不可能である。従って、サードパーティ製品が使用された場合には何らかの不具合が発生する可能性がでてくる。従って、例えば自動車やエネルギー管理システムなどでサードパーティ製品の使用を有効に防止できるようにすることが求められる。
また、例えば純正品のカートリッジをユーザが購入して交換できるようにした流通の態様とした場合には、特許文献1の手法では、ユーザ自身が履歴データを消去するための指令信号を知ることになるので、純正品以外のカートリッジの使用を防ぐことはできなくなる。
このように、特許文献1による電池パックの管理手法では、純正品以外のカートリッジの使用を強固に防ぐことが難しい。
例えば改造品バッテリーは、純正品よりも著しく劣化している。このため、改造品バッテリーに交換されたときには、純正品とは大きく異なる出力電圧が検出され、その結果、最新の出力電圧と前回の出力電圧との差分の絶対値が基準値を越える。特許文献2は、このようなことを前提として改造品バッテリーの使用ができないように制御している。
このために、例えば、正規ではないものの、他のメーカーが工場などで製造して流通させるようなサードパーティ製品の場合には、最新の出力電圧と前回の出力電圧との差分の絶対値が基準値を越えない場合もしばしばあると考えられる。この点で、特許文献2も、純正品以外のカートリッジの使用を防止するには十分でない。
劣化パラメータ取得部が取得した劣化パラメータと前記劣化特性情報が示す劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定部と、前記真贋判定部の判定結果を前記蓄電池管理装置に通知する真贋通知部とを備える。
[蓄電池管理システムの構成例]
図1は、本実施形態における蓄電池管理システムの構成例を示している。同図に示す蓄電池管理システムは、複数の家庭内エネルギー管理システム(HEMS:Home Energy Management System)10と蓄電池管理サーバ300とを備える。
家庭内エネルギー管理システム10は、例えば商用交流電源、再生可能エネルギー利用装置(太陽光発電装置など)、蓄電池、蓄熱装置などを複合的に利用して家庭内の電力を管理するシステムである。同図においては、家庭内エネルギー管理システム10が備える装置として、蓄電装置100及び蓄電池管理装置200を示している。
カートリッジ101は、例えば直列接続された所定数の蓄電池のセルをパッケージ化することにより蓄電装置100に対して容易に交換可能としたものである。なお、カートリッジ101における蓄電池のセルは並列に接続されてもよい。
カートリッジ101がこのように構成されることで、例えばユーザは、例えば寿命となったカートリッジ101を蓄電装置100から外して、新品のカートリッジ101を装填して使用することができる。これにより、例えば、蓄電装置100における蓄電池が固定的に取り付けられている場合と比較して、運用における取り扱いやメンテナンスなどが容易になる。
本実施形態において、劣化パラメータは、カートリッジ101が備える蓄電池から測定されるパラメータのうち、蓄電池の劣化に応じて変化する所定のパラメータである。
ここでの純正品とは、例えば正規のメーカーによって蓄電装置100に装填して使用した際の動作保証が得られているカートリッジ101のことである。
蓄電池管理サーバ300は、純正品であると判定した場合には、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する。一方、蓄電池管理サーバ300は、純正品ではないと判定した場合には、純正品ではないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する。
このように、本実施形態の蓄電池管理システムは、家庭内エネルギー管理システム10において、サードパーティ製品などの純正品でないカートリッジ101に交換された場合には、蓄電装置100における動作を制限する。これにより、純正品以外の不正なカートリッジ101の使用が防止される。
なお、図1においては、複数の家庭内エネルギー管理システム10における蓄電装置100を管理する例を示しているが、本実施形態の蓄電池管理システムとしては、例えば1つの家庭内エネルギー管理システム10における蓄電装置100のみを管理するものであってもよい。
図2乃至図4を参照して、第1の実施形態における蓄電池管理装置200が測定する劣化特性について説明する。
第1の実施形態において蓄電池管理装置200は、基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方をカートリッジ101に対して行ったときに生じる電圧値(高レート動作電圧値)を劣化パラメータとして測定する。
レートとは、蓄電池に対する充電又は放電のための電流値について、蓄電池の全容量を1時間で充放電する電流値を基準とし、この基準に対する比率によって表したものである。基準の電流値は1Cと表される。従って、例えば2Cは、レートとして基準の2倍の電流値であることを示す。
例えば、劣化パラメータの他の例として、他には蓄電池の満充電の状態から所定の放電容量を検出したときまでの期間の電力量なども挙げることができるがこのような電力量を正確に求めるには、比較的長い放電期間が必要である。このために、上記の電力量を真贋判定に利用しようとすると、真贋判定結果を得るための測定にかなり長い時間がかかってしまう。
これに対して、本実施形態においては、測定に要する時間は前述のように非常に短いものであり、これにより、純正品でないカートリッジ101が装填された場合には迅速に使用制限をかけることができる。
また、曲線CV11は、基準レートよりも高い所定の第1レートで一定時間にわたり充電させたときに現れる電圧値の変化を示している。このように現れる電圧値が高レート動作電圧値である。
曲線CV12は、基準レートよりも高いが、曲線CV11よりも低い所定の第2レートで同じ一定時間にわたり充電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV13は、基準レートよりも高いが、曲線CV12よりも低い所定の第3レートで一定時間にわたり充電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
また、曲線CV21は、対応の放電電流量の下で、基準レートよりも高い所定の第1レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV22は、放電電流量の下で、基準レートよりも高いが、曲線CV21よりも低い所定の第2レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
曲線CV23は、放電電流量の下で、基準レートよりも高いが、曲線CV22よりも低い所定の第3レートで一定時間にわたり放電させたときに現れる高レート動作電圧値の変化を示している。
劣化パラメータである高レート動作電圧値の特性も、カートリッジ101における蓄電池のセルの数や、蓄電池のセルを構成する材料、構造などによって決まることから、カートリッジ101としての仕様ごとに応じて異なってくる。従って、高レート動作電圧値の特性は、カートリッジとしての製品の型に応じて異なってくる。
例えば、サードパーティがカートリッジ101を製造して安価に供給しようとした場合、カートリッジ101のパッケージの形状については蓄電装置100への装填が可能なように形成することができても、コストダウンなどの必要性から内部の蓄電池の材料や構造などを純正品と全く同じように製造することはほぼ不可能である。従って、高レート動作電圧値の特性は、純正品であるカートリッジ101とサードパーティ製品のカートリッジ101とで異なる。つまり、高レート動作電圧値は、カートリッジ101の真贋判定に利用することが可能な劣化パラメータとして利用できる。
図5は、蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300の機能構成例を示している。
蓄電池管理装置200は、劣化パラメータ測定部201、真贋通知要求送信部202、制限制御部203及び通信部204を備える。
劣化パラメータ測定部201は、蓄電装置100に装填されたカートリッジ101を測定対象として、蓄電池の劣化に応じて変化する所定の劣化パラメータを所定の使用経過タイミングにおいて測定する。
つまり、劣化パラメータ測定部201は、装填されたカートリッジ101を測定対象として、基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電(高レート充電)、放電(高レート放電)の少なくともいずれか一方を実行する。
なお、以降においては、説明の便宜上、第1の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、高レート充電のみを行う場合を例に挙げる。また、第1の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、高レート充電として、1つの所定のレートによる高レート充電を行う。つまり、図2との対応では、劣化パラメータ測定部201は、第1レート、第2レート、第3レートのうちのいずれか1つのレートを利用して高レート充電を行う。
このように最初にカートリッジ101が装填されたタイミングで劣化パラメータを測定して純正品であるか否かの判断を行うことで、装填されたカートリッジ101が純正品でない場合には、装填された直後から迅速に使用制限をかけることができる。
また、真贋通知要求送信部202は、装填されたカートリッジ101について測定されたSOC(充電率:State Of Charge)の情報も含める。
SOCは、例えばOCV(開回路電圧:Open Circuit Voltage)と一義的な関係のあることが知られている。従って、SOCは、装填されたカートリッジ101のOCVを検出し、検出したOCVに基づく所定の演算またはルックアップテーブルの参照などにより特定することができる。なお、SOCの特定は、例えば図5の構成のもとでは、劣化パラメータ測定部201が測定すればよい。
真贋通知要求送信部202は、生成した真贋通知要求を、通信部204を介して蓄電池管理サーバ300に送信する。
つまり、制限制御部203は、真贋通知要求の送信に応答して蓄電池管理サーバ300から送信された真贋通知を参照する。真贋通知が純正品であることを示している場合、制限制御部203は、蓄電装置100について通常に動作させる。
制限制御の一例として、制限制御部203は、蓄電装置100の動作を停止させてもよい。この場合において、制限制御部203は、真贋通知が純正品ではないことを示していると認識したのに応じて即座に蓄電装置100の動作を停止させてもよいし、純正品ではないと認識した時点から一定期間を経過したタイミングで蓄電装置100の動作を停止させてもよい。
このような警告が定常的あるいは一定時間ごとに行われることはユーザにとっては煩わしいために、ユーザは、純正品に取り替えたり動作を停止させるなどの措置をとることになる。これにより、サードパーティ製品のカートリッジ101が装填された蓄電装置100が通常に使用されるのを防止できる。
このように蓄電装置100の残量が分からない状況では、ユーザは蓄電装置100に蓄えられた電力がいつ無くなるのかを知ることができなくなるために、安心して使用することができなくなる。この場合にも、ユーザは、純正品に取り替えたり動作を停止させるなどの措置をとることになる。
次に、同じ図5を参照して蓄電池管理サーバ300の機能構成例について説明する。
同図に示す蓄電池管理サーバ300は、通信部301、劣化パラメータ取得部302、劣化特性情報記憶部303、真贋判定部304及び真贋通知部305を備える。
具体的に、劣化パラメータ取得部302は、蓄電池管理装置200から送信され通信部204にて受信された真贋通知を入力し、真贋通知に含まれる劣化パラメータを取得する。また、劣化パラメータ取得部302は、劣化パラメータと併せて、同じ真贋通知に含まれる製品識別子も取得する。
劣化特性情報記憶部303は、同図に示すように、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、所定の1以上のSOCに対応する高レート動作電圧値を劣化パラメータとして格納した情報である。同図に示す高レート動作電圧値は、製品識別子が示すカートリッジ101について、予めの試験やシミュレーションなどによってSOCごとに求められたものである。
劣化特性情報における製品識別子は、純正品であるカートリッジ101の製品識別子である。同図では、家庭内エネルギー管理システム10において使用されるカートリッジ101としての製品が複数種類あることに対応して、複数の製品識別子ごとに対応する複数の劣化特性情報が示されている。これにより、家庭内エネルギー管理システム10の間で使用するカートリッジ101としての製品が異なる状況に対応して適切に蓄電装置100を管理できる。
また、同図では、100%、90%、80%・・・のように、例えば10%ごとにSOCが区分された例が示されているが、あくまでも一例であり、SOCの区分については適宜変更されてよい。
本実施形態においては、交換などによって装填されるカートリッジ101は新品である。従って、ここでの使用開始時の使用経過タイミングとは、新品であるカートリッジ101が装填されたタイミングになる。
ここで、真贋通知要求に含まれていた高レート動作電圧値が、劣化特性情報の高レート動作電圧値を基準とする一定の誤差範囲内(例えば劣化特性情報の高レート動作電圧値の10%以内のように定める)であるとの比較結果が得られた場合、測定された高レート動作電圧値は、純正品と同じであるとみてよい。
そこで、この場合の真贋判定部304は、今回の交換によって装填されたカートリッジ101が純正品であると判定する。
そこで、この場合の真贋判定部304は、今回の交換によってカートリッジ101が装填された蓄電装置100の純正品ではないと判定する。
前述のように、蓄電池管理装置200における制限制御部203は、受信した真贋通知が純正品でないことを示している場合には制限制御を実行する。
しかしながら、例えば、サードパーティ製品によっては、新品時の状態での高レート動作電圧値が純正品と同じになる可能性のあることは否定できない。このような場合には、実際にはサードパーティ製品が装填されていても、純正品であると判定されることになり、使用制限がかからない。
前述のように、サードパーティ製品では、純正品と同等の仕様であることはないと考えられる。このために、たまたま新品時(SOC=100%)の高レート動作電圧値が同じであるとしても、その後の使用経過に従った放電や保存時間などによりSOCが低下していくことによって、純正品と異なる特性が現れる可能性が高い。
このために、劣化パラメータ測定部201は、例えば蓄電装置100が使用されるのに応じて、所定のタイミングで、交換によって装填されたカートリッジ101のSOCを特定する。そして、特定したSOCが、装填時において特定されたSOCに対して一定にまで低下したことを判定したタイミングで、再度、劣化パラメータを測定する。
なお、図6に示した劣化特性情報のSOCが10%ごとに区分されているのは、SOCが10%低下したことを判定したタイミングで、再度、劣化パラメータを測定するようにした場合に対応させた例である。
そして、真贋通知要求送信部202は、上記のように測定された劣化パラメータを含む真贋通知要求を蓄電池管理サーバ300に送信する。
この場合において、真贋判定を実行する回数について特に制限しなくともよいし、真贋判定を実行する回数の上限を定めておいてもよい。一例として、3回目まで真贋判定を行っても純正品であることの判定結果が得られたのであれば、そのカートリッジ101については純正品であると確定してよいことが分かっている場合、真贋判定の上限については3回とする。この場合、3回目の真贋判定によって純正品であることの判定結果が得られた場合、以降においては真贋判定が行われず、通常の動作が継続される。
図7のフローチャートは、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて、蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が実行する処理手順例を示している。
蓄電池管理装置200において、劣化パラメータ測定部201は、交換により新たにカートリッジ101が蓄電装置100に装填されるのを待機している(ステップS101−NO)。
通信部204は、真贋判定要求に対する応答として蓄電池管理サーバ300が送信した真贋判定通知を受信する(ステップS106)。
純正品でないことが示されている場合(ステップS107−NO)、制限制御部203は、所定の制限制御を実行する(ステップS108)。制限制御としては、例えば先に例示した制御のうちのいずれを実行してもよい。
一方、純正品であることが示されている場合、制限制御部203は、ステップS108の処理を特に実行することなく、同図に示す処理を終了する。この場合、蓄電装置100の使用について特に制限はかけられない。
この際、真贋判定部304は、ステップS201により取得した高レート動作電圧値との比較対象として、ステップS201により取得した製品識別子とSOCに対応付けられた高レート動作電圧値を選択する。
一定の誤差範囲内に収まっている場合(ステップS203−YES)、真贋通知部305は、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS204)。
一方、一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203−NO)、真贋通知部305は、純正品でないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS205)。
また、同図において図7と同様となる処理については同一符号を付して説明を省略する。
また、蓄電池管理サーバ300は、ステップS105による真贋通知要求の送信に応答して、図7と同様のステップS201〜S205の処理を実行する。
一例として、例えば前回の真贋判定から一定の充放電サイクルが完了したタイミングや、保存時間が経過したタイミングなどを次の真贋判定タイミングとしてもよい。
このような場合には、例えば充放電サイクル回数に応じた劣化によりSOCの特性も変化するので、蓄電池管理装置200の真贋通知要求送信部202は、例えば充放電サイクル回数、保存時間、SOH(State Of Health)などのうちのいずれか1つのように、劣化度合いを示す所定の指標も真贋通知要求に含めて送信すればよい。
また、蓄電池管理サーバ300は、劣化特性情報として、製品識別子ごとに、指標が示す劣化度合いに応じた高レート動作電圧値を格納する。そして、真贋判定部304は、劣化特性情報から、真贋通知要求に含まれていた製品識別子、劣化度合い、SOCに対応付けられた高レート動作電圧値を比較対象とすればよい。
[概要]
続いて、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態において、1回の真贋判定に対応して高レート動作電圧値を測定するにあたっては、例えば、第1レートのみによる1つのレートにより1つの高レート動作電圧値を測定していた。
これに対して、第2の実施形態においては、劣化パラメータ測定部201が1回の真贋判定に対応して高レート動作電圧値を測定するにあたり、異なる複数のレートごとに対応した複数の高レート動作電圧値を測定する。そして、真贋判定部304が真贋判定を行うにあたっては、測定された複数の高レート動作電圧値のそれぞれについて、劣化特性情報の高レート動作電圧値と比較するというものである。
しかし、1つのレートに対応した高レート動作電圧値が同じであっても、他のレートに対応する高レート動作電圧値までもが同じである可能性は著しく低下する。従って、複数のレートに対応した複数の高レート動作電圧値を測定し、これら複数の高レート動作電圧値のそれぞれを劣化特性情報の高レート動作電圧値と比較して真贋判定を行うようにすれば、真贋判定の精度を向上させることが可能になる。
図9は、第2の実施形態に対応して蓄電池管理サーバ300の劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報の構造例を示している。
同図に示す劣化特性情報は、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、SOCごとに第1レート対応高レート動作電圧値、第2レート対応高レート動作電圧値、第3レート対応高レート動作電圧値が対応付けられた構造である。
図10のフローチャートを参照して、第2の実施形態における蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて実行する処理手順例について説明する。なお、同図において、図7と同様となる処理については同一符号を付している。
続いて、劣化パラメータ測定部201は、今回装填されたカートリッジ101を測定対象として、第1レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−1)。
次に、劣化パラメータ測定部201は、ステップS103−1のときと同じ測定対象のカートリッジ101に対して第2レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−2)。
次に、劣化パラメータ測定部201は、同じ測定対象のカートリッジ101に対して第3レートにより一定時間の充電を行い、このときの高レート動作電圧値を測定する(ステップS103−3)。
このように、第2の実施形態における劣化パラメータ測定部201は、第1レート、第2レート、第3レートのそれぞれに対応する高レート動作電圧値を測定するための処理を順次実行する。
なお、上記のステップS103−1、S103−2、S103−3の間での処理の順序は適宜変更されてよい。
続くステップS105〜S108の処理は、図7と同様である。
このために、真贋判定部304は、劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報から、ステップS201Aにて取得した製品情報とSOCに対応付けられた3つの第1レート対応高レート動作電圧値、第2レート対応高レート動作電圧値、第3レート対応高レート動作電圧値を取得する。
そして、真贋判定部304は、ステップS201Aにより取得した第1レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第1レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
また、真贋判定部304は、第2レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第2レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
また、真贋判定部304は、第3レート対応の高レート動作電圧値と、劣化特性情報における第3レート対応高レート動作電圧値とを比較する。
3つの比較結果の全てが一定の誤差範囲内である場合、真贋判定部304は、純正品であることを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS204)。
一方、3つの比較結果のうちの少なくとも1つが一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203A−NO)、真贋判定部304は、純正品でないことを示す真贋通知を蓄電池管理装置200に送信する(ステップS205)。
また、第2の実施形態において、蓄電池管理装置200の真贋通知要求送信部202は、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値を測定するごとに順に蓄電池管理サーバ300に送信してもよい。この場合、真贋通知要求送信部202は、真贋判定要求について、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値とは別に蓄電池管理サーバ300に送信してもよいし、第1レート〜第3レート対応の高レート動作電圧値のいずれかと共に送信するようにしてもよい。
[概要]
上記の第1の実施形態と第2の実施形態においては、高レート動作電圧値を劣化パラメータとして使用している。本実施形態における劣化パラメータは、高レート動作電圧値に限定されない。すなわち、本実施形態の真贋判定に適用すべき劣化判定手法は、高レート動作電圧値を利用した手法に限定されない。
一例として、第3の実施形態により、カートリッジ101の内部抵抗値を劣化パラメータとして使用する例について説明する。
OCVとSOCは、同じ劣化度合いでは一意となる関係である。しかし、図11において破線で示すように、同じSOCに対応するOCVは曲線CV31、CV32、CV33で異なる。これは、蓄電池が使用されていくのに応じて内部抵抗値が増加していくことに起因する。つまり、蓄電池の内部抵抗値は蓄電池の劣化度合いを示す劣化パラメータである。
図12は、第3の実施形態に対応して劣化特性情報記憶部303が記憶する劣化特性情報の構造例を示している。
同図に示す劣化特性情報は、製品識別子ごとに対応するテーブルにおいて、所定の1以上のSOCに対応する内部抵抗値を劣化パラメータとして格納した情報である。
図13のフローチャートは、第3の実施形態における蓄電池管理装置200と蓄電池管理サーバ300が、交換によりカートリッジ101が装填されるのに応じて実行する処理手順例について説明する。なお、同図において、図7と同様となる処理については同一符号を付している。
蓄電池管理装置200における劣化パラメータ測定部201は、高レート動作電圧値を測定するのに代えて、内部抵抗値を測定する(ステップS103B)。内部抵抗値の測定には、例えば、交流インピーダンス法に従って、例えばポテンショガルバノスタットを利用して測定することができる。
また、真贋通知要求送信部202は、ステップS103Bにより測定された内部抵抗値とともに、ステップS102により特定したSOCと、製品識別子とを含む真贋判定要求を生成する(ステップS104B)。
以降のステップS105〜S108の処理は、図7と同様でよい。
一定の誤差範囲内に収まっている場合(ステップS203−YES)、真贋通知部305は、純正品であることを示す真贋通知を送信する(ステップS204)。一定の誤差範囲を越えている場合(ステップS203−NO)、真贋通知部305は、純正品でないことを示す真贋通知を送信する(ステップS205)。
100 蓄電装置
101 カートリッジ
200 蓄電池管理装置
201 劣化パラメータ測定部
202 真贋通知要求送信部
203 制限制御部
204 通信部
300 蓄電池管理サーバ
301 通信部
302 劣化パラメータ取得部
303 劣化特性情報記憶部
304 真贋判定部
305 真贋通知部
Claims (10)
- 蓄電装置に装填された蓄電池カートリッジを測定対象として、蓄電池カードリッジのSOC(充電率:State Of Charge)と、当該蓄電池カードリッジにおける基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方を行ったときに生じる高レート動作電圧値とを含む劣化パラメータを所定の使用経過タイミングにおいて測定する劣化パラメータ測定部と、
前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジのSOCと高レート動作電圧値とが対応づけられた劣化パラメータを示す劣化特性情報を記憶する劣化特性情報記憶部と、
前記劣化パラメータ測定部が測定した劣化パラメータと前記劣化特性情報が示す劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定部と
を備える蓄電池管理システム。 - 前記劣化パラメータ測定部は、
1のSOCに対する複数の異なるレートに対応する複数の高レート動作電圧値を測定し、
前記真贋判定部は、
劣化パラメータ測定部が測定した1のSOCに対する複数のレートごとに対応する複数の高レート動作電圧値と、前記劣化特性情報が示す1のSOCに対する複数のレートごとに対応する複数の高レート動作電圧値とをそれぞれ比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する
請求項1に記載の蓄電池管理システム。 - 前記劣化パラメータ測定部は、
蓄電池カートリッジの内部抵抗値を測定し、
前記劣化特性情報記憶部は、
前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジの内部抵抗値を記憶し、
前記真贋判定部は、
劣化パラメータ測定部が測定した内部抵抗値と前記劣化特性情報が示す内部抵抗値とを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する
請求項1又は請求項2に記載の蓄電池管理システム。 - 前記劣化パラメータ測定部は、
前記所定の使用経過タイミングとして蓄電装置に対して最初に蓄電池カートリッジが装填されたタイミングで劣化パラメータを測定する
請求項1から3のいずれか一項に記載の蓄電池管理システム。 - 前記劣化パラメータ測定部は、
前回の使用経過タイミングで測定した劣化パラメータに基づいて純正品であると前記真贋判定部によって判定された場合に、
前回の使用経過タイミングより後の所定の使用経過タイミングにおいて劣化パラメータを測定する
請求項1から4のいずれか一項に記載の蓄電池管理システム。 - 前記真贋判定部によって純正品ではないと判定されるのに応じて、蓄電装置の使用が制限されるように所定の制御を実行する制限制御部をさらに備える
請求項1から5のいずれか一項に記載の蓄電池管理システム。 - 蓄電装置に装填された蓄電池カートリッジを測定対象として所定の使用経過タイミングにおいて測定された蓄電池カートリッジのSOCと、当該蓄電池カートリッジにおける基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方を行ったときに生じる高レート動作電圧値とを含む劣化パラメータを、前記蓄電装置を管理する蓄電池管理装置から通信を介して取得する劣化パラメータ取得部と、
前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジのSOCと高レート動作電圧値とが対応づけられた劣化パラメータを示す劣化特性情報を記憶する劣化特性情報記憶部と、
劣化パラメータ取得部が取得した劣化パラメータと前記劣化特性情報が示す劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定部と、
前記真贋判定部の判定結果を前記蓄電池管理装置に通知する真贋通知部と
を備える蓄電池管理サーバ。 - 蓄電装置に装填された蓄電池カートリッジを測定対象として、蓄電池カードリッジのSOCと、当該蓄電池カートリッジにおける基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方を行ったときに生じる高レート動作電圧値とを含む劣化パラメータを所定の使用経過タイミングにおいて測定する劣化パラメータ測定ステップと、
前記劣化パラメータ測定ステップが測定した劣化パラメータと、劣化特性情報が示す前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジのSOCと高レート動作電圧値とが対応づけられた劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定ステップと
を備える蓄電池管理方法。 - 蓄電装置に装填された蓄電池カートリッジを測定対象として所定の使用経過タイミングにおいて測定された蓄電池カードリッジのSOCと、当該蓄電池カートリッジにおける基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方を行ったときに生じる高レート動作電圧値とを含む劣化パラメータを、前記蓄電装置を管理する蓄電池管理装置から通信を介して取得する劣化パラメータ取得ステップと、
劣化パラメータ取得ステップが取得した劣化パラメータと、劣化特性情報が示す前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジのSOCと高レート動作電圧値とが対応づけられた劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定ステップと、
前記真贋判定ステップの判定結果を前記蓄電池管理装置に通知する真贋通知ステップと
を備える蓄電池管理方法。 - コンピュータに、
蓄電装置に装填された蓄電池カートリッジを測定対象として所定の使用経過タイミングにおいて測定された蓄電池カートリッジのSOCと、基準よりも高い所定のレートによる一定時間の充電と放電の少なくともいずれか一方を行ったときに生じる高レート動作電圧値とを含む劣化パラメータを、前記蓄電装置を管理する蓄電池管理装置から通信を介して取得する劣化パラメータ取得ステップと、
劣化パラメータ取得ステップが取得した劣化パラメータと、劣化特性情報が示す前記使用経過タイミングにおける純正品の蓄電池カートリッジのSOCと高レート動作電圧値とが対応づけられた劣化パラメータとを比較した結果に基づいて、測定対象の蓄電池カートリッジが純正品であるか否かについて判定する真贋判定ステップと、
前記真贋判定ステップの判定結果を前記蓄電池管理装置に通知する真贋通知ステップと
を実行させるためのプログラム。
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