JP6120595B2 - Mimo受信装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、地上デジタル放送等の無線伝送技術に係り、特に、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを用いる多入力多出力(以下、「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」という。)伝搬環境の無線デジタル信号伝送における受信技術に関する。
図12は、MIMO通信システムの構成例を示す図である。このMIMO通信システム1は、2本の送信アンテナ101(送信アンテナTx1,Tx2)を備えた送信装置(MIMO送信装置)100と、2本の受信アンテナ201(受信アンテナRx1,Rx2)を備えた受信装置(MIMO受信装置)200とにより構成された例であり、送信アンテナ101と受信アンテナ201との間にはMIMO伝送路(伝送路特性h11,h21,h12,h22)が形成されている。送信装置100は、2系統の異なるデータ信号を2本の送信アンテナ101の各々に割り当てて、同一の周波数上または周波数帯が重なる状態の電波により、各々該当する送信アンテナ101からOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing:直交周波数分割多重)信号を送信する。これにより、それぞれのOFDM信号は4つの伝送路を経て送信される。受信装置200は、受信した2系統の信号から4つの伝送路特性を推定し、送信装置100から送信された2系統の異なるデータ信号を復調する。
このようなMIMO通信システム1の受信装置200による受信方式の1つとして、QR分解による復調処理が知られている(例えば特許文献1−4を参照)。QR分解による復調処理は、推定した伝送路特性を要素とする伝送路推定行列HをQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを求め、送信装置100から送信された各系統のデータ信号を復調するための誤り訂正に用いる対数尤度比(LLR:Log Likelihood Ratio)を算出する処理である。
〔従来のQR分解による一般的な復調処理〕
以下、従来のQR分解による一般的な復調処理について説明する。送信装置100に備えた送信アンテナTx1,Tx2から送信される信号(送信信号)をx1,x2(以下、数式ではx1,x2にて表す。)とし、受信装置200に備えた受信アンテナRx1,Rx2にて受信した信号(受信信号)をy1,y2(以下、数式ではy1,y2にて表す。)とし、受信アンテナRx1と送信アンテナTx1との間の伝送路特性をh11、受信アンテナRx2と送信アンテナTx1との間の伝送路特性をh21、受信アンテナRx1と送信アンテナTx2との間の伝送路特性をh12、受信アンテナRx2と送信アンテナTx2との間の伝送路特性をh22とすると、以下の式が得られる。尚、式(4)に示すように、xは、送信信号x1,x2を要素とする送信信号行列であり、yは、受信信号y1,y2を要素とする受信信号行列であり、Hは、伝送路特性h11,h12,h21,h22を要素とする伝送路推定値行列である。
y=H・x ・・・(1)
1=h111+h122 ・・・(2)
2=h211+h222 ・・・(3)
Figure 0006120595
次に、伝送路推定値行列HをQR分解すると、以下の式のように、ユニタリー行列Q及び三角行列Rが求められる。
H=Q・R ・・・(5)
ユニタリー行列Qは、以下の式のように、q11,q12,q21,q22を要素とする行列であり、三角行列Rは、r11,r12,0,r22を要素とする行列である。
Figure 0006120595
前記式(5)を変形すると、以下の式が成り立つ。
H・H=QHQ・R=R ・・・(7)
ここで、QHは、Qの共役転置行列である。
次に、前記式(1)の両辺に行列QHを掛けて前記式(7)を適用すると、以下の式が得られる。
H・y=QH・H・x=R・x ・・・(8)
すなわち、以下の式が得られる。
Figure 0006120595
例えば、前記式(6)においてq11=a+bjとすると、q*11=a−bjとなる。
前記式(9)を分解すると、以下の式となる。
1’=q11 *1+q21 *2=r111+r122 ・・・(10)
2’=q12 *1+q22 *2=r222 ・・・(11)
これにより、前記式(11)において、x1の成分を消去することができ、x2の成分のみからなる式とすることができる。このため、x2のLLRを最初に算出することにより、効率的な演算を行うことができる。
次に、x1及びx2のLLRを、以下に示す(a)〜(d)の処理により算出する。以下の説明では、変調方式をQPSKとする。変調方式がQPSKの場合、x1,x2はそれぞれ2ビットの情報からなることから、x1及びx2のLLRとして合計で4つの情報を算出する。すなわち、x1の1ビット目についてLLRx1_1bit、x1の2ビット目についてLLRx1_2bit、x2の1ビット目についてLLRx2_1bit、及びx2の2ビット目についてLLRx2_2bitを算出する。
(a)まず、以下の式により、x2の距離dx2を算出する。
x2=|y2’−r222| (x2∈S00,S01,S10,S11) ・・・(12)
ここで、S00,S01,S10,S11は、2ビットの情報からなるx2である真値を示し、右下付きの2桁の数値のうち1番目の数値は1ビット目を示し、2番目の数値は2ビット目を示す。前記式(12)により、QR分解によってy2が変形されたy2’とr22x2との間の距離(の絶対値)として、x2の1ビット目が0及び2ビット目が0を真値S00とした場合の距離d00、x2の1ビット目が0及び2ビット目が1を真値S01とした場合の距離d01、x2の1ビット目が1及び2ビット目が0を真値S10とした場合の距離d10、及び、x2の1ビット目が1及び2ビット目が1を真値S11とした場合の距離d11が算出される。すなわち、x2の距離dx2として、4パターンの値d00,d01,d10,d11が算出される。x2の距離dx2は、受信信号y2’から得られる送信信号x2の受信値(位置)と、送信信号x2における真値S00,S01,S10,S11との間の誤差を示す。
(b)次に、以下の式により、x2のLLRを算出する。
LLRx2_1bit=min(d10,d11)−min(d00,d01) ・・・(13)
LLRx2_2bit=min(d01,d11)−min(d00,d10) ・・・(14)
ここで、LLRx2_1bitはx2の1ビット目における対数尤度比を示し、LLRx2_2bitはx2の2ビット目における対数尤度比を示す。LLRx2_1bitがマイナスであり、その値が大きい場合は、1ビット目が1である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d10,d11)よりも、1ビット目が0である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d00,d01)の方が大きいから、x2の1ビット目が1である確率が高いことを示している。一方、LLRx2_1bitがプラスであり、その値が大きい場合は、1ビット目が1である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d10,d11)よりも、1ビット目が0である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d00,d01)の方が小さいから、x2の1ビット目が0である確率が高いことを示している。LLRx2_2bitについても、マイナスの値が大きい場合は、x2の2ビット目が1である確率が高いことを示しており、プラスの値が大きい場合、x2の2ビット目が0である確率が高いことを示している。
(c)次に、以下の式により、x1の距離を算出する。
x1=|(y1’−r122)−r111|+dx2 (x1,x2∈S00,S01,S10,S11
・・・(15)
ここで、S00,S01,S10,S11は、それぞれ2ビットの情報からなるx1,x2である真値を示す。x1,x2はそれぞれ2ビットの情報からなり、それぞれのビットは0または1であることから、x1,x2の値が取り得るパターンはそれぞれ4つあり、x1,x2の値が取り得る組み合わせのパターンは合計で16となる。また、x2とdx2とは対応しており、例えばx2をS00とした場合、dX2にはS00の場合の前記式(12)で算出したd00が用いられる。
具体的には、前記式(15)により、QR分解によってy1が変形されたy1’等を用いた場合の距離として、x1の1ビット目が0及び2ビット目が0を真値S00とした場合の距離d00は、x2の真値S00,S01,S10,S11が4パターンあるから、4パターンの値d00,x2=S00,d00,x2=S01,d00,x2=S10,d00,x2=S11が算出され、同様に、x1の1ビット目が0及び2ビット目が1を真値S01とした場合の距離d01も4パターンの値d01,x2=S00,d01,x2=S01,d01,x2=S10,d01,x2=S11が算出され、x1の1ビット目が1及び2ビット目が0を真値S10とした場合の距離d10も4パターンの値d10,x2=S00,d10,x2=S01,d10,x2=S10,d10,x2=S11が算出され、x1の1ビット目が1及び2ビット目が1を真値S11とした場合の距離d11も4パターンの値d11,x2=S00,d11,x2=S01,d11,x2=S10,d11,x2=S11が算出される。すなわち、x1の距離dx1として、16パターンの値が算出される。x1の距離dx1は、受信信号y1’等から得られる送信信号x1の受信値(位置)と、送信信号x1における真値S00,S01,S10,S11との間の誤差を示す。
(d)次に、以下の式により、x1のLLRを算出する。
Figure 0006120595
Figure 0006120595
ここで、LLRx1_1bitはx1の1ビット目における対数尤度比を示し、LLRx1_2bitはx1の2ビット目における対数尤度比を示す。また、min()はカッコ内の要素の最小値を示す。これらのLLRは、LLRx2_1bit,LLRx2_2bitの場合と同様に、マイナスの値が大きい場合は、1である確率が高いことを示しており、プラスの値が大きい場合、0である確率が高いことを示している。
このように、従来の受信装置200により、QR分解による復調処理にて、送信装置100から送信された各系統の送信信号を復調するための誤り訂正に用いるLLRが算出される。前記例では、2系統の送信信号x1,x2のLLRについて、最初に、送信信号x2のLLRが算出され、次に、送信信号x1のLLRが算出される。
しかしながら、このQR分解による復調処理において、変調方式としてQPSKを用いた場合、前記式(15)に示したとおり、x1の距離dx1を得るために16回(4×4)の計算が必要となり、この計算結果を用いてx1のLLRが算出される。また、変調方式として16QAMを用いた場合には、x1の距離dx1を得るために256回(16×16)の計算が必要となり、この計算結果を用いてx1のLLRが算出される。このように、従来のQR分解による復調処理では、キャリア変調方式に応じて多値化のビット数が増えると、計算量が飛躍的に増大する。
そこで、x1の距離dx1及びLLRを算出する処理の計算量を減らすために、Mアルゴリズムの処理が知られている。Mアルゴリズムは、x2の距離dx2及びLLRを算出する処理は前記と同じであるが、x1の距離dx1及びLLRを算出する処理が前記と異なる。
〔従来のQR分解による一般的な復調処理においてMアルゴリズムを用いた例〕
以下、従来のQR分解による一般的な復調処理においてMアルゴリズムを用いた例について説明する。前述のとおり、Mアルゴリズムは、x1の距離dx1及びLLRを算出する計算量を減らすための処理であり、Mアルゴリズムによって、前記(a)(b)と同様の処理の後、前記(c)(d)とは異なる(c’)(d’)の処理が行われる。以下、(c’)及び(d’)の処理について説明する。
(c’)前記(a)(b)の処理の後、前記式(15)により、x1の距離dx1を算出する。ここで、前述したとおり、前記(c)では、x1,x2の値が取り得るパターンはそれぞれ4つあり、x1,x2の値が取り得る組み合わせは合計で16パターンとなり、x1の距離dx1として、16パターンの値が算出される。これに対し、(c’)では、x1の値が取り得るパターン数4を同じとし、x2の値が取り得るパターン数(x2の候補数)を減らすことにより、x1の距離dx1及びLLRを算出する計算量を減らす。
Mアルゴリズムでは、変調方式がQPSKの場合、M=1〜4である。ここで、Mは、x1の距離dx1を算出する際のx2の候補数を示す。x2の値が取り得るパターン数が4のときはM=4、任意の3パターンを取るときはM=3、任意の2パターンを取るときはM=2、任意の1パターンを取るときはM=1となる。例えば、前記(a)にて算出したx2の距離d00,d01,d10,d11が、d00<d11<d01<d10である場合、M=1のときは、距離が最小となるd00に着目してx2=S00,dx2=d00を使用し、M=2のときは、距離が短い2つのd00,d11に着目してx2=S00,S11,dx2=d00,d11を使用する。
例えば、前記(a)にて算出したx2の距離d00,d01,d10,d11が、d00<d11<d01<d10であり、M=2とすると、x1の値が取り得るパターンは4つあり、x2の値が取り得るパターンは2つある。つまり、x1,x2の値が取り得る組み合わせのパターンは合計で8となる。前記(c)では16パターンであるから、パターン数を減らすことができ、x1の距離dx1及びLLRを算出する計算量を減らすことができる。具体的には、前記式(15)により、QR分解によってy1が変形されたy1’等を用いた距離として、x1の1ビット目が0及び2ビット目が0を真値S00とした場合の距離d00は、x2の真値S00,S11が2パターンあるから、2パターンの値d00,x2=S00,d00,x2=S11が算出され、同様に、x1の1ビット目が0及び2ビット目が1を真値S01とした場合の距離d01も2パターンの値d01,x2=S00,d01,x2=S11が算出され、x1の1ビット目が1及び2ビット目が0を真値S10とした場合の距離d10も2パターンの値d10,x2=S00,d10,x2=S11が算出され、x1の1ビット目が1及び2ビット目が1を真値S11とした場合の距離d11も2パターンの値d11,x2=S00,d11,x2=S11が算出される。すなわち、x1の距離dx1として、8パターンの値が算出される。
(d’)次に、以下の式により、X1のLLRを算出する。以下の式は、M=2の場合の例である。
Figure 0006120595
Figure 0006120595
ここで、LLRx1_1bitはx1の1ビット目における対数尤度比を示し、LLRx1_2bitはx1の2ビット目における対数尤度比を示す。これらのLLRは、LLRx2_1bit,LLRx2_2bitの場合と同様に、マイナスの値が大きい場合は、1である確率が高いことを示しており、プラスの値が大きい場合、0である確率が高いことを示している。
このように、従来の受信装置200により、QR分解による復調処理においてMアルゴリズムを用いた場合には、Mアルゴリズムを用いない場合よりも、計算量を削減することができる。前記例では、2系統の送信信号x1,x2のLLRについて、最初に、送信信号x2のLLRが算出され、次に、送信信号x1のLLRが、Mアルゴリズムを用いない場合よりも少ない計算量にて算出される。
国際公開第2009/016741号公報 特表2012−508994号公報 特開2011−41194号公報 特表2012−503423号公報
前述したQR分解による一般的な復調処理では、最初に、送信信号x2の距離dx2及びLLRを算出し、次に、最初に算出した送信信号x2の距離dx2を用いて送信信号x1の距離dx1を算出し、そして、そのLLRを算出する。また、前述した従来のQR分解による一般的な復調処理においてMアルゴリズムを用いた処理では、最初に、送信信号x2の距離dx2及びLLRを算出し、次に、最初に算出した送信信号x2の距離dx2を用いて送信信号x1の距離dx1を算出する際に、送信信号x2の候補を減らし、そのLLRを算出する。
しかしながら、従来から、受信エリアを拡大し、低C/Nでの受信を可能とするために、前述したQR分解による一般的な復調処理、及びQR分解による一般的な復調処理においてMアルゴリズムを用いた処理よりも、受信特性を改善することが所望されていた。
そこで、QR分解による復調処理によりLLRを算出するMIMO受信技術において、LLRの精度を向上させ、受信特性を改善可能なMIMO受信装置及びプログラムを提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明によるMIMO受信装置は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間の伝送路特性を推定し、前記伝送路特性を要素とする伝送路推定値行列をQR分解し、前記複数の送信アンテナから送信された送信信号の尤度を算出し、前記送信信号の尤度を用いて復号を行うMIMO受信装置において、前記伝送路特性を要素とする伝送路推定値行列を生成する伝送路推定値行列生成部と、前記伝送路推定値行列生成部により生成された伝送路推定値行列をQR分解して第1のユニタリー行列及び第1の三角行列を求め、前記複数の受信アンテナにて受信した受信信号を要素とする受信信号行列、前記第1のユニタリー行列及び前記第1の三角行列に基づいて、前記複数の送信アンテナから送信した送信信号の尤度を算出する第1のQR分解及び尤度算出部と、前記伝送路推定値行列生成部により生成された伝送路推定値行列の要素を入れ替え、新たな伝送路推定値行列を生成する伝送路推定値行列要素入替部と、前記伝送路推定値行列要素入替部により生成された伝送路推定値行列をQR分解して第2のユニタリー行列及び第2の三角行列を求め、前記受信信号行列、前記第2のユニタリー行列及び前記第2の三角行列に基づいて、前記送信信号の尤度を算出する第2のQR分解及び尤度算出部と、前記第1のQR分解及び尤度算出部により算出された送信信号の尤度と、前記第2のQR分解及び尤度算出部により算出された送信信号の尤度とを比較し、絶対値の大きい尤度を、前記復号のために用いる送信信号の尤度として決定する尤度決定部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明によるMIMO受信装置は、前記第1のQR分解及び尤度算出部が、前記第1のユニタリー行列の共役転置行列を前記受信信号行列に乗算して得た行列を乗算後の第1の受信信号行列とし、前記複数の送信アンテナから送信した送信信号を要素とする行列を送信信号行列として、前記乗算後の第1の受信信号行列における1つの要素と前記送信信号行列における1つの要素との関係を前記第1の三角行列の要素で表した式を用いて、前記送信信号行列における1つの要素を第1の送信信号とした場合の前記第1の送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第1の送信信号の尤度を算出し、前記乗算後の第1の受信信号行列における他の1つの要素と前記送信信号行列における複数の要素との関係を前記第1の三角行列の要素で表した式を用いて、前記第1の送信信号とは異なる送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第1の送信信号とは異なる送信信号の尤度を算出し、前記第2のQR分解及び尤度算出部が、前記第2のユニタリー行列の共役転置行列を前記受信信号行列に乗算して得た行列を乗算後の第2の受信信号行列とし、前記乗算後の第2の受信信号行列における1つの要素と前記送信信号行列における1つの要素との関係を前記第2の三角行列の要素で表した式を用いて、前記送信信号行列における1つの要素を前記第1の送信信号とは異なる第2の送信信号とした場合の前記第2の送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第2の送信信号の尤度を算出し、前記乗算後の第2の受信信号行列における他の1つの要素と前記送信信号行列における複数の要素との関係を前記第2の三角行列の要素で表した式を用いて、前記第2の送信信号とは異なる送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第2の送信信号とは異なる送信信号の尤度を算出する、ことを特徴とする。
さらに、本発明によるMIMO受信プログラムは、コンピュータを、前記MIMO受信装置として機能させることを特徴とする。
以上のように、本発明によれば、伝送路推定値行列をQR分解し送信信号のLLRを算出する処理、及び、伝送路推定値行列の要素を入れ替えてQR分解し送信信号のLLRを算出する処理を行うようにしたから、LLRの精度を向上させ、受信特性を改善することが可能となる。これにより、受信エリアを拡大し、低C/Nでの受信を可能とすることができる。
送信装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施形態による受信装置の構成を示すブロック図である。 実施例1によるQR−MLD部の構成を示すブロック図である。 実施例1によるQR−MLD部の処理を示すフローチャートである。 第1のLLR算出処理(ステップS405)の詳細を示すフローチャートである。 第2のLLR算出処理(ステップS409)の詳細を示すフローチャートである。 実施例2によるQR−MLD部の構成を示すブロック図である。 実施例2によるQR−MLD部の処理を示すフローチャートである。 送信信号x2のLLR算出処理(ステップS805)の詳細を示すフローチャートである。 送信信号x1のLLR算出処理(ステップS809)の詳細を示すフローチャートである。 計算機シミュレーション結果を示す図である。 MIMO通信システムの構成例を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。
〔送信装置〕
まず、図12に示したMIMO通信システム1における送信装置について説明する。図1は、その送信装置の構成を示すブロック図である。この送信装置100は、2本の送受信アンテナを用いた空間多重MIMO伝送方式に用いる送信側の装置であり、キャリア変調後の信号を2分割し、2分割した信号のそれぞれに対してOFDMフレーム化、IFFT(Inverse Fast Fourier Transform:逆高速フーリエ変換)、GI(Guard Interval:ガードインターバル)付加の処理を施し、2本の送信アンテナ101(送信アンテナTx1,Tx2)から異なる信号を送信する。
図1において、送信装置100は、誤り訂正外符号符号化部10、誤り訂正内符号符号化部11、キャリア変調部12、分割(MUX)部13、OFDMフレーム化部14−1,14−2、IFFT部15−1,15−2、GI付加部16−1,16−2、及び2本の送信アンテナ101(送信アンテナTx1,Tx2)を備えている。OFDMフレーム化部14−1,14−2から送信アンテナ101までは2つの送信系統で構成される。尚、エネルギー拡散及びインタリーブ等の構成部は省略してある。
誤り訂正外符号符号化部10は、例えば送信装置100において撮影した映像音声データを入力し、リードソロモン符号等の外符号を用いて符号化を行う。誤り訂正内符号符号化部11は、誤り訂正外符号符号化部10により符号化されたデータを入力し、所定の符号化率(例えばr=1/2)にてターボ符号、畳み込み符号等の内符号を用いて符号化を行う。キャリア変調部12は、誤り訂正内符号符号化部11により符号化されたデータを入力し、QPSK、16QAM等の所定のキャリア変調方式によりキャリア変調を行い、入力したデータをコンスタレーション配置上にマッピングする。分割部13は、キャリア変調部12によりキャリア変調されたデータを2つの異なる信号に分割する。
OFDMフレーム化部14−1は、分割部13により分割された一方の信号を入力し、この信号をデータ信号として、パイロット信号等を付加すると共に、予め設定された周波数の位置に配置してOFDMフレームを構成し、OFDM信号としてIFFT部15−1に出力する。IFFT部15−1は、OFDMフレーム化部14−1からOFDM信号を入力し、IFFTを施し、周波数軸データから時間軸データに変換する。GI付加部16−1は、IFFT部15−1により時間軸データに変換されたOFDM信号を入力し、このOFDM信号にGI信号を付加する。OFDMフレーム化部14−2、IFFT部15−2及びGI付加部16−2は、分割部13による分割された他方の信号に対して、OFDMフレーム化部14−1、IFFT部15−1及びGI付加部16−1と同様の処理を行う。そして、直交変調等の処理が施された2系統のOFDM信号は、送信信号として対応する2本の送信アンテナ101(送信アンテナTx1,Tx2)からそれぞれ送信される。
〔受信装置〕
次に、本発明の実施形態による受信装置について説明する。図2は、その受信装置の構成を示すブロック図である。この受信装置(MIMO受信装置)2は、図12に示したMIMO通信システム1において、2本の送受信アンテナを用いた空間多重MIMO伝送方式に用いる受信側の装置であり、従来の受信装置200とは異なり、伝送路推定値行列の要素を入れ替えてQR分解し、送信信号のLLRを算出する機能を備えている。
図2において、受信装置2は、2本の受信アンテナ201(受信アンテナRx1,Rx2)、GI除去部20−1,20−2、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)部21−1,21−2、伝送路推定部22−1,22−2、QR−MLD(QR−Maximum Likelihood Detection(QR分解及びLLR算出))部23、誤り訂正内符号復号部24及び誤り訂正外符号復号部25を備えている。受信アンテナ201から伝送路推定部22−1,22−2までは2つの受信系統で構成される。尚、エネルギー逆拡散及びデインタリーブ等の構成部は省略してある。本発明の実施形態では、QR−MLD部23による処理に特徴があり、QR−MLD部23以外の構成部による処理は既知である。
2本の受信アンテナ201(受信アンテナRx1,Rx2)は、送信装置100に備えた2本の送信アンテナ101(送信アンテナTx1,Tx2)との間のMIMO伝送路(伝送路特性h11,h12,h21,h22)を経由したOFDM信号を受信信号として受信する。つまり、2本の送信アンテナTx1,Tx2から送信されMIMO伝送路(伝送路特性h11,h12)を経由して混信したOFDM信号を受信アンテナRx1にて受信する。また、2本の送信アンテナTx1,Tx2から送信されMIMO伝送路(伝送路特性h21,h22)を経由して混信したOFDM信号を受信アンテナRx2にて受信する。
GI除去部20−1は、受信アンテナRx1にて受信した受信信号が直交復調されシンボルタイミングが検出されたOFDM信号を入力し、OFDM信号からGI信号を除去する。FFT部21−1は、GI除去部20−1からGI信号が除去されたOFDM信号を入力し、FFTを施し、時間軸データから周波数軸データに変換する。伝送路推定部22−1は、FFT部21−1から周波数軸データに変換されたOFDM信号を入力し、このOFDM信号からデータ信号、パイロット信号等を分離し(フレーム分離し)、パイロット信号を用いて送信アンテナTx1,Tx2と受信アンテナRx1との間の伝送路特性h11,h12を推定し、推定した伝送路特性h11,h12をQR−MLD部23に出力する。GI除去部20−2、FFT部21−2及び伝送路推定部22−2は、受信アンテナRx2にて受信した受信信号に対して、GI除去部20−1、FFT部21−1及び伝送路推定部22−1と同様の処理を行う。伝送路推定部22−2は、推定した伝送路特性h21,h22をQR−MLD部23に出力する。
QR−MLD部23は、伝送路推定部22−1により推定された伝送路特性h11,h12、及び伝送路推定部22−2により推定された伝送路特性h21,h22を入力すると共に、OFDM信号から分離されたデータ信号について、受信アンテナRx1の受信系統における受信信号y1及び受信アンテナRx2の受信系統における受信信号y2を入力する。そして、QR−MLD部23は、前記式(4)に示したように、伝送路特性h11,h12,h21,h22を各要素とする伝送路推定値行列Hを生成し、送信信号x1,x2のLLRを算出する処理を、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて2回行う。送信信号x1は、送信アンテナTx1の送信系統における信号であり、送信信号x2は、送信アンテナTx2の送信系統における信号である。
具体的には、QR−MLD部23は、伝送路推定値行列HをQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを求め、受信信号y1,y2、ユニタリー行列Q及び三角行列Rを用いて、第1の送信信号x1,x2のLLRを算出する。また、QR−MLD部23は、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えた新たな伝送路推定値行列H’をQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを求め、受信信号y1,y2、ユニタリー行列Q及び三角行列Rを用いて、第2の送信信号x1,x2のLLRを算出する。そして、QR−MLD部23は、第1の送信信号x1,x2のLLR及び第2の送信信号x1,x2のLLRに基づいて、後段の誤り訂正内符号復号部24にて用いるLLRを決定する。このようにして決定された送信信号x1,x2のLLRは、誤り訂正内符号復号部24に出力される。QR−MLD部23の構成及び処理の詳細については後述する。
誤り訂正内符号復号部24は、QR−MLD部23から送信信号x1,x2のLLRを入力し、送信装置100の誤り訂正内符号符号化部11に対応した誤り訂正内符号復号を行い、送信信号x1,x2(QPSKの場合は合計4ビットの0または1の信号)を出力する。誤り訂正外符号復号部25は、誤り訂正内符号復号部24により誤り訂正内符号復号された信号を入力し、送信装置100の誤り訂正外符号符号化部10に対応した誤り訂正外符号復号を行う。このようにして、元の映像音声データが復元される。
〔QR−MLD部/実施例1〕
次に、図2に示した受信装置2のQR−MLD部23について詳細に説明する。まず、実施例1によるQR−MLD部23について説明する。図3は、実施例1によるQR−MLD部23の構成を示すブロック図であり、図4は、実施例1によるQR−MLD部23の処理を示すフローチャートである。実施例1によるQR−MLD部23は、送信信号x1,x2のLLRを算出する処理を、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて2回行うことにより、受信信号y1,y2、ユニタリー行列Q及び三角行列Rを用いて第1及び第2のLLRを算出し、第1のLLR及び第2のLLRに基づいて送信信号x1,x2のLLRを決定し出力する。
図3において、実施例1によるQR−MLD部23−1は、伝送路推定値行列生成部30、伝送路推定値行列要素入替部31、QR分解部32−1,32−2、尤度算出部33−1,33−2及び尤度決定部34を備えている。QR分解部32−1及び尤度算出部33−1により第1のQR分解及び尤度算出部が構成され、QR分解部32−2及び尤度算出部33−2により第2のQR分解及び尤度算出部が構成される。
伝送路推定値行列生成部30は、伝送路推定部22−1から伝送路特性h11,h12を入力すると共に、伝送路推定部22−2から伝送路特性h21,h22を入力し(ステップS401)、前記式(4)のとおり、伝送路推定値行列Hを生成する(ステップS402)。
(第1のQR分解及びLLR算出処理/従来のQR分解による一般的な復調処理)
QR分解部32−1は、伝送路推定値行列生成部30から伝送路推定値行列Hを入力し、前記式(5)(6)のとおり、伝送路推定値行列HをQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを求め、前記式(8)(9)のとおり、前記式(1)の両辺にユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算する(ステップS403)。これにより、受信信号y1,y2を要素とする受信信号行列yにユニタリー行列Qの共役転置行列QHが乗算され、受信信号y1’,y2’が得られる。そして、QR分解部32−1は、受信信号y1’を送信信号x1,x2及び三角行列Rの要素r11,r12で表した前記式(10)を求めると共に、受信信号y2’を送信信号x2及び三角行列Rの要素r22で表した前記式(11)を求める(ステップS404)。
尤度算出部33−1は、QR分解部32−1により求めた、受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(10)及び受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)に基づいて、前記(a)〜(d)のとおり、最初に送信信号x2の距離dx2及びLLR(LLRx2_1bit_1,LLRx2_2bit_1)を算出し、次に送信信号x1の距離dx1及びLLR(LLRx1_1bit_1,LLRx1_2bit_1)を算出することにより、第1のLLR(LLRx1_1bit_1,LLRx1_2bit_1,LLRx2_1bit_1,LLRx2_2bit_1)を算出する(ステップS405)。尤度算出部33−1は、第1のLLR(LLRx1_1bit_1,LLRx1_2bit_1,LLRx2_1bit_1,LLRx2_2bit_1)を尤度決定部34に出力する。
図5は、ステップS405による第1のLLR算出処理の詳細を示すフローチャートである。尤度算出部33−1は、前記(a)のとおり、受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)に基づいて、前記式(12)にて送信信号x2の距離dx2(d00,d01,d10,d11)を算出する(ステップS501)。そして、尤度算出部33−1は、前記(b)のとおり、ステップS501にて算出した距離dx2を用いて、前記式(13)(14)にて送信信号x2のLLR(LLRx2_1bit_1,LLRx2_2bit_1)を算出する(ステップS502)。そして、尤度算出部33−1は、前記(c)のとおり、受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(10)に基づいて、ステップS501にて算出した距離dx2を用いて、前記式(15)にて送信信号x1の距離dx1(d00,x2=S00,d00,x2=S01,・・・,d11,x2=S11)を算出する(ステップS503)。そして、尤度算出部33−1は、前記(d)のとおり、ステップS503にて算出した距離dx1を用いて、前記式(16)(17)にて送信信号x1のLLR(LLRx1_1bit_1,LLRx1_2bit_1)を算出する(ステップS504)。
(第2のQR分解及びLLR算出処理/伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えた処理)
図3及び図4に戻って、伝送路推定値行列要素入替部31は、伝送路推定値行列生成部30から伝送路推定値行列Hを入力し、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて伝送路推定値行列H’を生成する(ステップS406)。具体的には、伝送路推定値行列要素入替部31は、伝送路推定値行列Hの第1列の要素h11,h21と第2列の要素h12,h22とを入れ替えることで、伝送路推定値行列H’を生成する。これにより、前記式(1)〜(4)を満たすように、以下の式が得られる。
y=H’・x’ ・・・(20)
Figure 0006120595
ここで、前記式(20)の送信信号行列x’は、前記式(4)の送信信号行列xの要素x1,x2を入れ替えたものである。前記式(21)に示すように、送信信号行列x’は、送信信号x2,x1を要素とする行列であり、受信信号行列yは、受信信号y1,y2を要素とする行列であり、伝送路推定値行列H’は、伝送路特性h12,h11,h22,h21を要素とする行列である。
QR分解部32−2は、伝送路推定値行列要素入替部31から伝送路推定値行列H’を入力し、以下の式(22)(23)のとおり、伝送路推定値行列H’をQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを求め、以下の式(25)のとおり、前記式(20)の両辺にユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算する(ステップS407)。
H’=Q・R ・・・(22)
Figure 0006120595
ここで、前記式(22)を変形すると、以下の式(24)が成り立つ。
H・H’=QHQ・R=R ・・・(24)
H・y=QH・H’・x’=R・x’ ・・・(25)
前記式(25)を変形すると、以下の式が成り立つ。
Figure 0006120595
これにより、受信信号y1,y2の行列yにユニタリー行列Qの共役転置行列QHが乗算され、受信信号y1’,y2’が得られる。
QR分解部32−2は、受信信号y1’を送信信号x1,x2及び三角行列Rの要素r11,r12で表した以下の式(27)を求めると共に、受信信号y2’を送信信号x1及び三角行列Rの要素r22で表した以下の式(28)を求める(ステップS408)。
1’=q11 1+q21 2=r112+r121 ・・・(27)
2’=q12 1+q22 2=r221 ・・・(28)
これにより、前記式(28)において、x2の成分を消去することができ、x1の成分のみからなる式とすることができる。このため、x1のLLRを最初に算出することにより、効率的な演算を行うことができる。
尤度算出部33−2は、QR分解部32−2により求めた、受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(27)及び受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)に基づいて、最初に送信信号x1の距離dx1及びLLR(LLRx1_1bit_2,LLRx1_2bit_2)を算出し、次に送信信号x2の距離dx2及びLLR(LLRx2_1bit_2,LLRx2_2bit_2)を算出することにより、第2のLLR(LLRx1_1bit_2,LLRx1_2bit_2,LLRx2_1bit_2,LLRx2_2bit_2)を算出する(ステップS409)。尤度算出部33−2は、第2のLLR(LLRx1_1bit_2,LLRx1_2bit_2,LLRx2_1bit_2,LLRx2_2bit_2)を尤度決定部34に出力する。
図6は、ステップS409による第2のLLR算出処理の詳細を示すフローチャートである。尤度算出部33−2は、以下の(e)のとおり、受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)に基づいて、送信信号x1の距離dx1(d00,d01,d10,d11)を算出する(ステップS601)。そして、尤度算出部33−2は、以下の(f)のとおり、ステップS601にて算出した距離dx1を用いて、送信信号x1のLLR(LLRx1_1bit_2,LLRx1_2bit_2)を算出する(ステップS602)。そして、尤度算出部33−2は、以下の(g)のとおり、受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(27)に基づいて、ステップS601にて算出した距離dx1を用いて、送信信号x2の距離dx2(d00,x1=S00,d00,x1=S01,・・・,d11,x1=S11)を算出する(ステップS603)。そして、尤度算出部33−2は、以下の(h)のとおり、ステップS603にて算出した距離dx2を用いて、送信信号x2のLLR(LLRx2_1bit_2,LLRx2_2bit_2)を算出する(ステップS604)。
次に、尤度算出部33−2により第2のLLRを算出する(e)〜(h)の処理(図6に示した処理)について具体的に説明する。以下の説明では、変調方式をQPSKとする。変調方式がQPSKの場合、x1,x2はそれぞれ2ビットの情報からなることから、x1及びx2のLLRとして合計で4つの情報を算出する。すなわち、x1の1ビット目についてLLRx1_1bit、x1の2ビット目についてLLRx1_2bit、x2の1ビット目についてLLRx2_1bit、及びx2の2ビット目についてLLRx2_2bitを算出する。
(e)まず、以下の式により、x1の距離dx1を算出する。
x1=|y2’−r221| (x1∈S00,S01,S10,S11) ・・・(29)
ここで、S00,S01,S10,S11は、2ビットの情報からなるx1である真値を示し、右下付きの2桁の数値のうち1番目の数値は1ビット目を示し、2番目の数値は2ビット目を示す。前記式(29)により、QR分解によってy2が変形されたy2’とr22x1との間の距離(の絶対値)として、x1の1ビット目が0及び2ビット目が0を真値S00とした場合の距離d00、x1の1ビット目が0及び2ビット目が1を真値S01とした場合の距離d01、x1の1ビット目が1及び2ビット目が0を真値S10とした場合の距離d10、及び、x1の1ビット目が1及び2ビット目が1を真値S11とした場合の距離d11が算出される。すなわち、x1の距離dx1として、4パターンの値d00,d01,d10,d11が算出される。x1の距離dx1は、受信信号y2’から得られる送信信号x1の受信値(位置)と、送信信号x1における真値S00,S01,S10,S11との間の誤差を示す。
(f)次に、以下の式により、x1のLLRを算出する。
LLRx1_1bit=min(d10,d11)−min(d00,d01) ・・・(30)
LLRx1_2bit=min(d01,d11)−min(d00,d10) ・・・(31)
ここで、LLRx1_1bitはx1の1ビット目における対数尤度比を示し、LLRx1_2bitはx1の2ビット目における対数尤度比を示す。LLRx1_1bitがマイナスであり、その値が大きい場合は、1ビット目が1である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d10,d11)よりも1ビット目が0である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d00,d01)の方が大きいから、x1の1ビット目が1である確率が高いことを示している。一方、LLRx1_1bitがプラスであり、その値が大きい場合は、1ビット目が1である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d10,d11)よりも1ビット目が0である可能性が高い信号位置の距離を示すmin(d00,d01)の方が小さいから、x1の1ビット目が0である確率が高いことを示している。LLRx1_2bitについても、マイナスの値が大きい場合は、x1の2ビット目が1である確率が高いことを示しており、プラスの値が大きい場合、x1の2ビット目が0である確率が高いことを示している。
(g)次に、以下の式により、x2の距離を算出する。
x2=|(y1’−r121)−r112|+dx1 (x1,x2∈S00,S01,S10,S11
・・・(32)
ここで、S00,S01,S10,S11は、それぞれ2ビットの情報からなるx1,x2である真値を示す。x1,x2はそれぞれ2ビットの情報からなり、それぞれのビットは0または1であることから、x1,x2の値が取り得るパターンはそれぞれ4つあり、x1,x2の値が取り得る組み合わせのパターンは合計で16となる。また、x1とdx1とは対応しており、例えばx1をS00とした場合、dx1にはS00の場合の式(29)で算出したd00が用いられる。
具体的には、前記式(32)により、QR分解によってy1が変形されたy1’等を用いた場合の距離として、x2の1ビット目が0及び2ビット目が0を真値S00とした場合の距離d00は、x1の真値S00,S01,S10,S11が4パターンあるから、4パターンの値d00,x1=S00,d00,x1=S01,d00,x1=S10,d00,x1=S11が算出され、同様に、x2の1ビット目が0及び2ビット目が1を真値S01とした場合の距離d01も4パターンの値d01,x1=S00,d01,x1=S01,d01,x1=S10,d01,x1=S11が算出され、x2の1ビット目が1及び2ビット目が0を真値S10とした場合の距離d10も4パターンの値d10,x1=S00,d10,x1=S01,d10,x1=S10,d10,x1=S11が算出され、x2の1ビット目が1及び2ビット目が1を真値S11とした場合の距離d11も4パターンの値d11,x1=S00,d11,x1=S01,d11,x1=S10,d11,x1=S11が算出される。すなわち、x2の距離dx2として、16パターンの値が算出される。x2の距離dx2は、受信信号y1’等から得られる送信信号x2の受信値(位置)と、送信信号x2における真値S00,S01,S10,S11との間の誤差を示す。
(h)次に、以下の式により、x2のLLRを算出する。
Figure 0006120595
Figure 0006120595
ここで、LLRx2_1bitはx2の1ビット目における対数尤度比を示し、LLRx2_2bitはx2の2ビット目における対数尤度比を示す。これらのLLRは、LLRx1_1bit,LLRx1_2bitの場合と同様に、マイナスの値が大きい場合は、1である確率が高いことを示しており、プラスの値が大きい場合、0である確率が高いことを示している。
(LLRの決定)
図3及び図4に戻って、尤度決定部34は、尤度算出部33−1から第1のLLR(LLRx1_1bit_1,LLRx1_2bit_1,LLRx2_1bit_1,LLRx2_2bit_1)を入力すると共に、尤度算出部33−2から第2のLLR(LLRx1_1bit_2,LLRx1_2bit_2,LLRx2_1bit_2,LLRx2_2bit_2)を入力し、第1のLLR及び第2のLLRに基づいて、誤り訂正に用いるLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit,LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を決定し(ステップS410)、決定したLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit,LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を誤り訂正内符号復号部24に出力する(ステップS411)。
具体的には、尤度決定部34は、第1のLLRにおけるLLRx1_1bit_1(送信信号x1の1ビット目におけるLLR)と第2のLLRにおけるLLRx1_1bit_2(送信信号x1の1ビット目におけるLLR)とを比較し、絶対値の大きい方を誤り訂正に用いるLRx1_1bit(送信信号x1の1ビット目におけるLLR)に決定する。C言語のプログラムで表現すると以下のようになる。
if(|LLRx1_1bit_1|<|LLRx1_1bit_2|){LLRx1_1bit=LLRx1_1bit_2
else{LLRx1_1bit=LLRx1_1bit_1
尤度決定部34は、送信信号x1の2ビット目、送信信号x2の1ビット目及び2ビット目についても同様の処理を行い、絶対値の大きい方をそれぞれ誤り訂正に用いるLLRx1_2bit(送信信号x1の2ビット目におけるLLR)、LLRx2_1bit(送信信号x2の1ビット目におけるLLR)、LLRx2_2bit(送信信号x2の2ビット目におけるLLR)に決定する。
これにより、誤り訂正内符号復号部24にて用いるLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit,LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)は、2つのLLR(第1のLLR及び第2のLLR)の各ビットについて絶対値の大きい方に決定され、絶対値の大きいLLRは0または1である確率が高いから、LLRの精度を向上させることができる。
尚、尤度決定部34は、第1のLLR及び第2のLLRの各ビットについて平均値を算出し、算出した平均値を誤り訂正に用いるLLRに決定するようにしてもよい。この場合、送信信号x1の1ビット目のLLRは、以下の式により決定される。
LLRx1_1bit=(LLRx1_1bit_1+LLRx1_1bit_2)/2 ・・・(35)
送信信号x1の2ビット目、送信信号x2の1ビット目及び2ビット目についても同様の処理が行われる。また、第1のLLR及び第2のLLRの各ビットについて重み付けが予め行われ、尤度決定部34は、第1のLLR及び第2のLLRの各ビットについてその重み付けを反映した計算により、誤り訂正に用いるLLRを決定するようにしてもよい。
以上のように、実施例1のQR−MLD部23−1を備えた受信装置2によれば、QR分解部32−1及び尤度算出部33−1は、従来のQR分解によりLLRを算出し、伝送路推定値行列要素入替部31、QR分解部32−2及び尤度算出部33−2は、新たなQR分解によりLLRを算出するようにした。具体的には、QR分解部32−1は、伝送路推定値行列HをQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを算出し、伝送路推定値行列Hに送信信号行列xを乗算することで得られる受信信号行列yの関係を示す前記式(1)の両辺に、ユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算することで、受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(10)、及び受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)を求めるようにした。そして、尤度算出部33−1は、(a)前記式(11)を用いて送信信号x2の距離dx2を算出し、(b)距離dx2を用いて送信信号x2のLLRを算出し、(c)前記式(10)及び距離dx2を用いて送信信号x1の距離dx1を算出し、(d)距離dx1を用いて送信信号x1のLLRを算出するようにした。一方、伝送路推定値行列要素入替部31は、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて伝送路推定値行列H’を生成し、QR分解部32−2は、伝送路推定値行列H’をQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを算出し、伝送路推定値行列H’に、送信信号行列xの要素である送信信号x1,x2を入れ替えた送信信号行列x’を乗算することで得られる受信信号行列yの関係を示す前記式(20)の両辺に、ユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算することで、受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(27)、及び受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)を求めるようにした。そして、尤度算出部33−2は、(e)前記式(28)を用いて送信信号x1の距離dx1を算出し、(f)距離dx1を用いて送信信号x1のLLRを算出し、(g)前記式(27)及び距離dx1を用いて送信信号x2の距離dx2を算出し、(h)距離dx2を用いて送信信号x2のLLRを算出するようにした。そして、尤度決定部34は、尤度算出部33−1により算出されたLLR及び尤度算出部33−2により算出されたLLRに基づいて、誤り訂正に用いるLLRを決定し出力するようにした。
これにより、QR分解しLLRを算出する処理が2回行われ、誤り訂正に用いるLLRが2つのLLRから決定されるから、LLRの精度を向上させることができる。したがって、精度が向上したLLRを用いて復号処理が行われ、精度の高い送信信号の復元を実現することができ、結果として、受信装置2において受信特性を改善することが可能となる。
〔QR−MLD部/実施例2〕
次に、実施例2によるQR−MLD部23について詳細に説明する。図7は、実施例2によるQR−MLD部23の構成を示すブロック図であり、図8は、実施例2によるQR−MLD部23の処理を示すフローチャートである。実施例2によるQR−MLD部23は、送信信号x1,x2のLLRを算出する処理を、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて2回行うことにより、従来のQR分解による一般的な復調処理により送信信号x2のLLRを算出し、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えたQR分解による復調処理により送信信号x1のLLRを算出し、これらのLLRを誤り訂正に用いるLLRとして出力する。
図7において、実施例2によるQR−MLD部23−2は、伝送路推定値行列生成部30、伝送路推定値行列要素入替部31、QR分解部32−1,32−2、尤度算出部35−1,35−2及び尤度出力部(尤度決定部)36を備えている。QR分解部32−1及び尤度算出部35−1により第1のQR分解及び尤度算出部が構成され、QR分解部32−2及び尤度算出部35−2により第2のQR分解及び尤度算出部が構成される。
図3に示した実施例1のQR−MLD部23−1とこの実施例2のQR−MLD部23−2とを比較すると、両QR−MLD部23−1,23−2共に、伝送路推定値行列生成部30、伝送路推定値行列要素入替部31及びQR分解部32−1,32−2を備えている点で同一である。一方、実施例2のQR−MLD部23−2は、実施例1のQR−MLD部23−1における尤度算出部33−1,33−2とは異なる尤度算出部35−1,35−2を備え、実施例1のQR−MLD部23−1における尤度決定部34の代わりに尤度出力部36を備えている点で相違する。
図8において、ステップS801〜ステップS804,ステップS806〜ステップS808の処理は、図4に示したステップS401〜ステップS404,ステップS406〜ステップS408の処理とそれぞれ同一である。これらの処理は、伝送路推定値行列生成部30、伝送路推定値行列要素入替部31及びQR分解部32−1,32−2により行われる。図7における伝送路推定値行列生成部30、伝送路推定値行列要素入替部31及びQR分解部32−1,32−2、並びに、図8におけるステップS801〜ステップS804,ステップS806〜ステップS808の処理は、図3及び図4にて説明済みであるから、ここでは説明を省略する。
(第1のQR分解及びLLR算出処理/従来のQR分解による一般的な復調処理)
図8に示したステップS801〜ステップS804の処理の後、尤度算出部35−1は、QR分解部32−1により求めた、受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)に基づいて、前記(a)(b)のとおり、送信信号x2の距離dx2及びLLR(LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を算出する(ステップS805)。尤度算出部35−1は、送信信号x2のLLR(LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を尤度出力部36に出力する。
図9は、ステップS805による送信信号x2のLLR算出処理の詳細を示すフローチャートである。図9に示すステップS901及びステップS902は、図5に示したステップS501及びステップS502に相当する。尤度算出部35−1は、前記(a)のとおり、受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)に基づいて、前記式(12)にて送信信号x2の距離dx2(d00,d01,d10,d11)を算出する(ステップS901)。そして、尤度算出部35−1は、前記(b)のとおり、ステップS901にて算出した距離dx2を用いて、前記式(13)(14)にて送信信号x2のLLR(LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を算出する(ステップS902)。
(第2のQR分解及びLLR算出処理/伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えた処理)
図7及び図8に戻って、図8に示したステップS806〜ステップS808の処理の後、尤度算出部35−2は、QR分解部32−2により求めた、受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)に基づいて、送信信号x1の距離dx1及びLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit)を算出する(ステップS809)。尤度算出部35−2は、送信信号x1のLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit)を尤度出力部36に出力する。
図10は、ステップS809による送信信号x1のLLR算出処理の詳細を示すフローチャートである。図10に示すステップS1001及びステップS1002は、図6に示したステップS601及びステップS602に相当する。尤度算出部35−2は、前記(e)のとおり、受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)に基づいて、送信信号x1の距離dx1(d00,d01,d10,d11)を算出する(ステップS1001)。そして、尤度算出部35−2は、前記(f)のとおり、ステップS1001にて算出した距離dx1を用いて、送信信号x1のLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit)を算出する(ステップS1002)。
(LLRの出力)
図7及び図8に戻って、尤度出力部36は、尤度算出部35−1から送信信号x2のLLR(LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を入力すると共に、尤度算出部35−2から送信信号x1のLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit)を入力し、入力したLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit,LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)を誤り訂正に用いるLLRとして誤り訂正内符号復号部24に出力する(ステップS810)。
これにより、実施例2において、誤り訂正内符号復号部24にて用いるLLR(LLRx1_1bit,LLRx1_2bit,LLRx2_1bit,LLRx2_2bit)は、実施例1に示した前記(c)(d)(g)(h)の処理を行うことなく算出される。したがって、実施例1よりも少ない計算量でLLRを得ることができる。
以上のように、実施例2のQR−MLD部23−2を備えた受信装置2によれば、QR分解部32−1及び尤度算出部35−1は、従来のQR分解により送信信号x2のLLRを算出し、伝送路推定値行列要素入替部31、QR分解部32−2及び尤度算出部35−2は、新たなQR分解により送信信号x1のLLRを算出するようにした。具体的には、QR分解部32−1は、伝送路推定値行列HをQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを算出し、伝送路推定値行列Hに送信信号行列xを乗算することで得られる受信信号行列yの関係を示す前記式(1)の両辺に、ユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算することで、受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(10)、及び受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y2’と送信信号x2との関係を表した前記式(11)を求めるようにした。そして、尤度算出部35−1は、(a)前記式(11)を用いて送信信号x2の距離dx2を算出し、(b)距離dx2を用いて送信信号x2のLLRを算出するようにした。一方、伝送路推定値行列要素入替部31は、伝送路推定値行列Hの要素を入れ替えて伝送路推定値行列H’を生成し、QR分解部32−2は、伝送路推定値行列H’をQR分解してユニタリー行列Q及び三角行列Rを算出し、伝送路推定値行列H’に、送信信号行列xの要素である送信信号x1,x2を入れ替えた送信信号行列x’を乗算することで得られる受信信号行列yの関係を示す前記式(20)の両辺に、ユニタリー行列Qの共役転置行列QHを乗算することで、受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y1’と送信信号x1,x2との関係を表した前記式(27)、及び受信信号行列yにQHを乗算して得られた受信信号y2’と送信信号x1との関係を表した前記式(28)を求めるようにした。そして、尤度算出部35−2は、(e)前記式(28)を用いて送信信号x1の距離dx1を算出し、(f)距離dx1を用いて送信信号x1のLLRを算出するようにした。そして、尤度出力部36は、尤度算出部35−1により算出された送信信号x2のLLR及び尤度算出部35−2により算出された送信信号x1のLLRを、誤り訂正に用いるLLRとして出力するようにした。これにより、実施例1よりも少ない計算量及び低い負荷にてLLRを算出することができる。これは、キャリア変調方式に応じて多値化のビット数が増えるほど、計算量削減には有効となる。
一方、前述のとおり、従来のQR分解による一般的な復調処理においてMアルゴリズムの処理を用いることにより、計算量を減らすことができる。このMアルゴリズムの処理は、先に、(a)送信信号x2の距離dx2を算出し、(b)距離dx2を用いて送信信号x2のLLRを算出し、次に、送信信号x2の候補を減らして(c’)送信信号x1の距離dx1を算出し、(d’)距離dx1を用いて送信信号x1のLLRを算出するものである。しかしながら、このMアルゴリズムの処理では、(c’)(d’)の処理において、送信信号x2の候補を減らす際に、実際の信号位置に近い候補を除外する可能性があり、精度の高い送信信号x1のLLRを算出することができず、十分な受信特性を実現することができないことがあり得る。これは、(c’)(d’)において、送信信号x2の候補の一部が除外され、全ての候補について処理が行われないからである。
これに対し、実施例2のQR−MLD部23−2を備えた受信装置2によれば、QR−MLD部23−2は、送信信号x1の全ての候補を用いて送信信号x2のLLRを算出し、送信信号x2の全ての候補を用いて送信信号x1のLLRを算出する。これにより、従来のMアルゴリズムの処理に比べ、LLRの精度を向上させることができる。したがって、精度が向上したLLRを用いて復号処理が行われるから、精度の高い送信信号の復元を実現することができ、結果として、Mアルゴリズムの処理に比べ、受信特性を改善することが可能となる。
〔実験結果〕
次に、実施例1によるQR−MLD部23−1を備えた受信装置2の実験結果(計算機シミュレーション結果)について説明する。図11は、その計算機シミュレーション結果を示す図である。図11において、横軸はC/N[dB]、縦軸は誤り訂正内符号復号後のBERを示す。また、この計算機シミュレーション結果は、キャリア変調方式がQPSK、内符号がターボ符号、符号化率がr=1/2、伝送路が都市型6波モデルTU6、ドップラー周波数が20Hzの条件の下で得られた特性である。図11から、従来技術(従来のQR分解による一般的な復調処理)の結果と、本発明の実施形態(実施例1によるQR−MLD部23−1を備えた受信装置2)の結果とを比較すると、本発明の実施形態では、所定のBERにおけるC/Nが、従来技術よりも0.9dB改善されたことがわかる。
以上、実施例1,2を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1,2に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。前記実施例1,2では、2本の送信アンテナ101及び2本の受信アンテナ201を備えた2×2のMIMO通信システム1の例を挙げて説明したが、本発明は、2本以上の送信アンテナ101及び受信アンテナ201を備えたMIMO通信システム1であれば適用がある。
尚、本発明の実施形態による受信装置2のハードウェア構成としては、通常のコンピュータを使用することができる。受信装置2は、CPU、RAM等の揮発性の記憶媒体、ROM等の不揮発性の記憶媒体、及びインターフェース等を備えたコンピュータによって構成される。受信装置2に備えたQR−MLD部23の機能は、この機能を記述したプログラムをCPUに実行させることにより実現される。また、このプログラムは、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもでき、ネットワークを介して送受信することもできる。
1 MIMO通信システム
2,200 受信装置
10 誤り訂正外符号符号化部
11 誤り訂正内符号符号化部
12 キャリア変調部
13 分割部
14 OFDMフレーム化部
15 IFFT部
16 GI付加部
20 GI除去部
21 FFT部
22 伝送路推定部
23 QR−MLD部
24 誤り訂正内符号復号部
25 誤り訂正外符号復号部
30 伝送路推定値行列生成部
31 伝送路推定値行列要素入替部
32 QR分解部
33,35 尤度算出部
34 尤度決定部
36 尤度出力部
100 送信装置
101 送信アンテナ
201 受信アンテナ

Claims (3)

  1. 複数の送信アンテナと複数の受信アンテナとの間の伝送路特性を推定し、前記伝送路特性を要素とする伝送路推定値行列をQR分解し、前記複数の送信アンテナから送信された送信信号の尤度を算出し、前記送信信号の尤度を用いて復号を行うMIMO受信装置において、
    前記伝送路特性を要素とする伝送路推定値行列を生成する伝送路推定値行列生成部と、
    前記伝送路推定値行列生成部により生成された伝送路推定値行列をQR分解して第1のユニタリー行列及び第1の三角行列を求め、前記複数の受信アンテナにて受信した受信信号を要素とする受信信号行列、前記第1のユニタリー行列及び前記第1の三角行列に基づいて、前記複数の送信アンテナから送信した送信信号の尤度を算出する第1のQR分解及び尤度算出部と、
    前記伝送路推定値行列生成部により生成された伝送路推定値行列の要素を入れ替え、新たな伝送路推定値行列を生成する伝送路推定値行列要素入替部と、
    前記伝送路推定値行列要素入替部により生成された伝送路推定値行列をQR分解して第2のユニタリー行列及び第2の三角行列を求め、前記受信信号行列、前記第2のユニタリー行列及び前記第2の三角行列に基づいて、前記送信信号の尤度を算出する第2のQR分解及び尤度算出部と、
    前記第1のQR分解及び尤度算出部により算出された送信信号の尤度と、前記第2のQR分解及び尤度算出部により算出された送信信号の尤度とを比較し、絶対値の大きい尤度を、前記復号のために用いる送信信号の尤度として決定する尤度決定部と、
    を備えたことを特徴とするMIMO受信装置。
  2. 請求項1に記載のMIMO受信装置において、
    前記第1のQR分解及び尤度算出部は、
    前記第1のユニタリー行列の共役転置行列を前記受信信号行列に乗算して得た行列を乗算後の第1の受信信号行列とし、前記複数の送信アンテナから送信した送信信号を要素とする行列を送信信号行列として、
    前記乗算後の第1の受信信号行列における1つの要素と前記送信信号行列における1つの要素との関係を前記第1の三角行列の要素で表した式を用いて、前記送信信号行列における1つの要素を第1の送信信号とした場合の前記第1の送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第1の送信信号の尤度を算出し、
    前記乗算後の第1の受信信号行列における他の1つの要素と前記送信信号行列における複数の要素との関係を前記第1の三角行列の要素で表した式を用いて、前記第1の送信信号とは異なる送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第1の送信信号とは異なる送信信号の尤度を算出し、
    前記第2のQR分解及び尤度算出部は、
    前記第2のユニタリー行列の共役転置行列を前記受信信号行列に乗算して得た行列を乗算後の第2の受信信号行列とし、
    前記乗算後の第2の受信信号行列における1つの要素と前記送信信号行列における1つの要素との関係を前記第2の三角行列の要素で表した式を用いて、前記送信信号行列における1つの要素を前記第1の送信信号とは異なる第2の送信信号とした場合の前記第2の送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第2の送信信号の尤度を算出し、
    前記乗算後の第2の受信信号行列における他の1つの要素と前記送信信号行列における複数の要素との関係を前記第2の三角行列の要素で表した式を用いて、前記第2の送信信号とは異なる送信信号における真値との間の誤差を示す距離を算出し、前記算出した距離を用いて、前記第2の送信信号とは異なる送信信号の尤度を算出する、ことを特徴とするMIMO受信装置。
  3. コンピュータを、請求項1または2に記載のMIMO受信装置として機能させるためのMIMO受信プログラム。
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