JP6120492B2 - 熱中性子炉用制御棒 - Google Patents

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Description

本発明は、熱中性子炉用制御棒に関する。さらに詳しくは、本発明は、異なる性質の制御材を備えている熱中性子炉用制御棒に関するものである。
従来、原子炉の出力調整や炉停止に用いられる制御棒には、ステンレス鋼で被覆された炭化ホウ素(BC)(沸騰水型軽水炉)や銀−インジウム−カドミウム(Ag−In−Cd)合金(加圧水型軽水炉)、またはステンレス鋼製のスリーブ内に設置された金属ハフニウム(Hf)(沸騰水型軽水炉)が利用されている。また、加圧水型軽水炉では冷却水中のホウ酸濃度を調整することによって出力制御や炉停止時における未臨界が確保されている。
また、上記炭化ホウ素、銀−インジウム−カドミウム合金、金属ハフニウム以外にも中性子吸収効果の大きい元素は存在しており、例えばガドリニウム(Gd)のように中性子吸収率が非常に高い同位体を含む元素を熱中性子炉内に装荷すれば、大きな負の反応度効果(原子炉停止余裕)が期待できる。しかしながら、中性子吸収反応によるその同位体自身の減損が著しいため、これまで制御材としては一般に利用されていない。また長寿命制御棒の候補材として、ジスプロシウム(Dy)を利用した例があるが、体積変化などの照射損傷を低減するため蛍石型構造をもつチタン酸ジスプロシウム(Dy・TiO)の形態で利用するため、制御棒価値は従来材(Ag−In−Cd合金)と同等である。
安成弘、他1名、「電気学会大学講座 基礎原子力工学」第5版、電気学会、p.176―177
Cとステンレス鋼材の主成分である鉄(Fe)との共晶温度(約1150℃)やAg−In−Cd合金の融点(約800℃)は、軽水炉燃料の被覆管材であるジルカロイ(Zry)と水蒸気との酸化反応が急激に進行しはじめる温度(約1200℃)よりも低い。したがって、何らかの異常事象によって制御棒が全挿入され、原子炉が緊急停止した後においても、長期に亘って冷却不全の状態が継続し、炉心温度の上昇が続く事態となった場合には、大規模な燃料破損に先んじて制御棒が溶融し、脱落する虞がある。したがって、先行破損した制御材が、燃料物質と分離してしまう懸念がある。
実際に1979年に米国のスリーマイル島原子力発電所2号機(TMI−2:加圧水型軽水炉)で起こった炉心損傷事故後の調査結果によれば、炉内堆積物の多くを占めるウラン酸化物(UO)やジルコニウム酸化物(ZrO)などのセラミックス相には、制御材(Ag、In、Cd)がほとんど存在していなかった。一方で、鉄などの構造材を主成分とする金属相には金属ウランや制御材の一部(Ag、In)も存在していた。つまり、Ag−In−Cd合金はUOとは均一に混合しないこと、特に蒸気圧の高いCdは、金属相にもほとんど存在しないことなどが明らかになっている。TMI−2事故では、ホウ酸水の注入が機能したことにより、事象収束後、炉内の燃料物質による再臨界の発生は確認されていない。しかしながら、制御材と燃料物質が分離したまま、真水または海水が注入され、それらが再冠水した場合には再臨界に至る虞がある。
一方で、停止中の原子炉に従来以上の深い未臨界度を確保するため、制御材として中性子吸収効果のより高い物質を利用する場合には、制御棒の挿入量と反応度の変化量との関係が変化するため、運転条件や炉心制御にも多大な影響が生じる。また、中性子吸収による制御材の減損や照射損傷も顕著となり、制御棒の短寿命化による経済性の低下や運転期間中の制御効果の低減による安全性の低下が課題となる。
本発明は、炉心溶融時の燃料物質と制御材との分離を防止することができると共に、より高い原子炉停止余裕を確保することができ、しかも、熱中性子炉の運転条件や制御性への影響を抑えることができると共に、制御材の寿命を延ばすことができる熱中性子炉用制御棒を提供することを目的とする。
通常の炉停止時および過酷事故時のより高い安全性を確保するため、以下の性能を有する制御材に代替する。さらに制御材を代替することによる熱中性子炉の運転条件や制御性への影響、および制御材自体の照射損傷を最小限に抑えるとともに制御棒の短寿命化を防ぎ、運転初期から末期に亘って、従来を上回る原子炉停止余裕を確保する制御材の配置を行う。
(1) 通常の炉停止時および過酷事故時により高い安全性を確保するため、以下の性能を満足する制御材に変更する。
(i)炉心が溶融するような場合であっても、制御棒が燃料に先んじて溶融・脱落することを回避するため、大規模な炉心損傷が始まる温度よりも高い溶融温度(融点および構造材との共晶温度)の物質を制御材として採用する。
(ii)熱中性子炉の燃料が溶融、崩落した後においても燃料物質(燃料デブリ)と分離せず、再固化後も互いに固溶するなどして、燃料物質内に留まる(燃料デブリ内に混合する)物質を制御材とする。
(iii)炉停止時の未臨界度裕度を増大するため、従来材よりも大きな中性子吸収効果を有する物質を制御材として利用する。
即ち、中性子吸収効果の観点から、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ジスプロシウム(Dy)等の元素が候補材として挙げられる。また、溶融温度の観点からは、これらの元素の酸化物が適当と考えられる。
ここで、Gd酸化物は、可燃性毒物として燃料に混ぜて利用されている実績がある。さらに、Gdなどの希土類元素は相互に化学的特性が似ていることから、Gd以外の希土類元素の酸化物も燃料物質との混和性は高いものと考えられる。
また、TMI−2事故後の炉内物質の調査結果からは、燃料物質とジルコニウム酸化物(ZrO)が混合して存在していたことが明らかとされている。したがって、現行制御材の一つであり、Zrと化学的性質が非常に類似したHfにおいても、その酸化物(HfO)と燃料物質との混和性は高いと類推できる。さらに、希土類元素(M)の酸化物(M)やHfOは相互に溶解することが知られている。
したがって、Gd、Sm、Eu、Dyといった希土類元素の酸化物、またはそれらやHfOとの混合物を主成分とする材料は溶融した燃料中に溶存し得る(燃料デブリ内に混合する)と考えられるので、これらが制御材の候補として挙げられる。
(2) 新たな制御材を利用することによる熱中性子炉の運転条件や制御性への影響、および制御材自体の照射損傷を最小限に抑えるとともに、長期に亘る制御価値を確保するため、以下のような配置構成とする。
(iv)熱中性子炉の出力運転時に炉心内部や炉心端近傍に配置され、長期に亘って高中性子束場に晒される制御棒部位(出力調整領域)には、従来材(BCまたはAg−In−Cd合金、Hfなど)を装填し、通常時はこれまで通りの運転制御を行う。
(v)炉心の出力領域から離れ、運転期間を通じて比較的中性子束の低い場に配置される制御棒部位(外側領域)に、上記(1)に示す新型制御材(炉停止用制御材)を装填し、炉停止時(制御棒全挿入時)の停止余裕の増大と制御棒価値の長寿命化を図る。
(vi)運転中の中性子照射による制御棒の各軸方向領域の中性子吸収効果(制御棒価値)の変化を適切に評価し、高中性子場に配置され、制御棒価値が設定条件以下に低下した部位(従来材装荷領域)は適宜交換する一方、低中性子束場に配置され、制御棒価値の低下がほとんどない部位(新型制御材領域)は再利用を図る。
即ち、本発明の熱中性子炉用制御棒は、熱中性子炉の通常運転時に炉心内に挿入される又は炉心近傍の高中性束場に晒される出力調整領域にステンレス鋼製被覆管内に装填された運転時出力調整用制御材と、出力調整領域の外側に位置し且つ運転停止時に炉心に挿入される外側領域にステンレス鋼製被覆管内に装填された炉停止用制御材とを備え、炉停止用制御材は、運転時出力調整用制御材よりも熱中性子吸収効果が高く、燃料の被覆管が水蒸気との酸化反応によって破損または溶融する温度よりも高い溶融温度を有し、溶融した燃料中に溶存し得るものである。
また、本発明の熱中性子炉用制御棒は、炉停止用制御材が、ガドリニウム、サマリウム、ユーロピウム、ジスプロシウムのいずれかの元素の酸化物、またはそれらとハフニウム酸化物との混合物を主成分としている。さらにZrO を含んでいてもよい。
さらに、本発明の熱中性子炉用制御棒は、運転時出力調整用制御材が、熱中性子炉が沸騰水型軽水炉の場合には炭化ホウ素であり、熱中性子炉が加圧水型軽水炉の場合には銀−インジウム−カドミウム合金である。
本発明の熱中性子炉用制御棒では、炉停止時にのみ使用される外側領域の制御材を、通常運転時に使用される出力調整領域の運転時出力調整用制御材よりも熱中性子吸収効果の高い炉停止用制御材にしているので、より大きな炉停止余裕を確保することができる。
また、例えば加圧水型軽水炉等のように冷却水中の液体ポイズン濃度の調整により反応度を制御する熱中性子炉では、何らかの事由により真水または海水が炉水に混入した場合に液体ポイズン濃度が低下して炉の未臨界度に影響を与える虞があるが、このような事由に対する炉の未臨界度の確保が容易である。
また、炉停止用制御材は運転時に炉心からの中性子の影響をあまり受けない外側領域に配置されるので、中性子吸収による減損や照射損傷を抑制することができ、長期間に亘って高い制御棒価値を維持することができると共に、長寿命化することができる。
また、炉停止用制御材は燃料の被覆管が水蒸気との酸化反応によって破損または溶融する温度よりも高い溶融温度を有しているので、炉停止用制御材が燃料に先んじて溶融、脱落することはなく、しかも溶融時には燃料の主成分であるウラン中に溶存し得ることから、燃料溶融物や溶融固化物と炉停止用制御材が分離せずに混合し、燃料デブリの再臨界回避の裕度を持ったより高い事故耐性が実現される。
また、炉停止用制御材の溶融温度は燃料の被覆管が水蒸気との酸化反応によって破損または溶融する温度よりも高い溶融温度を有しており、炉心の異常高温時に燃料に先んじて炉停止用制御材が溶融、脱落することがないので、炉停止後に冷却材の喪失等によって炉心が異常に高温になった場合に対しても再臨界回避の裕度を持ったより高い事故耐性が実現される。
また、通常運転時の出力調整に使用する出力調整領域の制御材を、炉停止用制御材とは別の運転時出力調整用制御材としているので、運転時出力調整用制御材として従来の制御材と同じものを採用することで、熱中性子炉の運転条件や出力制御への影響を抑えることができる。そのため、既存の熱中性子炉への使用が容易である。
このように、熱中性子炉の運転条件や制御性にはほとんど変化を与えることなく、熱中性子炉の過酷事故発生時から事故後の臨界安全性を向上させることができると共に、通常時の炉停止余裕を増大させることができる。
本発明の熱中性子炉用制御棒(上段:BWR用、下段:PWR用)の制御材の配置の概念を示し、(A)は比較のための従来の制御棒についての概念図、(B)は通常運転時の状態を示す概念図、(C)は運転停止時の状態を示す概念図、(D)は炉心溶融時の状態を示す概念図である。 BWR用制御棒を示し(A)は比較のための従来の制御棒についての概念図、(B)は本発明の熱中性子炉用制御棒の概念図である。 PWR用制御棒を示し(A)は比較のための従来の制御棒についての概念図、(B)は本発明の熱中性子炉用制御棒の概念図である。
以下、本発明の構成を図面に示す形態に基づいて詳細に説明する。本発明の熱中性子炉用制御棒は、既に実用化されている熱中性子炉用制御棒(図1(A)、図2(A)、図3(A))に対して、熱中性子炉の通常運転時に使用する出力調整領域(運転時の反応度の調整を行う領域および炉心外部の近傍領域)の制御材はそのまま代えずに、熱中性子炉の停止に使用する外側領域(運転停止時に負の反応度を加える領域)の制御材を炉停止用制御材に代えたことを特徴としている(図1(B)、図2(B)、図3(B))。
また、本発明の熱中性子炉用制御棒は、例えば二酸化ウラン等のウラン燃料、MOX燃料等を使用する熱中性子炉、例えば沸騰水型軽水炉や加圧水型軽水炉等の軽水炉、重水炉、黒鉛炉等で使用される。
なお、これらの燃料の被覆管の材料としては、例えばジルカロイ等が使用可能であり、ジルカロイの場合は約800℃の水蒸気で酸化反応が起こり、約1200℃以上では酸化反応が急激に進み、破損する。また、この反応は発熱反応であるため、急激な酸化によってジルカロイの融点である約1750℃を超え、溶融に至る。
図1(上段)及び図2に本発明の熱中性子炉用制御棒の第1の実施形態を示す。なお、図2において、符号10はエンドプラグ、符号11はステンレス鋼球、符号12はステンレス被覆管、符号13はディンプル、符号14は従来の制御材である。本実施形態では、炉心に下から挿入するタイプの制御棒を例に説明する。このようなタイプの制御棒を使用する熱中性子炉としては、例えば沸騰水型軽水炉(BWR)がある。
熱中性子炉用制御棒(以下、単に制御棒という)1は、熱中性子炉の通常運転時に炉心2内に挿入される又は炉心2近傍の高中性束場に晒される出力調整領域3に装填された運転時出力調整用制御材4と、出力調整領域3の外側(炉心2とは反対側)に位置し且つ運転停止時に炉心2に挿入される外側領域5に配置された炉停止用制御材6とを備えている。
制御棒1は複数組み合わせて制御棒集合体の形態で使用されるものでも良いし、単独で使用されるものでも良い。また、その形状は必ずしも棒状のものに限られず、例えば細長い板状のもの等も含まれる。本実施形態では、図2に示す棒状の制御棒1を複数十字形に組み合わせて制御棒集合体として使用される。
なお、BWRでは、図1(A)及び(B)に示すように、制御棒1として、通常運転時においてその上部が炉心2内部まで挿入されている出力制御用のもの(記載されている3本の制御棒1のうち、左右両側の制御棒1)と、通常運転時において炉心2に挿入されておらずその上端を炉心2下端のごく近傍に位置させている炉停止用のもの(記載されている3本の制御棒1のうち、中央の制御棒1)とがある。通常運転時にその一部が炉心2内に挿入される出力制御用の制御棒1は、挿入されていない炉停止用の制御棒1よりも、出力調整領域3が長く、外側領域5が短い。
炉停止用制御材6は、運転時出力調整用制御材4よりも熱中性子吸収効果が高く、燃料の被覆管が水蒸気との酸化反応によって破損または溶融する温度よりも高い溶融温度を有し、溶融した燃料中に溶存し得るものである。例えば、ガドリニウム(Gd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ジスプロシウム(Dy)のいずれかの元素の酸化物、またはそれらとハフニウム酸化物との混合物を主成分としている。上記各酸化物としては安定的なものの使用が好ましく、例えば、ガドリニウム酸化物としてはGd(ガドリニア、融点:約2350℃)、サマリウム酸化物としてはSm(融点:約2300℃)、ユーロピウム酸化物としてはEu(融点:約2350℃)、ジスプロシウム酸化物としてはDy(融点:約2340℃)、ハフニウム酸化物としてはHfO(ハフニア、融点:約2800℃)の使用が適しているが、これらには限られない。なお、上記各融点は文献値(文献:T.B.Massalski, etal.,'Binary Alloy Phase Diagrams second edition', ASM international)であり、いずれの値も±50℃程度の誤差は見込まれる。また、これらを混合すると〜100℃程度、溶融温度が下がると予想される。これらの酸化物は適宜混合され、例えば粉末状で、またはペレット状に成型されて被覆管に充填されて制御棒1が形成される。
なお、上記酸化物または上記酸化物の混合物を、ZrO等の酸化物と混合して使用しても良い。
運転時出力調整用制御材4は、既存の熱中性子炉で使用されている制御棒1の制御材(従来材)と同じものである。例えば、BWRの場合は炭化ホウ素(BC)または金属ハフニウム(Hf)である。ただし、これらには限られない。
本実施形態の制御棒1(図2(B))は、従来使用されている制御棒(図2(A))に対して、出力調整領域3の制御材は変更せずにそのまま運転時出力調整用制御材4とし、外側領域5の制御材を炉停止用制御材6に代替したものである。本実施形態の制御棒1は下から炉心2に挿入されるものであり、出力調整領域3の下に外側領域5が配置される。
即ち、緊急炉停止をともなう過酷事故時において、再臨界の虞を回避することで、熱中性子炉の安全性向上を図ることを目的に、以下のように本発明の制御棒1に変更する。運転中に炉心2内に挿入される出力制御部分や炉心2の下端近傍の漏洩中性子束が高い位置に配置される制御棒領域(出力調整領域3)には、従来の制御棒と同じ制御材即ち運転時出力調整用制御材4を装填する。一方、炉心2から離れ、漏洩中性子束が十分に低減する制御棒領域(外側領域5)には炉停止用制御材6を装填する(図1(B)上)。
出力調整領域3の制御材は従来の制御棒の制御材と同様であるため、通常時の中性子吸収効果に変化はなく、熱中性子炉の運転条件や制御はこれまで通りの運用が可能である(図1(A)上、(B)上)。
一方、炉停止時には熱中性子吸収効果の高い炉停止用制御材6が炉心2内に挿入されることで、高い炉停止余裕が確保される(図1(C)上)。
また、制御棒1あたりの反応度価値が増大するため、炉停止時に制御棒1が誤って引き抜かれた場合に投入される反応度は増大するが、その他の炉心・燃料仕様はこれまで通りであるため、炉心2全体として従来以上の反応度体系となることはない。さらに、炉停止状態から制御棒1を1本誤って引き抜いた場合を想定しても、従来を上回る炉停止余裕が確保できる。
炉停止用制御材6の溶融温度(融点や炉心構造体(主にFe)との液相形成温度)は、過酷事故時に大規模な炉心損傷が起こる温度よりも高く、炉心燃料に先んじて溶融、脱落し難い。また、炉停止用制御材6は、燃料の主成分であるUOの液相及び固相中に溶存するので、過酷事故後も燃料成分と分離せずに燃料デブリ7中に存在する(図1(D)上)。
熱中性子吸収効果が非常に高い炉停止用制御材6(例えば、ガドリニア:Gdを使用する場合には、Gd同位体(例:天然ガドリニウム(Gd)元素中のGd155やGd157など))は、運転中に中性子が照射されると、中性子吸収反応によって比較的短期間で減損し、十分な制御棒価値が保たれる期間(制御棒寿命)が限定される。しかしながら、本発明では、中性子吸収効果の高い炉停止用制御材6の装填領域(外側領域5)を中性子束の高い位置から遠ざけて配置しているので、それらの減損はほとんどなく、長期に亘って繰り返し再利用することが可能となる。
次に、本発明の熱中性子炉用制御棒の第2の実施形態を示す。本実施形態では、炉心に上から挿入するタイプの制御棒を例に説明する。このようなタイプの制御棒を使用する熱中性子炉としては、例えば加圧水型軽水炉(PWR)がある。なお、上述の部材と同一の部材については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
図1(下段)及び図3に、本実施形態の制御棒1を示す。なお、図3において、符号15はエンドプラグ、符号16は上部端栓、符号17は押さえばね、符号18はステンレス被覆管、符号19は従来の制御材、符号20は下部端栓である。PWRの制御棒1は、通常運転時において炉心2に挿入されておらず、その下端を炉心2上端のごく近傍に位置させている(図1(A)及び(B))。
運転時出力調整用制御材4は、既存の熱中性子炉で使用されている制御棒1の制御材(従来材)と同じものである。例えば、PWRの場合は銀−インジウム−カドミウム(Ag−In−Cd)合金などである。ただし、これらには限られない。
本実施形態の制御棒1(図2(B))は、従来使用されている制御棒(図3(A))に対して、出力調整領域3の制御材は変更せずにそのまま運転時出力調整用制御材4とし、外側領域5の制御材を炉停止用制御材6に代替したものである。本実施形態の制御棒1は上から炉心2に挿入されるものであり、出力調整領域3の上に外側領域5が配置される。
即ち、炉心2内に挿入される出力制御部分や炉心2の上端近傍の漏洩中性子束が高い位置に配置される制御棒領域(出力調整領域3)には、従来の制御棒と同じ制御材即ち運転時出力調整用制御材4を装填する。一方、炉心2から離れ、漏洩中性子束が十分に低減する制御棒領域(外側領域5)には炉停止用制御材6を装填する(図1(B)下)。
出力調整領域3の制御材は従来の制御棒の制御材と同様であるため、通常時の中性子吸収効果に変化はなく、熱中性子炉の運転条件や制御はこれまで通りの運用が可能である(図1(A)下、(B)下)。
一方、炉停止時には熱中性子吸収効果の高い炉停止用制御材6が炉心2内に挿入されることで、高い炉停止余裕を確保される(図1(C)下)。
また、制御棒1あたりの反応度価値が増大するため、炉停止時に制御棒1が誤って引き抜かれた場合に投入される反応度は増大するが、その他の炉心・燃料仕様はこれまで通りであるため、炉心2全体として従来以上の反応度体系となることはない。さらに、炉停止状態から制御棒1を1本誤って引き抜いた場合を想定しても、従来を上回る炉停止余裕が確保できる。
炉停止用制御材6の溶融温度(融点や炉心構造体(主にFe)との液相形成温度)は、過酷事故時に大規模な炉心損傷が起こる温度よりも高く、炉心燃料に先んじて溶融、脱落し難い。また、炉停止用制御材6は、燃料の主成分であるUOの液相及び固相中に溶存するので、過酷事故後も燃料成分と分離せずに燃料デブリ7中に存在する(図1(D)下)。
即ち、PWR用の場合は、炉心2の上端近傍の出力調整領域3には従来通りAg−In−Cd合金などを装填し、炉心2から離れた外側領域5に炉停止用制御材6を装填する(図1(B)下)することで、BWR用の場合と同様の効果が得られる。また、過酷事故を収束させるため緊急に真水や海水を注入し、炉水中の液体ポイズン(ホウ酸)濃度が低下した場合にも、従来以上の未臨界度裕度が確保できる。
中性子吸収効果が非常に高い炉停止用制御材6は、運転中に中性子が照射されると、中性子吸収反応によって比較的短期間で減損し、十分な制御棒価値が保たれる期間(制御棒寿命)が限定される。しかしながら、本発明では、中性子吸収効果の高い炉停止用制御材6の装填領域(外側領域5)を中性子束の高い位置から遠ざけて配置しているので、それらの減損はほとんどなく、長期に亘って繰り返し再利用することが可能となる。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。
例えば、適用可能な熱中性子炉は、発電目的の熱中性子炉の他、例えば実験・研究目的、船舶などの動力目的等の熱中性子炉で使用する制御棒についても適用可能である。
また、運転時出力調整用制御材4として、重水炉や黒鉛炉用の制御棒1も主に炭化ホウ素が使用される。
1 制御棒
2 炉心
3 出力調整領域
4 運転時出力調整用制御材
5 外側領域
6 炉停止用制御材

Claims (2)

  1. 熱中性子炉の通常運転時に炉心内に挿入される又は前記炉心近傍の高中性束場に晒される出力調整領域にステンレス鋼製被覆管内に装填された運転時出力調整用制御材と、前記出力調整領域の外側に位置し且つ運転停止時に前記炉心に挿入される外側領域にステンレス鋼製被覆管内に装填された炉停止用制御材とを備え
    前記運転時出力調整用制御材は、前記熱中性子炉が沸騰水型軽水炉の場合には炭化ホウ素であり、前記熱中性子炉が加圧水型軽水炉の場合には銀−インジウム−カドミウム合金であり、
    前記炉停止用制御材は、前記運転時出力調整用制御材よりも熱中性子吸収効果が高く、燃料の被覆管が水蒸気との酸化反応によって破損または溶融する温度よりも高い溶融温度を有し、溶融した前記燃料中に溶存し得る、ガドリニウム、サマリウム、ユーロピウム、ジスプロシウムのいずれかの元素の酸化物、またはそれらとハフニウム酸化物との混合物を主成分とすることを特徴とする熱中性子炉用制御棒。
  2. 前記炉停止用制御材としてさらにZrOを含む請求項に記載の熱中性子炉用制御棒。
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