JP6120359B2 - 基材のコーティング方法及びこれを用いたタービンエンジン部品 - Google Patents

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本発明は、基材のコーティング方法に関し、特にジェットエンジンやガスタービンのブレード等、高温環境下で用いられる材料への表面コーティングに用いて好適な基材のコーティング方法に関する。より詳しくは、コーティングを施した部材が高温にさらされた場合、基材内部の劣化を抑えるための表面コーティング方法に用いて好適な基材のコーティング方法に関する。
ジェットエンジンやガスタービンのブレードといった高温で用いられる材料は、材料の表面が酸化や腐食によって浸食されるため、これらを防ぐコーティングが施される。たとえば、高温における機械的特性に優れたNi基合金にコーティング材としては、融点が高く耐酸化特性に優れたPtをはじめとする白金族金属を表面に被覆し、その後高温にて時効処理を施すPt拡散コーティングなどがあげられる(特許文献1)。
しかしながら、前記のように、Ni基合金の融点に比べてPtといった白金属金属は融点が高い。融点が高い合金は一般的に拡散速度が遅いため、Ni基合金の上にPtを被覆した材料に高温で時効処理を施したり、その後高温下で使用したりすると、Ni基合金とPtの拡散係数の差から、図1に示す様な元素の拡散によって基材中にボイドが生成し、基材の機械的特性を劣化させる(非特許文献1)。
他方、Ptの代わりにPtIr合金を被覆することで、Ni基超合金の種類によっては耐酸化特性を向上させ、またボイドの発生を抑える効果があることが確認されているが、このような特性は基材であるNi基超合金に依存するという欠点がある(非特許文献1)。
特開2007−169783号公報
安井義人他、日本金属学会誌、第73巻12号(2009)913−918
本発明は、このような実情を鑑み、コーティングされた材料が高温にさらされても、基材中に生成するボイドを抑制し、基材の劣化を防止する耐酸化コーティング方法を提供する。
本発明の基材のコーティング方法は、基材を設けるステップと、PtIr中のIr含有量が3〜50質量%であるPtとIrの合金層を、前記基材の表面の上に堆積するPtIr合金層の堆積ステップと、前記PtIr合金層の上に、5〜25質量%のAlと残部がNiからなる上部被覆合金層堆積するステップと、前記PtIr合金層と前記上部被覆合金層の積層ボンドコートを形成するように、前記の堆積された層とともに前記基材を熱処理する熱処理ステップと、を備えることを特徴とする。
このように構成された本発明の基材のコーティング方法によれば、例えば図2に示す様なPtIr合金層と2層コーティングが形成されて、基材とコーティング材の相互拡散による基材のボイドの発生を抑制することができる。すなわち、PtIr合金層は基材のNi基超合金よりも拡散係数が小さく、上部被覆合金層はPtIr合金層の拡散係数よりも大きな拡散係数を有するため、基材でのボイドの発生を抑制できる。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記基材を設けるステップが、Ni基合金からなる基材を含み、かつ前記PtIr合金層の堆積ステップが、前記基材の表面上にPtIr合金層を電気めっきすることを含むとよい。このように構成すると、電気めっきは安価で収率が高いため、各層のコーティングが安価にできる。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記PtIr合金層の堆積ステップが、6から12μmの範囲の厚さにPtIr合金層を堆積するとよい。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記上部被覆合金層の堆積ステップが、電気めっきを用いて前記上部被覆合金層を堆積することを含むとよい。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記上部被覆合金層の堆積ステップが、前記PtIr合金層の厚さの1/8から1/2で、前記上部被覆合金層の厚さで前記上部被覆合金材料を堆積することを含むとよい。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記熱処理ステップが、前記積層ボンドコートを形成するように、温度を650〜1150°Cの範囲で、時間を0.5〜15時間の範囲で、前記の堆積層とともに前記基材を熱処理することを含むとよい。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記積層ボンドコートの上に、25〜1500μmの範囲の厚さのセラミックトップコートを付加するステップをさらに含むとよい。
本発明の基材のコーティング方法において、好ましくは、前記セラミックトップコートを付加するステップが、75〜400μmの範囲の厚さにセラミックトップコートを付加することを含むとよい。
本発明のタービンエンジン部品は、Ni基合金からなる基材と、前記基材の表面に適用されたPtIr合金層と、前記PtIr合金層の上に、5〜25質量%のAlと、残部がNiからなる組成を有する上部被覆合金層よりなる積層ボンドコートとを備え、前記PtIr合金層は、PtIr中のIr含有量が3〜50質量%であり、前記積層ボンドコートが、6から12μmの範囲の厚さのPtIr合金層を有すると共に、前記上部被覆合金層の厚さが前記PtIr合金層の厚さの1/8から1/2であることを特徴とする。
本発明の基材のコーティング方法では、PtIr合金層は基材のNi基超合金よりも拡散係数が小さく、上部被覆合金層はPtIr合金層の拡散係数よりも大きな拡散係数を有するため、基材でのボイドの発生を抑制できる。
本発明の基材のコーティング方法では、例えば請求項2、4に示すように、PtIr合金層と上部被覆合金層を電気めっきにより基材に被覆している。そこで、電気めっきでPtIr合金層と上部被覆合金層を基材に被覆することで、ボイド発生を抑制するとともに、コーティング材の耐酸化特性を向上させる2層コーティングを、安価に施工できる。
さらに本発明の基材のコーティング方法によれば、Ni基合金からなる基材と、前記基材の表面に適用されたPtIr合金層と、前記PtIr合金層の上に上部被覆合金層よりなる積層ボンドコートとを備えているので、Ni基合金基材に生じるボイドの抑制とともに、コーティング材の耐酸化特性も向上させることができる。
本発明のタービンエンジン部品によれば、上記発明の基材のコーティング方法を適用しているので、Ni基合金基材に生じるボイドの抑制とともに、コーティング材の耐酸化特性も向上させることができ、タービンエンジン部品の信頼性向上と長寿命化ができる。
ボイドが生じるような単層膜における元素の流れと、その結果生じたボイドを示している。 本発明におけるPtIr合金層と上部被覆合金層よりなる2層膜の概念と、元素拡散の流れ方向を示している。 熱サイクル試験後の各試料の断面組織を示す写真である。 図3で説明した試料作成の後、熱サイクル試験を100サイクル行った後の試料の表面状態を示す写真である。 図4で説明した試料表面に形成した構造物をX線解析によって同定したものである。 熱サイクル試験30サイクル後及び100サイクル後のAlとNiAlのXRD回折ピーク強度比を示している。 等温酸化試験における試験片のコーティング条件を説明する図である。 等温酸化試験中の試料質量変化を説明する図である。 等温酸化試験100時間後の断面組織を表す断面写真図である。 熱サイクル試験における試験片のコーティング条件を説明する図である。 熱サイクル試験中の試料質量変化を説明する図である。 熱サイクルが100回経過後の断面組織を表す断面写真図である。
この出願の発明は前記の通りの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
図2に示す様に基材Ni基超合金1の上に、基材の主要元素であるNi、Alよりも拡散係数の小さい元素、あるいは2種以上の合金で構成される膜2を被覆する。膜2は、例えばPtIr合金層に相当する。
膜2の上に、膜2の金属元素、あるいは合金よりも拡散係数の大きい元素、あるいは2種以上の合金で構成される膜3を被覆する。膜3は、例えば上部被覆合金に相当する。
本発明においては、膜2の金属元素として、高融点である白金族金属が望ましい。Pt拡散膜は例示されているが、ここではPtにIrを添加することによって耐酸化特性の向上が見込まれること、またPtとIrの合金膜を被覆することによって、Niの基材からの拡散が抑えられる効果があることから、PtIr合金が最も望ましい。他方、Irの添加量が多くなると1100℃以上の高温ではIrが昇華性の酸化物を生成し、耐酸化特性を示さなくなるため、PtIr合金中のIr含有量としては3〜50質量%含まれているものが望ましい。
また、膜3の元素としては、耐酸化特性を保つと言う観点から、Ni、Cr、Al、Co等が候補としてあげられる。これらはNi基合金に含まれている主要元素であり、すべて膜2のPtIr合金よりも拡散係数が大きい。また、Ptを被覆することも可能である。これは、IrのNiに対する拡散係数が、PtのNiに対する拡散係数の1/5であるために、Irを添加することで膜2の拡散係数がPtの拡散係数よりも小さくなるためである。また、膜3におけるNiAl膜中のAl量としては、酸化試験時の保護膜として有効であるAlスケールを効率的に生成させるという観点から、5質量%以上(11原子%以上)が望ましく、また熱処理時に生じる膜2との爆発的な反応を抑えるためには25質量%以下が望ましい。
さらに、膜2と膜3の厚さであるが、膜2が耐酸化特性を保つために最も重要な部位であるため、膜3よりも厚くなくてはならない。但し、膜3が膜2に対して薄すぎると、拡散によって生じるボイドの形成を抑止するには十分ではない。よって膜3の厚さは、膜2の1/8から1/2が適当である。
タービンエンジン部品としては、熱遮蔽効果を高めるため、セラミックトップコート(図示せず)が、当分野で公知の適宜なセラミック組成を用いて、ボンドコートの上に付加される。セラミックトップコートの好適な組成は、6〜8質量%Y部分安定化ZrOである。セラミックトップコート層は、25〜1250μm、好ましくは、75〜400μmの範囲の厚さを有するとよい。
セラミックトップコートは、当分野で公知の適宜な堆積技術を用いて適用される。好ましい堆積技術は、大気プラズマ溶射法や電子ビーム蒸着法(EB−PVD)である。
蒸着堆積技術によって形成される際に、セラミックトップコート層は、表面に対して実質的に垂直方向を向く柱状粒子つまり柱状部を伴う柱状晶ミクロ構造を有している。柱状晶つまり柱状部は、ボンドコートから、あるいはAlスケール層から、外側に向いて延びている。Alのスケール層は、セラミック層の堆積前、または堆積中に、ボンドコートの上に意図的に形成される。また、基体の上に液滴を堆積することによる溶射コーティングは、固化した飛沫液滴スプラットがランダムに積み重なった多孔質のミクロ構造を有する。これらのスプラットは、通常、微小ひび割れ(マイクロクラック)が生じ、スプラット間に孔を捕捉し、従って、歪み耐性のミクロ構造となる。
ここで以下に実施例を示し、さらに詳しく例示説明する。なお、ここでは、基材にPtIr合金層と上部被覆合金層を電気めっきで積層する場合を示しており、セラミックトップコートを蒸着させていない。
<実施例>
Ni基単結晶超合金上に、電気めっき法で膜2としてPt−25質量%Irを約8μm被覆した試料(a)を作製した。また、試料(a)の上部を被覆するように電気めっき法でNiを約2μm被覆した試料(b)と、試料(a)の上部を被覆するように電気めっき法でPtを約2μm被覆した試料(c)を作製した。さらに、Ni基単結晶超合金上にPt単体を約8μm被覆した試料(d)を作製した。
上記の試料(a)、(b)、(c)及び(d)について1100℃、1h真空加熱を施した。熱処理温度と熱処理時間は、基材を被覆するPtIr合金層と上部被覆合金層が変質することなく充分に基材に付着すると共に、セラミックトップコートを付加するのに十分な特性を有するように定める。過剰な熱処理時間は、生産性を低下させるため、適宜な値を上限値とする。
このようにして作製した試験片を大気中1135℃で1時間加熱保持後、1時間の空冷を1サイクルとした熱サイクル試験を行った。図3は30サイクル後の各試料の断面組織を示す写真である。ここで、図3(a)は基材の上にPt−25原子%Ir(=Pt−25質量%Ir)膜を8μm被覆した場合、図3(b)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上に電気めっき法でNiを約2μm被覆した場合、図3(c)は同じく基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上にPtを約2μm被覆した場合、図3(d)は基材の上にPt単体を約8μm被覆した。そして、上記の試料(a)、(b)、(c)及び(d)について、1100℃、1h真空加熱して作製した試験片を大気中1135℃で1時間加熱保持後、1時間の空冷を1サイクルとした熱サイクル試験を30サイクル後の各試料の断面組織を示している。
単層コーティングであるPtIr(図3(a))とPt(図3(d))では、基材内部にカーケンダルボイドが生成している。他方で、2層コーティングを行ったPtIr/Ni(図3(b))とPtIr/Pt(図3(c))では、そのようなボイドは存在していない。以上により、本発明の2層コーティングによるボイドの抑制が実験的に立証された。
同じ試料について100サイクルの熱サイクル試験を行った試料の表面を図4に示す。図4は、図3で説明した試料作成の後、熱サイクル試験を100サイクル行った後の試料の表面状態を示す写真である。図4(a)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆した場合、図4(b)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上に電気めっき法でNiを約2μm被覆した場合、図4(c)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上にPtを約2μm被覆した場合、図4(d)は基材の上にPt単体を約8μm被覆した場合を示してある。
図4の写真中、基地よりも明度が暗い領域は、耐酸化特性が良好でないNiAl系酸化物の生成を示している。よって耐酸化特性に関しては、単層PtIr(図4(a))と複層PtIr/Pt(図4(c))の試料が良好であると予測できる。
これら試料の表面酸化物を同定するために、X線回折による解析を行った。図5は、図4で説明した試料表面に形成した構造物をX線解析によって同定したものである。図5(a)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆した場合、図5(b)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上に電気めっき法でNiを約2μm被覆した場合、図5(c)は基材の上にPt−25原子%Ir膜を8μm被覆し、その上にPtを約2μm被覆した場合、図5(d)は基材の上にPt単体を約8μm被覆した場合を示してある。
図5に示す様に、金属表面のfcc相(Pt,Ir)Niに加え、Al、NiAlが同定されたが、耐酸化特性を保つために必要なAlの存在量は2層コーティングPtIr/Ptが最も多い。図6には、図5におけるAl(104)のピーク強度とNiAl(311)のピーク強度の比を示しているが、2層コーティングのPtIr/Pt(図5(c))が最も強度が高い。これは耐酸化特性が最も高いことを示唆している。
次に、本発明の基材のコーティング方法を適用した試験片に対して、等温酸化試験を行った結果を説明する。この等温酸化試験は、大気雰囲気で1100℃に保持して行ったものである。
図7は試験片のコーティングの条件を説明する図である。PtとPtIrは、従来公知の電気めっきにより基材を被覆している。Ni−11原子%Al(Ni−5質量%Al)は、Niの電解液中にAlの微粒子を懸濁させる態様である複合めっきによって、基材を被覆している。
図8は、等温酸化試験中の試料質量変化を説明する図で、横軸は熱的暴露時間[h]、縦軸は質量変化[mg/cm]を示している。図中、黒丸はPt−20原子%Ir、菱形はPt−20原子%Ir/Ni−11原子%Alを表している。質量の減少は、試験片表面から酸化物やコーティング層が剥離したことを示すものである。コーティング層の複層化によって耐酸化特性が向上していることが、了解できる。
図9は、等温酸化試験100時間後の断面組織を表す断面写真図である。単層材では、表面の起伏が激しくなっていることから、等温酸化試験による表面層の離脱が確認できると共に、基材中のボイドの生成も顕著である。他方、複層材では表面が平滑であり、基材中のボイドの生成も少ないことが判る。
続いて、本発明の基材のコーティング方法を適用した試験片に対して、熱サイクル試験を行った結果を説明する。この熱サイクル試験は、大気雰囲気で1150℃で1時間加熱し、20分冷却を1サイクルとして、100サイクルまで行うものである。
図10は、熱サイクル試験における試験片のコーティングの条件を説明する図である。PtとPt−20原子%Irは、従来公知の電気めっきにより基材を被覆している。Ni−16原子%Al(Ni−8質量%Al)は、Niの電解液中にAlの微粒子を懸濁させる態様である複合めっきによって、基材を被覆している。単層材では、Pt−20原子%Irの単層コーティングとしている。また、複層コーティングでは、Pt−22原子%IrとNi−16原子%Alの積層構造と、PtとNi−16原子%Alの積層構造の2類型を示している。
図11は、熱サイクル試験中の試料質量変化を説明する図で、横軸は熱サイクルの回数、縦軸は質量変化[mg/cm]を示している。図中、黒丸はPt−20原子%Ir、菱形はPt−22原子%Ir/Ni−16原子%Al、四角はPt/Ni−16原子%Alを表している。質量減少は表面生成物と表面層の剥離、質量増加は表面酸化に起因する。Pt/Ni−16原子%Al層では剥離が生じているが、PtIr被覆材は酸化が連続的に進んでいる。酸化速度は、Pt−20原子%Irの単層材と比較して、Pt−22原子%Ir/Ni−16原子%Alの複層材の方が遅く、良好な耐酸化特性を示している。
図12は、熱サイクルが100回経過後の断面組織を表す断面写真図である。PtIr単層材は、基材にボイドが生成している他、表面下部に酸化物が生成しており、酸化が進行していることを示唆している。他方、Pt−22原子%Ir/Ni−16原子%Al複層材は、表面酸化物も少なく、基材のボイドも抑制されている。Pt/Ni−16原子%Al複層材においても基材中のボイドは抑制されているが、基材コーティング材界面における連続的なボイドの生成が顕著であり、これが剥離につながっている。PtにIrを添加することによって組織安定性が増している。
なお、上記の実施例においては、PtIr合金層としてPt−22原子%Ir(Pt−22質量%Ir)の組成比率の場合を示しているが、PtIr中のIr含有量が3〜50質量%であればよい。また、上部被覆合金層としてNi−11原子%AlやNi−11原子%Alの場合を示しているが、5〜25質量%のAlと残部がNiからなるものでもよく、またPt、Ni、Al、Cr、Coのうち1種以上を含んでいても良い。
以上詳しく説明した通り、本発明の基材のコーティング方法では、PtIr合金層と上部被覆合金層よりなる2層コーティングを形成している。この2層コーティングは、従来の単層コーティングと比して、基材の組織変化を抑制するという観点で一線を画すものであり、Ni基合金のみならずTi基合金、Co基合金、Fe基合金といった高温用合金の被覆法として適用可能である。さらに表面に耐酸化機能を持たせる合金を被覆することによって、従来通りの耐酸化特性も期待できる。そこで、タービンエンジン部品のような高温に曝される環境に用いて好適であり、航空機や火力発電所のエネルギー効率の向上に寄与する。
1 基材
2 PtIr合金層
3 上部被覆合金層

Claims (9)

  1. 基材を設けるステップと、
    PtIr中のIr含有量が3〜50質量%であるPtとIrの合金層を、前記基材の表面の上に堆積するPtIr合金層の堆積ステップと、
    前記PtIr合金層の上に、5〜25質量%のAlと、残部がNiからなる上部被覆合金材料を堆積するステップと、
    前記PtIr合金層と前記上部被覆合金層の積層ボンドコートを形成するように、前記の堆積された層とともに前記基材を熱処理する熱処理ステップと、
    を備えることを特徴とする基材のコーティング方法。
  2. 前記基材を設けるステップがNi基合金からなる基材を含み、かつ前記PtIr合金層の堆積ステップが、前記基材の表面上にPtIr合金層を電気めっきすることを含むことを特徴とする請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  3. 前記PtIr合金層の堆積ステップが、6から12μmの範囲の厚さにPtIr合金層を堆積することを含むことを特徴とする請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  4. 前記上部被覆合金層の堆積ステップが、電気めっきを用いて前記上部被覆合金層を堆積することを含むことを特徴とする請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  5. 前記上部被覆合金層の堆積ステップが、前記PtIr合金層の厚さの1/8から1/2で、前記上部被覆合金層の厚さで前記上部被覆合金材料を堆積することを含むことを特徴とする請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  6. 前記熱処理ステップが、前記積層ボンドコートを形成するように、温度を650〜1150°Cの範囲で、時間を0.5〜15時間の範囲で、前記の堆積層とともに前記基材を熱処理することを含むことを特徴とする請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  7. 前記積層ボンドコートの上に、25〜1500μmの範囲の厚さのセラミックトップコートを付加するステップをさらに含む請求項1に記載の基材のコーティング方法。
  8. 前記セラミックトップコートを付加するステップが、75〜400μmの範囲の厚さにセラミックトップコートを付加することを含むことを特徴とする請求項に記載の基材のコーティング方法。
  9. Ni基合金からなる基材と、
    前記基材の表面に適用されたPtIr合金層と、前記PtIr合金層の上に、5〜25質量%のAlと、残部がNiからなる組成を有する上部被覆合金材料よりなる積層ボンドコートと、
    を備え、
    前記PtIr合金層は、PtIr中のIr含有量が3〜50質量%であり、
    前記積層ボンドコートが、6から12μmの範囲の厚さのPtIr合金層を有する共に、前記上部被覆合金層の厚さが前記PtIr合金層の厚さの1/8から1/2であることを特徴とするタービンエンジン部品。
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