JP6120345B2 - 応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体 - Google Patents

応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体 Download PDF

Info

Publication number
JP6120345B2
JP6120345B2 JP2016523360A JP2016523360A JP6120345B2 JP 6120345 B2 JP6120345 B2 JP 6120345B2 JP 2016523360 A JP2016523360 A JP 2016523360A JP 2016523360 A JP2016523360 A JP 2016523360A JP 6120345 B2 JP6120345 B2 JP 6120345B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
light
stress
recording
history
photosensitive material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016523360A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2015182226A1 (ja
Inventor
寺崎 正
正 寺崎
徐 超男
超男 徐
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST filed Critical National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Publication of JPWO2015182226A1 publication Critical patent/JPWO2015182226A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6120345B2 publication Critical patent/JP6120345B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L1/00Measuring force or stress, in general
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L1/00Measuring force or stress, in general
    • G01L1/24Measuring force or stress, in general by measuring variations of optical properties of material when it is stressed, e.g. by photoelastic stress analysis using infrared, visible light, ultraviolet
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01LMEASURING FORCE, STRESS, TORQUE, WORK, MECHANICAL POWER, MECHANICAL EFFICIENCY, OR FLUID PRESSURE
    • G01L5/00Apparatus for, or methods of, measuring force, work, mechanical power, or torque, specially adapted for specific purposes

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Investigating Materials By The Use Of Optical Means Adapted For Particular Applications (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Description

本発明は、応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体に関する。
従来、物質が外部からの刺激を与えられることによって、室温付近で光を発する現象は、いわゆる蛍光現象としてよく知られている。
このような蛍光現象を生じる物質、すなわち蛍光体は、蛍光ランプなどの照明灯や、CRT(Cathode Ray Tube)いわゆるブラウン管などのディスプレイなどとして用いられている。
この蛍光現象を生じさせる外部からの刺激は、通常、紫外線、電子線、X線、放射線、電界、化学反応などによって与えられているが、機械的な外力などの刺激を加えて変形させることによって強く発光する材料については、長らく知られていなかった。
そこで、本発明者が所属する研究機関において鋭意研究が行われた結果、機械的な外力により生じる変形によって発光する、所謂応力発光材料が開発された。
この応力発光材料は、例えば塗料化したりシート化して対象物の表面に貼着等することで対象物に付与された応力の分布を可視化できるため、建築物やプラントなどにおいて応用が期待されている。
具体的には、例えば橋梁を構成する梁などに貼着等することにより、この梁への応力分布をリアルタイムで可視的に観察することができる。
ところで、対象物に応力が付与された際に発せられる応力発光材料からの発光は、長時間持続するものではない。
それゆえ、応力が付与されて発光が生じた瞬間を、その場で観察者が観察している必要がある。
しかしながら、例えば対象物に応力が付与されるか否か不明な場合や、応力が付与されるタイミングが不明な場合、その計測現場に観察者を常駐させておくのも限界がある。
勿論、カメラや録画装置等を組み合わせて監視装置を構築すれば、観察者の負担を軽減することは可能であるものの、計測箇所が複数箇所に亘る場合、これらの機材の設置費用が嵩むため、現実的には、応力発光材料が発光したか否かを容易に確認できるとは言い難い。
そこで本発明者らは過去に、応力が付与された応力発光材料の発光現象により出射された光(以下、応力発光光という。)が感光物質を含むシート体に照射されるよう構成し、応力発光材料が発光した履歴を残すシステム、すなわち、応力履歴記録システムを提案している(例えば、特許文献1参照。)。
このようなシステムによれば、例えば対象物に応力が付与されるか否か不明な場合や、応力が付与されるタイミングが不明な場合、また例えば、橋梁内部やトンネルなど検査員が定期的にしか検査しない場所であっても、その対象物に応力が付与されたか否かを比較的安価に、追って確認することができる。
国際公開第2007/105539号
ところで、上記従来の応力履歴記録システムは、対象物に応力が付与されたか否かやその度合いを確認するために、応力履歴記録システムを構成する記録手段(感光物質を含有する部分)を対象物から一旦剥離し、その記録手段を目視や機器を用いて確認するという作業が必要となる。
しかしながら、このような剥離作業は検査箇所毎に行う必要があり、大きな橋梁での検査やプラント配管での検査では、甚だ煩雑な作業であった。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することのできる応力履歴記録システムを提供する。
また本発明では、応力履歴確認方法や、応力履歴記録体構造、更には、応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体についても提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係る応力履歴記録システムでは、(1)対象物の表面に被着され同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録システムであって、機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含む発光手段と、前記発光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録する記録手段と、前記記録手段に向けて照射された外光のうち、前記感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、前記感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光を透過するフィルタ手段と、を備え、同フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認可能に構成した。
また、本発明に係る応力履歴記録システムでは、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記記録手段は、前記発光手段側の面からの入射光に応じて感光により色変化するものであり、同色変化は前記フィルタ側の面から入射させた前記所定波長の光の反射により観察可能であること。
(3)前記感光物質は、前記発光により感光して前記所定波長の光の反射率が変化する物質であること。
(4)前記感光物質の感光波長域と前記フィルタ手段の透過波長域とを違えていること。
(5)前記記録手段は、前記感光物質を含有する塗料を塗布して成膜したものであること。
(6)前記感光物質はハロゲン化銀であって、前記記録手段には、前記発光手段の発光によって形成された潜像を現像する還元剤が添加されていること。
(7)前記還元剤は、前記記録手段中において、感光前の状態で前記ハロゲン化銀の還元反応が進行しない濃度で添加されていること。
(8)前記還元剤は、前記発光手段からの発光により、同発光による光を受けた部位に形成された潜像が自動的に現像される濃度で添加されていること。
また、本発明に係る応力履歴確認方法では、(9)対象物に付与された応力の履歴を確認する方法であって、前記(1)〜(8)のいずれかの応力履歴記録システムを前記対象物に被着するステップと、前記フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認するステップと、を有することとした。
また、本発明に係る応力履歴記録体構造では、(10)応力が付与されうる対象物に形成して同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録体の構造であって、前記対象物に付与された応力が伝搬可能な領域に配設され、前記応力に応じて発光する発光部と、同発光部から発せられた応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、同感光物質が前記応力発光光で感光可能な領域に配設された記録部と、同記録部を被覆して前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護するフィルタ部と、を備え、同フィルタ部は、前記記録部の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるものであり、同読出光の反射光によって前記応力による前記記録部の光学的特性の変化の有無が検出可能な位置に配設していることとした。
また、本発明に係るシート体では、(11)前記(10)の応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体であって、応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有する記録層と、同記録層の少なくともいずれか一方の面側に配設され、前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護すると共に、前記記録層の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるフィルタ層と、を備えることとした。
前記(1)の態様によれば、対象物の表面に被着され同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録システムであって、機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含む発光手段と、前記発光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録する記録手段と、前記記録手段に向けて照射された外光のうち、前記感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、前記感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光を透過するフィルタ手段と、を備え、同フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認可能に構成したため、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することのできる応力履歴記録システムを提供することができる。
また、前記(2)の態様によれば、前記記録手段は、前記発光手段側の面からの入射光に応じて感光により色変化するものであり、同色変化は前記フィルタ側の面から入射させた前記所定波長の光の反射により観察可能であることとしたため、目視や撮像装置等により容易に応力発光の履歴を確認することができる。
また、前記(3)の態様によれば、前記感光物質は、前記発光により感光して前記所定波長の光の反射率が変化する物質であることとしたため、コントラストの違いによって目視や撮像装置等により容易に応力発光の履歴を確認することができる。
また、前記(4)の態様によれば、前記感光物質の感光波長域と前記フィルタ手段の透過波長域とを違えているため、フィルタ手段が透過させた光によって感光物質が感光してしまうことを抑制することができ、応力発光光由来の履歴をより正確に確認することができる。
また、前記(5)の態様によれば、前記記録手段は、前記感光物質を含有する塗料を塗布して成膜したものであることとしたため、記録手段を形成する面の形状や記録手段自体の形状、厚み等を自在に調整することができる。
また、前記(6)の態様によれば、前記感光物質はハロゲン化銀であって、前記記録手段には、前記発光手段の発光によって形成された潜像を現像する還元剤が添加されていることとしたため、応力発光光を感度良く検出することができ、しかも、別途現像処理を行う必要なくその履歴を確認することができる。
また、前記(7)の態様によれば、前記還元剤は、前記記録手段中において、感光前の状態で前記ハロゲン化銀の還元反応が進行しない濃度で添加されていることとしたため、未感光であるにもかかわらず現像過程が進行してしまうことを防止することができる。
また、前記(8)の態様によれば、前記還元剤は、前記発光手段からの発光により、同発光による光を受けた部位に形成された潜像が自動的に現像される濃度で添加されていることとしたため、別途現像処理を行う必要なくその履歴を確認することができる。
また、前記(9)の態様によれば、対象物に付与された応力の履歴を確認する方法であって、前記(1)〜(8)の態様の応力履歴記録システムを前記対象物に被着するステップと、前記フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認するステップと、を有することとしたため、検査対象物に付与された応力の記録を、対象物から記録手段を剥離することなく確認することのできる応力履歴確認方法を提供することができる。
また、前記(10)の態様によれば、応力が付与されうる対象物に形成して同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録体の構造であって、前記対象物に付与された応力が伝搬可能な領域に配設され、前記応力に応じて発光する発光部と、同発光部から発せられた応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、同感光物質が前記応力発光光で感光可能な領域に配設された記録部と、同記録部を被覆して前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護するフィルタ部と、を備え、同フィルタ部は、前記記録部の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるものであり、同読出光の反射光によって前記応力による前記記録部の光学的特性の変化の有無が検出可能な位置に配設していることとしたため、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することのできる応力履歴記録体構造を提供することができる。
また、前記(11)の態様によれば、前記(10)の態様の応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体であって、応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有する記録層と、同記録層の少なくともいずれか一方の面側に配設され、前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護すると共に、前記記録層の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるフィルタ層と、を備えることとしたため、前述の応力履歴記録体構造を容易に構築可能なシート体を提供することができる。
本実施形態に係る応力履歴記録システムの構築例を示した説明図である。 応力履歴記録体の構造、及び、確認方法の概念を示した説明図である。 応力履歴記録体の構造、及び、確認方法の概念を示した説明図である。 還元剤の添加量確認試験結果を示した説明図である。 応力付与試験の試験方法の概念を示した説明図である。 応力履歴の記録試験結果を示した説明図である。 応力履歴の記録試験結果を示した説明図である。 フィルタ部の検討試験結果を示した説明図である。 記録部の断面を示した電子顕微鏡写真である。 応力履歴記録システム実証試験の試験結果を示す説明図である。
本発明は、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することのできる応力履歴記録システムを提供するものである。
具体的には、対象物の表面に被着され同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録システムであって、機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含む発光手段と、前記発光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録する記録手段と、前記記録手段に向けて照射された外光のうち、前記感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、前記感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光を透過するフィルタ手段と、を備え、同フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認可能に構成したことを特徴とする応力履歴記録システムを提供する。
ここで対象物とは、応力分布の計測対象物であり、その素材や形状は特に限定されるものではない。また、応力が付与されるか否かや、応力が付与されるタイミングが既知か否かについても限定して解釈すべきではない。
また発光手段は、機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば応力発光材料を所定の樹脂中に分散させて成形したシート状であったり、応力発光材料を分散させた塗料により形成した塗膜状であってもよく、更には複数の点で構成されるドット状や格子状であっても良い。
発光手段に含まれる応力発光材料もまた特に限定されるものではなく、例えば本発明者らが過去に開発し提案している応力発光材料を好適に用いることができる。応力発光材料であれば、その母材や発光中心等の組成、応力発光光の波長は、次に述べる記録手段の構成や、フィルタ手段の構成等に応じて適宜選択可能である。
このような発光手段は、応力が付与されうる対象物に付与された応力が伝搬可能な領域に配設され、この応力に応じて発光し、記録手段に対して応力発光光を出射する役割を担う。望ましくは、応力の大きさに応じた強度の応力発光光を出射する。
記録手段は、発光手段より発せられた応力発光光を受けてその発光(受光)履歴を累積的に記録する役割を担う。
具体的には、発光手段から出射された応力発光光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録するものである。
またこの記録手段は、同記録手段中に含まれる感光物質が応力発光光で感光可能な領域(以下、単に感光可能領域ともいう。)に配設される。このような感光可能領域は、例えば、発光手段と隣接した領域は勿論のこと、感光物質が感光可能な強度を有する応力発光光が到達可能な領域をも意味している。従って、発光手段(発光部)と記録手段(記録部)とは直接的に接した状態で配設されていても良く、また、応力発光光が上述の強度を保ちつつ透過可能な部材(例えば、応力発光光に対して透明な樹脂層など。)を介して間接的に配設されていても良い。
記録手段中に含まれる感光物質は、応力発光光に感光可能な物質であれば特に限定されるものではない。このような感光物質としては、例えばハロゲン化銀を始め、種々の色素、有機・無機のフォトクロミック材料を採用することができる。
また、色素としては、銀イオン−銀ナノ粒子、ルテニウム色素(N3色素、N719、ブラックダイなど)、シアニン系色素(メロシアニン、カルボシアニン、アントシアニン、ヘミシアニン、シアニンなど)、天然系色素(クロロフィル、プロトポルフィリン、カルテノイドなど)、キサンテン系色素(エオシンY、ローズベンガルなど)、ローダミン6G、ローダミンB、ペリレン、トリフェニルメタン、およびフタロシアニン類などからなる群より選択することもできる。
応力発光光を受ける前の感光物質と応力発光光を受けた後の感光物質とで変化する光学的活性は特に限定されるものではないが、例えば反射率や色を挙げることができる。
フィルタ手段は、前述の記録手段を被覆して感光物質が応力発光光以外の光により感光することを防護する役割を担うものであり、記録手段に向けて照射された外光のうち、感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光、換言すれば、記録手段の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長の光を透過する機能を有している。なお、以下の説明において、このような波長の光を読出光ともいう。読出光はこの応力履歴記録システムが構築されている測定現場の環境光であっても良く、また、例えば検査者が応力履歴記録システムに対して検査確認のために特別に照射する光(検査光)であっても良い。
感光物質を実質的に感光させる波長とは、記録手段に記録された応力の履歴を確認するにあたり無視できないノイズとして働くような感光部を生じさせる波長のことである。すなわち、感光物質を極僅かながら感光させるものの、応力の履歴を確認するにあたり結果に大差を与えないような波長は該当しない。例えば肉眼で確認が行われる場合には、ヒトの識別閾値以下の変化を生じさせるような波長は該当せず、また、撮像装置等にて確認が行われる場合には、画像表示上差異となって現れない程度の変化や、数値解析上誤差範囲に含まれる程度の変化を生じさせるような波長も該当しない。なおこれらの記載は発明の理解に供するために例示したものであり、これらの記載に基いて本願発明を限定的に解釈すべきではない。
このフィルタ手段は、感光物質が応力発光光以外の光により感光することを防護でき、且つ、読出光を照射した際の記録手段での反射光によって、記録手段の光学的特性の変化の有無や度合いが検出可能な位置に配設される。
このような位置は、例えば記録手段と直接接して被覆する位置は勿論のこと、記録手段にて反射された読出光の反射光がフィルタ手段を介して再び出射された際に、同反射光の検出に必要な強度を保つ位置であれば良い。なお、検出に必要な強度は、その検出手段によって異なるため、検出手段に応じて適宜設定する必要がある。例えば、検出手段が肉眼である場合には、ヒトが見て記録手段の光学的特性の変化の有無や度合いが視認できる強度とすべきであり、フィルムカメラやデジタルカメラなどである場合には、その感度に応じた強度とすべきである。
そして、これら発光手段と記録手段とフィルタ手段とを備えた応力履歴記録システムや、これら発光部と記録部とフィルタ部とを備える構造を有した応力履歴記録体によれば、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することができる。
図1に本実施形態に係る応力履歴記録システムを対象物表面に構築した例を列挙して示す。図1(a)は、対象物10の表面に、下方から上方(対象物10の表面から離隔する方向)へ向けて順に発光手段としての発光部11と、記録手段としての記録部12と、フィルタ手段としてのフィルタ部13とを積層させた応力履歴記録体14aにより応力履歴記録システムを構築した例である。
この図1(a)に示す応力履歴記録システムによれば、対象物10に応力が付与されると、この応力が伝搬可能な領域に配設された発光部11が、対象物10の応力分布に対応して発光する。すなわち、応力発光光を出射する。
記録部12は感光可能領域に配設されており、出射された応力発光光によって感光物質が感光し、光学的特性の変化が惹起される。すなわち、応力発光光の履歴が記録部にて記録されることとなる。
そして、記録の確認に際しては、感光物質の光学的特性変化が確認可能な領域に配設されたフィルタ部13を介して読出光を照射することにより、その反射光をもって確認を行うことができる。
具体的な一例を図2に示す。例えば工場内のプラント等において、応力の掛かり具合を確認したい箇所に、本実施形態に係る応力履歴記録システムを構築する。図2に示す例では、応力集中部と考えられる配管の屈曲部分に発光手段としての発光部と、記録手段としての記録部と、フィルタ手段としてのフィルタ部とを積層することで応力履歴記録システムを構築している。なお、図中フィルタ手段は、説明の便宜上、発光手段や記録手段と別個に示しているが、実際は積層して構成されている。
配管に応力が付与されると、発光手段からの応力発光光を受けて、記録手段にて応力履歴の記録が行われる(図中網掛けで示す。)。
この記録は、検査員が読出光を出射するライト等でフィルタ手段(フィルタ部13)を介して記録手段(記録部12)へ照射したり、読出光として機能する波長の光を含む環境光下で観察することにより、反射光が可視光であれば応力発光履歴がコントラストや色の濃淡として検査員の肉眼により視認できる。
また、図3に示すように、反射光が可視光であるか否かにかかわらず、その反射光の波長に感度を有する撮像装置等によって撮影することにより、応力発光履歴を確認することもできる。
図1(b)は、発光部11上に応力履歴記録体14bを形成して応力履歴記録システムを構築した例を示している。応力履歴記録体14bは応力履歴記録体14aと略同様の構成を有しているが、対象物10と発光部11との間に対象物−発光部間層15を設けている点で構成を異にしている。
この図1(b)に示す例は、発光部11が対象物10に付与された応力が伝搬可能な領域に配設されていれば何らかの層(部材)が介設されていても良いことを示すための例であり、対象物−発光部間層15の素材や機能は特に限定されるものではない。
すなわち、対象物−発光部間層15は、対象物10に付与された応力が発光部11に伝搬可能であれば存在していても良い。このような対象物−発光部間層15の一例を挙げるとすれば、対象物10と発光部11との間を接着するための接着層であったり、対象物10に付与された過度な応力を減衰させて発光部11へ伝達するための応力減衰層が考えられる。
図1(c)も図1(b)と同様、発光部11と記録部12との間に何らかの層が介設されていても良いことを示す例であり、ここでは発光部−記録部間層16が介設された応力履歴記録体14cを示している。
記録部12は前述の感光可能領域に配設されていれば良く、発光部−記録部間層16は、この条件を満たすものであれば特に限定されない。このような発光部−記録部間層16の例としては、例えば発光部11と記録部12との間を接着するための接着層であったり、発光部11にて出射された応力発光光を受光して波長や強度の異なる二次的な応力発光光を記録部12へ向けて出射する発光変換層などが考えられる。なお、この二次的な応力発光光も、本明細書における応力発光光の概念に含まれる。
図1(d)も図1(b)や図1(c)と同様、記録部12とフィルタ部13との間に何らかの層が介設されていても良いことを示す例であり、ここでは記録部−フィルタ部間層17が介設された応力履歴記録体14dを示している。
この記録部−フィルタ部間層17は、記録部12にて生じた感光物質の光学的特性の変化の確認を妨げるものでなければ、その素材等について特に限定されるものではない。
このような記録部−フィルタ部間層17の例としては、例えば記録部12とフィルタ部13との間を接着するための接着層であったり、読出光や反射光の波長や強度を変換する変換層などが考えられる。なお、フィルタ部13外から照射された読出光がこの記録部−フィルタ部間層17にて波長や強度を変換された記録部12を実質的に感光させない二次的な読出光や、記録部12にて反射された反射光がこの記録部−フィルタ部間層17にて波長や強度を変換されてフィルタ部13より出射する二次的な反射光も、本明細書における読出光や反射光の概念に含まれる。
このように、本実施形態に係る応力履歴記録システムでは、本発明の概念を逸脱しない範囲において、各手段の間に何らかの手段等が介設されていても良い。
なお、図1(a)〜図1(d)に示す構成にあっては、記録部12の厚みを薄くして、感光物質の光学的変化が紙面上方のフィルタ部13側から透けるようにすることで、感光物質の光学的特性変化が確認可能な領域を形成することができる。
しかしながら、感光物質の光学的特性変化が確認可能な領域は、必ずしも記録部12を薄くすることで形成されるものではなく、例えば図1(e)に示すように、記録部12と発光部11とを並設することで応力履歴記録体14eを構築し、記録部12の厚みにかかわらず感光物質の光学的特性変化を確認可能とすることもできる。
ところで、前述の記録手段に含まれる感光物質は、記録手段は、発光手段側の面からの入射光、すなわち、発光手段から発せられた応力発光光に応じて感光により色変化するものであり、同色変化は前記フィルタ側の面から入射させた前記所定波長の光の反射、すなわち、読出光の反射光により観察可能であることとしても良い。このような構成とすることにより、目視や撮像装置等により容易に応力発光の履歴を確認することができる。
また、感光物質は、応力発光光により感光して所定波長の読出光の反射率が変化する物質であることとしても良い。このような構成とすることにより、コントラストの違いによって目視や撮像装置等により容易に応力発光の履歴を確認することができる。
また、感光物質の感光波長域と前記フィルタ手段の透過波長域とを違えるように構成しても良い。このような構成とすることにより、感光物質を感光させる波長の光をフィルタ手段で効果的にブロックすることができる。
また、記録手段は、感光物質を含有する塗料を塗布して成膜したものとしても良い。このような構成とすることにより、記録手段を形成する面の形状や記録手段自体の形状、厚み等を自在に調整することができる。
また、感光物質はハロゲン化銀であって、前記記録手段には、前記発光手段の発光によって形成された潜像を現像する還元剤が添加されていることとしても良い。このような構成とすることにより、応力発光光を感度良く検出することができ、しかも、別途現像処理を行う必要なくその履歴を確認することができる。
また、このときの還元剤は、記録手段中において、感光前の状態で前記ハロゲン化銀の還元反応が進行しない濃度で添加しても良い。このような構成とすることにより、未感光であるにもかかわらず現像過程が進行してしまうことを防止することができる。
また還元剤は、発光手段からの発光により、同発光による光を受けた部位に形成された潜像が自動的に現像される濃度で添加されていることとしても良い。このような構成とすることにより、別途現像処理を行う必要なくその履歴を確認することができる。
このように、本実施形態に係る応力履歴記録システムや応力履歴記録体によれば、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することができる。
また本願は、対象物に付与された応力の履歴を確認する方法を提供するものでもある。
具体的には、対象物に付与された応力の履歴を確認する方法であって、上述した応力履歴記録システムを対象物に被着するステップと、フィルタ手段を介して所定波長の外光を記録手段に照射してその反射光を観察することにより、対象物に付与された応力の履歴を確認するステップと、を有する。
そして、このような応力履歴の確認方法によれば、対象物から記録手段を剥離することなく、容易にその発光履歴を確認することができる。
また本願は、上述の応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体を提供するものでもある。
具体的には、応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体であって、応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有する記録層と、同記録層の少なくともいずれか一方の面側に配設され、感光物質が応力発光光以外の光により感光することを防護すると共に、記録層の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるフィルタ層と、を備えるものである。
そして、このようなシート体によれば、容易に応力履歴記録体構造を構築することができ、ひいては対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することもできる。
以下、本実施形態に係る応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造並びにシート体に関し、実験結果等を参照しながら具体的に説明する。なお以下では、感光物質をハロゲン化銀の一種である臭化銀(AgBr)とした例について説明する。
〔1.自立感光ペイントの調製〕
先に述べた従来の応力履歴記録システムでは、記録手段として一般の感光フィルムを用いていた。しかしながら、感光フィルムは現像作業が必要となるため現場でオンタイムに使う事が困難であり、しかも感光フィルムサイズが計測サイズとなるなどの問題がある。
また一方で、発光部は、既に開発されている応力発光塗料によりその発光面積を自在に調整することが可能となっており、サイズが限定されている感光フィルムがボトルネックとなって、スケーラブルな塗膜のメリットが生かされていなかった。
そこでここでは、塗料によって塗膜状の記録部を形成可能とすべく、還元剤として予め適量(混ぜただけでは反応しないが、光が当たったら即座に反応)の現像液を加えた自立感光ペイント作製することにした。本実施形態に係る応力履歴記録システムや、応力履歴記録体構造は、この自立感光ペイントにより形成された記録手段(記録部)を備えていることにも特徴を有することとしても良い。
最適な自立感光ペイントとは、「応力発光光を受光していない状態で反応は進行しないが(又は極めて緩慢)、光照射時には現像が充分可能な程度に反応が進行するもの」であるといえる。これを満たす条件、特に、現像液の含有量を調べた。
具体的には、感光乳剤1.2gに対して、様々な分量の現像液X(Fuji Film社製コピナールX=0〜10000μl)を加えて攪拌することで調製した。作業は、現像用の光NO.5暗室灯(600nm,286μW)下で行った。
結果として、図4に示すように、現像液の量Xが100〜500μlにおいて、上記の目的に沿った感光ペイントとなることが確認できた。つまり、光照射前には、白色を意味する反射率が高い値を保っており、照射後には黒色を意味する低い値に落ち着いたことから、確認できた。
一方、1000μl以上の現像液を加えると、たとえ冷却しても液化状態を保ったまま固化しなかった。また、暗反応の進行には温度依存性が有る為、固化促進もかねて0〜20℃で冷却する事で、視感光状態を保ったまま、ペイント化する事に成功した。
従って、自立感光ペイントとしては、「応力発光光を受光していない状態で反応は進行しないが(又は極めて緩慢)、光照射時には現像が充分可能な程度に反応が進行するもの」であれば特段の組成に限ったものではないが、感光ペイント−現像液(Fiji Film)を用いて自立感光ペイントを作製する場合、感光ペイント1.2gに対して、100〜500μlの現像液が入っている事がより望ましい。また感光材が感光しない作業環境を選び、作製・塗布時には0〜30℃、より望ましくは0〜10℃である事が望ましい。なお、この低温処理は、別途薬剤等で行っても良い。
〔2.記録部の感光試験(1)〕
次に、〔1.自立感光ペイントの調製〕にて調製した自立感光ペイントの塗膜として形成した記録部が、応力発光材料(発光部)から出射される応力発光光で感光可能であることを確認する試験を行った。なお本試験では、試験作業の便宜のため、発光部として、樹脂中に応力発光材料を分散し固化させて形成した応力発光ペレットを用いた。
図5に本試験の概念図を示す。本試験では、発光部としての応力発光ペレット(A)からの発光を、同応力発光ペレットと平行に配置した記録部(自立感光ペイント:(B)ガラス板に塗布)で、光感光による記録を行った。図中発光部(応力発光ペレット)の発光面と記録部(自立感光ペイント)の受光面とは、構成の理解に供すべくそれぞれに角度を持たせて示しているが、実際の試験では発光部の発光面と記録部の受光面とは平行に配置し、且つ、記録部は感光可能領域に配設している。
より具体的には、青色応力発光体CYAE(440nm)ペレット(A)と、自立感光ペイントを塗布したガラス板(B)とを距離1mmで平行に置き、ペレットに圧縮荷重を印加した際の応力発光(B)を、自立感光ペイントで記録した。
また記録結果は、ペイントの感光能力の無い波長の光(赤色照明:636nm、0.43 mW)を照射し、CCDカメラで撮影することで、応力履歴像の読出しを行った。
結果、図6に示すように、ペレットと同じ円形状の領域が微かに変色するとともに、応力発光の発光パターンに対応する位置において顕著な変色が見られた(C)。このことから、開発した自立感光ペイントを用いることで、応力発光の履歴が記録可能なことが確認された。
〔3.記録部の感光試験(2)〕
次に、自立感光ペイントの塗膜として形成した記録部が、青色応力発光体CYAE(440nm)以外の応力発光光によっても感光可能であることを検証すべく、他の応力発光ペレットを用いて同様の試験を行った。
具体的には、前述の青色応力発光体の代わりに、緑色応力発光体SAOE( SrAl2O4:Eu2+、発光波長520nm)を用いて試験を行った。その結果、図7に示すように、青色応力発光の場合と同様、応力発光の発光パターンに対応する位置において顕著な変色が見られた。
このことは、記録手段(感光物質)の感度波長帯と発光手段(応力発光材料)の応力発光光の波長とを対応させることで、応力の記録が可能な事を意味している。すなわち、対応がとれていれば、感光物質の感度波長帯や応力発光色は様々で良い。
〔4.フィルタ部の特性試験〕
次に、フィルタ部の特性試験を行った。ここでは、前述の記録部としての自立感光ペイント塗膜が感光する波長の光の遮蔽と、読出光としての636nmの波長の光を透過可能とする構成を模索すべく、種々の市販赤色フィルムの透過スペクトルを計測する試験を行った。これらの結果を図8に示す。
図8に示す結果から、三菱3M社製NO.20赤色フィルムを2枚重ねると、感光ペイントの感光を引き起こす200〜600nmの光を完全に遮断し、一方で読出光である636nmの波長を含む600〜800nmでは十分な透過があり、フィルタ部を構築可能であることが示された。
なお、フィルタ部の構築は市販のフィルムに限定されるものではなく、また、市販のフィルムを使用した場合であっても、上記構成に限定されるものではない。先に述べたとおり、記録部が感光する外光を遮断し、読出光や反射光を透過するものであればよい。
また図示は割愛するが、前述の自立感光ペイントの塗膜にて形成した記録部を、このフィルタ部(三菱3M社製NO.20赤色フィルムを2枚重ね)で覆うことで、蛍光灯下であっても感光しないことが確認された。これにより、この様なフィルタ部を用いることで、本実施形態に係る応力履歴記録システムを明環境下でも運用可能であることが示された。
また、このように構成したフィルタ部を介しても高いコントラストで読出しが可能な様に、16白黒スケールを用いて読出光強度の再調整を行い、0.69mWとした。
〔5.記録部の膜厚調整〕
感光物質の光学的特性変化が確認可能な領域を形成すべく、ここでは記録部としての自立感光ペイント塗膜の膜厚調整を行った。すなわち、応力発光による自立感光ペイントの感光の、裏(外部に向いている)面よりの読出しを可能にする為、自立感光ペイントの膜厚について検討した。
具体的には、自立感光ペイントの塗布量を制御することで、記録部としての膜厚の異なる自立感光塗膜をガラス盤上に作成し、評価を行った。図9は記録部断面の電子顕微鏡写真を示している。
結果、膜厚300μm程までは、何れも裏面からの計測、すなわち感光物質の光学的特性変化が確認可能であるが、100μmより厚い場合徐々に透過率が低下し、逆薄いとコントラストの低下が目立つことが判明した。
これらの結果から、記録部の膜厚の調整によって、感光物質の光学的特性変化が確認可能な領域を形成可能であることが示された。また、記録部の膜厚は50〜300μm、より好ましくは100±50μm程度であることが示された。ただ、これらの値は本材料系での話であり、別の材料系であっても裏面から色変化が高いコントラストで読み出せるように、膜厚の制御をすることで代用することも可能である。
〔6.シート体の形成〕
上述した自立感光ペイント及び赤色フィルムを用いて、応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有する記録層と、同記録層の少なくともいずれか一方の面側に配設され、前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護すると共に、前記記録層の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるフィルタ層と、を備えるシート体の形成を行った。
具体的には、二枚重ねた赤色フィルムの一方の面側に自立感光ペイントの塗膜(厚さ100μm)を形成することで、シート体を形成した。
〔7.応力履歴記録システム実証試験〕
次に、上述してきた知見を統合し、応力履歴記録システムを構築して応力履歴の記録及びその読み出しが可能であることについて実証試験を行った。
本試験では、〔6.シート体の形成〕にて形成したシート体を用いて試験を行った。すなわち、記録部としての自立感光ペイント塗膜の膜厚は100μmとし、三菱3M社製NO.20赤色フィルムを2枚重ねをフィルタ部とした。また、発光部として前述の青色応力発光体CYAE(440nm)ペレットを用い、図5にて示した試験方法により応力の履歴の記録を行った(図10(a)参照。)。なお、本試験は、蛍光灯下にて行われた。
このようにして記録した試料に対し、フィルタ部側より636nm、0.47mWの読出光の照射を行った所、応力発光パターンに対応する記録が目視、撮影共に確認できた(図10(b)参照。)。
また、記録部及びフィルタ部よりなる重畳シート体を発光部より剥離して、フィルタ部とは逆の面から記録部を観察したところ、フィルタ部側より観察された像と同様の像が確認された(図10(c)参照。)。
これらのことより、現場で設置した状態での応力履歴の記録及び読み出し(感光面の裏面よりの読み出し)、更には定期検査員等が安全に行動できる程度の明環境での使用性について実証された。
上述してきたように、本実施形態に係る応力履歴記録システムによれば、対象物の表面に被着され同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録システムであって、機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含む発光手段と、前記発光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録する記録手段と、前記記録手段に向けて照射された外光のうち、前記感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、前記感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光を透過するフィルタ手段と、を備え、同フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認可能に構成したため、検査対象物に付与された応力を記録でき、しかも、対象物から記録手段を剥離することなくその発光履歴を確認することのできる応力履歴記録システムを提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
10 対象物
11 発光部
12 記録部
13 フィルタ部
14 応力履歴記録体
15 発光部間層
16 記録部間層
17 フィルタ部間層

Claims (11)

  1. 対象物の表面に被着され同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録システムであって、
    機械的な外力に応じて発光する応力発光材料を含む発光手段と、
    前記発光に感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、前記発光手段からの発光の履歴を累積的に記録する記録手段と、
    前記記録手段に向けて照射された外光のうち、前記感光物質を実質的に感光させる波長の外光を遮断し、且つ、前記感光物質における光学的特性の変化度合いを検出可能な所定波長の外光を透過するフィルタ手段と、を備え、
    同フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認可能に構成したことを特徴とする応力履歴記録システム。
  2. 前記記録手段は、前記発光手段側の面からの入射光に応じて感光により色変化するものであり、同色変化は前記フィルタ側の面から入射させた前記所定波長の光の反射により観察可能であることを特徴とする請求項1に記載の応力履歴記録システム。
  3. 前記感光物質は、前記発光により感光して前記所定波長の光の反射率が変化する物質であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の応力履歴記録システム。
  4. 前記感光物質の感光波長域と前記フィルタ手段の透過波長域とを違えていることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の応力履歴記録システム。
  5. 前記記録手段は、前記感光物質を含有する塗料を塗布して成膜したものであることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の応力履歴記録システム。
  6. 前記感光物質はハロゲン化銀であって、前記記録手段には、前記発光手段の発光によって形成された潜像を現像する還元剤が添加されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の応力履歴記録システム。
  7. 前記還元剤は、前記記録手段中において、感光前の状態で前記ハロゲン化銀の還元反応が進行しない濃度で添加されていることを特徴とする請求項6に記載の応力履歴記録システム。
  8. 前記還元剤は、前記発光手段からの発光により、同発光による光を受けた部位に形成された潜像が自動的に現像される濃度で添加されていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の応力履歴記録システム。
  9. 対象物に付与された応力の履歴を確認する方法であって、
    請求項1〜8いずれか1項に記載の応力履歴記録システムを前記対象物に被着するステップと、
    前記フィルタ手段を介して前記所定波長の外光を前記記録手段に照射してその反射光を観察することにより、前記対象物に付与された応力の履歴を確認するステップと、を有することを特徴とする応力履歴確認方法。
  10. 応力が付与されうる対象物に形成して同対象物に付与された応力の履歴を記録する応力履歴記録体の構造であって、
    前記対象物に付与された応力が伝搬可能な領域に配設され、前記応力に応じて発光する発光部と、
    同発光部から発せられた応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有し、同感光物質が前記応力発光光で感光可能な領域に配設された記録部と、
    同記録部を被覆して前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護するフィルタ部と、を備え、
    同フィルタ部は、前記記録部の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるものであり、同読出光の反射光によって前記応力による前記記録部の光学的特性の変化の有無が検出可能な位置に配設していることを特徴とする応力履歴記録体構造。
  11. 請求項10に記載の応力履歴記録体構造の構築に用いられるシート体であって、
    応力発光光により感光して光学的特性が変化する感光物質を含有する記録層と、
    同記録層の少なくともいずれか一方の面側に配設され、前記感光物質が前記応力発光光以外の光により感光することを防護すると共に、前記記録層の感光部分と未感光部分とで反射率が異なる波長であって前記感光物質を実質的に感光させない波長である読出光を透過させるフィルタ層と、
    を備えることを特徴とするシート体。
JP2016523360A 2014-05-30 2015-03-20 応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体 Active JP6120345B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014113224 2014-05-30
JP2014113224 2014-05-30
PCT/JP2015/058622 WO2015182226A1 (ja) 2014-05-30 2015-03-20 応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2015182226A1 JPWO2015182226A1 (ja) 2017-04-20
JP6120345B2 true JP6120345B2 (ja) 2017-04-26

Family

ID=54698568

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016523360A Active JP6120345B2 (ja) 2014-05-30 2015-03-20 応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP6120345B2 (ja)
WO (1) WO2015182226A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017053679A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 大阪瓦斯株式会社 応力記録体

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6220318B2 (ja) * 2014-06-26 2017-10-25 鹿島建設株式会社 状態変化記録装置

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8006567B2 (en) * 2006-03-10 2011-08-30 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Stress history recording system
JP2012229934A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 応力履歴記録システム及び応力履歴記録方法
JP2012229935A (ja) * 2011-04-25 2012-11-22 National Institute Of Advanced Industrial & Technology 応力履歴記録方法及び応力履歴記録システム

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017053679A (ja) * 2015-09-08 2017-03-16 大阪瓦斯株式会社 応力記録体

Also Published As

Publication number Publication date
WO2015182226A1 (ja) 2015-12-03
JPWO2015182226A1 (ja) 2017-04-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4631080B2 (ja) 量子効率測定装置および量子効率測定方法
AU648543B2 (en) Radiation dosage indicator
US9006665B2 (en) Radiation detection apparatus and radiographic system
US9952101B2 (en) Spectrometry device and spectrometry method
US20120112099A1 (en) System and method for the identification of radiation in contaminated rooms
JP6120345B2 (ja) 応力履歴記録システム及び応力履歴確認方法、応力履歴記録体構造、並びにシート体
JPWO2007105539A1 (ja) 応力履歴記録システム
US4015130A (en) Method and apparatus for monitoring optical radiation
JP2007327967A (ja) 放射線弁別測定装置
CN105700002B (zh) 放射线检测装置及放射线检测片
JP2005528598A (ja) 電離ビーム検査装置とプロセス
JP2009281911A (ja) 分析装置
JP2012229934A (ja) 応力履歴記録システム及び応力履歴記録方法
US20180328722A1 (en) Apparatus and method for smart material analysis
KR20190104034A (ko) 보안성을 갖는 진단 검사 검정 및 관련 장치 및 이의 사용 방법
JP4724007B2 (ja) 放射線検出器
US9324469B1 (en) X-ray intensifying screens including micro-prism reflective layer for exposing X-ray film, X-ray film cassettes, and X-ray film assemblies
JPH03242590A (ja) 放射線検出装置及び放射線検出光伝送装置
JP2012229935A (ja) 応力履歴記録方法及び応力履歴記録システム
Spaeker et al. Gradients of Orientation, Composition, and Hydration of Proteins for Efficient Light Collection by the Cornea of the Horseshoe Crab
JPH03108687A (ja) 放射線計測装置の放射線検出部
JPWO2008117589A1 (ja) 放射線用シンチレータパネル及び放射線画像撮影装置
JP2020526743A (ja) 貯蔵タンクの監視および較正のためのスマートコーティングデバイス
JP3015685B2 (ja) 輝尽発光物質を利用した放射線種弁別方法
RU2158447C1 (ru) Способ радиационной диагностики оборудования ядерных установок

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20161129

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170322

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6120345

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250