JP6119256B2 - セメント焼成排ガスの処理方法及び処理装置 - Google Patents
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(A)集塵手段を用いて、前記排ガスに含まれているダストを捕集して、該捕集したダストをセメント製造装置に返送する工程と、
(B)工程(A)の処理後の排ガスと、吸着材を接触させて、該吸着材に、前記排ガスに含まれている残留性有機汚染物質、水銀含有物質、酸性ガス、及び悪臭物質を吸着させる工程と、
(C)工程(B)の処理後の吸着材を、不活性ガス雰囲気中で300℃以上に加熱することによって、該吸着材に吸着している残留性有機汚染物質及び悪臭物質を分解し、かつ、該吸着材から水銀含有物質及び酸性ガスを離脱させる工程と、
(D)工程(C)で得られた水銀含有物質及び酸性ガスを含む不活性ガスを処理して、無害化する工程とを含み、
工程(B)及び工程(C)において、前記吸着材を、工程(B)と工程(C)の間で連続的に循環させることを特徴とするセメント製造装置の排ガスの処理方法が開示されている。
(A)集塵手段を用いて、前記排ガスに含まれているダストの少なくとも一部を捕集して、水銀、有機塩素化合物及びダストの残部を含む排ガスを得る工程と、
(B)工程(A)で得られた排ガスと、吸着性能を有する物質を接触させて、該吸着性能を有する物質に、前記排ガス中の水銀及び有機塩素化合物を吸着させる工程と、
(C)工程(B)で得られた吸着性能を有する物質を、不活性ガス雰囲気中で350℃以上に加熱して、吸着している水銀及び有機塩素化合物を除去する工程と
を含むことを特徴とするセメントキルンの排ガスの処理方法が開示されている。
セメント製造設備の集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを第1加熱炉に導き、
該第1加熱炉にキャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発成分を揮発させ、
該第1加熱炉から出た集塵ダストを第2加熱炉に導くとともに、第1加熱炉から出た水銀以外の揮発成分を含む空気をセメント焼成装置に導入して有機成分を分解し、
該第2加熱炉にキャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させ、
前記第2加熱炉で集塵ダスト中の水銀を揮発させた後の集塵ダストをセメント原料に利用し、
該第2加熱炉から排出された排ガスを水銀回収装置中で冷却液と接触させて水銀を回収し、
該水銀回収装置から排出された排ガスを水銀除去装置に通過させて排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着して除去することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法である。
更に好適には、上記本発明のセメント焼成排ガスの処理方法は、前記第1加熱炉で集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させた後に、第1加熱炉に設けられた固気分離フィルターで、揮発させた該水銀以外の揮発性成分と集塵ダストとを分離し、該揮発性成分を含む分離した空気をセメント焼成装置に導入し、
前記第2加熱炉で集塵ダスト中の水銀を揮発させた後に、第2加熱炉に設けられた固気分離フィルターで、揮発させた該水銀と集塵ダストとを分離し、該分離した集塵ダストをセメント原料に利用することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法である。
また更に好適には、上記本発明のセメント焼成排ガスの処理方法は、水銀回収装置中の冷却液をセメント焼成装置に導入することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法である。
セメント製造設備のセメント焼成排ガスに含まれるダストを捕集するための集塵機、
該集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを導き、キャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させるための第1加熱炉、
該第1加熱炉から排出された、水銀以外の該揮発性成分を含む空気をセメント焼成炉へ排気して有機成分を分解するためのダクト、
該第1加熱炉から排出された集塵ダストを導き、キャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させる第2加熱炉、
第2加熱炉から排出された集塵ダストをセメント原料に利用するための輸送機、
該第2加熱炉から排出された排ガスを冷却して水銀を凝縮、回収する水銀回収装置、
該水銀回収装置から排出された排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着する水銀除去装置を備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置である。
更に好適には、上記本発明のセメント焼成排ガスの処理装置において、第1加熱炉は、揮発させた、水銀以外の該揮発性成分と集塵ダストとを分離するための固気分離フィルターを備え、該揮発性成分を含む該分離した空気をセメント焼成炉へ排気、分解するためのダクトを備え、
第2加熱炉には、揮発させた該水銀と集塵ダストとを分離するための固気分離フィルターを備え、
第2加熱炉で分離した集塵ダストをセメント原料に利用するための輸送機を備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置である。
また更に好適には、上記セメント焼成排ガスの処理装置は、水銀回収装置から排出された冷却液をセメント焼成装置に導入するための配管を備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置である。
また、本発明によれば、既存のセメント製造設備に小規模な設備を付加することで、集塵機で回収される集塵ダストから、水銀を効率よく回収することができ、その結果、セメント製造設備から系外へ排出される排ガス中における、水銀の排出量を、効率的に低減させることができる。
本発明のセメント焼成排ガスの処理方法は、
セメント製造設備の集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを第1加熱炉に導き、
該第1加熱炉にキャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発成分を揮発させ、
該第1加熱炉から出た集塵ダストを第2加熱炉に導き、
該第2加熱炉にキャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させ、
該第2加熱炉から排出された排ガスを水銀回収装置中で冷却液と接触させて水銀を回収し、
該水銀回収装置から排出された排ガスを水銀除去装置に通過させて排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着して除去する、セメント焼成排ガスの処理方法である。
好ましくは、更に、上記水銀除去装置から排出された排ガスを、セメント焼成装置に導入する。
更に好ましくは、水銀回収装置の冷却液をセメント焼成装置に導入する。
セメント製造設備のセメント焼成排ガスに含まれるダストを捕集するための集塵機、
該集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを導き、キャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させるための第1加熱炉、
該第1加熱炉から排出された集塵ダストを導き、キャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させる第2加熱炉、
該第2加熱炉から排出された排ガスを冷却して水銀を凝縮、回収する水銀回収装置、
該水銀回収装置から排出された排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着する水銀除去装置を備える、セメント焼成排ガスの処理装置である。
好ましくは、更に、該水銀除去装置から排出された排ガスを、セメント焼成装置に導入するためのダクトを備える。
更に好ましくは、水銀回収装置から排出された冷却液をセメント焼成装置に導入するための配管を備える。
図1中、1は集塵機、2は第1加熱炉、3は第2加熱炉、4は水銀回収装置、5は水銀除去装置を示す。
一般に、セメント原料がプレヒーター、仮焼炉及びロータリーキルン内で加熱されることにより、セメント原料中に含まれる水銀成分や有機物は、排出ガス中に揮発し、ガスはプレヒーターの最上段のサイクロンを出て沈降室に送られる。沈降室で粒子径の大きいダストが分離され、スタビライザーでガス温度を調節された排ガスは、電気集塵機等の集塵機1に送られる。なお、沈降室を出た排ガスは原料ミルあるいは原料乾燥装置にも送られ、原料ミル、原料乾燥装置から出た排ガスは電気集塵等の集塵機1に送られる排ガスに合流する。
集塵機1中のガス温度は、約80〜150℃程度であるので、排ガス中の水銀や有機物等の大部分はダスト中の未燃物に吸着され、特に、セメントキルンの後段に設置した集塵機1中で捕集される集塵ダストには、水銀、タリウム等の金属類、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、有機塩素化合物成分等が含まれる。
かかる温度で加熱することで集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させることができる。第1加熱炉2では、水銀の揮発量は極微量である。
水銀以外の揮発成分としては、例えば芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等が例示できる。
キャリアガスである空気を導入しながら約150〜200℃に加熱するとしたのは、集塵ダスト中の水銀の揮発がほとんど起こらない200℃より低い温度で水銀以外の揮発成分を分離するためである。集塵ダスト中の水銀以外の揮発成分は雰囲気によらず150℃程度から揮発する一方、水銀は、約200℃以上において揮発する量が大きくなるからである。
第1加熱炉から排出されたガスには、水銀がほとんど含まれないため、セメント焼成装置等への導入が可能であり、該第1加熱炉2とセメント焼成炉との間にダクトが備わっていることが望ましい。
これにより、第1加熱炉から排出されたガスを、セメント焼成装置の高温部へ排気し、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素等の有機成分を分解することができる。
かかる温度で加熱することで集塵ダスト中の水銀をガス状の原子状水銀として、含有される水銀の約90質量%以上を揮発させることができる。
キャリアガスとしては不活性ガスを用い、特に好ましくは窒素を導入しながら200〜400℃、好ましくは300〜350℃に加熱することで、水銀を原子状水銀として揮発させることができる。
また、かかる温度範囲であると、水銀以外の例えばタリウム等は揮発せず、ダスト中に残留することとなり、水銀を高純度に回収することが可能となる。
前記不活性ガスとは、窒素、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトンなどの希ガス類や炭酸ガス、水蒸気のうち1つあるいは2つ以上を組み合わせたガスを示す。
また、前記不活性ガスが不純物として含有する酸素の濃度は、5体積%以下である。
該第2加熱炉3とセメント焼成装置との間にベルトコンベア等の輸送機が備わっていることが望ましい。
冷却液6としては、酸化や有機化等の金属水銀の形態変化を生じさせない液体であればよく、例えば、水、塩化ナトリウム溶液、塩化カリウム溶液等を例示することができる。
具体的には、例えば、水銀回収装置4において、冷却液6を噴霧することで、上記原子状水銀が該冷却液のミストに捕獲される。
上記したように、第2加熱炉のキャリアガスが不活性ガス以外の気体、特に酸素を5体積%より多く含む気体である場合は、集塵ダスト中の水銀が2価の水銀として揮発してしまう可能性が高くなり、水銀回収装置では該2価の水銀は例えば塩化水銀となってしまう。この場合、かかる2価の水銀は水溶性のため、冷却液6に溶解して、水銀の分離が困難となり、純粋な金属水銀を回収することが難しくなる。
また、加熱温度が上記温度範囲よりも高いと、タリウム等の揮発性物質が揮発し、水銀回収装置4で水銀と同様に回収されてしまうため、水銀の純度が低下する。
微量の水銀や有機物が含まれている可能性があるため、これを除去するものである。
かかる水銀除去装置5には、例えば活性炭を用いることができる。
該水銀除去装置から排出された排ガスは、水銀をほとんど含まないため、セメント焼成装置に導入することが可能である。
従って、該水銀除去装置とセメント焼成装置との間にダクトが備わっていることが望ましい。
更に、従来のように、水銀を吸着・吸収した吸着剤、吸収剤、吸収液等を埋立等の廃棄物処理必要もなく、環境負荷の上昇を招くこともない。
また、本発明のセメント焼成排ガスの処理方法及び処理装置は、上記構成を有するため、セメント製造設備から排出される排ガス中に含まれる水銀と水銀以外の揮発性成分とを有効に分離することができ、水銀を金属水銀として純度高く回収することが可能となる。
2・・・第1加熱炉
3・・・第2加熱炉
4・・・水銀回収装置
5・・・水銀除去装置
6・・・冷却液
Claims (10)
- セメント製造設備の集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを第1加熱炉に導き、
該第1加熱炉にキャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発成分を揮発させ、
該第1加熱炉から出た集塵ダストを第2加熱炉に導くとともに、第1加熱炉から出た水銀以外の揮発成分を含む空気をセメント焼成装置に導入して有機成分を分解し、
該第2加熱炉にキャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させ、
前記第2加熱炉で集塵ダスト中の水銀を揮発させた後の集塵ダストをセメント原料に利用し、
該第2加熱炉から排出された排ガスを水銀回収装置中で冷却液と接触させて水銀を回収し、
該水銀回収装置から排出された排ガスを水銀除去装置に通過させて排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着して除去することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法。 - 請求項1記載のセメント焼成排ガスの処理方法において、更に、該水銀除去装置から排出された排ガスを、セメント焼成装置に導入することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法。
- 請求項1又は2記載のセメント焼成排ガスの処理方法において、前記第1加熱炉で集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させた後に、第1加熱炉に設けられた固気分離フィルターで、揮発させた該水銀以外の揮発性成分と集塵ダストとを分離し、該揮発性成分を含む分離した空気をセメント焼成装置に導入し、
前記第2加熱炉で集塵ダスト中の水銀を揮発させた後に、第2加熱炉に設けられた固気分離フィルターで、揮発させた該水銀と集塵ダストとを分離し、該分離した集塵ダストをセメント原料に利用することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法。 - 請求項1〜3いずれかの項記載のセメント焼成排ガスの処理方法において、第2加熱炉で揮発した水銀は、ガス状の原子状水銀であり、該原子状水銀を水銀回収装置で金属水銀として回収することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法。
- 請求項1〜4いずれかの項記載のセメント焼成排ガスの処理方法において、水銀回収装置中の冷却液をセメント焼成装置に導入することを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理方法。
- セメント製造設備のセメント焼成排ガスに含まれるダストを捕集するための集塵機、
該集塵機でセメント焼成排ガス中から捕集された集塵ダストを導き、キャリアガスである空気を導入しながら150〜200℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀以外の揮発性成分を揮発させるための第1加熱炉、
該第1加熱炉から排出された、水銀以外の該揮発性成分を含む空気をセメント焼成炉へ排気して有機成分を分解するためのダクト、
該第1加熱炉から排出された集塵ダストを導き、キャリアガスである不活性ガスを導入しながら250〜400℃に加熱して、集塵ダスト中の水銀を揮発させる第2加熱炉、
第2加熱炉から排出された集塵ダストをセメント原料に利用するための輸送機、
該第2加熱炉から排出された排ガスを冷却して水銀を凝縮、回収する水銀回収装置、
該水銀回収装置から排出された排ガス中に残存する微量の水銀と水銀以外の揮発性成分とを吸着する水銀除去装置を備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置。 - 請求項6記載のセメント焼成排ガスの処理装置において、更に、該水銀除去装置から排出された排ガスを、セメント焼成装置に導入するためのダクトを備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置。
- 請求項6または7記載のセメント焼成排ガスの処理装置において、第1加熱炉は、揮発させた、水銀以外の該揮発性成分と集塵ダストとを分離するための固気分離フィルターを備え、
第2加熱炉には、揮発させた該水銀と集塵ダストとを分離するための固気分離フィルターを備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置。 - 請求項6〜8いずれかの項記載のセメント焼成排ガスの処理装置において、水銀回収装置は、第2加熱炉で揮発したガス状の原子状水銀を含有する排ガスを水銀の露点以下に冷却し、金属水銀として回収する装置であることを特徴とする、セメント排ガスの処理装置。
- 請求項6〜9いずれかの項記載のセメント焼成排ガスの処理装置において、水銀回収装置から排出された冷却液をセメント焼成装置に導入するための配管を備えることを特徴とする、セメント焼成排ガスの処理装置。
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