JP6118251B2 - グルカゴン様ペプチド−1の測定方法及びそれに使用するキット - Google Patents

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Description

本発明は、容易且つ正確にグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)を測定する方法及びそれに使用するキットに関する。
ジペプチジルペプチダーゼIV(以下「DPP−IV」と言うことがある)活性阻害をターゲットとする薬物、又は、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)を薬物とする医薬品(主に糖尿病薬)の開発においては、それぞれ薬効評価パラメーター及び薬物濃度測定のために血中活性型GLP−1濃度(GLP−1(active))、または総GLP−1濃度(GLP−1(total))を測定することが頻繁に行われている。
DPP−IV阻害剤の作用機序とは、DPP−IV活性を阻害することにより、DPP−IVにより分解される性質を有する活性型GLP−1の濃度を上昇させ、このGLP−1によりインスリンの分泌を促進させて、糖の利用を促進するものである。従って、GLP−1の濃度を測定することによりDPP−IV阻害剤の作用効果を判定することができる。
活性型GLP−1として、GLP−1(7−36Amide)及びGLP−1(7−37)が存在することが知られている。これらの測定は、特異的な抗体を使用した免疫学的測定法(ELISA法:ミリポア社製キットなど)により広く行われているが、非特異反応がしばしば生じるため、血漿中の正確な濃度を測定するためには何らかの前処理を行って非特異反応を取り除く必要があることが知られている(非特許文献1)。一般にELISA法における非特異反応は血液等の検体に起因するもの、抗体・試薬に起因するもの、マイクロプレートに起因するもの等が考えられる。従来法では、非特異反応が検体に起因すると考え、これらをカラムによる前処理法にて検体から除去した後にELISA法を実施している。この前処理方法は固相カラムもしくはエタノール抽出操作によって非特異反応を起こす物質とGLP−1を分離するものであるが、1回の検査に必要な血漿量が300μLと多く、試薬調製、分離操作、窒素乾固及び再溶解といった複雑な作業や時間を要し、作業従事者にも熟練を要したりする。以上より従来法は簡便かつ低コストな測定法とはいえない。さらに、この前処理操作により20〜30%の検体中GLP−1のロスは避けられないため、GLP−1測定値は真値に対して70〜80%程度になると考えられ、正確性にも問題があった。
CF. Deacon, JJ. Holst/ Best Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolism 23 (2009) 425-432
本発明は、上記問題点を解決することのできる、臨床試験において実用的な条件において、検体中におけるGLP−1の測定を簡便且つ正確に行うことができる方法及びキットを提供することを課題とする。
本発明者らは鋭意検討し、固相カラムを使用せずに、検体を酸処理することにより、回収操作によるロスを解消し、非特異反応物質の影響を排除して正確な測定値を得るとともに、低コストで簡便な測定を可能にした。具体的には、固相カラムを使用しないことで、カラムの洗浄・溶出・窒素乾固、再溶解といった煩雑な操作が必要でなくなり、検体の前処理に要する時間も約4.5時間短縮され、必要血漿量は半分とすることができた。特に検査室では多くの検体を処理することが求められることから、本発明により処理能力を格段に向上することが出来る。また作業にあたって特殊な技能を必要としない簡便な方法であることから、作業者に関わらず安定した測定を行うことが出来る。これらの知見に基づき、本発明は完成された。
また、酸処理は、アミノ酸配列によってはその活性を無くしてしまうなどの影響が知られており、一般的に、活性の高い(あるいは安定した)抗体の精製など、限定して使用されている。本発明における酸処理によって、GLP−1は安定であるが、非特異反応物質は変性などを受け、GLP−1濃度の測定法における非特異反応は抑制され、正確にGLP−1濃度を測定できることは、思いがけない効果であった。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)検体中のグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の存在及び/又は量を測定する方法であって、検体を予め酸性溶液にて処理する工程を含むことを特徴とするGLP−1の測定法。
(2)酸性溶液が、グリシン、塩酸、酢酸、グアニジン塩酸、硫酸、リン酸のうちの少なくとも一つを含むものである、(1)に記載の測定法。
(3)検体が血液である(1)または(2)に記載の測定法。
(4)GLP−1の測定法が、酵素免疫測定法又は競合的放射免疫測定(競合的RIA)法である、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法。
(5)検体中のGLP−1の存在及び/又は量を測定するキットであって、
(a)酸性溶液、(b)GLP−1に特異的な抗体、および(c)取扱説明書を含む、該キット。
「GLP−1」としては、活性型GLP−1、不活性型GLP−1、全長GLP−1など、全長GLP−1から生成されるものが含まれる。
各「GLP−1」のアミノ酸配列を以下に示す。
活性型GLP−1
GLP−1(7-36) Amide:
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号1)-CONH2
GLP−1(7-37):
HAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号2)
不活性型GLP−1
GLP−1(9-36) Amide:
EGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号3)-CONH2
GLP−1(9-37):
EGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号4)
全長GLP−1
GLP−1(1-37):
HDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGRG(配列番号5)
GLP−1(1-36) Amide:
HDEFERHAEGTFTSDVSSYLEGQAAKEFIAWLVKGR(配列番号6)-CONH2
上記「GLP−1」のうち、活性型GLP−1はインクレチン作用を有する。本発明は、活性型GLP−1に対して使用されることが好ましい。
本発明によれば、検体中におけるGLP−1の測定時の非特異反応を効率良く抑制することが可能となり、該GLP−1を簡便且つ正確に測定することができる。本発明を用いることにより、測定に供する検体量を従来の半分程度とでき、また測定者の熟練度に係わらず正確にかつ低コストでGLP−1を測定することが可能になる。臨床現場においても、煩雑な作業が不要になり、簡便に均一化された測定を実施できることは非常に有用である。
健常人29例について前処理なし法、固相カラム法、酸処理法にて空腹時血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した結果を示す図。 固相カラム法(補正あるなし)、酸処理法にて食事負荷後の血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した結果を示す図。 各種酸を用いて処理した空腹時血漿および食事負荷後血漿中の活性型GLP−1濃度を測定した結果を示す図。 他の健常人50例について前処理なし法、固相カラム法、酸処理法にて空腹時血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した結果を示す図。 他の健常人50例について前処理なし法、固相カラム法、酸処理法にて食事負荷後血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した結果を示す図。 実施例5,6の結果に基づいて前処理なし法、固相カラム法、酸処理法のうちのそれぞれの組み合わせの相関性を解析した結果を示す図。
本発明は、検体中のGLP−1の測定において、検体を予め酸処理して前記測定に供することを特徴とする。
本発明は、公知の検体中のGLP−1の存在及び/又は量(濃度)を測定する方法に使用できる。すなわち、本発明の測定法は、本発明の検体を予め酸処理して前記測定に供する他は、通常のGLP−1の測定法と同様でよい。測定方法としては、例えば、免疫学的方法、機器分析法等が挙げられ、好ましくは免疫学的方法である。
GLP−1量の測定としては、一般に「GLP−1(active)」と言われる活性型GLP−1のみを対象とした測定や、「GLP−1(total)」と言われる活性型GLP−1、不活性型GLP−1、全長GLP−1等の全長GLP−1から生成するGLP−1の総量を対象とした測定等が行われる。それぞれのGLP−1量の測定方法自体は何ら限定されるものではなく、周知の免疫分析・機器分析等により行うことができるが、好ましくは、免疫学的方法であって、例えば、酵素免疫測定法や競合的RIA法などが好ましく用いられる。酵素免疫測定法としては、例えば、吸光、蛍光、化学発光等を利用する方法が用いられ、中でも蛍光、化学発光法が特に好ましく用いられる。市販のEIA,ELISAまたはRIAキットを用いて測定することも可能である。
本発明において、検体を予め酸処理するとは、検体を、前記GLP−1量の測定工程に供する前に、酸性溶液で処理することを言う。例えば、検体に酸性溶液を加え、室温もしくは37℃にて一定時間インキュベートする。一定時間とは好ましくは約10〜30分間である。また、その後、アルカリ溶液にて中和した態様も酸処理したと言う場合がある。アルカリ溶液を加えた後は、直ちに混和すれば良い。
本発明で使用可能な検体は、前記GLP−1量の測定に使用可能なものであれば制限は無いが、血液(全血・血漿・血清など)が挙げられる。好ましくは、血漿が使用可能である。
本発明における酸処理とは、GLP−1は変性しないが、それ以外の非特異反応を起こす夾雑物は変性などし、前記GLP−1量の測定への影響を抑制する方法である。
本発明の酸処理に用いる酸性溶液としては、GLP−1は変性しないが、それ以外の非特異反応を起こす夾雑物は変性でき、後の測定に影響を与えないものであれば良い。そのような酸性溶液は、当業者であれば、過度な試行錯誤無く、公知の酸性溶液から選択することができる。例えば、pH4以下の酸性溶液である。より好ましくはpH2.5以下の酸性溶液である。酸性溶液のpHの下限は特に制限されないが、例えばpH1以上である。具体的には、グリシン(アミノ酢酸)、塩酸、酢酸、グアニジン塩酸、硫酸、リン酸の少なくとも1種を含む溶液が挙げられる。好適なpHは各酸によって異なるが、当業者であれば容易に決定することができる。通常、pHが低い方が好ましい。また、緩衝能のある酸性溶液は、操作性のズレを補えるので好ましい。例えば、グリシン塩酸緩衝液、塩酸塩化カリウム緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液などが挙げられる。このような酸性溶液を使用することで、非特異反応物質のみを変性できるので、GLP−1のみを正確に測定することができる。また、変性した非特異反応物質が沈殿・析出しにくいため、前処理後に検体の遠心・沈殿除去作業を経ることなく、測定に供することが可能となり、操作が簡便になる。
酸性溶液は試料溶液に対し、1:9〜1:1の容量で加えることがより好ましい。
酸処理を行った後、前記GLP−1量の測定への影響を無くすため、アルカリ溶液を添加しpH7程度になるように中和すると良い。中和に使用可能なアルカリ溶液としては、測定に影響を与えないものであれば良く、当業者であれば、過度な試行錯誤無く、公知のアルカリ溶液から選択することができる。例えば、トリス、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。また、緩衝能のあるアルカリ溶液は、操作性のズレを補えるので好ましい。例えば、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン水酸化ナトリウム緩衝液、炭酸重炭酸緩衝液などが挙げられる。
本発明のキットは、本発明の測定法を実施するのに用いることができ、検体を予め酸処理するための酸性溶液を含むことを特徴とする。具体的には、
(a)酸性溶液、
(b)GLP−1に特異的な抗体、
(c)取扱説明書、を含む。
本発明のキットに用いる前記抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体のいずれであることもできる。また、GLP−1への特異的結合能を保持する抗体断片、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFvとして、キットに用いることもできる。
更に、前記抗体は、そのままの状態でキットに用いることもできるし、利用する免疫学的手法に基づいて、それに適した形態、例えば、ラテックス凝集免疫測定法を利用するのであれば、ラテックス担体に固定した状態で、磁性粒子などを利用した高感度測定法を利用するのであれば、磁性粒子に固定した状態で、イムノクロマトグラフ法などの基板を利用する方法であれば、基板に固定した状態で、標識物質(例えば、酵素、蛍光物質、化学発光物質、放射性同位体、ビオチン、アビジン)による標識の必要があれば、標識化した状態で、キットに用いることもできる。
また、本発明のキットに含まれる前記取扱説明書は、少なくとも、検体を酸性溶液によって予め処理することに言及するものであれば、特に限定するものではなく、前記言及に加え、例えば、本発明のキットを使用する免疫学的測定の実施手順に関する説明、キット自体の保存・取り扱いなどに関する注意事項などを含むことができる。
なお、酸処理するための酸性溶液は、GLP−1を測定する試薬と別になっていたとしても、GLP−1を測定する際に予め検体を酸処理するために使用するのであれば、実質的に本発明のキットを構成する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例の態様に限定されない。
≪実施例1:本発明の酸処理による測定法と従来の固相カラムによる測定法の手順≫
1−1:本発明の酸処理による測定法の手順
1−1−1:検体
検体は健常人を対象とし、EDTA採血管(ニプロ社製)に特開2008−104870に従ってディプロチンAを添加し、空腹時あるいは食事負荷後に採血し、以下の測定には個体別血漿を使用した。
1−1−2:検量線用標準試料溶液
標準物質としては、Glucagon−like Peptide 1 (Human, 7−36 Amide)(ペプチド研究所社製)を使用し、0と1〜100pmol/Lまで8段階の濃度溶液を調製し、定量に使用した。
1−1−3:酸処理
ポリプロピレン製チューブに0.2mol/Lグリシン塩酸緩衝液(pH1.3)を150μL及び、検量線用標準試料溶液または個体別血漿150μLを添加し、混和した。37℃にて10分間インキュベートし、その後、2mol/Lトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を30μL添加して中和し、酸処理済みサンプルとして、以下の活性型GLP−1量の測定に使用した。
1−1−4:活性型GLP−1濃度の測定
活性型GLP−1濃度の測定は、抗GLP−1モノクローナル抗体によるGLUCAGON−LIKE PEPTIDE−1(ACTIVE) ELISA KIT 96Well Plate(ミリポア社製)を使用した。測定方法は、添付の説明書に従って行った。測定装置は、Veritasマイクロプレート ルミノメーター(プロメガ社製)を使用し、SoftMax Pro(モレキュラーデバイス ジャパン社製)にて解析した。
1−2:従来の固相カラムによる測定法の手順
1−1−3の酸処理を以下の固相カラムに変更した以外は、1−1と同様に行った。
固相カラムとしてOasis HLB Extraction Plate(Waters社製)を使用した。使用方法は、添付の説明書に従って行った。カラムのコンディショニングを行った後、1−1−1で調製した血漿300μLをPBSで4倍希釈し1200μLに調製してウェルに添加後、遠心(10×g、3分間、室温)した。その後、10%メタノール溶液1mLを添加後、遠心(10×g、3分間、室温)を行い、ウェルを洗浄した。この操作を2回繰り返した。続いて、ディープウェルプレートをセットし、0.5%アンモニア含有75%メタノール溶液0.5mLを添加後、遠心(10×g、3分間、室温)し、溶出した。この操作を2回繰り返した後、遠心(100×g、1分間、室温)でウェルから溶出液を完全に回収した。続いて、この溶出液を窒素気流下にて乾固を行った。これにGLUCAGON−LIKE PEPTIDE−1(ACTIVE) ELISA KIT 96Well Plateキット(ミリポア社製)含有のAssay Buffer250μLを添加して、プレートシェーカーに約5分間かけて再溶解し、前処理済みサンプルとして活性型GLP−1濃度の測定に使用した。再溶解量250μLが検体量300μLより少ないため、測定値に、容量補正係数(0.83:再溶解量を検体量にて除した値)を乗じた。
また、比較として前処理を行わない場合は、1−1−1で調製した血漿をそのまま活性型GLP−1濃度の測定に使用した(容量補正も不要)。
≪実施例2:活性型GLP−1濃度測定における前処理法の効果の比較≫
活性型GLP−1濃度と総GLP−1濃度を同じ個体において比較した場合、前処理なし法では活性型GLP−1濃度が総GLP−1濃度を上回る個体が認められ、前処理なしでは活性型GLP−1を正確に測定できていないことが明らかであり、従来の固相カラムによる前処理の有効性が確認されている。
空腹時において、活性型GLP−1濃度は非常に低濃度(定量下限1pmol/L付近)であることから、空腹時血漿を測定することにより、測定値に対する非特異反応物質の影響を正確に確認することが可能となる。
実施例1にしたがって、それぞれの前処理法にて活性型GLP−1濃度を測定した。
空腹時の健常人29例より個体別に血漿を調製し、前処理なし法、固相カラム法、酸処理法にて血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した。このうち、固相カラム法は測定値が前処理によるロスにより低めとなるため、比較上、便宜的に測定値を回収率補正(測定値/0.75)した結果を用いた。その結果、本発明の酸処理法は、固相カラム法と同等の結果が得られた。結果を図1に示す。
前処理なしでは多くの検体で非特異的な値の上昇が認められたが、検体の酸処理法による前処理によって有意に抑制することができた。また、固相カラム法では、便宜的に測定値を回収率補正して値を求めているが、回収率は常に安定であるとは限らず、測定値が正しいものであるか不確実であった。しかし、酸処理法は、そのような補正係数を使用しなくても、固相カラム法の補正後の測定値と同程度であったため、簡便且つ高精度に測定値が求められることがわかった。以上より、酸処理によって、安定して正確に測定結果を得ることができることが示された。
≪実施例3:活性型GLP−1濃度測定における前処理法の効果の比較≫
実施例1にしたがって、それぞれの前処理法にて食事負荷後の健常人10例の活性型GLP−1濃度を測定した。
食事負荷により内因性活性型GLP−1濃度が増加することから、食事負荷後の血漿を測定することで酸処理法が内因性の活性型GLP−1濃度測定に影響を与えないことを確認することが可能となる。
食事負荷後の健常人10例より個体別に血漿を調製し、固相カラム法、酸処理法にて血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した。このうち、固相カラム法は測定値が前処理によるロスにより低めとなるため、比較上、便宜的に測定値を回収率補正(測定値/0.75)した結果も用いた。その結果、本発明の酸処理法は、回収率補正した固相カラム法と同等の結果が得られ、正確に活性型GLP−1濃度を測定できることがわかった。結果を図2に示す。
実施例2と同様に、酸処理法により、測定者の熟練度やカラムのロット差などに関わらず、安定して簡便且つ高精度に測定値が求められることがわかった。
≪実施例4:各種酸における酸処理条件の比較≫
実施例1及び下記表1にしたがって、空腹時あるいは食事負荷後の個体別血漿各2例を測定し、前処理なし法、固相カラム法及び酸処理法において、化学発光強度を比較した。固相カラム法は化学発光強度が前処理によるロスにより低めとなるため、比較上、便宜的に化学発光強度を回収率補正(化学発光強度/0.75)した結果を用いた。酸処理液は全て個体別血漿と等量(150μL)添加し、実施例1に示す酸処理条件以外の酸処理液の種類及び中和条件は表1に示す。酸処理法については、中和液添加量に対する容量補正{化学発光強度×(個体別血漿量+酸処理液量+中和液添加量)/(個体別血漿量+酸処理液量)}を行った結果を用いた。
結果を図3及び表2に示す。
その結果、固相カラム法と比較して前処理なし法では化学発光強度差で+101.7〜+177.1の乖離が認められた。グリシン塩酸緩衝液、HCl及び酢酸全ての酸において、前処理なし法と比較して固相カラム法に対する化学発光強度差の乖離が小さくなることが確認された。特に、グリシン塩酸緩衝液(pH1.3)、HCl(pH1.3)、酢酸(pH2.5)では固相カラム法に対する化学発光強度差が−12.9〜+51.0と乖離がより小さくなる傾向が認められ、pHの低い条件が望ましいことが明らかとなった。中でもグリシン塩酸緩衝液(pH1.3)にて酸処理を行った場合に非特異反応物質除去効果が最も高く(固相カラム法に対する化学発光強度差:−12.9〜+7.5)、固相カラム法と同等の結果が得られることが示された。
≪実施例5:活性型GLP−1濃度測定における前処理法の効果の比較≫
実施例1にしたがって、それぞれの前処理法にて活性型GLP−1濃度を測定した。
空腹時の健常人50例より個体別に血漿を調製し、前処理なし法、固相カラム法、酸処理法にて血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した。このうち、固相カラム法は測定値が前処理によるロスにより低めとなるため、比較上、便宜的に測定値を回収率補正(測定値/0.75)した結果を用いた。その結果、本発明の酸処理法は、固相カラム法と同等の結果が得られた。結果を図4に示す。
≪実施例6:活性型GLP−1濃度測定における前処理法の効果の比較≫
実施例1にしたがって、それぞれの前処理法にて食事負荷後の健常人50例の活性型GLP−1濃度を測定した。
食事負荷後の健常人50例より個体別に血漿を調製し、固相カラム法、酸処理法にて血漿を処理後、活性型GLP−1濃度を測定した。このうち、固相カラム法は測定値が前処理によるロスにより低めとなるため、比較上、便宜的に測定値を回収率補正(測定値/0.75)した結果も用いた。その結果、本発明の酸処理法は、回収率補正した固相カラム法と同等の結果が得られ、正確に活性型GLP−1濃度を測定できることがわかった。結果を図5に示す。
≪実施例7:各前処理法における測定値の相関性比較≫
実施例5及び6で得られた100例の測定値のうち、定量範囲であった97例分の測定値について、回帰分析を用いた解析を行った。
その結果、酸処理法は固相カラム法との相関が最も良好であった(r=0.921)。結果を図6に示す。
本発明は、糖尿病治療・予防を目的とする薬物、食品の開発などにおいて、その効果を評価するために血中活性型GLP−1濃度(GLP−1(active))や総GLP−1濃度(GLP−1(total))を測定する際に使用することができる。本発明によれば、該GLP−1を簡便且つ正確に測定することができることから極めて有用である。

Claims (7)

  1. 検体中のグルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)の存在及び/又は量を測定する方法であって、検体を予め酸性溶液にて処理する工程および該酸性溶液で処理された検体を、GLP−1測定前にアルカリ溶液で中和処理する工程を含むことを特徴とするGLP−1の測定法。
  2. 酸性溶液が、グリシン、塩酸、酢酸、グアニジン塩酸、硫酸、リン酸のうちの少なくとも一つを含むものである、請求項1に記載の測定法。
  3. 前記酸性溶液はpHが2.5以下である、請求項1または2に記載の測定法。
  4. 検体が血液である請求項1〜のいずれか一項に記載の測定法。
  5. GLP−1の測定法が、酵素免疫測定法又は競合的放射免疫測定法である、請求項1〜のいずれか一項に記載の方法。
  6. 検体中のGLP−1の存在及び/又は量を測定するキットであって、
    (a)酸性溶液、
    (b)GLP−1に特異的な抗体、
    (c)中和のためのアルカリ溶液、および
    )取扱説明書
    を含む、該キット。
  7. 前記酸性溶液はpHが2.5以下である、請求項に記載のキット。
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