JP6117882B2 - 集塵用フィルタ及びそのフィルタを備えた集塵装置 - Google Patents
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Description
<濾過材の構成、積層順序>
以下に、本発明の実施の形態を図面と共に詳細に説明すると、図1に符号ZKで全体的に示したフィルタ濾過体の構成、積層順序は、繊維層が異なるA〜Dの4層の濾過材によって形成されていて、上流側(濾過面側)から、含塵空気中に含まれる粒子径が1〜10μmを中心に捕集するための繊維層を形成する第1のエレクトレット濾過材Aと、含塵空気中に含まれる粒子径が 0.5〜1μmを中心に捕集するための繊維層を形成するエレクトレット濾過材Bと、含塵空気中に含まれる粒子径が 0.3〜0.5μmを中心に捕集するための繊維層を形成するエレクトレット濾過材Cと、骨材を形成する通気性濾過材Dが積層されている。
実施例でのフィルタ濾過体ZKは、上流側(濾過面側)からフィルタ繊維の密度の小さい順に第1エレクトレット濾過材A、第2エレクトレット濾過材B、第3エレクトレット濾過材Cから成る複数の濾過材を積層することにより、含塵空気中に含まれるヒュームが一つの濾過材に集中して捕集されず、しかも徐々にその絶対量を減少させながら上流側(濾過面側)から下流側に濾過が進むことで、フィルタ全体として捕集効率を確保しつつ目詰まりし難い構成とした。
第1エレクトレット濾過材Aの仕様は、目付け量が300 g/m2以上、厚さ3mm以上のものを使用し、実施例では目付け量が315g/m2、厚さ3.7mm、圧力損失15.7Pa、密度85.1×10 3g/m3のものを使用している。
以下に、上述したフィルタ濾過体ZKを用いて構成した本発明に係るフィルタの実施の形態を図面と共に説明すると、図2は本発明が実施されたフィルタの平面図、図3はフィルタの側面図、図4は側面からの断面図であって、これ等の図面において夫々符号10で全体的に示した本発明に係るフィルタは、複数のフィルタ単体10T…を上下縦方向に連設することによって構成されている。
また、各フィルタ単体10Tの4隅には、厚さが数十mm(実施例では、約20mm)で、平面視より見て略三角形状の不織布である通気性部材10X…が使用されている。(図5、図6(a)参照。)通気性部材10Xの圧力損失は、前述したエレクトレット濾過材Aの圧力損失(実施例では15.7Pa)よりも十分に低く、通気性に優れた素材を使用しているので、捕集性能に影響を与えることはない。
また、各フィルタ単体10Tの通気穴10Hの端縁部10Ha(内端部)は、外側(上下側)に拡がっていない形状をしていて、実施例では、かがり縫い10HTによって縫製処理されている。即ち、図5並びに図7(a)のように、端縁部10Haをかがり縫い10HTとすることで、端縁部10Ha(先端)が開かず通気性を妨げることはない。例えば、図7(b)のように端縁部10Haが開いている状態で縫製処理10Wした場合には、その開いている箇所にヒューム及び塵埃DSが付着して、次第に成長していくので、それに伴いフィルタ差圧も上昇し、最終的には、開口部10Zが閉塞してしまい、フィルタ10、即ち、フィルタ単体10Tが目詰まりしてしまう。特に、粘着性や付着性の特性を備えたヒューム及び塵埃については、この傾向が顕著に見られる。
実施例では、図4、図8に示した樹脂製の密着防止板20は、図示のような板状の櫛型形状をしている。櫛歯状の6箇所の長辺部20X…は、等間隔で形成されていて、その間には略V字形状の切り込み20E…が入れられている。平面から見てフィルタ10には、図2に示すように丁度90度間隔で密着防止板20が4箇所取付けられている。実施例では、図4に示す断面図に示す如く、10段のフィルタ単体10T…を形成しているフィルタ10において、最下段より数えて6段までのフィルタ単体10T…に密着防止板20の計6本の長辺状の櫛片20X…が差し込み保持されている。フィルタ単体10T…の内側に長辺状の櫛片20X…を差し込むことによって、各フィルタ単体10T…の通気口、即ち、前記開口部10Zを形成する端部間の密着を防止し、通気性が確保されて、所定の間隔を維持することになる。
図9は本発明に係る集塵用フィルタ10が実施された縦型集塵装置50の一例を示した斜視図、図10はこの縦型集塵装置50の内部構成を示した断面側面図である。なお、図10において、一点鎖線の矢印は吸引した含塵空気の流れを示す。縦型集塵装置50は、縦長略直方体形状の本体51と、この本体51の前面に開閉可能に取付けられるメンテナンス用扉52とを備えている。
また、図9、図10に示す如く前述した筒体53の上筒部53Aに取り付けられている粉塵濃度計61は、測定領域に向けて測定光を照射するための照射手段と、測定領域からの被検知光を受光するための受光手段を備え、受光された被検知光を演算処理して粉塵濃度を算出するための粉塵濃度演算手段を、集塵装置50の制御部内に備えている。図示はしていないが、照射手段及び受光手段は検知部に内蔵されていて、吸込口53Hに取付けられている。また粉塵濃度計61としては、レーザー光の散乱率に基づいて含塵空気中に含まれる粉塵濃度を測定することができる光散乱方式を用いるのが良い。検知部61Aは、吸込口53Hより取り外し可能な構造となっていて、汚れた場合には簡単に清掃することができる。
風量測定手段としての風量センサ62は、図10に示す如くフィルタ10の下流側のブロワモータ57の吸引口に接続されている接続管58A内に取付けられている。実施例での風量センサ62には、スリットを設けた風車とフォトインタラプタを備えていて、風車の回転数に応じたてパルス数を集塵装置50内の制御部に出力する。後述する制御部はこの受け取ったパルス数に応じて風量に変換する演算処理を行なう。
次に、図10を参照しつつ、上述の如く構成された集塵装置50が含塵空気に含まれるヒュームや塵、埃等の粉塵を除去する時の作用について説明する。まず、メンテナンス用扉52を閉止し、吸気ダクト等(図示せず)を筒体53の吸込口53Hに接続する。この状態で、操作パネル60を操作して集塵装置50を起動させ、ブロワモータ57を回転させる。これによりブロワモータ57の後室56Tに吸引力が生じ、図10に一点鎖線の矢印で示す如く、吸気ダクトから吸込口53Hを介して本体内部51Xに含塵空気が吸引される。この含塵空気は、フィルタ10によりヒューム、埃、塵等が捕集された後、脱臭ボックス55内の活性炭(図示省略)により脱臭されて清浄空気となり、本体51の外に排出される。
図11は、容器や自動車部品など幅広い用途に使用されている熱可塑性樹脂であるポリプロピレンを、レーザー加工機で加工したときに発生したヒュームの粒度分布を測定した図である。また、図12は、図11を基にして換算した粒子径と体積含有率の関係を表した図である。図11の試験結果より、ヒュームに含まれる粒子径の範囲としては、最小流径は約0.2μmであり、最大流径は約15μmであり、また積算値 50%の粒度である平均粒径は、 d50=0.933μ mであることが分かった。また図12の試験結果より、比較的大きな粒子である粒子径10μm付近において、体積の占める割合が大きいことが分かった。
フィルタ10の積層構成の効果を確かめるために、試験片をレーザー加工した際に発生するヒュームをフィルタ10で捕集した後、フィルタ10を構成する各層の濾過材の付着量及び付着状態を調べる。
レーザー加工機:炭酸ガスレーザー加工機
レーザー出力:12W
試験片:ポリプロピレン
ヒューム濃度:約85mg/m3
フィルタ素材:第1、第2、第3の各エレクトレット濾過材A、B、Cを使用
フィルタの構成:上流側(濾過面側)から各エレクトレット濾過材A,B,Cを積層
フィルタの大きさ:100mm×100mmフィルタの濾過速度:5.8 m/min
測定時間:1時間30分(フィルタ差圧が 1500Paに到達するまで測定)
各々の濾過材に対してのヒュームの付着量及び付着割合をまとめた表を、図19に示す。
上記の結果より、ヒュームの付着割合が上流側(濾過面側)である第1エレクトレット濾過材Aから第2エレクトレット濾過材B、第3のエレクトレット濾過材Cと減少していて、密度が低い濾過材Aで最も多くヒュームを捕集し、密度が高くなる第2、第3の各エレクトレット濾過材B,Cに向かうに従いヒュームの付着量が減っていく理想的な捕集状態となっていることが実験により確認できた。また、各々のエレクトレット濾過材A,B,Cの捕集状態を光学式顕微鏡を用いて観察したものが図13(第1エレクトレット濾過材A)、図14(第2エレクトレット濾過材B)、図15(第3エレクトレット濾過材C)である。図13では、フィルタ繊維によって比較的大きな粒子が捕集されていて、また、フィルタ繊維間には、十分な通気性が確保されており、目詰まりしていない状態が確認できた。
通常、含塵空気中のヒュームを集塵装置50にて集塵する場合、ヒュームの発生量は、工程ごとにある程度決まっているのが一般的であり、以下にヒュームの含塵量(含塵濃度)に応じた風量制御について詳細に述べる。実施例では、集塵装置50内のフィルタ10より上流側である吸込口53Hに、含塵空気中の粉塵濃度を測定する粉塵濃度測定手段である粉塵濃度計61を取付けてある。また集塵装置50内のフィルタ10の下流側であるブロワモータ57の吸引口に接続してある接続管58内には、濾過風量を測定するための風量センサ62を取付けてある。
A 第1エレクトレット濾過材
B 第2エレクトレット濾過材
C 第3エレクトレット濾過材
D 高性能濾過材
8M モータ(駆動部)
10 集塵用フィルタ
10T フィルタ単体
10K 紐体
10S 外端部
10X 通気性部材
10H 通気穴
10HT かがり縫い
20 密着防止板
20X 長辺状の櫛片
50 集塵装置
62 風量測定手段としての風量センサ
Claims (4)
- 平面視が略四角形状又は円形状の袋形状を成し、外端部側を丁度ヒダのように次第に薄く形成する一方、中央部の上下両面には含塵空気の通気穴を各々開口形成して成る複数のフィルタ単体を、上下の通気穴同士がそれぞれ連通接続し、且つ、フィルタの上下長手方向に前記ヒダ状の外端部が上下幾重にも重なるように略蛇腹形状に複数連設して、これ等複数連設したフィルタ単体のうち、含塵空気の流れ方向に対して最初のフィルタ単体の上面中央部に開口形成されている前記通気穴を、含塵空気の吹込口とし、最後のフィルタ単体の底面を、前記通気穴が開口されていない閉塞面とするように構成すると共に、前記上下に複数連設したフィルタ単体のうち、その最下端側から数えて少なくとも複数個のフィルタ単体の内部には、全体を略櫛型状に形成した密着防止板の各長片状の櫛片が夫々介在されていることを特徴とする集塵用フィルタ。
- 前記複数連設した各フィルタ単体のそれぞれが、繊維層が異なる2枚又は2枚以上の複数枚の濾過材を積層させることによって構成されていて、当該繊維層はその上流側、即ち、濾過面側から、少なくともエレクトレット濾過材と高性能濾過材とを用いて積層構造に構成され、且つ、両濾過材のフィルタ繊維の密度が、エレクトレット濾過材よりも高性能濾過材の方が高く構成されていることを特徴とする請求項1に記載の集塵用フィルタ。
- 前記エレクトレット濾過材の濾過面積の四隅に、エレクトレット濾過材間の密着を防止し、且つ、通気性を確保するための通気性部材が介在されていることを特徴とする請求項2に記載の集塵用フィルタ。
- 前記請求項1,2又は3のいずれかに記載の集塵用フィルタを備えて成る集塵装置の機体内で、且つ、当該集塵用フィルタよりも下流側に、濾過風量を測定することができる風量測定手段と、回転数を可変調節可能に構成したブロワモータと、上記風量測定手段からの信号により前記ブロワモータの回転数を可変制御する制御部とを設けると共に、上記集塵用フィルタよりも上流側には、含塵空気中の含塵濃度を測定することができる粉塵濃度測定手段を設けて、前記ブロワモータの制御部には、上記の風量測定手段が測定した風量値と、上記の粉塵濃度測定手段が測定した粉塵濃度値から、単位風量当りの粉塵濃度値、即ち、粉塵濃度を風量で割った値を演算して、当該風量を上昇させても単位風量当りの粉塵濃度値が変化しない値を粉塵濃度飽和値として、この粉塵濃度飽和値を維持しつつ、上記風量測定手段から算出される風量値が最小となるように、上記ブロワモータの回転数を制御する制御手段が設けられていることを特徴とする集塵装置。
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