JP6115725B2 - 質量分析を用いたアンモニア測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、質量分析を用いて試料中のアンモニアを測定する方法に関し、特に、生体試料中のアンモニアの分布を調べるのに好適な測定方法に関する。
ヒトの体内では、主として腸管や腎臓などにおいて有毒なアンモニアが生成されるが、通常、生成されたアンモニアは肝臓の尿素回路などで処理されて体外に排出される。しかしながら、肝硬変などの肝臓疾病により肝機能が低下すると、体内で発生したアンモニアを処理しきれなくなり、血液中のアンモニア濃度が上昇する。血液中に存在する分子状のアンモニアは脂溶性であって血管脳関門を容易に通過するため、脳に直接的に作用し損傷を与える。その結果、意識障害などを伴う肝性脳症を引き起こすおそれがある。このように血液中のアンモニア濃度が上昇すると重篤な症状を引き起こす可能性があるため、これを未然に防止するために、血液中のアンモニア濃度を直接的に測定したり呼気中のアンモニア濃度を測定したりする方法が実用化されている。こうしたアンモニア測定方法は、上述したような疾病の診断等を目的とした臨床検査には有効である。
一方、例えば、肝臓におけるアンモニアの処理や蓄積のメカニズムを詳細に把握したり、アンモニアの蓄積によって引き起こされる各種の疾病の治療法や薬剤の生体組織レベルでの作用や効果を解明したりするには、生体組織に存在するアンモニア濃度を調べたり、さらには生体組織中に存在するアンモニアの分布状況を調べたりする必要がある。しかしながら、そうしたアンモニア測定方法は現在まで確立されていない。
ところで、近年、生体組織中に存在する各種物質の分布を観測する手法として、イメージング質量分析法が注目されており、そのための装置も開発されている(非特許文献1、2など参照)。イメージング質量分析法では、生体組織切片などの試料上で、特定の質量電荷比を持つイオンの強度分布を表す2次元画像を得ることができる。そこで例えば、癌等の病理組織に特異的な物質の分布状況を調べることで、疾病の拡がり状況を把握する、投薬等の治療効果を確認する、といった、医療分野、創薬分野、生命科学分野などでの様々な応用が期待されている。
なお、上記非特許文献では、イメージング質量分析が可能な質量分析装置は同時に顕微鏡観察も可能であることから顕微質量分析装置と呼ばれているが、本明細書では、イメージング質量分析を目的とする装置であることを明確化するためにイメージング質量分析装置と呼ぶ。
上述したようにイメージング質量分析法は試料中の物質分布の測定に非常に有用であるものの、試料中のアンモニアを測定することは次のような理由から困難であった。
(1)イメージング質量分析装置では一般に、イオン源として真空マトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法が用いられている。試料中のアンモニウムイオンは水溶液中では非常に安定であるが、水和水がない状態では分解され易い。そのため、イオン化の際に試料を真空雰囲気中に載置すると、試料中の水分が失われるのに伴い該試料中のアンモニウムイオンは分解されてしまう。
(2)MALDI法では試料とマトリクスとを混合する又は試料にマトリクスを付着させる等の試料調製を行う必要があるが、溶媒を含むマトリクス溶液を試料表面に噴霧すると、溶媒の気化と同時に試料中のアンモニアも揮発して消失してしまう。蒸着等を利用した溶媒を含まないマトリクスの付着手法も知られているものの、一般に蒸着は高い真空度(10-3〜10-4Pa程度)の下で行われるため、やはりマトリクス付着過程において試料中のアンモニアが消失してしまう可能性が高い。
(3)リンパ液や血液等の体液中に溶け込んだアンモニアは移動し易いため、生体組織中の体液に存在するアンモニアを測定しても、その分布を正確に捉えることはできない。
小河潔、ほか5名、「顕微質量分析装置の開発」、島津評論、株式会社島津製作所、平成18年3月31日発行、第62巻、第3・4号、p.125−135 原田高宏、ほか8名、「顕微質量分析装置による生体組織分析」、島津評論、株式会社島津製作所、2008年4月24日発行、第64巻、第3・4号、p.139−146
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主な目的は、生体組織切片などの試料中に存在するアンモニアを正確に測定することができ、特に、アンモニアの分布状況を調べることができる質量分析を用いたアンモニア測定方法を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、質量分析を利用して試料中のアンモニアを測定するアンモニア測定方法であって、
大気圧雰囲気の下でマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法により試料中の成分をイオン化するイオン源を用い、試料中の脂質のアンモニウムイオン付加体を対象とする質量分析を実行し、その結果に基づいてアンモニアを測定することを特徴としている。
即ち、本発明に係るアンモニア測定方法では、大気圧MALDI(AP−MALDI)イオン源を搭載した質量分析装置を用いて測定を実施する。イオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離器のタイプは特に問わないが、一般的には、飛行時間型質量分離器が用いられることが多い。
イオン化の雰囲気が真空ではなく略大気圧であることで、質量分析装置のイオン化室内にセットされた試料に含まれるアンモニウムイオンが分解されにくく、分析実行前に試料中のアンモニアが消失してしまうことを回避することができる。また、分子状のアンモニアは水溶性であるとともに脂溶性でもある。脂質に溶け込んだ物質は移動しにくいことが知られている。そこで、本発明に係るアンモニア測定方法では、アンモニアやアンモニウムイオンを単体として検出するのではなく、試料に含まれる脂質のアンモニウムイオン付加体を検出する。それによって、試料中におけるアンモニアの分布状況を的確に捉えることができる。
また、MALDI法の場合にはイオン化の補助物質としてマトリクスを用いる必要があるが、本発明に係るアンモニア測定方法では、溶媒を使用しないマトリクスを用いてMALDIのための試料調製を行うことが好ましい。これにより、マトリクスの溶媒が気化する際に同時に試料中のアンモニアが揮発してしまうことを回避することができる。
ただし、マトリクスに溶媒を使用しない場合であっても、マトリクスを試料に付着させる作業を真空雰囲気の下で行うと、試料中のアンモニアが消失するおそれがある。そこで、本発明に係るアンモニア測定方法において、好ましくは、大気圧雰囲気又は低真空雰囲気の下の蒸着により、溶媒を使用しないマトリクスを試料表面に付着させる試料調製を実施するとよい。
一般に蒸着を行う場合には、蒸着材料の蒸発温度を下げるために真空度を例えば10-3〜10-4Pa程度の高真空雰囲気にするが、ここでは、それよりも3桁以上真空度が低い、例えば1〜10Pa程度の低真空雰囲気又は大気圧雰囲気の下で蒸着を行う。それによって、MALDIのための試料調製時に試料中のアンモニアが消失してしまうことを回避することができる。ただし、真空度を低くするほど蒸着材料の蒸発温度を高くする必要があるため、その蒸発温度で分解してしまうようなマトリクスは使用することができない。そのため、使用するマトリクスを適切に選択する必要がある。
アンモニウムイオン付加体を検出するためには正イオン化を行う必要があり、正イオン化に適したマトリクスが必要である。また、上述したように耐熱性も考慮する必要がある。こうしたことから、マトリクスとしては例えばDHB(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)、DHAP(ジヒドロキシアセトフェノン)などが好適である。
また、MALDIイオン源を用いた質量分析装置を用いてしばしば測定されるタンパク質や糖鎖などと比べてアンモニアは分解され易いので、マトリクスを使用したとしても、イオン化の際のレーザ光のパワーが大きいとアンモニアが分解されてしまう。そのため、一般的な生体試料に対する質量分析の際に使用されるレーザ光に比べて、そのパワーを1/3〜2/3程度に下げるような条件とすることが好ましい。
また本発明に係るアンモニア測定方法では、好ましくは、試料ステージ上に載置された1又は複数の試料に対する2次元的な測定を行い、その結果を特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲を有するイオンの強度の分布状況として画像化するとよい。
例えば、生体から取り出され薄くスライスされた生体組織切片を試料とし、該試料上の所定の2次元範囲内の微小領域毎に質量分析を実行して、つまりはイメージング質量分析を行って、目的とする質量電荷比、具体的には脂質のアンモニウムイオン付加体の質量電荷比のイオン強度を求める。そして、その結果を例えばヒートマップ表示することで、アンモニウムイオン付加体の量の多少の分布を分析者に提示することができる。例えば被検体の肝臓から採取した生体組織切片について上述したようなヒートマップ(質量分析イメージング画像)を表示することで、肝臓組織におけるアンモニアの2次元的な分布状況を把握することが可能となる。
ただし、生体組織中の脂質の量自体は一定というわけではなく、個体差を有するとともに、同一個体でも長期的には時間的変動もある。そこで、本発明に係るアンモニア測定方法において、より好ましくは、試料は生体から採取された生体試料であり、該生体試料中の脂質のアンモニウムイオン付加体のほかにカリウムイオン付加体を測定し、アンモニウムイオン付加体とカリウムイオン付加体との強度比に基づいてアンモニアの量を評価するとよい。
一般に、生体中の生きた細胞内に存在するカリウムイオンの濃度はほぼ一定であるから、脂質のカリウムイオン付加体の量は脂質の量をほぼ反映しているといえる。そこで、脂質のアンモニウムイオン付加体とカリウムイオン付加体との強度の比を計算することで、脂質の量の相違の影響を除くようにアンモニウムイオン付加体の強度を規格化することができる。こうした規格化した値をアンモニア量の評価に用いる、例えば規格化した値のヒートマップを作成することで、例えば被検体の分析結果と標準試料の分析結果とを比較してアンモニアの蓄積部位を正確に特定する等、精度の高い評価が可能となる。
なお、本発明に係るアンモニア測定方法において、上記脂質は、組織中に豊富に存在する中性脂質の一つであるトリアシルグリセロールや、コレステロールと脂肪酸からなるコレステロールエステルとするとよい。
本発明に係る質量分析を用いたアンモニア測定方法によれば、従来は困難であった生体組織に存在するアンモニアを高い感度で測定することができる。また、イメージング質量分析を利用することで、生体組織切片におけるアンモニアの分布を調べることができる。これによって、例えばヒトの肝臓におけるアンモニアの処理や蓄積のメカニズムを解明したり、アンモニアの蓄積によって引き起こされる各種の疾病の治療法や薬剤の生体組織レベルでの作用や効果を解明したりするのに有用な情報を提供することができる。
本発明の一実施例であるアンモニア測定方法の作業及び処理の手順を示すフローチャート。 本実施例のアンモニア測定方法におけるヒートマップ表示の概念図。 正常なマウス肝臓におけるトリアシルグリセロールの各種アダクトイオンの検出結果の一例を示すマススペクトル。 ヒト大腸癌肝転移モデルを用いたアンモニアの検出結果の一例を示すイメージング画像。 図4に示した結果を用いた担肝癌と正常肝との識別評価結果を示す図。 トリアシルグリセロール(TG)の一種であるトリステアリン酸グリセリド標準品を用いたアンモニアの検出結果の一例を示すマススペクトル。 ホスファチジルコリン(PC)標準品を用いたアンモニアの検出結果の一例を示すマススペクトル。 リノール酸コレステロール(CE)標準品を用いたアンモニアの検出結果の一例を示すマススペクトル。 マトリクスの付着方法の相違によるアンモニアの検出結果の相違の一例を示すマススペクトル。 イオン化のためのレーザエネルギを変化させたときのトリアシルグリセロールアンモニア付加体の検出結果の一例を示すマススペクトル。
以下、本発明に係るアンモニア測定方法の一実施例について、添付図面を参照して説明する。
図1は本実施例のアンモニア測定方法を実施する際の作業及び処理の手順を示すフローチャートである。また図2は本実施例のアンモニア測定方法におけるヒートマップ表示(イメージング画像表示)の概念図である。
ここでは、測定対象は生体由来の組織切片であるとする。この組織切片は組織中に中性脂質を含むものであることが好ましく、例えば肝細胞、骨髄などが好適である。こうした試料を準備した(ステップS1)ならば、まずMALDIのための試料調製が行われる。具体的には、導電性スライドガラス等のプレート上に試料(生体組織切片)を載せ、その試料の表面に、低真空雰囲気の下での蒸着により、マトリクスを付着させる(ステップS2)。
マトリクスとしては10Pa、室温〜200℃の範囲において蒸着が可能であって且つ正イオンを検出できるものを使用するが、広く用いられているのは、DHBやDHAPなどである。蒸着時の真空度が高すぎると、試料中の脂質に溶け込んでいる分子状アンモニアが脱離して揮散する、或いはアンモニウムイオンが分解するおそれがあるので、真空度は10Pa程度、高くても1Paとする。もちろん、試料中のアンモニアの保存の観点からは大気圧雰囲気の下でマトリクスを蒸着することが望ましいが、真空度を下げるほど、つまり大気圧に近づけるほど、蒸着材料であるマトリクスを高温に加熱しなければならない。そうすると、マトリクス自体が分解してしまうおそれがあり、ここでは使用するマトリクスが耐え得る温度及び蒸発温度を考慮して、真空度を定めている。
具体的な蒸着条件の一例としては、マトリクスとしてDHBを用いる場合、真空度:10Pa、ターゲット温度:180℃、蒸着時間:3分、とするとよい。また、マトリクスとしてDHAPを用いる場合には、真空度:10Pa、ターゲット温度:170℃、蒸着時間:3分、とするとよい。これにより、試料中の脂質に溶け込んでいるアンモニアを消失させることなく、マトリクスを試料表面に付着させることができる。
次いで、上記のように調製した試料を、大気圧MALDIイオン源を用いた2次元測定が可能なイオントラップ飛行時間型質量分析装置(つまりはイメージング質量分析装置)にセットし、所定の質量電荷比範囲に亘る質量分析を、試料上の所定範囲内の各微小領域に対してそれぞれ実行する(ステップS3)。例えば図2中に示すように、試料1の上に矩形状の測定範囲2を設定し、該測定範囲2中に2次元的に設定された多数の微小領域3毎にそれぞれレーザ光を照射し、それによってその微小領域3から生成されたイオンを質量分析する。測定する質量電荷比範囲は検出するアダクトイオンの質量電荷比に応じて適宜決めればよく、例えば炭素を55個以上含むトリアシルグリセロールの主要なアダクトイオンであるプロトン(H+)付加体からカリウムイオン(K+)付加体までをカバーするには、質量電荷比範囲をm/z840-1200程度とすればよい。
ステップS3の質量分析によって、試料1上に設定された微小領域3毎に所定の質量電荷比範囲に亘るマススペクトルが得られる。図2には、三つの微小領域3に対して得られるマススペクトルのみを示しているが、実際には、全ての微小領域3について同様にマススペクトルが得られる。また、必要に応じて、マススペクトルだけではなく、特定の質量電荷比のイオンを衝突誘起解離(CID)等により解離させたあとに質量分析を行ってMSnスペクトル(ただしnは2以上の整数)を得ることもできる。
次に、こうして得られたマススペクトル毎に、そのマススペクトルを解析処理することで、アンモニウムイオン付加体由来のピークとカリウムイオン付加体由来のピークとを抽出し、それぞれの信号強度を求め、信号強度比を算出する(ステップS4)。例えば、図2に示すように、マススペクトル中でアンモニウムイオン付加体の質量電荷比M1における信号強度がI1、カリウムイオン付加体の質量電荷比M2における信号強度がI2であるとすると、信号強度比P=I1/I2をマススペクトル毎に計算する。なお、以下の説明では、このアンモニウムイオン付加体の信号強度とカリウムイオン付加体の信号強度との比Pを単に「信号強度比」という。
上述したように、生体細胞中の脂質のカリウムイオン付加体の量は脂質の量をほぼ反映している。したがって、同じ部位に対するアンモニウムイオン付加体とカリウムイオン付加体との信号強度比Pを計算することで、脂質の量の相違の影響を排除することができる。それによって、単にアンモニウムイオン付加体の信号強度を用いる場合に比べて、アンモニア量の正確な比較や評価が行える。
なお、例えば各種トリアシルグリセロールのアンモニウムイオン付加体やカリウムイオン付加体の質量電荷比は既知であるから、実際には、質量分析結果からマススペクトルを作成することなく、既知である質量電荷比を有するイオンのみに対する信号強度を求め、信号強度比Pを計算することも可能である。
こうして微小領域3毎に信号強度比Pが得られたならば、その信号強度比の値の範囲に応じてカラースケールを定め、図2に示すように、そのカラースケールに従って各微小領域に対応する信号強度比値を色で表したヒートマップを作成する。このヒートマップが、試料中のアンモニアの量の分布を反映したイメージング画像であり、この画像が表示部の画面上に表示される(ステップS5)。分析者はこの画像から、アンモニアの蓄積部位を把握することができる。
次に、いくつかの実測例を示しつつ、本実施例のアンモニア測定方法における好ましい態様も併せて説明する。
[実測例1]
実測例1では、マウスの正常な肝臓組織切片を試料とし、該試料中のトリアシルグリセロールのアダクトイオンの検出状況を調べた。マトリクスにはDHBを用い、DHBを蒸着により付着させる際の蒸着条件は、上に述べたように、真空度:10Pa、ターゲット温度:180℃、蒸着時間:3分、とした。実測により得られたマススペクトルの一例を図3に示す。図3から、トリアシルグリセロールのプロトン(H+)付加体、アンモニウムイオン付加体、ナトリウムイオン付加体、カリウムイオン付加体などがそれぞれ検出されていることが分かる。これにより、本実施例のアンモニア測定方法では、試料中のアンモニアがトリアシルグリセロールのアンモニウムイオン付加体という形態で適切に検出されていることが分かる。
[実測例2]
実測例2では、ヒト大腸癌細胞株(hct116)をマウスに脾臓内注射し、その肝臓に転移巣を形成させた超免疫不全マウスの肝臓の凍結切片を試料とした。この試料の表面に、真空度:10Pa、ターゲット温度:180℃、蒸着時間:3分の条件でDHBを蒸着し、イメージング質量分析を実行した。図4に、正常肝(Normal liver)、担癌肝(Tumor-bearing liver)それぞれの、光学顕微鏡画像(Optical image)、アンモニウムイオン付加体(m/z 876.7)のイメージング画像、カリウムイオン付加体(m/z 895.6)のイメージング画像、及び、信号強度比のイメージング画像、を示す。
病巣部を蛍光標識しているので、蛍光光学顕微鏡で画像を取得した際には、図4(B-b)に示した担癌肝の光学顕微画像上で病巣部はその周囲よりも白っぽくなっている。上述したように、生体内(脳や筋肉など)で生じたアンモニアは肝臓に運ばれ蓄積される。癌化した病巣部にはアンモニアを分解する尿素回路がないため、病巣部にはアンモニアが殆ど蓄積されない。図4(A-d)に示した正常肝における信号強度比のイメージング画像を見ると、信号強度比の特に高い部分や低い部分が存在しないことが分かる。これに対し、図4(B-d)に示した担癌肝における信号強度比のイメージング画像を見ると、病巣部にちょうど対応する部分で信号強度比がその周りよりも明らかに低くなっている。このことから、この試料においては、病巣部ではアンモニアが少なくなっていることが理解できる。換言すれば、信号強度比のイメージング画像において、信号強度比が明らかに低い部分が見つかれば、その部分は病巣部である可能性があると判断することも可能である。
図5は図4(A-d)、(B-d)に基づく信号強度比の平均値の比較結果を示す図であり、併せてヒト大腸癌細胞株(hct116)自体の質量分析結果に基づく信号強度比も示す。この結果からも、担癌肝における信号強度比は正常肝における信号強度比よりも明らかに低く、むしろ、その信号強度比のレベルはヒト大腸癌細胞株(hct116)自体の信号強度比に近いことが分かる。
[実測例3]
実測例3では、アンモニアを測定するために試料中のどのような脂質のアンモニウム付加体が有効であるかを調べた。そのために、様々な脂質の標準品を用意し、それら脂質にアンモニアを導入した擬似的な生体試料を作製して、これを質量分析した。ここで、検証した脂質は、トリアシルグリセロール(TG)、ホスファチジルコリン(PC)、リノール酸コレステロール(CE)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、リゾホスファチジルコリン(LysoPC)、N-ステアロイルスフィンゴシン(C18 Ceramide)、コレステロールの7種類であり、トリアシルグリセロール、リノール酸コレステロール、及びコレステロールの標準品は米国シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)社製、それ以外の脂質の標準品は米国アバンティ・ポーラ・リピッズ(Avanti polar lipids)社製である。
擬似的な生体試料の作製手順は次のとおりである。
まず、それぞれの標準品(試薬)を100%EtOH(エタノール)に飽和状態となるように溶解させる。そして、それぞれの溶液と同量の純水とをパラフィルム上で混合し、ピペットを用いてステンレスプレート上に滴下して風乾させた。そのあと、湿箱に濃度28%のアンモニア水を約5mL入れて室温で暫く放置し、アンモニア蒸気が満ちた湿箱内上部空間に上記ステンレスプレートを収容して、該プレートを室温で30分間アンモニア蒸気に曝露した。これによって、アンモニア分子がステンレスプレート上の脂質に取り込まれ、擬似的な生体試料が出来上がる。
その後、ステンレスプレートを湿箱から取り出し、真空度:10Pa、ターゲット温度:170℃、蒸着時間:3分という蒸着条件で、DHAPをマトリクスとして各ステンレスプレート上の試料の表面に蒸着した。こうして調製した試料を正イオン化モードで適切なレーザ光条件で以て質量分析した。
図6(a)はトリステアリン酸グリセリド標準品について得られたマススペクトル、図6(b)はm/z 908.8408であるイオンをプリカーサイオンとしたMS2分析を実行して得られたMS2スペクトルである。
トリステアリン酸グリセリドのアンモニウムイオン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 908.864064であり、ナトリウムイオン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 913.819459である。図6(a)に示すマススペクトルには、アンモニウムイオン付加体(+NH4)及びナトリウムイオン付加体(+Na)由来のピークが共に明確に現れている。
また、図6(b)に示すMS2スペクトルにはm/z 607.552に高い信号強度でプロダクトイオンピークが現れており、このピークとプリカーサイオンとの質量電荷比差、つまりニュートラルロスは301.2885である。このニュートラルロスはちょうどNH3+C18362の質量に相当するから、これはアンモニアを含む断片が脱離したものと推測できる。こうしたことからも、マススペクトル上でm/z908.8408に現れているピークが、確かにトリステアリン酸グリセリドのアンモニウム付加体由来のピークであることが確認できる。
図7はホスファチジルコリンについて得られたマススペクトルである。
ホスファチジルコリンのアンモニウムイオン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 777.611628であり、プロトン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 760.585081である。図7に示すマススペクトルには、ホスファチジルコリンのプロトン付加体(+H)であると推測できるピークは明確に現れているものの、アンモニウムイオン付加体のピークは観測されない。このことから、ホスファチジルコリンにはアンモニアが取り込まれないか、或いは、アンモニアが取り込まれたとしても、マトリクス付加作業から分析実行までのいずれかの過程でアンモニアが消失してしまうために、アンモニウムイオン付加体の検出ができないものと結論付けることができる。
図8(a)はリノール酸コレステロールについて得られたマススペクトル、図8(b)は図8(a)の拡大図、図8(c)はm/z666.6033であるイオンをプリカーサイオンとしたMS2分析を実行して得られたMS2スペクトルである。
リノール酸コレステロールのアンモニウムイオン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 666.618355であり、ナトリウムイオン付加体の質量電荷比の理論値はm/z 671.57375である。図8(b)に示すマススペクトルには、アンモニウムイオン付加体(+NH4)及びナトリウムイオン付加体(+Na)由来のピークが共に明確に現れている。
また、図8(c)に示すMS2スペクトルにはm/z 369.345及びm/z 649.578にプロダクトイオンピークが現れている。前者のピークとプリカーサイオンとの質量電荷比差、つまりニュートラルロスは297.2583であり、これはちょうどNH3+C18322の質量に相当する。これはアンモニアを含む断片が脱離したものと推測できる。一方、後者のピークとプリカーサイオンとの質量電荷比差、つまりニュートラルロスは17.025であり、これはちょうどNH3の質量に相当するから、アンモニアが脱離したものと推測できる。こうしたことからも、マススペクトル上でm/z 666.6033に現れているピークが、確かにリノール酸コレステロールのアンモニウム付加体由来のピークであることが確認できる。
また、ここでは分析結果であるマススペクトルを示さないが、ホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、N-ステアロイルスフィンゴシン、及びコレステロールではアンモニウムイオン付加体は検出されなかった。以上の結果から、今回調べた脂質の中でアンモニアの測定に利用可能であるのはトリステアリン酸グリセリド及びリノール酸コレステロールであるといえる。これは、分子内にエステル結合以外の極性構造をもたない中性脂質であるためと推測できる。
[実測例4]
上述した実施例によるアンモニア測定方法では、蒸着によりマトリクスを試料上に付着させるようにしていたが、この実測例4では、マトリクスの付着方法の相違による測定結果の相違を調べた。試料は実測例3で使用したトリステアリン酸グリセリド標準品から調製した擬似的な生体試料である。この試料に対し、実測例3と同様の条件の蒸着によりDHAPを付着させたサンプルと、DHAPを100%EtOHに10mg/mLの濃度となるように溶解したマトリクス溶液をスプレーすることでマトリクス塗布したサンプルとを用意し、それぞれを正イオン化モードで適切なレーザ光条件で以て質量分析した。
図9(a)はマトリクスを蒸着した場合のマススペクトル、図9(b)はマトリクス溶液をスプレーにより付着させた場合のマススペクトルである。いずれもトリステアリン酸グリセリドのアンモニウムイオン付加体とナトリウムイオン付加体が検出されている。ナトリウムは揮発性物質ではないので、スプレー法によるマトリクス付着を行っても試料中のナトリウム量は変化しないと推測できる。したがって、ナトリウムイオン付加体の信号強度を基準として、アンモニウムイオン付加体の信号強度を比較すると、蒸着法ではスプレー法に比べて約5倍高い感度が得られることが確認できる。
また、アンモニウムイオン付加体の検出が可能であるリノール酸コレステロールの標準品についても同様の比較を実施したが、その結果、蒸着法ではスプレー法に比べて約10倍高い感度が得られることが確認できた。
こうした結果から、試料中のアンモニアを高感度で検出するために、マトリクスを低真空雰囲気の下で蒸着する手法が好適であることが確認できた。
[実測例5]
上記実測例ではいずれも、目的とするアンモニウムイオン付加体ができるだけ良好に検出されるようにMALDIイオン源におけるレーザ光のパワーを適宜調整していたが、この実測例5では、アンモニウムイオン付加体の検出感度のレーザ光パワー依存性を調べた。試料は、実測例3で使用したトリステアリン酸グリセリド標準品から調製した擬似的な生体試料に、マトリクスとしてDHAPを蒸着したものである。
図10(a)〜(g)はMALDIイオン源でのイオン化の際のレーザ光エネルギのレベル(LE10〜LE35)を変化させたときのマススペクトルである。マススペクトル上でm/z 908.8付近に現れるのがトリステアリン酸グリセリドのアンモニウムイオン付加体に対応するピーク、m/z 608.5付近に現れるのがアンモニウムイオン付加体からNH3+C18362である断片が脱離したフラグメントイオンのピークである。
例えば図10(a)に示すように、レーザ光エネルギが低すぎる場合には、イオンの生成量自体が少ないためにSN比が低い。レーザ光エネルギを上げてゆくと、イオン生成量が増加し、トリステアリン酸グリセリドのアンモニウムイオン付加体が十分な感度で検出できるようになる。ところが、レーザ光エネルギを上げすぎると(例えばLE25以上)、アンモニウムイオン付加体に対応したピークは殆ど検出できなくなり、フラグメントイオンピークしか検出できない。これは、レーザ光エネルギを上げすぎると、アンモニウムイオン付加体が壊れてしまうためであると考えられる。通常、生体試料中のタンパク質や糖鎖などの分析を行う場合には、レーザ光エネルギをLE25〜LE30程度に設定する。これに対し、アンモニウムイオン付加体の検出を行う場合には、そうした通常の生体試料測定に比べてレーザ光エネルギを1/3〜2/3程度に下げることが望ましいということができる。
以上説明したように、本実施例のアンモニア測定方法によれば、従来は測定することができなかった生体試料中のアンモニアの分布状況を可視化することが可能となる。これによって、例えばヒトや実験動物の肝臓におけるアンモニアの処理や蓄積のメカニズムの解明に有用な情報を提供することができる。また、本実施例のアンモニア測定方法は、腸内でアンモニアを発生させる(つまりウレアーゼ活性のある)菌のスクリーニングなどに応用することができる。
なお、上記実施例はいずれも本発明の一例にすぎず、本発明の趣旨の範囲で適宜変形、追加、修正を加えても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。

Claims (7)

  1. 質量分析を利用して試料中のアンモニアを測定するアンモニア測定方法であって、
    大気圧雰囲気の下でマトリクス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)法により試料中の成分をイオン化するイオン源を用い、試料中の脂質のアンモニウムイオン付加体を対象とする質量分析を実行し、その結果に基づいてアンモニアを測定することを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  2. 請求項1に記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    溶媒を使用しないマトリクスを用いて、マトリクス支援レーザ脱離イオン化のための試料を調製することを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  3. 請求項2に記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    溶媒を使用しないマトリクスを、大気圧雰囲気又は低真空雰囲気の下で蒸着することで試料表面に付着させるようにしたことを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    試料ステージ上に載置された1又は複数の試料に対する2次元的な測定を行い、その結果を特定の質量電荷比又は質量電荷比範囲を有するイオンの強度の分布状況として画像化することを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    試料は生体から採取された生体試料であり、該生体試料中の脂質のアンモニウムイオン付加体のほかにカリウムイオン付加体を測定し、アンモニウムイオン付加体とカリウムイオン付加体との強度比に基づいてアンモニアの量を評価することを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    前記脂質は構造内に極性基としてエステル結合のみをもつ中性脂質である、トリアシルグリセロール又は脂肪酸コレステロールエステルであることを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の質量分析を用いたアンモニア測定方法であって、
    マトリクスは10Pa、室温〜200℃の範囲で蒸着可能なもので、DHB又はDHAPであることを特徴とする質量分析を用いたアンモニア測定方法。
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