JP6183779B2 - 質量分析用試料調整方法及び質量分析方法 - Google Patents
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Description
これらのマトリックスは試料のタンパク質等の生体分子と共結晶を形成し、その結晶にレーザー照射することにより、この生体分子はイオン化される。一般的に、このイオン化効率はマトリックスと試料の共結晶の大きさに依存することが知られている(非特許文献2)。
そのため、MALDIによる質量分析のために試料上にマトリックスの微結晶を調整するための様々な方法が提案されている。例えば、試料表面の微量分析をするために前処理工程として試料表面にマトリックスを真空蒸着させる方法(特許文献1)、組織表面に予めすりつぶしたマトリックス結晶を絵筆を用いて分散し、その後マトリックス溶液を分注して結晶成長させた後に、MALDIによる質量分析を行なう方法(非特許文献3)、試料表面にインクジェット機構を用いて微結晶層を形成させその結晶を成長させてMALDIによる質量分析を行う方法(特許文献2)、試料表面にスプレーを用いて微結晶層を形成させその結晶を成長させてMALDIによる質量分析を行う方法(特許文献3、4、非特許文献4)、動植物組織にマトリックスを蒸着し、MALDI-MS測定を行う方法(非特許文献5)、20μmの目を持つ篩を用いてマトリックス結晶を試料表面に供給しMALDI-MS測定を行う方法(非特許文献6)、昇華により溶媒無しにマトリックス結晶を試料表面に供給しMALDI-MSを行う方法(非特許文献7)等が報告されている。
従って、本願発明は、MALDIを用いて、生体試料中の薬剤の分布を調べたり、生体試料中の薬剤を定量するための、生体試料の前処理の方法を提供することを目的とする。この方法は、臨床試験でイメージング質量分析を行う際に特に有用である。
この方法によれば、生体組織試料上にマトリックスの微結晶を形成することが可能で、また生体組織試料上に微結晶を形成させるために溶媒を用いないため、微結晶形成時に生体組織試料が破壊されない。そのため、形成された微結晶上に、更に分注又はスプレー噴霧によりマトリックス溶液を供給すると、予め形成させておいた微細マトリックス結晶を核として結晶が成長するため、非常に細かく均質なマトリックス結晶が形成される。その結果、微量の被検物の検出が可能になった。
また本発明は、次の(a)及び(b)の段階から成る生体試料中に微量に含まれる薬剤の検出方法である。
(a)上記の質量分析用試料調整方法を行う段階、及び
(b)生体試料表面上に存在する薬剤を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法により質量分析する段階
この方法は、更に、質量分析の結果から、生体試料中の薬剤の分布を調べる段階や、生体試料中の薬剤を定量する段階を含んでもよい。
本願発明の方法は、生体試料表面にマトリックス結晶成長の核となるマトリックス微結晶を、溶媒を用いずに形成させることができるため、溶媒、特に有機溶媒による組織切片の収縮やひび割れ等の生体試料の破壊により、マトリックス微結晶の形成が阻害されることを回避することができる。
また、蒸着により形成されるマトリックス微結晶は、他の方法に比べて、微細なため、本願発明の方法によれば、より高空間解像度でMALDIによる質量分析を行うことができる。
この生体試料、特に生体組織は、本発明の方法を行う前に、通常、厚さが1〜20μm程度の切片として用意される。具体的には、例えば、生体組織より10μm以下の厚みで凍結切片を作成し、その切片を上記の支持体上で融解させる。凍結組織切片は、支持体上で融解させることで支持材に固定される。
この薬剤は、有機化合物又はペプチド若しくは蛋白質から成ってもよい。
この有機化合物は、主に炭化水素骨格を持ち、N、S、O等のヘテロ原子を含むものであってもよく、またハロゲン原子、もしくはプラチナ等の金属原子等を含んでもよい。薬剤としての有機化合物としては、分子量が100〜1500程度の低分子有機化合物が挙げられる。また薬剤としてのペプチドや蛋白質としては抗体医薬が挙げられ、抗体医薬としては、キメラモノクローナル抗体、ヒト化モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体等が挙げられる。
蒸着は、公知の方法で行うことができるが、好ましくは、真空度10−3Pa程度以下、通常10−3〜10−4Pa程度の空間に、マトリックス粉末を入れたボートと生体試料を固定した支持体を入れ、ボートを200〜300℃程度に加熱し、5〜20分程度この状態を保持することにより行われる。
マトリックスの蒸着は、通常市販の真空蒸着装置を用いて行われる。
マトリックスの蒸着方法の好ましい例を以下に挙げる。真空蒸着装置に試料を設置し、マトリックスを加熱するボートと試料表面との距離を約5〜15cm、好ましくは約8〜10cm程度に保ち、試料表面と加熱部が正対するよう固定し、マトリックスを加熱し試料表面に蒸着を行う。マトリックス加熱温度は、マトリックスの融点に依存し最適化されるが、例えばα-CHCAの場合約250℃である。蒸着時間は5〜15分、好ましくは6〜10分程度である。
これらは、通常、室温で固体(粉体)である。
マトリックスの溶液の溶媒としては、通常有機溶媒単体又は有機溶媒と水の混合液が用いられる。この有機溶媒としては、高い揮発性を有する有機溶媒が適しており、例えば、1気圧での沸点が85℃以下、好ましくは55〜85℃の溶媒を用いることができる。このような有機溶媒として、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロパノール等を挙げることができる。例えば、α-CHCAに適した溶媒として、50%アセトニトリル(含0.1%TFA)などが挙げられる。有機溶媒と水の混合液において、混合液中の有機溶媒の割合は好ましくは50〜90容積%、より好ましくは40〜60容積%である。
スプレー用の好ましい溶媒としては、0.1容積%トリフルオロ酢酸(TFA)を含むアセトニトリル(ACN)を水に50〜90容積%、好ましくは40〜60容積%の濃度で溶解したものが挙げられる。
スプレー用マトリックス溶液は、この溶媒に上記マトリックスを溶解して用いる。マトリックス溶液濃度は、好ましくは5.0〜20.0mg/mL、より好ましくは10.0〜15.0mg/mLである。
マトリックス溶液のスプレーは、複数回行ってもよい。
分注用のマトリックスとスプレー用のマトリックスは、蒸着に用いるマトリックスと同じであっても異なってもよいが、同じマトリックスであることが好ましい。
分注は、通常の分注方法で行なえばよく、例えば、ピペットや自動試薬分注装置を用いて行なうことができる。分注操作は複数回行ってもよい。
自動試薬分注装置を用いてマトリックスを分注する場合、0.5〜5nL、好ましくは0.5〜1.5nLの少量分注を繰り返し、目的量まで分注することで、微小で均一なマトリックス結晶を得ることが可能となる。最適な条件は、スプレー噴霧後1nLの分注を50回繰り返し、全量50nLのマトリックス溶液を組織の微小領域に分注することである。このとき、1度の分注操作が終了した後、分注箇所は完全に乾燥している状態もしくは半乾燥状態になっているほうが望ましい。この状態を保つために必要な間隔は、そのプリント箇所の数に依存するがプリント数が10箇所までであればプリント後に30秒放置して次のプリントを行うことが好ましい。10箇所以上であるときは1分程度放置して次のプリントを行うことが好ましい。
分注操作やスプレー操作を複数回行う場合はそれぞれ上記乾燥操作を伴ってもよい。
次段階の質量分析の前には、試料は乾燥していること(即ち、溶媒が揮発していること)が好ましい。
マトリックスを分注又はスプレーした後、試料をMALDI型の質量分析装置に導入し分析を行う。
この装置は、更に、この生体試料上にマトリックス粉末を蒸着させた後に、マトリックス粉末が蒸着された該試料の領域に、マトリックス溶液を分注する又はスプレー噴霧するように該支持体、蒸着装置、該スプレー装置及び該分注装置の少なくとも一つを移動させる移動制御装置を備える必要がある。この装置は更に、スプレー装置や分注装置にマトリックス溶液を供給するマトリックス用タンクと供給ポンプ、試料の雰囲気を一定湿度に保つ湿度制御装置、分注後に該試料の溶媒の揮発を促進させるための乾燥装置(例えば、送風装置など)を備えてもよい。また、上記移送制御装置は、試料上に形成されたマトリックスの微結晶の位置を確認して、その微結晶の上にマトリックス溶液を分注又はスプレーさせるよう移動を制御するものであってもよい。また、この移動制御装置は、試料上に多点で分注できるよう分注を制御してもよく、更に分注を複数回行なう場合には、正確に同一場所に分注できるように制御してもよい。
更にこの質量分析用試料調整装置をMALDI装置と共に質量分析装置と組み合わせて一つの質量分析装置としてもよい。
以下の実施例において、イメージングとは「イメージング質量分析」を意味し、イメージング質量分析では、試料表面を微小な面積範囲に分けて直接質量分析し、各位置で得られた質量スペクトルを位置情報と共に保存し、目的ピークの強度分布を表示する。
ヒト乳がん細胞株のMDA-MB-436をヌードマウスの背側部皮下に2×106細胞を移植して71日目に切除し液体窒素により凍結した。このマウスに移植した腫瘍組織を用いて、クライオミクロトーム(ライカ製)により、厚さ8μmの凍結切片を作成し、この切片をITOガラス(ブルカーダルトニクス製)にのせ、融解させ、試料とした。
この試料を、真空蒸着装置(SVC-700TMSG、サンユー電子製)に設置し、マトリックス粉末(α-CHCA、純度99%、シグマアルドリッチ製)を加熱するボートにのせた。このボートと試料との距離を8cmに保ち、試料表面とボートが正対するように固定した。250℃でマトリックス粉末を加熱して、8分間蒸着を行った。蒸着中の真空度は2×10-4 Pa程度である。
0.1容積%TFA(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)と0.1容積%TFA-アセトニトリル(サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を等量混合して溶媒とし(以下、この溶媒を「50%ACN/0.1%TFA」という。)、α-CHCAの10.0 mg/mL溶液(以下「マトリックス溶液」という。)を調製した。
抗がん剤(エルロチニブ、(N-(3-ethynylphenyl)-6,7- bis(2-methoxyethoxy)-4-quinazolinamine、selleck製、MW 393.436、下式)の100%ジメチルスルホキシド(和光純薬製)溶液(11 mg/mL)を調整し、これを110 ng/mLの濃度になるように50%メタノールを用いて調整した。この溶液と上記マトリックス溶液を等量混合した(以下「エルロチニブ/マトリックス溶液」という。)。この溶液を、試料表面(マトリックスが蒸着した組織表面)に0.1 μL滴下し、5分間風乾させた。
蒸着を行わずに、試料を調製し、実施例1と同様に測定した。得られたスペクトルを図1(b)に示す。
実施例2
抗がん剤として、オラパリブ(4-[[3-[[4-(Cyclopropylcarbonyl]-1-piperazinyl]carbonyl]-4-fluorephenyl]methyl)-1(2H)-phthalazinone、selleck製、MW 434.471、下式)を用いて、抗癌剤の濃度が916 ng/mLになるように50%メタノールで調整して、未処理の腫瘍組織表面に0.1μL滴下し風乾した。風乾後、実施例1と同様に蒸着を施し、マトリックス溶液をオラパリブ滴下部位に0.1μL滴下し、実施例1と同様に測定した。検出質量範囲はm/z100〜450とした。得られたスペクトルを図1(c)に示す。
蒸着のみを行い、その後マトリックス溶液は滴下せずに、試料を調製し、実施例2と同様に測定した。得られたスペクトルを図1(d)に示す。
実施例1と同様に調製したマウス腫瘍組織切片試料に、実施例1と同様にマトリックスの蒸着を行った。
この試料表面に、エアブラシ(HT-241 スーパーエアブラシ トリガータイプ、WAVE製)を用いて、実施例1と同じエルロチニブ/マトリックス溶液を噴霧した。混合溶液の噴霧にあたり、大気雰囲気下で組織観察のために100μL噴霧を行った。このとき、エアブラシ先端と組織切片表面を約15 cm程度の距離を保った。イメージング質量分析用の試料は、さらに3分間噴霧を行い、組織表面を結晶で覆った。
噴霧後の組織表面の観察を、質量顕微鏡(島津製作所製)の光学顕微鏡を用いて行い、実施例1と同様にイメージング質量分析を行った。組織全体は対物レンズ倍率1.25倍で、拡大図は対物レンズ倍率20倍で行った。イメージングデータの取得は、対物レンズ倍率を40倍とし組織表面上に縦×横35点×47点のデータ点(データ間隔10μm)を作成し、各点でのプロダクトイオンスペクトルを保存した。
結果を、図2に示す。
蒸着を行った後に混合溶液を噴霧した場合、組織が収縮すること無くマトリックス結晶が形成されており(図2a左図)、m/z 336.1の分布も均一であることが分かる(図2a右図)。なお、表面に見えるひび割れは、切片を作製した段階で入ったものである。
蒸着を行わずに、試料を調製し、実施例3と同様の操作を行った。
蒸着を行わず直接マトリックス溶液をスプレーした試料では組織の収縮により形成された間隙にマトリックス結晶が蓄積している様子が観察され(図2b左図)、イメージングを行っても、目的とする質量分析ができていない(図2b右図)。マトリックスが、試料表面に微粒子として均一に分布せず、その一方でひび割れ部分に大量に蓄積してしまうためと考えられる。
参考のため、試料(腫瘍組織切片)に、エアブラシを用いて、エルロチニブ/マトリックス溶液を噴霧した試料の顕微鏡写真を。図3に示す。噴霧前の腫瘍組織切片(図3(a)(c))に比べて、噴霧後の腫瘍組織切片(図3(b)(d))では、組織全体が収縮したことによる、ひび割れが観察される。噴霧後の腫瘍組織切片の拡大図(図3(d))では、組織が収縮し島状の形態を示し、その間からスライドガラスが見える。
実施例3と同様の試料を用いて、その上に、実施例3と同様に、マトリックスを蒸着させた。
抗がん剤として、AZD5363((S)-4-amino-N-(1-(4-chlorophenyl)-3-hydroxypropyl)-1-(7H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-4-yl)piperidine-4-carboxamide、MW 429、下式)を100%ジメチルスルホキシド(和光純薬工業株式会社製)により50 mg/mLの濃度で調整したものを50%メタノールで100 nMと50 nMの濃度になるよう希釈した。
その後、実施例1と同様に、スポットの観察とイメージング質量分析を行った。検出質量範囲はm/z 100〜450とし、AZD5363の構造由来であるm/z 215.1の分布を表示した。本試料上で0.1μL滴下することにより得られるスポットは、組織表面上で拡散し直径約1.5mm程度になる。顕微鏡写真とイメージング結果を図4に示す。イメージングデータ(図4(b))は、各点で得られたm/z 215.1の強度分布を表示する。
図4(b)に示す各濃度のスポットのイメージング結果から、それぞれのスポットのピクセル強度を抽出し平均したところ、ピクセル相対強度(50nM:25nM)は1:0.54となり、シグナル強度は滴下した抗がん剤の濃度にほぼ比例していることが分かった。
非小細胞肺がん患者(adenocarcinoma, EGFR L858R 変異陽性)にエルロチニブ製剤としてタルセバ錠 (N-(3-ethynylphenyl)-6,7- bis(2-methoxyethoxy)-4-quinazolinamine、中外製薬製、MW 393.436) 150 mgを術前6時間前に投与し、手術により左上葉を摘出した。
摘出された組織から、腫瘍中心部、周辺部及び正常部より組織を採取した。ここで「正常部」とは、摘出した手術検体内部の正常部位より採取した組織を意味する。採取された組織は迅速に液体窒素により凍結した。得られた凍結組織を、クライオミクロトーム(ライカ製)により厚さ8μmの凍結切片を作製しITOスライドガラス上に凍結融解し接着した。得られた試料プレートをシリカゲル入り50mL遠心管に封入した。
試料を室温に戻した後、実施例1と同様に、マトリックス粉末を蒸着した。
蒸着後、実施例3と同様にエアブラシによりマトリックス溶液を組織表面に噴霧した。
得られた試料について、実施例1と同様に、顕微鏡観察及びイメージング分析を行った。検出質量範囲はm/z 390〜398とし、タルセバのプリカーサイオン由来のシグナルであるm/z 394の強度分布をイメージングデータとして得た。イメージング測定は、20倍の対物レンズで観察した視野全体を20 μmのデータ間隔でデータを取得した。各点で得られたm/z 394の強度分布をイメージング結果として表示した。顕微鏡写真とイメージング結果を図5に示す。
その結果、この抗がん剤は腫瘍組織への集積が期待されるものであるが、ヒト腺癌の形態を反映したエルロチニブの分布が得られた。イメージング結果から、がん組織における抗がん剤の分布を知ることができることが分かる。
Claims (8)
- 生体試料中に微量に含まれる薬剤を調べるために、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析用の試料を調整するための方法であって、薬剤を含有する生体試料上に、マトリックスを蒸着させることにより、生体試料表面上にマトリックスの微結晶を形成させる段階、及び、この生体試料上に更にマトリックス溶液を分注して又はスプレー噴霧して、この微結晶上にマトリックス結晶を成長させる段階から成る質量分析用試料調整方法。
- 前記生体試料が、厚さが1〜20μmの切片である請求項1に記載の方法。
- 前記生体試料が導電性支持体上に固定されている請求項1又は2に記載の方法。
- 前記薬剤が有機化合物又はペプチド若しくは蛋白質から成る請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
- 次の(a)及び(b)の段階から成る生体試料中に微量に含まれる薬剤の検出方法。
(a)請求項1〜4のいずれか一項に記載の質量分析用試料調整方法を行う段階、及び
(b)前記生体試料表面上に存在する前記薬剤を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法により質量分析する段階 - 更に、前記質量分析の結果から前記生体試料中の前記薬剤の分布を調べる段階を含む請求項5に記載の方法。
- 更に、前記質量分析の結果から前記生体試料中の前記薬剤を定量する段階を含む請求項5に記載の方法。
- 生体試料中に微量に含まれる薬剤を調べるために、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法による質量分析用の生体試料を調整するための装置であって、該試料を固定するための導電性支持体、該試料上にマトリックス粉末を蒸着させるための蒸着装置、及び該試料上にマトリックス溶液を噴霧するためのスプレー装置、又は該試料上にマトリックス溶液を分注するための分注装置を備え、更に、該試料上にマトリックス粉末を蒸着させた後に、マトリックス粉末が蒸着された該試料の領域に、マトリックス溶液を分注する又はスプレー噴霧するように該支持体、蒸着装置、該スプレー装置及び該分注装置の少なくとも一つを移動させる移動制御装置を備えた質量分析用試料調整装置。
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