JP6114647B2 - 粘着性組成物、粘着剤および粘着シート - Google Patents

粘着性組成物、粘着剤および粘着シート Download PDF

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Description

本発明は、粘着性組成物、粘着剤(粘着性組成物を架橋させた材料)および粘着シートに関するものであり、特に、偏光板等の光学部材用として好適な粘着性組成物、粘着剤および粘着シートに関するものである。
近年、各種電子機器において、表示装置と入力手段とを兼ねたタッチパネルが多く使用されている。タッチパネルの種類には、主として、抵抗膜式、静電容量式、光学式および超音波式があり、抵抗膜式にはアナログ抵抗膜式およびマトリックス抵抗膜式があり、静電容量式には表面型および投影型がある。
最近注目されているスマートフォンやタブレット端末等のモバイル電子機器におけるタッチパネルでは、投影型静電容量式のものが多く使用されている。かかるモバイル電子機器における投影型静電容量式のタッチパネルとして、例えば、下から順に、液晶表示装置(LCD)、粘着剤層、透明導電膜(スズドープ酸化インジウム:ITO)、ガラス基板、透明導電膜(ITO)、および強化ガラスなどの保護層が積層されたものが提案されている。
上記液晶表示装置を構成する光学部品としては、一般的に液晶セルが用いられる。液晶セルは、一般に配向層を形成した2枚の透明電極基板の配向層を内側にして、スペーサにより所定の間隔になるように配置し、その周辺をシールして、2枚の透明電極基板の間に液晶材料を挟持したものである。通常、液晶セルにおける2枚の透明電極基板の外側には、それぞれ粘着剤を介して偏光板が接着される。
ここで、上記のように、液晶表示装置の偏光板を、粘着剤層を介して透明導電膜(ITO)に貼合する構成においては、粘着剤がITOに直接接触することとなる。そのため、酸成分であるカルボキシル基を多く含む粘着剤では、ITOを腐食させたり、ITOの抵抗値を変化させるといった問題が生じる。
光学用の粘着剤としては、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。この粘着剤は、(メタ)アクリル酸の炭素数4〜12のアルキルエステルモノマー50〜90質量%、(メタ)アクリル酸の脂環式アルキルエステルモノマー3〜10質量%、(メタ)アクリル酸のヒドロキシルアルキルエステルモノマー0.1〜1.0質量%、及び(メタ)アクリル酸の炭素数1〜3のアルキルエステルモノマー3〜10質量%(合計100質量%)からなる共重合体(共重合体中にはヒドロキシル基を含有するが、カルボキシル基を含有せず、重量平均分子量は70万〜120万である)、架橋剤(共重合体100質量部に対して0.02〜1質量部)並びに架橋助剤(共重合体100質量部に対して0.5〜5.0質量部)からなる。この粘着剤は酸成分であるカルボキシル基を含有しないため、前述した問題は生じ難い。
特開2012−001647号公報
一方、近年のモバイル電子機器の薄型化に伴い、構成部材である偏光板も薄型化が進んでいる。具体的には、偏光子であるポリビニルアルコールを両側から保持する保護フィルムの膜厚が低減された偏光板が用いられるようになってきている。このような偏光板は、保護フィルムにより偏光子の熱収縮を防ぐ能力に劣るため、従来よりも熱収縮が大きくなる傾向にある。また、上記保護フィルムの材質としても、トリアセチルセルロースに換えてシクロオレフィンポリマー(COP)等のアウトガスが生じ易い光学機能性フィルム等が適用されるようになってきている。そのため、それらに使用する粘着剤には、これまでよりも高い信頼性(耐久性・耐光漏れ性)が求められている。
しかしながら、上記のような偏光板に特許文献1の粘着剤を使用した場合、耐久性は十分ではなく、高温条件下または湿熱条件下において、浮きや剥がれが発生してしまう。また、特許文献1の粘着剤では、薄型化した偏光板において耐熱条件下で大きな収縮応力が生じたときに、その収縮応力を緩和することが困難であり、光学軸がずれて光漏れが生じたり、液晶セル等に反りが発生してしまう。これによって、液晶表示装置の表示性に悪影響を与えることがある。
本発明は、このような実状に鑑みてなされたものであり、透明導電膜等の被着体に悪影響を与えず、かつ、耐久性、耐光漏れ性、および粘着剤層を含む積層体の耐反り性に優れた粘着性組成物、粘着剤および粘着シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、第1に本発明は、重量平均分子量が140万〜250万であり、重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーと、芳香環を有するモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(C)とを含有し、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、前記水酸基を有するモノマーを1〜5質量%含有し、前記芳香環を有するモノマーを5〜30質量%含有し、前記カルボキシル基を有するモノマーを0.1〜0.8質量%含有する粘着性組成物を提供する(発明1)。
上記発明(発明1)に係る粘着性組成物を架橋させて得られる粘着剤は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマー、芳香環を有するモノマーおよびカルボキシル基を有するモノマーをそれぞれ所定量含有すること、ならびにメルカプト基を有するシランカップリング剤(C)が優れたカップリング効果を発揮すること等により、耐久性、耐光漏れ性、および粘着剤層を含む積層体の耐反り性が優れたものとなる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に含まれるカルボキシル基の量が低く抑えられているため、酸による透明導電膜等の被着体の不具合を抑制することができる。
上記発明(発明1)において、前記イソシアネート系架橋剤(B)は、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートであることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記粘着性組成物中における前記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記粘着性組成物中における前記シランカップリング剤(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜0.4質量部であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記芳香環を有するモノマーは、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルであることが好ましい(発明5)。
第2に本発明は、前記粘着性組成物(発明1〜5)を架橋してなる粘着剤を提供する(発明6)。
上記発明(発明6)においては、ゲル分率が55〜80%であることが好ましい(発明7)。
第3に本発明は、基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明6,7)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明8)。
上記発明(発明8)において、前記基材は、光学部材であることが好ましい(発明9)。
上記発明(発明9)において、前記光学部材は、偏光板であることが好ましい(発明10)。
第4に本発明は、2枚の剥離シートと、前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持された粘着剤層とを備えた粘着シートであって、前記粘着剤層が、前記粘着剤(発明6,7)からなることを特徴とする粘着シートを提供する(発明11)。
上記発明(発明8〜11)においては、前記粘着剤層と透明導電膜との積層体について、65℃、95%RHの雰囲気に500時間暴露する湿熱促進試験を行ったときに、前記透明導電膜の下記式により算出される抵抗値増加率が、15%以下であることが好ましい(発明12)。
抵抗値増加率(%)={(R−R)/R}×100
(式中、Rは湿熱促進試験前の初期抵抗値であり、Rは湿熱促進試験後の抵抗値である。)
本発明に係る粘着性組成物、粘着剤および粘着シートによれば、透明導電膜等の被着体に悪影響を与えず、かつ、耐久性、耐光漏れ性、および粘着剤層を含む積層体の耐反り性に優れる。
本発明の第1の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る粘着シートの断面図である。 試験例3で作製した抵抗値測定サンプルの断面図である。 試験例3における試験方法を説明する斜視図である。 粘着剤層付き偏光板における光漏れ性試験(目視)の評価基準を示す図(カラー)である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
〔粘着性組成物〕
本実施形態に係る粘着性組成物(以下「粘着性組成物P」という。)は、重量平均分子量が140万〜250万であり、重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマー(水酸基含有モノマー)と、芳香環を有するモノマー(芳香環含有モノマー)と、カルボキシル基を有するモノマー(カルボキシル基含有モノマー)とを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(C)とを含有する。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを1〜5質量%含有し、芳香環含有モノマーを5〜30質量%含有し、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜0.8質量%含有する。なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの両方を意味する。他の類似用語も同様である。また、「重合体」には「共重合体」の概念も含まれるものとする。
上記粘着性組成物Pにおいては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマー、芳香環含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーをそれぞれ所定量含有することで、当該粘着性組成物Pを架橋させて得られる粘着剤は、凝集力と応力緩和性とを併せ持ち、耐久性、耐光漏れ性、および粘着剤層を含む積層体(例えばタッチパネル、液晶パネル等)の耐反り性(以下、単に「耐反り性」という場合がある。)が優れたものとなる。
また、上記粘着性組成物Pを架橋させると、シランカップリング剤(C)のメルカプト基は、イソシアネート系架橋剤(B)のイソシアネート基と容易にチオウレタン結合を形成し、当該イソシアネート系架橋剤(B)の別のイソシアネート基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の水酸基と反応して(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を架橋し、三次元網目構造を形成する。そして、シランカップリング剤(C)のアルコキシシリル基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)から適切な距離をもって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)にぶら下がった形となると推定される。これにより、優れたカップリング効果が発揮され、得られる粘着剤は、高温条件下や湿熱条件下でも、接着耐久性に優れたものとなる。
さらに、上記粘着性組成物Pにおいては、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)がモノマー単位として含有するカルボキシル基含有モノマーの含有量が低く抑えられているため、得られる粘着剤の貼付対象が、酸により不具合が生じるもの、例えば透明導電膜や金属膜等である場合にも、酸によるそれらの不具合を抑制することができる。特に、貼付対象が透明導電膜である場合には、当該透明導電膜を腐食させたり、当該透明導電膜の抵抗値を変化させることを抑制することができる。
(1)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、上記水酸基含有モノマー、芳香環含有モノマーおよびカルボキシル基含有モノマーの他に、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することが好ましく、特に主成分として含有することが好ましい。また、所望により、他のモノマーを含有してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを含有することで、好ましい粘着性を発現することができる。アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−デシル、(メタ)アクリル酸n−ドデシル、(メタ)アクリル酸ミリスチル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。中でも、粘着性をより向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸n−ブチルが特に好ましい。なお、これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50〜93.9質量%含有することが好ましく、特に64.2〜93質量%含有することが好ましく、さらには80〜90質量%含有することが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%以上含有すれば、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)に好適な粘着性を付与させることができる。また、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを93.9質量%以下とすることにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中に他のモノマー成分を好適な量導入することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として水酸基含有モノマーを含有する。その水酸基は、イソシアネート系架橋剤(B)のイソシアネート基と反応性が高く、それらの反応によって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)はイソシアネート系架橋剤(B)により架橋される。この架橋構造により、得られる粘着剤は、耐久性および耐反り性に優れたものとなる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等が挙げられ、中でも、イソシアネート系架橋剤(B)との反応性の点から(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルまたは(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、水酸基含有モノマーを1〜5質量%含有し、好ましくは2〜4質量%含有する。水酸基含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、形成される架橋構造が良好なものとなり、得られる粘着剤が優れた耐久性および耐反り性を有するものとなる。水酸基含有モノマーの含有量が1質量%未満では、架橋点が少なすぎて凝集力が低下し、得られる粘着剤が優れた耐久性を発揮しない。一方、水酸基含有モノマーの含有量が5質量%を超えると、架橋点が多すぎて、得られる粘着剤が柔軟でなくなり、応力緩和性が低下し、それにより、基材の収縮に対応できなくなって耐久性または耐反り性が悪化する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として芳香環含有モノマーを含有する。これにより、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、適度な硬さを有することとなり、得られる粘着剤は、凝集力と応力緩和性との両立が容易となって、耐久性および耐光漏れ性に優れたものとなる。
芳香環含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシブチル、エトキシ化o−フェニルフェノールアクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも、凝集力向上の点から(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、芳香環含有モノマーを5〜30質量%含有し、好ましくは10〜25質量%含有し、特に好ましくは15〜20質量%含有する。芳香環含有モノマーの含有量が上記の範囲にあることで、得られる粘着剤が優れた応力緩和性、そして耐久性および耐光漏れ性を有するものとなる。芳香環含有モノマーの含有量が5質量%未満では、得られる粘着剤の耐光漏れ性が悪化する。一方、芳香環含有モノマーの含有量が30質量%を超えると、他の成分の配合量が減少し、得られる粘着剤の耐久性が悪化する。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位としてカルボキシル基含有モノマーを含有する。そのカルボキシル基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)中の水酸基とイソシアネート系架橋剤(B)との架橋反応を促進するとともに、カルボキシル基自身もイソシアネート系架橋剤(B)と架橋反応を行う。これにより、得られる粘着剤は、架橋の程度が好適なものになり、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)間での架橋度合いが均等になることにより、耐久性および耐反り性に優れたものとなる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、当該重合体を構成するモノマー単位として、カルボキシル基含有モノマーを0.1〜0.8質量%含有し、好ましくは0.1〜0.5質量%含有し、特に好ましくは0.1〜0.3質量%含有する。カルボキシル基含有モノマーが上記の範囲にあることで、得られる粘着剤が優れた耐久性および耐反り性を有するものとなる。カルボキシル基含有モノマーの含有量が0.1質量%未満では、得られる粘着剤の耐久性または耐反り性が悪化する。一方、カルボキシル基含有モノマーの含有量が0.8質量%を超えると、得られる粘着剤の貼付対象が透明導電膜等の場合に、透明導電膜等が腐食したり、透明導電膜の抵抗値が大きく変化する。
上記他のモノマーとしては、上記水酸基含有モノマーの水酸基およびカルボキシル基含有モノマーのカルボキシル基とイソシアネート系架橋剤(B)との反応を妨げないためにも、イソシアネート系架橋剤(B)と反応性を有する官能基を含まないモノマーが好ましい。かかる他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド等の非架橋性のアクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル等の非架橋性の3級アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合態様は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量は140万〜250万であり、好ましくは150万〜220万であり、特に好ましくは180万〜200万である。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定したポリスチレン換算の値である。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が140万未満であると、得られる粘着剤が耐久性に劣るものとなる。また、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量が250万を超えると、得られる粘着剤が耐反り性に劣るものとなる。
なお、粘着性組成物Pにおいて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、粘着性組成物Pは、水酸基含有モノマー、芳香環含有モノマーまたはカルボキシル基含有モノマーを構成モノマー単位として含有しない(メタ)アクリル酸エステル重合体をさらに含有してもよい。
(2)イソシアネート系架橋剤(B)
イソシアネート系架橋剤(B)は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が有する水酸基との反応性、およびシランカップリング剤(C)が有するメルカプト基との反応性に優れるという利点がある。
イソシアネート系架橋剤(B)は、少なくともポリイソシアネート化合物を含むものである。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネートなど、及びそれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などが挙げられ、中でも偏光板に使用した場合における耐久性及び加工性の点から、トリメチロールプロパン変性の芳香族ポリイソシアネート、特にトリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートが好ましい。上記イソシアネート系架橋剤(B)は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
粘着性組成物P中におけるイソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量部であることが好ましく、さらには0.1〜0.3質量部であることが好ましい。イソシアネート系架橋剤(B)の含有量が上記範囲にあることで、得られる粘着剤において、応力緩和性、そして耐久性および耐反り性に優れた架橋構造を形成することができる。
(3)シランカップリング剤(C)
本実施形態におけるシランカップリング剤(C)はメルカプト基を有する。このメルカプト基は、イソシアネート系架橋剤(B)のイソシアネート基と容易に反応する。前述した通り、粘着性組成物Pを架橋させた粘着剤では、シランカップリング剤(C)のアルコキシシリル基は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)から適切な距離、すなわちイソシアネート系架橋剤(B)における複数のイソシアネート基の相互間の距離をもって、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)にぶら下がった形となると推定される。このように、アルコキシシリル基が、(架橋された)(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)から適切な距離をもって存在することにより、優れたカップリング効果が発揮され、それにより、得られる粘着剤は、接着性に優れ、高温条件下や湿熱条件下でも、接着耐久性に優れたものとなる。この効果は、粘着剤の貼付対象がガラスや金属等の無機材料の場合に、特に顕著に発揮される。
シランカップリング剤(C)としては、分子内にメルカプト基を少なくとも1個、アルコキシシリル基を少なくとも1個有する有機ケイ素化合物であって、粘着剤成分との相溶性がよく、かつ光透過性を有するもの、例えば実質上透明なものが好適である。
かかるシランカップリング剤(C)の具体例としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有低分子型シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン等のメルカプト基含有シラン化合物と、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン等のアルキル基含有シラン化合物との共縮合物などのメルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤などが挙げられる。中でも、耐久性を向上させる観点から、メルカプト基含有オリゴマー型シランカップリング剤が好ましく、特にメルカプト基含有シラン化合物とアルキル基含有シラン化合物との共縮合物が好ましく、さらには3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとメチルトリエトキシシランとの共縮合物が好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
粘着性組成物P中におけるシランカップリング剤(C)の含有量は、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜0.4質量部であることが好ましく、特に0.1〜0.3質量部であることが好ましい。シランカップリング剤(C)の含有量が0.01質量部未満であると、当該シランカップリング剤(C)による効果が得られ難い場合がある。一方、シランカップリング剤(C)の含有量が0.4質量部を超えると、イソシアネート系架橋剤(B)と(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)との反応を阻害する場合がある。
(4)各種添加剤
粘着性組成物Pには、所望により、アクリル系粘着剤に通常使用されている各種添加剤、例えば、帯電防止剤、粘着付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、軟化剤、充填剤、屈折率調整剤などを添加することができる。
帯電防止剤の具体例としては、N−ブチル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファート、N−ヘキシル−4−メチルピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、N−ブチル−2−ヘキシルピリジニウムパークロレート、ビス(フルオロスルホニルイミド)カリウム(KFSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニルイミド)カリウム(KTFSI)、ビス(フルオロスルホニルイミド)リチウム(LiFSI)、ビス(トリフルオロメタンスルホニウムイミド)リチウム(LiTFSI)、N−ブチル−2−ヘキシルピリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等が挙げられる。これらの帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
〔粘着性組成物の製造方法〕
粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を製造し、得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、イソシアネート系架橋剤(B)と、シランカップリング剤(C)とを混合するとともに、所望により、添加剤を加えることで製造することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)は、重合体を構成するモノマー単位の混合物を通常のラジカル重合法で重合することにより製造することができる。(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合は、所望により重合開始剤を使用して、溶液重合法等により行うことができる。重合溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、アゾ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、2種類以上を併用してもよい。アゾ系化合物としては、例えば、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1'−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2'−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等が挙げられる。
有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等が挙げられる。
なお、上記重合工程において、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を配合することにより、得られる重合体の重量平均分子量を調節することができる。
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が得られたら、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の溶液に、イソシアネート系架橋剤(B)、シランカップリング剤(C)、希釈溶剤、および所望により添加剤を添加し、十分に混合することにより、溶剤で希釈された粘着性組成物P(塗布溶液)を得る。
粘着性組成物Pを希釈して塗布溶液とするための希釈溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロン、シクロヘキサノン等のケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤などが用いられる。
このようにして調製された塗布溶液の濃度・粘度としては、コーティング可能な範囲であればよく、特に制限されず、状況に応じて適宜選定することができる。例えば、粘着性組成物Pの濃度が10〜40質量%となるように希釈する。なお、塗布溶液を得るに際して、希釈溶剤等の添加は必要条件ではなく、粘着性組成物Pがコーティング可能な粘度等であれば、希釈溶剤を添加しなくてもよい。この場合、粘着性組成物Pは、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重合溶媒をそのまま希釈溶剤とする塗布溶液となる。
〔粘着剤〕
本実施形態に係る粘着剤は、粘着性組成物Pを架橋してなるものである。粘着性組成物Pの架橋は、加熱処理により行うことができる。なお、この加熱処理は、粘着性組成物Pの希釈溶剤等を揮発させる際の乾燥処理で兼ねることもできる。
加熱処理を行う場合、加熱温度は、50〜150℃であることが好ましく、特に70〜120℃であることが好ましい。また、加熱時間は、30秒〜10分であることが好ましく、特に50秒〜2分であることが好ましい。加熱処理後、必要に応じて、常温(例えば、23℃、50%RH)で1〜2週間程度の養生期間を設けてもよい。この養生期間が必要な場合は、養生期間経過後、養生期間が不要な場合には、加熱処理終了後、粘着剤層が形成される。
上記の加熱処理(及び養生)により、イソシアネート系架橋剤(B)によって(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が架橋し、三次元網目構造が形成される。また、シランカップリング剤(C)のメルカプト基は、イソシアネート系架橋剤(B)のイソシアネート基と容易に反応し、当該シランカップリング剤(C)のアルコキシシリル基は、当該イソシアネート系架橋剤(B)を介して、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)、ひいては上記の三次元網目構造から適切な距離をもって存在するものと推定され、優れたカップリング効果を発揮する。
さらに、粘着性組成物Pを架橋させて得られる粘着剤は、上記の三次元網目構造が比較的ルーズな状態になっているにもかかわらず、芳香環を含有することで、適切な凝集力を有する。これにより、凝集力を低下させることなく応力緩和性を向上させることができ、もって粘着剤は耐久性および耐反り性の高いものとなる。さらに、シランカップリング剤(C)による優れたカップリング効果により、ガラス表面等への接着性に優れ、高温条件下や湿熱条件下でも、優れた接着耐久性を発揮する。例えば、85℃の高温条件下や60℃・90%RHの湿熱条件下に250時間おいた場合にも、浮き、剥がれ、気泡等が発生することが防止・抑制される。また、上記粘着剤を介して貼り合わされた薄い偏光板と薄膜(例えば膜厚0.5mm程度)のガラス板との積層体を85℃の高温条件下250時間おいた場合にも、当該積層体の反りは小さく抑えられる。
本実施形態に係る粘着剤のゲル分率は、55〜80%であることが好ましく、特に60〜75%であることが好ましい。ゲル分率が55%未満であると、粘着剤の凝集力が不足して、耐久性およびリワーク性が低下する場合がある。特に、COP偏光板に使用する場合には、高温下にて十分な接着耐久性が得られない場合がある。一方、ゲル分率が80%を超えると、応力緩和性が低くなり過ぎて耐久性または耐反り性が低下する場合がある。
〔粘着シート〕
図1に示すように、第1の実施形態に係る粘着シート1Aは、下から順に、剥離シート12と、剥離シート12の剥離面に積層された粘着剤層11と、粘着剤層11に積層された基材13とから構成される。
また、図2に示すように、第2の実施形態に係る粘着シート1Bは、2枚の剥離シート12a,12bと、それら2枚の剥離シート12a,12bの剥離面と接するように当該2枚の剥離シート12a,12bに挟持された粘着剤層11とから構成される。なお、本明細書における剥離シートの剥離面とは、剥離シートにおいて剥離性を有する面をいい、剥離処理を施した面および剥離処理を施さなくても剥離性を示す面のいずれをも含むものである。
いずれの粘着シート1A,1Bにおいても、粘着剤層11は、前述した粘着性組成物Pを架橋してなる粘着剤からなる。
粘着剤層11の厚さは、粘着シート1A,1Bの使用目的に応じて適宜決定されるが、通常5〜100μm、好ましくは10〜60μmの範囲であり、例えば、光学部材、特に偏光板用の粘着剤層として使用する場合には、10〜50μm、特に15〜30μmであることが好ましい。
基材13としては、特に制限は無く、通常の粘着シートの基材シートとして用いられているものは全て使用できる。例えば、所望の光学部材の他、レーヨン、アクリル、ポリエステル等の繊維を用いた織布または不織布;合成紙;上質紙、グラシン紙、含浸紙、コート紙等の紙類;アルミ、銅等の金属箔;ウレタン発泡体、ポリエチレン発泡体等の発泡体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、トリアセチルセルロース等のセルロースフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリル樹脂フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、シクロオレフィン樹脂フィルム等のプラスチックフィルム;これらの2種以上の積層体などを挙げることができる。プラスチックフィルムは、一軸延伸または二軸延伸されたものでもよい。
光学部材としては、例えば、偏光板(偏光フィルム)、偏光子、位相差板(位相差フィルム)、視野角補償フィルム、輝度向上フィルム、コントラスト向上フィルム、液晶ポリマーフィルム、拡散フィルム、半透過反射フィルム等が挙げられる。中でも偏光板(偏光フィルム)は、収縮し易く、寸法変化が大きいため、耐久性を要求される観点から、本実施形態の粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する基材として好適である。また、特にポリシクロオレフィン系フィルムまたは当該フィルムを備えた偏光板(COP偏光板)は、収縮し易く、寸法変化が大きいだけでなく、接触角が大きく、密着性が低いため、接着性・接着耐久性を要求される観点から、本実施形態の粘着剤(上記粘着剤層11)を形成する基材として好適である。
基材13の厚さは、その種類によっても異なるが、例えば光学部材の場合には、通常10〜500μmであり、好ましくは50〜300μmであり、特に好ましくは80〜150μmである。
剥離シート12,12a,12bとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニルフィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等が用いられる。また、これらの架橋フィルムも用いられる。さらに、これらの積層フィルムであってもよい。
上記剥離シートの剥離面(特に粘着剤層11と接する面)には、剥離処理が施されていることが好ましい。剥離処理に使用される剥離剤としては、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系、ワックス系の剥離剤が挙げられる。
剥離シート12,12a,12bの厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度である。
上記粘着シート1Aを製造するには、剥離シート12の剥離面に、上記粘着性組成物を含む溶液(塗布溶液)を塗布し、加熱処理を行って塗膜を形成した後、その塗膜に基材13を積層する。なお、上記塗膜は、養生期間が不要な場合は、そのまま粘着剤層11となり、養生期間が必要な場合は、養生期間経過後に粘着剤層11となる。加熱処理および養生の条件については、前述した通りである。
また、上記粘着シート1Bを製造するには、一方の剥離シート12a(または12b)の剥離面に、上記粘着性組成物を含む塗布溶液を塗布し、加熱処理を行って塗膜を形成した後、その塗膜に他方の剥離シート12b(または12a)の剥離面を重ね合わせる。上記塗膜は、養生期間が不要な場合は、そのまま粘着剤層11となり、養生期間が必要な場合は、養生期間経過後に粘着剤層11となる。
上記塗布溶液を塗布する方法としては、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等を利用することができる。
粘着シート1A,1Bにおける粘着剤層11は、ヘイズ値(JIS K7136:2000に準じて測定した値)が、1.0%以下であることが好ましく、特に0.9%以下であることが好ましく、さらには0.8%以下であることが好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であると、透明性が非常に高く、光学用途として好適なものとなる。
ここで、例えば、液晶セルと偏光板とから構成される液晶表示装置を製造するには、粘着シート1Aの基材13として偏光板を使用し、当該粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合すればよい。
また、例えば、液晶セルと偏光板との間に位相差板が配置される液晶表示装置を製造するには、一例として、まず、粘着シート1Bの一方の剥離シート12a(または12b)を剥離して、粘着シート1Bの露出した粘着剤層11と位相差板とを貼合する。次いで、基材13として偏光板を使用した粘着シート1Aの剥離シート12を剥離して、粘着シート1Aの露出した粘着剤層11と上記位相差板とを貼合する。さらに、上記粘着シートBの粘着剤層11から他方の剥離シート12b(または12a)を剥離して、粘着シートBの露出した粘着剤層11と液晶セルとを貼合する。
以上の粘着シート1A,1Bによれば、粘着剤層11が耐久性に優れるため、高温条件下または湿熱条件下でも、基材13や被着体との間で浮き、剥がれ、発泡等が生じることが防止・抑制される。特に、基材13をCOP偏光板とした場合でも、COP偏光板の変形によって生じ得る応力を粘着剤層11で吸収・緩和することができ、それにより、優れた耐久性が発揮される。また、上記粘着シート1A,1Bによれば、粘着剤層11が耐反り性に優れるため、高温条件下でも、粘着剤層11を介して貼り合わされた薄い偏光板と薄膜(例えば膜厚0.5mm程度)のガラス板との積層体の反りを小さく抑えることができる。
本実施形態に係る粘着シート1A,1Bは、透明導電膜を被着体とすることも好ましい。粘着性組成物Pにおける(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)にモノマー単位として含まれるカルボキシル基含有モノマーの量は、前述した通り少量であり、透明導電膜に酸成分による悪影響を与えることを抑制することができるためである。具体的には、透明導電膜を腐食させたり、透明導電膜の抵抗値を変化させることを抑制することができる。
上記透明導電膜としては、例えば、白金、金、銀、銅等の金属、酸化スズ、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化亜鉛、二酸化亜鉛等の酸化物、スズドープ酸化インジウム(ITO)、酸化亜鉛ドープ酸化インジウム、フッ素ドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化亜鉛等の複合酸化物、カルコゲナイド、六ホウ化ランタン、窒化チタン、炭化チタン等の非酸化化合物などからなるものが挙げられる。
上記透明導電膜の抵抗値変化を具体的に説明すると、本実施形態に係る粘着シート1Aまたは粘着シート1Bを使用して、粘着剤層11と透明導電膜とを貼合し、得られた積層体について、65℃、95%RHの雰囲気に500時間暴露する湿熱促進試験を行ったときに、透明導電膜の下記式により算出される抵抗値増加率が、15%以下であることが好ましく、特に10%以下であることが好ましい。
抵抗値増加率(%)={(R−R)/R}×100
(式中、Rは湿熱促進試験前の初期抵抗値(Ω)であり、Rは湿熱促進試験後の抵抗値(Ω)である。)
なお、透明導電膜の抵抗値増加率の測定方法の詳細は後述する。
基材13として偏光板を使用した粘着シート1A(以下「粘着剤層付き偏光板」と称する場合がある。)は、無アルカリガラスに対する粘着力が、0.1〜20N/25mmであることが好ましく、特に0.5〜10N/25mmであることが好ましく、さらには1〜5N/25mmであることが好ましい。粘着力が上記の範囲内にあることにより、ガラス板等の被着体との間で、浮きや剥がれなどを防止することができる。なお、ここでいう粘着力は、基本的にはJIS Z0237:2009に準じた180°引き剥がし法により測定した粘着力をいうが、測定サンプルは25mm幅、100mm長とし、当該測定サンプルを被着体に対し0.5MPa、50℃で20分加圧して貼付した後、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、剥離速度300mm/minにて測定するものとする。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、粘着シート1Aの剥離シート12は省略されてもよいし、粘着シート1Bにおける剥離シート12a,12bのいずれか一方は省略されてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
1.(メタ)アクリル酸エステル重合体の調製
アクリル酸n−ブチル76.9質量部、アクリル酸メチル10質量部、アクリル酸2−フェニルエチル10質量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル3質量部およびアクリル酸0.1質量部を共重合させて、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を調製した。この(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の分子量を後述する方法で測定したところ、重量平均分子量150万であった。
2.粘着性組成物の調製
上記工程(1)で得られた(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部(固形分換算値;以下同じ)と、イソシアネート系架橋剤(B)として、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネート(日本ポリウレタン社製,商品名「コロネートL」)0.2質量部と、メルカプト基を有するシランカップリング剤(C)として、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとメチルトリエトキシシランとの共縮合物(信越化学工業社製,商品名「X−411−1810」,メルカプト当量:450g/モル)0.3質量部とを混合し、十分に撹拌して、酢酸エチルで希釈することにより、粘着性組成物の塗布溶液を得た。
ここで、当該粘着性組成物の配合を表1に示す。なお、表1に記載の略号等の詳細は以下の通りである。
[(メタ)アクリル酸エステル重合体]
BA:アクリル酸n−ブチル
MA:アクリル酸メチル
PhEA:アクリル酸2−フェニルエチル
HEA:アクリル酸2−ヒドロキシエチル
AA:アクリル酸
[シランカップリング剤]
C1:3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとメチルトリエトキシシランとの共縮合物(信越化学工業社製,商品名「X−411−1810」)
C2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製,商品名「KBM−403」)
3.粘着剤層付き偏光板の製造
得られた粘着性組成物の塗布溶液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3811,厚さ:38μm)の剥離処理面に、乾燥後の厚さが25μmになるようにナイフコーターで塗布したのち、90℃で1分間加熱処理して粘着性組成物の塗膜を形成した。
次いで、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光子の一方の面をトリアセチルセルロースフィルムで保護し、他方の面をシクロオレフィンポリマーフィルムで保護してなる厚さ100μmのCOP偏光板を、上記塗膜の露出面とシクロオレフィンポリマーフィルムの表面とが接するように、上記塗膜と貼合し、23℃、50%RHで7日間養生することにより、粘着剤層付き偏光板を得た。
〔実施例2〜14,比較例1〜6〕
(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)を構成する各モノマーの種類および割合、(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)の重量平均分子量、イソシアネート系架橋剤(B)の配合量、ならびにシランカップリング剤(C)の種類および配合量を表1に示すように変更する以外、実施例1と同様にして粘着剤層付き偏光板を製造した。なお、実施例5では、粘着性組成物の調製において、帯電防止剤として、ビス(トリフルオロメタンスルホニウムイミド)リチウムとテトラエチレングリコールジメチルエーテルとの等モル混合品(三光化学社製,商品名「サンコノールTGR」)を1.8質量部配合した。
ここで、前述した重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定(GPC測定)したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
<測定条件>
・GPC測定装置:東ソー社製,HLC−8020
・GPCカラム(以下の順に通過):東ソー社製
TSK guard column HXL−H
TSK gel GMHXL(×2)
TSK gel G2000HXL
・測定溶媒:テトラヒドロフラン
・測定温度:40℃
〔試験例1〕(ゲル分率の測定)
実施例または比較例にて粘着剤層付き偏光板の作製に使用した偏光板に替えて、ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面をシリコーン系剥離剤で剥離処理した剥離シート(リンテック社製,SP−PET3801,厚さ:38μm)を使用し、粘着シートを作製した。具体的には、実施例または比較例の製造過程で得られた剥離シート/粘着性組成物の塗膜からなる構成体の露出している塗膜上に、上記剥離シートを剥離処理面側が接するように積層し、23℃、50%RHの条件下で7日間養生した。これにより、剥離シート(SP−PET3801)/粘着剤層(厚さ:25μm)/剥離シート(SP−PET3811)の構成からなる粘着シートを作製した。
得られた粘着シートを80mm×80mmのサイズにサンプリングして、その粘着剤層をポリエステル製メッシュ(メッシュサイズ200)に包み、粘着剤のみの質量を精密天秤にて秤量した。このときの質量をM1とする。
次に、上記ポリエステル製メッシュに包まれた粘着剤を、室温下(23℃)で酢酸エチルに24時間浸漬させた。その後粘着剤を取り出し、温度23℃、相対湿度50%の環境下で、24時間風乾させ、さらに80℃のオーブン中にて12時間乾燥させた。乾燥後の粘着剤のみの質量を、精密天秤にて秤量した。このときの質量をM2とする。ゲル分率(%)は、(M2/M1)×100で表される。結果を表2に示す。
〔試験例2〕(ヘイズ値の測定)
測定サンプルとして、ゲル分率の測定に用いた粘着シートと同様の粘着シートを用意した。当該粘着シートの粘着剤層(厚さ:25μm)について、ヘイズメーター(日本電色工業社製,NDH2000)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘイズ値(%)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例3〕(抵抗値増加率の測定)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板について、以下の試験方法により、ITO膜の電気抵抗値を測定し、抵抗値増加率を計算した。
図3に、抵抗値測定サンプルSの断面図を示す。スパッタにより、一方の面21aにITO膜22が設けられたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム21を用意し、PETフィルム21のITO膜22が設けられていない面21bと、ガラス板23の一方の面23aとを、接合テープ24(リンテック社製,商品名「タックライナーTL−70」)を介して接合した。
次に、ITO膜22のPETフィルム21と接している面とは反対側の面(以下「一方の面」という。)22aに、銀を含有する導電性樹脂材料(藤倉化成社製,商品名「FA−301CA」,ドータイトタッチパネル回路タイプ)を20mm×5mmの長方形の電極形状になるように塗布した後、温度80℃で20分間加熱し、乾燥させて、抵抗値の測定点となる電極25を2点形成した。その際、2点の電極25,25間の距離が20mmより僅かに大きくなるように、それらの位置を調整した。
一方、実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板1A’を、20mm×250mmの大きさに裁断し、剥離シートを剥離した(この時点で粘着剤層付き偏光板1A’は、偏光板13’と粘着剤層11とからなる積層体となっている)。そして、粘着剤層付き偏光板1A’の粘着剤層11が2点の電極25,25の際に沿うように(ギリギリ接しないように)、ITO膜22の一方の面22aに、粘着剤層付き偏光板1A’を貼付し、図3に示す抵抗値測定用サンプルSを作製した。
続いて、図4に示すように、デジタルハイテスタ(日置電機社製,商品名「3802−50」)30を用いて、電極25,25間の初期抵抗値R(Ω)を測定した。さらに、抵抗値測定用サンプルSを、60℃、90%RHの環境下に500時間放置した後、湿熱促進後抵抗値R(Ω)を測定した。得られた初期抵抗値Rおよび湿熱促進後抵抗値Rに基づき、抵抗値測定用サンプルSの抵抗値増加率を、以下の式に従って算出した。結果を表2に示す。
抵抗値増加率(%)={(R−R)/R}×100
〔試験例4〕(粘着力の測定)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を裁断し、25mm幅、100mm長のサンプルを作製した。このサンプルから剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に当該サンプルを貼付したのち、栗原製作所社製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。その後、常圧、23℃、50%RHの条件下で24時間放置してから、引張試験機(オリエンテック社製,テンシロン)を用い、JIS Z0237:2009に準じて、剥離速度300mm/min、剥離角度180°の条件で粘着力(貼付1日後の粘着力;N/25mm)を測定した。結果を表2に示す。
〔試験例5〕(耐久性評価)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を裁断し、200mm×150mmの大きさのサンプルを作製した。このサンプルから剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。
その後、下記の耐久条件の環境下に投入し、250時間後に10倍ルーペを用いて、浮きや剥がれの有無を確認した。評価基準は以下の通りである。結果を表2に示す。
◎:浮きや剥がれが確認されなかった。
○:0.5mm以下の大きさの浮きや剥がれが確認された。
△:0.5mm超、1.0mm以下の大きさの浮きや剥がれが確認された。
×:1.0mm超の大きさの浮きや剥がれが確認された。
<耐久条件>
・85℃dry
・60℃,相対湿度90%RH
〔試験例6〕(パネルの耐反り性評価)
実施例および比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、縦200mm、横150mmとなるように裁断した。その粘着剤層付き偏光板から剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層を、縦250mm、横175mm、厚さ0.5mmの無アルカリガラス(コーニング社製,商品名「Eagle−XG」)の中央部に貼り合せて、これをサンプルとした。このサンプルを、85℃、乾燥雰囲気下で、250時間放置した。その後、25℃、50%RHの環境下に取り出し、偏光板側を上にして水平な台の上に置き、サンプルの各角(4点)の台からの反り量(角と台との距離)を測定し、各角の反り量を合計した。その結果に基づき、以下の通り評価した。結果を表2に示す。
◎:反り量の合計が15mm以下
○:反り量の合計が15mm超、20mm以下
×:反り量の合計が20mm超
〔試験例7〕(耐光漏れ性の評価)
実施例または比較例で得られた粘着剤層付き偏光板を、裁断装置(荻野製作所社製スーパーカッター,PN1−600)を用いて200mm×150mmサイズに調整した。剥離シートを剥がして、露出した粘着剤層を介して無アルカリガラス(コーニング社製,イーグルXG)に貼付したのち、栗原製作所製オートクレーブにて0.5MPa、50℃で、20分加圧した。なお、上記貼合は、無アルカリガラスの表裏に、粘着剤層付き偏光板を偏光軸がクロスニコル状態(偏光軸:∠45°,∠135°)になるように行った。この状態で、80℃dry環境下にて250時間放置した後、23℃、50%RHの環境下で2時間放置し、これをサンプルとして、以下に示す方法で光漏れ性を評価した。結果を表2に示す。
<評価方法>
上記サンプルをフラットイルミネーター(電通産業社製,HF−SL−A312LC,照度:26,000Lux,輝度:10,000cd)の上に設置し、二次元色彩輝度計(コニカミノルタ社製,CA−2000)にて撮影し、解析ソフトウェア(コニカミノルタ社製,CA−S20w)によって輝度分布画像に変換した。得られたサンプルの輝度分布画像を、図5及び以下に示す評価基準に基づいて評価した。
◎:輝度分布が均一である
○:四隅の輝度分布に若干の歪みがある
×:四隅の輝度分布に大きな歪みがある
〔試験例8〕(粘着剤層の表面抵抗値の測定)
実施例5で得られた粘着剤層付き偏光板を50mm×50mmの大きさに切断し、得られたサンプルを23℃の温度、50%RHの湿度下に24時間放置した。その後、剥離シートを剥がし、露出した粘着剤層表面について、抵抗率計(三菱化学アナリテック社製,ハイレスタUP MCP−HT450型)を使用して、JIS K6911に準じて表面抵抗値(Ω/sq)を測定した。結果を表2に示す。
なお、表面抵抗値は、3.0×1011Ω/sq以下であることが好ましく、特に1.0×1011Ω/sq以下であることが好ましく、さらには8.0×1010Ω/sq以下であることが好ましい。表面抵抗値が上記の値以下であることで、良好な帯電防止性を発揮することができる。
表2から分かるように、実施例で得られた粘着剤層の粘着剤は、耐久性、耐反り性および耐光漏れ性に優れるとともに、被着体である透明導電膜の抵抗値を変化させ難いものであった。
本発明の粘着剤および粘着シートは、透明導電膜、特にスズドープ酸化インジウム(ITO)からなる透明導電膜と、光学部材、特に偏光板との接着に好適である。
1A,1B…粘着シート
1A’…粘着剤層付き偏光板
11…粘着剤層
12,12a,12b…剥離シート
13…基材
13’…偏光板
21…PETフィルム
21a,21b…面
22…ITO膜
22a…面
23…ガラス板
23a…面
24…接合テープ
25…電極
30…デジタルハイテスタ
S…抵抗値測定用サンプル

Claims (11)

  1. 重量平均分子量が140万〜250万であり、重合体を構成するモノマー単位として、水酸基を有するモノマーと、芳香環を有するモノマーと、カルボキシル基を有するモノマーとを含有する(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)と、
    イソシアネート系架橋剤(B)と、
    メルカプト基を有するシランカップリング剤(C)と
    を含有し、
    前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)が、当該重合体を構成するモノマー単位として、前記水酸基を有するモノマーを1〜5質量%含有し、前記芳香環を有するモノマーを5〜30質量%含有し、前記カルボキシル基を有するモノマーを0.1〜0.8質量%含有し、
    前記芳香環を有するモノマーは、(メタ)アクリル酸2−フェニルエチルである
    粘着性組成物。
  2. 前記イソシアネート系架橋剤(B)は、トリメチロールプロパン変性トリレンジイソシアネートであることを特徴とする請求項1に記載の粘着性組成物。
  3. 前記粘着性組成物中における前記イソシアネート系架橋剤(B)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜1質量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着性組成物。
  4. 前記粘着性組成物中における前記シランカップリング剤(C)の含有量は、前記(メタ)アクリル酸エステル重合体(A)100質量部に対して、0.01〜0.4質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着性組成物。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の粘着性組成物を架橋してなる粘着剤。
  6. ゲル分率が55〜80%であることを特徴とする請求項に記載の粘着剤。
  7. 基材と、粘着剤層とを備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、請求項またはに記載の粘着剤からなる
    ことを特徴とする粘着シート。
  8. 前記基材は、光学部材であることを特徴とする請求項に記載の粘着シート。
  9. 前記光学部材は、偏光板であることを特徴とする請求項に記載の粘着シート。
  10. 2枚の剥離シートと、
    前記2枚の剥離シートの剥離面と接するように前記剥離シートに挟持された粘着剤層と
    を備えた粘着シートであって、
    前記粘着剤層は、請求項またはに記載の粘着剤からなる
    ことを特徴とする粘着シート。
  11. 前記粘着剤層と透明導電膜との積層体について、65℃、95%RHの雰囲気に500時間暴露する湿熱促進試験を行ったときに、前記透明導電膜の下記式により算出される抵抗値増加率が、15%以下であることを特徴とする請求項10のいずれか一項に記載の粘着シート。
    抵抗値増加率(%)={(R−R)/R}×100
    (式中、Rは湿熱促進試験前の初期抵抗値であり、Rは湿熱促進試験後の抵抗値である。)
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