JP6114092B2 - フライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、業務用フライヤー等で発生する劣化したフライ油等を簡単でかつ低コストの方法で再生させる使用済みフライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置に関する。
油揚げ、冷凍保存食品、てんぷら、菓子類などの製造工場等においては、大容量の業務用フライヤー等を用いてこれらの揚げ物食品が製造されており、ここでは毎日多量の使用済みのフライ油が発生している。
この業務用フライヤー等で使用されるフライ油は、高温加熱や食品中の水分その他の成分の影響により徐々に酸化、重合、加水分解等が進行して劣化している。特に、繰り返しフライヤー等で使用して劣化したものは、発生する悪臭が食品製造工場内の作業環境を悪化すると共に、食品の色、臭い、味、栄養価の低下をもたらし、ひいては食中毒を引き起こすこともある。そのため、フライ油の品質管理が重要であり、フライ油の劣化の指標として、一般にフライ油の酸価(AV値)の測定が行われている。酸価が基準値に達したフライ油は、全量廃油として処分され、新油に交換される。フライ油は高価であるので、その交換頻度を少なくするため、フライ油の酸化を抑制する装置や添加剤が提案され使用されており、また、酸価を低下させる方法も提案されている。
酸価が基準値以上になった廃油として処分されるフライ油は、リサイクル資源として肥料や飼料の一部、工業用原料、燃料等として再利用され、資源の有効利用や石油代替燃料として地球温暖化対策に寄与している。しかし、最も望ましいのはフライヤー等で使用されるフライ油の交換頻度を少なくして、フライ油の使用量そのものを削減することである。使用するフライ油の交換頻度を少なくすることは、食品製造工場にとって、コスト削減上、常に追求してきた課題であり、また、その実現は、グローバルの課題である食料資源の保存、枯渇対策として、大きな影響を及ぼすことになると考えられる。
使用中の揚げ油、フライ油等の食用油の管理基準としては、日本では、厚生労働省の「弁当及び惣菜の衛生規範(昭和54年、環食、161号)」には、食品製造現場で使用中の揚げ油の管理基準は酸価が2.5以下であること、この基準を超えたものは、すべて新しい油脂と交換することが定められている。
また、製品中に含まれる油脂の酸価については、食品衛生法の「食品、添加物等の規格基準」では、即席麺類を対象として、麺に含まれる油脂の酸価は3以下と定められており、農林水産省地域食品認証基準では、油揚げに含まれる油脂の酸価は3以下に規定されている。また、厚生労働省の指導要領(昭和52年、環食、248号)では、油脂で処理した菓子について、その種類により、酸価が3若しくは5を超えないこととされている。
このようなことから、揚げ物製品の種類により、フライ油の交換は16〜40時間に1回の頻度で行われているようである。
フライ油の酸化を促進する要因としては、酸素、温度、水分、金属イオン、光等があり、食品製造工場に於いては、空気の遮断、適切な温度調整、水分除去、含有食品固形分や金属成分の除去を可能にする装置類の導入が試みられている。また、フライ油の酸化を抑制する添加剤として、クエン酸ナトリウムやアルカリイオン水の添加や、電磁酸化還元システムの使用等様々な提案が行われ使用されているが、いずれもフライヤー等の使用者の満足を得られていないと言われている。
フライ油の酸価を低下させる方法としては、食用油製造工場での脱酸工程に於いて行われる水酸化ナトリウム水溶液による中和処理があるが、揚げ油の処理方法としては、食用油に水分が混入してしまうこと、石鹸になる副生成分の分離が難しく、また、その副生成分がナトリウムを含むために廃棄物処理に困ること等の問題があり、実際には採用されていない。
また、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム等のアルカリ化合物を中和剤として使用する方法についても、従来から種々の方法が提案され、試みられている。
具体的には、例えば、使用済みの食用油を酸化カルシウム、珪藻土、活性炭などの種々の吸着材の組み合わせからなる吸着装置を通して不純物の除去とともに油の酸価の低減と脱色を行い、食用油として再利用しようとするもの(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)、大きな比表面積を有する細孔形態の二酸化ケイ素と水酸化カルシウムとを乾燥し混合して得たものを食用油用再生剤として利用するもの(例えば、特許文献4参照)、共重合ポリエチレンテレフタレート製袋に充填した食品添加物の酸化マグネシウム粒子を食用油の使用開始時から食用油中に投入して食用油の劣化を防止する食用油の清浄剤(例えば、特許文献5参照)などが提案され、試みられている。
特開2005−213309号公報 特開2006−334221号公報 特開2008−174674号公報 特開2007−143525号公報 特開2012−180468号公報
上述のように、従来から試みられているように中和剤として水酸化カルシウムなどを用いて使用済みのフライ油を処理することによってフライ油の酸価を低下させて、ある程度フライ油をリフレッシュさせることは可能であった。しかし、かかる従来の方法では、反応速度が遅く中和処理に長時間を要したり、製造コストの高いものとなるという問題があった。さらに、中和剤として固体粉末である水酸化カルシウムなどを用いるため、中和処理のあとにろ過などによってこれらの固形分を除去する必要があるが、濾過に際して濾材への中和剤の固形分の目詰まりが激しく濾過効率が悪くなったり、或いは固形分が十分に除去しきれず、処理後のリフレッシュ油ににごりが出たり沈殿物が発生する、という問題があった。
従って、本発明は、このような使用済みのフライ油を、より低コストで簡便な方法でリフレッシュ処理を行い、再使用することのできるような良好な品質のフライ油を得ることのできる使用済みフライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置を提供することを目的とするものである。
かかる現状に鑑みて、本発明者は、より低コストで簡単に使用済みのフライ油をリフレシュする方法について鋭意検討の結果、使用済みのフライ油を中和処理する際にインラインホモジナイザーと液中噴射ノズルの組み合わせという乳化分散方式を採用するとともに、更に、中和処理したフライ油からの中和剤等の不溶固形分の除去に遠心分離方式を採用することによってこの問題を解決することができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とする発明である。
(1)内部に1又は2以上の液中噴射ノズルを設けた中和槽に使用済みフライ油を導入するとともに所定量の中和剤を加え、この中和剤を含んだ使用済みフライ油を外部の循環配管の途中に設けたインラインホモジナイザーを経由して中和槽に循環流通させ、この循環してきたフライ油を液中噴射ノズルを通して中和槽内の使用済みフライ油の液中に噴出させることによって中和処理を行い、次いで、この中和処理済みのフライ油を遠心分離式固形分除去装置に導入して固形物を除去することを特徴とする、使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(2)中和剤が水酸化カルシウムであることを特徴とする前記(1)に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(3)中和剤が、その粒径が150μm以下の微粉末状の水酸化カルシウムが主成分であることを特徴とする前記(2)に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(4)中和剤の水酸化カルシウムの添加量が、使用済みフライ油の酸価(AV)に対して当量比として0.7〜2.0であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(5)インラインホモジナイザーが、円筒状の本体の内部を通過する液体をせん断するための多数の突起状の構造物を配置した構造の固定式インラインホモジナイザー、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間に液体を通過させる構造の動力式インラインホモジナイザーのいずれかであることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(6)液中噴射ノズルが、中心部に駆動用液体吐出ノズルとその先に周囲から液体を吸引して噴出するディフューザーとを備えた構造からなり、中和槽の外部を循環するフライ油を該液中噴射ノズルの駆動用液体吐出口を通してディフューザー内に噴出させ、周囲から吸引した中和槽内の使用済みフライ油と混合接触させるものである、前記(1)ないし(5)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(7)中和槽での反応温度が110〜160℃であることを特徴とする(1)ないし(6)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
(8)内部に液中噴射ノズルを設けた中和槽と、循環ポンプを介して中和槽の内部の使用済みフライ油を循環させる液循環配管と、循環ポンプの出口側の液循環配管の途中に設けたインラインホモジナイザーとからなる中和処理装置と、その後の工程に設けた中和処理済みのフライ油から固形分を除去する遠心分離式固形分除去装置と、該中和処理装置と遠心分離式固形分除去装置とをつなぐ接続配管とを必須の構成要素とする使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
(9)液中噴射ノズルが、中心部に駆動用液体吐出ノズルとその先に周囲から液体を吸引して噴出するディフューザーとを備えた構造からなり、液循環配管とインラインホモジナイザーを通った循環液を駆動用液体接続口から駆動用液体吐ノズルに噴出させるものであることを特徴とする前記(8)に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
(10)液中噴射ノズルが、中和槽内に導入された使用済みフライ油の液面下であって、液面から測定して、液面から中和槽の底部までの距離の1/4〜1/2の位置に設置されていることを特徴とする前記(8)又は(9)に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
(11)インラインホモジナイザーが、円筒状の本体の内部を通過する液体をせん断するための多数の突起状の構造物を配置した構造の固定式インラインホモジナイザー、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間を液体を通過させる構造の動力式インラインホモジナイザーのいずれかであることを特徴とする、前記(8)ないし(10)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
(12)遠心分離式固形分除去装置が、竪型のバスケット型遠心分離機であることを特徴とする前記(8)ないし(11)のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法及び装置を使用することによって、揚げ物等の調理に繰り返し使用して酸価の高くなった使用済みのフライ油を効率よく中和処理して低い酸価のリフレッシュ油として回収し、再使用することができる。或いは、フライヤー等で揚げ物等の調理に使用したフライ油を、その使用の都度一回ごとに本発明の方法及び装置を使用して処理することによって、フライ油の酸化劣化を未然に防止し、この処理をしないものに比べてフライ油の寿命を延ばして良好な品質のままで比較的長期間にわたっての使用が可能になった。
また、本発明の方法及び装置においては、従来の方法では濾過機や充填管の目詰まりの原因になることから使用が困難であった粒径が150μm以下の微粉末状の水酸化カルシウムを中和剤として使用することが可能になり、高い反応速度での中和処理による効率的な酸価の低下が実現出来るようになった。
更に、フライヤーを使用している食品工場においては、本発明の方法及び装置の導入により、フライ油の酸価の上昇に伴う悪臭の発生を低減することができ、製品の品質を安定化することが可能になるばかりでなく、フライ油の交換頻度が少なくなり、コスト低減を図ることができる。また、従来フライ油中に生ずる不溶固形分の除去に使用していた高価な精密濾材も使用する必要がなくなり、コスト低減が可能になる。
本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法とリフレッシュ装置を示すフロー図である。 バスケット型遠心分離機の一例を示す図である。 バスケット型遠心分離機の改良型の一例を示す図である。 中和温度を変えた場合の酸価の値を示すグラフである。 中和処理時間による酸価の値を示すグラフである。
本発明は、液中噴射ノズルを備えた中和槽において、中和剤を加えた使用済みのフライ油を外部の配管を通して循環させ、この循環配管の途中でインラインホモジナイザーを通して撹拌混合を行わしめ、更にこれを液中噴射ノズルの駆動液として用いて液中噴射ノズルから中和槽内に噴出させて、中和槽内の使用済みフライ油と混合撹拌させて急速に中和反応を進行させ、次に、得られた中和剤を含む処理済みのフライ油から遠心分離によって残存する中和剤その他の固形分を分離除去して、酸価の低下した、液ににごりや沈殿物の発生の少ない良好なリフレッシュ油を得ることを特徴とする使用済みフライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置である。
以下に、本発明の方法及び装置について図面を用いて更に詳しく説明する。
本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置の全体のフロー図を図1に示す。
食品製造工場や飲食店においては、揚げ物食品を作るに際して様々なタイプのフライヤーを使用しており、ここで繰り返してフライ油を用いて揚げ物食品を製造し、フライ油の酸価が一定の値に達した段階で新しいフライ油との交換を行っている。一般的にはフライ油の酸価が3を越えたら新油と交換するとされており、3〜4日に1回のフライ油の交換が必要となる。この交換で発生する使用済みのフライ油は、まず、最初に篩式の濾過器2で食品くず等の粗大固形物を除去し、その後本発明の方法によるリフレッシュ処理を行うことが望ましい。
本発明の方法及び装置においては、まず中和槽3に使用済みフライ油を導入し、所定量の中和剤を加えて、中和剤を混合した使用済みフライ油とする。この中和剤と使用済みフライ油の混合液を循環ポンプ6によって循環配管7を通して、その途中でインラインホモジナイザー5を通過させ、中和槽3の内部に取り付けた液中噴射ノズル4を通して再び中和槽3に循環させる。この中和剤と使用済みフライ油の混合液が循環して流通する際にインラインホモジナーザー5の内部と液中噴射ノズル4の噴射口付近で激しい撹拌混合作用がおこり、中和剤と使用済みフライ油とが十分に接触することとなり、高い反応速度での良好な中和反応が実現することができる。
この中和槽3は、その内部の内容物液に浸漬する状態で液中噴射ノズル4が備えられている。中和槽3の中の中和剤と使用済みフライ油の混合液が中和槽3の外部の循環配管7を通して循環して、液中噴射ノズル4の駆動用液体接続口に供給される。循環してきた中和剤と使用済みフライ油の混合物が液中噴射ノズル4の駆動用液体吐出ノズルからそのディフューザー部に向けて噴出され、その際に液中噴射ノズル4の槽内液吸入口から中和槽内に存在している中和剤を含んだ使用済みフライ油を吸引し、これらがディフューザーの内部において激しい撹拌混合作用を受けて混じり合いその結果使用済みフライ油の中和反応が急速に進行する。
中和槽3は、その底部が円錐型または半球型の底板を有する反応槽が好ましい。この中和槽3の内部の使用済みフライ油の液面下に、液面から測定して、液面から中和槽の底部までの距離の1/4〜1/2の位置、好ましくは1/3の位置に、中和槽の大きさと液量により1個又は2個以上の液中噴射ノズル3を取り付ける。処理する液量が多い場合には、横置円筒型の形状のものとし、液面下の同じ位置に2以上の複数の液中噴射ノズル3を備えてもよい。

液中噴射ノズル3は、循環液配管7と接続する駆動用液体接続口と駆動用液体吐出ノズルと槽内液吸入口とデフューザーとから構成されている。循環ポンプ6の駆動力により液循環配管7を通って送られてきた中和剤と使用済みフライ油の混合物が駆動用液体接続口に供給される。この中和剤と使用済みフライ油の混合液は駆動用液体吐出ノズルから高速でデフューザーの中に噴出する。この時に、駆動用液体吐出ノズルから高速で吐出された液体は、その周囲にある中和槽内の中和剤と使用済み食用油の混合液を液中噴射ノズル3の槽内液吸入口から吸い込みながらデフューザーの中に噴出され、デフューザーの中で両方の液体が激しく撹拌混合される。
この液中噴射ノズル3は、使用する反応槽の大きさによって、駆動用の液体と吸入された液体の両方を合わせた総噴射量によって最適なものを選択する。この場合、駆動用液体の液量の4倍前後の量の液体を周囲から吸引することができるので、総噴射量は駆動用液体の吐出量の5倍前後の値となる。このような液中噴射ノズルの市販のものとしては、例えば、商品名「タンクミキシング・エダクター」(スプレーイングシステムズ ジャパン株式会社製)などが挙げられる。
インラインホモジナイザー5は、混合液をポンプ圧により特殊な構造体の中を通過させて、複数の液体粒子及び微細な固体粒子を破砕・微粒化混合するタイプ、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間を通過させて、複数の液体粒子及び微細な固体粒子を破砕・微粒化混合するタイプがあり、配管の途中に挿入する形で設置する連続式インライン乳化・分散装置である。より具体的には、円筒状の本体の内部に通過する液体をせん断するための多数の突起状の構造物を配置した構造の固定式インラインホモジナイザー、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間を液体を通過させて液体を破砕混合する構造の動力式インラインホモジナイザーである。前者の例としては、商品名「OHRミキサー」(株式会社流体工学研究所製)などが、後者の例としては、商品名「オートミクサー」(特殊機化工業株式会社製)などが挙げられる。
中和剤と使用済みフライ油の混合液の外部の循環配管7を通る循環量は、中和槽3内の混合液が反応時間内に少なくとも2回、好ましくは4〜5回循環して入れ替わるような循環量であることが好ましい。また、循環ポンプ6の出口ではその圧力が0.2MPa以上、好ましくは0.25〜0.35MPaであることが好ましい。
このような循環液量で中和剤と使用済みフライ油の混合物を循環させることにより、中和槽内部においてこの循環液量の3〜6倍、好ましくは5倍前後の混合物が液中噴射ノズル3によって中和槽3内に噴出されて、混合物全体の十分な撹拌混合が達成される。
本発明において、中和剤として使用することができるものは、酸化劣化して酸価の上昇した使用済みフライ油を中和して酸価を低下させるためのアルカリ性物質であるが、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウムなどが使用できる。これらの中でも、比較的廉価であり、食品添加物としても使用されている水酸化カルシウムが好ましく、更に粒径が150μm以下の微粉末状の水酸化カルシウムが特に好ましい。
中和剤の使用量は、処理対象となる使用済みフライ油の酸化劣化の程度によって適切な量を使用する必要がある。使用済みフライ油を中和し、酸価を低下させるというためだけであれば中和剤の使用量が多いほど良いが、処理後の残存中和剤や固形物の除去の負担が大きくなるので、中和効率と経済性とのバランスからの最適な使用量がある。本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法及び装置においては、使用済みフライ油の量とその酸価の値から算出される化学当量がほぼ中和剤の化学当量となる量で使用される。中和剤が水酸化カルシウムの場合には、中和剤/フライ油の酸価の当量比が0.7〜2.0の範囲、好ましくは0.9〜1.5の範囲で水酸化カルシウムを添加することによって良好な中和処理を行なうことができる。
中和槽3での中和処理の温度は110℃〜160℃の範囲であり、130℃〜150℃がより好ましい。110℃未満では中和反応の進行が遅く効率的でない。また、中和処理時間は30分〜60分とすることが好ましい。
中和処理の終わったフライ油は、未反応中和剤や使用済みフライ油の中に混入していた微細な不溶固形物、沈降性の中和生成物を含んでいるので、これらの固形物を分離除去するために、インラインミキサー5の出口側で分岐する移送配管8を通って遠心分離式固形分除去装置9に送られ、ここで遠心分離によって残存ずる中和剤やその他の固形物を分離除去する。
遠心分離式固形分除去装置9としては、再生油受槽10を具備したバスケット回転型遠心分離機が好ましい。バスケット回転型遠心分離機とは、高速で回転する金属製バスケット内に、前記中和物を供給し、不溶固形成分をバスケットの内壁に沈降分離させて、連続的に清浄油を排出する遠心分離機である。
このようなバスケット回転型遠心分離機としては、例えば、図2に示した構造をしたマイクロセパレーター(東都セパレーター工業株式会社製)等があり、これは簡易型で、運転やメンテナンスが容易な点で望ましい。このバスケット回転型遠心分離機は、本体カバー内にバスケット型回転体が設けられており、型式に応じて1,500〜2,400rpmの間の一定速度で回転する装置である。バスケット型回転体内に供給されてきた中和処理液は、遠心力により、成分の比重差に応じた分離が行われ、不溶固形成分等は、バスケット型回転体の内壁に付着する。バスケット型回転体の内部には、整流板と共に本体カバーの蓋に取り付けられて固定された再生油の排出ノズルが適正配置されており、そのノズルからリフレッシュ油が、リフレッシュ油受槽10に連続的に排出される。
バスケット回転型遠心分離機では、バスケット型回転体の内壁に付着・分離された不溶固形成分は、運転終了後、上部の蓋を開けて、ヘラ等の掻き取器で除去する。蓋は、本体カバーにヒンジで取り付けられており、開けやすいように、耐熱ホースを使用して、中和処理油供給配管及びリフレッシュ油排出配管に接続されている。
遠心分離式固形分除去装置9から連続的に排出されるリフレッシュ油は、リフレッシュ油受槽10に溜まり、同受槽内の液面レベルスイッチの作動に従って作動するリフレッシュ油移送ポンプにより、断続的にリフレッシュ油タンク11に送油される。遠心分離式固形分除去装置9の停止後、上部の蓋を開けて、付属のヘラ等を使用して、回転バスケットの内面に付着した不溶固形分等を除去する。
前記バスケット回転型遠心分離機の改良型代替品として、図3に示した構造をした全自動マイクロセパレーター(東都セパレーター工業株式会社製)等がある。バスケット内で分離された不溶固形分等が、自動的に間欠排出が出来る構造になっており、機器価格は高くなるが、不溶固形分が多い場合や、手動による不溶固形分除去作業を避けたい場合に使用するものとして望ましい。
この遠心分離式固形成分除去装置9にかける中和処理液の温度は60℃以上、好ましくは80℃〜110℃の範囲である。60℃未満の温度では処理する液体の粘度が高くなり固形分の分離性が悪くなる。
この遠心分離式固形成分除去装置9によって不溶固形分を除去した中和処理済みのリフレッシュ油は、ろ過方式によって不溶固形分を除去したものに比べて長期間保存した場合にも濁りや沈降物の発生が少なく、液の外観に透明感のある良好なリフレッシュ油が得られる。これは、本発明の方法によれば、従来のろ過方式では通過してしまうような微細な固形成分をも十分に除去することができるためと思われる。
本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法としては、図1のフロー図において、フライヤー1にて揚げ物等の製造を繰り返して行い、繰り返しの使用によってフライ油の酸価が3程度まで上昇したものを中和処理装置と遠心分離式固形分除去装置とからなる本発明の装置によってリフレッシュ処理を行いリフレッシュ油として回収する方法と、フライヤー1にて揚げ物等の製造を行う際に1回毎にその都度中和処理装置と遠心分離式固形分除去装置からなる本発明の装置によってリフレッシュ処理を行いリフレッシュ油とする方法とがある。
前者の方法の場合には、繰り返して使用したものであるため、使用済みフライ油の酸化劣化が進んでおり、本発明の方法によって処理することによりAV値が0.5〜0.8程度に低下したものを得ることができるが、このものは比較的にごりが出たり沈殿物が発生しやすい。これに対して、後者の方法の場合には、まだ酸化劣化があまり進んでいない状態であるので、この使用済みフライ油(AV値が0.6程度)をその都度本発明の方法によって処理するため、処理して得られたリフレッシュ油の酸化劣化の進行が抑制される。そのため繰り返し使用してもフライ油のAV値の上昇も少なく、フライ油を比較的長期間にわたって使用することができる。
また、前者の方法の場合には、フライヤーを設置している工場内余裕スペースの大小、日々の設備運営や生産及びメンテナンス作業工程、設備投資額等を考慮して、中和槽3に使用済みフライ油を連続的に一定量づつ流入させつつ一定量づつ抜き出す連続処理方式と、中和槽3に使用済みフライ油を全量受け入れて中和反応を行うバッチ処理方式(回分処理方式)のいずれかを選択することが出来る。
本発明の方法では、フライヤー等から発生した使用済みフライ油を中和槽3に導入する前に、まず篩式濾過器2を通して粗大サイズの揚げ物かすやその他の汚れ物質を除去することが好ましい。篩式濾過器2は、篩面に粒子径が50μm以上の固形分を捕捉するような不織布濾材を敷いたものである。ここで粗大固形分の除去を行うことで、中和槽3での処理負担が軽減され、中和剤の使用量が削減できたり、中和処理の時間を短縮することができる。
(1)中和処理温度の影響の検討
本発明の方法における中和処理温度の影響を調べるために、本発明におけるインラインホモジナイザーと液中噴射ノズルとを用いた中和処理装置に近似した中和処理装置として、強力なせん断撹拌作用が得られる実験室用のホモミキサー(商品名:TKホモミクサー MARKII、特殊機化工業株式会社製)を用いて、使用済みフライ油の中和処理における処理温度の影響を調べた。
フライ油としては酸価(AV)が2.83の使用済みフライ油を用い、これに中和剤として粒径が150μm以下を主成分とする粉末状水酸化カルシウムを用い、これを使用済みフライ油に対する化学当量の2.9倍(Ca/AV=2.9)になる大過剰で添加して、ホモミキサーで毎分4,000回転で30分間中和処理を行った。中和処理した後、定量分析用濾紙No.5Cで濾過した。この条件で処理温度を種々変えて中和処理を行い、濾過後のフライ油のAV値を測定した。 その結果を表1と図4に示す。
Figure 0006114092
この結果からわかるように、処理温度が100℃ではまだAV値が2.71、AV低減率が4%で反応速度が遅く、110℃でもAV値が1.20、AV低減率が58%で、まだ十分には中和反応が進行していない。これらの結果から中和処理の温度としては110℃以上が必要であり、130℃〜150℃の処理温度が好ましい。
(2)中和処理時間の影響の検討
本発明の方法における中和処理時間の影響を調べるために、上記(1)と同じホモミキサーを使用した中和処理装置を用いて、使用済みフライ油の中和処理における処理時間の影響を調べた。
フライ油としては酸価(AV)が1.52の使用済みフライ油を用い、これに水酸化カルシウムとして、(1)と同じ粉末状水酸化カルシウムを化学当量が0.66、0.94及び1.42の割合で添加したものについて、処理温度150℃で120分間中和処理を行い、途中の15分、30分、60分及び中和処理の終了時(120分)にそれぞれサンプルを採取し、定量分析用濾紙No.5Cで濾過し、AV値を測定した。ホモミキサーは毎分4,000回転で使用した。
その結果を表2、表3と図5に示す。
Figure 0006114092
Figure 0006114092
中和剤の水酸化カルシウムの添加量がいずれの場合であっても、中和処理時間が30分までにはAV値が最低値になり、それ以上処理時間を長くしてもAV値に変化が見られなかった。従って、本発明の装置の場合には中和処理の時間は30分程度で充分であることが分かった。
(3)中和処理方式の相違による影響の検討
中和処理方式の相違による影響を調べるために、インラインホモジナイザーと液中噴射ノズルとからなる本発明の中和処理装置を用いた中和処理と、プロペラ撹拌方式による中和処理装置を用いた中和処理について、AV値の低下の程度及び処理後の長期間保存した場合のフライ油の外観評価を行った。
ここで使用した本発明の中和処理装置は、図1のフロー図に示すように、中和槽3と液循環用ポンプ6、液循環配管7、液循環用ポンプ6の出口側の液循環配管に設置されたインラインホモジナイザー5から構成されている。中和槽3としては、400mmφ×362mmH、容量45Lのステンレス製容器を用い、液の加熱は投げ込み式電気ヒーターを用いた。この中和槽3の内部に液中噴射ノズル4を取り付けた。この液中噴射ノズル4は、中和槽3の液面下で液面から1/3の位置になるように、液循環配管7の先端を液中噴射ノズル4の駆動用液体接続口に接続した。液中噴射ノズル4は、液中噴射ノズル1/4MEJX(株式会社いけうち製)を用いた。インラインホモジナイザー5は、内部に多数の突起状の構造物を配置した固定式インラインホモジナイザー(商品名:OHRラインミキサーMX−8、株式会社OHR流体工学研究所製)を使用した。
また、プロペラ撹拌式中和処理装置としては、中和槽として400mmφ×362mmH、容量45Lのステンレス製容器を用い、液の加熱は投げ込み式電気ヒーターを用いた。これに直径70mmの4本の羽根からなるプロペラ撹拌機を取り付け、回転数700rpmで使用した。
フライ油としては、揚げ物の調理に使用してAV値が1.52に上昇した使用済みフライ油を用いた。また、中和剤としては、粉末状水酸化カルシウム(食品添加物用消石灰、粉末度残分:600μm全通、150μm0.6%、足立石灰工業株式会社製)を用いた。これを使用済みフライ油に対する化学当量(Ca/AV)が0.7、0.9(又は0.95)及び1.4の割合となるように添加して試験液とした。
本発明の中和処理装置の場合には、中和槽3に上記の使用済みフライ油32Lを仕込み、所定量の水酸化カルシウムを加えて、投げ込みヒーターによってフライ油を150℃まで加熱しつつ液循環用ポンプ6によって仕込んだ使用済みフライ油と中和剤の混合液を1.6L/分の流速で液循環配管7を通って循環させた。この時のインラインホモジナイザー5中を通過する際の混合液の流速は20m/分であった。インラインホモジナイザー5を通った混合液は液中噴射ノズル4に入り、中和槽3の中の混合液中に噴出され、この状態で混合液の循環を続けて150℃の温度で中和処理を行った。この中和処理開始から15分、30分、60分及び120分経過した時にサンプルを採取した。
プロペラ撹拌式中和処理装置の場合には、中和槽に上記の使用済みフライ油32Lを仕込み、所定量の水酸化カルシウムを加えて、プロペラ式攪拌機で回転数700rpmで撹拌しつつ投げ込みヒーターによってフライ油を150℃まで加熱し、引き続きこの条件で撹拌を続けて中和処理を行った。この中和処理開始から30分、60分及び120分経過した時にサンプルを採取した。
採取したすべてのサンプルを定量分析用濾紙No.5Cを用いた減圧濾過装置で濾過した。濾過後のすべての試験液のAV値を測定するとともに、このリフレッシュ処理後に室温で長期間保存した場合のフライ油の外観評価を行った。外観評価は、次の方法によって各サンプルの外観濁度と沈降物量を評価した。
外観濁度は、サンプルを100mLの透明な円筒形ガラス瓶に入れ、これを光にかざし目視観察により次の基準で評価した。
1:透明(Clear)
2:半透明(Slight Hazy)
3:濁りあり(Hazy)
4:ひどい濁りあり(Heavy Hazy)
沈降物の量は、100mLの透明な円筒形ガラス瓶に入れたサンプルを室内で常温で保存し、一定期間ごとに沈降物に発生状況を目視で観察し、次の基準で評価した。
0: 沈降物が全くない(No Sediment)
Tr:わずかに沈降物がある(Trace Sediment)
1: 少量の沈降物がある(Slight Sediment)
2: 底部に1mm以下の沈降物が認められる(Little Sediment)
3: 底部に5mm以下の沈降物がある(Moderate Sediment)
4: 底部に5mm以上の沈降物がある(Heavy Sediment)
これらの結果を表4に示す。表4において、外観評価の結果の記載欄の数値(A/B)は、Aが上記の外観濁度の評価結果を示し、Bが沈降物の量の評価結果を示す。評価結果が1/0、又は1/Trのものは外観評価が良好で経日安定性が良いということができる。
この外観評価の結果の記載方法は、表5以降の表においても同じである。
Figure 0006114092
この結果から、本発明の中和処理装置を用いた場合もプロペラ撹拌式中和処理装置を用いた場合も、到達するAV値の低下の程度はあまり相違がないが、前者の場合には約15分でほぼAV値が一定の値になったのに対して、後者の場合は約30分でほぼAV値が一定の値になった。また、外観評価の結果は、例えばCa/AVが0.9(又は0.95)の場合で比較すると、本発明の中和処理装置を用いた場合には、処理時間が30分の場合で、3日後でも外観が透明で沈降物は発生しておらず1週間後になって外観濁度が半透明になる程度で、沈降物も発生しなかったのに対して、プロペラ撹拌式中和処理装置を用いた場合には、同じく処理時間が30分の場合で、0日では外観が半透明で1週間後には濁りが発生し、かなりの量の沈降物が発生する状態になった。また、処理時間が60分の場合には、前者(本発明)では4週間経過しても外観が透明で沈降物も発生しないか、発生してもごくわずかであったが、後者(プロペラ方式)では、1週間後には濁りが生じて、沈降物も認められた。
これらの結果から、本発明の中和処理装置を用いた場合には、中和反応が早く進行し比較的短時間でAV値が低下するとともに、濾過後のフライ油が長期間保存しても液の濁りが生じたり、沈降物が発生することがないことがわかる。
(4)繰り返し使用した使用済みフライ油での検討
繰り返し使用してAV値の高い値となった使用済みフライ油について、前記(3)に記載した本発明の中和処理装置を用いて中和処理を行い、中和処理を終了した試験液を固形分除去装置にかけて不溶性の固形分を除去して、リフレッシュしたフライ油を得た。固形分除去装置としては、本発明の竪型バスケット型遠心分離機、減圧濾過装置又は加圧濾過装置のいずれかを用いた。
ここで、本発明の遠心分離装置としては、竪型バスケット型遠心分離機(商品名:マイクロセパレーターTSK51NH型、東都セパレーター工業株式会社製)を使用し、回転数2,000rpmで約80℃で遠心分離処理を行った。
減圧濾過装置は、濾材として90mmφの定量用ろ紙N05C(保留粒子径1μm)を使用し、実験室用減圧濾過機によって真空ポンプで10KPa(abs)に減圧して約100mLを約80℃で濾過した。また、加圧濾過装置は、濾材として90mmφの定量用ろ紙N05C(保留粒子径1μm)を使用し、実験室用加圧濾過機によってポンプで290KPa(abs)に加圧して約100mLを約80℃で濾過した。
試験に供するフライ油としては、繰り返して揚げ物食品の製造に使用してAV値が2.40及び3.25というように高くなった使用済みフライ油を用いた。これに中和剤として上記(3)と同じ粒径が150μm以下を主成分とする粉末状水酸化カルシウムを用い、これを使用済みフライ油に対する化学当量の0.9(Ca/AV=0.9)になる割合で添加して、上記の中和処理装置と固形分除去装置のいずれかの組合わせによって、中和処理時間が30分、60分及び120分のそれぞれについて使用済みフライ油のリフレッシュ処理を行った。リフレッシュ処理後のそれぞれの試験液のAV値を測定し、(3)と同じ方法と評価基準によって試験液の濁りの発生程度と室温で長期間保存した場合の沈降物の発生状況を調べて、これらの試験液の外観評価を行った。これらの結果を表5に示す。
Figure 0006114092
この結果からわかるように、中和処理装置としてインラインホモジナイザーと液中噴射ノズルを用い、固形分除去装置として遠心分離機を用いた本発明の方法で処理した場合は、AV値が2.40と3.25のいずれの場合であっても、また、処理時間が30分、60分及び120分のいずれであっても、AV値低減率が75%以上となり良好な中和処理を行うことができた。更に、これらの場合には、固形分を遠心分離機によって除去した後の処理液を4週間にわたって長期間保存してもその外観は透明であり、沈降物もまったく発生しないか、またはわずかな沈降物が認められる程度であった。これに対して、同じインラインホモジナイザーと液中噴射ノズルとからなる中和処理装置を用いた場合であっても、固形分除去装置として減圧濾過装置又は加圧濾過装置を用いた場合には、中和処理は同程度に達成することができたが、処理液の外観は3日目に濁りが発生し、3日目から沈降物が発生するという状態であった。
即ち、中和処理装置としてインラインホモジナイザーと液中噴射ノズルを用い、固形分除去装置として遠心分離機を用いた場合にはじめて、単に使用済みフライ油の中和処理が良好に行われるだけでなく、処理後のフライ油が液の濁りや沈降物の発生がなく良好なものが得られることが分かった。
(5)AV値のあまり高くない使用済みフライ油での検討
1〜2回の使用でAV値のあまり高くない使用済みフライ油について、インラインホモジナイザーと液中噴射ノズルとからなる中和処理装置とバスケット型遠心分離機からなる本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ装置を用いて同様の検討を行った。
フライ油としてAV値が0.61の使用済みフライ油を用い、これに中和剤として粒径が150μm以下を主成分とする粉末状水酸化カルシウムを用い、これを使用済みフライ油に対する化学当量(Ca/AV)が0.9、1.2及び2.0となる割合で添加して試験液とした。
これらの中和剤を添加した使用済みフライ油を、上記の(3)で使用した中和処理装置及び(4)で使用した竪型バスケット型遠心分離機からなる本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ装置によって、150℃の温度で、それぞれ30分間、60分間又は120分間の間中和処理を行い、次いで中和処理終了後、これらの試験液を回転数2000rpmで80℃でバスケット型遠心分離機にかけて、残存する中和剤やその他の不溶性の固形分を除去した。
遠心分離後のこれらの試験液のAV値を測定するとともに、(3)と同じの方法と評価基準によって試験液の濁りの発生程度と長期間室温で保存した場合の沈降物の発生状況を調べて、これらの試験液の外観評価を行った。これらの結果を表6に示す。
Figure 0006114092
この結果から、処理前にAV値が0.6であった使用済みフライ油についても30分程度の本発明の方法によるリフレッシュ処理によって処理後のAV値が0.5〜0.6なり、その外観は透明で液の濁りの発生はなく、4週間以上の長期間室温に保存しても沈降物もまったく生じないことが分かった。従って、揚げ物食品の製造に1〜2回使用したAV値が0.6程度のフライ油も、その都度本発明の方法によってリフレッシュ処理することによって、安定した品質で長期間使用することのできるフライ油にリフレッシュすることができる。
また、このようなAV値のあまり高くない使用済みフライ油の場合であっても、更に長い時間をかけた中和処理からなる本発明のリフレッシュ処理を行い、或いはCa/AV値が2.0程度まで中和剤の添加量を増やすことによって、AV値を0.3以下のような低い値まで下げることも可能である。
本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法及び装置を使用することによって、過度な酸化劣化を受けることなくフライ油を長い期間にわたって使用することができ、或いは繰り返し使用してAV値の高くなった使用済みフライ油をリフレッシュすることができる。従って、さまざまな揚げ物食品の製造工場や飲食店などで揚げ物食品を作る際に、フライ油を繰り返して使用するために本発明の使用済みフライ油のリフレッシュ方法及びリフレッシュ装置が有用である。
1.フライヤー
2.篩式濾過機
3.中和槽
4.液中噴射ノズル
5.インラインホモジナイザー
6.液循環ポンプ
7.液循環配管
8.液移送配管
9.固形分除去装置
10.リフレッシュ油受槽
11.リフレッシュ油タンク

Claims (12)

  1. 内部に1又は2以上の液中噴射ノズルを設けた中和槽に使用済みフライ油を導入するとともに所定量の中和剤を加え、この中和剤を含んだ使用済みフライ油を外部の循環配管の途中に設けたインラインホモジナイザーを経由して中和槽に循環流通させ、この循環してきたフライ油を液中噴射ノズルを通して中和槽内の使用済みフライ油の液中に噴出させることによって中和処理を行い、次いで、この中和処理済みのフライ油を遠心分離式固形分除去装置に導入して固形物を除去することを特徴とする、使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  2. 中和剤が水酸化カルシウムであることを特徴とする請求項1に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  3. 中和剤が、その粒径が150μm以下の微粉末状の水酸化カルシウムが主成分であることを特徴とする請求項2に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  4. 中和剤の水酸化カルシウムの添加量が、使用済みフライ油の酸価(AV)に対して当量比として0.7〜2.0であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  5. インラインホモジナイザーが、円筒状の本体の内部を通過する液体をせん断するための多数の突起状の構造物を配置した構造の固定式インラインホモジナイザー、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間を液体を通過させる構造の動力式インラインホモジナイザーのいずれかであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  6. 液中噴射ノズルが、中心部に駆動用液体吐出ノズルとその先に周囲から液体を吸引して噴出するディフューザーとを備えた構造からなり、中和槽の外部を循環するフライ油を該液中噴射ノズルの駆動用液体吐出口を通してディフューザー内に噴出させ、周囲から吸引した中和槽内の使用済みフライ油と混合接触させるものである、請求項1ないし5のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  7. 中和槽での反応温度が110〜160℃であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ方法。
  8. 内部に液中噴射ノズルを設けた中和槽と、循環ポンプを介して中和槽の内部の使用済みフライ油を循環させる液循環配管と、循環ポンプの出口側の液循環配管の途中に設けたインラインホモジナイザーとからなる中和処理装置と、その後の工程に設けた中和処理済みのフライ油から固形分を分離する遠心分離式固形分除去装置と、該中和処理装置と遠心分離式固形分除去装置とをつなぐ接続配管とを必須の構成要素とする使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
  9. 液中噴射ノズルが、中心部に駆動用液体吐ノズルとその先に周囲から液体を吸引して噴出するディフューザーとを備えた構造からなり、液循環配管とインラインホモジナイザーを通った循環液を駆動用液体接続口から駆動用液体吐ノズルに噴出させるものであることを特徴とする請求項8に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
  10. 液中噴射ノズルが、中和槽内に導入された使用済みフライ油の液面下であって、液面から測定して、液面から中和槽の底部までの距離の1/4〜1/2の位置に設置されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
  11. インラインホモジナイザーが、円筒状の本体の内部を通過する液体をせん断するための多数の突起状の構造物を配置した構造の固定式インラインホモジナイザー、又は動力により高速で回転するローターとステーターの間を液体を通過させる構造の動力式インラインホモジナイザーのいずれかであることを特徴とする、請求項8ないし10のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
  12. 遠心分離式固形分除去装置が、竪型のバスケット型遠心分離機であることを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の使用済みフライ油のリフレッシュ装置。
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