以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳述する。図1〜図7は本発明をパチンコ機に採用した第1の実施形態を例示している。図1において、遊技機本体1は、矩形状の外枠2と、この外枠2の前側に開閉自在に枢着された前枠3とを備えている。前枠3の前側には、ガラス扉4と前面板5とが上下に配置され、前枠3に開閉自在に枢支されている。前面板5には、その前側に、発射手段(図示省略)に供給するための遊技球を貯留する貯留皿6、発射手段を作動させるための発射ハンドル7等が設けられている。
ガラス扉4の後側には、図2に示す遊技盤11が前枠3に対して例えば前側から着脱自在に装着されている。遊技盤11の前面側には、発射手段から発射された遊技球を案内するガイドレール12が環状に装着されると共に、そのガイドレール12の内側の遊技領域13に、センターケース14、普通図柄始動手段15、特別図柄始動手段16、大入賞手段17、普通入賞手段18等の各種遊技部品が配置されている。
センターケース14には、液晶表示手段21の他、普通図柄表示手段22、特別図柄表示手段23、普通保留個数表示手段24等が設けられている。液晶表示手段21は、普通図柄演出表示手段20、特別図柄演出表示手段25、特別保留個数表示手段26等を構成している。
普通図柄表示手段22は、普通図柄を変動表示するためのもので、例えば「○」「×」の2種類の普通図柄に対応する2個の発光体(例えばLED)により構成されており、通過ゲート等よりなる普通図柄始動手段15が遊技球を検出すること(所定の普通図柄始動条件が成立すること)に基づいてそれら2つの発光体が所定時間交互に点滅して、普通図柄始動手段15による遊技球検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致する場合には当たり態様(所定態様)に対応する「○」側の発光体が発光した状態で、それ以外の場合には外れ態様に対応する「×」側の発光体が発光した状態で、点滅が終了するようになっている。
また、普通図柄表示手段22の変動表示中、又は後述する普通利益状態中に普通図柄始動手段15が遊技球を検出した場合には、その検出時に取得された当たり判定乱数値が予め定められた上限保留個数、例えば4個を限度として記憶されると共に、例えば上限保留個数と同数の発光体よりなる普通保留個数表示手段24がその発光個数により当たり判定乱数値の記憶個数(以下、普通保留個数という)を表示して、その時点での普通保留個数を遊技者に報知するようになっている。
特別図柄始動手段16は、特別図柄表示手段23による図柄変動を開始させるためのもので、上下2つの特別始動口27a,27bと、下特別始動口27bを開閉する開閉手段28とを備え、例えばセンターケース14の下側に配置されている。
上特別始動口27aは、開閉手段等を有しない非作動式入賞手段である。下特別始動口(作動式入球手段)27bは、開閉手段28により遊技球が入賞不可能(又は入賞困難)な閉状態と入賞容易な開状態とに切り換え可能な作動式入賞手段で、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となって普通利益状態が発生したときに、開閉手段28が所定時間、所定回数だけ閉状態から開状態に変化するように構成されている。
特別図柄表示手段23は、1個又は複数個、例えば1個の特別図柄を変動表示可能な7セグメント式等の表示手段により構成されており、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口(特別始動入球手段)27a,27bの何れかに遊技球が入賞することに基づいて特別図柄を所定時間変動表示して、特別始動口27a,27bへの入賞時に取得された大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致する場合には所定の大当たり態様(特定態様)で、それ以外の場合には外れ態様で停止するようになっている。
特別図柄には、例えば大当たり態様及び外れ態様が夫々1又は複数種類ずつ設けられている。なお、それら各態様には夫々数字図柄等を割り当ててもよいし、遊技者がその特別図柄の種類を容易に区別できないように、任意の線や点の組み合わせのような特別な意味を持たない図柄を割り当ててもよい。
また、特別図柄の変動表示中、又は後述する特別利益状態中に特別始動口27a,27bに遊技球が入賞した場合には、その入賞時に取得された大当たり判定乱数値等が夫々所定の上限保留個数、例えば各4個を限度として記憶されると共に、特別保留個数表示手段26が大当たり判定乱数値の記憶個数(以下、特別保留個数という)を表示して、その時点での特別保留個数を遊技者に報知するようになっている。
普通図柄演出表示手段20は、例えば普通図柄表示手段22による普通図柄の変動に関する演出表示を行うもので、1個又は複数個、例えば1個の普通演出図柄を液晶表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することに基づいて、普通図柄の変動開始と同時に、複数種類の普通演出変動パターン(演出態様)の何れかに従って普通演出図柄の変動を開始すると共に、普通図柄の変動停止と同時に最終停止するようになっている。なお、普通図柄演出表示手段20は、普通図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
普通演出図柄には、例えば複数種類のキャラクター図柄が用いられ、それら複数種類のキャラクター図柄のうちの特定キャラクター図柄が当たり態様、その他のキャラクター図柄が外れ態様となっており、例えば普通図柄が当たり態様で停止する場合には普通演出図柄も当たり態様で停止し、普通図柄が外れ態様で停止する場合には普通演出図柄も外れ態様で停止するようになっている。
また本実施形態では、普通演出変動パターン(演出態様)として、例えば正方向に普通速度で変動するノーマル変動パターン、正方向にコマ送りで変動するコマ送り変動パターン、逆方向に普通速度で変動する逆回転変動パターン、発光しながら正方向に変動する発光変動パターン、発光しながら逆方向に変動する発光逆回転変動パターンの5種類が存在するものとする(図5)。
特別図柄演出表示手段25は、例えば特別図柄表示手段23による特別図柄の変動に関する演出表示を行うもので、1個又は複数個、例えば左右方向に3個の特別演出図柄を例えば各種の演出画像と共に液晶表示手段21の表示画面21aに変動表示可能に構成されており、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち上下2つの特別始動口27a,27bの何れかに遊技球が入賞することに基づいて、特別図柄の変動開始と同時に、複数種類の特別演出変動パターンに従って特別演出図柄の変動を開始すると共に、特別図柄の変動停止と同時に最終停止するように、特別演出図柄を左、右、中等の所定の順序で停止させるようになっている。
演出図柄には、例えば「0」〜「9」の10種類の数字図柄が用いられ、「6・6・6」「7・7・7」等、3つの図柄が全て同じ図柄で揃ったものが大当たり態様、少なくとも1つの図柄が異なるものが外れ態様となっており、例えば特別図柄が大当たり態様で停止する場合には特別演出図柄も大当たり態様で停止し、特別図柄が外れ態様で停止する場合には特別演出図柄も外れ態様で停止するようになっている。なお、特別図柄演出表示手段25は、特別図柄の変動内容とは直接関係のない演出を行う場合があってもよい。
特別保留個数表示手段26は、例えば保留表示画像Xの表示個数により特別保留個数を表示するもので、表示画面21a上の所定部分、例えば下部側に特別保留個数分の保留表示画像Xを表示するようになっている。
大入賞手段17は、遊技球が入賞可能な開状態と入賞不可能な閉状態とに切り換え可能な開閉板29を備えた開閉式入賞手段で、特別図柄表示手段23の変動後の特別図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態が発生したときに、開閉板29が所定の開放パターンに従って前側に開放して、その上に落下した遊技球を内部へと入賞させるようになっている。
図3は本パチンコ機の制御系のブロック図である。図3において、31は主制御基板、32は演出制御基板で、これら各制御基板31,32は、遊技盤11に装着されたセンターケース14、その他の複数個の遊技部品を裏側から一括して覆う裏カバーの裏側等、前枠3及び遊技盤11を含む遊技機本体1の裏側の適宜箇所に着脱自在に装着された基板ケースに夫々収納されている。なお、図3では演出制御基板32以外のサブ制御基板、例えば払い出し制御基板、液晶制御基板等については省略している。
主制御基板31は、遊技の進行を統括的に制御するもので、CPU,ROM,RAM等により構成される普通乱数作成処理手段41、普通始動口チェック処理手段42、普通乱数記憶手段43、普通図柄処理手段44、普通利益状態発生手段45、普通図柄表示制御手段46、特別乱数作成処理手段51、特別始動口チェック処理手段52、特別乱数記憶手段53、特別図柄処理手段54、特別利益状態発生手段55、特別図柄表示制御手段56、特別遊技状態発生手段57、コマンド送信手段58等を備えている。
普通乱数作成処理手段41は、変動後の普通図柄を当たり態様とするか否かの判定に用いる当たり判定乱数等を所定時間毎に繰り返し発生するように構成されている。普通始動口チェック処理手段42は、普通図柄始動手段15による遊技球の検出に基づく処理を行うもので、普通図柄始動手段15が遊技球を検出することに基づいて、普通乱数作成処理手段41で作成された当たり判定乱数値を1個取得し、その当たり判定乱数値を予め定められた上限保留個数(例えば4個)を限度として先入れ先出し式の普通乱数記憶手段43に記憶させるように構成されている。
普通図柄処理手段44は、普通図柄の変動表示に関する処理を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に、普通乱数記憶手段43に記憶されている当たり判定乱数値の待ち行列からその先頭の当たり判定乱数値を取り出し、その当たり判定乱数値が予め定められた当たり判定値と一致するか否かに応じて当たり/外れの判定を行う当たり判定機能、当たり/外れの判定結果に基づいて普通図柄の変動後の停止図柄の種類を選択する普通停止図柄選択機能、普通図柄の変動時間を選択する変動時間選択機能等を備えている。本実施形態では、図5に示すように、普通図柄の変動時間として長短2種類が設けられているものとする。
普通利益状態発生手段45は、特別図柄始動手段16の下特別始動口27bを例えば複数種類の開閉パターンの何れかに従って開状態に変化させる普通利益状態を発生させるもので、普通図柄処理手段44による判定結果が当たり判定となり、普通図柄表示手段22の変動後の停止図柄が当たり態様となったときに普通利益状態を発生させるようになっている。
普通図柄表示制御手段46は、普通図柄処理手段44による普通図柄処理に基づいて普通図柄表示手段22の表示制御を行うもので、普通図柄表示手段22が変動表示可能な状態となり且つ普通乱数記憶手段43に1個以上の当たり判定乱数値が記憶されていること(普通保留個数が1以上であること)を条件に普通図柄表示手段22による普通図柄の変動を開始させ、普通図柄処理手段44で選択された長短何れかの変動時間が経過することに基づいて、同じく普通図柄処理手段44で選択された停止図柄で普通図柄の変動を停止させるようになっている。
特別乱数作成処理手段51は、変動後の特別図柄を大当たり態様、外れ態様の何れにするかについての判定に用いる大当たり判定乱数の他、変動後の特別図柄が大当たり態様となる場合の停止図柄の選択に用いる大当たり図柄乱数、変動後の特別図柄が外れ態様となる場合の停止図柄の選択に用いる外れ図柄乱数、特別演出図柄の変動パターン(特別演出変動パターン)の選択に用いる変動パターン乱数、その他の所定の乱数を繰り返し発生する特別乱数作成処理を行うように構成されている。
特別始動口チェック処理手段52は、特別図柄始動手段16への遊技球の入賞に基づく処理を行うもので、特別図柄始動手段16が遊技球を検出すること、即ち特別始動口27a,27bに遊技球が入賞することに基づいて、特別乱数作成処理手段51で作成された大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値を1個ずつ取得し、それら大当たり判定乱数値及び大当たり図柄乱数値(特別図柄変動情報の一例)を予め定められた上限保留個数
(例えば各4個)を限度として先入れ先出し式の特別乱数記憶手段(保留記憶手段)53に記憶させるように構成されている。
特別図柄処理手段54は、特別図柄の変動表示に関する処理を行うもので、特別図柄表示手段23が変動表示可能な状態となり且つ特別乱数記憶手段53に1個以上の大当たり判定乱数値が記憶されていること(特別保留個数が1以上であること)を条件に、特別乱数記憶手段53に記憶されている大当たり判定乱数値の待ち行列からその先頭の大当たり判定乱数値を取り出し、その大当たり判定乱数値が予め定められた大当たり判定値と一致するか否かに応じて大当たり/外れの判定を行う大当たり判定機能、大当たり/外れの判定結果と、特別乱数記憶手段53に大当たり判定乱数値と共に記憶されている大当たり図柄乱数値又は新たに取得された外れ図柄乱数値とに基づいて、特別図柄の変動後の停止図柄を選択する特別停止図柄選択機能、大当たり/外れの判定結果と、新たに取得された変動パターン乱数値とに基づいて、特別演出図柄の変動パターン(特別演出変動パターン)を選択する変動パターン選択機能等を備えている。
特別利益状態発生手段(利益状態発生手段)55は、大入賞手段17を所定の開放パターンに従って開放する特別利益状態を発生させるもので、特別図柄処理手段54による大当たり/外れの判定結果が大当たり判定となり、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動後の停止図柄が大当たり態様となることに基づいて特別利益状態を発生させるようになっている。本実施形態の開放パターンは、大入賞手段17の開放から所定時間(例えば28秒)経過するか、それまでに所定個数(例えば9個)の遊技球が入賞することを条件に大入賞手段17を閉鎖する動作を、所定ラウンド数(例えば15ラウンド)繰り返すように設定されているものとするが、複数種類の開放パターンを設け、例えば大当たり図柄乱数値に基づいてそれらの何れかを選択するように構成してもよい。
特別図柄表示制御手段56は、特別図柄表示手段23の表示制御を行うもので、特別図柄処理手段54による特別図柄処理に基づいて、特別図柄表示手段23による特別図柄の変動を開始させると共に、選択された特別演出変動パターンに対応する変動時間が経過することに基づいて、選択された停止図柄で特別図柄の変動を停止させるようになっている。
特別遊技状態発生手段57は、特別利益状態発生後の所定期間に遊技者に有利な特別遊技状態を発生させるためのもので、例えば特別乱数記憶手段53に記憶された大当たり判定乱数値が大当たり判定値と一致した場合の大当たり図柄乱数値に応じて、時短状態と確変状態との何れかの特別遊技状態を発生させるように構成されている。
時短状態中は、特別図柄に関して特別図柄表示手段23の変動時間が通常変動時間よりも短い短縮変動時間に切り換えられる他、普通図柄に関して、当たり確率が通常確率から高確率へ、変動時間が通常変動時間から短縮変動時間へ、下特別始動口27bの開閉手段28の開閉パターンが通常開閉パターンから延長開閉パターンへ、夫々切り換えられるようになっている。なお、時短状態は、例えば特別利益状態終了後に開始され、その開始後に特別図柄が所定回数(例えば50回)変動するか、それまでに次の特別利益状態が開始された時点で終了するようになっている。
確変状態中は、それ以外の通常確率状態中よりも大当たり判定値の数が例えば1個から10個へ増加されることにより、特別図柄が大当たり態様となる確率が通常確率よりも高い高確率に切り換えられると共に、例えば時短状態と同様の処理も併せて行われるようになっている。なお、確変状態は、例えば特別利益状態終了後に開始され、次の特別利益状態が開始された時点で終了するようになっている。
コマンド送信手段58は、所定の制御コマンドを一方向通信により演出制御基板32等のサブ制御基板側に送信して制御指令を与えるためのもので、普通図柄処理手段44による普通図柄処理に基づいて、普通図柄の変動開始時に、普通図柄の変動時間を指定する普通変動時間コマンド、普通図柄の停止図柄を指定する普通停止図柄指定コマンドをこの順序で演出制御基板32に送信し、普通図柄の変動終了時に普通演出図柄の変動停止を指示する普通図柄変動停止コマンドを演出制御基板32に送信する機能、特別図柄処理手段54による特別図柄処理に基づいて、特別図柄の変動開始時に、特別保留個数の減算を指定する保留減算コマンド(第1特定コマンド)、特別演出変動パターンを指定する特別変動パターンコマンド、特別図柄の停止図柄を指定する特別停止図柄指定コマンドをこの順序で演出制御基板32に送信し、特別図柄の変動終了時に特別演出図柄の変動停止を指示する特別図柄変動停止コマンドを演出制御基板32に送信する機能、特別保留個数の増加時にその増加後の特別保留個数を指定する保留増加コマンドを演出制御基板32に送信する機能、特別図柄表示手段23による図柄変動が終了し且つその時点で特別保留個数が0である場合に客待ちデモコマンド(第2特定コマンド)を演出制御基板32に送信する機能等を備えている。
本実施形態では、図4に示すように、保留増加コマンドは増加後の特別保留個数等(ここでは1〜4個)に応じて複数種類(ここでは4種類)設けられており、また保留減算コマンドについても、減算後の特別保留個数等(ここでは0〜3個)に応じて複数種類(ここでは4種類)設けられているものとする。なお以下の説明では、各4種類の保留減算コマンド(第1特定コマンド)及び保留増加コマンドを増減後の特別保留個数によって区別する場合には、「保留減算コマンド(1→0)」、「保留増加コマンド(0→1)」のように特別保留個数の変化を括弧書きで付記するものとする。
演出制御基板32は、液晶表示手段21、スピーカ61、電飾手段62等の各種演出手段を制御するもので、演出制御手段63、特別保留個数表示制御手段64、特別図柄演出制御手段65、普通図柄演出制御手段66等を備えている。
演出制御手段63は、各種演出手段を制御するもので、液晶表示手段21による画像表示を制御する液晶制御手段63a、スピーカ61からの音声出力を制御する音声制御手段63b、電飾手段62等の発光を制御する発光制御手段63c等を備えている。
特別保留個数表示制御手段64は、液晶制御手段63aを介して特別保留個数表示手段26の表示制御を行うもので、特別図柄始動手段16により新たに遊技球が検出され、主制御基板31から保留増加コマンドを受信したときに、その保留増加コマンドに基づいて、液晶表示手段21の表示画面21a上の所定位置に増加後の特別保留個数分の保留表示画像Xを表示し、例えば主制御基板31から保留減算コマンドを受信することに基づいて、表示中の保留表示画像Xの数を1個減少させて待ち行列の前側にシフトさせるように構成されている。
特別図柄演出制御手段65は、特別図柄演出表示手段25による特別図柄変動に関する演出を制御するもので、主制御基板31から特別変動パターンコマンド及び特別停止図柄指定コマンドを受信した場合に、特別演出図柄の変動後の停止図柄態様、予告演出の種類等を抽選により決定すると共に、特別変動パターンコマンドに対応する特別演出変動パターンに基づいて液晶表示手段21の表示画面21a上で特別演出図柄の変動を開始させ、その後に特別図柄変動停止コマンドを受信したときに、抽選により決定した停止図柄態様で特別演出図柄の変動を停止させるようになっている。
普通図柄演出制御手段66は、普通図柄演出表示手段20による普通図柄変動に関する演出を制御するもので、演出抽選手段66aを備え、主制御基板31から普通変動時間コマンド及び普通停止図柄指定コマンドを受信した場合に、演出抽選手段66aにより普通演出変動パターンを抽選により決定すると共に、その普通演出変動パターンに基づいて液晶表示手段21の表示画面21a上で普通演出図柄の変動を開始させ、その後に普通図柄変動停止コマンドを受信したときに、普通停止図柄指定コマンドで指定された停止図柄態様で普通演出図柄の変動を停止させるようになっている。
以下、演出抽選手段66aによる普通演出変動パターンの抽選処理について説明する。この普通演出変動パターンの抽選処理では、予め設けられた演出抽選テーブルと、主制御基板31から受信した普通変動時間コマンド及び普通停止図柄指定コマンドより得られる当たり/外れの判定結果及び普通図柄の変動時間とに基づいて普通演出変動パターン(演出態様)が選択される。
演出抽選テーブルは、当たり/外れの判定結果及び普通図柄の変動時間毎に各普通演出変動パターンの振り分け率を規定したもので、本実施形態では、図5に示すように遊技中断時用、通常時用の2種類の演出抽選テーブルが設けられており、所定の遊技中断時推定期間中は例えば図5(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルが、所定の通常時推定期間中は例えば図5(b)に示す通常時用演出抽選テーブルが、夫々用いられるようになっている。
図5に示す2種類の演出抽選テーブルでは、正方向に普通速度で変動するノーマル変動パターン、正方向にコマ送りで変動するコマ送り変動パターン、逆方向に普通速度で変動する逆回転変動パターン、発光しながら正方向に変動する発光変動パターン、発光しながら逆方向に変動する発光逆回転変動パターンの5種類の普通演出変動パターンが選択対象となっている。
これら5種類の普通演出変動パターンは、その出現後に普通図柄が当たり態様(所定態様)となる確率(以下、信頼度という)が夫々異なっており、ノーマル変動パターン及びコマ送り変動パターン(低信頼度演出態様)はその他の変動パターンよりも信頼度が低く、発光逆回転変動パターンが最も信頼度が高く、逆回転変動パターン及び発光変動パターンが中程度の信頼度となっている。
図5(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルと、図5(b)に示す通常時用演出抽選テーブルとを比較すると、遊技中断時用演出抽選テーブルでは、信頼度がその他の変動パターンよりも低いノーマル変動パターン及びコマ送り変動パターン(低信頼度演出態様)の振り分け率が、通常時用演出抽選テーブルと比べて低い値(ここでは全て0%)に設定されている。即ち、図5(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルを用いた場合には、信頼度の低いノーマル変動パターンとコマ送り変動パターンは選択されず、比較的信頼度の高い逆回転変動パターン、発光変動パターン、発光逆回転変動パターンの何れかが選択される。
図5(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルが用いられる遊技中断時推定期間は、遊技者が遊技を中断するべく保留を意図的に消化していると推定される期間であって、図6に示すように、例えば演出制御基板32が主制御基板31から保留減算コマンド(1→0)(保留記憶手段に記憶されている残り1つの特別図柄変動情報に基づく特別図柄変動である無保留時特別図柄変動が開始される際に演出制御基板32が主制御基板31から受信する第1特定コマンドの一例)を受信した時点から所定時間(例えば2分)経過するか、保留減算コマンド(1→0)を受信した時点から同コマンドを所定回数(例えば2回)受信した時点で開始されるようになっている。
なお、演出制御基板32が主制御基板31から保留減算コマンド(1→0)を受信した時点で遊技中断時推定期間を開始するように構成することも可能であるが、この場合には、遊技を継続しているにも拘わらず特別図柄始動手段16への入賞が続かないために保留を全て消化してしまった場合についても遊技中断時推定期間が開始されてしまうという問題がある。図6に示すように、保留減算コマンド(1→0)を受信した時点から所定時間経過するか、同コマンドを所定回数受信することに基づいて遊技中断時推定期間を開始するように構成することで上記のような問題を解消できる。
また図6に示すように、遊技中断時推定期間中、例えば演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンド(第2特定コマンド)を受信し且つその時点から特別図柄が変動することなく所定時間(例えば2分)経過した場合には、客待ち状態になったと推定されるため、その時点で遊技中断時推定期間は終了するようになっている。
なお、演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンドを受信した時点で遊技中断時推定期間を終了するように構成することも可能であるが、この場合には、特別図柄に関する保留は全て消化されたものの普通図柄に関する保留が残っており、遊技を中断しようとしている遊技者がその普通図柄の変動の行方を見守っている場合についても遊技中断時推定期間が終了してしまうという問題がある。図6に示すように、客待ちデモコマンドを受信した時点から特別図柄が変動することなく所定時間経過した時点で遊技中断時時推定期間を終了するように構成することで上記のような問題を解消できる。
また図6に示すように、遊技中断時推定期間中、特別保留個数が所定個数(例えば3個)に到達した場合にも遊技中断時推定期間を終了するようになっている。
図5(b)に示す通常時用演出抽選テーブルが用いられる通常時推定期間は、遊技中断時推定期間以外の期間であって、図6に示すように、遊技中断時推定期間の終了により開始され、遊技中断時推定期間の開始により終了するようになっている。なお、電源投入時等の初期状態では通常時推定期間に設定すればよい。
図7は、遊技開始時推定期間と通常時推定期間との間の状態遷移例を示したものである。図7(a)においては、初期状態が通常時推定期間となっており、この通常時推定期間中に普通図柄の変動が開始される場合には、その変動に関する普通演出変動パターンの抽選処理においては図5(b)に示す通常時用演出抽選テーブルが用いられる。
通常時推定期間中で且つ特別保留個数が0の状態で特別図柄始動手段16に遊技球が入賞すると(T1)、それによって主制御基板31から演出制御基板32に対して保留増加コマンド(0→1)、保留減算コマンド(1→0)等が送信され、特別図柄の変動が開始されると共に、遊技中断時推定期間の開始条件を判断すべく、保留減算コマンド(1→0)の受信回数の計数、及び経過時間の計時が開始される。
T1の時点から所定時間(例えば2分)経過するまでに主制御基板31から保留減算コマンド(1→0)を所定回数(例えば2回)受信すると(T2)、その時点で通常時推定期間が終了して遊技中断時推定期間が開始される。この遊技中断時推定期間中に普通図柄の変動が開始される場合には、その変動に関する普通演出変動パターンの抽選処理においては図5(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルが用いられる。この遊技中断時用演出抽選テーブル(図5(a))を用いた場合、信頼度の低いノーマル変動パターンとコマ送り変動パターンは選択されず、比較的信頼度の高い逆回転変動パターン、発光変動パターン、発光逆回転変動パターンの何れかが選択されるため、遊技を終了しようとする遊技者に普通図柄の当たり、即ち下特別始動口27bの開放に対する期待感を持たせることができ、遊技継続へと誘導することができる。
その遊技中断時推定期間中に主制御基板31から演出制御基板32に対して客待ちデモコマンドが送信され(T3)、その後に特別図柄が変動することなく所定時間(例えば2分)経過すると(T4)、その時点で遊技中断時推定期間が終了し、通常時推定期間が開始される。
また、図7(b)においても図7(a)と同様、通常時推定期間中で且つ特別保留個数が0の状態で特別図柄始動手段16に遊技球が入賞し(T11)、主制御基板31から演出制御基板32に対して保留減算コマンド(1→0)が送信されることによって保留減算コマンド(1→0)の受信回数の計数及び経過時間の計時が開始されている。
しかしながら図7(b)の場合には、保留減算コマンド(1→0)を受信した時点(T11)から更に保留減算コマンド(1→0)を所定回数(例えば2回)受信するまでに所定時間(例えば2分)が経過しているため(T12)、その時点で通常時推定期間が終了して遊技中断時推定期間が開始されている。
また、その遊技中断時推定期間中に特別保留個数が3個(所定個数)に到達しているため(T13)、その時点、即ち演出制御基板32が主制御基板31から保留増加コマンド(2→3)を受信した時点で遊技中断時推定期間が終了し、通常時推定期間が開始されている。
以上説明したように、本実施形態のパチンコ機では、特別図柄表示手段23による図柄変動を開始する際に、主制御基板31から演出制御基板32に対して保留減算コマンド
(第1特定コマンド)を送信するように構成され、演出抽選テーブルには遊技中断時用演出抽選テーブルとそれ以外の通常時用演出抽選テーブルとがあり、演出抽選手段66aは、所定の遊技中断時推定期間中は遊技中断時用演出抽選テーブルを、それ以外の通常時推定期間中は通常時用演出抽選テーブルを夫々用いて普通演出変動パターン(演出態様)を選択するように構成され、遊技中断時推定期間は、特別乱数記憶手段(保留記憶手段)53に記憶されている残り1つの特別図柄変動情報に基づく特別図柄変動である無保留時特別図柄変動が開始される際に演出制御基板32が主制御基板31から保留減算コマンド
(第1特定コマンド)を受信することに基づいて開始されるように構成されているため、遊技球発射検知手段等の新たなハードウェアを設けることなく、遊技者が遊技を中断しようとしていることを高い確実性をもって検知することができ、しかも遊技者に遊技の中断を思い止まらせるための演出をより効果的に実行することが可能となる。
図8〜図10は本発明の第2の実施形態を例示し、第1の実施形態における通常時推定期間を遊技開始時推定期間と遊技継続時推定期間とに分け、遊技開始時推定期間中に用いられる遊技開始時用演出抽選テーブルと、遊技継続時推定期間中に用いられる遊技継続時用演出抽選テーブルとを異ならせた例を示している。
図8に示すように、本実施形態では、第1の実施形態と同じ遊技中断時用演出抽選テーブル(図8(a))の他、通常時用演出抽選テーブルとして遊技開始時用演出抽選テーブル(図8(b))と遊技継続時用演出抽選テーブル(図8(c))とが設けられている。
遊技開始時用演出抽選テーブル(図8(b))と遊技継続時用演出抽選テーブル(図8(c))とを比較すると、遊技開始時用演出抽選テーブルでは、逆回転変動パターン、発光変動パターン及び発光逆回転変動パターン(高信頼度演出態様)の振り分け率が遊技継続時用演出抽選テーブルと比べて高い値に設定され、逆にノーマル変動パターン及びコマ送り変動パターンの振り分け率は遊技継続時用演出抽選テーブルと比べて低い値に設定されている。
また図9に示すように、通常時推定期間は、遊技開始時用演出抽選テーブル(図8(b))が用いられる遊技開始時推定期間と、遊技継続時用演出抽選テーブル(図8(c))が用いられる遊技継続時推定期間とで構成されている。
遊技開始時推定期間は、普通図柄の変動が開始された場合に客待ち状態から新たに遊技が開始されたと推定される期間であって、図9に示すように、例えば主制御基板31から客待ちデモコマンド(第2特定コマンド)を受信した時点から特別図柄が変動することなく所定時間(例えば2分)経過した時点で開始され、その後に特別図柄の変動が開始された時点で終了するようになっている。
なお、演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンドを受信した時点で遊技開始時推定期間を開始するように構成することも可能であるが、この場合には、例えば遊技中断時推定期間中に特別図柄に関する保留は全て消化されたものの普通図柄に関する保留が残っており、遊技を中断しようとしている遊技者がその普通図柄の変動の行方を見守っている場合についても遊技中断時推定期間が終了してしまうという問題がある。図9に示すように、客待ちデモコマンドを受信した時点から特別図柄が変動することなく所定時間経過した時点で遊技開始時時推定期間を開始するように構成することで上記のような問題を解消できる。
遊技継続時推定期間は、通常時推定期間中(遊技中断時推定期間以外)であって遊技開始時推定期間以外の期間、即ち遊技者が継続的に遊技を行っていると推定される期間であって、図9に示すように、例えば遊技開始時推定期間が終了するか、遊技中断時推定期間が終了(遊技開始時推定期間の開始を理由とする場合を除く)した時点で開始され、その後に遊技開始時推定期間が開始されるか、遊技中断時推定期間が開始された時点で終了するようになっている。なお、電源投入時等の初期状態では例えば遊技開始時推定期間に設定すればよい。
図10は、遊技開始時推定期間、遊技中断時推定期間及び遊技継続時推定期間の状態遷移例を示したものである。図10においては、まず遊技中断時推定期間中に演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンドを受信しているため(T21)、その受信後、特別図柄が変動することなく所定時間(例えば2分)経過した時点で遊技中断時推定期間から遊技開始時推定期間に切り替わっている(T22)。
この遊技開始時推定期間中に普通図柄の変動が開始される場合には、その変動に関する普通演出変動パターンの抽選処理においては図8(b)に示す遊技開始時用演出抽選テーブルが用いられるが、この遊技開始時用演出抽選テーブルでは、比較的信頼度の高い逆回転変動パターン、発光変動パターン及び発光逆回転変動パターンの振り分け率が遊技継続時用演出抽選テーブルと比べて高い値に設定されているため、客待ち状態から新たに遊技を開始した遊技者の第一印象を高めて長時間の遊技継続へと誘導することができる。
そして、その遊技開始時推定期間中に特別図柄始動手段16に遊技球が入賞すると(T23)、演出制御基板32が主制御基板31から保留増加コマンド(0→1)、保留減算コマンド(1→0)等を受信し、特別図柄の変動が開始されると共に、遊技開始時推定期が終了して遊技継続時推定期間が開始され、更に遊技中断時推定期間の開始条件を判断すべく、保留減算コマンド(1→0)の受信回数の計数、及び経過時間の計時が開始される。なお、この遊技継続時推定期間中に普通図柄の変動が開始される場合には、その変動に関する普通演出変動パターンの抽選処理においては図8(c)に示す遊技継続時用演出抽選テーブルが用いられる。
その後、特別図柄始動手段16に遊技球が入賞することなく特別図柄の変動が終了すると(T24)、演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンドを受信し、遊技開始時推定期間の開始条件を判断すべく計時が開始されるが、その客待ちデモコマンドの受信から所定時間(例えば2分)経過するまでの間に特別図柄始動手段16に遊技球が入賞して特別図柄の変動が開始されているため(T25)、この客待ちデモコマンドの受信に基づいて遊技開始時推定期間が開始されることはない。
例えばT23の時点から所定時間(例えば2分)経過するまでに主制御基板31から保留減算コマンド(1→0)を所定回数(例えば2回)受信すると(T26)、その時点で遊技継続時推定期間が終了して遊技中断時推定期間が開始される。この遊技中断時推定期間中に普通図柄の変動が開始される場合には、その変動に関する普通演出変動パターンの抽選処理においては図8(a)に示す遊技中断時用演出抽選テーブルが用いられるが、この遊技中断時用演出抽選テーブル(図8(a))を用いた場合、信頼度の低いノーマル変動パターンとコマ送り変動パターンは選択されず、比較的信頼度の高い逆回転変動パターン、発光変動パターン、発光逆回転変動パターンの何れかが選択されるため、遊技を終了しようとする遊技者に普通図柄の当たり、即ち下特別始動口27bの開放に対する期待感を持たせることができ、遊技継続へと誘導することができる。
遊技中断時推定期間中に演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンドを受信し(T27)、その受信後、特別図柄が変動することなく所定時間(例えば2分)経過すると(T28)、その時点で遊技中断時推定期間が終了し、遊技開始時推定期間が開始される。
このように、通常時推定期間を、遊技開始時推定期間とそれ以外の遊技継続時推定期間とで構成し、遊技開始時推定期間中は遊技開始時用演出抽選テーブルを、遊技継続時推定期間中は遊技継続時用演出抽選テーブルを夫々用いて普通演出変動パターン(演出態様)を選択するように構成し、演出制御基板32が主制御基板31から客待ちデモコマンド
(第2特定コマンド)を受信することに基づいて遊技中断時推定期間が終了したときに遊技開始時推定期間を開始するように構成してもよい。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、第1特定コマンドの一例である保留減算コマンドは、コマンド送受信エラー等を考慮して、実施形態のように減算後の保留個数に応じて複数種類設けることが望ましいが、例えば1種類であってもよい。保留減算コマンドを例えば1種類とする場合、演出制御基板32側では、保留増加コマンドに基づいて特別保留個数を把握し、特別保留個数が1個のときに保留減算コマンドを受信した場合に、無保留時特別図柄変動の開始と判断すればよい。
第1の実施形態では、遊技中断時用演出抽選テーブル(図5(a))について、信頼度がその他の変動パターンよりも低いノーマル変動パターン及びコマ送り変動パターン(低信頼度演出態様)の振り分け率を0%としたが、通常時用演出抽選テーブル(図5(b))と比較して遊技中断時用演出抽選テーブル(図5(a))の方が全体として信頼度の低い変動パターンの振り分け率が低く、信頼度の高い変動パターンの振り分け率が高くなるように設定されていればよい。
また、第2の実施形態においても、遊技継続時用演出抽選テーブル(図8(c))と比較して遊技開始時用演出抽選テーブル(図8(b))の方が全体として信頼度の低い変動パターンの振り分け率が低く、信頼度の高い変動パターンの振り分け率が高くなるように設定されていればよい。
また実施形態では本発明をパチンコ機に適用した例を示したが、アレンジボール機等の他の弾球遊技機を含め、スロットマシン等の各種遊技機において同様に実施可能であることは言うまでもない。