JP6108902B2 - 処理装置、光音響装置、処理方法、およびプログラム - Google Patents
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Description
PATとは、光源から発生したパルス光を生体等の被検体に照射し、生体内を伝播・拡散した光が生体組織で吸収されて発生する音響波を検出し、検出した音響波を解析処理することで、生体内部の光学特性に関連した情報を可視化する技術である。これにより、被検体内の光学特性値、特に、光エネルギー吸収密度を得ることができる。
P0=Γ・μa・Φ …(1)
ここで、Γはグルナイゼン係数であり、体積膨張係数βと音速cの二乗の積を定圧比熱CPで割ったものである。Γは被検体が決まれば、ほぼ一定の値をとることが知られている。μaは吸収体の光吸収係数である。Φは局所的な領域での光量(吸収体に照射された光量で、光フルエンスとも言う)である。
式(1)で示されるように、初期音圧P0の分布から光吸収係数μaを得るためには、被検体内の光量Φの分布を求める必要がある。つまり、初期音圧を光量で除することにより光吸収係数を得ることができる。
被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得手段と、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、被検体の吸収係数分布情報を取得する第2取得手段と、前記背景吸収係数情報と前記吸収係数分布情報とを用いて、補正された吸収係数分布情報を取得する第3取得手段と、を有することを特徴とする処理装置である。
被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得手段と、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、初期音圧分布情報を取得する第4取得手段と、前記背景吸収係数情報を用いて背景初期音圧情報を取得する第5取得手段と、前記背景初期音圧情報と前記初期音圧分布情報とを用いて、補正された初期音圧分布情報を取得する第6取得手段と、を有することを特徴とする処理装置である。
被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得ステップと、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、被検体の吸収係数分布情報を取得する第2取得ステップと、前記背景吸収係数情報と前記吸収係数分布情報とを用いて、補正された吸収係数分布情報を取得する第3取得ステップと、を含むことを特徴とする、処理方法である。
被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得ステップと、光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいた初期音圧分布情報を取得する第4取得ステップと、前記背景吸収係数情報を用いて背景初期音圧情報を取得する第5取得ステップと、前記背景初期音圧情報と前記初期音圧分布情報とを用いて、補正された初期音圧分布情報を取得する第6取得ステップと、を含むことを特徴とする、処理方法である。
図1は被検体情報取得装置を模式的に図示したものである。光源1はパルス光1aを発する。パルス光1aは照射光学系2によって、照射光3として、被検体4に照射される。被検体内部を伝搬・拡散した照射光が吸収体5に吸収されると、光音響波6が発生する。光音響波6は音響波検出器7で受信され、電気信号に変換される。処理装置8は、再構成等の情報処理、例えば電気信号から被検体内の関心領域の特性情報を生成する処理を行う。モニタ9に、生成された特性情報に基づく画像データが表示される。音響波検出器は、本発明の音響検出部に相当する。処理装置は、本発明の処理部に相当する。
処理装置8は、音響波検出器7により得られた電気信号から、被検体4の内部の特性情報である第一の被検体情報を算出する。本発明の特徴は、処理装置8が、第一の被検体情報を補正し、第二の被検体情報を算出する点にある。
、上記のように算出された初期音圧分布と、光量分布と、被検体のグルナイゼン係数分布から、式(1)を用いて算出される。ここで、グルナイゼン係数は被検体に応じた所定の値である。また、被検体内の光量分布には、後述のように計算値、推定値、計測値等を使用できる。
図3に、本発明の動作の概要をフローチャートとして示す。
ステップS301において、光源1から被検体4にパルス光を照射する。ステップS302において、被検体表面に設置された音響波検出器7が、被検体内部の吸収体5から発生した音響波を受信して電気信号に変換する。ステップS303において、処理装置8が、電気信号を用いて被検体内部の第一の被検体情報を算出する。第一の被検体情報は特性情報、またはその分布として表わされる。ステップS304において、処理装置8が、補正値を用いて第一の被検体情報を補正する。ステップS305において、補正された第一の被検体情報から、第二の被検体情報が算出される。
バックプロジェクション法では、音響波検出器7より出力された時系列の信号から初期音圧の空間分布を算出(再構成)する。そのため、時系列信号の周波数特性が、算出される空間分布の空間周波数に影響を及ぼす。すなわち、生体内の微小空間から発生する光音響波は音響波検出器7に高周波成分の信号として受信され、空間周波数が高い(微小領域での)初期音圧分布として再構成される。また、生体内の広い領域から発生する光音響波は音響波検出器7に低周波成分の信号として受信され、空間周波数が低い(広い領域での)初期音圧分布として再構成される。このように、音響波検出器7に周波数帯域感度特性(周波数帯域ごとの音響波受信感度の相違)がある場合、再構成された初期音圧の空間分布に影響が生じる。現実的には、音響波検出器には何らかの周波数帯域感度特性が存在する場合が多い。
吸収係数分布は初期音圧分布をもとに算出されるので、上と同様に、音響波検出器7の周波数帯域感度特性の影響を受ける。また、バックプロジェクション法による再構成に限らず、音響波の伝搬関係を用いて行われる他の再構成法においても、周波数帯域感度特性の影響を受ける。
本発明を特徴づける補正処理における補正値は、音響波検出器の周波数帯域感度に基づく値である。この補正値は、被検体全領域にわたり均一に、または緩やかに変化する背景
分布が、周波数帯域感度特性のせいで再構成できないという問題を補正するためのものである。
図2(a)に本説明のための構成図を示す。被検体4に対して、照射光3が、右側から十分広い面積で照射されている。音響波検出器7は、光照射面と被検体を挟んで反対側に配置され、被検体に接している。吸収体5a、吸収体5bは被検体内部の異なる深さにある。ここでは、吸収体5aおよび5bを本発明の注目領域とする。背景領域は、均一性が比較的高い点で、注目領域と区別できる。
図2(b)に見られるように、実際の初期音圧はP0 re(z)である。しかし、音響波検出器7として、吸収体5aおよび5bの大きさの部位から発生する光音響波の周波数帯域を、中心感度帯域とするものを使用した場合、背景の吸収係数に依存した初期音圧は検出できない。その結果、測定された初期音圧を再構成すると、図2(e)の様になってしまう。図2(e)は音響波検出器で検出した信号から再構成して得られた初期音圧分布P0 me(z)である。横軸は深さz、縦軸は音圧Pである。図2(e)を図2(b)と比較すると、背景吸収係数における成分が欠落している。
P0 re(zT1)=μa T・Φ(zT1) …(2a)
P0 re(zT2)=μa T・Φ(zT2) …(2b)
P0 re(zB)=μa B・Φ(zB) …(2c)
P0 me(zT2)=(μa T−μa B)・Φ(zT1) …(3a)
P0 me(zT1)=(μa T−μa B)・Φ(zT2) …(3b)
P0 me(zB)=(μa B−μa B)・Φ(zB) …(3c)
また、図2(g)に示すように図2(e)の初期音圧P0 me(z)に背景吸収係数に起因した初期音圧μa B・Φ(z)を加算する方法もある。加算処理後の値をΦ(z)で除することにより、正確な吸収係数分布P0 me(z)/Φ(z)+μa Bを算出可能と
なる。
一方、これらの吸収体の大きさの周波数帯域に合わせた探触子を用いて検出した検出信号を再構成して得られた初期音圧(測定値)は、0.35mJ/mm3、3.6mJ/mm3となる。この再構成して得られた初期音圧から、それぞれの位置での光量を除して吸収係数を算出すると、0.007/mm、0.004/mmとなる。したがって、実際の吸収係数より相当低い数値となり、正確な吸収係数を算出できない。
そこで本発明の手法により、この吸収係数(測定値由来)に背景光学係数(0.005/mm)を足すと、吸収体5a、吸収体5bの吸収係数は、0.012/mm、0.009/mmとなり、正確な値が算出できる。また、再構成して得られた吸収体5a、吸収体5bの初期音圧0.35mJ/mm3、3.6mJ/mm3に、背景吸収係数に光量をかけた値(それぞれ0.25mJ/mm2、4.5mJ/mm2)を足すと、0.6mJ/mm2、8.1mJ/mm2となる。これらを光量で割ることによっても、吸収係数0.012/mm、0.009/mmを正確に算出できる。
本実施例は、被検体を乳房として、乳房中の酸素飽和度分布をイメージングする被検体情報取得装置について述べる。本実施例において、被検体は、平行平板の保持板ではさみこむ形で保持される。また、本実施例の被検体情報取得装置は、周波数分解スペクトロスコピー測定機構を備えており、周波数分解スペクトロスコピー測定により被検体の背景吸収係数を算出して補正値として用いる。
モグロビン・還元ヘモグロビンの吸収スペクトルを用いてフィッティングを行い、各成分量を算出する。なお図4では、第二の光源10を、光音響測定用の光源1とは別に設けている。しかし、光源1から照射光学系2を経由して照射された光を光検出器12で検出しても良い。また、光源1から光ファイバ等で分岐させた光を光検出器12で検出しても良い。光検出器は、本発明の光検出部に相当する。
照射光学系2と音響波検出器7は、透過型光音響測定を行うために被検体を挟んで対峙して配置されている。
光源1は756nm、797nmを出射可能なチタンサファイアレーザーである。光源1から出射された波長756nmのパルス光1aは、バンドルファイバ入射光学系14を通して、バンドルファイバ13に入射する。バンドルファイバ13の出射端は照射光学系2に接続され、ファイバから出射したパルス光は、照射波長依存が少なくなるように、レンズや、拡散板等を通して、照明光3として被検体4に照射される。
光音響波6は、音響波検出器7で電気信号に変換される。音響波検出器7は、2次元アレイトランスデューサで、中心周波数が2MHzのピエゾ素子からなる。この電気信号を用い、バックプロジェクション法により波長756nmの初期音圧分布P0(756nm,r)を算出する。あらかじめ測定した被検体の形状と照射光3の分布と、背景吸収係数、背景散乱係数から、光拡散方程式を有限要素法で解いて、波長756nmの光量分布φ(756nm,r)を算出する。このようにして算出された初期音圧P0(756nm,r)と光量φ(756nm,r)から、式(1)を用いて吸収係数μa(756nm,r)を算出する。さらに周波数分解スペクトロスコピー測定で得られた背景吸収係数μa B(756nm)を吸収係数分布μa(756nm,r)に加えることにより、被補正吸収係数分布μa C(756nm,r)を算出する。
ここで、εHb(λ)とεHbO(λ)は、それぞれ波長λnmにおける還元ヘモグロビンの吸収係数、酸化ヘモグロビンの吸収係数である。
算出された酸素飽和度分布は、モニタ9に3次元画像やスライス画像等の形式で表示される。
まず、ステップS501において、周波数分解光スペクトロスコピー測定を行い、波長756nmと797nmの背景吸収係数・背景散乱係数を算出する。
続いて波長756nmでの測定に移る。ステップS502において、波長756nmのパルス光を被検体に照射する。ステップS503において、波長756nmのパルス光を照射したことにより吸収体から発生した音響波を音響波検出器で検出し、電気信号に変換する。ステップS504において、前記電気信号から波長756nmの初期音圧分布を算出し、あらかじめ計測した被検体形状と、照射光の分布と、波長756nmの被検体の背景吸収係数と背景散乱係数から光量分布を算出し、吸収係数分布を算出する。ステップS505において、前記吸収係数分布に前記背景吸収係数を加算することにより波長756nmの被補正吸収係数分布を算出する。このステップは本発明を特徴づける補正値による補正である。
最後に、ステップS510において、波長756nmの被補正吸収係数分布と波長797nmの被補正吸収係数分布を用いて、式2から酸素飽和度分布を算出する。
本実施例は、被検体を乳房として、乳房中の酸素飽和度分布をイメージングする被検体情報取得装置について述べる。本実施例において、被検体は、水槽内に挿入されて測定される。また、本実施例は入力部を備えており、予め測定または推定された背景吸収係数を
入力されることにより補正値として用いる。
光源1は1064nmを出射可能なYAGレーザーである。光源1から出射された波長1064nmのパルス光1aは、空中伝搬光学系15に入射する。空中伝搬光学系15の出射端は照射光学系2に接続され、照射光3が被検体4のある程度の範囲に均一に照射されるために、レンズや拡散板を通じて照射光3として被検体4に照射される。
064nm,r)を加えることにより被補正初期音圧分布P0C(1064nm,r)を算出する。
まず、ステップS701において、入力部により入力された波長1064nmの背景吸収係数・背景散乱係数を取得する。
続いて波長1064nmでの測定に移る。ステップS702において,波長1064nmのパルス光を被検体に照射する。ステップS703において、波長1064nmのパルス光を照射したことにより吸収体から発生した音響波を音響波検出器で検出し、電気信号に変換する。ステップS704において、前記電気信号から波長1064nmの初期音圧分布を算出する。ステップS705において、予め計測した被検体形状と、照射光分布と、波長1064nmの被検体の背景吸収係数と背景散乱係数から光量分布を算出する。ステップS706において、前記初期音圧分布に前記背景吸収係数と前記光量分布の積を加
算する事により波長1064nmの被補正初期音圧分布を算出する。このステップは本発明を特徴づける補正値の補正である。
Claims (16)
- 被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得手段と、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、被検体の吸収係数分布情報を取得する第2取得手段と、
前記背景吸収係数情報と前記吸収係数分布情報とを用いて、補正された吸収係数分布情報を取得する第3取得手段と、
を有することを特徴とする、処理装置。 - 前記第3取得手段は、前記背景吸収係数情報と前記吸収係数分布情報とを加算することにより、補正された吸収係数分布情報を取得する
ことを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。 - 被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得手段と、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、初期音圧分布情報を取得する第4取得手段と、
前記背景吸収係数情報を用いて背景初期音圧情報を取得する第5取得手段と、
前記背景初期音圧情報と前記初期音圧分布情報とを用いて、補正された初期音圧分布情報を取得する第6取得手段と、
を有することを特徴とする、処理装置。 - 前記補正された初期音圧分布情報を用いて補正された吸収係数分布情報を取得する第7取得手段を更に有する
ことを特徴とする、請求項3に記載の処理装置。 - 被検体に照射された光の、被検体内における光量情報を取得する第8取得手段を更に有し、
前記第7取得手段は、前記補正された初期音圧分布情報と前記光量情報とを用いて、補正された吸収係数分布情報を取得する
ことを特徴とする、請求項4に記載の処理装置。 - 前記第1取得手段は、被検体を伝搬した光を検出して得られた信号に基づいて背景吸収
係数情報を取得する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。 - 被検体は、人の体であり、
前記第1取得手段は、人の年齢またはBMIについての情報を取得し、当該情報に基づいて背景吸収係数情報を取得する
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。 - 前記第1取得手段は、操作者から背景吸収係数情報の入力を受け付ける
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の処理装置。 - 前記補正された吸収係数分布情報を用いて濃度分布情報を取得する第9取得手段をさらに有する
ことを特徴とする、請求項1,2,4,5のいずれか1項に記載の処理装置。 - 前記補正された吸収係数分布情報に基づいたデータを表示する表示制御手段を有する
ことを特徴とする、請求項1,2,4,5のいずれか1項に記載の処理装置。 - 前記背景吸収係数情報は、均一の吸収係数分布または前記吸収係数分布情報よりも緩やかに変化する吸収係数分布を示す情報である
ことを特徴とする、請求項1から10のいずれか1項に記載の処理装置。 - 請求項1から11のいずれか1項に記載の処理装置と、
光源と、探触子と、を有することを特徴とする、光音響装置。 - 前記探触子が検出可能な音響波の中心周波数は2MHz以上である
ことを特徴とする、請求項12に記載の光音響装置。 - 被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得ステップと、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、被検体の吸収係数分布情報を取得する第2取得ステップと、
前記背景吸収係数情報と前記吸収係数分布情報とを用いて、補正された吸収係数分布情報を取得する第3取得ステップと、
を含むことを特徴とする、処理方法。 - 被検体の背景吸収係数情報を取得する第1取得ステップと、
光が被検体に照射されることにより発生する光音響波に基づいて、初期音圧分布情報を取得する第4取得ステップと、
前記背景吸収係数情報を用いて背景初期音圧情報を取得する第5取得ステップと、
前記背景初期音圧情報と前記初期音圧分布情報とを用いて、補正された初期音圧分布情報を取得する第6取得ステップと、
を含むことを特徴とする、処理方法。 - 請求項14または15に記載の処理方法をコンピュータに実行させるプログラム。
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