JP6107226B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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本発明は、医薬組成物に関し、より詳細には医薬品成分の光安定性に優れた医薬組成物に関する。
種々の効能を有する医薬品の中で光安定性の課題があるものが存在する。
例えば、ナフトピジル(Naftopidil:[4−(2−メトキシフェニル)ピペラジニル]−3−(1−ナフチロキシ)プロパン−2−オール)またはその塩は、前立腺肥大における排尿困難治療に有用であることが知られている(特許文献1および2)。しかし、ナフトピジルは、その構造上、1−ナフトール基を含んでいる。1−ナフトールの紫外可視吸収スペクトルは、297nm、310nmおよび324nmに極大吸収を有し、他の医薬品の構造と比較して長波長側にあるため、より自然光を吸収し易く、光分解による着色が起こり易いことが指摘されている(非特許文献1)。
このような光分解を回避するための1つとして、製剤添加物の見直しが提案されている。例えば、特許文献3は、ナフトピジルを含有する医薬組成物において、製剤添加物として乳糖を含有させないことによって、ナフトピジルの光分解を抑制させることを開示している。
しかし、乳糖は製剤添加物として汎用性が高いものとして知られており、このような使用添加物の使用制限は、医薬組成物としての汎用性自体をも制限し得るものとなりかねない。さらに、乳糖を含有させないだけでは、ナフトピジル自体の光安定性が向上するまでには至っておらず、医薬組成物としてのさらなる改良が期待されている。
特公昭60−29712号公報 特公平6−2673号公報 特開2005−325040号公報
竹下ら、「ナフトピジル製剤の光安定性」、医療薬学、2005年、Vol.31、No.6、pp.464-469
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、ナフトピジル、プロプラノロールなどの1−ナフトール基を有する医薬化合物について光安定性を向上させることにより、長期間の保管に対しても品質の劣化を防止し得る医薬組成物を提供することにある。
本発明は、1−ナフトール基を有する医薬化合物および鉄酸化物を含有し、120万ルクス・時間の光照射の際の当該光照射前後の色差(ΔE)の変化量が0.5から9.5である、医薬組成物である。
1つの実施態様では、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物は、ナフトピジルまたはその塩、プロプラノロールまたはその塩、およびデュロキセチンまたはその塩からなる群から選択される化合物である。
1つの実施態様では、上記鉄酸化物は、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、および黒酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の酸化物である。
1つの実施態様では、上記鉄酸化物の含有量は、全体量に対して0.01質量%から2質量%である。
本発明はまた、上記医薬組成物を含む、口腔内崩壊錠である。
本発明はまた、1−ナフトール基を有する医薬化合物と鉄酸化物とを混合する工程、および該混合物を打錠する工程を包含する、口腔内崩壊錠の製造方法である。
1つの実施態様では、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物は、ナフトピジルまたはその塩、プロプラノロールまたはその塩、およびデュロキセチンまたはその塩からなる群から選択される化合物である。
1つの実施態様では、上記鉄酸化物は、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、および黒酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の酸化物である。
1つの実施態様では、上記鉄酸化物の含有量は、全体量に対して0.01質量%から2質量%である。
本発明によれば、ナフトピジル、プロプラノロールなどの1−ナフトール基を有する医薬化合物について光安定性を向上させることができる。それにより、長期間の保管に対しても品質の劣化を防止することができる。本発明の医薬組成物は、このような光安定性の向上によって曝光下における着色(変色)が回避されるため、服用者もより安心して本発明の医薬組成物を服用することができる。
さらに本発明の医薬組成物は、製剤添加物として乳糖の使用を制限するものではなく、その他特定の添加剤の使用を制限するようなこともない。このため、任意の製剤添加物を用いた製剤とすることができる。
実施例1〜4および比較例1〜4で得られた医薬組成物のそれぞれについて、120万ルクス・時間の光照射の際の当該光照射前後の色差(ΔE)の変化量を示すグラフである。 実施例5〜10、ならびに比較例5および6で得られた医薬組成物のそれぞれについて、120万ルクス・時間の光照射の際の当該光照射前後の色差(ΔE)の変化量を示すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
本発明の医薬組成物は、1−ナフトール基を有する医薬化合物および鉄酸化物を含有する。
本発明を構成する1−ナフトール基を有する医薬化合物は、薬学的効能を有する化合物を包含し、例えば、ナフトピジルまたはその塩(以下、これらを総称して「ナフトピジル」ということもある)、プロプラノロールまたはその塩(以下、これらを総称して「プロプラノロール」ということもある)、デュロキセチンまたはその塩(以下、これらを総称して「デュロキセチン」ということもある)が挙げられる。ナフトピジル、プロプラノロールまたはデュロキセチンがそれぞれ塩を構成する場合、それらの塩としては例えば、塩酸塩が挙げられる。
ここで、ナフトピジル([4−(2−メトキシフェニル)ピペラジニル]−3−(1−ナフチロキシ)プロパン−2−オール)は、例えば、特許文献1に記載された物質であり、当業者が容易に入手できる物質である。本発明においては、医薬の有効成分として、ナフトピジルの薬学的に許容される塩(例えば塩酸塩など)として使用されてもよく、好ましくは遊離形態の物質として使用されてもよい。その他ナフトピジルは生理学的に許容されるその塩の水和物または溶媒和物の形態で使用されてもよい。
本発明において、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物の含有量は、医薬組成物の全質量を基準として、例えば5質量%〜50質量%、より好ましくは20質量%〜30質量%である。医薬組成物における1−ナフトール基を有する医薬化合物の含有量が5質量%を下回ると、当該医薬化合物が有する所望の薬効を服用者に対して充分に発揮できないだけでなく、その1回当たりの用量も多大になりすぎて服用者の負担が大きくなるおそれがある。1−ナフトール基を有する医薬化合物の含有量が50質量%を上回ると、保管において充分な光安定性が保たれず、製剤化した医薬組成物において所望でない着色が現われるおそれがある。
本発明の医薬組成物を構成する鉄酸化物は薬学的に許容し得る化合物である。鉄酸化物の例としては、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄および黒酸化鉄、ならびにそれらの組合せが挙げられる。黄色三二酸化鉄または三二酸化鉄を使用することが特に好ましい。
本発明において、上記鉄酸化物の含有量は特に限定されず、使用する1−ナフトール基を有する医薬組成物の種類および/または含有量、使用する他の製剤添加物の種類および/または含有量によって当業者に任意の量が選択され得る。このような鉄酸化物の含有量は、医薬組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01質量%〜2質量%、より好ましくは0.02質量%〜0.5質量%、さらにより好ましくは0.05質量%〜0.1質量%である。医薬組成物中に占める上記鉄酸化物の含有量が0.01質量%未満であれば、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物の光分解を充分に防ぐことができず、医薬組成物としての光安定性が満足し得る程度に保持し得ないおそれがある。一方、医薬組成物中に占める上記鉄酸化物の含有量が2質量%を上回っても、それ以上医薬組成物の光安定性には変化が見られず、むしろ医薬製剤としての生産性が劣るおそれがある。
本発明の医薬組成物は、鉄酸化物以外の金属酸化物を含有してもよい。このような鉄酸化物以外に含有させていてもよい金属酸化物は、薬学的に許容し得る酸化物であり、例えば、二酸化チタンが挙げられる。当該金属酸化物の含有量は、特に限定されず、上記鉄酸化物に設定される含有量に応じて、当業者によって適宜設定され得る。
さらに、本発明の医薬組成物は、120万ルクス・時間の光照射を行った際の当該光照射前後の色差(ΔE)の変化量は、例えば9.5以下、好ましくは0.5〜9.5、より好ましくは0.5〜5、さらにより好ましくは0.5〜4.5である。
ここで、本明細書中における用語「120万ルクス・時間の光照射を行った際の当該光照射前後の色差(ΔE)の変化量」とは、医薬組成物(好ましくは後述するような錠剤の形態を有する)に対し、光未照射の場合に測定した色差(ΔE)と、例えば、色比較蛍光用ランプ(例えば、D65蛍光ランプ)を用いて、120万ルクス・時間の光照射を行なった直後の色差(ΔE)との差(ΔE−ΔE)をいう。さらに、色差(ΔE、ΔE、ΔE)とは、L表色系により算出されるΔEabであって市販の測色色差計を用いて測定され得る色差をいう。
本発明においては、上記のような光照射の条件において、当該変化量が9.5を上回ると、医薬組成物は医薬化合物の光分解により着色を呈し、当該組成物として充分な薬効を提供し得ないおそれがある。
本発明の医薬組成物はまた、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物および鉄酸化物以外に、当該分野にて通常用いられ得る製剤添加物を含有していてもよい。このような製剤添加物の例としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等が挙げられる。
賦形剤は、薬学的に許容され得る一般的な賦形剤であって、従来結合剤としても機能し得るものを除いたものであれば特に限定されず、具体的な例としては、マンニトール、キシリトール、ソルビトール、エリスリトールなどの糖アルコール;ブドウ糖、乳糖、白糖(精製白糖を含む)、粉糖、トレハロース、デキストランなどの糖;グリセリン脂肪酸エステル;およびメタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトなどの無機粉体;ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
結合剤は、薬学的に許容され得る一般的な結合剤であって、例えば、水に溶解することで粘性が得られ、糊のような接着性を示す水溶性高分子からなる水溶性高分子結合剤が挙げられる。水溶性高分子結合剤のより具体的な例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポビドン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルファー化デンプン、ゼラチン、プルラン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム末、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明においては、上記水溶性高分子結合剤以外の結合剤が使用されてもよい。このような結合剤としては、例えば、結晶セルロース、トウモロコシデンプン、無水沈降炭酸カルシウム、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
崩壊剤は、薬学的に許容され得る一般的な崩壊剤であれば特に限定されず、具体的な例としては、クロスポビドン、カルボキシスターチナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、デンプン、部分α化デンプン、コーンスターチ、乳糖、クエン酸カルシウム、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム結晶セルロース、低置換度ヒドロキシピロピルセルロース、クロスカルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルメロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
滑沢剤は、薬学的に許容され得る一般的な滑沢剤であれば特に限定されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、L−ロイシン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の医薬組成物における上記製剤添加物の含有量は特に限定されず、当業者によって適切な含有量が適宜選択され得る。
本発明の医薬組成物はまた、上記製剤添加物以外に他の添加剤を含有していてもよい。このような他の添加剤の例としては、甘味料、および香料が挙げられる。
甘味料は、例えば、本発明の医薬組成物に甘味を付与して服用性を向上させるために使用され得る。甘味料の例としては、サッカリン、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム酸、還元麦芽糖水アメ、精製ハチミツ、ならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
香料は、例えば、本発明の医薬組成物に官能的に良好な香りを付与して服用性を向上させるために使用され得る。香料の例としては、L−メントール、バニリン、ハッカ油、レモン油、バニラフレーバー、フルーツフレーバー、ミントフレーバーならびにこれらの組み合わせが挙げられる。
本発明の医薬組成物における上記他の添加物の含有量もまた特に限定されず、当業者によって適切な含有量が適宜選択され得る。
本発明の医薬組成物は、固形形態の医薬組成物である。例えば、錠剤、細粒剤、顆粒剤、ドライシロップ剤、散剤、カプセル剤および丸剤が挙げられる。
本発明の医薬組成物は、錠剤の形態に製剤化されることが好ましい。錠剤には、口中錠(トローチ)、口腔錠(バッカル錠、舌下錠)、口腔内崩壊錠、植込錠、溶解錠等が挙げられる。特に、口腔内崩壊錠として製剤化されることが好ましい。
以下、本発明の医薬組成物を含む錠剤の製造方法の一例である、口腔内崩壊錠の製造方法について説明する。
まず、上記1−ナフトール基を有する医薬化合物および鉄酸化物と、必要に応じて添加される製剤添加剤、他の添加剤等が混合される。
この混合における医薬組成物の各構成材料の添加順序は特に限定されない。さらに医薬組成物の各構成材料は混合前および/または混合後に所定の大きさに造粒および/または整粒されていてもよい。混合手段および造粒/整粒手段は特に限定されず、当該分野において通常使用され得る手段を採用することができる。
次いで、上記混合物は打錠される。
この打錠にあたり、上記混合物には、さらに上記製剤添加剤および/または他の添加剤が必要に応じて添加されてもよい。打錠手段としては、特に限定されず、例えば、打錠用臼、打錠用上杵および下杵を用いた、油圧式ハンドプレス機、単発式打錠機、ロータリー式打錠機などにより行う手段が挙げられる。打錠は、例えば、得られる錠剤が、口腔内の崩壊に適切な硬度を有するように調節して行われる。打錠圧は、打錠方法、打錠に用いる機器、錠剤の大きさ、生理活性物質などに応じて適宜調整される。例えば、上記機器を用いる場合に採用され得る打錠圧は、好ましくは2kN〜20kN、より好ましくは6kN〜15kNである。
上記打錠により製造される口腔内崩壊錠の形状としては、特に限定されず、円盤状、ドーナツ状、多角形板状、球状、楕円状、カプレット状などの任意の形状が挙げられる。製造され得る口腔内崩壊錠の大きさとしては、特に限定されず、例えば、円形錠剤の場合では直径が7mm〜10mm、厚みが2mm〜4mmである。硬度としては、好ましくは30N以上である。崩壊時間としては、水なしで服用した場合、口腔内において、好ましくは60秒以内である。
このようにして本発明の医薬組成物を含む口腔内崩壊剤を製造することができる。
上記では、口腔内崩壊剤の製造方法について説明したが、本発明は当該方法に限定されない。本発明の医薬補正物を含む、口腔内崩壊剤以外の錠剤もまた製造することができる。このような錠剤は、上記口腔内崩壊剤の製造方法に準じて製造され得る。
本発明の医薬組成物および口腔内崩壊剤は、上記の通り光安定性が向上するものであるが、光分解の進行をより抑制するために、任意の遮光処理が施された状態で保存が行なわれることが望ましい。このような保存手段としては、例えば、遮光フィルムや金属箔を用いた包装、および遮光処理を施した容器中での保存が挙げられる。
本発明の医薬組成物および口腔内崩壊剤は、服用者の年齢、投与様式、上記医薬化合物の種類や含有量等に基づいて任意の用量が設定され、服用者に投与され得る。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
ナフトピジル25.0g、D−マンニトール31.4g、乳糖水和物10.0g、結晶セルロース15.0g、カルメロース10.0g、ヒドロキシプロピルスターチ6.0g、軽質無水ケイ酸0.5g、およびフマル酸ステアリルナトリウム2.0gを同一の袋に入れて混合した後、500μmの篩で篩過した。次いで、篩過した粉末の一部(9.99g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄(医薬品添加規格品)0.01gを添加して混合した後、単発打錠機(エヌピーエーシステム株式会社製)により1錠当たり100mgの錠剤を得た。得られた錠剤の1錠中の分量を表1に示す。
Figure 0006107226
得られた錠剤(2錠)をプラスチックシャーレに移し、開放状態のまま測色色差計(日本電色工業株式会社製)の色差(ΔE)を1回測定した。得られた色差の平均値(ΔE)を表2に示す。
次いで、このシャーレに配置された錠剤について、開放状態のままD65蛍光ランプ(白色光)(ナガノサイエンス株式会社製)で120万ルクス・時間の光照射を行なった。その後光照射を行なった錠剤について、シャーレの開放状態を保ったまま、上記と同様の測色色差計で色差を1回測定した。光照射後の得られた色差の平均値(ΔE)を、光照射前の色差の平均値(ΔE)で減じることにより光照射前後による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた色差の平均値(ΔE)を表2に示し、かつ変化量(ΔE−ΔE)を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例2)
D−マンニトールの含有量を30.5gとし、篩過した粉末の一部(9.9g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄(医薬品添加規格品)0.1gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例3)
黄色三二酸化鉄の代わりに三二酸化鉄0.01gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例4)
D−マンニトールの含有量を31.3gとし、篩過した粉末の一部(9.98g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄0.01gおよび二酸化チタン(フロイント産業株式会社製)0.01gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(比較例1)
黄色三二酸化鉄の代わりにD−マンニトールの含有量を31.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。
(比較例2)
黄色三二酸化鉄の代わりに、光遮蔽の目的で食用色素である黄色5号0.01gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した色素の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(比較例3)
黄色三二酸化鉄の代わりに、光遮蔽の目的で食用色素である青色1号0.01gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。なお、表2には、添加した色素の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(比較例4)
実施例1で製造した錠剤の代わりに、ナフトピジル錠剤として市販されているフリバス(登録商標)OD錠(25mg)(旭化成ファーマ株式会社製)2錠を用い、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表2および図1に示す。
Figure 0006107226
表2および図1に示すように、鉄酸化物を含有させた本発明の医薬組成物でなる錠剤(実施例1〜4)は、鉄酸化物も他の色素も含有させていない錠剤(比較例1)と比較して、いずれも優れた光安定性を示していることがわかる。さらに、実施例1と実施例2との比較において、黄色三二酸化鉄の含有量を高めたことにより、色差の変化量(ΔE−ΔE)が著しく低下し、錠剤を構成する医薬組成物の光安定性が一層高められたことがわかる。
なお、実施例1〜4で得られたような光安定性は、遮光のために添加した食用色素の場合(比較例2および3)では充分発揮し得ないことも明らかとなった。さらに、市販品の錠剤(比較例4)に対して、実施例1〜4で得られた錠剤を構成する医薬組成物は、明らかに色差の変化量(ΔE−ΔE)が低下しており、従来の市販品よりも一層優れた光安定性を有していることがわかる。
(実施例5)
実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造した。得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例6)
D−マンニトールの含有量を31.0gとし、篩過した粉末の一部(9.95g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄(医薬品添加規格品)0.05gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例7)
黄色三二酸化鉄の代わりに三二酸化鉄0.01gを用いたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例8)
D−マンニトールの含有量を31.0gとし、篩過した粉末の一部(9.95g)を抜き取り、これに三二酸化鉄0.05gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例9)
D−マンニトールの含有量を31.3gとし、篩過した粉末の一部(9.98g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄0.01gおよび三二酸化鉄0.01gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(実施例10)
D−マンニトールの含有量を30.5gとし、篩過した粉末の一部(9.9g)を抜き取り、これに黄色三二酸化鉄0.05gおよび三二酸化鉄0.05gを添加したこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造し、その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。なお、表3には、添加した金属酸化物の種類および錠剤中の含有量(質量%)をあわせて示す。
(比較例5)
黄色三二酸化鉄の代わりにD−マンニトールの含有量を31.5gとしたこと以外は、実施例1と同様にして1錠当たり100mgの錠剤を製造した。その後、得られた錠剤(5錠)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。
(比較例6)
実施例1で製造した錠剤の代わりに、ナフトピジル錠剤として市販されているフリバス(登録商標)OD錠(25mg)(旭化成ファーマ株式会社製)5錠を用い、光照射による色差の変化量(ΔE−ΔE)を算出した。得られた結果を表3および図2に示す。
Figure 0006107226
表3および図2に示すように、鉄酸化物を含有させた本発明の医薬組成物でなる錠剤(実施例5〜10)は、測定した錠剤数を増やしても、鉄酸化物を何ら含有させていない錠剤(比較例5)と比較して、いずれも優れた光安定性を示していることがわかる。さらに、黄色三二酸化鉄と三二酸化鉄とを併用させた場合(実施例9および10)でも、錠剤を構成する医薬組成物の光安定性が高められたことがわかる。
なお、実施例5〜10で得られた医薬組成物は、市販品の錠剤(比較例6)に対しても、明らかに色差の変化量(ΔE−ΔE)が明らかに向上しており、従来の市販品よりも一層優れた光安定性を有していること上記結果からも見出され得る。
本発明の医薬組成物によれば、単独では光安定性に欠けるナフトピジルなどの1−ナフトール基を有する医薬化合物の光安定性を向上させることができる。これにより、本発明の医薬組成物は、より長期の保存が可能となり、光遮蔽にための包装や瓶詰めの煩雑さを解消することができる。本発明の医薬組成物のうち、例えば、ナフトピジルを含有する医薬組成物は、前立腺肥大における排尿困難治療剤として有用である。

Claims (6)

  1. 1−ナフトール基を有する医薬化合物乳糖鉄酸化物との混合物を含有する医薬組成物を含む、口腔内崩壊錠であって、
    該1−ナフトール基を有する医薬化合物が、ナフトピジルまたはその塩であり、そして
    該鉄酸化物が、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、および黒酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の酸化物である、口腔内崩壊錠。
  2. 前記鉄酸化物の含有量が、前記医薬組成物の全体量に対して0.01質量%から2質量%である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  3. 前記鉄酸化物が黄色三二酸化鉄であり、そして該鉄酸化物の含有量が、前記医薬組成物の全体量に対して0.5質量%から1.0質量%である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。
  4. 前記鉄酸化物が三二酸化鉄であり、そして該鉄酸化物の含有量が、前記医薬組成物の全体量に対して0.1質量%から0.5質量%である、請求項1または2に記載の口腔内崩壊錠。
  5. 前記鉄酸化物が黄色三二酸化鉄と三二酸化鉄との混合物である、請求項1に記載の口腔内崩壊錠。
  6. 請求項1に記載の口腔内崩壊錠の製造方法であって、1−ナフトール基を有する医薬化合物と乳糖と鉄酸化物とを混合する工程、および該混合物を打錠する工程を包含し、
    該1−ナフトール基を有する医薬化合物が、ナフトピジルまたはその塩であり、そして
    該鉄酸化物が、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、および黒酸化鉄からなる群より選択される少なくとも1種の酸化物である、口腔内崩壊錠の製造方法。
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