JP6106784B2 - 着色硬化性組成物、これを用いたカラーフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、着色硬化性組成物、これを用いた硬化膜、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、液晶表示装置、及び有機EL表示装置に関する。
カラーフィルタは、固体撮像素子や液晶表示装置のディスプレイに不可欠な構成部品である。このようなカラーフィルタを形成するために、着色硬化性組成物が採用されている(特許文献1〜3)。
ここで、近年、クロストーク(光の混色)の軽減のため、カラーフィルタを薄膜化することが求められている。
特開2011−032366号公報 特開2008−070822号公報 特開2010−008915号公報
ここで、カラーフィルタを薄膜化しても分光波長の形はそのままであることが求められる。そうすると、着色硬化性組成物中の固形分中における着色剤の濃度を大幅に高めることが必要になる。しかしながら、着色硬化性組成物中の着色剤の濃度を高めると、着色層パターンをリソグラフィー技術によって作製することが困難になる。
本願発明はかかる問題点を解決することを目的としたものであって、薄膜化しても分光特性に優れ、かつ、耐薬品性および耐熱性の高い着色層パターンを形成できる着色硬化性組成物を提供することを目的とする。
かかる状況のもと、本願発明者は、リソグラフィー技術を採用せずに、ドライエッチング工程によりパターン着色層を形成することを検討した。しかしながら、ドライエッチング工程で着色層を形成する場合でも、着色剤の濃度が高いと、必然的に、添加剤(硬化剤)の量が少なくなるため、耐薬品性や耐熱性(熱による拡散)が問題となる。そこで、本願発明者がさらに検討を行った結果、着色硬化性組成物において、着色剤としてハロゲン化フタロシアニン染料を用いることにより、着色剤濃度を高く維持しても、耐薬品性および耐熱性の高い着色層パターンを形成できることを見出した。このメカニズムは定かではないが、ハロゲン化による会合性変化や染料‐染料間または染料‐他分子間相互作用によるものと思われる。
具体的には、以下の手段<1>により、好ましくは<2>〜<14>により上記課題は解決された。
<1>少なくともハロゲン化フタロシアニン染料を含む着色剤、熱硬化性化合物、ならびに、ハロゲン化フタロシアニン染料および熱硬化性化合物を少なくとも溶解する溶剤を含み、着色剤の含有量の合計が全固形分に対し60〜90質量%である、着色硬化性組成物。
<2>着色剤が、さらに、黄色色素を含む、<1>に記載の着色硬化性組成物。
<3>着色硬化性組成物中における、熱硬化性化合物の含有量が全固形分に対し5〜40質量%である、<1>または<2>に記載の着色硬化性組成物。
<4>熱硬化性化合物がエポキシ化合物である、<1>〜<3>のいずれかに記載の着色硬化性組成物。
<5>熱硬化性化合物が、1分子内にエポキシ基を2つ以上有し、分子量が1000以上である、<1>〜<4>のいずれかに記載の着色硬化性組成物。
<6>黄色色素がアゾ系色素および/またはメチン系色素である、<1>〜<5>のいずれかに記載の着色硬化性組成物。
<7>ハロゲン化フタロシアニン染料が、下記一般式(1)で表される、<1>〜<6>のいずれかに記載の着色硬化性組成物。
一般式(1)
(一般式(1)中、Z1〜Z16は、それぞれ、水素原子または置換基であり、置換基の少なくとも1つは、ハロゲン原子であり、置換基の他の少なくとも1つは、芳香族基を含む基である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
<8>一般式(1)において、Z1〜Z16のうち、1〜8つは、下記一般式(1−2)で表される基または一般式(1−4)で表される基を表し、かつ、少なくとも1つは一般式(1−2)で表される基である、<7>に記載の着色硬化性組成物。
一般式(1−2)
(一般式(1−2)中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、A1は、置換基を有していてもよいフェニル基、または、置換基を有していてもよいナフチル基である。)
一般式(1−4)
(一般式(1−4)中、R'は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R”は炭素数1〜8のアルキル基を表す。n1は0〜4の整数を表す。)
<9>ハロゲン化フタロシアニン染料が下記一般式(1−1)で表される、<1>〜<6>のいずれかに記載の着色硬化性組成物。
一般式(1−1)
(一般式(1−1)中、Z1〜Z16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、下記一般式(1−1−2)で表される基、下記一般式(1−3)で表される基、または、下記一般式(1−4)で表される基を表し、Z1〜Z16のうち、1〜8つは、一般式(1−1−2)で表される基または一般式(1−4)で表される基を表し、少なくとも1つはハロゲン原子であり、かつ、少なくとも1つは一般式(1−1−2)で表される基である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
一般式(1−1−2)
(一般式(1−1−2)中、X1は酸素原子または硫黄原子であり、A11は、1〜5つの置換基Rを有するフェニル基、または1〜7つの置換基Rを有するナフチル基であり、置換基Rは、ニトロ基、COOR1(R1は一般式(1−3)で表される基または炭素数1〜8のアルキル基である)、OR2(R2は炭素数1〜8のアルキル基)、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基、一般式(4)〜(6)のいずれかで表される基、または、一般式(X)から選択される基を表す。)
(一般式(4)中、R4は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、または置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表す。
一般式(5)中、dは0〜2の整数を表し、dが0または1のとき、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基であり、dが2のとき、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、置換基をまたは置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表す。
一般式(6)中、R6およびR7は、それぞれ、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基を表す。)
(一般式(X)中、R11は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。n1は1〜3の整数を表す。n1が2または3の場合、複数のR11は、それぞれ、同じでも異なっても良い。Y1は−O−、−S−、−NR13−(R13は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)、−SO2−、または、−C(=O)−を表す。R12は1価の置換基を表す。)
一般式(1−3)
(一般式(1−3)中、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
一般式(1−4)
(一般式(1−4)中、R'は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R”は炭素数1〜8のアルキル基を表す。n1は0〜4の整数を表す。)
<10><1>〜<9>のいずれかに記載の着色硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする硬化膜。
<11><1>〜<9>のいずれかに記載の着色硬化性組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
<12>着色層の厚さが0.1〜1.0μmである、<11>に記載のカラーフィルタ。
<13><1>〜<9>のいずれかに記載の着色硬化性組成物を用いて着色層を形成する工程、着色層上にフォトレジスト層を形成する工程、露光及び現像することによりフォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程、及びレジストパターンをエッチングマスクとして着色層をドライエッチングする工程を含む、カラーフィルタの製造方法。
<14><11>または<12>に記載のカラーフィルタ、または<13>に記載のカラーフィルタの製造方法により作製されたカラーフィルタを有する液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子または固体撮像素子。
上記課題は、また、下記手段によっても解決された。
<15>上記いずれかの着色硬化性組成物において、ドライエッチング用に用いられる、着色硬化性組成物。
<16>上記いずれかの着色硬化性組成物において、光重合性化合物の配合量が、全固形分の5質量%以下である、着色硬化性組成物。
<17>上記いずれかの着色硬化性組成物において、ハロゲン化フタロシアニン染料の配合量が、全固形分の40〜50質量%以下である、着色硬化性組成物。
<18>上記いずれかの着色硬化性組成物において、ハロゲン化フタロシアニン染料の配合量が、着色剤の55〜80質量%である、着色硬化性組成物。
<19>上記いずれかの着色硬化性組成物において、エポキシ化合物の配合量が、全固形分の5〜40質量%である、着色硬化性組成物。
本発明により、薄膜化しても分光特性に優れ、かつ、耐薬品性および耐熱性の高い着色層パターンを形成できる着色硬化性組成物を提供可能になった。
カラーフィルタ及び固体撮像素子の構成例を示す概略断面図である。 第1着色層の概略断面図である。 第1着色層の上にフォトレジスト層が形成された状態を示す概略断面図である。 第1着色層の上にレジストパターンが形成された状態を示す概略断面図である。 エッチングによって第1着色層に貫通孔群が設けられることにより、第1着色パターンが形成された状態を示す概略断面図である。 図5におけるレジストパターンが除去された状態を示す概略断面図である。 第2着色パターン及び第2着色感放射線性層が形成された状態を示す概略断面図である。 図7における第2着色感放射線性層と、第2着色パターンを構成する第2着色画素の一部とが、除去された状態を示す概略断面図である。 第3着色パターン及び第3着色感放射線性層が形成された状態を示す概略断面図である。 図9における第3着色感放射線性層が除去された状態を示す概略断面図である。 実施例の耐熱性の評価における透明膜の概略断面図である。 実施例の耐熱性の評価における透明膜の概略表面図である。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
尚、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書中において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルを表す。
本発明でいう「着色層」は、カラーフィルタに用いられる画素を意味する。
本発明における染料とは、特定の有機溶剤に可溶する色素化合物を意味する。ここで、特定の有機溶剤とは、例えば、後述するハロゲン化フタロシアニン染料および熱硬化性化合物を少なくとも溶解する溶剤の欄で例示する有機溶剤が挙げられる。従って、これらの少なくとも1種の有機溶剤に溶解する色素化合物は本発明における染料に該当する。
以下、本発明の着色硬化性組成物、カラーフィルタ及びその製造方法、固体撮像素子、液晶表示装置並びに有機EL表示装置について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
本発明の着色硬化性組成物(以下、「本発明の組成物」ということがある)は、少なくともハロゲン化フタロシアニン染料を含む着色剤、熱硬化性化合物、ならびに、ハロゲン化フタロシアニン染料および熱硬化性化合物を少なくとも溶解する溶剤を含み、着色剤の含有量の合計が全固形分に対し60〜90質量%であることを特徴とする。
着色剤としては、ハロゲン化フタロシアニン染料を必須とし、他の着色剤を含んでいてもよく、他の着色剤を含んでいることが好ましい。本発明では、着色剤の合計量が、全固形分に対し65〜85質量%であることが好ましく、70〜80質量%であることがより好ましい。
以下、これらの詳細について説明する。
<ハロゲン化フタロシアニン染料>
本発明の組成物は、ハロゲン化フタロシアニン染料を含む。ハロゲン化フタロシアニン染料は、フタロシアニン骨格を有し、かつ、その置換基としてハロゲン原子を1つ以上含む化合物をいう。本発明では、ハロゲン原子を1分子中に5〜15つ有することが好ましく、6〜14つ有することがより好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示され、塩素原子、フッ素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子またはフッ素原子がより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。
本発明で用いられるハロゲン化フタロシアニン染料は、通常、極大吸収波長を600〜800nmの領域に有し、好ましくは極大吸収波長を630〜750nmの領域に有する化合物である。
本発明で用いるフタロシアニン染料は、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
(一般式(1)中、Z1〜Z16は、それぞれ、水素原子または置換基であり、置換基の少なくとも1つは、ハロゲン原子であり、置換基の他の少なくとも1つは、芳香族基を含む基である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
ここで、一般式(1)における、Z1、Z4、Z5、Z8、Z9、Z12、Z13及びZ16は、フタロシアニン核の8箇所のα位に置換する置換基を表わすため、これらの置換基をα位の置換基とも称する。また、同様に、一般式(1)における、Z2、Z3、Z6、Z7、Z10、Z11、Z14及びZ15は、フタロシアニン核の8箇所のβ位に置換する置換基を表わすため、これらの置換基をβ位の置換基とも称する。
1〜Z16は、それぞれ、水素原子または置換基であり、置換基の少なくとも1つは、ハロゲン原子であり、置換基の他の少なくとも1つは、芳香族基を含む基である。ハロゲン原子を1分子中に5〜15つ有することが好ましく、6〜14つ有することがより好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示され、塩素原子、フッ素原子または臭素原子が好ましく、塩素原子またはフッ素原子がより好ましく、塩素原子がさらに好ましい。芳香族基を含む基(好ましくは、後述する一般式(1−2)で表される基)中の芳香族基は、ベンゼン環基またはナフタレン環基が好ましく、ベンゼン環基がより好ましい。芳香族基を有する基の数は、1分子中、1〜11つであることが好ましく、1〜10つであることがより好ましく、2〜7つであることがさらに好ましい。また、Z1〜Z16は、ハロゲン原子以外の置換基がすべて、芳香族基を有する基である態様も好ましい。
置換基としては、フタロシアニン化合物が染料としての機能を失わない限り特に定めるものではないが、後述する置換基Tが例示される。
一般式(1)において、Z1〜Z16のうち、1〜8つは、下記一般式(1−2)で表される基または一般式(1−4)で表される基を表し、かつ、少なくとも1つは一般式(1−2)で表される基であることが好ましく、より好ましくは、Z1〜Z16のうち、2〜6つが一般式(1−2)で表される基または一般式(1−4)で表される基であり、かつ、少なくとも1つは一般式(1−2)で表される基である。
一般式(1−2)
(一般式(1−2)中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、A1は、置換基を有していてもよいフェニル基、または、置換基を有していてもよいナフチル基である。)
一般式(1−4)
(一般式(1−4)中、R'は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R”は炭素数1〜8のアルキル基を表す。n1は0〜4の整数を表す。)
一般式(1−2)中、Xは酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。Xが酸素原子であると、得られるフタロシアニン化合物の最大吸収波長を短波長側にシフトできる。
1は、置換基を有していてもよいフェニル基、または、置換基を有していてもよいナフチル基であり、1〜5つの置換基を有するフェニル基または1〜7つの置換基を有するナフチル基が好ましく、1〜5つの置換基を有するフェニル基がより好ましい。
一般式(1−2)で表される基は、下記一般式(1−1−2)で表される基であることがより好ましい。
一般式(1−1−2)
(一般式(1−1−2)中、X1は酸素原子または硫黄原子であり、A11は、1〜5つの置換基Rを有するフェニル基、または1〜7つの置換基Rを有するナフチル基であり、置換基Rは、ニトロ基、COOR1(R1は一般式(1−3)で表される基または炭素数1〜8のアルキル基である)、OR2(R2は炭素数1〜8のアルキル基)、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基、一般式(4)〜(6)のいずれかで表される基、または、一般式(X)から選択される基を表す。)
(一般式(4)中、R4は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、または置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表す。
一般式(5)中、dは0〜2の整数を表し、dが0または1のとき、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基であり、dが2のとき、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、置換基をまたは置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表す。
一般式(6)中、R6およびR7は、それぞれ、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基を表す。)
(一般式(X)中、R11は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表す。n1は1〜3の整数を表す。n1が2または3の場合、複数のR11は、ぞれぞれ、同じでも異なっても良い。Y1は−O−、−S−、−NR13−(R13は、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)、−SO2−、または、−C(=O)−を表す。R12は1価の置換基を表す。)
一般式(1−1−2)中、X1は酸素原子または硫黄原子であり、酸素原子が好ましい。X1が酸素原子であると、得られるフタロシアニン化合物の最大吸収波長を短波長側にシフトできる。
11は、1〜5つの置換基を有するフェニル基または1〜7つの置換基を有するナフチル基であり、1〜5つの置換基を有するフェニル基がより好ましい。
フェニル基の置換基数は、1〜5の整数であるが、グラム吸光係数の観点から、より好ましくは1〜3の整数を示し、置換基がハロゲン原子の場合には、置換基数は1〜5の整数のいずれも好ましい。ナフチル基の置換基数は、1〜7の整数であるが、グラム吸光係数(グラム当たりの吸光度)の観点から、1〜5の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、1または2であることがさらに好ましい。
ナフチル基とX1との結合位置は特に限定されず、下記1位(1−ナフチル基)または2位(2−ナフチル基)のいずれであってもよい。
同様にして、置換基のナフタレン環への結合位置もまた、特に制限されない。
例えば、ナフチル基とX1との結合位置が1位(1−ナフチル基)である場合には、置換基のナフタレン環への結合位置は、2位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、耐熱性や溶剤溶解性などを考慮すると、好ましくは2位、3位が好ましく、2位がより好ましい。また、ナフチル基とX1との結合位置が2位(2−ナフチル基)である場合には、置換基のナフタレン環への結合位置は、1位、3位、4位、5位、6位、7位または8位のいずれでもよいが、3位、6位が好ましく、耐熱性や溶剤溶解性などを考慮すると、3位がより好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rは、ニトロ基、COOR1(R1は一般式(1−3)で表される基または炭素数1〜8のアルキル基である)、OR2(R2は炭素数1〜8のアルキル基)、ハロゲン原子、アリール基、シアノ基、炭素数1〜8のアルキル基、一般式(4)〜(6)のいずれかで表される基、または、一般式(X)から選択される基である。
フェニル基またはナフチル基に置換基Rが複数存在する場合、複数のRは、同一であっても異なるものであってもよい。
フェニル基またはナフチル基の置換基RがCOOR1の場合、COOR1におけるR1は、置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基、または下記一般式(1−3)で表される基を表す。
一般式(1−3)
(一般式(1−3)中、R3は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R4は炭素数1〜8のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
1が炭素数1〜8のアルキル基の場合、炭素数1〜8のアルキル基は、溶剤溶解性の点から、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基に場合によっては存在する置換基は、炭素数1〜8のアルキルオキシ基、ハロゲン原子またはアリール基が例示される。
場合によっては存在する、アルキル基の置換基である炭素数1〜8のアルキルオキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、iso−ブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、t−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などの直鎖、分岐又は環状のアルキルオキシ基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜4のアルキルオキシ基が好ましい。場合によっては存在する、アルキル基の置換基であるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられる。これらの中でも、フッ素原子または塩素原子が好ましい。場合によっては存在する、アルキル基の置換基であるアリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基などが挙げられる。これらの中でも、フェニル基が好ましい。これらの置換基は複数個存在していても良く、複数個存在する場合には同種若しくは異種のいずれであっても良く、同種の場合においても同一若しくは異なっていても良い。アルキル基の置換基の数は特に限定されるものではないが、1〜3個であることが好ましく、1または2個であることが好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基RがCOOR1であり、R1が一般式(1−3)で表される基の場合、一般式(1−3)で表される基におけるR3は、エーテル溶剤溶解性への効果の点から1〜3のアルキレン基である。
炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、iso−プロピレン基が挙げられる。好ましくは、エチレン基、プロピレン基である。
また、一般式(1−3)で表される基におけるR4は、分子量の観点から1〜8のアルキル基であり、より好ましくは1〜4のアルキル基である。炭素数1〜8のアルキル基としては、上記R1の欄で記載されたものが挙げられる。一般式(1−3)で表される基におけるnは、分子量の観点から、1〜4の整数であり、1〜3の整数であることが好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基RがOR2の場合、OR2におけるR2は、炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは色素の結晶性、取扱性の良さの点から、炭素数1〜3のアルキル基を示す。
2で表される炭素数1〜8のアルキル基としては、上記置換基Rの一例である、COOR1のR1において、記載したものと同様の置換基が挙げられ、好ましい範囲も同義である。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rがハロゲン原子の場合、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩素原子またはヨウ素原子であることが好ましい。中でも、色素の分子量が小さくなり、グラム吸光係数が高くなるため、塩素原子、フッ素原子が好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rがアリール基の場合、アリール基としては、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−t−ブチルフェニル基、p−クロロフェニル基、等のアリール基が挙げられる。中でも、色素の分子量が小さくなり、グラム吸光係数が高くなるため、フェニル基が好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rがアルキル基の場合、炭素数1〜8のアルキル基としては、上記置換基Rの一例である、COOR1のR1において、記載したものと同様の置換基が挙げられ、好ましい範囲も同義である。
好ましくは、色素の結晶性、取扱性の良さの点から、炭素数1〜3のアルキル基である。
場合によっては存在する、アルキル基の置換基としては、ハロゲン原子が例示され、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が好ましく、フッ素原子または塩素原子がより好ましい。アルキル基の置換基であるハロゲン原子は複数個存在していても良く、複数個存在する場合には同一若しくは異なっていても良い。アルキル基の置換基の数は特に限定されるものではないが、1〜3個であることが好ましい。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rが下記一般式(4)〜(6)から選択される基である場合について説明する。
一般式(4)中のR4は水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基を表し、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、または置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表し、水素原子、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数6〜20のアリール基、総炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、総炭素数12〜20のジアリールアミノ基、または、総炭素数7〜20アルキルアリールアミノ基が好ましく、総炭素数1〜20のアルキル基、総炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、総炭素数12〜20のジアリールアミノ基、または総炭素数7〜20アルキルアリールアミノ基がさらに好ましく、総炭素数12〜20のジアリールアミノ基または総炭素数2〜20のジアルキルアミノ基が特に好ましい。
上記アルキル部位およびアリール部位はさらに置換基を有しても良く、置換基としては、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはハロゲン原子等が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましい。また、置換基を有していない態様も好ましい。
一般式(5)中、dは0〜2の整数を表し、dが0または1のとき、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、または置換基を有してもよいアリール基であり、dが2のとき、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいジアルキルアミノ基、置換基を有してもよいジアリールアミノ基、または置換基を有してもよいアルキルアリールアミノ基を表す。R5は、dが2のとき、炭素数2〜20のジアルキルアミノ基、炭素数12〜20のジアリールアミノ基、炭素数7〜20アルキルアリールアミノ基が好ましい。
上記アルキル部位およびアリール部位はさらに置換基を有しても良く、その置換基は、後述する置換基Tが例示され、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはハロゲン原子等が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましい。また、置換基を有していない態様も好ましい。
一般式(6)中、R6およびR7は、それぞれ、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルキルカルボニル基、置換基を有してもよいアリールカルボニル基、置換基を有してもよいアルキルスルホニル基、置換基を有してもよいアリールスルホニル基を表し、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基が好ましく、炭素数2〜20のアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリールカルボニル基、炭素数1〜20のアルキルスルホニル基、炭素数6〜20のアリールスルホニル基がより好ましい。
上記アルキル部位およびアリール部位はさらに置換基を有しても良く、その置換基は、後述する置換基Tが例示され、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリールチオ基またはハロゲン原子等が好ましく、アルコキシ基がより好ましく、メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましい。また、置換基を有していない態様も好ましい。置換基を有していてもよいアルキル基等の例は、後述する。
上記一般式中の、置換基を有しても良いアルキル基の好適な例を示す。置換基を有してもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基、フェノキシエチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、N−ブチルアミノスルホニルプロピル基、N−ブチルアミノカルボニルメチル基、N,N−ジブチルアミノスルホニルプロピル基、エトキシエトキシエチル基、2−クロロエチル基が挙げられ、さらに好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、フェノキシエチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、N−ブチルアミノスルホニルプロピル基、N−ブチルアミノカルボニルメチル基、N,N−ジブチルアミノスルホニルプロピル基、エトキシエトキシエチル基が挙げられ、特に好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基、フェノキシエチル基、ベンジル基、フェニルエチル基、N−ブチルアミノスルホニルプロピル基、N−ブチルアミノカルボニルメチル基、N,N−ジブチルアミノスルホニルプロピル基、エトキシエトキシエチル基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアリール基の好適な例を示す。この様なアリール基としては、フェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−ブトキシカルボニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノカルボニルフェニル基、4−N−ブチルアミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基が挙げられ、さらに好ましくはフェニル基、4−ブトキシカルボニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノカルボニルフェニル基、4−N−ブチルアミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基が挙げられ、特に好ましくはフェニル基、4−ブトキシカルボニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノカルボニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いジアルキルアミノ基の好適な例を示す。この様なジアルキルアミノ基としては、N,N−ジメチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N,N−ジ(2−エチルヘキシル)アミノ基、N−メチル−N−ベンジルアミノ基、N,N−ジ(2−エトキシエチル)アミノ基、N.N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミノ基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いジアリールアミノ基の好適な例を示す。この様なジアリールアミノ基としては、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(4−メトキシフェニル)アミノ基、N,N−ジ(4−アシルフェニル)アミノ基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアルキルアリールアミノ基の好適な例を示す。この様なアルキルアリールアミノ基としては、N−メチルーN−フェニルアミノ基、N−ベンジル−N−フェニルアミノ基、N−メチル−N−(4−メトキシフェニル)アミノ基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアルキルカルボニル基の好適な例を示す。この様なアルキルカルボニル基としては、アセチル基、プロピルカルボニル基、ヘプチル−3−カルボニル基、2−エチルヘキシルオキシメチルカルボニル基、フェノキシメチルカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルメチルカルボニル基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアリールカルボニル基の好適な例を示す。この様なアリールカルボニル基としては、ベンゾイル基、4−メトキシベンゾイル基、4−エトキシカルボニルベンゾイル基、が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアルキルスルホニル基の好適な例を示す。この様なアルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、オクタンスルホニル基、ドデシルスルホニル基、ベンジルスルホニル基、フェノキシプロピルスルホニル基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアリールスルホニル基の好適な例を示す。この様なアリールスルホニル基としては、フェニルスルホニル基、2−メトキシフェニルスルホニル基、4−エトキシカルボニルフェニルスルホニル基、が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアルキルスルホニルアミノ基の好適な例を示す。この様なアルキルスルホニルアミノ基としては、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、ヒドロキシプロピルスルホニルアミノ基、2−エチルヘキシルスルホニルアミノ基、n−オクチルスルホニルアミノ基、フェノキシエチルスルホニルアミノ基、アリルスルホニルアミノ基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有してもよいビニルスルホニルアミノ基としては、ビニルスルホニルアミノ基、1−メチルビニルスルホニルアミノ基が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアリールスルホニルアミノ基としては、フェニルスルホニルアミノ基、p−メトキシフェニルスルホニルアミノ基、p−エトキシカルボニルスルホニルアミノ基、等が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアルキルカルボニルアミノ基としては、メチルカルボニルアミノ基、2−エチルヘキサノイルアミノ基、n−ヘプチルカルボニルアミノ基、エトキシエトキシメチルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
上記一般式(4)〜(6)中の、置換基を有しても良いアリールカルボニルアミノ基としては、ベンゾイルアミノ基、2−メトキシベンゾイルアミノ基、4−ビニルベンゾイルアミノ基等が挙げられる。
以下に、置換基Tの例を示す。
アルキル基(好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(この好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
上述した置換基が置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによってさらに置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
フェニル基またはナフチル基の置換基Rが、一般式(X)で表される基である場合について説明する。
11は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、水素原子またはメチル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
n1は1〜3の整数を表し、1または2がより好ましい。n1が2または3の場合、複数のR11は同じでも異なっても良い。
1は−O−、−S−、−NR13−、−SO2−、または、−C(=O)−を表し、−O−、−SO2−、または、−C(=O)−が好ましく、−O−または−C(=O)−がより好ましい。
12は1価の置換基を表し、置換基としては、上記の置換基Tが例示され、これらの置換基Tは、さらに、置換基Tによって置換されていてもよい。R12は好ましくは、置換基を有しても良いアルキル基、置換基を有しても良いアシル基、置換基を有しても良いスルホニル基、置換基を有しても良いアルコキシ基、または置換基を有しても良いアルキルアミノ基であり、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキルアミノ基である。
1分子あたりのR12の部分の質量は、200〜2500であることが好ましく、250〜1500であることがより好ましい。
13は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。
上述した1価の基がさらに置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによってさらに置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
次に、一般式(1−4)について説明する。
一般式(1−4)において、R’はエーテル溶解性への効果と分子量の点から、炭素数1〜3のアルキレン基である。炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、iso−プロピレン基が挙げられる。好ましくは、エチレン基、プロピレン基である。
R”はエーテル溶解性への効果と分子量の点から、炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは1〜2のアルキル基である。1〜8のアルキル基としては、一般式(1−3)におけるR3と同義であり、好ましい範囲も同義である。
n1は、エーテル溶解性への効果と分子量の観点から、0〜4の整数であり、1〜2の整数であることがより好ましい。
次に、一般式(1)の中心部分であるMについて述べる。一般式(1)において、Mは、2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。また、金属原子としては、鉄、マグネシウム、ニッケル、コバルト、銅、パラジウム、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、錫等が挙げられる。金属酸化物としては、チタニル、バナジル等が挙げられる。金属ハロゲン化物としては、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化ゲルマニウム、塩化錫(II)、塩化錫(IV)、塩化珪素等が挙げられる。好ましくは、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物であり、具体的には、銅、亜鉛、コバルト、ニッケル、鉄、バナジル、チタニル、塩化インジウム、塩化錫(II)であり、より好ましくは銅、バナジル及び亜鉛であり、さらに好ましくは亜鉛、銅であり、最も好ましくは亜鉛である。中心金属が亜鉛、銅であると、耐熱性が高いため好ましい。また、中心金属が亜鉛であると、銅の場合よりも緑色の波長である520nm〜545nm付近の透過率が高くカラーフィルタにした際に輝度が向上できるので特に好ましい。また、アセトン、メタノール、メチルセルソルブといった汎用性溶剤に対する溶剤溶解性が高く、また樹脂に対する溶解性が高くコントラストが高くなるため、特に好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1−1)で表されることがより好ましい。
一般式(1−1)
(一般式(1−1)中、Z1〜Z16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、一般式(1−1−2)で表される基、一般式(1−3)で表される基、または、一般式(1−4)で表される基を表し、Z1〜Z16のうち、1〜8つは、一般式(1−1−2)で表される基または一般式(1−4)で表される基を表し、少なくとも1つはハロゲン原子であり、かつ、少なくとも1つは一般式(1−1−2)で表される基である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
一般式(1−1)における一般式(1−1−2)、一般式(1−3)、一般式(1−4)は、上記一般式(1)で説明した一般式(1−1−2)、一般式(1−3)、一般式(1−4)と同義であり、好ましい範囲も同義である。従って、一般式(1−1)におけるZ1〜Z16は、それぞれ、一般式(1)のZ1〜Z16は、同じ範囲がより好ましい。
一般式(1−1)のMは、上記一般式(1)におけるMと同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(1−1)中におけるZ1〜Z16は、一般式(1−1−2)または一般式(1−4)で表される基を有することが好ましい。一般式(1−1−2)中のA11は、1〜5つの置換基Rを有するフェニル基であり、置換基Rが、COOR1(R1は一般式(1−3)で表される基)、一般式(4)、一般式(5)、一般式(6)または一般式(X)で表される基、および−COOHから選択される基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、下記一般式(1−5)で表されることも好ましい。下記一般式(1−5)で表される化合物を含むことにより、耐薬品性をより向上させることができる。
(一般式(1−5)中、Z1〜Z16は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、一般式(1−5−1)で表される基を表し、Z1〜Z16のうち、少なくとも1つが、(1−5−1)で表される基を表し、かつ、少なくとも1つがハロゲン原子である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
一般式(1−5−1)
(一般式(1−5−1)中、L1は2価の連結基を表し、Arはアリーレン基を表し、Aは下記一般式(1−5−2)で表される基を表す。*はフタロシアニン環との結合する部位を表す。)
一般式(1−5−2)
(一般式(1−5―2)中、L2は単結合または2価の連結基を表す。R5〜R7は、それぞれ、水素原子または1価の置換基を表す。*は一般式(1−5―1)中のArとの結合する部位を表す。)
一般式(1−5−1)中、L1は2価の連結基を表す。L1は、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH2−、−C(=S)−、−NRA−、−SO−、−SO2−の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基が好ましく、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH2−、−SO2−の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基がより好ましく、−O−または−S−がさらに好ましく、−O−が特に好ましい。
上記RAは、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基など)であり、アリール基は、炭素数6〜10のアリール基(フェニル基、ナフチル基など)である。RAは、水素原子、メチル基またはエチル基が好ましく、水素原子またはメチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
一般式(1−5−1)中、Arはアリーレン基を表す。ここでのアリーレン基は、いわゆる芳香環基をいい、複素環基は含まない。Arは、フェニレン基、ナフチレン基が好ましく、フェニレン基またはナフチレン基がより好ましく、フェニレン基がさらに好ましい。
一般式(1−5−2)中、L2は2価の連結基であることが好ましい。2価の連結基としては、−O−、−S−、−C(=O)−、−CH2−、−CH(OH)−、−C(=S)−、−NRB−、−SO−、−SO2−の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基であることが好ましく、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH(OH)−、−NRB−の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる2価の連結基であることがより好ましい。
一般式(1−5−2)は、アクリル酸エステル構造またはメタクリル酸エステル構造を有することが好ましい。例えば、一般式(1−5−2)中、L2が二重結合側にC(=O)O−構造を有することが好ましい。
Bは、上記RAと同義であり、好ましい範囲も同義である。
一般式(1−5−2)中、R5〜R7は、それぞれ、水素原子または1価の置換基を表す。1価の置換基は、上述の置換基Tが挙げられ、アルキル基が好ましく、炭素数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基)などがより好ましい。R5〜R7は、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、R6およびR7は水素原子が特に好ましく、R5は水素原子またはメチル基が特に好ましい。
特に、一般式(1−5−2)が、*−L2A−(メタ)アクリロイルオキシ基で表されることが好ましい。L2Aは、上記2価の連結基と同義であり、−O−、−C(=O)−、−CH2−、−CH(OH)−、−NRB−の1つまたは2つ以上の組み合わせからなる基であることがより好ましい。
以下に本発明で用いられる一般式(1)および一般式(1−1)における、Z1〜Z16の例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に本発明で用いられるフタロシアニン化合物の例を挙げるが、本発明がこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
下記表は下記一般式に示される置換基とその数を表す。
下記表中のArは下記構造を表す。
上記式において、Phはフェニル基である。
上記において、Pcはフタロシアニン核を表わし、Znは中心金属を表わし、Pcのすぐ後にα位に置換する置換基を表わし、そのα位に置換する置換基の後にβ位に置換する置換基を表わし、置換位置に依らない置換基を表わす。x、yは置換基数が0以上の正数となる正数である。
フタロシアニン化合物は置換位置や置換数が異なる混合物となるため、構造式として一義的に記述することが難しい。また、次の表で示す置換数は混合物中の置換基の数の平均値が近似された値であり、少数も取り得る。
ハロゲン化フタロシアニン化合物の製造方法
本発明で用いるフタロシアニン化合物の製造方法は、特に制限されるものではなく、従来公知の方法を利用することができる。好ましくは溶融状態または有機溶剤中で、フタロニトリル化合物と金属塩とを環化反応する方法が特に好ましく使用できる。以下、フタロシアニン化合物の製造方法の好ましい実施形態を記載する。しかしながら、本発明は、下記好ましい実施形態に制限されるものではない。
すなわち、下記式(I):
で表されるフタロニトリル化合物(1)、下記式(II):
で表されるフタロニトリル化合物(2)、下記式(III):
で表されるフタロニトリル化合物(3)、および下記式(IV):
で表されるフタロニトリル化合物(4)を、金属原子、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属(本明細書中では、一括して「金属化合物」とも称する)からなる群から選ばれる一種と環化反応させることによって、フタロシアニン化合物が製造できる。
なお、上記式(I)〜(IV)中、Z1〜Z16は、所望のフタロシアニン化合物(1)の構造によって規定される。具体的には、上記式(I)〜(IV)中、Z1〜Z16は、それぞれ、上記式(1)中のZ1〜Z16の定義と同様であるため、ここでは説明を省略する。
環化反応は、特開昭64−45474号公報に記載の方法などの、従来公知方法により合成できる。
上記態様において、環化反応は、式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物と金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属からなる群から選ばれる一種を溶融状態または有機溶剤中で反応させることが好ましい。この際使用できる金属、金属酸化物、金属カルボニル、金属ハロゲン化物及び有機酸金属としては、反応後に得られるフタロシアニン化合物の中新聞(一般式(1)のM)に相当するものが得られるものであれば、特に制限されるものではない。従って、上記一般式(1)におけるMの項で列挙された鉄、銅、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム及びスズ等の金属、当該金属の、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物、酸化バナジウム、酸化チタニル及び酸化銅等の金属酸化物、酢酸塩等の有機酸金属、ならびにアセチルアセトナート等の錯体化合物及びカルボニル鉄等の金属カルボニル等が挙げられる。具体的には、鉄、銅、亜鉛、バナジウム、チタン、インジウム、マグネシウム及びスズ等の金属;当該金属の、塩化物、臭化物、ヨウ化物等の金属ハロゲン化合物、例えば、塩化バナジウム、塩化チタン、塩化銅、塩化亜鉛、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化鉄、塩化インジウム、塩化アルミニウム、塩化錫、塩化ガリウム、塩化ゲルマニウム、塩化マグネシウム、ヨウ化銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化コバルト、ヨウ化インジウム、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化ガリウム、臭化銅、臭化亜鉛、臭化コバルト、臭化アルミニウム、臭化ガリウム;一酸化バナジウム、三酸化バナジウム、四酸化バナジウム、五酸化バナジウム、二酸化チタン、一酸化鉄、三二酸化鉄、四三酸化鉄、酸化マンガン、一酸化ニッケル、一酸化コバルト、三二酸化コバルト、二酸化コバルト、酸化第一銅、酸化第二銅、三二酸化銅、酸化バラジウム、酸化亜鉛、一酸化ゲルマニウム、及び二酸化ゲルマニウム等の金属酸化物;酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、安息香酸銅、安息香酸亜鉛等の有機酸金属;ならびにアセチルアセトナート等の錯体化合物及びコバルトカルボニル、鉄カルボニル、ニッケルカルボニル等の金属カルボニルなどが挙げられる。これらのうち、好ましくは金属、金属酸化物及び金属ハロゲン化物であり、より好ましくは金属ハロゲン化物であり、さらに好ましくは、ヨウ化バナジウム、ヨウ化銅およびヨウ化亜鉛であり、特に好ましくは、ヨウ化銅およびヨウ化亜鉛であり、最も好ましくはヨウ化亜鉛である。ヨウ化亜鉛を用いる場合、中心金属は、亜鉛ということになる。金属ハロゲン化物のうち、ヨウ化物を用いることが好適な理由は、溶剤や樹脂に対する溶解性に優れ、得られるフタロシアニン化合物のスペクトルがシャープであり、所望の波長である640〜750nmに収まりやすいためである。環化反応の際にヨウ化物を用いた場合にスペクトルがシャープになる詳細なメカニズムは不明であるが、ヨウ化物を用いた場合、反応後にフタロシアニン化合物中に残存するヨウ素が、フタロシアニン化合物と何らかの相互作用を起こして、フタロシアニン化合物の層間にヨウ素が存在するようになるためであると推定される。しかしながら、上記メカニズムに限定されるものではない。環化反応に金属ヨウ化物を用いた場合と同様の効果を得るために、得られたフタロシアニン化合物をヨウ素で処理してもよい。
また、上記態様において、また、環化反応は、無溶剤中でも行なえるが、有機溶剤を使用して行なうのが好ましい。有機溶剤は、出発原料としてのフタロニトリル化合物との反応性の低い、好ましくは反応性を示さない不活性な溶剤であればいずれでもよく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン、モノクロロベンゼン、o−クロロトルエン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、エチレングリコール、およびベンゾニトリル等の不活性溶剤;メタノール、エタノール、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル、1−ブタノール、1−ヘキサノール、1−ペンタノール、1−オクタノール等のアルコール;ならびにピリジン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルアセトフェノン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジメチルスルホキシド、スルホラン等の非プロトン性極性溶剤等が挙げられる。
これらのうち、好ましくは、1−クロロナフタレン、1−メチルナフタレン、1−オクタノール、ジクロロベンゼンおよびベンゾニトリルが、より好ましくは、1−オクタノール、ジクロロベンゼンおよびベンゾニトリルが使用される。これらの溶剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記態様における式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物と金属化合物との反応条件は、当該反応が進行する条件であれば特に制限されるものではないが、例えば、有機溶剤100質量部に対して、上記式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物を1〜500質量部、好ましくは10〜350質量部の範囲の合計量で、かつ金属化合物を該フタロニトリル化合物4モルに対して、好ましくは0.8〜2.0モル、より好ましくは0.8〜1.5モルの範囲で仕込む。環化の際は、特に限定されるものではないが、好ましくは反応温度30〜250℃、より好ましくは80〜200℃の範囲で反応させる。反応時間は、特に限定されるものではないが、好ましくは3〜20時間である。なお、反応後は、従来公知のフタロシアニン化合物の合成方法に従って、ろ過、洗浄、乾燥することにより、次工程に用いることのできるフタロシアニン化合物を効率よく、しかも高純度で得ることができる。
上記態様において、出発原料である式(I)〜(IV)のフタロニトリル化合物は、従来既知の方法により合成でき、また、市販品を用いることもできる。
<ハロゲン化フタロシアニン多量体>
本発明に用いるハロゲン化フタロシアニン染料は、多量体(ハロゲン化フタロシアニン多量体)であってもよい。本明細書において多量体とは、ハロゲン化フタロシアニン構造を2以上含む化合物であり、二量体、三量体又はポリマーなどの構造を包含する。
ハロゲン化フタロシアニン多量体は、下記一般式(A)、一般式(B)、及び、一般式(C)で表される構成単位の少なくとも一つを含んでなるハロゲン化フタロシアニン多量体、又は、一般式(D)で表されるハロゲン化フタロシアニン多量体が好ましい。
一般式(A)で表される構成単位
一般式(A)中、X1は重合によって形成される連結基を表し、L1は単結合又は2価の連結基を表す。DyeIはハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造を表す。
上記一般式(A)中、X1は重合によって形成される連結基を表す。すなわち重合反応で形成される主鎖に相当する繰り返し単位を形成する部分を指す。なお、2つの*で表された部位が繰り返し単位となる。X1としては、公知の重合可能なモノマーから形成される連結基であれば得に制限ないが、特に下記(XX−1)〜(X−24)で表される連結基が好ましく、(XX−1)及び(XX−2)で表される(メタ)アクリル系連結鎖、(XX−10)〜(XX−17)で表されるスチレン系連結鎖、及び(XX−24)で表されるビニル系連結鎖であることが最も好ましい。(XX−1)〜(X−24)中、*で示された部位でL1と連結していることを表す。Meはメチル基を表す。また、(XX−18)及び(XX−19)中のRは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又はフェニル基を表す。
一般式(A)中、L1は単結合又は2価の連結基を表す。L1が2価の連結基を表す場合の該2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−C(=O)−、−CO2−、−NR−、−CONR−、−O2C−、−SO−、−SO2−及びこれらを2個以上連結して形成される連結基を表す。ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
一般式(A)中、DyeIはハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造、すなわち、ハロゲン化フタロシアニン多量体におけるハロゲン化フタロシアニンに由来する部分構造を表す。
一般式(A)についての詳細は、特開2013−29760号公報の段落0138〜0152を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一般式(B)で表される構成単位
一般式(B)中、X2は上記一般式(A)中のX1と同義である。L2は上記一般式(A)中のL1と同義である。Y2はDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基を表す。DyeIIはハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造を表す。
一般式(B)中、X2は上記一般式(A)中のX2と同義であり、好ましい範囲も同様である。L2は上記一般式(A)中のL1と同義であり、好ましい範囲も同様である。Y2はDyeIIとイオン結合もしくは配位結合可能な基であればよく、アニオン性基又はカチオン性基のどちらでもよい。アニオン性基としては、COO-、PO3-、SO3 -、−SO3NH-、−SO3-CO−等が挙げられるが、COO-、PO3-、SO3 -が好ましい。
カチオン性基としては、置換又は無置換のオニウムカチオン(例えば、アンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム及びホスホニウム等)が挙げられ、特にアンモニウムカチオンが好ましい。
2は、DyeIIが有しているアニオン部(COO-、SO3 -、O-等)やカチオン部(上記オニウムカチオンや金属カチオン等)と結合することが出来る。
一般式(B)の詳細については、特開2013−29760号公報の段落0156〜0161を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一般式(C)で表される構成単位
一般式(C)中、L3は単結合又は2価の連結基を表す。DyeIIIは、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造を表す。mは0又は1を表す。
上記一般式(C)中、L3で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換の直鎖、分岐もしくは環状アルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−,及び、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。mは0又は1を表すが、1であることが好ましい。
以下に一般式(C)中のL3で表される2価の連結基として好適に使用される具体例を記載するが、本発明のL3としてはこれらに限定されるものではない。
一般式(C)の詳細については、特開2013−29760号公報の段落0165〜0167を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一般式(D)で表されるハロゲン化フタロシアニン多量体
(一般式(D)中、L4はn価の連結基を表す。nは2〜20の整数を表す。nが2以上のときは、DyeIVの構造は同じであっても異なっていてもよい。DyeIVは、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造を表す。)
上記一般式(D)中、nは好ましくは3〜15であり、特に好ましくは3〜6である。
一般式(D)において、nが2の場合、L4で表される2価の連結基としては、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキレン基(例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基など)、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリーレン基(例えば、フェニレン基、ナフタレン基等)、置換もしくは無置換のヘテロ環連結基、−CH=CH−、−O−、−S−、−NR−(Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。)、−C(=O)−、−SO−、−SO2−,及び、これらを2個以上連結して形成される連結基が好適に挙げられる。
nが3以上のn価の連結基は、置換もしくは無置換のアリーレン基(1,3,5−フェニレン基、1,2,4−フェニレン基、1,4,5,8−ナフタレン基など)、へテロ環連結基(例えば、1,3,5−トリアジン基など)、アルキレン連結基等を中心母核とし、上記2価の連結基が置換して形成される連結基が挙げられる。
以下に一般式(D)中のL4の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(D)の詳細については、特開2013−29760号公報の段落0173〜0178を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
一般式(A)、一般式(B)及び一般式(C)のうちいずれかで表される構成単位を有するハロゲン化フタロシアニン多量体、及び、一般式(D)で表されるハロゲン化フタロシアニン多量体のうち、一般式(A)及び一般式(C)で表される構成単位を有するハロゲン化フタロシアニン多量体、及び一般式(D)で表されるハロゲン化フタロシアニン多量体は、共有結合で連結されているため、ハロゲン化フタロシアニン多量体を含有する着色硬化性組成物は耐熱性に優れ、着色硬化性組成物を複数色の着色パターン形成に適用した場合において、隣接する他の着色パターンへの色移り抑制に効果があるため好ましい。また、特に一般式(A)で表される化合物は、ハロゲン化フタロシアニン多量体の分子量の制御がし易く好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン多量体は、上述したハロゲン化フタロシアニン多量体のハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造部分に他の官能基を有していても良い。他の官能基としては、重合性基、酸基およびアルカリ可溶性基(例えば、カルボン酸、スルホン酸、リン酸及びフェノール性水酸基)等が例示される。
また、ハロゲン化フタロシアニン多量体は、上述したハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造を含む繰り返し単位の他に、他の繰り返し単位を含んでいても良い。他の繰り返し単位は、官能基を有していても良い。他の繰り返し単位としては、重合性基、酸基およびアルカリ可溶性基の少なくとも1種を含む繰り返し単位が例示される。すなわち、ハロゲン化フタロシアニン多量体は、上記一般式(A)〜(D)で表される繰り返し単位のほかに、他の繰り返し単位を有していてもよい。他の繰り返し単位は、1つのハロゲン化フタロシアニン多量体中に、1種類のみ含まれていても良いし、2種類以上含まれていてもよい。
また、ハロゲン化フタロシアニン多量体は、上記一般式(A)〜(D)で表されるハロゲン化フタロシアニン多量体中に、他の官能基を有していても良い。
ハロゲン化フタロシアニン多量体は、重合性基を含むことが好ましい。重合性基は1種類のみ含んでいても良いし、2種類以上含んでいても良い。
重合性基は、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造が重合性基を含んでいても良いし、他の部分が含んでいても良い。本発明では、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造が重合性基を含むことが好ましい。
また、本発明では、ハロゲン化フタロシアニン骨格を含む構造以外の他の部分が重合性基を含む態様も好ましい。
重合性基としては、ラジカル、酸、熱により架橋可能な公知の重合性基を用いることができる。例えば、エチレン性不飽和結合を含む基、環状エーテル基(エポキシ基、オキセタン基)、メチロール基等が挙げられる。特にエチレン性不飽和結合を含む基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がさらに好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルおよび3,4−エポキシーシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート由来の(メタ)アクリロイル基がさらに好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン多量体は、ラジカル重合性基を1つ有するハロゲン化フタロシアニン化合物に由来する繰り返し単位を有する重合体であることが好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン多量体は、エポキシ基を有することも好ましい。エポキシ基を有するハロゲン化フタロシアニン多量体としては、例えばラジカル重合性基を1つ有するハロゲン化フタロシアニン化合物に由来する繰り返し単位と、エポキシ基を有するラジカル重合性モノマー(例えばグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなど)に由来する繰り返し単位を有する重合体が挙げられる。
重合性基の導入方法としては、例えば、特開2013−29760号公報の段落0180〜0188を参酌することができ、この内容は本願明細書に組み込まれる。
例えば、エチレン性不飽和二重結合を有するハロゲン化フタロシアニン多量体を得る方法は、ラジカル重合性基を1つ有するハロゲン化フタロシアニン化合物と、反応性基を有するラジカル重合性モノマーを含むモノマー混合物をラジカル重合して得られる重合体に対して、反応性基と反応する基とエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を付加させる方法が挙げられる。
上記反応性基としては、例えばカルボキシル基、ヒドロキシ基などが挙げられる。上記反応性基を有するラジカル重合性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートなどが挙げられる。
上記反応性基と反応する基としては、例えば、エポキシ基、イソシアネート基などが挙げられる。
上記エチレン性不飽和二重結合を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどが挙げられる。
ハロゲン化フタロシアニン多量体が有する重合性基量は、染料1gに対し0.1mmol〜2.0mmolであることが好ましく、0.2mmol〜1.5mmolであることがさらに好ましく、0.3mmol〜1.0mmolであることが特に好ましい。
ハロゲン化フタロシアニン多量体の重量平均分子量は、2,000〜20,000であることが好ましく、3,000〜15,000であることがさらに好ましく、4,000〜10,000であることが最も好ましい。また、ハロゲン化フタロシアニン多量体の重量平均分子量/数平均分子量の比は1.0〜3.0であることが好ましく、1.6〜2.5であることがさらに好ましく、1.6〜2.0であることが最も好ましい。重合体の重量平均分子量及び分散度は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてTSKgel Super AWM―H(東ソー(株)製、6.0mmID×15.0cmを、溶離液として10mmol/L リチウムブロミドNMP(N−メチルピロリジノン)溶液を用いることによって求めることができる。
本発明の組成物におけるハロゲン化フタロシアニン染料の配合量は、全固形分に対し、好ましくは20〜70質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましく、40〜50質量%であることが特に好ましい。
また、ハロゲン化フタロシアニン染料が多量体である場合、本発明の組成物におけるハロゲン化フタロシアニン染料の多量体の配合量は、全固形分に対し、45〜55質量%であることが好ましい。
また、本発明の組成物に含まれる着色剤のうち、ハロゲン化フタロシアニン染料の配合量は、55〜80質量%であることが好ましく、60〜75質量%であることがより好ましい。
さらにまた、本発明の組成物における、ハロゲン原子を含まないフタロシアニン化合物(以下、「非ハロゲン化フタロシアニン化合物」ということがある)の配合量は、全固形分に対し、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましい。このような範囲とすることにより、本発明の効果がより効果的に発揮される。
<他の着色剤>
本発明の組成物は、ハロゲン化フタロシアニン化合物に加えて、他の着色剤を含んでいてもよく、他の着色剤を含んでいる方が好ましい。他の着色剤としては、黄色色素が好ましく用いられ、染料でも顔料でも、染料と顔料の混合系よいが、分散剤を用いなくても組成物優に均一に溶解した状態の組成物を得ることができる観点から好ましくは染料である。
顔料としては、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を挙げることができる。また、無機顔料であれ有機顔料であれ、高透過率であることが好ましいことを考慮すると、平均粒子径がなるべく小さい顔料の使用が好ましく、ハンドリング性をも考慮すると、上記顔料の平均粒子径は、0.01μm〜0.1μmが好ましく、0.01μm〜0.05μmがより好ましい。
本発明において好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し本発明は、これらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214
これら有機顔料は、単独若しくは色純度を上げるため種々組合せて用いることができる。
本発明において、着色剤が染料である場合には、組成物中に均一に溶解した状態の着色硬化性組成物を得ることができる。染料としては特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。
化学構造としては、例えば、アゾ系(例えば、C.I.solvent yellow 162)、メチン系(C.I.solvent yellow 93)などが挙げられる。
メチン系染料としては、モノメチン染料が好ましく、下記一般式(5)で表されるモノメチン染料がより好ましい。
(一般式(5)中、R11は、それぞれ、アルキル基またはビニル基を表し、R12は、それぞれ、置換基を有する芳香族環基を表す。)
11は炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
12は、フェニル基、ナフチル基が好ましく、置換基としては、アルキルスルホニルアミノ基、ビニルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルカルボニルアミノ基、ビニルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基が好ましく、特にアルキルスルホニルアミノ基が好ましいが好ましい。炭素数1〜12アルキル基は、不飽和結合を有しても良く、その様な置換基としては、アリルスルホニルアミノ基が挙げられる。
また、着色剤としては、酸性染料及び/又はその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、 acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,38,40、42,54,65,72,73,76,79,98,99,111,112,113,114,116,119,123,128,134,135,138,139,140,144,150、155,157,160,161,163,168,169,172,177,178,179,184,190,193,196,197,199,202,203,204,205,207,212,214,220,221,228,230,232,235,238,240,242,243,251;
Direct Yellow 2,33,34,35,38,39,43,47,50,54,58,68,69,70,71,86,93,94,95,98,102,108,109,129,136,138,141;;Food Yellow 3; Mordant Yellow 5,8,10,16,20,26,30,31,33,42,43,45,56,50,61,62,65;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
本発明で用いる黄色色素は、特に、アゾ系色素および/またはメチン系色素が好ましい。
<顔料分散物>
本発明の組成物の調整に顔料を用いる場合には、顔料分散物としておくことが好ましい態様である。顔料の分散性を向上させる観点から、さらに顔料分散剤を添加することが好ましい。
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
高分子分散剤は顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用する。そのため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましい構造として挙げることができる。
一方で、顔料誘導体は顔料表面を改質することで、高分子分散剤の吸着を促進させる効果を有する。
本発明に用いうる顔料分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル者製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」等が挙げられる。
また、特開2011−070156号公報の段落番号0028〜0124に記載の分散剤や特開2007−277514号公報に記載の分散剤も好ましく用いられ、これらの内容は本願明細書に組み込まれる。
これらの顔料分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。
本発明の組成物における顔料分散剤の含有量としては、着色剤である顔料100質量部に対して、1〜80質量部であることが好ましく、5〜70質量部がより好ましく、10〜60質量部であることが更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、質量換算で5〜100質量部の範囲が好ましく、10〜80質量部の範囲であることがより好ましい。
また、顔料誘導体を併用する場合、顔料誘導体の使用量としては、顔料100質量部に対し、質量換算で1〜30質量部の範囲にあることが好ましく、3〜20質量部の範囲にあることがより好ましく、5〜15質量部の範囲にあることが特に好ましい。
−顔料誘導体−
着色剤として顔料を含有する場合、顔料に対する分散樹脂の吸着性を上げるため、更に、顔料誘導体を含有することが好ましい。顔料誘導体とは、有機顔料の一部分を、酸性基、塩基性基又はフタルイミドメチル基で置換した構造を有する化合物である。顔料誘導体としては、分散性及び分散安定性の観点から、酸性基又は塩基性基を有する顔料誘導体を含有することが好ましい。
顔料誘導体を構成するための有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、金属錯体系顔料等が挙げられる。
また、顔料誘導体が有する酸性基としては、スルホン酸、カルボン酸及びその4級アンモニウム塩が好ましく、カルボン酸基及びスルホン酸基がさらに好ましく、スルホン酸基が特に好ましい。顔料誘導体が有する塩基性基としては、アミノ基が好ましく、特に三級アミノ基が好ましい。
顔料誘導体としては、特に、キノリン系、ベンズイミダゾロン系及びイソインドリン系の顔料誘導体が好ましく、キノリン系及びベンズイミダゾロン系の顔料誘導体がさらに好ましい。特に、下記構造を有する顔料誘導体が好ましい。
一般式(P)中、Aは、下記一般式(PA−1)〜(PA−3)から選ばれる部分構造を表す。Bは単結合、又は(t+1)価の連結基を表す。Cは、単結合、−NH−、−CONH−、−CO2−、−SO2NH−、−O−、−S−又は−SO2−を表す。Dは、単結合、アルキレン基、シクロアルキレン基又はアリーレン基を表す。Eは、−SO3H、−SO3M(Mはアルカリ金属原子を表す)、−CO2H又は−N(Rpa)(Rpb)を表す。Rpa及びRpbは、各々独立して、アルキル基又はアリール基を表し、Rpa及びRpbは互いに連結して環を形成してもよい。tは1〜5の整数を表す。
一般式(PA−1)及び(PA−2)中、Rp1は、炭素数1〜5のアルキル基又はアリール基を表す。一般式(PA−3)中、Rp2は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はヒドロキシル基を表す。sは、1〜4の整数を表す。sが2以上の場合、複数のRp2は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。一般式(PA−1)及び一般式(PA−3)中、Rp3は、単結合、−NH−、−CONH−、−CO2−、−SO2NH−、−O−、−S−又は−SO2−を表す。*はBとの連結部を表す。
一般式(P)中、Rp1は、特にメチル基又はフェニル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。一般式(PA−3)中、Rp2は、水素原子又はハロゲン原子が好ましく、水素原子又は塩素原子が最も好ましい。
一般式(P)中、Bで表される(t+1)価の連結基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリーレン基及びヘテロアリーレン基が挙げられる。これらのうちでも、特に、下記構造式(PA−4)〜(PA−9)で表される連結基が好ましい。
構造式(PA−4)〜(PA−9)のうちでも、特にBとして、構造式(PA−5)又は(PA−8)で表される連結基を有する顔料誘導体が、分散性により優れることから好ましい。
一般式(P)中、Dで表されるアルキレン基、シクロアルキレン基及びアリーレン基としては、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキシレン、デシレン、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロオクチレン、シクロデシレン、フェニレン、ナフチレン等が挙げられる。これらのうちでも、Dとしては、特にアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレンが最も好ましい。
一般式(P)中、Eが−N(Rpa)(Rpb)を表す場合に、Rpa及びRpbにおけるアルキル基及びアリール基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。Rpa及びRpbとしては、特にアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基が最も好ましい。上記tは1又は2が好ましい。
以下に、顔料誘導体の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中、Mは、アルカリ金属(Na,K等)を表す。
上記顔料誘導体のうち、(A−1)、(A−2)、(A−5)、(A−9)、(A−10)、(A−11)、(A−19)、(A−20)、(A−21)、(A−22)、(A−23)、(A−24)及び(A−25)が好ましく、(A−1)、(A−2)、(A−9)、(A−10)及び(A−23)がさらに好ましい。
本発明の着色硬化性組成物における顔料誘導体の含有量は、顔料の全質量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜20質量%がさらに好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
−溶剤−
顔料分散物における溶剤としては、一般の顔料分散性組成物に用いられる有機溶剤であれば特に限定されない。例えば、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレンなどの溶剤を挙げることができ、融点や粘度、顔料の分散性を調整するためにこれらのうち複数を併用することも可能である。
顔料分散物における溶剤の含有量は、顔料分散物の用途などに応じて適宜選択される。
顔料分散物が後述する着色硬化性組成物の調製に用いられる場合には、取り扱い性の観点から、顔料と顔料分散剤との総和が顔料分散物の溶剤を除いた総質量に対して5〜50質量%となるように含有することができる。
上記着色剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で使用でき、本発明の着色硬化性組成物の全固形分に対して、10〜55質量%であることが好ましく、15〜45質量%であることがより好ましい。また、吸収強度比(450nmの吸収/650nmの吸収)が、0.95〜1.05の範囲となるように、着色硬化性組成物に添加されることが好ましい。
<熱硬化性化合物>
本発明の組成物は、熱硬化性化合物を少なくとも一種を含有する。ここで、熱硬化性化合物とは、加熱により膜硬化が行なえるものをいい、通常、180℃以上の加熱で硬化する化合物をいう。
本発明で用いる熱硬化性化合物は、例えば、熱硬化性官能基を有する化合物を用いることができる。熱硬化性官能基としては、例えば、エポキシ基、メチロール基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、ビニル基、及びメルカプト基から選ばれる少なくとも1つの基を有するものが好ましい。熱硬化性化合物としては、一分子内に熱硬化性官能基を2つ以上で有するものがより好ましく、1分子内にエポキシ基を2つ以上有する化合物がさらに好ましい。
また、本発明で用いる熱硬化性化合物は、エポシキ化合物、メラミン化合物(例えば、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化メラミン化合物)、ウレア化合物(例えば、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化ウレア化合物)、フェノール化合物(例えば、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール化合物または樹脂、及びアルコキシメチルエーテル化フェノール化合物)等が好ましい例として挙げられ、エポキシ化合物、メラミン化合物がより好ましく、エポキシ化合物がさらに好ましい。
本発明で用いる熱硬化性化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2000未満、さらには、分子量1000未満)でもよいし、高分子化合物(例えば、分子量1000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1000以上)のいずれでもよい。本発明では、分子量1000以上のものが好ましく、2000〜100000のものがより好ましい。本発明では特に、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有し、分子量が1000以上の化合物が好ましい。
<エポキシ化合物>
エポキシ化合物が低分子化合物の場合、下記一般式(EP1)で表される化合物が挙げられる。
式(EP1)中、REP1〜REP3は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基を表し、該アルキル基は、環状構造を有するものであってもよく、また、置換基を有していてもよい。またREP1とREP2、REP2とREP3は、互いに結合して環構造を形成していてもよい。アルキル基が有していてもよい置換基としては例えば、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルチオ基、アルキルスルホン基、アルキルスルホニル基、アルキルアミノ基、アルキルアミド基、などが挙げられる。
EPは単結合若しくはnEP価の有機基を表す。REP1〜REP3は、QEPとも結合して環構造を形成していても良い。
EPは2以上の整数を表し、好ましくは2〜10、更に好ましくは2〜6である。但しQEPが単結合の場合、nEPは2である。
EPがnEP価の有機基の場合、鎖状若しくは環状のnEP価の飽和炭化水素基(炭素数2〜20が好ましい)、nEP価の芳香環基(炭素数6〜30が好ましい)、又は鎖状若しくは環状の飽和炭化水素若しくは芳香族炭化水素に、エーテル基、エステル基、アミド基、スルホンアミド基、アルキレン基(炭素数1〜4が好ましく、メチレン基がより好ましい)等の2価の連結基、−N(−)2等の3価の連結基又はこれらの組み合わせが連結した構造を有するnEP価の有機基などが好ましい。
以下にエポキシ構造を有する化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明で用いるエポキシ化合物は、側鎖にエポキシ基を有するオリゴマーやポリマーも好ましいこのような化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
これらの化合物は、市販品を用いてもよいし、ポリマーの側鎖へエポキシ基を導入することによっても得られる。
市販品としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、JER827、JER828、JER834、JER1001、JER1002、JER1003、JER1055、JER1007、JER1009、JER1010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON860、EPICLON1050、EPICLON1051、EPICLON1055(以上、DIC(株)製)等であり、ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、JER806、JER807、JER4004、JER4005、JER4007、JER4010(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON830、EPICLON835(以上、DIC(株)製)、LCE−21、RE−602S(以上、日本化薬(株)製)等であり、フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、JER152、JER154、JER157S70、JER157S65、(以上、ジャパンエポキシレジン(株)製)、EPICLON N−740、EPICLON N−740、EPICLON N−770、EPICLON N−775(以上、DIC(株)製)等であり、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂としては、EPICLON N−660、EPICLON N−665、EPICLON N−670、EPICLON N−673、EPICLON N−680、EPICLON N−690、EPICLON N−695(以上、DIC(株)製)、EOCN−1020(以上、日本化薬(株)製)等であり、脂肪族エポキシ樹脂としては、ADEKA RESIN EP−4080S、同EP−4085S、同EP−4088S(以上、(株)ADEKA製)セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2083、セロキサイド2085、EHPE3150、EPOLEAD PB 3600、同PB 4700(以上、ダイセル化学工業(株)製)、デナコール EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L(以上、ナガセケムテックス(株)製)等である。その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、JER1031S(ジャパンエポキシレジン(株)製)等が挙げられる。
ポリマー側鎖へ導入して合成する場合、導入反応は、例えばトリエチルアミン、ベンジルメチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、等の4級アンモニウム塩、ピリジン、トリフェニルフォスフィン等を触媒として有機溶剤中、反応温度50〜150℃で数〜数十時間反応させることにより行える。脂環式エポキシ不飽和化合物の導入量は得られるポリマーの酸価が5〜200KOH・mg/gを満たす範囲になるように制御すると好ましい。また、分子量は重量平均で500〜5000000、更には1000〜500000の範囲が好ましい。
エポキシ不飽和化合物としてはグリシジル(メタ)アクリレートやアリルグリシジルエーテル等のエポキシ基としてグリシジル基を有するものも使用可能であるが、好ましいものは脂環式エポキシ基を有する不飽和化合物である。このようなものとしては例えば以下の化合物を例示することができる。
<メラミン化合物、ウレア化合物、その他の熱硬化性化合物>
本発明で用いる熱硬化性化合物としては、以下のN−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物も好ましい。このような化合物は、通常、メラミン化合物、ウレア化合物として提供される。
N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、下記一般式(CLNM−1)で表される部分構造を2個以上(より好ましくは2〜8個)有する化合物が好ましい。
一般式(CLNM−1)において、RNM1は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はオキソアルキル基を表す。
一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1のアルキル基は、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基が好ましい。RNM1のシクロアルキル基は、炭素数5〜6のシクロアルキル基が好ましい。RNM1のオキソアルキル基は、炭素数3〜6のオキソアルキル基が好ましく、例えば、β‐オキソプロピル基、β‐オキソブチル基、β‐オキソペンチル基、β‐オキソへキシル基等を挙げることができる。
一般式(CLNM−1)で表される部分構造を2個以上有する化合物のより好ましい態様として、下記一般式(CLNM−2)で表されるウレア化合物、下記一般式(CLNM−3)で表されるアルキレンウレア化合物、下記一般式(CLNM−4)で表されるグリコールウリル化合物、下記一般式(CLNM−5)で表されるメラミン化合物が挙げられる。
一般式(CLNM−2)に於いて、RNM1は、それぞれ、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。RNM2は、それぞれ、水素原子、アルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、又はシクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)を表す。
一般式(CLNM−2)で表されるウレア化合物の具体例としては、例えば、N,N−ジ(メトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(エトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(プロポキシメチル)ウレア、N,N−ジ(イソプロポキシメチル)ウレア、N,N−ジ(ブトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(t−ブトキシメチル)ウレア、N,N−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(シクロペンチルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(アダマンチルオキシメチル)ウレア、N,N−ジ(ノルボルニルオキシメチル)ウレア等が挙げられる。
一般式(CLNM−3)に於いて、RNM1は、それぞれ、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。RNM3は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、直鎖又は分岐のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、オキソアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)又はオキソアルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)を表す。
Gは、単結合、酸素原子、硫黄原子、アルキレン基(炭素数1〜3が好ましい)又はカルボニル基を表す。より具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1−メチルエチレン基、ヒドロキシメチレン基、シアノメチレン基等が挙げられる。
一般式(CLNM−3)で表されるアルキレンウレア化合物の具体例としては、例えば、N,N−ジ(メトキシメチル)‐4,5−ジ(メトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(エトキシメチル)‐4,5−ジ(エトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(プロポキシメチル)‐4,5−ジ(プロポキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(イソプロポキシメチル)‐4,5−ジ(イソプロポキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(ブトキシメチル)‐4,5−ジ(ブトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(t−ブトキシメチル)‐4,5−ジ(t−ブトキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)‐4,5−ジ(シクロヘキシルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(シクロペンチルオキシメチル)‐4,5−ジ(シクロペンチルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(アダマンチルオキシメチル)‐4,5−ジ(アダマンチルオキシメチル)エチレンウレア、N,N−ジ(ノルボルニルオキシメチル)‐4,5−ジ(ノルボルニルオキシメチル)エチレンウレア等が挙げられる。
一般式(CLNM−4)に於いて、
NM1は、それぞれ、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。
NM4は、それぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基又はアルコキシ基を表す。
NM4のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、アルコキシ基(炭素数1〜6が好ましい)として、より具体的には、メチル基、エチル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
一般式(CLNM−4)で表されるグリコールウリル化合物の具体例としては、例えば、N,N,N,N−テトラ(メトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(エトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(プロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(イソプロポキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(t−ブトキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(シクロヘキシルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(シクロペンチルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(アダマンチルオキシメチル)グリコールウリル、N,N,N,N−テトラ(ノルボルニルオキシメチル)グリコールウリル等が挙げられる。
一般式(CLNM−5)に於いて、RNM1は、それぞれ、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。RNM5は、それぞれ、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は下記一般式(CLNM−5´)で表される原子団を表す。RNM6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又は下記一般式(CLNM−5´´)で表される原子団を表す。
一般式(CLNM−5´)において、RNM1は、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものである。一般式(CLNM−5´´)において、RNM1は、一般式(CLNM−1)に於ける、RNM1と同様のものであり、RNM5は、一般式(CLNM−5)に於けるRNM5と同様のものである。
NM5及びRNM6のアルキル基(炭素数1〜6が好ましい)、シクロアルキル基(炭素数5〜6が好ましい)、アリール基(炭素数6〜10が好ましい)として、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t‐ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
一般式(CLNM−5)で表されるメラミン化合物としては、例えば、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(シクロヘキシルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(シクロペンチルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(アダマンチルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ノルボルニルオキシメチル)メラミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)アセトグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(メトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(エトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(プロポキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(イソプロポキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(ブトキシメチル)ベンゾグアナミン、N,N,N,N,N,N−ヘキサ(t−ブトキシメチル)ベンゾグアナミン、等が挙げられる。
一般式(CLNM−1)〜(CLNM−5)に於ける、RNM1〜RNM6で表される基は、更に置換基を有してもよい。RNM1〜RNM6が有してもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、シクロアルキル基(好ましくは炭素数3〜20)、アリール基(好ましくは炭素数6〜14)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20)、シクロアルコキシ基(好ましくは炭素数3〜20)、アシル基(好ましくは炭素数2〜20)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20)等を挙げることができる。
以下に、上記一般式(CLNM−1)で表される部分構造を2個以上有する化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。下記に示す化合物に加え、下記に例示されていない三和ケミカル社製、ニカラックシリーズの化合物も好ましく用いることができる。
<フェノール化合物>
フェノール化合物としては、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、更にヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール化合物を挙げることができる。ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。更に、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロポキシ基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
熱硬化性化合物は、分子内にベンゼン環を2個以上有するフェノール化合物であることがより好ましく、また、窒素原子を含まないフェノール化合物であることが好ましい。
熱硬化性化合物は、熱硬化性官能基を1分子あたり2〜8個有するフェノール化合物であることが好ましく、熱硬化性官能基を3〜6個有することがより好ましい。
これらのフェノール化合物の内、特に好ましいものを以下に挙げる。式中、L1〜L8はアルコキシメチル基等の熱硬化性官能基を示し、同じであっても異なっていてもよく、熱硬化性官能基としては好ましくはヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。
熱硬化性化合物は、市販されているものを用いることもでき、また公知の方法で合成することもできる。例えば、ヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号公報等に記載されている方法にて合成することができる。
アルコキシメチル基を有するフェノール化合物は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール化合物とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。このようにして合成されたヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を有するフェノール化合物は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール化合物は保存時の安定性の観点から特に好ましい。ヒドロキシメチル基又はアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール化合物は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明において、熱硬化性化合物は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明の組成物中における熱硬化性化合物の総含有量としては、素材により異なるが、着色硬化性組成物の全固形分(質量)に対して、5〜40質量%が好ましく、7〜35質量%がより好ましく、10〜30%が特に好ましい。本発明では、このような熱硬化性化合物の配合量とすることにより、耐薬品性に優れた硬化膜を得られるという効果が得られる。
<溶剤>
本発明の着色硬化性組成物はハロゲン化フタロシアニン染料および熱硬化性化合物を少なくとも溶解する溶剤(通常、有機溶剤)を含む。
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
これらの溶剤は、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
溶剤の着色硬化性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5〜30質量%になる量とすることが好ましく、7〜25質量%が更に好ましく、10〜20質量%が特に好ましい。
<各種添加物>
本発明の着色硬化性組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種添加物、例えば、界面活性剤、酸無水物、硬化剤、硬化触媒、充填剤、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。
一方、本発明の着色硬化性組成物は、光重合性化合物の配合量が全固形分の1質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがより好ましく、含まないことがさらに好ましい。
(界面活性剤)
本発明の着色硬化性組成物は、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
特に、本発明の着色硬化性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色硬化性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色硬化性組成物中における溶解性も良好である。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF781(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
着色硬化性組成物は、界面活性剤を含有してもしなくても良いが、含有する場合、界面活性剤の添加量は、着色硬化性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
なお、界面活性剤が高分子化合物(すなわち樹脂)である場合、その高分子化合物の固形分酸価は、80mgKOH/g以下とされる。
<酸無水物>
本発明の着色硬化性組成物は、酸無水物を含有しても良い。酸無水物を含有することにより、熱硬化性化合物、特にエポキシ化合物の熱硬化による架橋性を向上させることができる。
酸無水物としては、例えば、フタル酸無水物、ナジック酸無水物、マレイン酸無水物、琥珀酸無水物などが挙げられる。中でも、酸無水物は、顔料分散への影響が少ない点で、フタル酸無水物が好ましい。 エポキシ硬化剤としてアミン系化合物も一般的であるが、ポットライフが比較的長いなどの利点がある。
酸無水物の着色硬化性組成物中における含有量としては、熱硬化性化合物(特にエポキシ化合物)の含有量に対して、10〜40質量%の範囲が好ましく、15〜30質量%の範囲がより好ましい。酸無水物の含有量は、10質量%以上であると熱硬化性化合物、特にエポキシの架橋密度が向上し、機械的強度を高めることができ、30質量%以下であると塗膜中の熱硬化成分が抑制され、色材の濃度を高めるのに有利である。
(硬化剤)
熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を使用する場合、硬化剤を添加することが好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤は種類が非常に多く、性質、樹脂と硬化剤の混合物との可使時間、粘度、硬化温度、硬化時間、発熱などが使用する硬化剤の種類によって非常に異なるため、硬化剤の使用目的、使用条件、作業条件などによって適当な硬化剤を選ばねばならない。硬化剤に関しては、垣内弘編「エポキシ樹脂(昇晃堂)」第5章に詳しく解説されている。以下、硬化剤の例を示す。
触媒的に作用するものとしては、第三アミン類、三フッ化ホウ素−アミンコンプレックス、エポキシ樹脂の官能基と化学量論的に反応するものとして、ポリアミン、酸無水物等;また、常温硬化のものとして、ジエチレントリアミン、ポリアミド樹脂、中温硬化のものの例としてジエチルアミノプロピルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;高温硬化の例として、無水フタル酸、メタフェニレンジアミン等がある。また化学構造別にみるとアミン類では、脂肪族ポリアミンとしてはジエチレントリアミン;芳香族ポリアミンとしてはメタフェニレンジアミン;第三アミンとしてはトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール;酸無水物としては無水フタル酸、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、三フッ化ホウ素−モノエチルアミンコンプレックス;合成樹脂初期縮合物としてはフェノール樹脂、その他ジシアンジアミド等が挙げられる。
これら硬化剤は、加熱によりエポキシ基と反応し、重合することによって架橋密度が上がり硬化するものである。薄膜化のためには、バインダー、硬化剤とも極力少量の方が好ましく、特に硬化剤に関しては熱硬化性化合物に対して35質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下とすることが好ましい。
(硬化触媒)
着色剤濃度の高い組成を実現するためには、硬化剤との反応による硬化のほか、主としてエポキシ基同士の反応による硬化が有効である。このため、硬化剤は用いず、硬化触媒を使用することもできる。硬化触媒の添加量としては、エポキシ当量が150〜200程度のエポキシ樹脂に対して、質量基準で1/10〜1/1000程度、好ましくは1/20〜1/500程度さらに好ましくは1/30〜1/250程度のわずかな量で硬化させることが可能である。
<着色硬化性組成物の調製方法>
本発明の着色硬化性組成物の好ましい調製方法について説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
着色剤が染料の場合は、しかるべき溶剤に熱硬化性化合物とともに溶解させる。着色剤として顔料を含む場合、通常、上述のとおり顔料分散物として調整してから配合する。
特に、熱硬化性化合物がエポキシ化合物である場合、このようにして得られた顔料の分散物又は染料の溶液に熱硬化性化合物と硬化触媒や硬化剤とを添加、あるいは既にバインダーが熱硬化性化合物である場合には、硬化触媒や硬化剤を添加して熱硬化機能を付与し、必要に応じて溶剤を添加することで本発明における着色硬化性組成物を調製することが好ましい。
<フィルターろ過>
本発明の着色硬化性組成物は、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、フィルターで濾過することが好ましい。
フィルターろ過に用いるフィルターとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルターであれば特に限定されることなく用いることができる。
上記フィルターの材質の例としては、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む);等が挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましい。
上記フィルターの孔径には特に限定はないが、例えば0.01〜20.0μm程度であり、好ましくは0.01〜5μm程度であり、さらに好ましくは0.01〜2.0μm程度である。
フィルターの孔径を上記範囲とすることにより、微細な粒子をより効果的に取り除くことができ、濁度をより低減することができる。
ここで、フィルターの孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルターとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルターの中から選択することができる。
上記フィルターろ過では、2種以上のフィルターを組み合わせて用いてもよい。
例えば、まず第1のフィルターを用いてろ過を行い、次に、第1のフィルターとは孔径が異なる第2のフィルターを用いてろ過を行うことができる。
その際、第1のフィルターでのフィルタリング及び第2のフィルターでのフィルタリングは、それぞれ、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。
第2のフィルターは、上述した第1のフィルターと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
<用途>
本発明の着色硬化性組成物は、硬化させて硬化膜として好ましく用いられる。本発明の着色硬化性組成物を硬化させた層は、カラーフィルタの着色層として好ましく用いることができる。特に、ドライエッチング用着色硬化性組成物として好ましく用いることができる。
<カラーフィルタ及びその製造方法>
本発明のカラーフィルタは、これを構成するパターンのうち、少なくとも一種のパターンが、上記した本発明の着色硬化性組成物から形成された着色パターンである。本発明のカラーフィルタは、少なくとも一種のパターンが、上記した本発明の着色硬化性組成物から形成された着色パターンであれば特に制限されるものではないが、好ましくは以下に示す本発明のカラーフィルタの製造方法により作製される。
本発明のカラーフィルタの製造方法の一例としては、本発明の着色硬化性組成物を用いて着色層を形成する工程、上記着色層上にフォトレジスト層を形成する工程、露光及び現像することにより上記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程、及び上記レジストパターンをエッチングマスクとして上記着色層をドライエッチングする工程を含む。
本発明のカラーフィルタの製造方法は、既述の本発明の着色硬化性組成物(第1の着色硬化性組成物とも言う)を用いて第1の着色層を形成する。
ここで、第1着色層は、本発明の着色硬化性組成物により形成されているため、上述したように、耐溶剤性及び耐アルカリ現像液性に優れている。
これにより、後に詳細に述べる、第1着色層の上にエッチング用のマスクとしてレジストパターン(パターニングされたフォトレジスト層)を形成する際に使用する現像液や、第1着色層の上に第2着色感放射線性組成物により第2着色感放射線性層を形成する工程、及び、第1着色層の上に第3着色感放射線性組成物により第3着色感放射線性層を形成する工程において、第1着色層が、第2又は第3着色感放射線性組成物における有機溶剤や、第2又は第3着色感放射線性組成物により形成された第2又は第3着色感放射線性層を露光、現像する際に使用される現像液に溶解し、第1着色層における色成分が、上記溶剤や現像液に溶出する虞れや、第2又は第3着色感放射線性組成物における色成分が、第1の着色層に混入する虞れなどを抑制できる。その結果、第1着色層における色成分の色落ちの発生や複数の色が互いに重なり合うオーバーラップ領域の発生を抑制できるため、最終的に得られるカラーフィルタの性能を向上させることができる。
特に、例えば厚みが0.1〜1.0μm及び/又は画素パターンサイズ(正方パターンにおける一辺)が2μm以下(例えば0.5〜2.0μm)となるような微小サイズが求められる固体撮像素子用のカラーフィルタを作製するのに有効である。
ここで、固体撮像素子について、一例として図1を参照して略説する。
図1に示すように、固体撮像素子10は、シリコン基板上に設けられた受光素子(フォトダイオード)42、カラーフィルタ13、平坦化膜14、マイクロレンズ15等から構成される。本発明においては、平坦化膜14は必ずしも設ける必要はない。なお、図1では、各部を明確にするため、相互の厚みや幅の比率は無視して一部誇張して表示している。
支持体としては、シリコン基板のほか、カラーフィルタに用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、液晶表示素子等に用いられるソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス及びこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば酸化膜、窒化シリコン等が挙げられる。また、これら支持体とカラーフィルタ13との間には本発明を損なわない限り中間層などを設けてもよい。
シリコン基板上には、Pウエル41を有し、このPウエルの表面の一部にフォトダイオード42を有している。フォトダイオード42は、Pウエルの表面の一部にPやAs等のN型不純物をイオン注入した後、熱処理を行うことにより形成される。また、シリコン基板のPウエル41の表面であって上記一部とは異なる領域には、フォトダイオード42よりN型不純物濃度の高い不純物拡散層43を有している。この不純物拡散層43は、PやAs等のN型不純物をイオン注入した後、熱処理を行うことにより形成され、フォトダイオード42が入射光を受けることにより発生した電荷を転送する浮遊拡散層の役割を果たす。ウエル41をP型不純物層、フォトダイオード42及び不純物拡散層43をN型不純物層とする以外にも、ウエル41をN型不純物層、フォトダイオード42及び不純物拡散層43をP型不純物層として実施することもできる。
Pウエル41、フォトダイオード42、及び不純物拡散層43上には、SiO2又はSiO2/SiN/SiO2等の絶縁膜47を有しており、この絶縁膜47上にはポリSi、タングステン、タングステンシリサイド、Al、Cu等からなる電極44が設けられている。電極44は、ゲートMOSトランジスタのゲートの役割を果たし、フォトダイオード42に発生した電荷を不純物拡散層43に転送するための転送ゲートとしての役割を果たすことができる。さらに、電極44の上方には、配線層45が形成されている。配線層45の更に上方には、BPSG膜46、P−SiN膜48を有している。BPSG膜46とP−SiN膜48の界面がフォトダイオード42の上方で下に湾曲する形状になるように形成されており、入射光を効率よくフォトダイオード42に導くための層内レンズの役割を果たす。BPSG膜46上には、P−SiN膜48表面又は画素領域以外の凹凸部を平坦化する目的で平坦化膜層49が形成されている。
この平坦化膜層49上にカラーフィルタ13が形成されている。なお、以下の説明では、領域を区切らずにシリコン基板上に形成されている着色膜(いわゆるベタ膜)を「着色(着色感放射線性)層」といい、パターン状に領域を区切って形成されている着色膜(例えば、ストライプ状にパターニングされている膜等)を「着色パターン」という。また、着色パターンのうち、カラーフィルタ13を構成する要素となっている着色パターン(例えば、正方形や長方形にパターン化された着色パターン等)を「着色(赤色、緑色、青色)画素」という。
カラーフィルタ13は、2次元配列された複数の緑色画素(第1色画素)20G、赤色画素(第2色画素)20R、及び青色画素(第3色画素)20Bから構成されている。各着色画素20R,20G,20Bは、それぞれ受光素子42の上方位置に形成されている。緑色画素20Gが市松模様に形成されるとともに、青色画素20B及び赤色画素20Rは、各緑色画素20Gの間に形成されている。なお、図1では、カラーフィルタ13が3色の画素から構成されていることを説明するために、各着色画素20R,20G,20Bを1列に並べて表示している。
平坦化膜14は、カラーフィルタ13の上面を覆うように形成されており、カラーフィルタ表面を平坦化している。
マイクロレンズ15は、凸面を上にして配置された集光レンズであり、平坦化膜14(平坦化膜を有しない場合はカラーフィルタ)の上方でかつ受光素子42の上方に設けられている。各マイクロレンズ15は、被写体からの光を効率良く各受光素子42へ導く。
次に、本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明の実施形態に係るカラーフィルタの製造方法においては、先ず、図2の概略断面図に示すように、第1着色硬化性組成物によって第1着色層11を形成する(工程(ア))。ここで、第1着色硬化性組成物は、既述の本発明の着色硬化性組成物である。
第1着色層11の形成は、着色硬化性組成物を支持体上に回転塗布、スリット塗布、スプレー塗布等の塗布方法により塗布し、乾燥させて着色層を形成することにより行なえる。
ここでの第1着色層11の厚みとしては、0.3〜1.0μmの範囲が好ましく、0.35〜0.8μmの範囲がより好ましく、0.35〜0.7μmの範囲がより好ましい。
第1着色硬化性組成物が熱硬化性化合物を含有している場合、ホットプレート、オーブン等の加熱装置により、第1着色層11を加熱して、硬化させることが好ましい。加熱温度は、120℃〜250℃であることが好ましく、160℃〜230℃であることがより好ましい。加熱時間は、加熱手段により異なるが、ホットプレート上で加熱する場合、通常3〜30分間程度であり、オーブン中で加熱する場合、通常、30〜90分間程度である。
次いで、第1着色層11に貫通孔群が形成されるようにドライエッチングによりパターニングする(工程(イ))。これにより第1の着色パターンを形成する。この手法によれば、着色感放射線性組成物により第1着色層を形成し、当該第1着色層を露光、現像することによって貫通孔群を設ける場合と比較して、所望の形状の貫通孔群をより確実に設けることができる。これは、組成物の全固形分に対する着色剤の含有量が50質量%以上とされた着色感放射線性組成物においては、組成物中に現像能に寄与する成分を添加できる余地が限られてくるため、確実なパターニングが困難になるためである。
第1着色パターンは、支持体上に第1色目として設けられる着色パターンでもよいし、場合によっては、既設のパターンを有する支持体上に例えば第2色目あるいは第3色目以降のパターンとして設けられる着色パターンでもよい。
ドライエッチングは、第1着色層11を、パターニングされたフォトレジスト層をマスクとしてエッチングガスを用いて行うことができる。例えば、図3の概略断面図に示すように、先ず、第1着色層11の上にフォトレジスト層51を形成する。
具体的には、着色層上にポジ又はネガ型の感放射線性組成物を適用(好ましくは塗布)し、これを乾燥させることによりフォトレジスト層を形成する。フォトレジスト層51の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジストの形成プロセスとしては、露光後の加熱処理(PEB)、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。
フォトレジストとしては、例えば、ポジ型の感放射線性組成物が用いられる。このポジ型の感放射線性組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、エキシマー・レーザー等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応するポジ型フォトレジスト用に好適なポジ型レジスト組成物が使用できる。放射線のうち、g線、h線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
具体的には、ポジ型の感放射線性組成物として、キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有する組成物が好ましい。キノンジアジド化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有するポジ型の感放射線性組成物は、500nm以下の波長の光照射によりキノンジアジド基が分解してカルボキシル基を生じ、結果としてアルカリ不溶状態からアルカリ可溶性になることを利用するものである。このポジ型フォトレジストは解像力が著しく優れているので、ICやLSI等の集積回路の作製に用いられている。キノンジアジド化合物としては、ナフトキノンジアジド化合物が挙げられる。
フォトレジスト層51の厚みとしては、0.1〜3μmが好ましく、0.2〜2.5μmが好ましく、0.3〜2μmが更に好ましい。なお、フォトレジスト層51の塗布は、既述の第1着色層11における塗布方法を用いて好適に行なえる。
次いで、図4の概略断面図に示すように、このフォトレジスト層51を露光、現像することにより、レジスト貫通孔群51Aが設けられたレジストパターン(パターニングされたフォトレジスト層)52を形成する。
レジストパターン52の形成は、特に制限なく、従来公知のフォトリソグラフィーの技術を適宜最適化して行なうことができる。露光、現像によりフォトレジスト層51に、レジスト貫通孔群51Aが設けられることによって、次のエッチングで用いられるエッチングマスクとしてのレジストパターン52が、第1着色層11上に設けられる。
フォトレジスト層51の露光は、所定のマスクパターンを介して、ポジ型又はネガ型の感放射線性組成物に、g線、h線、i線等、好ましくはi線で露光を施すことにより行なうことができる。露光後は、現像液で現像処理することにより、着色パターンを形成しようとする領域に合わせてフォトレジストが除去される。
上記現像液としては、着色剤を含む第1着色層には影響を与えず、ポジレジストの露光部及びネガレジストの未硬化部を溶解するものであればいずれも使用可能であり、例えば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性の水溶液を用いることができる。アルカリ性の水溶液としては、アルカリ性化合物を濃度が0.001〜10質量%、好ましくは0.01〜5質量%となるように溶解して調製されたアルカリ性水溶液が好適である。アルカリ性化合物は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム,硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等が挙げられる。尚、アルカリ性水溶液を現像液として用いた場合は、一般に現像後に水で洗浄処理が施される。
次に、図5の概略断面図に示すように、レジストパターン52をエッチングマスクとして、第1着色層11に貫通孔群120が形成されるようにドライエッチングによりパターニングする。これにより、第1着色パターン12が形成される。ここで、貫通孔群120は、第1貫通孔部分群121と第2貫通孔部分群122とを有している。
貫通孔群120は、第1着色層11に、市松状に設けられている。よって、第1着色層11に貫通孔群120が設けられてなる第1着色パターン12は、複数の四角形状の第1着色画素を市松状に有している。
具体的には、ドライエッチングは、レジストパターン52をエッチングマスクとして、第1着色層11をドライエッチングする。ドライエッチングの代表的な例としては、特開昭59−126506号、特開昭59−46628号、同58−9108号、同58−2809号、同57−148706号、同61−41102号などの公報に記載の方法がある。
ドライエッチングとしては、パターン断面をより矩形に近く形成する観点や支持体へのダメージをより低減する観点から、以下の形態で行なうのが好ましい。
フッ素系ガスと酸素ガス(O2)との混合ガスを用い、支持体が露出しない領域(深さ)までエッチングを行なう第1段階のエッチングと、この第1段階のエッチングの後に、窒素ガス(N2)と酸素ガス(O2)との混合ガスを用い、好ましくは支持体が露出する領域(深さ)付近までエッチングを行なう第2段階のエッチングと、支持体が露出した後に行なうオーバーエッチングとを含む形態が好ましい。以下、ドライエッチングの具体的手法、並びに第1段階のエッチング、第2段階のエッチング、及びオーバーエッチングについて説明する。
ドライエッチングは、下記手法により事前にエッチング条件を求めて行なう。
(1)第1段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)と、第2段階のエッチングにおけるエッチングレート(nm/min)とをそれぞれ算出する。
(2)第1段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間と、第2段階のエッチングで所望の厚さをエッチングする時間とをそれぞれ算出する。
(3)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第1段階のエッチングを実施する。
(4)上記(2)で算出したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施する。あるいはエンドポイント検出でエッチング時間を決定し、決定したエッチング時間に従って第2段階のエッチングを実施してもよい。
(5)上記(3)、(4)の合計時間に対してオーバーエッチング時間を算出し、オーバーエッチングを実施する。
上記第1段階のエッチング工程で用いる混合ガスとしては、被エッチング膜である有機材料を矩形に加工する観点から、フッ素系ガス及び酸素ガス(O2)を含むことが好ましい。また、第1段階のエッチング工程は、支持体が露出しない領域までエッチングする形態にすることで、支持体のダメージを回避することができる。
また、上記第2段階のエッチング工程及び上記オーバーエッチング工程は、第1段階のエッチング工程でフッ素系ガス及び酸素ガスの混合ガスにより支持体が露出しない領域までエッチングを実施した後、支持体のダメージ回避の観点から、窒素ガス及び酸素ガスの混合ガスを用いてエッチング処理を行なうのが好ましい。
第1段階のエッチング工程でのエッチング量と、第2段階のエッチング工程でのエッチング量との比率は、第1段階のエッチング工程でのエッチング処理による矩形性を損なわないように決定することが重要である。なお、全エッチング量(第1段階のエッチング工程でのエッチング量と第2段階のエッチング工程でのエッチング量との総和)中における後者の比率は、0%より大きく50%以下である範囲が好ましく、10〜20%がより好ましい。エッチング量とは、被エッチング膜の残存する膜厚のことをいう。
また、エッチングは、オーバーエッチング処理を含むことが好ましい。オーバーエッチング処理は、オーバーエッチング比率を設定して行なうことが好ましい。また、オーバーエッチング比率は、初めに行なうエッチング処理時間より算出することが好ましい。オーバーエッチング比率は任意に設定できるが、フォトレジストのエッチング耐性と被エッチングパターンの矩形性維持の点で、エッチング工程におけるエッチング処理時間の30%以下であることが好ましく、5〜25%であることがより好ましく、10〜15%であることが特に好ましい。
次いで、図6の概略断面図に示すように、エッチング後に残存するレジストパターン(すなわちエッチングマスク)52を除去する。レジストパターン52の除去は、レジストパターン52上に剥離液又は溶剤を付与して、レジストパターン52を除去可能な状態にする工程と、レジストパターン52を洗浄水を用いて除去する工程とを含むことが好ましい。
レジストパターン52上に剥離液又は溶剤を付与し、レジストパターン52を除去可能な状態にする工程としては、例えば、剥離液又は溶剤を少なくともレジストパターン52上に付与し、所定の時間停滞させてパドル現像する工程を挙げることができる。剥離液又は溶剤を停滞させる時間としては、特に制限はないが、数十秒から数分であることが好ましい。
また、レジストパターン52を洗浄水を用いて除去する工程としては、例えば、スプレー式又はシャワー式の噴射ノズルからレジストパターン52に洗浄水を噴射して、レジストパターン52を除去する工程を挙げることができる。洗浄水としては、純水を好ましく用いることができる。また、噴射ノズルとしては、その噴射範囲内に支持体全体が包含される噴射ノズルや、可動式の噴射ノズルであってその可動範囲が支持体全体を包含する噴射ノズルを挙げることができる。噴射ノズルが可動式の場合、レジストパターン52を除去する工程中に支持体中心部から支持体端部までを2回以上移動して洗浄水を噴射することで、より効果的にレジストパターン52を除去することができる。
剥離液は、一般には有機溶剤を含有するが、無機溶剤を更に含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、1)炭化水素系化合物、2)ハロゲン化炭化水素系化合物、3)アルコール系化合物、4)エーテル又はアセタール系化合物、5)ケトン又はアルデヒド系化合物、6)エステル系化合物、7)多価アルコール系化合物、8)カルボン酸又はその酸無水物系化合物、9)フェノール系化合物、10)含窒素化合物、11)含硫黄化合物、12)含フッ素化合物が挙げられる。剥離液としては、含窒素化合物を含有することが好ましく、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことがより好ましい。
非環状含窒素化合物としては、水酸基を有する非環状含窒素化合物であることが好ましい。具体的には、例えば、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどが挙げられ、好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミン(H2NCH2CH2OH)である。また、環状含窒素化合物としては、イソキノリン、イミダゾール、N−エチルモルホリン、ε−カプロラクタム、キノリン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、α−ピコリン、β−ピコリン、γ−ピコリン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラジン、ピリジン、ピロリジン、N−メチル−2−ピロリドン、N−フェニルモルホリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジンなどが挙げられ、好ましくは、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチルモルホリンであり、より好ましくはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)である。
剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物とを含むことが好ましいが、中でも、非環状含窒素化合物として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミンから選ばれる少なくとも1種と、環状含窒素化合物として、N−メチル−2−ピロリドン及びN−エチルモルホリンから選ばれる少なくとも1種とを含むことがより好ましく、モノエタノールアミンとN−メチル−2−ピロリドンとを含むことが更に好ましい。
剥離液で除去するときには、第1着色パターン12の上に形成されたレジストパターン52が除去されていればよく、第1着色パターン12の側壁にエッチング生成物であるデポ物が付着している場合でも、該デポ物が完全に除去されていなくてもよい。デポ物とは、エッチング生成物が着色層の側壁に付着し堆積したものをいう。
剥離液としては、非環状含窒素化合物の含有量が、剥離液100質量部に対して9質量部以上11質量部以下であって、環状含窒素化合物の含有量が、剥離液100質量部に対して65質量部以上70質量部以下であるものが望ましい。また、剥離液は、非環状含窒素化合物と環状含窒素化合物との混合物を純水で希釈したものが好ましい。
次いで、図7の概略断面図に示すように、第1貫通孔部分群121及び第2貫通孔部分群122における各貫通孔の内部に第2着色感放射線性組成物を埋設させて、複数の第2着色画素が形成されるように、第1着色層(すなわち、第1着色層11に貫通孔群120が形成されてなる第1着色パターン12)上に第2着色感放射線性組成物により第2着色感放射線性層21を積層する(工程(ウ))。これにより、第1着色層11の貫通孔群120の中に、複数の第2着色画素を有する第2着色パターン22が形成される。ここで、第2着色画素は四角形状の画素となっている。第2着色感放射線性層21の形成は、既述の第1着色層11を形成する方法と同様にして行なえる。
ここでの第2着色感放射線性層21の厚みとしては、0.3〜1μmの範囲が好ましく、0.35〜0.8の範囲がより好ましく、0.35〜0.7μmの範囲がより好ましい。
そして、第2着色感放射線性層21の、第1着色層11に設けられた第1貫通孔部分群121に対応する位置21Aを露光し、現像することによって、第2着色感放射線性層21と、第2貫通孔部分群122の各貫通孔の内部に設けられた複数の第2着色画素22Rとを除去する(工程(エ))(図8の概略断面図を参照)。
次いで、図9の概略断面図に示すように、第2貫通孔部分群122における各貫通孔の内部に第3着色感放射線性組成物を埋設させて、複数の第3着色画素が形成されるように、第1着色層(すなわち、第1貫通孔部分群121の中に第2着色パターン22が形成されてなる第1着色パターン12)上に第3着色感放射線性組成物により第3着色感放射線性層31を形成する(工程(オ))。これにより、第1着色層11の第2貫通孔部分群122の中に、複数の第3着色画素を有する第3着色パターン32が形成される。ここで、第3着色画素は四角形状の画素となっている。第3着色感放射線性層31の形成は、既述の第1着色層11を形成する方法と同様にして行なえる。
ここでの第3着色感放射線性層31の厚みとしては、0.3〜1μmの範囲が好ましく、0.35〜0.8の範囲がより好ましく、0.35〜0.7μmの範囲がより好ましい。
そして、第3着色感放射線性層31の、第1着色層11に設けられた第2貫通孔部分群122に対応する位置31Aを露光し、現像することによって、第3着色感放射線性層31を除去することで、図10の概略断面図に示すように、第1着色パターン12と、第2着色パターン22と、第3着色パターン32とを有するカラーフィルタ100が製造される(工程(カ))。
上述した第2着色感放射線性組成物、及び、第3着色感放射線性組成物は、それぞれ、着色剤を含有する。着色剤は、本発明の着色硬化性組成物において上述したものを同様に挙げることができるが、第2着色画素及び第3着色画素の一方が赤色透過部であり、他方が青色透過部であることが好ましい形態であるため、はそれぞれ赤色透過部または青色透過部であることが好ましい。赤色透過部を形成するための着色硬化性組成物に含有される着色剤は、C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73、及び、C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279から選択される1種以上であることが好ましく、青色透過部を形成するための着色硬化性組成物に含有される着色剤は、C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42、及び、C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,60,64,66,79,80から選択される1種以上であることが好ましい。
第2着色感放射線性組成物、及び、第3着色感放射線性組成物の各々において、着色剤の組成物の全固形分に対する含有量は、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることが更に好ましい。また、着色剤の組成物の全固形分に対する含有量は、通常、90質量%以下であり、80質量%以下であることが好ましい。
また、第2着色感放射線性組成物、及び、第3着色感放射線性組成物は、それぞれ、ネガ型の感放射線性組成物が用いられることが好ましい。このネガ型の感放射線性組成物としては、紫外線(g線、h線、i線)、エキシマー・レーザー等を含む遠紫外線、電子線、イオンビームおよびX線等の放射線に感応するネガ型感放射線性組成物が使用できる。放射線のうち、g線、h線、i線が好ましく、中でもi線が好ましい。
具体的には、ネガ型の感放射線性組成物として、光重合開始剤、重合成分(重合性化合物)、及び、バインダー樹脂(アルカリ可溶性樹脂等)などを含有する組成物が好ましく、例えば、特開2005−326453号公報の段落番号[0017]〜[0064]に記載のものを挙げることができる。このようなネガ型の感放射線性組成物は、放射線の照射により、光重合開始剤が、重合性化合物の重合反応を開始させ、結果として、アルカリ可溶状態から、アルカリ不溶性になることを利用するものである。
第2着色感放射線性層21及び第3着色感放射線性層31に対する露光は、g線、h線、i線等、好ましくはi線で露光を施すことにより行なうことができる。
また、露光後に実施される現像は、通常、現像液で現像処理することにより行われる。
現像液としては、フォトレジスト層51に対する露光、現像において既述した現像液と同様のものを挙げることができる。
また、アルカリ性水溶液を現像液として用いた場合は、一般に現像後に水で洗浄処理が施される。
第1着色画素、第2着色画素及び第3着色画素における一辺の長さ(画素が長方形である場合は短辺の長さであり、画素が正方形である場合は一辺の長さを指す)は、画像解像度の観点から、0.5〜1.7μmが好ましく、0.6〜1.5μmがより好ましい。
以上に説明した本発明のカラーフィルタの製造方法によれば、第1着色層、ひいては、第1着色画素が、本発明の着色剤の濃度が高い着色硬化性組成物により形成されるため、第1着色画素の厚みを極めて薄くできる(例えば、0.7μm以下)。これにより、クロストーク(光の混色)が抑制されたカラーフィルタを製造し得るカラーフィルタの製造方法とすることができる。
また、本発明の着色硬化性組成物により形成された第1着色画素は、上述したように、耐溶剤性及び耐アルカリ現像液性が優れたものとなる。これにより、他の着色層及び他の着色パターンにおける色と重なり合うオーバーラップ領域の発生を低減でき、その結果、高性能のカラーフィルタを製造できる。
本発明の着色硬化性組成物から得られるカラーフィルタは、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)用として好適に用いることができる。また電子ペーパーや有機EL等の画像表示デバイスにも好適に用いることができる。特に、本発明のカラーフィルタは、CCD、及びCMOS等の固体撮像素子用として好適に用いることができる。
また、本発明のカラーフィルタは、液晶表示装置用のカラーフィルタとしても好適である。このようなカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
本発明のカラーフィルタは、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有用である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color−filter On Array)方式にも供することが可能である。
COA方式により形成される着色層には、着色層上に配置されるITO電極と着色層の下方の駆動用基板の端子とを導通させるために、一辺の長さが1〜15μm程度の矩形のスルーホールあるいはコの字型の窪み等の導通路を形成する必要であり、導通路の寸法(即ち、一辺の長さ)を特に5μm以下にすることが好ましいが、本発明を用いることにより、5μm以下の導通路を形成することも可能である。これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示素子に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
本発明のカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は、質量基準である。
<合成例1−ハロゲン化フタロシアニン染料Aの合成>
(中間体Aの合成)
フラスコにテトラクロロフタロニトリル(15.0g、56.4mmol)とHO−C64−COOC24OCH3(12.65g、56.4mmol)、アセトニロリル75.0gを投入し、マグネチックスターラーを用いて、内温が40℃に安定するまで30分間攪拌した後、炭酸カリウム(8.58g、62.1mmol)を投入して約3時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を40℃、1時間で減圧濃縮し、溶剤を溜去した。さらに、110℃で一晩真空乾燥し、約23.0g(89.9%)の中間体Aが得られた。
(ハロゲン化フタロシアニン染料Aの合成)
フラスコに中間体A(2.13g、4.7mmol)、ベンゾニトリル2.35mLを投入し、窒素気流下(10mL/min)、マグネチックスターラーを用いて内温150℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛0.43g(1.3mmol)を投入して、約35時間反応させた。冷却後メタノール30mLを加え、マグネチックスターラーを用いて室温にて攪拌することで晶析溶液とした。晶析溶液をデカンテーションし、残った残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製した。得られた精製物にメタノール20mLを加え、マグネチックスターラーを用いて60℃で1時間加熱攪拌した。冷却後、吸引ろ過し、得られた結晶にメタノール20mLを加え、マグネチックスターラーを用いて60℃で1時間加熱攪拌した。冷却後、吸引ろ過し、得られた結晶を40℃で一晩送風乾燥し、約1.95g(88.2%)得られた。
<合成例2−他のフタロシアニン染料の合成>
上記合成例1に従って、他のフタロシアニン染料を合成した。
<顔料分散液の調製>
下記化合物を配合した混合液を、0.3mm径のジルコニアビーズを使用して、ビーズミル(減圧機構付き高圧分散機NANO−3000−10(日本ビーイーイー(株)製))で、3時間、混合、分散して、顔料分散液を調製した。顔料の種類は下記表1に記載のものとし、また、各成分の配合量は、最終的に得られる着色硬化性組成物中の組成比が下記表に記載の割合となるように配合した。
・顔料(下記表に示す顔料)
・誘導体A
・分散剤A
・溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
<着色硬化性組成物の調製>
下記表に記載の組成となるように各成分を混合し、撹拌して着色硬化性組成物を調製した。
・フタロシアニン化合物(下記表に示す化合物)
・顔料分散液(上記で調整したもの)
・熱硬化性化合物(下記表に示す化合物)
・界面活性剤(下記表に示す化合物)
・溶剤(下記表に示す溶剤) 最終固形分濃度が15質量%となる量
上記表において、フタロシアニン化合物、他の着色剤、誘導体、分散剤、熱硬化性化合物および界面活性剤の欄内の( )は着色硬化性組成物の全固形分に対する割合を示している。
<フタロシアニン化合物>
ハロゲン化フタロシアニン染料A:
ハロゲン化フタロシアニン染料B:
ハロゲン化フタロシアニン染料C:
ハロゲン化フタロシアニン染料D:
ハロゲン化フタロシアニン染料E:
ハロゲン化フタロシアニン染料F:
ハロゲン化フタロシアニン染料G:
ハロゲン化フタロシアニン多量体H(ハロゲン化フタロシアニン染料Eの多量体)
ハロゲン化フタロシアニン多量体Hは、下記化合物Dに由来する繰り返し単位とメタクリル酸に由来する繰り返し単位からなる重合体に、メタクリル酸グリシジルを付加して重合性二重結合基を付与したポリマーである。
以下のスキームで合成を行った。
(化合物Aの合成)
フラスコにテトラクロロフタロニトリル(15.0g、56.4mmol)と上記化合物1(12.65g、56.4mmol)、アセトニロリル75.0gを投入し、内温が40℃に安定するまで30分間攪拌した後、炭酸カリウム(8.58g、62.1mmol)を投入して約3時間反応させた。冷却後、吸引ろ過して得た溶液を40℃1時間で減圧濃縮し、溶媒を溜去した。さらに、110℃で一晩真空乾燥し、化合物Aが約23.0gが得られた。
(化合物Bの合成)
フラスコに化合物A(2.13g、4.7mmol)、ベンゾニトリル2.35mLを投入し、窒素気流下(10mL/min)、内温150℃に安定するまで約1時間攪拌した後、ヨウ化亜鉛0.43g(1.3mmol)を投入して、約60時間反応させた。冷却後メタノール30mLを加え、室温にて攪拌することで晶析溶液とした。晶析溶液をデカンテーションし、残った残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール)にて精製した。得られた精製物にメタノール20mLを加え、60℃で1時間加熱攪拌した。冷却後、吸引ろ過し、得られた結晶にメタノール20mLを加え、60℃で1時間加熱攪拌した。冷却後、吸引ろ過し、得られた固体を40℃で一晩送風乾燥し、化合物Bが約1.95g得られた。
(化合物Cの合成)
フラスコに化合物B(1.75g、1.06mmol)、DMF20mL、1M水酸化ナトリウム水溶液1.06mLを投入し、内温60℃で約6時間攪拌した。冷却後、1M塩酸10mLを加えた。この溶液にメタノール50mLを加え、吸引ろ過し、得られた固体を40℃で一晩送風乾燥し、化合物Cが約1.48g得られた。
(例示化合物G−1(化合物D)の合成)
フラスコに化合物C(1.5g)、グリシジルメタクリレート0.18g、テトラブチルアンモニウムブロミド0.23g、p-メトキシフェノール0.02g、プロピレングリコールモノメチルエーテル9.0mLを投入し、100℃で約8時間攪拌した。この反応液にメタノール45mLを加え、吸引ろ過し、得られた結晶を40℃で一晩送風乾燥し、化合物Dが約1.21g得られた。
三口フラスコに、化合物D(24.2g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセテート(以下、「PGMEA」とも称する。)(23.3g)を添加し、窒素雰囲気下で80℃に加熱した。この溶液に、化合物D(24.2g)、メタクリル酸(1.08g)、ドデシルメルカプタン(0.25g)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル(0.58g)〔商品名:V601、和光純薬工業(株)製〕、PGMEA(23.3g)の混合溶液を2時間かけて滴下した。その後3時間攪拌した後、90℃に昇温し、2時間加熱攪拌した後、放冷して多量体中間物のPGMEA溶液を得た。次に、メタクリル酸グリシジル(1.42g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(80mg)、p−メトキシフェノール(20mg)を添加し、空気雰囲気下で、100℃で15時間加熱し、メタクリル酸グリシジルが消失するのを確認した。冷却後、メタノール/イオン交換水=100mL/10mLの混合溶媒に滴下して再沈し、ハロゲン化フタロシアニン多量体Hを47.6g得た。
GPC測定により確認したハロゲン化フタロシアニン多量体Hの重量平均分子量(Mw)は6,500であり、重量平均分子量/数平均分子量(Mw/Mn)の比は1.9であった。
非ハロゲン化フタロシアニン染料A:
ハロゲン化フタロシアニン顔料A:(P.G58)
<他の着色剤>
メチン系色素(染料)A:(合成例は後述する。)
メチン系色素(染料)B:(OPLAS YELLOW 140、オリエント化学工業(株))
アゾ系色素(顔料)A:P.Y150
アゾ系色素(顔料)B:P.Y155
イソインドリン系色素(顔料)A:P.Y139
<誘導体>
誘導体A:
<分散剤>
分散剤A:(特開2007−277514号公報の段落番号0334を参照して合成した。)
上記において、aは、2.0、bは4.0、酸価10mgKOH/g、Mw20000である。
また、分散剤Aにおけるa及びbは、それぞれ、括弧内で表される部分構造の数を表し、a+b=6を満たす。
<熱硬化性化合物>
エポキシ化合物A:EHPE3150(ダイセル化学工業(株)製 分子量=2234)
エポキシ化合物B:(DIC(株)、EPICLON HP−4032 分子量=272)
エポキシ化合物C:(DIC(株)、EPICLON N−660 分子量=3400)
メラミン化合物A:ニカラック、三和ケミカル(株)製
メラミン化合物B:下記構造式で表される構造を含む化合物の80%溶液(シグマアルドリッチ社製)
<界面活性剤>
界面活性剤A:F−781(DIC(株)製 フッ素型界面活性剤)
<メチン系色素(染料)Aの合成>
メチン系色素(染料)Aは、以下のスキームで合成した。
(中間体Aの合成)
上記化合物(A)(EP0571959A2公報に記載の方法にて合成)100重量部、ピリジン390mlの混合溶液を5℃まで冷却し、オクタンスルホニルクロライド87重量部を、反応温度25℃以下で滴下した。反応液を室温で2時間撹拌後、4N 塩酸水溶液 2Lを加え、室温で攪拌した後、濾取した。濾取した結晶をメタノール500mlで洗浄後、乾燥することにより、中間体Aを153g(収率91%)得た。
1H-NMR CDCl3 δ0.8(t, 3H) 1.0-1.4(m, 19), 1.6(m, 2H) 3.2(t, 2H) 5.6(s, 1H) 7.3(d, 2H) 7.9(d, 2H) 10.2(s, 1H) 12.9(s, 1H)
(メチン系色素(染料)Aの合成)
中間体A 110g、酢酸650mlの懸濁溶液に室温で、オルトギ酸エチル68gを加え、反応液を80℃で3時間攪拌させた。反応液にメタノール1.1Lを加え、冷却後、濾取、メタノール洗浄することにより、メチン系色素(染料)Aを96g(収率88%)得た。
1H-NMR CDCl3 δ0.8(t, 6H) 1.2-2.0(m, 41H) 3.3(t, 4H) 7.3(d, 4H), 7.6(br, 2H) 7.8(d, 4H) 8.4(s, 1H)
得られた組成物について、以下の評価を行った。
<分光特性(膜厚)>
上述で得られた組成物を7.5cm×7.5cmのガラス基板上にスピンコータにて膜厚0.6μmの塗布膜となるように塗布した後、ホットプレートを使用して、100℃で2分間加熱乾燥し、更に200℃で5分間の加熱を行い、塗布膜の硬化を行って着色層を形成した。
上記で得られたガラス基板の分光スペクトルをMCPD−3000(大塚(株)製)を使用して測定した。それぞれの組成物から得られた着色層の分光スペクトルにおける最大透過率と最少透過率との差Δ%を以下の区分に従って評価した。なお、Δ%が大きいほど分光特性に優れていることを意味する。
5:Δ%=95以上100以下
4:Δ%=90以上95未満
3:Δ%=85以上90未満
2:Δ%=80以上85未満
1:Δ%=0以上80未満
<耐薬品性>
上述で得られた組成物から上記と同様方法で作成した着色層基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤に10分間浸漬させた後、流水にてリンスし得られた基板の分光スペクトルを測定した。
浸漬前後の吸光度を比較し、下記式より浸漬後の色材残存率を算出し、以下の区分に従って評価した。なお、色材残存率は数値が高いほど耐薬品性に優れていることを意味する。
算出式:
色材残存率(%)=溶剤浸漬後の最大吸光度/溶剤浸漬前の最大吸光度×100
5:色材残存率=95%以上100%以下
4:色材残存率=80%以上95%未満
3:色材残存率=70%以上80%未満
2:色材残存率=40%以上70%未満
1:色材残存率=0%以上40%未満
<耐熱性(熱による色材拡散)>
評価基板の作製
(着色層の形成)
7.5cm×7.5cmのガラス基板上にスピンコータにて、上述の組成物を膜厚0.6μmの塗布膜となるように塗布した後、ホットプレートを使用して100℃で2分間加熱乾燥し、次いで200℃で5分間の加熱を行い、塗布膜の硬化を行って着色層を形成した。
(パターン形成)
((マスク用レジストの塗布))
ポジ型フォトレジスト「FHi622BC」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を塗布し、プリベークを実施し、膜厚0.8μmのフォトレジスト層を形成した。
次いで、フォトレジスト層の温度又は雰囲気温度が90℃となる温度で1分間、加熱処理を行なった。次いで、i線縮小投影露光装置を使用して塗布膜に365nmの波長で縦1cm×横1cmの市松模様マスクを通して照射した。その後、現像液「FHD−5」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)で1分間の現像処理を行ない、さらに110℃で1分間のポストベーク処理を実施した。
(ドライエッチング)
次に、得られたガラス基板を8inchシリコンウェハに貼り付け、ドライエッチングを以下の手順で行った。ドライエッチング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、U−621)にて、RFパワー:800W、アンテナバイアス:400W、ウエハバイアス:200W、チャンバーの内部圧力:4.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をCF4:80mL/min、O2:40mL/min、Ar:800mL/minとして、80秒の第1段階のエッチング処理を実施した。
次いで、同一のエッチングチャンバーにて、RFパワー:600W、アンテナバイアス:100W、ウエハバイアス:250W、チャンバーの内部圧力:2.0Pa、基板温度:50℃、混合ガスのガス種及び流量をN2:500mL/min、O2:50mL/min、Ar:500mL/minとし(N2/O2/Ar=10/1/10)、28秒の第2段階エッチング処理、オーバーエッチング処理を実施した。
上記条件でドライエッチングを行った後、フォトレジスト剥離液「MS230C」(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)を使用して120秒間、剥離処理を実施してレジストを除去し、更に純水による洗浄、スピン乾燥を実施した。その後、100℃で2分間の脱水ベーク処理を行った。以上により、着色層パターン基板を得た。
上記のようにして作製した着色パターン形成面に、乾燥膜厚が0.6μmとなるようにCT−2000L溶液(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製;下地透明剤)を塗布し、乾燥させて、図11、図12に示すように透明膜を形成した後、200℃で5分間加熱処理を行なった。加熱終了後、着色パターンに隣接する透明膜部の吸光度をMCPD−3000(大塚電子(株)製)にて測定した。透明膜部の加熱前後の吸光度を比較し、下記式より色材拡散量を算出、以下の区分に従って評価した。なお、移動量が少ないほど耐熱性に優れることを意味する。
算出式:
色材移動量=加熱後の透明膜部最大吸光度/加熱前の着色パターン部最大吸光度×100
5:色材移動量=0
4:色材移動量=0超5以下
3:色材移動量=5超10以下
2:色材移動量=10超20以下
1:色材移動量=20超100以下
<耐薬品性(強制条件)>
上述で得られた組成物から上記と同様方法で作成した着色層基板をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶剤に1ヶ月浸漬させた後、流水にてリンスし得られた基板の分光スペクトルを測定した。
浸漬前後の吸光度を比較し、下記式より浸漬後の色材残存率を算出し、以下の区分に従って評価した。なお、色材残存率は数値が高いほど耐薬品性に優れていることを意味する。
算出式:
色材残存率(%)=溶剤浸漬後の最大吸光度/溶剤浸漬前の最大吸光度×100
5:色材残存率=95%以上100%以下
4:色材残存率=80%以上95%未満
3:色材残存率=70%以上80%未満
2:色材残存率=40%以上70%未満
1:色材残存率=0%以上40%未満
上記表から明らかなとおり、少なくともハロゲン化フタロシアニン染料を含む着色剤、熱硬化性化合物、および、これらを溶解する溶剤を含み、着色剤の含有量の合計が全固形分に対し60〜90質量%である、着色硬化性組成物を用いて形成した着色層(実施例1〜19)は、分光特性、耐薬品性および耐熱性のいずれにも優れた着色硬化性組成物が得られることが分かった。
特に、熱硬化性化合物としてエポキシ樹脂を用いた場合、および、黄色色素として、メチン系色素またはアゾ系色素を用いた場合に顕著な効果を奏することが分かった。
これに対し、フタロシアニン染料がハロゲンを含まない場合(比較例1)、フタロシアニン化合物が顔料である場合(比較例2)、着色剤の配合量が少ない場合(比較例3)、分光特性、耐薬品性および耐熱性のいずれか1つ以上が劣る着色層しか得られなかった。
本発明により着色剤の濃度を上げた着色硬化性組成物が作成でき、色分離が良好な薄膜カラーフィルタの作成への利用が期待できる。本発明では、例えば、着色層の厚さを0.1〜1.0μmとしても優れた効果を発揮させることが期待できる。また、本発明の着色硬化性組成物を組み合わせて用いることにより画素の硬化性を向上させることができ、種々工程においてさらされる薬品(レジスト剥離液、アルカリ現像液および一般溶剤)に対する色抜けを抑制することが期待できる。また、積層時に他画素への熱拡散混色(耐熱性)を抑制し、良好なデバイス感度を達成することが期待できる。
10 固体撮像素子
11 第1着色層
12 第1着色パターン
13,100 カラーフィルタ
14 平坦化膜
15 マイクロレンズ
20G 緑色画素(第1色画素)
20R 赤色画素(第2色画素)
20B 青色画素(第3色画素)
21 第2着色感放射線性層
21A 第1貫通孔部分群121に対応する位置
22 第2着色パターン
22R 第2貫通孔部分群122の各貫通孔の内部に設けられた複数の第2着色画素
31 第3着色感放射線性層
31A 第2貫通孔部分群122に対応する位置
32 第3着色パターン
41 Pウエル
42 受光素子(フォトダイオード)
43 不純物拡散層
44 電極
45 配線層
46 BPSG膜
47 絶縁膜
48 P−SiN膜
49 平坦化膜層
51 フォトレジスト層
51A レジスト貫通孔
52 レジストパターン(パターニングされたフォトレジスト層)
120 貫通孔群
121 第1貫通孔部分群
122 第2貫通孔部分群

Claims (14)

  1. 少なくともハロゲン化フタロシアニン染料および黄色色素を含む着色剤、熱硬化性化合物、ならびに、ハロゲン化フタロシアニン染料および熱硬化性化合物を少なくとも溶解する溶剤を含み、着色剤の含有量の合計が全固形分に対し60〜90質量%である着色硬化性組成物であり、
    前記着色剤は、前記ハロゲン化フタロシアニン染料を55〜80質量%、および、前記黄色色素を20〜45質量%含有し、
    前記ハロゲン化フタロシアニン染料は、下記一般式(1−1)で表わされる化合物であり、
    前記黄色色素は、下記一般式(5)で表されるモノメチン染料、アゾ系黄色顔料、または、イソインドリン系黄色顔料であり、
    前記熱硬化性化合物は、エポシキ化合物、メラミン化合物、ウレア化合物およびフェノール化合物から選ばれる少なくとも1種である、着色硬化性組成物。
    一般式(1−1
    (一般式(1−1)中、Z 〜Z 16 は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子または下記一般式(1−1−2)で表される基を表し、Z 〜Z 16 のうち、1〜8つは、一般式(1−1−2)で表される基を表し、少なくとも1つはハロゲン原子であり、かつ、少なくとも1つは一般式(1−1−2)で表される基であって、A 11 が1〜5つのCOOHを有するフェニル基で表される基である。Mは2つの水素原子、金属原子、金属酸化物または金属ハロゲン化物を表わす。)
    一般式(1−1−2)
    (一般式(1−1−2)中、X は酸素原子であり、A 11 は、1〜5つの置換基Rを有するフェニル基であり、置換基Rは、COOHまたはCOOR (R は一般式(1−3)で表される基である。)
    一般式(1−3)
    (一般式(1−3)中、R は炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R は炭素数1〜8のアルキル基を表し、nは1〜4の整数を表す。)
    一般式(5)
    (一般式(5)中、R11は、それぞれ、アルキル基またはビニル基を表し、R12は、それぞれ、置換基を有する芳香族環基を表す。)
  2. 前記一般式(1−1)において、
    〜Z 16 のうち、少なくとも一つは、前記一般式(1−1−2)で表される基であって、A 11 が1〜5つの置換基Rを有するフェニル基であり、
    〜Z 16 のうち、少なくとも一つは、前記一般式(1−1−2)で表される基であって、A 11 がCOOR (R は前記一般式(1−3)で表される基である)である、請求項1に記載の着色硬化性組成物。
  3. 前記熱硬化性化合物は、エポシキ化合物およびメラミン化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の着色硬化性組成物。
  4. 前記着色硬化性組成物中における、熱硬化性化合物の含有量が全固形分に対し4.5〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  5. 前記着色硬化性組成物中における、熱硬化性化合物の含有量が全固形分に対し5〜40質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  6. 熱硬化性化合物がエポキシ化合物である、請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  7. 熱硬化性化合物が、1分子内にエポキシ基を2つ以上有し、分子量が1000以上である、請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  8. 前記黄色色素が前記一般式(5)で表されるモノメチン染料である、請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  9. 前記一般式(1)において、Z1〜Z16のうち、5〜15つがハロゲン原子である、請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を硬化してなることを特徴とする硬化膜。
  11. 請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
  12. 着色層の厚さが0.1〜1.0μmである、請求項11に記載のカラーフィルタ。
  13. 請求項1〜のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を用いて着色層を形成する工程、前記着色層上にフォトレジスト層を形成する工程、露光及び現像することにより前記フォトレジスト層をパターニングしてレジストパターンを得る工程、及び前記レジストパターンをエッチングマスクとして前記着色層をドライエッチングする工程を含む、カラーフィルタの製造方法。
  14. 請求項11または12に記載のカラーフィルタを有する液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス素子または固体撮像素子。
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