JP6106002B6 - 熱変色性筆記具 - Google Patents

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本発明は、筒状の本体の端部に、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低摩耗性の弾性材料からなる摩擦部を備え、且つ、内部に熱変色性インキを収容した熱変色性筆記具に関する。
従来、熱変色性筆記具において、軸胴の後端やキャップの頂部に摩擦体を設ける構成が開示されている。(例えば、特許文献1)。
特開2007−223302号公報
前記特許文献1の熱変色性筆記具は、非使用時、ペンケース、ペン立て、または衣服のポケット等に収納して保管すると、摩擦部が常に外部に露出しているため、摩擦部が、他の物品(例えば、他の筆記具外面、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面等)に接触することにより、摩擦部表面に塵や埃が付着し、摩擦部表面が汚れることがあり、その汚れた状態の摩擦部を用いて紙面(被筆記面)を摩擦すると、紙面が汚れてしまう不具合があった。
本発明は前記従来の問題点を解決するものであって、非使用時に摩擦部が汚れることを防止できる熱変色性筆記具を提供しようとするものである。
尚、本発明において、「前」とは摩擦部側を指し、「後」とはその反対側を指す。
本願の第1の発明は、筒状の本体2の端部に、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低摩耗性の弾性材料からなる摩擦部31を備え、且つ、内部に熱変色性インキを収容した熱変色性筆記具であって、前記本体2の前記摩擦部31の近傍に保護部材4を設け、前記保護部材4が、軸方向に移動可能に設けられるとともに弾発体5により軸方向前方に常時付勢され、前記摩擦部31の非使用時、前記保護部材4の頂部が前記摩擦部31の頂部よりも軸方向前方に突出し、前記摩擦部31の使用時、被筆記面6と前記保護部材4の頂部との接触により、前記保護部材4が軸方向後方に移動してなることを要件とする。
前記第1の発明の熱変色性筆記具1は、前記本体2の前記摩擦部31の近傍に保護部材4を設け、前記保護部材4が、軸方向に移動可能に設けられるとともに弾発体5により軸方向前方に常時付勢され、前記摩擦部31の非使用時、前記保護部材4の頂部が前記摩擦部31の頂部よりも軸方向前方に突出し、前記摩擦部31の使用時、被筆記面6と前記保護部材4の頂部との接触により、前記保護部材4が軸方向後方に移動してなることにより、非使用時、ペンケース、ペン立て、または衣服のポケット等に収納して保管しても、保護部材4により摩擦部31が、他の物品(例えば、他の筆記具外面、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面等)に接触することが回避され、非使用時に摩擦部31が汚れることを防止できる。尚、本発明で筒状の本体2とは、例えば、一端にペン先を備え且つ内部に熱変色性インキを収容した軸筒、または該軸筒のペン先側に着脱自在に装着されるキャップ等が挙げられる。本発明で、前記保護部材4は、少なくとも前記摩擦部31の近傍に配置されればよく、摩擦部31の形状及び保護部材4の形状は何れであってよい。
本願の第2の発明は、前記第1の発明の熱変色性筆記具1において、前記摩擦部31に軸方向前方に開口する出没孔32が設けられ、前記摩擦部31の非使用時、前記出没孔32から軸方向前方に前記保護部材4の頂部が突出し、前記摩擦部31の使用時、前記出没孔32内に前記保護部材4の頂部が没入してなることを要件とする。
前記第2の発明の熱変色性筆記具1は、前記摩擦部31に軸方向前方に開口する出没孔32が設けられ、前記摩擦部31の非使用時、前記出没孔32から軸方向前方に前記保護部材4の頂部が突出し、前記摩擦部31の使用時、前記出没孔32内に前記保護部材4の頂部が没入してなることにより、摩擦部31近傍の保護部材4を容易に設けることができる。尚、前記出没孔32は、少なくとも軸方向前方に開口されていればよく、切り欠き状に径方向外方にも開口してもよい。
本願の第3の発明は、前記第2の発明の熱変色性筆記具1において、前記保護部材4が、前記出没孔32内を摺動し且つ該出没孔32より前方に頂部が突出するロッド部41と、該ロッド部41の後端部外面より径方向外方に突出する凸部42とを備え、前記出没孔32の後方に該出没孔32より大きい内径を有する収容孔32を連設し、前記出没孔32と前記収容孔32との間に段部34を形成し、前記収容孔32内に前記弾発体5及び前記凸部42が収容され、前記摩擦部31の非使用時、前記段部34に前記保護部材4の凸部42が係止されることを要件とする。
前記第3の発明の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記出没孔32内を摺動し且つ該出没孔32より前方に頂部が突出するロッド部41と、該ロッド部41の後端部外面より径方向外方に突出する凸部42とを備え、前記出没孔32の後方に該出没孔32より大きい内径を有する収容孔32を連設し、前記出没孔32と前記収容孔32との間に段部34を形成し、前記収容孔32内に前記弾発体5及び前記凸部42が収容され、前記摩擦部31の非使用時、前記段部34に前記保護部材4の凸部42が係止されることにより、保護部材4及び弾発体5を筒体の摩擦部31側の端部に適正に配置することができる。
本願の第4の発明は、前記第1、第2または第3の発明の熱変色性筆記具1において、前記保護部材4の頂部が凸曲面状であることを要件とする。
前記第4の発明の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4の頂部が凸曲面状(例えば半球面状)であることにより、摩擦部31使用時、被筆記面6上をあらゆる方向に円滑に摺動させることができる。
本発明において、前記摩擦部31を構成する弾性材料は、弾性を有する合成樹脂(ゴム、エラストマー)が好ましく、例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂(スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体)、SEBS樹脂(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、フッ素系樹脂、クロロプレン樹脂、ニトリル樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。前記摩擦部31を構成する弾性を有する合成樹脂は、高摩耗性の弾性材料(例えば、消しゴム等)ではなく、摩擦時に摩耗カス(消しカス)が殆ど生じない低摩耗性の弾性材料である。本発明において、前記保護部材4は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)または金属から構成されることが好ましい。また、前記本体2は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ABS樹脂等)または金属から構成されることが好ましい。
本発明の熱変色性筆記具は、非使用時に摩擦部が汚れることを防止できる。
本発明の実施の形態の摩擦部非使用時の要部縦断面図である。 本発明の実施の形態の摩擦部使用時の要部縦断面図である。
図1及び図2の本発明の実施の形態の熱変色性筆記具を示す。
・摩擦部材
筒状の本体2の一端に、低摩耗性の弾性材料(例えば、シリコーン樹脂、SBS樹脂、SEBS樹脂)からなる摩擦部材3が固着される。前記摩擦部材3の頂部または頂部周縁には、凸曲面状の摩擦部31が形成される。前記摩擦部材3は、その内部に、前方に開口する小径の出没孔32と、該出没孔32の後端より後方に連設される大径の収容孔32と、該出没孔32と収容孔32との間に形成される段部34とを備える。
・保護部材
前記摩擦部材3の内部に、軸方向に移動可能に保護部材4が設けられる。前記保護部材4が、ロッド部41と、該ロッド部41の後端部外面より径方向外方に突出する鍔状の凸部42とを備える。前記ロッド部41が、出没孔32内を軸方向に摺動可能であり、前記凸部42が、前記収容孔32内に軸方向に摺動可能に収容される。前記保護部材4は、合成樹脂または金属により形成される。前記ロッド部41の頂部が、凸曲面状(R曲面状)に形成される。
・弾発体
前記保護部材4は、弾発体5(例えば圧縮コイルスプリング、ゴムやスポンジ等の弾性体)により常時、前方に弾発付勢される。前記弾発体5は、前記収容孔32内に配置される。前記弾発体5の前端が保護部材4の後面に当接され、前記弾発体5の後端が本体2の前面に当接される。前記弾発体5の保護部材4を前方に付勢する弾発荷重は、少なくとも、熱変色性筆記具1全体の重量よりも高く設定される。
・本体
前記本体2は、円筒体であり、合成樹脂または金属により形成される。前記本体2は、例えば、内部に熱変色性インキが収容され且つ該熱変色性インキが吐出可能なペン先を一端に備えた軸筒、または、前記軸筒のペン先側に着脱自在のキャップが挙げられる。前記本体2が軸筒の場合、軸筒の反ペン先側の端部に摩擦部31が設けられる。前記本体2がキャップの場合、キャップの閉鎖側端部に摩擦部31が設けられる。
・作用
摩擦部31の非使用時、保護部材4のロッド部41の頂部が、摩擦部31の出没孔32より外部に突出され、それにより、摩擦部31が他の物品に接触することを回避する。摩擦部31の使用時、被筆記面6と保護部材4の頂部とが接触し、被筆記面6により保護部材4が後方に押圧され、保護部材4が出没孔32内に没入され、摩擦部31を被筆記面6に押し当てて使用できる。それにより、摩擦操作前に、保護部材4を移動させる別の操作が不要となり、摩擦部31を迅速に使用できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記本体2の前記摩擦部31の近傍に保護部材4を設け、前記保護部材4が、軸方向に移動可能に設けられるとともに弾発体5により軸方向前方に常時付勢され、前記摩擦部31の非使用時、前記保護部材4の頂部が前記摩擦部31の頂部よりも軸方向前方に突出し、前記摩擦部31の使用時、被筆記面6と前記保護部材4の頂部との接触により、前記保護部材4が軸方向後方に移動してなることにより、非使用時、ペンケース、ペン立て、または衣服のポケット等に収納して保管しても、保護部材4により摩擦部31が、他の物品(例えば、他の筆記具外面、ペンケースの内面、ペン立ての底面、または衣服のポケット内面等)に接触することが回避され、非使用時に摩擦部31が汚れることを防止できる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記摩擦部31に軸方向前方に開口する出没孔32が設けられ、前記摩擦部31の非使用時、前記出没孔32から軸方向前方に前記保護部材4の頂部が突出し、前記摩擦部31の使用時、前記出没孔32内に前記保護部材4の頂部が没入してなることにより、摩擦部31近傍の保護部材4を容易に設けることができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4が、前記出没孔32内を摺動し且つ該出没孔32より前方に頂部が突出するロッド部41と、該ロッド部41の後端部外面より径方向外方に突出する凸部42とを備え、前記出没孔32の後方に該出没孔32より大きい内径を有する収容孔32を連設し、前記出没孔32と前記収容孔32との間に段部34を形成し、前記収容孔32内に前記弾発体5及び前記凸部42が収容され、前記摩擦部31の非使用時、前記段部34に前記保護部材4の凸部42が係止されることにより、保護部材4及び弾発体5を筒体の摩擦部31側の端部に適正に配置することができる。
本実施の形態の熱変色性筆記具1は、前記保護部材4の頂部が凸曲面状であることにより、摩擦部31の使用時、被筆記面6上をあらゆる方向に円滑に摺動させることができる。
1 熱変色性筆記具
2 本体
3 摩擦部材
31 摩擦部
32 出没孔
33 収容孔
34 段部
4 保護部材
41 ロッド部
42 凸部
5 弾発体
6 被筆記面

Claims (4)

  1. 筒状の本体の端部に、熱変色性インキの筆跡を摩擦しその際に生じる摩擦熱で該筆跡を熱変色可能な低摩耗性の弾性材料からなる摩擦部を備え、且つ、内部に熱変色性インキを収容した熱変色性筆記具であって、前記本体の前記摩擦部の近傍に保護部材を設け、前記保護部材が、軸方向に移動可能に設けられるとともに弾発体により軸方向前方に常時付勢され、前記摩擦部の非使用時、前記保護部材の頂部が前記摩擦部の頂部よりも軸方向前方に突出し、前記摩擦部の使用時、被筆記面と前記保護部材の頂部との接触により、前記保護部材が軸方向後方に移動してなることを特徴とする熱変色性筆記具。
  2. 前記摩擦部に軸方向前方に開口する出没孔が設けられ、前記摩擦部の非使用時、前記出没孔から軸方向前方に前記保護部材の頂部が突出し、前記摩擦部の使用時、前記出没孔内に前記保護部材の頂部が没入してなる請求項1記載の熱変色性筆記具。
  3. 前記保護部材が、前記出没孔内を摺動し且つ該出没孔より前方に頂部が突出するロッド部と、該ロッド部の後端部外面より径方向外方に突出する凸部とを備え、前記出没孔の後方に該出没孔より大きい内径を有する収容孔を連設し、前記出没孔と前記収容孔との間に段部を形成し、前記収容孔内に前記弾発体及び前記凸部が収容され、前記摩擦部の非使用時、前記段部に前記保護部材の凸部が係止される請求項2記載の熱変色性筆記具。
  4. 前記保護部材の頂部が凸曲面状である請求項1、2または3記載の熱変色性筆記具。
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