JP6103976B2 - 表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置 - Google Patents

表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置 Download PDF

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Description

本発明は、酸性排液やアルカリ性排液などの表面処理排液から、酸性の表面処理液、アルカリ性の表面処理液を回収し、表面処理液として再生させることができる表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置に関する。
一般に、めっき、クロメート、あるいは陽極酸化などの表面処理には、金属がイオンとなって溶け込んださまざまな表面処理液が成膜、洗浄、脱脂などの目的で用いられる。これらの表面処理液には、大きく分けると、酸性のpHを有する酸性の処理液と、アルカリ性のpHを有するアルカリ性の処理液との2つがあり、これら2種類の処理液を双方排液処理しなくてはならない場合も多い。
例えば、特許文献1のように鋼帯などの被処理物に亜鉛をめっきする場合であれば、これらの被処理物の表面には加工用の潤滑油などが付着していることが多いため、被処理物の表面から油脂を除去するアルカリ脱脂処理のような表面処理が最初に行われる。このアルカリ脱脂処理としては、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ溶液に被処理物を浸漬させて、油脂を鹸化して除去するアルカリ脱脂などが知られている。また、アルカリ脱脂で鹸化された油脂の残留物や金属化合物の異物(スマット)を除去するために、脱脂処理に引き続いて酸洗浄が行われる。この酸洗浄は、塩酸やフッ酸といった強酸の溶液に脱脂済みの被処理物を浸漬させることにより、アルカリ脱脂で除去しきれなかった金属間化合物などの異物を取り除くものである。つまり、特許文献1の表面処理方法では、アルカリ脱脂で用いられたアルカリ性の排液と、酸洗浄で用いられた酸性の排液とを、排液処理しなくてはならない。
また、特許文献2にも、水酸化ナトリウムを用いたアルカリ電解脱脂によって鋼材を脱脂した後、塩酸を用いて酸洗浄し、酸洗浄後の鋼材に対して亜鉛めっきを行う方法が開示されている。この方法でも、酸・アルカリの双方を排液処理しなくてはならない。
特開平11−158668号公報 特開平05−179448号公報
ところで、上述した酸性やアルカリ性の表面処理排液中には、めっき膜の成膜に利用可能なクロムやニッケルといった有価な成分(金属成分)が含まれていることが多い。また、表面処理排液中には、表面処理液の建浴に用いることができるような酸性の成分(例えば、硫酸イオン、塩素イオン、硝酸イオンなどの成分)やアルカリ性の成分(例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオンなどの成分)も残されている。それゆえ、資源を有効活用するためには、これらの金属、酸、アルカリなどの有価な成分を可能な限り回収して、再び前処理液や表面処理液として再生するのが好ましい。
このような有価な成分を表面処理排液から回収する場合には、電気分解や透析のような手段を用いて反応生成物として表面処理排液中に存在している各成分を、反応前の状態にまで戻す必要がある。ただ、表面処理排液には、上述した有価な成分以外にも大量の水分が含まれているので、そのままでは有価な成分の濃度が薄すぎて電気分解や透析を効率的に実施することができない。つまり、表面処理排液から有価な成分を効率的に取り出す為には、表面処理排液から水分などを予め取り除いて、有価な成分の濃度を高めておくことが必要となる。また、水資源が日本ほど豊富でない外国では、水を排水などとして廃棄するのではなく、水も資源として回収したいという要望が強い。
上述した表面処理排液から水を取り出す手段としては、例えば水分子より大きな分子の捕集が可能なR.Oメンブランフィルタに表面処理排液を作用させる手段が考えられる。しかし、表面処理排液に含まれる酸やアルカリの成分は、電離したイオン状態では分子径
が小さく、R.Oメンブランフィルタで捕集できないことも多い。例えば、塩化ナトリウムを例に挙げれば、塩化ナトリウムは化合物となっている状態ではR.Oメンブランフィルタで捕集しうるが、塩素イオンとナトリウムイオンとに電離した状態では捕集できず、フィルタの網目を透過してしまう。それゆえ、有価な成分の回収を目的にR.Oメンブランフィルタに表面処理排液を作用させて水を取り出そうとしても、有価な成分が十分に電離した状態でなければ水を効率的に分離することはできず、金属、酸、アルカリといった有価な成分を確実に回収することもできないという問題があった。
本発明は、上述した問題点を鑑みて為されたものであり、R.Oメンブランフィルタを用いて表面処理排液から水を効率的に分離でき、水を分離することで濃縮された表面処理排液から金属、酸、アルカリなどの有価な成分を確実に回収することができる表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る表面処理排液の排液処理方法は、酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合することにより、前記酸性排液に含まれていたアニオンと、前記アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整しておき、前記表面処理排液を、水分子を透過可能で、且つ前記非電離状態の塩を捕集可能なR.Oメンブランフィルタに透過させることにより、前記表面処理排液から水分を取り除いて、前記塩が濃縮された濃縮排液を回収することを特徴とする。
なお、好ましくは、イオン透過膜で仕切られた透析槽を設けておき、前記イオン透過膜の陰極側に前記表面処理排液から回収された濃縮排液を入れ、イオン透過膜の陰極側と陽極側との間に直流の電圧をかけることにより、前記イオン透過膜の陽極側にアニオンを抽出し、前記陽極側に抽出されたアニオンを酸性の表面処理液として再使用するとよい。
なお、好ましくは、イオン透過膜で仕切られた透析槽を設けておき、前記イオン透過膜の陽極側に前記表面処理排液から回収された濃縮排液を入れ、イオン透過膜の陽極側と陰極側との間に直流の電圧をかけることにより、前記イオン透過膜の陰極側にカチオンを抽出し、前記陰極側に抽出されたカチオンをアルカリ性の表面処理液として再使用するとよい。
また、本発明に係る表面処理排液の排液処理方法の最も好ましい形態は、酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合することにより、前記酸性排液に含まれていたアニオンと、前記アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整しておき、前記表面処理排液を、水分子を透過可能で、且つ前記非電離状態の塩を捕集可能なR.Oメンブランフィルタに透過させることにより、前記表面処理排液から水分を取り除いて、前記塩が濃縮された濃縮排液を回収するものであって、内部がイオン透過膜で仕切られた透析槽を設けておき、前記イオン透過膜の陰極側に前記表面処理排液から回収された濃縮排液を入れ、イオン透過膜の陰極側と陽極側との間に電位差をかけることにより、前記イオン透過膜の陽極側にアニオンを抽出し、前記陽極側に抽出されたアニオンを酸性の表面処理液として再使用することを特徴とする。
一方、本発明の表面処理排液の排液処理装置は、酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合することにより、前記酸性排液に含まれていたアニオンと、前記アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整する中和槽と、前記表面処理排液を透過させることで、水分子と前記非電離状態の塩とを分離するR.Oメンブランフィルタと、前記R.Oメンブランフィルタで捕集された前記非電離状態の塩を収容する原水コンパートメントに対して、アニオン選択透過膜で仕切られた一方側に前記アニオンを誘引する陽極を有する酸コンパートメントを備えると共に、カチオン選択透過膜で仕切られた他方側に前記カチオンを誘引する陰極を有するアルカリコンパートメントを備えた透析槽と、前記酸コンパートメントに抽出されたアニオン、または前記アルカリコンパートメントに抽出されたカチオンを、前記中和槽での表面処理排液の調整に再使用していることを特徴とする。
本発明に係る表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置によれば、R.Oメンブランフィルタを用いて表面処理排液から水を効率的に分離でき、水を分離することで濃縮された表面処理排液から金属、酸、アルカリなどの有価な成分を確実に回収することができる。
本発明の表面処理排液の排液処理装置のうち、R.Oメンブランユニットの平面レイアウトを示した図である。 本発明の表面処理排液の排液処理方法を構成する工程を示す図である。
[第1実施形態]
以下に、本発明の表面処理排液の排液処理方法及び排液処理装置1に係る第1実施形態を図を基に説明する。
本発明の排液処理装置1は、前処理で用いられる酸洗浄液やアルカリ脱脂液の排液のように、酸性排液とアルカリ性排液との双方を含む表面処理排液から、表面処理液や表面処理液の前処理液の原液を再生するものである。この再生により得られる表面処理液や前処理液の原液には、塩酸、硫酸、硝酸、フッ酸などの酸、または水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムなどのアルカリが、単独又は混合された状態で含まれており、酸洗浄液やアルカリ脱脂液の建浴に再利用することができるようになっている。
具体的には、本発明の排液処理装置1で排液処理される表面処理排液は、酸性排液と、アルカリ性排液とが双方含まれている。前者の酸性排液には、パラジウムコロイド液のような触媒付与液や、硝酸のようなデスマット液などが含まれており、パラジウムや白金のような遷移金属のカチオンと、硝酸、フッ酸、硝フッ酸、塩酸などの酸が解離してできるアニオンとが含まれている。上述した酸性排液は排液となっていてもpHが酸性側にシフトしている場合が多く、これらのアニオンとカチオンとは酸性排液中で大部分が電離したイオン状態となっている。
一方、後者のアルカリ性排液には、水酸化ナトリウムなどのようなアルカリ脱脂液や、ジンケート浴のようなめっき液などが含まれており、ナトリウムやカルシウムのようなアルカリ金属、アルカリ土類金属、または両性金属などのカチオン、及び水酸化物イオンを主体とするアニオンが含まれている。これらのアルカリ排液もpHがアルカリ側にシフトしている場合が多く、排液中で大部分がアニオンとカチオンとに電離した状態となっている。
それゆえ、上述した酸性排液やアルカリ性排液から金属、酸、アルカリなどの成分を回収する場合には、電気透析などの手段が考えられる。ただ、酸性排液やアルカリ性排液には、例えば表面処理後にワークを洗浄した際に発生する多量の水が混じって希釈されており、そのままでは濃度が低すぎて電気透析を適用できない。そこで、本発明の排液処理方法では、酸性の排液やアルカリ性の排液をR.Oメンブランユニットに透過させて、水分子だけを回収する。R.Oメンブランユニットには、水分子と、水分子より大きな分子を分離可能な0.3nmの目開きを有するものがあり、このような0.3nmのR.Oメンブランユニットを用いれば、上述した酸性の排液やアルカリ性の排液から水分子を優先的に取り出すことができる。
ただ、上述したように酸性の排液やアルカリ性の排液では、金属、酸、アルカリなどはいずれもイオン状態となっていることが多く、非電離状態に比べて分子径が小さいので、0.3nmのR.Oメンブランユニットであっても捕集されずに、透過してしまう虞がある。例えば、塩化ナトリウムが含まれた排液を0.3nmのR.Oメンブランユニットに透過させると、塩化ナトリウムの分子を比較的高濃度で捕集することができるが、塩素イオンとナトリウムイオンとがほぼ完全に電離している塩酸や水酸化ナトリウムをR.Oメンブランユニットに透過させようとすると、これらのイオンはR.Oメンブランユニットに捕集されず容易に透過して捕集効率が大きく低下してしまう。つまり、上述した酸性の排液やアルカリ性の排液から水を効果的に回収するためには、これらの排液に含まれる金属、酸、アルカリなどの電離を可能な限り抑えておくことが必要となる。
そこで、本発明の排液処理方法では、酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合し、酸性排液に含まれていたアニオンと、アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整している。このようにして中和された表面処理排液中では、酸性排液に含まれていたアニオンと、アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合して、分子径が大きな非電離状態となってR.Oメンブランユニットに供給されるため、R.Oメンブランユニットでの捕集効率を大きく向上させることができる。
それゆえ、本発明の排液処理方法では、表面処理排液から水分を取り除いて、有価な金属イオンや酸イオンだけが高濃度に含まれた濃縮排液を回収することが可能となり、濃縮排液に電気透析などの手段を適用して有価な金属、酸、アルカリなどを効率的に回収することが可能となる。
次に、本発明の排液処理方法及びこの排液処理方法が行われる排液処理装置について、詳しく説明する。
本発明の排液処理装置1は、酸性排液とアルカリ性排液とを混合して、両者を中和させることにより表面処理排液を調整する中和槽3と、この中和槽3で調整された表面処理排液から水分を分離して、表面処理排液から水(純水)を回収するR.Oメンブランフィルタユニット4と、を有している。このR.Oメンブランフィルタユニット4からは、水(純水)を回収することで濃縮された濃縮排液が取り出されており、取り出された濃縮排液に対してフィルタリングなどの手段をさらに追加して設けることで、濃縮排液から酸、アルカリ、金属などの有価物を回収することが可能となる。
なお、濃縮排液から酸、アルカリ、金属などの有価物を回収する手段には、凝集剤や凝固剤を入れて有価物を沈澱させ、沈殿物をフィルタリングなどによって取り出す方法などを用いることもできるが、本実施形態では、濃縮排液に対して電気透析を適用することで、酸、アルカリ、金属などを回収する例を挙げて、本発明の処理装置1を説明する。
具体的には、本実施形態の排液処理装置1には、上述した中和槽3、R.Oメンブランフィルタユニット4に加えて、イオン透過膜を介して電位差をかけることにより陰極32側のカチオンと陽極33側のアニオンとに分離する電気透析ユニット5と、この電気透析ユニット5で分離された陰極32側の表面処理排液または陽極33側の表面処理排液のいずれか一方を、中和槽3に再び供給する中和剤供給部6と、が設けられている。この中和剤供給部6は、酸排液とアルカリ排液とを中和させても中和槽3の表面処理排液のpHが酸性側又はアルカリ側に偏っている場合(中性になっていない場合)に、回収された表面処理排液の一部を中和槽3に送って中和を助けることにより、pHが中性に抑えられた表面処理排液、言い換えればより電離が抑えられた表面処理排液を調整するために設けられている。
なお、上述した中和槽3の側方には異物除去槽7が設けられており、また異物除去槽7には表面処理排液から埃やめっき滓などの大型固形分、油分、油分以外の有機物、金属イオンなどの異物を除去する異物除去循環ライン8が設けられている。また、さらに、異物除去槽7とは反対側の中和槽3の側方には、中和槽3の表面処理排液から濃縮排液を取り除くことで純水を回収するR.Oメンブランフィルタユニット4が設けられている。このR.Oメンブランフィルタユニット4で回収された純水は、オーバーフロー槽9を介して装置の外部に取り出される。
次に、第1実施形態の表面処理排液の排液処理装置1を構成する異物除去槽7(異物除去循環ライン8)、中和槽3、R.Oメンブランフィルタユニット4、電気透析ユニット5、中和剤供給部6、オーバーフロー槽9について説明する。
異物除去槽7は、排液ピットなどから送られてきた未処理の酸性排液及びアルカリ性排液を貯留する槽である。この異物除去槽7には、排液ピットなどから酸性排液及びアルカリ性排液を異物除去槽7に導入する配管10が接続されており、この配管10を通じて酸性排液とアルカリ性排液とが異物除去槽7に流れ込んでいる。異物除去槽7では、それぞれの配管10から送られてきた酸性排液とアルカリ性排液とが混合され、中和が行われる。
異物除去槽7では、配管10を通じて供給される酸性排液及びアルカリ性排液のpHや供給量などによって、混合してもpHが中性にならない(酸性側又はアルカリ性側にシフトしてしまう)場合があり、混合によって得られた排液が中性を示さない場合がある。このような場合は、排液中のカチオンやアニオンが電離したままとなっており、混合後の排液を直接R.Oメンブランフィルタユニット4に送っても十分な捕集ができない。それゆえ、混合によって得られた排液を一旦中和槽3に送って、中和槽3でまずpHを中性に調整し、酸性排液に含まれていたアニオンとアルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を中和槽3で最終的に調整する。
なお、異物除去槽7には、後述する電気透析ユニット5からの表面処理排液を流通させる配管(中和剤返送配管11)も接続されており、電気透析ユニット5で陰極32や陽極33に分離されなかった化学種(例えば、電離度が低い有機酸など)を含む表面処理排液
が流入(帰還)している。
また、異物除去槽7では、上述した前処理や表面処理において発生した異物の除去が行われる。異物除去槽7に排液ピットなどから流れ込む酸性排液やアルカリ性排液には、例えば、脱脂などによって被処理物から遊離した油分や埃やめっき滓などの大型固形分が異物として浮遊していたり、めっきなどで光沢剤や安定剤として用いられた有機添加剤が異物として残っていたり、あるいは鉛、鉄、ビスマス、銅、亜鉛などの重金属イオンが異物として高濃度で含まれていたりする。そこで、この異物除去槽7には、酸性排液やアルカリ性排液から異物を除去する異物除去ユニット13が設けられた異物除去循環ライン8が設けられている。この異物除去循環ライン8は、異物除去槽7に貯留された排液(酸性排液とアルカリ性排液とが混合されて生じる排液)を異物除去ユニット13に循環状態で送ることにより、上述した異物を排液から除去できるようになっている。
具体的には、異物除去循環ライン8は、異物除去槽7に開口したライン入口14から取り込んだ排液を異物除去ユニット13に送り、異物除去ユニット13で異物が除去された排液をライン入口14同様に異物除去槽7に開口したライン出口34から異物除去槽7に帰還させることができるようになっている。また、異物除去循環ライン8には、ライン入口14と異物除去ユニット13との間に、ライン入口14から取り込んだ排液をライン出口34側に送るポンプ15が設けられている。
異物除去ユニット13は、上述した複数種の異物を除去可能な装置であり、除去する異物に合わせて4つの除去ユニットを備えている。これら4つの除去ユニットは、炭素繊維フィルタユニット、カチオン樹脂ユニット、有機物分解ユニット、及び油分吸着ユニットである。
4つの除去ユニットのうち、炭素繊維フィルタユニットは、炭素繊維を網目状に張りめぐらせた多孔状のフィルタであり、比較的大きなサイズの固形粒子を異物として捕集して、異物除去槽7に貯留された排液からこれらの粒子を除去可能となっている。この炭素繊維フィルタユニットで除去される固形粒子は、粒子径が500nmを超えるような比較的大きなサイズの固形粒子であり、例えば埃、めっき滓、凝集した有機物などが挙げられる。
カチオン樹脂ユニットは、予め定められた特定種類のカチオンを選択的に吸着させて、ナトリウムイオンなどに交換するイオン交換樹脂から形成されており、イオン交換により特定種類のカチオンを異物除去槽7に貯留された排液から除去できるようになっている。このカチオン樹脂ユニットで除去可能なカチオンはビスマス、鉛、亜鉛、銅、鉄などの重金属イオンであり、これらのカチオンを例えば1ppm程度に除去できるようになっている。
有機物分解ユニットは、強力な酸化剤であるオゾンを発生させて、異物除去槽7に貯留された排液中の有機物を酸化して除去するものである。例えばめっき液の場合であれば、めっき液には光沢剤、安定剤あるいはpH緩衝剤のように有機酸や有機酸の塩が予め添加されている。これらの有機酸はそのまま異物除去槽7に貯留された排液中に残留しているか、一部が還元されてアルデヒド類となっている。上述した有機物分解ユニットは、このような有機酸やアルデヒド類を酸化して除去するものである。なお、これらの有機物の分解には、オゾンの代わりに、あるいはオゾンと併用して紫外線を用いても良い。また、有機物分解ユニットには、有機物の分解を促進できるように白金やパラジウムのような触媒を設けておいても良い。有機物分解ユニットでは、異物除去槽7に貯留された排液に含まれる有機酸やアルデヒド類などの異物が酸化されて、大部分は二酸化炭素になって除去される。
油分吸着ユニットは、異物除去槽7に貯留された排液中に含まれる油分(油脂)のエマルジョンを吸着除去するものであり、エマルジョンの吸着に最適なように吸着材としてα−ゼオライトを充填したものが用いられている。具体的には、このエマルジョンは、アルカリ脱脂などで被加工物から脱脂され、異物除去槽7に貯留された排液中に乳化して浮遊したものである。油分吸着ユニットでは、この異物除去槽7に貯留された排液中に浮遊するエマルジョン状態の油分を、α−ゼオライトに多数形成される細孔に吸着させることで
、油分を異物として除去している。
上述した4つの除去ユニットに対して異物除去槽7に貯留された排液を順番に循環させ、除去ユニットを通過した排液を異物除去槽7に帰還させるという操作を繰り返すことにより、異物除去槽7に貯留された排液から異物が除去される。そして、異物が除去された異物除去槽7の排液は異物除去槽7の下部に設けられた流路を通じて中和槽3に送られる。
中和槽3は、異物除去槽7で異物が除去された排液に対して、中和剤を添加して排液のpHを6.5〜6.8の中性領域にpH調整するものである。この中和槽3には、後述する電気透析ユニット5で陰極32側のアルカリコンパートメント20に分離されたカチオンと、陽極33側の酸コンパートメント21に分離されたアニオンのうち、いずれか一方が中和剤供給部6により中和剤として供給されている。
つまり、中和槽3に供給される排液は、上述したように中性領域から酸性側またはアルカリ側に偏ったpHを有している。そこで、例えば図1に示すように中和槽3の排液が酸性側に偏っている場合は、アルカリコンパートメント20に分離されたカチオン、つまりアルカリ性の成分を中和剤として加えて、pHが中性領域に調整された排液(表面処理排液)を調製する。具体的には、中和槽3の排液のpHを中和剤供給部6のpHメータ22で計測し、計測されたpHに対応して所定量の中和剤を添加することで、排液のpHを6.5〜6.8に調整する。
なお、中和槽3の排液がアルカリ性側に偏っている場合は、酸コンパートメント21に分離されたアニオン(酸性の成分)を中和剤として加えて、表面処理排液のpHを中性領域に調整することもできる。このようにして中和槽3で中性領域にpH調整された排液(表面処理排液)は、R.Oメンブランフィルタユニット4に送られる。
R.Oメンブランフィルタユニット4は、中和槽3から取り込んだ表面処理排液をR.Oメンブラン23に導いて濾過することにより、表面処理排液を純水と濃縮排液とに分離するものである。R.Oメンブランフィルタユニット4で分離したもののうち、純水は中和槽3に帰還させられ、濃縮排液は電気透析ユニット5に送られる。本実施形態の排液処理装置1に設けられるR.Oメンブランフィルタユニット4には、第1のR.Oメンブラン23aと第2のR.Oメンブラン23bとの2つのメンブランフィルタが設けられており、第1のR.Oメンブラン23aに表面処理排液を流通させる第1の循環回収系統24aと、第2のR.Oメンブラン23bに表面処理排液を流通させる第2の循環回収系統24bとが設けられている。これらの第1のR.Oメンブラン23a及び第2のR.Oメンブラン23bは、いずれも孔径が0.3nm〜1nmとされた細孔をそれぞれ多数有しており、これらの細孔を利用して表面処理排液を水分(純水)と水分以外の成分(濃縮排液)とに分子サイズにより分けることができるようになっている。また、第1のR.Oメンブラン23a及び第2のR.Oメンブラン23bにはそれぞれの循環回収系統に設けられたポンプを介して、8〜10barの圧力が加えられており、圧力の作用で表面処理排液を強制的に濾過できるようになっている。R.Oメンブラン23a、23bにより分離された表面処理排液のうち、透過液、言い換えるなら水分(純水)は、そのまま循環回収系統24a、24bを通じて中和槽3に帰還し、中和槽3の表面処理排液は徐々に清浄化される。一方、R.Oメンブラン23a、23bに保留された保留液、つまり水分子以外の化学種は、「濃縮排液」として電気透析ユニット5に送られる。このようにして、中和槽3では、表面処理排液を第1の循環回収系統24a及び第2の循環回収系統24bを経由して複数回に亘って循環させつつ徐々に清浄化し、清浄化された表面処理排液をオーバーフロー槽9に送っている。
上述したオーバーフロー槽9は、中和槽3の側方に配備された槽であり、R.Oメンブランフィルタユニット4で清浄化された中和槽3の表面処理排液を一時的に貯留できるようになっている。オーバーフロー槽9に貯留された清浄化後の表面処理排液はカチオン吸着フィルタ25に送られ、このカチオン吸着フィルタ25で電気透析ユニット5で除去しにくいイオン種(例えば、ナトリウムイオン)を取り除いた後、純水として回収される。この回収された純水は、表面処理液や前処理液の建浴などさまざまな用途で利用される。
電気透析ユニット5は、第1のR.Oメンブラン23a及び第2のR.Oメンブラン23bから送られてきた濃縮排液を、イオン透過膜を担体として用いる担体電気泳動法を利用してカチオンとアニオンとに分離するものである。具体的には、電気透析ユニット5は、濃縮排液が流入している中央の原水コンパートメント26を挟んで、陽極33側の酸コンパートメント21と、陰極32側のアルカリコンパートメント20との3つのコンパートメントで構成されている。
電気透析ユニット5(透過槽)は、原水コンパートメント26と酸コンパートメント21との間にアニオン選択透過膜27(アニオン用のイオン透過膜)を、また原水コンパートメント26とアルカリコンパートメント20との間にカチオン選択透過膜28(カチオン用のイオン透過膜)を備えており、これら2つの透過膜で3つのコンパートメントに仕切られている。
これら3つのコンパートメントのうち、酸コンパートメント21には陽極33(SUS製)が設けられており、またアルカリコンパートメント20には陰極32(SUS製)が設けられている。そして、酸コンパートメント21の陽極33と、アルカリコンパートメント20の陰極32との間には例えば15V程度の電位差が加えられている。
アニオン選択透過膜27は、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンのような予め決められた種類のアニオンだけを透過する透過膜であり、またカチオン選択透過膜28はナトリウムイオン、鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、ビスマスイオンのような予め決められた種類のカチオンだけを透過する透過膜である。
つまり、電気透析ユニット5では、酸コンパートメント21の陽極33と、アルカリコンパートメント20の陰極32との間に上述した15V程度の直流電位差を発生させることにより、アニオン選択透過膜27を透過して原水コンパートメント26の表面処理排液のアニオンを酸コンパートメント21側に移動させ、酸コンパートメント21中での塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオンの濃度を上げて、酸コンパートメント21で塩酸、硫酸、硝酸、リン酸のような酸性の成分を回収している。
また、アルカリコンパートメント20では、上述した直流電位差によりカチオン選択透過膜28を透過して原水コンパートメント26の表面処理排液のカチオンをアルカリコンパートメント20側に移動させ、アルカリコンパートメント20中でのナトリウムイオン、鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、ビスマスイオンの濃度を上げる。このとき、アルカリコンパートメント20では、比較的単体金属に戻りやすい鉛イオン、鉄イオン、銅イオン、ビスマスイオンなどの重金属イオンが陰極32上に析出し、表面処理排液に不純物として含まれるこれらの重金属イオンを単体金属として回収することが可能となる。
一方、ナトリウムイオンのようなアルカリ金属イオンやカルシウムイオンのようなアルカリ土類金属イオンは、陰極32上に析出することなく、アルカリコンパートメント20内に残るため、アルカリコンパートメント20で水酸化ナトリウムや水酸化カルシウムのようなアルカリ性の成分を回収することが可能となる。
なお、電気透析ユニット5では、アニオン選択透過膜27やカチオン選択透過膜28を透過するのは、原水コンパートメント26の表面処理排液に含まれる化学種の中でも、電離されてイオン化されたものだけである。つまり、カルボン酸イオンのように電離度が小さいアニオンは、イオン化していないことが多く、アニオン選択透過膜27を透過して酸コンパートメント21に移動することはあまりないので、酸コンパートメント21に移動せずに原水コンパートメント26に残ったままとなる。このように原水コンパートメント26に残った一部の化学種(電離度の小さな化学種)は、帰還配管を通って異物除去槽7に返送され、異物除去槽7の異物除去循環ライン8で除去されることになる。
一方、電気透析ユニット5の酸コンパートメント21に回収された酸性の成分、又はアルカリコンパートメント20に回収されたアルカリ性の成分の何れかは、中和剤として中和槽3に再び中和剤供給部6により供給される。なお、本実施形態では、アルカリコンパートメント20のアルカリ性の成分を中和剤として中和槽3に返送して、中和槽3に貯留された酸性の表面処理排液を中和する例を挙げる。
中和剤供給部6は、中和槽3に貯留された表面処理排液のpHを計測するpHメータ2
2と、中和剤(アルカリコンパートメント20に回収されたアルカリ性の成分)をアルカリコンパートメント20から中和槽3に返送する中和剤返送配管11と、この中和剤返送配管11上に設けられて中和槽3に流れ込む中和剤の流量を調整する流量調整弁30と、pHメータ22で計測されたpHが6.5〜6.8になるように返送配管11の中和剤を所定量だけ中和槽3に流入させる制御手段31とを備えている。この制御手段31は、PLC(Program Logic Controller)やパソコンのような機器で構成されており、予め定められた閾値に対して計測されたpHが変動した際に、pHの変動量に応じて予め決められた量の中和剤を流通させる信号を流量調整弁30に送る構成とされている。また、流量調整弁30は、制御手段31からの信号に基づいて返送配管11を通って中和槽3に流れ込む中和剤の流量を調整可能なサーボ弁である。
なお、この流量調整弁30には、流量を調整するもの他、圧力を調整可能なものや、流量と圧力とを双方調整可能なものを用いても良い。
また、上述した例では、アルカリコンパートメント20に分離・回収されたアルカリ性の成分を中和剤に用いる例を採用したが、本発明の排液処理装置1は酸コンパートメント21に分離・回収された酸性の成分を中和剤に用いるものであっても良い。
このような中和剤供給部6を設ければ、新たに酸やアルカリの薬剤を用いることなく、アルカリ・酸コンパートメント20、21に分離・回収された中和剤を用いて、中和槽3の表面処理排液のpHを6.5〜6.8に調整することが可能となる。
次に、上述した処理装置1を用いて酸性排液やアルカリ性排液から水、酸、アルカリ、金属などを回収する方法、言い換えれば本発明の処理方法を説明する。
図2に示すように、本発明の処理方法は、表面処理またはその前処理で発生した酸性排液及びアルカリ性排液から表面処理液などを再生するものであり、排液中和工程、純水回収工程、及び電気透析工程の3工程を順番に行うものである。
なお、好ましくは、中和剤を用いて表面処理排液のpHを中性に変化させる前に、酸性排液及びアルカリ性排液に含まれる異物であって、油脂、有機酸、または重金属イオンを含むものを除去する異物除去工程を、排液中和工程の前に設けると良い。
次に、本発明の処理方法を構成する各工程を詳しく説明する。
まず、酸性排液及びアルカリ性排液を発生させる表面処理工程を説明する。
表面処理工程は、上述しためっき処理、陽極酸化処理、ダクロタイズド処理、クロメート処理などの表面処理を行う工程である。なお、この表面処理工程には、表面処理の前処理であるアルカリ脱脂や酸洗浄などの処理も含まれる。これらの表面処理では、めっき液、陽極酸化処理液、ダクロ処理液、クロメート液が、酸洗浄液やアルカリ脱脂液が用いられ、処理が進むに連れて処理液が劣化して酸性排液及びアルカリ性排液が発生する。このようにして発生した酸性排液及びアルカリ性排液は、異物除去槽7に取り込まれ、本発明の処理方法により処理される。
本発明の処理方法では、配管10を介して取り込まれた酸性排液及びアルカリ性排液をまず異物除去槽7中で混合し、混合された排液に対して、まず異物除去工程が行われる。
異物除去工程は、上述した炭素繊維フィルタユニット、カチオン樹脂ユニット、有機物分解ユニット、及び油分吸着ユニットの4つのユニットから構成された異物除去ユニット13(異物除去循環ライン8)で、異物を除去する工程である。この異物除去工程で除去される異物には、例えば埃、めっき滓のように500nmを超えるような比較的大きなサイズの固形粒子、ビスマス、鉛、亜鉛、銅、鉄などのような重金属イオン、光沢剤や安定剤のように排液中に含有されている有機酸、あるいは有機酸が還元されて形成されたアルデヒド類、エマルジョンとして存在している油脂(油分)がある。この異物除去工程では異物を除去した後、異物等を除去した排液を再び異物除去槽7に帰還させるという処理を繰り返すことで、排液を循環させつつ徐々に異物を除去している。このようにして異物が除去された排液は、異物除去槽7の下部に設けられた流路を通じて中和槽3に送られ、中和槽3で排液中和工程が行われる。
排液中和工程は、異物除去工程で異物が除去された排液に対して、中和剤を用いて中和を行う工程である。この排液中和工程は、中和槽3に貯留された排液のpHを計測し、計
測されたpHが6.5〜6.8の中性領域になるように所定量の中和剤を加えるものである。排液中和工程で加えられる中和剤は、後述する電気透析工程で得られるものであり、排液のpHが中性領域より高い場合には酸コンパートメント21(陽極33側)に分離された成分(回収された酸)が、また表面処理排液のpHが中性領域より低い場合にはアルカリコンパートメント20(陰極32側)に分離された成分(回収されたアルカリ)が中和剤として用いられる。
このようにして排液中和工程で中和された排液は、pH6.5〜6.8の中性領域に調整された後、「表面処理排液」としてR.Oメンブランフィルタユニット4に送られ、このR.Oメンブランフィルタユニット4で純水回収工程が行われる。
純水回収工程は、R.Oメンブランフィルタユニット4を用いて、水分(純水)と、水分子以外の化学種とを分離するものであり、表面処理排液から純水を回収すると共に、表面処理排液中の酸、アルカリ、金属などの成分が濃縮された濃縮排液を得るものである。具体的には、R.Oメンブランフィルタユニット4には孔径が0.3nm〜1nmとされたR.Oメンブランが用いられ、またR.Oメンブランの膜間に8〜10barの圧力が加えられており、表面処理排液を濾過できるようになっている。
具体的には、R.Oメンブランフィルタユニット4で濾過された透過液は中和槽3に帰還させられ、中和槽3からオーバーフロー槽9に送られ、オーバーフロー槽9からカチオン吸着フィルタ25に送られる。そして、カチオン吸着フィルタ25でナトリウムイオンを除去された後、純水として利用される。
一方、R.Oメンブランフィルタユニット4で保留された濃縮排液は電気透析ユニット5に送られ、電気透析ユニット5の原水コンパートメント26に供給される。そして、電気透析ユニット5において、電気透析工程が行われる。
電気透析工程は、純水回収工程で濃縮された濃縮排液を原水コンパートメント26に取り込み、アニオン選択透過膜27を介して酸コンパートメント21のアニオンと、カチオン選択透過膜28を介してアルカリコンパートメント20のカチオンとに分離するものである。
すなわち、原水コンパートメント26に流入した濃縮排液に含まれるナトリウムイオンや重金属イオンなどのカチオン(正イオン)は、アルカリコンパートメント20に設けられた陰極32に静電的に誘引され、カチオン選択透過膜28を通ってアルカリコンパートメント20に送られる。そして、単体金属として析出しやすい重金属イオンだけが陰極32で析出する。その結果、アルカリコンパートメント20には、アルカリ性の成分だけが濃化され、蓄積される。
一方、原水コンパートメント26に流入した濃縮排液に含まれる塩素イオン、硫酸イオンなどのアニオン(負イオン)は、酸コンパートメント21に設けられた陽極33に静電的に誘引され、アニオン選択透過膜27を通って酸コンパートメント21に送られる。その結果、酸コンパートメント21には、酸性の成分だけが濃化され、蓄積される。
このようにして電気透析工程で、酸コンパートメント21に分離された酸性の成分、またはアルカリコンパートメント20に分離されたアルカリ性の成分は、上述した排液中和工程に送られて、排液中和工程の中和剤として用いられる。
例えば、排液中和工程で表面処理排液が酸性に偏っている場合であれば、アルカリコンパートメント20に分離されたアルカリ性の成分を中和剤として排液中和工程に送る。そして、中和槽3に貯留された表面処理排液のpHを中和剤供給部6のpHメータ22で計測し、流量調整弁30を用いて所定量だけ中和剤を中和槽3に供給すれば、中和槽3の表面処理排液のpHを6.5〜6.8に調整することが可能となる。
このように電気透析工程で分離されたアルカリ性や酸性の成分を中和剤として用いれば、中和剤を別途用意したり追加で投入したりする必要が無くなり、新たに中和剤を購入するといったコストや手間をかけずに表面処理排液のpHを中性領域に調整することが可能となる。
また、純水の回収によって表面処理排液の濃度を高めることができるので、表面処理排液から酸やアルカリの有価成分を回収することも可能となり、完全にクローズドな資源の
再利用が可能となる。
次に、実施例を用いて、本発明の処理装置1及び処理方法の作用効果を、より詳しく説明する。
実施例は、PCB回路のボンディングなどに用いられる触媒付与液(パラジウムコロイド溶液)、銅メッキ液(硫酸浴)、無電解ニッケルりんメッキ液、金メッキ液(シアン浴)が劣化した排液に対して、水、酸、アルカリ、金属の回収を行ったものである。
触媒付与液は、塩化スズ(II)と塩化パラジウム(II)とを主体として、塩酸で酸性に調整されている。また、銅メッキ液は、硫酸銅を含むめっき液(化学めっき浴)である。
また、無電解ニッケルりんめっき液は、硫酸ニッケルと次亜リン酸ソーダとで構成されており、光沢剤や錯化剤として有機酸の塩などを含むものである。この無電解ニッケルりんめっき液には、めっきの処理に応じてpH緩衝剤などが適宜添加されている。
さらに、金メッキ液はシアン浴を用いて金メッキを行うためのものであり、シアン化金の塩と上述した光沢剤や錯化剤で構成されている。
これら4種類の溶液を、表面処理排液として、次の排液処理装置1で再生させた。なお、排液処理装置1に用いられるR.Oメンブランユニットは孔径が0.6nm〜0.8nmであり、炭素繊維フィルタユニットは濾過サイズが500nmのフィルタであり、またカチオン樹脂ユニットはビスマス、鉛、亜鉛、鉄、銅を酸性領域で吸着し、1ppm以下に低減可能なものである。また、有機物分解ユニットは253nmのUVライトの照射下で、オゾンを1mol/lで発生するものであり、油分吸着ユニットはα−ゼオライトを圧縮成型した8mmφの球状粒子を多数カートリッジ内に充填したものである。
さらに、電気透析ユニット5は、酸コンパートメント21に設けられた陽極33とアルカリコンパートメント20に設けられた陰極32との間に、15Vの直流電位差を付与可能なものである。
上述した排液処理装置1を用いて表面処理排液を処理した場合に、表面処理排液中に含まれる有価の成分、つまりSn、Pd、Cu、Ni、Auなどの金属イオン、リン酸イオン(亜リン酸イオンや次亜リン酸イオンを含む)、シアンイオン、純水がどの程度回収されるかを計測した。なお、処理は実験日を変えて、4回〜6回に分けて行っている。
触媒付与液を再生した結果を表1に、また銅メッキ液を再生した結果を表2に示す。さらに、無電解ニッケルりんめっき液を再生した結果を表3に、金メッキ液を再生した結果を表4に示す。なお、表中の「N.D.」は、測定に用いた原子吸光分析器における検出限界0.01mg/lを下回る濃度であったことを示している。
なお、表1〜表4の「回収率」は、化学種としてSn及びPd(表1)、Cu(表2)、Ni及びP(COD)(表3)、Au及びCNイオン(表4)を選択し、回収された純水中で選択された化学種が示す濃度をa、原水中での化学種の濃度をbとした場合に、(b−a)/b×100で示される数値である。
表1の「電導率」の結果に着目すると、「回収された純水」の電導率の結果は、「再生前」の電導率に比して最大で5ms/cm2以下に下がっており、表面処理排液から表面処理液や前処理液の建浴に用いることができる程度の純水(DI水)が再生されていることが明らかである。特に、表1や表2の場合を除けば、他の有価の成分の「電導率」はいずれも0.01ms/cm2以下に下がっており、純水として極めて純度が高い水を回収できていることが分かる。
また、表1〜表4の化学種の「回収率」の結果に着目すると、表1を除けばいずれも「回収率」は90%と極めて高く、最も値が低い表1の「Pd」でも少なくとも原液の30%以上の化学種が回収できており、表面処理排液からSn、Pd、Cu、Ni、Auなどの金属やリン酸イオン、亜リン酸イオン、次亜リン酸イオン及びCNイオンなどが確実に回収されていることが明らかである。
これらの結果から、上述した排液処理方法を行うことで、酸性排液やアルカリ性排液に含まれていたSn、Pd、Cu、Ni、Auなどの金属、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸などの酸、水酸化ナトリウムなどのアルカリといった有価成分を確実に回収すると共に、表面処理排液から表面処理液や前処理液の建浴に用いることができる程度の純水を取り出
すことができると判断される。それゆえ、上述したような手段で有価成分を用いて触媒付与液、銅メッキ液、無電解ニッケルりんめっき液、金メッキ液(シアン浴)を再建浴すれば、表面処理排液から完全にクローズドの状態で表面処理液や前処理液を再生できることがわかる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操作手順、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 排液処理装置
3 中和槽
4 R.Oメンブランフィルタユニット
5 電気透析ユニット
6 中和剤供給部
7 異物除去槽
8 異物除去循環ライン
9 オーバーフロー槽
10 配管(異物除去槽に表面処理排液を取り込む配管)
11 配管(電気透析ユニットからの返送配管)
13 異物除去ユニット
14 ライン入口
15 ポンプ
20 アルカリコンパートメント
21 酸コンパートメント
22 pHメータ
23a 第1のR.Oメンブラン
23b 第2のR.Oメンブラン
24a 第1の循環回収系統
24b 第2の循環回収系統
25 カチオン吸着フィルタ
26 原水コンパートメント
27 アニオン選択透過膜
28 カチオン選択透過膜
30 流量調整弁
31 制御手段
32 陰極
33 陽極
34 ライン出口

Claims (3)

  1. 酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合することにより、前記酸性排液に含まれていたアニオンと、前記アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整しておき、
    前記表面処理排液を、水分子を透過可能で、且つ前記非電離状態の塩を捕集可能なR.Oメンブランフィルタに透過させることにより、前記表面処理排液から水分を取り除いて、前記塩が濃縮された濃縮排液を回収するものであって、
    内部がイオン透過膜で仕切られた透析槽を設けておき、
    前記イオン透過膜の陰極側に前記表面処理排液から回収された濃縮排液を入れ、イオン透過膜の陰極側と陽極側との間に電位差をかけることにより、前記イオン透過膜の陽極側にアニオンを抽出し、
    前記陽極側に抽出されたアニオンを酸性の表面処理液として再使用する
    ことを特徴とする表面処理排液の排液処理方法。
  2. 内部がイオン透過膜で仕切られた透析槽を設けておき、
    前記イオン透過膜の陽極側に前記表面処理排液から回収された濃縮排液を入れ、イオン透過膜の陽極側と陰極側との間に直流の電位をかけることにより、前記イオン透過膜の陰極側にカチオンを抽出し、
    前記陰極側に抽出されたカチオンをアルカリ性の表面処理液として再使用する
    ことを特徴とする請求項に記載の表面処理排液の排液処理方法。
  3. 酸性排液とアルカリ性排液とを予め混合することにより、前記酸性排液に含まれていたアニオンと、前記アルカリ性排液に含まれていたカチオンとが結合した非電離状態の塩を含む表面処理排液を調整する中和槽と、
    前記表面処理排液を透過させることで、水分子と前記非電離状態の塩とを分離するR.Oメンブランフィルタと、
    前記R.Oメンブランフィルタで捕集された前記非電離状態の塩を収容する原水コンパートメントに対して、アニオン選択透過膜で仕切られた一方側に前記アニオンを誘引する陽極を有する酸コンパートメントを備えると共に、カチオン選択透過膜で仕切られた他方側に前記カチオンを誘引する陰極を有するアルカリコンパートメントを備えた透析槽と、
    前記酸コンパートメントに抽出されたアニオン、または前記アルカリコンパートメントに抽出されたカチオンを、前記中和槽での表面処理排液の調整に再使用していることを特徴とする表面処理排液の排液処理装置。
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