JP6102201B2 - 変性脂肪族ポリエステル共重合体およびその製造方法 - Google Patents
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本発明はまたこの変性脂肪族ポリエステル共重合体を含む樹脂組成物と、この変性脂肪族ポリエステル共重合体を用いた多層成形品に関する。
(I)−O−R1−CO−(式中、R1は2価の脂肪族炭化水素基)
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基)
また、特許文献2には、このような脂肪族ポリエステル共重合体の製造方法についての提案がなされている。
本発明はまた、この変性脂肪族ポリエステル共重合体を含む樹脂組成物とこの変性脂肪族ポリエステル共重合体を用いた多層成形品を提供することを課題とする。
本発明はこのような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基)
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基)
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体は、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位(以下「脂肪族オキシカルボン酸単位(I)」と称す場合がある。)0.02〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位(以下「脂肪族または脂環式ジオール単位(II)」と称す場合がある。)35〜49.99モル%、および下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位(以下「脂肪族ジカルボン酸単位(III)」と称す場合がある。)35〜49.99モル%を含み、かつ、数平均分子量が1万〜20万である脂肪族ポリエステル共重合体(A)に、ビニルモノマー(B)をグラフトさせてなる変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)である。
(I)−O−R1−CO−(式中、R1は2価の脂肪族炭化水素基)
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基)
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)は、上記の特定の脂肪族ポリエステル共重合体(A)にビニルモノマー(B)をグラフトさせることにより他の樹脂への接着性を向上させたものであるが、ビニルモノマー(B)のグラフト反応と脂肪族ポリエステル共重合体(A)分解反応、脂肪族ポリエステル共重合体(A)同士の微架橋反応のバランスをコントロールすることにより、MFR値の増減をコントロールすることができるという特異的な挙動を示す。
即ち、本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)のMFRは、グラフト変性前の脂肪族ポリエステル共重合体(A)のMFRに依存せず、種々の成形法に対して、適切なMFRの値を取ることができるため、成形性が良好となる。
まず、ビニルモノマー(B)をグラフトさせる、グラフト変性に供する脂肪族ポリエステル共重合体(A)について説明する。
脂肪族オキシカルボン酸単位(I)に相当する2官能以上の脂肪族オキシカルボン酸としては、分子中に水酸基とカルボン酸基を有する脂肪族化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば下記(I’)式で表されるものである。
(I')HO−R1−COOH(式中、R1は2価の脂肪族炭化水素基)
これら脂肪族オキシカルボン酸成分(I)は単独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。
脂肪族または脂環式ジオール単位(II)は、脂肪族ジオール単位と脂環式ジオール単位の両方を含むものであってもよい。
脂肪族または脂環式ジオール単位(II)に相当するジオールとしては、特に限定されないが、下記(II’)式で表されるジオールである。
(II’)HO−R2−OH(式中、R2は、2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
脂肪族ジカルボン酸単位(III)に相当する脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体としては、下記(III’)式で表されるもの、或いは下記(III’)式で表される脂肪族ジカルボン酸の炭素数1〜4の低級アルコールエステル、例えばジメチルエステル等、或いは下記(III’)式で表される脂肪族ジカルボン酸の無水物が挙げられる。
(III’)HOOC−R3−COOH(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基であり、好ましくは、−(CH2)m−(ただしmは0〜10の整数、好ましくは0〜6の整数)である。)
脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、本発明の効果を損なわない限り、上記の脂肪族オキシカルボン酸単位(I)、脂肪族または脂環式ジオール単位(II)、脂肪族ジカルボン酸単位(III)以外の他の構成単位を含むものであってもよい。他の構成単位に相当する共重合成分としては、ヒドロキシ安息香酸等の芳香族オキシカルボン酸類、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、またはトリメチロールプロパン、グリセリンなどの多価アルコール、多価カルボン酸またはその無水物等が挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない範囲で任意に使用できる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して使用してもよい。これらは単独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)の各構成単位の組成比は、脂肪族または脂環式ジオール単位(II)と脂肪族ジカルボン酸単位(III)のモル比が、実質的に等しいことが必要である。脂肪族または脂環式ジオール単位(II)と脂肪族ジカルボン酸単位(III)とは、各々35〜49.99モル%の範囲、好ましくは40〜49.75モル%、より好ましくは45〜49.5モル%の範囲で設定される。また、脂肪族オキシカルボン酸単位(I)は0.02〜30モル%の範囲で設定される。脂肪族オキシカルボン酸単位(I)が30モル%を超えると結晶性が失われ、成形上好ましくなく、また0.02モル%未満では添加効果が現れない。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)の数平均分子量は1万〜20万、好ましくは2万〜18万である。脂肪族ポリエステル共重合体(A)の数平均分子量が上記下限よりも小さいと高分子量化の目的を達成し得ず、上記上限を超えると過度の高分子化を及ぼしてしまい、変性と高分子化のコントロールが容易でなくなる。
グラフト変性に供する脂肪族ポリエステル共重合体(A)には、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、加水分解防止剤等の各種添加剤や、ポリカプロラクトン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、セルロースエステル等の合成樹脂や、澱粉、セルロース、紙、木粉、キチン・キトサン質、椰子殻粉末、クルミ殻粉末等の動物/植物物質微粉末、或いはこれらの混合物を「他の成分」として含まれていてもよい。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)の製造は、公知技術で行うことができ、製造の際の重合反応についても、好ましくは重合触媒の存在下に、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体(A)を製造するに際して、必要に応じて、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、各種添加剤を任意の比率および組み合わせで使用することが出来る。
有機リン化合物を製造時に混合することにより、脂肪族ポリエステル共重合体(A)の熱安定性が向上し、より高温での脂肪族ポリエステル共重合体(A)の製造が可能となる。
本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体(A)を溶融重縮合により製造する工程は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、通常は、エステル化反応および/またはエステル交換反応を行い、その後、減圧して重縮合反応を行う。
エステル化反応および/またはエステル交換反応における反応温度、反応雰囲気、反応圧力、反応時間などの条件は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。ただし、脂肪族ジカルボン酸成分(III)と脂肪族ジオール成分(II)とのエステル化反応および/またはエステル交換反応の反応温度は、通常150℃以上、好ましくは180℃以上、また、その上限は、通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。反応雰囲気は、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であることが好ましい。さらに、反応圧力は、通常10kPa以上、通常常圧以下であるが、中でも常圧が好ましい。反応時間は、通常1時間以上、また、その上限は通常10時間以下、好ましくは4時間以下である。
重縮合反応の反応温度は、通常150℃以上、好ましくは180℃以上であり、上限が通常280℃以下、好ましくは260℃以下である。反応温度が低すぎる場合、重縮合反応の速度が極めて遅くなり、高重合度の脂肪族ポリエステル共重合体(A)の製造に長時間を要するばかりでなく、高動力の撹拌機が必要となるため、経済的に不利となる可能性がある。一方、反応温度が高すぎる場合、重合速度は向上するものの、重縮合反応時に生成した脂肪族ポリエステル共重合体(A)が同時に熱分解されてしまい、高重合度の脂肪族ポリエステル共重合体(A)の製造が難しくなる可能性がある。従って、本発明に係る脂肪族ポリエステル共重合体(A)の製造方法においては、重縮合反応の反応温度の制御が極めて重要である。
重縮合反応を進行させる際、通常、反応系の圧力を上記の反応圧力まで減圧するが、この際、減圧平均速度を制御しながら減圧することが好ましい。具体的な減圧平均速度として、常圧から2hPaまでの減圧平均速度が、通常2hPa/分以上、好ましくは3hPa/分以上、より好ましくは4hPa/分以上、更に好ましくは5hPa/分以上、特に好ましくは6hPa/分以上、また、その上限は、通常15hPa/分未満、好ましくは12hPa/分以下、より好ましくは10hPa/分以下、更に好ましくは9hPa/分以下、特に好ましくは8hPa/分以下であることが望ましい。減圧平均速度が遅すぎる場合、重縮合時間が長時間化する可能性がある。また、速すぎる場合、反応装置内の揮発成分の蒸発量が多くなり、重合体から奪われる蒸発熱の量が大きくなり、重合体温度が低下しすぎる可能性がある。
次に脂肪族ポリエステル共重合体(A)にグラフトさせるビニルモノマー(B)について説明する。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アリル琥珀酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、ビシクロ[2.2.l]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、x−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリル琥珀酸、無水4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水4−メチル−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、無水ビシクロ[2.2.l]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸、無水x−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸。
これらのビニルモノマー(B)は、単独でも、2種以上の混合物として使用することもできる。
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)の製造方法には特に制限はないが、脂肪族ポリエステル共重合体(A)とビニルモノマー(B)とを、有機過酸化物(D)の存在下に溶融混練する方法が好ましい。
このため、有機過酸化物(D)は、グラフト反応に用いるビニルモノマー(B)に対する重量比で0.01〜1.0、特に0.02〜0.5の範囲で用いることが好ましい。
なお、溶融混練に供する脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、必要に応じて一部または全量を粉砕機、バンバリーミキサー等により粉砕し、粉末状として用いてもよく、このように粉末状のものを用いることにより、溶融混練を効率的に行うことができる。
<MFR>
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)のMFRは、脂肪族ポリエステル共重合体(A)にビニルモノマー(B)をグラフトすることにより、脂肪族ポリエステル共重合体(A)のMFRよりも低下する。
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)の溶融張力は、脂肪族ポリエステル共重合体(A)にビニルモノマー(B)をグラフトすることにより、脂肪族ポリエステル共重合体(A)の溶融張力よりも増加する。
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)は、比較的曲げ弾性率が高く、柔軟性付与のための成分を用いることなく、フィルム等に成形することができる。
曲げ弾性率は、JIS規格K7171に従って、射出成形により得られる成形体に2mm/minの速度で垂直の変位を加え、0.1〜0.5mm変位したときの応力から算出される。
本発明の樹脂組成物は、本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)を含むものである。
本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)およびこの変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)を含む本発明の樹脂組成物は、射出成形法、中空成形法、押出成形法などの汎用プラスチック成形法などにより、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、モノフィラメント、マルチフィラメント、不織布、フラットヤーン、ステープル、捲縮繊維、筋付きテープ、スプリットヤーン、複合繊維、ブローボトル、発泡体などの成形品に利用可能である。
特に、本発明の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)は、グラフト変性前の脂肪族ポリエステル共重合体(A)と同様に生分解性を有しており、土中のバクテリアによって、1週間〜12ケ月で完全に分解する特性があり、環境衛生上極めて有用なポリマーである。従って、ショッピングバッグ、ゴミ袋、農業用フィルム、化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、釣り糸、漁網、ロープ、結束材、手術糸、衛生用カバーストック材、保冷箱、クッション材などの用途への使用が期待されるが、とりわけ、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリアミド(PA)等の他の樹脂への接着性が高いことから、これらの樹脂層と積層一体化される層として有用であり、積層フィルムや積層ボルトといった多層成形品に好適に用いられる。
以下の実施例、比較例および参考例において用いた原材料の詳細は以下の通りである。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)としては、以下の製造例に記載の方法で製造したものを用いた。
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計および減圧用排気口を備えた反応容器に、原料としてコハク酸100.3重量部、1,4−ブタンジオール99.5重量部、リンゴ酸0.37重量部を仕込み、窒素−減圧置換によって系内を窒素雰囲気下にした。系内を撹拌しながら1時間かけて230℃まで昇温し、この温度で1時間反応させた。その後、上記の触媒溶液を添加した。添加量は、得られる脂肪族ポリエステル共重合体(A)の重量に対して、チタン原子が50ppmとなる量とした。280分かけて250℃まで昇温し、同時に0.7hPaまで減圧し、減圧開始から5.0時間反応させて脂肪族ポリエステル共重合体(A)(樹脂1)を得た。
この時、常圧から2hPaまでの減圧平均速度は、12.8hPa/分とした。また、反応系内を100hPaと10hPaとの間で圧力を変化させる際の共重合体温度の低下量は、7.3℃であった。圧力降下時の共重合体温度の低下が小さく、高い反応性を維持したまま、脂肪族ポリエステル共重合体(A)を製造することが可能であった。
反応系内を100hPaと10hPaとの間で圧力を変化させる際の共重合体温度の低下量が1℃未満であり、減圧開始からの反応時間を5.4時間としたこと以外は、製造例1と同一の条件で反応を行い、脂肪族ポリエステル共重合体(A)(樹脂2)を得た。
常圧から2hPaまでの減圧平均速度を7.9hPa/分とし、反応系内を100hPaと10hPaとの間で圧力を変化させる際の重合体温度の低下量が2.3℃であり、減圧開始からの反応時間を5.8時間としたこと以外は製造例1と同一の条件で反応を行い、脂肪族ポリエステル共重合体(A)(樹脂3)を得た。
粉末状無水マレイン酸(和光1級Maleic Anhydride;和光純薬株式会社製)
<有機過酸化物(D)>
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(パーヘキサ25B;日本油脂株式会社製)
PLA:ポリ乳酸(4032D;ネイチャーワークス社製)
ECOFLEX:脂肪族芳香族ポリエステル(ECF4;BASF社製)
各種物性の評価方法は以下の通りである。
JIS K−7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kg荷重(21.18N)、オリフィス直径2mmの条件にて、メルトフローレート(溶融流出量、MFR:単位g/10min)を測定した。
東洋精機(株)製キャピログラフ1Cを用いて、160℃、押し出し速度5mm/min、引き取り速度3.9m/min、ノズルL/D=8.1mm/2.095mmにおいて測定した。
評価用の樹脂フィルム(厚さ50μm)に、以下の被着フィルムを重ね、それぞれ被着フィルム毎に下記表2に示すヒートシール条件で加熱圧着し、得られた2層積層フィルムについて、剥離強度試験機(AG1000;島津製作所製)により剥離強度を測定した。
PLAフィルム:ネイチャーワークス社製ポリ乳酸樹脂フィルム「4032D」
EVOHフィルム:クラレ社製エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム「AT4403B」
PET−Gフィルム:イーストマンケミカルジャパン社製ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム「GN001」
PAフィルム:三菱エンジニアリングプラスチック社製ナイロンフィルム「1022CK7」
脂肪族ポリエステル共重合体(A)として樹脂1を100重量部用い、これを有機過酸化物(D)0.070重量部をビニルモノマー(B)1.0重量部に加えたものを混ぜ合わせた。これをスクリュー式2軸押出機(KZW15;テクノベル社製)の主原料供給部から投入し、最高温度が230℃以下になるように溶融混練を実施し、混練物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングして樹脂ペレットを得た。混練時の設定温度は40〜230℃、スクリュー回転数は200rpmとし、ベント吸引は行わなかった。得られた樹脂ペレットは、80℃、窒素雰囲気下で8時間乾燥を行なった。このようにして得た酸変性脂肪族ポリエステル樹脂(C−1)のMFRの測定結果を表3に示す。
有機過酸化物(D)の使用量を表3に示す通り変更したこと以外は実施例1と同様に行って、それぞれ酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−2)〜(C−4)のペレットを得た。得られた酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−2)〜(C−4)のMFRの測定結果を表3に示す。
有機過酸化物(D)とビニルモノマー(B)を用いなかったこと以外は実施例1と同様に行って、脂肪族ポリエステル樹脂(X−1)のペレットを得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(X−1)のMFRの測定結果を表3に示す。
有機過酸化物(D)を用いなかったこと以外は実施例1と同様に行って、脂肪族ポリエステル樹脂(X−2)のペレットを得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(X−2)のMFRの測定結果を表3に示す。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)として樹脂3を100重量部用いたこと以外は実施例1〜3とそれぞれ同様に行って、酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−5)〜(C−7)のペレットを得た。得られた酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−5)〜(C−7)のMFRの測定結果を表4に示す。
有機過酸化物(D)とビニルモノマー(B)を用いなかったこと以外は実施例5と同様に行って、脂肪族ポリエステル樹脂(X−3)のペレットを得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(X−3)のMFRの測定結果を表4に示す。
有機過酸化物(D)を用いなかったこと以外は実施例5と同様に行って、脂肪族ポリエステル樹脂(X−4)のペレットを得た。得られた脂肪族ポリエステル樹脂(X−4)のMFRの測定結果を表4に示す。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)として樹脂2を100重量部用い、これに有機過酸化物(D)0.070重量部をビニルモノマー(B)2.0重量部に加えたものを混ぜ合わせた。これをスクリュー式2軸押出機(TEX30;日本製鋼所社製 22シリンダー、L/D=77)の主原料供給部に供給し、ベント吸引を行わずに、最高温度が230℃以下になるように溶融混練した。その後、混練物をダイスからストランド状に押し出し、水槽にて冷却後カッティングし、黄色の樹脂ペレットを得た。混練時の設定温度は40〜230℃、スクリュー回転数は300rpmとした。得られた樹脂ペレットを、80℃、窒素雰囲気下で8時間乾燥を行なった。このようにして得られた酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−8)のMFRと溶融張力の測定結果を表5に示す。
脂肪族ポリエステル共重合体(A)のグレード、組み合わせを表5に記載通りに変更したこと以外は実施例8と同様に行って、それぞれ酸変性脂肪族ポリエステル共重合体(C−9)〜(C−10)のペレットを得た。得られた酸変性脂肪族ポリエステル樹脂(C−9)〜(C−10)のMFRと溶融張力の測定結果を表5に示す。
表6に示す原材料を表6に示す配合で混合したものを用い、実施例1と同様にして酸変性生分解性樹脂ペレット(C−11)、(Y−1)、(Y−2)と非変性生分解性樹脂ペレット(X−5)〜(X−7)を得た。各樹脂ペレットのMFRの測定結果を表4に示した。
この樹脂フィルムについて各種の被着フィルムに対する接着性を調べ、結果を表7に示した。
なお、参考例1として、市販のポリオレフィン系接着性樹脂である三菱化学(株)製「MODIC(登録商標)」についても同様に接着性を調べ、結果を表7に示した。「MODIC」はPAやEVOHに対する接着性に優れた樹脂であり、EVOH、PAに対する接着性の良否の基準となるものである。
なお、接着性は剥離強度の値(単位:g/15mm)が500以上を接着性良(○)、50以下を接着性不良(×)とし、その中間を可(△)、材料が破壊したものを(◎)と判定した。表7には、その判定結果を示した。
比較例9,6から明らかなように、PLAではグラフト変性を行っても接着性の改善効果は得られない。
Claims (9)
- 3官能以上の脂肪族オキシカルボン酸単位0.02〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位35〜49.99モル%、および下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜49.99モル%を含み、かつ、数平均分子量が1万〜20万である脂肪族ポリエステル共重合体(A)に、不飽和ジカルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物であるビニルモノマー(B)をグラフトさせてなり、JIS K−7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgで測定されたメルトフローレートが1〜50g/minである変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)。
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基) - 不飽和ジカルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物が、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの無水物よりなる群から選ばれる請求項1に記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体。
- 脂肪族ポリエステル共重合体(A)100重量部に対し、ビニルモノマー(B)を0.1〜10重量部グラフトさせてなる請求項1又は2に記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体。
- 変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)のMFR値cと脂肪族ポリエステル共重合体(A)のMFR値aとが、10>c/a>1/50の関係にある請求項1ないし3のいずれかに記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体。
- 変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)の溶融張力値c’と脂肪族ポリエステル共重合体(A)の溶融張力値a’とが、20>c’/a’>1の関係にある請求項1ないし4のいずれかに記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)を含む樹脂組成物。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)または請求項6に記載の樹脂組成物よりなる層を含む多層成形品。
- 3官能以上の脂肪族オキシカルボン酸単位0.02〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位35〜49.99モル%、および下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜49.99モル%を含み、かつ、数平均分子量が1万〜20万である脂肪族ポリエステル共重合体(A)と、不飽和ジカルボン酸および/または不飽和ジカルボン酸無水物であるビニルモノマー(B)とを、有機過酸化物(D)の存在下に溶融混練することにより、JIS K−7210に準拠して、温度190℃、荷重2.16kgで測定されたメルトフローレートが1〜50g/minである変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)を製造することを特徴とする変性脂肪族ポリエステル共重合体(C)の製造方法。
(II)−O−R2−O−(式中、R2は2価の脂肪族炭化水素基または2価の脂環式炭化水素基)
(III)−OC−R3−CO−(式中、R3は直接結合または2価の脂肪族炭化水素基) - 有機過酸化物(D)を、ビニルモノマー(B)に対して0.01〜1.0の重量割合で用いることを特徴とする請求項8に記載の変性脂肪族ポリエステル共重合体の製造方法。
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