JP6099987B2 - 可変容量タービン及びこれを備えた過給機並びに可変容量タービンの制御方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ノズル翼を回動させて羽根車に流入する流体のノズルスロート面積を変化させるものでは、駆動リンク機構およびノズル駆動軸が必要であるため、構造が複雑で部品点数が多くなる。これにより、製造コストの上昇を招くとともに、メンテナンスが困難であるという問題があった。
そこで、特許文献1には、ノズル翼と結合されたノズル台板を回転軸方向に沿って進退させることによりノズルスロート面積を変化させる技術が開示されている。
すなわち、本発明にかかる可変容量タービンは、回転軸線回りに回転する羽根車と、前記回転軸線方向に連結されるとともに翼形状が同一のプロファイルとされた第一ノズル翼及び第二ノズル翼を有し、前記羽根車に流入する流体の流路面積を可変とするノズル翼と、前記第一ノズル翼と前記第二ノズル翼との流路を仕切る仕切板と、前記第二ノズル翼の側方に固定されたノズル台板と、前記ノズル翼を部分的に閉塞するように、前記回転軸線方向にスライド可能とされた可動壁とを備え、前記可動壁は、前記ノズル台板に沿ってスライドし、その先端が前記仕切板まで進出することによって前記第二ノズル翼の流路を閉塞し、前記可動壁の前記先端の反対側である基端部には、該可動壁をスライドするためのネジ部が設けられ、前記仕切板の上流側先端部には、前記可動壁の先端と当接する当接面が設けられており、該当接面は、流体の流れ方向に対して斜めにかつ流体圧によりシールするように交差する斜面を有することを特徴とする。
また、可動壁をノズル台板に沿ってスライドすることにより、第二ノズル翼の流路の一部を閉鎖することができる。
また、可動壁の先端が前記仕切板まで進出することにより、第二ノズル翼の流路を可動壁で閉鎖することができる。これにより、第一ノズル翼のみの流路と、第一ノズル翼及び第二ノズル翼の流路とすることができ、ノズルスロート面積を二段階で変えることができる。
第一ノズル翼と第二ノズル翼の翼形状を同一のプロファイルとしたため、それぞれ別々に製造する必要がなく製造コストを抑えることができる。
また、流体圧により可動壁が第二ノズル翼側に押し付けられ、第二ノズル翼の流路をシールする効果が得られる。
図1は可変容量タービンを具備した可変容量過給機の要部縦断面図であって、可動壁3がスライド状態を示す図、図2は本発明の実施形態に係る可変容量タービンを具備した可変容量過給機の要部縦断面図であって、可動壁3の先端が仕切板17までスライドした状態を示す図である。
可変容量タービンとコンプレッサとは、軸受ハウジング18を介して連結されているとともに、この軸受ハウジング18内には、軸受19に回転支持されたタービンロータ39が挿通されている。
一方、可変容量タービンは、タービンロータ39の他端側に取り付けられた羽根車41と、この羽根車41を囲んで覆うように設けられたケーシング33と、排気ガス入口部34を介して羽根車41に流入する排気ガス(流体)の流路断面積を変化させる可変ノズル機構23とを主たる要素として構成されている。
図1に示されているように、第一ノズル翼1aの縦寸法すなわち回転軸線Lに対して直交する方向(同図縦方向)の長さと、第二ノズル翼1bの縦寸法は略等しくなっている。一方、第二ノズル翼1bの横寸法すなわち回転軸線Lに対して水平方向(同図横方向)の長さは、第二ノズル翼1aの横寸法より短くなっている。また、これらノズル翼1a,1bの翼形状は略同一のプロファイルとされている。これにより、各ノズル翼1a,1bを容易に製造でき、製造コストを抑えることができる。
第一ノズル翼1a及び第二ノズル翼1bのそれぞれを通過する流路は、仕切板17によって分割されている。具体的には、図4に示されているように、第二ノズル翼1bの端部に仕切板17が一体成形されており、この仕切板17の側面17aが第一ノズル翼1aの端面1a−1に当接して嵌合されるようになっている。これにより、各ノズル翼1a,1bの翼部と仕切板17との間に隙間が形成されずに、性能の低下を来すことがない。なお、仕切板17を、第一ノズル翼1aに対して一体的に構成することとしても良い。
また、第一ノズル翼1aの他端部(同図において左端)には固定用基部1a−2が設けられており、この固定用基部1a−2が過給機本体の軸受ハウジング18側に形成された凹所18aに嵌合されるようになっている。
仕切板17により、第二ノズル翼1b上流側を可動壁3で閉塞することで、第一ノズル翼1aのみを流れる流路が形成されるようになっている(図2参照)。
ノズル台板21の外周面には、キー溝が設けられており、キー溝にキー25が嵌め込まれている。一方、ノズル台板21の外周面と対向する可動壁3の内周面には、キー25の外周側を収容して、キー25を回転軸線Lに平行となる方向のみに案内(ガイド)する案内溝が設けられている。これにより、可動壁3は、回転軸線L方向にスライド可能となっている。
駆動部7の基端部には、径方向(回転軸線Lと直交する方向)に沿って延び、一定の角度範囲内で動くレバー9が立設されている。
可動壁3の先端部(図において左側)はスライド前(可動壁3が第二ノズル翼1b側にスライドしない退避位置)において、図1に示すように、ノズル台板21の先端面及び導入流路37の内周面と滑らかに接続する形状とされている。
可動壁3は縦断面が先端部を除いて略長方形形状となっており、可動壁3の横寸法すなわち回転軸線Lに対して水平方向(同図横方向)の長さは、第一ノズル翼1a及び第二ノズル翼1bによって形成された翼高さ方向(同図横方向)の寸法Hよりも長くなっている。
また、可動壁3とノズル台板21との間、及び、可動壁3とケーシング33との間は、それぞれの間に配置されたピストンリング15,16によりシールされている。
固定具11には、レバー9が貫通するとともに、レバー9の周方向へのスライドを許容する貫通穴35が、周方向に沿って設けられている。
図1に示した可動壁3の退避位置から、図2に示した可動壁3の進出位置まで可動壁3を移動させるには、図示しないアクチュエータによってレバー9を回動させる。レバー9を回動させることにより、駆動部7を回転軸線L回りに回動させ、駆動部7の駆動側ネジ部5に螺合された被駆動側ネジ部6を介して、可動壁3は進出方向(図1の符号B参照)にスライドさせられる。この際、可動壁3は、キー25によってガイドされて、回転軸線L回りに回転することなく回転軸線L方向に進出する。可動壁3が進出すると、図2に示すように、可動壁3の先端と仕切板17の上流側端部とが当接し、可動壁3の進出動作が停止される。
図2に示した可動壁3の進出位置から、図1に示した可動壁3の退避位置まで可動壁3を移動させる場合は、上述と逆の動作となり、図示しないアクチュエータによってレバー9を進出動作時とは逆方向に回動させることによって、可動壁3を退避方向(図1の符号A参照)へとスライドさせる。なお、アクチュエータの回動は手動によっても良いし、もしくは油圧ジャッキと組み合せて、図示しない制御部からの指令信号により自動でレバーを回転させるようにしても良い。
ノズル翼1を部分的に閉塞するように、回転軸線L方向にスライド可能とされた可動壁3を設けているため、可動壁3をスライドさせるのみで複雑な駆動機構を有することなくノズルスロート面積を変化させることができる。
また、可動壁3と駆動部7とをネジ部によって結合し、駆動部7を回動させることによって可動壁3を進退させるという構成を採用することにより、駆動部分を少なくすることができる。これにより、排気ガスシール機構(ピストンリング15,16)を簡易にすること及び駆動部分の熱変形による固着の発生を低下させることができる。
また、基端部側からアクセスできる固定具11によって可変ノズル機構23を固定し、取り外すことができるので、メンテナンスが容易となる。
また、可変ノズル機構23とケーシング33とを支給するだけで、既存の過給機にとりつけることができる。
また、仕切板17の上流側先端部に、可動壁3の先端と当接する当接面を設け、当接面を流体の流れ方向に対して斜めに交差する斜面を有する形状としたため、仕切板17を可動壁3のストッパとすることができる。
また、流体圧により可動壁3が第二ノズル翼1b側に押し付けられ、第二ノズル翼1bの流路をシールする効果が得られる。
また、可動壁3の先端部形状を、図1に示した退避位置にて、隣接するノズル台板及びケーシングに対して滑らかに接続する形状としたので、エネルギーロスを減らすことができる。
1a 第一ノズル翼
1b 第二ノズル翼
3 可動壁
5 駆動側ネジ部
6 被駆動側ネジ部
7 駆動部
9 レバー
11 固定具
15,16 ピストンリング
17 仕切板
21 ノズル台板
23 可変ノズル機構
25 キー
31,32 ボルト
33 ケーシング
41 羽根車
L 回転軸線
Claims (3)
- 回転軸線回りに回転する羽根車と、
前記回転軸線方向に連結されるとともに翼形状が同一のプロファイルとされた第一ノズル翼及び第二ノズル翼を有し、前記羽根車に流入する流体の流路面積を可変とするノズル翼と、
前記第一ノズル翼と前記第二ノズル翼との流路を仕切る仕切板と、
前記第二ノズル翼の側方に固定されたノズル台板と、
前記ノズル翼を部分的に閉塞するように、前記回転軸線方向にスライド可能とされた可動壁と、
を備え、
前記可動壁は、前記ノズル台板に沿ってスライドし、その先端が前記仕切板まで進出することによって前記第二ノズル翼の流路を閉塞し、
前記可動壁の前記先端の反対側である基端部には、該可動壁をスライドするためのネジ部が設けられ、
前記仕切板の上流側先端部には、前記可動壁の先端と当接する当接面が設けられており、
該当接面は、流体の流れ方向に対して斜めにかつ流体圧によりシールするように交差する斜面を有することを特徴とする可変容量タービン。 - 請求項1に記載の可変容量タービンと、
該可変容量タービンにより駆動される遠心圧縮機と、
を備えていることを特徴とする過給機。 - 回転軸線回りに回転する羽根車と、
前記回転軸線方向に連結されるとともに翼形状が同一のプロファイルとされた第一ノズル翼及び第二ノズル翼を有し、前記羽根車に流入する流体の流路面積を可変とするノズル翼と、
前記第一ノズル翼と前記第二ノズル翼との流路を仕切る仕切板と、
前記第二ノズル翼の側方に固定されたノズル台板と、
前記ノズル翼を部分的に閉塞するように、前記回転軸線方向にスライド可能とされた可動壁と、
を備えた可変容量タービンの制御方法であって、
前記可動壁の前記先端の反対側である基端部には、該可動壁をスライドするためのネジ部が設けられ、
前記仕切板の上流側先端部には、前記可動壁の先端と当接する当接面が設けられており、
該当接面は、流体の流れ方向に対して斜めにかつ流体圧によりシールするように交差する斜面とされ、
前記可動壁を前記ノズル台板に沿ってスライドさせ、その先端が前記仕切板の前記当接面まで進出することによって前記第二ノズル翼の流路を閉塞させることを特徴とする可変容量タービンの制御方法。
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