以下、本発明の一実施形態を図1〜図26に基づいて説明する。図1には、一実施形態に係るカラープリンタ2000の概略構成が示されている。
このカラープリンタ2000は、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)を重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタであり、2つの光走査装置(2010A、2010B)、4つの感光体ドラム(2030a、2030b、2030c、2030d)、4つのクリーニングユニット(2031a、2031b、2031c、2031d)、4つの帯電装置(2032a、2032b、2032c、2032d)、4つの現像ローラ(2033a、2033b、2033c、2033d)、転写ベルト2040、転写ローラ2042、定着ローラ2050、給紙コロ2054、排紙ローラ2058、給紙トレイ2060、排紙トレイ2070、通信制御装置2080、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御装置2090などを備えている。
通信制御装置2080は、ネットワークなどを介した上位装置(例えばパソコン)との双方向の通信を制御する。
プリンタ制御装置2090は、CPU、該CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及び該プログラムを実行する際に用いられる各種データなどが格納されているROM、作業用のメモリであるRAM、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器などを有している。そして、プリンタ制御装置2090は、上位装置からの要求に応じて各部を制御する。
感光体ドラム2030a、帯電装置2032a、現像ローラ2033a、及びクリーニングユニット2031aは、組として使用され、ブラックの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Kステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030b、帯電装置2032b、現像ローラ2033b、及びクリーニングユニット2031bは、組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Cステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030c、帯電装置2032c、現像ローラ2033c、及びクリーニングユニット2031cは、組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Mステーション」ともいう)を構成する。
感光体ドラム2030d、帯電装置2032d、現像ローラ2033d、及びクリーニングユニット2031dは、組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーション(以下では、便宜上「Yステーション」ともいう)を構成する。
各感光体ドラムはいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面である。各感光体ドラムは、不図示の回転機構により、図1における面内で矢印方向に回転する。
各帯電装置は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
光走査装置2010Aは、プリンタ制御装置2090からのブラックの画像情報及びシアンの画像情報に基づいて色毎に変調された光によって、帯電された感光体ドラム2030a及び感光体ドラム2030bの表面をそれぞれ走査する。
光走査装置2010Bは、プリンタ制御装置2090からのマゼンタの画像情報及びイエローの画像情報に基づいて色毎に変調された光によって、帯電された感光体ドラム2030c及び感光体ドラム2030dの表面をそれぞれ走査する。
これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラムの表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラムの回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、各光走査装置の詳細については後述する。
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる走査領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジ(図示省略)からのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト2040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
給紙トレイ2060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ2060の近傍には給紙コロ2054が配置されており、該給紙コロ2054は、記録紙を給紙トレイ2060から1枚ずつ取り出す。該記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト2040と転写ローラ2042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト2040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ2050に送られる。
定着ローラ2050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ2058を介して排紙トレイ2070に送られ、排紙トレイ2070上に順次積み重ねられる。
各クリーニングユニットは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
次に、前記光走査装置2010Aの詳細について説明する。
この光走査装置2010Aは、一例として図2及び図3に示されるように、2つの光源(2200a、2200b)、2つのコリメートレンズ(2201a、2201b)、2つの開口板(2203a、2203b)、2つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b)、ポリゴンミラー2104A、2つの走査レンズ(2105a、2105b)、2つの折り返しミラー(2106a、2106b)、2つの集光レンズ(2112a、2112b)、2つの同期検知センサ(2115a、2115b)、及び不図示の走査制御装置Aを有している。
ここでは、XYZ3次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、ポリゴンミラー2104Aの回転軸に平行な方向をZ軸方向として説明する。
各光源は、半導体レーザ及び該半導体レーザを駆動する駆動回路を有している。そして、各光源の駆動回路は、走査制御装置Aによって制御される。
コリメートレンズ2201aは、光源2200aから射出された光を略平行光とする。コリメートレンズ2201bは、光源2200bから射出された光を略平行光とする。
開口板2203aは、開口部を有し、コリメートレンズ2201aを介した光のビーム径を調整する。開口板2203bは、開口部を有し、コリメートレンズ2201bを介した光のビーム径を調整する。
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2203aの開口部を通過した光を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2203bの開口部を通過した光を、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104Aは、回転多面鏡としての4面鏡を有し、各鏡面がそれぞれ偏向反射面(反射面)となる。この回転多面鏡は、不図示のポリゴンモータによって、回転軸まわりに等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光を、それぞれ等角速度的に偏向する。ここでは、回転多面鏡は、内接円の直径が8mmであり、時計回りに回転されるものとする。
シリンドリカルレンズ2204aからの光は、ポリゴンミラー2104Aの回転軸の−X側に位置する偏向反射面に入射し、シリンドリカルレンズ2204bからの光は、該回転軸の+X側に位置する偏向反射面に入射する。
走査レンズ2105aは、ポリゴンミラー2104Aの−X側であって、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光の光路上に配置されている。走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104Aの+X側であって、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光の光路上に配置されている。
折り返しミラー2106aは、走査レンズ2105aを介した光を感光体ドラム2030aに導光する。折り返しミラー2106bは、走査レンズ2105bを介した光を感光体ドラム2030bに導光する。
各感光体ドラムの表面に形成された光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って、感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
同期検知センサ2115aは、感光体ドラム2030aにおける書き込み終了後の光を、集光レンズ2112aを介して受光する位置に配置されている。同期検知センサ2115bは、感光体ドラム2030bにおける書き込み開始前の光を、集光レンズ2112bを介して受光する位置に配置されている。各同期検知センサは、同期検知信号を走査制御装置Aに出力する。
走査制御装置Aは、同期検知センサ2115aからの同期検知信号に基づいて、感光体ドラム2030aにおける書き込み開始タイミングを求め、同期検知センサ2115bからの同期検知信号に基づいて、感光体ドラム2030bにおける書き込み開始タイミングを求める。
次に、前記光走査装置2010Bの詳細について説明する。
この光走査装置2010Bは、一例として図4及び図5に示されるように、2つの光源(2200c、2200d)、2つのコリメートレンズ(2201c、2201d)、2つの開口板(2203c、2203d)、2つのシリンドリカルレンズ(2204c、2204d)、ポリゴンミラー2104B、2つの走査レンズ(2105c、2105d)、2つの折り返しミラー(2106c、2106d)、2つの集光レンズ(2112c、2112d)、2つの同期検知センサ(2115c、2115d)、及び不図示の走査制御装置Bを有している。
各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向はY軸方向、ポリゴンミラー2104Bの回転軸に平行な方向はZ軸方向である。
各光源は、半導体レーザ及び該半導体レーザを駆動する駆動回路を有している。そして、各光源の駆動回路は、走査制御装置Bによって制御される。
コリメートレンズ2201cは、光源2200cから射出された光を略平行光とする。コリメートレンズ2201dは、光源2200dから射出された光を略平行光とする。
開口板2203cは、開口部を有し、コリメートレンズ2201cを介した光のビーム径を調整する。開口板2203dは、開口部を有し、コリメートレンズ2201dを介した光のビーム径を調整する。
シリンドリカルレンズ2204cは、開口板2203cの開口部を通過した光を、ポリゴンミラー2104Bの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204dは、開口板2203dの開口部を通過した光を、ポリゴンミラー2104Bの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
ポリゴンミラー2104Bは、回転多面鏡としての4面鏡を有し、各鏡面がそれぞれ偏向反射面(反射面)となる。この回転多面鏡は、不図示のポリゴンモータによって、回転軸まわりに等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光を、それぞれ等角速度的に偏向する。ここでは、回転多面鏡は、内接円の直径が8mmであり、時計回りに回転されるものとする。
シリンドリカルレンズ2204cからの光は、ポリゴンミラー2104Bの回転軸の−X側に位置する偏向反射面に入射し、シリンドリカルレンズ2204dからの光は、該回転軸の+X側に位置する偏向反射面に入射する。
走査レンズ2105cは、ポリゴンミラー2104Bの−X側であって、ポリゴンミラー2104Bで偏向された光の光路上に配置されている。走査レンズ2105dは、ポリゴンミラー2104Bの+X側であって、ポリゴンミラー2104Bで偏向された光の光路上に配置されている。
折り返しミラー2106cは、走査レンズ2105cを介した光を感光体ドラム2030cに導光する。折り返しミラー2106dは、走査レンズ2105dを介した光を感光体ドラム2030dに導光する。
各感光体ドラムの表面に形成された光スポットは、ポリゴンミラー2104Bの回転に伴って、感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
同期検知センサ2115cは、感光体ドラム2030cにおける書き込み終了後の光を、集光レンズ2112cを介して受光する位置に配置されている。同期検知センサ2115dは、感光体ドラム2030dにおける書き込み開始前の光を、集光レンズ2112dを介して受光する位置に配置されている。各同期検知センサは、同期検知信号を走査制御装置Bに出力する。
走査制御装置Bは、同期検知センサ2115cからの同期検知信号に基づいて、感光体ドラム2030cにおける書き込み開始タイミングを求め、同期検知センサ2115dからの同期検知信号に基づいて、感光体ドラム2030dにおける書き込み開始タイミングを求める。
ここで、カラープリンタ2000の製造工程の1つである検査工程で行われるポリゴンミラーの反射特性計測処理について説明する。
図6には、この反射特性計測処理で用いられる検査装置1000が示されている。
この検査装置1000は、2つの光源(100a、100b)、2つの射出光用コリメートレンズ(101a、101b)、2つの開口板(102a、102b)、2つの射出光用シリンドリカルレンズ(103a、103b)、2つの反射光用シリンドリカルレンズ(104a、104b)、2つの反射光用コリメートレンズ(105a、105b)、2つの光検知センサ(106a、106b)、面特定センサ110、検査対象のポリゴンミラー2104を回転させる駆動機構111、移動機構112、処理装置120、入力装置121、表示装置122、印字装置123などを有している。なお、ポリゴンミラー2104の回転軸に平行な方向はZ軸方向である。
入力装置121は、キーボード等の入力媒体を備え、作業者から入力された各種情報を処理装置120に通知する。
表示装置122は、液晶ディスプレイ等の表示部を備え、処理装置120から指示された各種情報を表示する。
印字装置123は、プリンタを備え、処理装置120から指示された各種情報を紙などの記録媒体に印刷する。
各光源は、半導体レーザ及び該半導体レーザを駆動する駆動回路を有している。そして、各光源の駆動回路は、処理装置120によって制御される。以下では、便宜上、光源100aから射出される光を「光LBa」といい、光源100bから射出される光を「光LBb」という。
射出光用コリメートレンズ101aは、光源100aから射出された光LBaを略平行光とする。射出光用コリメートレンズ101bは、光源100bから射出された光LBbを略平行光とする。各射出光用コリメートレンズの焦点距離は15mmである。
開口板102aは、開口部を有し、射出光用コリメートレンズ101aを介した光LBaのビーム径を調整する。開口板102bは、開口部を有し、射出光用コリメートレンズ101bを介した光LBbのビーム径を調整する。各開口板の開口部の大きさは、Z軸方向の長さが1.9mm、Z軸方向に直交する方向の長さが2.0mmである。
射出光用シリンドリカルレンズ103aは、開口板102aの開口部を通過した光LBaを、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。射出光用シリンドリカルレンズ103bは、開口板102bの開口部を通過した光LBbを、ポリゴンミラー2104の偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
反射光用シリンドリカルレンズ104aは、ポリゴンミラー2104で反射された光LBaを略平行光にする。反射光用シリンドリカルレンズ104bは、ポリゴンミラー2104で反射された光LBbを略平行光にする。各反射光用シリンドリカルレンズのZ軸方向に関する焦点距離は124.8mmである。
反射光用コリメートレンズ105aは、反射光用シリンドリカルレンズ104aを介した光LBaを集光する。反射光用コリメートレンズ105bは、反射光用シリンドリカルレンズ104bを介した光LBbを集光する。各反射光用コリメートレンズの焦点距離は100mmである。
光検知センサ106aは、反射光用コリメートレンズ105aを介した光LBaを受光する。光検知センサ106bは、反射光用コリメートレンズ105bを介した光LBbを受光する。
各光検知センサは、光検知信号を処理装置120に出力する。各光検知センサは、受光光量が所定の値よりも小さいときに光検知信号が「ハイレベル」となり、受光光量が所定の値以上のときに光検知信号が「ローレベル」となるように構成されている。すなわち、光検知センサが光を受光すると、光検知信号は「ハイレベル」から「ローレベル」に変化する。以下では、便宜上、光検知センサ106aからの光検知信号を「光検知信号a」、光検知センサ106bからの光検知信号を「光検知信号b」ともいう。
ポリゴンミラー2104に入射する光LBaの主光線の進行方向と、光検知センサ106aに向かう光LBaの主光線の進行方向とのなす角θaは1.0°である。また、ポリゴンミラー2104に入射する光LBbの主光線の進行方向と、光検知センサ106bに向かう光LBbの主光線の進行方向とのなす角θbは1.0°である。
光源100aと、射出光用コリメートレンズ101aと、開口板102aと、射出光用シリンドリカルレンズ103aと、反射光用シリンドリカルレンズ104aと、反射光用コリメートレンズ105aと、光検知センサ106aとからなる光学部品群を「光学系a」ともいう。
同様に、光源100bと、射出光用コリメートレンズ101bと、開口板102bと、射出光用シリンドリカルレンズ103bと、反射光用シリンドリカルレンズ104bと、反射光用コリメートレンズ105bと、光検知センサ106bとからなる光学部品群を「光学系b」ともいう。
駆動機構111は、処理装置120の指示に応じて、検査対象のポリゴンミラー2104の回転軸を時計回りに回転させる。駆動機構111は、回転軸の回転速度を検出するためのセンサを有し、該センサの出力信号を処理装置120に送出する。
ここでは、図7に示されるように、ポリゴンミラー2104の4つの偏向反射面を、時計回りに「面1」、「面2」、「面3」、「面4」とする。そして、ポリゴンミラー2104の+Z側の表面には、該表面の中心部から面1と面4との間の角部に向かう直線状のマークMが付加されている。なお、以下では、偏向反射面を特定する必要がないときは、マークMの図示を省略する。
また、以下では、便宜上、光LBaが入射する偏向反射面を「反射面a」、光LBbが入射する偏向反射面を「反射面b」ともいう(図8参照)。例えば、反射面aが面1であるタイミングでは、反射面bは面2である。
また、各偏向反射面において、その長手方向を「m方向」、該長手方向の寸法を長さLとする(図9参照)。そして、m方向に関して、偏向反射面の中心位置を0、偏向反射面の両端位置を−L/2及びL/2とする(図10参照)。ここでは、L=8mmである。
面特定センサ110は、一例として図11に示されるように、ポリゴンミラー2104の+Z側に配置され、ポリゴンミラー2104の+Z側の表面に光を照射する光源(図示省略)、及び該表面で反射された光を受光する光検出器(図示省略)を有している。そして、面特定センサ110は、マークMを検知すると、「ハイレベル」から「ローレベル」に変化する面特定信号を、処理装置120に出力する(図12参照)。
そこで、処理装置120は、一例として図13に示されるように、面特定信号に基づいて、光検知センサ106aが光LBaを受光したときの反射面aが、面1、面2、面3、面4のいずれであるかを特定することができる。そして、光検知センサ106bが光LBbを受光したときの反射面bが、面1、面2、面3、面4のいずれであるかも特定することができる。
移動機構112は、処理装置120の指示に応じて、光学系bを、光検知センサ106bがm=0の位置で反射された光LBbを受光するタイミングにおける、反射面bのm方向に関して移動させる(図14参照)。そこで、反射面bにおける光LBbの入射位置をm方向に関して移動させることができる(図15参照)。
すなわち、移動機構112は、反射面bにおける光LBbの入射位置が変化しても、反射面bにおける光LBbの入射方向が変化しないように、光学系bを移動させる。
また、移動機構112は、光学系bの移動方向に関する光学系bの位置情報を処理装置120に送出する。これにより、処理装置120は、反射面bにおける光LBbの入射位置を知ることができる。
一方、光学系aは、光検知センサ106aが光LBaを受光するタイミングで、反射面aのm方向に関して、反射面aの中心位置、すなわち、m=0の位置に光LBaが入射するように位置が固定されている(図16参照)。
次に、検査装置1000を用いて行われるポリゴンミラーの反射特性計測処理について図17及び図18を用いて説明する。図17及び図18のフローチャートは、処理装置120によって実行される一連の処理アルゴリズムに対応している。この反射特性計測処理は、入力装置121を介した作業者の指示により開始される。なお、検査対象のポリゴンミラー2104は、すでに所定位置に取り付けられているものとする。
最初のステップS401では、光源100a及び光源100bを点灯させる。
次のステップS403では、駆動機構111を介して、ポリゴンミラー2104を所定の回転速度で回転させる。
次のステップS405では、駆動機構111の出力信号に基づいて、ポリゴンミラー2104の回転が安定したか否かを判断する。ポリゴンミラー2104の回転が安定していなければ、ここでの判断は否定され、ステップS407に移行する。
このステップS407では、予め設定されている時間だけ待機した後、上記ステップS405に戻る。
ポリゴンミラー2104の回転が安定すると、ステップS405での判断は肯定され、ステップS409に移行する。
次のステップS409では、反射面bにおける光LBbの入射位置を特定するための入射位置番号が格納される変数kに初期値1をセットする。ここでは、一例として図19に示されるように、m方向に関する位置が、−m3、−m2、−m1、0、m1、m2、m3の7箇所を入射位置とする。具体的には、m1=1mm、m2=2mm、m3=3mmである。そして、k=1はm=−m3の入射位置、k=2はm=−m2の入射位置、k=3はm=−m1の入射位置、k=4はm=0の入射位置、k=5はm=m1の入射位置、k=6はm=m2の入射位置、k=7はm=m3の入射位置を示す。なお、反射面bのm方向に関して、変数kに格納されている入射位置番号に対応する位置を入射位置kという。
次のステップS411では、光検知センサ106bが光LBbを受光するタイミングで入射位置kに光LBbが入射するように、移動機構112を介して光学系bの位置を制御する。
次のステップS413では、タイマカウンタTCの値を0リセットする。なお、このタイマカウンタTCのカウントアップは、一定時間毎に実行されるタイマ割り込み処理で行われるようになっている。
次のステップS415では、面特定信号、光検知信号a、及び光検知信号bの取得を開始する。面特定信号、光検知信号a、及び光検知信号bの取得は、所定のサンプリング時間毎に行われ、取得結果は、変数kの値と対応付けされて、処理装置120の不図示のメモリに格納される。
次のステップS417では、タイマカウンタTCの値が予め設定されている時間に対応する値N以上であるか否かを判断する。タイマカウンタTCの値がN未満であれば、ここでの判断は否定され、ステップS419に移行する。
このステップS419では、予め設定されている時間だけ待機した後、上記ステップS417に戻る。なお、待機中は、面特定信号、光検知信号a、及び光検知信号bの取得が継続される。
タイマカウンタTCの値がN以上になると、ステップS417での判断は肯定され、ステップS421に移行する。
このステップS421では、面特定信号、光検知信号a、及び光検知信号bの取得を停止する。
次のステップS423では、変数kの値が7以上であるか否かを判断する。変数kの値が7未満であれば、ここでの判断は否定され、ステップS425に移行する。
このステップS425では、変数kの値を+1して前記ステップS411に戻る。
以下、ステップS423での判断が肯定されるまで、ステップS411〜ステップS425の処理を繰り返す。
変数kの値が7以上になると、ステップS423での判断は肯定され、ステップS427に移行する。
このステップS427では、光源100a及び光源100bを消灯させる。
次のステップS429では、駆動機構111を介して、ポリゴンミラー2104の回転を停止させる。
次のステップS441では、メモリに格納されている面特定信号と光検知信号aとから、光検知センサ106aが面1で反射された光LBaを受光してから、次に光検知センサ106aが面1で反射された光LBaを受光する時間間隔D1を求める。なお、時間間隔D1は、ポリゴンミラー2104を回転させた時間(累積回転時間)に応じて複数求めることができる。そこで、取得された各時間間隔D1を、それらが取得されたタイミングと結びつけて、D1(t)と表示する(図20参照)。
次のステップS443では、複数のD1(t)の平均値AD1を算出する。ここでは、AD1は0.002秒であった。
次のステップS445では、各D1(t)と平均値AD1との差ΔD1(t)を求める。図21には、ΔD1(t)とポリゴンミラー2104の累積回転時間tとの関係の一例が示されている。この関係は、ポリゴンミラー2104の回転むらを示している。
次のステップS447では、測定対象の偏向反射面を特定するための面番号が格納される変数nに初期値1をセットする。なお、面番号1は面1を示し、面番号2は面2を示し、面番号3は面3を示し、面番号4は面4を示す。また、変数nに格納されている面番号に対応する偏向反射面を面nという。
次のステップS449では、変数kの値と対応付けされてメモリに格納されている面特定信号と光検知信号aと光検知信号bとから、変数kの値毎に、光検知センサ106aが面nで反射された光LBaを受光してから、次に光検知センサ106bが面nで反射された光LBaを受光する時間間隔Enkを求める。
ここで、符号Enkのnは、変数nの値を意味し、符号Enkのkは、変数kの値を意味している。なお、時間間隔Enkは、ポリゴンミラー2104を回転させた時間に応じて複数求めることができる。そこで、取得された各時間間隔Enkを、それらが取得されたタイミングと結びつけて、Enk(t)と表示する。なお、n=1、k=1の場合のEnk(t)、すなわち、E11(t)の例が図22に示されている。
次のステップS451では、変数kの値毎に、次の(1)式を用いて、ΔEnk(t)を求める。ΔEnk(t)の一例が図23に示されている。
ΔEnk(t)=Enk(t)−En4(t) ……(1)
次のステップS453では、変数kの値毎に、次の(2)式を用いて、ΔTnk(t)を求める。これにより、ΔEnk(t)に含まれている回転むらの影響を補正することができる。ΔD1(t)/4の一例が図24に示され、ΔTnk(t)の一例が図25に示されている。なお、(2)式において、ΔD1(t)を1/4倍するのは、光LBaを反射した面1が、次に光LBbを反射するまでに、ポリゴンミラー2104が1/4回転することによる。
ΔTnk(t)=ΔEnk(t)−ΔD1(t)/4 ……(2)
次のステップS455では、変数kの値毎に、ΔTnk(t)の平均値ΔTnkを算出する。図25の例では、ΔTnk=7.44903nsec(ナノ秒)であった。
ここで算出されたΔTnkは、面nの反射特性を示している。例えば、ΔT11は、面1において、m=0の位置で反射された光LBbが光検知センサ106bで受光されるタイミングに対する、m=−m3の位置(k=1)で反射された光LBbが光検知センサ106bで受光されるタイミングのずれ量である。このずれ量は、m=0の位置での接線方向とm=−m3の位置での接線方向との角度差に対応している。
そして、ΔTnkは、できるだけ0に近いほうが好ましい。
次のステップS457では、変数nの値が4以上であるか否かを判断する。変数nの値が4未満であれば、ここでの判断は否定され、ステップS459に移行する。
このステップS459では、変数nの値を+1する。そして、上記ステップS449に戻る。
以下、ステップS457での判断が肯定されるまで、ステップS449〜ステップS459の処理を繰り返す。
変数nの値が4以上になると、ステップS457での判断は肯定され、ステップS461に移行する。
このステップS461では、反射特性計測処理の結果を、表示装置122の表示部に表示するとともに、印字装置123を介して紙などの記録媒体に印刷する。そして、反射特性計測処理を終了する。図26には、この反射特性計測処理で得られた各偏向反射面の複数位置での反射タイミングのずれ量の一例が示されている。
そして、反射特性計測処理で得られた全ての偏向反射面の複数位置での反射タイミングのずれ量が許容範囲内のポリゴンミラーのみが、光走査装置2010A及び光走査装置2010Bに組み付けられる。そこで、カラープリンタ2000は、所望の画像品質を担保することができる。
ところで、光走査装置に用いられるポリゴンミラーは、組み付け誤差により、偏向反射面に入射する光の位置は必ずしも設計位置と一致しない。そこで、光の入射位置が多少ずれても、所望のタイミングで反射されることが、画像品質の低下を抑制するのに必要である。ポリゴンミラーの偏向反射面の表面形状は、例えば表面形状測定器を用いて精度良く測定することが可能である。しかしながら、発明者らは、表面粗さが小さくても、光の反射位置による反射タイミングのずれ量が大きい場合があり、反対に、表面粗さが有る程度大きくても、光の反射位置による反射タイミングのずれ量が小さい場合があるという新たな知見を得た。すなわち、偏向反射面の表面粗さでポリゴンミラーの良否を判断すると、不良品が混入したり、良品が除外されるおそれがある。
そこで、発明者らは、光の反射位置による反射タイミングのずれ量を実測することができる検査装置及び検査方法を考案した。これにより、ポリゴンミラーの良否を正しく判断することが可能となった。
以上の説明から明らかなように、上記実施形態に係る検査装置1000では、光源100aによって第1光源が構成され、射出光用コリメートレンズ101aと開口板102aと射出光用シリンドリカルレンズ103aとによって第1入射光学系が構成され、光検知センサ106aによって第1光検出器が構成されている。また、光源100bによって第2光源が構成され、射出光用コリメートレンズ101bと開口板102bと射出光用シリンドリカルレンズ103bとによって第2入射光学系が構成され、光検知センサ106bによって第2光検出器が構成されている。さらに、ポリゴンミラー2104の4つの偏向反射面が光偏向器の複数の反射面を構成している。そして、上記反射特性計測処理において、本発明の検査方法が実施されている。
また、En4(t)が第1計測値であり、En1(t)、En2(t)、En3(t)、En5(t)、En6(t)、En7(t)がそれぞれ第2計測値であり、ΔD1(t)が第3計測値である。そして、m=0の位置が基準位置である。
以上説明したように、本実施形態に係る検査装置1000によると、2つの光源(100a、100b)、2つの射出光用コリメートレンズ(101a、101b)、2つの開口板(102a、102b)、2つの射出光用シリンドリカルレンズ(103a、103b)、2つの反射光用シリンドリカルレンズ(104a、104b)、2つの反射光用コリメートレンズ(105a、105b)、2つの光検知センサ(106a、106b)、面特定センサ110、駆動機構111、移動機構112、及び処理装置120などを有している。
移動機構112は、処理装置120の指示に応じて、反射面bにおける光LBbの入射位置が変化しても、光LBbの入射方向が変化しないように、光学系bを移動させる。
処理装置120は、移動機構112を介して反射面bにおける光LBbの入射位置を変化させつつ、面特定信号、光検知信号a、及び光検知信号bを取得する。
そして、処理装置120は、面特定信号、光検知信号a、及び光LBbが反射面bにおけるm=0の位置(基準位置)に入射されたときの光検知信号bに基づいて、光検知センサ106aが一の偏向反射面(一の反射面)で反射された光LBaを受光してから、次に光検知センサ106bが同じ一の偏向反射面で反射された光LBbを受光するまでの時間間隔である第1計測値としてEn4(t)を求める。
次に、処理装置120は、面特定信号、光検知信号a、及び光LBbが反射面bにおけるm=0とは異なる位置に入射されたときの光検知信号bに基づいて、光検知センサ106aが一の偏向反射面(一の反射面)で反射された光を受光してから、次に光検知センサ106bが同じ一の偏向反射面で反射された光LBbを受光するまでの時間間隔である第2計測値としてEn1(t)、En2(t)、En3(t)、En5(t)、En6(t)、En7(t)を求める。
さらに、処理装置120は、偏向反射面毎に、第2計測値と第1計測値の差に基づいて、基準位置での反射タイミングに対する該基準位置とは異なる位置での反射タイミングのずれ量を反射特性として求める。
また、処理装置120は、光検知センサ106aが面1で反射された光LBaを受光してから、次に光検知センサ106aが面1で反射された光LBaを受光するまでの時間間隔である第3計測値としてΔD1(t)を更に求め、該第3計測値に基づいて上記ずれ量を補正する。
この場合は、高コスト化を招くことなく、各偏向反射面の反射特性を精度良く求めることができる。
そして、光走査装置2010A及び光走査装置2010Bは、検査装置1000を用いて検査され、各偏向反射面の反射特性が許容範囲内とされたポリゴンミラーを備えている。そこで、各感光体ドラムに所望の静電潜像を形成することができる。
そして、カラープリンタ2000は、光走査装置2010Aと光走査装置2010Bを備えているため、所望の画像品質を担保することができる。
なお、上記実施形態において、ポリゴンミラー2104の回転むらが小さい場合、あるいは、カラープリンタ2000で回転むらの補正処理が行われる場合は、上記反射特性計測処理におけるずれ量の補正(ステップS453)は不要である。
また、上記実施形態では、面1を用いて第3計測値を求める場合について説明したが、これに限定されるものではない。面2〜面4のいずれかを用いて第3計測値を求めても良い。
また、上記実施形態では、ポリゴンミラー2104が4つの偏向反射面を有している場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、ポリゴンミラー2104が6つの偏向反射面を有していても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として4つの感光体ドラムを有するカラープリンタについて説明したが、これに限定されるものではない。例えば、2つの感光体ドラムを有するプリンタであっても良い。この場合は、光走査装置2010A又は光走査装置2010Bを用いることができる。また、更に補助色を用いるカラープリンタであっても良い。
また、上記実施形態では、トナー像が感光体ドラムから中間転写ベルトを介して記録紙に転写される画像形成装置について説明したが、これに限定されるものではなく、トナー像が感光体ドラムから記録紙に直接転写される画像形成装置であっても良い。
また、上記実施形態では、画像形成装置として、カラープリンタの場合について説明したが、これに限らず、プリンタ以外の画像形成装置、例えば、複写機、ファクシミリ、又は、これらが集約された複合機であっても良い。
また、上記実施形態では、ポリゴンミラーが画像形成装置に用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、プロジェクタ装置に用いられても良い。この場合、検査装置1000を用いて検査され、各偏向反射面の反射特性が許容範囲内とされたポリゴンミラーを用いることにより、高画質の画像を投影することができる。