JP6094440B2 - 異種金属材料の抵抗溶接方法及び車両用部品 - Google Patents

異種金属材料の抵抗溶接方法及び車両用部品 Download PDF

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Description

本発明は、異なる種類の金属材料の間に中間材を介材した上で、重ね合わせて抵抗溶接する方法、及びその方法で接合した車両用部品に関する。
一般に、アルミ板と鉄鋼板とを重ねて抵抗溶接(例えば、スポット溶接)する場合、接合界面にはアルミと鉄などからなる金属間化合物が生成される。この金属間化合物は、高硬度で脆弱な物質であるので、溶接箇所の機械的強度を低下させる要因となっていた。
そのため、例えば、車両用ボディのルーフパネルとしてアルミ板を使用し、サイドパネルとして鉄綱板を使用する場合、その接合部には従来のスポット溶接法を用いることができず、接着剤を塗布して接合する接着剤接合方法を利用することがあった。
しかし、接着剤接合方法では、接着剤を塗布した後、重ね合わせた板同士を仮止めして加熱硬化させる必要がある。そのため、接着剤塗布工程、仮止め用のボルト締結工程や接着剤乾燥工程など、スポット溶接工程には不用の作業工程及びその専用設備が必要であった。したがって、接着剤接合方法においては、作業工程が煩雑となって生産性が低下すると共に、設備コストが増大する問題があった。
そこで、異種金属材料を抵抗溶接により簡単に接合するため、接合する異種金属材料の間に中間材を介在させて抵抗溶接する方法が知られている(特許文献1を参照)。
特許文献1に記載された異種金属の抵抗溶接方法は、以下の特徴を有する。すなわち、異種金属A,B(金属Aの融点TA <金属Bの融点TB )の抵抗溶接において、融点差が300K以下である場合には、融点が(TA −300)K以上TB 以下である中間層Xを金属A,B間に介在させて、溶接を行いうことを特徴とする。また、融点差が300Kを超える場合には、前記中間層Xと、融点がTA 以上TB 以下である中間層Yとを、中間層Xが金属A側に位置し中間層Yが金属B側に位置するように金属A,B間に介在させて、溶接を行うことを特徴とする。そして、上記抵抗溶接の際に、抵抗加熱により中間層を瞬時に溶融させるとともに、その溶融した中間層を加圧力により接合界面から排出して、金属A,Bを直接接合することを特徴とする。
特開平7−178565号公報
しかしながら、特許文献1に記載された異種金属の抵抗溶接方法は、例えば、アルミ板(融点:約933K)と鉄鋼板(融点:約1803K)との接合のように、異種金属の融点差が300Kを超える場合には、融点の異なる2種類の中間材(中間層Xと中間層Y)を異種金属間に介在させる必要がある。そのため、中間材の位置ずれや上下配置間違い等による溶接不良が、生じやすい問題があった。
また、上記抵抗溶接方法は、抵抗加熱により中間層を瞬時に溶融させるとともに、その溶融した中間層を加圧力により接合界面から排出して、金属A,Bを直接接合する方法であるので、溶接電流や加圧力を通常条件より高めに設定する必要がある。そのため、融点の低い金属(例えば、アルミ板)が過剰溶融して、栓抜け等の溶接強度が低下する問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、異種金属材料の融点差の大きさにかかわらず、1つの中間材を介在させるのみで、安定した溶接強度を確保することができる異種金属材料の抵抗溶接方法、及びその抵抗溶接方法を用いて製造した車両用部品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る異種金属材料の抵抗溶接方法、及びその抵抗溶接方法を用いて製造した車両用部品は、次のような構成を有している。
(1)異なる種類の金属材料同士を、その間に中間材を介在させた状態で、重ね合わせて抵抗溶接する異種金属材料の抵抗溶接方法であって、
前記中間材は、前記異種金属材料の内、融点の高い一方の金属材料と同種類の第1金属材の表裏両面に、融点の低い他方の金属材料と同種類の第2金属材を積層して形成されたものであり、
前記抵抗溶接時には、前記一方の金属材料と前記第1金属材との間に介在する前記第2金属材を除去して前記一方の金属材料と前記第1金属材とが溶融・凝固して接合し、前記他方の金属材料と前記第1金属材との間に介在する前記第2金属材と前記他方の金属材料とが溶融・凝固して接合することを特徴とする。
本願で、同種類の金属とは、母材となるマトリックス元素が共通する金属のことをいい、添加元素や不純物元素等の相違、製法(例えば、熱間圧延法又は冷間圧延法、めっき処理又は溶射処理など)の相違、表面処理の有無・相違などは問わない。
本発明においては、中間材は、異種金属材料の内、融点の高い一方の金属材料と同種類の第1金属材の表裏両面に、融点の低い他方の金属材料と同種類の第2金属材を積層して形成されたものであるので、異種金属材料の融点差が大きい場合であっても、異種金属材料間に介在させる中間材は1つだけである。そのため、特許文献1に記載された中間材が2つの場合と異なり、中間材の位置ずれが生じにくい。また、中間材は、第1金属材の表裏両面に第2金属材が積層されているので、上下配置間違い等による溶接不良が生じにくい。
また、第2金属材は、一方の金属材料及び第1金属材の融点より低い融点の金属であって、第1金属材の表裏両面に積層して形成されたものである。そのため、抵抗溶接時には、第2金属材の融点より高い融点まで加熱される一方の金属材料と第1金属材との間に介在する第2金属材は、一方の金属材料と第1金属材とが溶融する前に熱拡散又は蒸発等によって除去される。そのため、一方の金属材料と第1金属材とが直接溶融・凝固して接合することができる。
一方、他方の金属材料と第1金属材との間に介在する第2金属材と他方の金属材料とは、同種類の金属であり、融点が同程度に低いので、他方の金属材料側に形成された第2金属材は、除去される前に他方の金属材料と直接溶融・凝固して接合することができる。
その結果、それぞれ同種類の金属同士が、1つの中間材を介してそれぞれ別々のナゲット(溶融・凝固層)を形成して接合することができる。そのため、融点の低い金属(例えば、アルミ板)が過剰溶融するおそれが少なく、栓抜け等の溶接強度の低下が生じにくい。
また、異種金属材料間にそれぞれ別々のナゲット(溶融・凝固層)を形成するので、それぞれの接合界面に強度低下の要因となる金属間化合物が生成されおそれが少ない。
さらに、異種金属材料の接合箇所においては、抵抗溶接後においても中間材が介在することによって異種金属材料同士が直接接触することがないので、抵抗溶接後における異種金属材料間の電蝕を防止することができる。
よって、本発明によれば、異種金属材料の抵抗溶接方法において、異種金属材料の融点差の大きさにかかわらず、1つの中間材を介在させるのみで、安定した溶接強度を確保することができる。
なお、中間材は、第1金属材を基材とし、その表面に第2金属材をめっき処理、溶射処理、又は圧接等の各種方法によって薄膜状に積層して形成することが好ましい。抵抗溶接時において、融点の高い一方の金属材料と第1金属材とが溶融する前に、融点の低い薄膜状の第2金属材は、熱拡散又は蒸発等によって除去されるからである。例えば、第2金属材の膜厚は、20〜40μm程度が好ましい。
(2)(1)に記載された異種金属材料の抵抗溶接方法において、
前記中間材は、前記第1金属材と前記第2金属材との間に前記第1金属材の融点より高い融点を有する第3金属材が層状に形成されていることを特徴とする。
本発明においては、中間材は、第1金属材と第2金属材との間に第1金属材の融点より高い融点を有する第3金属材が層状に形成されているので、抵抗溶接時に、それぞれ同種類の金属同士が溶融・凝固して接合するとき、融点の高い第3金属材が溶融せずに異種金属の中間に介在することによって、異種金属同士の融合を回避させることができる。そのため、それぞれ同種類の金属同士が他種類の金属と融合することなく接合するので、異種金属材料の接合強度を低下させる金属間化合物が生成するおそれを一層減少させることができる。
よって、本発明によれば、抵抗溶接による異種金属材料の接合強度を、より一層安定して確保することができる。
(3)(2)に記載された異種金属材料の抵抗溶接方法において、
前記第1金属材が鉄基材であり、前記第2金属材がアルミめっき層であり、前記第3金属材が窒化アルミ系合金層であって、
前記抵抗溶接時に、前記第2金属材の融点を超える温度から前記第1金属材の融点以下の温度の間で、前記一方の金属材料側に形成された前記第2金属材が熱拡散又は蒸発によって消滅することを特徴とする。
本発明においては、第1金属材が鉄基材であり、第2金属材がアルミめっき層であり、第3金属材が窒化アルミ系合金層であるので、窒化アルミ系合金層である第3金属材の融点(約2473K)は、アルミめっき層である第2金属材の融点(約933K)、及び鉄基材である第1金属材の融点(約1803K)より大幅に高い。そのため、異種金属材料の内、それぞれ同種類の金属同士(アルミ同士、鉄同士)が溶融・凝固して接合するとき、融点の高い窒化アルミ系合金層が溶融せずに異種金属(アルミと鉄)の中間に介在することによって、異種金属同士の融合を回避させることができる。
また、抵抗溶接時に、第2金属材の融点を超える温度から第1金属材の融点以下の温度の間で、一方の金属材料側に形成された第2金属材が熱拡散又は蒸発によって消滅する。具体的には、アルミめっき層のアルミ元素は、抵抗溶接時の温度上昇に伴って窒化アルミ系合金層に熱拡散等して、アルミめっき層の融点を超える温度から鉄の融点以下の温度の間で、アルミめっき層が消滅するので、異種金属材料の鉄鋼板と中間材の鉄基材とが溶融するときには、その間に介在するアルミめっき層のアルミ元素が鉄同士のナゲット(溶融・凝固層)に残留するおそれがない。
また、窒化アルミ系合金層の融点は鉄の融点より大幅に高いので、窒化アルミ系合金の元素と鉄元素とが融合して金属間化合物を生成するおそれもない。その上、窒化アルミ系合金はセラミックス系合金であり、外力に対して割れやすく脆弱であるので、抵抗溶接時の加圧力及び熱攪拌によって、鉄同士のナゲット(溶融・凝固層)から除去することができる。
その結果、鉄同士の接合強度、及びアルミ同士の接合強度をより一層高めることができる。
(4)(1)〜(3)のいずれか1つに記載された異種金属材料の抵抗溶接方法によって製造した車両用部品であって、
前記車両用部品は、ルーフパネルをアルミ板とし、サイドパネルを鉄鋼板とし、その間に介在させた前記中間材を鉄基材の表裏両面にアルミめっき層を形成した長尺状の板材とした車両用ボディであることを特徴とする。
本発明においては、車両用部品は、ルーフパネルをアルミ板とし、サイドパネルを鉄鋼板とし、その間に介在させた中間材を鉄基材の表裏両面にアルミめっき層を形成した長尺状の板材とした車両用ボディであるので、中間材の表裏面を気にすることなく、ルーフパネルと中間材とサイドパネルとを順に重ね合わせて、所定の間隔でスポット溶接することによって車両用ボディを簡単に形成することができる。
ここで、ルーフパネルと中間材とを予め仮止めした上で、サイドパネルに重ね合わせると、中間材の位置決め作業性がさらに向上する。
また、車両用ボディの接合部には、1つの中間材を介してアルミ同士が溶融・凝固したナゲットと鉄同士が溶融・凝固したナゲットとがそれぞれ形成されているので、車両用ボディに必要な接合強度を確実に確保することができる。
なお、サイドパネルは、亜鉛めっき鋼板でも、非亜鉛めっき鋼板でもよい。
本発明によれば、異種金属材料の融点差の大きさにかかわらず、1つの中間材を介在させるのみで、安定した溶接強度を確保することができる異種金属材料の抵抗溶接方法、及びその抵抗溶接方法を用いて製造した車両用部品を提供することができる。
本発明の実施形態に係る異種金属材料からなる車両用ボディ及び抵抗溶接装置を表す断面図である。 図1に示す車両用ボディ及び抵抗溶接装置を表す斜視図である。 図1に示す車両用ボディの接合部を表す部分上面図である。 図1に示す車両用ボディの接合部の拡大断面図である。 図1に示す中間材において、加熱温度に伴って変化する金属めっき層と合金層の模式的断面図である。 図1に示す車両用ボディの接合部の模式的詳細断面図である。 図1に示す車両用ボディの接合部の断面拡大写真図である。
次に、本発明の実施形態に係る異種金属材料からなる車両用ボディの抵抗溶接方法、及びその方法で接合した車両用ボディについて、図面を参照して詳細に説明する。はじめに、本実施形態に係る異種金属材料からなる車両用ボディ及び抵抗溶接装置の概要を説明し、その後、本実施形態に係る抵抗溶接方法における中間材の加熱特性と、異種金属材料と中間材との接合メカニズム及び接合部の詳細構造について、説明する。
<車両用ボディ及び抵抗溶接装置の構造>
まず、本実施形態に係る車両用ボディの接合部における構造及び抵抗溶接装置の構造を、図1〜図4を用いて説明する。図1に、本発明の実施形態に係る異種金属材料からなる車両用ボディ及び抵抗溶接装置を表す断面図を示す。図2に、図1に示す車両用ボディ及び抵抗溶接装置を表す斜視図を示す。図3に、図1に示す車両用ボディの抵抗溶接部を表す部分上面図を示す。図4に、図1に示す車両用ボディの抵抗溶接部の拡大断面図を示
す。
(車両用ボディの構造)
図1、図2に示すように、本実施形態に係る車両用ボディ10は、ルーフパネル1と、中間材2と、アウタパネル3と、インナパネル4とを備えている。ここで、アウタパネル3とインナパネル4は、サイドパネル8を構成する。
ルーフパネル1は、車両用ボディ10の上方に位置して略矩形状に形成されたルーフ部12と、その外周から下方へステップ状に曲げ成形された接合フランジ13とを備えている。接合フランジ13は、ルーフパネル1の略全周に所定の幅で形成されている。ルーフパネル1には、略平坦面であるルーフ部12を補強するリーンフォースメント部材11が、左右の接合フランジ13間に設けられている。ルーフパネル1は、板厚が1.0〜1.2mm程度のアルミ板である。リーンフォースメント部材11は、板厚が0.8mm程度の冷延鋼板(鉄)である。
アウタパネル3は、車両用ボディ10の側方に位置して主に外観上のデザイン形状を構成する板材である。アウタパネル3は、上端から下方へテップ状に曲げ成形された接合フランジ31を備えている。接合フランジ31は、ルーフパネル1の接合フランジ13と略同幅に形成されている。アウタパネル3は、板厚が0.8mm程度の亜鉛メッキ鋼板である。
インナパネル4は、アウタパネル3の内側に位置して主に室内形状を構成する板材である。インナパネル4にも、上端に形成された接合フランジ41を備えている。インナパネル4は、板厚が0.7mm程度の冷延鋼板である。
なお、アウタパネル3及びインナパネル4は、予め接合されてサイドパネル8のサブアッシーを形成している。
ここで、アウタパネル3、インナパネル4、サイドパネル8、リーンフォースメント部材11が、請求項1における「一方の金属材料」に相当する。また、ルーフパネル1が、請求項1における「他方の金属材料」に相当する。また、アウタパネル3、インナパネル4、サイドパネル8、リーンフォースメント部材11とルーフパネル1とが、請求項1における「異種金属材料」に相当する。
中間材2は、異種金属材料であるルーフパネル1の接合フランジ13とアウタパネル3の接合フランジ31との間に介在させる接合用板材である。中間材2は、ルーフパネル1の接合フランジ13及びアウタパネル3の接合フランジ31のラップ幅と略同じ幅で形成されている。中間材2は、両接合フランジ13、31の長手方向において、長尺状に形成されている。
中間材2は、異種金属材料の内、融点の高いアウタパネル3と同種類の金属基材(第1金属材に相当)表裏両面に、融点の低いルーフパネル1と同種類の金属めっき層(第2金属材に相当)が形成されたものである。
中間材2の金属基材は、鉄鋼板(冷延鋼板)である。中間材2の板厚は、0.5mm程度である。なお、アウタパネル3は、亜鉛めっき鋼板であるが、表面の亜鉛めっき層は、抵抗溶接時の加熱によって蒸発して消滅するので、中間材2の金属基材は、亜鉛めっき鋼板の基材である鉄鋼板(冷延鋼板)と同種類の鉄鋼板(冷延鋼板)を用いることができる。
中間材2の金属めっき層は、ルーフパネル1と同種類のアルミめっき層である。アルミめっき層の厚さは、20〜40μm程度である。本実施形態では、中間材2の両面に、アルミめっき層が形成されている。そのため、中間材2の表裏の向きを考慮することなく、異種金属材料であるルーフパネル1とアウタパネル3との間に介在させることができる。
また、中間材2には、鉄基材とアルミめっき層との間に、鉄の融点より高い融点を有する窒化アルミ系合金層が形成されている。その合金層の厚さは、10〜20μm程度である。
(抵抗溶接装置)
図1、図2に示すように、車両用ボディ10のルーフパネル1の外周に沿って所定のピッチで移動しながらスポット溶接する多関節型の溶接ロボット7が、配設されている。溶接ロボット7のアーム先端には、スポット溶接ガン6が装着されている。なお、溶接ロボット7は、生産性を考慮して複数台配設されている。
スポット溶接ガン6は、ルーフパネル1の接合フランジ13、中間材2、アウタパネル3の接合フランジ31、インナパネル4の接合フランジ41が重ね合わされた箇所を上下方向から加圧、通電して接合する。
スポット溶接ガン6には、シリンダケース64の軸心から下方に突出して進退するピストンロッド63と、シリンダケース側壁からC字状に湾曲して形成され、ピストンロッド63と対向する固定ロッド62とを備えている。ピストンロッド63と固定ロッド62との先端部には、接合部5に当接する溶接チップ61A、61Bが嵌合されている。
溶接チップ61A、61Bにおける外径及び先端部の形状は、当接する金属材料の融点、熱伝導性、伸び率などを考慮して決定する。図1では、溶接チップ61A、61Bは、それぞれ先端形状が凸状に湾曲したドーム型であるが、ルーフパネル1の接合フランジ13に当接する溶接チップ61Aは、先端形状が略平坦な円筒型に形成してもよい。略平坦な円筒型にすることによって、ルーフパネル1との接触面積が増加するので、溶融した金属材料が接合部5の外側へ流動することを防止することができ、ルーフパネル1の溶接面における変形を低減することができる。
(接合部の構造)
図3、図4に示すように、接合部5(5A、5B)は、ルーフパネル1に外周に沿って、所定の間隔をあけて形成されている。
接合部5(5A、5B)には、ルーフパネル1と中間材2とアウタパネル3とインナパネル4とが接合する接合部5Aと、ルーフパネル1と中間材2とリーンフォースメント部材11とが接合する接合部5Bとがある。
本実施形態では、ルーフサブアッシー工程にて接合部5Bが抵抗溶接され、その後のメインボディ工程にて接合部5Aが抵抗溶接される。その結果、中間材2は、ルーフサブアッシー工程でルーフパネル1に接合されているので、メインボディ工程へルーフパネル1と一緒に投入することができる。
図4に示すように、接合部5(5A、5B)には、第1のナゲット51と第2のナゲット52とが形成されている。第1のナゲット51は、ルーフパネル1と中間材2の金属メッキ層とが溶融・凝固して形成されたナゲットである。したがって、第1のナゲット51は、アルミ同士が融合して形成された接合部となる。
また、第2のナゲット52は、中間材2の金属基材とサイドパネル(アウタパネル3及びインナパネル4)とが溶融・凝固して形成されたナゲット、又は中間材2の金属基材とリーンフォースメント部材11とが溶融・凝固して形成されたナゲットである。したがって、第2のナゲット52は、鉄同士が融合して形成された接合部となる。
<抵抗溶接方法における中間材の加熱特性>
次に、本実施形態に係る抵抗溶接方法における中間材の加熱特性について、図5を用いて説明する。図5に、図1に示す中間材において、加熱温度に伴って変化する金属めっき層と合金層の模式的断面図を示す。図5(a)は、常温時の中間材2における金属めっき層と合金層の模式的断面図を示す。図5(b)は、温度(773〜973K)に中間材2を加熱した時における金属めっき層と合金層の模式的断面図を示す。図5(c)は、温度1273K以上に中間材2を加熱した時における金属めっき層と合金層の模式的断面図を示す。
図5(a)に示すように、常温時の中間材2は、鉄鋼板からなる金属基材23の表面には、窒化アルミ系合金層22が形成され、その上にアルミめっき層21が形成されている。窒化アルミ系合金層22の厚さは、アルミめっき層21の厚さより薄く形成されている。ここで、金属基材23が、請求項1における「第1金属材」に相当し、アルミめっき層21が請求項1における「第2金属材」に相当し、窒化アルミ系合金層22が請求項2における「第3金属材」に相当する。
図5(b)に示すように、中間材2をアルミめっき層21の融点付近の温度(773〜973K)に抵抗加熱すると、アルミめっき層21のアルミ元素が窒化アルミ系合金層22に熱拡散又は蒸発することによって、アルミめっき層21の厚さが減少し、窒化アルミ系合金層22の厚さが増大する。しかし、この段階では、アルミめっき層21は、所定の厚さを有して窒化アルミ系合金層22の上に残存している。
図5(c)に示すように、中間材2を更に高い温度(1273K以上)に抵抗加熱すると、アルミめっき層21のアルミ元素がすべて窒化アルミ系合金層22に熱拡散するか、外部に蒸発することによって、アルミめっき層21は消滅する。その結果、窒化アルミ系合金層22の厚さは、さらに増大する。窒化アルミ系合金層22の上には、僅かな厚みの酸化被膜21Bのみが形成されることになる。
以上のように、中間材2は、抵抗溶接時の加熱の温度によって、アルミめっき層21及び窒化アルミ系合金層22の構成が変化する。
<異種金属材料と中間材との接合メカニズム及び接合部の詳細構造>
次に、抵抗溶接における異種金属材料と中間材との接合メカニズム及び接合部の詳細構造について、図6、図7を用いて説明する。図6に、図1に示す車両用ボディの接合部の模式的詳細断面図を示す。図7に、図1に示す車両用ボディの接合部の断面拡大写真図を示す。
図6に示すように、ルーフパネル1と中間材2とアウタパネル3とを重ね合わせて、加圧、通電すると、中間材2のアルミめっき層とルーフパネル(Al板)1との境界面は、抵抗加熱されてアルミの融点T1(約933K)まで昇温される。アルミの融点T1まで昇温される間に、アルミめっき層は、アルミ元素が熱拡散又は蒸発によって膜厚が減少する(図5(b)参照)が、抵抗溶接の加熱時間は短いので、中間材2における鉄基材の表裏両面に形成された合金層とアルミめっき層との構成は保存され、厚さの変化に留まる。そのため、ルーフパネル1のアルミ板と中間材2のルーフパネル側に形成されたアルミめっき層との間でアルミ同士が溶融、凝固したアルミ同士のナゲット51が形成されることになる。
一方、中間材2とアウタパネル3との境界面は、さらに抵抗加熱されて鉄の融点(約1803K)まで昇温される。その昇温によって、中間材2のアウタパネル側に形成されたアルミめっき層は消滅し、窒化アルミ系合金層の上には酸化被膜のみが形成されることになる(図5(c)参照)。そして、窒化アルミ系合金層と酸化被膜は、抵抗溶接装置からの加圧力及び両側の鉄金属の溶融に伴う熱攪拌を受けて、変形や割れ等が進行し境界面から外部に除去される。そのため、中間材2とアウタパネル3との境界面には、窒化アルミ系合金層と酸化被膜が除去された後に残る鉄同士のナゲット(第2のナゲット)52が形成される。
ここで、アルミめっき層の融点を超える温度から鉄鋼板の融点以下の温度の間で、アルミめっき層が消滅するので、アウタパネル3の鉄鋼板と中間材2の鉄基材とが溶融するこきには、その間に介在するアルミめっき層のアルミ元素が鉄同士のナゲット(溶融・凝固層)に残留するおそれがない。
また、窒化アルミ系合金層の融点は鉄の融点より大幅に高いので、窒化アルミ系合金の元素と鉄元素とが融合して金属間化合物を生成するおそれもない。
以上の接合メカニズムによって、異種金属材料が、1つの中間材との間で、それぞれ同種類の金属同士が、それぞれ別々のナゲット(溶融・凝固層)を形成して接合することができる。
その結果、鉄同士の接合強度、及びアルミ同士の接合強度をより一層高めることができる。
図7は、アルミ板のルーフパネル1と、鉄基材の表裏両面に合金層を形成した上にアルミめっき層を形成した中間材2と、亜鉛めっき鋼板のアウタパネル3と、鉄鋼板のインナパネル4とを重ね合わせて、抵抗溶接した溶接部の拡大写真である。
ここで、ルーフパネル1は、6000系アルミ合金板で、板厚1.2mmである。中間材2は、鉄基材に窒化アルミ系合金層を形成し、その上にアルミめっき層を形成したアルミめっき鋼板で、板厚0.5mmである。アウタパネル3は、SCGA270で、板厚0.75mmである。インナパネル4は、SPC590で、板厚1.0mmである。また、スポット溶接条件は、加圧力1960N(約200kgf)、通電時間16(cy)、溶接電流12.0(kA)である。
図7に示すように、ルーフパネル1と中間材2との境界面には、アルミ同士のナゲット51が形成されていることが確認できる。中間材2とアウタパネル3とインナパネル4との境界面には、中間材の鉄基材とアウタパネルの鉄鋼板とインナパネルの鉄鋼板とが一体となった鉄同士のナゲット52が形成されていることが確認できる。
本発明は、異なる種類の金属材料の間に中間材を介材した上で、重ね合わせて抵抗溶接する方法、及びその方法で接合した車両用部品に利用できる。
1 ルーフパネル
2 中間材
3 アウタパネル
4 インナパネル
5 接合部
5A,5B 接合部
6 スポット溶接ガン
7 溶接ロボット
8 サイドパネル
10 車両用ボディ
13 接合フランジ
21 アルミめっき層
22 窒化アルミ系合金層
23 金属基材
31 接合フランジ
41 接合フランジ
51 第1のナゲット
52 第2のナゲット

Claims (3)

  1. 異なる種類の金属材料同士を、その間に中間材を介在させた状態で、重ね合わせて抵抗溶接する異種金属材料の抵抗溶接方法であって、
    前記中間材は、前記異種金属材料の内、融点の高い一方の金属材料と同種類の第1金属材の表裏両面に、融点の低い他方の金属材料と同種類の第2金属材を積層して形成されたものであり、
    前記抵抗溶接時には、前記一方の金属材料と前記第1金属材との間に介在する前記第2金属材を除去して前記一方の金属材料と前記第1金属材とが溶融・凝固して接合し、前記他方の金属材料と前記第1金属材との間に介在する前記第2金属材と前記他方の金属材料とが溶融・凝固して接合すること
    前記中間材は、前記第1金属材と前記第2金属材との間に前記第1金属材の融点より高い融点を有する第3金属材が層状に形成されていることを特徴とする異種金属材料の抵抗溶接方法。
  2. 請求項に記載された異種金属材料の抵抗溶接方法において、
    前記第1金属材が鉄基材であり、前記第2金属材がアルミめっき層であり、前記第3金属材が窒化アルミ系合金層であって、
    前記抵抗溶接時に、前記第2金属材の融点を超える温度から前記第1金属材の融点以下の温度の間で、前記一方の金属材料側に形成された前記第2金属材が熱拡散又は蒸発によって消滅することを特徴とする異種金属材料の抵抗溶接方法。
  3. 請求項1又は請求項2に記載された異種金属材料の抵抗溶接方法によって製造した車両用部品であって、
    前記車両用部品は、ルーフパネルをアルミ板とし、サイドパネルを鉄鋼板とし、その間に介在させた前記中間材を鉄基材の表裏両面にアルミめっき層を形成した長尺状の板材とした車両用ボディであることを特徴とする車両用部品。
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