以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
1. システムの概要
2. ハードウェア構成
3. 機能
4. 動作例
5. 変形例
≪ 1. システムの概要 ≫
図1は、本発明の一実施形態における表示システム1の概要を表す。表示システム1は、管理装置10と、表示装置30とを含む。また、表示システム1は、ユーザの所持する移動通信端末20と、複数の配信装置40(個別の配信装置を40A、40B・・・と表現する)と、ゲートウェイ50を含み得る。
管理装置10と、表示装置30と、ゲートウェイ50は、例えばインターネット又はLANのような、ネットワーク60で接続されている。また、移動通信端末20は、3G若しくは4Gネットワーク又は無線LAN等を介して、ネットワーク60と接続されている。また、配信装置40は、ZigBee(登録商標)のような近距離無線通信方式により、PAN(Personal Area Network)70を形成しており、同様にPAN70を形成するゲートウェイ50を介して、ネットワーク60に接続されている。
表示装置30は、ビルや駅構内の壁面等を用いてコンテンツを表示するデジタルサイネージ端末であり、ユーザの手が直接届かない程度に大きな表示面を有する装置である。表示装置30の表示面は、一枚のディスプレイパネルで構成されるか、あるいは、複数のディスプレイパネルの組み合わせによって構成される。いずれの場合においても、表示面は、ソフトウェア処理により、複数の表示領域30A、30B、・・・に分割されて管理される。図1において、複数の表示領域は、破線で囲まれた矩形の領域に対応する。通常、複数の表示領域は、一体となって、一枚の表示面を構成し、後述する管理装置10からの制御によって、一のコンテンツ(文字、静止画像、静止画像のスライドショー、動画又はそれらの組み合わせ等)を映し出す。
一方、表示装置30を構成する複数の表示領域の夫々の近傍には、配信装置40が設置される。配信装置40は、例えばIMES(Indoor Messaging Service)規格に従い、当該配信装置40の設置された位置を表す位置情報(例えば、緯度及び経度)を含む、屋内向けの測位信号を配信する。IMESを用いる場合、配信装置40は、一般的に、天井に設置される。配信装置40は、一定範囲に広がる電波を用いて、測位信号を配信する。図1に示されるように、配信装置40の測位信号が到達する範囲は、対応する表示領域の前面から所定の距離離れた範囲に収まるように、予め調整される。従って、各配信装置の測位信号の送信範囲は、複数の表示領域の夫々と対応する。
また、上述したように、複数の配信装置40は、PAN70を形成する。例えば、PANが、ZigBee(登録商標)を用いて形成される場合には、配信装置40は、ZigBeeルータとして動作し、移動通信端末のようなZigBeeエンドデバイスの通信を中継するルータとして機能する。一方、PANは、ZigBeeコーディネータとして動作するゲートウェイ50によって形成され、管理される。
移動通信端末20は、GPSやIMESに対応する位置情報受信機を備える、スマートフォンのような携帯端末である。移動通信端末20は、配信装置40から配信される位置情報を受信すると、当該位置情報と、移動通信端末20に予め格納された識別情報とを、PAN70又は携帯電話通信網を介して、管理装置10に送信する。移動通信端末20は、位置情報を受信する毎に、あるいは、任意のタイミングで、受信した位置情報及び識別情報を管理装置10に送信する。
管理装置10は、一般的なサーバ向けのコンピュータで構成される。管理装置10は、移動通信端末20から受け取った識別情報を用いて、移動通信端末20のユーザを特定する。そして、管理装置10は、特定したユーザが、現在表示装置30に表示中のコンテンツと関連しているかどうか判定し、関連している場合には、ユーザの位置(すなわち、端末の送信した位置情報)に対応する表示領域に、関連コンテンツを表示させる。ここで、関連コンテンツとは、例えば、現在表示中のコンテンツの縮小版のコンテンツである。従って、ユーザは、近くの表示領域に表示された関連コンテンツを確認することにより、その内容を理解することが容易になる。
また、移動通信端末20を所持するユーザが移動すると、管理措置10は、先に受信したものとは異なる位置情報を受信する。この場合には、管理装置10は、新たに受信した位置情報に対応する表示領域に、関連コンテンツを表示させ、直前まで表示していた関連コンテンツの表示を停止する。これにより、ユーザは、移動した後であっても、近くの表示領域に表示された関連コンテンツを閲覧することができ、コンテンツに対する理解がより高まる。また、ユーザの移動に伴って関連コンテンツを表示し続けることができた結果,ユーザが、関連コンテンツに関心をもつ可能性が高くなり、広告効果を高めることができる。
なお、表示装置30は、ディスプレイパネルを備える代わりに、投影手段を備えるプロジェクタであってもよい。また、表示装置30は、接触面を検知するタッチパネルディスプレイを備えていてもよい。
≪ 2. ハードウェア構成 ≫
≪ 管理装置 ≫
図2は、本発明の一実施形態における管理装置10のハードウェア構成例を表す。管理装置10は、CPU11と、RAM12と、ROM13と、HDD14と、キーボード15と、マウス16と、ディスプレイ17と、NIC(Network Interface Card)18とを有する。
CPU11は、管理装置10の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM12は、CPU11のワークエリアを構成する。ROM13は、CPU11が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。HDD14は、詳しくは後述するが、移動通信端末20から受信した位置情報を管理する位置管理情報や、センサの識別子と表示領域とを関連付ける表示領域情報や、表示領域の具体的な位置を定義する表示領域定義情報等を格納する。HDD14は、磁気ディスクや、ソリッドステートディスクのような記憶装置であってもよい。
キーボード15及びマウス16は、管理装置10の管理者等からの入力を受け付ける装置である。ディスプレイ17は、管理装置10の管理者等に情報を提示する装置である。NIC18は、例えばイーサネット(登録商標)によるLANと接続するための通信インターフェースである。バス19は、上記の各装置を相互に接続する。
なお、図2の管理装置10は、単一のコンピュータによって構成されているが、複数のコンピュータにまたがって構成されてもよい。また、そのような複数のコンピュータのそれぞれが、図2に示された装置の一部を有し、全体として、図2に示した装置を実現するよう構成されてもよい。
≪ 移動通信端末 ≫
図3は、本発明の一実施形態における移動通信端末20のハードウェア構成例を表す。移動通信端末20は、CPU21と、RAM22と、ROM23と、タッチパネル24と、ディスプレイ25と、カメラ26と、無線通信装置27と、位置情報受信装置28とを有する。
CPU21は、移動通信端末20の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM22は、CPU21のワークエリアを構成する。ROM23は、CPU21が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。
タッチパネル24は、ユーザからの操作入力を受け付ける装置である。ディスプレイ25は、ユーザに情報を提示する装置である。カメラ26は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)又はCCD(Charge Coupled Device)等のセンサを搭載する撮像装置である。無線通信装置27は、3G若しくは4Gネットワーク、無線LAN、PAN等により、外部の装置と通信する装置である。位置情報受信装置28は、GPS又は屋内向け測位技術であるIMES(Indoor Messaging System)等に準拠した測位信号を受信する装置である。バス29は、上記の各装置を相互に接続する。
なお、図3の移動通信端末30は、スマートフォンの例を示したが、本発明の一実施形態における移動通信端末は、位置情報を受信する位置情報受信装置と、外部の装置と通信するための無線通信装置を備える、任意の装置であってもよい。
≪ 配信装置 ≫
図4は、本発明の一実施形態における配信装置40のハードウェア構成例を表す。配信装置40は、CPU41と、RAM42と、ROM43と、位置情報送信装置44と、無線通信装置45とを有する。
CPU41は、配信装置40の動作制御を行うプログラムを実行する。RAM42は、CPU41のワークエリアを構成する。ROM43は、CPU41が実行するプログラムや、プログラムの実行に必要なデータを記憶する。
位置情報送信装置44は、例えば、屋内向け測位技術であるIMES(Indoor Messaging System)等に準拠した測位信号を送信する装置である。無線通信装置45は、ZigBee(登録商標)又はBluetooth(登録商標)のような、近距離無線通信方式により、外部の装置と通信する装置である。バス46は、上記の各装置を相互に接続する。
なお、図4の配信装置40と図3の移動通信端末30は、互いに、IMESのような測位信号を介して、位置情報を送受信するよう構成されているが、この例に限られない。例えば、可視光通信や、赤外線通信により、位置情報を送受信するよう構成されても良い。
≪ 3. 機能 ≫
図5は、本発明の一実施形態における管理装置10、移動通信端末20、表示装置30及び配信装置40の機能ブロック図である。
≪ 配信装置 ≫
図5の配信装置40は、位置情報格納部401と、配信部402と、中継部403とを有する。
位置情報格納部401は、配信装置が設置された位置を示す位置情報を格納する。当該位置情報は、例えば、緯度と経度によって表される。
配信部402は、位置情報格納部401に格納された位置情報を、IMES等の規格に準ずる測位信号により、所定の範囲に配信する。所定の範囲は、当該配信装置40と対応付けられる表示領域の、前方の領域となるように設定される。所定の範囲は、表示装置30が設置される環境に応じて、任意に設定可能であるが、例えば、表示領域の前面から2−3mの範囲をカバーできるように、設定される。
中継部403は、図1に例示されるように、移動通信端末20から受信したデータを、他の配信装置又はゲートウェイ50に中継する。中継されたデータは、最終的に、管理装置10に転送される。なお、図5では、ゲートウェイ50の記載は省略している。
≪ 移動通信端末 ≫
図5の移動通信端末20は、識別情報格納部201と、位置情報取得部202と、送信部203とを有する。
識別情報格納部201は、移動通信端末20を一意に識別するための識別情報を格納する。識別情報は、例えば、「ab1234567890」のような、48ビットのMACアドレスであってもよい。また、識別情報は、任意の英数字の組み合わせであってもよい。
位置情報取得部202は、配信装置40から送信された測位信号を用いて、位置情報を取得する。
送信部203は、識別情報格納部201に格納された識別情報と、位置情報取得部202が取得した位置情報を、配信装置40及びゲートウェイ50を介して、管理装置10に送信する。なお、送信部203は、3G若しくは4Gネットワーク又は無線LAN等によって、ネットワーク60と接続されている場合には、配信装置40及びゲートウェイ50を介さず、当該情報を管理装置10に送信してもよい。
≪ 表示装置 ≫
図5の表示装置30は、コンテンツ受信部301と、出力部302とを有する。
コンテンツ受信部301は、ネットワーク60を介して、管理装置10から送信されたコンテンツを受信する。コンテンツは、例えば、文字、静止画像、静止画像のスライドショー、動画又はそれらの組み合わせである。また、コンテンツ受信部301は、コンテンツと共に、そのコンテンツの表示位置に関する情報も受信する。
出力部302は、コンテンツ受信部301が受信したコンテンツを、表示位置に関する情報に従って、表示面の所定の位置に出力する。本発明の一実施形態における表示装置30の出力部302は、当初、表示面全体に、あるコンテンツを出力する。一方、出力部302は、管理装置10からの指示に従って、関連コンテンツを、移動通信端末20の位置に対応する表示領域に出力する。関連コンテンツは、例えば、現在表示中のコンテンツの縮小コンテンツや、当初表示されていたコンテンツに関する詳細情報を含むページへのリンクのリストである。このとき、出力部302は、他の表示領域においては、当初出力していたコンテンツを継続して出力してもよい。
≪ 管理装置 ≫
図5の管理装置10は、受信部101と、位置管理情報格納部102と、捕捉情報格納部103と、表示コンテンツ情報格納部104と、ユーザ情報格納部105と、対象ユーザ判定部106と、表示領域情報格納部107と、表示領域決定部108と、表示領域定義情報格納部109と、コンテンツ格納部110と、関連コンテンツ情報格納部111と、コンテンツ出力制御部112と、コンテンツ送信部113とを有する。
受信部101は、移動通信端末20から送信された識別情報と位置情報を受信する。
位置管理情報格納部102は、受信部101が受信した、識別情報と位置情報を、その受信時刻と関連付ける、位置管理情報を格納する。位置管理情報は、図6に例示されるテーブルによって管理される。図6の位置管理情報は、識別情報と、時刻と、緯度と、経度の項目を有する。識別情報、緯度、及び経度は、移動通信端末20から受信した情報であり、時刻は、その情報を受信した時刻である。図6に例示されるように、識別情報「ab1234567890」を有する移動通信端末20から、時刻「2013/2/21 9:48」と、「2013/2/21 9:49」に、それぞれ位置情報を受信している。
捕捉状態情報格納部103は、移動通信端末20が、捕捉状態であるか否かを示す、捕捉状態情報を格納する。捕捉状態情報は、図7に例示されるテーブルによって管理される。図7の捕捉状態情報は、識別情報と、捕捉状態の項目を有する。識別情報は、移動通信端末20の識別情報である。捕捉状態は、移動通信端末20が捕捉状態にあるかどうかを表し、捕捉状態であれば「y」、捕捉状態になければ「n」となる。
ここで、捕捉状態とは、当該管理装置10が、関連コンテンツを出力する対象と判断している状態のことをいう。捕捉状態となる条件は、例えば、移動通信端末20から、ある特定の位置情報(例えば、図1の表示装置の端部の配信装置40Aの位置情報)を受信することである。また、捕捉状態解除となる条件は、移動通信端末20が、上記とは異なる、特定の位置情報(例えば、図1の表示装置の逆の端部の配信装置40Jの位置情報)を送信するか、移動通信端末20から、位置情報が一定時間送信されなくなることである。
表示コンテンツ情報格納部104は、表示装置30の表示面に表示中のコンテンツを表す、表示コンテンツ情報を格納する。表示コンテンツ情報は、図10に例示されるテーブルによって管理される。図10の表示コンテンツ情報は、時間帯と、コンテンツ名の項目を有する。時間帯は、コンテンツが表示される時間帯を表す。コンテンツ名は、表示装置30に表示されるコンテンツの名前である。図10の例では、例えば、「9:00-10:59」の間には、「slideshow_full」というコンテンツ名のコンテンツが、表示装置30で表示される。
ユーザ情報格納部105は、コンテンツと、移動通信端末又はそのユーザとの関連付けを行う、ユーザ情報を格納する。ユーザ情報は、図11に例示されるテーブルによって管理される。図11のユーザ情報は、コンテンツ名と、識別情報の項目を有する。コンテンツ名は、表示装置30に表示されるコンテンツの名前である。識別情報は、移動通信端末の識別情報である。図11の例では、コンテンツ名が「slideshow_full」のコンテンツに対して、複数の移動通信端末の識別情報「ab1234567890」、「ab1234567890」が関連付けられている。
なお、図11のユーザ情報では、ユーザの所持する移動通信端末20の識別情報とコンテンツのコンテンツ名とが、直接関連付けられている。しかしながら、表示システムを提供するインフラ提供者によっては、コンテンツをコンテンツ提供者から受け取るが、そのコンテンツとユーザとの関連付けの情報を管理していない可能性がある。
そこで、インフラ提供者は、図13のようなテーブルにより、移動通信端末の識別情報と、そのユーザのユーザ名とを関連付けておく。一方、コンテンツ提供者は、図14のようなテーブルにより、コンテンツとユーザ名とを関連付けておく。そして、インフラ提供者は、移動通信端末から、位置情報及び識別情報を受信すると、識別情報に対応するユーザ名を、コンテンツ提供者に通知し、そのユーザが、現在表示中のコンテンツと関連するか判断するようにしてもよい。
対象ユーザ判定部106は、位置情報及び識別情報を送信した移動通信端末のユーザが、関連コンテンツの表示対象であるか否かを判定する。
まず、対象ユーザ判定部106は、移動通信端末20から受信した位置情報が、捕捉状態となるための、特定の位置情報であるかを判定する。そして、移動通信端末20から受信した位置情報が特定の位置情報であれば、図7の捕捉状態情報において、当該移動通信端末20の捕捉状態を「y」に設定する。
また、対象ユーザ判定部106は、移動通信端末20から受信した位置情報が、捕捉状態解除となるための、特定の位置情報であるかを判定する。そして、移動通信端末20から受信した位置情報が、捕捉状態が特定の位置情報であれば、図7の捕捉状態情報において、当該移動通信端末20の捕捉状態を「n」に設定する。
次に、対象ユーザ判定部106は、捕捉状態が「y」の移動通信端末20のユーザが、現在表示中のコンテンツと関連するか判定する。このために、対象ユーザ判定部106は、図10の表示コンテンツ情報を参照し、位置情報の受信時刻における、表示中のコンテンツのコンテンツ名を特定する。
次に、対象ユーザ判定部106は、図11のユーザ情報を参照し、特定した表示中のコンテンツのコンテンツ名と、位置情報を送信した移動通信端末20の識別情報とが、関連付けられているかを判定する。その結果、両者が関連付けられていれば、対象ユーザ判定部106は、当該移動通信端末20のユーザを、関連コンテンツを表示対象とすべき、対象ユーザであると判定し、そうでない場合には、対象ユーザでないと判定する。そして、対象ユーザ判定部106は、対象ユーザと判定したとき、移動通信端末20の識別情報及び位置情報を、表示領域決定部108に渡す。
なお、図11のユーザ情報の代わりに、図13、図14のユーザ情報が用いられる場合には、対象ユーザ判定部106は、図13のテーブルを参照し、移動通信端末の識別情報に対応するユーザ名を特定する。そして、ネットワーク60を介して通信可能なコンテンツ提供者のサーバ等に、ユーザ名が、現在表示中のコンテンツに関連するか問合せる。その結果、関連している場合には、そのユーザを、対象ユーザと判定する。
表示領域情報格納部107は、位置情報(すなわち、その位置情報を送信する配信装置)と、表示面を構成する表示領域名とを関連付ける、表示領域情報を格納する。表示領域情報は、図8に例示されるテーブルによって管理される。図8の表示領域情報は、緯度と、経度と、表示領域名の項目を有する。緯度及び経度は、表示面の表示領域の物理的な位置と対応する位置情報を表し、対応して設置された配信装置の位置情報と一致する。表示領域名は、表示装置30の表示面上で、表示領域を一意に特定するための名前である。
表示領域決定部108は、対象ユーザ決定部106から識別情報及び位置情報を受け取ると、当該位置情報をキーとして、図8の表示領域情報を参照し、関連コンテンツを表示すべき表示領域の表示領域名を決定する。
表示領域定義情報格納部109は、表示領域を表す表示領域名と、その表示領域の、表示装置30の表示面上での座標とを関連付ける、表示領域定義情報を格納する。表示領域定義情報は、図9に例示されるテーブルによって管理される。図9の表示領域定義情報は、表示領域名と、座標の項目を有する。表示領域名は、図8に含まれる、表示領域に付される名前であり、座標は、表示装置30の表示面上での座標を点で特定する。
図9の例では、表示領域名「30a」の表示領域は、左下の端部の座標が表示面上の、(0,0)ピクセルの位置であり、右上の端部の座標が(1919,1079)ピクセルの位置である、矩形によって表される領域である。ここでは、便宜上、表示面に向かって左下の端部の座標を(0,0)としたが、任意の座標を用いることができる。また、表示面上の位置を特定するために、ピクセルによる座標以外を用いた、任意の方法が用いられ得る。
コンテンツ格納部110は、表示装置30に表示される、例えば、文字、静止画像、静止画像のスライドショー、動画又はそれらの組み合わせ等のコンテンツを、任意の形式で格納する。また、コンテンツ格納部110は、関連コンテンツである、上記コンテンツの縮小コンテンツや、上記コンテンツに関する情報を含むページへのリンクのリストも格納する。
関連コンテンツ情報格納部111は、コンテンツのコンテンツ名と、そのコンテンツに関連する関連コンテンツの関連コンテンツ名とを関連付ける、関連コンテンツ情報を格納する。関連コンテンツ情報は、図12に例示されるテーブルによって管理される。図12の関連コンテンツ情報は、コンテンツ名と、関連コンテンツ名の項目を有する。コンテンツ名は、コンテンツの名前を表す。関連コンテンツ名は、対象ユーザに対して提示される関連コンテンツの名前を表す。コンテンツ名及び関連コンテンツ名は、図示しないテーブル等により、コンテンツ格納部110に格納されたコンテンツの本体と関連付けられる。
図12の例では、ある商品の画像のスライドショーであるコンテンツ「slideshow_full」は、そのスライドショーの縮小版であるコンテンツ「slideshow_small」と関連付けられる。また、ある商品の紹介動画であるコンテンツ「new_product_movie」は、その商品と関連する詳細ページや、その商品を購入可能な店舗への地図のページへのリンクを含むリスト「related_link」と関連付けられる。
コンテンツ出力制御部112は、表示装置30の表示面に表示させるコンテンツを制御する。コンテンツ出力制御部112は、図10の表示コンテンツ情報に従って、時刻に応じて、所定のコンテンツを表示装置30の表示面全体に表示させる。また、コンテンツ出力制御部112は、図12の関連コンテンツ情報を参照し、表示中のコンテンツの関連コンテンツを、表示領域決定部108の決定した表示領域に表示させる。
このとき、コンテンツ出力制御部112は、表示装置30がコンテンツの表示位置を特定できるように、表示領域名、又は、その表示領域名に対応する座標を、コンテンツの表示位置に関する情報として、表示装置30に送信する。表示領域名に対応する座標は、図9の表示領域定義情報によって、特定される。なお、表示領域内における関連コンテンツ野の表示位置は、関連コンテンツの種類に応じて、任意に決定されてもよい。例えば、関連コンテンツが縮小版のコンテンツである場合、当該関連コンテンツは、表示領域内の中央に表示されてもよい。また、関連コンテンツは、一般的なユーザの目の高さに合うような位置に表示されてもよい。
コンテンツ出力制御部112は、表示装置30に表示させるコンテンツのコンテンツ名と、その表示位置に関する情報を、コンテンツ送信部113に渡す。
コンテンツ送信部113は、コンテンツ出力制御部107から受け取ったコンテンツ名に対応するコンテンツの本体と、コンテンツの表示位置に関する情報を、ネットワーク60を介して、表示装置30に送信する。
以上の機能により、本発明の一実施形態における表示システム1は、巨大な表示面を有するデジタルサイネージにユーザが接近したとき、その接近した位置に対応する表示領域に、表示中のコンテンツと関連するコンテンツを表示することができる。また、ユーザの移動に伴って、関連するコンテンツの表示位置を変化させることができる。これによって、ユーザは、コンテンツの全体像を近くで確認できるだけでなく、コンテンツに対する関心が高まる。結果として、上記表示システム1は、デジタルサイネージによる宣伝効果を高まるという効果を奏する。
≪ 4. 動作例 ≫
次に、図15を用いて、本発明の一実施形態における管理装置10の処理フローを説明する。当該処理は、受信部101が、移動通信端末20から位置情報及び識別情報を受信するたびに、実行される。
ステップS101において、対象ユーザ判定部106は、受信した識別情報によって特定される移動通信端末のユーザが、対象ユーザであるかどうかを判定する。
ステップS102において、ステップS101で対象ユーザと判定された場合には、ステップS103に進み、そうでない場合には、処理を終了する。
ステップS103において、表示領域決定部108は、受信した位置情報に対応する表示領域を決定する。
ステップS104において、コンテンツ出力制御部112は、図10の表示コンテンツ情報及び図12の関連コンテンツ情報を参照し、現在表示中のコンテンツと関連のある関連コンテンツを、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。このとき、関連コンテンツの表示位置に関する情報も、表示装置30に送信される。
ステップS105において、以前に実行したステップS104の処理により、既に関連コンテンツを送信済みである場合には、ステップS106に進み、そうでない場合には、処理を終了する。
ステップS106において、コンテンツ出力制御部112は、直前に送信した関連コンテンツの出力を停止するよう表示装置30に指示する。
以上の処理の間、ステップS103で決定された表示領域以外の表示領域では、当初表示されていたコンテンツが、継続して表示される。一方で、ステップS103で決定された表示領域内では、関連コンテンツが、当初のコンテンツと重畳して表示され得る。
ここで、図16を用いて、図15のステップS101の対象ユーザ判定処理の詳細を説明する。
ステップS101−1において、移動通信端末20から受信した位置情報が、捕捉状態となるための、特定の位置情報である場合には、ステップS101−2に進み,そうでない場合には、ステップS101−3に進む。
ステップS101−2において、対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末20が捕捉状態になったと判定し、図7の捕捉状態情報における、当該移動通信端末20の捕捉状態を、「y」に設定する。
ステップS101−3において、移動通信端末20から受信した位置情報が、捕捉状態解除となるための、特定の位置情報である場合には、ステップS101−4に進み,そうでない場合には、ステップS101−5に進む。
ステップS101−4において、対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末20が捕捉状態解除になったと判定し、図7の捕捉状態情報における、当該移動通信端末20の捕捉状態を、「n」に設定する。
ステップS101−5において、位置情報を送信した移動通信端末20が捕捉状態である場合には、ステップS101−6に進み,そうでない場合には、ステップS101−9に進む。
ステップS101−6において、対象ユーザ判定部106は、図10の表示コンテンツ情報を参照し、現在時刻をキーとして、現在表示中のコンテンツのコンテンツ名を特定する。
ステップS101−7において、図11(又は、図13及び図14)のユーザ情報より、ステップS101−6で特定したコンテンツのコンテンツ名が、位置情報を送信した移動通信端末の識別情報と関連付けられている場合には、ステップS101−8に進む。そうでない場合には、ステップS101−9に進む。
ステップS101−8において、対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末を所持するユーザが、対象ユーザであると判定する。
ステップS101−9において、対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末を所持するユーザが、対象ユーザでないと判定する。
次に、図17を用いて、本発明の一実施形態における表示システム1の動作例を、具体例を用いて説明する。ここでは、図1に示されるように、表示装置30の表示面を構成する一の表示領域30Aに、識別情報「ab1234567890」を有する移動通信端末を所持したユーザが接近したものとして説明を行う。図1に示されるように、表示領域30Aの近傍(例えば、表示領域の前方上部の天井)には、配信装置40Aが設置され、その設置位置を表す位置情報を配信する。また、表示装置30は、ある商品の紹介動画であるコンテンツ「new_product_movie」を、表示面全体に表示している。
ステップS201において、配信装置40Aの配信部402は、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76600」)を配信し、移動通信端末20の位置情報取得部202が、これを受信する。
ステップS202において、移動通信端末30の送信部203は、ステップS201で受信した位置情報と、識別情報格納部201に格納される識別情報を、配信装置40Aに送信する。
ステップS203において、配信装置40Aの中継部403は、ステップS202で送信された、移動通信端末20の位置情報及び識別情報を中継し、ゲートウェイ50(図示しない)を介して、管理装置10に転送する。
ステップS204において、管理装置10の位置管理情報格納部102は、ステップS203で受信した位置情報及び識別情報を、その受信時刻とともに、格納する。図6の、以下のエントリが、ここで格納される情報である。
−識別情報:ab1234567890
−時刻 :2013/2/21 9:48
−緯度 :36.68130
−経度 :139.76600
ステップS205において、管理装置10の対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末20のユーザが、対象ユーザであるか判定する。判定処理の詳細は、図16で示した通りである。ここで、捕捉状態となるための特定の位置情報が、配信装置40Aの配信する位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76600」)であり、捕捉状態解除となるための特定の位置情報が、配信装置40Jの配信する位置情報であるとする。
従って、識別情報「ab1234567890」を有する移動通信端末は、捕捉状態が「y」に設定される。また、図10の表示コンテンツ情報より、現在表示装置30に表示中のコンテンツのコンテンツ名は「slideshow_full」である。そして、図11のユーザ情報より、コンテンツ名「slideshow_full」と、識別情報「ab1234567890」とは関連付けられていることから、当該ユーザは、対象ユーザであると判定される。
ステップS206において、管理装置10の表示領域決定部108は、図8の表示領域情報を参照し、ステップS203で受信した位置情報と対応する表示領域を、関連コンテンツを表示する表示領域に決定する。ここでは、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76600」)に対応する表示領域30A(表示領域名は「30a」)が、関連コンテンツを表示する表示領域に決定される。
ステップS207において、管理装置10のコンテンツ出力制御部112は、図10の表示コンテンツ情報及び図12の関連コンテンツ情報を参照し、現在表示中のコンテンツと関連するコンテンツを、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。また、コンテンツ出力制御部112は、図9の表示領域定義情報を参照し、ステップS206で決定した表示領域に対応する座標の情報を、表示位置に関する情報として、表示装置30に送信する。ここでは、関連コンテンツ「slideshow_small」が、表示位置に関する情報(座標が「0,0」及び座標「1919,1079」)とともに、表示装置30に送信される。
ステップS208において、表示装置10の出力部302は、ステップS207で受信した関連コンテンツを、表示位置に関する情報に基づいて、表示領域30Aに表示する。ここでは、左下の座標が「0,0」、右上の座標が「1919,1079」である矩形の領域(表示領域30Aに対応)の中央に、関連コンテンツ「slideshow_small」が表示される。
ここで、移動通信端末20を所持するユーザが、表示領域30Bの前に移動したものとして、以下の説明を進める。表示装置30Bの近傍には、配信装置40Bが設置されている。
ステップS209において、配信装置40Bの配信部402は、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76605」)を配信し、移動通信端末20の位置情報取得部202が、これを受信する。
ステップS210において、移動通信端末30の送信部203は、ステップS209で受信した位置情報と、識別情報格納部201に格納される識別情報を、配信装置40Bに送信する。
ステップS211において、配信装置40Bの中継部403は、ステップS210で送信された、移動通信端末20の位置情報及び識別情報を中継し、ゲートウェイ50(図示しない)を介して、管理装置10に転送する。
ステップS212において、管理装置10の位置管理情報格納部102は、ステップS211で受信した位置情報及び識別情報を、その受信時刻とともに、格納する。図6の、以下のエントリが、ここで格納される情報である。
−識別情報:ab1234567890
−時刻 :2013/2/21 9:53
−緯度 :36.68130
−経度 :139.76605
ステップS213において、管理装置10の対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末20のユーザが、対象ユーザであるか判定する。判定処理の詳細は、図16で示した通りである。ここでは、識別情報「ab1234567890」を有する移動通信端末は、既に捕捉状態である。また、図10の表示コンテンツ情報より、現在表示装置30に表示中のコンテンツのコンテンツ名は「slideshow_full」である。そして、図11のユーザ情報より、コンテンツ名「slideshow_full」と、識別情報「ab1234567890」とは関連付けられていることから、当該ユーザは、対象ユーザであると判定される。
ステップS214において、管理装置10の表示領域決定部108は、図8の表示領域情報を参照し、ステップS211で受信した位置情報と対応する表示領域を、関連コンテンツを表示する表示領域に決定する。ここでは、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76605」)に対応する表示領域30B(表示領域名は「30b」)が、関連コンテンツを表示する表示領域に決定される。
ステップS215において、管理装置10のコンテンツ出力制御部112は、図10の表示コンテンツ情報及び図12の関連コンテンツ情報を参照し、現在表示中のコンテンツと関連するコンテンツを、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。また、コンテンツ出力制御部112は、図9の表示領域定義情報を参照し、ステップS214で決定した表示領域に対応する座標の情報を、表示位置に関する情報として、表示装置30に送信する。ここでは、関連コンテンツ「slideshow_small」が、表示位置に関する情報(座標「1920,0」及び座標「3839,1079」)とともに、表示装置30に送信される。
ステップS216において、表示装置10の出力部302は、ステップS215で受信した関連コンテンツを、表示位置に関する情報に基づいて、表示領域30Bに表示する。ここでは、左下の座標が「1920,0」、右上の座標が「3839,1079」である矩形の領域(表示領域30Bに対応)の中央に、関連コンテンツ「slideshow_small」が表示される。
ステップS217において、管理装置10のコンテンツ出力制御部112は、ステップS207で送信した関連コンテンツの表示領域30Aへの表示を停止するよう、表示装置30に指示する。
ステップS218において、表示装置30の出力部302は、表示領域30Aへの関連コンテンツの出力を停止する。
なお、ステップS208、ステップS216で表示される関連コンテンツの表示位置は、任意である。表示領域30A、30Bの中央に表示されてもよし、全体に表示されても良い。このとき、関連コンテンツは、関連コンテンツが表示される前に表示されていたコンテンツに、重畳して表示されてもよい。
以上によって、本発明の一実施形態における表示システム1は、ユーザの移動に合わせて、デジタルサイネージで再生中のコンテンツと関連するコンテンツを、ユーザの近くの表示面に表示することができる。これにより、ユーザは、コンテンツに対する関心を持ち易くなり、デジタルサイネージによる広告効果を高めることができる。
≪ 5. 変形例 ≫
次に、上記で説明した表示システム1の変形例である、表示システム1Aを説明する。表示システム1Aでは、表示領域内での関連コンテンツの表示位置まで制御される。表示システム1Aでは、このような制御を行うために、移動通信端末20が受信する測位信号の信号強度の情報が用いられる。
具体的には、表示システム1Aの移動通信端末20は、二つの配信装置から測位信号を受信すると、それぞれの測位信号の信号強度を取得し、それぞれの識別情報及び位置情報とともに、管理装置10に送信する。管理装置10は、同時刻に受け取った二つの測位信号の信号強度の比を用いて、移動通信端末20が、二つの配信装置の間のどの位置にあるかを推測する。そして、表示装置30の表示領域の中の、推測位置と対応する位置に、関連コンテンツを表示させる。
これにより、表示システム1Aは、ユーザの位置に合わせて、きめ細かく、コンテンツを表示する位置を制御することができ、ユーザは、違和感なく関連コンテンツを閲覧することができる。
以下、図18−図21を用いて、既に説明した表示システム1との違いに着目して説明する。なお、表示システム1Aを構成する各装置のハードウェア構成は、図2−図4等を用いて説明した通りである。
図18は、表示システム1Aの機能ブロック図である。表示システム1Aの移動通信端末20は、既に説明した表示システム1の機能ブロック(図5)と比べて、さらに強度情報取得部204を有する。
強度情報取得部204は、配信装置40から受信した測位信号の信号強度情報を取得し、送信部203に渡す。
また、送信部203は、識別情報格納部201に格納された識別情報と、位置情報取得部202が取得した位置情報とともに、信号強度情報を、管理装置10に送信する。
表示システム1Aにおける管理装置10の位置管理情報格納部102は、図19に例示される位置管理情報を格納する。図19の位置管理情報は、図6の位置管理情報に対して、信号強度情報の項目が追加されており、ここに、移動通信端末20から受信した信号強度情報が格納される。
対象ユーザ判定部106は、受信部101が二組の位置情報を同時刻(又は、同時刻とみなすよう予め定められた所定の時間内)に受け取った場合、より強い信号強度とともに送信された位置情報を、移動通信端末20から受信した位置情報として取り扱う。そして、上述した処理と同様に、対象ユーザ判定を行う。
ここで、位置情報を送信した移動通信端末20のユーザが、対象ユーザであると判定されたとき、対象ユーザ判定部106は、移動通信端末20から受信した二組の位置情報及びその信号強度情報を、表示領域決定部108に渡す。
表示領域決定部108は、受け取った二組の位置情報のうち、より強い信号強度とともに送信された位置情報を用いて、表示領域を決定する。
ここで、表示システム1Aにおける管理装置10は、新たに表示位置算出部114を有する。表示位置算出部114は、表示領域決定部108から、決定した表示領域の表示領域名と、二組の位置情報及び信号強度情報とを受け取る。そして、二つの信号強度の比を用いて、決定した表示領域における、関連コンテンツの表示位置を算出する。
図19及び図20を用いて、算出方法の簡易な例について説明する。図20には、二つの配信装置40A、40Bと、それらから測位信号を受信する移動通信端末20が示されている。また、それぞれの配信装置に対応する表示領域30A、30Bも示されている。図19の位置管理情報に含まれる項目のうち、上から一番目のエントリは、移動通信端末20が、配信装置40Aから受信した位置情報及び信号強度情報(以下、第一信号強度とする)である。また、上から二番目のエントリは、移動通信端末20が、配信装置40Bから受信した位置情報及び信号強度情報(以下、第二信号強度とする)である。ここでは、受信強度を表す単位として、dBmが示されている。送信強度(同様にdBmで表現できる)が同じであれば、受信強度の値が大きい方が、より近くで強い電波を受信していることになる。
表示位置算出部114は、第一信号強度と第二信号強度の比を求める。例えば、それぞれの信号強度の絶対値の比が、移動通信端末の、配信装置の間での位置を表すものとする。ここでは、第一信号強度が−80dBmであり、第二信号強度が−120dBmであるから、その絶対値の比は、2:3となる。従って、移動通信端末20の位置は、配信装置40Aと40Bとの間を、2:3に分ける地点にあるものとする。各配信装置の緯度と経度は、図19の位置管理情報に格納されているため、表示位置算出部114は、移動通信端末20の緯度と経度を算出し、その位置を、関連コンテンツの表示位置とする。
以上により、表示位置算出部は、関連コンテンツの表示位置を算出し、その情報を、コンテンツ出力制御部112に渡す。なお、上記の表示位置は、緯度及び経度によって表現されるため、表示位置算出部114は、図9の表示領域定義情報を用いて、対応するピクセル座標を算出し、その情報を、コンテンツ出力制御部に渡してもよい。
コンテンツ出力制御部112は、表示領域決定部108の決定した表示領域と、表示位置算出部114の算出した表示位置とを、表示位置に関する情報として、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。
図21は、表示システム1Aの管理装置10の処理フローを表すフローチャートである。ここで、管理装置10は、一の移動通信端末20から、二組の、位置情報、識別情報及び信号強度情報を、同一時刻に受信したものとする。
ステップS301、S302は、図15のステップS101−S102と対応し、対象ユーザ判定部106は、同一時刻に異なる位置情報を送信した一のユーザが、対象ユーザであるかどうかを判定する。
ステップS303において、表示領域決定部108は、同一時刻に受信した二組の情報のうち、より大きい信号強度情報を含む情報の位置情報に対応する表示領域を、表示領域に決定する。位置情報と表示領域との関係は、図8に示される通りである。
ステップS304において、表示位置算出部114は、第一信号強度と第二信号強度の比を用いて、関連コンテンツの表示位置を算出する。
ステップS305において、コンテンツ出力制御部112は、図10の表示コンテンツ情報及び図12の関連コンテンツ情報を参照し、現在表示中のコンテンツと関連のある関連コンテンツを、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。このとき、コンテンツ出力制御部112は、ステップS303で決定された表示領域と、ステップS304で算出された表示位置の情報を、表示装置30に送信する。
ステップS306、S307は、図15のステップS105、S106と対応する。
図22は、本発明の一実施形態における表示システム1Aの動作例を示す。図22は、図15の動作例と対応する。ここでは、表示装置30の表示面を構成する一の表示領域30A(ただし表示領域30B寄りの位置)に、識別情報「ab1234567890」を有する移動通信端末を所持したユーザが接近したものとして説明を行う。図1に示されるように、表示領域30Aの近傍(例えば、表示領域の前方上部の天井)には、配信装置40Aが設置され、表示領域30Bの近傍には、配信装置40Bが設置されている。それぞれの配信装置は、設置位置を表す位置情報を配信する。また、表示装置30は、ある商品の紹介動画であるコンテンツ「new_product_movie」を、表示面全体に表示している。
ステップS401において、配信装置40Aの配信部402は、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76600」)を配信し、移動通信端末20の位置情報取得部202が、これを受信する。
ステップS402において、移動通信端末30の送信部203は、ステップS201で受信した位置情報と、識別情報格納部201に格納される識別情報と、信号強度情報を、配信装置40Aに送信する。
ステップS403において、配信装置40Aの中継部403は、ステップ4202で送信された、移動通信端末20の位置情報、識別情報及び信号強度情報を中継し、ゲートウェイ50(図示しない)を介して、管理装置10に転送する。
ステップS404において、管理装置10の位置管理情報格納部102は、ステップS403で受信した位置情報、識別情報及び信号強度情報を、その受信時刻とともに、格納する。図19の、以下のエントリが、ここで格納される情報である。
−識別情報 :ab1234567890
−時刻 :2013/2/21 9:48
−緯度 :36.68130
−経度 :139.76600
−信号強度情報:-80dBm
一方、ステップS405において、配信装置40Bの配信部402は、位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76605」)を配信し、移動通信端末20の位置情報取得部202が、これを受信する。
ステップS406において、移動通信端末30の送信部203は、ステップS405で受信した位置情報と、識別情報格納部201に格納される識別情報と、信号強度情報を、配信装置40Bに送信する。
ステップS407において、配信装置40Bの中継部403は、ステップ406で送信された、移動通信端末20の位置情報、識別情報及び信号強度情報を中継し、ゲートウェイ50(図示しない)を介して、管理装置10に転送する。
ステップS408において、管理装置10の位置管理情報格納部102は、ステップS407で受信した位置情報、識別情報及び信号強度情報を、その受信時刻とともに、格納する。図19の、以下のエントリが、ここで格納される情報である。
−識別情報 :ab1234567890
−時刻 :2013/2/21 9:48
−緯度 :36.68130
−経度 :139.76605
−信号強度情報:-120dBm
上記のステップS401−S404と、ステップS405−S408は、同時(又は同時とみなせる所定の時間内)に、並列に行われたものとする。
ステップS409において、管理装置10の対象ユーザ判定部106は、位置情報を送信した移動通信端末20のユーザが、対象ユーザであるか判定する。判定処理の詳細は、図16で示した通りである。ここで、同一時刻に同一のユーザから二つの位置情報を受信しているため、対象ユーザ判定部106は、より強い信号強度情報とともに送信された位置情報が、捕捉状態又は捕捉状態解除となるための特定の位置情報であれば、それぞれ、捕捉状態又は捕捉状態解除となったものと判断することができる。よって、図16の例と同様に、当該移動通信端末の捕捉状態が、「y」に設定される。
また、図10の表示コンテンツ情報より、現在表示装置30に表示中のコンテンツのコンテンツ名は「slideshow_full」である。そして、図11のユーザ情報より、コンテンツ名「slideshow_full」と、識別情報「ab1234567890」とは関連付けられていることから、当該ユーザは、対象ユーザであると判定される。
ステップS410において、管理装置10の表示領域決定部108は、同時刻に受け取ったステップS403で受け取った信号強度情報と、ステップS407で受け取った信号強度情報とを比較する。そして、大きな信号強度情報とともに送信された位置情報に対応する表示領域を、関連コンテンツを表示する表示領域に決定する。ここでは、-80dBmの信号強度情報とともに送信された位置情報(緯度「36.68130」、経度「139.76600」)に対応する、表示領域「30a」が、関連コンテンツの表示領域に決定される。
ステップS411において、管理装置10の表示位置算出部114は、ステップS403とステップS404で受信した信号強度情報の絶対値の比から、関連コンテンツの表示位置を算出する。ここでは、図20に例示したように、移動通信端末20は、配信装置40Aと40Bの間を2:3に分ける地点に位置すると判断する。よって、表示位置算出部114は、移動通信端末20が緯度「36.68130」、経度「139.76602」の位置にあると判断し、これを表示位置とする。
また、表示位置算出部114は、さらに、当該緯度と経度に対応するピクセル座標を、図9を参照して求めてもよい。ここでは、表示領域30Aのほぼ中央を示す点のx座標が「960」(端数は繰り上げ)であり、表示領域30Bのほぼ中央を示す点のx座標が「2879」である。したがって、これらの点を結んだ直線を2:3に分ける点のx座標「1728」を表示位置としてもよい。
ステップS412において、管理装置10のコンテンツ出力制御部112は、現在表示中のコンテンツと関連するコンテンツ「slideshow_small」を、コンテンツ送信部113を介して、表示装置30に送信する。また、コンテンツ出力制御部112は、ステップS410で決定した表示領域に対応する座標の情報(座標「1920,0」及び座標「3839,1079」)と、ステップS411で決定した表示位置の情報(x座標「1728」)を、表示位置に関する情報として、表示装置30に送信する。
ステップS413において、表示装置10の出力部302は、ステップS412で受信した関連コンテンツを、表示位置に関する情報に基づいて、表示領域30Aに表示する。ここでは、左下の座標が「0,0」、右上の座標が「1919,1079」である矩形の領域(表示領域30Aに対応)のうちの、x座標「1728」の位置に、関連コンテンツ「slideshow_small」が表示される。
なお、上記の例では、コンテンツ出力制御部112は、表示位置に関する情報として、表示領域内の関連コンテンツの表示位置のx座標の値を、表示装置30に送信したが、y座標の値を送信してもよい。y座標の値は、関連コンテンツの大きさや種類によって、適宜定められても良い。例えば、関連コンテンツが、表示面全体に表示中のコンテンツの縮小版のコンテンツである場合には、ユーザの目に留まりやすいように、目の高さに対応するy座標の値が指定されてもよい。
ステップS413の後は、図16で説明したように、移動通信端末20から随時送信される位置情報に合わせて、関連コンテンツの表示位置が変更される。以上の動作によって、本発明の一実施形態における表示システム1Aは、ユーザの移動に合わせて、デジタルサイネージで再生中のコンテンツと関連するコンテンツを、近くの表示面に随時表示することが可能となる。これにより、ユーザは、移動に伴って表示される関連コンテンツを違和感なく認識することができる。